JP2002526109A - アポトーシス誘導物質と方法 - Google Patents

アポトーシス誘導物質と方法

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JP2002526109A JP2000574671A JP2000574671A JP2002526109A JP 2002526109 A JP2002526109 A JP 2002526109A JP 2000574671 A JP2000574671 A JP 2000574671A JP 2000574671 A JP2000574671 A JP 2000574671A JP 2002526109 A JP2002526109 A JP 2002526109A
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レスリー エス. シールズ
シャーナ フークス
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Abstract

(57)【要約】 Notch蛋白質を過剰発現する細胞において分化およびアポトーシスを誘導する方法および組成物を開示する。Notchの細胞運命決定機能は、細胞が分化しつつある時期に特異的に破壊され、これによって細胞はアポトーシスを引き起こす。本発明は、HMBAのような分化誘導物質をNotch蛋白質の機能を破壊する物質と組みあわせて用いて、腫瘍の細胞の分化を誘導することによる、Notch蛋白質(Notch-1のような)を過剰発現する腫瘍の治療方法を含む。分化が促進され、そして細胞がNotchの抗アポトーシス作用による妨害を受けやすい時期に、Notch蛋白質の機能を破壊する。Notch機能の破壊は、例えば、Notchに特異的に結合して、これを不活化する抗体、例えばモノクローナル抗体A6、C11、またはF3のような、Notch-1 EGF様リピート11および12を認識するモノクローナル抗体と、HMBAのような分化誘導物質を組みあわせることによって行うことができる。Notch機能の破壊はまた、細胞上のNotch蛋白質の発現を単独で、または抗新生物剤と併用して、特異的に妨害するアンチセンスオリゴヌクレオチドの発現によっても得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の分野 本発明は、細胞の分化を刺激/増加させ、アポトーシスを誘導する組成物およ
び方法に関し、特に、Notch発現が増加した腫瘍の治療に関連する。
【0002】発明の背景 Notch遺伝子は、上皮細胞増殖因子(EGF)様相同異質形成遺伝子のファミリー
に属し、これは、細胞外領域において多様な数のシステインに富むEGF様リピー
トを有する膜貫通蛋白質をコードする。4つのNotch遺伝子(Notch 1〜4)は全
て、哺乳類において報告されており、これは、神経系および他の構造の分化に関
係している(ラーデリ(Lardelli)ら、Int. J. Dev. Biol. 1995、39:769〜80
;ヤッパン(Jhappan)ら、Genes Dev. 1992、6:345〜55;ロビンス(Robbins
)ら、J. Virol. 1992、66:2594〜9)。EGF様蛋白質DeltaおよびSerrateがNotc
h-1のリガンドとして同定されている。
【0003】 成熟したNotch蛋白質は、Notchプレ蛋白質が、多数のEGF様リピートを含む細
胞外サブユニット(NEC)と、細胞内領域を含む膜貫通サブユニット(NTM)とに
切断されることに由来するヘテロ二量体受容体である(ブラウミュラー(Blaumu
eller)ら、Cell 1997、90:281〜91)。Notchの活性化は、隣接する細胞によっ
て発現されるリガンドまたは可溶性リガンドの結合(キ(Qi)ら、Science 1999
、283:91〜4)に起因し、活性化されたNotchからのシグナル伝達は転写調節物
質のネットワークを含む(アルタバニス・サコナス(Artavanis-Tsakonas)ら、
Science 1995、268:225〜32)。
【0004】 幾つかの研究グループが個々にNotch-1を認識する抗体を作製した。キッド(K
idd)ら(Genes Devel. 1989、3:1113〜29)は、モノクローナル抗体を作製し
、ヨハンセン(Johansen)ら(J. Cell. Biol. 1989、109:2427〜40)は、ショ
ウジョウバエ(Drosophila)におけるNotchの発現を調べるためにNotchの細胞外
部分を認識するポリクローナル抗体を生産した。フェオン(Fehon)らは、Delta
とNotchとの相互作用を調べるため(Cell 1990、61:523〜34)、そしてショウ
ジョウバエ(Drosophila)におけるNotchの発現を調べるために(J. Cell. Biol
. 1991、113:657〜69)、Notchの細胞内ドメインに対するマウスモノクローナ
ル抗血清とNotchの細胞外ドメインに対するマウスポリクローナル抗血清とを生
産した。ハッセリャン(Hasserjian)ら(Blood 1996、88:970〜6)は、T細胞
上のNotch発現を検出するために抗Notch抗体の生産について開示している。Notc
hのEGF様リピート11および12に対して特異的な抗体は、イムノアッセイ法におい
て使用するために(米国特許第5,648,464号)、Notchが過剰発現されている癌の
治療および診断方法(米国特許第5,786,158号)のために、そして3T3-L1細胞の
分化を阻害するために(ガルチェス(Garces)ら、J. Biol. Chem. 1997、272:
29729〜34)生産されている。ザゴラス(Zagouras)ら(Proc. Natl. Acad. Sci
. USA 1995、92:6414〜8)は、腫瘍細胞におけるNotch-1発現を調べるためにNo
tch-1の非保存領域に対する幾つかのポリクローナル抗血清を作製した。
【0005】 活性化されたNotchは、細胞を未分化状態に維持することによって機能するこ
とが、リンドセル(Lindsell)ら(Cell 1995、80:909〜17)によって提唱され
ている。ニワトリの網膜外植体において、構成的に活性化されたNotch-1の発現
は網膜神経節細胞前駆体の分化を阻害するが、アンチセンスオリゴヌクレオチド
は神経表現型への分化を増加させる(オースチン(Austin)ら、Development 19
95、121:3637〜50)。しかし、アンチセンスNotch-1発現は、脂肪細胞の分化を
阻害する(ガルチェス(Garces)ら、J. Biol. Chem. 1997、272:29729〜34)
。マウスでは、Notch-1のダウンレギュレーションは皮質の胸腺細胞の成熟を必
要とする(ハッセリャン(Hasserjian)ら、Blood 1996、88:970〜6)が、その
発現は体節発生のプロセスと協調する(コンロン(Conlon)ら、Development 19
95、121:1533〜45)。胸腺におけるCD4/CD8およびα/β対γ/δ系列の決定、お
よび3T3-L1細胞のインビトロ脂肪細胞分化のような他の実験モデルにおいて、No
tch-1の発現は、分化の刺激を適切に解釈するために必要であるように思われる
(ロビー(Robey)ら、Cell 1996、87:483〜92;ウォッシュバーン(Washburn
)ら、Cell 1997、88:833〜43;およびガルチェス(Garces)ら、J. Biol. Che
m. 1997、272:29729〜34)。
【0006】 Notchシグナル伝達または発現の変化は、腫瘍発生に関与する可能性がある。
ヒトNotch-1の細胞外部分の欠失は、T細胞急性リンパ芽球性白血病の症例の約10
%に関連している(エリソン(Ellison)ら、Cell 1991、66:649〜61)。Notch
-1の切断型をマウス骨髄幹細胞に導入すると、T細胞リンパ腫を引き起こす(ペ
アー(Pear)ら、J. Exp. Med. 1996、183:2283〜91)。Notch-1とNotch-2の双
方の切断型はラット腎細胞において腫瘍発生性であることが示されている(カポ
ビアンコ(Capobianco)ら、Mol. Cell. Biol. 1997、17:6265〜73)。ヒトNot
ch-1遺伝子は、リンパ系列、骨髄系列および赤血球系列の造血細胞悪性疾患に関
連する染色体領域(9q34)に存在する(ラーソン(Larson)ら、Genomics 1994
、24:253〜8)。さらに、子宮頚癌、結腸腫瘍、および肺の腫瘍を含む多くのヒ
ト腫瘍では、Notch-1の発現が著しく増加していることが報告されている(ダニ
エル(Daniel)ら、J. Gen. Virol. 1997、78:1095〜101)。Notch-1とNotch-2
の発現が共に増加することは、子宮頚部の前新生物病変において認められている
(ザゴラス(Zagouras)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1995、92:6414〜8)
【0007】 多くの形質転換細胞は、分化誘導剤の幾つかのクラスの1つに属する薬剤で処
置すると、最終分化を受ける能力を保持している。例えば、ハイブリッド極性化
合物(極性領域と非極性領域の双方を有する)は、全ての胚系列の多くの組織に
由来する形質転換細胞において分化を誘導することができる(マークス(Marks
)ら、Int. J. Hematol. 1996、63:1〜17)。このクラスのプロトタイプである
ヘキサメチレンビスアセトアミド(HMBA)は、インビトロで広く特徴が調べられ
ており、骨髄異形成症候群および急性骨髄芽球性白血病患者において臨床で試験
されている(アンドリーフ(Andreef)ら、Blood 1992、80:2604〜9)。残念な
ことに、この治療は血小板減少症を引き起こしうる。したがって、投与量を減少
させることができるような、HMBAの作用を増強しうる物質を同定することが望ま
しいと考えられる。
【0008】 HMBAの作用機序は、マウス赤白血病(MEL)細胞株において詳細に調べられて
おり、これはハイブリッド極性物質によって赤芽球系列に沿って分化するように
誘導される、レトロウイルス形質転換造血前駆細胞である。細胞周期のG1期のあ
いだにHMBAに暴露すると、次のG1期の延長を引き起こす。その後、細胞周期の速
度は正常に回復し、それぞれのサイクルにおいて細胞のある分画が、推計学的に
最終分化に至る。このG1ラグは必要であるが、HMBAに反応して最終分化に至らせ
るには十分でない(キヨカワ(Kiyokawa)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 199
3、90:6746〜50)。最終分化を誘発するためには、その後のサイクルのあいだ
に起こる、まだ同定されていないさらなる生化学事象が必要である。
【0009】 PCT出願国際公開公報第94/07474号および米国特許第5,786,158号は、Notch蛋
白質が分化にどのような影響を及ぼすかを明記することなく、癌を含む細胞の運
命または分化に関する障害を治療するために、Notch蛋白質、センスまたはアン
チセンス核酸、およびNotch抗体を投与することについて開示している。ガルチ
ェス(Garces)ら(J. Biol. Chem. 1997、272:29729〜34)は、Notch-1のEGF
様リピート11および12を含む組換え型蛋白質、これらの同じリピートに対して作
製されたポリクローナル抗血清、またはNotch-1の細胞内ドメインを含むアンチ
センスヌクレオチドを投与すると、3T3-L1細胞の分化を阻害することを決定した
。これらのデータを併せると、正常なNotch-1/リガンド相互作用を破壊する物
質は、遺伝的手段によるNotch-1発現の阻害と同じ作用を生じることを示してい
る。すなわち、それらは分化を阻害する。これは、分化を誘導するHMBAの投与と
は対照的である。
【0010】発明の概要 本出願に開示する結果から、Notchを過剰発現する癌細胞を治療する新しいメ
カニズムが明らかとなる。NotchアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはNotchに
対するモノクローナル抗体(例えば、Notch-1のEGF様リピート11および12)のい
ずれかを、HMBAと共に投与すると、HMBA単独の場合より大きい程度に分化を増強
したという予想外の知見は、腫瘍細胞を治療する新しい手段を提供する。
【0011】 Notch蛋白質に関する研究は広範囲に行われているにもかかわらず、これを治
療的に用いることはこれまで不可能であった。国際公開公報第94/07474号および
米国特許第5,786,158号によって、腫瘍を治療または予防するために、Notch抗体
およびNotchアンチセンスオリゴヌクレオチド(またはNotchの発現もしくは機能
を妨害する他の分子)を治療的に投与しうることが示されたが、現在では、Notc
hアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはNotch-1のEGF様リピート11および12に
対するモノクローナル抗体のいずれかの単体投与では、抗新生物治療として無効
であることが判明している。本発明は、Notch蛋白質(Notch-1蛋白質など)の発
現または機能を妨害する分子と共に、細胞分化物質を投与することによって、こ
の問題を克服した。このようなアプローチの組合せは、そうでなければ実質的な
分化が認められないような場合においても、新生物細胞における分化を誘導する
ことが予想外にも判明し、この技術の有用な治療的応用を初めて提供する。
【0012】 したがって、本発明の方法は、細胞が分化を受けつつある時期に標的細胞にお
けるNotch蛋白質の細胞運命決定機能を阻害することによって、標的細胞におけ
るアポトーシスを誘導することを含む。特定の態様において、標的細胞は、Notc
h発現または機能による妨害によって細胞がアポトーシス経路に至るように、分
化しNotch発現をアップレギュレートするように誘導される。Notch発現の阻害ま
たはその機能の妨害は、Notch遺伝子(Notch-1またはNotch-2遺伝子のような)
のRNA転写物の少なくとも一部と相補的であって、そのRNA転写物とハイブリダイ
ズ可能な配列を含むヌクレオチド少なくとも6個を含むNotch蛋白質アンチセン
スオリゴヌクレオチドに細胞を暴露することを含みうる。アンチセンスオリゴヌ
クレオチドはRNA転写物の如何なる領域ともハイブリダイズすることができるが
、有用であることが判明した特定のオリゴヌクレオチドは、Notch-1 EGFリピー
ト領域、Lin/Notch領域、またはアンキリン領域(それぞれ、配列番号:6、8
または11に示す)に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドである。または、分
子はNotchに特異的に結合する抗体(またはその結合ドメインを含む部分)のよ
うに、細胞におけるNotch蛋白質の機能に拮抗する分子となりうる。
【0013】 本発明の方法は同様に、細胞が分化しつつある時期に標的細胞におけるNotch
蛋白質の細胞運命決定機能を阻害することによって、標的細胞においてアポトー
シスを誘導することを含み、さらに標的細胞におけるアポトーシスを増強する時
期にもう一つの抗新生物剤の治療的有効量によって標的細胞を治療することを含
む。他の抗新生物剤には、例えばビンカアルカロイド、例えばビンブラスチン、
パクリタキセル、およびビンクリスチンが含まれる。抗新生物剤はまた、細胞が
分化しつつある時期に、標的細胞におけるNotch蛋白質の細胞運命決定機能を阻
害するために投与される物質と実質的に同時に投与することができ、これによっ
て標的細胞をアポトーシスへと誘導する。さらなる態様において、腫瘍細胞にお
けるアポトーシスを誘導する方法は、アポトーシスを防止するためにNotchが必
要である分化の時期に、腫瘍を有する被験者に第一の抗新生物剤の治療的有効量
を投与して、腫瘍の細胞におけるNotch機能または発現を妨害することによって
、第一の抗新生物剤の作用を増強する時期にNotch機能または発現を特異的に妨
害する分子を投与することによって、Notch蛋白質の発現の増加を特徴とする。N
otch機能もしくは発現を妨害する第一の抗新生物剤は、Notch蛋白質の発現を特
異的に遮断するNotchアンチセンスオリゴヌクレオチド、またはNotch蛋白質に特
異的に結合してNotch機能を妨害する抗体を含みうる。腫瘍は、子宮頚癌、乳癌
、結腸癌、黒色種、精上皮腫、肺癌、および造血細胞悪性疾患からなる群より選
択しうる。
【0014】 本発明の抗体は、ヒトNotch-1 EGF様リピート11および12に対して作製された
抗体を含む。これらの抗体は、分化誘導剤の有効量の存在下でNotch-1の細胞外
エピトープを認識して、標的細胞分化を刺激する。特定の態様において、抗体は
、ATCC受託番号HB12654を有するA6と命名されたハイブリドーマによって分泌さ
れるモノクローナル抗体、ATCC受託番号HB12656を有するC11と命名されたハイブ
リドーマによって分泌されるモノクローナル抗体、およびATCC受託番号HB12655
を有するF3と命名されたハイブリドーマによって分泌されるモノクローナル抗体
である。もう一つの態様において、抗体はポリクローナル抗体である。これらの
モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体は分化誘導物質と同時投与すると
Notch-1を過剰発現する腫瘍細胞の分化速度を増強する。この処置によって、腫
瘍細胞の最終的なアポトーシスが起こる。抗体の特定の例において、生物学的に
活性なヒトNotch-1 EGFリピート11および12は、ジスルフィド結合を切断するよ
うに還元されない。
【0015】 特定の態様において、標的細胞は、新生物でない同じ組織タイプにおけるNotc
h活性または発現と比較して、Notch-1またはNotch-2蛋白質のようなNotch蛋白質
の活性の増加または発現の増加を特徴とする腫瘍細胞である。Notch-1を過剰発
現するそのような腫瘍タイプの例には、子宮頚癌、乳癌、結腸癌、黒色腫、精上
皮腫、肺癌、および赤芽球性白血病、骨髄性白血病(慢性または急性骨髄性白血
病などの)のような造血細胞悪性疾患、神経芽細胞腫、および髄芽細胞腫が含ま
れる。Notch-1およびNotch-2はいずれも、子宮頚部の新生物前病変において過剰
発現されている。それに対して細胞を暴露する分化誘導剤は、レチノイド、極性
化合物、短鎖脂肪酸、有機酸、ビタミンD誘導体、シクロオキシゲナーゼ阻害剤
、アラキドン酸代謝阻害剤、セラミド、ジアシルグリセロール、環状ヌクレオチ
ド誘導体、ホルモン、ホルモン拮抗剤、分化の生物学的プロモーター、およびこ
れらの物質のいずれかの誘導体を含む、多様な範囲の物質から選択することがで
きる。特定の例において、分化誘導物質は、ヘキサメチレンビスアセトアミド(
HMBA)のような極性ハイブリッド化合物である。
【0016】 より特定の態様において、本方法は、Notch蛋白質を発現する腫瘍細胞、特にN
otchの発現の増加を示す細胞にアポトーシスを引き起こすことによって、被験者
における腫瘍を治療することを含む。この方法において、腫瘍細胞の分化は、被
験者に分化誘導物質を投与すること、および細胞がアポトーシスに至らないよう
にするためにその機能が必要である時期に、Notch機能または発現を妨害する分
子を投与することによって、Notch機能または発現を妨害することによって誘導
する。分子は、Notch-1蛋白質の発現を妨害するオリゴヌクレオチド(長さ100塩
基まで)またはポリヌクレオチド(長さ200塩基以上のヌクレオチドを含む)の
ようなアンチセンスヌクレオチドであってもよい。または、分子はNotch蛋白質
(特にその細胞外受容体部分)に結合してNotch機能を妨害する抗体でありうる
【0017】 本発明はまた、物質と分子の混合物が有効な抗新生物量で存在する、分化誘導
物質と、Notch蛋白質の発現またはNotch蛋白質の細胞運命決定機能を妨害する分
子とを含む薬学的組成物を含む。分子は、Notch-1遺伝子のようなNotch遺伝子の
RNA転写物の少なくとも一部に対して相補的であって、そのRNA転写物とハイブリ
ダイズ可能である配列からの少なくとも6ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオ
チドを含んでもよい。特定の態様において、オリゴヌクレオチドは配列番号:6
、8もしくは11のオリゴヌクレオチド、またはそのサブ配列である。または、分
子はNotch(または結合ドメインを含む部分)に特異的に結合する抗体、例えばN
otch蛋白質の発現または蛋白質の細胞運命決定機能を妨害するNotch-1 EGF様リ
ピート11および12に対するモノクローナル抗体と、薬学的に許容される担体とを
、物質とモノクローナル抗体の混合物が有効な抗新生物量で存在するように含ん
でもよい。特定の態様において、抗体は、ATCC番号HB12654、HB12656およびHB12
655をそれぞれ有するA6、C11またはF3と命名されたハイブリドーマによって分泌
されるモノクローナル抗体である。特定の態様において、分化誘導物質はレチノ
イド、極性化合物、短鎖脂肪酸、有機酸、ビタミンD誘導体、シクロオキシゲナ
ーゼ阻害剤、アラキドン酸代謝阻害剤、セラミド、ジアシルグリセロール、環状
ヌクレオチド誘導体、ホルモン、ホルモン拮抗剤、および生物学的分化促進物質
、ならびに分化を誘導するこれらの薬剤のいずれかの誘導体からなる群より選択
してもよい。
【0018】 本発明はまた、Notchに対して作製された抗体を用いて、新生物でない同じ組
織タイプにおけるNotchレベルと比較して、Notchを過剰発現する腫瘍細胞の診断
および進行期分類のための方法を含む。特定の態様において、抗体はNotch-1の
細胞外エピトープを認識して、免疫染色のために分化誘導剤の有効量の存在下で
標的細胞分化を刺激するヒトNotch-1 EGFリピート11および12に対して作製され
たモノクローナル抗体である。特定の態様において、抗体は、A6、C11、またはF
3と命名されたハイブリドーマから選択されるモノクローナル抗体である。腫瘍
は子宮頚癌であってもよく、または腫瘍細胞はパパニコラウスメアに存在しても
よい。
【0019】 本発明は、以下のハイブリドーマをも含む:ATCC受託番号HB12654を有するA6
;ATCC受託番号HB12656を有するC11;およびATCC受託番号HB12655を有するF3。
【0020】 本発明の前述およびその他の目的、特徴および利点は、添付の図面を参照して
進行する好ましい態様に関する以下の詳細な記述からより明らかとなると思われ
る。
【0021】配列表 配列番号:1、RT-PCRのためのNotch-1に特異的なセンスプライマー。 配列番号:2、RT-PCRのためのNotch-1に特異的なアンチセンスプライマー。 配列番号:3、RT-PCRのためのGAPDHに特異的なセンスプライマー。 配列番号:4、RT-PCRのためのGAPDHに特異的なアンチセンスプライマー。 配列番号:5、Notch-1 EGFリピート領域のセンスオリゴ。 配列番号:6、Notch-1 EGFリピート領域のアンチセンスオリゴ。 配列番号:7、Lin/Notch領域のセンスv。 配列番号:8、Lin/Notch領域のアンチセンスオリゴ。 配列番号:9、Lin/Notch領域のスクランブルオリゴ。 配列番号:10、Notch-1アンキリン領域のセンスオリゴ。 配列番号:11、Notch-1アンキリン領域のアンチセンスオリゴ。 配列番号:12、Notch-1アンキリン領域のスクランブルオリゴ。 配列番号:13、Notch-1のセンスPCRプライマー。 配列番号:14、Notch-1のアンチセンスPCRプライマー。 配列番号:15、Hu-EGF 34/35領域のアンチセンスオリゴ。 配列番号:16、Hu-EGF 34/35領域のセンスオリゴ。 配列番号:17、Hu-EGF 34/35領域のスクランブルオリゴ。 配列番号:18、Hu-LIN 12領域のアンチセンスオリゴ。 配列番号:19、Hu-LIN 12領域のセンスオリゴ。 配列番号:20、Hu-LIN 12領域のスクランブルオリゴ。 配列番号:21、Hu-CDC2領域のアンチセンスオリゴ。 配列番号:22、Hu-CDC2領域のセンスオリゴ。 配列番号:23、Hu-CDC2領域のスクランブルオリゴ。
【0022】特定の態様の詳細な説明 省略語と定義 AS:アンチセンス
【0023】 GAPDH:グリセルアルデヒド-3-燐酸デヒドロゲナーゼ
【0024】 HMBA:ヘキサメチレンビスアセトアミド
【0025】 IPTG:イソプロピルβ-チオガラクトピラノシド
【0026】 KLH:キーホールリンペットヘモシアニン
【0027】 PBS:燐酸緩衝生理食塩液
【0028】 NEC:Notch細胞外サブユニット
【0029】 NTM:Notch膜貫通サブユニット
【0030】 RA:レチン酸
【0031】 RT-PCR:逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応
【0032】 Jurkat細胞:アメリカンタイプカルチャーコレクション(マナッサス、バージ
ニア州)のヒト急性T細胞白血病細胞株。ATCC番号TIB-152。
【0033】 MEL:アメリカンタイプカルチャーコレクション(マナッサス、バージニア州
)のマウス赤白血病細胞株。ATCC番号TIB-55。
【0034】 Molt-4細胞:アメリカンタイプカルチャーコレクション(マナッサス、バージ
ニア州)のヒト急性リンパ芽球性白血病細胞株。ATCC番号CRL-1582。
【0035】 抗新生物剤:新生物細胞の増殖を阻害する、例えば腫瘍の増殖を停止させるま
たは退縮を引き起こす薬物または生物製剤。ビンカアルカロイド、例えば、ビン
ブラスチン、パクリタキセル、およびビンクリスチンが含まれる。
【0036】 分化または分化誘導物質:細胞に暴露した場合に分化を増強または誘導する物
質。分化誘導剤は、レチノイド、極性化合物、短鎖脂肪酸、有機酸、ビタミンD
誘導体、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、アラキドン酸代謝阻害剤、セラミド、ジ
アシルグリセロール、環状ヌクレオチド誘導体、ホルモン、ホルモン拮抗剤、分
化の生体促進物質、およびこれらのいずれかの物質の誘導体を含む、広く多様な
物質から選択することができる。さらに、分化物質はヘキサメチレンビスアセト
アミド(HMBA)のような極性ハイブリッド化合物となりうる。MEL細胞に48〜120
時間加えると、これらの分化物質は、ベンジジン染色を用いたヘモグロビンの有
無によって決定すると分化を増加させ(実施例7)、120時間で35〜45%となる
。別の細胞タイプでは、これらの分化誘導物質は少ない場合で20%、多い場合で
は90%も分化を増加させることがある。
【0037】 ハイブリドーマ:モノクローナル抗体の均一な集団を分泌する単細胞クローニ
ング細胞。
【0038】 Notch抗体:Notch抗体は、Notch-1〜4のようなNotch蛋白質、またはまだ発見
されていないNotchを特異的に認識する抗体である。一つの態様において、Notch
抗体はNotch-1 EGF様リピート11および12を認識する抗体であり、分化誘導物質
の存在下で細胞に加えると、分化を増強する。もう一つの態様において、Notch
抗体はNotch-2 EGF様リピート11および12を認識する抗体であり、分化誘導物質
の存在下で細胞に加えると、分化を増強する。もう一つの態様において、Notch
抗体はNotch-3のリガンド結合領域を認識する抗体である。もう一つの態様にお
いて、Notch抗体はNotch-4のリガンド結合領域を認識する抗体である。リガンド
結合領域はNotchの細胞外ドメインである。抗体を産生するために、リガンド結
合領域、またはそのドメインは、例えば細菌に組換え的に発現させることができ
る。得られた組換え型蛋白質または蛋白質断片は、Notchを特異的に認識する抗
体を作製するために用いられ、分化誘導物質の存在下で細胞に加えると、分化を
増強する。
【0039】 mAb:モノクローナル抗体。唯一の抗原エピトープを認識するハイブリドーマ
によって分泌される抗体。モノクローナル抗体を作製するためには、実施例4お
よび10を参照のこと。
【0040】 pAb:ポリクローナル抗体。単一の抗原上の幾つかの複数のエピトープを認識
する抗体の不均一な集団。ポリクローナル抗体の産生に関しては、実施例2およ
び18を参照のこと。
【0041】 Notch遺伝子/Notch蛋白質:本明細書において用いられるように、NotchはNot
ch遺伝子4つ、すなわちNotch 1、2、3もしくは4、または後に同定されたNotch
遺伝子のいずれかを意味する。Notch蛋白質は、脊椎動物(ヒトのような)また
は無脊椎動物(ショウジョウバエのような)におけるNotch遺伝子(Notch 1、2
、3、4または後に同定されたNotch遺伝子)の1つの産物である。ヒトNotch遺伝
子4つは異なる染色体上に存在し、Notch-1遺伝子は染色体位置9q34に存在する
が(エリセン(Ellisen)ら、Cell 1991、66:649〜61)、Notch-2およびNotch-
3遺伝子はそれぞれ、1p13-p11および19p13.2-p13.1に存在する。Notch-4の染色
体位置は十分に特徴付けされていない。これらのヒト遺伝子のそれぞれの完全な
DNA配列、またはcDNA配列は、ゲンバンクに受託番号:M73980(Notch-1/TAN1)
;U97669(Notch-3);およびU95299(Notch-4)として認められる。Notch-1のD
NAおよびアミノ酸配列も同様に、国際公開公報第94/07474号に開示されている。
Notch-2の完全なコード配列はゲンバンクでは得られていないが、部分的Notch-2
配列の受託番号はX80115;U50549;U77493である。対応するアミノ酸配列は、例
えば米国特許第5,648,464号に示すように、DNA配列から決定することができる。
EGFリピートは、切断されていないヒトNotch-1プレ蛋白質のアミノ酸残基24〜14
49位に対応し、ank領域はアミノ酸残基1825〜2087位に対応し、そしてlin領域は
アミノ酸残基1450〜1564位に対応する(エリセン(Ellisen)ら、Cell 1991、66
:649〜61)。マウスNotch-2の完全なcDNA配列は、受託番号D32210である。Notc
h蛋白質のいずれかのアミノ酸配列は開示のDNA配列から既知である。
【0042】 Notch治療:Notch-1、Notch-2、Notch-3、またはNotch-4の細胞運命決定機能
を阻害する治療。この治療はNotch蛋白質の機能を破壊し、例えばNotch発現を阻
害する、その機能を妨害する、またはその他の手段によって行うことができる。
方法は、Notch蛋白質アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはNotchを認識する抗
体に細胞を暴露することを含みうる。
【0043】 オリゴ/オリゴヌクレオチド:長さが約100ヌクレオチド塩基までの直鎖状の
ヌクレオチド配列。
【0044】 ポリヌクレオチド:長さが100ヌクレオチド塩基以上の配列を含む、直鎖状の
ヌクレオチド配列。
【0045】 S-オリゴ:オリゴの治療特性を改善するために、オリゴヌクレオチドのホスホ
ジエステル骨格のリン酸基がホスホロチオエート基となるように化学的に改変さ
れているホスホロチオエートオリゴヌクレオチド。これは、そのヌクレアーゼに
対する抵抗性を改善し、その膜透過性を改善するように改変された化学改変オリ
ゴヌクレオチドの一例である。
【0046】 ハイブリダイゼーション:DNA分子および上記のように開示のDNA分子に由来す
るヌクレオチド配列は同様に、開示されたDNA配列またはその断片とストリンジ
ェントな条件でハイブリダイズするDNA配列として定義してもよい。
【0047】 特定の程度のストリンジェンシーが起こるハイブリダイゼーション条件は、選
択したハイブリダイゼーション方法の特性、ならびに用いるハイブリダイズする
DNAの組成および長さに応じて変化すると考えられる。一般的に、ハイブリダイ
ゼーション温度およびハイブリダイゼーション緩衝液のイオン強度(特にNa+
度)は、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを左右する。特定の程度
のストリンジェンシーを得るために必要なハイブリダイゼーション条件に関する
計算は、参照として本明細書に組み入れられる、サムブルック(Sambrook)ら(
1989)の第9および11章に記載されている。説明のみを目的として記述すると、
ハイブリダイゼーション実験は、当技術分野で周知であり、サムブルック(Samb
rook)ら(1989)に記載される技術である、DNA分子(例えば、Notch-1 cDNAの
変異体)の標的DNA分子(例えば、Notch-1 cDNAそのもの)とのハイブリダイゼ
ーションによって行い、これをアガロースゲルにおいて電気泳動して、サザンブ
ロッティングによってニトロセルロースメンブレンに転写してもよい。[32P]-dC
TPによって標識した標的プローブとのハイブリダイゼーションは、一般的に、下
記のような融解温度Tmより低い20〜25℃の温度で6×SSCのような高いイオン強
度の溶液中で行われる。サザンブロット上の標的DNA分子がDNA 10 ng以上を含む
そのようなサザンハイブリダイゼーション実験では、ハイブリダイゼーションは
典型的に1〜2 ng/mlの放射性標識プローブ(比活性は109 CPM/μgまたはそれ
以上)を用いて6〜8時間行われる。ハイブリダイゼーション後、ニトロセルロ
ースフィルターを洗浄してバックグラウンドのハイブリダイゼーションを除去す
る。洗浄条件はバックグラウンドハイブリダイゼーションを除去するために可能
な限りストリンジェントでなければならないが、特異的ハイブリダイゼーション
シグナルを保持する程度でなければならない。Tmという用語は、一般的なイオン
条件で放射性標識プローブ分子がその標的DNA分子とハイブリダイズしない上記
の温度を表す。そのようなハイブリッド分子のTmは以下の等式から推定できる:
Tm=81.5C−16.6(log10[Na+])+0.41(%G+C)−0.63(%ホルムアミド)−
(600/l);ここでl=ハイブリッドの塩基対の長さである。
【0048】 この等式はNa+濃度が0.01 M〜0.4 Mの範囲である場合に有効であり、より高い
[Na+]溶液でのTmの計算にはあまり正確でない。等式はまた、G+C含有量が30〜7
5%の範囲であるDNAの場合に主に有効であり、長さが100ヌクレオチド以上のハ
イブリッドに当てはまる(オリゴヌクレオチドプローブの挙動はサムブルック(
Sambrook)ら(1989)の第11章に詳細に記載されている)。
【0049】 二本鎖DNAのTmは相同性が1%減少する毎に1〜1.5℃減少する。したがって、
所与の例において、フィルターを0.3×SSC中で59.4〜64.4℃で洗浄すると、90%
に相当するハイブリダイゼーションストリンジェンシーが得られると考えられる
;すなわち、標的Notch-1 cDNAと比較して10%以上の配列変動を有するDNA分子
はハイブリダイズしないと思われる。または、ハイブリダイズしたフィルターを
0.3×SSCで65.4〜68.4℃で洗浄すると、94%のハイブリダイゼーションストリン
ジェンシーが得られると考えられる;すなわち標的Notch-1 cDNA分子と比較して
6%以上の配列変動を有するDNA分子はハイブリダイズしない。上記の例は理論
的説明を行うために示している。当業者は、その他のハイブリダイゼーション技
術を利用してもよいこと、そして実験条件の変動によってはストリンジェンシー
に関して別の計算が必要となる場合があることを認識すると思われる。
【0050】 本発明の態様において、ストリンジェントな条件は、25%、15%、10%、また
は6%以上の配列変動を有するDNA分子(「ミスマッチ」とも呼ぶ)がハイブリ
ダイズしない条件として定義できる。
【0051】 遺伝コードの縮重は、それによって、コードされる蛋白質のアミノ酸配列を維
持しながらDNA分子のヌクレオチド配列に大きい変動が可能となるため、さらに
、本発明の範囲を広くする。このように、Notch-1 cDNAのヌクレオチド配列はコ
ードされる蛋白質のアミノ酸組成または蛋白質の特徴に影響を及ぼすことなく変
化しうる。遺伝コードおよび特定のアミノ酸のヌクレオチドコドンの変化は既知
である。遺伝コードの縮重に基づいて、上記のような標準的なDNA変異誘発技術
を用いて、またはDNA配列の合成によって、本明細書に開示のcDNA分子から変異
型DNA分子を誘導してもよい。遺伝コードの縮重に基づく配列変動のために、ス
トリンジェントな条件で開示のcDNA配列とハイブリダイズしないDNA配列も、本
明細書において本発明に含まれる。
【0052】 本明細書に記述のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、相補的ヌクレオチド単
位の間のワトソン・クリック、フーグスティーン、または逆フーグスティーン水
素結合を含む、水素結合によってハイブリダイズする。例えば、アデニンとチミ
ンは水素結合の形成を通じて対を形成する相補的ヌクレオ塩基である。「相補的
」とは2つのヌクレオチド単位のあいだの配列相補性を意味する。例えば、オリ
ゴヌクレオチドの特定の位置でのヌクレオチド単位が、DNAまたはRNA分子の同じ
位置でのヌクレオチド単位と水素結合することができるならば、オリゴヌクレオ
チドはその位置で互いに相補的である。オリゴヌクレオチドおよびDNAまたはRNA
は、それぞれの分子において十分な数の対応する位置が、互いに水素結合するこ
とができるヌクレオチド単位によって占有されている場合に、互いに相補的であ
る。
【0053】 「特異的にハイブリダイズする」および「相補的」とは、オリゴヌクレオチド
とDNAまたはRNA標的との間に安定かつ特異的な結合が起こるように相補性の十分
な程度を示す用語である。オリゴヌクレオチドは、その標的DNA配列と特異的に
ハイブリダイズするために100%相補性である必要はない。オリゴヌクレオチド
は、オリゴヌクレオチドと標的DNAまたはRNA分子との結合が標的DNAまたはRNAの
通常の機能を妨害し、そして特異的結合が望ましい条件において、例えばインビ
ボアッセイ法の場合には生理的条件で、またはアッセイを実施する条件で、非標
的配列とオリゴヌクレオチドとの非特異的結合を防止するために相補性の十分な
程度が存在する場合に、特異的にハイブリダイズ可能である。そのような結合は
Notch蛋白質発現の特異的な妨害と呼ばれる。
【0054】 特異的結合物質:定義された標的のみに実質的に結合する物質。本明細書にお
いて用いられるように、「Notch特異的結合物質」という用語には、抗Notch抗体
およびNotch-1のようなNotch蛋白質にのみ実質的に結合する他の物質が含まれる
。抗体は、Notch-1、特にその細胞外ドメイン、より詳しくはそのEGF様リピート
11および12に特異的であるモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体と共に
、その免疫学的に有効な部分(「断片」)であってもよい。好ましくは本明細書
において用いられる抗体はモノクローナル抗体(またはその免疫学的に有効な部
分)であり、同様にヒト化モノクローナル抗体(またはその免疫学的に有効な部
分)であってもよい。モノクローナル抗体の免疫学的に有効な部分はFab、Fab'
、F(ab')2、FabcおよびFv部分(総説については、ベター&ホロビッツ(Better
and Horowitz)、Methods. Enzymol. 1989、178:476〜96参照)が含まれる。抗
Notchペプチド抗体は同様に、「抗体、実験マニュアル(Antibodies, A Laborat
ory Manual)」、ハーロウ&レーン(Harlow and Lane)、コールドスプリング
ハーバー研究所(1988)を含む多くのテキストに記載されている標準的な技法を
用いて産生してもよい。
【0055】 特定の物質がNotchペプチドにのみ実質的に結合することを決定することは、
定常的技法を用いてまたは適合させることによって容易に行うことができる。適
した1つのインビトロアッセイ法は、ウェスタンブロッティング技法(「抗体、
実験マニュアル(Antibodies, A Laboratory Manual)」、ハーロウ&レーン(H
arlow and Lane)(1988)を含む同様に多くの標準的なテキストに記載されてい
る)を利用することである。ウェスタンブロッティングを用いて、抗Notch-1モ
ノクローナル抗体のような所与の結合物質が実質的にNotch-1のみに結合するこ
とを決定してもよい。
【0056】 腫瘍細胞:新生物でない同じ組織タイプにおけるNotch活性または発現と比較
して、Notch-1、Notch-2、Notch-3、またはNotch-4蛋白質のようなNotch蛋白質
の活性の増加または発現の増加を特徴とする新生物細胞。これらの発現レベルは
免疫組織化学によって決定することができる(ほとんどの成体組織はNotch発現
レベルが検出不可能であるため)。Notch-1を過剰発現する腫瘍のタイプの例に
は、子宮頚癌、乳癌、結腸癌、黒色腫、精上皮腫、肺癌、および赤白血病、骨髄
性白血病(慢性または急性骨髄性白血病のような)のような造血悪性疾患、神経
芽細胞腫、および髄芽細胞腫が含まれる。Notch-1とNotch-2の双方を過剰発現す
る腫瘍タイプの例は子宮頚癌である。
【0057】 配列同一性:2つの核酸配列、または2つのアミノ酸配列の類似性は、配列間
の類似性に関して表記され、そうでなければ配列同一性と呼ばれる。配列同一性
はパーセント同一性(または類似性もしくは相同性)に関してしばしば測定され
る。百分率が高くなれば、2つの配列はより類似となる。
【0058】 比較するために配列を並置する方法は当技術分野において周知である。様々な
プログラムおよび並置アルゴリズムが記述されている;スミス&ウォーターマン
(Smith and Waterman)、Adv. Appl. Math. 2:482、1981;ニードルマン&ビ
ュンシュ(Needleman and Wunsch)、J. Mol. Biol. 48:443、1970;ペアソン
&リップマン(Pearson and Lipman)、Methods in Molec. Biology 24:307〜3
31、1988;ヒギンス&シャープ(Higgins and Sharp)、Gene 73:237〜244、19
88;ヒギンス&シャープ(Higgins and Sharp)、CABIOS 5:151〜153、1989;
コルペ(Corpet)ら、Nucleic Acids Research 16:10881〜90、1988;ヒュアン
(Huang)ら、Computer Applications in BioSciences 8:155〜65、1992;およ
びペアソン(Pearson)ら、Methods in Molecular Biology 24:307〜31、1994
【0059】 NCBIベーシックローカルアライメントサーチツール(BLAST)(アルツシュル
(Altschul)ら、J. Mol. Biol. 215:403〜410、1990)は、国立生物情報セン
ター(NBCI、ベセスダ、メリーランド州)およびインターネットを含む幾つかの
情報源から利用でき、配列解析プログラムblastp、blastn、blastx、tblastn、
およびtblastxと共に用いられる。これはhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/
でアクセスできる。このプログラムを用いての配列同一性を決定する方法につい
ての説明は、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/blast_help.htmlで入手でき
る。
【0060】 少なくとも2つの配列を並置するために用いることができるもう一つの方法は
、まず手で配列を並置することである。次に同一アミノ酸またはヌクレオチドの
数を計数して、この数を蛋白質またはDNA分子におけるアミノ酸またはヌクレオ
チドの総数で除す。得られた数に100を乗じると、少なくとも2つの配列のパー
セント同一性が得られる。
【0061】 Notch蛋白質の相同体は典型的に、ギャップを加えたblastpをデフォルトパラ
メータに設定したNCBI Blast 2.0を用いて開示のアミノ酸配列との完全長の並置
にわたって計数して少なくとも70%の配列同一性を有することを特徴とする。そ
のような相同ペプチドはより好ましくは、この方法によって決定して少なくとも
75%、より好ましくは少なくとも80%、およびさらにより好ましくは少なくとも
90%または95%の配列同一性を有する。配列同一性に関して完全な配列より短い
配列を比較する場合、相同体は、アミノ酸10〜20個の短いウィンドウにわたって
少なくとも75%およびより好ましくは少なくとも85%、最も好ましくはさらに少
なくとも90%または95%の配列同一性を有する。そのような短いウィンドウに及
ぶ配列同一性を決定する方法は、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/blast_FA
Qs.htmlに記述されている。当業者はこれらの配列同一性の範囲が手引きのため
に限って提供されることを認識すると思われる;提供された範囲外である非常に
重要な相同体または他の変異体が得られることは十分にあり得る。
【0062】 本発明は、上記のペプチド相同体のみならず、そのような相同体をコードする
核酸分子も提供する。
【0063】 ベクター:宿主細胞に導入され、それによって形質転換宿主細胞を産生する核
酸分子。ベクターは、複製起点のような、宿主細胞においてそれを複製させる核
酸配列を含んでもよい。ベクターはまた、1つまたは複数の選択マーカー遺伝子
および当技術分野で既知の他の遺伝子エレメントを含んでもよい。
【0064】 形質転換:形質転換細胞は、分子生物学的技術によってその中に核酸分子が導
入された細胞である。本明細書において用いられるように、形質転換という用語
は、ウイルスベクターによるトランスフェクション、プラスミドベクターによる
形質転換、ならびに電気穿孔、リポフェクション、および粒子ガン加速による裸
のDNAの導入を含む、核酸分子がそのような細胞に導入される全ての技術を含む
【0065】 単離:「単離された」生体成分(核酸、ペプチド、または蛋白質のような)は
、成分が天然に存在する生物の細胞内の他の生体成分、すなわち他の染色体およ
び染色体外DNAおよびRNA、ならびに蛋白質とは実質的に分離されている、それか
ら産生されている、または精製されている。「単離された」核酸、ペプチド、お
よび蛋白質は、標準的な精製方法によって精製された核酸および蛋白質を含む。
この用語はまた、宿主細胞において組換え発現によって調製された核酸、ペプチ
ド、および蛋白質と共に、化学合成された核酸を含む。
【0066】 精製:精製という用語は絶対的な純度を必要としない:むしろ、これは相対的
な用語として解釈される。このように、例えば、精製ペプチド調製物は、ペプチ
ドまたは蛋白質が、細胞内での天然の環境に存在するペプチドまたは蛋白質より
濃縮されている調製物である。好ましくは、調製物は蛋白質またはペプチドが調
製物の総ペプチドまたは蛋白質含有量の少なくとも50%を示すように精製される
【0067】 機能的に結合:第一の核酸配列は、第一の核酸配列が第二の核酸配列と機能的
関係で存在している場合に、第二の核酸配列と機能的に結合している。例えば、
プロモーターは、プロモーターがコード配列の転写または発現に影響を及ぼす場
合にコード配列に機能的に結合している。一般的に、機能的に結合したDNA配列
は隣接しており、2つの蛋白質コード領域を結合させることが必要である場合、
同じ読みとり枠に存在する。
【0068】 組換え型:組換え型核酸は、天然に存在しない、またはそうでなければ配列の
2つの異なるセグメントの人為的な組合せによって作製された配列を有する核酸
である。この人為的組合せはしばしば、化学合成、またはより一般的には、核酸
の単離されたセグメントの人為的な操作、例えば、遺伝子操作技術によって得ら
れる。
【0069】 哺乳類:この用語にはヒトおよびヒト以外の哺乳類の双方が含まれる。同様に
、「被験者」という用語には、ヒトおよび獣医学上の被験者の双方が含まれる。
【0070】 動物:生きている多細胞脊椎動物、例えば哺乳類および鳥類を含む分類。
【0071】 模倣体:分化誘導物質の存在下において分化を増強する実施例4のmAbの活性
のような、蛋白質の活性を模倣する分子(有機化学化合物など)。ペプチド模倣
体および有機模倣体の態様は、この用語の範囲内であり、それによってそのよう
なペプチド模倣体および有機模倣体の化学的構成成分の三次元配列がペプチド骨
格およびペプチドにおける成分アミノ酸側鎖の三次元配置を模倣し、その結果、
実質的な特異的阻害活性を有するペプチドのそのようなペプチド模倣体および有
機模倣体が得られる。コンピューターモデリングの応用に関して、ファーマコフ
ォアは、生物活性の構造的要件の理想的な三次元定義である。ペプチドおよび有
機模倣体は、それぞれのファーマコフォアを(コンピューター補助ドラッグデザ
インまたはCADDを用いて)現在のコンピューターモデリングソフトウェアに適合
させるようにデザインすることができる。コンピューター補助ドラッグデザイン
において用いられる技術の説明に関しては、ウォルタース(Walters)、「薬物
のコンピューター補助モデリング(Computer-Assisted Modeling of Drugs)」
、クレガーマン&グラブス(Klegerman and Groves)編、1993、ファーマシュー
ティカルバイオテクノロジー、インターファームプレス:バッファロー・グラブ
、イリノイ州、165〜174頁、および「薬理学の基本(Principles of Pharmacolo
gy)」、マンソン(Munson)編、1995、第102章、を参照のこと。実施例26は模
倣体を作製するために用いることができる他の方法を記述する。
【0072】 薬学的に許容される担体または薬学的担体:本発明において有用な薬学的に許
容される担体は慣例的である。「レミントンの製薬科学(Remington's Pharmace
utical Sciences)」、マーチン(E.W. Martin)、マックパブリッシングカンパ
ニー、イーストン、ペンシルバニア州、第15版(1975)は、本明細書に開示の融
合蛋白質の薬学的輸送に適した組成物および処方について記述する。
【0073】 一般的に、担体の特性は、用いられる投与の特定の様式に依存する。例えば、
非経口製剤は通常、水、生理食塩水、緩衝塩類溶液、水性デキストロース、グリ
セロール、エタノール、のような薬学的および生理学的に許容される液体、その
組合せ、または溶媒等を含む注射可能な液体を含む。担体および組成物は滅菌す
ることができ、製剤は投与用式に適合する。固体組成物(例えば、粉末、丸剤、
錠剤、またはカプセル剤)に関しては、従来の非毒性固体担体は、例えば製薬等
級のマンニトール、乳糖、デンプン、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸
マグネシウム、およびステアリン酸マグネシウムを含みうる。生物学的に中性の
担体の他に、投与すべき薬学的組成物は、湿潤剤、乳化剤、保存剤、およびpH緩
衝剤等、例えば酢酸ナトリウムまたはモノラウリン酸ソルビタンのような非毒性
補助物質の少量を含みうる。組成物は、液体溶液、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、
カプセル剤、徐放性製剤、または粉剤となりうる。組成物は、トリグリセリドの
ような従来の結合剤および担体を用いた坐剤として調製することができる。
【0074】 腫瘍:新生物。
【0075】 新生物:異常な細胞増殖
【0076】 癌:分化の喪失、増殖速度の増加、周辺組織への浸潤を伴う特徴的な無形成を
示し、転移することができる悪性新生物。
【0077】 悪性:無形成浸潤および転移の特性を有する細胞。
【0078】 正常細胞:非腫瘍、非悪性細胞。
【0079】 細胞の運命決定機能:細胞が増殖、分化またはアポトーシスのような特定の運
命を受けるか否かを左右する細胞機能(生化学経路など)。
【0080】実施例1 ヒト組換え型rh11-12抗原の作製 発現 PCRを用いて、5'末端に6-ヒスチジン配列のタグをつけたヒトNotch-1(ヒト胸
腺cDNA由来)のEGFリピート11および12からなる組換え型cDNAを作製した。このc
DNAを発現ベクターpLD101にサブクローニングして(ミエル(Miele)ら、J. Bio
l. Chem. 1990、265:6427〜35)、得られたプラスミドをpLC11-12と呼んだ。熱
ショック(42℃で45秒間)を用いてpLC11-12によって形質転換したBL21(DE3):p
Lys-S大腸菌を一晩増殖させた後、新鮮なLB培地によって400倍希釈した。OD600
が1に達したときに、0.45 mM IPTGによってrh11-12の産生を誘導した。様々な
時間に試料を採取した。培養の0.1 ml相当量をSDS-PAGE試料緩衝液において直接
溶解して、4〜20%勾配ゲル上で分析し、クーマシーで染色した。図1aに示すよ
うに、rh11-12発現の最高量はIPTG処置の4時間後に認めた。さらに、この発現
系は可溶性のジスルフィド結合したrh11-12蛋白質を生じた(図1Bおよび1C)。
【0081】 精製 細菌を上記のように増殖させて誘導した。細胞をIPTG誘導の4時間後に採取し
てPBSで1回洗浄した。細胞を、プロテアーゼ阻害剤(50 mM NaH2PO4、300 mM N
aCl、1 mM AEBSF、1μMロイペプチン、1μg/mlE-64および130 μMベスタチン
、pH 8.0)を含むSB緩衝液に再度浮遊させた。この緩衝液を脱気して、窒素ガス
で平衡にした。沈殿物をドライアイス/エタノールで凍結して、2回融解した後
、氷中で2〜3分超音波処理して粉砕した。溶解物は14,000×gで遠心すること
によって清透化した。上清にNiNTAアガロース(キアゲン社)の1:1スラリー
8mlを加えて窒素中で攪拌しながら4℃で2.5時間かけて平衡化した。スラリー
を直径1 cmのカラムに注いだ。カラムはカラムの容量の少なくとも20倍のSB緩
衝液で洗浄した後、0〜0.5 Mイミダゾールの直線勾配によって溶出した。SDS-P
AGEによってrh11-12を含む分画をプールして、セントリプレップ3000フィルター
によって濃縮した。濃縮したピークをセファデックスG-50超微細カラム(120 cm
)にローディングした。
【0082】 図1Bおよび1Cに示すように、精製されたrh11-12は2つのピークに溶出した:
空隙容量(複数)での凝集物と「プール2」ピークとしてのモノマー。凝集物は
非還元ゲルの場合に限って可視化され(図1C)、それらがジスルフィドによって
安定化されていることを示していることに注目。
【0083】 精製蛋白質は、SDS-PAGでは目に見えないがウェスタンブロッティングによっ
て検出可能となる(図2)より大きい凝集物(二量体、三量体、四量体等)の少
量を含む。これは、未変性でジスルフィド結合しており、生物学的に活性である
ため、他のNotch-1抗体の調製において用いられる抗原とは異なる(ガルチェス
(Garces)ら、J. Biol. Chem. 1997、272:29729〜34)。
【0084】 この組換え型rh11-12蛋白質を、Notch-1を発現する3T3-L1細胞に加えると、細
胞の分化を遮断し(ガルチェス(Garces)ら、J. Biol. Chem. 1997、272:2972
9〜34)、これがそのリガンドに関して本来のNotch-1と競合しうること、したが
って、ヒトNotch-1のリガンド結合領域の天然のコンフォメーション状態を表す
ことを示唆している。
【0085】実施例2 Notch-1ポリクローナル抗血清の産生 サイトイミュンインク(カレッジパーク、メリーランド州)が、組換え型rh11
-12(実施例1を参照のこと)を抗原としてウサギ抗血清を作製した。簡単に説
明すると、NZウサギ一羽に精製組換え型rh11-12を毎月の割合で皮下注射した。
血清の力価を調べるために、免疫および免疫前血清をrh11-12によるELISAおよび
ウェスタンブロッティングによって比較した。最終的な抗血清の力価はELISAに
よって10,000倍である。
【0086】 図2は、ヒトMolt-4細胞溶解物のウェスタンブロット分析を示している。細胞
約2×106個をSDS-PAGE試料緩衝液において直接溶解して、4〜20%勾配のゲル
でSDS-PAGEによって分析した。ウェスタンブロッティングは、10%エタノールを
含む10 mM CAPS pH 11において0.75 mAで4時間実施した。検出は、ベーリンガ
ー・マンハイム化学発光キットを用いて行った。図2Aに示すように、この抗血清
、レーンRは、3つの免疫反応性バンド:Notch-1プレ蛋白質(>207 kDa)、NEC (細胞表面に存在するNotch-1の成熟型)に相当する細胞外切断産物(180 kDa)
、およびNECのおそらく前駆物質である190〜200 kDaバンドを認識したが、免疫
前血清であるレーンPは認識しなかった。7.5 kDaのバンドはrh11-12抗原である
。これらは、文献において報告されている予想されたNotch-1バンドと相関する
(ブラウミューラー(Blaumueller)ら、Perspect. Dev. Neurobiol. 1997、4:
325〜43)。しかし、これらのバンドはSupT1のような無傷のNotch-1を発現しな
い細胞では認められない(ガルチェス(Garces)ら、J. Biol. Chem. 1997、272
:29729〜34)。このポリクローナル抗体は、ヒト、マウス、およびラットを含
むいくつかの種のNotch-1を認識し、同様にショウジョウバエ(Drosophila)のN
otchも認識した。
【0087】 Notch-1の前駆物質および成熟型の発現をさらに分析するために、高分子量範
囲での解像度を増加するために、4%SDS-PAGEを行った。試料は上記のように調
製した。試料緩衝液は10%メルカプトエタノール(図2B)、50 mMジチオスレイ
トール(図2C)のいずれかを含むか、または還元剤を含まなかった(図2D)。図
2b〜dに示すように、NECは190および180 kDaのダブレットのように見える。210
kDaでのかすかなバンドは成熟NECに対する前駆物質であるかも知れない。なおも
EGFリピート11および12を含む可能性があるより小さい型が存在する。最後にバ
ンドパターンは還元剤が存在しない場合でも影響を受けず(図2D)、このことは
、NECおよび膜貫通サブユニットであるNTMが非共有結合によって互いに保持され
ていることを示している。
【0088】 このポリクローナル抗体は、3T3-L1系において用いると、rh11-12と同じ作用
を示した(実施例1を参照のこと);これは脂肪細胞の分化を遮断した(ガルチ
ェス(Garces)ら、J. Biol. Chem. 1997、272:29729〜34)。
【0089】実施例3 Notch-1の過剰発現 実施例2において作製したポリクローナルNotch-1抗体を用いて、癌細胞にお
けるNotch-1の過剰発現をモニターした。ヒトT細胞リンパ芽球性白血病株2つ(
JurkatをRT-PCRによって、そしてMolt-4をウェスタンブロッティングによって)
を、正常ヒトT細胞(NIH血液銀行から提供されたバフィーコートから得て、R&D
インクからのキットを用いて陰性選択によって精製した)ならびにCD4およびCD8
細胞(R&D Inc.のキットを用いた更なる精製によりT細胞から得た)と並べて示
す。RT-PCRに関して、トリゾール試薬(ライフテクノロジーズ社)を用いて総RN
Aを細胞から抽出した。熱安定逆転写酵素RNA PCRキット(パーキン・エルマー社
)を用いて製造元の説明書に従って、RT-PCRを実施した。反応は、パーキン・エ
ルマー社の2400 DNAサーマルサイクラーにおいて94℃で1分間の変性、65℃で2
分間のアニーリングおよび伸長を40サイクルによって増幅した。Notch-1に対し
て特異的なマウスプライマー、AATGGTCGAGGACCAGATGG(センス、配列番号:1)
およびTTCAGGAGCACAACAGCAGC(アンチセンス、配列番号:2)の増幅によって、
431 bpの産物が得られた。陰性および陽性PCR対照をそれぞれの実験に含めた。
ウェスタンブロッティングに関して、5%2-メルカプトエタノールを還元剤とし
て用いて細胞を実施例2に記載のように調製した。
【0090】 図3に示すように、正常細胞(レーンN、CD4、CD8)からのRT-PCRシグナルは
明るいが、ウェスタンブロッティングの場合には(図3B)、ほとんど検出不可能
である。リンパ芽球性白血病細胞株の場合(レーンJおよびM)、mRNA(図3A)お
よび蛋白質(図3B)はいずれも非常に大きい倍数(>10倍)で過剰発現されるよ
うに思われる。
【0091】 本発明者らはまた、ヒト神経芽細胞腫(SY5Y、DAOY)および髄芽細胞腫(NGP
)細胞株(NCIから入手)における、臨床的に用いられる分化誘導物質であるレ
チン酸(RA)処理の有無によるNotch-1 NECの過剰発現を証明した。細胞を、お
よそ0.2×106個/mlの密度で新鮮な培地に継代した。2日後、細胞が対数増殖期
に入ると、細胞を1×10-6 Mのレチン酸で2日間処理した。
【0092】 ポリクローナルNotch-1抗血清によるウェスタンブロッティング分析を用いて
(実施例2)、RAの存在下または非存在下における、それぞれの細胞タイプにお
いて発現されたNotch-1蛋白質の量を決定した。図4に示すように、神経腫瘍細
胞株におけるNotch-1のレベル(レーンSY5Y、DAOY、NGP)は、無処置T細胞白血
病Molt-4(レーンM)よりさらに高い。RA処置はまた、特に、神経芽細胞腫にお
いてNotch-1発現レベルを増加させる。
【0093】実施例4 Notchモノクローナル抗体の産生 Notch蛋白質に対するモノクローナル抗体は既知の技術を用いて作製すること
ができる(例えば、実施例18を参照のこと)。以下の実施例は、抗Notch-1抗体
がどのように産生されるかを示すが、類似の技術を用いて他のNotch蛋白質に対
するモノクローナル抗体(例えば、他のNotch蛋白質のリガンド結合領域を認識
する抗体、上記のNotch抗体に関する定義を参照のこと)、またはNotch-1蛋白質
の他の領域に対するモノクローナル抗体を作製することができる。モノクローナ
ル抗Notch-1抗体を作製するため、組換え型rh11-12(実施例1を参照のこと)を
N末端でNサクシニミジルS-アセチルチオアセテート(SATA)によって化学改変し
た。これは、還元後にrh11-12のN末端上に遊離のSH基を導入するために実施した
。このようにすれば、rh11-12アミノ酸の側鎖は化学改変されず、遊離となって
プロセシング後に抗原提示MHC分子と相互作用するであろう。SATA改変rh11-12を
キーホールリンペットヘモシアニン(KLH、抗原の共通の担体)に結合させて、D
BA/2マウス4匹に注射した。マウスは、rh11-12に対する抗体がその血清中に十
分な力価でELISAによって検出されるまで、フロイントの不完全アジュバントと
共に非結合rh11-12を数ヶ月間毎月追加免疫した。動物を屠殺して、脾細胞をマ
ウス非分泌骨髄腫細胞(X63AG8.653)と融合して、標準的なプロトコールにおい
てハイブリドーマを作製した。融合細胞を96マイクロタイターウェルプレート数
枚に播種して、その培地をrh11-12抗体の有無に関してELISAによって調べた。陽
性細胞に限界希釈クローニングを2ラウンド行って、単細胞由来(すなわち真の
クローナル)ハイブリドーマを得た。クローンはELISAによってスクリーニング
して、rh11-12によって最高レベルのシグナルを有するクローンを液体窒素中に
凍結した。IgGおよびIgM産生ハイブリドーマおよそ40個を得た。最も高いシグナ
ルを有する3つをA6(IgG2b)、C11(IgG2b)、およびF3(IgG2b)と命名し、い
くつかの方法によってヒトNotch-1 NECとの免疫反応性に関して調べた。これら
の3つのクローンを増幅して特徴を調べ、1999年3月4日にATCC(マナッサス、
バージニア州)に受託番号:HB12654(A6)、HB12656(C11)、およびHB12655(
F3)として寄託した。
【0094】実施例5 Notch-1モノクローナル抗体の特徴付け モノクローナル抗体(mAb)をSDS-PAGEによって分析したところ、それらは互
いに異なることが示された(データは示していない)。A6およびF3は互いにわず
かに異なるものの典型的な免疫グロブリンであるが、C11は2つの重鎖を結合す
るジスルフィド結合を欠損しているように思われ、より短い重鎖を有する。
【0095】免疫沈降とウェスタン分析 標準的な免疫沈降反応においてmAbを用いた。モノクローナル抗体はプロテイ
ンAビーズに予め結合するか、またはNotch-1を過剰発現するMolt-4細胞からの溶
解物と共に直接インキュベートした(図3および4を参照のこと)。細胞溶解物
を作製するために、細胞を1%NP40、50 mMトリス塩酸、pH 8.0、高塩(0.5 M N
aCl)およびプロテアーゼ阻害剤の混合液(ベーリンガーマンハイム#1836145)
においてインキュベートした。細胞溶解物(4.5×107個/ml)をmAb(30 ng mAb/
μl溶解物)と共に数時間インキュベートして、プロテインAビーズ上で一晩イン
キュベートして捕獲し、数回洗浄してSDS-PAGEによって分析した後、ウェスタン
ブロッティングを行い、Notch-1ポリクローナル抗体によって検出した(実施例
2を参照)。このように、mAbがNECを認識すれば、それらは1つまたはそれ以上
のバンドを免疫沈降するはずであり、それらはまたポリクローナル抗体によって
認識されて、ウェスタンブロッティングにおいてシグナルを生じる。
【0096】 調べた3つのmAbは全て、NECに対応する二本線のバンドを免疫沈降したがNotc
h-1プレ蛋白質に対応するバンドを沈降せず、対照IgGは免疫沈降しなかった(図
5)。Notch-1プレ蛋白質が検出されなかったのは、これらのmAbによって免疫沈
降しないためであるか、またはインキュベーションの際に分解したためであった
。類似のデータはF3モノクローナル抗体についても得られた(データは示してい
ない)。
【0097】 このデータはmAbがヒトNotch-1の成熟型を認識していることを示している。こ
の結果をさらに確認するために、無傷のMolt-4細胞の表面を、ベーリンガーマン
ハイムキット(#1647652)を用いてビオチンによって表面を標識して、溶解して
、A6、F3、C11、対照IgGまたはストレプトアビジン(ビオチンのみに結合し、従
って細胞表面上の全てのビオチン化蛋白質に結合する)と共に免疫沈降させた。
免疫沈降した蛋白質をSDS-PAGEを用いて分析し、Notch-1ポリクローナル抗血清
によってウェスタンブロッティングを行った(実施例2参照)。図6に示すよう
に、ストレプトアビジンとmAbは、Notch-1ポリクローナル抗血清によって認識さ
れ、NEC二本線における上のバンドに対応する190 kDaバンドを認識するが、対照
IgGは認識しない(ブラウミュラー(Blaumueller)ら、Cell 1997、90:281)。
このデータは、3つ全てのmAbが細胞表面に暴露されたNotch-1の型、したがって
、シグナル伝達に関与している型を認識することを示している。これは、Notch-
1の大部分が細胞内であり、細胞膜に暴露されているのはごく小さい分画である
ことから、重要な知見である。
【0098】実施例6 腫瘍細胞におけるmAbを用いたNotchの検出 本実施例は、Notch蛋白質を発現して、本発明の方法による治療に適している
腫瘍細胞を同定するために、Notch蛋白質(Notch-1のような)が腫瘍細胞におい
てどのように検出されうるか否かを示す。実施例5において産生されたmAbが、
特定の腫瘍細胞において過剰発現されている本来のNotch-1を認識しうるか否か
を決定するために、mAbを用いて癌に退化したヒト結腸腺腫様ポリープからの切
片を染色した。癌をホルマリン固定して、パラフィン抱埋し、10 μmの切片にし
た。組織切片を含むスライドを、1.47 mM CaCl2中で37℃に予め加熱した0.05%
プロナーゼ(ベーリンガー・マンハイム社、7000 U/g)中でインキュベートした
。10分インキュベートした後、スライドを5 mM EDTAによって5分洗浄して、水
ですすぎ、その後ブロッキング溶液(0.5%正常ウサギ血清のPBS溶液)中で室温
で湿潤チャンバー内で60分間インキュベートした。次にスライドを、2倍希釈し
たmAbと共に、または抗体なしで(陰性対照)反応させた後、製造元(ベクター
ディアグノスティックス)の説明書に従ってABCベクタステインプロトコールを
行った。核はヘマトキシリンで対染色した。免疫染色した組織の画像は、ニコン
顕微鏡を用いて倍率200倍で得た。
【0099】 図7AおよびBに示すように、Notch-1 EGFリピート11および12に対するmAb(そ
れぞれ、C11およびF3)は、Notch-1を過剰発現する腫瘍においてこれまでに公表
されている染色パターンと全く一致した(ザゴラス(Zagouras)ら、Proc. Natl
. Acad. Sci. USA 1995、92:6414〜8)。類似の結果はmAb A6について得られた
(データは示していない)。陰性対照では染色を認めなかったことに注意(図7C
)。これらのmAbはヒト腫瘍において発現されたNotch-1の型を認識することから
、それらは、特定の腫瘍を診断するために、または治療の際にそのような腫瘍を
段階分けするために用いられる可能性がある(実施例19および20)。そのような
腫瘍には、その進行のあいだにNotch-1の異なるレベルを発現することが示され
ている子宮頚癌および前立腺癌が含まれるが、これらに限定しない。
【0100】実施例7 Notch発現はHMBA誘導細胞分化によって調節される 如何なるNotch蛋白質の発現の調節も、Notch-1に関する以下の例において説明
するように細胞分化の誘導後にモニターすることができる。しかし、そのような
調節の時間経過においてNotch発現または変化の異なる調節を検出するために、
類似の方法を行うことができる。
【0101】細胞培養 マウス赤白血病Friend細胞(MEL)は、10%(v/v)熱不活化ウシ胎児血清(ハ
イクローン)および10-5 Mβメルカプトエタノール(β-ME)を加えたRPMIによ
って維持した。分化を誘導するために対数増殖細胞1×105個/mlを5 mM HMBAを
含む培地中で120時間培養した。72時間目に細胞を初回密度に継代した。細胞は
、新しく調製したベンジジン試薬(0.4%ベンジジン塩基、2%過酸化水素の12
%酢酸溶液)1/10容量を加えることによって、ヘモグロビンの存在について(オ
ーキン(Orkin)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1975、72:98〜102)アッセ
イした。ベンジジン陽性細胞は改良型ノイバウエル血球計算盤によって計数した
。それぞれの試料は、細胞の処置を知らない2人の独立した操作者が計数して、
読みを平均した。
【0102】逆転写酵素-PCR(RT-PCR) 総RNAをトリゾール試薬(ライフテクノロジーズ社)を用いて細胞から抽出し
た。熱安定逆転写酵素RNA PCRキット(パーキン・エルマー社)を用いて製造元
の説明書に従ってRT-PCRを実施した。反応はパーキンエルマー2400 DNAサーマル
サイクラーにおいて94℃で1分間の変性、65℃で2分間のアニーリングおよび伸
長を40サイクル行うことによって増幅した。Notch-1に特異的なマウスプライマ
ー、配列番号:1および配列番号:2の増幅によって431 bpの産物が得られた。
GAPDHに特異的なプライマー:センス5' TCACCACCATGGAGAAGG 3'(配列番号:3
)、およびアンチセンス5' CAAAGTTGTCATGGATGACC 3'(配列番号:4)は200 bp
産物を生成した。陰性および陽性PCR対照をあらゆる実験に含めた。
【0103】HMBA誘導 Notch-1発現がHMBA誘導MEL細胞分化の際に調節されるか否かを決定するために
、等しい密度で準備したMEL細胞においてNotch-1 mRNAレベルを分析し、HMBAの
非存在下または存在下で4、8、24または120時間培養において維持した。RT-PC
R分析によって決定したNotch-1 mRNAレベルの代表的な時間経過を図8Aに示す。N
otch-1 mRNAは、HMBAによって4時間誘導されたMEL細胞において認められたが、
HMBAの持続的な存在下で検出不能レベルに減少した。対照的に、Notch-1 mRNAは
、対照細胞では4および8時間では明確でないが、24および120時間では有意な
レベルを認めた。
【0104】 Notch-1定常状態蛋白質レベルは、Notch-1に対するポリクローナル抗体を用い
てウェスタンブロットによって決定した(実施例2参照)。図8Bに示すように、
3つの免疫反応性バンドが検出された:Notch-1プレ蛋白質(>270 kDa)、NEC
に対応する細胞外切断産物(180 kDa)、そしておそらくNECの前駆物質である19
0〜200 kDaバンド。Notch-1定常状態蛋白質レベルは、Notch-1 mRNAの発現パタ
ーンを反映した。HMBAの存在下(H)では、Notch-1蛋白質は誘導の初期段階にお
いて再現可能に明確であったが、徐々に消失して、120時間では本質的に検出不
能となった。有意な量のヘモグロビン(Hb)蛋白質がこの時点で明確であり、こ
のことは、赤血球の分化が起こっていることを示している。非誘導MEL細胞(C)
において、Notch-1蛋白質は4時間では低レベルで存在した:これらのレベルは2
4時間までに増加して、120時間のあいだ維持された。このように、HMBAが存在し
ない場合、Notch-1は、細胞密度の増加と共に増殖のあいだ蓄積する。HMBA処置
はこの発現パターンを改変し、Notch-1の初期の増加を引き起こし、その後次第
に減少させる。
【0105】 ベンジジン染色によって決定する分化した細胞の蓄積を、HMBAの120時間培養
のあいだに分析した(図8C)。分化した細胞は48時間以降徐々に増加し、120時
間で一般的に35〜45%に達した。ベンジジン陽性細胞数のわずかな減少を120時
間でいくつかの実験において認め、これはおそらく、既に分化した細胞の死と新
しい細胞の分化とのバランスを反映している。培養は120時間を超えて継続しな
かったが、その理由はこの時点でNotch-1が再現可能に検出不能となったためで
あった。Notch-1の発現は、HMBA処置細胞を5日目以降新鮮な培地において培養
しても回復せず(示していない)、最終分化への拘束には、Notch-1発現の非可
逆的な消失を伴うことを示している。
【0106】実施例8 MEL細胞分化に及ぼすmAbの影響 実施例4において産生したmAbの生物活性を決定するために、細胞分化に及ぼ
すその作用をMEL細胞において調べた。上記のように、rh11-12蛋白質またはポリ
クローナルNotch-1抗体を3T3-L1細胞に加えることによって、Notch-1をダウンレ
ギュレーションすると、分化が防止されるという証拠がある(ガルチェス(Garc
es)ら、J. Biol. Chem. 1997、272:29729〜34)。対照的に、HMBAは、MEL細胞
において分化を誘導する(実施例7を参照)。mAbがポリクローナル抗体のよう
に分化を防止するか否かを決定するために、それらがMEL細胞の分化に及ぼす影
響を単独でおよびHMBA分化誘導物質の存在下で調べた。
【0107】 MEL細胞は実施例7に記載のように増殖させた。分化を調べるために、対数増
殖期の細胞を5 mM HMBAのみ(図9、なし)、または3つの抗体(C11、A6、ま
たはF3)の1つの存在下、または対照IgGを含む培地中で1×105個/mlで120時間
播種した。抗体は溶液(10 μg/ml)で用いるか、または組織培養プレートにコ
ーティングした(1μg/ml)。mAbは腹水(図9A)、または中空繊維バイオリア
クター(図9B)を用いて産生し、その後プロテインAアフィニティクロマトグラ
フィーによって精製した。細胞を96時間目に初回密度に継代した後、実施例7に
記載のように、ヘモグロビンの存在についてアッセイした。
【0108】 図9Aは、腹水を用いて産生したmAbに関する結果を示す。予想外にも、3つのm
Abは全てHMBAの存在下で分化を増加した。3つのmAbは全て同じ生物活性パター
ンを示したが、F3の作用はより弱かった。A6およびC11 mAbはいずれも、抗体を
溶液として、またはプレート上にコーティングして供給したかによらず、4日目
にHMBAの存在下で分化を刺激した。しかし、A6は溶液ではC11より良好であった
がC11は組織培養皿にコーティングするとA6よりわずかによいように思われる。
対照的に、F3モノクローナル抗体は組織培養プレートにコーティングした場合に
限って、有意な刺激を示した(「F3」をコーティングしたプレートを「何もコー
ティングしない」場合と比較して)。
【0109】 HMBAの存在下で細胞の分化を増加させる、というmAbについて認められた作用
が、当初の調製物中に存在する混入物質によるものでもなく、またはmAbの製造
方法によるものでもないことを確認するために、臨床目的のためにmAbを製造す
るより一般的な方法である、中空繊維バイオリアクターを用いて産生されたmAb
の作用を調べた。mAbの異なる調製物を用いても同一の結果が得られた。図9Bに
示すように、3つのmAbは全てHMBAの存在下で分化を増加させた。A6およびC11は
、溶液では同等の効力であるが、C11は、コーティングした場合に幾分より強力
であるかも知れない。先の結果と一致して、F3は最も効力の弱い抗体であり、組
織培養皿にコーティングした場合により作用を示すように思われる。このデータ
は、HMBAの存在下で分化に及ぼすmAbの作用がmAbの製造に依存しないこと、そし
てマウス腹水に存在する混入物質によるアーチファクトでもないことを示してい
る。
【0110】 mAb単独で分化を刺激するか否かを調べるために、細胞をHMBAの非存在下で抗
体によって処理した。分化に検出可能な作用を認めなかった(データは示してい
ない)。このことは、HMBAのような分化誘導物質と抗Notch-1 EGFリピート11-12
mAbとを組みあわせた場合に、作用を生じることを示している。
【0111】 mAbを組織培養プレートにコーティングすると、細胞接着に何らかの作用を示
し、これらはmAbによって異なった。A6は何らかの接着を誘導するように思われ
たものの、F3およびA6はMEL細胞の形態に影響を及ぼさなかったが、C11は表面へ
の塊状の細胞接着を誘導した。A6は、その免疫グロブリン構造が非定型的でなく
(これは2つの重鎖を結合するジスルフィド結合を含むが、C11は欠損するよう
に思われる)、しかも溶液で作用することから、臨床で用いるために最善である
ように思われる。
【0112】 5日目までに、分化の波は終了した(データは示していない)、このことは、
これらのmAbの作用がHMBAによる分化を加速することであることを示している(
実施例7に示すように)。この最終分化の後最終的にアポトーシスが起こる(5
〜7日のあいだ)。したがって、分化誘導物質と併用した場合のmAbの全体的な
作用は、アポトーシスの前に腫瘍細胞における分化速度を増加させることであろ
う。この処置は急速にアポトーシスを誘導する薬剤に耐えることができない患者
にとって都合がよい。そのような患者には、高齢者、乳癌または卵巣癌を有する
閉経後女性が含まれる。
【0113】 HMBA誘導分化に及ぼすmAbの作用は予想外であった。公表された文献および発
明者らのポリクローナル抗血清による3T3細胞における知見に基づくと、分化の
阻害(ガルチェス(Garces)ら、J. Biol. Chem. 1997、272:29729〜34)が予
想されたであろう。しかしそうではなくて、分化の増加を認めた。
【0114】 要約すると、同じ抗原に対する3つのmAb、すなわちA6、C11およびF3が存在し
、その全てが腫瘍細胞と免疫沈降して免疫染色するが、同じ生物活性であっても
その程度は異なる。
【0115】実施例9 アポトーシスに及ぼすmAbの作用 実施例8に記載したように、細胞をモノクローナル抗体単独で処置した場合(
実施例4)、分化誘導物質と同時インキュベーションしなければ、分化には全く
影響を及ぼさなかった。細胞を分化誘導物質の前にmAbで処置しても同じ結果が
起こるか否かを調べるために、MEL細胞2×106個/mlをA6 mAbまたはIgG2bアイソ
タイプ陰性対照(ファーミンゲン)の20 μg/mlによって一晩処置した。翌日、
細胞を洗浄して(非結合抗体を除去するため)、5 mM HMBAに再浮遊させた。48
時間後、アポトーシスの量を決定した。細胞をFACS緩衝液(PBS/2%FCS/0.02%
NaN2)で2回洗浄して、ビオチン結合抗マウスIgG2b(ファーミンゲン社)(10
μg/ml)と共に4℃で30分インキュベートした。細胞をFACS緩衝液で2回洗浄し
た後、ストレプトアビジン-FITC(またはPE)(ファーミンゲン社)(100倍希釈
)と共に4℃で30分インキュベートした。これによって抗体に結合した細胞(FI
TC陽性)と、抗体が結合していない(FITC陰性)細胞とを区別することができる
。再度洗浄した後、ファーミンゲン社のキットおよびファクスカリバー装置(ベ
クトンディッキンソン社)を用いたフローサイトメトリーによって、アポトーシ
スをFITC-アネキシンV/PI染色によって決定した。
【0116】アネキシンV結合アッセイ 初期アポトーシスを受けつつある細胞をアネキシン-Vの膜ホスファチジルセリ
ンとの結合によって同定して、製造元の説明書に従ってFITC結合アネキシンVを
用いてアッセイした。洗浄後、細胞を1×結合緩衝液(ファーミンゲン社)にお
いて1×106個/mlで再浮遊させた。ヨウ化プロピジウム(PI、最終濃度5μg/ml
)およびアネキシン-V(5μl)を細胞1×105個に加え、暗所で室温で15分イン
キュベートして、セルクエストソフトウェアを備えたベクトンディッキンソン社
のFACスキャン装置を用いてフローサイトメトリーによって分析した。
【0117】 図10に示すように、MEL細胞をA6によって処置した後にHMBAを処置すると(図1
0A)、対照抗体の後にHMBAを処置した細胞(13.9%)よりアポトーシスに至る細
胞の割合が大きくなった(22.5%)(図10B)。図10の右下4分の1は、アポト
ーシス細胞を表す。興味深いことに、この処置は分化を誘導しなかった。この処
置によってアポトーシスは1.6倍増加したため、これは化学療法患者においてア
ポトーシスを増強するために用いることができる。この療法では、患者にまずmA
bの有効量を投与して、その後化学療法分化誘導物質の有効量を投与するであろ
う。
【0118】実施例10 MEL細胞分化およびアポトーシスに及ぼすNotchアンチセンスS-オリゴの影響 上記の実施例8および9に示すように、Notch活性を妨害する抗体は分化誘導
剤の存在下でMEL細胞の分化およびアポトーシスの双方を増強した。アンチセン
スS-オリゴが細胞の分化およびアポトーシスに対して類似の作用を及ぼすか否か
を決定するために、それらの生物活性をMEL細胞において調べた。実施例はNotch
-1アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた場合を説明するが、他のNotch蛋白
質の細胞発現を破壊するためにアンチセンスを用いることができる。
【0119】アンチセンスオリゴヌクレオチド ホスホロチオエートオリゴヌクレオチド(S-オリゴ)は、従来の方法(アグラ
ワル&ザオ(Agrawal and Zhao)、Curr. Opin. Chem. Biol. 519〜28、1998)
で合成して、S-オリゴの配列は以下の通りであった:
【0120】 EGFリピート領域:センスGCTGTCTCAACGGTGGTACATGC(配列番号:5);アンチ
センスGCATGTACCACCGTTGAGACAGC(配列番号:6);
【0121】 Lin/Notch領域:センスCCTGGAAGAACTGCACGCAGTCT(配列番号:7);アンチセ
ンスAGACTGCGTGCAGTTCTTCCAGG(配列番号:8)、スクランブルGGACCTTCTTGACGT
GCGTCAGA(配列番号:9);
【0122】 アンキリン領域:センスCAGCTTGCACAACCAGACAGACC(配列番号:10);アンチ
センスGGTCTGTCTGGTTGTGCAA-GCTG(配列番号:11)、スクランブルTGCACGGTTCTG
GTTGCGTGTGA(配列番号:12)。
【0123】 アンチセンス分子は他のNotch分子、例えばNotch-2、Notch-3、またはNotch-4
と共に、他の種におけるNotch分子について産生することができる。アンチセン
スオリゴヌクレオチドをデザインするために、所望の分子からのmRNA配列を調べ
る。TTTTTTTTのような多数のリピートを含む配列の領域は、それらが特異性を欠
損しているために望ましくない。いくつかの異なる領域を選択することができる
。中でも、オリゴは以下の特徴から選択する:溶液中で最善のコンフォメーショ
ンを示す;ハイブリダイゼーション特徴が最適化されている;および二次構造を
形成する可能性が低い。二次構造を形成する傾向があるアンチセンス分子はあま
り好ましくない。
【0124】結果 ニワトリNotch-1のこれらの領域に対応するS-オリゴは既にオースチン(Austi
n)ら(Development 1995、121:3637〜3650)によって記載されている。S-オリ
ゴ処置に関して、MEL細胞を、実施例7の記載に以下の改変を加えて分化誘導し
た。細胞を96ウェルプレートに播種して、S-オリゴを培地と共に最終濃度25 μM
となるように加えた。予備的な用量範囲実験から、実験条件においてこれが最適
な濃度であることを確立した。培地およびS-オリゴは共に3日目に交換した。S-
オリゴの少なくとも3つの独立したバッチを用いた。スクランブル対照S-オリゴ
を用いて塩基比較によるアーチファクト作用を除外して、センスS-オリゴに対す
る類似の作用を示した(データは示していない)。ゲンバンクデータベースにお
いて利用できる配列を比較すると、Notch-1アンチセンスS-オリゴの配列はNotch
-1特異的であることを示した。
【0125】 Notch-1がMEL細胞のHMBA誘導分化において何らかの役割を果たしていることを
示すために、Notch-1アンチセンスS-オリゴを蛋白質の発現を脱調節するために
細胞に加えた。MEL細胞は0時間にS-オリゴを加えてHMBAと共に120時間培養して
維持した。ベンジジン陽性細胞を120時間目に採点した。ベンジジン陽性細胞の
割合は、アンチセンスの存在下では、センスNotch-1S-オリゴの場合と比較して
再現よく約半分に減少した(図11A)。この阻害は3つのNotch-1アンチセンスS-
オリゴのそれぞれについて認められた。これらの結果は、これがNotch-1に特異
的な真のアンチセンス作用であったことを示している。Notch-1アンチセンスS-
オリゴを0時間ではなくて3日目に加えると、分化は阻害されなかった(データ
は示していない)。したがって、Notch-1発現は、HMBA誘導分化の初期段階にお
いて重要であり、このことは図8に示した結果と一致する。本発明の特定の態様
において、細胞は誘導した分化の初期段階でNotch-1アンチセンスオリゴに暴露
すると、アンチセンスオリゴの作用はより顕著になる。
【0126】 HMBAの存在下でLin-12センス、アンチセンス、およびスクランブルによって処
置した細胞における遅いアポトーシス分画(サブG1ピーク)をフローサイトメト
リーによって決定した(図11B)。HMBA単独の場合と比較してS-オリゴは全てア
ポトーシス分画を増加させたが、アンチセンスS-オリゴは、センス(SEN)また
はスクランブル(SCR)対照のいずれかより有意に大きい作用を示した(p値は0.
001未満)。生存率(G1、G2/S、またはM領域内の細胞)に平行な減少を認めた。
Lin-12アンチセンスS-オリゴは、3つの実験において48時間でNotch-1蛋白質の
発現を50〜75%減少させた。センス、アンチセンス、およびスクランブルLin-12
S-オリゴで処置した細胞において、アクチンレベルに差を認めなかった。アク
チン発現はまた、下記の実施例11において考察するように、プラスミドにおける
トランスフェクトした1100 bpの構築物によって影響を受けなかった。これらの
結果は、これが特異的アンチセンス作用であること、そしてNotch-1発現はHMBA
誘導分化の初期段階で必要であることを強く示している。
【0127】実施例11 Notch-1発現に及ぼすアンチセンス構築物の影響 実施例10においてS-オリゴを用いた実験は、Notch-1が分化誘導に必要である
こと(HMBAによって誘導される分化のように)、そしてNotch-1発現が減少すれ
ばこれらの細胞にアポトーシスの増加が起こる可能性があることを示した。MEL
細胞における分化誘導の際に、細胞運命の決定においてNotch-1について可能性
がある役割の特徴をさらに調べるために、MEL細胞をNotch-1アンチセンス分子に
よって安定にトランスフェクトさせた。実施例はNotch-1アンチセンスオリゴヌ
クレオチドを用いた場合を説明するが、アンチセンスは他のNotch蛋白質の細胞
発現を破壊するために用いることができる。
【0128】Notch-1アンチセンスプラスミドの調製 pNotch-ASプラスミドは、マウスNotch-1をコードするcDNA断片を用いてPCR増
幅によって作製した(ビヤナ・マノハー(Vijana Manohar)、CBERから入手)。
Pfu DNAポリメラーゼ(ストラタジーン社)を用いてヌクレオチド+64〜+1164を
増幅し、pcDNA3.1のXhoIおよびNheI部位(インビトロゲン社)にアンチセンス方
向にクローニングした。埋め込まれた制限部位を含む用いたプライマーは、TTAC
TCGAGGCAGCTGGCGAGCAGGCATG(センス、配列番号:13)およびTTAGCTAGCCGGACATT
CGCAGTAGAAGG(アンチセンス、配列番号:14)であった。ヌクレオチド配列およ
びインサートの方向はシーケナーゼキット(アマシャム社)を用いてジデオキシ
シークエンシングによって確認した。
【0129】MEL細胞のトランスフェクション 対数増殖期のMEL細胞を沈殿させて、ピューロマイシン抵抗性を付与するため
に10%FCSおよびpNotch-ASプラスミドまたはpcDNA3.1ベクター 20 μgとpBABE
2μgを含むRPMI 200 μlに再浮遊させた(モルゲンスターン(Morgenstern)ら
、Nucleic. Acid. Res. 1990、18:3587〜96)。バイオラド遺伝子パルサーを25
0 Vおよび960 μFで用いて細胞をエレクトロポレーションした。細胞をピューロ
マイシン(シグマ社)0.5 μg/mlおよびG418 700 μg/ml(ライフテクノロジー
ズ社)の存在下で、安定なトランスフェクタントに対する選択的な圧力が増加す
るように選択した。個々のクローンは限界希釈によって単離した。
【0130】Notch-1トランスフェクトクローンの細胞増殖分析 細胞を1×105個/ml(HMBAなし)、または2×105個/ml(HMBA)で、親MLEと
同じ、G418 700 μg/mlを加えた培地中で播種した。細胞を上記のように72時間
で継代した。細胞は24時間毎に120時間血球計算盤によって計数した。
【0131】ウェスタンブロッティング 細胞沈殿物を、10%β-MEを含む熱2×SDS試料緩衝液において可溶化して、4
%SDS/PAGEによって分析した。蛋白質は、10%メタノールを含む10 mM CAPS中で
0.75 Aで5時間イモビロンP(ミリポア社)に電気的にブロッティングした。Not
ch-1蛋白質は、化学発光ウェスタンブロッティングキット(ベーリンガーマンハ
イム社)を用いて製造元の説明書に従って検出した。相対的なバンド強度はコダ
ック1-D分析ソフトウェアによって決定した。
【0132】 MELクローンは1100 bpアンチセンスNotch-1構築物(Notch-1 AS)、またはベ
クター単独によって安定にトランスフェクトした。代表的なNotch-1 AS(AS5)
およびベクター(V5)トランスフェクトクローンの細胞抽出物から単離した蛋白
質の等量(50 μg)を図12に示すようにウェスタンブロット分析によって分析し
た。
【0133】 アンチセンス構築物はNotch-1プレ蛋白質のN-末端EGFリピート9個を含む。こ
の領域は細胞外サブユニットの残りと比較してNotchファミリーメンバーではあ
まり保存されておらず、アンチセンスS-オリゴによって標的とされる配列を含ま
ない。いくつかの個々のクローンがそれぞれの構築物について得られており、ウ
ェスタンブロットによって分析した。さらなる実験に用いたNotch-1 ASクローン
の全てにおいて、Notch-1蛋白質の基礎レベルは、Notch-1 ASポリヌクレオチド
を発現しないベクターでトランスフェクトしたクローンと比較してNotch-1 ASト
ランスフェクト細胞では少なくとも50%減少した(図12A)。
【0134】 時間経過実験は、Notch1-AS(pNotch-AS pcDNA3.1プラスミド)をトランスフ
ェクトした独立したクローン4個、およびpcDNA3.1ベクターのみをトランスフェ
クトしたクローン3個について実施した。細胞はHMBAの存在下または非存在下で
120時間培養して維持して、Notch-1蛋白質レベルをウェスタンブロット分析によ
って決定した。2つのクローンからの代表的なブロットを図12Bに示す。ベクタ
ーをトランスフェクトしたクローンにおけるNotch-1蛋白質レベルはHMBA中で維
持した親MELにおいて認められたパターンを反映している(図8Bを参照のこと)
。Notch-1 ASクローンでは、HMBAによって誘導されたNotch-1蛋白質レベルの減
少は加速した。アンチセンストランスフェクタントにおけるNotch-1蛋白質のレ
ベルは、24時間ではベクターをトランスフェクトした対照のレベルより低いよう
に思われ、72時間では本質的に検出不能となった。
【0135】 HMBAの非存在下では、ベクターをトランスフェクトしたクローンは、これらの
条件において親MEL細胞において認められたパターンと類似のNotch-1発現パター
ン(図12B)を示した(図8Bを参照)。Notch-1ASトランスフェクトクローンでは
、Notch-1蛋白質は24、72、および120時間でベクタートランスフェクトしたクロ
ーンよりはるかに低いレベルで検出可能である。
【0136】実施例12 時間経過実験 実施例はNotch-1アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた場合について説明
するが、他のNotch蛋白質の細胞発現を破壊するためにアンチセンスを用いるこ
とができる。時間経過実験は、独立したNotch-1 ASクローン4個およびNotch-1
ASを発現しないベクタークローン3個について実施した。MEL細胞をHMBAの存在
下または非存在下で120時間培養して維持し、それぞれのクローンにおけるヘモ
グロビン陽性細胞の割合を、実施例7に記載するように様々な時点で分析した。
HMBAの非存在下では、ヘモグロビン産生細胞のバックグラウンドレベル(<1%
)は、Notch-1 ASおよびベクタートランスフェクト細胞の双方について認められ
た(データは示していない)。HMBAの存在下では、分化はNotch-1 ASトランスフ
ェクトクローンでは、ベクタートランスフェクト細胞と比較して強く阻害された
(図13A)。Notch-1 AS対ベクタートランスフェクトクローンのあいだのベンジ
ジン陽性細胞の割合の顕著な差は、72時間で初めて明確となった。ASクローンに
おけるベンジジン陽性細胞の割合は約6%であり、これ以上増加しなかった。対
照的に、ベクタートランスフェクトクローンでは細胞の約17%が72時間でベンジ
ジン陽性であり、この分画は時間と共に増加し続け、120時間では約30%となっ
た。
【0137】 MEL細胞において、増殖と分化は厳密に関連している。Notch-1発現の減少がこ
れらの細胞における増殖に影響を及ぼすか否かを決定するために、HMBAの存在下
(図13B)または非存在下(図13C)において維持されたトランスフェクトしたME
Lクローンについて増殖速度論を分析した。これらの実験では、生存率の修正を
行わずに総細胞数を決定した。HMBAの存在下では、Notch-1 ASトランスフェクト
クローンは48時間から本質的に増殖が停止しているように思われた(図13B)。
対照的に、ベクターをトランスフェクトしたクローンは、120時間のあいだ遅い
が増殖し続けた(図13B)。HMBAの非存在下では、Notch-1 AS、またはベクター
によってトランスフェクトしたクローンの増殖速度に差を認めないように思われ
た(図13C)。増殖は120時間まで本質的に対数的のままであった。
【0138】実施例13 Notch-1発現のダウンレギュレーションの影響 S-オリゴを用いた実験から、HMBAの存在下でMEL細胞をアンチセンスによって
処置すると、センスNotch-1 S-オリゴとは対照的に、アポトーシスが増加するこ
とが示された(図11B参照)。この作用をさらに説明するために、トランスフェ
クトしたクローンをアネキシンV(実施例9参照)およびPIによるフローサイト
メトリーによって分析して、生存率およびアポトーシスに至る細胞の割合を決定
した。
【0139】PI染色による細胞周期とアポトーシス分析 親MELまたはトランスフェクトクローンは、細胞周期分析実験のために密度停
止によって同期させた(リアン(Ryan)ら、Mol. Cell. Biol. 1993、13:711〜
719)。この点において、細胞を5 mM HMBAを含む培地中で1×105個/mlで播種
した。トランスフェクトしたクローンに関しては、G418 700 μg/mlを培地に加
えた。16時間で、細胞を回収して、1%パラホルムアルデヒド中で15分間固定し
て、70%エタノールによって一晩固定した。細胞を一定の細胞密度でPI溶液(50
μg/ml PI(ヨウ化プロピジウム)、0.1%トライトン-X-100、200 μg/ml RNA
アーゼ)に再浮遊させて、混合しながら室温で1時間処置した。S-オリゴによる
実験において、同期させた細胞をS-オリゴと共に(25 μM)または含まずに96ウ
ェルプレートに播種した。細胞のDNA含有量はベクトンディッキンソン社のFACス
キャンフローサイトメーターを用いて決定した。サブG1ピークとして現れる細胞
をアポトーシスに至ると採点した。細胞周期分析において、アポトーシスおよび
死細胞を除去して生存集団のみを分析した。
【0140】 アネキシンV陽性、PI陰性集団として決定される初期アポトーシス細胞は、HMB
Aの存在下または非存在下で120時間培養で維持したクローンにおいて24時間毎に
定量した。HMBAの存在下では(図14Aおよび14B)、ベクターおよびNotch-1 ASト
ランスフェクトクローンの双方がアポトーシスに至り、アポトーシス細胞の分画
は24時間以降経時的に増加した。しかし、アポトーシス分画はNotch-1 ASトラン
スフェクトクローンでは時間経過を調べるあいだ有意により高く(図14A)、120
時間で約70%に達した。初期アポトーシスに至る細胞の割合は、ベクタートラン
スフェクト細胞と比較してアンチセンスクローンでは24〜48時間のあいだに劇的
に増加した。
【0141】 対応する生存率の変化(PI陰性、アネキシン陰性細胞)は、これらのクローン
において認められた(図14B)。全てのクローンにおいてHMBAの存在では時間経
過を調べるあいだ生存率の着実な減少を認めた。しかし、ASクローンはベクター
トランスフェクトクローンより生存率にはるかに大きい減少を示した。ASクロー
ンでは、生存率は0時間から直線的に減少し、48時間では約18%に達したのに対
し、ベクタートランスフェクトクローンでは57%であった。120時間では、ASト
ランスフェクトクローンの生存率は平均で7%未満であり、1つのクローンは本
質的に0に減少したのに対し、ベクタートランスフェクトクローンでは約30%で
あった。
【0142】 HMBAの非存在下では(図14Cおよび14D)、アポトーシスの割合は細胞密度とほ
ぼ並行であり、72時間まで増加した。この時点で、細胞を初回密度で新鮮な培地
に継代すると、アポトーシスの割合は減少した(図14C)。このパターンはおそ
らく、密度が高い増殖培養における増殖因子、栄養または酸素枯渇によるもので
ある。全体的なパターンは全てのクローンにおいて類似であったが、ASクローン
におけるアポトーシス細胞の割合は、時間経過を調べるあいだベクタートランス
フェクト細胞より有意に高く、細胞を新鮮な培地に継代する直前である72時間で
は40%もの高さになった。ASトランスフェクトクローンにおけるアポトーシスの
より高いレベルは全体的な低い生存率と平行した(図14D)。これらの結果は、M
EL細胞におけるNotch-1発現の減少が、HMBAの有無によらず、アポトーシスレベ
ルの増加に関連することを示している。HMBAの非存在下では、72時間目に新鮮な
培地に継代すると、全体的な増殖曲線は差がないことからAS細胞を救済するよう
に思われ、したがって、HMBAの非存在下におけるアポトーシスは細胞増殖速度論
によるものである。しかし、大量のアポトーシスおよび非可逆的な細胞死を観察
するためには、分化誘導剤とNotch破壊物質の双方が存在しなければならない。
【0143】 HMBAによって誘導された初期G1ラグは、Notch-1アンチセンスMELクローンにお
いて影響を受けなかった。MEL細胞をHMBAによって処置すると、細胞周期におけ
るG1相の延長を誘導し、その直後に誘導物質の存在下で最初のG1が続く。G1延長
の際に起こる代謝事象は持続的な増殖または分化を決定するために重要であるこ
とが知られている。Notch-1発現の脱調節がこれらの初期細胞周期事象に影響を
及ぼすか否かを決定するために、Notch-1 ASまたはベクターによってトランスフ
ェクトして、HMBAによって誘導したMELクローンにおいてDNA含有量を分析した。
これらの実験において、細胞は密度停止によってG0/G1において同期させ、同期
から開放してHMBA添加培地において16時間維持した後、生存細胞におけるDNA含
有量を決定した。予備実験から、これがG1ラグを最もよく認められる時間である
ことが示されている。表1に示すように、Notch-1 ASおよびベクタートランスフ
ェクト細胞においてG1に存在する細胞の比率は本質的に同一であった。類似の結
果は、Notch-1センスおよびアンチセンスS-オリゴで処置したMEL細胞において認
められた(データは示していない)。これらの実験は、HMBAによって誘導される
初期G1ラグが、この系におけるNotch-1蛋白質レベルの減少によって影響を受け
ないことを示している。
【0144】
【表1】 HMBAに暴露した16時間後の細胞周期分布 MELトランスフェクトクローン(V5およびAS5)を密度停止によって同期させた後
、HMBAを含む新鮮な培地に播種する。16時間目、細胞を回収して、PIによって染
色してDNA含有量を分析する。結果は、それぞれの条件の独立した3つの調製物
から得ている。
【0145】実施例14 治療方法 実施例7および10〜13は、異なるアンチセンス戦略によってNotch蛋白質(Not
ch-1のような)の発現をダウンレギュレートすると、例えばNotch-1遺伝子のよ
うなNotch遺伝子における異なる領域をターゲティングすると、MEL細胞における
アポトーシスを増加させ、分化を減少させることを示している。実施例8および
9は、mAbをHMBAと共に加えると、明らかに細胞内Notchをダウンレギュレートす
ることによってMEL細胞において分化を増加させ、最終的に細胞アポトーシスの
増加に至ることを示している。しかし、分化誘導剤の非存在下では、Notchレベ
ルは新たに継代した培養では最低であり、細胞密度が増加すると増加するように
思われた(実施例7)。逆に、Notchは、HMBAのような分化誘導剤に暴露後では
初期にアップレギュレートされるが、最終分化への拘束は、Notchの消失、また
はその機能の妨害に関連する(実施例7を参照)。
【0146】 これらのデータは、MEL細胞におけるアポトーシスの感受性がNotch発現のレベ
ルによって制御されること、そしてそのタイミングによって影響を受けうること
を示している。理論に拘束されたくはないが、図15は、HMBA誘導細胞におけるNo
tch発現の妨害(抗体またはアンチセンス分子を用いて)がアポトーシスを誘導
するというメカニズムの提案を要約している。MEL細胞のサイクリングにおいて
、Notchはアポトーシスの閾値を制御する。密度の濃い培養における増殖因子の
枯渇のようなアポトーシスの増加に都合がよい条件では、Notchのレベルは明ら
かに保護メカニズムとして増加する。HMBA誘導分化の際に、Notchは予め拘束さ
れた細胞の未成熟なアポトーシスを予防し、このようにそれらを複製させ続けて
、細胞内メディエータ(複数)の重要なレベルを産生させ、その結果拘束へと動
員することによって、許容的な役割を果たす。Notchのダウンレギュレーション
はMEL細胞における最終分化に対する拘束の合図となる可能性がある。このシグ
ナルが未成熟または不適当に受け取られると(例えば、MEL細胞における分化の
最初の数時間のあいだ)、細胞は、多くの最終分化細胞の共通運命であるアポト
ーシスを受ける可能性がより高くなるように思われる。
【0147】 Notchの保護作用は、HMBA誘導分化の際に起こるアポトーシスに特異的ではな
い。Notchは、HMBA治療の際に活性化される特異的シグナル伝達カスケードより
むしろ、MEL細胞のアポトーシス経路における共通の段階(複数)を調節する。
したがって、以下のような他の分化誘導剤を用いることができる;例えば、レチ
ノイドおよび誘導体(FDAは、他の悪性疾患に関する臨床試験において赤白血病
に関して承認している);ハイブリッド極性化合物および誘導体(HMBAは、用量
とレジメを提供するアンドリーフ(Andreef)ら、Blood 1992、80:2604、およ
びHMBA類似体を開示しているマークス(Marks)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. US
A 1994、91:10251〜4が報告しているように、AMLおよびMDSの治療においてフェ
ーズ2治療が行われている薬剤である);短鎖脂肪酸(例えばブチル酸塩)、お
よびその誘導体(例えば、トリブチリン)、ならびに他の有機酸(フェニル酢酸
、フェニルプロピオン酸);ビタミンD誘導体(例えば、ビタミンD3);シクロ
オキシゲナーゼ阻害剤(COX-1および2阻害剤および特異的COX-2阻害剤)ならび
に化学予防的活性を有する天然産物を含むコンジナー(例えば、COX-2阻害剤で
あるが、他の作用機序も同様に有する可能性があるブドウのレスベラトロール)
および他のアラキドン酸代謝阻害剤(例えばホスホリパーゼA2阻害剤、リポキシ
ゲナーゼ阻害剤);セラミドおよび誘導体(いくつかの細胞において最終分化お
よびアポトーシスを誘導する脂質);ジアシルグリセロールおよび誘導体;環状
ヌクレオチド誘導体(ヨーロッパで既に用いられている);ホルモン、誘導体、
拮抗剤およびホルモン合成阻害剤(例えば、タモキシフェンおよび乳癌において
最終分化を促進して増殖を阻害する他の抗エストロゲン剤、前立腺癌におけるフ
ィナステリドのようなアンドロゲン拮抗剤)、ならびに最後に最終分化を誘導す
ることを意図した生物製剤(サイトカイン、増殖因子、ペプチドホルモン、およ
びモノクローナル抗体のような)。
【0148】 特異的に開示された態様は、分化誘導剤としてHMBAを使用する。HMBAは、同様
に表2に示す他のハイブリッド極性化合物を含む、ハイブリッド極性化合物のグ
ループのプロトタイプである。
【表2】 いくつかのハイブリッド極性化合物 * 至適濃度μM ** +、化合物は形質転換細胞の最終分化を誘導する。MELはマウス赤白血病細胞
である。HL-60は、ヒト前骨髄白血病細胞、そしてHT-29はヒト結腸癌細胞である
【0149】 これらの化合物は、それらが2つの極性基を共通に有することからハイブリッ
ド極性化合物(HPCs)と呼ばれ、これは無極性の炭素5-または6-個のアルキル鎖
(例えば、アルカンまたはアルケン)鎖によって分離していてもよく、水性およ
び有機溶媒の双方に可溶性である。
【0150】 特定のハイブリッド極性化合物は、表3に示すそれぞれの極性基の同一性によ
って定義される2つのクラスに分類することができる。スベロイルアニリドヒド
ロキサム酸(SAHA)およびm-カルボキシケイ皮酸ビスヒドロキサミド(CBHA)(
表3、化合物4および5)は、HMBAおよびジエチルビス(ペンタメチレン-N,N-
ジメチルカルボキサミド)マロネート(EMBA)(表3、化合物1および2)にお
いて認められるアミドの代わりにヒドロキシアミド少なくとも1個を有する。そ
れらが細胞分化を誘導するか否かを決定するためにHPCsをスクリーニングする技
術は、例えば、リコン(Richon)ら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:3003〜7
、1998)に開示されている。HPCsのさらなる例は同様に、マークス(Marks)ら
(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1994 91:10251〜2);リコン(Richon)ら(Pr
oc. Natl. Acad. Sci. USA、1996、93:5705〜8);および米国特許第5,668,179
号にも示される。
【0151】
【表3】 ハイブリッド極性化合物の2つのクラス * 至適濃度μM;** ヘモグロビンを示した細胞の百分率。
【0152】 本発明の併用治療による治療のために評価すべき新生物には、急性白血病(急
性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、および骨髄芽球性、前骨髄球、骨髄単球
、単球および赤白血病のような)、慢性白血病(慢性骨髄球性(顆粒球)白血病
および慢性リンパ性白血病)を含む白血病、真性赤血球増加症、リンパ腫、ホジ
キン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、ワルデンストロームマクログロブ
リン血症、重鎖病と共に、肉腫および癌、繊維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨
肉腫、骨肉腫、および他の肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫
、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平細胞癌、基底細
胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌
、肝癌、胆道癌、絨毛癌、ウィルムス腫瘍、子宮頚癌、精巣腫瘍、膀胱癌、CNS
腫瘍(例えば、グリア細胞腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、脳室上衣
腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、メナンギオーマ(menang
ioma)、黒色腫、神経芽細胞腫および網膜芽細胞腫)のような固形癌のような多
様な悪性疾患および関連障害を含みうる。本発明の併用療法の有効性は、腫瘍標
本を本発明のアッセイの一つに導入すること、およびアポトーシスが増加するか
否か、または生存率が減少するか否かを調べることによって決定しうる。
【0153】 特定の態様において、腫瘍はそれらがNotch-1、Notch-2、Notch-3、またはNot
ch-4のようなNotch蛋白質の増加を示す場合に治療に選択される。一般的に、Not
chの過剰発現は免疫組織化学(Notch発現が検出不能レベルであるほとんどの成
人組織と比較して)、インサイチューハイブリダイゼーション、RT-PCR、および
インサイチューPCRによって決定することができる。Notch発現の増加は、ジゴキ
シゲニン標識アンチセンスプローブによる細胞のインサイチューハイブリダイゼ
ーションによって、アルカリフォスファターゼカップリング二次抗体による検出
によって検出しうる。例えば、オースチン(Austin)ら(Development 1995、12
1:3637〜50)が記述したジゴキシゲニン標識アンチセンスプローブCNOTCH-1を
用いて、Notch-1発現を検出することができる。Notch-1の免疫染色はまた、グル
タチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)融合蛋白質として合成された、T3(ヒト
Notch-1アミノ酸1733〜1877位)のようなヒトNotch-1の細胞質ドメインに対する
アフィニティ精製ポリクローナルウサギ抗体、陰性対照として用いられる同じ動
物から精製された抗GST抗体によって行うことができる(ハッセリャン(Hasserj
ian)ら、Blood 1996、88:970〜6)。または、Notch-1の免疫学的検出は、Notc
h-1細胞外EGFリピート11-12に対するポリクローナル抗体(実施例2参照)また
はモノクローナル抗体(実施例5参照)によって行うことができる。Notch-2、N
otch-3、またはNotch-4のリガンド結合ドメインを認識する抗体も同様に用いる
ことができる。
【0154】 本発明者らがNotch-1を過剰発現することを発見した腫瘍細胞株には、T細胞白
血病株、骨髄性白血病株、神経芽細胞腫、髄芽細胞腫および結腸癌細胞株が含ま
れる。公表されている情報からもまた、乳房、結腸、肺(扁平および腺癌のよう
な非小細胞腫瘍)および子宮頚部(例えば、インサイチュー癌)の悪性疾患はそ
のような非悪性組織と比較してヒトNotchの発現の増加を示すことが示されてい
る。さらに、Notch-1およびNotch-2はいずれも子宮頚部の新生物領域において過
剰発現されていることがこれまでに示されている(ザゴラス(Zagouras)ら、Pr
oc. Natl. Acad. Sci. USA 1995、92:6414〜18)。
【0155】Notch抗体を用いる 本発明の態様において、Notchが過剰発現されている悪性疾患は、分化誘導剤
の有効量および過剰発現されているNotchを認識するモノクローナル抗体を投与
することによって治療または予防する。Notchは、Notch-1、Notch-2、Notch-3、
またはNotch-4を含みうる。特定の態様において、乳房、結腸、または子宮頚部
の悪性疾患は、分化誘導剤の有効量およびNotch-1 EGFリピート11および12を認
識するmAbを投与することによって治療または予防する。分化誘導剤およびNotch
-1 EGFリピート11および12を認識するmAbは、同時に、または別々に投与しても
よい。個別に投与する場合、分化誘導剤はNotch-1 EGFリピート11および12を認
識するmAbの前にまたはこれと同時に投与してもよい。分化誘導剤は理想的には
、細胞の分化が、例えば実施例7および8に記載の方法によって決定した場合に
、Notch発現または機能の破壊が細胞にアポトーシスを起こらせる程度まで進行
しうる時点で投与する。
【0156】アンチセンス分子を用いる 分化が誘導された時点で、Notchレベルが様々なアンチセンス戦略によって未
成熟にダウンレギュレートされている場合、細胞はアポトーシス経路に入り、分
化プログラムを中止する傾向がある。ダウンレギュレーションがこの作用を示す
時期は細胞タイプによって変化して、実施例7および10〜13に示すようなアッセ
イを用いて決定しうる。Notch-1、Notch-2、Notch-3、またはNotch-4に関するNo
tchアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いて、特定のNotch蛋白質の細胞発現を
破壊することができる。
【0157】 1ラウンドの化学療法を被験者に行った後、腫瘍細胞が活発に増殖する期間が
ある。この期間に、被験者をNotchアンチセンスの治療的有効量によって治療す
ることができる。24〜48時間後にNotchアンチセンスが有効となった後(Notchレ
ベルがダウンレギュレートされる)、被験者を分化誘導剤の治療的有効量によっ
て治療する。またはアンチセンスおよび分化誘導剤は同時に投与しうる。
【0158】予防的治療 本発明の治療はまた、例えば、新生物または悪性状態を阻害またはそれらへの
進行を予防するために、予防的に用いることができる。そのような投与は、併用
治療が上記のようなアッセイにおいて障害の治療または予防に関して有用である
ことが示される場合に適応される。予防的使用は新生物または癌が既に進行して
いることがわかっている、または進行が疑われる状態、特に過形成、化生、また
は最も特に、異形成からなる非新生物細胞増殖が起こっている場合に適応される
(そのような異常な増殖疾患の総説に関しては、ロビンス&アンゲル(Robbins
and Angell)、1976、「基礎病理学(Basic Pathology)」第二版、W. B.ソーン
ダース社、フィラデルフィア、68〜79頁を参照のこと)。一例として子宮内膜の
過形成はしばしば子宮内膜癌に進行する。異形成はしばしば、癌の前兆であり、
主に上皮に認められる;これは非新生物細胞増殖の最も無秩序型であり、個々の
細胞の均一性の喪失および細胞の構造的方向性を失っている。異形成は、慢性的
な刺激または炎症が存在する場合に特徴的に起こり、しばしば、そこで癌が発症
する指標として子宮頚部、呼吸器、口腔、および膀胱に認められる。もう一つの
特定の態様において、本発明の併用療法は乳房、肺、結腸、または子宮頚癌への
進行を予防するためにヒト被験者に投与される。
【0159】 Notch-1、Notch-2、Notch-3、またはNotch-4のようなNotch分子を認識する抗
体は、単独で、またはレチノイドのような分化誘導に影響を及ぼす薬剤と共に、
ヒト腫瘍における分化を誘導するために用いてもよい。特定の態様において、抗
体は、実施例4または18に記載するモノクローナル抗体である。一つの非癌様細
胞株である3T3細胞において、mAbの一つはインビトロで最終分化を阻害する(フ
クス(Fuchs)ら、未発表)。Notch-1は免疫機能に関係する多くの細胞(T細胞
、単球、おそらくその他)において発現されているため、Notch-1を発現する免
疫細胞の機能を増加または減少させることができる可能性がある。応用は、用い
るmAbに応じて(Notch-1シグナル伝達を活性化または遮断)、免疫刺激作用また
は免疫抑制作用 を含んでもよい。これらは腫瘍免疫学、ワクチン、または免疫
障害および移植の拒絶の治療において用いられ得る。
【0160】 Notch-1、Notch-2、Notch-3またはNotch-4を認識するNotchアンチセンス分子
を用いて、予防的治療のためにNotch発現をダウンレギュレートしてもよい。Not
ch発現をアップレギュレートする腫瘍細胞では、Notchリガンドの発現も同様に
アップレギュレートされる。これは周辺細胞(例えばリンパ球)におけるNotch
を活性化し、これは免疫系に腫瘍細胞表面上のNotch発現の認識能を失わせる原
因である。アンチセンス療法を用いてNotch発現をダウンレギュレートすれば、
腫瘍の免疫を増強しうる。
【0161】実施例15 薬学的組成物と投与様式 本発明の併用療法を投与するために様々な輸送システムが知られており、例え
ば、リポソームの封入、微粒子、マイクロカプセル、組換え細胞による発現、受
容体媒介エンドサイトーシス(例えば、ウ&ウ(Wu and Wu)、J. Biol. Chem.
1987、262:4429〜32)、レトロウイルスまたは他のベクターの一部として治療
的核酸の構築が含まれる。導入方法には、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下
、鼻腔内、および経口経路が含まれるがこれらに限定しない。化合物は従来の経
路によって、例えば注入または1回注射によって、上皮または粘膜皮膚内層(例
えば、口腔粘膜、直腸および小腸粘膜等)を通しての吸収によって投与してもよ
く、他の生物活性剤と共に投与してもよい。投与は全身または局所投与となりう
る。さらに、薬学的組成物は、脳室内およびくも膜下注射を含む何らかの適した
経路によって中枢神経系に導入することができる;脳室内注射は脳室内カテーテ
ルによって促進してもよく、例えばオンマヤリザーバーのようなリザーバーに取
り付けてもよい。
【0162】 特定の態様において、本発明の薬学的組成物は、例えば手術の際の局所注入、
局所適用、例えば、術後に傷口の包帯と共に、注射によって、カテーテルによっ
て、坐剤、またはシリコン膜のような膜もしくは繊維を含む、多孔性、非多孔性
、またはゼラチン様材料のようなインプラントによって治療を必要とする領域に
局所投与することが望ましい。一つの態様において、投与は悪性腫瘍または新生
物もしくは前新生物組織の部位(またはこれまであった部位)への直接注射によ
って行うことができる。特定の態様において、投与は、Notchとの結合を媒介す
ることができるデルタ(または他のトポリズミック(toporythmic)蛋白質また
はその一部と、物質または分子との結合によってNotch発現細胞に直接行うこと
ができる。Notch発現細胞と、結合した物質または分子とを接触させると、デル
タ部分を通じて細胞表面上でのNotchとの結合が起こり、その結果Notch発現細胞
に取り込まれる。
【0163】 輸送媒体としてリポソームを用いることは、一つの重要な輸送方法である。リ
ポソームは標的部位と融合して、内容物を細胞内に輸送する。リポソームは単離
および結合剤のような接触を維持するために様々な手段を用いて、融合が起こる
ために標的細胞と十分な時間接触して維持される。リポソームは、センダイウイ
ルスまたはインフルエンザウイルスのような、膜の融合を媒介する精製蛋白質ま
たはペプチドによって調製してもよい。脂質は、ホスファチジルコリンのような
陽イオン脂質を含む既知のリポソーム形成脂質の有用な組合せであってもよい。
考えられる他の脂質には、コレステロールのような中性脂肪、フォスファチジル
セリン、フォスファチジルグリセロール等が含まれる。リポソームを調製する場
合、カトウ(Kato)ら(J. Biol. Chem. 1991、266:3361)が記述した方法を用
いてもよい。
【0164】 本発明はまた、分化誘導剤および/またはNotch分解剤の治療的有効量、なら
びに薬学的に許容される担体または賦形剤を含む薬学的組成物を提供する。
【0165】輸送システム そのような担体は、生理食塩液、緩衝生理食塩液、デキストロース、水、グリ
セロール、エタノール、およびその組合せを含むがこれらに限定しない。担体お
よび組成物は滅菌することができ、製剤は投与様式に適している。組成物はまた
、湿潤剤、乳化剤、またはpH緩衝剤の少量を含みうる。組成物は液体溶液、懸濁
液、乳液、錠剤、丸剤、カプセル剤、徐放性製剤、または粉剤となりうる。組成
物は、トリグリセリドのような従来の結合剤および担体を用いて坐剤として製剤
化することができる。経口組成物は、製薬等級のマンニトール、乳糖、デンプン
、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、および炭酸
マグネシウムのような標準的な担体を含みうる。
【0166】 特定の態様において、組成物はヒトに静脈内投与するために適合させた薬学的
組成物として通常の方法に従って製剤化する。典型的に、静脈内投与のための組
成物は滅菌等張水性緩衝液溶液である。必要であれば、組成物は、可溶化剤およ
び注射部位の疼痛を緩和するためにリドカインのような局所麻酔剤を含んでもよ
い。一般的に、成分は個別に、または単位投与剤形として混合して、例えば凍結
乾燥粉末またはアンプルのような密封された容器に水不含濃縮物として供給され
る。組成物を注入によって投与する場合、これを滅菌製薬等級の水または生理食
塩液を含む注入用ボトルに分散させることができる。
【0167】 組成物は、中性または塩の形で製剤化しうる。薬学的に許容される塩には塩酸
、燐酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸等に由来する遊離のアミノ基と共に形成される
塩、ならびにナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、遊離の水酸基
、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチ
ジン、およびプロカインに由来する基のような遊離のカルボキシル基と共に形成
される塩が含まれる。特定の障害または疾患の治療において有効である誘導物質
と破壊物質の量は、障害または疾患の特性に依存し、標準的な臨床技術によって
決定することができる。さらに、インビトロアッセイを選択的に用いて、最適な
用量範囲を同定するために役立ててもよい。調製物において用いられる正確な用
量もまた、投与経路、疾患または障害の重症度に依存し、医師の判断および個々
の患者の環境に従って決定されるべきである。有効量はインビトロまたは動物モ
デル試験系に由来する用量反応曲線から外挿してもよい。
【0168】 坐剤は一般的に、重量の0.5%〜10%の範囲で活性成分を含む:経口製剤は好
ましくは活性成分を10%〜95%含む。本発明はまた、薬学的組成物の成分の1つ
またはそれ以上を充填した1つまたはそれ以上の容器を含む薬学的パックまたは
キットを提供する。選択的にそのような容器(複数)に関連するのは、その注意
書きが製造、ヒトでの投与に関して使用または販売に関して当局によって承認さ
れていることを示す、製造を規制する政府当局、薬学的または生物製剤の使用ま
たは販売によって規定される書式での注意書きとなりうる。
【0169】 薬学的組成物、または治療方法は、他の抗新生物治療のような他の治療的治療
と共に投与してもよい。
【0170】核酸分子の投与 Notch細胞内シグナル伝達ドメインの類似体がNotchシグナル伝達を阻害するた
めに用いられる態様において、類似体は好ましくは細胞内に輸送される(例えば
、核酸ベクターからの発現によって、またはNotchに結合することができるデル
タ蛋白質との結合の後、結合およびインターアナライズによって、または受容体
媒介メカニズムによって)。治療分子がアンチセンスオリゴヌクレオチドをコー
ドする核酸である特殊な態様において、投与は、細胞内となるように投与される
適当な核酸発現ベクターによって、例えばレトロウイルスベクターを用いること
によって(米国特許第4,980,286号)、直接注入によって、微粒子衝突(例えば
、遺伝子ガン;バイオリスティック、デュポン社)、脂質もしくは細胞表面受容
体もしくはトランスフェクト剤のコーティングによって、または核に入ることが
知られているホメオボックス様ペプチドに結合させて投与すること(例えば、ジ
ョリオット(Joliot)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1991、88:1864〜8)等
によって、行ってもよい。または、核酸は、相同的組換えによって、発現される
ように細胞内に導入して、宿主細胞DNA内に組み入れることができる。
【0171】 実施例10〜13に開示された特定のベクター、pCDNAは、発現を促進するために
強いウイルスプロモーター(CMV)の制御下で細胞に異物cDNAを導入する方法の
例である。しかし、他のベクターを用いることができる。他のレトロウイルスベ
クター(pRETRO-ON、クロンテック社)もまた、このプロモーターを利用するが
、何らかのトランスフェクションの助けを借りずに細胞に入る、標的細胞が分裂
している場合に限って(癌細胞のように、特に化学療法後の初回寛解期)標的細
胞のゲノムに組み入れられる、そして調節されるという長所を有する。同様に、
これらのプラスミドを用いる場合、テトラサイクリンを投与することによってア
ンチセンス発現のスイッチを入れることも可能である。これらのプラスミドに細
胞をトランスフェクトさせて、1コースのテトラサイクリンを1コースの化学療
法と共に投与すると、よりよい細胞障害性が得られる。
【0172】 pMAM-neo(同様にクロンテック社から)またはpMSG(ファルマシア社)のよう
な他のプラスミドベクターは、MMTV-LTRプロモーター(ステロイドと共に調節す
ることができる)、またはSV10後期プロモーター(pSVL、ファルマシア社)、ま
たはメタロチオネイン反応性プロモーター(pBPV、ファルマシア社)およびレト
ロウイルスを含む他のウイルスベクターを利用する。他のウイルスベクターの例
にはアデノウイルス、AAV(アデノ関連ウイルス)、組換え型HSV、ポックスウイ
ルス(ワクシニア)および組換え型レンチウイルス(HIVのような)が含まれる
。これらのベクターは全て、標的細胞に、転写のために必要なcDNA配列および制
御エレメントを輸送する基本的な目標を達する。本発明は、それらがゲノムに組
み入れられているか否かによらず、アンチセンスメカニズム、またはその密接に
関連したアンチセンスリボザイムメカニズム(同様にその標的を切断するアンチ
センス)を通じて作用する、合成オリゴ、裸のDNA、プラスミド、およびウイル
スを含むアンチセンス輸送の全ての型を含む。
【0173】抗体の投与 治療分子が抗体、特にNotch蛋白質を認識するmAbである態様において、分化誘
導剤と併用する場合、投与は直接注射によって行ってもよく、微粒子衝突を用い
てもよく(例えば遺伝子ガン;バイオリスティック、デュポン社)、または脂質
もしくは細胞表面受容体もしくはトランスフェクト剤によるコーティングによっ
て行ってもよい。
【0174】 本発明はまた、Notch EGFリピート11および12を認識するmAbと共に分化誘導剤
の治療的有効量、および薬学的に許容される担体もしくは賦形剤を含む薬学的組
成物を提供する。
【0175】実施例16 Notch発現の破壊 アンチセンス破壊 Notch機能または発現を破壊するアプローチの一つは、アンチセンスオリゴヌ
クレオチドを用いることである。Notchアンチセンス分子の調製は、科学文献に
詳しく記述されている。例えば、オースチン(Austin)ら(Development 1995、
121:3637〜50)では、哺乳類EGF、lin12/Notchおよびcdc10/アンキリンリピー
ト領域に対するオリゴヌクレオチドがデザインされた。ガルチェス(Garces)ら
(J. Biol. Chem. 1997、272:29279〜34)では、細胞内アンキリンリピート6
個に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドを調製したが、この場合アンチセン
ストランスフェクト細胞はNotch蛋白質発現の阻害を示し、それらは分化を受け
る能力を失っていた。Notchアンチセンスオリゴを作成する技術、およびNotch破
壊物質としてのそれらの作用は既知である。
【0176】 一般的に、「アンチセンス」という用語は、何らかの配列相補性のためにNotc
h RNA(好ましくはmRNA)の一部とハイブリダイズすることができる核酸を意味
する。本発明のアンチセンス核酸は、二本鎖もしくは一本鎖、RNAもしくはDNA、
またはその改変もしくは誘導体であるオリゴヌクレオチドとなり得て、それらは
細胞に直接投与することができる、またはそれらは外因性の導入された配列の転
写によって細胞内に産生することができる。
【0177】 Notchアンチセンス核酸はポリヌクレオチドであり、好ましくはオリゴヌクレ
オチド(6〜約100ヌクレオチドの範囲)である。特定の局面において、オリゴ
ヌクレオチドは少なくとも10、15、もしくは100ヌクレオチド、または少なくと
も200ヌクレオチドのポリヌクレオチドである。アンチセンス核酸は、実施例10
のプラスミドに導入された1100 bpの構築物のように、より長い構築物であって
もよい。ヌクレオチドは、DNAもしくはRNA、キメラ混合物もしくは誘導体または
その改変型となり得て、一本鎖もしくは二本鎖となり得る。ヌクレオチドは、塩
基部分、糖部分、または燐酸骨格で改変することができ、ペプチドのような他の
付属基、または細胞膜(例えば、レッチンガー(Letsinger)ら、Proc. Natl. A
cad. Sci. USA 1989、86:6553〜6;レマイター(Lemaitre)ら、Proc. Natl. A
cad. Sci. USA 1987、84:648〜52;PCT出願、国際公開公報第88/09810号)もし
くは血液脳関門(例えば、PCT出願、国際公開公報第89/10134号を参照)を通じ
て輸送を促進する物質、ハイブリダイゼーション誘発切断剤(例えば、クロール
(Krol)ら、Bio/Techniques 1988、6:958〜76を参照)、またはインターカレ
ーション剤(例えば、ゾン(Zon)、Pharm. Res. 1988、5:539〜49)を含んで
もよい。
【0178】 本発明の特定の局面において、Notchアンチセンスポリヌクレオチド(オリゴ
ヌクレオチドを含む)、好ましくは一本鎖DNAのポリヌクレオチドが提供される
。NotchアンチセンスポリヌクレオチドはNotch-1、Notch-2、Notch-3、またはNo
tch-4を認識してもよい。より詳しい局面において、そのようなヌクレオチドは
、例えばヒトNotchのEGFリピート領域、lin/Notch領域、またはアンキリン領域
、をコードする配列に対してアンチセンスである配列を含む。アンチセンスポリ
ヌクレオチドは、その構造上の何らかの位置で当技術分野で一般的に知られてい
る置換基によって改変してもよい。例えば、改変された塩基部分は、5-フルオロ
ウラシル、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル、5-ヨードウラシル、ヒポキサ
ンチン、キサンチン、アセチルシトシン、5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウ
ラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチ
ルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β-D-ガラクトシルケオシン、イ
ノシン、N-6-イソペンテニルアデニン、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、
2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシ
ン、5-メチルシトシン、N6-アデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチ
ルウラシル、メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、β-D-マンノシルケオシン
、5'-メトキシカルボキシメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-
N6-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸、シュードウラシル、ケオ
シン、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウ
ラシル、5-メチルウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-
S-オキシ酢酸、5-メチル-2-チオウラシル、3-(3-アミノ-3-N-2-カルボキシプロ
ピル)ウラシル、および2,6-ジアミノプリンであってもよい。
【0179】 もう一つの態様において、ポリヌクレオチドはアラビノース、2-フルオロアラ
ビノース、キシロース、およびヘキソースのような改変された糖部分を少なくと
も1つ、またはホスホロアミデート、ホスホロジアミデート、メチルホスホネー
ト、アルキルホスホトリエステル、またはホルムアセタールもしくはその類似体
のような燐酸骨格の改変成分を含む。
【0180】 さらにもう一つの態様において、ポリヌクレオチドはαアノマーオリゴヌクレ
オチドである。αアノマーオリゴヌクレオチドは、通常のβ単位とは反対に、鎖
が互いに平行して走っている(ゴーシェ(Gautier)ら、Nucl. Acid. Res. 1987
、15:6625〜41)、相補的RNAと特異的二本鎖ハイブリッドを形成する。オリゴ
ヌクレオチドはもう一つの分子、例えばペプチド、ハイブリダイゼーション誘発
クロスリンク剤、輸送物質、ハイブリダイゼーション誘発切断物質に結合しても
よい。オリゴヌクレオチドは腫瘍細胞による分子の取り込みを増強するターゲテ
ィング部分を含んでもよい。ターゲティング部分は腫瘍細胞の表面に存在する分
子を認識する抗体またはその断片のような、特異的結合分子であってもよい。
【0181】 アンチセンス阻害剤に対するもう一つのものとして、リボザイムまたはアンチ
センス結合物のような触媒的な核酸化合物を用いて、遺伝子発現を阻害してもよ
い。リボザイムは合成して被験者に投与してもよく、またはそこからリボザイム
が標的細胞において合成されるように発現ベクター上にコードされてもよい(PC
T出願、国際公開公報第9523225号およびベイゲルマン(Beigelman)ら、Nucl. A
cids. Res. 1995、23:4434〜42)。触媒活性を有するオリゴヌクレオチドの例
は、国際公開公報第9506764号に記載されている。アンチセンスと金属複合体と
の結合物、例えば、mRNA加水分解を媒介することができるターピリジルCu(II)は
、バシュキン(Bashkin)ら、Appl. Biochem. Biotechnol. 1995、54:43〜56に
記載されている。
【0182】 本発明のポリヌクレオチドは、当技術分野で既知の標準的な方法によって、例
えば自動DNAシンセサイザーを用いて(バイオサーチ社、アプライドバイオシス
テムズ社等)合成してもよい。例として、ホスホロチオエートオリゴはステイン
(Stein)ら(Nucl. Acids Res. 1998、16:3209)の方法によって調製すること
ができ、メチルホスホネートオリゴは制御された孔のガラスポリマー支持体を用
いることによって調製することができる(サリン(Sarin)ら、1988、Proc. Nat
l. Acad. Sci. USA 85:7448〜51)。特定の態様において、Notchアンチセンス
オリゴヌクレオチドは、触媒RNA、またはリボザイムを含む(PCT国際出願、国際
公開公報第90/11364号、サーバー(Sarver)ら、Science 1990、247:1222〜5を
参照のこと)。もう一つの態様において、オリゴヌクレオチドは2'-O-メチルリ
ボヌクレオチド(イノウエ(Inoue)ら、Nucl. Acids. Res. 1987、15:6131〜4
8)またはキメラRNA-DNA類似体(イノウエ(Inoue)ら、FEBS Lett. 1987、215
:327〜330)である。
【0183】 本発明のアンチセンスポリ核酸は、Notch遺伝子、好ましくはヒトNotch遺伝子
のRNA転写物の少なくとも一部と相補的な配列を含む。しかし、絶対的な相補性
は好ましいが必要ではない。配列は、RNAの少なくとも一部と相補的であっても
よく、このことは、配列がRNAとハイブリダイズすることができるために十分な
相補性を有して、安定な二本鎖を形成することを意味する;二本鎖Notchアンチ
センス核酸の場合、二本鎖DNAの一本鎖を試験してもよく、または三本鎖形成を
アッセイしてもよい。ハイブリダイズ能は、アンチセンス核酸の相補性の程度と
長さの双方に依存するであろう。一般的に、ハイブリダイズする核酸が長ければ
、それが含む可能性があるNotch RNAとの塩基ミスマッチはより多くなるが、そ
れでも安定な二本鎖を形成する(または場合によっては、三本鎖)。当業者はハ
イブリダイズした複合体の融解点を決定するために標準的な技法を用いることに
よって耐えられるミスマッチの程度を確認することができる。
【0184】 ポリヌクレオチド(オリゴヌクレオチドのような)が相補鎖に結合する相対能
は、ポリ/オリゴヌクレオチドおよびその相補鎖のハイブリダイゼーション複合
体の融解温度を決定することによって比較する。二重らせんの特徴的な物理的特
性である融解温度(Tm)は、50%のらせん対コイル(ハイブリダイズしていない
)型が存在するセ氏での温度を指す。ハイブリダイゼーションの際に起こる塩基
のスタッキングは、UV吸収の減少(淡色性)を伴う。UV吸収の減少はより高いTm
を示す。Tmがより高くなれば、ハイブリダイズした鎖の結合強度はより大きくな
る。塩基対形成の最適な忠実度に可能な限り近づくと、その標的RNAとのポリ/
オリゴヌクレオチドの最適なハイブリダイゼーションが得られる。
【0185】 特定の障害または疾患の治療において有効なNotchアンチセンス核酸の量は、
障害または疾患の特性に依存し、標準的な臨床技術によって決定しうる。特定の
態様において、Notchアンチセンス核酸を含む薬学的組成物はリポソーム、微粒
子またはマイクロカプセルを通じて投与する。本発明の様々な態様において、No
tchアンチセンス核酸の持続的な放出を得るために、そのような組成物を用いる
ことは有用であるかも知れない。特定の態様において、特異的に同定可能な腫瘍
抗原に対する抗体によってターゲティングされるリポソームを用いることは望ま
しいかも知れない(レオネッティ(Leonetti)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA
1990、87:2448〜51;レネイセン(Renneisen)ら、J. Biol. Chem. 1990、265
:16337〜42)。
【0186】抗体を用いた破壊 本発明のNotch破壊物質の一つは、Notch受容体に対する抗体(または抗体の結
合ドメインを含む断片)のような特異的結合剤となりうる。抗体はNotch受容体
の機能を妨害するために用いることができ、分化誘導後の細胞のアポトーシスを
防止するために必要なシグナル伝達ネットワークを妨害することができる。抗体
は、実施例4に記載のモノクローナル抗体、実施例18に記載の抗体と共に、Notc
h-1、Notch-2、Notch-3、またはNotch-4を認識する抗体を含んでもよい。
【0187】実施例17 Notchアンチセンスを発現するトランスジェニック動物 その細胞にNotchアンチセンスを発現する動物はまた、腫瘍細胞の分化誘導と
組みあわせた場合に、Notch機能の妨害によるアポトーシス誘導作用をさらに示
すために作製されている。本実施例は、Notch-1アンチセンスの発現を説明する
が、類似の技術を、Notch-2、Notch-3、またはNotch-4のような他のNotch蛋白質
の発現を破壊するために用いることができる。
【0188】 MEL細胞に導入したpcDNA 3.1プラスミドにおいて用いられた同じインサートを
含むpMAMneoプラスミドを用いた。この構築物はMMTV LTRプロモーターの下でア
ンチセンスを発現し、これは良好な基礎活性を有し、エストラジオール、グルコ
コルチコイド、およびアンドロゲンのようないくつかのステロイドホルモンによ
って刺激される。プラスミドを直鎖状にして、精製し、マウス胚にマイクロイン
ジェクションして、これを仮親に移植した。生まれた仔を尾の断片に関するPCR
によって、トランスジーンの有無をスクリーニングした。これは、異なる2つの
例について実施し、これによって、そのゲノムにNotch-1アンチセンスを含む陽
性創始雄性動物一例と陽性創始雌性動物一例が得られた。創始動物は、本当に繁
殖させるホモ接合陽性マウス(全て陽性の仔を産む)が得られるまで、C57bl6バ
ックグラウンドに個別に数世代交配した。
【0189】 動物は生存して生殖可能であり、肉眼的に病理的異常を認めず、アポトーシス
が正常細胞におけるNotch-1 mRNAの存在が原因で自動的に起こるわけではないこ
とを示している。これらのマウスはその胸腺におけるCD8のレベルが減少してお
り、Notch-1が胸腺のCD8細胞分化に必要であることを確認し、アンチセンスが既
知のNotch-1機能に影響を及ぼすことを示している。薬理学的刺激を用いて、こ
れらのマウスの胸腺細胞においてアポトーシスをより容易に誘導した。
【0190】 胸腺細胞は、胸腺において分化して、通常Notch-1を発現する。胸腺細胞にお
ける自然発生的なアポトーシスレベルは増加していなかったが、アポトーシスお
よび細胞死のレベルは、胸腺細胞において迅速な最終分化と死とを誘導するT細
胞白血病の治療において用いられるステロイドである、デキサメタゾンの薬理用
量によって約50%増加した。Notch-1アンチセンスそれ自体の発現はアポトーシ
ス細胞死を引き起こさないが、最終分化を誘導するさらなる刺激を受けると細胞
をアポトーシスに至らせる。誘導されたアポトーシスは、MEL腫瘍細胞において
認められたものほど劇的ではなく、これは10-6 Mのデキサメタゾンによってもp5
3陰性である。腫瘍細胞(おそらくp53陰性腫瘍細胞)は、正常細胞よりNotch-1
の欠損に対してより感受性があるように思われ、このことは、いくつかの腫瘍が
Notch-1を過剰発現することの説明となる可能性がある。Notch-1の過剰発現は、
アポトーシスに対する抵抗性の増加を腫瘍細胞が獲得するメカニズムの一つであ
る可能性がある。もしそうであれば、Notch-1アンチセンス療法は、Notch-1を過
剰発現する腫瘍において治療的に用いられる可能性を有する。アンチセンスNotc
h-1によって促進されるアポトーシスは、p53を必要としないように思われるが、
そのような戦略はp53ヌル腫瘍においても用いられる可能性がある。
【0191】 Notch-1アンチセンスを発現する腫瘍がより容易に分化誘導剤によって治療さ
れるか否かを決定するために、これらのトランスジェニックマウスに腫瘍を誘導
してもよい。そのような試験は、細胞死を誘導するためにNotch-1アンチセンス
が薬理的な刺激を必要とするという知見を支持している。
【0192】実施例18 抗体の生産 mAb、A6、C11およびF3について認められたように、分化誘導剤の存在下で分化
を増強するその他の抗体を、Notch蛋白質、断片、類似体または誘導体を免疫原
として用いて産生することができる。得られた抗体はポリクローナル抗体、モノ
クローナル抗体、キメラ、単鎖、Fab断片、またはFab発現ライブラリ由来となり
うる。一つの態様において、Notch-1、Notch-2、Notch-3、またはNotch-4のいず
れかを特異的に認識する抗体を調製することができる。特定の態様において、No
tch-1のEGFリピート11および12に特異的な抗体を調製してもよい。例えば、Notc
h-2 EGF様リピート11および12を認識し、分化誘導剤の存在下で細胞に加えると
、分化を増強するNotch抗体を、実施例4においてNotch-1について記述したよう
に生産することができる。もう一つの態様において、Notch抗体はNotch-3のリガ
ンド結合領域を認識する抗体である。もう一つの態様において、Notch抗体はNot
ch-4のリガンド結合領域を認識する抗体である。リガンド結合領域はNotchの細
胞外ドメインである。抗体を産生するために、リガンド結合領域、またはそのド
メインを、例えば、細菌において組換え的に発現させることができる。得られた
組換え型蛋白質または蛋白質断片を用いて、Notchを特異的に認識し、分化誘導
剤の存在下で細胞に加えると分化を増強する抗体を作製する。
【0193】 Notch抗体の多くの例を科学論文に見ることができる。例えば、ガルチェス(G
arces)ら(J. Biol. Chem. 1997、272:29729〜34)を参照のこと、彼らは、ヒ
トNotch-1配列の1231〜1471位に及ぶNotch-1のEGF様リピート11および12に対す
る抗血清を調製した。Notchの細胞外ドメインに関しては、キッド(Kidd)ら(G
enes Devel. 1989、3:1113〜29);T3細胞質ドメイン(ヒトアミノ酸1733〜187
7位)およびTC(アミノ酸2278〜2470位);ならびにヌクレオチド6658〜7131位
、および6508〜6906位によってコードされるNotch-1およびNotch-2の細胞質ドメ
インの非保存領域(ザゴラス(Zagouras)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 199
5、92〜6414〜8)に対する抗血清が調製されている。
【0194】 モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体は正常なNotch蛋白質、保存的
置換を含む機能的に正常なNotch蛋白質、ペプチド断片、またはこの蛋白質の変
異型のいずれかに対して産生してもよい。選択的に、Notch蛋白質に対する抗体
はNotch蛋白質を特異的に検出するであろう。すなわち、ヒトNotch蛋白質に対す
る抗体はヒトNotch蛋白質を認識して結合し、ヒト細胞に存在する他の蛋白質を
実質的に認識または結合しない。抗体がNotch蛋白質を特異的に検出するという
決定は、標準的なイムノアッセイ方法のいずれの一つによっても行われる;例え
ば、ウェスタンブロッティング技術(サムブルック(Sambrook)ら、1989)。所
定の抗体調製物がウェスタンブロッティングによってNotch蛋白質を特異的に検
出することを決定するために、総細胞蛋白質をヒト細胞(例えば、Notch-1を過
剰発現する白血病細胞)から抽出して、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルア
ミドゲル上で電気泳動する。次に蛋白質をウェスタンブロッティングによってメ
ンブレン(例えば、ニトロセルロース)に転写して、抗体調製物をメンブレンと
共にインキュベートする。
【0195】 メンブレンを洗浄して、非特異的結合抗体を除去した後、特異的に結合した抗
体の存在を、アルカリフォスファターゼのような酵素に結合した抗マウスまたは
抗ウサギ抗体を用いて検出する;基質5-ブロモ-4-クロロ-3-インドイルホスフェ
ート/ニトロブルーテトラゾリウムを加えると、免疫局在アルカリフォスファタ
ーゼによって、濃い青色の化合物が生成される。Notch蛋白質を特異的に検出す
る抗体は、この技術によって、Notch蛋白質バンド(その分子量によって決定さ
れるゲル上の所定の位置に存在すると思われる)に結合することが示されるであ
ろう。他の蛋白質に対する抗体の非特異的結合が起こる場合があり、ウェスタン
ブロット上で弱いシグナルとして検出されうる。この結合の非特異的特性は、当
業者には、特異的抗体-Notch蛋白質結合から生じた強い一次シグナルと比較して
、ウェスタンブロット上で得られる弱いシグナルとして認識されると考えられる
【0196】 免疫原として用いるのに適した実質的に純粋なNotch蛋白質は、トランスフェ
クトまたは形質転換細胞から単離されうる。最終調製物における蛋白質の濃度は
、例えばアミコンフィルター装置での濃縮によって、1ミリリットル当たり数マ
イクログラムのレベルまで調整する。次に、蛋白質に対するモノクローナル抗体
またはポリクローナル抗体を以下のように調製することができる。
【0197】モノクローナル抗体 記載のように同定および単離されたNotch蛋白質のエピトープに対するモノク
ローナル抗体は、コーラー&ミルスタイン(Kohler and Milstein)(Nature 25
6:495、1975)の古典的な方法、またはそれから派生した方法に従ってマウスハ
イブリドーマから調製することができる。簡単に説明すると、マウスに、選択し
た蛋白質の数マイクログラムを数週間にわたって反復接種する。次にマウスを屠
殺して、脾臓の抗体産生細胞を単離する。ポリエチレングリコールによって脾細
胞をマウス骨髄腫細胞と融合し、過剰量の非融合細胞をアミノプテリンを含む選
択培地(HAT培地)を用いた増殖系によって破壊する。首尾よく融合した細胞を
希釈して、マイクロタイタープレートのウェルに希釈液のアリコットを加え、そ
こで培養の増殖を継続する。抗体産生クローンは、エングバル(Engvall)(Enz
ymol. 70:419、1980)によって初めて記載されたELISAのようなイムノアッセイ
技術、およびそれに派生する方法によって、ウェルの上清における抗体の検出に
よって同定される。選択した陽性クローンを増殖させて、そのモノクローナル抗
体産物を用いるために回収することができる。詳細なモノクローナル抗体産生方
法は、ハーロウ&レーン(Harlow and Lane)(「抗体:実験マニュアル(Antib
odies:A Laboratory Manual)」、コールドスプリングハーバー研究所、ニュー
ヨーク、1988)に記載されている。さらに、モノクローナル抗体のヒト化型(治
療への適用のため)およびモノクローナル抗体の断片を産生するプロトコールは
、当技術分野で既知である。
【0198】ポリクローナル抗体 単一の蛋白質の不均一なエピトープに対する抗体を含むポリクローナル抗血清
は、発現された蛋白質によって適した動物を免疫することによって調製すること
ができ、これは改変しなくてもよく、または免疫原性を増強するために改変する
ことができる。有効なポリクローナル抗体の産生は、抗原および宿主の種の双方
に関連する多くの要因によって影響を受ける。例えば、低分子は、他の分子より
免疫原性が弱い傾向があり、担体およびアジュバントの使用を必要とするかも知
れない。同様に、宿主動物は接種部位および用量によって変化し、抗原用量が不
適当であっても過剰であっても抗血清の力価は低くなる。低用量(ngレベル)の
抗原を多数の皮内部位に投与すると、最も信頼できるように思われる。
【0199】 追加免疫注射は、定期的な間隔で行うことができ、抗体の力価そのものが、例
えば抗原の既知濃度に対する寒天上での二重免疫拡散によって半定量的に決定し
た場合に、減少し始めた際に抗血清を回収する。抗体の平衡濃度は通常、血清0.
1〜0.2 mg/mlの範囲(約12 μM)である。抗原に対する抗血清の親和性は、競合
的結合曲線を調製することによって決定される。
【0200】 Notch蛋白質に対する抗体を作製する第三のアプローチは、推定アミノ酸配列
に基づいて市販のペプチドシンセサイザーによって合成した合成ペプチドを用い
ることである。
【0201】 マウスのような実験動物にNotch蛋白質を発現するDNAベクターを皮下注射する
ことによって、Notch蛋白質に対する抗体を産生してもよい。組換え型ベクター
の動物への輸送は、携帯型バイオリスティック系を用いて行ってもよい。
【0202】 これらのプロトコールに従って調製した抗体調製物は、生体試料中で抗原を有
する物質の濃度を決定する定量的イムノアッセイ法において有用である;それら
は生体試料において抗原の有無を同定するために半定量的または定量的に用いら
れる。
【0203】 これらの抗体を分化誘導剤の存在下での分化の増強能、または分化誘導剤の前
に投与した場合のアポトーシス増強能に関してスクリーニングする場合、実施例
8および9を参照のこと。
【0204】実施例19 診断方法 実施例2、4および18に記載した抗Notch抗体は、腫瘍および前癌病変におい
てNotch発現を検出する診断応用において用いることができる。Notch-2、Notch-
3、またはNotch-4を認識する抗体も同様に診断に用いることができる。さらに、
抗体を用いて、抗癌療法のコースにおいてNotch発現の変化をモニターすること
ができる。
【0205】 本発明の背景において記述したように、新生物でない同じ組織タイプにおける
Notch発現と比較して、いくつかの腫瘍がNotch-1を過剰発現する。さらに、いく
つかの癌はNotch-1とNotch-2の双方を過剰発現する。実施例6に記載の方法を用
いて、抗Notch抗体は、光学顕微鏡による病理標本においてNotch発現のレベルを
決定するために用いることができる。同様に、これらの抗Notch抗体は他の組織
学的技術を用いて調製した病理標本を調べるために用いることができる。これら
の標本は、子宮頚癌、子宮生検における前悪性病変、パパニコラウスメア(実施
例20を参照)、肺癌細胞診と組織診、結腸癌の細胞診と組織診、白血病/リンパ
腫の細胞診と組織診、ならびに他の悪性疾患を含みうるが、これらに限定されな
い。
【0206】 抗Notch抗体は直接または間接的に検出することができる。抗体を直接検出す
るために、それらは検出可能な標識に直接結合する必要がある。または、抗体は
、抗Notch抗体を認識して検出可能な標識を有するもう一つの抗体を加えること
によって間接的に検出することができる。
【0207】抗体の標識 抗Notch抗体は直接検出するために様々な標識に結合させることができる(例
えば、参照として本明細書に組み入れられる、ハーロウ&レーン(Harlow and L
ane)の第9章、1988を参照のこと)。放射性標識、酵素、傾向プローブまたは
ビオチンを含んでもよいがこれらに限定しない標識は、ユーザーが利用できる検
出方法に基づいて選択する。
【0208】 抗体はヨード(125I)によって放射性標識することができ、これは低エネルギ
ーのガンマ線とX線放射を生じる。簡単に説明すると、0.5 M燐酸ナトリウム(pH
7.50)25 μl中に蛋白質10 μgを1.5 ml遠心管に入れる。これに、Na125I 500
μC、および2 mg/mlクロラミンT 25 μlを加えて、室温で60秒間インキュベー
トする。反応を停止させるため、クロラミンT停止緩衝液(2.4 mg/mlメタ重亜硫
酸ナトリウム、10 mg/mlチロシン、10%グリセロール、0.1%キシレンシアノー
ルのPBS溶液)50 μlを加える。ヨウ素添加抗体を、ゲル濾過カラムにおいてヨ
ードチロシンから単離する。
【0209】 または、抗Notch抗体は、ビオチン、アルカリフォスファターゼ(AP)もしく
はホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ(HRP)のような酵素、または蛍光色
素によって標識することができる。これらの結合物を生成する方法は、加える標
識上の反応基によって決定される。
【0210】フローサイトメトリー フローサイトメトリーを用いて、血液、吸引液、骨髄、または他の起源から得
られた無傷の生存細胞を分析することができる。細胞は、Notchの細胞外エピト
ープを認識する蛍光結合Notch抗体によって当業者に既知の方法によって標識す
る。そのような抗体は、A6、C11、およびF3を含みうるがこれらに限定されない
。フローサイトメトリーの利点は、分析前に細胞を固定または浸透させる必要が
ない点である。細胞を洗浄して非結合抗体を除去した後、PBSのような適当なフ
ローサイトメトリー緩衝液に再懸濁する。フローサイトメトリー分析によって、
細胞表面上にNotchを発現する細胞の割合を決定することができると考えられる
【0211】造影方法 凍結生検組織に関して、凍結切片を室温で融解して、アセトンによって-200℃
で5分間固定する。スライドを冷PBSで5分ずつ2回洗浄した後、風乾させる。
切片をAb溶液20〜30 μl(15〜45 μl)(PBS、2%BSAで15〜50 μg/mlに希釈
)で覆って、湿潤チャンバー内で室温にて30分インキュベートする。スライドを
冷PBSで5分ずつ3回洗浄して、簡単に(5分)風乾させてから、第二抗体溶液
(PBS、2%BSAで15〜50 μg/mlに希釈したもの)20〜30 μlを加えて、湿潤チ
ャンバー内で室温にて30分インキュベートする。第二抗体上の標識は蛍光プロー
ブ、酵素、放射性標識、ビオチン、または他の検出マーカーを含んでもよい。ス
ライドは冷PBSによって5分ずつ3回洗浄して、直ちに蒸留水に浸し、風乾させ
て、30%グリセロールを含むPBSを加える。スライドは観察するまで4℃で保存
することができる。
【0212】 電子顕微鏡のために調製する試料に関して(光学顕微鏡に対して)、第二抗体
は金粒子に結合させる。組織をエポキシプラスチックで固定および抱埋して、非
常に薄い切片(約1〜2μm)に切断する。次に標本を金属グリッドに適用して
、次に一次抗Notch-1抗体と共にインキュベートして、BSAを含む緩衝液で洗浄し
た後、金粒子(通常、5〜20 nm)に結合させた第二抗体と共にインキュベート
する。これらの金粒子は電子顕微鏡法を用いて可視化する。
【0213】 エクスビボでの造影の他に、抗Notch抗体はインビボ診断造影のために用いる
ことができる。実施例4において記載したモノクローナル抗体(A6、C11、およ
びF3)は、Notch-1の細胞外部分を認識するが、それらは内部の細胞まで浸透す
る必要はない。したがって、細胞膜を破壊する必要はない。これはインビボでの
造影に関して特に有用である。Notch-2、Notch-3、またはNotch-4の細胞外部分
を認識する類似の抗体を、実施例4または18に記載した方法を用いて作製するこ
とができる。
【0214】 放射性標識抗体は患者に静脈内投与することができる。抗体が細胞表面上でNo
tch-1を過剰発現する細胞と接触すると、抗体は結合して、放射活性シグナルを
放出する。このシグナルは、三次元画像を作製するγカメラ、β造影、陽電子射
出断層撮影(PET)またはSPECT(単光子射出コンピューター断層撮影)を含む多
くの方法において検出することができる。さらに、放射造影は術中に実施するこ
とができる。術中において、放射性標識mAb溶液を関係領域(例えば、リンパ節
、腫瘍をまさに切除した後の領域)に置き、結合させるために十分な時間放置す
る。非結合抗体を洗浄除去した後、携帯型γカウンターを用いてNotchの増加を
含む組織を検出することができる。その組織は、無作為試料を採取して病理結果
を待っている代わりに、術中に除去することができる。これによって、手術医は
より完全に腫瘍を切除することができ、より正確に癌様リンパ節を切除すること
ができる。
【0215】実施例20 パパニコラウスメアにおける子宮頚癌を検出するための抗Notch抗体の使用 Notchを認識する抗体は、パパニコラウスメアにおいてNotchを過剰発現する子
宮頚癌を検出するために用いることができる。一つの態様において、抗体はNotc
h-1またはNotch-2を認識する。もう一つの態様において、実施例4に記載した抗
Notch-1 mAbを用いて、Notch-1を過剰発現する子宮頚癌を診断してもよい。Notc
h-1に対して現在利用できる抗体は、syn3段階での子宮頚癌をNotch-1陽性である
と首尾よく診断する。しかし、子宮頚癌に発展する可能性がある軽度の前癌病変
は、Notch-1陰性であると検出される。したがって、これらの抗体は子宮頚癌の
初期段階を診断するために用いることができない。
【0216】 現在、ASCUS(重要性不明の異型扁平細胞)細胞がルーチンのパパニコラウス
メアにおいて認められる場合、それらの患者の誰が子宮頚癌を有するか、誰が有
しないかを決定する客観的な手段は現在のところないため、ほとんどの医師は生
検を推奨する。しかし、syn3/子宮頚癌であると決定される異型細胞はこれらの
症例の20%に過ぎない。これらの女性の80%が不必要な生検を受けているため、
生検を必要とする(癌様)ASCUS細胞とそうでない細胞(非癌様)を区別するこ
とができる抗体があれば、多くの不必要な生検がなくなると考えられる。現在利
用できる抗Notch-1抗体はこれを行うことができない。しかし、実施例4に記載
のmAbはこれを区別するために用いることができる。
【0217】 パパニコラウスメアによって得られる子宮頚部細胞は、顕微鏡スライドに直接
広げてもよく、または細胞をまず溶液に懸濁してから、スライドに塗末してもよ
い(より均一な細胞分布を得るために)。スライドガラスは、ハーロウ&レーン
(Harlow and Lane)(1988、参照として本明細書に組み入れられる)に記載の
標準的な方法を用いて免疫染色する。生検はNotch-1染色陽性を示したパパニコ
ラウスメアを有する患者について推奨される。または、パパニコラウスメアの初
回スクリーニングにおいて異常細胞が検出されれば、mAbを二次スクリーニング
として用いることができる。
【0218】実施例21 Notch発現細胞の濃縮 抗Notch抗体を用いて、Notchを高い量で発現する細胞を選択および/または精
製することができる。そのような細胞は、骨髄、腸もしくは呼吸器上皮、または
腫瘍細胞を含む多くの組織に由来する幹細胞を含んでもよいが、これらに限定さ
れない。そのような単離細胞は、単離、遺伝子操作を伴う、または伴わない培養
での増殖、および患者への再導入の目的のために用いることができる。
【0219】 Notch発現細胞を濃縮するために、細胞の不均一な集団をNotch抗体、例えば実
施例2、4または18に記載の抗体の有効量の存在下でインキュベートする。抗体
はNotch発現細胞に選択的に結合する。細胞を洗浄して、非結合抗体を除去した
後、抗体に結合した細胞を選択する。選択プロセスの補助として、抗体を直接ま
たは間接的に(第二抗体を用いて)放射性標識、蛍光標識してもよく、またはこ
れに磁気ビーズを結合させてもよい(実施例19を参照)。次に細胞をフローサイ
トメーターに暴露すると(抗体を蛍光プローブによって検出する場合)、抗体標
識細胞のみが同定および選択される。または、磁気ビーズで標識した細胞は結合
するが他の細胞は洗い流されるような磁場に、細胞を暴露することができる。抗
体を用いてNotchを発現する細胞を濃縮/選択するために他の方法を用いること
ができることは、当業者に明らかであると考えられる。
【0220】実施例22 免疫結合物 Notch-1、Notch-2、Notch-3、またはNotch-4のようなNotchを認識する抗体を
用いて、癌治療の方法として、薬物または毒素を免疫学的にターゲティングする
ことができる。特定の態様において、実施例4および18に記載した抗体のような
抗体はNotch-1を認識する。
【0221】 抗Notch抗体は薬物、毒素、または他の所望の物質に結合させることができる
。これらの物質は、結合される物質に存在する官能基に応じた化学反応を用いて
、化学的に結合させることができる。免疫結合体は同様に、光クロスリンク、ま
たは当業者に既知の他の方法を用いて作製することができる。もう一つのアプロ
ーチとして、組換えDNA技術を用いることができる。例えば、抗体を毒素に結合
させる場合、抗Notch抗体をコードするヌクレオチド配列を、シュードモナス(P
seudomonas)外毒素のような細菌毒素をコードするヌクレオチド配列に機能的に
結合させることができる。このように融合した配列を、インビトロで組換え型融
合蛋白質を発現する細菌の発現ベクターにライゲーションする。精製された融合
蛋白質、または免疫結合体は、実施例15に記載のように患者に投与することがで
きる。
【0222】 免疫結合体は好ましくは、インビトロおよびインビボでNotchを過剰発現する
細胞、例えば、腫瘍細胞を標的とする。これによって、Notchを過剰発現する細
胞に物質を濃縮することが可能となり、ほとんどの非腫瘍細胞を無傷のままにす
ることができる。例えば、実施例4のmAbはNotch-1の細胞外エピトープを認識す
るため、それらは細胞の外側に結合し、エンドサイトーシスによって薬剤と共に
細胞に取り込まれる。脳ではNotch-1を発現する正常細胞が存在するが、血液脳
関門のために、免疫結合物はそこまで達しないはずである。さらに、胸腺細胞は
Notch-1を発現するが、薬物によって破壊されても再生することができる。物質
は、抗体が標的とする腫瘍細胞を殺すことに基づいて選択される。
【0223】実施例23 幹細胞分化の調節 Notch-1、Notch-2、Notch-3、またはNotch-4のようなNotchを認識する抗体を
用いて、患者がこれらの細胞を投与する準備ができるまで、これらの細胞を体外
で生存維持させる目的のために、インビトロで幹細胞の分化を調節してもよい。
特定の態様において、抗体は実施例4において記述した抗Notch-1 mAbである。
【0224】 本治療は、同種異系または異種間骨髄移植のために用いることができる。骨髄
細胞は、前または後腸骨稜の骨生検を行うことによって、股関節から直接採取し
てもよい。または、骨髄細胞は、GCSFまたはナプロシンのような骨髄細胞を血液
へと動員する薬物によって患者を治療した後に、血液から採取してもよい。骨髄
細胞を採取した後、細胞の不均一な集団を骨髄幹細胞、すなわち実施例24に記載
のようなCD34+細胞について濃縮する。これらのCD34+細胞は抗体(例えば、実施
例4に記載の抗体)の有効濃度(10〜40 μg/ml)と共にインキュベートすると
、細胞を抗体とインキュベートしない場合より、CD34+細胞は体外でより長く生
存することができる。
【0225】 CD34+細胞を体外で生存させている間、残っている骨髄幹細胞を殺すために、
患者に化学療法および/または放射線療法を行ってもよい。この技法の後、濃縮
したCD34+細胞を患者に投与する。これらのCD34+細胞は遺伝子改変していてもよ
く、または改変していなくともよい。
【0226】実施例24 免疫療法において用いるための抗Notch抗体 Notch-1、Notch-2、Notch-3、またはNotch-4のようなNotchを認識する抗体を
用いてCD34+細胞の、抗原(Ag)提示細胞である樹状細胞への分化を誘導しても
よい。特定の態様において、抗体は実施例4のモノクローナル抗体である。
【0227】 この方法において、患者からの血液または骨髄を、例えば吸引によって採取し
た後、細胞をアフィニティカラム(すなわちセプレートカラム)に適用すること
のように、不均一な細胞集団からCD34+細胞を濃縮させる方法を行う。血液また
は骨髄細胞はCD34+抗体の存在下でインキュベートし、これはCD34+細胞の表面上
に限って認められる蛋白質を認識する。非結合の抗体を洗浄除去した後、第二抗
体、例えばCD34+抗体を認識するビオチン化抗体を加える。細胞を再度洗浄して
、非結合の二次抗体を除去し、アビジンを含むアフィニティカラムに供する。ビ
オチンとアビジンとの相互作用によって細胞はカラム内に保持されるが、非CD34
+細胞は溶出する。洗浄後、CD34+細胞を溶出させて回収する。これによって、CD
34+細胞に富む細胞集団が得られる。ビオチンとアビジン以外の他の系を用いる
ことができることは当業者に周知である。
【0228】 CD34+細胞の樹状細胞への分化を誘導するために、CD34+細胞を抗体(実施例4
に記載のような)の有効量と共にインキュベートする。加える抗体量は10〜40
μg/mlの範囲でありうる。さらに、細胞の健康を維持するためにサイトカインお
よび他の栄養素を加えてもよい。
【0229】 樹状細胞への分化が起こると、樹状細胞は抗原を提示する。樹状細胞は、細胞
表面上のCD83の発現を特徴とし、これは上記のフローサイトメトリー分析を用い
て検出することができる。抗原はペプチドの形で投与してもよく、これを樹状細
胞と共にインキュベートすると、ペプチドをエンドサイトーシスする。または、
樹状細胞は、所望の抗原を翻訳する遺伝子でトランスフェクトしてもよい。
【0230】 これらの抗原提示樹状細胞は免疫療法のために用いることができる、癌免疫療
法の場合、樹状細胞は抗原を提示した。さらに、この方法はワクチン療法におい
て用いることができる。特に重要なものは、免疫療法の誘導ができない療法(す
なわち、不活性なHIVペプチドを発現する)である。
【0231】 さらに、これらの抗原提示樹状細胞は、癌に対するワクチンを生成するために
用いることができる。例えば、HPVに対して有効なワクチンは患者による免疫応
答が無効であるために、現在のところない。この免疫応答を増加させる努力にお
いて、非活性HPVペプチドを提示する樹状細胞を作製して、しばしば子宮頚癌を
発症するHPV感染症に対して保護するワクチンとして患者に投与することができ
る。
【0232】実施例25 誘導された分化を増強する物質のスクリーニング方法 実施例7および8に記載した方法を用いて、分化誘導剤単独の存在下で認めら
れる分化を増強する他の物質、化合物または組成物(以降化合物と呼ぶ)を同定
することができる。簡単に説明すると、MEL細胞を分化誘導剤とスクリーニング
すべき化合物と共に4〜120時間培養する。対照には、化合物単独と分化誘導剤
単独とが含まれる。次にベンジジン染色によって細胞の分化のレベルをスクリー
ニングする。化合物および/または分化誘導剤の量は、最適な有効濃度を同定す
るために変化させることができる。
【0233】実施例26 模倣体を作製する方法 実施例4のmAbと同じNotch-1上の部位に結合して、分化誘導剤の存在下で分化
を増強する化合物のような、正常なNotch機能に影響を及ぼす化合物または他の
分子を、同定および/またはデザインすることができる。これらの非抗体化合物
または分子は、それらが抗体の生物活性を模倣するために模倣体として知られて
いる。以下の実施例はNotch-1に関して記述するが、類似の技術を他のNotch蛋白
質の機能に影響を及ぼす模倣体を発見するために応用できる。
【0234】結晶学 mAbとNotch-1との間で相互作用するアミノ酸を同定するために、Notch-1をmAb
の存在下で共結晶化する。用いることができる一つの方法は、水滴懸垂法である
。この方法では、濃縮した塩、mAbおよびNotch-1蛋白質溶液を多数のウェルから
なる培養皿の蓋の下側に適用する。濃度範囲を調べる必要があるかも知れない。
蓋は、水滴が蓋から「垂れ下がる」ように培養皿の上に置く。溶媒が蒸発すると
蛋白質の結晶が形成され、これを顕微鏡で可視化することができる。次に、この
結晶構造にX線回折またはNMR分析を行うと、互いに接触するアミノ酸残基が同定
される。抗体に接触するアミノ酸は、同じ部位で相互作用する薬物を同定するた
めに用いることができるファーマコフォアを確立する。
【0235】薬物の同定 これらのアミノ酸が同定されれば、mAbが相互作用するNotch-1の同じアミノ酸
と相互作用する薬物を同定するために、合成薬物データべース(複数の製薬企業
から使用が許可された)をスクリーニングすることができる。その上、構造活性
相関とコンピューター補助ドラッグデザインをレミントン(Remington)「薬学
の科学と実践(The Science and Practice of Pharmacy)」、第28章に記載のよ
うに実施することができる。
【0236】合成ペプチドのデザイン さらに、mAb Igの可変領域の配列から合成ペプチドをデザインすることができ
る。いくつかの異なるペプチドがこの領域から作製できる。これは結晶学データ
の有無によらず行うことができる。しかし、結晶学データが利用できる場合、mA
bより良好に結合するペプチドをデザインすることができる。
【0237】 キメラペプチドは例えば、大腸菌において組換え的に発現させてもよい。合成
ペプチドがmAbより優れている点は、それらが低分子であること、従ってより容
易に拡散して、免疫原性となりにくい点である。そのようなペプチドの標準的な
変異誘発を実施して、さらに大きい分化またはアポトーシス誘導活性を有する変
種ペプチドを同定することができる。
【0238】 Notch-1に結合する合成薬またはペプチドが同定された後、それらが分化誘導
剤の存在下で分化を増強するか否か、および/または分化誘導剤の前に加えても
迅速なアポトーシスを誘導するか否かを、実施例8および9に記載のように試験
することができる。陽性の化合物は、癌細胞がNotchを過剰発現する、癌治療の
よい候補物質となると思われる。
【0239】実施例27 抗新生物剤と併用したNotchアンチセンスの作用 アンチセンス分子を抗新生物剤と組みあわせると、細胞分化およびアポトーシ
スに対して、実施例10に記載したようにアンチセンス分子と分化誘導剤について
認められた作用と類似の作用を及ぼすか否かを調べるために、SY5Y細胞において
生物活性を調べた。実施例ではNotchアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた
場合を説明するが、Notch蛋白質機能を破壊するために抗Notch抗体を用いること
ができる。
【0240】 実施例10においてマウスNotchについて記述したように、ヒトNotch-1について
S-オリゴを作製した。Notch-1、huEGF 34/35、huLIN 12およびhuCDC-2の3つの
領域のセンス、アンチセンスおよびスクランブルS-オリゴは、マウスS-オリゴの
EGF、Lin/Notchおよびアンキリン領域に密接に対応しているため、これらを用い
た。S-オリゴの配列は以下の通りであった:
【0241】 Hu-EGF 34/35:アンチセンスGCAGGTACGAGCGTCATTCTCAC(配列番号:15);セ
ンス:GTGAGAATGACGCTCGTACCTGC(配列番号:16);スクランブル:CACTGACGTGC
ATCCTTGAGACG(配列番号:17);
【0242】 Hu-LIN 12アンチセンスAGACTGCGTGCAGTTCTTCCAGG(配列番号:18);Hu LIN 1
2センス:CCTGGAAGAACTGCACGCAGTCT(配列番号:19);Hu-LIN 12スクランブル
:GTCGGTATGTACTGC GCGTACCA(配列番号:20);
【0243】 HuCDC2:アンチセンスCCTGGTAGATGAAGTCGGAGATG(配列番号:21);Hu-CDC2セ
ンス:CATCTCCGACTTCATCTACCAGG(配列番号:22);Hu CDC2スクランブル:GTAT
CGGACGCGGTTAGAATGGA(配列番号:23)。
【0244】 神経芽細胞腫細胞株である(実施例3)SY5Y細胞を96ウェルマイクロタイター
プレートに播種してグルタミン、10%FCS、および1μM RAを含むRPMI 1640培地
で増殖させた。約60%コンフルエンスで、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチ
ド(S-オリゴ、アンチセンス、センス、およびスクランブル;実施例10参照)を
様々な濃度(25、50、75および100 μM)で加えた。その後50 ng/mlビンブラス
チン(シグマ社、セントルイス、ミズーリ州、V-1377)を半数のウェルに加えた
(予備用量範囲実験に基づく)。細胞の生存は、プロメガ社セルタイター96 ア
クエウスアッセイ法を用いて測定し、ウェル中の生存細胞を測定した。ビンカア
ルカロイド抗新生物剤ファミリーのもう一つのメンバーであるパクリタキセル(
シグマ社、セントルイス、ミズーリ州、T-1912)についても、この同じアッセイ
法を用いて調べた(50 ng/mlで)。これらの試験の結果から、アンチセンスおよ
び抗新生物剤の双方によって処置した細胞ではいずれかの単独の場合より、細胞
の生存がより大きい程度に減少することが示された。
【0245】 Notch療法(例えば、Notchアンチセンス分子、またはNotch抗体)と組みあわ
せて用いられる抗新生物剤は、承認された臨床プロトコールにおいて、例えば医
師用添付文書集(1999年編)およびギルマン(Gilman)らの「治療の薬理学的基
礎(The Pharmacological Basis of Therapeutics)」、第7版、第XIII章、「
新生物疾患の化学療法(Chemotherapy of Neoplastic disease)」カラブレシ&
パークス(Calabresi and Parks)、1240〜1306頁、1985、マクミラン出版社、
ニューヨーク、に記載のプロトコールにおいて臨床的に用いることができる。
【0246】 本発明の原理を適用してもよい多くの考えられる態様を考慮して、説明した態
様は本発明の単なる好ましい例に過ぎず、本発明の範囲を制限すると解釈しては
ならないと認識される。むしろ、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲に従う。
したがって、本発明者らは、これらの特許請求の範囲および精神に入るものは全
て本発明であると主張する。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 ヒト組換え型Notch-1 EGFリピート11および12(rh11〜12)の発
現(A)および精製(B〜C)を調べるために用いた、クーマシー染色した蛋白質
ゲルを表すデジタル画像である。a)IPTG誘導後の組換え型rh11〜12発現の経時
変化。B)rh11〜12組換え型蛋白質精製のB)還元およびC)非還元SDS-PAGE解析
。M=マーカー;l=溶解物;a=アフィニティカラムプール;s=サイズ排除カラ
ムの空隙容量溶出液;p=サイズ排除後の精製物質。矢印はrh11〜12組換え型蛋
白質のバンドを示す。
【図2】 rh11〜12に対して作製されたポリクローナル抗体の分析を示すウ
ェスタンブロットのデジタル画像である。A)Notch-1前駆物質を認識するrh11〜
12に対するポリクローナル抗体および主な切断産物(NEC);P=免疫前血清、I
=免疫血清、R=rh11〜12。B〜D)高分子量の範囲で解像度を増加させるために
、4%SDS-PAGEによるMolt-4ヒトT細胞白血病細胞におけるヒトNotch-1前駆体お
よび成熟型のより詳細な分析。ゲルは、B)2-メルカプトエタノール;C)DTTの
存在下;またはD)還元剤なし(非還元ゲル)で実行した。矢印はrh11〜12組換
え型蛋白質のバンドを示す。
【図3】 形質転換細胞におけるNotch-1 mRNAおよび蛋白質の過剰発現を示
すノザン(A)およびウェスタン(B)ブロットのデジタル画像である。J=Jurka
t細胞、N=陰性対照;CD4=CD4細胞;CD8=CD8細胞;t=総T細胞;M=Molt-4細
胞。
【図4】 レチン酸処理(RA)またはレチン酸処理を行っていない(C)ヒ
ト神経芽細胞腫(SY5Y、DAOY)、髄芽細胞腫(NGP)およびMolt-4(M)細胞株に
おけるNotch-1の発現を示すウェスタンブロットのデジタル画像である。NGP細胞
はRAによって2日間(2d)または4日間(4d)処理した。最も上の矢印はNotch-
1プレ蛋白質を示し、最も下の矢印はNECを示す。
【図5】 Notch-1蛋白質を捕獲するために、3つのモノクローナル抗体の
うち2つ(C11およびA6)、およびポリクローナル血清を用いたMolt-4細胞溶解
物の免疫沈降を示すウェスタンブロットのデジタル画像である。抗体によって沈
殿した蛋白質を、ポリクローナルNotch-1抗血清によって検出した。IP=免疫沈
降;W=ウェスタンブロッティング。
【図6】 3つのmAb(C11、A6、およびF3)が、細胞表面においてビオチン
結合に利用できるNECバンドを免疫沈降することを示すウェスタンブロットのデ
ジタル画像である。様々な抗体によって沈殿した蛋白質を、ポリクローナルNotc
h-1抗血清によって検出した。
【図7】 C11(A)またはF3(B)モノクローナル抗体によって免疫染色し
たヒト結腸腺腫様ポリープの切片を倍率200倍で示すデジタル画像である。陰性
対照を(C)に示す。
【図8Aおよび8B】 それぞれRT-PCRおよびウェスタンブロットのデジタル画
像であり、cは、HMBAがMEL細胞におけるNotch-1発現を調節することを示す折れ
線グラフである。A)HMBAの存在下(H)または非存在下(C)で4、8、24およ
び120時間でのNotch-1およびGAPDH mRNAの総レベルを得るためにRT-PCRによって
分析した総細胞RNA。B)HMBAの非存在下(C)または存在下(H)で4、24または
120時間維持したMEL細胞からのウェスタンブロットのデジタル画像。3つの免疫
反応性バンド(矢印で示す)はNotch-1抗体によって認識される。C)HMBAによる
分化誘導後120時間のMEL細胞分化の百分率。表示の時間に、MEL細胞を採取して
、分化細胞を検出するベンジジンで染色した。
【図9】 HMBA誘導MEL細胞分化に及ぼすNotch-1 mAb(C11、A6、およびF3
)の作用を示す棒グラフである。モノクローナル抗体はA)腹水、またはB)中空
のファイバーバイオリアクターを用いて作製し、プロテインAアフィニティクロ
マトグラフィーによって精製した。
【図10】 (A)Notch-1抗体A6、または(B)対照抗体IgG2bによって前処
置した後にHMBA処置を行った場合のアポトーシスに及ぼす作用を示すドットブロ
ットである。
【図11A】 EGFリピート(EGF)、lin/Notch(LIN)、またはアンキリン
(ANK)領域に対応するセンスまたはアンチセンスS-オリゴヌクレオチドに暴露
したMEL細胞の分化百分率を示す棒グラフである。
【図11B】 細胞をHMBA単独(H)およびスクランブルしたオリゴヌクレオ
チド(SCR)、センス(SEN)、またはアンチセンス(AS)LIN Notch-1 S-オリゴ
ヌクレオチドの存在下で120時間維持した場合に、生存している、またはアポト
ーシスを受けたMEL細胞集団の百分率を示す棒グラフである。
【図12】 図12Aおよび12Bは、HMBA中でA)1つの期間またはB)幾つかの
期間維持したNotch-1 AS(AS5)またはベクタートランスフェクト(V5)MEL細胞
におけるNotch-1蛋白質レベルのウェスタンブロット解析を示すデジタル画像で
ある。Notch-1細胞外バンドNECを示す。
【図13】 図13A〜Cは、HMBA中で120時間にわたって維持したベクターの
み(ベクター)またはNotch-1 ASオリゴヌクレオチド(アンチセンス)を発現す
るベクターをトランスフェクトしたMEL細胞の分化の百分率のA)時間経過であり
、BおよびC)は、HMBAのB)存在下またはC)非存在下におけるトランスフェクト
したMELクローンの増殖速度、を示すグラフである。
【図14】 図14A〜14Dは、Notch-1アンチセンスオリゴヌクレオチドを発
現するベクター(アンチセンス)、またはベクターのみ(ベクター)をトランス
フェクトしたMEL細胞のアポトーシスの百分率(A、C)または生存百分率(B、D
)を示すグラフである。細胞株はHMBAの存在下(A、B)または非存在下(C、D)
において120時間維持した。
【図15】 細胞運命決定におけるNotchについて提案された作用の概略図
である。HMBAの非存在下では、Notchは正常な増殖の際のアポトーシス閾値に影
響を及ぼす。HMBA誘導分化の際には、本質的に全ての細胞がG1ラグに入り、その
後進行的に動員されて最終分化および増殖停止へと拘束される。拘束されたMEL
細胞は一般的に、細胞分裂をさらに2〜5回繰り返してから最終分化に至る。No
tchは、予め拘束された細胞がアポトーシスを受けないように防止して、拘束段
階を通じてそれらを進行させる。ほとんどの細胞が拘束されているか、分化した
かのいずれかであるHMBA暴露の120時間後ではNotchは検出不可能であるため、No
tchが拘束細胞において細胞の運命の決定に影響を及ぼすか否かは不明である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 39/395 A61K 45/00 4C086 45/00 45/06 4C206 45/06 A61P 35/00 4H045 A61P 35/00 43/00 105 43/00 105 111 111 121 121 C07K 16/18 C07K 16/18 C12P 21/08 C12N 5/10 C12N 15/00 ZNAA // C12P 21/08 5/00 B (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD ,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL, PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,S L,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US ,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 ミエル ルチオ アメリカ合衆国 イリノイ州 ウエスト シカゴ モーニングサイド アベニュー 2エヌ771 (72)発明者 シールズ レスリー エス. アメリカ合衆国 カリフォルニア州 サン ディエゴ カプリコン ウェイ #80 8507 (72)発明者 フークス シャーナ アメリカ合衆国 メリーランド州 シェビ ー チェイス エス. パーク アベニュ ー #1106 4450 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA12 BA44 CA20 EA04 GA03 HA15 4B064 AG27 CA20 CC24 DA05 DA14 4B065 AB04 BA08 CA25 CA44 CA46 4C084 AA17 AA20 MA02 NA05 NA14 ZB211 ZB212 ZB262 ZC021 ZC022 ZC202 ZC751 4C085 AA13 AA14 BB11 CC02 4C086 AA01 AA02 BA02 CB05 MA01 MA02 MA04 MA07 NA05 NA14 ZB21 ZB26 ZC02 ZC20 ZC75 4C206 AA01 AA02 GA23 MA01 MA02 MA04 MA13 MA17 ZB21 ZB26 ZC02 ZC20 ZC75 4H045 AA11 AA30 CA41 DA76 EA28 EA51 FA72

Claims (79)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の段階を含む、標的細胞においてアポトーシスを誘導す
    る方法: 細胞が分化しつつある時期に、標的細胞をアポトーシスに至るよう誘導する、
    標的細胞におけるNotch蛋白質の細胞運命決定機能を阻害する段階。
  2. 【請求項2】 標的細胞が以下を特徴とする腫瘍細胞である、請求項1記載
    の方法: (a)Notch蛋白質の発現の増加;または (b)新生物でない同じ組織タイプにおけるNotch活性または発現と比較して、
    Notch活性または発現の増加。
  3. 【請求項3】 Notch蛋白質がNotch-1である、請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 Notch蛋白質がNotch-2である、請求項2記載の方法。
  5. 【請求項5】 腫瘍細胞が、 (a)子宮頚癌、乳癌、結腸癌、黒色種、精上皮腫、肺癌、および造血細胞悪
    性疾患からなる群より選択され;且つ (b)被験者における腫瘍細胞である、請求項2記載の方法。
  6. 【請求項6】 Notchの機能の阻害が細胞のアポトーシスを誘導するように
    、標的細胞の分化を誘導することをさらに含む、請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 標的細胞の分化を誘導することが、分化誘導剤の有効量を投
    与することを含む、請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 分化誘導剤が、レチノイド、極性化合物、単鎖脂肪酸、有機
    酸、ビタミンD誘導体、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、アラキドン酸代謝阻害剤
    、セラミド、ジアシルグリセロール、環状ヌクレオチド誘導体、ホルモン、ホル
    モン拮抗剤、および生物学的分化促進剤、ならびにその誘導体からなる群より選
    択される物質を含む、請求項7記載の方法。
  9. 【請求項9】 物質が極性ハイブリッド化合物である、請求項8記載の方法
  10. 【請求項10】 極性ハイブリッド化合物がヘキサメチレンビスアセトアミ
    ド(HMBA)である、請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 Notch蛋白質の細胞運命決定機能を阻害することが、標的
    細胞におけるNotch蛋白質の発現を阻害することを含む、請求項1記載の方法。
  12. 【請求項12】 Notch蛋白質の発現を阻害することが、Notch蛋白質の発現
    を特異的に遮断するアンチセンス分子の有効量を細胞に暴露することを含む、請
    求項11記載の方法。
  13. 【請求項13】 アンチセンス分子が、Notch遺伝子のRNA転写物の少なくと
    も一部と相補的であって、RNA転写物とハイブリダイズ可能である配列の隣接ヌ
    クレオチド少なくとも6個を含む、請求項12記載の方法。
  14. 【請求項14】 Notch遺伝子がNotch-1である、請求項13記載の方法。
  15. 【請求項15】 Notch遺伝子がNotch-2である、請求項13記載の方法。
  16. 【請求項16】 アンチセンス分子が、配列番号:6、8または11からなる
    群より選択される隣接ヌクレオチド少なくとも6個を含む、請求項13記載の方法
  17. 【請求項17】 Notch蛋白質の機能を阻害することが、Notch蛋白質の機能
    に拮抗する分子へ細胞を暴露することを含む、請求項11記載の方法。
  18. 【請求項18】 Notch蛋白質の機能に拮抗する分子が、Notchに特異的に結
    合する抗体、またはNotchに特異的に結合する結合ドメインを含む抗体の一部を
    有する、請求項17記載の方法。
  19. 【請求項19】 Notch-1の細胞外エピトープを認識して、分化誘導剤の有
    効量の存在下で標的細胞分化を刺激する、ヒトNotch-1 EGFリピート11および12
    に対して生産された抗体。
  20. 【請求項20】 抗体が、a)ATCC受託番号HB12654を有するA6と命名された
    ハイブリドーマによって分泌されるモノクローナル抗体;b)ATCC受託番号HB126
    56を有するC11と命名されたハイブリドーマによって分泌されるモノクローナル
    抗体;およびc)ATCC受託番号HB12655を有するF3と命名されたハイブリドーマに
    よって分泌されるモノクローナル抗体からなる群より選択されるモノクローナル
    抗体である、請求項19記載の抗体。
  21. 【請求項21】 a)ATCC受託番号HB12654を有するA6;b)ATCC受託番号HB1
    2656を有するC11;およびc)ATCC受託番号HB12655を有するF3からなる群より選
    択されるハイブリドーマ。
  22. 【請求項22】 抗体が、Notch-1の細胞外エピトープを認識して、分化誘
    導剤の有効量の存在下で標的細胞分化を刺激する、ヒトNotch-1 EGFリピート11
    および12に対する抗体である、請求項18記載の方法。
  23. 【請求項23】 抗体が、a)ATCC受託番号HB12654を有するA6と命名された
    ハイブリドーマによって分泌されるモノクローナル抗体;b)ATCC受託番号HB126
    56を有するC11と命名されたハイブリドーマによって分泌されるモノクローナル
    抗体;およびc)ATCC受託番号HB12655を有するF3と命名されたハイブリドーマに
    よって分泌されるモノクローナル抗体からなる群より選択されるモノクローナル
    抗体である、請求項22記載の方法。
  24. 【請求項24】 Notch蛋白質がNotch-2である、請求項18記載の方法。
  25. 【請求項25】 以下の段階を含む、Notch蛋白質の発現の増加を特徴とす
    る腫瘍細胞においてアポトーシスを誘導する方法: 腫瘍細胞を分化誘導剤に暴露することによって、腫瘍細胞の分化を誘導する段
    階;および Notchがアポトーシスを防止するために必要とされる分化の際に、Notch機能ま
    たは発現を特異的に妨害する分子を投与することによって、腫瘍細胞におけるNo
    tch機能または発現を妨害する段階。
  26. 【請求項26】 分子を投与する段階が、Notch-1蛋白質の発現を特異的に
    阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与する段階を含む、請求項25記載
    の方法。
  27. 【請求項27】 分子を投与する段階が、Notch-1蛋白質に特異的に結合し
    て、Notch-1機能を妨害する抗体を投与する段階を含む、請求項25記載の方法。
  28. 【請求項28】 分化誘導剤に腫瘍細胞を暴露する段階が、レチノイド、極
    性化合物、単鎖脂肪酸、有機酸、ビタミンD誘導体、シクロオキシゲナーゼ阻害
    剤、アラキドン酸代謝阻害剤、セラミド、ジアシルグリセロール、環状ヌクレオ
    チド誘導体、ホルモン、ホルモン拮抗剤、および生物学的分化促進剤、ならびに
    腫瘍細胞の分化を誘導するその誘導体からなる群より選択される物質の分化誘導
    量に腫瘍細胞を暴露することを含む、請求項25記載の方法。
  29. 【請求項29】 腫瘍細胞が、子宮頚癌、乳癌、結腸癌、黒色種、精上皮腫
    、肺癌、および造血細胞悪性疾患からなる群より選択される、請求項25記載の方
    法。
  30. 【請求項30】 腫瘍細胞が、Notch-1発現が増加している造血細胞悪性疾
    患または子宮頚癌である、請求項25記載の方法。
  31. 【請求項31】 腫瘍細胞を分化誘導剤に暴露する段階が、ヘキサメチレン
    ビスアセトアミド(HMBA)の分化誘導量に腫瘍細胞を暴露することを含み;且つ 分化誘導剤が治療的有効量で投与される被験者に腫瘍細胞が存在する、請求項
    25記載の方法。
  32. 【請求項32】 分子を投与する段階が以下を含む、請求項25記載の方法: Notch-1の細胞外エピトープを認識して、分化誘導剤の有効量の存在下で標的
    細胞分化を刺激する、ヒトNotch-1 EGFリピート11および12に対して生産された
    抗体の治療的有効量を投与する段階;ならびに 続いて分化誘導剤の治療的有効量を投与する段階。
  33. 【請求項33】 分子を投与する段階が、Notch-2蛋白質の発現を特異的に
    遮断するアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与する段階を含む、請求項20記載
    の方法。
  34. 【請求項34】 モノクローナル抗体が、a)ATCC受託番号HB12654を有する
    A6と命名されたハイブリドーマによって分泌されるモノクローナル抗体;b)ATC
    C受託番号HB12656を有するC11と命名されたハイブリドーマによって分泌される
    モノクローナル抗体;およびc)ATCC受託番号HB12655を有するF3と命名されたハ
    イブリドーマによって分泌されるモノクローナル抗体からなる群より選択される
    、請求項32記載の方法。
  35. 【請求項35】 分化誘導剤とモノクローナル抗体が治療的有効量で個別に
    投与される被験者に、腫瘍細胞が存在する、請求項25記載の方法。
  36. 【請求項36】 以下の段階を含む、標的細胞における分化を刺激する方法
    : 分化誘導剤の治療的有効量を投与する段階;および Notch-1の細胞外エピトープを認識して、分化誘導剤の有効量の存在下で標的
    細胞分化を刺激する、ヒトNotch-1 EGFリピート11および12に対して生産された
    抗体の治療的有効量を投与する段階。
  37. 【請求項37】 抗体が、a)ATCC受託番号HB12654を有するA6;b)ATCC受
    託番号HB12656を有するC11;およびc)ATCC受託番号HB12655を有するF3からなる
    群より選択されるハイブリドーマによって分泌されるモノクローナル抗体であり
    、且つ標的細胞がNotch-1蛋白質の発現の増加を特徴とする腫瘍細胞である、請
    求項36記載の方法。
  38. 【請求項38】 標的細胞が、新生物でない同じ組織タイプにおけるNotch-
    1活性または発現と比較して、Notch-1活性または発現が増加していることを特徴
    とする、請求項36記載の方法。
  39. 【請求項39】 標的細胞が被験者における腫瘍細胞である、請求項36記載
    の方法。
  40. 【請求項40】 標的細胞が、子宮頚癌、乳癌、結腸癌、黒色種、精上皮腫
    、肺癌、および造血細胞悪性疾患細胞からなる群より選択される、請求項36記載
    の方法。
  41. 【請求項41】 分化誘導剤が、レチノイド、極性化合物、単鎖脂肪酸、有
    機酸、ビタミンD誘導体、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、アラキドン酸代謝阻害
    剤、セラミド、ジアシルグリセロール、環状ヌクレオチド誘導体、ホルモン、ホ
    ルモン拮抗剤、および生物学的分化促進剤、ならびにその誘導体からなる群より
    選択される物質を含む、請求項36記載の方法。
  42. 【請求項42】 分化誘導剤が極性ハイブリッド化合物またはHMBAである、
    請求項36記載の方法。
  43. 【請求項43】 極性ハイブリッド化合物がヘキサメチレンビスアセトアミ
    ド(HMBA)である、請求項42記載の方法。
  44. 【請求項44】 分化を刺激する段階が、最終分化を刺激してその後アポト
    ーシスが起こることを含む、請求項36記載の方法。
  45. 【請求項45】 標的細胞の分化を刺激することが、同様に、細胞のアポト
    ーシスを誘導するNotch-1の機能も阻害する、請求項36記載の方法。
  46. 【請求項46】 以下の段階を含む、腫瘍が腫瘍細胞におけるNotch蛋白質
    の過剰発現を特徴とする、被験者において腫瘍を治療する方法: 腫瘍における細胞の少なくとも部分的な分化を誘導するために十分量の分化誘
    導剤を被験者に投与する段階: Notch発現を特異的に妨害する分子の治療的有効量を被験者に投与する段階。
  47. 【請求項47】 分子がNotch-1に対する抗体、および腫瘍細胞におけるNot
    ch-1の発現を特異的に妨害するオリゴヌクレオチドからなる群より選択される、
    請求項46記載の方法。
  48. 【請求項48】 分子が配列番号:2、4、または7の群より選択されるア
    ンチセンスオリゴヌクレオチドであり、分化誘導剤がHMBAである、請求項47記載
    の方法。
  49. 【請求項49】 分子がNotch-2に対する抗体および腫瘍細胞におけるNotch
    -2の発現を特異的に妨害するオリゴヌクレオチドからなる群より選択される、請
    求項46記載の方法。
  50. 【請求項50】 分子が請求項15記載のモノクローナル抗体であり、且つ分
    化誘導剤がHMBAである、請求項46記載の方法。
  51. 【請求項51】 抗体が、a)ATCC受託番号HB12654を有するA6;b)ATCC受
    託番号HB12656を有するC11;およびc)ATCC受託番号HB12655を有するF3からなる
    群より選択されるハイブリドーマによって分泌されるモノクローナル抗体であり
    、且つ分化誘導剤がHMBAである、請求項46記載の方法。
  52. 【請求項52】 Notchに対して生産された抗体を用いることを含む、新生
    物でない同じ組織タイプにおけるNotchレベルと比較して、Notchを過剰発現する
    腫瘍細胞を診断し進行期を決定する方法。
  53. 【請求項53】 免疫染色のために、Notch-1の細胞外エピトープを認識し
    て、分化誘導剤の有効量の存在下で標的細胞の分化を刺激する、ヒトNotch-1 EG
    Fリピート11および12に対して生産された抗体を用いることを含む、請求項52記
    載の方法。
  54. 【請求項54】 抗体が、a)ATCC受託番号HB12654を有するA6と命名された
    ハイブリドーマによって分泌されるモノクローナル抗体;b)ATCC受託番号HB126
    56を有するC11と命名されたハイブリドーマによって分泌されるモノクローナル
    抗体;およびc)ATCC受託番号HB12655を有するF3と命名されたハイブリドーマに
    よって分泌されるモノクローナル抗体からなる群より選択されるモノクローナル
    抗体である、請求項53記載の方法。
  55. 【請求項55】 抗体が、a)ATCC受託番号HB12654を有するA6;b)ATCC受
    託番号HB12656を有するC11;およびc)ATCC受託番号HB12655を有するF3からなる
    群より選択されるハイブリドーマによって分泌されるモノクローナル抗体である
    、請求項53記載の方法。
  56. 【請求項56】 腫瘍が子宮頚癌である、または腫瘍細胞がパパニコラウス
    メアに存在する、請求項52記載の方法。
  57. 【請求項57】 プラスミドpLD101を用いて抗体を生産する方法。
  58. 【請求項58】 抗体が、 モノクローナル抗体;または Notch-1 EGFリピート11-12を認識するモノクローナル抗体である、請求項57記
    載の方法。
  59. 【請求項59】 物質および分子が抗新生物有効量で存在する、分化誘導剤
    と、Notch蛋白質の発現または細胞の運命決定機能を特異的に妨害する分子とを
    含む、薬学的組成物。
  60. 【請求項60】 請求項59記載の薬学的組成物において、 分子が、Notch遺伝子のRNA転写物の少なくとも一部と相補的であって、RNA転
    写物とハイブリダイズ可能である配列からのヌクレオチド少なくとも6個を含む
    オリゴヌクレオチドを含み;且つ 分化誘導剤が、レチノイド、極性化合物、単鎖脂肪酸、有機酸、ビタミンD誘
    導体、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、アラキドン酸代謝阻害剤、セラミド、ジア
    シルグリセロール、環状ヌクレオチド誘導体、ホルモン、ホルモン拮抗剤、およ
    び生物学的分化促進剤、ならびに分化を誘導するその誘導体からなる群より選択
    される、薬学的組成物。
  61. 【請求項61】 分子が配列番号:6、8または11の群から選択されるオリ
    ゴヌクレオチドを含む、請求項59記載の薬学的組成物。
  62. 【請求項62】 分子が、a)ATCC受託番号HB12654を有するA6と命名された
    ハイブリドーマによって分泌されるモノクローナル抗体;b)ATCC受託番号HB126
    56を有するC11と命名されたハイブリドーマによって分泌されるモノクローナル
    抗体;およびc)ATCC受託番号HB12655を有するF3と命名されたハイブリドーマに
    よって分泌されるモノクローナル抗体からなる群より選択されるモノクローナル
    抗体である、請求項60記載の薬学的組成物。
  63. 【請求項63】 抗体が分化誘導剤の十分量の存在下で、標的細胞の分化を
    刺激するために十分な治療的有効量のモノクローナル抗体である、請求項19記載
    の抗体を含む薬学的組成物。
  64. 【請求項64】 (a)レチノイド、極性化合物、単鎖脂肪酸、有機酸、ビ
    タミンD誘導体、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、アラキドン酸代謝阻害剤、セラ
    ミド、ジアシルグリセロール、環状ヌクレオチド誘導体、ホルモン、ホルモン拮
    抗剤、および生物学的分化促進剤、ならびにその誘導体からなる群より選択され
    る分化誘導剤の治療的有効量と; (b)薬学的に許容される担体とをさらに含む、請求項63記載の薬学的組成物
    。。
  65. 【請求項65】 分化誘導剤がHMBAである、請求項63記載の薬学的組成物。
  66. 【請求項66】 モノクローナル抗体が、a)ATCC受託番号HB12654を有する
    A6;b)ATCC受託番号HB12656を有するC11;およびc)ATCC受託番号HB12655を有
    するF3からなる群より選択されるハイブリドーマによって分泌されるモノクロー
    ナル抗体である、請求項63記載の薬学的組成物。
  67. 【請求項67】 Notchに特異的に結合する抗体、またはその結合ドメイン
    を含む抗体の一部、またはa)ATCC受託番号HB12654を有するA6と命名されたハイ
    ブリドーマによって分泌されるモノクローナル抗体;b)ATCC受託番号HB12656を
    有するC11と命名されたハイブリドーマによって分泌されるモノクローナル抗体
    ;およびc)ATCC受託番号HB12655を有するF3と命名されたハイブリドーマによっ
    て分泌されるモノクローナル抗体からなる群より選択されるモノクローナル抗体
    、からなる群より選択される抗体を含む、薬学的組成物。
  68. 【請求項68】 抗体がモノクローナル抗体であって、標的細胞が子宮頚癌
    、乳癌、結腸癌、黒色種、精上皮腫、肺癌、および造血細胞悪性疾患からなる群
    より選択される、請求項19記載の抗体。
  69. 【請求項69】 腫瘍細胞の分化が誘導された場合に、ポリクローナル抗体
    に細胞を暴露すると細胞のアポトーシスが誘導されるように、Notch-1の細胞外
    エピトープを認識し、Notch-1を過剰発現する腫瘍細胞の分化を誘導する生物活
    性ヒトNotch-1 EGFリピート11および12に対して生産されたポリクローナル抗体
  70. 【請求項70】 生物活性ヒトNotch-1 EGFリピート11および12が、ジスル
    フィド結合を切断するように還元されない、請求項69記載のポリクローナル抗体
  71. 【請求項71】 請求項19記載のいずれかの抗体を分泌するハイブリドーマ
  72. 【請求項72】 標的細胞におけるアポトーシスを増強する時期に、もう一
    つの抗新生物剤の治療的有効量によって標的細胞を処置する段階をさらに含む、
    請求項1記載の方法。
  73. 【請求項73】 他の抗新生物剤がビンカアルカロイドを含む、請求項72記
    載の方法。
  74. 【請求項74】 ビンカアルカロイドが、ビンブラスチン、パクリタキセル
    、およびビンクリスチンからなる群より選択される、請求項73記載の方法。
  75. 【請求項75】 抗新生物剤が、細胞が分化しつつある時期に、標的細胞に
    おけるNotch蛋白質の細胞運命決定機能を阻害するために投与される物質と実質
    的に同時に投与されて、標的細胞がアポトーシスに至るように誘導する、請求項
    72記載の方法。
  76. 【請求項76】 以下の段階を含む、Notch蛋白質の発現の増加を特徴とす
    る腫瘍細胞におけるアポトーシスを誘導する方法: 第一の抗新生物剤の治療的有効量を、腫瘍を有する被験者に投与する段階;お
    よび 第一の抗新生物剤の作用を増強する時期に、Notch機能または発現を特異的に
    妨害する分子を投与することによって、アポトーシスを予防するためにNotchが
    必要とされる分化の際のある時期に、腫瘍の細胞におけるNotch機能または発現
    を妨害する段階。
  77. 【請求項77】 分子を投与する段階が、Notch蛋白質の発現を特異的に遮
    断するアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与することを含む、請求項76記載の
    方法。
  78. 【請求項78】 分子を投与する段階が、Notch蛋白質に特異的に結合して
    、Notch機能を妨害する抗体を投与することを含む、請求項76記載の方法。
  79. 【請求項79】 腫瘍が、子宮頚癌、乳癌、結腸癌、黒色種、精上皮腫、肺
    癌、および造血細胞悪性疾患からなる群より選択される、請求項76記載の方法。
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