JP2002524721A - 個人セルバンク、特にｄｎａ−分析に関する遺伝子分析調査用の個人セルバンクの作成及び維持するための装置及び方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 特にＤＮＡ−分析に関する遺伝子分析調査用の材料の保管のための、特に個人セルバンクの作成及び維持のための装置において、密封可能な、材料の後充填及び／又は外部充填を行えない材料収容部（４）が設置されている。この場合、保管すべき材料に保存剤をてんかすることによる、前記の装置の使用下で、特にＤＮＡ−分析に関する遺伝子分析調査用の材料の保管のための、特に個人セルバンクの作成及び維持する方法が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 本発明は、請求項１の上位概念の特徴を有する、個人セルバンク、特にＤＮＡ
−分析に関する遺伝子分析調査用の個人セルバンクを作成及び維持するための装
置に関する。

【０００２】 先行技術によると、例えば強姦事件の犯人捜査のために容疑者からいわゆる唾
液試料を採取する。実際は、頬粘膜組織採取であり、粘膜から綿棒を用いて細胞
材料を取り出し、試料容器中へ入れる。実験室中でこの細胞材料は単離され、適
当な調製方法を経てＤＮＡ−分析にかけられる。こうして得られた「遺伝子の指
紋」は、犯行現場で精液試料又は血痕が検出できた場合に、比較試験のために参
照される。

【０００３】 鑑識が実施するか、関連機関が実施する分析法には、一連のＤＮＡ−分析法が
存在する。

【０００４】 実際に、発見された遺体に関する特徴、例えば歯の治療痕がない場合には、従
来の法的身元確認法及び診断法は実施できないか又は実施するのが困難である。

【０００５】 ＤＮＡ−分析の使用も、行方不明者から参照材料が提供されている場合に使用
できるにすぎない。鑑識の調査において行方不明者の個人的環境から材料、例え
ば毛髪（毛根分析）又は血痕を探し出さなければならないことが重要である。こ
のための経費は分析効率に見合わない。

【０００６】 これは、法的な規定の他に、純粋に個人的理由で、特に危険にさらされる人た
ち、例えば旅行者、子供、兵士（この場合は規定）、「赤十字」の構成員などの
ために事前措置を講じる場合に有利である。

【０００７】 本発明による思想は、このような個人に関連する措置を可能にする装置及び方
法を提供することである。

【０００８】 細胞材料の採取はこの場合、正式に許可された場所（薬局又は開業医）で行わ
れる。細胞内容物を有する装置の保管所は個人の手元に置かれるか、このような
処置に興味があり、正当に許可された機関に置かれる。

【０００９】 依頼場所に応じてこの装置はその内部に細胞材料（例えば口内粘膜細胞）を収
容し、その際、同時に系内で材料の保存が進行し、この装置は持続的に、つまり
数年の経過の後でもなお分析可能な細胞を提供する。

【００１０】 このことは、数十年にわたりアルコール溶液中で貯蔵された細胞試料が、形態
学的特徴も、その定量的に測定可能なＤＮＡも失わないことにより実現される。

【００１１】 提供者の個人データも試料に記録することが本発明による装置に求められるた
め、ベース支持体として図１及び図３に示したチェックカード１の形状が選択さ
れる。

【００１２】 カード１の前面２の２／３は、この場合データ記録媒体として用いられる。図
１に示したようにカード１の１／３には直径２０ｍｍの孔３が開けられており、
この孔は図２及び１に示したように扁平形のカプセル４が収容され、開口３内の
周縁部に嵌合される。

【００１３】 平坦なカプセル容器４はガス及び水を透過しないプラスチックから製造され、
２つのシャーレ部分５，６から構成され、このシャーレ部分は上側部分及び下側
部分５，６と呼ばれる。シャーレの下側部分は４ｍｍの凹設部７を有しており、
外側に約３ｍｍの深さに周設された縁部区域８を備え、この縁部区域は約２ｍｍ
の厚さを有する。

【００１４】 下側部分５がカードの孔３内に下方から挿入された場合、この下側部分にはカ
ード孔周縁部９に迫台部が見られる。カード１を（ここに挙げた例では約０．７
ｍｍの厚さを有する）突き抜ける下側シャーレ周縁部１０はカード前面２から突
出し、２ｍｍである。

【００１５】 シャーレ周縁部１０はその外側でカード表面２のすぐ上方に溝部１１が周設さ
れている。カプセル４のシャーレ上側部分６は、円形縁部１２によって下側シャ
ーレ周縁部１０と同一面に重なるような直径に設計されている。上側部分周縁部
１２の内側に周設された隆起部１３は、下側部分５に上側部分６を押し込む際に
押圧力により下側シャーレ周縁部１０の周設された溝部１１内へ押し込まれるよ
うに設計されている。

【００１６】 それにより、試料カプセル４は強固にかつ液密に密封され、カード孔３中での
固定は動かないように保障される。

【００１７】 試料材料をカプセル４から分析のために取り出す場合、図２に示した右側のカ
ード縁部１４を切断し、カプセル４を側面からてこの作用でこじ開けることによ
ってのみ可能である。

【００１８】 それにより、誤用、例えば後から個人に関連しない誤った充填は予防される。

【００１９】 特別な実施態様において、カプセル４は別々の材料支持体（データカードなし
）として使用される。この場合、カプセル４の形状に適合する円形のデータ支持
体が提供され、カプセルの下側及び上側に設置される。

【００２０】 前記の実施態様は新生児の身元保障のを望む場合に適用される。

【００２１】 このため新生児用に血液滴をフリース支持体状に載せる。これを乾燥させた後
にメタノール滴で固定し、再度乾燥後にカプセル内へ入れ、密封する。本発明に
よる装置は、母親と子供との血液試料を別個に隔てられた半円部内へ入れるため
に、この使用目的のために二室として構成される。導入された試料は子供の取り
違えの疑いがある場合、遺伝子分析による身元の調査のために各時点で取り出す
ことができる。

【００２２】 このカプセルもしくは二室カプセルは、密封状態で下側部分と上側部分との間
に周設された溝（これはカードを使用する場合に空所として生じる）は懸吊補助
部として利用されるように設計され、その結果、このカプセルは乳児の名前を標
したリボンと糸で固定することができる。この場合でもカプセル表面は常にデー
タ記録媒体として利用することができる。

【００２３】 もちろん最初に記載された実施例の場合にカプセル４を二室に構成することも
できる。

【００２４】 最後に、単独のカプセルを装飾の目的又は記念の目的に利用することもでき、
その際、材料の形成は多様に構成することができる。この純粋に個人的な使用法
のために利用者はカプセルの内容物を決定できる。これは例えば液体又は固体と
して構成されていてもよい。例えば海水、砂、毛髪、友人の細胞などであっても
よく、密封したカプセルは力ずくで開けることはできても再び密封はできない。

【００２５】 本発明による装置を準備する優先的思想は、法医学の範囲内での適応にあり、
そのためＤＮＡ−分析の調製の方向で材料を入手するために特別の方法工程が仕
上げられる。実際は、特別な口内粘膜細胞が分析的ＤＮＡ−判定のために適して
いることが示され、特に、それによりこの材料は費用をかけずかつ提供者に不快
感なしに作成することができるか又は入手することができる。

【００２６】 本発明による装置１に関して、従って柄に付けた担持脱脂綿を用いるか又は解
剖用ピンセットで握持した円形のフリース板を介する採取法が適用される。

【００２７】 担持脱脂綿を用いて頬粘膜が採取される。カプセルの下側部分５中に滴加ピペ
ットで８０％のアルコールを装入し、その結果この半分まで満たす。アルコール
性の液体中に、材料を担持する綿球を濯ぎ、その際、細胞材料は溶液中へ移され
る。その後カプセル４を即座に密封する。フリース円板（カプセル４の内径に一
致する直径）を細胞の採取のために使用する場合、前記フリース円板をこれに付
着する細胞と共にカプセル中に装入し、アルコールを一杯まで滴加する。カプセ
ル４の封鎖後に、この技術の場合、材料は湿った室中に置かれ、持続的に保存さ
れる。下側部分及び上側部分からなるカプセル４中では毛根材料を格納すること
もできる。乾式保管が通常であるが、ここではアルコールでぬらすのが推奨され
る。

【００２８】 フリース円板に付着した細胞材料、例えば口内粘膜細胞はカード支持体中に設
けられた平坦な凹設部中に保管することもできる。この凹設部は円板の直径及び
厚さに適合している。細胞を担持するフリース円板は、細胞層が下に向くように
設置される。保存及び／又は固定の目的で材料担持物にポリマー混合物、例えば
ＰＶＡ／セルローズを吹き付ける。こうして封入された材料、細胞又は毛髪はポ
リマーの乾燥後に持続的に保存され、遺伝子分析調査のために溶剤、例えばアル
コールを用いてポリマー層から洗い出される。

【００２９】 本発明による装置中でデータ記録媒体及びカプセル支持体として設けられたカ
ード１５は一体のセル室１６と一緒に射出成型法で製造することもできる。その
際、製造方法において下側カード１７及び上側カード１８が製造され、超音波溶
接により組み立てられる。

【００３０】 カード半部の３等分した第３の部分には、長さ３０ｍｍ及び幅３ｍｍ及び深さ
１．５ｍｍの溝部１９が設けられている。両方のカード半部１７，１８を組み立
てる際に、合同に室が生じる。１．５ｍｍのカードの厚さの場合、隆起部を有す
る溝部がカード上側部及び下側部２，２０から１．５ｍｍだけ突出する。

【００３１】 カード上側部２上に室は搬入開口部及び搬出開口部を有する。この開口部（搬
入開口部）に液滴が置かれた場合、この液滴は毛管力により室１６内へ引き込ま
れる。室の開口部が両方とも溶接により閉ざされるかもしくは封印により閉ざさ
れる場合、封止された容器が生じ、この容器内に懸濁液からなる細胞試料が密封
され、後のＤＮＡ−分析のために提供することができる。

【００３２】 図４によるもう一つの実施態様では、この室２１は半分の溝として構成され、
この場合、収容容量は半分に減少する。

【００３３】 射出成形カード１５の前面２はデータ記録媒体として利用され、その背面は広
告記録媒体として利用することができる。

【００３４】 この装置は次に、例えば口内粘膜細胞を担持脱脂綿からアルコール性媒体に移
行させる場合に有利に使用できる。室充填はピペットを用いて試料容器から直接
行う。

【００３５】 この装置の全てのバリエーションはねつ造に対する安全性の要求が高められて
いる、それというのも後充填及び／又は外部充填を行えないためである。カード
の前面に印字された全てのデータは提供者により自由に提供されるが、暗号化さ
れた形で運用することもできる。

【００３６】 提供者は正面に写真を貼るかどうかも決められる。

【００３７】 こうして装填されたカードは医学的データを有していてもよい、例えば血液型
（Ｒｈ因子）、緊急時、例えば糖尿病の場合に導入する医学的処置等。

【００３８】 実際は提供者には２枚のカードの装填が提案され、一方のカードは個人的領域
（又は勤務場所）で、他方は身元証明書（身分証明書）と一緒に携帯することが
できる。

【００３９】 鑑識による使用目的のために、カードの全体の表面はセルロースからなる層で
被覆することもでき、その結果、このカード状に個人データ及び遺伝子材料の他
に個人の指紋を貼ることもできる。カードのこの実施態様は凹設部及び孔空間を
設置せず、細胞材料をこの表面に直接プリントし、ポリマーを吹き付けることに
より固定する。この実施態様における担持カードは材料の適用後に全体の層面に
わたり自己接着性の透明層シートで覆われる。遺伝子分析のために細胞を再び獲
得するために、支持体フィールドを切断、被覆シートの引き剥がし及び細胞材料
の例えばアルコール溶液による洗浄により行う。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明による装置の１実施態様の上から見た図

【図２】 図１に示された本発明による装置の部分断面図

【図３】 本発明による装置の１実施態様の上から見た図

【図４】 図３に示された本発明による装置の１実施態様の部分断面図

【図５】 図３に示された本発明による装置の１実施態様の部分断面図

【符号の説明】

１ 装置、 ４，１６，２１ 材料収容部

Claims (20)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 材料を貯蔵するための、特に個人セルバンク、特にＤＮＡ−
   分析に関する遺伝子分析調査用の個人セルバンクを作成及び維持するための装置
   において、密封可能な、材料の後充填及び／又は外部充填を行えない材料収容部
   （４；１６；２１）を備えていることを特徴とする材料を貯蔵するための装置。
2. 【請求項２】 材料収容部がカプセル（４）として構成されている、請求項
   １記載の装置。
3. 【請求項３】 材料収容部がキャピラリー試料室（１６；２１）として構成
   されている、請求項１及び２記載の装置。
4. 【請求項４】 材料収容部（４；１６；２１）が一体の形で構成されている
   、請求項１から３までのいずれか１項記載の装置。
5. 【請求項５】 材料収容部（４；１６；２１）が少なくとも２つの部分から
   構成されている、請求項１から３までのいずれか１項記載の装置。
6. 【請求項６】 材料収容部（４；１６；２１）が少なくとも２つの相互に別
   個の収容断片部／収容室を有する、請求項１から５までのいずれか１項記載の装
   置。
7. 【請求項７】 装置（１）がチェックカードの形に構成されており、少なく
   とも１つの材料収容断片部を有し、カード（１５）及び材料収容部（４；１６；
   ２１）は相互に連結可能に構成されている、請求項１から６までのいずれか１項
   記載の装置。
8. 【請求項８】 装置（１）がチェックカードの形に構成されており、材料収
   容部（１６；２１）がチェックカード（１５）の一部である、請求項１から６ま
   でのいずれか１項記載の装置。
9. 【請求項９】 チェックカード（１５）が少なくとも２つの部分から構成さ
   れている、請求項１から８までのいずれか１項記載の装置。
10. 【請求項１０】 チェックカード（１５）がサンドウィッチ構造に構成され
    ており、特に超音波溶接により相互に溶接された下側カード及び上側カード（１
    ７，１８）から形成されている、請求項９記載の装置。
11. 【請求項１１】 室（１６；２１）がチェックカード（１５）の一体の構成
    部分である、請求項１から１０までのいずれか１項記載の装置。
12. 【請求項１２】 室（２１）が、少なくとも２つの部分から構成されたチェ
    ックカード（１５）の上側カード（１８）の一体の構成部分である、請求項１か
    ら１１までのいずれか１項記載の装置。
13. 【請求項１３】 材料収容部（４；１６；２１）が装填後及び密封前に排気
    可能及び真空に設定可能に構成されている、請求項１から１２までのいずれか１
    項記載の装置。
14. 【請求項１４】 室（１６；２１）の搬入開口部及び搬出開口部が迅速に乾
    燥する液体ポリマーによって封止され、密封可能に構成されている、請求項１か
    ら１３までのいずれか１項記載の装置。
15. 【請求項１５】 個人セルバンク、特に特にＤＮＡ−分析に関する遺伝子分
    析調査用の個人セルバンクを特に請求項１から１４までのいずれか１項記載の装
    置を使用するために作成及び維持する方法において、保管すべき材料に保存剤を
    添加することを特徴とする個人セルバンクを作成及び維持する方法。
16. 【請求項１６】 材料に８０％のアルコールを添加する、請求項１５記載の
    方法。
17. 【請求項１７】 カプセル（４）及び／又はキャピラリー試料室（１６；２
    １）中へ液体の調査材料を導入し、その中に密封する、請求項１５又は１６記載
    の方法。
18. 【請求項１８】 貯蔵すべき材料、例えば口内粘膜を取り出し、カプセル（
    ４）中へ滴下ピペットを用いて８０％のアルコールを装入し、アルコール性の液
    体中で材料を担持する綿棒をすすぎ、次の工程でカプセルを密封する、請求項１
    ５から１７までのいずれか１項記載の方法。
19. 【請求項１９】 貯蔵すべき細胞材料を有するフリース円板をカプセル（４
    ）中へ入れ、アルコールを十分に添加し、フリース円板を入れ、例えばアルコー
    ルを十分に添加した後にカプセルを密封する、請求項１５から１８までのいずれ
    か１項記載の装置。
20. 【請求項２０】 室の充填をピペットを用いて行う、請求項１５から１７ま
    でのいずれか１項記載の方法。