JP2002523056A - Homer相互作用タンパク質 - Google Patents

Homer相互作用タンパク質

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JP2002523056A JP2000566456A JP2000566456A JP2002523056A JP 2002523056 A JP2002523056 A JP 2002523056A JP 2000566456 A JP2000566456 A JP 2000566456A JP 2000566456 A JP2000566456 A JP 2000566456A JP 2002523056 A JP2002523056 A JP 2002523056A
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リーイー,ダニエル
ベネケン,ジュッタ
ラナハン,アンソニー,エー.
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ザ ジョンズ ホプキンス ユニバーシティー スクール オブ メディシン
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Abstract

(57)【要約】 細胞表面受容体または細胞内受容体が介在する、Homerと関連した細胞応答反応をモジュレートする化合物の同定方法を提供する。さらに、Homerと関連した受容体活性化カルシウム動員をモジュレートする化合物の同定方法を提供する。Homerタンパク質結合ドメインの結晶構造座標に基づいて、Homerタンパク質活性を阻害する化合物の同定方法を提供する。また、細胞表面受容体のクラスター形成に影響を及ぼす化合物の同定方法も提供する。さらに、Homerタンパク質をコードする核酸、ならびにHomerタンパク質およびHomer相互作用タンパク質も提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】連邦政府により支援された研究についての声明 本発明は、国立衛生研究所(National Institutes of Health)により与えら
れた承認番号RO1 DA10309, RO1 DA11742およびKO2 MH01152の下で政府に支援さ
れ、なされた。政府は本発明に一定の権利を有する。
【0002】発明の分野 本発明は一般に、タンパク質同士の相互作用に関し、特に、媒介受容体が活性
化された、またはインチャンネルを媒介とする、細胞内のカルシウム動員または
濃度に関与する分子に関する。
【0003】発明の背景 成熟した中枢神経系は、特定の神経回路の活動の機能として細胞の相互作用を
変化させる能力を示す。この能力は、学習および記憶、加齢に伴う記憶力の低下
、薬物乱用(誤用)に対する耐性および依存性、脳障害からの回復、てんかん、
ならびに脳の生後の発育のアスペクトの基礎となると考えられる(Schatz, C.,
Neuron, 5: 745, 1990)。近年では、学習および記憶において、活性依存的なシ
ナプスの可塑性の役割が最も理解されている。活性依存的可塑性の基礎となる細
胞のメカニズムは、伝達物質により急速に誘導される膜伝導特性の変化および細
胞内シグナル伝達経路の活性化により開始されることが知られている(Blissお
よびCollingridge, Nature, 361: 31, 1993)。また幾つかの証拠は、長期神経
可塑性におけるmRNAおよびタンパク質の急速な合成の役割も示す。例えば、学習
および記憶のための古典的な研究は、短期記憶ではなく長期記憶におけるタンパ
ク質合成のための必要条件を示し(Flexnerら、Science、141: 57, 1963; Agran
off, B., Basic Neurochemistry, 3rd Edition, 1981; DavisおよびSquire, Phy
siol. Bull., 96: 518, 1984)、および培養した無脊椎動物のニューロン(Mont
aroloら、Science, 234, 1249, 1986; Baileyら、Neuron, 9:749, 1992)または
げっ歯類海馬(Freyら、Science, 260: 1661, 1993; Nguyenら、Science, 265:
1104, 1994)で研究したシナプス結合の長期増強は、RNAまたはタンパク質合成
のいずれかのインヒビターにより遮断される。重要なことは、高分子合成のイン
ヒビターは、条件付け刺激を取り巻く短い時間帯の間に投与されるときに最も効
果を発揮し、急速に誘導される分子のために特別必要な要件が示されることであ
る(Goeletら、Nature, 322: 419, 1986)。
【0004】 前初期遺伝子(IEG)は、神経伝達物質の刺激およびシナプスの活動によりニ
ューロン内で急速に誘導され、長期可塑性に必要な高分子応答の一部であると仮
定されている(Goeletら(前掲); ShengおよびGreenberg, Neuron, 4: 477, 19
90; SilvaおよびGiese, Neurobiology, 4: 413, 1994)。脊椎動物の脳において
長期可塑性に貢献し得る細胞のメカニズムを同定するために、ディファレンシャ
ルクローニング技術を用いて、脱分極刺激により急速に誘導される遺伝子を同定
した(Nediviら、Nature, 363: 713, 1993; Qianら、Nature, 361: 453, 1993;
Yamagataら、Neuron, 11: 371, 1993; Yamagataら、Learning and Memory 1: 14
0, 1994; Yamagataら、Journal of Biological Chemistry, 269: 16333, 1994;
AndreassonおよびWorley, Neuroscience, 69: 781, 1995; Lyfordら、Neuron, 1
4: 433, 1995)。初期の頃は転写因子に対して焦点が絞られていたのに対し、新
しく特徴付けされたIEGの多くは、細胞の機能を直接修飾することができる分子
を表し、例えば、増殖因子(Nediviら(前掲)、AndreassonおよびWorley(前掲
))、細胞外基質を修飾することができる組織プラスミノーゲンアクチベータ等
の分泌酵素(Qianら(前掲))、細胞内シグナル伝達に関与するプロスタグラン
ジンシンターゼ等の酵素(Yamagataら(前掲))、およびRhebと呼ばれるH-Ras
の新規な相同体(Yamagataら(前掲))、ならびにArcと呼ばれる新規な細胞骨
格関連タンパク質(Lyfordら(前掲))が含まれる。急速応答遺伝子のこのセッ
トの機能の多様性は、活性依存的な神経の可塑性に貢献しそうな細胞メカニズム
のレパートリーを示す。
【0005】 薬剤はしばしば細胞間または細胞内のシグナル伝達をモジュレートすることに
より機能する。例えば、プロザック(Prozac)は、神経伝達物質であるセロトニ
ンの再取込みを変化させ、脳内のそのシグナル伝達機能のアスペクトを強化する
。非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)は、炎症のシグナル伝達経路に関与するシ
クロオキシゲナーゼ酵素の活性を阻害することにより機能する。バイアグラは、
勃起組織における自律神経伝達物質に対する細胞内のグアニル酸シクラーゼの応
答を改変する。これらおよび他の既存の医薬は、治療的進展のために特定のシグ
ナル伝達経路がターゲッティングされ得るという考えを立証するものである。
【0006】 重要な細胞内シグナルを改変する細胞メカニズムには、細胞内のカルシウムの
変化を伴うものがある。このタイプのメカニズムは、脳のニューロンにおいて細
胞内シグナル伝達の変化に適応するために使用され、グルタミン酸により誘導さ
れる細胞応答に対して大きな影響を及ぼすことが示されている。同様に、これと
は異なるが、細胞メカニズムを利用して、心臓、肺、肝臓および骨格筋を含む他
の組織における細胞内カルシウムシグナルをモジュレートすることができる。こ
のメカニズムを改変することができる化合物は、天然の伝達物質シグナルをモジ
ュレートすることができ、治療的効果を発揮することができる可能性がある。
【0007】 古典的な研究により、細胞表面上の受容体の活性化は、その細胞内の特定の拡
散性分子のレベルを変化させることが示された。これらの分子の産生の調節は、
膜の表面で起こる細胞内受容体へのシグナル事象に役立ち、したがって、第二メ
ッセンジャーシグナル伝達経路と呼ばれる。主な第二メッセンジャー経路には、
細胞内カルシウムを調節するホスホイノシチド経路、サイクリックAMPのレベル
を調節するアデニレートシクラーゼ経路、cGMPのレベルを調節するグアニレート
シクラーゼ経路、およびNOを調節する一酸化窒素経路が含まれる。
【0008】 細胞内カルシウムの放出の調節は、全ての組織の機能にとって重要である。各
組織は、細胞内カルシウムの受容体/伝達物質により調節された放出に基づく異
なる生理機能を有する。例えば、シナプスの機能は、脳のニューロンにおいて、
グルタミン酸受容体による細胞内カルシウムの放出調節によりモジュレートされ
る。心筋および平滑筋の収縮性も、細胞内カルシウムにより調節される。細胞応
答におけるカルシウムのシグナル伝達の役割についての最近の概説書としては、
Berridge, Nature 386: 759 (1997); Berridge, J. Physiol. (London) 499: 29
1 (1997); Bootmanら、Cell 91: 367 (1997)がある。
【0009】 最近の研究により、シグナル伝達網において共に機能する分子が高分子複合体
においてしばしば一緒にクラスター化されることが示されている。例えば、MAP
キナーゼ経路の成分は、細胞質キナーゼとそれらの特異的な基質との複合体を形
成する(Davis, Mol. Reprod. Dev. 42: 459 (1995))。同様に、AKAP等のタン
パク質は、特定のキナーゼとそれらの基質のための足場として機能する(Lester
およびScott、Recent Prog. Horm. Res. 52: 409 (1997))。近年、膜結合型光
活性化イオンチャンネルをそのエフェクター酵素と結合させるマルチ-PDZ含有タ
ンパク質がショウジョウバエ属において同定された(InaDと呼ばれる;Tsunoda
ら、Nature 388: 243 (1997))。このクラスター化の生化学的結果は、タンパク
質間でシグナルを運ぶ分子の局所濃度が可能な限り高くなることである。この結
果、シグナル伝達が効率的に起こる。これらのタンパク質のクラスター化活動は
、シグナル伝達カスケードの正常な機能にとって重要である(LesterおよびScot
t(前掲)1997;Tsunodaら(前掲)1997)。従って、これらのシグナル伝達錯体
を変化させる物質は、伝達物質または細胞刺激の他の形態により、該応答を、よ
り古典的な受容体アゴニストもしくはアンタゴニストを真似るように改変するで
あろう。例えば、代謝型グルタミン酸受容体のシグナル伝達は、従来の受容体ア
ンタゴニストにより受容体で、またはHomerファミリータンパク質の架橋活性を
遮断する物質によりその細胞内IP3受容体に結合した代謝型受容体を解放するこ
とにより、遮断することができる。
【0010】 シナプスでの神経伝達物質受容体の凝集を調節する分子の同定は、神経の発達
、シナプスの可塑性および学習のメカニズムを理解する上で重要である。イオン
チャンネル調節型受容体のシナプス凝集のための最も良く特徴付けられたモデル
は、神経筋接合部である。初期の研究により、運動ニューロンの軸策と筋管の表
面とが接触すると、もともと存在する表面アセチルコリン受容体の蓄積を急速に
引き起こすことが分かった(AndersonおよびCohen, J. Physiol 268: 757-773,
1977; FrankおよびFischbach, J. Cell Biol 83: 143-158, 1979)。その後の研
究により、シナプス前終末により分泌される複合糖タンパク質であるアグリン(
agrin)が、シナプス後シグナル伝達カスケードを活性化し(ColledgeおよびFro
ehner, Curr Opin Neurobiol 8: 357-63, 1998に概説)、これは膜結合タンパク
質であるラプシン(rapsyn)による受容体のクラスター化につながることが分か
っている。
【0011】発明の概要 Homerタンパク質は、ニューロンの前初期遺伝子の産物であるが、特定の細胞
表面受容体(例えば、グループI代謝型受容体)、特定の細胞内受容体および結
合タンパク質(例えば、イノシトールトリスリン酸受容体、リアノジン受容体、
Shankタンパク質、I42)のカルボキシ末端と選択的に結合する。多くの形態のHo
merタンパク質は、Homerタンパク質間のホモおよびヘテロ多量体化を媒介するカ
ルボキシ末端ドメイン内に「コイルドコイル」構造を含有する。本発明は、Home
rが内部貯蔵所からの受容体活性化カルシウム動員を媒介するうえで重要な役割
を果たしており、かつHomerタンパク質が受容体クラスター化の側面を調節して
いるという、今後に期待がもてる発見に基づくものである。
【0012】 一つの実施形態においては、細胞表面受容体が介在する細胞応答反応をモジュ
レートする化合物の同定方法を提供する。該方法は、被験化合物と、細胞表面受
容体を発現している細胞と、Homerタンパク質とを、該化合物が該細胞と相互作
用することを可能とするのに十分な条件下でインキュベートし、該細胞を細胞表
面受容体リガンドにさらすことを含んでなる。該化合物とインキュベートした細
胞による該リガンドに対する細胞応答反応を、該化合物とインキュベートしなか
った細胞の細胞応答反応と比較し、細胞応答反応の差によりHomer関連細胞応答
反応をモジュレートする化合物を同定する。
【0013】 別の実施形態においては、細胞内受容体が介在する細胞応答反応をモジュレー
トする化合物の同定方法を提供する。該方法は、化合物と、細胞内受容体を発現
している細胞と、Homerタンパク質とを、該化合物が該細胞と相互作用すること
を可能とするのに十分な条件下でインキュベートし、該細胞を該細胞内受容体を
活性化する条件にさらすことを含んでなる。該化合物とインキュベートした細胞
による細胞応答反応を、該化合物とインキュベートしなかった細胞の細胞応答反
応と比較し、細胞応答反応の差によりHomer関連細胞応答反応をモジュレートす
る化合物を同定する。
【0014】 さらに別の実施形態においては、細胞における受容体活性化カルシウム動員を
モジュレートする化合物の同定方法を提供する。該方法は、化合物と、Homerタ
ンパク質を発現している細胞とを、該化合物が該細胞と相互作用することを可能
とするのに十分な条件下でインキュベートし、該細胞をカルシウム動員を活性化
するのに十分な条件にさらすことを含んでなる。該化合物とインキュベートした
細胞の受容体活性化カルシウム動員を、該化合物とインキュベートしなかった細
胞の受容体活性化カルシウム動員と比較し、カルシウム動員の差がHomer関連カ
ルシウム動員に対する該化合物の作用を示すものである。
【0015】 別の実施形態においては、受容体介在カルシウム動員をモジュレートする方法
を提供する。該方法は、典型的には細胞がHomerタンパク質を含む細胞内シグナ
ル伝達経路を活性化するのに十分な量のリガンドにさらされるときに起こる、カ
ルシウム動員をモジュレートするのに十分な量の化合物に細胞をさらすことを含
んでなる。
【0016】 別の実施形態においては、Homerタンパク質の活性を阻害する化合物の同定方
法を提供する。該方法は、Homer結合または架橋活性のインヒビターを同定する
ことを含み、Homerタンパク質結合ドメインの結晶構造座標に基づいて、Homerタ
ンパク質結合部位中のアミノ酸と共有結合または非共有結合を形成するHomerタ
ンパク質活性のインヒビターを同定して、該インヒビターを合成することを含ん
でなる。
【0017】 一実施形態においては、細胞表面受容体のクラスター形成に影響を及ぼす化合
物の同定方法を提供する。該方法は、化合物と、Homerタンパク質およびHomer相
互作用タンパク質(例えば、Shankタンパク質)を発現している細胞とを、該化
合物が該細胞と相互作用することを可能とするのに十分な条件下でインキュベー
トし、細胞表面受容体のクラスター形成に及ぼす該化合物の作用を測定すること
を含んでなる。該化合物と接触させた細胞における細胞表面受容体のクラスター
形成を、該化合物と接触させなかった細胞の細胞表面受容体のクラスター形成と
比較し、その際、クラスター形成の差が細胞表面受容体のクラスター形成に影響
を及ぼす化合物を示すものである。
【0018】 別の実施形態においては、被験者におけるグルタミン酸受容体(代謝型および
NMDA型のグルタミン酸受容体を含む)と関連した障害を治療する方法を提供する
。該方法は、治療が必要な被験者に、治療に有効な量のHomerタンパク質活性を
モジュレートする化合物を投与することを含んでなる。
【0019】 別の実施形態においては、治療が必要な被験者に、治療に有効な量のHomerタ
ンパク質活性をモジュレートする化合物を投与することを含んでなる、Homerタ
ンパク質活性と関連した障害の治療方法を提供する。該化合物は本明細書に記載
の本発明方法により同定することができる。
【0020】 別の実施形態においては、配列番号3に示されるヌクレオチド配列を有する、
Homerタンパク質1bをコードする単離された核酸、ならびに配列番号4に示され
るアミノ酸配列と実質的に同じアミノ酸配列を有する、単離されたHomerタンパ
ク質を提供する。
【0021】 別の実施形態においては、配列番号5に示されるヌクレオチド配列を有する、
Homerタンパク質1cをコードする単離された核酸、ならびに配列番号6に示され
るアミノ酸配列と実質的に同じアミノ酸配列を有する、単離されたHomerタンパ
ク質を提供する。
【0022】 別の実施形態においては、配列番号7に示されるヌクレオチド配列を有する、
Homerタンパク質2aをコードする単離された核酸、ならびに配列番号8に示され
るアミノ酸配列と実質的に同じアミノ酸配列を有する、単離されたHomerタンパ
ク質を提供する。
【0023】 別の実施形態においては、配列番号9に示されるヌクレオチド配列を有する、
Homerタンパク質2bをコードする単離された核酸、ならびに配列番号10に示さ
れるアミノ酸配列と実質的に同じアミノ酸配列を有する、単離されたHomerタン
パク質を提供する。
【0024】 別の実施形態においては、配列番号11に示されるヌクレオチド配列を有する
、Homerタンパク質3をコードする単離された核酸、ならびに配列番号12に示
されるアミノ酸配列と実質的に同じアミノ酸配列を有する、単離されたHomerタ
ンパク質を提供する。
【0025】 別の実施形態においては、配列番号13に示されるアミノ酸配列を有する単離
されたペプチド、ならびに配列番号14に示されるアミノ酸配列を有する単離さ
れたペプチドを提供する。
【0026】 さらに別の実施形態においては、配列番号15または17に示されるヌクレオ
チド配列を有する、Homer相互作用タンパク質をコードする単離された核酸、な
らびにそれぞれ配列番号16または18に示される推定アミノ酸配列を提供する
【0027】 別の実施形態においては、配列番号19に示されるアミノ酸配列と実質的に同
じアミノ酸配列を有する、単離されたHomer相互作用タンパク質を提供する。
【0028】 別の実施形態においては、配列番号20に示されるアミノ酸配列と実質的に同
じアミノ酸配列を有する、単離されたHomer相互作用タンパク質を提供する。
【0029】 さらに別の実施形態においては、Homerファミリーのポリペプチドと特異的に
結合することができるプロリンリッチ領域を含有する、実質的に精製されたポリ
ペプチドを提供する。
【0030】 さらに別の実施形態においては、動物の生殖細胞の染色体に組み込まれたHome
rタンパク質(例えば、Homer 1a)を発現するトランスジーンを有する、トラン
スジェニック非ヒト動物を提供する。
【0031】詳細な説明 Homerは、グループI代謝型受容体のカルボキシ末端に選択的に結合し、興奮性
シナプスにおいて豊富に存在する、タンパク質のファミリーを表す(Brakemanら
、1977)。成人の脳において、Homerは、海馬におけるイオン期間増強(ion-ter
m potentiation)を誘発する生理学的シナプス刺激により急速且つ一過性に誘導
され(Brakemanら、1997;Katoら、1997)、またドーパミン性薬物乱用により線
条においても誘導される(Brakemanら、1997)。現在ではHomer 1aと呼ばれてい
る同定された最初のHomer遺伝子(Brakemanら、Nature 386: 2284-288(1997);G
enBank登録番号U92079)は、脳内で構成的に発現される密接に関係するHomerタ
ンパク質のファミリーのメンバーである(Katoら、1998;Sunら、1998;Xiaoら
、1998)。現在のところ、同定された3つの哺乳動物遺伝子および脳内で発現さ
れる少なくとも6つの異なる転写産物(Xiaoら、1998)がある。Homer 1aを含む
全てのHomerファミリーのメンバーは、代謝型グルタミン酸受容体1aおよび5(mG
luR1aおよびmGluR5)に結合する約110アミノ酸からなるアミノ末端領域を含む(
Xiaoら、1998)。mGluR1aまたは5と相互作用するHomerの領域は、ショウジョウ
バエEnabled(Gertlerら、1996)、哺乳動物VASP(Haffnerら、1995)およびWes
cott-Aldrigeタンパク質(WASP)を含むタンパク質のファミリーにおける類似し
たドメインに対する相同性に基づいて、「EVH1ドメイン」と呼ばれる(Ponting
およびPhillips、1997;Symonsら、1996)。HomerのEVH1ドメインは、ショウジ
ョウバエ、げっ歯類およびヒトとの間で約80%のレベルで保存されている(Xiao
ら、1998)。またHomerファミリーEVH1ドメインは、イノシトールトリスリン酸
受容体やダイアミンIII(dyamin III)などの細胞内受容体にも結合することが
できる。EVH1領域におけるHomerタンパク質の結合は、プロリン残基に富むアミ
ノ酸配列モチーフにより媒介される。
【0032】 プロリンリッチモチーフ(proline rich motif)およびHomer相互作用におけ
るその役割を調査するために、欠失突然変異の戦略を用いた。mGluR5のカルボ
キシ末端における50アミノ酸欠失は、Homerへの結合を損なわせた。これに対し
、mGluR5の41アミノ酸欠失は、結合活性を完全に保った。その介在配列はプロ
リンに富み、先に記載されたSH3リガンド配列と配列類似性を共有する(Yu、199
4)。SH3リガンドの既知の構造−機能相関に基づく一連の点突然変異を作製し、
結合アッセイによりSH3リガンド結合の一般的な特性を確認したが、またHomer結
合部位が臨界アミノ酸(critical amino acid)の位置において異なることも分
かった(Tuら、1998)。結合のための共通配列は、PPXXFRであることが判明し、
これは、プロリン残基もしくはフェニルアラニンのいずれかの突然変異、または
これらの相対位置の変化が、結合を妨害したという観察結果と一致した。最終位
置のアルギニンは、検査した他のアミノ酸よりも好ましかったが、必須ではない
。突然変異は、Homer 1a、1b/c、2a/b、3およびHomer 1のEVH1断片(110アミノ
酸)を含む、Homerファミリーメンバーの各々への結合の妨害において全く同様
に効果的であった。このように、mGluR5との相互作用はHomer EVH1ドメインによ
り媒介されると結論付けられた。
【0033】 Homer結合をさらに調査するために、全長mGluR5タンパク質の中に配置した際
に結合に対し全く同じ影響を及ぼす受容体の250アミノ酸カルボキシ末端断片を
用いてmGluR5の突然変異について検査した(Tuら、1998)。Homer-リガンド部位
の中の1つのアミノ酸の変化に対するHomer結合のこの高い感受性は、mGluR1a(
Tuら、1998)、Shank(Tuら、1999)およびI42(以下参照)を含む他のHomer相
互作用タンパク質において確認された。(離れた結合部位に対する2次的なアロ
ステリック効果とは反対に)この相互作用がHomer-リガンド部位における直接的
な相互作用により媒介されたことをさらに確かめるために、野生型またはFからR
への突然変異を有する合成10-merペプチドを調製した。野生型ペプチドは、Home
rファミリーの各メンバーへのmGluR1aまたはmGluR5の結合を遮断した(Tuら、19
98)。この結合の約半分は、3.4μモルのペプチド濃度で遮断された。これに対
し、FからRへの突然変異を有するペプチドは、340μモルのような高い濃度でも
結合に変化を与えなかった。
【0034】 Homerタンパク質の多くの形態は、「コイルドコイル」構造を有するカルボキ
シ末端ドメインをコードする。このコイルドコイルドメインは、Homerタンパク
質同士の間のホモ-およびヘテロ-多量体化を媒介し(Katoら、1998;Xiaoら、19
98)、このような多量体は、正常な脳組織内で同定することができる(Xiaoら、
1998)。Homerタンパク質は、シナプス後密度(postsynaptic densities)から
得た脳組織切片の中に豊富に含まれ、シナプス後密度に超微細構造レベルで局在
化されている。Homer 1aは、Homer 1aが構成的に発現されず、カルボキシ末端コ
イルドコイルドメインを含まないという点で、Homerファミリーの他のメンバー
とは異なる。Homerタンパク質が細胞表面受容体および細胞内受容体と相互作用
すること、および他のHomerタンパク質と複合多量体を形成することを示す実験
データは、細胞内シグナル伝達におけるHomerタンパク質の重要な役割を示す。
【0035】 Homerタンパク質をコードするポリヌクレオチドの例を配列番号1として記載
する。「ポリヌクレオチド」、「核酸」、「核酸配列」または「核酸分子」とい
う用語は、少なくとも10塩基長のヌクレオチドからなるポリマー形態を指す。「
単離されたポリヌクレオチド」とは、そのポリヌクレオチドが由来する生物の天
然に存在するゲノム中において、そのポリヌクレオチドが隣接するコード配列(
一方が5’末端側および一方が3’末端側)の両方と隣接しないポリヌクレオチド
を意味する。したがってこの用語は、例えばベクターの中、自律複製するプラス
ミドもしくはウイルスの中、または原核生物もしくは真核生物のゲノムDNAの中
に組み込まれた組換えDNA、あるいは他の配列から独立した別個の分子(例えばc
DNAなど)として存在する組換えDNAを含む。本発明のヌクレオチドは、リボヌク
レオチド、デオキシリボヌクレオチド、またはいずれかのヌクレオチドの修飾さ
れた形態であってもよい。Homerをコードするポリヌクレオチドは、遺伝子コー
ドの結果縮重した配列である「縮重変異体」を含む。20種類の天然アミノ酸があ
り、これらのうちの殆どは2以上のコドンにより特定される。従って、全ての縮
重ヌクレオチド配列は、配列番号1のヌクレオチド配列によりコードされるポリ
ペプチドのアミノ酸配列が機能的に変化しない限り、本発明に含まれる。
【0036】 Homerをコードする核酸分子には、機能的Homerポリペプチドをコードする配列
およびその機能的断片が含まれる。本明細書中で使用される「機能的ポリペプチ
ド」という用語は、決められた機能的アッセイ(例えば実施例3など)により同
定される生物学的機能または活性を有し、および細胞内において特定の生物学的
、形態学的、または表現型の変化に関連するポリペプチドを指す。「Homerポリ
ペプチドの機能的断片」という用語は、Homer活性(例えば細胞表面もしくは細
胞内の受容体と相互作用する能力または細胞内のカルシウム動員を媒介する能力
など)を有するHomerポリペプチドの断片を指す。さらに、機能的Homer断片は、
例えばHomer結合の競合インヒビターとして機能し得る。例えば、生物学的に機
能的な断片のサイズは、抗体分子に結合することができるエピトープのような小
さなポリペプチド断片から、特徴誘導に関与することができるまたは細胞内の表
現型の変化のプログラミングができる大きなポリペプチドまで、様々である。
【0037】 機能的なHomerポリペプチドには、配列番号2に記載されたようなポリペプチ
ドおよびその保存的変異体が含まれる。本明細書中で使用される「保存的変異体
」および「実質的に類似した」という用語は、他の生物学的に類似した残基によ
るアミノ酸残基の置換を示す。保存的変異体の例には、イソロイシン、バリン、
ロイシンもしくはメチオニン等の1つの疎水性残基による他の残基の置換、また
は1つの極性残基による他の残基の置換、例えばリジンからアルギニン、アスパ
ラギン酸からグルタミン酸、もしくはアスパラギンからグルタミンへの置換等が
含まれる。また「保存的変異体」および「実質的に類似した」という用語は、置
換されていない親アミノ酸の代わりに置換アミノ酸を使用することも含む(ただ
し、その置換ポリペプチドに対して作られた抗体がその置換されていないポリペ
プチドにも免疫反応する場合に限る)。
【0038】 また、Homer 1b(配列番号3および4)、Homer 1c(配列番号5および6)、Home
r 2a(配列番号7および8)、Homer 2b(配列番号9および10)、Homer 3(配列番
号11および12)等の他のHomer核酸およびアミノ酸配列も含まれる。
【0039】 細胞表面受容体は、細胞間のシグナル伝達における重要な媒介物である。「細
胞表面受容体」は、特定の分子がその細胞表面受容体に結合する、またはこれを
活性化するもしくは遮断する細胞の外側表面上に通常少なくとも1つの結合ドメ
インを有するタンパク質である。細胞表面受容体は通常少なくとも1つの細胞外
ドメイン、膜を貫通する領域(「膜貫通」)および細胞内ドメインを有する。細
胞表面受容体の活性化は、細胞内部の様々な分子のレベルの変化をもたらし得る
。幾つかのタイプの細胞表面受容体が、様々な細胞型において同定されており、
これらには、リガンド依存型受容体、リガンド依存型チャンネル、電圧活性化型
受容体、電圧活性化型チャンネルおよびイオンチャンネル等が含まれる。
【0040】 細胞表面受容体の1つのクラスは、中枢神経系の中の興奮性神経伝達物質受容
体の主なクラスである興奮性アミノ酸受容体(EAA受容体)である。「EAA受容体
」は、グルタミン酸およびおそらく他の内因性酸性アミノ酸の刺激作用を媒介す
る膜貫通タンパク質である。EAAは、迅速な興奮性神経伝達にとって非常に重要
であり、アルツハイマー病、発作性精神分裂病、頭部損傷およびてんかんを含む
様々な疾患における関与が示唆されている。またEAAは、老化過程への関与も示
唆されている。さらにEAAは、学習および記憶の基礎となるシナプスのメカニズ
ムの1つである長期増強の過程の一部である。EAA受容体には以下の3つの主なサ
ブタイプがある:(1)代謝型またはトランスACPD受容体;(2)イオンチャンネ
ル型NMDA受容体;および(3)AMPA受容体やカイニン酸受容体を含む非NMDA受容
体。
【0041】 イオンチャンネル型グルタミン酸受容体は、一般にNMDA受容体および非NMDA受
容体の2つのクラスに分けられる。これらの受容体クラスは両方とも、内在性陽
イオンチャンネルに結合されており、ある程度のアミノ酸配列相同性を共有する
。GluR1〜4は、AMPA(α-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メチルイソオキサゾール-4-プ
ロピオン酸)がこれらのサブユニットからなる受容体を優先的に活性化するため
、AMPA受容体と呼ばれている。一方、GluR5〜7は、カイニン酸に優先的に感受性
を示すため、カイニン酸受容体と呼ばれる。このように、「AMPA受容体」は、AM
PAにより活性化され得る非-NMDA受容体である。AMPA受容体は、異なる電流-電圧
関係およびCa2+透過性を示すヘテロオリゴマーおよびホモオリゴマー複合体を形
成するGluR1〜4ファミリーを含む。GluR1〜4核酸配列によりコードされるポリペ
プチドは、機能的リガンド依存型イオンチャンネルを形成することができる。AM
PA受容体は、GluR1、GluR2、GluR3またはGluR4サブユニットを有する受容体を含
む。NMDA受容体サブタイプは、例えばNR2BおよびNRDクラスを含む。
【0042】 代謝型グルタミン酸受容体は、アミノ酸配列の相同性、伝達メカニズム、およ
び結合選択性に基づいて、グループI、グループIIおよびグループIIIの3つのグ
ループに分けられる。受容体の各グループは、1以上のタイプの受容体を含む。
例えば、グループIは、代謝型グルタミン酸受容体1および5(mGluR1およびmGl
uR5)を含み、グループIIは代謝型グルタミン酸受容体2および3(mGluR2およびm
GluR3)を含み、グループIIIは、代謝型グルタミン酸受容体4、6、7および8(mG
luR4、mGluR6、mGluR7およびmGluR8)を含む。各mGluRタイプは、幾つかのサブ
タイプで見られる。例えばmGluR1のサブタイプには、mGluR1a、mGluR1bおよびmG
luR1cが含まれる。
【0043】 グループI代謝型グルタミン酸受容体は、Gタンパク質に結合してホスホリパー
ゼCを活性化する7回膜貫通タンパク質のファミリーを示す(Nakanishi、1994)
。このファミリーのメンバーには、mGluR1およびmGluR5が含まれる。これらの受
容体が活性化されると、膜のホスファチジルイノシトールビスホスフェートが、
プロテインキナーゼCを活性化するジアシルグリセロールと、イノシトールトリ
スリン酸とに加水分解され、これにより、イノシトールトリスリン酸受容体が活
性化されて細胞内カルシウムが放出される(AramoriおよびNakanishi、1992;Jo
lyら、1995;Kawabataら、1998)。
【0044】 細胞表面上のグルタミン酸受容体の活性化は、細胞応答をもたらす。「細胞応
答」とは、単独でまたは共役して、細胞表面受容体の活性化に対する細胞の直接
または間接的な応答である1つまたは一連の事象である。また「細胞応答」とは
、選択的もしくは非選択的な陽イオンチャンネルの遮断または活性化、あるいは
他の細胞表面受容体応答の増強または阻害である。さらに、「細胞応答」とは、
細胞内のシグナル伝達経路の活性化(細胞内のシグナル伝達経路における全てま
たは任意の1つのステップの活性化を含む)であってもよい。
【0045】 「細胞内シグナル伝達経路」とは、細胞外の出来事についての情報をシグナル
に変換して細胞内受容体または酵素などのエフェクター分子に伝える一連の事象
である。細胞内シグナル伝達経路の1つのタイプは、2次メッセンジャーシグナ
ル伝達経路である。この経路は細胞表面上の受容体の活性化から始まり、この活
性化により細胞内部の特定の拡散性分子のレベルが変化する。これらの分子の調
節された産生は細胞内受容体へのシグナル伝達に役立ち、したがって2次メッセ
ンジャーシグナル伝達経路と呼ばれる。主な2次メッセンジャー経路には、サイ
クリックAMPのレベルを調節するアデニル酸シクラーゼ経路、細胞内カルシウム
を調節するホスホイノシチド経路、cGMPのレベルを調節するグアニル酸シクラー
ゼ、および一酸化窒素を調節する一酸化窒素経路が含まれる。
【0046】 また細胞表面受容体により介在される細胞応答には、カルシウム動員も含まれ
る。化合物は、細胞内に含まれるカルシウムの放出を阻害または増強することに
より、細胞表面受容体によって介在される細胞応答をモジュレートすることがで
きる。化合物は、細胞内に含まれるカルシウムの放出量を増加させることにより
カルシウム動員を増やす。化合物は、細胞内に含まれるカルシウムの放出を阻害
することによりカルシウム動員を減らす。
【0047】 細胞表面受容体は、細胞応答を介在することが知られている。細胞応答を立証
する方法は、当分野で周知である(例えば電気生理学的方法および生化学的方法
などがある)。(例えば更なる方法の実施例の節を参照されたい)。細胞表面受
容体により介在される細胞応答をモジュレートする化合物を同定するための方法
が提供される。この方法は、該化合物と、細胞表面受容体およびHomerタンパク
質を発現する細胞とを、該化合物が該細胞と相互作用することを可能とするのに
十分な条件下でインキュベートすることを含んでなる。該細胞は、関心のある任
意の細胞であってよく、例えばニューロン細胞、グリア細胞、心臓細胞、気管支
細胞、子宮細胞、精巣細胞、肝細胞、腎細胞、腸細胞、胸腺および脾臓に由来す
る細胞、胎盤細胞、内皮細胞、内分泌細胞(甲状腺、上皮小体、下垂体等を含む
)、平滑筋細胞ならびに骨格筋細胞が含まれるが、これらに限定されない。該細
胞を細胞表面受容体リガンドにさらす。「細胞表面受容体リガンド」とは、細胞
表面受容体の結合部位に結合することにより、単独でまたは共役して「細胞応答
」を包含する一連の事象を開始する化合物である。該化合物が細胞応答に及ぼす
影響を直接または間接的に決定し、次に細胞応答を対照細胞の細胞応答と比較す
る。適切な対照には、該化合物に接触させなかった細胞の細胞応答が含まれるが
、これに限定されない。「インキュベート」という用語は、試験化合物を関心の
ある細胞に接触させる条件を含む。「接触」とは、溶液中または固相中での接触
を含む。
【0048】 細胞応答をモジュレートする化合物には、例えばペプチド、ペプチドミメチッ
ク、ポリペプチド、医薬、化学化合物、および生物学的物質が含まれる。また抗
体、神経親和性物質、抗てんかん化合物およびコンビナトリアル化合物ライブラ
リーも、本発明の方法を用いて試験することができる。有機分子の1つのクラス
、好ましくは分子量が50ダルトンを超え且つ約2,500ダルトン未満である小さな
有機化合物がある。候補物質は、タンパク質との構造的な相互作用(特に水素結
合)に必要な官能基を含み、典型的には少なくともアミン、カルボニル、ヒドロ
キシルまたはカルボキシル基、好ましくはこれらの官能化学基のうち少なくとも
2つを含む。候補物質はしばしば、環式炭素もしくは複素環式構造および/また
は1以上の上記官能基が置換された芳香族または多環芳香族構造を含む。
【0049】 また試験物質は、複数の化合物をスクリーニングするためのコンビナトリアル
ライブラリーであってもよい。本発明の方法で同定されたペプチド等の化合物に
ついて、固相支持体への結合後に溶液中で、特定のDNA配列の単離に通常適用さ
れる方法によりさらにクローニングおよび配列決定等することができる。DNA分
析のための分子技術(Landegrenら、Science 242: 229-237, 1988)およびクロ
ーニングの概説についてはSambrookら、Molecular Cloning: a Laboratory Manu
al, 2nd Ed.: Cold Spring Harbor Laboratory Press, Plainview, NY, 1998(
本明細書中に参考として組み込まれる)に記載されている。
【0050】 候補化合物は、合成もしくは天然化合物のライブラリーを含む様々な材料から
得られる。例えば、種々の有機化合物および生体分子のランダム合成および特異
的合成には、無作為なオリゴヌクレオチドおよびオリゴペプチドの発現を含む様
々な手段が利用可能である。あるいは、細菌、菌類、植物および動物抽出物の形
の天然化合物のライブラリーが利用可能であり、または簡単に作成される。さら
に、天然のまたは合成により作製したライブラリーおよび化合物は、従来の化学
的、物理学的および生化学的手段により簡単に修飾され、コンビナトリアルライ
ブラリーを作成するのに使用することができる。既知の薬理学的物質は、指向的
または無作為な化学的修飾(例えばアシル化、アルキル化、エステル化、アミド
化(amidification)等)にかけて、構造的な類似体を作製することができる。
また候補物質は、生体分子(ペプチド、糖類、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピ
リミジン、これらの誘導体、構造的類似体または組み合わせを含むがこれらに限
定されない)の中にも見られる。
【0051】 他の様々な物質をスクリーニングアッセイに含めることができる。これらには
、食塩、中性タンパク質(例えばアルブミン)、最適なタンパク質間の結合を容
易にするおよび/または非特異的なもしくはバックグラウンドの相互作用を低減
するために使用される洗浄剤などが含まれる。アッセイの効率を改善する試薬(
例えばプロテアーゼインヒビター、ヌクレアーゼインヒビター、抗菌剤等)を使
用することができる。成分の混合物は、必要な結合を提供する順番で添加される
。インキュベーションは典型的には4〜40℃の好適な温度で行われる。インキュ
ベーションの時間は、最適な活性が得られるよう選択されるが、迅速な高スルー
プットスクリーニングを容易にするためにも最適化される。典型的には、0.1〜1
0時間で十分である。
【0052】 他の実施形態において、細胞内受容体により介在される細胞応答をモジュレー
トする化合物を同定するための方法が提供される。「細胞内受容体」とは、特定
の細胞内分子に結合するタンパク質である。細胞内受容体にはリアノジン受容体
およびイノシトールトリスリン酸受容体が含まれ、例えば「イノシトールトリス
リン酸受容体」は、重要な細胞内2次メッセンジャーである化合物イノシトール
1,4,5トリスリン酸に結合する受容体である。イノシトール1,4,5トリスリン酸は
、特定のホスホリパーゼC酵素(PLC)の作用によりホスファチジルイノシトール
2リン酸から放出され、小胞体(ER)内のカルシウムチャンネルに結合し活性化
させる。
【0053】 化合物は、細胞内に含まれるカルシウムの放出を阻害または増強することによ
り、細胞内受容体により介在される細胞応答をモジュレートすることができる。
例えば、化合物は、細胞内に貯蔵されているカルシウムの放出量を増やすことに
よりカルシウム動員を増加させる。化合物は、細胞内に貯蔵されているカルシウ
ムの放出を阻害することによりカルシウム動員を減らす。
【0054】 本発明の方法は、該化合物と、細胞表面受容体およびHomerタンパク質を発現
する細胞とを、該化合物を該細胞と相互作用させるのに十分な条件下でインキュ
ベートする工程、前記細胞内受容体を活性化する条件に該細胞をさらす工程、お
よび前記化合物と共にインキュベートした細胞における細胞応答を、前記化合物
と共にインキュベートしなかった細胞の応答と比較する工程を含んでなる。細胞
内シグナルにより介在される細胞応答を決定するための方法は、当業者に周知で
あり(例えば生化学的アッセイ)、また実施例にも記載されている。
【0055】 受容体により活性化されるカルシウム動員をモジュレートする化合物を同定す
るための方法も提供される。「カルシウム動員」という用語は、細胞の小胞体、
筋小胞体、またはミトコンドリアにおいて分離された遊離カルシウム(Ca+2)の
量または濃度の変化を意味する。この方法は、該化合物とHomerタンパク質を発
現する細胞とを、該化合物を該細胞と相互作用させるのに十分な条件下でインキ
ュベートする工程、ならびにカルシウム動員を活性化するのに十分な条件に該細
胞をさらす工程を含んでなる。次に、該化合物にさらした細胞の細胞応答を、該
化合物にさらさなかった細胞の細胞応答と比較する。細胞応答の差を、細胞内に
おける受容体活性化カルシウム動員をモジュレートする化合物の指標とする。
【0056】 本発明の他の実施形態において、細胞内の受容体介在型カルシウム動員をモジ
ュレートするための方法であって、細胞内シグナル伝達経路を活性化させるのに
十分な量のリガンドに細胞をさらしたときに通常起こるカルシウム動員をモジュ
レートするのに十分な量の化合物に細胞をさらす工程を含む方法が提供される。
当業者であれば、「通常起こるカルシウム動員」が、その細胞型および細胞内経
路を活性化するリガンドにより異なることが分かるであろう(Berridge, 1997(
前掲);Berridge, 1998(前掲);Bootman, 1997(前掲))。遊離カルシウム
流動量を測定する方法は、当分野で周知である(例えばフラ-2などのカルシウム
感受性染料を用いたイメージング法)。
【0057】 細胞内シグナル伝達経路を活性化するリガンドは、代謝型グルタミン酸受容体
のアゴニストまたはアンタゴニストであってもよい。「アゴニスト」および「ア
ンタゴニスト」という用語は、受容体に結合し、およびその受容体をそれぞれ活
性化または遮断する化合物を含む意である。代謝型グルタミン酸受容体の既知の
アゴニストには、グルタミン酸、キスカル酸、イボテナート(Ibotenate)、ホ
モシステインスルフィナートおよび神経毒β-N-メチルアミノ-N-アラニンが含ま
れる。代謝型グルタミン酸受容体のアンタゴニストにはMCPGが含まれる。NMDA型
グルタミン酸受容体の既知のアゴニストには、グルタミン酸およびNMDAが含まれ
、また既知のアンタゴニストにはMK-801およびAPVが含まれる。
【0058】 本発明の他の実施形態には、Homerタンパク質の活性を阻害する化合物を同定
する方法が含まれる。この方法は、Homer EVH1およびコイルドコイル結合ドメイ
ンの機能的な特性に依存し、Homer EVH1およびコイルドコイル結合ドメインはHo
merファミリーメンバーのこれらまたは他の機能的な特性に影響を及ぼす分子の
高スループットスクリーニングを確立するために使用することができる。Homer
タンパク質活性は、Homerタンパク質が機能する際に介する細胞内シグナル伝達
経路におけるタンパク質または他の分子を妨害することにより、部分的にまたは
完全に遮断することができる。例えばHomer活性は、例えばHomerタンパク質の発
現をモジュレートすることにより、Homer EVH1ドメインの活性を修飾することに
より、HomerCCドメインの活性の修飾により、およびHomer架橋活性の修飾等によ
り、モジュレートされ得る。またHomer活性は、Homer相互作用タンパク質I42、H
omer相互作用タンパク質I30、NR2D、ACK-2、Shankタンパク質、リアノジン、イ
ノシトールトリスリン酸、およびhInaD等の発現または活性を妨害することによ
っても、モジュレートすることができる。
【0059】 Homerタンパク質は、相互作用タンパク質を架橋する調節されたアダプターネ
ットワークとしても機能する。架橋は、PXXFの共通コア配列を有するユニークな
プロリンリッチリガンドを認識するHomer EVH1ドメインの結合特性により決定さ
れる。このHomerリガンドは、Homerに天然で会合する全ての同定されたタンパク
質中に存在し、Homerタンパク質の結合能力は、このモチーフの中のたった一つ
のアミノ酸の変化により破壊され得る。Homerタンパク質の架橋活性は、グルタ
ミン酸受容体シグナル伝達に影響を及ぼすことを示し、この作用は、細胞表面受
容体を細胞内受容体につなげるシグナル伝達複合体の形成によるものである。ま
た、Homerタンパク質による架橋は、受容体のトラフィッキング(trafficking)
または相互作用タンパク質の他の細胞機能に対しても影響を及ぼし得る。
【0060】 Homer EVH1ドメインの活性をモジュレートする物質の開発は、Homerタンパク
質の結晶構造の知識により助成される。この方法は、Homer結合部位の中のアミ
ノ酸と非共有結合を形成するHomerタンパク質のインヒビターをHomerタンパク質
結合ドメインの結晶構造座標に基づいて設計する工程、該インヒビターを合成す
る工程、および該インヒビターがHomerタンパク質の活性を阻害するか否かを測
定する工程を含んでなる。
【0061】 「Homerタンパク質結合ドメイン」は、他のタンパク質と相互作用するアミノ
末端領域のアミノ酸の保存配列である。全てのHomerタンパク質は、そのアミノ
末端に約175アミノ酸からなる保存領域を有する。この領域の中の110個の末端ア
ミノ酸は、他のタンパク質(例えば代謝型グルタミン酸受容体、イノシトールト
リスリン酸受容体、Shankなど)のカルボキシ末端と相互作用する。Homerタンパ
ク質結合ドメインが結合するタンパク質のカルボキシ末端領域は、多数のプロリ
ン残基を含むアミノ酸配列を通常含む。
【0062】 本発明の1つの態様は、X線回折法によりタンパク質の3次元(3次)構造を
測定するのに十分な質のHomerタンパク質の結晶を得ることにある。Homerタンパ
ク質に関して得た知識を、Homerタンパク質の結合ドメインの3次元構造の測定
に用いることができる。結合ドメインは、様々なコンピュータモデルによっても
予測することができる。該結合ドメインの3次元のタンパク質構造を発見したあ
と、Homerタンパク質のそのリガンドへの機能的な結合を模倣する小さな分子を
設計し、合成することができる。これは、「合理的な」薬物設計法である。「合
理的な」薬物設計の他のアプローチは、高スループットスクリーニングを用いて
発見されるリード化合物(lead compound)に基づくものである。このリード化
合物は、問題の分子の結合領域の結晶構造に基づいてさらに修飾される。したが
って、本発明の他の態様は、Homerタンパク質の作用を模倣するまたは妨げる薬
物の合理的な設計における出発材料となる物質を提供することである。
【0063】 「結晶構造座標」という用語は、結晶状態のHomerタンパク質分子の原子によ
ってX線の単色ビームの回折(散乱中心(scattering center))で得られたパ
ターンに関連する数学的等式から得た数学的座標を指す。この回折データを用い
て、この結晶の反復ユニットの電子密度マップを計算する。この電子密度マップ
を用いて、この結晶のユニットセル内の個々の原子の位置を確立する。このHome
rタンパク質結合ドメインの結晶構造座標は、斜方晶系空間群対称(orthorhombi
c space group symmetry)P212121を有するHomerタンパク質の結晶(a=33.79, b
=51.40およびc=66.30オングストローム)から得られる。Homerタンパク質結合ド
メインの座標は、コンピュータ分析によって得ることもできる。
【0064】 「セレノメチオニン置換(replacement)」という用語は、Homerの結晶の化学
修飾形態を作製する方法を指す。Homerタンパク質は、メチオニンを枯渇させセ
レノメチオニンを補充した培地中で細菌により発現される。これによりセレニウ
ムをメチオニン硫黄の代わりに結晶中に組み込む。セレニウムの位置は、該結晶
のX線回折分析により測定する。この情報を用いて、該タンパク質の3次元構造
を構築するために使用する位相情報を作製する。
【0065】 「重原子誘導体化」という用語は、Homerの結晶の化学修飾形態を作製する方
法を指す。結晶の中に拡散して該タンパク質の表面に結合することができる重金
属原子塩または有機金属化合物を含む溶液中に、結晶を浸す。結合した重金属原
子の位置を、浸漬した結晶のX線回折分析により測定する。この情報を用いて、
該タンパク質の3次元構造を構築するために使用する位相情報を作製する。
【0066】 当業者であれば、X線結晶学により測定した構造座標のセットは標準誤差を含
まないことが分かるであろう。
【0067】 「ユニットセル」という用語は、基本的な並行六面体型ブロックを指す。結晶
の全体積は、このようなブロックの規則的なアセンブリにより構築することがで
きる。
【0068】 「空間群」という用語は、結晶の対称要素の配置を指す。
【0069】 「分子置換」という用語は、その構造座標が分かっている分子を配向および配
置することにより、その構造座標が未知であるHomer結晶の予備モデルを作成す
ることを含んでなる方法を指す。次に、このモデルから位相を算出し、観察した
幅(amplitude)と組み合わせて、その座標が分かっている構造の適切なフーリ
エ合成を生成する。
【0070】 Homerタンパク質の結晶構造座標を用いて、該タンパク質に結合し、様々な方
法でその物理学的または生理学的特性を変更する化合物を設計することができる
。該タンパク質の構造座標は、該タンパク質に結合する化合物を、小分子データ
ベースでコンピュータ・スクリーニングするために用いることもできる。Homer
突然変異体(部位特異的突然変異誘発により、突然変異誘発原にさらすことによ
り、または天然に発生する突然変異体の選択等により得た、例えばミスセンス突
然変異、欠失突然変異など)の構造座標は、関連するタンパク質の同定を容易に
することもでき、これによりHomerによって介在される症状を治療または予防す
るための新規な治療法がさらに得られる。Homer結合ドメインのトリプトファン2 4 、フェニルアラニン74、トレオニン66、トレオニン68、グルタミン76、アラニ
78、トレオニン70およびバリン85と水素結合を形成する潜在的なインヒビター
を設計する。
【0071】 細胞表面受容体のクラスター形成に影響を及ぼす化合物を同定するための方法
も提供される。この方法は、化合物と、Homerタンパク質およびHomer相互作用タ
ンパク質(例えばShankタンパク質やHomer相互作用タンパク質等)を発現する細胞
とを、該化合物を該細胞と相互作用させるのに十分な条件下でインキュベートす
る工程、細胞表面受容体のクラスター形成に及ぼす該化合物の影響を測定する工
程、および該化合部物と接触させた細胞中の細胞表面受容体のクラスター形成を
、該化合物に接触させなかった細胞中への細胞表面受容体のクラスター形成と比
較する工程を含んでなる。
【0072】 Shankタンパク質は、シナプス後密度(PSD)で見られ、他のタンパク質に結合
することができるタンパク質の、新規なファミリーである。Shankタンパク質は
、複数のタンパク質相互作用ドメイン(例えばアンキリン反復、SH3ドメイン、P
DZドメイン、少なくとも1つのプロリンリッチドメインおよび少なくとも1つの
SAMドメイン等)を含む。ShankのPDZドメインは、グアニル酸キナーゼ会合タン
パク質(GKAP)のカルボキシ末端への結合を介在する。この相互作用は、Shank
タンパク質のシナプス局在化のために、ニューロン細胞において重要である。ま
たShankタンパク質はHomerタンパク質とも相互作用するため、ShankおよびHomer
は、Homerに結合する特定のタンパク質とShankに結合する特定のタンパク質とを
つなげるタンパク質ブリッジとして機能し得る。Shankタンパク質の例としては
、Shank 1a、Shank 1bおよびShank 3、ならびにコルタクチン(cortactin)結合
タンパク質等が挙げられる。
【0073】 化合物は、細胞表面受容体のクラスター形成を刺激することにより、または細
胞表面受容体のクラスター形成の増加を阻害することにより、細胞表面受容体の
クラスター形成に影響を及ぼすことができる。この影響が「阻害」である場合、
細胞表面のクラスター形成は、試験化合物の不在下におけるレベルに比べて減少
する。この影響が「刺激」である場合、細胞表面クラスター化は、試験化合物の
不在下の対照と比べて増加する。
【0074】 さらに、代謝型受容体またはイオンチャンネル型受容体に関連する障害を患う
被験者を治療する方法であって、該被験者に、治療に有効な量のHomerタンパク
質活性をモジュレートする化合物を投与することを含んでなる方法が提供される
。さらに他の実施形態において、Homerタンパク質活性に関連する障害を患う被
験者を治療する方法であって、該被験者に、治療に有効な量のHomerタンパク質
活性をモジュレートする化合物を投与することを含んでなる方法が提供される。
【0075】 主に、グルタミン酸受容体、イノシトールトリスリン酸受容体、リアノジン受
容体、Shankタンパク質、I42(または他のHomer相互作用タンパク質)、またはH
omerタンパク質にその病因が関係する障害は、Homerタンパク質活性をモジュレ
ートする物質を用いた治療を受けうると考えられる。該障害は、ニューロン細胞
障害であってもよい。ニューロン細胞障害の例としては、アルツハマー病、パー
キンソン病、発作、てんかん、神経変性疾患、ハンティングトン病、および脳ま
たは脊髄の傷害/損傷(虚血性傷害を含む)が挙げられるが、これらに限定され
ない。また該障害は、心臓障害、筋系の障害、腎障害、子宮障害、または気管支
組織の障害であってもよい。該障害は、てんかん、グルタミン酸毒性、記憶障害
、学習障害または脳発達障害であってもよい。
【0076】 「Homerタンパク質活性」のレベルの変化(低下または上昇)の検出は、問題
の細胞から単離した核酸を本発明のHomerポリヌクレオチドとハイブリダイゼー
ションすることにより行うことができる。Homer転写産物を測定する等、Homerの
発現を定量するために、ノーザンブロット分析などの分析法を用いる。他の標準
的な核酸検出技法は、当業者に公知である。Homerのレベル変化の検出は、Homer
ポリペプチドを検出するために設計されたアッセイを用いて行うこともできる。
例えば、Homerポリペプチドに特異的に結合する抗体またはペプチドを使用する
ことができる。次に、タンパク質濃度を定性的または定量的に測定するなど、Ho
merを測定するために、放射免疫測定または免疫組織化学法等の分析を用いる。
【0077】 治療は、治療に有効な量のHomerまたはHomerタンパク質活性をモジュレートす
る化合物の投与によるHomer活性のモジュレートを含むことができる。「モジュ
レート」という用語は、Homerが過剰に発現された場合または対照に比べて高い
活性を有する場合のHomer活性または発現の抑制を想定している。「モジュレー
ト」という用語は、Homerの発現が少ない場合または対照に比べて活性が低い場
合のHomerの発現の促進も含む。本明細書中で使用される「化合物」という用語
は、Homerポリヌクレオチドの発現またはHomerポリペプチドの活性を変更する能
力を有する、例えばタンパク質、核酸または医薬等のあらゆる分子を指す。治療
は、HomerのEVH1ドメインとその標的タンパク質との相互作用を阻害するか、ア
ロステリック効果によりこの相互作用のアビディティを増強するか、Homerのコ
イルドコイルドメインの結合活性を遮断するか、またはHomerタンパク質の他の
機能的特性に影響を及ぼし得る。
【0078】 候補物質には、Homerをコードする核酸、またはHomerの発現を妨げる核酸(例
えばアンチセンス核酸)、リボザイムなどが含まれる。また候補物質は、Homer
の発現または活性をモジュレートする物質が含まれる多くの化学的クラスも包含
する。
【0079】 障害がHomerの発現の増大に関連する場合、Homerの発現を妨げる核酸配列を使
用することができる。このように、細胞表面および細胞内受容体の結合を阻害す
ることができる。またこのアプローチは、Homerの増大に関連する障害において
、例えばアンチセンス核酸、リボザイム、または3本鎖物質(triplex agent)
を利用して、Homer mRNAの転写または翻訳を、そのmRNAをアンチセンス核酸また
は3本鎖物質でマスキングすることにより、または該mRNAをリボザイムで切断す
ることにより、遮断する。あるいは、Homerポリペプチドのドミナントネガティ
ブ形態を投与することができる。
【0080】 Homerが過剰に発現される場合、候補物質にはアンチセンス核酸配列が含まれ
る。アンチセンス核酸は、特定のmRNA分子の少なくとも1部に相補的であるDNA
またはRNA分子である(Weintraub, 1990, Scientific American, 262:40)。細
胞内で、アンチセンス核酸は、対応するmRNAにハイブリダイズして、2本鎖分子
を形成する。細胞は2本鎖のmRNAを翻訳しないので、このアンチセンス核酸は該
mRNAの翻訳を妨げる。約15ヌクレオチドからなるアンチセンスオリゴマーが好ま
しい。何故ならば、簡単に合成することができ、また標的細胞に導入したときに
大きな分子に比べて問題を生じる可能性が小さいからである。遺伝子のin vitro
翻訳を阻害するためのアンチセンス法の使用は、当分野において周知である(Ma
rcus-Sakura, 1988, Anal. Biochem., 172: 289)。
【0081】 転写を失速させるオリゴヌクレオチドの使用は、オリゴマーが二重らせん状の
DNAの周りに巻き付いて3本鎖ヘリックスを形成しているため、三重鎖法(tripl
ex strategy)として知られている。したがって、これらの三重鎖化合物(tripl
ex compound)は、選択した遺伝子上のユニークな部位を認識するために設計す
ることができる(Maherら、1991、Antisense Res. and Dev., 1(3):227; Helene
, C., 1991, Anticancer Drug Design, 6(6): 569)。
【0082】 リボザイムは、DAN制限エンドヌクレアーゼと類似した様式で他の1本鎖RNAを
特異的に切断する能力を有するRNA分子である。これらのRNAをコードするヌクレ
オチド配列の修飾により、RNA分子の中の特定のヌクレオチド配列を認識してこ
れを切断する分子を工作することが可能である(Cech, 1988, J. Amer. Med. As
sn., 260: 3030)。このアプローチの主な利点は、これらが配列特異的であるの
で特定の配列を有するmRNAのみが不活化されるということである。
【0083】 リボザイムの2つの主なタイプ、つまりテトラヒメナ型(Hasselhoff, 1988,
Nature, 334: 585)と「ハンマーヘッド」型とがある。テトラヒメナ型リボザイ
ムは、4塩基長の配列を認識するが、「ハンマーヘッド」型リボザイムは、11〜
18塩基長の塩基配列を認識する。認識配列が長ければ長いほど、その配列が標的
mRNA種において独占的に生じる可能性が大きくなる。従って、特定のmRNA種を不
活化するためにはハンマーヘッド型リボザイムがテトラヒメナ型リボザイムより
も好ましく、18塩基認識配列の方がより短い認識配列よりも好ましい。
【0084】 障害がHomer発現の減少に関連する場合、Homerをコードする核酸配列を使用す
ることができる。Homer発現をモジュレートする物質には、配列番号2、4、6、8
、10もしくは12のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、またはこれらの
保存的変異体が含まれる。あるいは、本発明で使用される物質には、Homerをコ
ードするポリヌクレオチドの発現を促進する物質またはHomerポリペプチドの活
性を高める物質が含まれる。
【0085】 本発明の他の実施形態において、動物の生殖細胞の染色体に組み込まれたHome
r 1aを発現するトランスジーンを有するトランスジェニック非ヒト動物が提供さ
れる。このような動物が、その動物の生殖細胞の染色体中に組み込まれた外来DN
A配列、または該動物に通常内在する1以上の追加DNA配列(本明細書中において
全てひっくるめて「トランスジーン」と呼ぶ)を有する場合、その動物は「トラ
ンスジェニック」であると呼ばれる。またトランスジェニック動物(その子孫を
含む)は、体細胞の染色体中に偶然組み込まれたトランスジーンも有する。
【0086】 本発明のトランスジェニック動物を作成するために、様々な方法を使用するこ
とができる。一般的には、3つのこのような方法を使用することができる。1つ
のこのような方法では、前核段階の胚(「1細胞胚」)を雌から採取し、この胚
にトランスジーンをミクロ注入する。この場合、トランスジーンは、得られる成
熟動物の生殖細胞および体細胞の両方の染色体に組み込まれる。他のこのような
方法において、胚性幹細胞を単離し、エレクトロポレーション、プラスミドトラ
ンスフェクションまたはミクロ注入によりトランスジーンを該細胞に組み込んだ
後、該幹細胞を胚に再導入し、そこで該細胞はコロニーを生成して生殖系に寄与
する。哺乳動物種のミクロ注入法は、米国特許第4,873,191号に記載されている
。さらに他のこのような方法では、トランスジーンを含むレトロウイルスに胚細
胞を感染させて、この胚の生殖細胞の染色体に該トランスジーンを組み込む。ト
ランスジェニックにする動物が鳥類である場合、鳥類の受精卵は一般に卵管中で
最初の20時間細胞分裂をするので、受精卵の生殖核中へのミクロ注入は、生殖核
へのアクセスが難しいため、問題が多い。したがって、上記に一般に記載したト
ランスジェニック動物を作製する方法のうち、鳥類にはレトロウイルス感染が好
ましい(例えば米国特許第5,162,215号に記載)。しかし、ミクロ注入を鳥類種
に使用する場合は、最近Loveら(Biotechnology, 12, Jan 1994)により公表さ
れた手法を用いて、最も最近卵を生んだ後の約2.5時間後に犠牲にしためんどり
から胚を得て、該トランスジーンを胎盤の細胞質にミクロ注入し、この胚を宿主
殻の中で成熟するまで培養する。トランスジェニックにする動物がウシまたはブ
タである場合、ミクロ注入は卵の不透明性が邪魔になるために、伝統的な微分干
渉対比顕微鏡法により核を同定することが難しい。この問題を克服するため、よ
り見易くするために、卵をまず遠心分離して生殖核を分離することができる。
【0087】 本発明の「非ヒト動物」とは、典型的にはネズム(例えばマウス)である。本
発明の「トランスジェニック非ヒト動物」は、非ヒト動物の生殖系に「トランス
ジーン」を導入することにより生成される。様々な発育段階の胚標的細胞を用い
て、トランスジーンを導入することができる。微分法は、胚標的細胞の発育段階
に応じて使用される。接合子は、ミクロ注入法の最良の標的である。遺伝子導入
の標的としての接合子の使用は、多くの場合、注入されたDNAは最初の分裂の前
に宿主の遺伝子中に導入されるという大きな利点を有する(Brinsterら、Proc.
Natl. Acad. Sci. USA 82: 4438-4442, 1985)。その結果、トランスジェニック
非ヒト動物の全ての細胞にトランスジーンが組み込まれる。これは一般に、生殖
細胞の50%が該トランスジーンを宿しているため、創始者の子へのトランスジー
ンの効率的な伝播においても反映される。
【0088】 「トランスジェニック」という用語は、その全ての細胞の中に外来性遺伝子物
質を含む動物を指すのに使用される。「トランスジェニック」動物は、生殖に使
用される細胞内に外来の遺伝子物質を含む2匹のキメラ動物を交雑させることに
より、作製することができる。得られる子の25%はトランスジェニック(すなわ
ち、全ての細胞中の両方の対立遺伝子の中にその外来遺伝子物質を含む動物)で
ある。得られる動物の50%は、一方の対立遺伝子中に外来遺伝子物質を含み、25
%は外来遺伝子物質を全く含まない。
【0089】 本発明の実施に有用なミクロ注入法において、トランスジーンは、任意のベク
ターDNAから(例えばゲル電気泳動により)消化および精製される。トランスジ
ーンは、転写に関与する細胞タンパク質と相互作用して最終的に構成的発現をも
たらす機能し得る形で結合したプロモーターを含むことが好ましい。この点で有
用なプロモーターには、サイトメガロウイルス(CMV)、モロニー白血病ウイル
ス(MLV)およびヘルペスウイルスに由来するプロモーター、ならびにメタロチ
オネイン(metallothionin)、骨格アクチン、P-エノールピルビン酸カルボキシ
ラーゼ(PEPCK)、ホスホグリセリン酸(PGK)、DHFRおよびチミジンキナーゼを
コードする遺伝子に由来するプロモーターが含まれる。ラウス肉腫ウイルス等の
レトロウイルスの末端反復配列(LTR)のプロモーターを使用することもできる
。胚性幹細胞のプラスミドトランスフェクションに有用な構築物は、当分野で周
知の追加的な調節エレメント(例えば転写を刺激するエンハンサーエレメント、
スプライス受容部位、終結およびポリアデニル化シグナル、ならびに翻訳を許す
リボソーム結合部位など)を使用する。
【0090】 また、レトロウイルス感染を使用して、上記のように非ヒト動物にトランスジ
ーンを導入することもできる。発生中の非ヒト胚を、胚盤胞段階までin vitroで
培養することができる。この間、割球をレトロウイルス感染の標的とすることが
できる(Jaenich, R., Proc. Natl. Acad. Sci USA 73: 1260-1264, 1976)。割
球の効率的な感染は、酵素処理により透明帯を除去することにより達成すること
ができる(Hoganら、(1986) in Manipulating the Mouse Embryo, Cold Sprin
g Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.)。トランスジーンを
導入するために使用されるウイルスベクター系は、典型的には、該トランスジー
ンを担持する複製欠陥レトロウイルスである(Jahnerら、Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA 82: 6927-6931, 1985; Van der Puttenら、Proc. Natl. Acad. Sci USA 82 : 6148-6152, 1985)。割球をウイルス産生細胞の単層上で培養することによ
り、トランスフェクションは簡単且つ効率的に得られる(Van der Putten(前掲
); Stewartら、EMBO J. 6: 383-388, 1987)。あるいは、感染はより遅い段階
で行うことができる。ウイルスまたはウイルス産生細胞を割腔に注入することが
できる(D. Jahnerら、Nature 2-98: 625-628, 1982)。組込みは、トランスジ
ェニック非ヒト動物を形成した細胞のサブセットにおいてのみ起こるので、創始
者の多くはそのトランスジーンのモザイクである。さらに、創始者は、そのゲノ
ムの異なる位置に該トランスジーンの様々なレトロウイルス挿入を含み得る。こ
れは一般に、その子孫において分離する。さらに、低効率ではあるが、妊娠中期
(midgestation)胚の子宮内レトロウイルス感染により、トランスジーンを生殖
系に導入することも可能である(D. Jahnerら(前掲))。
【0091】 トランスジーンの導入のための標的細胞の第3のタイプは、胚性幹細胞(ES)
である。ES細胞は、in vitroで培養し胚に融合させた着床前期胚(pre-implanta
tion embryos)から得られる(M. J. Evansら、Nature 292: 154-156, 1981; M.
O. Bradleyら、Nature 309: 255-258, 1984; Gosslerら、Proc. Natl. Acad. Sc
i USA 83: 9065-9069, 1986;およびRobertsonら、Nature 322: 445-448, 1986)
。トランスジーンは、DNAトランスフェクションまたはレトロウイルス媒介導入
によりES細胞に効率的に導入することができる。このような形質転換されたES細
胞は、その後、非ヒト動物由来胚細胞と組み合わせることができる。次にES細胞
は該胚をコロニー形成させ、得られるキメラ動物の生殖系に寄与する(概説につ
いてはJaenisch, R., Science 240: 1468-1474, 1988を参照されたい)。
【0092】 「形質転換された」とは、組換え核酸技術により異種核酸分子がその中(また
はその祖先の中)に導入された細胞を意味する。「異種」とは、他の種から派生
した核酸配列、またはその元々の形態もしくは最初にその細胞の中で発現された
形態のものから修飾した核酸配列を指す。
【0093】 「トランスジーン」とは、人為的に細胞中に挿入され、その細胞から発生する
生物のゲノムの一部となった(すなわち安定に組み込まれた、または安定な染色
体外エレメントとしての)DNAの任意のピースを意味する。このようなトランス
ジーンは、そのトランスジェニック生物に対して一部または全てが異種性(すな
わち外来のもの)である遺伝子を含み、あるいは、その生物の内因性遺伝子に遺
伝子相同性を示すものである。この定義に含まれるものとしては、DNAに書き写
された後にゲノムに組み込まれるRNA配列を提供することにより作成されたトラ
ンスジーンがある。本発明のトランスジーンには、トランスジェニック非ヒト動
物中で発現され得るHomerタンパク質のセンスおよびアンチセンスポリヌクレオ
チドをコードするDNA配列が含まれる。本明細書中に使用される「トランスジェ
ニック」という用語はさらに、そのゲノムが特定のゲノムをノックアウトするた
めのトランスジェニック技術により、または初期胚または受精卵のin vitro操作
により、改変された生物も含まれる。本明細書中で使用される「トランスジェニ
ック」という用語には、当業者には良く知られている、トランスジーンが導入さ
れた生物または内因性遺伝子が非機能化または「ノックアウト」された生物を作
製することができるあらゆるトランスジェニック技術が含まれる。
【0094】 本発明の抗体は、Homerタンパク質とHomer相互作用タンパク質との正常な相互
作用を妨げるために、本発明により提供されるHomerタンパク質またはHomer相互
作用タンパク質に結合することができる。Homerタンパク質またはHomer相互作用
タンパク質への抗体の結合は、細胞内シグナル伝達経路を妨げることにより細胞
シグナル伝達を妨げることができる。抗体の結合は、細胞外受容体(例えばNMDA
受容体や代謝型受容体等)へのHomerタンパク質の結合を妨げることができる。
抗体の結合は、細胞内受容体(例えばイノシトールトリスリン酸受容体等)への
Homerタンパク質の結合を妨げることができる。さらに、Homerタンパク質または
Homer相互作用タンパク質への結合は、Homerファミリータンパク質により介在さ
れる細胞表面受容体のクラスター化を妨げることができる。
【0095】 本発明の抗体は、該抗体をin vitroまたはin vivoでの免疫診断または免疫治
療において投与することが望ましい被験者において使用することができる。本発
明の抗体は、例えばイムノアッセイで使用するのに適しており、その際、本発明
の抗体は液相中で、または固相担体に結合させて、使用することができる。さら
に、これらのイムノアッセイにおける抗体は、様々な方法で検出可能に標識する
ことができる。本発明の抗体を利用することができるイムノアッセイのタイプの
例としては、直接または間接的なフォーマットでの競合イムノアッセイおよび非
競合イムノアッセイが挙げられる。このようなイムノアッセイの例としては、ラ
ジオイムノアッセイ(RIA)およびサンドイッチ(イムノメトリック)アッセイ
が挙げられる。本発明の抗体を用いた抗原検出は、順方向、逆方向、または同時
モードのいずれかで実行されるイムノアッセイ(生理学的サンプルについての免
疫組織化学アッセイを含む)を用いて行うことができる。当業者であれば、過度
の実験を行うことなく他のイムノアッセイが分かるであろうし、また簡単に識別
することができる。
【0096】 本発明で使用される「抗体」という用語は、本発明のポリペプチド内に存在す
るエピトープ決定因子に結合することができる無傷の分子およびそのフラグメン
ト、例えばFab、F(ab’)2およびFv等を含む。このような抗体フラグメントは、
その抗原または受容体に選択的に結合するある程度の能力を有する。
【0097】 これらのフラグメントを作製する方法は、当分野において公知である(例えば
本明細書中に参考として組み込まれるHarlowおよびLane、Antibodies: A Labora
tory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York (1988)を参照された
い)。モノクローナル抗体は、当業者に周知の方法により該タンパク質のフラグ
メントを含む抗原から作られる(Kohlerら、Nature, 256: 495, 1975)。
【0098】 本発明のポリペプチドに結合する抗体は、無傷のポリペプチドまたは目的の小
さなペプチドを含むフラグメントを免疫抗原として用いて調製することができる
。例えば、本発明のポリペプチドのN末端またはC末端ドメインに特異的に結合す
る抗体を生成することが望ましい場合がある。動物を免疫するのに使用されるポ
リペプチドまたはペプチドは、翻訳されたcDNAから得られるかまたは化学合成さ
れ、望ましい場合はキャリヤタンパク質にコンジュゲートすることができる。免
疫するペプチドに化学的に結合されることができる一般的に使用されるキャリヤ
タンパク質には、キーホールリンペットヘモシニアン(KLH)、サイログロブリ
ン、ウシ血清アルブミン(BSA)、破傷風トキソイド等が含まれる。
【0099】 本発明のポリクローナルもしくはモノクローナル抗体は、例えばその抗体を誘
起したポリペプチドまたはペプチドが結合した基質に結合させてこれから溶出す
ることにより、さらに精製することができる。当業者であれば、ポリクローナル
抗体およびモノクローナル抗体の精製および/または濃縮を行うための免疫学技
術において一般的な様々な技法について知っているであろう(例えば本明細書中
に参考として組み込まれるColiganら、Unit 9, Current Protocols in Immunolo
gy, Wiley Interscience, 1994を参照されたい)。
【0100】 本発明の抗体は、多くの異なるキャリヤに結合させて、本発明のポリペプチド
を含む抗原の存在を検出するのに使用することができる。周知のキャリヤの例に
は、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナ
イロン、アミラーゼ、天然または改変されたセルロース、ポリアクリルアミド、
アガロースおよびマグネタイトが含まれる。キャリヤの性質は、本発明の目的の
ためには可溶性または非可溶性のいずれでもよい。当業者であれば、抗体を結合
させる他の好適なキャリヤについて知っているであろうし、また通常の実験を用
いてこのようなものを確かめることができるであろう。
【0101】 多くの異なる標識および標識方法が当業者に公知である。本発明で使用するこ
とができる標識のタイプの例には、酵素、放射性同位元素、蛍光化合物、金属コ
ロイド、化学発光化合物、リン光化合物、および生物発光化合物が含まれる。当
業者であれば、抗体に結合させるのに適した他の標識を知っているであろうし、
また、通常の実験を用いてこのようなものを確かめることができるであろう。
【0102】 より感度を高めることができる他の技法は、抗体を低分子量ハプテンに結合さ
せることを含む。次にこれらのハプテンを2次反応により特異的に検出すること
ができる。例えば、アビジンに反応するビオチン、またはジニトロフェニル、プ
リドキサール(puridoxal)等のハプテン、および特定の抗ハプテン抗体と反応
することができるフルオレセイン等を用いることが一般的である。
【0103】 本発明のモノクローナルおよびポリクローナル抗体を抗原(例えばHomer)のi
n vivo検出に用いる際、検出可能に標識した抗体を診断に有効な用量で与える。
「診断に有効な」という用語は、検出可能に標識した抗体を、該抗体がそれに対
して特異的な本発明のポリペプチドを含む抗原を有する部位の検出を可能とする
のに十分な量で投与することを意味する。
【0104】 投与される検出可能に標識された抗体の濃度は、該ポリペプチドを有するこれ
らの細胞への結合が、バックグラウンドに比べて検出可能となるように十分なも
のでなければならない。さらに、検出可能に標識された抗体は、最良の標的対バ
ックグラウンドシグナル比を得るために循環系から急速に除去されることが望ま
しい。
【0105】 概して、in vivo治療または診断のための検出可能に標識された抗体の投与量
は、個体の年齢、性別、および病気の程度等の要因によって異なる。このような
投与量は、例えば複数回の注射を行うか否か、抗原負荷(antigenic burden)、
および当業者に公知の他の要因によっても異なる。
【0106】 以下の実施例は、本発明の方法、形状、または形態を、明確にまたは暗黙に例
示するものであって、限定するものではない。これらは、使用することができる
典型的なものであるが、当業者に公知の他の手続き、方法、または技法を使用す
ることもできる。
【0107】実施例 Homer 1aはIEGであり、調節されたアダプター系として一緒に機能するタンパ
ク質のファミリーのオリジナルのメンバーである。この調節されたアダプター系
は、放出可能なカルシウムの細胞内プールへの膜受容体の結合を制御すると仮定
される。Homerタンパク質は、興奮性シナプスにおいて膜グループ1代謝生産物
産性グルタミン酸受容体(mGluR)を小胞体結合イノシトールトリスリン酸受容
体(IP3R)に結合させるために機能する(Brakemanら、1997;Tuら、1998;Xiao
ら、1998)。現在の研究により、カルシウムのシグナル伝達および受容体のトラ
フィッキングにおけるHomerタンパク質のより広い役割が示唆されている。タン
パク質のShankファミリーは、これらのHomerとの会合に基づいて同定された(Na
isbittら、1999;Tuら、1999)。ShankはHomerと共に、NMDAおよびグループI mG
luRのシグナル伝達複合体の両方の一部であると考えられる。Shankとの相互作用
により、Homerは、NMDA Ca2+の流れ込みを細胞内Ca2+誘導性Ca2+放出プールに結
合させるメカニズムを提供する。本発明者らは、グループI mGluRのトラフィッ
キングにおけるHomerの役割に洞察を提供する更なるHomer相互作用タンパク質を
同定した(例えば配列番号16、18および20)。これらのHomer依存性細胞プロセ
スはHomerのIEG形態(Homer 1a)により調節されるので、Homerタンパク質がmGl
uRおよびNMDA受容体のCa2+の動態をモジュレートすることができ且つ受容体トラ
フィッキングを調節することを可能にするメカニズムが明確になる。
【0108】 Homerファミリータンパク質は、mGluRs、IP3R、Shankおよび他の新規なタンパ
ク質との相互作用を介在するN末端EVH1ドメインを有する。EVH1ドメインは、プ
ロリンリッチモチーフPPXXFRに結合することが分かっている(Tuら、1998)。本
発明は、Homer EVH1ドメインの結晶構造を提供する。補足的な研究において、遺
伝子的アプローチを用いて、Homer-mGluR(および他のHomer相互作用タンパク質
)の相互作用の親和性をモジュレートする、EVH1ドメインおよびリガンドの両方
における重要な残基を同定した。この情報は、Homerタンパク質の統合的な細胞
活動を理解する上で重要である。これらの研究をまとめて、EVH1とそのリガンド
との相互作用の特異性を分子ベースで定義し、EVH1相互作用がどのように調節さ
れるかということについて洞察を提供する。
【0109】 この特許出願は、Homerにより制御されるシグナル伝達網の一部である幾つか
のHomer相互作用タンパク質の記載を含む(例えば配列番号16、18、20)。酵母
2ハイブリッドスクリーニングおよびNCBIタンパク質データベースの検索により
、Homerのための既知および新規の候補相互作用タンパク質を同定した。これに
は、リアノジン受容体、NMDA受容体サブユニットNR2D、ヒトInaD、ならびにI42
およびI30と呼ばれる新規な相後作用タンパク質を含む。以下に記載するように
、現在のデータは、これらの様々な受容体に対するHomerの架橋活性を特異的に
モジュレートすることにより、細胞機能に対するこれらの受容体の出力を調節す
る新規な治療薬を提供する物質を開発することができることを示す。
【0110】 Homerは、幾つかの方法で作用し、細胞機能を調節する。HomerおよびHomerに
関連するタンパク質は、膜受容体を放出可能なCaの細胞内プールに結合させるア
ダプター系として機能する。Homerのこの「シグナル伝達」機能は、Xiaoら(199
8)、Tuら(1998および1999)、Naisbettら(1999)、ならびにI42と呼ばれる新
規なHomer相互作用タンパク質の研究(以下参照)により記載されている。Homer
タンパク質はその架橋作用により、シナプス形成および他のシナプス後構造タン
パク質へのGluRsの空間的なターゲッティング/トラフィッキングにおいて役割を
果たす。Homerのこの機能は、Tuら(1999)およびNaisbettら(1999)の観察結
果により支持されている。
【0111】Homerの最初のクローニング;新規な脳の前初期遺伝子(IEG) Homerを、発作刺激海馬のディファレンシャル(differential)スクリーニン
グでクローニングした。脳内のIEG誘導を調べた従来研究は、IEG応答の時間経過
および組織分布の詳細な理解を提供し(Coleら、1989;Saffenら、1988;Worley
ら、1990)、新規なIEG mRNAを最大限に誘導するパラダイムを提唱した(Lanaha
nおよびWorley、1998;Worleyら、1990)。クローニングした後、in situハイブ
リダイゼーションを用いて、海馬内におけるLTP刺激(Brakemanら、1997)およ
びコカインの急性投与を含む、ニューロンを活性化する他のパラダイムにおいて
調節されるIEGをスクリーニングした。これらのモデルにおいて、Homerは、全て
のIEGの中で最も高度に誘導されたもののうちの1つであった(Brakemanら、199
7)。Homerの最初の特徴付けは、そのmRNAが約7kbであるのに対し、最も良い推
定オープンリーディングフレームがたった186aaであり、cDNAの5’側末端の近く
に位置しているという点で、難しいものであった(Brakemanら、1997)。3’側U
TRは、5kbを超えていた。ORFは、cDNAのin vitro転写および翻訳により確認し、
細菌により発現された融合タンパク質に対してウサギポリクローナル抗血清を作
製した。これらの抗体を用いて、本発明者らは、該タンパク質が、発作の後に海
馬内で急速且つ一過性に誘導されたことを示すことができた(Brakemanら、1977
)。これにより、推定ORFが確認され、本発明者らは、このcDNAが実際に脳内で
翻訳されたことを確信した。
【0112】HomerはグループI代謝型受容体に選択的に結合し、シナプスにおいて豊富に存在
する Homerの機能を発見する試みにおいて、酵母2ハイブリッド技法(Chevrayおよ
びNathans、1992; FieldsおよびSong, 1989)を用いて、ラットの海馬および皮
質から調製したcDNAをスクリーニングした。全長Homer IEGをベイト(bait)と
して使用した。約30個の確認された相互作用cDNAのうち、1つはmGluR5のC末端2
50aaをコードするものであった。本発明者らはまず、該タンパク質がプルダウン
アッセイにおいてGSTHomerを用いて、異種細胞(HEK293細胞)中で発現されたmG
luR5の断片または全長mGluR5のいずれかに結合することを確認した(Brakemanら
、1997)。またHomerタンパク質は、mGluR1aにも結合するが、mGluR2、3、4また
は7には結合しない。これは、mGluR1およびmGluR5(グループI代謝型受容体と呼
ばれる)がホスホリパーゼCに結合し、ホスホイノシチドの加水分解を活性化さ
せてイノシトールトリスリン酸およびジアシルグリセロールを生成するので、Ho
merの機能にとって興味深い手掛りであった(Nakanishiら、1994)。また、mGl
uR1aおよび5は、細胞質ゾルに配置された長いC末端において配列類似性を共有す
る。他の代謝型グルタミン酸受容体(グループ2および3)は、アデニル酸シク
ラーゼ活性を阻害し、グループI受容体に対して相同性を欠く短いC末端を有する
。本発明者らは、HomerおよびmGluR5が脳内で自然に会合するか否かのテストを
進め、これらのタンパク質が海馬の界面活性剤抽出物から同時に免疫沈降するこ
とを確認した(Brakemanら、1997)。次の重要な手掛りは、Homerの免疫応答性
が、興奮性シナプスにおいて強くなっているという観察結果により提供された(
Brakemanら、1997)。脳内では、Homerタンパク質は樹状突起に会合しており、
突起内での局在化に一致した斑点状のパターンを示した。このHomerの結合特性
および細胞分布は、興奮性シナプスにおける役割を示唆した。
【0113】Homerは、興奮性シナプスにおいて富化される、密接に関係するタンパク質ファ
ミリーのメンバーである NCBI配列データベースの検索により、Homerに対して強い相同性を示すが、別
のC末端配列をコードしているため明らかに異なるいくつかのESTが同定された(
Brakemanら, 1997)。スクリーニング戦略の組み合わせを使用して、ラット、マ
ウス、ショウジョウバエおよびヒトから、12個のcDNAからなるファミリーが同定
された(Xiaoら, 1998)。これらのcDNAは全て、類似するタンパク質構造をもつタ
ンパク質をコードしており、3つの独立した哺乳動物遺伝子(Homer 1、2、3と命
名した)および1つのショウジョウバエ遺伝子の産物であると推定された。Homer
IEG(ここでは、Homer 1aと称される)と同様に、新しいファミリーメンバーは全
て、N末端、すなわちmGluR1a/5に結合する約110のアミノ酸ドメインを含む(Xia
oら, 1998)。mGluR1a/5と相互作用するHomerの領域は、ショウジョウバエEnable
d[Gertler 1996]、哺乳動物VASP(Haffnerら, 1995)およびウィスコット・アルド
リッチタンパク質(WASP)(PontingおよびPhillips, 1997; Symonsら, 1996)を含
むタンパク質のファミリーのドメインに対する適度な相同性(20〜25%の同一性)
から、EVH1ドメインと称する。ショウジョウバエ、げっ歯動物およびヒト由来の
Homerタンパク質のEVH1ドメインは、80%の同一性レベルで保存されている(Xiao
ら, 1998)。IEG Homer 1aを除く全ての新しい形態のHomerは、予測されるコイル
ドコイル(CC)構造を有する別のC末端ドメインをコードする。
【0114】 名称が示すように、Homer 1遺伝子は、IEG形態(Homer 1a)、ならびにHomer 1b
および1cと称されるCCドメインをコードするスプライス形態の両方をコードする
。1bおよび1cスプライス形態は、EVH1ドメインとCCドメインとの間に位置する約
10のアミノ酸配列を含むか含まないかで異なる(CCドメインをコードするHomerフ
ァミリーメンバーは、CCドメインを欠くHomer 1aと区別するために、CC-Homerと
も称される)。同様に、Homer 2は、EVH1ドメインとCCドメインとの間にある短い
内部配列によってやはり異なるHomer 2aおよび2bと称される2つのCC-Homerスプ
ライス形態をコードする。Homer 3は、単一の形態をコードする。CCドメインは
、EVH1ドメインと比べて保存性が低いが(ラットHomer 1、2および3の間での同一
性は約40%)、自身およびその他のHomerファミリーメンバーのCCドメインに特異
的に結合することができる(Xiaoら, 1998)。Homer CCドメインは、GSTプルダウ
ンアッセイにおいて他の代表的なCCドメインタンパク質と相互作用せず、Homer
1のCCドメインによる脳cDNAの酵母2ハイブリッドスクリーニングでは、多数のH
omer 1、Homer 2およびHomer 3のコピーが同定されたが、その他のCCドメインは
同定されなかった(Xiaoら, 1998)。Homerタンパク質が、自然に自己多量体化(se
lf-multimerize)できる証拠として、本発明者らは脳由来のHomer 1b/Homer 3ヘ
テロ多量体が共免疫沈降することを実証した(Xiaoら, 1998)。これらの観察結果
は、Homer CCドメインが特異的自己会合を仲介することを示す。
【0115】 Homer 1aと対照的に、全てのCC含有Homerファミリーメンバーが、脳内で構成
的に発現される(Xiaoら, 1998)。これは、同物質中のHomer 1aと発現を比較する
ノーザンブロットおよびin situハイブリダイゼーションアッセイの両方を使用
して確認した。Homer 1b/c、Homer 2およびHomer 3のmRNAおよびタンパク質発現
は発作後も海馬において変化しないが、Homer 1a mRNAおよびタンパク質は少な
くとも10倍誘導された。
【0116】 各CC-Homerを特異的に認識する抗体を生成した。抗体は、合成C末端ペプチド
配列に対して生じさせた。Homer 1bおよび1cは、同一のC末端を所有するため、
C末端抗体は両方のスプライス形態を認識する。同様に、C末端Homer 2抗体は
、Homer 2aおよび2bの両方を認識する。従って、これらの抗体を使用してHomer
タンパク質を検出する場合、Homer 1b/cまたはHomer 2a/bとしての免疫反応性に
起因するとみなす。これらの抗体を使用して、Homer 1b/cおよび3が、シナプス
後密度(PSD)の界面活性剤耐性画分において富化されていることを確認した(Xiao
ら, 1998)。Homer 2a/bも、シナプス画分において富化されているが、Homer 1b/
cおよびHomer 3と比べて比較的可溶性が高い。Homer 1aのように、各CC-Homerは
、脳由来のグループ1mGluRと共免疫沈降する(Xiaoら, 1998)。イムノゴールド
電子顕微鏡法(EM)により、Homer 1b/cおよびHomer 3が、超構造的にPSDに局在化
することが実証された(Xiaoら, 1998)。これらの観察結果は、CC-Homerタンパク
質が、シナプス後部位にあるmGluRに結合する多価アダプター複合体として機能
することを示唆する。
【0117】Homer 1aは、天然ドミナントネガティブタンパク質として機能する Homer 1aがCCドメインを欠くという事実は、CC-Homerの架橋を妨害する天然ド
ミナントネガティブとして機能しうることを示唆した。このモデルの場合、Home
r 1aのEVH1ドメインは、CC-Homerと同じターゲットタンパク質(mGluR5など)に対
して結合し、競合できるが、Homer 1aはCCドメインを欠くために、自己会合でき
ず、また架橋できない。ドミナントネガティブ仮説を試験するために、改変型Th
y-1プロモーターの制御下で脳ニューロンにおいてHomer 1aを構成的に発現する
トランスジェニックマウスを作成した[Aigner, 1995 #200]。2つの独立した系
統の海馬、小脳および大脳皮質においてトランスジーンの発現を確認した(Xiao
ら, 1998)。海馬におけるトランスジーンの発現レベルは、発作により誘導され
る天然Homer 1aの発現と類似した。しかし、天然Homer 1aとは対照的に、刺激さ
れていないマウスにおいては、トランスジーンが構成的に発現された。ドミナン
トネガティブ仮説の予測としては、トランスジェニックマウスにおいて、mGluR
をHomer 1b/c抗体またはHomer 3抗体と共免疫沈降する能力が低下するであろう
ということである。この実験の対照の1つとして、本発明者らは、ウェスタンブ
ロットにより、mGluR1a、mGluR5およびHomer 1b/c、2a/b、3の発現レベルがトラ
ンスジェニックマウスの脳内で変化しなかったことを実証した。次いで、IP実験
を行い、予期した結果を観察した。すなわち、トランスジェニックマウスにおい
て、海馬からのmGluR5およびCC-Homerの共免疫沈降は減少した(Xiaoら, 1998)。
小脳由来mGluR1aおよびHomer 3の同様の共免疫沈降も減少した。別の対照として
、トランスジェニックマウスにおいて、Homer 1b/cをHomer 3と共免疫沈降させ
る能力は変化しなかったことを実証した。これは推測結果であった。なぜなら、
これらのタンパク質間の会合は、それらのCCドメインにより仲介されており、こ
の相互作用はHomer 1a EVH1ドメインによって変化しないからである。これらの
観察結果は、Homer 1aが、天然ドミナントネガティブとして機能し、CC-Homer依
存性架橋を調節するという仮説を支持するものである。
【0118】Homerは、グループ1mGluRのC末端から約50アミノ酸のプロリンリッチ配列と結
合する HomerとmGluR5との相互作用を最初に特性決定した際、Homerが遊離C末端と結
合するかもしれないと予想した。この推測は、NMDAR2(Kornau, 1995)およびAMPA
受容体(Dongら, 1997)の遊離C末端と結合するPSD95およびGRIPなどのPDZタンパ
ク質の先例を根拠とした。Homerが、PDZドメインのようにGLGF配列をコードする
ことをみとめた。さらに、洗浄が簡単なGSTプルダウンアッセイにおいて、mGluR
5からC末端の4または10アミノ酸を欠失させた場合に、結合が適度に減少したこ
とを認めた[Brakeman, 1997 #99]。(振り返ってみると、この結合の適度な減少
は、mGluR5の遊離C末端と結合するShankのHomerプルダウンによるものかもしれ
ないが、これはHomer-mGluR5結合よりも親和性が低いように考えられる;下記参
照)。しかし、より標準的な洗浄条件では、mGluR5の4および10アミノ酸C末端欠
失型変異体は、Homerとアビディティー結合し続けることが明らかになった。mGl
uR5の50アミノ酸C末端が欠失されて初めて、Homerとの結合が破壊されることが
認められるまで欠失戦略を続けた。対照的に、mGluR5の41アミノ酸欠失では、完
全な結合活性が保持された。介入する配列が、プロリンに富み、前記SH3リガン
ド配列と配列類似性を有したことをみとめた[Yu, 1994 #166]。SH3リガンドにつ
いて知られている構造機能関係に基づき、一連の点突然変異体を調製した。結合
アッセイにより、SH3リガンド結合の一般的な特徴を確認したが、重要なアミノ
酸の位置決定においてHomer結合部位が異なることも実証した(Tuら, 1998)。結
合のためのコンセンサスは、PPXXFRであると決定され、これは、プロリンもしく
はフェニルアラニンのいずれかの突然変異、またはそれらの相対的位置の変化が
結合を妨害するという観察結果と一致している。最後の位置は、他のアミノ酸よ
りもアルギニンが好ましいが、必須ではない。突然変異は、各Homerファミリー
メンバー(Homer 1a、1b/c、2a/b、3、およびHomer 1のEVH1単独断片(110アミノ
酸)を含む)との結合を妨害するのに同等に有効であった。従って、mGluR5との相
互作用はHomer EVH1ドメインにより仲介されると結論づけた。
【0119】 mGluR5の突然変異は、250アミノ酸C末端断片の関連で最初に試験したが、完
全長mGluR5タンパク質に配置した場合に結合に対して同等の影響を有することも
確認した(Tuら, 1998)。Homerリガンド部位内の単一アミノ酸変化に対するHomer
結合のこの鋭敏な感受性は、mGluR1a(Tuら, 1998)、Shank(Tuら, 1999)およびI4
2(以下参照)を含む他のHomer相互作用タンパク質において確認されている。相互
作用が、(遠位結合部位に対する二次的なアロステリック効果とは異なり)Homer
リガンド部位における直接相互作用により仲介されていることをさらに確認する
ために、野生型またはFからRへの突然変異のいずれかで合成10 merペプチドを
調製し、mGluR1aまたはmGluR5が各Homerファミリーメンバーと結合するのを野生
型ペプチドがブロックすることを実証した[(Tuら, 1998)]。結合の約半分は、3.
4μmolのペプチド濃度でブロックされた。対照的に、FからRへの突然変異ペプ
チドは、340μmolの高濃度においても結合を変化させなかった。
【0120】HomerはIP3受容体と結合する Homerへの結合が推測されるコンセンサス配列を用意し、Homerに結合しうる他
のタンパク質についてNCBIデータベースを検索した。Homerリガンド部位は、IP3
R、ダイナミンIII(dynamin III)、ヒトαアドレナリン受容体およびリアノジン
受容体において同定された[(Tuら, 1998)]。これらの相互作用はそれぞれ、Home
rタンパク質がサイトゾルであると仮定して、候補相互作用タンパク質の既知の
トポロジーと一致すると決定した。本発明者らは、GSTプルダウンアッセイを使
用して、IP3RおよびダイナミンIIIとHomerとの生化学的相互作用を確認できた。
さらに重要なことに、本発明者らは、IP3Rが、小脳の界面活性剤抽出物由来のHo
mer 1b/c、2a/bおよび3のそれぞれと共免疫沈降することを実証した[Tuら, 1998
]。Homerは、小脳内のIP3Rの実質的な部分と会合していると考えられる。なぜな
ら、3つのHomer抗体のカクテルは、界面活性剤抽出物(CHAPS)中の全IP3Rの約50
%を(免疫前血清のカクテルと比べて)特異的に共免疫沈降できるからである。
【0121】CC-Homerは、シグナル伝達複合体中のmGluR5とIP3Rとを連結するように機能する
従来の観察結果に基づき、CC-Homerが、mGluRとIP3Rとを架橋しうるという仮 説について試験した。この見解は、IP3Rが、mGluR1/5のグルタミン酸刺激の際に
活性化されるシグナル伝達ネットワークの一部であるという点で興味深かった。
シグナル伝達複合体は、既に記載されており、特異的なキナーゼおよびそれらの
基質に対して骨格として機能するAKAPタンパク質[Lester, 1997 #149]、ならび
に膜光活性化チャンネル(membrane light activated channel)をその下流エフェ
クター酵素であるホスホリパーゼCと結合させるショウジョウバエタンパク質In
aD[Tsunoda, 1997 #147]が挙げられる。しかし、その他のシグナル伝達複合体の
例と異なり、Homerは、2つの異なる膜にある受容体の間に架橋を形成する必要
がありうる。機能的mGluRは形質膜に存在するが、IP3Rは主に細胞内小胞体(ER)
に局在化している。ERおよび形質膜がニューロンにおいて近い場所に位置すると
いう見解のもとに、Dr.Kristin Harris(Harvard)が、海馬および小脳体ニューロ
ンの棘突起における滑面ER(SER、すなわち棘突起体(spine apparatus))の存在を
記載していることに着目した(Tuら, 1998)。注目に値することに、SERは、PSDの
外側縁に特異的に局在化した形質膜の近くに形成する。これらの部位は、まさに
グループ1mGluRが局在化する部位である(Baudeら, 1993;Lujanら, 1997;Nuss
erら, 1994)。IP3Rは、棘突起体が会合する小脳プルキンエニューロンの棘突起
に存在する(Satohら, 1990)。(興味深いことに、海馬ニューロンにおいては、RY
Rは棘突起体に存在し、IP3Rは樹状突樹幹(dendritic shaft)に限定されていると
考えられる [(Narasimhanら, 1998)にて概説されている]。)Homer 1b/cおよび3
もまた、PSDの外側縁にあるサイトゾルにおいて富化される[(Xiaoら, 1998)]。
従って、入手可能な解剖学的証拠は、シナプスmGluRが、CC-Homerに富んだ部位
においてSER会合IP3Rの近くに位置するという見解を支持するものであった。
【0122】 CC-HomerがmGluRとIP3Rとを架橋するという仮説の最初の試験として、脳内でm
GluR、HomerおよびIP3Rの三分子複合体を検出できるかどうかを求めた。確かに
、IP3R抗体は、小脳由来のHomerおよびmGluR1aを特異的に共免疫沈降させた(Nar
asimhanら, 1998)。IP3Rは、mGluR1aと直接相互作用することが知られていない
ため、この結果は、Homerがこれらのタンパク質を架橋させて三分子シグナル伝
達複合体を形成するという仮説を支持した。「Homer仮説」のさらなる推測は、Hom
er 1aが推定mGluR-CC-Homer-IP3R複合体を脱結合させるだろうということである
。このことを試験するために、本発明者らは、グルタミン酸誘導型細胞内カルシ
ウム放出に対するHomer 1a発現の影響をモニターした。Homer 1aまたはHomer 1b
を発現しているプラスミドを、緑色蛍光タンパク質と共にトランスフェクトし(
遺伝子ガン)、同定したプルキンエニューロンをキスカル酸塩で刺激した。Ca2+
指示薬フラ2を含むパッチ電極を細胞体に取り付け、-60mVの保持電位をかけた
。浸漬浴中に、テトロドトキシンおよびピクロトキシンを加えてシナプスインプ
ットをブロックし、EDTA/MgCl2を加えて測定される細胞中のCa2+増加が確実に細
胞内貯蔵物から生成されるものとした。これらの条件下では、キスカル酸誘導型
Ca2+増加は、IP3RプールからのmGluR1誘発型放出によるものである(Rocheら, 受
認済)。空ベクターでトランスフェクトされた細胞と比べて、Homer 1bの発現は
誘導型Ca2+一過性事象を変化させなかった。対照的に、Homer 1aでトランスフェ
クトされたニューロンは、Ca2+一過性事象の振幅が低下し、ピーク到達までの時
間が遅延された(Tuら, 1998)。この結果は、ホスホリパーゼCのmGluR1a活性化
により生成されたIP3が、Homer 1aを発現しているニューロンでは、IP3Rプール
からCa2+を放出する有効性が低いという見解と一致し、Homer 1aがmGluR1aとIP3
Rとの物理的結合を妨害するのではないかと予想された。放出されたIP3はさらに
拡散されて、受容体におけるIP3の有効濃度が低下するにちがいない。
【0123】CC-Homerは、異種細胞におけるmGluR1a/5の移動を変化させる mGluR5発現に対するHomerの作用を試験するために研究を開始した。野生型mGl
uR5を異種細胞内(HEK293、COSまたはHeLa)で発現した場合、受容体は形質膜表面
に到達して、そこで拡散して局在化した。これは、mGluR5をHomer 1aと同時発現
した場合も同様であった。しかし、mGluR5をHomer 1bと同時発現した場合は、mG
luR5を細胞内に含有することを認めた(Rocheら、受認済)。このHomer 1bの作用
は、トランスフェクトされたプラスミドの量に依存しており、同量のHomer 1bお
よびmGluR5プラスミドを同時トランスフェクトした際に最も明確であった。Home
r 1bと同時トランスフェクトされると、mGluR5の発現レベルは高くなる傾向があ
る。(Homer 1bが存在する場合および不在の場合の発現を比較した際に)mGluR5の
合計発現量が同じになるように、トランスフェクトされたプラスミドの比を滴定
した場合、合計mGluR5の実質的な部分は、Homer 1bと同時発現された際に細胞内
プールと会合していた。これらの細胞において、形質膜への到達度は、mGluR単
独発現の場合またはHomer 1aでの同時発現と比べて比較的低かった。本発明者ら
は、Homer 1bおよびmGluR5のトランスフェクション後初期において、mGluR5が、
細胞にわたってERに類似した網状パターンを有して核周辺の小器官において富ん
でいることをさらにみとめた。CC-Homer依存性細胞蓄積の特性を評価するために
、mGluR5の分布をER特異的マーカーBIP[B(Rocheら、受認済)]と比較した。BIP
抗体で染色することにより、トランスフェクトされた細胞およびトランスフェク
トされなかった細胞の両方で広範囲にわたってERが存在すること、ならびにmGlu
R5との同時局在化が明らかになった。核周辺の小器官が非トランスフェクション
細胞に存在せず、つまりmGluR5およびHomer 1bを過剰発現している細胞に特有の
ER由来構造物であると考えられることもみとめた。これらの観察は、Homer 1aで
はなくHomer 1bが、mGluR5をERに保持させていることを支持している。
【0124】 ER保持についての別のアッセイとして、Homer 1aまたはHomer 1bを同時発現し
ている細胞内のmGluR5に存在する炭水化物の状態を試験した。Homer 1bがmGluR5
をERに保持させるのであれば、mGluR5は、酵素エンドグリコシダーゼH(エンド
H)での消化に対して感受性を有する未熟な高マンノース炭水化物を含んでいる
はずである。あるいはまた、mGluR5が、ERおよびシスゴルジをうまく移動したな
らば、エンドHに耐性な成熟複合炭水化物を所有するはずである。成熟炭水化物
は、mGluR5が細胞表面上にあるか、エンドソームなどのゴルジ後細胞内コンパー
トメント内で隔離されていれば、予測できる。本発明者らは、mGluR5が、単独で
またはHomer 1aと発現された場合にエンドH耐性であることを確認した(Xiaoら,
1998)。しかし、H1bと発現した場合、mGluR5はエンドH感受性であり、H1bの発
現によってグループImGluRがERに保持されるという仮説と一致する。
【0125】 グループII代謝型グルタミン酸受容体mGlurR2の細胞下での局在化は、単独で
発現されても、またはH1bと共に発現されても同じであった。さらに、本発明者
らは、Homer結合部位において点突然変異を含む一連のmGluR5構築物を使用し、i
n vitroでのmGluR5/Homer相互作用を妨害する突然変異も、H1bと同時発現したGl
uR5をERに保持するのを妨げることを見出した[Takeiら, 1994]。Homerとin vitr
oで結合しないmGluR5 P1125L(Tuら, 1998)は、H1bと同時発現された際にERに保
持されなかった。逆に、Homerとin vitroで結合するmGluR5 S1126Fは、H1bと同
時発現した場合にERに保持された。隣接残基における別の点突然変異を分析した
結果は、in vitro結合研究[[B(Ikedaら, 1995)に要約]]と一致し、Homer結合部
位が無傷の場合にのみH1bによりmGlurR5がERに保持されることを実証した。
【0126】 上記実験は異種細胞で行ったが、プルキンエ細胞のERにおけるグループI代謝
型受容体mGluR1aの富化を認めた[(Kammermeierら, 提出済)]。プルキンエニュー
ロンは特に高レベルのCC-Homerを発現し[(Xiaoら, 1998)]、これはHomerタンパ
ク質が、ERを通って移動する受容体を自然に調節しうることを示唆している。こ
のモデルにおいて、Homer 1aは、ERゴルジ系を移動して、シナプス後部膜への挿
入を可能にするだろう。ER関連タンパク質の空間分布および代謝を変化させるCC
-Homerの能力は、IP3Rにも強い影響を与えうる。プルキンエニューロンにおける
IP3Rは、密に重積されたERと会合し(Satohら, 1990)、この重積形態は、神経活
性により調節されることが示されている(Takeiら, 1994)。小脳におけるIP3Rの
実質的な部分はCC-Homerと会合しているため、2つの隣接する膜上にある相互作
用するタンパク質を架橋するCC-Homerの能力が、ER形態および機能において調節
的な役割を果たすこともありうる。照準2および照準3の実験はこの仮説を試験
する。
【0127】Homerは、イオンチャンネルに結合したmGluRをモジュレートする グループ1mGluRは、百日咳毒素感受性および百日咳毒素非感受性のGタンパ
ク質を活性化することでイオン電流をモジュレートする(Naisbittら, 1999)。上
頚神経節(SCG)ニューロンにおける異種発現されたグループ1mGluRによるCa2+
流のモジュレーションは、Gタンパク質のaおよびβg-サブユニットの両方が
関与する複数の経路を経て行われる。SCGニューロン中のCa2+およびM型カリウ
ムチャンネルへのmGluRの結合に対するHomerの作用を試験した。
【0128】HomerはShankと相互作用し、これはシナプス形成の役割およびNMDAR機能を示唆
する Homerの生理学的機能に関してさらに考察するために、脳cDNAライブラリーの
酵母2ハイブリッドスクリーニングでHomer 1aとの相互作用に基づいて同定され
た新規タンパク質ファミリーを特徴づけた。これらのHomer相互作用タンパク質
は、GKAPおよびPSD-95複合体と相互作用するPSDタンパク質のShankファミリーと
同じであると決定された(Tuら, 1999)。Shankタンパク質は、特に興奮性シナプ
スに豊富であり、一次ニューロン培養物においてNMDA受容体と共に局在している
(Naisbittら, 1999)。Shankタンパク質は、GKAP(PSD-95のグアニル酸キナーゼド
メインと結合するシナプスタンパク質)との相互作用によって、興奮性シナプス
に動員されると考えられる(Kimら, 1997;Naisbittら, 1999;Naisbittら, 1997
;Takeuchiら, 1997)。GKAPと結合するPDZドメインに加えて、Shankは、自己多
量体化およびコルタクチン(cortactin)との相互作用を仲介するドメインを含む(
Golshaniら, 1998)。Shankはまた、Homerと直接相互作用する(Lujanら, 1997)。
HomerおよびShankタンパク質は、CA1錐体状ニューロンのPSDにおいて共局在し(T
uら, 1999)、GKAPでのShankのGSTプルダウンアッセイを使用して天然Homer-Shan
k複合体を脳内において同定した(OtaniおよびConnor, 1998)。さらに、Homerお
よびShankは、脳から同時免疫沈降した(Aniksztejnら, 1991;Ben-Ariら,1992)
。これらの観察は、ShankおよびHomerが天然において脳で会合することを示す。
生化学的研究から、Shank-Homer相互作用は、Shankタンパク質のプロリンリッチ
ドメインに存在する単一のHomerリガンド部位と結合するHomerのEVH1ドメインに
より仲介されることが示されている(Tuら, 1999)。Homer/Shank/GKAP/PSD-95の
四次複合体は、異種細胞にてアセンブルされ、HomerおよびPSD-95は大きいクラ
スターとして共局在する(Berridge, 1998)。従って、Shankは、NMDA受容体複合
体をHomerおよびその関連タンパク質と連結させる分子架橋を提供する。
【0129】 Homer-Shank相互作用はまた、グループ1mGluRのクラスター化をもたらす(Sat
ohら, 1990;Villaら, 1992)。クラスター化分子は、様々な受容体およびイオン
チャンネルについて既に同定されているが(Seligら, 1995)、Shank-Homerはグル
ープ1mGluRの最初のクラスター化タンパク質である。クラスター化のメカニズ
ムに、既に定義づけられたNMDA受容体スカフォールドとmGluRの結合が関与する
ことは注目に値する。従って、Shank−Homer相互作用は、mGluRを既に確立され
たNMDA受容体の「コア」とドッキングさせることで、シナプス形成に関連しうる。
このようなメカニズムに支持されて、機能的NMDA受容体は、海馬および小脳にお
ける代謝型受容体の発生に先行すると考えられる(Xiaoら, 1998)。Homerタンパ
ク質は、Shankと会合して、NMDARに近接してmGluRを局在化およびクラスター化
するように機能し、グループ1代謝型受容体のシナプス周囲(perisynaptic)への
局在化に寄与しうる(Lujanら, 1997)。
【0130】 NMDAおよびmGluRシグナル伝達経路を連結することにより、Shank-Homer相互作
用はまた、ホスホリパーゼC(Benckenら, 提出済)またはプロテインキナーゼC(
Aniksztejnら, 1991;Ben-Ariら, 1992)の活性化など、分子の物理的近接が重要
となるグルタミン酸受容体クロストークの例に寄与しうる。さらに、Homer/Shan
k/GKAP/PSD-95アセンブリは、IP3R/RYRとNMDARの物理的会合(おそらく機能的結
合)および細胞内Ca2+蓄積を仲介しうる。このような機能的相互作用に一致して
、最近の研究では、棘突起Ca2+のNMDA受容体依存性増加が、Ca2+誘導型Ca2+放出
(CICR)のメカニズムにより細胞内蓄積から誘発しうることが示されており(Empta
geら, 1999)、(SvobodaおよびMainen, 1999)により概説されている。IP3Rおよび
リアノジン受容体チャンネルの両方が、CICR特性を有し(Berridge, 1998)、特定
のニューロンタイプの樹状突起および棘突起に同じように局在化されている(Sat
ohら, 1990;Villaら, 1992)。グルタミン酸受容体とカルシウムプールとの物理
的近接は、LTPの研究において報告されたようにNMDA依存性応答に対するmGluRの
相乗効果の根拠となりえ[(Bashirら, 1993;Bortolottoら, 1994)、ただし(Seli
gら, 1995)も参照のこと]、グループ1mGluR突然変異マウスにおけるLTPの減少
と一致する[(Prchodaら, 1999)、ただし(Conquetら, 1994)も参照のこと]。
【0131】 ShankおよびHomer依存性クラスター化の提案モデルは、Shank/GKAP/PSD95を、
IP3R/RYRおよびmGluRと架橋させるために、Homerが多価であることを要求する。
これは、構成的に発現されたCC-Homerの多量体化により得られる(Xiaoら, 1998)
。これと関連して、1価のHomer 1a IEG産物は、構成的に発現したCC-Homer多量
体を介して連結したタンパク質を脱結合するように機能し、このシナプス後ネッ
トワークのアセンブリを動的に調節すると考えられる。従って、Homer 1aのコカ
イン誘導増加は、棘突起におけるmGluRおよびNMDA Ca2+応答の両方をモジュレー
トしうる。
【0132】Homer EVH1ドメイン結晶構造 EVH1ドメインとリガンドとの相互作用の構成的根拠を調査するため、ラットHo
mer 1由来EVH1ドメインの高分解結晶構造を確定した。タンパク質の精製および
結晶化方法は、我々の原稿に記載されている(Niebuhrら, 1997;Tuら, 1998)。
この構造は、EVH1モジュールが、プレクストリン(plextrin)相同性(PH)ドメイン
およびホスホチロシン結合(PTB)ドメインの両方に対して相同であることを明ら
かにした(説明は次ページ)。
【0133】 我々は同時に、Homer 1 EVH1の構造を解き明かす作業もしており、Dr. Wendel
Limのグループ(UCSF)は、Menaと称される関連EVH1タンパク質(Homer EVH1ドメ
インと20%の同一性を有する)の構造を解き明かした(Prehodaら, 1999)。Menaお
よびHomer座標の比較から、これらが、アミノ酸同一性の程度が低いにも関わら
ず関連するタンパク質であることを確認した。Mena結晶は6量体ペプチドを用い
て解き明かし、推定リガンド結合表面を同定した。我々両方のグループとも、よ
り長い合成ペプチドでは共結晶が形成されないことを確認した。Mena上の推定リ
ガンド結合部位に関して我々が注目した論点の1つは、Menaに使用した6量体の
親和性が10量体の場合と比較して100分の1であったことである(Prehodaら, 1999
)。6量体の測定された親和性は、約600マイクロモルであった。また、EVH1ファ
ミリーにおいて、Homerは、最も分岐したメンバーの一つである(Prehodaら, 199
9)。MenaおよびHomer EVH1結合の重要な差の1つは、ポリプロリンに対するフェ
ニルアラニンの配向である。Menaの最適なリガンドはFPPPPであり、他方Homerの
コンセンサスリガンドはPPXXFである。これは重要であるかもしれない。なぜな
ら、両方のEVH1ドメインについてより大きなペプチドで試験したところ、Fは、
相互作用のために唯一最も重要な側鎖であるからであるからである(Niebuhrら,
1997;Tuら, 1998)。Mena構造では、F側鎖が明確な疎水性ポケット(この環はア
ルギニンを配位結合すると考えられる)内に位置せず、Homer EVH1におけるリガ
ンド配位の重ね合わせ(並置)はなおさら安定化されない。
【0134】 Homer EVH1のリガンド結合活性について、Mena共結晶の予測された力を調べる
ために、リガンド(PPXXF)配列のプロリンと接触すると予測された部位を標的と
した一連のミスセンス突然変異を試験した。PTBドメインとのEVH1ドメインの相
同性に基づいて、PTBドメインのペプチド結合表面をHomerが模倣するのであれば
重要となるHomer上の部位についても試験した。このPTBリガンド部位は、推定Me
na EVH1リガンド部位から離れている。我々の突然変異分析では、HomerとWASPと
の相同性に基づいて選択した一連の変異体も試験した。ウィスコット・アルドリ
ッチ症候群の患者から得た遺伝子データにより、PTBおよび推定Menaリガンド部
位の両方と異なる部位にマッピングされるEVH1ドメインにおける一連の突然変異
を規定した。我々は、突然変異置換を、Homer EVH1構造に基づいて選択した。置
換されるアミノ酸は、十分に保存性のあるものを選択して、一次構造を破壊しな
いようにした。
【0135】 Homer EVH1ドメインの合計30のミスセンス変異体を、HEK293細胞内で発現させ
、GSTプルダウンアッセイを使用して、mGluR1aまたはShank3のいずれかへの結合
についてアッセイした。PTBドメインのペプチド結合部位と相同な領域内での表
面露出型(surface-exposed)突然変異は、ペプチド結合に影響を及ぼさなかった
。同様に、WASPデータに基づく突然変異も、結合を破壊するのに有効でなかった
。対照的に、Menaリガンド部位に基づく変異体のいくつかは、Homer EVH1結合を
確かに破壊した。任意の単一突然変異の影響を解釈する際の曖昧さにも関わらず
、Homer EVH1ドメインにおける部位特異的突然変異の、Homerリガンド相互作用
に対する影響の性質および分布は、Menaリガンド領域が、Homer EVH1ドメインに
よる天然リガンド結合を仲介することを強く示唆する。
【0136】 我々は、突然変異Homer EVH1結合の分析から、特定の突然変異が、mGluR1aへ
の特異的結合を妨害するがShank3への特異的結合は妨害しない(およびその逆)と
いう興味深い知見を得た。この知見についての1つの解釈は、コアPPXXFモチー
フに加えて結合の決定基の存在があることである。この観察は、様々なターゲッ
トに結合しているHomerの重要な決定基の違いが、特定のターゲットとの相互作
用を選択的に妨害できる医薬品を開発するために利用できるという重要な含意を
もつ。
【0137】I42はHomerと相互作用する I42(配列番号17および18)は、Homer EVH1ドメインを用いた脳cDNAのY2Hスクリ
ーニングで初めて同定された新規タンパク質をコードする。現時点での情報では
、I42は、興奮性シナプスにおいてHomerと機能することが示されている。I42特
異的抗血清を生成し、I42が脳からHomerと強固に同時免疫沈降することを実証で
きる。免疫EM分析は、I42がシナプス後膜肥厚に局在化されることを実証する。I
42の予測されたドメイン構造は、それがShankと特定の性質を共有することを示
し、N末端構造ドメイン(I42におけるバンド4.1ドメイン)、単一PDZドメイン、
および単一Homerリガンド部位を有する中央プロリンリッチドメインを含む。さ
らに、C末端1型PDZリガンドモチーフがある。我々は、データベース中の関係
する配列を同定し(KIAA配列は、フレームシフトによる誤差をいくつか有する)、
I42が遺伝子ファミリーを代表するものかもしれないことを示唆した。
【0138】 現時点での研究は、I42、HomerおよびmGluRの機能的相互作用を示している。
我々は、I42PDZドメインの酵母2ハイブリッドスクリーニングを行い、β-Pix(C
ool-1とも呼ばれる)と結合することを発見した(Allenら, 1998)。β-Pixは、Rac
1/CDC42のグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)である。GSTプルダウンアッセイ
を使用するとこの相互作用は強固であると考えられ、最近我々は、脳からの同時
免疫沈降アッセイを使用して相互作用を確認した。生化学的アッセイは、I42のP
DZドメインが自身のC末端と結合することを示す(分子内または分子間でありう
る)。これらの観察結果に基づき、I42は、特定のシグナルに応答する骨格/細胞
骨格調節タンパク質として機能し、mGluR活性化とRac依存性細胞骨格再編成との
間をリンクしうる。この生化学的会合は、mGluR転送またはシナプス再編成にお
いてある役割を果たしうる。Homer I42相互作用の別の機能的な結果は、β-Pix
とp21活性化キナーゼ(Pak)との実証された会合により示されている(Tuら, 1999)
。Pakは、核へ局所的にも、より遠位にもシグナル伝達が可能なキナーゼのファ
ミリーである。Pak3の突然変異は、最近、精神遅滞と関連付けられており(Tuら,
1998)、認識機能に対するこの調節されたキナーゼの重要性を確認している。従
って、I42は、Homerタンパク質で調節できるmGluRに対する新規のシグナル伝達
経路の一部と考えられる。
【0139】 予備研究において、我々は、I42が、脳からHomerと同時免疫沈降することを観
察した。I42に対する抗体もまた、脳からmGluR1を同時免疫沈降させる。同時進
行の研究では、我々は、I42とβ-Pixとの相互作用を観察した。これらの観察は
、I42/β-Pixの機能におけるHomerの関与を示し、Homer結合機能をモジュレート
する薬剤により操作可能な別のシグナル伝達経路を同定する。
【0140】ii) シナプスにおけるI42/β-Pix/Pakの超構造的局在化: 我々は、I42 Abを用いて予備免疫EMを行い、それがPSD領域と会合しているこ
とを観察した。方法およびアプローチは、我々のShankについての研究と同じで
あった(Naisbittら, 1999)。この観察は、I42が、Homer、Shankおよびグルタミ
ン酸受容体と共に興奮性シナプスにおいて富んでいることを示す。
【0141】リアノジン受容体(RYR)およびHomer RYRは、N末端付近にある潜在的Homer結合部位をコードし(Bhatら, 1999)、GS
Tプルダウンアッセイを使用した際には、GSTHomerが、RYR1の関連断片と結合す
ることを認めた。重要なことに、我々は、RYRが、骨格筋の界面活性剤抽出物か
らHomerと同時免疫沈降することを実証した。RYRとHomerとの相互作用は、膜受
容体と細胞内カルシウムプールとの結合を調節するHomerタンパク質の機能と一
致すると理解している。グルタミン酸は、中脳のドーパミンニューロンにおける
抑制性シナプス後電位を仲介し、これは、RYR感受性CICRプールからの細胞内Ca2 + のmGluR1放出により仲介される(Bhatら, 1999)。RYRは、最近、シナプス後棘突
起におけるNMDAR誘導型カルシウム上昇の重要なソースとして関連付けられてい
る(Emptageら, 1999)。ShankがNMDA受容体シグナル伝達複合体の一部であり(Nai
sbittら, 1999)、Homerと結合することから、RYRとHomerとの可能性のある相互
作用を評価するに値する。
【0142】NMDA受容体2D型(NR2D)およびHomer 成人皮質および小脳の個別のY2Hスクリーニングにより、NMDA受容体2D型(NR2D
)のいくつかのクローンが同定された。NR2Dは、NR2Bほど広く研究されていない
が、発生中の小脳および前脳の介在ニューロンにおいて発現される(Dunahら, 19
98;GoebelおよびPoosch, 1999)。NR2DRを含むNMDARは、遅いチャンネル特性を
有する(Cull-Candyら, 1998;Okabeら, 1998;Viciniら, 1998)。NR2DのC末端
は、プロリンに非常に富んでおり、これはHomerが特異的なプロリンリッチ配列
と結合するという我々の観察と一致する。従って、NR2Dの場合、Homerタンパク
質は、CICRプールに対して直接結合を形成する。この直接結合は、PSD95-GKAP-S
hankを介して間接的にHomerに結合すると考えられるNR2Bを含むNMDARと対照的な
ものである(Naisbittら, 1999)。両方の場合において、Homer架橋活性を改変す
ると、グルタミン酸受容体活性化により細胞内カルシウム放出が変化する。Home
rのEVH1ドメインの結合特性は異なるターゲットに対して異なるため、NR2Bまた
はNR2Dの結合を特異的に妨害する薬剤が開発できると予想できる。
【0143】哺乳動物InaD様分子のHomerとの相互作用 我々は、最近報告されたヒトInaD(PhilippおよびFlockerzi, 1997)およびショ
ウジョウバエDiscs Lost[DLT(Bhatら, 1999)]に類似した、2つの異なる新規の
タンパク質ファミリーメンバーを同定した。これらのタンパク質は、それぞれ5
および4PDZドメイン、ならびにHomerとの相互作用を仲介すると考えられる全て
のクローンが共有するプロリンリッチ領域をコードする。DLTは、上皮細胞極性
を確立するために必須であり、Neurexin IVのC末端に結合することが実証され
ている[DLT(Bhatら, 1999)]。現時点で、我々の得たクローンはラットInaDと称
している。現時点の研究において、完全長mycタグ付きrInaDが、同時発現してい
るHEK293細胞からHomer 2と同時免疫沈降することを観察した。
【0144】I30とHomerとの相互作用 I30はabl結合タンパク質のファミリーの新規なメンバーである。関連するタン
パク質は細胞の成長を調節するアダプタータンパク質として機能し[Ziemnicka-K
otula,1998 #392;Biesova,1997 #393]、またこれが仮説として認められている
。I30はSH3ドメイン1個およびHomer結合部位1個をコードする。したがって、H
omerは代謝型グルタミン酸受容体およびIP3Rを含むその他のHomer相互作用タン
パク質とこのタンパク質を連結するものと予想される(配列番号15、16、1
9および20参照)。
【0145】Cdc42関連チロシンキナーゼ2(ACK-2)とHomerとの相互作用 ACK-2はRhoに関連するGTP結合タンパク質 Cdc42によって調節される非受容体
型チロシンキナーゼである[Yang,1999 #391]。ACK-2は細胞付着により引き起こ
されるシグナル、例えばインテグリン受容体の活性化によって活性化される。AC
K-2の活性化による細胞の帰結の1つは、c-Junキナーゼの下流側の活性化である
。ACK-2がHomerと相互作用するという本発明者らの観察結果は、このシグナル伝
達経路をHomerによって別の膜受容体と連結することができ、Homerの架橋機能を
変更する薬剤によって操作し得る、別のシグナル伝達カスケードが同定されるこ
とを示している。
【0146】実施例1 Homerファミリーメンバーの同定および配列解析 ファージcDNAライブラリーの低ストリンジェンシースクリーニングおよびEST
Database検索を実施して、Homerファミリーメンバーを同定した。プローブとし
てラットHomer 1aコード領域を使用して、cDNAライブラリーをスクリーニングし
た。マウスおよびラットの脳cDNAライブラリーのスクリーニングでHomer-1の2
つのイソ型(Homer-1bおよびHomer-1c)が同定された。
【0147】 EST Databaseの検索から、Homer-I cDNA配列の5'コード領域の一部に対して約
73%相同なマウスのEST配列(ID#442801)が同定された。このESTに基づき、RT-
PCR(正方向:5'-GAC AGC AGA GCC AAC ACC GTG-3';逆方向:5'-GTC TGC AGC T
CC ATC TCC CAC-3')を使用して、各種のマウス組織からの対応する領域を増幅
した。PCR産物(約330 bp)は2種類の異なる配列で構成され、その1つは33 bp
の余分な挿入物を含んでいた。これら2種のcDNA断片の混合物をプローブとして
使用して、成体マウス脳cDNAライブラリーの1つをスクリーニングした。スクリ
ーニングした106個のクローンの中で、5個のクローンがこのプローブとうまくハ
イブリダイズした。これらのクローンの配列解析から、これらがHomer-2遺伝子
の2つのイソ型を提示する5つの部分的なcDNAクローンであることが示された。
これらのクローンはRT-PCRによって増幅されたイソ型と同一である。5'-RACE技
法を使用して、Homer-2の5'領域をクローン化した。上記の逆方向プライマーを
使用して、E14.5マウス脳からの全RNAを逆転写した。Homer-2の5'領域の増幅に
おいては、別の遺伝子特異的プライマー(5'-CAC GGT GTT GGC TCT GCT GTC-3'
)を使用した。部分的マウスESTクローン#441857の配列解析によって、5'RACEク
ローンの配列信頼性をさらに確認した。
【0148】 EST Databaseの検索によって、マウスおよびラットのHomer-1b、Homer-2aおよ
び2b cDNA配列に対応するいくつかのヒトESTの同定が可能になった。ヒトHomer-
1bならびにHomer-2aおよび2bコード領域をクローン化するためにRT-PCRを使用し
た。ヒトESTクローン#HCE003、マウス、ラットおよびショウジョウバエ(Drosop
hila)Homer 相同配列間で保存されているアミノ末端の7残基アミノ酸配列(MG
EQPIF)に基づいて、5'縮重プライマー(5'-ATG GG(A/G/C) GA(A/G) CA(A/G) CC
(T/C/G) AT(T/C) TTC-3')を設計した。それぞれヒトESTクローン#562862および
#HIBAB15の配列からヒトHomer-1のための3'プライマー(5'-GAG GGT AGC CAG TT
C AGC CTC-3')およびヒトHomer-2のための3'プライマー(5'-GTT GAT CTC ACT
GCA TTG TTC-3')を作製した。新生児の前頭部皮質からヒトHomer-1bならびにHo
mer-2aおよび2bを増幅した。いくつかのPCRクローンおよびESTクローンの配列解
析から、ヒトHomer 1b、Homer 2aおよびHomer 2bの配列を導いたが、これらを配
列番号3、7および9に示す。
【0149】 Homer-1およびHomer-2配列を使用して、EST Databaseを検索することによって
、ヒトおよびマウスHomer-3を同定した。2つの完全長ヒトHomer-3クローンを同
定し(クローンID #284002および#38753)、配列決定した。多数のマウスHomer-
3クローンを発見したが、それらの1つ(クローンID#1162828)はほぼ完全長コ
ード領域を含んでいる。HomerファミリーメンバーのN末端領域に対してアミノ酸
レベルで顕著な相同性を示す、いくつかのショウジョウバエ(Drosophila)EST
配列も同定した。クローン#LD3829から配列番号11に示す配列が導かれる。
【0150】発現構築物 cDNAをpRK5(Genentech)のSalIおよびNotI部位中に、cDNAがN末端c-Mycタグ
にインフレームで融合するようにクローニングすることによって、哺乳動物発現
構築物を作製した。Homer cDNAをpGEX4T-2(Pharmacia)のSalIおよびNotI部位
中にクローニングすることによって、GST融合構築物を作製した。高忠実性DNAポ
リメラーゼ Pfu(Stratagene)を用いたPCRによって、マウスHomer-1b、ラットH
omer-1c、マウスHomer-2bおよびヒトHomer-3の完全長コード領域を5'および3'末
端のSalIおよびNotI部位で遺伝子工学的に操作した。SalIおよびNotI部位を含む
特異的プライマーを用いたPCRによって、Homer-1b/cおよびHomer-2bコード領域
の各種の末端切断物を作製した。すべてのPCRに基づく構築物を配列決定して、
配列およびインフレーム融合を確認した。
【0151】 Homer 1aの配列を使用して、関連する遺伝子産物について、ラットおよびマウ
スの脳から調製したcDNAライブラリーをスクリーニングした。やはりHomer 1a配
列を使用して、GenBankデータベースを検索した。いくつかの関連する齧歯動物
およびヒトの配列を同定した。
【0152】 Homer 1aに最も密接に関連するcDNA群は選択的スプライス形態を表示すると考
えられる。この推論は5'UTRとオープンリーディングフレーム(ORF)の最初の17
5アミノ酸のヌクレオチド配列同一性に基づくものである。Homer 1bおよび1cと
命名された推定上の新規スプライス変異体は、ORFの残基175以降はHomer 1aと完
全に異なり、また全く異なる3'UTRを保有している。配列多様性の点についての
比較は、Homer 1aが独特のORFの11アミノ酸カルボキシ末端と約5 kbの3'UTR領域
をコードすることを示している。Homer 1aのこの独特の11アミノ酸カルボキシ末
端配列は認識可能なモチーフを保有していない。Homer 1bおよび1cでは、その他
に168および180アミノ酸が存在し、コイルドコイル(CC)二次構造を有している
と推測される(Lupas,Trends Biochem Sci 21:375(1969))。Homer 1aの3'UTR配
列は前初期遺伝子(IEG)のmRNAの不安定化に関係する複数のAUUUA反復配列を含
んでいる(ShawおよびKamen,Cell 46:659(1986))が、Homer 1bおよび1cの3'UTR
配列はこのモチーフを含んでいない。Homer 1bと1cの唯一の差異は、Homer 1cに
は保存されたアミノ末端とCCドメインの間の残基177に12アミノ酸配列の挿入物
が含まれていることである。したがって、Homer 1bおよび1cは、ORFの比較的長
くて独特のカルボキシ末端および特徴的なIEGモチーフを欠いているより短い3'U
TR配列が置換されるスプライシング事象によって形成されるものと考えられる。
ラットおよびマウスのHomer 1bおよび1cの複数の独立した単離物を同定および配
列決定して、脳内でのそれらの天然の発現を確認した。
【0153】 さらに検索して、Homer 2およびHomer 3と命名した2つの別のHomer遺伝子を
提示すると思われるcDNA配列を同定した。Homer 2の2つのスプライス形態の配列
およびHomer 3の1つの配列を示す(図面参照)。タンパク質産物の推定サイズ
および一般的なドメイン構造はHomer 1bおよび1cに類似している。Homer 1bおよ
び1cと同様に、Homer 2およびHomer 3タンパク質のそれぞれがアミノ末端にHome
r 1aのアミノ末端ドメインに高度に類似している約120アミノ酸を含んでいる。
これらの領域内のアミノ酸同一性の程度は、Homer 1とHomer 2との間で約88%、
そしてHomer 1とHomer 3との間で約86%である。アミノ酸の差異の多くは保存性
である。
【0154】 アミノ末端領域における高度の保存性とは対照的に、Homer 2およびHomer 3の
カルボキシ末端領域はHomer 1bに対してわずかに約22%の同一性を有するもので
あるが、Homer1bおよび1cと同様に、これらはCC二次構造を保有しているものと
推測される。すべてのHomerファミリーメンバーのCCドメインは、ミオシン重鎖
(Strehlerら、J Mol Biol 190:291(1986))、キネシン重鎖(Yangら、Cell 56:
879(1989))およびダイナクチン(dynactin)(Gillら、J Cell Biol 115:1639(19
91))のCC領域に対して有意な相同性(約40〜45%のアミノ酸同一性)を示す。H
omer 2aおよびHomer 2bと命名したHomer 2の別個のスプライス形態は、Homer 2b
中の残基131 位置の11アミノ酸挿入物によって識別される。ヒトHomer 1、2およ
び3は、Human Genome Projectによってそれぞれ5、15および19番染色体にマッピ
ングされている。
【0155】 ショウジョウバエ(Drosophila)Homer は哺乳動物Homerの基本的なドメイン
構造を保有している。そのアミノ末端は哺乳動物Homerのものに高度に相同性を
有し、カルボキシ末端はCC二次構造を形成するものと推測される。
【0156】実施例2 Homer抗血清の生成および特性決定 Homer 1b/c、Homer 2a/bおよびHomer 3の独特なカルボキシ末端から誘導した
合成ペプチドに対するウサギポリクローナル抗体を作製した。Homer 1、2または
3の合成カルボキシ末端ペプチドをグルタルアルデヒドによりチログロブリンと
コンジュゲートさせ、既報のプロトコル(Martinら、Neuron,9:259 1992)にし
たがって、ウサギを免疫感作するために使用した。使用したペプチド配列はHome
r-1bおよび1c中(IFELTELRDNLAKLLECS)、Homer-2aおよび2b中(GKIDDLHDFRRGLS
KLGTDN)、ならびにHomer-3中(RLFELSELREGLARLAEAA)に含まれているものであ
る。ラットの大脳皮質、海馬および小脳からの界面活性剤(2%SDS)抽出物を、
8%SDS-PAGEゲル上で分離し、ニトロセルロース膜にトランスファーした。ブロ
ットをポリクローナル抗Homer血清を用いて分析した。使用前に抗血清を関連す
るペプチド10μg/mlとともに室温で10分間インキュベートすることによって、特
異性を試験した。既報(Brakemanら、Cell 87:227 1997)のようにして、完全長
GST-Homer 1a融合タンパク質に対するウサギポリクローナル抗血清も生成した。
この抗血清はすべてのHomer 1イソ型を認識する。
【0157】 異種から発現された、アミノ末端c-mycタグを持つ完全長Homerタンパク質を検
出する際の感度および特異性について、精製していない抗体を試験した。それぞ
れのHomerタンパク質が、トランスフェクトしたHEK293細胞の可溶性抽出物中の
適切なHomer抗体によって、ウエスタンブロット上で選択的に検出された。mycタ
グで標識したHomerタンパク質は見かけの分子量が50 kDaの位置に泳動した。Hom
er型の1つとその他のファミリーメンバーに対する抗体間での交差反応性はなか
った。
【0158】実施例3 Homerタンパク質と細胞表面mGlu受容体とのin vitro相互作用 Homerタンパク質とmGluR1およびmGluR5との相互作用を試験するため、HEK293
細胞を(リン酸カルシウムを使用して)pRK5中の完全長mGluR1αおよびmGluR5構
築物を用いて一過性にトランスフェクトした(Brakemanら、1997)。トランスフ
ェクトの24〜48時間後に細胞溶解物を作成した。以下の操作にしたがって、Home
r 1a、Homer 1c、Homer 2b、Homer 3、ならびにHomer 2の2つのアミノ末端断片
の、グルタチオンアガロースに結合させたGST融合タンパク質を調製した。SalI
およびNotI配列を含む特異的なプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応によっ
て、GST融合構築物を調製し、それをpGEX4T-2ベクター(Pharmacia Biotech,Upp
sala,Sweden)中にサブクローン化した。構築物を配列解析によって確認した。B
L21細菌株中でGST融合タンパク質を発現させた。細菌を回収し、PBS、1%Triton
X100、2 mMフェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)中に溶菌し、4℃で5分
間、13,000 rpm(Sorvall SS-34)でペレット化した。1 mlカラム体積のグルタ
チオン-セファロース(GST)ビーズ(Sigma USA)と細菌上清とを4℃で10分間イ
ンキュベートし、PBSならびにPBS+1%TritonX-100で2回洗浄することによって
、タンパク質を精製した。10 mMグルタチオンによってタンパク質を溶出させ、4
℃でPBSに対して透析した。BCA(Pierce,Illinois)によって、タンパク質濃度
を測定した。トランスフェクトした細胞の細胞溶解物を当量の各種Homer-GST融
合タンパク質とともに4℃で2時間インキュベートし、PBSおよび1%TritonX-100
で洗浄した。2%SDSサンプルバッファーでタンパク質を溶出させ、8%または2.5
%のSDS-PAGEゲル上で分離し、適切な抗体で分析した。
【0159】 Homer 1aのアミノ末端の131アミノ酸はグループI代謝型グルタミン酸受容体
と結合するのに十分であることがすでに証明されている(Brakemanら、Nature 3
86:284 1997)。Homerファミリーメンバーのこの領域における高度な配列保存性
を考慮すると、これらもまたグループI受容体に結合するという可能性を試験し
た。Homer 1a、Homer 1c、Homer 2b、Homer 3、ならびにHomer 2の2つのアミノ
末端断片のGST融合タンパク質を調製した。融合タンパク質をグルタチオンアガ
ロースに結合させ、HEK293細胞中で発現させた完全長mGluR5または完全長mGluR1
aへの結合についてアッセイした。これらの研究では、mGluR5がGST Homer 1aと
結合したことが示される。mGluR5はすべての完全長Homer構築物および約141残基
のHomer 2アミノ末端断片とも結合したが、GSTのみとは結合しなかった。3つの
アッセイにおける相対的結合は3つのHomer型のそれぞれについて同程度だった。
アミノ末端の92残基のみを含むHomer 2欠損変異体はmGluR5と結合しなかった。H
omerタンパク質のmGluR1との同様の結合も観察された。
【0160】実施例4 Homerタンパク質と細胞表面mGlu受容体とのin vivo相互作用 Homerタンパク質が脳内で自然にグループI代謝型受容体と会合するかどうか
を試験するために、免疫沈降試験を実施した。ラットまたはマウスの脳組織を1
%Triton-X100を含有するPBS中(約200 mg/ml含水重量)でプロテアーゼインヒ
ビターとともに超音波処理(3x10s)し、15,000gで10分間遠心分離した。Homer
1b、Homer 1c、Homer 2a、Homer 2bまたはHomer 3に対して特異的な抗血清 3μ
lを組織抽出物 60μlに添加し、4℃で1〜1.5時間インキュベートし、その後PBS
/Tritonで3回洗浄した。陰性対照として、免疫前およびペプチドを遮蔽した抗
血清を使用した。ゲル電気泳動およびウエスタンブロット分析によって、組織サ
ンプル中の結合を分析した。2%SDSローディングバッファー中でタンパク質を溶
出させた。mGluR1αモノクローナル抗体はPharMingen(San Diego CA)から取得
した。ウサギポリクローナルmGluR5抗体はDr.Richard Huganir,Johns Hopkins S
chool of Medicineからの寄贈である。
【0161】 Homerファミリーメンバーは脳内で自然にグループI代謝型受容体と会合する
。この分析は小脳を使用して実施した。なぜならば、3種のHomerファミリーメン
バーの全部がこの組織で発現するからである。成体ラット小脳全体の界面活性剤
抽出物をHomer 1b/c、Homer 2a/bまたはHomer 3に対する抗体とともにインキュ
ベートし、mGluR1αに対するマウスモノクローナル抗体の1種による免疫沈降物
をブロットした。mGluR1αはHomerタンパク質に対して特異的な抗血清のそれぞ
れと共免疫沈降する。電気泳動後の主要なバンドはmGluR1αのモノマー形態(約
150kDA)に相当し、mGluR1αの多重体に相当する別のバンドもまた観察される。
【0162】実施例5 Homerタンパク質と細胞内イノシトール三リン酸受容体とのin vitro相互作用 Homerタンパク質がイノシトール三リン酸受容体とin vivoで相互作用すること
を証明するために、脳組織を使用して免疫沈降試験を実施した。ラットまたはマ
ウスを断頭術によって絶命させ、直後に小脳を剥離した。1%CHAPSおよびプロテ
アーゼインヒビターカクテルを含有するTEバッファー(50 mM Tris、1 mM EDTA
、pH7.4)中(約100 mg含水重量/ml)で、小脳を超音波処理した。ホモジネー
トをTLA 100.3ローター中、90,000 rpm、4℃で20分間、遠心分離した。以下の抗
体との各免疫沈降アッセイについて、小脳抽出物 100μlを使用した:粗Homer 1
、Homer 2またはHomer 3抗体(Xiaoら、印刷中)3μl;アフィニティー精製した
イノシトール三リン酸抗体(Alan Sharpからの寄贈品)20μg。抗体および抽出
物を4℃で30分間インキュベートし、次に1:1のプロテインAまたはプロテイン
G(ヤギ抗体用)セファローススラリー 60μlを添加した。抗体/抽出物/ビー
ズをさらに4℃で90分間インキュベートした。TE-CHAPSバッファー中で3x10分間
の洗浄後、4%SDSローディングバッファー 30μlでタンパク質をビーズから溶出
させ、SDS-PAGEおよびイムノブロットによって分析した。
【0163】 これらの試験からの結果では、イノシトール三リン酸受容体がHomer 1、Homer
2およびHomer 3に対して特異的な抗血清と特異的に共沈降することが示された
【0164】実施例6 カルシウム動員はコイルドコイルドメインを持たないHomerタンパク質の一過性
発現によって減少する Homerが代謝型グルタミン酸受容体およびイノシトール三リン酸受容体と架橋
して機能性シグナル伝達複合体を提供または強化することを証明するため、Home
rタンパク質の末端切断形態を一過性に発現する細胞中で、カルシウム動員を調
べた。使用した末端切断型Homerタンパク質はコイルドコイルドメインを欠失し
ており、細胞表面のmGluRと細胞内イノシトール三リン酸受容体との架橋を形成
することができない。Homerタンパク質の末端切断形態はカルボキシ末端の11残
基を除いてHomer 1aに類似していた。この形態のHomerによって、異種細胞中で
のHomer 1aのトランスフェクションと比較して、Homerタンパク質の発現が強化
された。Homerタンパク質を一次小脳培養物中のプルキンエ細胞内に導入して、
カルシウム動員に対するグルタミン酸誘導作用を測定した。
【0165】 Schillingらの方法(Schillingら、Neuron 7:891 1991)にしたがって、胚性
マウス小脳培養物を調製し、維持した。4-5分裂(DIV)において、培養物をE-GFP
(Clontech)および完全長Homer 1bまたはHomer 1のIEG形態のいずれかをコード
するプラスミドを用いてトランスフェクトした。Homer 1のIEG形態とはHomer 1b
の186アミノ酸アミノ末端断片である。プラスミドをセシウムバンド法(cesium
banding)によって精製した。3つの組合せでプラスミドをトランスフェクトした
。グループI(対照)、E-GFP 20μgおよびpRK5ベクター 40μg;グループII、E
-GFP 20μgおよびpRK5 Homer 1 IEG 40μg;グループIII、E-GFP 20μgおよびpR
K5 Homer 1b 40μg。プラスミドDNAを金粒子(0.6ミクロン)と混合し、プラス
チックチューブ上に被覆した。次に、製造元のプロトコル(Helios Gene Gun Sy
stem,BIO-RAD)にしたがって、DNAを細胞中に弾道法でトランスフェクトした。
トランスフェクト後、培養物をインキュベーターに戻し、画像化実験のための使
用時に合計7-8分裂(DIV)になるまで、さらに2日間維持した。
【0166】 GFP発現性プルキンエ細胞の細胞体(somata)にパッチ電極を取り付け、維持用
電圧-60 mVをかけた。微少電圧電極(先端部直径 1μm)をキスカル酸(外部生
理食塩水中 100μm)で満たし、大口径のデンドライトから約20μm離れた位置に
置いた。陽電圧を使用して、試験パルスを供給した(6 psi、1秒)。NaCl(140)
、KCl(5)、EGTA(0.2)、MgCl(0.8)、HEPES(10)、グルコース(10)、テトロドト
キシン(0.005)、およびピクロトキシン(0.1)(mM単位)を含有し、NaOHでpH7.35
に調整した溶液を0.5 ml/mの速度で流し、この中に細胞を浸漬した。記録用電極
にはCsOHでpH7.35に調整したCsCl(135)、HEPES(10)、フラ2K5塩(0.2)、およびNa -ATP(4)を含有させた。上記の内部および外部生理食塩水で測定したとき、パ
ッチ電極には3-5 MΩの抵抗が示された。
【0167】 既報(Lindenら、J Neurosci 15:5098 1995)にしたがって、冷却したCCDカメ
ラシステムを使用し、340 nmおよび380 nm励起で、バックグラウンド補正した蛍
光比を測定することによって、細胞内遊離Ca2+のフラ2比画像化を達成した。露
光時間は1つの波長画像当たり200 msecとした。実験は室温で実施した。強化さ
れたGFPは380-400 nmスペクトルの照射によって弱く励起される。本発明者らの3
40HT15および380HT10励起フィルターのバンドパス特性ならびに強化されたGFP(
Clontech)の吸収スペクトルに基づいて、本発明者らは、フラ/GFP添加比率が最
小の場合の細胞においても、340 nm励起時のシグナルの<1%および380 nm励起
時の シグナルの<5%がGFPによるものと算定している。この結果、実験グルー
プ間にランダムに分布するはずの遊離カルシウム濃度の低い(<5%)系統的な
過小評価となる。
【0168】 Ca2+を含まない外部生理食塩水中に浸漬し、代謝型グルタミン酸受容体アゴニ
ストであるキスカル酸(Linden,Neuron 17:483 1996)の微小電圧パルスで刺激
したプルキンエ細胞中のフラ2比画像化によって、流入がない場合のカルシウム
動員を測定した。生じるCa2+一過性事象はmGluRおよびイノシトール三リン酸経
路によって誘発される。なぜならば、これがmGluRアンタゴニストの1つ((+)-M
CPG、浸漬液中500μM)または新規な特異的イノシトール三リン酸受容体関連イ
オンチャンネルブロッカーであるキセストスポンジン(xestospongin)C(内部生
理食塩水中 1μM)のいずれかによって完全にブロックされるからである。末端
切断形態のHomerでトランスフェクトされたプルキンエ細胞はmGluRにより誘発さ
れたCa2+応答を示し、Homer 1bでトランスフェクトした細胞(244±17 nM、4.2
±0.9秒、n=23細胞)または空のベクター対照(239±19 nM、4.5±1.1秒、n=1
5)に比較して、振幅が減少し(170±9 nM、平均±SEM、n=30)、また潜伏時間
が増大した(10.5±1.8秒)。Ca2+応答の減衰相は末端切断形態でトランスフェ
クトしたニューロンにおいて幾分か遅くなったように思われた。総合的なCa2+
動は末端切断型および完全なHomerタンパク質でトランスフェクトした細胞、な
らびに空のベクター対照において同様であるように思われたが、画像化バッファ
ー容量の制約によって、Ca2+応答の最後の部分が省略されたため、測定を実施す
ることができなかった。
【0169】実施例7 Homerタンパク質の結晶構造の決定 Homerタンパク質およびHomerタンパク質結合部位の結晶構造を決定した。これ
らの実験の結果を表に示す。
【0170】(a)タンパク質の発現および精製 既報(Tuら、Neuron 21:717 1998)にしたがい、大腸菌 BL21細胞中で、グル
タチオン-S-トランスフェラーゼへのC末端融合物(GST-laEVH)として、ラットH
omer 1aの1-120残基を発現させた。メチオニン栄養要求性株 B834(DE3)(Nova
gen)中での発現によって、セレノメチオニン置換(SeMet)GST-laEVHを調製し
た。100μg/mLアンピシリン(Sigma)を補充したLB培地で37℃で増殖させた一晩
培養物 5 mLを、100μg/mLアンピシリン、0.05 mg/mLアラニン、アスパラギン酸
、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リ
ジン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、トレオニン
、バリン、トリプトファン、チロシン、L-セレノメチオニン、1μ/mLチアミン(
Sigma)、2 mM MgSO、1%グルコース、100μM CaClを補充した M9最少培地
(Gibco BRL)4 Lに添加した。細胞をA600が0.5になるまで増殖させ、この時
点でIPTG(Calbiochem)を最終濃度 0.2 mMまで添加した。細胞をさらに3時間増
殖させ、遠心分離によって回収し、1x PBS/1%Triton中に再懸濁した。ペプス
タチンAおよびロイペプチン(Boehringer-Mannheim)を最終濃度 1μg/mLまで
添加し、PMSF(Life Technologies)を0.5 mMまで添加した。超音波処理によっ
て細胞を溶解し、SS-34ローター中、13,000 rpmで遠心分離して、細胞破片をペ
レット化した。透明化した溶解物をグルタチオン-アガロース(Sigma)カラム5
mLに添加した。1x PBS/1%Triton 20カラム容量、1x PBS 20カラム容量、お
よび切断用バッファー(50 mM Tris[7.4]、150 mM NaCl、2.5 mM CaCl、50 mM
βメルカプトエタノール)10カラム容量で、連続してカラムを洗浄した。全バ
ッファーを脱気した。融合タンパク質が添加されたグルタチオン-アガロースビ
ーズの50%スラリーをビオチニル化トロンビン(Novagen)20 Uとともに室温で1
6時間、インキュベートした。放出された切断産物(la-EVH)を回収し、ストレ
プトアビジン-アガロースビーズ(Novagen)でビオチニル化トロンビンを除去し
た。Resource Sカラム(Amersham-Pharmacia)を使用するカチオン交換クロマト
グラフィーによって、la-EVHをさらに精製した。
【0171】(b)結晶化およびデータ回収 蒸気拡散法(Wlodawerら、Proc Natl Acad Sci USA 72:777 1975)によって、
天然およびSeMetタンパク質の結晶を懸滴中で成長させた。9 mg/mLの天然または
SeMetタンパク質溶液 1μlに、保存用バッファー(30% PEG 3350、87 mM MgSO
、50 mM HEPES、pH7.3 )の蒸留水による1:1希釈液を混合し、保存用バッフ
ァー1mLで平衡化した。酸化によって生じ得る問題を最少にするため、SeMetタン
パク質に関する結晶化試験の全部を嫌気条件下で設定した。天然およびSeMetタ
ンパク質の両方について2種の異なる結晶形が観察された。斜方晶系空間群P22 2の結晶(単位格子寸法 a=33.79Å、b=51.40Å、c=66.30Å)は典型的に
はサイズ0.5 mm×0.03 mm×0.03 mmまで成長した。三方晶系空間群P321の結晶
(単位格子寸法 a=b=49.94Å、c=80.91Å)はサイズ0.4 mm×0.1 mm×0.1 mm
まで成長した。位相決定および修正のために使用したデータはすべて、-180℃で
窒素ガス流中での急速凍結の前におよそ3分間、母液プラス10%(v/v)エチレング
リコール中に浸漬した三方晶SeMet結晶の1つから回収した。Se吸収端またはその
付近の4種の波長において、多重波長異常分散(MAD)整相に好適なX線回折デー
タを回収した。これらのデータは、Brookhaven National LaboratoryのNational
Synchrotron Light Sourceのビームライン(beamline)X4Aで、R-AXIS IVイメー
ジプレート検出器を使用して回収した。φおよびφ+180゜での非重複振動(2゜)
を結晶を90゜回転しながら測定し、4つの波長をインターリービングした。DENZO/
SCALEPACKプログラム(OtwinowskiおよびMinor,Meth Enzymol 276:307 1997)を
使用して、全データを処理および評価した。回収データの統計値を表1に示す。
【0172】(c)構造の解明および修正 予想される2つのセレン部位を決定し、そして(Hallら、Cell 91:85 1997)か
らの初期Se散乱因子、およびSOLVEプログラム(TerwilligerおよびBerendzen,Ac
taCrystallogr D53:5711997;TerwilligerおよびEisenberg,Acta Crystallogr A
39:813 1983)を使用して修正した。SOLVEによって決定した、修正Se散乱因子の
数値を表1に示す。SOLVEによって決定した、実験によるMAD位相から算出した電
子密度マップを、DM(Collaborative Computational Project,1994)を使用した
溶媒均一化(flattening)およびヒストグラムマッチングによって改良した。プロ
グラムO(Jones ら、Acta Crystallogr A47:110 1991)を使用して、残基1-105
の当初のモデルを1.8Å実験的電子密度マップ中に組み入れた。バルク溶媒補正
をした1ラウンドのシミュレートアニーリング、ならびにCNS(Brungerら、Acta
Crystallogr D54:905 1998)を使用した位置およびB因子修正の後、残基106-11
1を2F-Fマップ中に組み入れた。モデルを最も有望なターゲット(Pannuおよ
びRead,Acta Crystallogr A52:659 1996)に対して、データを使用して、0.9879
Åで回収した 1.7Å Braggスペーシングに修正した。B因子および位置修正によ
って変更した8ラウンドのモデル組み立てと水の付加の結果、現状のモデルを決
定した。これには1-111残基と水分子88個が含まれる。残基112-120については電
子密度は観察されなかった。このモデルは結晶学的R値25.3%および遊離R値28.4
%である。溶媒含有量はca.40/6%で、不斉単位当たり1分子である。各残基に
ついての部分溶媒接近性(fractional solvent accessibility)をX-PLOR(Brung
er、X-PLOR,Version 3.1:X線結晶学用のシステム)およびNMR(New Haven,CT:Ya
le Univ.1992)で算出した。
【0173】(d)部位特異的突然変異誘発によるHomer部位の決定 QuickChange TM部位特異的突然変異誘発キット(Stratagene)を使用して、N
末端にmycタグを付した完全長Homer 1bおよび1cならびにHomer 1 EVH1の点突然
変異体を作成した。リン酸カルシウム法を使用して、発現構築物を一過性にHEK2
93細胞中にトランスフェクトした。トランスフェクションの約24-48時間後に、1
x PBS/1%Triton X-100(Sigma)およびプロテアーゼインヒビター中で、細胞
溶解物を調製した。グルタチオン-アガロースに結合させたGST-mGluR5またはGST
-Shank3(残基1143-1408)(Tuら、印刷中)と細胞溶解物 100μlを混合し、4℃
で2時間インキュベートし、1xPBSおよび1xPBS/1%Triton X-100で洗浄するこ
とによって、GSTプルダウンアッセイを実施した。結合した産物を2xSDSローデ
ィングバッファー 100μlで溶出させ、抗myc抗体 9EIO(Invitrogen)およびECL
試薬(Amersham)を使用したSDS-PAGEならびにイムノブロットによって検出した
【0174】実施例8 Homer発現は電気的に誘発した発作に応答して特定の脳領域でアップレギュレー トされる ラットHomer 1aを、電気的に誘発した発作(MECS;Brakemanら、Nature 386:2
84 1997参照)後の海馬顆粒細胞ニューロン中でのその迅速なアップレギュレー
ションに基づいてクローン化した。発作後の脳内でのその他のHomerファミリー
メンバーの発現を調べた。Homer 1a、Homer 1b、Homer 1c、Homer 2a、Homer 2b
およびHomer 3について独特な配列を使用して、放射性標識したリボプローブを
調製した。使用したプローブは、Homer 1bと1c、またはHomer 2と2bとの間でス
プライス形態を識別しなかった。
【0175】(a)in situハイブリダイゼーション 既報(Lyfordら、Neuron 14:433 1995)にしたがって、[35S]UTPの存在下での
in vitro転写によって、各マウスHomerプラスミドからアンチセンスおよびセン
スcRNAプローブを作製した。Homer-1a(Xiao,1998;GenBank#)のプローブはヌ
クレオチド1342-2140から、Homer 1b/c(Xiao,1998;GenBank#)についてはヌク
レオチド785-1396から、Homer-2a/b(Xiao,1998;GenBank#)についてはヌクレ
オチド486-1561から、そしてHomer-3(GenBank#)についてはヌクレオチド371-2
123から誘導した。プローブ(ハイブリダイゼーションバッファー 75μl中約106 cpm)を各スライドに塗布した。次にカバーガラスをつけたスライドを加湿した
チャンバー内で56℃で一晩インキュベートした。洗浄ステップを完了後、スライ
ドを空気乾燥し、Kodak Biomax MRフィルムに2-3日間露出した。
【0176】 非刺激動物の解剖学上の分布によりHomer 1aの発現がHomer 1bおよびHomer 1c
と同様であることがわかっている。海馬、線条溝および大脳皮質において高レベ
ルのHomer 1aの発現が観察される。大脳皮質においては、層状の発現があり、表
面部および深部層において最高レベルである。Homer 2aおよび2bは視床、嗅球お
よび海馬の神経基部で多く発現されたが、大脳皮質では対照的に低レベルのHome
r 2aおよび2bの発現が観察される。Homer 3は主として小脳および海馬で発現さ
れる。
【0177】 in situハイブリダイゼーション研究から、MECSに応答したHomer 1aの劇的な
誘発が証明されている。海馬では、発現の誘発は、刺激されない動物由来の海馬
に比較して20倍以上多いと評価される。ブロット分析による判定では、MECSは約
1.5倍のHomer 1bおよび1c発現の増加を誘発した。Homer 2および3の発現はMECS
に応答して変更されない。
【0178】実施例9 Homerタンパク質の多重体複合体の形成 CC二次構造はタンパク質-タンパク質相互作用に関係する(Lupas,1996、上記
)。したがって、このドメインがHomerファミリーメンバー間でのホモまたはヘ
テロ多重体を形成する能力を与えるらしいという可能性を試験した。Homerファ
ミリーメンバーのコイルドコイル相互作用を試験するため、mycタグを付したHom
er-1cおよびHomer-2bをHEK293細胞中にトランスフェクトし、トランスフェクシ
ョン後2-3日目に細胞抽出物を作成した。上記のように、細胞溶解物を処理した
【0179】 最初に、細菌中で発現させたHomerの完全長GST融合タンパク質について、HEK2
93細胞中で発現させたmycタグを付した完全長Homerタンパク質への結合能力を試
験した。mycHomer 1cはHomer 1b、Homer 2b、Homer 3、Homer 1bおよびHomer 2b
カルボキシ末端CCドメインに結合したが、Homer 1aまたはHomer 2-アミノ末端に
は結合しなかった。これはCCドメインが相互作用にとって重要であるという認識
と一致する。なぜならば、Homer 1aおよびHomer 2-アミノ末端はCCドメインをコ
ードしないからである。CCドメインの相互作用の特異性を試験するため、ダイニ
ンIC-1aおよびダイニン IC-2cのGST融合物を作製した。これらのタンパク質のCC
ドメインは、HomerファミリーのCCドメインより大きくない配列を示し、ダイナ
クチンのCCドメインに結合する(Gill,1991、上記)。mycタグを付したHomerフ
ァミリーメンバーのいずれもがダイニン IC-1aまたはダイニン IC-2cに結合しな
かった。
【0180】 Homerファミリーメンバーが脳中で自然に多重体を形成するかどうかを判定す
るため、小脳の免疫沈降物を試験した。Homer 1b/c抗体で免疫沈降させた抽出物
はHomer 3を含んでいたが、Homer 3で免疫沈降させた抽出物はHomer 1b/cを含ん
でいた。これらの共免疫沈降したHomerファミリーメンバーがそれらのCCドメイ
ン以外によって結合することは可能であるが、Homerのアミノ末端が1価であり
、伸長されたコンカテマーを形成することができないという事実から、CCドメイ
ンが介在する多重体化モデルが支持される。これらの免疫沈降実験において、Ho
mer 2はHomer 1またはHomer 3のいずれとも多重体として検出されなかった。
【0181】実施例10 Homerファミリータンパク質は脳シナプス画分で富化され、そして特定の末梢組
織で発現される 免疫化学的方法を使用するにあたって、Homerファミリータンパク質の分布お
よび局在化を調べた。イムノブロット分析を使用して、組織抽出物をアッセイし
、また光学および超微細構造レベルでの免疫組織化学を使用して、組織中の局在
化を試験した。
【0182】(a)イムノブロット分析 脳内のHomerタンパク質の分布を評価するため、種々の脳領域のSDS(2%)抽
出物のイムノブロット染色を試験した。大脳皮質、海馬および小脳内で、Homer
1b/c抗体によって約47 kDaの単一バンドが検出された。これらの領域は同程度の
発現レベルである。皮質、海馬および小脳それぞれにおいて、Homer 2a/b抗体に
よって主要な単一バンドが検出された。約60kDaおよび約80kDaに、強度がより小
さく、見かけの分子量がより大きいバンドが検出された。Homer 3イムノブロッ
トは、大脳皮質および海馬中での低レベルの発現と小脳中でmp単一バンド(47
kDa)の強い染色を示した。抗体と、関連するペプチド抗原 10μg/mlとの予備
インキュベートによって、イムノ染色は完全にブロックされた。
【0183】(b)免疫組織化学 光学顕微鏡法のために、ラットにセボフルランで強く麻酔し、大動脈から、生
理食塩水 250 ml、その後0.1%リン酸バッファー(pH 6.5)中の4%パラホルム
アルデヒドおよび0.1%リン酸バッファー(pH 8.5)中の4%パラホルムアルデヒ
ドそれぞれ400 ccで潅流した。ラットを室温で1時間静置(postfix)し、その後0
.1%リン酸バッファー(pH 7.4)中の15%ショ糖で潅流した。脳を取り出し、凍
結スライダミクロトーム上で40μmに切片化し、PBS中に集めた。以下のようなイ
ムノペルオキシダーゼ技法によって、組織を染色した。0.3% H2O2および0.25
% Triton X-100を含有するPBS中で脳切片を30分間インキュベートし、その後PB
Sで3x5分間洗浄した。PBS中3%正常ヤギ血清(Colorado Serum Co.)および0.2
5% Triton X-100を含有するバッファー“PGT”中で切片を1時間インキュベー
トし、その後同一のPGTバッファー中で1:750に希釈した一次抗血清に移した。
切片を4℃で48時間緩やかに振盪し、PBSで4x5分間洗浄し、その後PGT中1:100
に希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼに結合したヤギ抗ウサギIgG(Biosource
International)中、室温で1時間インキュベートした。切片をPBSで4x5分間
洗浄し、0.1 M リン酸バッファー中の0.05%ジアミノベンジジンジヒドロクロリ
ド(DAB:Sigma)および0.01% HO中で、室温で6分間インキュベートした。
切片をPBSで洗浄し、ゼラチンクロムミョウバン処理したスライド上に置き、一
連の勾配化エタノールで脱水し、キシレンで透明化し、DPX(BDH Limited)でカ
バースリップした。
【0184】 ラット脳内におけるHomer 1b/cおよびHomer 2a/bおよびHomer 3の細胞内局在
化を決定するため、免疫組織化学法を実施した。光学顕微鏡法では3種のHomerタ
ンパク質のすべてがプルキンエニューロン内で富化されることが示された。免疫
反応性は体細胞の細胞質領域に存在し、樹状活樹体中まで顕著に広がっている。
核は染色されない。隣接する顆粒細胞層ではほとんどまたは全く染色が検出され
ない。Homer 3についても細胞局在化について同様の光学顕微鏡パターンが検出
された。小脳内のHomer 2の免疫染色もプルキンエニューロン内の染色を示した
が、技術的に識別能力が低かった。
【0185】(c)電子顕微鏡法 EMのために、既報(Wangら、J Neurosci 18:1148 1998)のような埋め込み後
イムノゴールド(postembedding immunogold)法を使用し、Matsubaraら(J Neuro
sci 16:4457 1996)の方法を改変した。簡単に述べると、雄のSprague-Dawleyラ
ットを0.1%リン酸バッファー中の4%パラホルムアルデヒド+0.5%グルタルア
ルデヒドで潅流した。吻側小脳の200μmの傍矢状(parasagittal)切片(薄層III-
V)を30%グリセロール中で凍結保護し、Leica EM CPC中で液体プロパンで凍結
させた。凍結させた切片をLeica AFS凍結-置換装置内で-90℃でメタノール中1.5
%酢酸ウラニルに浸漬し、-45℃でLowicryl HM 20樹脂中に浸潤させ、UV光で重
合させた。薄い切片をTris緩衝化生理食塩水/0.1% Triton X-100(TBST)中の
0.1%水素化ホウ素ナトリウム+50 mM グリシン中で、その後TBST中の10%正常
ヤギ血清(NGS)、1%NGS/TBST中の一次抗体、1%NGS/TBST+0.5%ポリエチレ
ングリコール中の10 nmイムノゴールド(Amersham)中でインキュベートし、最
後に酢酸ウラニルおよびクエン酸鉛中で染色した。Homer 1bについて1:500、そ
してHomer 3について1:100〜1:400の希釈率の一次抗体を使用した。
【0186】 Homerファミリータンパク質がシナプス構造に結合するかどうかを判定するた
め、小脳のプルキンエニューロンのイムノゴールド EMを実施した。Homer 1b/c
はシナプス後突起の領域に顕著な局在化を示した。ゴールド粒子はシナプス後密
集(PSD)領域に密に集中する。Homer 3の免疫反応性について非常に類似した分
布が認められる。PSDまたは隣接する原形質膜に直接的に集中するのではなく、
ゴールド粒子の大部分はこれらの構造のすぐ下方の細胞質中に存在するものと考
えられることに注目すべきである。
【0187】末梢組織 Homerタンパク質は末梢組織で発現される。心臓および腎臓の界面活性剤抽出
物中で、Homer 1bおよび1cに対する免疫反応性がある47 kDaの単一バンドが検出
される。肝臓の抽出物では、約44〜47 kDaの範囲の3つのバンドの複合が検出さ
れる。心臓、肝臓、骨格筋および腸では、Homer 2aおよび2bに対して免疫反応性
があるバンドが検出される。Homer 3に免疫反応性があるバンドは肺および甲状
腺の抽出物中で検出される。
【0188】細胞下分布 Homerタンパク質の細胞小器官分布を調査するため、ラット前脳の生化学的分
画を実施し、Homer抗体を用いたウエスタンブロッティングによって、画分を分
析した。画分の期待される富化をモニターするため、画分をmGluR5、BIPおよび
シナプトフィシンについてブロットした。Homer 1b/c、2a/bおよび3は、粗核ペ
レット(P1)、中速粗シナプトソームペレット(P2)、および高速ミクロソーム
ペレット(P3)中に存在した。BIPは78 kDaのER常在性タンパク質(Munroおよび
Pelham,Cell 48:899(1987))であり、P3およびS3画分の両方で富化された。Home
r 1b/cおよびHomer 3は可溶性(S3)画分には多量に存在せず、Homer 2はS3画分で
富化された。P2画分を低張溶解後に細分画した。PSDで富化される25,000xgのペ
レット(LP1)(Huttnerら、J Cell Biol 96:1374(1983))はmGluR5の富化され
た存在量を示した。高速ペレット(165,000xg;LP2)は期待されたシナプス小
胞タンパク質であるシナプトフィシン(P38)中の富化を示した。Homerタンパク
質のそれぞれはLP2に比較してLP1画分中で富化された。最終の可溶性画分(LS2
)はHomer2中で特異的に富化された。
【0189】実施例11 トランスジェニックマウスモデルは、Homer 1aがHomer 1b/cのmGluR5との結合を
in vivoで選択的に遮断することを実証する N末端mycタグ付き全長Homer 1aのORFを発現ベクターpT2中にクローニングした
(Gordonら, Cell 50:445 1987;Aignerら, Cell 83:269 1995)。トランスジェ
ニックマウスはアラバマ大学トランスジェニック施設(the University of Alam
aba Transgencic Facility)で作製した。トランスジェニックタンパク質の発現
はウェスタンブロットにより全Homer 1イソ型(汎Homer 1抗体)およびmyc抗体
を認識するウサギポリクローナル抗血清を用いて検定した。
【0190】 Homer 1aはHomer関連タンパク質ファミリーの中でも動的に調節されることお
よびCCドメインを欠くことがユニークである。したがってIEGがグループI代謝型
受容体と結合し、HomerとmGluRとの多価複合体の形成を破壊するであろうという
仮説をたてた。この仮説を検証するために、出生後の脳のニューロン特異的発現
を駆動する(Aignerら, 1995、前掲)改変したThy-1プロモーターの制御下でHom
er 1aを発現するトランスジェニックマウスを作製した(Gordonら, 1987、前掲
)。トランスジェニックマウスは、皮質、海馬、小脳および視床/脳幹に、野生
型同腹仔対照と比較して高いレベルで、Homer 1aを発現した。Homer 1aトランス
ジーン発現のパターンは先に報じられたこのプロモーターの活性と一致する(Go
rdonら, 1987、前掲)。予測通り、Homer 1b/cおよびHomer 2a/b両方に対する抗
体は、野生型前脳の界面活性剤抽出物からmGluR5を免疫共沈降した。対照的に、
Homer 1b/c抗体はトランスジェニックマウスからmGluR5を免疫共沈降しなかった
。Homer 1aトランスジーン発現の効果は、Homer 3とHomer 1b/cとの免疫共沈降
を破壊しない点で選択的であった。後者の観察は、Homer 1b/c-Homer 3相互作用
にCCドメインが介在し、Homer 1a発現によって改変されないと予測する考え方と
一致する。Homer 1aはHomer 1b/cと免疫共沈降した複合体の一部ではなく、これ
はCCが該複合体との結合に必要であるという考え方と一致した。Homer 1aトラン
スジーンがmGluR5とHomer 1b/cとのカップリングをin vivoで遮断する効果はさ
らに選択的であり、Homer 2抗体は野生型およびトランスジェニックマウスの抽
出物からmGluR5を同じ様に免疫共沈降した。このように、Homer 1aはHomer 1b/c
とmGluR5との相互作用を選択的に破壊するがHomer 2とmGluR5との相互作用は破
壊しないようである。Homer 3は前脳でHomer 1b/cまたはHomer 2a/bほど高度に
発現されず、Homer 3抗体とmGluR5との免疫共沈降はそれほど明確でない。した
がって、これらの実験でHomer 1aはHomer 3とも競合するかどうかを決定するこ
とはできなかった。同一の結果をHomer 1aトランスジーンを発現する低い独立性
のマウス系統で得た。Homer 1aを発現するトランスジェニックマウスの挙動的な
特性決定は行わなかったが、サイズと粗運動活性の外見は正常である。
【0191】実施例12 酵母ツーハイブリッドスクリーニング Homerの生理学的機能を試験するため、新規のタンパク質ファミリーを、脳cDN
Aライブラリーの酵母ツーハイブリッドスクリーニングでHomerファミリータンパ
ク質と相互作用する能力に基づいて同定した。Homer 1aをpPC97中にサブクロー
ニングし(ChevrayおよびNathans, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.; 89:5789 (
1992))、これを使って、pPC86(ChevrayおよびNathans, 1992、前掲)にクロ
ーニングし発作刺激したラット海馬および皮質から先に記載されたように調製し
(Brakemanら, Nature, 386:284 (1997))そして無作為に初回刺激したcDNAライ
ブラリーを、スクリーニングした。同じライブラリーを、pPC86中にクローニン
グしたShank 3のPDZドメイン(アミノ酸残基559-673)を使って再スクリーニン
グした。Shank 3 PDZドメインをpPC86内のmGluR5構築物との相互作用についても
試験した。mGluR5構築物は、野生型C末端241個のアミノ酸断片および同断片の4
個のアミノ酸がカルボキシ末端欠失したものを含んでいた。
【0192】 ラット皮質および海馬cDNAライブラリーの酵母ツーハイブリッドスクリーニン
グにHomerを「ベイト(bait)」として使い、2つの新規遺伝子の複数cDNA単離
体を得た。配列決定および全長クローニングによりこれらをShank 1および3と呼
ばれる(Naisbittら、印刷中)異なる遺伝子ファミリーメンバーと同定した。Sh
ankファミリータンパク質は先に記載された、コルタクチン(Cortactin)結合タ
ンパク質と呼ばれるタンパク質(CortBP-1;Duら, Mol. Cell. Biol., 18:5838
(1998))と密接な関係がある。
【0193】実施例13 Homerタンパク質とShankタンパク質の間のin vitroおよびin vivoの相互作用 Homerタンパク質とShankタンパク質との相互作用を特性決定するため、酵母ツ
ーハイブリッドスクリーニング(実施例10)から単離したShank cDNAをHEK293に
発現させ、GST-Homer 1aによるGSTプルダウンアッセイに用いた。免疫共沈降ア
ッセイにより、HomerとShankタンパク質の間の相互作用をさらに特性決定した。
【0194】 (a)発現構築物 Shank発現構築物を記載されたように調製した(Naisbittら、印刷中)。Shank
の部位特異的点変異を、Quik Change(Stratagene)を使って作製した。GST融合
構築物を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によりPfuポリメラーゼ(Stratagene)
を使いSalIおよびNotI配列を含む特異的プライマーを用いて調製した。PCR産物
を、SalI/NotIによる消化の後、pGEX4T-2ベクター(Pharmacia Biotech, Uppsa
la,スウェーデン)またはN-mycタグ付きpRK5ベクター(Genetechから改変した)
中にサブクローニングした。全構築物を配列決定により確認した。GST融合タン
パク質をBL21大腸菌(E.coli)株(GIBCO, BRL)中で発現させた。細菌を収穫し、
1% Triton X-100, 2mMフェニルメチルスルホニルフルオライド(PMSF)を含むPB
Sに溶解し、13,000rpm(Sorvall SS-34)で4℃、5分間、ペレット化した。タン
パク質は、1ml床容積グルタチオン-セファロースビーズ(Sigma)を細菌上清と4
℃で10分間インキュベートして精製し、そして2回、PBSおよびPBS+1% Triton
X-100により洗浄した。結合したタンパク質を10mMグルタチオンを用いて溶出し
、4℃でPBSに対して透析した。タンパク質濃度をBCA(Pierce、イリノイ州)に
より測定した。mGluR5構築物および突然変異体は(Tuら, Neuron 21:717 (1998)
)に記載されている。
【0195】 (b) GSTプルダウンおよび免疫共沈降アッセイ 発現構築物をリン酸カルシウム法を使いHEK293細胞中に一過的にトランスフェ
クトした。細胞をトランスフェクション24〜48時間後にPBS+1% Triton X-100に
より溶解した。GSTプルダウンアッセイは次の通り実施した;100μl細胞溶解物
をGST融合タンパク質を供給したビーズ(1〜3μg/50μl床容積)と4℃、2時間混
合し、続いてPBSで1回、PBS+1% Triton X-100で1回洗浄した。結合したタンパ
ク質を100μlの2 x SDS添加バッファーを用いて溶出し、SDS-PAGEにより検出し
、ECL試薬(Amersham)を使って免疫ブロットした。脳溶解物からのmGluR1aおよ
びmGluR5のGSTプルダウンアッセイを次の通り実施した;ラット小脳または皮質
を含む50mM Tris、1mM EDTA、1% CHAPS(Sigma)、0.5%デオキシコリン酸(Sig
ma)およびプロテイナーゼインヒビターをGST-タンパク質と共に超音波照射し、
その後、これらの組織抽出物を上記のように処理した。COS7細胞からの免疫共沈
降には、トランスフェクトした細胞をRIPAに抽出した(Naisbittら、印刷中)。
可溶抽出物を2μg対照非免疫IgG、MycまたはShank 1(56/e)抗体を用いて沈降さ
せた(Naisbittら、印刷中)。
【0196】 免疫沈降のための前脳粗シナプトソーム抽出物はデオキシコリン酸を使い、先
に記載されたように(Dunahら, Mol. Pharmacol. 53:429 (1998))調製した。前
脳P2画分を1%デオキシコリン酸に抽出し、一夜、0.1% Triton X-100、50mM Tris
、pH 7.4の中に透析した。同時平行的に、各抗体の5gを10μl床容積プロテインA
-セファロースによって一夜、プレインキュベートした。1時間、100,000gで遠心
分離した後、抽出物50μgを、抗体-プロテインAを含む100μlの0.1% Triton X-1
00、50mM Tris、pH 7.4によって、2時間、4℃でインキュベートした。ペレット
を4回、1mlインキュベーションバッファーにより洗浄し、結合したタンパク質を
免疫ブロットにより分析した。
【0197】 抗体 Shank抗体を、Shank 3残基1379-1740および1379-1675のGST融合体(Covance、
Denver、PA)を用いて免疫感作したウサギに産生させた。類似のバンドが両方の
抗血清によるラット脳免疫ブロットに見られた。GKAP、PSD 95およびShank 1(56
/e)抗体はナイスビットら(Naisbittら, 印刷中)に記載されている。Homer抗体
は先に記載されている。抗mGluR 1aモノクローナル抗体はPharmingenから入手し
、ウサギポリクローナルmGluR5抗血清はリチャード・フガニール博士(Dr. Rich
ard Huganir, Johns Hopkins大学)から入手した。
【0198】 GST-Homer 1aによるGSTプルダウンアッセイのために、酵母ツーハイブリッド
スクリーニングから誘導したShank cDNAをHEK293細胞に発現させた。それぞれの
Shankポリペプチドは特異的にHomer 1aと結合した。Homer EVH1ドメインが特異
的なプロリンリッチモチーフと結合するという知見に基づいて、Shank 1、2、3
およびCortBP-1に保存されている3つの潜在的Homer結合部位(またはHomer「リ
ガンド」)を同定した(Naisbittら, 印刷中)。Shankファミリータンパク質のH
omer結合部位を定義するために、それぞれアミノ酸残基559-908、アミノ酸残基1
143-1408、およびアミノ酸残基1379-1740を含むShank 3の3つの欠失断片を、Hom
er 1b、Homer 1c、Homer 2およびHomer 3と結合する能力について、GSTプルダウ
ンアッセイで試験した。Homerタンパク質のそれぞれと類似の結合特異性を検出
した。Shank3断片1143-1408だけがHomerと結合した。この領域はHomerリガンド
ペプチドコンセンサスに最も密接に類似するアミノ酸配列(LVPPPEEFAN;残基13
07-1316)を含有する。類似の配列はShank 1に存在する(PLPPPLEFSN 1563-1572
;Naisbittら、印刷中)。CortBPは2つの類似の部位(PLPPLEFAN;残基813-822
)および(FLPPPESFDA残基878-887)を有する。Shank3断片559-908(PDZドメイ
ンと第1プロリンリッチモチーフを含む)のようなタンパク質のアミノ末端によ
り近く位置するアミノ酸残基を含有するShank3の断片は、Homerと結合しなかっ
たがGKAP(Naisbittら、印刷中)と結合した。同様に、カルボキシ末端プロリン
リッチ配列およびSAMドメインを含むShank3断片1379-1740は、Homerと結合しな
かったが、それ自身およびコルタクチンと結合する能力はある(Naisbittら、印
刷中)。これらの研究により、Homer結合部位はGKAPと結合するPDZドメインと、
またはコルタクチンと結合しかつカルボキシル末端により近く位置するプロリン
リッチ結合部位とのいずれとも異なると同定される(Naisbittら、印刷中)。
【0199】 Homer相互作用部位を確かめるために、Shank3の推定Homerリガンドの部位特異
的点突然変異体を、GST-Homer 1cと結合する能力について評価した。全長野生型
Shank3、Shank3(P1311L)、およびShank3(F1314C)をHEK293細胞に発現させ、GST-
Homer 1cとの結合についてアッセイした。野生型Shank 3と比較して、両方の点
突然変異体はHomerとの著しい結合低下を示した。これらの実験は、Shank3のHom
erリガンドが相互作用の主部位であるという更なる確証を与える。
【0200】 先に、Homer EVH1ドメインのアミノ酸1-110がHomerリガンドの結合に対して必
要かつ十分であることが実証されている(Brakemanら, 1997、前掲;Tuら, 1998
、前掲)。HomerのEVH1ドメインがShankとの相互作用を媒介することを確かめる
ために、一連のHomer 1 EVH1ドメインの点突然変異体を作製した。mGluR5との結
合を破壊した突然変異は同じようにShank 3との結合を破壊し、Homerは両タンパ
ク質と、類似したEVH1依存機構を経由して結合することを示した(Benekenら、
印刷中)。
【0201】 哺乳類動物細胞環境におけるHomerとShankの間の相互作用を確かめるために、
免疫共沈降実験を異種細胞で実施した。COS7細胞をMycタグ付きHomer 1b、Shank
1、またはShank 1+myc-Homer 1bを用いてトランスフェクトした。細胞の界面
活性剤抽出物を免疫沈降にかけ、myc、shank、または対照(非免疫IgG)抗体を
用いてブロットした。Homer 1bをこれらの実験で使ったのは、これが哺乳類動物
内でHomer 1aより効率的に発現するからである。HomerのShank抗体によるおよび
Shankのmyc抗体による免疫共沈降は、Shankとmyc-Homer 1bの両方を発現する細
胞からのみ起こった。
【0202】 Homer-Shank相互作用のin vivoでの関連を実証するために、ラット脳の界面活
性剤抽出物を使い、免疫共沈降実験を実施した。ラット前脳画分の界面活性剤抽
出物をShankおよび対照(非免疫)抗血清を用いて免疫沈降した。免疫沈降物をH
omer、ShankおよびGRIP抗体に対してブロットした。Shank 1の融合タンパク質に
対して産生した抗体は、Homer 1bおよび1cタンパク質ならびにラット前脳からの
Shankを免疫沈降した。GRIPはShankと免疫共沈降せず、ShankまたはHomerのいず
れも非免疫IgGにより沈降しなかった。さらに、Shank 3断片1379-1675に対して
産生した他のShank抗体は、小脳と皮質の両方から抽出したHomer 1bおよび1cを
免疫共沈降した。
【0203】実施例14 HomerおよびShankは細胞表面受容体のクラスター形成に介在する。 Shankタンパク質はHomerタンパク質を、NMDAクラスター形成複合体のような細
胞表面クラスター形成複合体の成分に連結することができる。
【0204】 COS7細胞をクラスター形成実験のために、ナイスビット(Naisbitt)ら(印刷
中)およびキムら(Kimら, Neuron 17:103 1996)が記載したように、リポフェ
クタミン法(GIBCO-BRL)を使いポリリシンをコートしたカバースリップ上でト
ランスフェクトした。次の1次抗体を使った:GKAP C9589、1μg/ml(Naisbitt
ら、印刷中);Shank 56/e、0.5μg/ml(Naisbittら、印刷中);PSD-95、1:100
0に希釈したモルモット血清(Kimら, Neuron 378:85 1995)。Cy3およびフルオ
レセインイソチオシアネート・コンジュゲート(FITC)をコンジュゲートした2
次抗体(Jackson Immunoresearch)をそれぞれ1:500および1:100に希釈して使っ
た。
【0205】 実施例10に記載した酵母ツーハイブリッドスクリーニングを実施した。
【0206】 上記と同じラット脳cDNAライブラリーの酵母ツーハイブリッド・スクリーニン
グをShank3のPDZドメインをベイト(bait)として使い実施した。このスクリー
ニングにより、GKAP-3/SAPAP3カルボキシ末端の2つの同一のクローンを単離し
た。相互スクリーニング(reciprocal screen)で、Naisbittら(印刷中)はGKA
Pをベイト(bait)として使いShank1、2および3の複数クローンを単離した。こ
の結果は、ShankとGKAP/SAPAPファミリータンパク質の間にある相互作用の特異
性に独立した確証を与える。
【0207】 酵母ツーハイブリッドスクリーニングから得たGKAP-3のカルボキシ末端347個
のアミノ酸をコードするcDNAを、アミノ末端mycタグと共にHEK293細胞中で発現
させ、Shank3のGST融合構築物および他のPDZを含有するタンパク質との結合につ
いて試験した。丁度PDZドメインを含有するShank3断片(残基559-673)のGST融
合物はGKAP3と結合するのに十分であったが、PDZドメインを欠くShank3構築物(
残基665-908)は結合しなかった。さらに、GRIPおよびSAP102のPDZドメインはGK
AP3をプルダウンせず、Shank-GKAP相互作用の特異性を実証した。
【0208】 以上の知見は、Homer、ShankおよびGKAPが3元複合体(ternary complex)を
組み立てることを示唆する。これをさらに究明するために、ラット脳抽出物を使
ってGSTプルダウンアッセイを実施した。Shank PDZ結合配列(QTRL)を含有するGK
AP1aのカルボキシ末端76個のアミノ酸を、GST[GST-GKAP(カルボキシ末端)]
と融合した。GST-GKAP(カルボキシ末端)は特異的にShankならびにHomer 1bお
よび1cの両方をプルダウンしたが、GKAP1または複数の他のタンパク質をプルダ
ウンしなかった(Naisbittら、印刷中)。GKAPは直接Shankと結合するがHomerと
結合しないので(Naisbittら、印刷中)、この結果はHomerのGKAPプルダウンがS
hankにより媒介されることを示唆する。これらの知見は、脳抽出物由来のShank
とHomerの免疫共沈降実験を実証し、HomerがShankと天然の複合体で結びついて
いることを証明する。
【0209】 Shankタンパク質はHomerタンパク質をNMDAクラスター形成複合体の成分に連結
するので、トランスフェクトしたCOS細胞内のこれらタンパク質のクラスター共
形成(co-clustering)を評価した。Homer 1bとPSD-95を同時発現する細胞内で
、両タンパク質は細胞質内で拡散した分布を示した。HomerとPSD-95は直接、相
互作用しないので、これは驚くにあたらない。細胞を、HomerとPSD-95に加えてS
hank1とGKAPを用いてトランスフェクトしたとき、HomerとPSD-95は再分散してプ
ラーク様クラスターになり、該クラスター中に両タンパク質は正確に共局在(co
-localize)した。対照的に、Shank1またはGKAPのいずれかだけを伴うHomerとPS
D-95の同時トランスフェクション後には、HomerとPSD-95のクラスター共形成は
観察されなかった。このように、ShankとGKAPの同時発現のときにのみ、Homerと
PSD-95はクラスター共形成する。したがって、ShankとGKAPはPSD-95とHomerを含
有する4次タンパク質(quaternary protein)複合体の形成を媒介しうる(Nais
bittら、印刷中、も参照)。HomerとShankタンパク質が相互作用すると、他のタ
イプの高分子複合体も形成しうる。(GKAPまたはPSD-95なしに)Homer 1bとShan
k 1を発現する細胞は、Homer 1bが網様糸状(reticular filamentous)パターン
中にならびにクラスター中に再分散を示し;これら両種類の構造にはShankとHom
erの免疫活性が共局在する。これらの知見は、HomerとShank間の相互作用に対す
るさらなる確証を与え、Homer 1bとShankをより高次のマクロ複合体中に共に組
み立てることができることを示唆する。この結果は、自己多量体化およびコルタ
クチンとの結合能力を含むShankの生化学的物性と一致する(Naisbittら、印刷
中)。Shank、GKAP、およびPSD-95はNMDA受容体関連複合体の成分であるので(N
aisbittら、印刷中)、HomerをShank結合タンパク質と同定することは、NMDA受
容体複合体とmGluR1aおよび5ならびにイノシトールトリスリン酸受容体のような
Homer関連シナプスタンパク質との間の分子的連結を示唆するものである。
【0210】 グループ1代謝型受容体 ShankがHomer 1bとクラスター形成しかつShankがGKAPと一緒にHomerおよびPSD
-95のクラスター共形成を媒介し得るという異種細胞の観察に基づくと、Shankは
グループ1代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)のクラスター形成を媒介するこ
とができる。Shank1とmGluR5をCOS細胞内で同時発現したが、いずれのタンパク
質も明確なクラスター形成を生じなかった。同様に、HomerとmGluR5はクラスタ
ー共形成しない。しかし、3つのタンパク質、Homer、Shank 1、およびmGluR5を
同時発現すると、mGluR5のShank 1との顕著なクラスター共形成をもたらした。m
GluR5がHomerと相互作用しない点突然変異をもつと、Shankとクラスター共形成
しなかったので、これらの三重トランスフェクトした細胞におけるmGluR5のクラ
スター形成はHomerの受容体と結合する能力に依存するものであった。このよう
にHomerおよびShankの両方がmGluR5のクラスター形成を媒介するために必要であ
る。
【0211】実施例15 Shank3 PDZドメインは、グループ1代謝型受容体のカルボキシ末端とHomer結合
部位とは異なる部位で直接結合する Shank PDZドメインはGKAPカルボキシ末端と選択的な結合を示す(Naisbittら
、印刷中)。GKAPのカルボキシ末端配列(QTRL)は、グループ1 mGluRs(mGluR
1a-SSSL;mGluR5-SSTL)のそれと類似性があり、従って、ShankのPDZドメインは
直接、グループ1 mGluRのカルボキシ末端と結合することができるかどうかを確
認した。組換えmGluR5カルボキシ末端241個のアミノ酸のペプチドを発現する異
種細胞からの抽出物を使い、GSTプルダウンアッセイを実施した。mGluR5カルボ
キシ末端尾部(tail)は、PDZドメインを含むShank3の2つの部分的にオーバー
ラップする構築物(559-908;および559-673)と結合したが、PDZドメインを欠
失した構築物(アミノ酸665-908)とは結合しなかった。mGluRのShank3 PDZドメ
インとの結合は、mGluR5のHomer 1cおよびHomer 2との結合と質的に類似した。
陰性対照はmGluRのSAP102 PDZ 1-3およびGRIP PDZ 4-6との結合の不在を含んで
いた。さらに、カルボキシ末端の4個のアミノ酸を欠くmGluR5ポリペプチドの欠
失突然変異体は、Shank3のPDZドメインと結合しなかった。Shank PDZとmGluR5 C
末端尾部間の同じ相互作用を、酵母ツーハイブリッド分析で検出した。これらの
研究は、Shank3のPDZドメインがグループ1代謝型受容体のカルボキシ末端と、P
DZが媒介するカルボキシ末端-SS/TLとの相互作用を経由して結合できることを示
す。
【0212】 Shank3 PDZドメインが全長の天然のmGluRと結合できることを確かめるために
、前脳または小脳の界面活性剤抽出物を用いてGSTプルダウンアッセイを実施し
た。Shank 3のPDZ結合ドメインはそれぞれ小脳および前脳からのmGluR1aおよびm
GluR5と特異的に結合した。(小脳は主にmGluR1を発現し、一方、前脳は主にmGl
uR5を発現する)。脳抽出物からのmGluRのShank3 PDZプルダウンは、Shank PDZ
のGKAP-Shank-Homer-mGluR複合体プルダウンを経由して間接的である可能性はあ
るが、GST-GKAPのHomerをプルダウンする能力はより弱いので、この伸長した複
合体によるとは思えない。
【0213】 これらの研究は、ShankがmGluR1a/5の細胞質尾部(tail)とPDZドメインを経
由して直接的に、およびHomerを経由して間接的に相互作用しうることを示唆す
る。Homer不在の場合にShank 1がmGluR5とクラスター形成する能力がないことは
、直接PDZに依存するShank-mGluR相互作用は、同時に起こるHomer相互作用次第
であることを示す。mGluRとの相互作用の両様式は、ShankによるmGluRクラスタ
ー形成に関わり、生理学的調節に寄与しうる。
【0214】実施例16 特異的シナプス後肥厚におけるShankおよびHomer共局在 免疫電子顕微鏡 包埋後免疫金法(postembedding immunogold method)(Petraliaら, Nature
Neurosci 2:31 1999;Zhaoら, J Neurosci 18:5517 1998)を使った。雄性Sprag
ue-Dawleyラットを、4%パラホルムアルデヒド+0.5%グルタルアルデヒドを含む0
.1 Mリン酸バッファー(PBS)により潅流した。海馬の傍矢状切片(parasagitta
l section)(250μm)を30%グリセロール中に凍結保護し、Leica EM CPC内で液
体プロパン中に凍結した。凍結した切片を、Leica AFS凍結置換装置内において-
90℃で1.5%酢酸ウラニルを含むメタノール中に浸漬し、Lowicryl HM 20樹脂によ
り-45℃で湿潤し、そして紫外光により重合した。薄い切片を、0.1%水素化硼素
ナトリウム+50mMグリシンを含むTris-バッファー生理食塩水/0.1%Triton X-100
(TBST)中でインキュベートし、続いて10%正常ヤギ血清(NGS)を含むTBST、1
次抗体を含む1% NGS/TBST、10nm免疫金(Amersham)を含む1% NGS/TBST+0.5%ポ
リエチレングリコール中でインキュベートし、そして最後に酢酸ウラニルおよび
クエン酸鉛を用いて染色した。2重に標識するために、第1の1次抗体(例えば、
Shank;Shank3 1379-1675抗原)および対応する免疫金コンジュゲート抗体(10n
m金)を塗布し、切片をパラホルムアルデヒド蒸気に80℃で1時間さらし、そして
第2の1次(Homer 1bおよび1c)および2次(20nm金;Ted Pella/BBI Internati
onal)抗体を翌日に塗布した。対照(金標識を少ししかまたは全く示さない)は
単一標識用の1次抗体不在および2重標識用の第2の1次抗体不在を含んでいた
。1次抗体は、Shankに対しては1:100〜1:300に、またHomer 1bおよび1cに対して
は1:400に希釈して使った。
【0215】 Shank3のカルボキシ末端領域(アミノ酸1379-1675)に対して産生する抗体を
使って脳内のShankタンパク質の超微細構造分布を試験した。この抗体は脳免疫
ブロット上の複数のバンドを認識し、該バンドは、前脳および小脳中の約160〜1
80kDおよび約210kDの主バンドを含み、他のShank抗体を用いて見られたそれらと
類似する(Naisbittら, 印刷中を参照)。様々なサイズのバンドは恐らく複数の
Shank遺伝子およびスプライス変異体から誘導される。全てのShank免疫反応性は
、Shank抗体のShank融合タンパク質抗原とのインキュベーションにより遮断され
る。
【0216】 免疫金電子顕微鏡は、CA1錐体ニューロンのPSDで強いShank免疫反応性を示し
た。金粒子はPSDの全領域にわたって分散された。同じ調製物で、Homer 1b/1cは
Shankと共分布するのが見出された。ShankおよびHomerの両方に対する免疫染色
した全てのプロフィールにおいて、金粒子はPSD上に存在したがまた、PSDの下方
領域中にも広がった。この分布は、シナプス後膜と関連したNMDA受容体の分布と
類似し(Petraliaら, 1999、前掲)、PSDの直ぐ外側のシナプス後膜領域に最も
多く存在するmGluR5の分布とは異なっていた(Lujanら, Eur J Neurosci 8:1488
1996)。この空間的局在はShank3とHomerがNMDA受容体および代謝型受容体の両
方のシグナル伝達複合体の成分と相互作用するという考えと一致する。
【0217】 Homerと相互作用するこのタンパク質のファミリーは、シナプス後肥厚(posts
ynaptic density;PSD)タンパク質のShankファミリーと同一であり、GKAPおよ
びPSD-95複合体と相互作用する(Naisbittら, 印刷中)。Shankは異なるドメイ
ンを使ってGKAPおよびHomerと結合し、そして、このファミリーのタンパク質の
間に架橋を形成することができる。Shank/GKAPはまた、NMDA受容体とPSD複合体
を通しても結合し(Naisbittら, 印刷中)、そしてHomer-Shank相互作用はNMDA
受容体とmGlu受容体およびイノシトールトリスリン酸受容体のようなHomer結合
タンパク質との間の分子結合を示す。この結合は、NMDA受容体の細胞内カルシウ
ム放出プールとのカップリングに対しておよび興奮性シナプスアセンブリー全般
に対して重要な関係を有する。
【0218】参考文献 Allen, K. M., Gleeson, J. G., Bagrodia, S., Partington, M. W., MacMillan
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めに意図されており、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を
限定するものではない。この他の態様、利点、および改変はその特許請求の範囲
内にある。
【0219】
【図面の簡単な説明】
【図1】 EVH1ドメインを含むタンパク質の概略図。EVH1ドメインは、Homer、Ena、Mena
、VASP、およびWASPタンパク質のN末端またはその近くに見られる。Homer 1b/2/
3は、様々なHomerタンパク質間の多量体化を媒介するCCドメインをコードする。
ENA、Mena、VASP、WASPおよびN-WASPにおいて、EVH1ドメインの後には種々の長
さの中央プロリンリッチ領域が続く。これらのタンパク質を図示した一定のスケ
ールに拡大して描き、それぞれのアミノ酸長をその右側に示す。
【図2】 EVH1、PHおよびPTBドメイン配列の構造ベースのアラインメント。EVH1ドメイ
ンとβスペクトリンPHドメインとIRS-1 PTBドメインとの構造ベースの配列アラ
インメントを示す。種は、Rn(ラット)、Hs(ヒト)、Mm(マウス)およびDm(
ショウジョウバエ)として示す。Homer EVH1ドメインの二次構造のエレメントは
、矢印(β鎖)、円筒形(αヘリックス)および実線(コイル)で示す。(EVH1
ドメイン間で)保存された残基を強調してある。Homer1aの各残基の溶媒アクセ
シビリティ率(fractional solvent accessibility、FAS)は楕円形で示す。黒
塗りの楕円形=0<FAS<0.1(覆い隠されている);影付き楕円形=0.1<FAS<0.4(
部分的にアクセス可能);白抜きの楕円形FAS>0.4。WASP遺伝子のEVH1ドメイン
における突然変異は、WASPアミノ酸配列の下に小文字で示す。厳密なWAS表現型
に関係する突然変異は、太文字で示す(Zhuら、1997)。2以上の残基に変異し
た部位は、星印で示す。太い星印は、突然変異したときにWASPとWIPとの相互作
用に影響を及ぼす残基を示す(Stewartら、1999)。構造的に重ね合わせると良
く整合しており、これらのドメイン間のCα位置におけるrms差を計算するために
使用したHomer、β-スペクトリンおよびIRS-1の残基を、IRS-1配列において下線
を引いてある。ギャップはダッシュで示し、アミノ末端およびカルボキシ末端の
連続配列は、ピリオドで示す。Homer 1aの残基のナンバリングをそのアミノ酸配
列の上に示す。各タンパク質の最後に含まれる残基の数を各行の最後に示す。
【図3】 Homer 1a EVH1ドメインのリボン図。アミノ末端およびカルボキシ末端を示し
、二次構造のエレメントは、PHおよびPTBドメインの相同構造に対応させてラベ
ル付けしてある。β1とβ2との間のβ鎖の追加的な短い領域は、βiとラベルし
た。
【図4】 EVH1、PHおよびPTBドメインの構造比較。Homer 1 EVH1、βスペクトリンPHお
よびIRS-1 PTBドメインのそれぞれのリボン図(A)〜(C)および表面図(D)〜
(F)を示す。全ての分子を同様の配向で示し、これは、図3に示した配向から
垂直軸の周りに約45°回転させたものである。βスペクトリンPHドメインは、結
合したイノシトールトリスリン酸と共に示される(Hyvonenら、1995)。IRS-1ド
メインは、インスリン受容体に由来するホスホチロシン含有ペプチドと複合体形
成されたものを示す(ECkら、1996)。
【図5】 PH様ドメインによる可変リガンド認識。βスペクトリンおよびPLC-δPHドメイ
ンが結合したIP3の相対位置を示すHomer 1 EVH1ドメインの主鎖線(trace)の立
体図、ならびにIRS-1およびNumb PTBドメインのペプチドリガンドが示される。E
VH1ドメインの配向は、図4のそれと同様である。リガンドの位置は、そのプロ
グラムの中のEVH1、PHおよびPTBドメインの主鎖線を重ね合わせることにより決
定した(Jonesら、1991)。
【図6】 EVH1表面上のWASにより引き起こされる突然変異およびHomer結合突然変異のマ
ッピング。(A)および(B)溶媒アクセシビリティに従って着色したWASP突然変
異の位置(括弧内)と相同な部位を有するHomer1 EVH1ドメインを示す表面図。
溶媒にさらされる残基はマゼンタ色で示し、覆い隠されたまたは部分的に覆い隠
された残基は青色で示す。残基の割り当ては、図2に示した配列に基づいている
。WASP EVH1突然変異は表2に列挙されている。部位特異的突然変異誘発によりタ
ーゲッティングされた残基の位置を示すHomer1 EVH1ドメインの表面図。in viro
結合アッセイにおいてHomer EVH1のリガンドへの結合を邪魔する突然変異を赤色
で示し、結合に対して影響を及ぼさない突然変異を明るい青色で示す(表3を参
照されたい)。パネルAおよびCのEVH1ドメインの配向は、図4Aおよび図4Dのも
のと同一である。パネルBおよびDでは、分子を垂直軸の周りで約180°回転させ
てある。
【図7】 ヒトHomer 1a(アミノ酸)(配列番号2)。
【図8】 ヒトHomer 1b(核酸)(配列番号3)。
【図9】 ヒトHomer 1b(アミノ酸)(配列番号4)。
【図10】 ヒトHomer 2a(核酸)(配列番号7)。
【図11】 ヒトHomer 2a(アミノ酸)(配列番号8)。
【図12】 ヒトHomer 2b(核酸)(配列番号9)。
【図13】 ヒトHomer 2b(アミノ酸)(配列番号10)。
【図14】 ヒトHomer 3(核酸)(配列番号11)。
【図15】 ヒトHomer 3(アミノ酸)(配列番号12)。
【図16】 ペプチド結合コア領域(PPXXFR)(配列番号13)。
【図17】 ペプチド結合伸長領域(ALTPPSPFRD)(配列番号14)。
【図18】 Homer相互作用タンパク質:ラットI30(核酸)(配列番号15)。
【図19】 Homer相互作用タンパク質:ラットI30(アミノ酸)(配列番号16)。
【図20】 Homer相互作用タンパク質:ラットI42(核酸)(配列番号17)。
【図21】 Homer相互作用タンパク質:ラットI42(アミノ酸)(配列番号18)。
【図22】 Homer相互作用タンパク質:ヒトI30(核酸)(配列番号19)。
【図23】 Homer相互作用タンパク質:ヒトI30(アミノ酸)(配列番号20)。
【図24】 Homer相互作用タンパク質:ヒトI42(核酸)(配列番号21)。
【図25】 Homer相互作用タンパク質:ヒトI42(アミノ酸)(配列番号22)。
【図26】 マウスHomer 1a(核酸)(配列番号23)。
【図27】 マウスHomer 1a(アミノ酸)(配列番号24)。
【図28】 マウスHomer 1b(核酸)(配列番号25)。
【図29】 マウスHomer 1b(アミノ酸)(配列番号26)。
【図30】 マウスHomer 2a(核酸)(配列番号27)。
【図31】 マウスHomer 2a(アミノ酸)(配列番号28)。
【図32】 マウスHomer 2b(核酸)(配列番号29)。
【図33】 マウスHomer 2b(アミノ酸)(配列番号30)。
【図34】 マウスHomer 3(核酸)(配列番号31)。
【図35】 マウスHomer 3(アミノ酸)(配列番号32)。
【図36】 ラットHomer 1a(核酸)(配列番号33)。
【図37】 ラットHomer 1a(アミノ酸)(配列番号34)。
【図38】 ラットHomer 1b(核酸)(配列番号35)。
【図39】 ラットHomer 1b(アミノ酸)(配列番号36)。
【図40】 ラットHomer 1c(核酸)(配列番号37)。
【図41】 ラットHomer 1c(アミノ酸)(配列番号38)。
【図42】 ラットShank 3a(核酸)(配列番号39)。
【図43】 ラットShank 3a(アミノ酸)(配列番号40)。
【図44】 ヒトHomer 3a(核酸)(配列番号41)。
【図45】 ヒトHomer 3a(アミノ酸)(配列番号42)。
【図46】 ラットINADL部分核酸配列(配列番号43)。
【図47】 ラットINADL部分アミノ酸配列(配列番号44)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 15/00 A61P 21/00 21/00 25/00 101 25/00 101 25/08 25/08 25/18 25/18 25/28 25/28 39/02 39/02 C07K 14/47 C07K 14/47 14/705 14/705 C12Q 1/02 C12Q 1/02 G01N 33/15 Z G01N 33/15 33/50 Z 33/50 C12N 15/00 ZNAA (31)優先権主張番号 60/138,426 (32)優先日 平成11年6月10日(1999.6.10) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 60/138,494 (32)優先日 平成11年6月10日(1999.6.10) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CR, CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI,G B,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL ,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ, LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,M G,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT ,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL, TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ,V N,YU,ZA,ZW (72)発明者 シャオ,ボー アメリカ合衆国 21205 メリーランド州, ボルティモア,ラットランド アベニュー 720,デパートメント オブ ニューロ サイエンス,ザ ジョンズ ホプキンス ユニバーシティー スクール オブ サイ エンス (72)発明者 リーイー,ダニエル アメリカ合衆国 21218 メリーランド州, ボルティモア,フェンチャーチ ロード 3805 (72)発明者 ベネケン,ジュッタ アメリカ合衆国 21201 メリーランド州, ボルティモア,チャールズ プラザ ナン バー406 8 (72)発明者 ラナハン,アンソニー,エー. アメリカ合衆国 21234 メリーランド州, ボルティモア,デンドロン コート 15 Fターム(参考) 2G045 AA40 DA36 FB03 FB07 4B024 AA11 AA15 BA63 BA80 CA04 CA07 DA02 DA03 DA06 DA12 EA04 GA11 HA11 HA15 4B063 QA01 QA20 QQ08 QQ79 QQ89 QR48 QX02 QX05 4C084 AA02 AA07 AA17 DC50 NA14 ZA022 ZA152 ZA162 ZA182 ZA362 ZA592 ZA662 ZA812 ZA942 ZC372 4H045 AA10 AA30 BA10 CA45 DA50 EA50 FA74

Claims (71)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 細胞表面受容体が介在する細胞応答反応をモジュレートする
    化合物の同定方法であって、 (a) 化合物と、細胞表面受容体を発現している細胞と、Homerタンパク質とを
    、該化合物が該細胞と相互作用することを可能とするのに十分な条件下でインキ
    ュベートし、 (b) 該細胞を細胞表面受容体リガンドにさらし、 (c) 該化合物とインキュベートした細胞の該リガンドに対する細胞応答反応を
    、該化合物とインキュベートしなかった細胞の細胞応答反応と比較し、それによ
    り細胞応答反応をモジュレートする化合物を同定する、 ことを含んでなる上記方法。
  2. 【請求項2】 細胞表面受容体がグルタミン酸受容体である、請求項1記載
    の方法。
  3. 【請求項3】 グルタミン酸受容体がグループI代謝型グルタミン酸受容体
    またはチャンネル型グルタミン酸受容体である、請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 代謝型グルタミン酸受容体が代謝型グルタミン酸受容体1aお
    よび代謝型グルタミン酸受容体5からなる群より選択される、請求項3記載の方
    法。
  5. 【請求項5】 チャンネル型グルタミン酸受容体がクラスNR2BのNMDAグルタ
    ミン酸受容体およびクラスNR2DのNMDAグルタミン酸受容体からなる群より選択さ
    れる、請求項3記載の方法。
  6. 【請求項6】 Homerタンパク質がHomer 1a、Homer 1b、Homer 1c、Homer2a
    、Homer 2bおよびHomer 3からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 Homerタンパク質がHomer 1aである、請求項1記載の方法。
  8. 【請求項8】 細胞応答反応がカルシウム動員の増加または減少である、請
    求項1記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記化合物がペプチド、ペプチドミメチック、ポリペプチド
    、医薬、化合物、生物学的物質、抗体、神経親和性物質、コンビナトリアル化合
    物ライブラリー、および抗てんかん薬より選択される、請求項1記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記細胞がニューロン細胞、グリア細胞、心臓細胞、気管
    支細胞、子宮細胞、精巣細胞、肝細胞、腎細胞、腸細胞、胸腺細胞、脾臓細胞、
    胎盤細胞、骨格筋細胞、および平滑筋細胞からなる群より選択される、請求項1
    記載の方法。
  11. 【請求項11】 細胞内タンパク質が介在する細胞応答反応をモジュレート
    する化合物の同定方法であって、 (a) 化合物と、細胞内タンパク質を発現している細胞と、Homerタンパク質と
    を、該化合物が該細胞と相互作用することを可能とするのに十分な条件下でイン
    キュベートし、 (b) 該細胞を、該細胞内タンパク質を活性化する条件にさらし、 (c) 該化合物とインキュベートした細胞における細胞応答反応を、該化合物と
    インキュベートしなかった細胞の細胞応答反応と比較し、それにより細胞応答反
    応をモジュレートする化合物を同定する、 ことを含んでなる上記方法。
  12. 【請求項12】 細胞内タンパク質がイノシトールトリスリン酸受容体、リ
    アノジン受容体、I42、I30、hInaD、ACK-2からなる群より選択される、請求項1
    1記載の方法。
  13. 【請求項13】 Homerタンパク質がHomer 1a、Homer 1b、Homer 1c、Homer
    2a、Homer 2bおよびHomer 3からなる群より選択される、請求項11記載の方法
  14. 【請求項14】 Homerタンパク質がHomer 1aである、請求項11記載の方
    法。
  15. 【請求項15】 細胞応答反応がカルシウム動員の増加または減少である、
    請求項11記載の方法。
  16. 【請求項16】 前記化合物がペプチド、ペプチドミメチック、ポリペプチ
    ド、医薬、化合物、生物学的物質、抗体、神経親和性物質、および抗てんかん薬
    より選択される、請求項11記載の方法。
  17. 【請求項17】 受容体活性化カルシウム動員をモジュレートする化合物の
    同定方法であって、 (a) 化合物と、Homerタンパク質を発現している細胞とを、該化合物が該細胞
    と相互作用することを可能とするのに十分な条件下でインキュベートし、 (b) 該細胞を、カルシウム動員を活性化するのに十分な条件にさらし、 (c) 該化合物とインキュベートした細胞における細胞応答反応を、該化合物と
    インキュベートしなかった細胞の細胞応答反応と比較し、それにより受容体活性
    化カルシウム動員をモジュレートする化合物を同定する、 ことを含んでなる上記方法。
  18. 【請求項18】 Homerタンパク質がHomer 1a、Homer 1b、Homer 1c、Homer
    2a、Homer 2bおよびHomer 3からなる群より選択される、請求項17記載の方法
  19. 【請求項19】 Homerタンパク質がHomer 1aである、請求項17記載の方
    法。
  20. 【請求項20】 細胞応答反応がカルシウム動員の増加である、請求項17
    記載の方法。
  21. 【請求項21】 細胞応答反応がカルシウム動員の減少である、請求項17
    記載の方法。
  22. 【請求項22】 前記化合物がペプチド、ペプチドミメチック、ポリペプチ
    ド、医薬、化合物、生物学的物質、抗体、神経親和性物質、および抗てんかん薬
    より選択される、請求項17記載の方法。
  23. 【請求項23】 受容体が介在するカルシウム動員をモジュレートする方法
    であって、細胞が細胞内シグナル伝達経路を活性化するのに十分な量のリガンド
    にさらされるときに通常起こるカルシウム動員をモジュレートするのに十分な量
    の化合物に細胞をさらすことを含んでなる上記方法。
  24. 【請求項24】 前記化合物がペプチド、ペプチドミメチック、ポリペプチ
    ド、医薬、化合物、生物学的物質、抗体、神経親和性物質、および抗てんかん薬
    より選択される、請求項23記載の方法。
  25. 【請求項25】 前記リガンドが代謝型グルタミン酸受容体のアゴニストま
    たはアンタゴニストである、請求項23記載の方法。
  26. 【請求項26】 細胞内シグナル伝達経路がイノシトールトリスリン酸シグ
    ナル伝達経路である、請求項23記載の方法。
  27. 【請求項27】 Homerタンパク質活性を阻害する化合物の同定方法であっ
    て、 (a) Homerタンパク質結合ドメインの結晶構造座標に基づいて、Homer結合部位
    中のアミノ酸と非共有結合を形成しうるHomerタンパク質活性の潜在的インヒビ
    ターを設計し、 (b) 該インヒビターを合成し、 (c) 該インヒビターがHomerタンパク質活性を阻害するかを調べる、 ことを含んでなる上記方法。
  28. 【請求項28】 Homerタンパク質結合ドメインの結晶構造座標が、a=33.79
    、b=51.40、およびc=66.30 Åである斜方晶系空間群対称P212121を有するHomer
    タンパク質結晶から得られる、請求項27記載の方法。
  29. 【請求項29】 Homerタンパク質結合ドメインの座標がコンピュータ解析
    によって得られる、請求項28記載の方法。
  30. 【請求項30】 潜在的インヒビターが、Homer結合ドメインのトリプトフ
    ァン24、フェニルアラニン74、トレオニン66、トレオニン68、グルタミン76、ア
    ラニン78、トレオニン70、およびバリン85と水素結合を形成するように設計され
    る、請求項27記載の方法。
  31. 【請求項31】 細胞表面受容体のクラスター形成に影響を及ぼす化合物の
    同定方法であって、 (a) 化合物と、Homerタンパク質およびShankタンパク質を発現している細胞と
    を、該化合物が該細胞と相互作用することを可能とするのに十分な条件下でイン
    キュベートし、 (b) 細胞表面受容体のクラスター形成に及ぼす該化合物の作用を測定し、 (c) 該化合物と接触させた細胞における細胞表面受容体のクラスター形成を、
    該化合物と接触させなかった細胞の細胞表面受容体のクラスター形成と比較し、
    それにより細胞表面受容体のクラスター形成に影響を及ぼす化合物を同定する、
    ことを含んでなる上記方法。
  32. 【請求項32】 細胞表面受容体がNMDA受容体である、請求項31記載の方
    法。
  33. 【請求項33】 細胞表面受容体が代謝型グルタミン酸受容体である、請求
    項31記載の方法。
  34. 【請求項34】 代謝型グルタミン酸受容体がグループI代謝型グルタミン
    酸受容体である、請求項33記載の方法。
  35. 【請求項35】 代謝型グルタミン酸受容体が代謝型グルタミン酸受容体1a
    である、請求項34記載の方法。
  36. 【請求項36】 代謝型グルタミン酸受容体が代謝型グルタミン酸受容体5
    である、請求項34記載の方法。
  37. 【請求項37】 Homerタンパク質がHomer 1a、Homer 1b、Homer 1c、Homer
    2a、Homer 2bおよびHomer 3からなる群より選択される、請求項31記載の方法
  38. 【請求項38】 前記化合物がペプチド、ペプチドミメチック、ポリペプチ
    ド、医薬、化合物、生物学的物質、抗体、神経親和性物質、および抗てんかん薬
    より選択される、請求項31記載の方法。
  39. 【請求項39】 Shankタンパク質がShank 1a、Shank 1bおよびShank 3、な
    らびにコルタクチン(cortactin)結合タンパク質からなる群より選択される、請
    求項31記載の方法。
  40. 【請求項40】 前記影響が細胞表面受容体のクラスター漸増を阻害するこ
    とである、請求項31記載の方法。
  41. 【請求項41】 前記影響が細胞表面受容体のクラスター形成を刺激するこ
    とである、請求項31記載の方法。
  42. 【請求項42】 前記細胞がニューロン細胞、グリア細胞、心臓細胞、気管
    支細胞、子宮細胞、精巣細胞、肝細胞、腎細胞、腸細胞、胸腺細胞、脾臓細胞、
    胎盤細胞、骨格筋細胞、および平滑筋細胞からなる群より選択される、請求項3
    1記載の方法。
  43. 【請求項43】 前記化合物がペプチド、ペプチドミメチック、ポリペプチ
    ド、医薬、化合物、生物学的物質、抗体、神経親和性物質、および抗てんかん薬
    より選択される、請求項31記載の方法。
  44. 【請求項44】 治療が必要な被験者に、治療に有効な量のHomerタンパク
    質活性をモジュレートする化合物を投与することを含んでなる、グルタミン酸受
    容体と関連した障害の治療方法。
  45. 【請求項45】 Homerタンパク質がHomer 1a、Homer 1b、Homer 1c、Homer
    2a、Homer 2bおよびHomer 3からなる群より選択される、請求項44記載の方法
  46. 【請求項46】 Homerタンパク質がHomer 1aである、請求項44記載の方
    法。
  47. 【請求項47】 前記障害がてんかん、グルタミン酸毒性、記憶障害、学習
    障害、卒中、精神分裂病、アルツハイマー病、組織変性、および脳発達障害より
    選択される、請求項44記載の方法。
  48. 【請求項48】 治療が必要な被験者に、治療に有効な量のHomerタンパク
    質活性をモジュレートする化合物を投与することを含んでなる、Homerタンパク
    質活性と関連した障害の治療方法。
  49. 【請求項49】 前記障害が心臓障害、筋系の障害、血管系の障害、神経学
    的障害、精神障害、腎障害、子宮障害、または気管支組織の障害である、請求項
    48記載の方法。
  50. 【請求項50】 配列番号3に示されるヌクレオチド配列を有する、Homer
    タンパク質1bをコードする単離された核酸。
  51. 【請求項51】 配列番号4に示されるアミノ酸配列と実質的に同じアミノ
    酸配列を有する、単離されたHomerタンパク質1b。
  52. 【請求項52】 配列番号5に示されるヌクレオチド配列を有する、Homer
    タンパク質1cをコードする単離された核酸。
  53. 【請求項53】 配列番号6に示されるアミノ酸配列と実質的に同じアミノ
    酸配列を有する、単離されたHomerタンパク質1c。
  54. 【請求項54】 配列番号7に示されるヌクレオチド配列を有する、Homer
    タンパク質2aをコードする単離された核酸。
  55. 【請求項55】 配列番号8に示されるアミノ酸配列と実質的に同じアミノ
    酸配列を有する、単離されたHomerタンパク質2a。
  56. 【請求項56】 配列番号9に示されるヌクレオチド配列を有する、Homer
    タンパク質2bをコードする単離された核酸。
  57. 【請求項57】 配列番号10に示されるアミノ酸配列と実質的に同じアミ
    ノ酸配列を有する、単離されたHomerタンパク質2b。
  58. 【請求項58】 配列番号11に示されるヌクレオチド配列を有する、Home
    rタンパク質3をコードする単離された核酸。
  59. 【請求項59】 配列番号12に示されるアミノ酸配列と実質的に同じアミ
    ノ酸配列を有する、単離されたHomerタンパク質3。
  60. 【請求項60】 配列番号13においてRがアルギニンまたはゼロまたは他
    の1個のアミノ酸残基でありうる、配列番号13に示される単離されたペプチド
  61. 【請求項61】 配列番号14に示される、単離されたペプチド。
  62. 【請求項62】 配列番号15または配列番号17に示されるヌクレオチド
    配列を有する、Homer相互作用タンパク質をコードする単離された核酸。
  63. 【請求項63】 配列番号16または配列番号18に示されるアミノ酸配列
    と実質的に同じアミノ酸配列を有する、単離されたHomer相互作用タンパク質。
  64. 【請求項64】 配列番号19によりコードされる、Homer相互作用タンパ
    ク質をコードする単離された核酸。
  65. 【請求項65】 配列番号20に示されるアミノ酸配列と実質的に同じアミ
    ノ酸配列を有する、単離されたHomer相互作用タンパク質。
  66. 【請求項66】 Homerファミリーのポリペプチドと結合するプロリンリッ
    チ領域を含有する、実質的に精製されたポリペプチド。
  67. 【請求項67】 細胞表面受容体である、請求項66記載のポリペプチド。
  68. 【請求項68】 細胞内受容体である、請求項66記載のポリペプチド。
  69. 【請求項69】 動物の生殖細胞の染色体に組み込まれたHomerタンパク質1
    aを発現するトランスジーンを有する、トランスジェニック非ヒト動物。
  70. 【請求項70】 動物がマウスである、請求項69記載のトランスジェニッ
    ク動物。
  71. 【請求項71】 自然の老化過程に影響を及ぼす方法であって、それを必要
    とする被験者に、有効量のHomerタンパク質活性をモジュレートする化合物を投
    与することを含んでなる方法。
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