JP2002517419A - 治療薬剤の多光子光活性化のための改善された方法及び装置 - Google Patents

治療薬剤の多光子光活性化のための改善された方法及び装置

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Abstract

(57)【要約】 特定容積の材料、植物又は動物組織の治療用の方法及び装置であって、材料、植物又は動物組織を少なくとも1つの光活性薬剤で治療するステップを含み、特定容積の材料、植物又は動物組織が少なくとも1つの光活性薬剤の少なくとも一部を保持し、次に特定容積の材料、植物又は動物組織に保持された少なくとも1つの光活性薬剤の少なくとも1つの多光子励起を促進するのに十分な光で特定容積の材料、植物又は動物組織を治療するステップを含み、少なくとも1つの光活性薬剤が特定容積の材料、植物又は動物組織において活性化される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、概して、高度の空間的制御により1つ又はそれ以上の治療薬剤の選
択的光活性化を達成するための方法及び装置に関する。選択的光活性化を達成す
るために開示された方法では、高度の空間的及び分子特異性により、薬剤を1つ
の分子エネルギー状態から別の状態へ促進するための非線形光励起の特殊な特性
を利用する。これらの方法の特別な特徴は、各種材料の処理に適用可能であり、
特にヒト、及び動物、並びに植物における疾患の治療において明確な利点を提供
する。特に、非線形励起法の使用により、現在使用されている方法や光放射より
も吸収や散乱の程度が少ない可視乃至赤外線波長光を用いて、組織内の薬剤の治
療的活性化の制御が促進される。
【0002】
【従来の技術】
医療分野において、光力学的療法や限局性外科的処置を含め、さまざまな治療
的応用のための各種分子薬剤の選択的活性化を可能にする適応性のある方法が必
要とされている。所望の改善として、活性化の位置及び深さにわたる空間的又は
時間的制御における強化、他の共局在又は近位薬剤、組織又は構造に対する望ま
しくない活性化及び損傷の減少、及び他の薬剤や非標的薬剤以上の所望薬剤の活
性化の選好性増大が挙げられる。
【0003】 1960年代初期におけるその発見以来、レーザーはそのような選択性及び適
応性を提供することができるものとして期待されてきた。例えば、レーザー放射
線の特性を利用するために有用な各種の線形及び非線形の光化学的及び光物理的
方法が開発され、一部の応用にいくつかの改善を提供している。医療におけるレ
ーザー多使用の代表的な報告(例えば、ミラー、Biophotonics I
ntern.9月/10月(1997) 50−51; Boulnois,L
asersMed.Sci.1(1986)47−66を参照)は、連続波(C
W)から超短パルスビームまでの範囲の光出力及び紫外線(UV)並びに可視か
ら近赤外(NIR)及び赤外(IR)に及ぶ波長を有するレーザーが、表面皮膚
疾患の除去から精密な網膜手術までの範囲の医学的治療における有用な応用を見
出していることを明らかにしている(例えば、フィッシャーら、Lasers
Surg.Med.17(1995)2−31;モローら、米国特許第5,65
6,186号を参照)。さらに、各種組織におけるレーザーエネルギーの非特異
損傷特性の理解の改善(例えば、ハマーら、IEEEJ.Quant.Elec
tron.32(1996)670−678を参照)は、医師たちが最近のレー
ザー源のより安全かつより有効な使用を工夫することを可能にした。しかし、一
般に、現在の治療的レーザー法の性能及び適応性は望みどおりではない。つまり
、さまざまな治療プロセスを選択的に達成すると同時に、これらのプロセスの応
用における性能及び適応性の改善を得るために使用できる光子活性化法の改善が
必要とされている。
【0004】 分子薬剤を精査又は変換する光照射の応用が何年も前から周知である。例えば
、線形単一光子光学励起が、光力学的療法(PDT)における分子治療薬剤の活
性化のために広範囲に使用されている。(例えば、フィッシャーら、Laser
s Surg.Med.17(1995)2−31を参照)。このような活性化
の一般ヤブロンスキー図が図1(a)に示されており、図中の単一光子励起(1
0)は、薬剤と単一光子P1との相互作用により得られるいくらかのエネルギー
1の吸収時に光活性薬剤が低量子力学的許容状態Smから高量子力学的許容状態
まで励起されるときに生じる。一般に、その後、項間交差、IXが生じ、励起薬
剤を長寿命活性化状態Tmに至らせ、そこから光化学反応R1が生じうる。光力学
的療法の場合には、R1は一重項酸素など細胞毒性種の産生を含むことがある。
残念ながら、このような励起法の性能は望みどおりに成功していない。例えば、
一部の一般的な治療方式で用いられる光照射自体により、疾患や他の望ましくな
い副作用が生じうるという強力な証拠がある(ヤング、J.Photochem
.Photobiol.B,6(1990)237−247を参照)。さらに、
望ましくない貫通の深さにより、主にUV又は可視活性化光照射の光散乱及び吸
収の結果として、分子治療薬剤の線形光学励起において最大の努力が払われてき
た。
【0005】 いくつかの応用に対する光活性化の選択性における特別な改善を達成し、単一
光子励起により生じる制限の多くを処理しようとする努力での多数の実験室応用
において、さまざまな多光子光学励起法も使用されている。単一モードの連続波
レーザーから1GWを越えるピーク出力を有するパルスQ交換レーザーまで及ぶ
励起源がこれらの方法で使用されている。ほとんどの努力は、励起状態特性の分
光器による精査や環境サンプルなど強く吸収するマトリックスに存在する分析物
の検出のための手段として多光子励起を用いることを目標としている。例えば、
光学的に高密度の媒体に存在する分子からの蛍光発光を刺激するための手段とし
て、同時2光子励起が使用されている(ワースとライトル、Anal.Chem
.49(1977)2054−2057; フィッシャーら、Appl.Spe
ctrosc.51(1997)218−226を参照)。このような活性化の
一般メカニズムが図1(b)に示されており、同時2光子励起(12)は、薬剤
と2つの光子Pl’及びP2’の同時かつ、結合された相互作用により得られるあ
るエネルギーE1の吸収時に光活性薬剤が励起されるときに生じる。両方の光子
l’及びP2’のエネルギーが同一である場合は、励起プロセスを「縮退」と呼
ぶことに注意されたい。2つの光子の同時相互作用は、約10フェムト秒(fs
)かそれ以下の寿命の一時的な仮の状態Vにより仲介されると記載される場合が
多い。両方の光子がこの寿命中に相互作用しない場合は、励起は起こらず、薬剤
がSnに達することはない。薬剤が高量子力学的許容状態Snに促進されると、そ
の光化学的特性及び光物理的特性は、単一光子励起(10)により得られるもの
と同一になる。2光子励起は顕微鏡検査法において使用される(例えば、デンク
ら、米国特許第5,034,613号)とか膜特性の精査として(例えば、チェ
ンとファンデルメール、Biophys.J.64(1993)1567−15
75)記載されている。この研究の大部分は、分子と相互作用する2つの光子が
同じ波長となるように(縮退励起ケース)、単一のパルス励起源を用いて実施さ
れているように思われる。しかし、非縮退(2色)同時2光子励起も明らかにさ
れている(例えば、ラコビッツら、Photochem.Photobiol.
64(1996)632−635)。
【0006】 はるかに一般的ではないが、アンモニア(例えば、ニーマンとコルソン、J.
Chem.Phys.68(1978)5656−5657)、ベンゼン(例え
ば、ジョンソン、J.Chem.Phys.64(1976)4143−414
8;ジョンソンとコレノブスク、Chem.Phys.Lett.97(198
3)53−56;グルッブら、J.Chem.Phys.81(1984)52
55−5265;ケーブルとアルブレヒト、J.Chem.Phys.85(1
986)3155−3164)、ブタジエン(例えば、ジョンソン、J.Che
m.Phys.64(1976)4638−4644)、及び一酸化窒素(例え
ば、シーバーら、J.Chem.Phys.87(1983)2226−223
1)などの分子の分光学を精査する同時3光子励起が記載されているが、同時4
光子分光学は、NO2 (例えば、ロックネイら、J.Chem.Phys.78(
1983)7124−7131)及びブタジエン(例えば、マクジアルミドとア
ウアーバッハ、Chem.Phys.Lett.76(1980) 520−5
24)などの分子の研究においてさらに限定されている。このような多光子分光
学(光子数4以下)の一般理論は以前に記載されている(アンドリュースとゴウ
ル、J.Chem.Phys.75(1981)530−538を参照)。最近
、ラコビッツと共同研究者は、凝縮相におけるさまざまな発蛍光団の特性を研究
(グリツィンスキーら、Biophys.J.71(1996)3448−34
53;ラコビッツら、Biophys.J.72(1997)567−578を
参照)するとともに、顕微鏡検査法で可能な撮像手段(グリツィンスキーら、P
hotochem.Photobiol.62(1995) 804−808;
シマンチンスキーら、Biophys.J.70(1996)547−555を
参照)として縮退同時3光子励起を使用することを記載した。
【0007】 多光子励起を用いたその他の研究により、複雑な多光子励起法を用いて薬剤の
物理的及び化学的特性を明らかにし(シングら、J.Chem.Phys.19
4(1996)826−831;ワングら、J.Chem.Phys.105(
1996)2992−2997)、あるいは1つ又はそれ以上の一時的若しくは
スペクトル適合型レーザーパルスを用いて励起状態反応にわたる量子制御を行う
(フラム、Science 266(1994)215−217;バーデーンら
、Chem.Phys.Lett.280(1997)151−158;サービ
ス、Science279(1998)1847−1848;ザレ、Scien
ce 279(1998)1875−1879;クラリー、Science 2
79(1998)1879−1882を参照)努力がなされている。しかし、こ
れらの報告された多光子法は一般に、分子内再組織を起こさせるために、10f
sをはるかに超える時間にわたる光エネルギーの段階的連続適用を必要とする。
図1(c)は、このような多光子活性化の一般表示であり、3+2光子励起(1
4)は、薬剤と3つの光子Pl’’、P2’’及びP3’’との同時結合相互作用
(この相互作用は2つの仮の状態Vl’’とV2’’により仲介される)により得
られる一定のエネルギーE1の吸収時に、光活性薬剤が最初に第1高量子力学的
許容状態Snに励起されると生じる。その後の励起は、別の2つの光子P4’’と
5’’と薬剤との相互作用により得られる一定の追加のエネルギーE2の吸収時
に生じ、第2の高量子力学的許容状態SPへと促進する。一般的に、これら2つ
のステップE1とE2との間には短時間の遅延が存在し、第2励起事象は、SO
どの1つ又はそれ以上の量子力学的許容エネルギー状態により仲介される場合が
多い。
【0008】 これとは対照的に、化学反応の光学的誘発による量子制御は、薬剤が電子結合
変換、弛緩及び分子内エネルギー転移と一致した時間枠にわたって生じる1つ又
はそれ以上のレーザーパルスを用いていくつかの中間状態間で連続的に往復する
ときに生じ(フィッシャーら、Appl.Spectrosc.51(1997
)218−226;ドラウマーら、Science 275(1997)54−
57;ゾングら、J.Am.Chem.Soc.119(1997)2305−
2306を参照)、これは現在、約100fsと1ピコ秒(ps)との間で生じ
ると考えられている。図1(d)は、多光子量子制御プロセス(16)の一般表
示であり、励起は、薬剤と3つの光子P1’’’、P2’’’及びP3’’’との
連続的相互作用による3つのステップE12’及びE3’を介して生じる。この
例において、第1光子P1’’’は薬剤を状態Snに励起させる役割を果たすが、
第2光子P2はさらに薬剤を状態Srに励起する。光子P3’’’の放出は薬剤を
SrからTqへ逆励起するように時間調節され、Smから直接アクセスできない
反応状態(このため、化学反応R1’に至る)を発生させる。図1(c)(14
)及び1(d)(16)に示された、このような多光子プロセスの両方にみられ
る時間的遅延及び多重量子力学的許容中間状態は、本質的に単一ステップの励起
プロセスである図1(b)(12)に示された同時励起プロセスとは異なる。
【0009】 ダウマー、ゾング、バーデーン及びその他による量子制御及び他の特殊励起法
の応用により、化学反応の2つの時間的方式が明らかにされる:(a)分子内電
子変換を含むps下時間枠で発生する迅速方式;及び(b)分子内再組織、結合
分割及び分子内相互作用を含むps上時間枠で発生する緩速方式。しかし、迅速
方式で発生する原因となりうる事象は、緩速方式において起こりうるものとは大
きく異なるが、それは一般に、電子励起τexなどの迅速プロセスに特徴的な時定
数が、熱転移などの弛緩τrelaxのものよりもはるかに短いためである。これは
、適切に迅速な励起プロセスを用いれば、励起を達成することができ、そのよう
にして得られた効果(分子内電子変換など)は、有意な弛緩プロセス(結合分割
又は熱転移など)が起こる前に完了したことを意味している。最近、このような
洞察が光力学的療法及びレーザー切除手術の分野における限られた応用に見られ
始めた。迅速方式における相互作用に必要とされるよりもかなり長い存続時間(
すなわち、ps乃至μs存続時間)の励起が、所望の光活性化と競合する光活性
化経路を支持することがわかっている。しかし、例えば、ナノ秒時間規模にわた
って、励起光力学的薬剤は追加的な光子を吸収し、望ましくない光化学的変換を
もたらすこともある。これにより、光力学的療法薬剤を長寿命の全身性毒性物質
に変換することで、薬剤を所望の目的には完全に無用なものにすることができる
(例えば、シェアら、J.Biol.Chem.265(1990)5977−
5982を参照)。さらに、緩速方式における事象の励起は、以前に(所望の結
合からのエネルギー漏出により)反応の有効な量子制御を不可能にし、切除レー
ザー手術における(周囲組織内へのエネルギー漏出による)二次的組織損傷をも
たらしたエネルギーを周囲結合又は媒体内に漏出させる傾向がある。
【0010】 モードロック型チタン:サファイアレーザーなどの超短パルス(パルス幅10
ps以下)を定期的に発生可能なレーザーの出現により、励起は、所望の治療目
標へのエネルギー放出の効率を大幅に改善する迅速方式に実質的に限定できるよ
うになる。このようなパルスの短さは、交互の光活性化及び弛緩経路から競合を
実質的に除外し、それにより所望のメカニズムを介してのみ活性化の制御ができ
る。例えば、ボクサーと共同研究者(オーら、Photochem.Photo
biol.65(1997)91−95)及びワッチャーと共同研究者(フィッ
シャーら、Photochem.Photobiol.66(1997)141
−155)は最近、光力学的療法薬剤の同時2光子励起を報告したが、前者はソ
ラレンベース薬剤の2光子分光学的特性を明らかにし、後者は関連薬剤のための
2光子励起光力学的効果を明らかにした。両方の報告において、超短励起パルス
の使用は、所望のメカニズムへの光活性に限定し、競合メカニズムを明らかに回
避した。
【0011】 さらに、切除レーザー手術のためにレーザー誘発分解を達成する超短レーザー
パルスの使用を試みたモローら(米国特許第5,656,186号)及び他の研
究者(例えば、ビルングルーバーら、IEEE J.Quant.Electr
on.23(1987)1836−1844;ステルンら、Arch.Opht
hal.107(1989)587−592;ワタナベら、Photochem
.Photobiol.53(1991)757−762;フレデリクソンら、
Arch.Derm.129(1993)989−993;ザイアーら、米国特
許第5,618,285号)は、存続時間が10ps以下のパルスの使用により
、光学的励起の部位に対するそのような効果の局在強化の結果として、長いパル
スを用いて達成されるよりも実質的に優れた治療マージンが得られることを見出
した。モローは、多光子イオン化により開始されるレーザー誘発分解を記載して
いるが(18)、これは図1(e)に示したように、水性組織マトリックスとの
NIR光の非共鳴相互作用の結果として起こると主張されている。ここで、多光
子Pm−Pqの協奏相互作用は、イオン化が起こるまでに多重の仮の中間状態Vm
−Vpを通じて水を迅速に促進する(分子エネルギーが、水のイオン化電位Sip
よりも大きいか、又はそれに等しい時点で)。このプロセスは、許容される第1
次(単一光子)の又は多重次(2つ又はそれ以上の光子)の転移が故意にアクセ
スされないため(例えば、エネルギー吸収又は励起効率を最大にするために)、
非共鳴と呼ばれる。
【0012】 次に意外なことに、多光子分光学に関するきわめて多数の理論的・実験的研究
及び超短パルス源の広範囲の利用可能性にもかかわらず、発明人は、光力学的又
は光物理的(切除)結果の強化を得る内因性(天然に存在)又は外因性(外部か
ら供給される)分子薬剤の選択的活性化を含む治療的応用のための超短パルス多
光子法の一般的応用の報告がないことを認めている。上記で説明したように、こ
れまでに報告された研究は、2光子法又は非共鳴レーザー誘発型誘電分解に基づ
く非特異的多光子切除にのみ限定されている。
【0013】 このため、本明細書中で開示された研究により例示された多数の従来の研究は
、多光子光活性化の多くの魅力的な特徴や、このような光活性化を達成するため
の超短パルス源の使用を明らかに示しているが、この研究により、医療分野の多
様なニーズに合致させるために、高度の空間的制御及び効率で1つ又はそれ以上
の分子薬剤を選択的に光活性化することは達成されていない。特に、標的薬剤や
材料及び治療的応用に重要である物理的規模でこの制御を達成するための使用あ
るいは実際的な方法の開示はないように思われる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、高度の空間的選択性を用いて植物又は動物組織
の治療のための適応性のある多目的に使用可能な方法を提供することである。 さらに、本発明の目的は、多光子光学励起法を用いた上記のような方法を提供
することである。 本発明の別の目的は、単一パルス光源からの光及び内因性又は外因性光活性薬
剤を用いて、空間的選択性を強化するとともに上記のような治療の効率を改善す
る方法を提供することである。 本発明のさらに別の目的は、植物又は動物組織の治療のために現在使用されて
いる光の波長よりも、植物又は動物組織に対して一般に有害ではない光の波長を
用いた上記のような方法を提供することである。 本発明のさらに別の目的は、植物又は動物組織の治療のために現在使用されて
いる光の波長よりも、植物又は動物組織中に散乱しにくく、それらにより吸収さ
れにくい光を用いた上記のような方法を提供することである。 以下のいくつかの図及び実施の形態を含めて明細書を考慮することにより、当
業者は本発明の別の目的及び利点を判定することができる。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、多光子励起を用いて一定容積の材料中の分子薬剤を光活性化するた
めの方法及び装置に関する。 さらに詳しくは、本発明は、1つ又はそれ以上の内因性又は外因性治療薬剤の
非線形光学励起の特有な物理的性質を利用し、多光子光活性化プロセスを介して
、上記薬剤の光活性化の空間的制御の改善を達成する。このような多光子光活性
化は、1つ又はそれ以上の内因性又は外因性薬剤と2つ又はそれ以上の光子との
ほぼ同時の相互作用によって得られ、前記光子は約10psかそれ以下の存続時
間を有する単一の超短レーザーパルスにより供給される。好適には、本発明では
、前記2つ又はそれ以上の光子のエネルギー及び波長は同一であることが好まし
く、この場合この励起プロセスは縮退と呼ばれる。
【0016】 本発明の多光子光活性化は、以下の事象の1つ又はそれ以上からもたらされる
ものを含め多数の治療上の終点を与える:高量子力学的許容状態への1つ又はそ
れ以上の薬剤の電子励起;高量子力学的許容状態への1つ又はそれ以上の薬剤の
振動励起;高量子力学的許容状態への1つ又はそれ以上の薬剤の振電励起(振動
及び電子励起の組合せ);及び1つ又はそれ以上の薬剤の光イオン化。このよう
な励起状態終点から、1つ又はそれ以上の光活性化薬剤を製造し、疾患細胞の光
力学的殺傷、組織の変性、又は組織の切除除去などの所望の治療効果を促進する
【0017】 本明細書中で開示される多光子光活性化方法は、二次的励起及びその励起経路
に沿った損傷の減少、有害な光波長への露光の減少、励起薬剤周囲の環境から発
生する吸収及び散乱プロセスによる干渉の減少、治療の深さの改善、治療効率の
改善、及び励起薬剤の位置及び特異性に対する制御の強化を含む、従来の方法に
対する特別な利点を提供する。
【0018】
【発明の実施の形態】
本明細書中に記載される本発明は、1つ又はそれ以上の内因性又は外因性治療
薬剤の非線形光学励起の特有な物理的性質を利用し、多光子光活性化プロセスを
介して、上記薬剤の光活性化の空間的制御を達成する。「非線形光学励起」は、
1つ又はそれ以上の薬剤と2つ又はそれ以上の光子のほぼ同時の相互作用を含む
励起プロセスとして、この用途の目的では定義される。「ほぼ同時の相互作用」
は、約10psかそれ以下の存続時間を有する単一超短レーザーパルスにより提
供される光子と1つ又はそれ以上の薬剤の相互作用の結果として生じる励起プロ
セスとして、この用途の目的では定義される。したがって、「多光子光活性化」
は、1つ又はそれ以上の光活性化薬剤を発生させる1つ又はそれ以上の薬剤と単
一超短レーザーパルスから発生する2つ又はそれ以上の光子のほぼ同時の相互作
用の結果として生じる非線形光学励起として、この用途の目的では定義される。
最後に、「内因性薬剤」は、例えば、さまざまなタンパク質;メラニン、ヘモグ
ロビン、及びカロチンなどの天然発色薬剤;水;コラーゲン;及び入れ墨染料な
どの他の光活性材料のような患者又は他の目標物タに予め存在する光活性材料と
して、この用途の目的では定義される。「外因性薬剤」は、例えば、光エネルギ
ーの治療プロセスへの転換の効率を増大する目的のために投与されるさまざまな
光力学的薬剤又は他の光活性薬剤など、患者又は他の目標物に予め存在しない光
活性材料として定義される。
【0019】 そのような多光子光活性化の終点として、1つ又はそれ以上の以下の事象が挙
げられる:高量子力学的許容状態への1つ又はそれ以上の薬剤の電子励起;高量
子力学的許容状態への1つ又はそれ以上の薬剤の振動励起;高量子力学的許容状
態への1つ又はそれ以上の薬剤の振電励起(振動及び電子励起の結合);及び1
つ又はそれ以上の薬剤の光イオン化。1つ又はそれ以上の光活性化薬剤が、疾患
細胞の光力学的殺傷、組織の変性又は組織の切除除去などの治療的効果を促進す
るのは、上記励起状態の終点によるものである。
【0020】 本発明の非線形光学励起は、二次的励起及びその励起経路に沿った損傷の減少
、有害な光波長への露光の減少、励起薬剤周囲の環境から発生する吸収及び散乱
プロセスによる干渉の減少、及び薬剤の励起における特異性の強化を含む、治療
的及び他の薬剤の光活性化時に追加的な利点を有する。本発明で使用される非線
形光学励起法は、多くの疾患の治療のために優れた手段を提供する。多光子光活
性化法及びそのような結果を達成するための装置の基本構成は、米国特許第08
/739,801号に記載されており、これは本発明の譲受人に譲渡されていて
、これには本出願と共通の発明人がいる。1996年10月30日に出願された
米国特許第08/739,801号はその全体が参考として本明細書中で援用さ
れる。
【0021】 (多光子光活性化のエネルギーレベルモデル) 本開示に開示された本発明の一態様は、高度の空間的制御により1つ又はそれ
以上の治療薬剤を選択的及び効果的に光活性化する多光子プロセスの使用にある
。この選択的光活性化は、薬剤を1つの分子エネルギー状態から別の状態に促進
する非線形光学励起の空間的特性を利用する手段により達成される。このプロセ
スの顕著な特徴を完全に理解するために、多光子光活性化の概念的モデルが以下
で展開されている。これは、代表的なケースのエネルギーレベル図の使用により
便宜的に達成される。
【0022】 図2(a)〜(b)は、数種類の線形及び非線形光学励起プロセスの一般的な
改変ヤブロンスキーエネルギーレベル図を示す。 図2(a)は、薬剤と単一光子Pの相互作用により供給される一定のエネルギ
ーE1の吸収時に、薬剤が初期の量子力学的許容状態Si(一般的に基底状態であ
る)から最終の量子力学的許容状態Sfに励起されるときに生じる単一光子励起
(20)を示している。各許容状態はさらに、特別の電子状態に重なったさまざ
まな振動状態などの、個別の半状態の集合に細分できる。このため、各許容状態
i及びSfは、薬剤の基本的な特性及びその局所環境を反映する許容状態の複雑
な帯を構成する。光力学的治療薬剤の場合は、SiからSfへの薬剤の促進が、例
えば、一重項酸素などの細胞毒性種の限局性産生を含む、さまざまな治療的反応
を開始することができる。一例として、薬剤ヘマトポルフィリン−IX(Hp−
IX)は、400nmで単一光子からのエネルギー吸収時に一重項酸素を発生す
る。単一光子励起(20)において、励起の確率は入射する光照射の放射照度に
対して線形であり、そこで単一光子励起(20)は線形励起プロセスと呼ばれる
【0023】 図2(b)において、同時2光子励起(22)は、薬剤と2つの光子P1及び
2の同時相互作用により供給される一定のエネルギーE1の吸収時に、光活性薬
剤が初期の量子力学的許容状態Siから最終の量子力学的許容状態Sfに励起され
るときに生じる。以下で考察する全実施例について、励起に含まれる2つ(又は
それ以上の)光子のエネルギー及び波長は同一であることが仮定されるため、こ
のような励起プロセスを縮退と呼ぶ。薬剤が最終の量子力学的許容状態Sfに促
進されると、その光化学的特性は単一光子励起(20)によるものと同一となる
。2つの光子の同時相互作用は多くの場合、約10fsかそれ以下の寿命を有す
る一時的な仮の状態V1により仲介されると記載されている。この仮の状態の寿
命中に両方の光子が薬剤と相互作用しない場合は、励起が起きることはなく、薬
剤は戻って状態Siを許容する。仮の状態V1のきわめて短い寿命により、瞬間放
射照度、すなわち入射する励起光のWm-2は、仮のエネルギー状態V1がSiに戻
って弛緩をする前に第2の光子P2の吸収において有意な効率を得るのに十分に
高くなくてはいけない。このため、きわめて高いピーク出力を有するパルス励起
源が一般にこのプロセスを効率的に刺激するために使用され;このような源は、
仮の状態V1の短い寿命中に励起薬剤に多数の光子を供給できるので、多くの場
合に好ましい。
【0024】 同時2光子励起(22)の実施例は、800nmでの2つの光子の同時吸収に
よるHp−IXからの一重項酸素発生の促進である。この実施例において、励起
の確率は第1の光子P1、及び第2の光子P2の瞬間放射照度の発生に関係がある
。これは光化学的反応の形式で概念化することができ、 薬剤基底状態+2hν800nm→薬剤励起状態 (1) は基底状態における薬剤が、hv800nmの2つの光子を、それぞれ800nmで
同時吸収した後、励起状態に促進されることを示す。反応速度Rは、R=κ[薬
基底状態][hν800nm2で与えられ、式中、κはその薬剤に固有の反応速度
定数であり、[薬剤基底状態]及び[hν800nm]は、それぞれ基底状態及び励
起光子における薬剤分子の濃度を表している。したがって、瞬間放射照度に対す
る二次依存性により、同時2光子励起(22)を非線形励起プロセスと呼ぶ。
【0025】 図2(c)において、同時3光子励起(24)は、薬剤と3つの光子P1’、
2’及びP3’の同時相互作用により供給される一定のエネルギーE1の吸収時
に、光活性薬剤が初期の量子力学的許容状態Siから最終の量子力学的許容状態
fに励起されるときに生じる。3つの光子の同時相互作用は、約10fsかそ
れ以下の寿命を有する一時的な仮の状態V1’及びV2’により仲介されると記載
されている。この仮の状態の寿命中に3つの光子がすべて薬剤と相互作用しない
場合は、励起が起きることはなく、薬剤は状態Siに戻る。仮の状態V1’及びV 2 ’のきわめて短い寿命により、入射する励起光の瞬間放射照度は、薬剤がSi
戻って弛緩する前に第2の光子P2’及び第3の光子P3’の吸収において有意な
効率を得るのに十分に高くなくてはいけない。同時3光子励起(24)の実施例
は、1200nmでの3つの光子の同時吸収によるHp−IXからの一重項酸素
発生の促進である。この実施例において、励起の確率は第1の光子P1’、第2
の光子P2’及び第3の光子P3’の瞬間放射照度の発生に関係がある。これは光
化学的反応の形式で概念化することができ、 薬剤基底状態+3hν1200nm→薬剤励起状態 (2) は基底状態における薬剤が、hv1200nmの3つの光子を、それぞれ1200nm
で同時吸収した後、励起状態に促進されることを示す。反応速度Rは、R=κ[
薬剤基底状態][hν1200nm3で与えられ、式中、[hν1200nm]は、励起光
子の濃度を表している。したがって、瞬間放射照度に対する3次依存性により、
同時3光子励起(24)も非線形励起プロセスと呼ぶ。
【0026】 図2(d)において、同時多光子励起(26)は、薬剤と2つ又はそれ以上の
光子との同時相互作用により供給される一定のエネルギーE1の吸収時に、光活
性薬剤が初期の量子力学的許容状態Siから最終の量子力学的許容状態Sfに励起
されるときに生じる。薬剤が最終の量子力学的許容状態Sfに促進されると、そ
の光化学的特性は単一光子励起(20)によるものと同一となる。2つ又はそれ
以上の光子の同時相互作用は、それぞれ約10fsかそれ以下の寿命を有する対
応する複数の1つ又はそれ以上の仮の状態により仲介されると記載されている。
この仮の状態の寿命中に光子がすべて薬剤と相互作用しない場合は、励起が起き
ることはなく、薬剤は状態Siに戻る。1つ又はそれ以上の仮の状態のきわめて
短い寿命により、入射する励起光の瞬間放射照度は、薬剤がSiに戻って弛緩す
る前に全光子の吸収において有意な効率を得るのに十分に高くなくてはいけない
。同時多光子励起(26)の実施例は、(400*n)nmの波長(λ)でのn
個の光子の同時吸収によるHp−IXからの一重項酸素発生の促進である(例え
ば、nが2以上で、n=2の場合は、λ=800nm;n=3の場合は、λ=1
200nm;等々)。この実施例において、励起の確率はn個の光子の瞬間放射
照度の発生に関係がある。これは光化学的反応の形式で概念化することができ、 薬剤基底状態+nhν→薬剤励起状態 (3) は基底状態における薬剤が、n個の光子の同時吸収後に励起状態に促進されるこ
とを示す。反応速度Rは、R=κ[薬剤基底状態][hν]nで与えられ、式中
、[hν]は、n個の励起光子の濃度を表している。したがって、瞬間放射照度
に対する非線形依存性により、同時多光子光活性化(26)も非線形励起プロセ
スと呼ぶ。
【0027】 上記よりもさらに一般的な多光子励起の定義は、2つ又はそれ以上の光子がほ
ぼ同時に1つ又はそれ以上の薬剤と相互作用することのみ必要とし、それが例え
ば約10psかそれ以下の存続時間を有する単一の超短レーザーパルスの間に発
生するどんな相互作用であってもよい。このような制約の下、1つ又はそれ以上
の薬剤と光との相互作用は、薬剤の電子励起又は光イオン化などの、分子内プロ
セスに直接光活性化効果を実質的に制限する(及び局在化する)迅速方式で起こ
らなければならない。上記励起中には、重要な時間の経過も実質的な分子再組織
も運動も起こらず、通常観察可能な基準枠で、1つ又はそれ以上の薬剤において
達成されるすべての転移が、ほぼ単一の協奏ステップとして起こる。治療薬剤の
多光子励起の特性及び結果として得られる多光子光活性化の特性に関する次の説
明では、このさらに一般的な定義を用いることになる。
【0028】 図2と関連して示されている光化学的プロセス及びエネルギー図の特殊な実施
例のほかに、分子システムの特性、その環境、及びそれらの時間的・空間的相関
とともに、エネルギーの吸収及び放出形態の特定のエネルギーを含む多数の要因
によって、その他多くの起こりうる転移及びエネルギーレベル状態が考えられる
【0029】 (多光子光活性化における光子エネルギー及び瞬間放射照度の役割) 前述の実施例について、特定量のエネルギーE1の吸収後に薬剤が最終の量子
力学的許容状態Sfに促進されると、その光化学的特性は、そのような促進に使
用された手段に関係なく同一となる。これらの特性は、励起薬剤及びその局所環
境の固有の特性により決定される。達成された特定の最終のエネルギー状態Sf
は、分子に与えられる総エネルギーE1の大きさにより決定される。このため、
fに達した時点で薬剤の光化学的又は光物理的特性を最終的に決定するのは、
1の大きさである。
【0030】 例えば、図3(a)は、3.1eVと同等の総吸収光学エネルギー(E1)に
よる同時2光子励起(30)を受けた、例えばHp−IXなどの薬剤を示す(E 1 は、E1がそれぞれ800nmの波長と1.55eVのエネルギーを有する2つ
の光子Pnの結合エネルギーを示す時に、E1=2hνという関係式に従って計算
される)。薬剤は刺激され、反応R+2hν→R*(式中、Rは非励起、又は基
底状態の薬剤、及びR*は反応性励起薬剤を示す)に従って、その励起状態から
一重項酸素の光力学的産生を受ける。
【0031】 図3(b)は、7.8eVと同等の総吸収光学エネルギー(E1’)による同
時5光子励起(32)を受けた同じ薬剤を示す。E1’は、E1’がそれぞれ80
0nmの波長を有する5つの光子Pn’の結合エネルギーを示す時に、E1’=5
hνという関係式に従って計算される。薬剤は、反応R+5hν→R++e−(
式中、R+は薬剤のイオン形態であり、e-は光イオン化時に薬剤から除去された
電子を示す)に従って光イオン化される。 したがって、図3(a)〜(b)は、特定の光子エネルギー及び瞬間放射照度
の適切な選択により、所定薬剤の励起プロセスの光化学的及び光物理的成果が如
何に制御され、所望の成果(光力学的プロセス又は光イオン化)を達成できるか
を示す。
【0032】 さらに一般的に、薬剤に与えられる瞬間放射照度を変更することにより(所定
の特定光子エネルギーで)、励起状態のエネルギーは、nが吸収される光子の数
である時、関係式E=nhνに従って変化させることができる。例えば、レーザ
ー励起源のパルスエネルギーを増大することにより、このエネルギーが増大する
と、薬剤と光との相互作用の治療的成果は、図4に図式化して示したように、ほ
ぼ光化学的プロセスからほぼ光物理的プロセスにシフトすることができる。例え
ば、200fsパルスで出力される10nJ以下の低い相対パルスエネルギーで
は、2または3光子プロセスを介した光化学的励起(40)の方が一般に優勢と
なる。しかし、例えば、200fsパルスで出力される100μJを超える高い
相対パルスエネルギーでは、4又はそれ以上の光子プロセスを介した光物理的励
起(42)の方が一般に優勢となる。中間の相対パルスエネルギーでは、組合せ
の成果(44)が可能である(熱変性又は高限局性凝固など、部分的に光化学的
で、部分的に光物理的な)。このため、本発明の多光子法の使用により、治療的
プロセスを光力学的方式から切除方式に及ぶ間でシフト可能となる。
【0033】 (多光子光活性化における非線形関係) 薬剤が励起状態に促進されると、光子の発光性放出のほか、異性化、酸化若し
くは重合、又は光イオン化などの光化学的変換を含む、さまざまな物理的又は化
学的プロセスが起こりうる。薬剤の最終的な末路を決定するのは、励起状態及び
その環境の基本的特性である。超短パルス励起法を使用すると、薬剤を励起状態
に促進する原因となるメカニズムはこの末路に対して重要な影響はないが、それ
は励起プロセス自体が励起薬剤又はその環境のその後の特性に直接影響すること
がないためである。
【0034】 したがって、所定の薬剤の多光子励起の実行可能性は、励起出力(瞬間放射照
度と直接相関する)の関数としてこれらの反応の1つ又はそれ以上の試験により
容易に評価することができる。いくつかの励起出力での薬剤反応を測定すること
により、log10(出力)に対するlog10(反応)をプロットすることで、有
効な多光子励起を確認することができる。これにより、nの勾配を持つ直線が得
られることになるが、nは特定の試験条件下で薬剤により吸収される励起光子の
数である。これは、300〜400nmの光による照射時の強力な単一光子励起
(500nmで蛍光を放出)を示す蛍光プローブ薬剤Indo−1で容易に明ら
かにされる。この薬剤を810nmでの集束光を用いて照射し、図5に示したよ
うに、log10(蛍光信号)をlog10(平均出力)に対してプロットすると、
2光子励起反応(50)が認められる(傾斜m=1.96、相関係数R2=0.
99994)。例えば、集束光は、モードロック型チタン:サファイアレーザー
により生じる約200fsパルスの76MHz反復率パルス列からなるビームで
ある。同様の試験を910nmで実施すると、Indo−1は、レーザー出力(
m=2.97、R2=0.991)の関数として3光子励起反応(52)を示す
。比較すると、これらの波長で2光子反応のみを示す蛍光薬剤クマリン−540
Aは、810nm及び910nmでそれぞれ、2.01及び2.00の勾配を示
す。これらの波長では、レーザーが振動していない場合、多光子信号は完全に消
失し、多光子励起が観察反応の原因であることが確認される(非パルスレーザー
ビームは、これらの波長でこれらの薬剤による多光子プロセスを支持するために
十分な瞬間放射照度を示すことがないためである)。
【0035】 また、多光子プロセスの励起断面は、所定の転移に必要な光子の数が増大する
と、一般に減少する。例えば、所定の薬剤における特定の転移の3光子断面は、
同じ転移のそれぞれの2光子断面よりも一般に小さい。これは少なくともある程
度は、特定の多光子プロセスに必要なすべての光子がほぼ同時に薬剤と相互作用
する確率が減少することによる。これは、所定の平均励起出力でのIndo−1
(図5)に対する、2光子励起反応(50)及び3光子励起反応(52)の大き
さを比較すると明らかである。しかし、3光子プロセスの勾配は2光子プロセス
の勾配よりも急であるため、相対断面のこの差は、例えば、所定の平均出力のビ
ームのパルス幅を減少させたり、パルスエネルギーを増大させる(例えば、再生
増幅チタン:サファイアレーザー又はチャープパルス増幅Nd:YAGレーザー
などの増幅光源を用いることにより)ことによりほぼ改善することができる。後
者の方法は、図4に示したように、光物理的プロセスと光化学的プロセスの相対
比における変化をもたらしうるが、一定の状況下では望ましくないことがある。
事実、これはきわめて高いパルスエネルギーでは光イオン化と切除の発生の原因
であり、比較的多数の光子を必要とし、したがって例えばパルスエネルギーが例
外的に高いなどの、瞬間放射照度が例外的に高い場合にのみ相当の程度に観察さ
れる。同様に、多光子励起産出を増大させる前者の方法は、パルス幅が大幅に減
少した場合は失敗することがあるが、これは結果として得られる励起パルスの光
学帯域がきわめて長くなり、薬剤に反応する波長での強度が実質的に低下するか
らである。例えば、パルス幅が10fs以下に減少した場合は、光学帯域は10
0nmを超え、特定の転移を効果的に刺激する波長の範囲よりも広すぎる範囲に
わたりビームのエネルギーを広げる。
【0036】 (多光子光活性化の空間的特性) 多光子光活性化は瞬間放射照度に対して非線形であるため、このようなプロセ
スは、線形励起プロセスに比して空間的励起特性において重要かつ劇的な違いを
示す。例えば、図6に示したように、レーザービームを材料内に集束した場合は
、サンプルを通過した距離の関数として変化し、古典的なガウスの光学理論によ
り予測される焦点の中心で最大レベルに達するビーム強度プロフィール(60)
が生じる。単一光子プロセスでは、ビーム強度(すなわち瞬間放射照度)と励起
効率との間の線形関係により、ビーム強度プロフィール(60)に従う単一光子
励起効率プロフィール(62)がもたらされる。これとは対照的に、多光子プロ
セスでは、ビーム強度(すなわち瞬間放射照度)と励起効率(2または3光子プ
ロセスではそれぞれ、I2又はI3に比例し、Iはサンプル中のすべての位置での
瞬間放射照度を示す)の間の非線形関係により、ビーム強度プロフィール(60
)よりも大幅に急勾配な励起効率プロフィール(64)をもたらす。したがって
、この励起の空間的局在を用いて、多光子励起を使用しているときに励起の範囲
を小さな焦点ゾーンにほぼ制限することができる。これとは対照的に、線形励起
を使用していると、励起はほぼ光学通路全体に沿って生じ、励起の空間的局在が
不明確となる。このような空間的局在は、眼などの透明媒体、及び皮膚組織など
の光学的に高密度な媒体の両方で観察できる。このため、空間的局在多光子励起
を用れば、図7(a)及び図7(b)の実施例にそれぞれ示されているように、
組織の表面(70)又は組織の表面下(72)に存在する薬剤を局所的に活性化
できる。
【0037】 光学的に高密度な媒体における局部遠隔光活性化反応の刺激は、図8(a)及
び図8(b)に示されている。図8(a)は、染料分子クマリン−480が全体
に一様に分布したアガロースゼラチン(80)の固体ブロックの写真を示す。図
8(b)は、図8(a)の写真の図面である。アガロースゼラチン(80)は、
可視光を強く散乱させるため、光学的に高密度な媒体を構成する。クマリン−4
80は、350〜450nmで単一光子法を介して励起されている場合、又は7
00〜900nmで2光子法を介して励起されている場合に青色蛍光を放出する
【0038】 この実施例においては、光のビーム(82)は、ゼラチン内に約2cmの焦点
(84)を形成するように、一側面からアガロースゼラチン(80)に集束した
。特に、可視光(400nmの)又はNIR光(モードロック型チタン:サファ
イアレーザーからの730nmの)のビーム(82)のいずれかがビーム拡大望
遠鏡を用いて拡大され、直径約50mmの平行ビームを発生する。レーザーは、
76MHzパルス反復周波数で730nm光の200fsパルスを超える連続パ
ルス列を発生した。次に、拡大ビームは、焦点距離(f.l.)250mm、口
径50mmの両凸一重項ガラスレンズを用いて、アガロースゼラチン(80)内
に集束した。次に、アガロースゼラチン(80)を、この250−mmf.l.
レンズの焦点(84)がアガロースゼラチン(80)内2cmの位置ににくるよ
うに位置決めした。次に、光ビーム(82)により規定された光学軸上からアガ
ロースゼラチン(80)を直接下に透視すると、図8(a)及び図8(b)は、
クマリン−480からの蛍光がNIRビーム(86)の焦点でのみ刺激されるが
、蛍光は可視ビーム(88)の飛行線全体に沿って放出されることを明らかに示
している。さらに、NIRビーム(90)の大部分は、ほんのわずか減衰しただ
けでアガロースゼラチン(80)の全体の厚さにわたって進み続け、可視ビーム
(92)はアガロースゼラチン(80)の厚さの3分の1を通過する前に完全に
消失した。
【0039】 図8(a)及び図8(b)で観察される特徴は、光学的に高密度な媒体(アガ
ロースゼラチン(80)又はヒト若しくは動物組織など)において、より短い波
長光に比して一般に改善されたNIR光の浸透とともに、多光子励起で達成可能
な特有の空間的局在を示している。多光子励起の効率と瞬間放射照度との間の非
線形関係により、焦点前後のビーム経路に沿った位置での薬剤刺激は、ほんのわ
ずかである。したがって、焦点ゾーン外部では二次的光活性化はほとんどあるい
は全く起こらない。また、NIR励起光はゼラチンによりわずかしか吸収又は散
乱されず、鮮鋭な焦点はブロック内の深い浸透深さで維持される(事実、ゼラチ
ンを光学軸に沿って移動することにより、ゼラチン全体の8cmの厚さを通過し
て鮮鋭な焦点の達成が可能であった)。図8(a)及び図8(b)で観察される
焦点の鮮鋭度は、ガウスの光学特性により測定され、焦点ゾーンの長さは、ビー
ム処理で用いられる光学パラメータを変更することにより容易に調節される。
【0040】 励起に使用される光子の数が増大すると、図6に示され、図8(a)及び図8
(b)で明らかにされた多光子励起の効率プロフィール(64)は、ますますタ
イトになる。したがって、3光子励起は、2光子励起等で可能なものよりもタイ
トな空間的局在を提供する。これは、多光子次数(特定の励起に使用される光子
の数)を最適化し、結果として得られる焦点ゾーンの空間的特性を目標物の特性
に適合させることができることを意味する。例えば、焦点ゾーンの厚さは、図7
(a)に示したように、組織の表面(70)における薬剤の選択的活性化を最適
化するために、3光子励起の使用によりタイトになると考えられる。
【0041】 この光活性化の量子力学的ベースの空間的局在のほかに、多光子光活性化を達
成する超短パルス励起の使用により、励起プロセス時の目標部位からの重要なエ
ネルギーの漏出が阻止され、このような励起の効果をさらに局在化する。例えば
、同時2光子又は3光子励起の場合は、超短パルス励起事象時に分子再組織又は
変換が起こらないため、すべての吸収励起エネルギーが、1つ又はそれ以上の光
活性薬剤における所望の転移を活性化するために利用可能となる。同様に、多光
子励起から生じる切除プロセスの場合は、目標部位からの励起エネルギーの熱漏
出が、超短励起パルスに相当する時間枠で生じることがない。したがって、この
ようなパルス時に存在するすべてのエネルギーは、例えば切除を誘発するための
光イオン化などの、所望の転移を活性化するために利用可能なままである。これ
は、目標ゾーンに存在する薬剤のきわめて迅速な、高度に局在化された、かつ効
率的な光イオン化に貢献し、エネルギー漏出が周囲の媒体に生じる前に前記活性
化薬剤を迅速に切除する結果となり、さらに光活性化プロセスの空間的局在化に
寄与する。
【0042】 (多光子光活性化のスペクトル反応特性): 空間的励起特性における劇的な違いのほかに、波長の関数として励起の効率を
決定する選択規則が、単一光子励起と多光子励起とで大きく異なる。しかし、到
達する特定の励起状態の特性は、特定の励起状態に薬剤を促進するために使用さ
れる励起メカニズムに関係なく同じである。
【0043】 図9は、エタノール中のHp−IXに対して従来の単一光子励起(94)及び
同時2光子励起(96)を用いたときの励起波長の関数としての吸収断面の相対
的比較を示した実施例である。また、同時2光子励起(96)データはまた、同
時2光子励起のエネルギーが2光子のそれぞれのエネルギーの2倍(又は波長の
2分の1)で単一光子の吸収と同等であることを反映する2つ(98)に分割さ
れている波長スケールを用いてプロットされている。単一光子励起(94)及び
2分の1の波長でプロットされた同時2光子励起の相対断面の比較は、波長の関
数として有意差を示す。特に、単一光子励起(94)で明らかな顕著なソレット
帯域(100)が、量子力学的に非許容であるため、同時2光子励起(96)又
は(98)にはない。
【0044】 このような違いは、励起で使用されるメカニズムに依存する特定の分子転移の
選択規則の違いに原因があり、多光子選択規則の差、及び特別な多光子特性によ
る特定の薬剤の設計の差に基づいて励起の効率又は選択を最適化するために有用
である。一般に、中心対称薬剤(反転中心を含む)については、偶数の光子を使
用する励起(例えば、2光子励起など)プロセスによって、その初期状態から同
様のパリティを有する励起電子状態まで薬剤を励起する必要がある。これは奇数
の光子を使用する励起(単一光子励起など)プロセスの選択規則と正反対であり
、図9で観察されるHp−IXに対するソレット帯域(100)反応における差
を説明する。これとは対照的に、対称がほとんどない、又は非対称の薬剤は一般
に、それらの励起で使用される光子の数とは無関係に同一の選択規則を有する。
このため、中心対称薬剤では、最適な励起波長を決定するために波長の関数とし
て注意深く多光子スペクトル反応を測定することが一般に有利となるが、非中心
対称薬剤では、単一光子励起スペクトルを一般に使用し、波長の関数として多光
子スペクトル反応を評価する。
【0045】 (多光子活性化における組織吸収特性及び散乱特性の有意性): 多光子励起の断面は単一光子励起で観察されるものよりも相当に小さいとみら
れるが、多光子法の使用は、長波長の光の低いマトリックス吸収及び光学散乱の
ため、多くの条件下で従来の励起法よりも好ましいと考えられる。例えば、図1
0はUV乃至IRスペクトル領域をカバーする組織の一般的な吸収及び散乱特性
を示す。いくつかの結論が図10から明らかである。
【0046】 まず、長波長光の使用は散乱の相対効果を減少させ、それにより光浸透深さを
改善する。したがって、従来の単一光子法を多光子法に代えることにより、組織
内に存在する薬剤への活性化光放出時の散乱の影響が減少する。例えば、通常、
350nm光を用いて活性化されるソラレンなどのUV活性PDT薬剤を活性化
するために700nmでの2光子励起又は1050nmでの3光子励起を使用す
ると、700nm及び1050nm光のそれぞれで散乱の減少が約100倍乃至
2000倍となる。
【0047】 次に、活性化光の浸透を減少させ、所望の治療部位の外側に二次的組織損傷を
もたらすことがある組織吸光度による干渉が、長波長光、例えば、約700nm
から1300nmまで拡大するいわゆる組織伝導窓におけるNIR光の使用によ
り一般に減少する。このため、従来の単一光子法を多光子法に代えることにより
、通常、組織内に存在する薬剤への活性化光の放出時の組織吸光度の影響が減少
することになる。例えば、通常、350nm光を用いて活性化されるソラレンな
どのUV活性PDT薬剤を活性化するために、700nmの2光子励起又は10
50nmの3光子励起の使用により、黒色組織では、700nm光及び1050
nm光のそれぞれに対して吸光度の減少が約70倍乃至2000倍となり、非黒
色組織では、700nm光及び1050nm光のそれぞれに対して吸光度が約2
60倍乃至3500倍となる。このため、高組織吸光度のスペクトル領域と重な
る単一光子励起波長により特徴づけられる薬剤の使用が、多光子法の使用により
深部組織の応用に利用可能となるが、これはこのような方法が組織吸収による干
渉なしに深部組織の位置に活性化光を到達させることが可能なためである。
【0048】 組織による散乱及び吸収の減少は、図7及び図8に示されているように、多光
子法により空間的局在励起を効果的に実現させるが、これはマトリックス干渉が
実質的に減少するためである。さらに、組織による散乱及び吸収の減少により、
多光子光活性化に追加的な安全性の利点がもたらされる。例えば、UV光がヒト
組織に衝突すると、大多数の光エネルギーは、表皮又は真皮など最も外側の層に
即座に吸収され、散乱する。吸収は、細胞核内の遺伝物質を構成するものなど、
この組織の細胞内の一定の分子の励起により起こりうる。これにより、細胞構成
要素による高エネルギー光のこの吸収は、不可逆性の遺伝的損傷及び癌の誘発を
含む、これらの細胞内のさまざまな二次的光化学的変化を開始させることがあり
うる。これとは対照的に、2光子法又は3光子法で使用されるNIR光は、組織
により明らかには吸収又は散乱されず、細胞に対する二次的損傷の可能性が実質
的に低くなる。
【0049】 (多光子光活性化のための励起波長の選択): 多光子光活性化の全体的な効率において組織特性が果たす役割に関する上記の
考察は、同じく重要な点を示している:多光子プロセスの次数(すなわち、励起
に使用される光子の数)を選択し、1つ又はそれ以上の所望の光活性薬剤の励起
波長及び組織の透過特性を同時に最適化することができる。特に、1つ又はそれ
以上の外因性光活性薬剤を活性化するためには、マトリックス(組織など)の透
過領域における光を用いた励起を可能にし、所望の外因性薬剤の光活性化におい
て効率的である特定の多光子プロセスを選択することが一般に望ましくなる。同
様に、1つ又はそれ以上の内因性光活性薬剤を活性化するためには、マトリック
ス(組織など)の透過領域における光を用いた励起を可能にし、所望の内因性薬
剤の光活性化において効率的である特定の多光子プロセスを選択することが一般
に望ましくなる。1つ又はそれ以上の内因性薬剤が治療される組織の主な構成要
素を構成する場合は、多光子プロセスの適切な選択により、表面下位置であって
もそのような薬剤の空間的局在光活性化が一般に可能となる(活性化光の直接、
線形吸収による干渉を最小限にできるためである)。これは図8(a)及び図8
(b)に明らかに示されており、薬剤(86)の選択的、効率的な活性化は、薬
剤が均一に塗布されている試料内の深くに示されている。これとは対照的に、従
来の活性化法では、空間的に局在されず、光経路に沿った薬剤による活性化光の
吸光度のためにそのような深さでは不十分な効率性しか示さない薬剤活性化(8
8)がもたらされる。
【0050】 このため、光活性化効率と組織透過特性を同時に最適化するための多光子プロ
セス次数選択の実施例が、非黒色組織におけるソラレンの活性化である。この実
施例においては、対応する3光子断面と比較して大きいソラレンの2光子断面に
より、350nmでの単一光子励起と比較して組織吸光度の減少が約260倍の
700nmでの2光子励起を用いた効率的なソラレンの光活性化が可能となる。
別の実施例として、黒色組織におけるソラレンの活性化がさらに図で示されてい
る。この実施例においては、メラニンによる700nmの光の大きい吸光度は、
長波長の使用がマトリックス干渉を回避するために好ましいことを示しており、
例えば1050nmでのソラレンの3光子活性化は、700nmの場合よりも1
050nmの光の組織吸光度が約15倍減少し、350nmの場合よりも105
0nmの光の組織吸光度が約3500倍減少するため最適となろう。
【0051】 一般に、多光子励起の最も望ましい波長は、この帯域での組織透過特性が好都
合であるため、500nmと4000nmの間の範囲であることに注意するべき
である。さらに、特定の多光子プロセスの次数を選択して、図4に示したように
、所望の光化学的/光物理的方式での操作を可能とする。例えば、PDTなど光
化学的プロセスが所望の治療的成果である場合は、きわめて高いパルスエネルギ
ーを必要とする高次のプロセスは、光物理的プロセスからの干渉の可能性のため
により望ましくない。
【0052】 (多光子光活性化のための励起源) 特定の多光子励起プロセスの断面は一般的に、その多光子プロセスと同じ活性
化状態をもたらす同等の単一光子励起プロセスの断面よりも何倍も小さい。これ
は、2つ又はそれ以上の光子がほぼ同時に薬剤と相互作用する確率が相対的に低
いことによる。しかし、モードロック型レーザー(チタン:サファイアレーザー
及びNd:YAGレーザーを含む)及び増幅型モードロック型レーザー(再生増
幅型チタン:サファイアレーザー及びチャープパルス増幅型Nd:YAGレーザ
ーを含む)など高い瞬間放射照度を供給できる光励起源の有用性は、入射瞬間放
射照度を増大し、多光子励起の実効効率を大幅に増大することにより、この低い
効率による影響をほぼ改善することができる。このようなレーザーは、適正平均
出力(1mW乃至10W)で高パルス反復率(1kHz乃至100MHz)の超
短パルス出力(10fs乃至10psのパルス幅を有する)を一般的に供給する
。このような出力特性は選択的、効率的な多光子光活性化を促進するが、これは
獲得可能な高瞬間放射照度が多光子プロセスを刺激することができると同時に、
短いパルス幅及び適正平均出力が周囲の媒体への望ましくないエネルギー漏出を
最小限に抑えるためである。例えば、連続波励起を用いると、特定薬剤の3光子
励起の効率は、単一光子励起で達成可能である効率よりも107又はそれ以上小
さな因数になるとみられる。しかし、同じ平均光出力が一列の超短パルスの形で
放出される場合は、瞬間及び平均照射照度の生成におけるシフトがこの比率を変
化させ、単一に近くなる。超短パルス励起の特殊な特性は、これを二次的損傷を
同時に増大させることなく大幅に改善できる。
【0053】 注意すべきは、相対的に低いエネルギーパルスを放出できる源(一般的なパル
スエネルギーが1〜10nJである、モードロック型チタン:サファイアレーザ
ーなど)は、集束照射条件下で2つ又はそれ以上の光子を用いた薬剤の光化学的
活性化(PDTなど)に最適に適合し、相対的に高いエネルギーパルスを放出で
きる源(一般的なパルスエネルギーが1〜10nJである、再生増幅型チタン:
サファイアレーザーなど)は、集束照射条件下で2つ又はそれ以上の光子を用い
た薬剤の光物理的活性化(切除など)に最適に適合することである。これらの同
じく高いパルスエネルギー源はまた、非集束照射条件下で2つ又はそれ以上の光
子を用いた薬剤の光化学的活性化(PDTなど)に最適に適合し、例えば組織の
大きな領域にわたって又は大容積の組織内で薬剤を活性化する。
【0054】 (同時2光子励起の治療的応用) 上記の考察は、多光子励起の特別な非線形特性と結合した、組織及び細胞構成
要素によるUV及び可視光とNIR及びIR光の吸収間の基本的な差が、疾患の
治療、特にPDT、選択的組織変性、及びレーザー手術の分野における改善に直
接的な適用性を有することを示している。
【0055】 PDTは、光エネルギーを使用して疾患組織に投与された薬剤を光活性化する
。これらの薬剤の投与経路は一般的に、疾患組織への直接の局部塗布又は全身投
与による。理想的な条件下では、PDT薬剤は、疾患組織内に分割されるかある
いは逆に、集中する。PDT薬剤の投与後、光照射を用いて、治療的効果をもた
らすPDT薬剤の光化学的変化を励起する。これらの光化学的変化は、一般に細
胞増殖の限局性停止又は病変における細胞壊死をもたらす。本発明において開示
された多光子光活性化法は、PDT薬剤を活性化するために用いると、深部に位
置する治療ゾーンへの活性化光の浸透の改善、治療局在化の改善、及び従来の光
活性化法と比較して低い二次的損傷の可能性を可能にする。このような方法は、
新しい種類の光活性化PDT薬剤だけでなく現存するPDT薬剤にも適合する。
特に、本発明によれば、従来法を用いて可能であるものと比較して、二次的組織
損傷の可能性が大幅に減少したすべてのPDT薬剤の光活性化における局在性を
改善できる。 光浸透深さの制御が重要でない場合は、非集束超短パルス光を用いて、比較的
大きな照射領域又は容積に存在するPDT薬剤の多光子光活性化を刺激する。こ
の場合は、PDT薬剤光活性化の範囲は、光ビームに対する露光位置、放射照度
及び時間を変更することにより制御される。
【0056】 浸透深さの正確な制御又は治療的処置の容積範囲がより重要である場合は、集
束超短パルス光を用いて、多光子光活性化プロセスを刺激する。この場合は、ビ
ーム放射照度、露光時間、及び集束度を制御することにより、PDT薬剤光活性
化の範囲を調節する。さらに、集束多光子励起で可能である光活性化の固有の局
在化を伴うNIR照射により達成可能な高い浸透深さは、その上又は下にある健
康組織を損傷することなく表面下病変のPDT薬剤を光活性化するための特有な
手段を提供する。
【0057】 組織変性は、内因性又は外因性薬剤の迅速加熱から生じる限局性の結合光化学
的及び光物理的プロセスである。このような加熱は、入射する光エネルギーを、
1つ又はそれ以上の内因性又は外因性薬剤(例えば血液など)によってこのよう
な光エネルギーが吸収される時に、熱エネルギーに変換することから生じる。変
性は、このような薬剤又は周囲の組織の容積の変化(角膜幹細胞の収縮又は膨張
)、物理的特性(エナメル質の硬度など)の変化、又は重合作用(血液の凝固な
ど)の開始をもたらすことがある。本発明で開示された多光子光活性化法は、反
応性薬剤の活性化に用いると、そのような反応が超短パルス励起を用いて刺激さ
れた時に周囲組織への活性化エネルギーの喪失が減少することにより、上記のよ
うな変性の部位にわたる制御の改善を可能にする。特に、本発明によれば、従来
法を用いて可能であるものと比較して、二次的組織損傷の可能性が大幅に減少し
た反応性薬剤の光活性化の局在化を改善できる。
【0058】 光浸透深さの制御が重要でない場合は、非集束超短パルス光を用いて、比較的
大きな照射領域に存在する薬剤の光活性化を刺激する。この場合は、薬剤光活性
化の範囲は、光ビームに対する露光位置、放射照度及び時間を変更することによ
り制御される。 浸透深さの正確な制御又は治療的処置の容積範囲がより重要である場合は、集
束超短パルス光を用いて、光活性化プロセスを刺激する。この場合は、ビーム放
射照度、露光時間、及び集束度を制御することにより、薬剤光活性化の範囲を調
節する。さらに、光活性化の固有の局在化を伴うNIR照射により達成可能な高
い浸透深さは、その上又は下にある健康組織を損傷することなく表面下ゾーンの
反応性薬剤を光活性化するための特有な手段を提供する。この特徴は、角膜幹細
胞容積の限局的変化により達成される屈折性視力矯正など、さまざまな非侵襲的
治療プロセスに有用である。
【0059】 切除は内因性又は外因性薬剤の光イオン化により開始される限局性の結合光化
学的及び光物理的プロセスである。小さな焦点容積に含まれる多数の薬剤分子を
ほぼ同時に光イオン化すると、上記薬剤の激しい限局性膨張が生じ、焦点容積か
ら材料の圧出が起こる。このような切除性圧出は、皮膚の再表面化及び表層角膜
形成を含むさまざまな外科的処置に有用である。本発明で開示される多光子光活
性化法は、反応性薬剤を活性化するために使用すると、上記のような切除部位の
制御を強化できるとともに上記のような薬剤の励起効率を改善できる。後者の特
徴は、上記のような反応が超短パルス励起を用いて刺激される時の周囲組織への
活性化エネルギーの喪失の減少の結果である。特に、本発明によれば、従来法を
用いて可能であるものと比較して、二次的組織損傷の可能性が大幅に減少した反
応性薬剤の光活性化の局在化を改善できる。
【0060】 従来の方法(モローらによる、米国特許第5,656,186号により開示さ
れた非共鳴レーザー誘発分解など)を用いて達成できる切除効率及び選択性の特
別な改善は、本発明により開示される波長選択法の使用により可能となる。さら
に詳しくは、最適な薬剤スペクトルの特徴(例えば、ヘモグロビンの励起では5
32nm、水の励起では2000nm又は3000nm、及びメラニンの励起で
は500〜800nmなど)に基づいて励起効率を最大限にするような励起波長
の選択により、切除効率が、他の超短パルス光活性化法に基づく従来の方法で可
能であるよりも約10,000倍ほど増大するとみられる。さらに、このような
励起波長の明確な選択が、特定の組織構成要素の選択的活性化を可能にする。例
えば、図10を参考にすると、700nmでの多光子励起は、これらの組織の吸
光度特性の差により、血液と比較してメラニンの光活性化では、約100倍の選
択性の強化を与えることを示している。同様の強化は、例えば入れ墨染料などさ
まざまな内因性又は外因性薬剤の選択的光活性化により可能であり、それにより
入れ墨除去などの治療的プロセスの性能を改善する追加の手段が提供される。
【0061】 さらに、光活性化の固有の局在化を伴うNIR照射により達成可能な高い浸透
深さは、その上又は下にある健康組織を損傷することなく表面下ゾーンの反応性
薬剤を光活性化するための特別な手段を提供する。この特徴は、例えば角膜の内
側表面から角膜組織を限局的に切除することにより達成される屈折性視力矯正な
ど、さまざまな非侵襲的治療プロセスに有用である。
【0062】 (本発明の好適な実施例) したがって、本発明の好ましい実施例は、1つ又はそれ以上の内因性又は外因
性光活性薬剤の多光子光活性化を誘発するモードロック型チタン−サファイアレ
ーザー又は再生増幅型チタン:サファイアレーザーなどの高瞬間放射照度の超短
パルス源の出力を使用することである。この好ましい実施例は図11に示されて
いる。源(120)は、一連の急速な光照射、一般的にNIR光照射の超短パル
スからなる光ビーム(122)を発生させる。この光ビーム(122)は、反射
又は屈折レンズ(124)などの標準の光学手段を用いて集束される。次に、こ
うして得られた集束光ビーム(126)が、癌性腫瘍などの治療すべき組織(1
28)に方向づけられる。光活性薬剤の多光子光活性化は、集束光ビーム(12
6)の焦点ゾーン(130)にほぼ制限されるが、これは上記焦点にのみ存在す
る高瞬間放射照度による。さらに、薬剤が周囲の健康組織(132)又は皮膚(
134)に存在するかどうかに関係なく、小さな二次的光活性化又は光損傷が焦
点ゾーン(130)の外側に生じる。これは、焦点ゾーン(130)へ重要な励
起を制限する、瞬間放射照度と多光子励起との間の非線形関係によるものである
。したがって、薬剤が焦点ゾーン(130)の外側に存在する場合でも、瞬間放
射照度は重要な光活性化を生じさせるのに必要な数値を下回る。本発明の好まし
い実施例のこの態様は、ビームの面積的範囲とその放射進路に沿って光活性化ゾ
ーンの大きさを厳しく制限する実際的な手段が提供されていなかった従来のプロ
セスと顕著に対照的である。治療すべき組織(128)の容積全体にわたって焦
点ゾーン(130)の位置を走査することにより、治療すべき組織(128)全
体にわたる薬剤の完全な光活性化を達成することができる。この走査処置は、治
療すべき組織(128)の位置に対して焦点ゾーン(130)の位置を変更する
ことにより、又は焦点ゾーン(130)の定常位置に対して治療すべき組織(1
28)を移動させることにより行うことができる。焦点ゾーン(130)の空間
的特性は、集束前にビーム拡大器又は他の装置を用いて、光ビームを予め拡大す
ることにより改善しうる。 この多光子光活性化の実施例には、図12及び図13に示したように、局所部
位の治療用にいくつかの変種がある。例えば、図12に示した集束NIR光、又
は図13に示した非集束NIR光の非損傷性は、下または周囲の組織に対するリ
スクなしに局所位置での薬剤の光活性化を可能にする。
【0063】 図12に示したように、局所療法のための1つ又はそれ以上の薬剤の集束多光
子光活性化は、反射又は屈折レンズ(124)などの標準の光学手段を用いて治
療すべき組織(128)へ光ビーム(122)が集束されると達成される。この
ようにして、薬剤の光活性化は焦点ゾーン(130)でのみ起こる。周囲の健康
組織(132)及び皮膚(134)は、それらも薬剤を含む場合でもこのプロセ
スにおいて影響を受けないが、それは光活性化が焦点ゾーン(130)にほぼ制
限されるためである。前述の通り、走査処置を用いて、治療すべき組織(128
)の容積全体にわたる薬剤の光活性化を達成することができる。
【0064】 図13に示したように、局所療法のための1つ又はそれ以上の薬剤の非集束多
光子光活性化は、源(120)からの非集束又は拡大光ビーム(136)を治療
すべき組織(128)上に方向づけると達成される。この光ビーム(136)は
、治療すべき組織(128)のものと比べ小さい、同じ、又は大きい断面積を有
してよい。例えば、PDT薬剤(局所ソラレンクリームなど)の制御された塗布
又は内因性薬剤(メラニンなど)の自然な集中により、薬剤が治療すべき組織(
128)の容積にほぼ限定された場合は、治療処置は治療すべき組織(128)
の容積にほぼ制限される。光ビーム(136)は薬剤の著しい集中を含まない組
織に対して非損傷性であるため、周囲の健康組織(132)及び皮膚(134)
に対する損傷が回避される。この実施例は、治療すべき組織(128)の正確な
位置、大きさ及び形状が不明であるとき、又はその他、光ビーム(136)の位
置の正確な制御がこの治療方式の有効な実施のために重要でないため、光ビーム
(136)の適用位置を正確に制御することが望ましくないときに特に有用であ
る。非集束光を用いると、例えば増幅型レーザーなどのピーク出力が高い励起源
の使用が有利であるが、それはこのような源が大きな領域にわたって高瞬間放射
照度を提供するためである。
【0065】 多光子光活性化のこの好ましい実施例の最後の関連変種が図14に示されてお
り、ここでは源(120)からの非集束又は拡大光ビーム(136)が治療すべ
き組織(128)の表面下に方向づけられる。この光ビーム(136)は、治療
すべき組織(128)のものと比べ小さい、同じ、又は大きい断面積を有してよ
い。例えば、外因性薬剤の制御された塗布又は内因性薬剤の自然な集中により、
薬剤が治療すべき組織(128)の容積にほぼ限定された場合は、治療処置は治
療すべき組織(128)の容積にほぼ制限される。光ビーム(136)は薬剤の
著しい集中を含まない組織に対して非損傷性であるため、周囲の健康組織(13
2)及び皮膚(134)に対する損傷が回避される。この実施例は、治療すべき
組織(128)の正確な位置、大きさ及び形状が不明であるとき、又はその他、
光ビーム(136)の位置の正確な制御がこの治療方式の有効な実施のために重
要でないため、光ビーム(136)の適用位置を正確に制御することが望ましく
ないときに特に有用である。前述の非集束実施例におけるように、ピーク出力が
高い励起源の使用が有利でありうるが、それはこのような源が大きな領域にわた
って高瞬間放射照度を提供するためである。
【0066】 (標準PDT薬剤及び新規なPDT薬剤用の多光子光活性化法の意義) 標準PDT薬剤は、一般に癌病変などの薬剤及び組織の化学的及び物理的特性
の結合に基づく組織特異性を有する。例えば、 ・ さまざまなソラレン誘導体; ・ さまざまなポルフィリン及びヘマトポルフィリン誘導体; ・ さまざまなクロリン誘導体; ・ さまざまなフタロシアニン誘導体; ・ さまざまなローダミン誘導体; ・ さまざまなクマリン誘導体; ・ さまざまなベンゾフェノキサジン誘導体; ・ クロールプロマジン及びその誘導体; ・ さまざまなクロロフィル及びバクテリオクロロフィル誘導体; ・ フェオホルビドa(Pheo a);メロシアニン540(MC 540)
;ビタミンD;5−アミノ−レブリン酸(ALA);ホトサン;フェオホルビド
−a(Ph−a);(フェノキサジン色素を含む)フェノキサジンナイル青誘導
体; ・ さまざまな電荷移動及び放射伝達薬剤;及び ・ 多くの他の光活性又は光感作薬剤、 は一般に組織内にPDT薬剤の分割をもたらす組織の物理的又は化学的特性にお
ける差により、特定組織内において、適用箇所若しくはその近く又は半選択的な
いずれかに蓄積されることになる。
【0067】 これらの薬剤は通常、結合形成又は開裂、付加体形成、架橋結合、遊離基生成
、一重項酸素生成、毒性物質の生成、及びエネルギー移動を含むがこれらに限定
されない1つ又はそれ以上の光化学的又は光物理的プロセスを促進する単一光子
又は連続2光子活性法を用いて活性化される。このような薬剤の活性化のために
使用される従来の方法は、活性化の範囲及び深さにおいて最小限の選択性しか提
供せず、通常、表面組織又は病変での使用に限定される。
【0068】 前述の考察、好ましい実施例及び支持データから、本出願に開示された本発明
が、これらのリストされた薬剤及び光感作剤並びに特にリストされていない他の
PDT薬剤及び光感作剤のすべてに適用可能であることは明らかである。特に、
これらの薬剤のすべては、単一光子励起に使用される波長よりも長い波長での多
光子励起に対してよく反応し、励起されると、単一光子励起から得られるものと
同等の性質を示す。さらに、本明細書中で開示された適用箇所の制御及び二次的
損傷の減少における改善は、従来の単一光子又は連続2光子活性化の代わりに多
光子励起を使用することで追加的特別な利点を提供する。これらの利点として、
浸透深さの増大、適用箇所の空間的制御の強化、及びPDT治療からの副作用の
減少が挙げられる。
【0069】 NIRの直接単一光子活性化に対して敏感である多くの新規PDT薬剤が開発
されている。これらの薬剤の意図は、副作用及び従来のUV又は可視光活性化に
関連した他の制限を減少させることである。このような薬剤の例として、PHO
TOFRINョ、一酸ベンゾポルフィリン誘導体、SnET2、Lutexのほ
か、500nmを超える波長で単一光子励起を用いて光活性化することができる
他の関連薬剤が挙げられる。本願中で開示された本発明は、これらの種類の薬剤
によっても特別な利点を有する。特に、500乃至4000nmスペクトル帯域
の波長で多光子光活性化を使用することにより、線形励起に必要な短い波長光に
比べて、この帯域での組織吸光度及び散乱の減少が大きいため、単一光子活性化
で可能であるよりもはるかに大きな浸透深さを提供することができる。また、本
明細書中で開示された多光子光活性化の空間的局在化の利点により、単一活性化
法に比べて、そのような治療の適用箇所に対する制御を改善することができる。
【0070】 前述の開示では主に、モードロック型チタン:サファイアレーザーにより生成
される超短パルスNIR光照射による薬剤の多光子励起を用いた例としての治療
的適用を中心に説明しているが、本発明がそのような励起に限定されないことや
、そのように狭く定義された光源に限定されないことも明らかであろう。事実、
本発明の態様は、光励起が線形又は他の非線形法を用いて達成されるときに適用
可能である。例えば、連続波及びパルス灯、ダイオード光源、半導体レーザー;
他の種類の気体、染料、及び固体状態の連続、パルス又はモードロック型レーザ
ーなどさまざまな他の光源が、単独又は組み合わせて適用可能であり、それらと
して、アルゴンイオンレーザー;クリプトンイオンレーザー;ヘリウムネオンレ
ーザー;ヘリウムカドミウムレーザー;ルビーレーザー;Nd:YAGレーザー
、Nd:YLFレーザー、Nd:YAPレーザー、Nd:YVO4レーザー、N
d:Glassレーザー、及びNd:CrGsGGレーザー;Cr:LiSFレ
ーザー;Er:YAGレーザー;F−中心レーザー;Ho:YAFレーザー及び
Ho:YLFレーザー;銅蒸気レーザー;窒素レーザー;光パラメトリック発振
器、増幅器及び発生器;再生増幅型レーザー;チャープパルス増幅型レーザー;
及び太陽光が挙げられる。
【0071】 さらに、前述の開示は植物及び動物組織における疾患の生体内治療のための治
療的適用を中心に説明したのに対して、本発明では反応性標的薬剤の選択的変更
が望ましい場合はいつでも追加の利用性を有することも明らかである。特に、生
物学的起源の材料又は生物学的起源の材料と混成された物質の製造又は精製の管
理における本発明の適用は、本発明の範囲内でカバーされる。一例として、HI
Vウイルスなど標的実体と光感作性薬剤の標的相互作用に基づく、血液又は血漿
などの体液の選択的処理又は精製が予想される。この方法はHIV感染の治療に
おける治療的役割及び輸血によるHIV伝播を予防するための保護的手段として
有効となる。第2の例として、不均一親培養菌が標的汚染薬剤の破壊により精製
される細胞培養などのきわめて純粋な生物学的産物の製造が予想される。第3の
例として、標的生物学的薬剤における1種又はそれ以上の特異的遺伝子配列の選
択的刺激に基づく遺伝的に誘発された生物学的産物の生産が予想される。
【0072】 各種生物学的適用のほかに、多数の非生物学的適用が可能であり、又は特に非
線形光励起の特別な特性が重要な場合に、高純度又は商品材料の製造を含む、本
発明の利用により劇的に改善されることもさらに明らかである。例えば、特殊な
キラル化学薬品、顔料、塗料、高分子材料及び他の工業又は商業薬剤が、本発明
の態様の適用により改善することができる。特に、独特な選択規則、選択性の利
点、及び活性化の限局により、多くの材料の製造又は処理ステップにおける利点
が提供される。事実、これらの例により、形質転換が腫瘍から壊死組織又は1つ
の分子薬剤から別の分子薬剤であるかにかかわらず、開始材料の製品への選択的
変換における特別な改善を得るために、非線形光励起の特別な特性が生物学的又
は非生物学的材料で使用される一般的な材料処理パラダイムを本発明が実際に構
成することが明らかとなる。
【0073】 また、前述の実施例は主にヒトに関する治療的課題に集中していたが、微生物
、植物及び動物試料への直接的適用性も自明である。例えば、家畜、種畜の疾患
の治療、又は別の獣医学的可能性における疾患の治療が考えられる。また、治療
のための方法又は微生物若しくは細胞培養における選択性を達成するための手段
としての使用が考えられる。例えば、本発明の部分は不均一細胞培養の精製及び
試験管内細胞機能の発現において有効となる。したがって、本発明は遺伝子工学
、家畜学、生殖的療法、クローン生物形成、その他の分野に適用できる。
【0074】 本発明の多光子光活性化を用いて、画像診断薬剤を活性化することもできると
考えられる。 上述した要素のそれぞれ、若しくは2つ又はそれ以上は、上述した種類と異な
る構成又は適用の別の種類における有用な適用が見いだされると理解される。
本発明は治療薬剤の光活性化の選択性を改善するための一般的な方法において実
施されるものとして図示され説明されているが、示された詳細に限定することは
意図されていない。これは図示した方法の形態や詳細及びその操作における種々
の省略、修正、変換及び変更が、本発明の精神からいかなる方法においても離れ
ることなく、当業者により行うことができるためである。 この説明は例示した目的のみに提供されており、以下の請求の範囲に規定され
ている本願の発明を限定することは意図されていない。 新規性があり特許証により保護されるに望ましい請求の範囲が添付の請求項に
記載されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)〜(e)は、一般的な線形及び非線形光学励起プロセスのエネルギーレベ
ル図の例を示す図である。
【図2】 (a)〜(d)は、数種類の線形及び非線形光学励起プロセスの代表的な改変ヤ
ブロンスキーエネルギーレベル図の例を示す図である。
【図3】 (a)〜(b)は、同時2光子励起及び同時5光子励起に対するヘマトポルフィ
リン−IX(Hp−IX)の改変ヤブロンスキーエネルギーレベル図の例を示す
図である。
【図4】 相対励起パルスエネルギーの機能としての薬剤の相対光化学的及び光物理的反応
の比較を示す図である。
【図5】 励起パワーの機能としてのIndo−1の2光子励起反応と3光子励起反応の比
較を示す図である。
【図6】 線形及び非線形励起プロセスの空間的励起特性の比較を示す図である。
【図7】 (a)〜(b)は、組織の表面又は組織の表面下に存在する薬剤を局所的に活性
化するのに使用される空間的に局在の多光子励起の例を示す図である。
【図8】 (a)〜(b)は、アガロースゼラチンのブロック全体にわたって一様に分布し
た染料分子クマリン−480の単一光子と2光子励起蛍光の比較を示す図である
【図9】 単一光子励起及び同時2光子励起を用いた場合のHp−IXの励起波長の機能と
しての吸収断面の比較を示す図である。
【図10】 紫外乃至赤外スペクトル域を覆うヒト組織の吸収スペクトルと散乱スペクトルの
例を示す図である。
【図11】 治療される組織中に存在する薬剤の選択的多光子光活性化の本発明の好ましい実
施例を示す図である。
【図12】 集束光を用いた局所療法の別の実施例を示す図である。
【図13】 非集束光を用いた局所療法の別の実施例を示す図である。
【図14】 非集束光を用いた表面下障害の治療の別の実施例を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,UZ,VN,YU,ZA,Z W (72)発明者 ジョーン スモリク アメリカ合衆国 テネシー州 37774 ロ ウドン タナシコート 119 Fターム(参考) 4C084 AA11 MA01 NA14 ZA891 ZB211 ZC711 ZC751 4C167 AA80 BB47 BB48 CC05 DD10 GG16

Claims (138)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 特定容積の植物又は動物組織の治療のための方法において、 (a)少なくとも1つの光活性薬剤で前記植物又は動物組織を治療するステッ
    プであって、前記植物又は動物組織の特定容積が少なくとも1つの前記光活性薬
    剤の少なくとも一部を保持するステップと、 (b)前記特定容積の植物又は動物組織を光で治療し、前記植物又は動物組織
    の特定容積に保持された前記少なくとも1つの光活性薬剤の少なくとも1つの多
    光子光活性化を促進するステップであって、前記少なくとも1つの励起光活性薬
    剤が前記植物又は動物組織の特定容積において光活性化されるステップとを含む
    方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の方法において、 前記多光子光活性化を促進する光が、レーザーから発生するレーザー光である
    ことを特徴とする方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の方法において、 前記レーザー光が、1つ又はそれ以上の一列の超短パルスを含むことを特徴と
    する方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の方法において、 前記1つ又はそれ以上のパルスのそれぞれが、最大約10psの存続時間を有
    することを特徴とする方法。
  5. 【請求項5】 請求項2に記載の方法において、 前記レーザーを操作し、約500nm乃至4000nmの波長で光を発生させ
    るステップを含むことを特徴とする方法。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の方法において、 前記光が約500nm乃至4000nmの波長であることを特徴とする方法。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の方法において、 前記多光子光活性化を促進する光が、光の集束ビームであることを特徴とする
    方法。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の方法において、 前記光の集束ビームが、集束レーザー光であることを特徴とする方法。
  9. 【請求項9】 請求項1に記載の方法において、 前記特定容積の植物又は動物組織を治療する前記ステップが、前記光ビームの
    焦点面が前記組織表面と前記組織表面をほぼ超えた点との間に位置する部位に生
    じるように、ある範囲の位置にわたって光ビームの焦点を位置決めするステップ
    を含み、これにより前記特定容積の植物又は動物組織を治療する前記ステップが
    拡大して前記組織内の深部に浸透できることを特徴とする方法。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の方法において、 前記光ビームが現存する間に、前記組織内の前記焦点面の半径方向位置を変化
    させ、前記組織表面と前記組織表面をほぼ越えた位置の間の多数の位置で前記少
    なくとも1つの光活性薬剤を光活性化するステップをさらに含むことを特徴とす
    る方法。
  11. 【請求項11】 請求項1に記載の方法において、 前記少なくとも1つの光活性薬剤が、組織表面をほぼ超えた制御可能な位置で
    前記特定容積内において光活性化されることを特徴とする方法。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の方法において、 前記治療するステップが、レーザー光を前記特定容積に方向づけるステップを
    含むことを特徴とする方法。
  13. 【請求項13】 請求項12に記載の方法において、 前記治療するステップが、パルスレーザー光を前記特定容積に方向づけるステ
    ップを含むことを特徴とする方法。
  14. 【請求項14】 請求項13に記載の方法において、 前記レーザーを振動させ、最大約10psのパルスを発生させることを特徴と
    する方法。
  15. 【請求項15】 請求項1に記載の方法において、 前記多光子光活性化が、光活性薬剤を発生させるように前記薬剤と少なくとも
    2つの光子とのほぼ同時相互作用を含むことを特徴とする方法。
  16. 【請求項16】 請求項1に記載の方法において、 前記薬剤が、ソラレン誘導体;ポルフィリン及びヘマトポルフィリン誘導体;
    クロリン誘導体;フタロシアニン誘導体;ローダミン誘導体;クマリン誘導体;
    ベンゾフェノキサジン誘導体;クロールプロマジン及びクロールプロマジン誘導
    体;クロロフィル及びバクテリオクロロフィル誘導体;フェオホルビドa(Ph
    eo a);メロシアニン540(MC 540);ビタミンD;5−アミノ−レ
    ブリン酸(ALA);ホトサン;フェオホルビド−a(Ph−a);各種フェノ
    キサジン色素を含むフェノキサジンナイル青色誘導体;PHOTOFRIN;一
    酸ベンゾポルフィリン誘導体;SnET2;及びLutexからなる群より選択
    されることを特徴とする方法。
  17. 【請求項17】 請求項1に記載の方法において、 前記多光子光活性化が、縮退プロセスであることを特徴とする方法。
  18. 【請求項18】 請求項1に記載の方法において、 前記治療方法が、疾患の光力学的治療用であることを特徴とする方法。
  19. 【請求項19】 請求項1に記載の方法において、 前記治療方法が、選択的組織変性用であることを特徴とする方法。
  20. 【請求項20】 請求項1に記載の方法において、 前記治療方法が、レーザー手術用であることを特徴とする方法。
  21. 【請求項21】 請求項1に記載の方法において、 前記治療方法が、入れ墨除去用であることを特徴とする方法。
  22. 【請求項22】 請求項1に記載の方法において、 前記多光子光活性化がn個の光子を含み、nは2又はそれ以上の光子であり、
    前記薬剤が光活性化される組織の容積を最適化するように変更できることを特徴
    とする方法。
  23. 【請求項23】 請求項1に記載の方法において、 前記光の位置、放射照度及び存続時間を変更することにより光活性化を制御す
    るステップをさらに含むことを特徴とする方法。
  24. 【請求項24】 請求項3に記載の方法において、 前記1つ又はそれ以上の超短パルスのパルスエネルギーを変更し、所望の治療
    プロセスを達成するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
  25. 【請求項25】 請求項24に記載の方法において、 前記所望の治療プロセスがほぼ光物理的プロセスとなるように、前記パルスエ
    ネルギーを設定することを特徴とする方法。
  26. 【請求項26】 請求項24に記載の方法において、 前記所望の治療プロセスがほぼ光化学的プロセスとなるように、前記パルスエ
    ネルギーを設定することを特徴とする方法。
  27. 【請求項27】 請求項1に記載の方法において、 前記多光子活性化が、前記少なくとも1つの光活性薬剤の高量子力学的許容状
    態への電子励起をもたらすことを特徴とする方法。
  28. 【請求項28】 請求項1に記載の方法において、 前記多光子活性化が、前記少なくとも1つの光活性薬剤の高量子力学的許容状
    態への振動励起をもたらすことを特徴とする方法。
  29. 【請求項29】 請求項1に記載の方法において、 前記多光子活性化が、前記少なくとも1つの光活性薬剤の光イオン化をもたら
    すことを特徴とする方法。
  30. 【請求項30】 請求項1に記載の方法において、 前記光活性薬剤の多光子励起を促進する前記光が、光の非集束ビームであるこ
    とを特徴とする方法。
  31. 【請求項31】 請求項30に記載の方法において、 前記特定容積の組織が、ほぼ前記組織表面に位置していることを特徴とする方
    法。
  32. 【請求項32】 請求項30に記載の方法において、 前記特定容積の組織が、ほぼ前記組織表面の下に位置していることを特徴とす
    る方法。
  33. 【請求項33】 請求項30に記載の方法において、 前記薬剤を、治療すべき前記特定容積の組織にほぼ制限するステップをさらに
    含むことを特徴とする方法。
  34. 【請求項34】 特定容積の材料内に少なくとも1つの光活性化薬剤を製造
    するための方法において、 前記方法が、前記特定容積の材料を光で処理し、前記特定容積の材料内に含ま
    れる少なくとも1つの光活性薬剤の多光子励起を促進するステップを含み、 前記少なくとも1つの光活性薬剤が特定容積の材料内で光活性化薬剤となる方
    法。
  35. 【請求項35】 請求項34に記載の方法において、 前記材料が、少なくとも1つの光活性薬剤で前処理され、前記特定容積の材料
    が、前記少なくとも1つの光活性薬剤の少なくとも1つの前記多光子励起を促進
    するのに十分な光で処理される時点で前記少なくとも1つの光活性薬剤の少なく
    とも一部を保持することを特徴とする方法。
  36. 【請求項36】 請求項34に記載の方法において、 前記材料が、植物組織及び動物組織からなる群より選択されることを特徴とす
    る方法。
  37. 【請求項37】 請求項36に記載の方法において、 前記少なくとも1つの光活性薬剤が、制御可能な位置で前記特定容積内で光活
    性化されることを特徴とする方法。
  38. 【請求項38】 請求項36に記載の方法において、 前記薬剤が外因性薬剤であることを特徴とする方法。
  39. 【請求項39】 請求項38に記載の方法において、 前記外因性薬剤が、ソラレン誘導体;ポルフィリン及びヘマトポルフィリン誘
    導体;クロリン誘導体;フタロシアニン誘導体;ローダミン誘導体;クマリン誘
    導体;ベンゾフェノキサジン誘導体;クロールプロマジン及びクロールプロマジ
    ン誘導体;クロロフィル及びバクテリオクロロフィル誘導体;フェオホルビドa
    (Pheo a);メロシアニン540(MC 540);ビタミンD;5−アミ
    ノ−レブリン酸(ALA);ホトサン;フェオホルビド−a(Ph−a);各種
    フェノキサジン色素を含むフェノキサジンナイル青色誘導体;PHOTOFRI
    N;一酸ベンゾポルフィリン誘導体;SnET2;及びLutexからなる群よ
    り選択されることを特徴とする方法。
  40. 【請求項40】 請求項36に記載の方法において、 前記薬剤が、内因性薬剤であることを特徴とする方法。
  41. 【請求項41】 請求項40に記載の方法において、 前記内因性薬剤が、タンパク質、天然発色団薬剤であって、メラニン、ヘモグ
    ロビン及びカロチンを含む薬剤、水、コラーゲン及び入れ墨染料からなる群より
    選択されることを特徴とする方法。
  42. 【請求項42】 請求項34に記載の方法において、 前記光活性薬剤の前記多光子励起を促進する光が、レーザーから発生するレー
    ザー光であることを特徴とするの方法。
  43. 【請求項43】 請求項42に記載の方法において、 前記レーザー光が、1つ又はそれ以上の一列の超短パルスからなることを特徴
    とする方法。
  44. 【請求項44】 請求項43に記載の方法において、 前記1つ又はそれ以上のパルスのそれぞれが、最大約10psの存続時間を有
    することを特徴とする方法。
  45. 【請求項45】 請求項42に記載の方法において、 前記レーザーを操作し、約500nm乃至4000nmの波長で光を発生させ
    るステップを含むことを特徴とする方法。
  46. 【請求項46】 請求項34に記載の方法において、 前記光が、約500nm乃至4000nmの波長であることを特徴とする方法
  47. 【請求項47】 請求項34に記載の方法において、 前記光活性薬剤の前記多光子励起を促進する光が、光の集束ビームであること
    を特徴とする方法。
  48. 【請求項48】 請求項47に記載の方法において、 前記光の集束ビームが、レーザー光であることを特徴とする方法。
  49. 【請求項49】 請求項34に記載の方法において、 特定容積の材料を処理する前記ステップが、前記光ビームの焦点面が前記材料
    表面と前記材料表面をほぼ超えた点との間に位置する部位に生じるように、ある
    範囲の位置にわたって光ビームの焦点を位置決めするステップを含み、前記特定
    容積の材料を処理する前記ステップが拡大して前記材料内の深部に浸透できるこ
    とを特徴とする方法。
  50. 【請求項50】 請求項49に記載の方法において、 前記少なくとも1つの光活性薬剤が、組織表面をほぼ超えた制御可能な位置で
    前記特定容積内において光活性化されることを特徴とする方法。
  51. 【請求項51】 請求項34に記載の方法において、 前記処理するステップが、レーザー光を前記特定容積に方向づけるステップを
    含むことを特徴とする方法。
  52. 【請求項52】 請求項34に記載の方法において、 前記処理するステップが、パルスレーザー光を前記特定容積に方向づけるステ
    ップを含むことを特徴とする方法。
  53. 【請求項53】 請求項52に記載の方法において、 前記レーザーを振動させ、最大約10psの存続時間を有するパルスを発生さ
    せることを特徴とする方法。
  54. 【請求項54】 請求項49に記載の方法において、 前記光ビームが現存する間に、前記材料内の前記焦点面の半径方向位置を変化
    させ、前記材料表面と前記材料表面をほぼ越えた位置の間の多数の位置で前記少
    なくとも1つの光活性薬剤を光活性化するステップをさらに含むことを特徴とす
    る方法。
  55. 【請求項55】 請求項34に記載の方法において、 前記多光子光活性化が、光活性薬剤を発生させるように前記薬剤と少なくとも
    2つの光子とのほぼ同時の相互作用を含むことを特徴とする方法。
  56. 【請求項56】 請求項34に記載の方法において、 前記多光子光活性化が、縮退プロセスであることを特徴とする方法。
  57. 【請求項57】 請求項36に記載の方法において、 前記処理の方法が、疾患の光力学的治療用であることを特徴とする方法。
  58. 【請求項58】 請求項36に記載の方法において、 前記処理の方法が、選択的組織変性用であることを特徴とする方法。
  59. 【請求項59】 請求項36に記載の方法において、 前記処理の方法が、レーザー手術用であることを特徴とする方法。
  60. 【請求項60】 請求項36に記載の方法において、 前記処理の方法が、入れ墨除去用であることを特徴とする方法。
  61. 【請求項61】 請求項34に記載の方法において、 前記多光子光活性化がn個の光子を含み、nは2又はそれ以上の光子であり、
    前記薬剤が光活性化される材料の容積を最適化するように変更できることを特徴
    とする方法。
  62. 【請求項62】 請求項34に記載の方法において、 前記光の位置、放射照度及び存続時間を変更することにより光活性化を制御す
    るステップをさらに含むことを特徴とする方法。
  63. 【請求項63】 請求項43に記載の方法において、 前記1つ又はそれ以上の超短パルスのパルスエネルギーを変更し、所望の治療
    プロセスを達成するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
  64. 【請求項64】 請求項63に記載の方法において、 前記所望の治療プロセスが、ほぼ光物理的プロセスとなるように、前記パルス
    エネルギーを設定することを特徴とする方法。
  65. 【請求項65】 請求項63に記載の方法において、 前記所望の治療プロセスが、ほぼ光化学的プロセスとなるように、前記パルス
    エネルギーを設定することを特徴とする方法。
  66. 【請求項66】 請求項34に記載の方法において、 前記多光子活性化が、前記少なくとも1つの光活性薬剤の高量子力学的許容状
    態への電子励起をもたらすことを特徴とする方法。
  67. 【請求項67】 請求項34に記載の方法において、 前記多光子活性化が、前記少なくとも1つの光活性薬剤の高量子力学的許容状
    態への振動励起をもたらすことを特徴とする方法。
  68. 【請求項68】 請求項34に記載の方法において、 前記多光子活性化が、前記少なくとも1つの光活性薬剤の光イオン化をもたら
    すことを特徴とする方法。
  69. 【請求項69】 請求項34に記載の方法において、 前記光活性薬剤の多光子励起を促進する前記光が、光の非集束ビームであるこ
    とを特徴とする方法。
  70. 【請求項70】 請求項69に記載の方法において、 前記特定容積の材料が、ほぼ前記材料表面に位置していることを特徴とする方
    法。
  71. 【請求項71】 請求項69に記載の方法において、 前記特定容積の組織が、ほぼ前記材料表面の下に位置していることを特徴とす
    る方法。
  72. 【請求項72】 請求項69に記載の方法において、 前記薬剤を処理すべき前記特定容積の材料組織にほぼ制限するステップをさら
    に含むことを特徴とする方法。
  73. 【請求項73】 特定容積の組織の医学的治療方法において、 前記組織が少なくとも1つの光活性薬剤を含み、 組織表面のほぼ下の領域を含む前記組織内の特定の対象領域に光を方向づける
    ステップであって、前記光が組織に浸透し、ほぼ焦点ゾーンのみで多光子励起を
    促進するように選択されるステップと; 前記焦点ゾーンの位置を前記組織内の深部の範囲にわたって制御するステップ
    と; 多光子励起を用いて、前記組織内の前記深部の範囲にわたって前記少なくとも
    1つの薬剤の少なくとも1つを光活性化し、ほぼ焦点ゾーンのみで少なくとも1
    つの光活性化薬剤を製造するステップとを含む方法。
  74. 【請求項74】 請求項73に記載の方法において、 前記方向づけステップは、レーザーから発生するレーザー光を前記特定容積に
    方向づけるステップを含むことを特徴とする方法。
  75. 【請求項75】 請求項73に記載の方法において、 前記方向づけステップは、1つ又はそれ以上の超短レーザーパルスを前記特定
    容積に方向づけるステップを含むことを特徴とする方法。
  76. 【請求項76】 請求項75に記載の方法において、 前記レーザーを操作してパルスを発生させ、前記パルスのそれぞれが最大約1
    0psの存続時間を有することを特徴とする方法。
  77. 【請求項77】 請求項73に記載の方法において、 前記組織が、少なくとも1つの光活性薬剤で前処理され、前記特定容積の組織
    が前記少なくとも1つの光活性薬剤の少なくとも1つの前記多光子励起を促進す
    るのに十分な光で処理される時点で前記少なくとも1つの光活性薬剤の少なくと
    も一部を保持することを特徴とする方法。
  78. 【請求項78】 請求項73に記載の方法において、 前記薬剤が内因性薬剤であることを特徴とする方法。
  79. 【請求項79】 請求項78に記載の方法において、 前記内因性薬剤が、タンパク質、天然発色団薬剤であって、メラニン、ヘモグ
    ロビン及びカロチンを含む薬剤、水、コラーゲン及び入れ墨染料からなる群より
    選択されることを特徴とする方法。
  80. 【請求項80】 請求項73に記載の方法において、 前記薬剤が外因性薬剤であることを特徴とする方法。
  81. 【請求項81】 請求項80に記載の方法において、 前記外因性薬剤が、ソラレン誘導体;ポルフィリン及びヘマトポルフィリン誘
    導体;クロリン誘導体;フタロシアニン誘導体;ローダミン誘導体;クマリン誘
    導体;ベンゾフェノキサジン誘導体;クロールプロマジン及びクロールプロマジ
    ン誘導体;クロロフィル及びバクテリオクロロフィル誘導体;フェオホルビドa
    (Pheo a);メロシアニン540(MC 540);ビタミンD;5−アミ
    ノ−レブリン酸(ALA);ホトサン;フェオホルビド−a(Ph−a);各種
    フェノキサジン色素を含むフェノキサジンナイル青色誘導体;PHOTOFRI
    N;一酸ベンゾポルフィリン誘導体;SnET2;及びLutexからなる群よ
    り選択されることを特徴とする方法。
  82. 【請求項82】 請求項73に記載の方法において、 前記光活性薬剤の前記多光子励起を促進する光が、約500nm乃至4000
    nmの波長を有するレーザー光であることを特徴とする方法。
  83. 【請求項83】 請求項73に記載の方法において、 前記光活性薬剤の前記多光子励起を促進する光が、光の集束ビームであること
    を特徴とする方法。
  84. 【請求項84】 請求項83に記載の方法において、 前記光の集束ビームがレーザー光であることを特徴とする方法。
  85. 【請求項85】 請求項73に記載の方法において、 前記光活性薬剤の前記多光子励起を促進する光が、光の非集束ビームであるこ
    とを特徴とする方法。
  86. 【請求項86】 請求項85に記載の方法において、 前記対象領域がほぼ前記組織表面に位置していることを特徴とする方法。
  87. 【請求項87】 請求項85に記載の方法において、 前記対象領域がほぼ前記組織表面の下に位置していることを特徴とする方法。
  88. 【請求項88】 請求項85に記載の方法において、 前記薬剤を治療すべき特定容積の組織にほぼ制限するステップをさらに含むこ
    とを特徴とする方法。
  89. 【請求項89】 請求項73に記載の方法において、 前記特定容積の植物又は動物組織を治療する前記ステップが、光ビームの焦点
    面が前記組織表面と前記組織表面をほぼ超えた点との間に位置する部位に生じる
    ように、ある範囲の位置にわたって光ビームの焦点を位置決めするステップを含
    み、これにより前記特定容積の植物又は動物組織を治療する前記ステップが拡大
    して前記組織内の深部に浸透できることを特徴とする方法。
  90. 【請求項90】 請求項73に記載の方法において、 前記少なくとも1つの光活性薬剤が、組織表面をほぼ超えた制御可能な位置で
    前記特定容積において光活性化されることを特徴とする方法。
  91. 【請求項91】 請求項73に記載の方法において、 前記光ビームが現存する間に、前記組織内の前記焦点面の半径方向位置を変化
    させ、前記組織表面と前記組織表面をほぼ越えた位置の間の多数の位置で前記少
    なくとも1つの光活性薬剤を光活性化するステップをさらに含むことを特徴とす
    る方法。
  92. 【請求項92】 請求項73に記載の方法において、 前記多光子光活性化が、光活性薬剤を発生させるように前記薬剤と少なくとも
    2つの光子とのほぼ同時の相互作用を含むことを特徴とする方法。
  93. 【請求項93】 請求項73に記載の方法において、 前記多光子光活性化が縮退プロセスであることを特徴とする方法。
  94. 【請求項94】 請求項73に記載の方法において、 前記治療方法が疾患の光力学的治療用であることを特徴とする方法。
  95. 【請求項95】 請求項73に記載の方法において、 前記治療方法が選択的組織変性用であることを特徴とする方法。
  96. 【請求項96】 請求項73に記載の方法において、 前記治療方法がレーザー手術用であることを特徴とする方法。
  97. 【請求項97】 請求項73に記載の方法において、 前記治療方法が入れ墨除去用であることを特徴とする方法。
  98. 【請求項98】 請求項73に記載の方法において、 前記多光子光活性化がn個の光子を含み、nは2又はそれ以上の光子であり、
    前記薬剤が光活性化される組織の容積を最適化するように変更できることを特徴
    とする方法。
  99. 【請求項99】 請求項73に記載の方法において、 前記光の位置、放射照度及び存続時間を変更することにより光活性化を制御す
    るステップをさらに含むことを特徴とする方法。
  100. 【請求項100】 請求項75に記載の方法において、 前記1つ又はそれ以上の超短パルスのパルスエネルギーを変更し、所望の治療
    プロセスを達成するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
  101. 【請求項101】 請求項100に記載の方法において、 前記所望の治療プロセスがほぼ光物理的プロセスとなるように、前記パルスエ
    ネルギーを設定することを特徴とする方法。
  102. 【請求項102】 請求項100に記載の方法において、 前記所望の治療プロセスがほぼ光化学的プロセスとなるように、前記パルスエ
    ネルギーを設定することを特徴とする方法。
  103. 【請求項103】 請求項73に記載の方法において、 前記多光子活性化が、前記少なくとも1つの光活性薬剤の高量子力学的許容状
    態への電子励起をもたらすことを特徴とする方法。
  104. 【請求項104】 請求項73に記載の方法において、 前記多光子活性化が、前記少なくとも1つの光活性薬剤の高量子力学的許容状
    態への振動励起をもたらすことを特徴とする方法。
  105. 【請求項105】 請求項73に記載の方法において、 前記多光子活性化が、前記少なくとも1つの光活性薬剤の光イオン化をもたら
    すことを特徴とする方法。
  106. 【請求項106】 請求項73に記載の方法において、 前記光活性化するステップが、第1の光子のエネルギーを用いて、初期状態と
    励起状態との間の一時的な仮のレベルに前記少なくとも1つの薬剤の少なくとも
    1つを励起するとともに、少なくとも第2の光子のエネルギーを用いて、前記薬
    剤が遷移を初期状態に戻す前に量子力学的許容励起状態に前記薬剤を励起するこ
    とを含むことを特徴とする方法。
  107. 【請求項107】 特定容積の植物又は動物組織の治療方法であって、 前記組織が前記特定容積に少なくとも1つの光活性薬剤を含み、 前記特定容積の組織を照射して、前記少なくとも1つの光活性薬剤の少なくと
    も1つの多光子励起を引き起こすステップを備え、 前記多光子励起のある部位にある前記少なくとも1つの活性薬剤は、最初に一
    時的な仮の状態に励起され、次に量子力学的許容励起状態に励起され、前記少な
    くとも1つの励起光活性薬剤が前記特定容積内で光活性化される方法。
  108. 【請求項108】 請求項107に記載の方法において、 組織表面のほぼ下に位置する特定容積の植物又は動物組織の治療を含むことを
    特徴とする方法。
  109. 【請求項109】 請求項108に記載の方法において、 光及び前記一時的な仮の状態による前記照射が、前記表面と前記特定容積との
    間の他の組織部分を通る光の通過にもかかわらず、ほぼ前記特定容積でのみ起こ
    ることを特徴とする方法。
  110. 【請求項110】 請求項109に記載の方法において、 多光子励起が前記組織表面の下の深部範囲にわたって生じる位置を変更するス
    テップを含むことを特徴とする方法。
  111. 【請求項111】 請求項107に記載の方法において、 前記照射ステップが、レーザーから発生するレーザービームを前記特定容積に
    方向づけるステップを含むことを特徴とする方法。
  112. 【請求項112】 請求項107に記載の方法において、 前記照射ステップが、最大約10psの存続時間を有する1つ又はそれ以上の
    パルスを有する超短パルスレーザービームを前記特定容積に方向づけるステップ
    を含むことを特徴とする方法。
  113. 【請求項113】 請求項112に記載の方法において、 前記パルスレーザービームにより供給される個々の光子が、基底状態から励起
    電子状態に薬剤を直接励起するのに十分なエネルギーを有しないことを特徴とす
    る方法。
  114. 【請求項114】 請求項107に記載の方法において、 前記多光子光活性化が縮退プロセスであることを特徴とする方法。
  115. 【請求項115】 請求項107に記載の方法において、 前記多光子光活性化がn個の光子を含み、nは2又はそれ以上の光子であり、
    前記薬剤が光活性化される組織の容積を最適化するように変更できることを特徴
    とする方法。
  116. 【請求項116】 請求項107に記載の方法において、 ほぼ組織表面に位置する特定容積の植物又は動物組織の治療を含むことを特徴
    とする方法。
  117. 【請求項117】 少なくとも1つの光活性薬剤を含む特定容積の植物又は
    動物組織を治療するための装置において、 光源を含み、 前記光源がほぼ前記組織内に浸透するのに有効な周波数を有し、 前記光源が前記組織内に含まれる薬剤の多光子励起を促進するように適合され
    ていて;さらに、 前記組織の表面から前記表面をほぼ超える深さまで延在する焦点距離の範囲全
    体にわたって光を収束させる収束装置を含み、 前記光源と前記収束装置が協動して前記薬剤の多光子励起を促進し; 焦点あるいは焦点面が前記光源に対して調節可能である装置。
  118. 【請求項118】 請求項117に記載の装置において、 前記多光子光活性化を促進する光が、レーザーから発生するレーザー光である
    ことを特徴とする装置。
  119. 【請求項119】 請求項118に記載の装置において、 前記レーザー光が、1つ又はそれ以上の超短パルスを含むことを特徴とする装
    置。
  120. 【請求項120】 請求項119に記載の装置において、 前記1つ又はそれ以上のパルスのそれぞれが、最大約10psの存続時間を有
    することを特徴とする装置。
  121. 【請求項121】 請求項118に記載の装置において、 前記レーザーを操作し、約500nm乃至4000nmの波長で光を発生させ
    るステップを含むことを特徴とする装置。
  122. 【請求項122】 請求項117に記載の装置において、 前記光が約500nm乃至4000nmの波長であることを特徴とする装置。
  123. 【請求項123】 請求項117に記載の装置において、 前記薬剤が外因性薬剤であることを特徴とする装置。
  124. 【請求項124】 請求項123に記載の装置において、 前記薬剤が、ソラレン誘導体;ポルフィリン及びヘマトポルフィリン誘導体;
    クロリン誘導体;フタロシアニン誘導体;ローダミン誘導体;クマリン誘導体;
    ベンゾフェノキサジン誘導体;クロールプロマジン及びクロールプロマジン誘導
    体;クロロフィル及びバクテリオクロロフィル誘導体;フェオホルビドa(Ph
    eo a);メロシアニン540(MC 540);ビタミンD;5−アミノ−レ
    ブリン酸(ALA);ホトサン;フェオホルビド−a(Ph−a);各種フェノ
    キサジン色素を含むフェノキサジンナイル青色誘導体;PHOTOFRIN;一
    酸ベンゾポルフィリン誘導体;SnET2;及びLutexからなる群より選択
    されることを特徴とする装置。
  125. 【請求項125】 請求項117に記載の装置において、 前記薬剤が内因性薬剤であることを特徴とする装置。
  126. 【請求項126】 請求項125に記載の装置において、 前記内因性薬剤が、タンパク質、天然発色団薬剤であって、メラニン、ヘモグ
    ロビン及びカロチンを含む薬剤、水、コラーゲン及び入れ墨染料からなる群より
    選択されることを特徴とする装置。
  127. 【請求項127】 光力学的医学的治療を行う装置において、 治療すべき組織及び組織内に制限された光を方向づけるための光源手段を含み
    、 前記光が組織表面の下に浸透し、ほぼ焦点ゾーンでのみ多光子励起を促進する
    周波数及びエネルギーにおいて選択され;さらに 前記組織内の薬剤が多光子励起を用いて光活性化されるように、治療すべき前
    記組織における深さの範囲内の光の焦点領域の位置を変更するための手段とを含
    む装置。
  128. 【請求項128】 請求項127に記載の装置において、 前記光源手段が平行光ビームを発生させるための手段を含むとともに、 前記光源手段が前記組織表面の下の点で組織とともに位置している焦点ゾーン
    に前記平行光ビームを収束させるための収束手段を含むことを特徴とする装置。
  129. 【請求項129】 光力学的医学的治療を行うための装置において、 治療すべき組織及び組織内に非集束光を方向づけるための光源手段を備え、 前記組織内の薬剤が多光子励起を用いて光活性化されるように、前記光が多光
    子励起を促進する周波数及びエネルギーで選択されている装置。
  130. 【請求項130】 請求項129に記載の装置において、 治療ゾーンがほぼ前記組織の表面に位置していることを特徴とする装置。
  131. 【請求項131】 請求項129に記載の装置において、 治療ゾーンがほぼ前記組織の表面下に位置していることを特徴とする装置。
  132. 【請求項132】 請求項1に記載の方法において、 前記容積の組織内の前記少なくとも1つの光活性薬剤の光活性化の効率及び選
    択性を最適化するように、前記多光子活性化を促進する前記光の波長を選択する
    ステップをさらに含むことを特徴とする方法。
  133. 【請求項133】 請求項34に記載の方法において、 前記容積の材料内の前記少なくとも1つの光活性薬剤の光活性化の効率及び選
    択性を最適化するように、前記多光子活性化を促進する前記光の波長を選択する
    ステップをさらに含むことを特徴とする方法。
  134. 【請求項134】 請求項73に記載の方法において、 前記容積の組織内の前記少なくとも1つの光活性薬剤の光活性化の効率及び選
    択性を最適化するように、前記多光子活性化を促進する前記光の波長を選択する
    ステップをさらに含むことを特徴とする方法。
  135. 【請求項135】 請求項109に記載の方法において、 前記容積の組織内の前記少なくとも1つの光活性薬剤の光活性化の効率及び選
    択性を最適化するように、前記多光子活性化を促進する前記光の波長を選択する
    ステップをさらに含むことを特徴とする方法。
  136. 【請求項136】 請求項117に記載の装置において、 多光子励起を促進するように適合される前記光の波長が、前記薬剤の光活性化
    の効率及び選択性を最適化するように選択されることを特徴とする装置。
  137. 【請求項137】 請求項127に記載の装置において、 多光子励起を促進するように適合される前記光の波長が、前記薬剤の光活性化
    の効率及び選択性を最適化するように選択されることを特徴とする装置。
  138. 【請求項138】 請求項129に記載の装置において、 多光子励起を促進するように適合される前記光の波長が、前記薬剤の光活性化
    の効率及び選択性を最適化するように選択されることを特徴とする装置。
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