JP2002514092A - ホモセリンラクトンバイオフィルム調節化合物及びそれらの利用法 - Google Patents

ホモセリンラクトンバイオフィルム調節化合物及びそれらの利用法

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Abstract

(57)【要約】 細菌の細胞対細胞の情報伝達の天然のプロセスを利用した、微生物によるバイオフィルムの形成、存続及び分散を制御する方法。N-(3-オキソドデカノイル)-L-ホモセリンラクトン(OdDHL)及びN-ブチリル-L-ホモセリンラクトン(BHL)を組み合わせて、又は別々に加えるか、あるいはOdDHL及びBHLの活性を高める又は阻害することとなる化学物質を加えることにより、産業、医療及び環境の場面において細菌及び藻類のバイオフィルムの形成、存続又は分散を阻害することができる。

Description

【発明の詳細な説明】 ホモセリンラクトンバイオフィルム調節化合物及びそれらの利用法技術分野 本発明は、ホモセリンラクトン化合物及び組成、並びに医療、歯科、産業及び 環境分野においてバイオフィルムを調節するのにそれらを利用する方法に関する ものである。背景 生命体のバイオフィルムを直接観察する最新の方法(Lawrence et al.,1993 )により、これらの無柄微生物集団の大変複雑な構造機構が証明された(Coster ton et al.,1995)。バイオフィルムがそれぞれ個別のマイクロコロニを含み、 このマイクロコロニが別々の水チャンネルにより分離されている(DeBeer et al. ,1994)という発見は、少なくとも水で満たされたこれらの空間の開通性を維持 するには充分な細胞対細胞シグナリング機構の作用があることを示唆した。 1981年までは、微生物学者は、細菌は細胞対細胞のシグナリング分子を必要と せず、またこの分子を産生する能力もないと広く考えていた。 1981年にEberhard氏らにより、細菌Photobacterium fischeriが、細胞密度が 高いという条件下で起きる細菌発光に関連したビブリオ(発光菌)自己誘導物質 (VAI)としても知られる、ある一つの化合物、3-オキソ-N-(テトラヒドロ2-オ キソ-3-フラニル)ヘキサンアミドを産生することが示された。P.fischeriの細 胞膜はVAIに関して透過性であることがKaplan及びGreenberg氏らにより1985年に 示されている。ブロス媒質中の細菌細胞密度が低い場合では、VAIは濃度勾配に 従って細胞から外へ受動的に拡散して周囲の媒質中に蓄積する。細胞密度が高い ときには、細胞外のVAIの濃度は細胞内のVAIの濃度に等しい。このような条件下 では、VAIは拡散して細胞内に戻り、発光遺伝子の転写が開始する。このような 系を用いることで、細菌は自分たちの集団の密度を監視し、特定の遺伝子の活性 を集団レベルで調節することができるのである。 何年もの間、細菌発光に関与する自己誘導物質は、海洋環境で光を生ずる数少 ない細菌に固有のものであると考えられてきた。その後、1992年に、陸棲細菌 Erwinia carotovoraが自己誘導物質系を用いてB-ラクタム抗生物質カルバペネム の産生を調節することが示された(Bainton et al.1992b)。カルバペネムの自 己誘導を担っていると判明した分子は、生物発光の自己誘導を担う分子と同じク ラスの仲間であるアシル化ホモセリンラクトン(HSL)であることが示された。 この発見は、幅広い範囲の細菌での広範なHSL調査につながった。この調査を行 なうために、生物発光センサ系が開発され、これを用いて、数多くの細胞培養の 使用済上清中でHSL産生についてスクリーニングが行なわれた。このスクリーニ ングにより、多くのいろいろな生物がHSLを産生することが示された。その中に は、Pseudomonas aeruginosa、Serratia marcescens、Erwinia herbicola、Citr obacter freundii、Enterobacter agglomerans及びProteus mirabilis(Brainton et al.,1992a;Swin et al.1993)がある。より最近では、このリストは、Erwi nia stewartii(Bcck 1993)、Yersinia enterocolitica(Throup et al.,1995)、 Agrobacterium tumefaciens(Zhang et al.,1993)、Chromobacterium violaceum (Winstin et al.,1994)、Rhizobium leguminosarium(Schripsema et al.,1996 )、等々を含むまでになっている。今日では、すべての腸内細菌及び大半のグラ ム陰性細菌が、HSL自己誘導物質を用いて細胞密度調節を行なうことができると 広く考えられている。 1993年には、Pseudomonas aeruginosaのLasI遺伝子のa-HSL産物が、エキソト キシンAの産生、及びその他の菌力因子の産生を細胞密度依存的態様で制御して いることをGambello氏ら(1993)が示した。これ以降、多くのPseudomonas菌力因 子の産生が、LasI及びRhII調節系の産生するa-HSL化合物により、Lux系の回想的 態様で制御を受けている(Ochener et al.,1994;Winson et al.,1995;Latifi et al.,1995)ことが示された。Latifi氏らはさらに(1996)、定常期シグマ因 子(RpoS)により制御されるものを含め、P.aeruginosaの定常期の性質の多くが 、LasI及びRhIの細胞対細胞シグナリング系の階層的制御下にあることを示して いる。Williams及びBrown氏(1992)は、抗生物質に対するそれらの著しい耐性 も含め(Nickel et al.,1985)、バイオフィルム細菌の性質の多くは、それら を構成する細胞のいくつかが定常期プランクトン様細胞の特徴を呈するという事 実に由来するかも知れないことを示唆した。 いずれの場合も、ホモセリンラクトン自己誘導物質は、Photobacterium fisch er のLuxRに相同のDNA結合たんぱくに結合して、活性化でコンホメーション上の変 化を引き起こすことが知られている。このプロセスにより、特定の遺伝子の発現 が細菌の細胞密度に結び付く(Latifi et al.,1996)。この種類の調節は「ク オラム・センシング」と呼ばれるが、それはなぜなら、標的遺伝子の活性化の前 に細菌細胞の「クオレート」集団にとっての必要性をそれが示しているからであ る(Fuqua et al.,1994)。これら「菌力因子」のうちのいくつかの発現が、細 菌の細胞密度に相関付けられている(Finley及びFalkcow,1989)。 P.aeruginosaで、クオラム・センシングが、エラスターゼ、アルカリプロテア ーゼ、LasAプロテアーゼ、溶血素、シアニド、ピオシアニン及びラムノリピドを 含む数多くのエキソプロダクトの調節に関与していることが示されている(Gambe llo et al.,1993;Latifi et al.,1995;Winson et al.,1995;Ochener et al.1 994)。がしかし、バイオフィルムの形成に関与していると示されたことはない。 これらのエキソプロダクトの大半は、P.aeruginosaが定常期に入るときに合成及 び輸出が最大になる。 さらに、グラム陰性細菌が、RpoS(Hengge-Aronis,1993)として知られる定 常期シグマ因子の誘導を通じて適宜調節されるストレス応答耐性を生ずることが 示されたのは定常期である。バイオフィルムバクテリアは、一般には、回分培養 の定常期細菌に生理学的類似性を呈すると考えられている。従って、定常期自己 誘導物質媒介エキソプロダクトの合成及び輸出は概ねバイオフィルム内で起きる と推定される。バイオフィルム細菌の定常期行動は細胞集塊内に蓄積したHSLの 活性により説明できるかも知れない。バイオフィルム細菌に定常期行動を示させ るこの機序は、P.aeruginosa培養液中でBHLの蓄積に応答してRpoSが産生され るという最近の発見(Latifi et al.,1996)をヒントにしている。 バイオフィルムは水のある環境、特に産業設備の導管材料の内側壁面や家庭の 配管システムの内側壁面、医療用移植片上の界面に生じたり、又は慢性感染症の 病巣として生じ、かつ存続する生物の膜(Geesey et al.,1977;1994;Boivin et al.,1991;Khoury et al.,1992;Costerton et al.1994)である。これらの生物 の膜は、微生物が、その定住微生物の分泌した一つ又はそれ以上の基質ポリマか ら構成された有機質のゲル状構造に埋め込まれたものから成っている。バイオフ ィルムは厚さ で数ミリメートルから数センチメートルの肉眼で見える構造になる場合もあり、 また大きな表面積を覆うまでになることもある。これらの生物形成は、配管シス テムの流れを制限したり又は完全に遮断する役目をする場合もあり、しばしば、 埋め込まれた細菌の媒介する腐食作用により材料の寿命を低下させることもある 。バイオフィルムはさらに、それらの発達及び安定性の向上に役立つような栄養 物質及び粒子を捕獲することができる。 細菌バイオフィルムにおける細胞外ポリマの関与は水性細菌(Jones et al., 1969;Sutherland,1980)及び海洋細菌(Floodgate,1972)の両方で文献化され ており、また、エキソポリサッカリドと付着した細菌との関連は電子顕微鏡(Ge esey et al.,1977;Dempsy,1981)及び光学顕微鏡(Zobell,1943;Allison and Sutherland,1984)を用いて実証された。このようなエキソポリサッカリドの 存在が、微生物バイオフィルムの発達に関与していると考えられている(Wardel l et al.,1983:Allison and Sutherland 1987)。淡水及び海洋環境から分離さ れたバイオフィルム細菌の分析の結果、これらが生ずるポリマは概ね産生ポリサ ッカリドから構成されていることが示された(Fletcher,1980;Sutherland,198 0;Christensen and Charaklis,1990)。パイブ及び導管表面からのバイオフィ ルム物質の調節及び除去は、歴史的には塩素又は強いアルカリ溶液などの腐食性 化学薬品を加えたり、又は機械的手段を通じて行なわれてきた。このような処置 は一般には配管システムと環境の両方にとって苛酷であるが、これらのシステム 内のバイオフィルムのカルシウム再付着性のために必要であった。殺生剤による 処置への耐性は、無傷のバイオフィルム基質ポリマの持つ防御特性が大きな原因 である(Srinivasan et al.,1995;Stewart,1994;Tashiro et al.,1991)。医 療では、バイオフィルムが関与していると考えられる場合の治療には高用量の抗 生物質の利用が必要とされてきた。これは少なくとも部分的には、細胞外のエキ ソポリサッカリド基質材料によりバイオフィルム細菌の防御が高くなっているこ とが原因である(Costerton et al.,1987;Nichols et al.,1989;Anwar et al. ,1989)。 医療、環境及び産業分野においてバイオフィルム形成を制御する必要性がある 。バイオフィルムの制御は、細菌の産生するエキソポリサッカリド物質の産生及 び 調節に外から影響を与えることができれば、より効果的に行なうことができる。 本発明は、従来技術による殺菌剤及び洗浄組成での欠陥を、細菌におけるLuxR/L uxI相同系を通じた細胞対細胞の情報伝達を操作してバイオフィルム構造や構造 的一体性を制御する方法を提供することにより、克服するものである。発明の概要 本発明は、N-(3-オキソドデカノイル)L-ホモセリンラクトン又はその類似体及 び遮断化合物並びにブチリルL-ホモセリンラクトン又はその類似体及び遮断化合 物のうちのいずれかから選択されるホモセリンラクトン化合物を含む組成を投与 するステップを含む、バイオフィルムの発達を調節する方法を提供するものであ る。 さらに、ブチリルL-ホモセリンラクトン又はその類似体のうちのいずれかから 選択されるホモセリンラクトン化合物を投与するステップを含む、バイオフィル ムの基質ポリマの発達を防止する方法も提供する。 本発明は、L-ホモセリンラクトン又はそれらの類似体のうちのいずれかから選 択されるホモセリンラクトン化合物を投与するステップを含む、バイオフィルム を分散させる方法を有利に提供するものである。 同様に、本発明は、N-(3-オキソドデカノイル)L-ホモセリンラクトン又はその 類似体を含む組成を有効量投与するステップを含む、バイオフィルムの分散を防 止する方法を提供する。 本発明の応用により、L-ホモセリンラクトン又はそれらの類似体を含む、N-(3 -オキソドデカノイル)-HSLのうちのいずれかから選択されるホモセリンラクトン 化合物を含む、火傷患者用の局所用包帯が提供される。 別の実施例では、本発明により、L-ホモセリンラクトン又はその類似体を含む 、N-3(オキソドデカノイル)-HSLのうちのいずれかから選択されるホモセリンラ クトン化合物を含む歯磨き剤又はうがい剤が提供される。 同様に、本発明により、L-ホモセリンラクトン又はそれらの類似体を含む、N- 3(オキソドデカノイル)-HSLのうちのいずれかから選択されるホモセリンラクト ン化合物を有効量含む組成を投与するステップを含む、う食症を治療及び防止 する方法が提供される。 あるいは本発明は、L-ホモセリンラクトン又はその類似体を含む、N-3(オキソ ドデカノイル)-HSLのうちのいずれかから選択されるホモセリンラクトン化合物 を有効量含む組成を投与するステップを含む、アクネを治療する方法を提供する ものである。 本発明のさらにもう一つの応用は、Lホモセリンラクトン又はそれらの類似体 を含む、N-3(オキソドデカノイル)-HSLのうちのいずれかから選択されるホモセ リンラクトン化合物を有効量含む組成を投与するステップを含む、コンタクトレ ンズを洗浄及び殺菌する方法である。 さらに、ブチリルL-ホモセリンラクトン又はその類似体あるいはN-(3-オキソ ド-デカノイル)L-ホモセリンラクトン遮断化合物のうちのいずれかから選択され るホモセリンラクトン化合物を有効量含む組成を投与するステップを含む、医療 用留置器具を処置/(殺菌及び洗浄)する方法が提供される。有利なことに、こ れらの器具には、例えばカテーテル、成形外科用器具及びインプラントなど、あ らゆる留置器具が含まれよう。 本発明は、ブチリルL-ホモセリンラクトン又はその類似体のうちのいずれかか ら選択されるホモセリンラクトン化合物を有効量含む微生物殺菌用組成を提供す る。ある好適な実施例では、殺菌される微生物は真菌、プロトゾア、及びグラム 陰性細菌のうちのいずれかから選択される。 本発明は、ホモセリンラクトン遮断化合物を投与するステップを含む、ホモセ リンラクトンが、それらの対応するLasI及びLasRのDNA結合たんぱくレセプタと の結合相互作用を行なうことを遮断する方法であって、前記の相互作用の遮断に よりバイオフィルム形成が防がれるといった方法を提供するものである。 更に別の実施例では、本発明は、N-(3-オキソドデカノイル)L-ホモセリンラク トン遮断化合物及びブチリルL-ホモセリンラクトン又はその類似体のうちのいず れかから選択されるホモセリンラクトン化合物を含む組成を投与するステップを 含む、汚損を防ぐ方法を提供するものである。ある一つの好適な実施例では、当 該汚損は、油回収のための圧入井、冷却塔、浄水システム、多孔質の媒質(土壌 、砂)、海洋環境及び病院又は自動車の空調システムのうちのいずれかから選 択されるシステムにおけるものである。 本発明は、有利なことに、N-(3-オキソドデカノイル)L-ホモセリンラクトン遮 断化合物及びブチリルL-ホモセリンラクトン又はその類似体のうちのいずれかか ら選択されるホモセリンラクトン化合物を環境上の細菌集中状態に投与するステ ップを含む、細菌の環境上の集中状態を分散させる方法を提供するものである。 別の用途では、本発明は、一ポリマに共重合させたN-(3-オキソドデカノイル) L-ホモセリンラクトン遮断化合物及びブチリルL-ホモセリンラクトン又はその類 似体のうちのいずれかから選択されるホモセリンラクトン化合物を含む殺菌コー ティングを提供するものである。ある一つの好適な実施例では、前記コーティン グは排水管、シャワーカーテン、グラウト、トイレ、床材に施される。 更に別の実施例では、本発明はN-(3-オキソドデカノイル)L-ホモセリンラクト ン又はその類似体を発酵系に加えるステップを含む、発酵液中のバイオフィルム 形成を促進する方法を提供するものである。 医療用途では、本発明は、N-(3-オキソドデカノイル)L-ホモセリンラクトン遮 断化合物及びブチリルL-ホモセリンラクトン又はそれらの類似体を含む有利なグ ラム陽性細菌を枯渇させずにグラム陰性細菌を減少させる特効治療を提供するも のである。この方法は、好ましくは尿道大腸菌感染症及び膣カンジダ感染症から 選択される状態の治療に用いられるとよい。 あるいは、本発明は、N-(3-オキソドデカノイル)L-ホモセリンラクトン遮断化 合物及びブチリルL-ホモセリンラクトン又はその類似体のうちのいずれかから選 択されるホモセリンラクトン化合物を投与するステップを含む、中耳感染症(小 児)、骨髄炎及び前立腺炎のうちのいずれかから選択される状態を治療する方法 であって、前記ホモセリンラクトン化合物が、細菌を分散させることにより抗生 物質に対するそれらの感受性をより高くする、方法を提供するものである。 最後に、本発明は、例えば硬質の表面、網目状又は非網目状表面などの表面を 洗浄する洗浄用組成を提供するものである。洗浄の可能な表面、及び/又は、本 発明の洗浄用組成の例には、トイレの便器、浴槽、排水管、ハイチェア、調理台 (例えば鶏肉などの肉に晒されるもの)、野菜、肉加工室、肉や、空気用ダクト 、空調機、カーペット、紙又は網目状製品の処理、オムツ及び健康空気機械があ る。 この洗浄用製品は汚れの防止及び除去のためのトイレ用滴下剤や、トイレの縁の 下用の洗浄剤の形であってもよい。本発明の化合物を手入れ製品やスキンケア製 品に取り入れてもよい。本発明の化合物を表皮用包帯やローションの調製に用い てもよい。別の実施例としては、本発明の化合物を例えばアフターシェーブ又は かみそり傷の治療用の軟膏に取り入れてもよい。 本発明の上記及びその他の目的は、以下の詳細な説明及び図面から、関連する 分野の当業者には容易に明白となるであろうが、以下の詳細な説明及び図面にお いては、本発明の好適な実施例のみが、本発明を実施する最適な形態の実例とし て示され、かつ説明されているに過ぎない。容易に認識されるように、当業者で あれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく本発明に変更を行なうこと ができる。図面の簡単な説明 図1は、プランクトン様細菌のクオラム・センシングの機序を示す。図1Aは、 両方の培養において細菌がOdDHL(黒丸)及びBHL(白抜きの丸)を周囲の媒質中 に生ずることを示す。細胞濃度が低いときには、これらのHSL分子は細胞エンベ ロープを通りぬけて細菌から外に向かって受動的に拡散する。図1Bは、細胞密度 が高い条件下ではこれらのHSL分子は蓄積して高濃度になり、細胞内に留まる又 は再進入することができ、そこでこれらを認識するレセプタであるLuxR相同たん ぱくに結合することを示している。これらのたんぱく質が適切なHSLに結合する と、これらは次に染色体上の調節配列に結合し、酵素、トキシン及び表面活性物 質などの産物を生ずる特異遺伝子のスイッチをオンにする。 図2は正常なバイオフィルムの構造上の構成成分を示す。 図3Aは、OdDHL及びBHLの活性を遮断したときの作用を示す。P.aeruginosaでこ れらのホモセリンラクトンを遮断すると、細菌は正常なバイオフィルムを形成せ ず、これらはこれらのバイオフィルムに関連する正常な構造に欠いたものになる 。このようなバイオフィルムは0.2%のドデシル硫酸ナトリウムを加えると容易 に分散させることができる。図3BはP.aeruginosaのバイオフィルムでBHLの活 性を遮断したときの作用を示す。このような状況下では、細菌の生成した OdDHL(白抜きの丸)は正常に見えるバイオフィルムを形成するが、BHLの活性が 解離に関与しているために、天然の解離を行なうことができない。図3Cは、正常 なP.aeruginosaのバイオフィルムにおいて、両方のホモセリンラクトンが産生さ れ(白抜きの丸及び黒い丸)、エキソポリマ基質の間隙中に生成されることを示 す。 図4は、ホモセリンラクトンのエンハンサ又は遮断剤の利用を通じてどのよう にバイオフィルムを操作できるかを示す。図4Aは、両方のホモセリンラクトンを 少量放出する細菌による正常なバイオフィルムを示す。図4Bは、どのように正常 な離解がP.aeruginosaのバイオフィルムで起きるかを示す。BHLの蓄積に続いて 、特異酵素が細菌から放出されるが、この特異酵素は、バイオフィルム中の細胞 に結合する細胞外基質を蒸解させることができるものである。基質が分解すると 、細胞は自由に泳ぎまわることができ、相互に分散する。図4Cは、多量のBH1を 加えると特定の細菌の解離事象を人工的に誘導することができることを示す。 図5は、BHL合成のみに欠陥のある変異体が、その野生型生物と同じような細 胞集塊を生じた顕微鏡写真である。 図6は、二重変異体を、親の野生型PAOからろ過した物質を含む媒質中でバイ オフィルムとして成長させたときに、それが、野生型と未処置の二重変異体との 間の中間体を生じたことを示す。 図7は、新鮮な媒質中に10umの濃度のOdDHLを含んだ媒質中で培養した二重変 異体を示す。この結果、中間の表現型が回収された。 図8は、P.aeruginosa PAO1を0.2%のSDSで処置した場合では、細胞集塊から の細菌の分散又は遊離が観察されなかった(図8A)ことを示す。P.aeruginosaPA O-JP2を同じ態様でSDSで処置した場合、細胞集塊は完全な分散を見せ(図8B)、 P.aeruginosa株8830でアルギン酸塩の分解後に見られたのと同様な作用を呈した 。 図9は、二重HSL変異株P.aeruginosa PAO-JP2を用いた実験を示し、この株は1 0μmのOdDHLを含有する媒質中で成長させたときにドデシル硫酸ナトリウム(SD S)の添加後に分散できないことを呈した。 図10は、OdDHL変異体P.aeruginosa PAO-JP1をバイオフィルムとして成長させ ると、大きなボイド空間が細胞集塊の内部に検出されたことを示す。 図11は、P.aeruginosa PDO100のバイオフィルムを成長させ、7日間の成長後 に流入媒質にBHLを20μMの濃度になるように加えた検査を示す。BHLを24時間加 えた後でも、観察可能な作用は検出されなかった。その後、媒質流を16時間遮断 すると、この16時間目の時点で著しい解離が起き始めて3時間の間、続いた。発明の説明 本発明者は特定の細胞情報伝達分子が、細菌のバイオフィルムの形成、存続及 び分散の調節を担っていることを発見した。少なくとも二つの公知のN-アシル-L ホモセリンラクトンが、本発明者により、Pseudomonas aeruginosaのバイオフィ ルムの調節を担っていることが見出された。即ち、N-(3-オキソドデカノイル)-L -ホモセリンラクトン(OdDHL)及びN-ブチリル-L-ホモセリンラクトン(BHL)で ある。前者は、Pseudomonas aeruginosaのバイオフィルムの発達を調節すると共 に、バイオフィルムの基質ポリマの生成を制御することによる、バイオフィルム 構造の一体性の維持を担っていることが実証されている。後者は、バイオフィル ムの基質材料の分解を担う分子の生成及び放出を調節することで、Pseudomonas aeruginosaのバイオフィルムの分散に関与していることが示されている。ホモセ リンラクトンは、幅広い範囲の細菌から分離されているが、我々はこれらがP.ae ruginosaの他にも生物のバイオフィルム調節を担っていると確信するところであ る。 ホモセリンラクトンの、これらを認識するレセプタ分子への結合を人工的に操 作することにより、本発明者は細菌のバイオフィルムの形成、発達、存続及び分 散を制御することができる。たとえば、OdDHLの、それを認識するレセプタ(Las R)への結合を遮断する類似体を添加すると、細菌が増殖を続ける再の基質ポリ マ材料の生成が妨げられる。その結果、簡単な界面活性剤を加えることにより、 これらの条件下で形成された細胞凝集物を容易に分散させることができる。加え て、発達したバイオフィルムをホモセリンラクトンBHLで処置すれば、バ イオフィルムの基質材料を蒸解することのできる酵素の放出を誘導することで、 総媒質中へ細菌を分散させることができる。このような処置を、自然界、産業用 途及び医療用途においてバイオフィルムの生態を制御する有効な手段として用い ることができるかも知れない。 ある一つの基としてのホモセリンラクトンの性質が単純であるために、P.aeru ginosa だけでなく、一般の細菌、特にpseudomonas属及びグラム陰性細菌にも働 きかけることのできる類似体が生成される。さらにOdDHL及びBHLなどのHSLに対 する遮断化合物の生成は、HSLの、それらを認識するレセプタ分子、即ちそれぞ れLasR及びRHlR、への結合を立体的に遮断することができ、ひいては天然のHSL の活性を遮断することができる一群の化学物質に結び付くに違いない。さらに、 これらの分子が単純であることは、これらを細菌感染の防止及び治療において治 療薬として用いた場合にも抗原性がないはずであることをも示唆するものである 。従って、HSLはヒトの身体中のバイオフィルムを処置するために(単独で、又 はその他の殺菌処置と併用して)効果的に利用することができる。 N-ブチリル-L-ホモセリンラクトン N(3-オキソドデカノイル)-L-ホモセリンラクトン N-ブチリル-L-ホモセリンラクトン化合物 N(3-オキソドデカノイル)-L-ホモセリンラクトン化合物 ただしこのときR1-R21はCH3、C1-C4アルキル基、H、OH、NH2、及びSHのうちの いずれかから選択され、 R22及びR23はS及びOから選択してもよく、 R24-R28は一個のH又は一個のハロゲンである。 以下は、本発明のホモセリンラクトンの別の類似構造である。認識するレセプタ たんぱく(LasR又はRhlR)に競合的に結合してOdDHL又はBHLの結合を遮断するこ とで、当該レセプタたんぱくの、DNA分子上でのそのレセプタ部位への結合を誘 導するか、又は、当該レセプタたんぱくの、DNA分子上でのそのレセプタ部位へ の結合を妨げる類似体がある。 1)アシル側鎖が長くなる又は短くなるような変化。 2)アシル側鎖内の炭素原子同士の聞に二重結合又は三重結合が加わるなど、 アシル側鎖の構造変化。 3)アシル側鎖内の炭素の置換、例えば、一個のメチル基又はその他の基、例 えば一個のオキソ基、一個のヒドロキシル基、一個のアミノ基、一個の硫黄原子 又は何らかのその他の原子又はR-基など、の、アシル側鎖のいずれかの位置への 添加。 4)当該分子のホモセリンラクトン環部分での置換。例えば、硫黄の基が加わ ってチオラクトンが生成されるなど。 5)ハロゲン化アシルフラノンは、ホモセリンラクトン認識レセプタたんぱく の遮断剤として働くことが示されている。 さらに、遮断類似体はHSLに結合することで、その遊離型を周囲から掃除す るであろう。このような類似体は、類似の構造を持つ、OdDHL又はBHLに対する結 合部位を有するが、その認識結合たんぱくであるLasR又はRhlRとの親和性がより 高いものである。 バイオフィルムをホモセリンラクトンで処置した場合の作用はPseudomonas ae ruginosaで実証されている。この分子は、大まかには、バイオフィルムで見られ ることが知られている幅広い細菌から分離された。これらの中には腸内細菌もあ る。幅広い細菌中にこの化学物質が存在することは、HSLを用いれば、Pseudomon as種のバイオフィルムだけでなく、Pseudomonas種を含んだ混合バイオフィルム や、Pseudomonas aeruginosa以外の細菌から成るバイオフイルムも効果的に処置 できることを示唆するものである。従って、バイオフィルムを処置するのにHSL を利用するという用途は広く万能である。 野生型株(PAO1)のPseudomonas aeruginosaの細胞はフローセルのガラス表面 に食欲に付着し、付着後にこれらの細胞はバイオフィルム形成を開始する。Alg C遺伝子の下流にベータ・ガラクトシダーゼ・レポータ遺伝子のコンストラクトを 含んだ個々の細胞を直接観察した(Davies et al.,1995)結果、付着から2-5分 後にアルギン酸塩の生成が上方調節されることが示されている。このエキソポリ サッカリド基質材料の生成は野生株の細胞を下層に強固に付着させ、それらがス ライムに閉じ込められた無柄集団の体積の15-20%を占めるようになるまでは、 発達中のバイオフィルム内で細胞を分離する。バイオフィルム形成の初期段階で は、野生(PAO1)株の無柄細胞は個別のマイクロコロニ(図5)に組織化されて いくが、このマイクロコロニは良く規定された水チャンネルにより分割されてい る(Lawrence et al.,1992)ことが見られる。この典型的なバイオフィルム構 造(Costerton et al.,1995)は、その無柄細胞がエキソポリサッカリドの基質 内に広く分割されている(図5A)ために位相差顕微鏡で検出可能であるが、共焦 点スキャンニング・レーザ顕微鏡法(CSLM)では、よりはっきり見られる(図5B )。野生株の発達中のバイオフィルムをCSLMで見ると、個別のマイクロコロニの 形成と、良く規定された水チャンネルとが見られるが、我々は、このバイオフィ ルム構造は、天然の生態系にある混合種のバイオフィルムのCSLMで見られる(Co sterton et al.,1995)ため、一般的なバイオフィルムの典型であることを知 るところである。 Pseudomonas aeruginosaの野生株(PAO1)の変異体の細胞は、オキソドデカノ イルHSLを産生する能力を欠く(PAO-JP1)か、又は、オキシドデカノイル及びブ チリルHSLの両方を産生する能力に欠けて(PAO-JP2)おり、野生型株のそれに匹 敵する食欲さでフローセルのガラスに付着する。しかしながら、これらは付着後 、アルギン酸塩を産生できない、このようにアルギン酸塩産生によるバイオフィ ルム形成を開始できないということは、これらの変異体の無柄細胞が、付着状態 に7日間あった後でもウロン酸産生についてマイナスの値である(表2)ことが その証左となっている。 位相差顕微鏡法では、一重(JP1)変異体及び二重(JP2)変異体の付着細胞は、パ イル中のコードウッドの様に、相互にすぐ隣り合った位置にあり(図4、図3)、ア ルギン酸塩産生による細胞対細胞の分離の証拠もない。 このように、OdDHLを作り出すことのできない一重変異体と、OdDHL又はBHLの いずれも作り出すことのできない二重変異体の両方が、バイオフィルムを形成す ることが全くできないということが、化学的方法及び顕微鏡法の両方で明確に示 される。HSL陰性変異体が付着後にバイオフィルムを形成できないことは、さら にこれらの付着細胞が、0.2%のSDSで簡単に洗浄するだけでフローセルのガラス 表面から容易に取り除かれるという事実によっても裏付けられている。これらの データは、Pseudomonas aeruginosaの細胞によるバイオフイルム形成がアシルホ モセリンラクトンOdDHLの産生に依存していることを示すに充分である。アルギ ン酸塩が、OdDHL産生が不足しているときにAlg Tを発現する付着細胞により形成 されるものではないという点で、このa-HSLシグナリング系は、Alg Tの調節を受 けるシグマ因子(Deretic et al.,1996)よりも階層的に上位にあるのである。 OdDHLによるこのバイオフィルム形成の制御には、産業及び医療におけるバイ オフィルム問題(Khoury et al.,1994)の実用的制御への無数の用途が開かれ ている。本発明者は、本類似体又はLasI産物(OdDHL)はLasR DNA結合たんぱく に結合することで、アルギン酸塩合成及びバイオフィルム形成を調節する遺伝子 を発現させるその能力を遮断することとなることを提示する。 a-HSLは比較的に簡単な分子であり(Pearson et al.1994,Fuqua et al.199 4,Pearson et al.1995)、それらの基本的構造のいくつかの類似体がいくつか の研究室で生成されてきた(Eberhard,et al.,1986)。海洋環境において紅藻 類Delisea pulchraへのバイオフィルム形成を制御すると考えられるハロゲン化 フラノン(Givskov et al.,1996)はa-HSLのそれと同じような分子構造を有する 。 商業用のバイオリアクタ及び発酵システムなど、バイオフィルムの形成が遊離 であるような産業システムにおいては、天然a-HSL分子の利用はバイオフィルム 形成を高める上で効果的である。本発明者は、細菌活動を制御する新しい時代に 、その他の分野における最新のバイオコントロール手段に匹敵する商業用のa-HS L及びa-HSL類似体の登場により、突入した。 バイオフィルム全体に渡ってよく規定された水チャンネルを容易に維持するに は、何らかの形の細胞対細胞のシグナリングが実際には必要である。水生系のバ イオフィルムの大半を占めるグラム陰性細菌、目立ったところではPseudomonas aeruginosa、のプランクトン様細胞を回分培養で調べた結果、いくつかの細胞対 細胞シグナリングの機序が発見された。そのうちのいくつかが今や分子レベルで 大変詳細に説明されているこれらのシグナリング機序は、これらのプランクトン 様細胞における細胞行動の重要な態様をいくつか、制御するものである。天然で は大変珍しい形の成長である、回分培養におけるプランクトン様細胞で働くシグ ナリングの機序は、実際には、おそらくは実際の生態系でバイオフィルム中の細 胞行動を制御すべく進化したものであると説明された。これが理由で、本発明者 たちは、バイオフィルムを形成するための特異的なシグナリング分子であるアシ ルホモセリンラクトン(a-HSL)を合成できない変異体の能力を調べた。オキシ ドデカノイルHSLを合成できない、Pseudomonas aeruginosaのPAO株の変異体(JP 1)は、フロー系の表面に付着することはできたが、バイオフィルムを形成する ことはできなかった。この変異体の付着細胞は表面上で成長し、細胞による無定 形の塊を形成した。これらは、それらのバイオフィルムの基質を成すエキソポリ サッカリド(アルギン酸塩)を合成することができず、従ってこれらは、これら の生物のバイオフィルムを特徴付けるマイクロコロニ及び水チャンネルの複合体 を生成することができなかった。ブチリルHSLを合成す る能力に欠けた、Pseudomonas aeruginosaのPAO1株のもう一つの変異体(PDO100 )は、成熟したバイオフィルムからのプランクトン様細胞のプログラムされた解 離を生ずることができなかった。このプログラムされた解離は、通常では連続系 における流れの停止が引きがねとなる野生型PAO1株の性質である。二つの重要な 細胞行動におけるa-HSLシグナリング分子の重要な役割である、共通のバイオフ ィルム生物の細胞によるバイオフィルム形成の火付けは、数多くの生態系でバイ オフィルムを制御するのに用いることができるかも知れない、ある一つのクラス の細胞対細胞情報伝達分子を我々が同定したことを示唆している。ある一つの好 適な実施例では、本発明の殺菌剤はPseudomonadaceae、Azatobacteraceae、Rhiz abiaceae、Mthylococcaceae、Halobacteriaceae、Acetobacteraceae、Legionell aceae、Neisseriaceae、その他の属のうちのいずれかから選択されるグラム陰性 細菌の殺菌剤として有用である。 以下は、細胞対細胞の情報伝達のためにホモセリンラクトンを用いる仲間を有 するグラム陰性細菌のリストである。例えば嫌気性のグラム陰性線形、円形及び 螺旋形杆菌;Bacteroidaceae;リケッチア及びクラミジア属;異化型硫酸-又は 硫酸還元細菌;マイコプラズマ属;マイコバクテリア属;不等分裂細菌;有鞘細 菌;ノカルジオフォーム;及び放射菌属である。ここに参考文献として編入する こととするBergey's Manual of Systematic Bacteriology,First Ed.,John G.H olt,Editor in Chief(1984)を参照されたい。 ここで言及された発行物、特許出願、特許、及びその他の参考文献は、参考と してここに編入されたものである。加えて、材料、方法、及び例は単に実例を挙 げたものであり、限定的なものとして意図されてはいない。例1 P.aeruginosaの細胞によるバイオフィルムの形成に対するa-HSLシグナル分子 の役割を判断するのに最も明確な実験デザインは、直接顕微鏡法を用いてa-HSL 陰性変異体の細胞によるバイオフィルム形成を観察することである。これを理由 として、野生型株(PAO1)と、特定のa-HSLを合成できない三つの変異体とのプ ランクトン様細胞をフローセル中に導入し、付着及びバイオフィルム形成を共 焦点スキャンニング・レーザ顕微鏡法(CSLM)を用いて観察した。これらの技術 を用いると、目的の株の生きたバイオフィルムの発達を観察することができる。 細菌及び媒質。この研究で用いた細菌株を表1に挙げた。実験はすべて、1リ ットル当りのグラムで以下のものを含有する規定の培養媒質を用いて行なった。 乳酸ナトリウム0.05、コハク酸ナトリウム0.05、硝酸アンモニウム0.05、KH2PO4 0.19、K2HOP4 0.63、Hutner塩類(Collen-Bazire,1957)0.01、ブドウ糖1.0、及 びL-ヒスチジン、0.01。固体のR2A媒質を連続培養実験から採った細菌の計数に 用いた。HgCl2(連続培養液中7.5ug/ml及び固体培地上15ug/ml)及びテトラサイク リン連続培養液中25ug/ml及び固体培地上50ug/ml)を用いて実験中にプラスミド 及びトランスポゾンが確実に維持されるようにした。 表1 この研究で用いた細菌株及びプラスミド 連続培養研究 ガラス製下層に付着したバイオフィルムの成長及び発達を観察す るために連続培養装置を開発した(図8)。この装置はワンス・スルー・フロー ・セル系として構成された。流入する規定の培養媒質を四リットルガラス製レザ バに取った。流入レザバから出た媒質をシリコン製管材料を通じてマスタフラッ クス・ポンプにより、ろ過空気を放った空気混和フラスコにポンプで送り込んだ 。空気混和した媒質を、平板プレートフローセルにマスタフラックス8ローラ・ ヘッドぜん動ポンプを用いて0.13m1分-1の流量で送り込んだ。このフローセルは 深さ1.0mm、幅1.4cm、及び長さ4.0cmのポリカーボネートから構成されたもので あり、上面をガラス製カバースリップで覆った。このガラス製スリップを 細菌付着及びバイオフィルム発達のための下層として用いたが、それはなぜなら 、それが比較的に不活性の材料であり、かつ透明だからである。細胞を通過する フローは層状であり、レイノルズ数は0.17、流体滞留時間は0.43分であった。フ ローセルを密閉して汚染を防ぎ、オリンパスBH2顕微鏡の台に固定した。フロー セルを出る媒質を流出レザバにシリコン製管材料を介してポンプで送り込んだ。 この系全体は外部環境に対して閉ざされていたが、各フラスコに取りつけた0.2u m細孔大きさの気体透過性フィルタにより周囲気圧との平衡を維持した。 流れを維持したまま、対数期のP.aeruginosaをフローセルから約1cm上流にあ る隔壁を通じて接種した。接種の位置から下流でこの系の表面上に24時間に渡っ て細菌を付着及び成長させた。次に、この系を通る流れを増加させて(顕微鏡で 調べたときの)カバースリップの内側表面に付着した細菌をすべて除去した。そ の後、フローセルの上流にあるバイオフィルムから落ちた細菌を、通常の流れ条 件下でフローセル表面に再度コロニ形成させた。ガラス製カバースリップの内側 表面に付着した細胞を、透過光により40倍のA40PL及び50倍のUL WD MSプラン長 距離作動オリンパス対物レンズを用いて観察し、全細胞を検出した。画像はすべ て、その後の検索及び分析用に別々のファイルに記録した。 バイオフィルムの発達、細胞集塊の大きさ、厚さの測定。集塊の形態(コア、 チャンネル、吹流し)の解釈。改良版ローリーたんぱく質アッセイ 。ローリーた んぱく質アッセイを以前に説かれた(Peterson,1977)ように試料に対して行な い、ミルトン・ロイ・スペクトロニック601分光光電光度計で分析した。ウロン酸アッセイ。かきとったバイオフィルムの解凍試料と、キントナー・バ ンビューレン法(1982)後の全培養液の総ウロン酸を、ミルトン・ロイ・スペク トロニック601分光光電光度計を用いて測定した。総ポリサッカリド・アッセイ 及びリポポリサッカリド分析も行なった。 バイオフィルムの構造。バイオフィルムの成長及び発達の結果特異的な構造構 成成分の生成があることが示されている(Costerton et al.1995)。本発明者 たちは、バイオフィルムの構造が細胞対細胞の情報伝達により左右されているこ とを提示する。 P.aeruginosa PAO1のバイオフィルムをバイオリアクタで成長させ、画像分析 と組み合わせた顕微鏡法で調べた。二週間にわたって野生型の生物を成熟したバ イオフィルムへ発達させた結果、大きさで40から120um、平均的厚さで(102.3um sd=20.5 n=20)の範囲の細胞集塊が生じた。これらの細胞集塊は水チャンネル を含み、下層に付着した細胞はほとんどないという様相を呈し、また相互によく 分離した細菌(図5-共焦点複合画像)から成っていた。これらの細胞集塊を、次 に、ホモセリンラクトン分子OdDHL、BHL又は両方を合成する能力に欠けるP.aeru ginosaの生じたものと比較した。同一の実験条件下では、この野生型生物の構造 上の構成成分である、いずれかのホモセリンラクトンを合成する能力に欠ける変 異株P.aeruginosa JP2の生じた細胞集塊がないことが判明した(図6)。これら の集塊は、大きさで20から40um、平均的厚さで23.5um sd=9.8n=20であった。こ れらの集塊中の細胞は高密度に寄り集まっており、水チャンネルを生じていなか った。OdDHLのみに欠陥のあるP.aeruginosaPAO-JP1を同じような条件下で成長さ せた場合は、これらは、大きさでP.aeruginosaPOA-JP2変異体と同様(平均的厚 さ=22.8um,sd=10.0、n=20)であるが、集塊内部に、細胞のない大きな空間が含 まれた(図7)集塊の生成を見せた。BHL合成のみに欠陥のある変異体は、この野 生型生物に同様な細胞集塊を生じた(平均的厚さ=100.1um、sd=25.2、n=20)( 図9)。例2 ホモセリンラクトンが、野生型と変異体のバイオフィルムの間に見られる構造 上の違いを担っていることを確認するために、ある一つの実験を行なって、野生 型の生物が成長した媒質から採取したろ過可能な物質を添加すると、二重変異体 であるP.aeruginosaPAO-JP2で野生型の構造が回復することを実証した。このよ うに二重変異体をバイオフィルムとして成長させると、それは野生型と未処置の 二重変異体との間の中間体を生じた(図10)。細胞集塊の内部は未処置のP.aeru glnosaPAO-JP2と同様に見え、この細胞集塊の外部は、野生型生物と同様に見え た。この実験を、この二重変異体を新鮮媒質中10μMの濃度のOdDHLを用いて培養 して繰り返した。その結果、細胞を使用済み媒質の存在下で成長さ せたときに観察されたように、中間表現型が回収された(図11)。これらの結果 は、P.aeruginosaPAO1バイオフィルムのバイオフィルム構造は細胞対細胞の情報 伝達によりもたらされることを示唆した。本発明者たちは、OdDHLはこの構造上 の発達を制御することができると結論付けるものである。 バイオフィルムの基質ポリマ。野生型及びHSL変異体P.aeruginosaの生じたバ イオフィルムを比較したときに見られる構造上の違いから、基質ポリマの生成及 び調節はホモセリンラクトンにより制御されていると我々は予測した。P.aerugi nosaPAO1及びP.aeruginosaPAO-P2のバイオフィルム試料を二週間、バイオフィル ム・リアクタ中で培養した。これらの培養株をウロン酸産生について分析すると 、野生型株は検出可能な量を産生していることが判明したが、二重変異体ではま ったく検出できなかった(表2)。 この結果は、株P.aeruginosaPAO-JP2は連続培養では検出可能なアルギン酸塩 を産生しないことを示唆していた。この株を野生型の使用済み媒質中で培養し、 ろ過し、ブドウ糖で改めると、ウロン酸の産生が回復した。野生型生物から採っ たろ過した媒質中にはウロン酸は検出できなかった。ウロン酸アッセイはアルギ ン酸塩及び特定の型のリポポリサッカリド(LPS)に見られるマンヌロン酸を検 出するものである。この結果から、これらの化合物の一方又は両方がOdDHLの調 節下にあることが示唆された。 表2. P.aeruginosa PAO1バイオフイルム中のウロン酸産生 aP.aeruginosa PAO1培養液のろ過済み媒質で成長させた細胞b 検出不能 P.aeruginosaの粘液状株では、アルギン酸リアーゼが細胞外アルギン酸を分解 できることが示されている(Boyd et al.1994)。本発明者によってさらに研究 を進めた結果、アルギン酸リアーゼはバイオフィルム中でP.aeruginosa株8830か ら人工的に放出させた場合に細胞外アルギン酸塩を分解できることが実証された 。細胞外アルギン酸塩の破壊後、0.2%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を加え ることでこれらの細菌を完全に分散させることができる(Davies,1996) 本研究において、洗剤を用いた処置では、放出されるアルギン酸リアーゼの不 在下のバイオフィルムには影響がないことが示された。P.aeruginosaPAO-1を同 様の実験条件下で0.2%のSDSで処理すると、細胞集塊からの細菌の分散又は解離 はまったく観察されなかった(図12、パネルA)。P.aeruginosaPAO-JP2を同じ態 様でSDSで処置すると、細胞集塊が完全に分散し(図12、パネルB)、P.aerugino sa株8830でアルギン酸塩の分解後に見られたのと同様な作用を呈した。この実験 を一重HSL変異株P.aeruginosaPAO-JP1を用いて繰り返すと、SDS添加後に完全に 分散することが分かった(図13)。P.aeruginosaPAO-JP1を10μMのOdDHLの存在 下で成長させると、0.2%のSDSによる処置を行なっても細胞集塊中の細菌は分散 しなかった。従って、ホモセリンラクトンの存在が、洗剤の作用による分散への 耐性を担っていることが判明した。 バイオフィルムの分散。OdDHLの役割には、バイオフィルム構造の発達の調節 と、洗剤による分散に対する耐性が含まれることが判明している。本発明者た ちは、BHLがバイオフィルム中の細菌の天然の分散に関与していると信ずるもの である。OdDHL変異体P.aeruginosaPAO-JP1をハイオフィルムとして成長させると 、細胞集塊の内部に大型のボイド空間が検出された(図14)。 P.aeruginosaPAO-JP1の細胞集塊の増殖期の間に、中央のボイド空間が、7日後 に直径で50umよりも大きな集塊中に生じた。これらのボイドは、かつて活発に運 動性であり最終的には集塊の内側から集塊壁面を破って泳ぎ出たことが観察され た細菌が占めていた部分である。P.aeruginosaPAO-JP2又はP.aeruginosaPDO100 の形成する細胞集塊には検出されなかったこのような中央のボイドの存在は、BH Lが基質ポリマ材料を分解ずることのできる酵素の放出を担っているという可能 性を示唆したと仮定された。本発明者たちは、P.aeruginosaPDO100のバイオフィ ルムを成長させ、その流入媒質に、成長7日後の時点でBHLを20uMの濃度で加え ることにより、これを調査した。BHLを加えてから24時間経っても、観察可能な 作用は検出されなかった。次に媒質の流れを遮断すると、16時間目の時点で著し い解離が開始して3時間の間続いた(図15.P.aeruginosaPDOIOOをBHLの不在下 で成長させた場合には、媒質の流れは7日後に遮断した。流れの停止後96時間の 観察期間の間に、細胞集塊の分散は何ら観察されなかった。例3 ホモセリンラクトンOdDHL及びBHLを産生できないP.aeruginosaPAO1変異体は、 野生型P.aeruginosaPAO1のバイオフィルムの複雑な構造に欠けるバイオフィルム を生ずる。野生型P.aeruginosaのバイオフィルムの複雑な構造には、広範な基質 ポリマ、ボイド空間、集塊、吹流し、及び、下層及び細胞集塊内の両方において 個々の生物同士の間にごく小さな間隙があることが挙げられる。 ホモセリンラクトンOdDHL及びBHLを産生できないP.aeruginosaPAO1変異体の生 ずるバイオフィルムは、0.21のSDSによる処置後に、完全に分散して自由に浮遊 する個々の細胞になる。野生型P.aeruginosaのバイオフィルムは0.2%のSDSの添 加による影響を受けない。ホモセリンラクトンOdDHL及びBHLを産生できないP.ae ruginosaPAO1変異体は検出可能な量のウロン酸を産生しな い。野生型P.aeruginosaPAO1は検出可能なウロン酸を産生するが、このウロン酸 は、主要なバイオフィルム基質ポリマであると一般に考えられているアルギン酸 塩(一種のポリウロン酸)の産生を意味すると考えられる。 ホモセリンラクトンOdDHLを産生できないP.aeruginosaPAO1変異体は、内部に 巨大なボイド空間を有する細胞集塊を生ずることが示されている。この現象は、 野生型のP.aeruginosaPAO1で観察されているが、ホモセリンラクトンOdDHL及びD HLを産生しないP.aeruginosaPAO1変異体では観察されていない。 ホモセリンラクトンBHLを産生できないP.aeruginosaPAO1変異体は、野生型の バイオフィルムと同じ態様で処置されたときにバイオフィルムの分散を行なわな い。さらに、これらの変異体バイオフィルムにBHLを添加すると、静止状態に最 大18時間置かれたときこの細菌は分散を行なう。例4 本発明の化合物は、適した量の有効成分を含有する、例えば錠剤、カプセル、 丸剤、粉末、顆粒、座薬、無菌の腸管外溶液又は懸濁液、無菌の非腸管外溶液又 は懸濁液、経口用溶液又は懸濁液、水中油又は油中水乳濁液、等々などの単位用 量形でヒト及び動物に全身投与するための薬学的組成に含めるのに有用である。 局所投与は軟膏、クリーム、ローション、ゼリー、スプレー、潅注液、等々の形 であってもよい。経口投与の場合は、固体又は流体の単位用量型を本発明の化合 物で調製してもよい。本化合物は、組成中約1から99%及び好ましくは約5から 15%の担体又は伝播体を一緒にした当該有効成分の薬学的組成(wt%)に含める のに有用である。 流体又は固体の単位用量型は、経口投与用に容易に調製が可能である。例えば 、式Iの化合物に、リン酸2カルシウム、珪酸アルミニウムマグネシウム、ステ アリン酸マグネシウム、硫酸カルシウム、でんぷん、タルク、ラクトース、アラ ビアゴム、メチルセルロース及び機能的に類似の物質などの従来の成分を薬学的 な賦形剤又は担体として混合することができる。持続放出剤を選択に応じて用い てもよい。カプセルは、本化合物を不活性な薬学的希釈剤に混合し、この混合物 を 適した大きさの硬質ゼラチンカプセルに挿入することにより調製してもよい。軟 質のカプセルが好ましい場合には、本化合物のスラリと、容認可能な植物油、軽 油、又はその他の不活性の油脂とを機械でカプセル化してゼラチンカプセルにす ることができる。 流体の単位用量型の経口投与には懸濁液、シロップ、及びエリキシルを用いる ことができる。油を含む流体製剤は油溶性の型で用いてもよい。例えばコーン油 、ピーナッツ油又は紅花油などの植物油を、着香料、甘味料、及び何らかの保存 剤と一緒に用いれば容認可能な流体製剤となる。界面活性剤を水に加えて流体単 位用量のための乳濁液を形成してもよい。糖、サッカリン又は生物甘味料などの 容認可能な甘味料と、着香料とをエリキシルの形で有するヒドロ・アルコール性 薬学的製剤を用いてもよい。 腸管外及び座薬投与用の薬学的組成はさらに、当業において標準的な技術を用 いても得ることができる。 本発明に基づく化合物の好適な用途は局所剤としてである。本化合物のもう一 つの好適な用途は、火傷及び開放創の治療に特に有用な経皮腸管外抗炎症性薬学 的製剤である。従って、これらの範囲への投与に適した組成は本発明に特に含ま れる。上記の腸管外溶液又は懸濁液は経皮的に投与してもよいが、必要に応じて 、より濃度を高くした遅効性形を投与してもよい。従って、遅効性マトリックス への有効化合物の組込みを経皮的に投与するために実施してもよい。本化合物は 、組成のうち約1から99%で、そして好ましくは伝播体又は担体中約5から15% wt%の有効成分として経皮投与してもよい。 経皮的な治療系は、無損傷の皮膚に塗布したときに、制御された速度で薬剤を 全身の血行に送達するような自給式投薬形である。経皮経路を用いる利点には、 治療効験が高いこと、投薬の頻度が低いこと、時間的経過に対して血液中濃度を 最適にすることにより副作用が軽減されていること、複数回の投薬スケジュール をなくしたことで患者のコンプライアンスが高くなったこと、肝臓の「一次通過 」代謝を迂回することにより胃腸管での不適合を避けて、予測可能かつ長期の作 用が得られること、が含まれる。しかしながら、皮膚の主な機能は化合物が進入 する際の障壁として働くことである。その結果、経皮治療は、これまで、皮膚の 障 壁を通過する拡散にとって好ましい生理化学的性質を有する、限られた数の薬剤 に制限されてきた。皮膚の障壁機能を克服する有効な方法の一つは、透過促進剤 を経皮治療系の製剤に含めることである。Barry,Brian W.:Dermatological Form ulations:Percutaneous Absorption (Dekker,New York,1983);Bronough et al,Pe rcutaneous Absorption,Mechanisms-Methodology-Drug Delivery ,(Marcel Dekke r,New York,NY 1985);及びMonkhouse et al,Transdermal drug deliver problem s and Promises.Drug Dev.Ind.Pharm.14,183-209(1988)を参照されたい。 透過促進剤は、製剤に含めたときに、薬剤に対する皮膚の透過性を一次的に高 めてより多くの薬剤を短時間で吸収させる化学的化合物である。ジメチルスルホ キシド、n-デシルメチルスルホキジド、N,N,-ジメチルアセトアミド、N<Ni-ジメ チルホルムアミド、1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-one(Azone)、プロピレ ングリコール、エタノール、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)などのピロリドン及 び界面活性物質など、異なる種類の透過促進剤がいくつか報告されている。上記 のBronough et al,及びStoughton et al,Azone:a New Non-toxic enhancer of p ercutancous penetration.Drug Dev.Inc.Pharm.,9.725-744(1983)を参照された い。 n-メチル-2-ピロリドンは、水、エチルアルコール、エーテル、クロロホルム 、ベンゼン、酢酸エチル及び二硫化炭素と混和性の可変性の溶媒である。N-メチ ル-ピロリドンは石油精製などの産業処理に溶媒として広く用いられてきたGAFCo rp.:"M-Pyrol(N-methyl-2-pyrrolidone)Handbook.",GAF Corp.,New York,1972。 これは現在、局所及び腸管外の獣医用薬剤中の可溶化剤として用いられているWe lls,D.A.et al:Disposition and Metabolism of Double-Labeled[3H and 14C]N- methy1-2pyrrolidone in the Rat.Drug Met.Disps.,16,243-249(1988)。N-メチ ルピロリドンはさらに、効果的な透過促進剤であることが判明しているBarry et al,Optimization and Bioavailability of Topical Steroids:Penetration Enh ancers Under Occlusion.J.Inv.Derm.,82,49-52(1984);Akter et al,Absorption Through human Skin of Ibuprofen and Flurbiprofen;Effect of Dose variati on,Deposited Drug Films,Occlusion and the Penetration Enhancer N-methyl- 2-pyrrolidone.J.Pharm.Pharmacol.,37,27-37(1984);Holegaard et al,Vesical Effect on Topical Drug Delivery IV Effect of N-methylpyrrolidone and Pol ar Lipids on Percutaneous Transport.Int.J. Pharm.,43 ,233-240(1988);Sugibayashi et al,Effect of Several Penetration Enhancers on the Percutaneous Absorption of Indomethacin in Hairless Rat .Chem.Pharm.Bull.,36,1519-1529(1988);Bennett et al,Optimization of Bioav ailability of Topical Steroids:Non-occluded penetration Enhancers Under Thermodynamic Control.J.Pharm.Pharmacol.,37,298-304(1985);Sasaki et al,E nhancing Effect of Pyrrolidone Derivatives on Transdermal Drug Delivery. 1.Ing.J.Pharm.,44,14-24(1988);lee et al,Toxicity of N-methy1-2-pyrrolido ne(NMP):Tetratogenic,Subchronic and Two-year Inhalation Studies,Fund.App l.,Tox.,9 ,222-235(1987)。 上記及びその他の薬剤が、レザバ中に単独で、又は薬学的担体と共に組み合わ された形で存在していてもよい。本発明の目的にとって容認可能な薬学的担体は 、当該薬剤、ホスト、又は薬剤の送達器具を含む材料に悪影響を与えない、当業 で公知の担体である。適した薬学的担体には、無菌水、生理食塩水、デキストロ ース、デキストロースの水溶液又は生理食塩水溶液、ひまし油1モル当り約30か ら35モルの酸化エチレンを配合したひまし油及び酸化エチレンの縮合物、リキッ ドアシッド、低級アルカノール、脂肪酸、又はホスファチド、例えばレシチン、 等々、のモノ又はジ-グリセリドなどの乳化剤を加えたコーン油、ピーナッツ油 、ごま油、等々などの油脂類、グリコール、ポリアルキレングリコール、懸濁剤 存在下の水生媒質、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸 ナトリウム、ポリ(ビニルピロリドン)、等々が単独で、又はレシチンなどの適 した分散剤を加えたもの、ステアリン酸ポリオキシエチレン、等々が含まれる。 担体にはさらに、保存安定、湿潤、保存安定、乳化剤などのアジュバントを、本 発明の透過促進剤と一緒に含めてもよい。 哺乳類用の効果的用量は、治療しようとする被験体の年齢、体重、活動量又は 状態などの因子に応じて様々であろう。典型的には、本発明に基づく化合物の有 効用量は、一日に1から3回、経口または直腸的に投与するとき、OdDHL化合物 の場合は約2.5μMから50μM、そしてBHLの場合は5から100μM、好ましくは10か ら15μMである。。成人のヒトに対し一日に1又は2回、腸管外、筋肉内又は経 皮的に投与する場合は必要な用量はこれより少ない。 本発明の化合物は、組成のうち約1から99wt%、そして好ましくは約5から35 wt%で局所的に投与してもよい。例5 殺菌用の組成には本発明の組成が含まれるが、好ましくは当業において公知の 界面活性物質の組成が含まれるとよい。これらには、例えば陰イオン界面活性剤 、陽イオン界面活性剤、非イオン系界面活性剤、及び、ドデシル硫酸ナトリウム を含むアソテリック(原語:asoteric)又は両性界面活性剤、四級アンモニウム 化合物、よう化ピリジニウムアルキル、トウィーン80、トウィーン85、トリトン X-100、ブリジ56、生物界面活性剤、ラムノリピド、サーファクチン、及びビス コンシンがあるが、これらに限定されない。殺菌用組成は、排水管、シャワーカ ーテン、グラウト、トイレ及びフローリングを含む、しかしこれらに限らず、殺 菌が必要な公知の区域及び表面に利用してよい。具体的な用途は病院の表面及び 医療器具上である。例6 本発明の組成をコポリマコーティングに調合して製品に殺菌表面を提供しても よい。例7 本発明の化合物を含む歯磨き剤又はうがい剤を、本発明の化合物を公知の歯磨 き剤及びうがい剤に、(ここにその全文を参考文献として編入することとする) Remington's Pharmaccutical Sciences,18th Ed.,Mack Publishing Co.,1990 ,Chapter 109に記載されたように加えることで調合してもよい。歯磨き剤はゲ ル、ペースト、粉末又はスラリとして調合してもよい。歯磨き剤には結合剤、研 磨剤、香料、発泡剤及び湿潤剤を含めてもよい。うがい剤の調製は当業において 公知であり、本発明の化合物をこれらに加えれば有利であろう。 上記の開示から、いくつかの実用的用途が明白である。P.acruginosaでのOdDH L及びBHLの産生、分散、結合又は濃度を、バイオフィルム構造に干渉するように 操作することができる。バイオフィルム構造は、バイオフィルム中の流体及び化 学物質の輸送、流体せん断への耐性、及び複数の種のバイオフィルムへの一体化 を担っていると考えられる。従って、P.aeruginosaが生じた及び生じつつあるバ イオフィルムのOdDHL及びBHLの作用を操作すれば、流体及び化学物質の輸送、流 体せん断への耐性、及び複数の種のバイオフィルムへの一体化に影響を与えられ る可能性のあることが明白となった。 バイオフィルム発達中のホモセリンラクトンOdDHL及びDHLの活性を遮断するこ とにより、0.2%又はそれより高い濃度のSDSを加えればP.aeruginosaのバイオフ ィルムを分散させることができる。SDS以外の洗剤も、同じ作用を持つ可能性が ある。このような処置を何らかの殺菌剤と組み合わせれば、産業、環境及び医療 分野でバイオフィルムを処理する上での効果が著しく向上することであろう。 ホモセリンラクトンOdDHL及びBHLを産生できないバイオフィルム中での基質ポ リマの生成は著しく損なわれているという、より最近の結果は、基質ポリマの生 成にはOdDHLのみが必要であることを示唆している。P.aeruginosaの生ずるバイ オフィルム中の基質ポリマの生成を遮断すれば、これらのバイオフィルム中の基 質ポリマの作用が破壊されるに違いない。これらの作用には、バイオフィルム中 の細胞に対する化学物質及び栄養物質の輸送への干渉、反応化学物質の作用に拮 抗した生成、真核生物による生食からの保護、イオン(特に多価の陽イオン)に 結合するバイオフィルムの能力、免疫系の細胞及び化学物質による攻撃からの防 御、pHの変動からの保護、及び、おそらく、通常のバイオフィルムの発達及び存 続に対する電気的及び/又は磁気的干渉からの保護、が含まれるが、これらに限 定されるものではない。 BHLの添加により、発達後のP.aeruginosaのバイオフィルムでの分散反応が誘 発されるはずである。バイオフィルム細胞にBHLを加えると、バイオフィルムの 基質ポリマ材料を蒸解してバイオフィルム内の細菌を互いに分離させることとな る酵素を、これらの細菌が産生及び/又は放出するはずである。分散後、これら の細菌は、例えば殺生剤、抗生物質、洗剤、放射線、等々の利用など、従来の方 法を用いれば容易に処理できるに違いない。BHL及び/又はBHL類似体をそ れのみで、又は殺菌剤処理と併せて利用することは、発達したバイオフィルムを 破壊する上で、又は、バイオフィルムの発達を防止する上で効果が高いことは間 違いない。このような処理は家庭、産業分野、環境分野及び医療分野でバイオフ ィルムを制御するのに効果的なはずである。 上記の説明及び例の目的は、限定を意味することなく本発明のいくつかの実施 例の実例を挙げることである。当業者であれば、様々な改良および変更を本発明 の精神又は範囲から逸脱することなく本発明の組成及び方法に行なうことができ ることは明白であろう。ここで引用された特許及び公開文献はすべて、その全文 を参考として編入されたものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07D 307/22 C07D 307/22 C (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),AU,CA,J P (71)出願人 ユニバーシティー オブ ロチェスター アメリカ合衆国 14642 ニューヨーク州 ロチェスター(番地なし) (72)発明者 デービス デビット ジー. アメリカ合衆国 モンタナ州 ボーズマン (番地なし) (72)発明者 コスタートン ジョン ウィリアム アメリカ合衆国 モンタナ州 ボーズマン (番地なし) (72)発明者 パーセック マシュー アール. アメリカ合衆国 52245 アイオワ州 ア イオワシティー、メルローズアベニュー 1219 (72)発明者 グリーンバーグ エベレット ピー. アメリカ合衆国 52240 アイオワ州 ア イオワシティー、スチュワートロード 4020 (72)発明者 ピアソン ジェームズ ピー. アメリカ合衆国 94301 カリフォルニア 州 パロアルト、ミドルフィールドロード 1003 (72)発明者 イグレウスキー バーバラ エイチ. アメリカ合衆国 14450 ニューヨーク州 フェアポート、マックコードウッズ 8

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. N-(3-オキソドデカノイル)L-ホモセリンラクトン又はその類似体、及びその 遮断化合物及びブチリルL-ホモ-セリンラクトン又はその類似体のうちのいずれ かから選択されるホモセリンラクトン化合物を含む組成を投与するステップを含 む、バイオフィルムの発達を調節する方法。 2. バイオフィルムの発達を、N-(3-オキソドデカノイル)L-ホモセリンラクトン 又はその類似体を成長中の細菌培養株に加えることにより向上させ及び刺激する 、請求項1に記載の方法。 3. バイオフィルムの発達を、N-(3オキソドデカノイル)L-ホモセリンラクトン 遮断化合物を成長中の細菌培養株に加えることにより防止する、請求項1に記載 の方法。 4. 前記バイオフィルムが、一体化した細菌の群集(>105)集合体細菌により 生ずる、請求項1に記載の方法。 5. バイオフィルム中の細菌細胞の解離及び分散を、ブチリルL-ホモセリンラク トンにより向上させる又は刺激する、請求項1に記載の方法。 6. バイオフィルム中の細菌細胞の解離及び分散を、ブチリルL-ホモセリンラク トンの添加、又は、ブチリルL-ホモセリンラクトンの類似体の添加により向上さ せる又は刺激することができる、請求項1に記載の方法。 7. ブチリルL-ホモセリンラクトン又はその類似体のうちのいずれかから選択さ れるホモセリンラクトン化合物を投与するステップを含む、バイオフィルムの基 質ポリマの発達を防止する方法。 8. 前記バイオフィルムの基質ポリマが、ポリペプチド又はポリサッカリドから 選択される、請求項7に記載の方法。 9. ブチリルL-ホモセリンラクトン又はその類似体のうちのいずれかから選択さ れるホモセリンラクトン化合物を投与するステップを含む、バイオフィルムを分 散させる方法。 10.N-(3-オキソドデカノイル)L-ホモセリンラクトン又はその類似体を含む組成 を有効量投与するステップを含む、バイオフィルム分散を防止する方法。 11.前記バイオフィルムが細菌の生成物である、請求項1に記載の方法。 12.前記バイオフィルムが混合バイオフィルムである、請求項1に記載の方法。 13.前記混合バイオフィルムが、細菌、真菌及びプロトゾアのうちの二つ又はそ れ以上の生成物である、請求項12に記載の方法。 14.前記組成がさらに界面活性剤を含む、請求項1に記載の方法。 15.前記界面活性剤が、ドデシル硫酸ナトリウム、四級アンモニウム化合物、よ う化ピリジニウムアルキル、トウィーン80、トウィーン85、トリトンX-100、ブ リジ56、生物界面活性剤、ラムノリピド、サーファクチン、及びビスコンシン並 びにスルホネートのうちのいずれかから選択される、請求項14に記載の方法。 16.前記方法がさらに、0.2%又はそれより高いSDSによるバイオフィルムの分散 を含む、請求項1に記載の方法。 17.前記バイオフィルムが、ポリウロン酸、ポリサッカリド、ポリペプチド、ア ルギン酸塩及びこれらの混合物のうちの一員を含む、請求項1に記載の方法。 18.前記組成がさらに3-オキソ-N-(テトラヒドロ-2-オキソ-3-フラニル)ヘキサ ンアミドを含む、請求項7に記載の方法。 19.N-(3-オキソドデカノイル)L-ホモセリンラクトン又はその類似体、遮断化合 物及びブチリルL-ホモ-セリンラクトン又はその類似体のうちのいずれかから選 択されるホモセリンラクトン化合物と、担体とを含む、バイオフィルムの発達を 調節するための組成。 20.前記バイオフィルムが細菌の生成物である、請求項19に記載の組成。 21.前記バイオフィルムが混合バイオフィルムである、請求項20に記載の組成。 22.前記混合バイオフィルムが、細菌、真菌及びプロトゾアのうちの二つ又はそ れ以上の生成物である、請求項21に記載の組成。 23.前記組成がさらに界面活性剤を含む、請求項19に記載の組成。 24.前記界面活性剤が、ドデシル硫酸ナトリウム、四級アンモニウム化合物、よ う化ピリジニウムアルキル、トウィーン80、トウィーン85、トリトンX100、ブリ ジ56、生物界面活性剤、ラムノリピド、サーファクチン、及びビスコンシン並び にスルホネートのうちのいずれかから選択される、請求項23に記載の組成。 25.前記組成がさらに、0.2%又はそれより高いSDSによるバイオフィルムの分散 を含む、請求項19に記載の組成。 26.前記バイオフィルムが、ポリウロン酸、ポリサッカリド、ポリペプチド、ア ルギン酸塩及びこれらの混合物のうちの一員を含む、請求項19に記載の組成。 27.N(3-オキソドデカノイル)L-ホモセリンラクトン又はその類似体及び遮断化 合物、並びにブチリルL-ホモ-セリンラクトン又はその類似体のうちのいずれか から選択されるホモセリンラクトン化合物を含む組成を投与するステップを含む 、表面を洗浄する方法。 28.バイオフィルムの発達を、N-(3-オキソドデカノイル)L-ホモセリンラクトン 又はその類似体を成長中の細菌培養株に加えることにより向上させる及び刺激す る、請求項27に記載の方法。 29.バイオフィルムの発達を、N-(3-オキソドデカノイル)L-ホモセリンラクトン 遮断化合物を成長中の細菌培養株に加えることにより防止する、請求項27に記載 の方法。 30.前記バイオフィルムが、一体化した細菌の群集(>105)集合体細菌により 生ずる、請求項27に記載の方法。 31.バイオフィルム中の細菌細胞の解離及び分散を、ブチリルL-ホモセリンラク トンにより向上させる又は刺激する、請求項27に記載の方法。 32.バイオフィルム中の細菌細胞の解離及び分散を、ブチリルL-ホモセリンラク トンの添加、又は、ブチリルL-ホモセリンラクトンの類似体の添加により向上さ せる又は刺激することができる、請求項27に記載の方法。 33.洗浄しようとする表面が、硬質の表面、網目状表面、又は非網目状表面であ る、請求項27に記載の方法。 34.前記洗浄しようとする表面が、トイレの便器、浴槽、排水管、椅子、調理台 、食品表面、空気用ダクト、空調機、カーペット、紙又は布である、請求項27に 記載の方法。 35.ブチリルL-ホモセリンラクトン又はその類似体のうちのいずれかから選択さ れるホモセリンラクトン化合物を含む、火傷患者用の局所用包帯。 36.OdDHLを含む分子群の遮断剤、ブチリルL-ホモセリンラクトン、又はその類 似体のうちのいずれかから選択されるホモセリンラクトン化合物を含む歯磨き剤 。 37.ブチリルL-ホモセリンラクトン又はその類似体あるいはN-(3-オキソド-デカ ノイル)L-ホモセリンラクトン遮断化合物のうちのいずれかから選択されるホモ セリンラクトン化合物を含むうがい剤。 38.ブチリルL-ホモセリンラクトン又はその類似体、あるいはOdDHL遮断化合物 のうちのいずれかから選択されるホモセリンラクトン化合物を有効量含む組成を 投与するステップを含む、う食症を治療及び防止する方法。 39.ブチリルL-ホモセリンラクトン又はその類似体、あるいはOdDHL遮断化合物 のうちのいずれかから選択されるホモセリンラクトン化合物を有効量含む組成を 投与するステップを含む、アクネを治療する方法。 40.ブチリルL-ホモセリンラクトン又はその類似体のうちのいずれかから選択さ れるホモセリンラクトン化合物を有効量含む組成を投与するステップを含む、コ ンタクトレンズを洗浄及び殺菌する方法。 41.ブチリルL-ホモセリンラクトン又はその類似体、あるいはN-(3-オキソド-デ カノイル)L-ホモセリンラクトン遮断化合物のうちのいずれかから選択されるホ モセリンラクトン化合物を有効量含む組成を投与するステップを含む、医療用留 置器具を処置する方法。 42.前記器具がカテーテル、成形外科用器具及びインプラントのうちのいずれか から選択される、請求項44に記載の方法。 43.前記組成が局所用クリーム、経皮用、軟膏又は油を含む、請求項35に記載の 組成。 44.ブチリルL-ホモセリンラクトン又はその類似体のうちのいずれかから選択さ れるホモセリンラクトン化合物を有効量含む微生物殺菌用組成。 45.前記微生物が真菌、プロトゾア、及びグラム陰性細菌のうちのいずれかから 選択される、請求項44に記載の殺菌剤。 46.前記グラム陰性細菌が、Pseudomonadaceae、Azotobacteraceae、Rhizobiace ae、Methylococcaceae、Halobacteriaceae、Acetobacteraceae、Legionellaceae 、Neisseriaceae及びその他の属のうちのいずれかから選択される、請求項45に 記載の殺菌剤。 47.殺生剤又は抗生物質をさらに含む、請求項44に記載の殺菌剤。 48.前記殺菌剤が、排水管、シャワー・カーテン、グラウト、トイレ、床材に適 用される、請求項44に記載の殺菌剤。 49 前記殺菌剤が、スプレー、粉末、及び液体製剤のうちのいずれかから選択さ れる製剤中に含まれる、請求項44に記載の殺菌剤。 50.前記細菌がPscudomonas綱のものである、請求項49に記載の殺菌剤。 51.前記細菌がPseudomonas aeruginosaの種のものである、請求項50に記載の殺 菌剤。 52.ホモセリンラクトン遮断化合物を投与するステップを含む、ホモセリンラク トンの、それらの対応するLasI及びLasRのDNA結合たんぱく産物との結合相互作 用を遮断する方法であって、前記の相互作用の遮断によりバイオフィルム形成が 防がれる、方法。 53.N-(3-オキソドデカノイル)L-ホモセリンラクトン遮断化合物及びブチリルL- ホモセリンラクトン又はその類似体のうちのいずれかから選択されるホモセリン ラクトン化合物を含む組成を投与するステップを含む、汚損を防ぐ方法。 54.前記汚損が、油回収のための圧入井、冷却塔、浄水システム、多孔質の媒質 (土壌、砂)、海洋環境及び病院又は自動車の空調システムのうちのいずれかか ら選択されるシステムにおけるものである、請求項53に記載の方法。 55.N-(3-オキソドデカノイル)L-ホモセリンラクトン遮断化合物及びブチリルL- ホモセリンラクトン又はその類似体のうちのいずれかから選択されるホモセリン ラクトン化合物を環境上の細菌集中状態に投与するステップを含む、細菌の環境 上の集中状態を分散させる方法。 56.−ポリマに共重合させたN-(3-オキソドデカノイル)L-ホモセリンラクトン遮 断化合物及びブチリルL-ホモセリンラクトン又はその類似体のうちのいずれかか ら選択されるホモセリンラクトン化合物を含む殺菌コーティング。 57.前記殺菌剤が排水管、シャワーカーテン、グラウト、トイレ、床材に適用さ れる、請求項56に記載の殺菌コーティング。 58.N-(3-オキソド-デカノイル)L-ホモセリンラクトン又はその類似体を発酵系 に加えるステップを含む、発酵液中のバイオフィルム形成を促進する方法。 59.N-(3-オキソドデカノイル)L-ホモセリンラクトン遮断化合物及びブチリル L-ホモセリンラクトン又はその類似体を含む有利なグラム陽性細菌を枯渇させず にグラム陰性細菌を減少させる特効治療。 60.前記治療が、尿道大腸菌感染症及び膣カンジダ感染症のうちのいずれかから 選択される状態の治療のためのものである、請求項59に記載の方法。 61.N-(3-オキソドデカノイル)L-ホモセリンラクトン遮断化合物及びブチリルL- ホモセリンラクトン又はその類似体のうちのいずれかから選択されるホモセリン ラクトン化合物を投与するステップを含む、中耳感染症(小児)、骨髄炎及び前 立腺炎のうちのいずれかから選択される状態を治療する方法であって、前記ホモ セリンラクトン化合物が、細菌を分散させることにより抗生物質に対するそれら の感受性をより高くする、方法。
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