JP2002512812A - 抗真菌性物質のサッカロミセス・セレビシエ由来の必須遺伝子を用いるスクリーニング法 - Google Patents

抗真菌性物質のサッカロミセス・セレビシエ由来の必須遺伝子を用いるスクリーニング法

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JP2002512812A JP2000546050A JP2000546050A JP2002512812A JP 2002512812 A JP2002512812 A JP 2002512812A JP 2000546050 A JP2000546050 A JP 2000546050A JP 2000546050 A JP2000546050 A JP 2000546050A JP 2002512812 A JP2002512812 A JP 2002512812A
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ディユエルサン アニタ
エンティアン カルルディーター
コエッター ペーター
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、抗真菌性物質をスクリーニングする方法であって、真菌類由来の必須遺伝子若しくは機能的に類似する真菌類遺伝子又は対応するコードされる蛋白質を標的として利用し、必須遺伝子を、YML114c、YLR186w、YLR215c、YLR222c、YLR243w、YLR272c、YLR275w、YLR276c、YLR317w、YLR359w、YLR373c、YLR424w、YLR437c、YLR440c、YML023c、YML049c、YML077w、YML093w、YML127w、YMR032w、YMR093w、YMR131c、YMR185w、YMR212c、YMR213w、YMR218c、YMR281w、YMR288w、YMR290c、YMR211w、YMR049c、YMR134w、YDR196c、YDR299w、YDR365c、YDR396w、YDR407c、YDR416w、YDR449c、YDR472w、YDR499w、YDR141c、YDR324c、YDR325w、YDR398w、YDR246w、YDR236c、YDR361c、YDR367w、YDR339c、YDR413c、YDR429c、YDR468c、YDR489w、YDR527w、YDR288w、YDR201w、YDR434w、YDR181c、YDR531w、YPL126w、YPL093w、YPL063w、YPL024w、YPL020c、YPL012w、YPL007c、YPL233w、YPL146c、YIL091c、YIL083c、YIL019w、YIL109c、YIL104c、YFL024c、YFR003c、YFR027w、YFR042w、YIR010w、YIR015w、YPR048w、YPR072w、YPR082c、YPR085c、YPR105c、YPR112c、YPR137w、YPR143w、YPR144c及びYPR169wよりなる群から選択する当該方法に関係する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、真菌類特にサッカロミセス・セレビシエ(S.セレビシエ)由来の必
須遺伝子並びに他の真菌類由来の機能的に類似の遺伝子又は対応するコードされ
る蛋白質を標的として利用する抗真菌性物質のスクリーニング方法に関係する。
【0002】 公知のカビの感染スペクトルは、皮膚又は爪へのカビの攻撃から潜在的に危険
な内臓の真菌感染に及び;かかる感染及びその結果の病気は、真菌症として知ら
れている。
【0003】 抗真菌性物質(静真菌性又は殺真菌性の物質)が、真菌症の治療に用いられてい
る。しかしながら、現在まで、薬理学的効果を有する物質は、アンホテリシンB
、ナイスタチン、ピマリシン、グリセオフルビン、クロトリマゾール、5−フル
オロ−シトシン及びバトラフェン等、比較的少数である。真菌感染症の薬物治療
は、特に、宿主細胞と真菌類が両方とも真核細胞であるために、極めて困難であ
る。それ故、公知の抗真菌性物質に基づく薬物の投与は、しばしば、望ましくな
い副作用を生じる(例えば、アンホテリシンBは、腎毒性作用を有する)。それ故
、免疫抑制状態での病気の予防処置又は存在する真菌感染症の治療に適した薬物
の製造に用いることのできる薬理学的に有効な物質に対する強い要求がある。そ
の上更に、これらの物質は、治療する宿主生物に影響を及ぼすことなく真菌類の
生育及び繁殖を選択的に阻止するための作用の特異的スペクトルを示すべきであ
る。
【0004】 本発明の目的は、抗真菌性物質を同定するための方法を提供することである。
この方法の本質的特徴は、真菌類由来の必須遺伝子をスクリーニングのための標
的として利用することである。
【0005】 本発明は、それ故、抗真菌性物質をスクリーニングする方法であって、真菌類
由来の必須遺伝子若しくは他の真菌類由来の機能的に類似する遺伝子又は対応す
るコードされる蛋白質を標的として利用し、及び必須遺伝子を下記よりなる群か
ら選択する、上記の抗真菌性物質をスクリーニングする方法に関係する YML114c、YLR186w、YLR215c、YLR222c、YLR2
43w、YLR272c、YLR275w、YLR276c、YLR317w、
YLR359w、YLR373c、YLR424w、YLR437c、YLR4
40c、YML023c、YML049c、YML077w、YML093w、
YML127w、YMR032w、YMR093w、YMR131c、YMR1
85w、YMR212c、YMR213w、YMR218c、YMR281w、
YMR288w、YMR290c、YMR211w、YMR049c、YMR1
34w、YDR196c、YDR299w、YDR365c、YDR396w、
YDR407c、YDR416w、YDR449c、YDR472w、YDR4
99w、YDR141c、YDR324c、YDR325w、YDR398w、
YDR246w、YDR236c、YDR361c、YDR367w、YDR3
39c、YDR413c、YDR429c、YDR468c、YDR489w、
YDR527w、YDR288w、YDR201w、YDR434w、YDR1
81c、YDR531w、YPL126w、YPL093w、YPL063w、
YPL024w、YPL020c、YPL012w、YPL007c、YPL2
33w、YPL146c、YIL091c、YIL083c、YIL019w、
YIL109c、YIL104c、YFL024c、YFR003c、YFR0
27w、YFR042w、YIR010w、YIR015w、YPR048w、
YPR072w、YPR082c、YPR085c、YPR105c、YPR1
12c、YPR137w、YPR143w、YPR144c及びYPR169w
【0006】 この発明の方法の一具体例によれば、必須遺伝子又は機能的に類似の真菌遺伝
子を様々なレベルに発現する真菌細胞を試験すべき物質と共にインキュベートし
て、その物質の生育阻止効果を測定する。
【0007】 他の具体例によれば、前記の標的遺伝子又は対応する標的遺伝子にコードされ
た蛋白質をイン・ビトロで試験すべき物質と接触させて、その物質の標的に対す
る効果を測定する。
【0008】 他の具体例によれば、スクリーニングされた物質は、必須遺伝子の機能的発現
又はそれらのコードされた蛋白質の機能的活性を部分的に又は全面的に阻害する
【0009】 他の具体例によれば、これらの真菌種は、担子菌類、子嚢菌類及び線菌類(Hyp
homycetes)よりなる群から選択される。
【0010】 この発明の方法の他の具体例によれば、前記の機能的類似遺伝子は、カンジダ
種(好ましくは、カンジダ・アルビカンス)由来の又はアスペルギルス種(好まし
くは、アスペルギルス・フミガーツス)由来の必須遺伝子である。
【0011】 上記の方法の更なる具体例によれば、前記の真菌細胞は、一倍体のS.セレビ
シエ細胞である。
【0012】 この発明の方法の特別の具体例によれば、S.セレビシエの必須遺伝子は、調
べるべき遺伝子の遺伝子座における相同組換えによる選択マーカーの組み込みに
より同定される。
【0013】 本発明は又、機能的に類似する遺伝子を下記により同定する上記の方法にも関
係する: a)調べるべきS.セレビシエの遺伝子が、調節されるプロモーターの制御下
で染色体に組み込まれ又は染色体外に存在するS.セレビシエ変異株を用意し、 b)該変異株を、調節されるプロモーターが活性である生育条件下で培養し、 c)この変異株を、異種真菌種から調製して適当なベクターに挿入したcDN
A又はゲノムDNAによりトランスフォームし、 d)培養条件を、調節されるプロモーターがスイッチ・オフされて、機能的に
類似の遺伝子を含むS.セレビシエ細胞のみが生存し得るように変化させ、 e)このcDNA又はゲノムDNAを単離して分析する。
【0014】 こうして、この発明は、第一のステップにおいて、S.セレビシエ由来の必須
遺伝子が同定されることを開示する。この発明は又、他の真菌類由来の必須遺伝
子がS.セレビシエにおいて同定された必須遺伝子から出発して同定されること
をも開示する。S.セレビシエの必須遺伝子を同定するためには、個々のゲノム
の遺伝子を相同組換えにより除去する。そうして除去されたDNAセグメントが
必須遺伝子に関係するものであれば、その欠失は、一倍体型のS.セレビシエ細
胞にとって致死的である。
【0015】 調べるS.セレビシエ遺伝子をマーカー遺伝子で置き換える方法を用いて、S
.セレビシエの対応するゲノムの欠失を生成し、その欠失を含むS.セレビシエ
細胞を測定することができる。
【0016】 選択マーカーとして、例えば、優性選択マーカー(例えば、カナマイシン耐性
遺伝子)又は栄養要求性マーカーを用いることができる。栄養要求性マーカーと
しては、アミノ酸又は核酸塩基合成のキー酵素をコードする遺伝子を利用するこ
とができる。例えば、S.セレビシエ由来の下記の遺伝子を選択マーカーとして
利用することができる:ロイシン(例えば、LEU2遺伝子)、ヒスチジン(例え
ば、HIS3遺伝子)若しくはトリプトファン(例えば、TRP1遺伝子)の代謝
経路をコードする遺伝子又はウラシルの核酸塩基の代謝のための遺伝子(例えば
、URA3遺伝子)。
【0017】 栄養要求性のS.セレビシエ株を用いることができる。これらの栄養要求株は
、対応するアミノ酸又はヌクレオチド塩基を含む栄養培地でのみ生育することが
できる。例えば、栄養要求性マーカーを含むすべての実験室S.セレビシエ株を
用いることができる。二倍体のS.セレビシエ株を用いる場合には、対応するマ
ーカー遺伝子は、ホモ接合的に変異していなければならない。CEN.PK2株
又はその同質遺伝子的誘導体を用いることができる。
【0018】 適当な栄養要求マーカーを含まない株(独立栄養性S.セレビシエ等)も又、利
用することができる。その場合、優性選択マーカー例えば耐性遺伝子(例えば、
カナマイシン耐性遺伝子)を利用することができる。loxP−KanMX−l
oxPカセットは、この目的のために有利に利用することができる。
【0019】 1つのS.セレビシエ遺伝子の全DNA配列又はその部分を置き換える相同組
換えのためには、調べるS.セレビシエ遺伝子の5’及び3’末端に相同な配列
がマーカー遺伝子の5’及び3’末端で隣接しているDNA断片を利用する。
【0020】 対応するDNA断片を調製するために様々な方法を用いることができ、これら
は又、任意の特定のS.セレビシエの遺伝子の欠失のためにも適している。線状
DNA断片が、適当なS.セレビシエ株のトランスフォーメーションのために用
いられる。この断片を、相同組換えによりS.セレビシエゲノム中に組み込む。
これらの方法は、下記を含む: 1.欠失カセットの調製のための「慣用の方法」(Rothstein, R.J. (1983) Me
thods in Enzymology, 101巻、202-211)。 2.PCR技術を用いる「慣用の方法」(「改変した慣用の方法」)。 3.SFH(ショートフランキングホモロジー)−PCR法(Wach, A.等(1994)
Yeast 10:1793-1808;Gultner, U.等(1996) Nucleic Acids Research 24:2519-2
524)。
【0021】 1.S.セレビシエゲノムにおける欠失カセットの調製のための「慣用の方法
」において、調べるべき遺伝子は、適当なベクター中に既に存在するか又はかか
るベクター中に組み込まれる。この方法を用いると、例えば、任意のpBR−、
pUC−及びpBluescript(登録商標)−誘導体を用いることができる
。標的遺伝子配列の主要部は、例えば適当な制限部位を用いてベクターから除去
されるが、ベクター内の調べられる遺伝子の3’−及び5’−領域は保存される
。選択したマーカー遺伝子を、残った領域の間に組み込む。
【0022】 2.この「慣用の方法」の改変形態においては、PCRを利用する。この方法
は、調べるS.セレビシエの遺伝子のコード配列の3’−及び5’−末端領域の
増幅を可能にする。この方法は、調べる遺伝子の両末端領域を選択的に増幅し、
それ故、各調べる遺伝子について2つのPCR反応を行わなければならない(遺
伝子の5’末端を一回増幅し、3’末端を一回増幅する)。増幅された末端DN
A断片の長さは、存在する制限部位に依る。調べる遺伝子の増幅された末端は、
一般に、50〜5000塩基対(bp)の長さを有し、好ましくは、500〜10
00bpの長さを有する。
【0023】 PCR反応のためのテンプレートとしては、S.セレビシエのゲノムDNA又
は野生型遺伝子を用いることができる。プライマー対(各々、センス及びアンチ
センスプライマーよりなる)は、調べるS.セレビシエ遺伝子の3’末端及び5
’末端配列に対応するように構築する。特に、このプライマーは、適当な制限部
位による組込みを可能にするように選択する。
【0024】 ベクターとしては、pBR−、pUC−及びpBluescript(登録商
標)−誘導体を用いることができる。特に、選択マーカーをコードする遺伝子を
既に含んでいるベクターは、適当である。特に、選択マーカーHIS3、LEU
2、TRP1又はURA3の遺伝子を含むベクターを用いることができる。
【0025】 PCRにより得られた調べるS.セレビシエ遺伝子のDNAセグメントを、こ
のベクター中に選択マーカーの両側に組み込み、続いて、「慣用の方法」におけ
るように、選択マーカーが、調べる遺伝子と相同であるDNA配列と両端で隣接
するようにする。
【0026】 3.S.セレビシエにおける相同組換えは非常に効率的に且つ正確な様式で起
き、選択マーカー遺伝子に隣接している調べるS.セレビシエ遺伝子に相同なD
NA配列の長さは、事実上、「改変した慣用の方法」を用いた場合よりかなり短
くてよい。調べるS.セレビシエ遺伝子に相同な隣接する両末端部は、約20〜
60bp(好ましくは、30〜45bp)の長さを与えることを要するだけである
。このSFH−PCR法は、面倒なクローニング工程を不必要にするので、特に
有利である。
【0027】 PCR反応を、使用する選択マーカーの遺伝子を含むDNAテンプレート上で
行い、ここに、プライマーは、センスプライマーのDNA配列が選択マーカー配
列の5’末端に相同であり且つこのプライマーが好ましくは40ヌクレオチドの
領域(調べるS.セレビシエ遺伝子の5’末端配列に対応する)をその5’末端に
更に与えるように構築したものである。アンチセンスプライマーは、同様にして
構築し(即ち、それは、選択マーカーの遺伝子配列の3’末端に相補的である)、
ここに、このプライマーは、その5’末端に、やはり、好ましくは40ヌクレオ
チドの領域(調べる遺伝子の3’末端コード配列の相補鎖に対応する)を含む。
【0028】 調べるS.セレビシエ遺伝子のSFH−PCR法による増幅のためには、栄養
要求マーカー又は選択マーカーの遺伝子を含むベクターを用いることができる。
特に、プラスミドpUG6をテンプレートとして用いることができる。このプラ
スミドは、loxP−KanMX−loxPカセットを含有する(Gultner, U等(
1996) Nucleic Acids Research 24:2519-2524)。換言すれば、カナマイシン耐性
遺伝子は、両端で、loxP配列と隣接している(loxP−KanMX−lo
xP)。このカセットは、カナマイシン耐性遺伝子が、調べるべきS.セレビシ
エ遺伝子中へのloxP−KanMX−loxPカセットの組み込みの後に、最
後にはS.セレビシエゲノムから除去され得るという点において有利である。バ
クテリオファージP1のCre−レコンビナーゼを、この目的のために利用する
ことができる。Cre−レコンビナーゼは、loxP配列を認識して、2つのl
oxP配列の間に位置するDNAの相同組換え過程による除去を誘導する。結果
として、1つのloxP配列だけが残り、いわゆるマーカー再生が起きる(即ち
、このS.セレビシエ株は、loxP−KanMX−loxPカセットを用いて
再びトランスフォームされ得る)。これは、致死的表現型を得るために少なくと
も2つの機能的に類似する遺伝子を欠失させるべき場合に、特に有利である。
【0029】 このPCR法を用いるならば、PCR反応プライマーは、それらの3’末端に
おいて、好ましくは20ヌクレオチド長の配列 (これは、loxP−KanMX
−loxPカセットの左及び/又は右に位置する配列に相同である) であり且つ
5’末端においては、好ましくは40ヌクレオチド長の配列(これは、調べるべ
き遺伝子の両端に相同である)である。
【0030】 これらの3つの方法を用いて、調べるべき遺伝子の相同配列が両側で隣接して
いる選択マーカーをコードする遺伝子を含む線状欠失カセットが得られる。これ
らの欠失カセットを、二倍体のS.セレビシエ株のトランスフォーメーションに
用いる。例えば、二倍体株のS.セレビシエCEN.PK2(Scientific Resear
ch & Development GmbH, Oberursel)を、この目的のために用いることができる
。[CEN.PK2 Mata/MATα ura3−52/ura3−52
leu2−3、112/leu2−3、112his3Δ1/his3Δ1 t
rp1−289/trp1−289 MAL2−8c/MAL2−8c SUC2
/SUC2]
【0031】 このCEN.PK2株を、公知の方法(Gietz, R.D.等(1992) Nucleic Acids R
esearch 8:1425;Guldener, U.等(1996) Nucleic Acids Research 24:2519-2524
)を用いて調製して培養する。
【0032】 用いるS.セレビシエ株の細胞を、公知の方法により、この線状欠失カセット
の適当なDNA量を用いてトランスフォームする(例えば、Sambrook等、1989)。
その後、これらの細胞を培養している培地を、新しい培地、いわゆる選択培地と
交換する{該培地は、対応するアミノ酸(例えば、ヒスチジン、ロイシン又はトリ
プトファン)又は核酸塩基(例えば、ウラシル)を含んでいない}か、又は、カナマ
イシン耐性遺伝子を含む欠失カセットを用いる場合には、ゲネチシン(G418
,登録商標)を含む培地(例えば、ゲネチシンを含有する完全培地(YEPD))と
交換する。或は、トランスフォームした細胞を、対応する培地を用いて調製した
寒天プレート上にプレートすることができる。それにより、相同組換えが起きた
トランスフォーム細胞が選択される(何故なら、これらの改変した条件下では、
それらの細胞しか生育できないから)。
【0033】 しかしながら、殆どの場合には、二倍体S.セレビシエ株の二重の染色体セッ
ト中の遺伝子の2つのコピーの内の一方のみがトランスフォーメーションにおい
て欠失カセットのDNAによって置換され、これは、ヘテロ接合の二倍体のS.
セレビシエ変異株を生成する。該トランスフォーメーションにおいて、調べる遺
伝子の1コピーが選択マーカーにより置換されるが、この遺伝子の他方のコピー
はゲノム中に維持される。これは、必須遺伝子の欠失の場合には、必須遺伝子の
第2のコピーの存在のために、この変異型S.セレビシエ株が依然として生存可
能であるという利点を与える。
【0034】 欠失カセットDNAの予め決めた染色体遺伝子の遺伝子座(調べるべき遺伝子
の遺伝子座)における適当な組み込みを、サザーンブロット分析(Southern, E.M.
(1975) J.Mol.Biol. 98:503-517)により又は特異的プライマーを用いる診断用P
CR分析(Guldener, U.等(1996) Nucleic Acids Research 24:2519-2524)により
チェックすることができる。
【0035】 個々の二倍体細胞の遺伝子分離を、四分子分析によりモニターすることができ
る。この目的のためには、二倍体細胞(特に、ヘテロ接合の変異株)において、公
知の方法例えば酢酸カリウムプレート上での窒素欠乏を用いて還元分裂(減数分
裂)を誘導する(Sherman, F.等(1986) Cold Spring Harbor Laboratory Press, C
old Spring Harbor, N.Y.;Guthrie, C.及びFink, G.R.(1991) Methods in Enzy
mology, 194巻、Academic Press, San Diego, 3-21;Ausubel, F.M.等(1987) Cu
rrent Protocol in Molecular Biology John Wiley and Sons, Inc.,第13章)。
減数分裂は、4つの子嚢胞子(分離されている)を有する子嚢のみを生じる。これ
らの子嚢胞子は、その壁のザイモリアーゼ(Ausubel等(1987))での部分的酵素消
化の後にマイクロマニピュレーター(例えば、SINGER)により分離することができ
る。例えば、四分子分析をヘテロ接合の二倍体変異株(該株では、二重の染色体
セット中に存在する必須遺伝子は、一方の染色体において、相同組換えされてい
る)について行った場合には、2つの分離された子嚢胞子(即ち、必須遺伝子を有
するもの)しか生存できない。残りの2つの分離された子嚢胞子は、必須遺伝子
を欠いているので生存できない。
【0036】 この方法で調べた遺伝子が本当に必須であるかどうか又は相同組換えが調べた
遺伝子の遺伝子座に隣接する必須遺伝子の変化を導くかどうかをチェックするた
めに、ヘテロ接合二倍体のS.セレビシエ変異株を、該調べた遺伝子を含む動原
体プラスミドでトランスフォームする。
【0037】 トランスフォーマントについて四分子分析を行う。2つでなくて4つの生存可
能な分離子嚢胞子が得られた場合には、動原体プラスミドに含まれる調べた遺伝
子は、2つの生存可能でない一倍体S.セレビシエ細胞/変異株の欠損を補完す
ることができ、これは、その調べたS.セレビシエ遺伝子が必須であることを示
している。
【0038】 好ましくは、低コピー数(例えば、細胞当たり1個又は2個)で存在するプラス
ミドを、動原体プラスミドとして用いる。例えば、プラスミドpRS313、p
RS314、pRS315及びpRS316(Sijkorski, R.S.及びHieter, P.(1
989) Genetics 122:19-27)又は類似のプラスミドをこの目的のために用いること
ができる。好ましくは、調べた遺伝子を、それらの3’及び5’末端非コード領
域を含めて該プラスミドに組み込む。
【0039】 個々のS.セレビシエ遺伝子は、上記の方法を用いて調べることができ、それ
らの配列は、全部又は部分的に公知である。S.セレビシエの完全なゲノム配列
は、1996年4月24日に、WWW(World Wide Web)により誰でもアクセスす
ることが可能となった。
【0040】 WWWによってS.セレビシエのゲノムDNA配列にアクセスすることには、
種々の可能性がある。
【0041】 MIPS(Munich information Centre of Protein Sequence) アドレス htt
p://speedy.mips.biochem.mpq.de/mips/yeast/
【0042】 SGD(Saccharomyces Genome Database, Stanford) アドレス http://geno
me-www.stanford.edu/Saccharomyces
【0043】 YPD(Yeast Protein Database, Cold Spring Harbor) アドレス http://w
ww.proteome.com/YPDhome.html
【0044】 完全なS.セレビシエDNA配列は又、欧州においては、FTP(file transf
er protocol)によってもアクセスすることができ(例えば、アドレス:ftp.mips.
embnet.org)、米国(アドレス:genome-ftp.stanford.edu)又は日本(アドレス:f tp.nig.ac.jp )においてもアクセスできる。
【0045】 完全なS.セレビシエのDNA配列は、Natureの臨時増刊号No 387(1997)に公
開された。
【0046】 90個の必須のゲノムS.セレビシエ遺伝子が、この方法により同定された。
これらの必須遺伝子を表1に列記した。表1は、必須遺伝子の系統的遺伝子名(
データバンクで対応するDNA配列にアクセスできる名称に対応する)、必須遺
伝子の欠失ヌクレオチド及びこれらの対応アミノ酸(1位を基準とし、この最後
のものは、ORFの概然的開始コドンATGのAに対応する)を含んでいる。欠
失ヌクレオチドは、遺伝子中で欠失したヌクレオチドに対応し、欠失アミノ酸は
、コードされる蛋白質中で失われたアミノ酸に対応する。更に、aaは、コード
される蛋白質中に存在するアミノ酸の総数に対応する。欠失ヌクレオチドの数は
、必ずしも欠失アミノ酸の数の3倍に相当しない;これは、遺伝子が、コードさ
れるアミノ酸に対する読み枠より大きいという事実により説明される。例えば、
YMR134wは、237aaの蛋白質をコードし、欠失はヌクレオチド5から
始まって(ATGから数える)ヌクレオチド740まで続き、これは、ターミネー
ター領域の部分をも含み、該領域はアミノ酸をコードしていない(それ故、アミ
ノ酸の欠失は、aa2からこの237アミノ酸の蛋白質の最後までである)。更
に、個々の遺伝子若しくはコードされる蛋白質の機能及び/又は他の遺伝子若し
くは蛋白質に対する相同性/類似性に関する利用可能な情報を示してある。遺伝
子の欠失のために適したDNA断片の調製のためのPCR反応に用いたプライマ
ーを表2に示してあるが、S1及びS2は、それぞれ、順方向及び逆向きプライ
マーであり、肉太文字は、個々の遺伝子のヌクレオチドに対応する。
【0047】 表1のデータは、S.レセビシエ遺伝子DNA配列が公知であるという事実に
もかかわらず、今日、これらの遺伝子の機能、特性、これらの遺伝子若しくはそ
れらによりコードされる蛋白質の必須機能に関して非常に僅かのことしか知られ
ていないということをきわだたせている。
【0048】 この方法の一具体例によれば、S.セレビシエの必須遺伝子を用いて、他の真
菌類の対応する機能的に類似の遺伝子を同定する。
【0049】 他の真菌種の機能的に類似する遺伝子とは、S.セレビシエの同定された必須
遺伝子の機能と類似した又は同じ機能を有する遺伝子を意味する。しかし、他の
真菌類の機能的に類似する遺伝子は、配列において、対応する必須S.セレビシ
エ遺伝子と相同である必要はない。他の真菌類の機能的に類似する遺伝子は、ヌ
クレオチドレベルにおいて、対応する必須S.セレビシエ遺伝子に対する中位の
配列相同性だけを示せばよい。中位の配列相同性とは、本発明においては、ヌク
レオチドレベルにおいて、少なくとも50%の、一層好ましくは少なくとも60
%の、最も好ましくは少なくとも70%の配列同一性を有する遺伝子を意味する
【0050】 更には、他の真菌類の機能的に類似する遺伝子は、配列において、必須S.セ
レビシエ遺伝子によりコードされる蛋白質に相同な蛋白質をコードする必要はな
い。他の真菌類の機能的に類似する蛋白質は、必須S.セレビシエ遺伝子により
コードされる蛋白質に対して中位の蛋白質配列相同性を示せばよい。
【0051】 中位の蛋白質配列相同性とは、本発明においては、アミノ酸レベルで、少なく
とも40%の、好ましくは少なくとも50%の、一層好ましくは少なくとも60
%の、最も好ましくは少なくとも70%の配列同一性を有する蛋白質を意味する
【0052】 配列において相同な遺伝子を、公知の方法例えば相同スクリーニング(Sambroo
k, J.等(1989) Molecular Cloning Cold Spring Harbor Laboratory Press, N.Y
.)又は対応する真菌類のゲノムライブラリー及び/又はcDNAライブラリー由
来の特異的プライマーを用いるPCR技術によって単離することができる。
【0053】 一具体例によれば、配列において相同な遺伝子を、cDNAライブラリーから
単離する。他の真菌類の機能的に類似する遺伝子を見出すために、mRNAを、
調べるべき真菌種から公知の方法(Sambrook等、1989)によって単離し、cDNA
を、公知の方法(Sambrook等、1989;又はcDNA合成キット例えばSTRATAGENE)
によって合成する。
【0054】 調製したcDNAを、向きを定めて、適当な発現ベクター中に組み込む。
【0055】 例えば、第1のcDNA鎖の合成を、発現ベクターのプロモーターに関して適
当な向きでその後のクローニングを可能にする適当な制限部位を有するプライマ
ーの存在下で行うことができる。制限部位としては、任意の公知の制限部位を用
いることができる。プライマーとしては、例えば、下記の50ヌクレオチド長の
プライマーを用いることができる:
【化1】 5'-GAGAGAGAGAGAGAGAGAGAACTAGTXXXXXXTTTTTTTTTTTTTTTTTT-3'
【0056】 配列(X)6は、適当な制限部位(例えば、XhoI)を表す。
【0057】 2本鎖の合成の後に、この2本鎖cDNAの粘着性末端を満たし(鈍端化)、次
いで、これらのcDNA末端を、適当なDNAアダプター配列を用いて連結する
。このDNAアダプター配列は、第1のcDNA鎖の合成のためのプライマー中
で用いた制限部位と異なる制限部位を含むべきである。このDNAアダプターは
、例えば、相補的な9量体又は13量体オリゴヌクレオチド(その末端は、制限
部位の粘着性末端を表す)を含んでよい。これらの末端は、例えば、EcoRI
部位であってよい:
【化2】 5’ XXXXXGGCACGAG 3’ 3’ XCCGTGCTC 5’
【0058】 アダプター配列中の一本鎖のXは、制限部位の粘着性末端を表す。
【0059】 対応するアダプター配列と共に用意したcDNAを、次いで、制限エンドヌク
レアーゼ(その認識部位が、第1のcDNA鎖の合成のためのプライマー中で用
いられたもの、例えばXhoI)を用いて開裂させる。こうして得られたcDN
Aは、この例によれば、3’−XhoI及び5’−EcoRI突出末端を有し、
それ故、XhoI及びEcoRIで開裂させた発現ベクター中に向きを定めて組
み込むことができよう。
【0060】 発現ベクターとしては、他のものの内で、大腸菌/S.セレビシエシャトルベ
クター(即ち、大腸菌並びにS.セレビシエ中で用い得るベクター)が、適してい
る。次いで、かかるベクターを、例えば大腸菌内で増幅することができる。発現
ベクターとしては、S.セレビシエ細胞中に高コピー数で存在するもの並びに低
コピー数で存在するものを用いることができる。この目的のためには、例えば、
pRS423−pRS426(pRS423、pRS424、pRS425、p
RS426)及び/又はpRS313−pRS316(pRS313、pRS31
4、pRS315、pRS316)(Sikorki, R.S.及びHieter, P.(1989) Geneti
cs 122:19-27;Christianson T.W.等(1992) Gene 110:119-122)よりなる群から
選択するベクターが適当である。
【0061】 発現ベクターは、適当なS.セレビシエプロモーター及びターミネーターを含
むべきである。それらがこれらのエレメントを有しない場合には、対応するプロ
モーター及びターミネーターを、生成したcDNAの引き続いての組み込みが可
能であり続けるような仕方で挿入する。特に好適なのは、S.セレビシエ遺伝子
MET25、PGK1、TPI1、TDH3、ADHI、URA3のプロモータ
ーである。未改変型の野生型遺伝子のプロモーター並びに、ある種のアクチベー
ター配列及び/又はリプレッサー配列が除去されるような仕方で改変したプロモ
ーターを利用することができる。ターミネーターとしては、例えば、S.セレビ
シエ遺伝子MET25、PGK1、TPI1、TDH3、ADHI、URA3の
ターミネーターが好適である。
【0062】 他の具体例によれば、配列において相同な遺伝子は、ゲノムライブラリーから
単離される。真菌類由来のゲノムDNAライブラリーは、公知の手順に従って調
製することができる(例えば、Current Protocols in Molecular Biology, John
Wiley and Sons, Incに記載のように)。例えば、真菌類由来のゲノムDNAは、
酵母細胞溶解及びゲノムDNAの単離についての公知の方法(例えば、Bio101, I
ncから市販されているキット)を用いて調製することができる。このゲノムDN
Aを、制限酵素例えばSau3AIを用いて部分消化し、断片をアガロースゲル
電気泳動によりサイズで分離する。例えば5〜10kbのサイズを有するDNA
断片を、次いで、古典的方法により(例えば、Bio101から市販されているGene Cl
eanキットを用いて)精製し、適合性末端を与える制限酵素(例えば、Sau3A
Iで切ったゲノムDNAに対するBamHI)により切断した大腸菌/酵母シャ
トルベクター例えばYEP24に挿入する(例えば、Sanglard D.、Kuchler K.、
Ischer F.、Pagani J-L.、Monod M.及びBille J. Antimicrobial Agents and Ch
emotherapy, (1995) Vol.39 No11, p2378-2386に記載されている)。その結果生
成した発現ライブラリーを大腸菌中で増幅させることができる。しかしながら、
ゲノムライブラリーの調製に適した如何なる公知の方法も、本発明において使用
することができる。
【0063】 調べる真菌種において、S.セレビシエの必須遺伝子と機能的に類似する遺伝
子を見出すために、一のS.セレビシエ必須遺伝子を調節されたプロモーターの
制御下に置く(組み込まれた遺伝子(1)又は染色体外遺伝子(2)として)。
【0064】 1.S.セレビシエにおける調節されたプロモーターの組込みのためには、選
択した必須遺伝子の自然のプロモーターを、例えばPCRによる相同組換えによ
って、調節されたプロモーターで置き換える(Guldener等(1996))。PCRによる
相同組換えは、例えば、二倍体のS.セレビシエ株CEN.PK2において行う
ことができる。一染色体への上首尾の組込みは、一倍体細胞において、四分子分
析によりチェックすることができる。
【0065】 四分子分析を用いて、4つの生存可能な子嚢胞子を得る(2つの分離した一倍
体の子嚢胞子においては、選択した必須遺伝子が自然のプロモーターの制御下に
置かれており、他方、残りの2つの分離した子嚢胞子においては、必須遺伝子は
調節されたプロモーターの制御下に置かれている)。
【0066】 最後に挙げた一倍体の分離した子嚢胞子は、組換えベクター中に存在するcD
NA又はゲノムDNAでのトランスフォーメーションに用いる。
【0067】 2.染色体外変法を用いて、選択した必須S.セレビシエ遺伝子を先ず適当な
発現ベクター例えば大腸菌/S.セレビシエシャトルベクターに挿入する。この
目的のために、必須遺伝子を、ゲノムS.セレビシエDNAからのPCRにより
増幅することができる(ATG開始コドン〜終止コドン)。この目的のために用い
るプライマーは、それらが、その後の発現ベクター中の調節されたプロモーター
の制御下への挿入を容易にする適当な制限酵素の認識部位を含むような仕方で構
築することができる。
【0068】 続いて、この組換え発現ベクターを、調節されたプロモーターの制御下の必須
S.セレビシエ遺伝子のプラスミドコピーと共に、対応する変異対立遺伝子のト
ランス相補に用いる。対応する変異対立遺伝子は、表1に列記した必須真菌類遺
伝子(表1の第1欄)を上記のように相同組換えにより部分的に又は全体的に除去
して調製したヘテロ接合の二倍体変異株から選択することができる。
【0069】 選択した必須S.セレビシエ遺伝子を有する発現ベクターを、その選択した必
須S.セレビシエ遺伝子の代わりに選択マーカー遺伝子を有する対応するヘテロ
接合の二倍体変異株にトランスフォームする。これらのトランスフォーマントを
、用いた発現ベクター中に含まれる栄養要求マーカーに基づく選択により単離す
る。こうしてトランスフォームされたヘテロ接合の二倍体変異株を、四分子分析
にかける。4つの生存可能な分離した子嚢胞子が得られる。変異対立遺伝子及び
発現ベクターの対応するマーカーをさかのぼって調べることにより、トランスフ
ォームされた野生型の分離子嚢胞子を、必須遺伝子のゲノムコピーを含まない分
離子嚢胞子から識別することができる。選択した必須遺伝子のゲノムコピーを含
まない分離子嚢胞子は、トランス相補される一倍体変異株として示される。続い
て、それらを、適当なベクター中に存在する他の真菌種に由来するcDNA又は
ゲノムDNAライブラリーによるトランスフォーメーションに用いる。
【0070】 調節されるプロモーターとしては、誘導可能プロモーター又は抑制可能プロモ
ーターを用いることができる。これらのプロモーターは、自然に及び/又は人為
的に配置されたプロモーター配列よりなるものであってよい。
【0071】 調節されるプロモーターとしては、例えば、GAL1遺伝子のプロモーター及
び対応するプロモーター誘導体例えば、それらの異なるUAS(上流活性化配列)
が除去されたプロモーター(GALS、GALL;Mumberg, J.等(1994) Nucleic
Acids Research 22:5767-5768)を用いることができる。調節されるプロモータ
ーとしては、FBP1、PCK1、ICL1等の糖新生遺伝子のプロモーター又
はそれらの部分、例えばそれらの活性化配列(UAS1及び/又はUAS2)又は
抑制配列(URS、上流抑制配列)も又、用いることができる(Niederacher等(199
2),Curr.Genet.22:636-670;Proft等(1995) Mol.Gen.Gent.246:367-373;Schull
er等(1992) EMBO J;11:107-114;Guarente等(1984) Cell 36:503-511)。
【0072】 この仕方で改変されたS.セレビシエ変異株は、必須S.セレビシエ遺伝子が
発現されるように調節されるプロモーターが活性である生育条件下で培養するこ
とができる。これらのS.セレビシエ細胞を、次いで、典型的な量の調べる真菌
種のcDNA又はゲノムDNAを含むライブラリーによってトランスフォームす
る。トランスフォーマントは、コード配列が組換えベクター中に存在する蛋白質
を付加的に発現する。
【0073】 この方法は、生育条件を変化させて、調節されるプロモーターを阻止すること
ができる(選択した必須遺伝子は、このプロモーターの制御下にある)ということ
を企図している。特に、生育条件を、生育培地を交換することにより変更するこ
とができる。例えば、GAL1プロモーター又はその誘導体を用いる場合には、
ガラクトース含有培地(誘導状態)をグルコース含有培地(抑制状態)で置き換える
ことができる。
【0074】 これらの変化させた条件は、組換えベクターが、調べる真菌種の機能的に類似
するゲノムDNA又はcDNAを有しないS.セレビシエ細胞にとって致死的で
ある。対照的に、組換えベクターが、調べる真菌種の機能的に類似するコード配
列を発現するS.セレビシエ細胞は、これらの細胞においては、致死的な代謝欠
損が機能的に類似する遺伝子によりコードされた蛋白質により相補されるので生
存可能である。
【0075】 この方法は、組換えベクター(プラスミド)を、生存しているトランスフォーマ
ントから公知の方法(Strathern, J.N.及びHiggins, D.R.(1991))によって単離す
ることを企図している。プラスミドを、酵母から、大腸菌シャトルベクター中に
回収し(Guthrie, C.及び Fink, G.R. Methods in Enzymology,194巻 Guide to y
east genetic and molecular Biology. Academic Press, San Diego, 319-329頁
)、そのcDNA又はゲノムDNAを、DNA分析法例えばDNA配列決定法(Sa
nger等(1977) Proc.Natl.Acad.Sci. USA 74:5463-5467)を用いて分析する。
【0076】 この方法は、必須S.セレビシエ遺伝子が、他の真菌類の機能的に類似する遺
伝子及び/又は配列において相同な遺伝子(特に、ヒト、動物及び植物に対して
病原性の真菌類の機能的に類似している及び/又は配列において相同な必須遺伝
子)の同定に利用できることを企図している。この目的のために、例えば、藻菌
若しくは真正菌類綱の真菌類、詳細には、サブクラスの担子菌類、子嚢菌類、特
に、半子嚢菌類(酵母)及び不整子嚢菌目(糸状菌)及び裸胞子菌類(gymnascales)(
皮膚及び毛の真菌)、又は糸状不完全菌類のクラス、詳細には、サブクラスの分
生子菌類(conidiosporales)(皮膚の真菌)及び葉状体胞子菌目(出芽又は芽体形成
真菌)を用いることができる(これらの内では、特に、ケカビ、クモノスカビ、コ
クシジオイデス、パラコクシジオイデス(ブラストミセス ブラジリエンシス)、
エンドミセス(ブラストミセス)、アスペルギルス、ペニシリウム(スコプラリオ
プシス)、白癬菌(クテノミセス)、表皮糸状菌、小胞子菌、ピエドライア、ルモ
デンドラム、フィアロフォラ、スポロトリクム、クリプトコッカス、カンジダ、
ゲオトリクム及びトリコスポロン種)。
【0077】 特に興味深いのは、カンジダ種(特に、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・
グラブラタ)、アスペルギルス種(特に、アスペルギルス・フミガーツス)、コク
シジオイデス・イミチス、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、ヒストプラス
マ・カプスラーツム、ブラストミセス・デルマティティディス、パラコクシジオ
イデス・ブラジリエンス及びスポロトリックス・シェンキイの利用である。
【0078】 この方法は、必須真菌類遺伝子を用いて、これらの必須遺伝子の機能的発現及
び/又はコードされる蛋白質の機能的活性を部分的に又は全面的に阻害する物質
を同定することを企図している。真菌類の生育を阻害し、そして抗真菌薬として
(例えば、薬物の製造において)利用することのできる物質を、この様式で同定す
ることができる。
【0079】 この方法の特別の特徴は、必須真菌類遺伝子又は対応するコードされる蛋白質
が、物質のスクリーニングのための標的として利用されるということである。こ
の方法は、必須S.セレビシエ遺伝子並びに他の真菌類の機能的に類似する遺伝
子及び/又は配列において相同な遺伝子又は対応するコードされる蛋白質を標的
として利用することができることを企図している。
【0080】 この発明のスクリーニング方法の一具体例によれば、標的として用いる必須遺
伝子を含む真菌細胞を用意し、これらの細胞を試験すべき物質と共にインキュベ
ートする。この方法により、この必須標的遺伝子に関するのこの物質の生育阻害
効果を測定する。
【0081】 必須標的遺伝子を異なる程度に発現する真菌細胞を使用し、次いで、これらの
細胞を試験すべき物質とインキュベートして、この物質の生育阻害効果を測定す
る。
【0082】 この方法は、2以上の真菌細胞の利用、又はそれらから誘導した株であって必
須標的遺伝子を異なる程度に発現する点において異なる株の利用を包含する。
【0083】 例えば、2、3、4、5、10以上の真菌細胞又は対応する真菌類株を、限定
した濃度で用いた物質の生育阻害効果に関して、比較して分析することができる
。かかる濃度のシリーズを通して、抗真菌性物質を細胞毒性物質又は不活性物質
から識別することができる。
【0084】 この方法の特別の具体例は、スクリーニングのための一倍体真菌細胞/株の、
特に、一倍体S.セレビシエ細胞/株の利用を包含する。
【0085】 この方法は、標的として選択した必須遺伝子の適当な発現ベクターへの組込み
を企図している。
【0086】 発現ベクターとしては、例えば、大腸菌/S.セレビシエシャトルベクターが
好適である。特に、細胞当たりのコピー数の異なるベクターを用いることができ
る。それ故、トランスフォームされたS.セレビシエ細胞中に高コピー数で存在
するベクターを利用することもできるし、低コピー数のものを利用することもで
きる。一具体例は、標的遺伝子のS.セレビシエゲノムへの組込みを可能にする
発現ベクターの利用を包含する。
【0087】 例えば、ベクターpRS423、pRS424、pRS425、pRS426
、pRS313、pRS314、pRS315、pRS316、pRS303、
pRS304、pRS305、pRS306(Sikorki及びHieter, 1989;Christ
ianson等、1992)は、発現ベクターとして好適である。
【0088】 シリーズpRS423〜pRS426のベクターは、細胞当たり約50〜10
0コピーの高コピー数で存在する。対照的に、シリーズpRS313〜316の
ベクターは、低コピー数(細胞当たり1〜2コピー)で存在する。これらの2シリ
ーズからの発現ベクターを用いる場合には、標的遺伝子は、染色体外のコピーと
して存在する。シリーズpRS303〜pRS306のベクターは、標的遺伝子
のゲノムへの組込みを与える。これらの3つの異なる発現ベクター型を用いるこ
とにより、調べる機能的に類似した必須遺伝子を徐々に発現させることができる
【0089】 この方法は、真菌細胞/株に関しての物質の生育阻止効果を、例えば細胞当た
りのベクターのコピー数の異なるベクターを用いて、比較して測定することを含
む。
【0090】 かかる細胞は、必須標的遺伝子を異なる程度に発現することができ、この物質
に関して累進的反応を示すことができる。
【0091】 この方法は又、標的遺伝子の発現ベクター中の特異的な選択したS.セレビシ
エプロモーターとターミネーターの間への挿入によって、異なる真菌細胞におい
て、異なる強度の標的遺伝子発現(調節された過剰発現)を得ることをも包含する
。構成的に(但し、異なる強度で)発現されるS.セレビシエプロモーターが、適
当である。かかるプロモーターの例は、S.セレビシエ遺伝子MET25、PG
K1、TPI1、TDH3、ADH1、URA3、TRP1の自然のプロモータ
ー並びにそれらの対応する誘導体(例えば、特異的アクチベーター及び/又はリ
プレッサー配列を有しないプロモーター誘導体)である。
【0092】 調節されるプロモーターは又、標的遺伝子の累進的な過剰発現にも適している
。GAL1遺伝子の自然のプロモーター及び/又はそれらの対応する誘導体、例
えば、異なるUASエレメントが除去されたプロモーター(GALS、GALL
;Mumberg等(1994) Nucleic Acids Research 22:5767-5768)並びに糖新生遺伝子
のプロモーター例えばプロモーターFBP1、PCK1、ICL1又はこれらの
部分、例えば、それらのアクチベーター配列(UAS1又はUAS2)又はリプレ
ッサー配列(URS)を、対応する活性化可能でない及び/又は抑制可能でない試
験プロモーターにおいて利用する(Schuller等(1992) EMBO J.11:107-114)Guaren
te等(1984) Cell 36:503-511;Niederacher等(1992) Curr.Genet.22:363-370;P
rof等(1995) Mol.Gen.Genet.246:367-373)。
【0093】 発現ベクターにおいては、ターミネーター例えばS.セレビシエ遺伝子MET
25、PGK1、TPI1、TDH3、ADHI、URA3のターミネーター配
列を利用することができる。
【0094】 この方法は、巧妙に選択した発現ベクター型の利用及び/又は適当な発現ベク
ターの調製(結局、異なる強度のプロモーター及び異なって調節されるプロモー
ターを利用)により、一連の発現ベクターを構築することができ、すべては、同
じ標的遺伝子を含むが、異なる程度に標的遺伝子を発現する点において異なって
いるということを含む。
【0095】 この方法は、S.セレビシエの一倍体の野生型細胞における発現ベクターのト
ランスフォーメーションを含む。こうして得られたS.セレビシエ細胞/株を液
体培地中で培養し、異なる濃度の被試験物質の存在下でインキュベートして、こ
の物質の、これらの標的遺伝子を異なる程度に発現する細胞/株の生育具合に対
する効果を比較分析する。この方法は又、標的遺伝子を有しない個々の発現ベク
ター型を用いてトランスフォームした一倍体S.セレビシエ細胞/株を対照用に
利用することをも包含する。
【0096】 この方法は、発現の程度が個々の培地の選択により大いに影響され得るので、
これらの物質のスクリーニングを、調節されるプロモーター特にGAL1プロモ
ーター及びその誘導体(GALS及びGALL)を用いて、異なる培地において行
えるということを包含する。従って、GAL1プロモーターの発現の程度は、次
の様式で増大する:2%ガラクトース>1%ガラクトース+1%グルコース>2
%グルコース。
【0097】 S.セレビシエの野生型細胞の生育を阻害する物質の効果は、他の真菌種の機
能的に類似する遺伝子の過剰発現により、部分的に又は全面的に補われ得る。
【0098】 一具体例によれば、この抗真菌性物質をスクリーニングする方法は、イン・ビ
トロで、必須遺伝子若しくは機能的に類似する遺伝子又は対応するコードされる
蛋白質を試験すべき物質と接触させて、その物質の標的に対する効果を測定する
ことにより実施する。2つの分子の相互作用の測定に適した任意のイン・ビトロ
試験例えばハイブリダイゼーション試験又は機能試験を利用することができる(
例えば、Bergmeyer H.U., Methods of Enzymatic Analysis, VCH Publishersに
詳細に記載されている酵素試験)。もしこのスクリーニングを、コードされた蛋
白質を標的として用いて行うならば、対応する必須遺伝子は、当分野で公知の任
意の適当な方法例えば適当な制限部位を含むプライマーのセットを用いるPCR
増幅(Current Protocol in Molecular Biology, John Wiley and Sons, Inc)に
より大腸菌、バキュロウイルス又は酵母等の発現システムに挿入され、次いで、
発現された蛋白質を当分野で公知の方法により完全に又は部分的に精製する。発
現された蛋白質の精製に適した任意の精製法例えばアフィニティークロマトグラ
フィーを用いることができる。もしこの標的蛋白質の機能が公知であるならば、
抗真菌性物質のこの蛋白質機能に対する効果を測定する機能試験を行うことがで
きる。もしこの蛋白質機能が未知であるならば、標的蛋白質と相互作用し得る物
質(例えば、コードされる蛋白質に結合するもの)を試験することができる。かか
る場合には、標的蛋白質の適当な酵素による酵素消化からの保護等の試験を利用
することができる。
【0099】 この方法は又、必須S.セレビシエ遺伝子に機能的に類似の及び/又は配列に
おいて相同なヒト、動物又は植物に由来する遺伝子の同定をも包含する。この対
応するヒト、動物又は植物遺伝子は、抗真菌性物質がこれらの遺伝子に対する効
果を示すかどうかを試験するための方法において、随意に、標的遺伝子として利
用することができる。
【0100】 この方法の特別の利点は、この方法においては、真菌類の生育を効率的に阻止
する物質が同定され得、又必須S.セレビシエ遺伝子に対応する機能的に類似す
る遺伝子及び/又は配列において相同なヒト、動物又は植物に由来する遺伝子に
対するこれらの物質の影響も測定できるということである。
【0101】 この方法は又、対応する必須真菌類遺伝子に機能的に類似する遺伝子及び/又
は配列において相同なヒト、動物若しくは植物の遺伝子の存在を、例えば、同定
された必須真菌類遺伝子又はその部分のヒト、動物若しくは植物の配列遺伝子(
データバンクで入手可能)との相同性をチェックすることによりチェックする可
能性をも包含する。この方法においては、例えば、目的に応じて、機能的に類似
する遺伝子及び/又は配列において相同なヒト遺伝子の存在しないものを、同定
された必須真菌類遺伝子から、初期ステージにおいて、選択することができる。
【0102】 それにより、この方法は、抗真菌性効果を有するがヒトに対する有害な影響を
有しない物質を選択的に同定する多くの可能性を提供する。
【0103】 例えば、真菌症の治療又は免疫抑制状態における病気予防のための薬物の製造
に用いることのできる物質を同定することができる。これらの物質は、例えば、
エイズや糖尿病等の病気において起きる真菌感染症の治療に用いることのできる
薬物の製造に利用することができる。殺真菌薬の製造、特にヒト及び動物に無害
な殺真菌薬に利用することのできる物質を同定することもできる。
【0104】 その上、この方法は、特異的真菌種の生育のみを選択的に阻止する抗真菌性物
質を同定する可能性を提供する。
【0105】 このスクリーニング方法は、これらの遺伝子が必須であるかどうかを知るのに
十分である(必須遺伝子の機能又はコードされる蛋白質の機能に関する更なる情
報を必要としない)限り、特に有利でありる。更に、それは、多くの遺伝子につ
いてのDNA配列が入手できない他の真菌類中の必須S.セレビシエ遺伝子に機
能的に類似する遺伝子の同定のために特に有利である。
【0106】 実施例 実施例1: PCRを利用する古典的方法(改変した古典的方法)によるORF YML11
4cに対する欠失カセットの調製 1)プラスミドの構築 pBluescript(登録商標)KS+ベクター(Stratagene;この配列は、
Genbank(登録商標)X52327にて入手可能)を、他のプラスミドの調
製のための出発ベクターとして利用する。
【0107】 このベクターを、NotIで開裂させ、次いで、その一本鎖の両端をムングビ
ーンエキソヌクレアーゼとインキュベートすることにより除去する。DNA断片
の再連結により、pKS+ΔNotIベクターを、こうして得る(NotI制限
部位を有しないpBluescript(登録商標)KS+に相当する)。
【0108】 pKS+ΔNotIをPstIとBamHIで開裂させ、後述のpK3/pK
4プライマー対から合成したDNAオリゴヌクレオチドをこの開いたプラスミド
中に連結する。こうして調製したpKS+neuプラスミドは、PstIとBa
mHI制限部位の間に、下記の新規な制限部位NotI、StuI、SfiI及
びNcoIを含む(即ち、PstI−NotI−StuI−SfiI−NcoI
−BamHI)
【化3】 5'-GCGGCCGCAAGGCCTCCATGGCCG-3' PK3
【化4】 5'-GATCCGGCCATGGAGGCCTTGCGGCCGCTGCA-3' PK4
【0109】 S.セレビシエのURA3遺伝子を、下記のように、プライマー対PK9及び
PK10の利用により、Ycplac33ベクターDNA(Gietz, R.D.及びSugi
no, A.(1988) Gene 74:527-534)をマトリクスとして、PCRにより増幅する。
増幅したDNAを、BamHIとNotIで開裂させ、続いて、BamHIとN
otIで開裂させたpKS+neu中に挿入する。こうして得られたプラスミド
をpPK9/10と命名する。
【化5】
【化6】
【0110】 2)欠失カセットの調製 ORF YML114cの5’領域を、下記のように、S.セレビシエのゲノ
ムDNA(テンプレート)及び両プライマーYML114c−Asp718及びY
LM114c−EcoRIを用いるPCRにより増幅した。
【化7】 YML114c−Asp718:5'-GCTGGTACCCGTCGGTCTCTTTACC-3'
【化8】 YLM114c−EcoRI: 5'-TTGGAATTCATTGCCCTTTATGAGTCC-3'
【0111】 続いて、PCR断片を、制限酵素Asp718及びEcoRIで切断した。そ
の結果生成した613BP断片を、Asp718とEcoRIで線状化したpP
K9/10中に挿入して、プラスミドpYML114c−Aを生成した。
【0112】 ORF YML114cの3’領域を、S.セレビシエのゲノムDNA(テン
プレート)及び両プライマーYML114c−BamHI及びYLM114c−
SacIを用いるPCRにより増幅した(後述)。 YML114c−BamHI:5'-ATCGGATCCGCCAACAATGACAGCG-3' YLM114c−SacI: 5'-GTTGAGCTCTGAGCGTTTGTCCTTG-3' そのPCR断片を、続いて、BamHIとSacIにより切断した。その結果生
成した535bpの断片を、により線状化したプラスミドpYML114c−A
に挿入して、pYML114c−Bを生成した。
【0113】 この後者のプラスミドを、Asp178とSacIにより線状化した後に、S
.セレビシエのトランスフォーメーションに用いた。
【0114】 実施例2〜90: 表1に列記した残存遺伝子のための欠失カセットの構築 実施例1に開示した方法を用いて、これらの必須遺伝子の各々の欠失カセット
を、表2に開示したプライマーを用いて構築することができる。
【0115】 実施例91: SEN.PK2株由来のS.セレビシエ細胞を、公知の方法(Gietz等、1992;
Guldener等、1996)に従って、実施例1〜90の線状欠失カセットの各5μgの
DNAを用いてトランスフォームする。このトランスフォーメーション反応培地
を、対応する選択培地上のプレートにプレートする。この方法において、相同組
換えが起きているトランスフォーマントが、それらの細胞しかそれらの改変した
条件下で生育できないので選択される。
【0116】 これらの組換え細胞を、次の条件下で、四分子分析にかけた:還元分裂(減数
分裂)が、公知の方法(Guthrie C.及びFink,G.R.(1991) Methods in Enzymology,
194巻、Academic Press, San Diego)を用いて、ヘテロ接合の変異株において誘
導された。その結果生じた子嚢を、子嚢胞子壁を消化するザイモリアーゼを用い
る部分酵素消化にかけ、マイクロマニピュレーター(SINGER Instruments)を用い
て分離した。この分析は、上述の90遺伝子すべてがS.セレビシエの生育にひ
っすであることを示した。
【0117】 本発明は又、一層特に、下記の遺伝子にも適用される:YML114c、YL
R186w、YLR215c、YLR222c、YLR243w、YLR272
c、YLR275w、YLR276c、YLR317w、YLR359w、YL
R373c、YLR424w、YLR437c、YLR440c、YML023
c、YML049c、YML077w、YML093w、YML127w、YM
R032w、YMR093w、YMR131c、YMR185w、YMR212
c、YMR213w、YMR218c、YMR281w、YMR288w、YM
R290c、YMR211w、YMR049c、YMR134w、YDR196
c、YDR299w、YDR365c、YDR396w、YDR407c、YD
R416w、YDR449c、YDR472w、YDR499w、YDR141
c、YDR324c、YDR325w、YDR398w、YDR246w、YD
R236c、YDR361c、YDR367w、YDR339c、YDR413
c、YDR429c、YDR468c、YDR489w、YDR527w、YD
R288w、YDR201w、YDR434w、YDR181c、YDR531
w、YPL126w、YPL093w、YPL063w、YPL024w、YP
L020c、YPL012w、YPL007c、YPL233w、YPL146
c、YIL091c、YIL083c、YIL019w、YIL104c、YF
L024c、YFR003c、YFR027w、YFR042w、YIR010
w、YPR048w、YPR072w、YPR082c、YPR085c、YP
R105c、YPR112c、YPR137w、YPR143w、YPR144
c及びYPR169w。
【0118】
【表1】
【0119】
【表2】
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,Z A,ZW (72)発明者 ペーター コエッター ドイツ連邦共和国 デー61440 オベルル ゼル、インデュストリシュトラーセ 3ア ー Fターム(参考) 4B063 QA06 QA18 QQ07 QQ42 QQ98 QR32 QR48 QR59 QR62 QR76 QS25 QS38

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抗真菌性物質をスクリーニングする方法であって、真菌類由
    来の必須遺伝子若しくは機能的に類似する真菌遺伝子又は対応するコードされる
    蛋白質を標的として用い、必須遺伝子を下記よりなる群から選択する当該方法: YML114c、YLR186w、YLR215c、YLR222c、YLR2
    43w、YLR272c、YLR275w、YLR276c、YLR317w、
    YLR359w、YLR373c、YLR424w、YLR437c、YLR4
    40c、YML023c、YML049c、YML077w、YML093w、
    YML127w、YMR032w、YMR093w、YMR131c、YMR1
    85w、YMR212c、YMR213w、YMR218c、YMR281w、
    YMR288w、YMR290c、YMR211w、YMR049c、YMR1
    34w、YDR196c、YDR299w、YDR365c、YDR396w、
    YDR407c、YDR416w、YDR449c、YDR472w、YDR4
    99w、YDR141c、YDR324c、YDR325w、YDR398w、
    YDR246w、YDR236c、YDR361c、YDR367w、YDR3
    39c、YDR413c、YDR429c、YDR468c、YDR489w、
    YDR527w、YDR288w、YDR201w、YDR434w、YDR1
    81c、YDR531w、YPL126w、YPL093w、YPL063w、
    YPL024w、YPL020c、YPL012w、YPL007c、YPL2
    33w、YPL146c、YIL091c、YIL083c、YIL019w、
    YIL109c、YIL104c、YFL024c、YFR003c、YFR0
    27w、YFR042w、YIR010w、YIR015w、YPR048w、
    YPR072w、YPR082c、YPR085c、YPR105c、YPR1
    12c、YPR137w、YPR143w、YPR144c及びYPR169w
  2. 【請求項2】 必須遺伝子又は機能的に類似する真菌遺伝子を異なるレベル
    に発現する真菌細胞を試験すべき物質と共にインキュベートし、その物質の生育
    阻害効果を測定する、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記の標的遺伝子又は対応するコードされる標的の蛋白質を
    試験すべき物質とイン・ビトロで接触させ、その物質の標的に対する効果を測定
    する、請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 スクリーニングされた物質が、必須遺伝子の機能的発現又は
    コードされる蛋白質の機能的活性を部分的又は全面的に阻害する、請求項1〜3
    の何れか1つに記載の方法。
  5. 【請求項5】 真菌種を担子菌類、子嚢菌類及び線菌類よりなる群から選択
    する、請求項1〜4の何れか1つに記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記の機能的に類似する遺伝子が、カンジダ種又はアスペル
    ギルス種由来の必須遺伝子である、請求項1〜5の何れか1つに記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記の機能的に類似する遺伝子が、カンジダ・アルビカンス
    又はアスペルギルス・フミガーツス由来の必須遺伝子である、請求項6に記載の
    方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7の何れか1つに記載の方法であって、機能的に
    類似する遺伝子を下記により同定する当該方法: a)調べるべきS.セレビシエの遺伝子が、調節されるプロモーターの制御下
    で染色体に組み込まれ又は染色体外に存在するS.セレビシエ変異株を用意し、 b)該変異株を、調節されるプロモーターが活性である生育条件下で培養し、 c)この変異株を、調べるために真菌種から調製して適当なベクターに挿入し
    たcDNA又はゲノムDNAによりトランスフォームし、 d)培養条件を、調節されるプロモーターがスイッチ・オフされて、機能的に
    類似の遺伝子を含むS.セレビシエ細胞のみが生存し得るように変化させ、 e)このcDNA又はゲノムDNAを単離して分析する。
  9. 【請求項9】 機能的に類似する遺伝子が、ヌクレオチドレベルにおいて、
    対応するS.セレビシエ必須遺伝子と少なくとも50%の、好ましくは少なくと
    も60%の、最も好ましくは少なくとも70%の配列同一性を有する、請求項8
    に記載の方法。
  10. 【請求項10】 機能的に類似する遺伝子が、アミノ酸レベルにおいて、対
    応するS.セレビシエ必須遺伝子にコードされる蛋白質と少なくとも40%の、
    好ましくは少なくとも50%の、一層好ましくは少なくとも60%の、最も好ま
    しくは少なくとも70%の配列同一性を有する蛋白質をコードする、請求項8に
    記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記の真菌細胞が、一倍体のS.セレビシエ細胞である、
    請求項1〜10の何れか1つに記載の方法。
  12. 【請求項12】 S.セレビシエの必須遺伝子が、調べるべき遺伝子座にお
    ける相同組換えによる選択マーカーの組込みにより同定される、請求項1〜4の
    何れか1つ又は請求項11に記載の方法。
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