JP2002512259A - 組換えヘパリン結合性上皮成長因子様成長因子(hb−egf)による間質性膀胱炎の治療方法 - Google Patents

組換えヘパリン結合性上皮成長因子様成長因子(hb−egf)による間質性膀胱炎の治療方法

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JP2002512259A
JP2002512259A JP2000545002A JP2000545002A JP2002512259A JP 2002512259 A JP2002512259 A JP 2002512259A JP 2000545002 A JP2000545002 A JP 2000545002A JP 2000545002 A JP2000545002 A JP 2000545002A JP 2002512259 A JP2002512259 A JP 2002512259A
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キアイ,スーザン
ウォレン,ジョン
ヒス,マイケル
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ユニバーシティ・オブ・メリーランド, ボルティモア
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Abstract

(57)【要約】 間質性膀胱炎(IC)はその病因がわからず確実に有効な治療法がない慢性膀胱疾患である。しかしICでは膀胱上皮がしばしば異常であることが知られている。我々は、正常な対照被験者とIC患者のどちらから得たヒト膀胱上皮細胞も、IC尿標本中に存在する増殖抑制因子(APF)によって増殖が阻害されることを発見した。阻害された増殖は、膀胱上皮の潰瘍形成や多数の断裂などといったICに特有の上皮異常を引き起こしうる。さらに我々は、1)上皮細胞増殖と創傷治癒に重要であることが他の組織で知られている因子、ヘパリン結合性上皮成長因子様成長因子(HB-EGF)のレベルが、無症状対照被験者または急性細菌性膀胱炎患者と比較して、ICに罹っている患者の尿では異常に低いこと、2)IC尿標本中に見いだされるAPFが膀胱上皮細胞によるHB-EGFの産生を阻害すること、および3)rHB-EGFの投与がIC患者または対照被験者から採取された膀胱上皮細胞に対するAPFの効果を遮断することを発見した。本発明は、膀胱細胞増殖に対するAPFの効果を阻害し、それによって膀胱上皮への慢性的損傷を軽減または排除するために、HB-EGFまたはその機能的誘導体もしくはアゴニストを膀胱上皮細胞に投与することに向けられる。HB-EGFまたは機能的誘導体は、ICまたは上皮細胞増殖の阻害を特徴とする他の疾患に罹っている患者の治療法として使用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 関連出願の説明 本願は1998年4月17日に出願された仮出願第60/082,070号に優先権を主張する
。また本願は、1997年6月30日に出願された同時係属中の米国仮特許出願第60/05
1,458号(発明の名称:「Concentrations of Heparin Binding Epidermal Growt
h Factor in the Urine of Intestinal Cystitis Patients and Controls(間質
性膀胱炎患者と対照被験者の尿におけるヘパリン結合性上皮成長因子の濃度)」
)と1997年10月3日に出願された係属中の非仮米国特許出願第08/944,202号(発
明の名称:「A Novel Anti-proliferative Factor from Patients with Interst
itial Cystitis(間質性膀胱炎患者由来の新規増殖抑制因子)」に関係する。
【0002】 後援 本発明の開発は、メリーランド大学ボルチモア校(メリーランド州)、フィッ
シュバイン財団(Fishbein Foundation)および間質性膀胱炎協会(Interstitia
l Cystitis Association)の援助を得て行なわれた。
【0003】 発明の分野 本発明の分野は、概して、ヘパリン結合性上皮成長因子様成長因子(HB-EGF)
またはその機能的誘導体を用いて上皮細胞増殖を刺激することによる、膀胱上皮
異常を特徴とする疾患の治療に関する。具体的に述べると、本発明の分野は、間
質性膀胱炎(IC)患者の尿中に見出される低分子量増殖抑制因子によって起こる
膀胱上皮細胞増殖の阻害を組換えHB-EGFを使って克服する間質性膀胱炎の治療に
関する。
【0004】 発明の背景 間質性膀胱炎(IC)は、その病因がわかっていない膀胱の慢性炎症性疾患であ
る。ICは痛み、尿意切迫、頻尿と、点状出血(糸球形成(glomerulation))ま
たは固有層に及ぶ潰瘍(ハンナー潰瘍)を含む膀胱鏡検査異常を伴って、急激に
発症することが多い1,2。ICの急激な発症後は、部分的な緩解と再憎悪を伴う慢
性の経過をたどり、これは長ければ30年間にわたって続きうる1,2。特異的原因
がなくその病因が理解されていないため、現在のところ、一般に認められた治療
法で確実に有効であることが判明しているものはない。
【0005】 様々なグループがICを研究し、その原因について推測している。提案された病
因には、感染、アレルギー障害または免疫障害、内分泌障害、有毒な尿中化学物
質、欠損した移行粘膜、精神障害、神経性障害、リンパ管閉塞、血管閉塞がある
。提案された治療法には、ポリ硫酸ペントサン、抗炎症薬または免疫抑制薬療法
、筋弛緩薬、抗ヒスタミン薬、鎮痛薬がある。これらのうち、ポリ硫酸ペントサ
ンだけがFDAによって認可されている。しかし、提案された治療法は、ポリ硫酸
ペントサンを含めて、いずれも普遍的に受けられているわけではなく、普遍的に
有効なわけでもない。そのため、誤解されしばしば誤診されるこの障害の適切な
治療法が、長い間必要とされてきた。
【0006】 ICの形態学的組織学的特徴のいくつかは、膀胱ムチン層の変化6、膀胱上皮の
裸出または菲薄化と粘膜の破壊3-5,7、およびタム・ホースフォールタンパク質
などの尿タンパク質の尿路上皮内浸潤8の証拠を示し、通常この疾患では上皮が
異常であることを示唆している。また、膀胱上皮細胞の活性化は、ICでは、特定
の細胞タンパク質の発現が変化していて9、異常であるようにみえる。これらの
変化はICの慢性的性質と併せて、正常な膀胱上皮の再生障害の可能性を示唆して
いる。先に行なった実験で、我々は培養正常成人膀胱上皮細胞の増殖を阻害する
1〜3kDaペプチドをIC患者の尿中に発見し、これがこの障害の病因に関係するか
もしれないことを示唆した(同時係属出願第08/944,202号を参照されたい)。以
下、このペプチドを増殖抑制因子またはAPFという。
【0007】 無傷の生後尿路上皮はきわめてゆっくりと再生するが、損傷に反応して組織再
生が起こる際には尿路上皮細胞の迅速な増殖が生体内で起こりうる10。膀胱上皮
細胞に関する既存の限られたデータは、それらの増殖と分化が、他のタイプの上
皮細胞と同様に、特異的なパラクリンまたはオートクリン成長因子類とそれらの
調節タンパク質の影響を受けることを示唆している10-21。正常ヒト尿中に存在
することが知られている上皮細胞成長因子には、上皮成長因子(EGF)、インシ
ュリン様成長因子(IGF)、インシュリン様成長因子結合タンパク質(IGFBP)、
ヘパリン結合性上皮成長因子様成長因子(HB-EGF)、血小板由来成長因子(PDGF
-AおよびB)、線維芽細胞成長因子(FGF1および2)およびトランスフォーミング
成長因子β(TGFβ)がある。主として肉厚のヘンレ係蹄上行脚と遠位尿細管中
の細胞によって産生されるEGFは22、尿中に高濃度で存在し、マウス膀胱上皮細
胞の増殖をインビトロで刺激できる(しかし必要とはされない)23。IGF1とIGF2
は腎臓細胞と膀胱細胞の両方が産生し、膀胱上皮細胞の増殖に必要とされるよう
である10,21,24。ヒト尿中に見出され、IGF1とIGF2の活性を調節できる主要なIG
FBPは、IGFBP-2とIGFBP-3である25。HB-EGFもヒト膀胱上皮細胞によって産生さ
れることが知られており、それらの成長をインビトロで刺激できる26,27。これ
に対し、最新のデータは、PDGF、FGFおよびTGFβが膀胱上皮細胞の移動および/
または分化に影響を及ぼすことを示唆しているが、細胞増殖におけるそれらの役
割は今なおはっきりしていない10,21
【0008】 外因的に適用された成長因子は上皮創傷の修復を刺激できる11-13。ICは組織
学的には上皮異常を特徴とし、またICに見られる粘膜欠損は基底未分化細胞とそ
れらの増殖因子レセプターの尿中成長因子へのばく露をもたらすので、我々は、
膀胱上皮細胞増殖を刺激するHB-EGFなどの尿中成長因子のレベルが異常に低いこ
とが、膀胱上皮創傷の修復に悪影響を及ぼし、ICの病因の一部になりうるのだろ
うと推論した。
【0009】 我々は、ICを持つ女性、膀胱疾患を持たない無症状対照女性および細菌性膀胱
炎による急性かつ自己限定性の膀胱上皮損傷を持つ女性で、HB-EGFの尿レベルを
測定した。我々は、HB-EGFの尿レベルがIC患者の尿で特異的かつ有意に低下する
ことを発見した(同時係属出願第60/051,458号を参照されたい)。さらに、1)I
C尿は初代ヒト膀胱上皮細胞によるHB-EGF産生をインビトロで特異的に阻害する
低分子量増殖抑制因子(APF)を含有することと、2)IC尿標本由来のAPFによっ
て起こる膀胱上皮細胞増殖の阻害をその細胞培地への組換えHB-EGFの添加によっ
て遮断できることが、最近のデータによって示されている。
【0010】 上に述べたことから、我々は、1)IC尿由来の低分子量因子(APF)は膀胱上皮
細胞によるHB-EGF産生を阻害し、2)HB-EGFを治療薬として使用することでAPFが
存在する状態での膀胱上皮細胞の増殖を刺激することができ、それによってICを
効果的に治療できると結論した。
【0011】 発明の要約 本発明の目的は、ほとんどのIC尿標本に存在する増殖抑制活性を阻害すること
ができるヘパリン結合性上皮成長因子様成長因子(HB-EGF)または同じ機能的活
性と能力を持つその類似体、変種または誘導体を使用して、上皮細胞増殖(具体
的には膀胱上皮細胞増殖)の阻害に関係する疾患(より具体的には間質性膀胱炎
(IC))の確実に有効な治療法を提供することである。
【0012】 本発明のさらにもう一つの目的は、HB-EGFまたはHB-EGF産生を刺激するか、そ
の活性を模倣する薬剤を、望ましい増殖抑制の阻害または細胞増殖の刺激を与え
るのに適した形態で、損傷した上皮細胞に投与することである。その形態は外因
的適用または内因的適用に適したものでありうる。その形態は局所適用または局
所外用に適したもの、例えば組織の表面に適用できる液体、クリーム、軟膏、坐
剤またはゲルなどでありうる。もう一つの選択肢として、その形態は全身投与に
適したもの、例えば経口または非経口製剤などであってもよい。投与は不連続な
投薬の形でも、連続送達が可能な形でも行いうる。
【0013】 本発明のさらにもう一つの目的は、HB-EGFのアゴニスト、または対象でのHG-E
GFの効力を増加させる薬剤を投与することである。本明細書に詳述するように、
HB-EGFのアゴニストとは、HB-EGFの機能の効力を増加させる能力を持つ任意の化
合物であり、例えばその対象によるHB-EGFの合成を促進する薬剤などが含まれる
【0014】 本発明のさらにもう一つの目的は、HB-EGFの抗イディオタイプ抗体または類似
体、またはHB-EGF活性を模倣する薬剤、もしくはそれらの組合せを、そのような
処置を必要とする対象に投与することである。
【0015】 詳細な説明 間質性膀胱炎(IC)はその病因がわからず有効で確実な治療法がない慢性膀胱
疾患である。ICでは膀胱上皮がしばしば異常を示す。したがって我々はヘパリン
結合性上皮成長因子様成長因子(HB-EGF)などの上皮成長因子のレベルが膀胱上
皮増殖にとって重要かもしれないと推論した。ICを持つ女性、膀胱疾患を持たな
い無症状対照女性および細菌性膀胱炎による急性かつ自己限定性の膀胱上皮損傷
を持つ女性から採取した尿標本中のヘパリン結合性上皮成長因子様成長因子(HB
-EGF)と他の成長因子のレベルをELISAで測定した。アッセイした他の成長因子
の、IC患者の尿におけるレベルは、正常対照被験者および細菌性膀胱炎対照被験
者の尿と比較して、わずかに上昇していることがわかった(図2〜4参照)。しか
し、尿HB-EGFレベルは、濃度(尿1体積あたりの量)で表しても、各標本中の尿
クレアチニンに対する相対量で表しても、無症状対照被験者または細菌性膀胱炎
患者と比較してIC患者では特異的かつ有意に減少していた(図1参照)。これら
の知見は、IC患者の尿におけるHB-EGFレベルの特異的かつ有意な減少を含む尿中
成長因子のレベルの複雑な変化が、ICに関係することを示している(同時係属出
願第60/051,458号を参照されたい)。
【0016】 ヒト膀胱上皮細胞はHB-EGFを産生することが知られている26。したがってIC尿
の存在下に血清飢餓条件で起こるインビトロでのそれらの増殖の阻害は、IC尿中
の何らかの因子によって引き起こされるHB-EGF産生の調節不全に関係するのかも
しれない。我々の実験データは、IC患者の尿からHPLCで精製された低分子量(<
3kDa)画分(この画分は膀胱細胞増殖を阻害することが知られているAPFを含む
)の存在下で、膀胱上皮細胞によるHB-EGFのインビトロ産生量が特異的に減少す
るのに対し、EGF、IGF1および成長因子結合タンパク質(IGFBP3)などの他の成
長因子の産生量は増加することを示している。これらの知見は、膀胱上皮細胞に
よる特定のオートクリン成長因子の合成または異化が、APFによって調節される
ことを示している。また、膀胱上皮細胞に対するIC尿標本の増殖抑制効果は組換
えHB-EGFまたはそのアゴニストを細胞培地に添加することによって遮断もしくは
阻害できると考えられる。
【0017】 上記の情報を得た我々は、IC尿の増殖抑制活性を遮断するというHB-EGFの能力
をアッセイすることにした。ここに記載するデータは、IC尿標本由来のAPFによ
って起こる膀胱上皮細胞増殖の阻害を、細胞培地への組換えHB-EGFの添加によっ
て遮断できることを示している。HB-EGFはAPFのアンタゴニストとして作用する
ようである。したがって我々のデータは、これがICの治療に有効な治療薬として
使用できることを示唆している。
【0018】 I.IC患者標本および対照標本中のHB-EGFのレベルの測定 A.材料と方法 患者 IC患者は、医師、国立糖尿病消化器疾患腎臓病研究所および間質性膀胱炎協会
によって照会された。IC患者は全員、過去に診断用の膀胱鏡検査を受けたことが
あり、ICに関するNIDDK診断基準28を満たしていた。メリーランド大学医学部で
行なわれた予備試験では、最近のわかっている細菌尿路感染症から少なくとも3
ヶ月、最後の抗生物質使用から少なくとも1ヶ月を経たIC患者から尿を収集した
。年齢人種性別対応対照被験者は、ICや他の泌尿器疾患の病歴を持たないボラン
ティアとした。各対照患者には、最近1ヶ月間に尿路感染症の症状または抗生物
質使用がないことを要求した。追加研究のためにペンシルヴェニア大学で収集さ
れた尿標本は、IC管理のための定期的な診療室訪問時に採取された。急性細菌性
膀胱炎を持つ患者は、細菌尿(単離される単一のタイプの細菌について>103
菌/ml)と膿尿の有無により、適当な症状と組み合わせて、メリーランド大学医
学部とメリーランド大学カレッジパーク校で同定された。15人の患者のうち12人
が>105細菌/mlだった。参加者は全員が少なくとも18歳であり、メリーランド大
学医学部、メリーランド大学カレッジパーク校およびペンシルヴェニア大学の施
設内審査委員会のガイドラインに従って登録された。
【0019】 尿標本と血清標本 尿は、各患者が陰唇部を10%ポビドンヨード/滴定ヨウ素1%溶液[Clinidine
(製品名)(コネティカット州ギルフォード)]で拭った後、滅菌容器に中間尿
を集めるという無菌的採取法によって収集された。予備試験用にメリーランド大
学で採取された標本(IC患者、年齢人種性別対応対照被験者、および細菌性膀胱
炎患者)はまず4℃で保存した後、研究室に輸送され、そこで細胞破壊片を4℃に
おける低速遠心分離によって除去した。確認試験のためにペンシルヴェニア大学
(IC患者のみ)とメリーランド大学カレッジパーク校(細菌性膀胱炎患者のみ)
で採取された標本は最長4週間まで−20℃で凍結された後、メリーランド大学医
学部に氷冷して輸送された。血液標本はメリーランド大学で患者から標準バキュ
テイナー(Vacutainer)管に採取され、室温で凝固させた後、血清を取り出した
。次に全ての標本を滅菌条件下に小分けした。尿は−80℃で保存し、血清は−20
℃で使用時まで保存した。
【0020】 ELISA 1)HB-EGF(図1A、1Bおよび11A) 臨床標本中のHB-EGFのレベルをアッセイするために、96穴イムロン(Immulon
) IIプレート(Dynatech Laboratories社、バージニア州シャンティイ)の各ウ
ェルを200λの尿または血清を使って4℃で一晩コーティングした。リン酸緩衝液
で5回洗浄した後、そのプレートを5%ウシ胎仔血清/1mM EDTA/0.05% Tween 20
のPBS溶液でブロッキングした。抗HB-EGF抗体(1μg/ml)(R & D Systems社、
ミネソタ州ミネアポリス)を加え、プレートを37℃で2時間インキュベートした
。さらに5回洗浄した後、ビオチン化抗ヤギIgG/アビジンDセイヨウワサビペルオ
キシダーゼを加え、プレートを室温で1.5時間インキュベートし、洗浄し、ABTS
[2,2'-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸)]基質で発色さ
せた。405nmでの吸光度を読み取った。
【0021】 2)EGF(図2A、2Bおよび11B) EGFレベルを測定するために、IC患者と対照被験者から採取した尿または血清
をRD5E希釈液に1:200〜1:300希釈し、製造者の説明(R & D Systems社、ミネソ
タ州ミネアポリス)に従ってモノクローナル抗EGF抗体でプレコーティングした
ウェルにピペットで入れた。室温で4時間インキュベートした後、プレートをリ
ン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄し、さらにHRP結合ポリクローナル抗EGFと共にイ
ンキュベートし、洗浄し、テトラメチルベンジジン(TMB)基質で発色させた。
発色は0.2M H2SO4で停止させた。
【0022】 3)IGF1(図3Aおよび3B) 総IGF1レベルもELISAによって測定した(Diagnostic Systems Laboratories社
、テキサス州ウェブスター)。これらの測定を行なうための尿は、公表された推
29に従って、凍結乾燥とHClエタノール溶液によって30倍に濃縮された。室温
で30分間のインキュベーション後に、試料を10,000rpmで3分間遠心分離して不溶
性物質を除去し、上清を中和用緩衝液でpH7に中和した。中和抽出された試料を
抗IGF HRPコンジュゲートと共にウェルに入れ、プレートを室温で2時間インキュ
ベートした。洗浄後、プレートをTMB色原体溶液で発色させた。発色は0.2M H2SO 4 で停止させた。
【0023】 4)IGFBP3(図4Aおよび4B) IGFBP3レベルを測定するために、ポリクローナル抗IGFBP3でプレコーティング
されたウェルに無希釈の尿標本を加え、次いで室温で2時間インキュベートした
。洗浄後、もう一つのポリクローナルHRP標識抗IGFBP3抗体をそれらのウェルに
加え、プレートをさらにインキュベートし、洗浄し、TMB基質で発色させた。発
色は0.2M H2SO4で停止させた。
【0024】 測定した各タンパク質について、既知標準濃度の組換え成長因子または成長因
子結合タンパク質で得られた結果から吸光度対濃度直線を作成し、尿試料EGF、I
GF1、IGFBP3およびHB-EGF濃度をプロットした(図1〜4参照)。
【0025】 尿クレアチニンの測定 先に記述されているようにピクリン酸を用いて30、ヤッフェ法で尿クレアチニ
ンを測定した。次に、データを尿1体積あたりに存在する各成長因子または結合
タンパク質の量と、尿クレアチニン1mgあたりに存在する各成長因子または結合
タンパク質の量との両方で表した。後者によって、値は腎機能(排出率)に対し
て規格化され、産生量(排出体積)による変量を排除できる。
【0026】 統計的解析 予備試験について、年齢と患者-対照状態とを2つの要因とする二元配置分散分
析を用いて、尿標本中のHB-EGFレベルの平均差の比較を、IC患者と年齢人種性別
対応対照被験者の間で行なった。より大きいIC女性、無症状対照女性、細菌性膀
胱炎女性の標本集団による確認試験では、成長因子レベルの平均差の比較を、年
齢を共変量とする両側共分散分析を用いて行なった。
【0027】 患者状態または対照状態を従属変数とし、HB-EGFの量を独立変数として、ロジ
スティック回帰分析を行なった。尿1ミリリットルあたりのHB-EGF濃度と、尿ク
レアチニン1mgあたりのHB-EGF濃度の両方を分析した。感度と特異性をそのロジ
スティック回帰モデルから導き、様々なカットオフ値について感度と特異性を決
定した。
【0028】 B.結果 我々は、ICを持つ女性、無症状対照女性および細菌性膀胱炎を持つ女性から採
取した尿標本中のHB-EGFのレベルを測定した。IC患者の尿中の免疫反応性HB-EGF
の量は、無症状対照被験者と比較して著しく減少しており、予備分析(年齢人種
性別対応無症状対照被験者を使用した)でも、その後の大規模分析(ICを持つ女
性、無症状女性および細菌性膀胱炎を持つ女性を研究対象にした)でも、p<0.0
01の有意水準に達した。図1Aに示すように、HB-EGFの濃度は無症状対照被験者(
6.33±0.82ng/ml、p<0.001)または細菌性膀胱炎患者(5.15±0.98ng/ml、p<0
.001)と比較して、IC患者標本では著しく低く(1.53±0.16ng/ml)、IC患者50
人のうち37人(74%)が2ng/ml未満のレベルだった。データを尿クレアチニン1m
gあたりで表した場合も、HB-EGFのレベルは、どちらの対照群の尿と比較してもI
C標本の方が有意に低かった(それぞれp<0.001およびp=0.028)(図1B)。
【0029】 ロジスティック回帰分析を用いて、尿1mlあたりHB-EGF 2.9ngのカットオフ値
で、84%の感度と82%の特異性が達成可能だった(尿クレアチニン1mgあたりのHB
-EGF ng数の同様の分析は、75%の特異性で72%というより低い達成可能感度を
示した)。尿1mlあたりHB-EGF 5.0ngのカットオフ値を使うと、59%の特異性で9
8%の感度が達成可能である。これらの知見は、尿1mlあたりの尿HB-EGFの濃度を
測定することが、2.9ng/mlのカットオフで単一のアッセイとして、または5.0ng/
mlのカットオフでスクリーニングアッセイとして、ICの診断に有用であることを
示している。
【0030】 図2に示すデータについて述べると、無症状対照被験者(8.02±0.90ng/ml)ま
たは細菌性膀胱炎患者(6.99±1.31ng/ml)と比較して、IC標本中の免疫反応性E
GFの平均濃度(16.13±1.52ng/ml)は上昇する傾向が示された(どちらの比較に
ついてもp<0.001)(図2A参照)。EGFの量を尿クレアチニン1ミリグラムあたり
で表した場合にも、同様の結果が得られた(IC患者と細菌性膀胱炎患者の比較で
p=0.001)(図2B参照)。
【0031】 図3について述べると、インビトロでの膀胱上皮細胞増殖にはIGF1とIGF2の両
方が重要であることがわかっているので、尿中の免疫反応性IGF1の量を測定した
。無症状対照被験者(12.11±1.08pg/ml、p<0.001)または細菌性膀胱炎患者か
ら採取した標本(14.97±3.58pg/ml、p=0.01)と比較して、IC患者では、尿IGF
1レベルの有意な増加が顕著だった(図3A)。この知見は尿IGF1の量を尿クレア
チニン1mlあたりで表しても同様に当てはまった(それぞれp<0.001およびp=0.
001)(図3B参照)。
【0032】 図4について述べると、IGF類の活性はIGFBP類によって調節される。IGFBP類ま
たはそれらのペプチド(特異的プロテアーゼによって生成する)はそれぞれIGFB
Pレセプターを介して上皮細胞に対して直接的な刺激または阻害効果を持ちうる
。我々は尿中で優勢なIGFBP類の一つとしてIGFBP3を測定することにした。我々
の研究は、無症状対照被験者(5.47±0.71ng/ml、p=0.001)と比較してIC患者
(13.42±2.09ng/ml)ではIGFBP3の濃度が有意に高いことを示した(図4A参照)
。この知見は、データを尿クレアチニン1mgあたりで表した場合にも当てはまっ
た(2.09±3.03ng/ml対6.81±1.11ng/ml、p<0.001)(図4B参照)。しかしICと
細菌性膀胱炎患者の間の尿IGFBP3の濃度の差は統計的有意性を持たなかった(13
.42±2.09ng/ml対11.02±1.54ng/ml、p=0.55)(図4A参照)。尿クレアチニン1
mgあたりで表した場合、その差は統計学的に有意だった(IC患者の20.09±3.03n
g/mlに対して細菌性膀胱炎患者は8.73±1.73ng/ml、p=0.004)(図4B参照)。I
GF1とIGFBP3の比率も、IC患者とその対照被験者について計算した。IC患者の尿
では無症状対照被験者から得られる尿より比率が低くなる傾向はあったが、これ
らの2群の間のIGF1:IGFBP3の差は統計学的有意性を持たなかった(p=0.09)。
【0033】 図11Aと11Bに関して、HB-EGFは一般に、オートクリン、パラクリンまたはジャ
クスタクリン成長因子として機能し、それが刺激する細胞によって、またはその
近傍で、産生されると考えられている。HB-EGFの血清レベルに関して公表された
データはない。しかしIC患者の尿中に同定されるAPFと成長因子異常が尿路に限
定されているかどうかを調べるために、89人のIC患者と10人の無症状対照被験者
におけるHB-EGFの血清レベルをELISAによって測定した。そのデータは、循環HB-
EGFレベルも対照被験者よりIC患者の方が有意に低いことを示唆し(図11A)、IC
が全身性の生理学的過程の尿路症状でありうることが示される。これに対し、EG
Fレベルは対照被験者よりもIC患者の血清の方が高かった(図11B)。これらのデ
ータは、IC患者と対照被験者の間の上皮細胞成長因子レベルの相違が尿路に限定
されないことを示している[各データポイントは二重の測定結果の平均値を表す
。垂直線は群平均の標準誤差を示す(p<0.05)]。
【0034】 C.考察 膀胱上皮細胞成長に関する既存の限られたデータは、増殖と分化が成長因子と
成長因子の調節タンパク質による影響を受けることを示唆している。膀胱上皮細
胞増殖の潜在的刺激因子として最も興味深いものは、膀胱上皮細胞によって産生
され、それらの成長をインビトロで刺激できるHB-EGFである26,27。HB-EGFは腎
臓上皮細胞と膀胱上皮細胞の両方によって産生される20,24,26。HB-EGFは、尿路
内でその発生源である細胞と近傍または遠隔の細胞に効果を持つオートクリンお
よび/またはパラクリン活性を発揮できる。無症状対照被験者と細菌性膀胱患者
のどちらと比較してもIC患者の尿では、HB-EGFが特異的に減少していた。この減
少は、この疾患過程に原因として関係するかもしれないし関係しないかもしれな
いHB-EGF合成に二次的な影響を及ぼす、ICに固有の他の異常の結果としても起こ
りうるだろう。HB-EGFは膀胱上皮細胞によって産生されるので、この成長因子の
尿レベルはICにみられるような上皮細胞の菲薄化と裸出の結果として二次的に減
少すると考えられる。さらに、ICにおいて一般に減少する上皮細胞表面グリコサ
ミノグリカンは6、HB-EGFレセプターへの結合に影響を及ぼすことができ37、し
たがってHB-EGF産生に二次的に影響を及ぼしうる。しかしHB-EGFは、肝細胞、ケ
ラチノサイト、胃上皮細胞および子宮上皮細胞を含む様々な上皮細胞の増殖にと
って重要であることが示されており、またインビトロで膀胱上皮細胞の増殖を刺
激することが知られている18-20,26,27。したがって、上皮細胞または他の膀胱
細胞によるHB-EGFの合成の減少は、正常な膀胱上皮再生を損なうことにより、IC
の発病の一因になる可能性がある。
【0035】 II.HB-EGFと他の成長因子の産生に対するAPFの効果 A.材料と方法 患者と尿標本 患者は、先の節で述べたプロトコルに従ってスクリーニングし、選択した。ま
た、尿標本も先の節で述べたプロトコルに従って収集し、維持した。
【0036】 APFの精製 IC患者8人の尿から、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグ
ラフィー、疎水相互作用クロマトグラフィーおよび逆相HPLCを含む段階的精製に
よって、APFを精製した。
【0037】 細胞培養 初代正常成人膀胱上皮(HBE)細胞を96穴組織培養プレートに104細胞/ウェル
の濃度で接種し、10%熱非働化FBS、1%抗生物質/抗真菌剤溶液、1%グルタミン
および1.0mg/mlインシュリンを含むイーグル最少必須培地(MEM)で一晩生育さ
せた。全ての細胞を5%CO2雰囲気下に37℃で培養した。2日目に、培養培地を除
去し、1%抗生物質/抗真菌剤溶液、1%グルタミンおよび1.0mg/mlインシュリン
を含む無血清MEMで置き換えた。
【0038】 3日目に、細胞培地を0.1ng/106細胞のHPLC精製APF(または模擬APF)を含む無
血清MEMに置き換えて48時間にインキュベートし、そのうち最後の12時間は添加
した10μCiの35S-メチオニンと共にインキュベートした。消費された培養培地を
収集し、成長因子レベルをELISAで測定した(図5A〜5D)。細胞も収集し、TCA沈
殿性内容物への35S-メチオニン取り込み量を測定して、総細胞タンパク質量に対
して規格化した。データは三重の標本の平均値である。垂直線は平均の標準誤差
を表す。
【0039】 HB-EGF mRNA測定 IC尿標本または対照尿標本(図9A)もしくはHPLC精製APFまたは模擬精製APF(
図9B)と共にインキュベートしたヒト膀胱上皮細胞から全細胞RNAを抽出し、ヒ
トプロHB-EGF cDNA(Scios社から入手したもの)とT7 RNAポリメラーゼ(Ambion
社)を使って32P標識アンチセンスRNAプローブを調製することにより、RNアーゼ
保護アッセイを行なった。Ambion社によって提供されたプラスミドから調製した
β-アクチンプローブを内部対照として使用した。
【0040】 B.結果 ICの診断に関するNIDDKの規準を満たした患者から採取しオスモル濃度とpHを
補正した尿標本は、無症状対照被験者、急性細菌性膀胱炎患者または外陰膣炎患
者から採取した尿標本より有意に高い頻度で、正常膀胱上皮細胞の増殖をインビ
トロで阻害することがわかった(図7A)。このアッセイはICに関してそれぞれ91
.4%と90.6%の最大感度と最大特異性値を持っていた38,39。データは、無血清
細胞培養培地に希釈したIC尿標本または対照尿標本と共に48時間インキュベート
した細胞における3H-チミジン取り込みの、無血清培地のみと共にインキュベー
トした細胞と比較した、阻害率として表す。各データポイントは3〜6回の測定の
平均である。水平方向の線は各群に関するデータポイントの平均値を示す。垂直
線はこの平均の標準誤差を示す。
【0041】 女性IC患者20人の膀胱から収集した尿カテーテル標本は、同じ患者の腎盂から
収集した標本よりも有意に高い頻度で増殖抑制活性を持っていたことから(図7B
)、APFは尿路内で産生されるらしいことが示唆された。データは、無血清細胞
培養培地に希釈したIC尿標本または対照尿標本と共に48時間インキュベートした
細胞における3H-チミジン取り込みの、無血清培地のみと共にインキュベートし
た細胞と比較した、阻害率として表す。各データポイントは3〜6回の測定の平均
である。水平方向の線は各群に関するデータポイントの平均値を示す。垂直線は
この平均の標準誤差を示す。
【0042】 IC患者から採取した初代膀胱上皮細胞はインビトロでこの因子を産生すること
が確認された。IC患者8人(女性5人、男性3人)の膀胱生検材料から生育した細
胞はすべて、正常膀胱上皮細胞の増殖を阻害する増殖抑制因子を産生した(3H-
チミジン取り込み量の平均変化率−88±12)。これに対し、3人の対照患者から
生育した膀胱上皮細胞から得た使用済みの細胞培地は他の正常上皮細胞の成長を
刺激し(+102±34%)、この因子がICに特異的であることのさらなる証拠にな
った。
【0043】 IC患者8人の尿と、IC患者5人から採取した膀胱上皮細胞外植片から、APFペプ
チドが単離され、質量分析により約2.5kDaの分子量を持つことが確認された(図
8)。これに対し、3人の対照被験者の尿から精製された同じ画分に単離されるタ
ンパク質はなかった。MALDI-TOF質量スペクトル分析は、PerSeptive Biosystems
社(マサチューセッツ州フレーミングハム)のVoyager(商品名)で行なった。
質量較正は、標品としてアンギオテンシンI、ACTH(Clip 1-17)、ACTH(clip 1
8-39)、ACTH(clip 7-38)およびウシインシュリン(PE Biosystems社、カリフ
ォルニア州フォスターシティー)を使用して行なった。30%アセトニトリル/0.3
%トリフルオロ酢酸中10mg/mlのα-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸(Aldrich Chem
ical Co.社、ウィスコンシン州ミルウォーキー)をマトリックスとして使用した
【0044】 上述したように、また図5A〜5Dに示すように、我々は、HPLC精製APFの存在下
に初代膀胱上皮細胞によって産生される特定の成長因子HB-EGF、EGFおよびIGF1
と成長因子結合タンパク質IGFBP3のレベルを測定した。APFの存在下に産生され
る免疫反応性HB-EGFの量は、模擬APF対照によって産生されるものと比較して、
また試験した他の成長因子類のレベルと比較して、著しく減少した。図5Aに示す
ように、HPLC精製APFの存在下に産生されるHB-EGFの平均レベル(0.2+0.1ng/ml
)は、模擬対照の存在下に細胞によって産生される平均レベル(0.9+0.3ng/ml
)より有意に低かった。これに対し、EGF、IGF1およびIGFBP3の産生は、APFおよ
び模擬APFの存在下で増大した(それぞれ図5B、5Cおよび5D)。このデータは35S
-メチオニン取り込み量によって決定される全般的タンパク質合成量に対して規
格化した。具体的に述べると、APFの存在下に産生されるEGFの平均レベル(2.3
+0.5ng/ml)は、模擬対照の存在下に細胞によって産生される平均レベル(0.9
+0.35ng/ml)より有意に高かった(図5B参照)。また、APFの存在下に産生され
るIGF1の平均レベル(21.7+4.2pg/ml)は、模擬対照の存在下に細胞によって産
生される平均レベル(7.8+2.3pg/ml)より有意に高く(図5C参照)、APFの存在
下に細胞によって産生されるIGFBP3の平均レベル(3.4+0.5pg/ml)は、模擬対
照の存在下に細胞によって産生される平均レベル(1.62+0.7)より有意に高か
った。
【0045】 APFがHB-EGFの産生を阻害する機序をさらに詳しく理解するために現在研究が
行なわれているが、我々はHB-EGF mRNA産生に対するAPFの効果を調べた。我々の
データは、IC患者から採取した尿標本にばく露された正常膀胱上皮細胞のプロHB
-EGF mRNA量が、対照患者から採取した尿にばく露された細胞と比較して低下し
ていないことを示している(図9A)。事実、5回の実験のうち4回で、プロHBF-EG
F mRNAのレベルはAPFばく露の結果として、20〜25%増加した。HPLC精製APFは同
様にHB-EGF mRNAレベルにも影響を及ぼさなかった(図9B)。これらのデータはH
B-EGF産生量の低下が転写後に起こることを示している。
【0046】 C.考察 ヒト膀胱上皮細胞はHB-EGFを産生することが知られている26。ICは組織学的に
は上皮異常を特徴とし、ICに存在する粘膜の欠損が基底未分化細胞とそれらの成
長因子レセプターの尿中成長因子へのばく露をもたらすので、我々は、膀胱上皮
細胞増殖を刺激するHB-EGFなどの尿中成長因子のレベルが異常に低いことが、膀
胱上皮創傷の修復に悪影響を及ぼし、ICの病因の一部になりうると推論した。
【0047】 HPLC精製APFにばく露された初代膀胱上皮細胞は、対照被験者の尿から精製さ
れた模擬APFまたは無血清培地のみと共にインキュベートした細胞と比較して、
減少した量のHB-EGFと、増大した量のEGF、IGF1およびIGFBP3を細胞培地中に産
生する(図5A〜5D)。これらの知見は、APFそのものが、膀胱上皮細胞による少
なくとも3種類の成長因子と1種類の成長因子結合タンパク質の産生を調節できる
ことを示し、IC尿標本中に見出されるこれらの成長因子のレベルの変化を再現し
ている(非掲載データ)。
【0048】 我々の発見は、尿中成長因子のレベルの複雑な変化が、IC患者の尿におけるHB
-EGFレベルの有意で特異的な減少を含めて、ICに関係することを示している(同
時係属出願第60/051,458号を参照されたい)。ここに記載するデータは、IC尿の
存在下に血清飢餓条件で起こるインビトロでの上皮細胞増殖の阻害は、IC尿中の
APFによって引き起こされるHB-EGF産生の調節不全に関係するという我々の理論
を裏付けている。さらに、我々の実験データは、膀胱上皮細胞によるHB-EGFのイ
ンビトロ産生が、膀胱細胞増殖を阻害することが知られているAPFの存在下で、
特異的に減少するのに対し、EGF、IGF1およびIGFBP3などの他の成長因子の産生
量は増加することを明らかにしている。これらの知見は、膀胱上皮細胞による特
定のオートクリン成長因子の合成または異化が、APFによって調節されうること
を示している。このデータは、HB-EGFとICにみられるAPFの間に調節相互作用が
あるという我々の理論を裏付けている。したがって、外因的供給源または内因的
供給源からのHB-EGFの局所投与を、IC治療に有効な治療法として、APFによって
引き起こされる産生量抑制に対抗するために使用することができる。
【0049】 III.増殖抑制活性の阻害の測定 A.材料と方法 患者と尿標本 患者は、先の節で述べたプロトコルに従ってスクリーニングし、選択した。ま
た、尿標本も先の節で述べたプロトコルに従って収集し、維持した。
【0050】 細胞培養 初代正常成人膀胱上皮(HBE)細胞を上記IIに述べた方法で培養した。培養3日
目に、リン酸緩衝食塩水に希釈(1:1:1)した様々な濃度の組換えHB-EGF(0〜
100ngml)、EGF(0〜100ng/ml)またはIGF-1(0〜300pg/ml)[すべてR & D Sys
tems社、ミネソタ州ミネアポリス]と、対照被験者またはIC患者から採取した尿
標本の3kDa未満の(すなわちAPFを含有する)画分(すなわち関連出願第08/944,
202号に記載の増殖抑制因子またはAPFを含有する部分)もしくはHPLC精製APFま
たはその模擬対照とを含む無血清MEMに、細胞培地を置換した。尿は上記IIに述
べた方法で調製し、HPLC精製APFは上述のように調製した。5%CO2雰囲気下に37
℃でさらに48時間培養した後、公表された方法38に従って、細胞増殖を3H-チミ
ジン取り込み法でアッセイした。
【0051】 B.結果 正常ヒト膀胱上皮細胞を、組換えヒト成長因子(HB-EGF、EGFまたはIGF1)とI
C患者または対照被験者の尿標本から得られる低分子量画分に、同時にばく露し
た。48時間後に、細胞増殖を3H-チミジン取り込み法で測定した(図6A〜6C)。
バーの値は、5〜8回の測定の平均を示す。垂直線は平均の標準誤差を示す。
【0052】 正常ヒト膀胱上皮細胞をrhHB-EGFと、IC患者または対照被験者から採取した尿
の低分子量画分とに同時にばく露すると、APF増殖抑制活性の阻害が起こり(図6
A)、APF活性がHB-EGF産生のダウンレギュレーションによって媒介されることが
示唆された。この用量依存的効果は、生理学的HB-EGF濃度(10ng/ml)と超生理
学的HB-EGF濃度の両方で明白だった。事実、高濃度のrhHB-EGFでは、IC患者から
採取した尿に暴露した細胞の増殖が、対照尿にばく露された細胞の増殖よりも刺
激されたが、これは他の低分子量尿中成長因子の存在量の増加を示すのかもしれ
ない。これに対し、組換えEGFと組換えIGF1(R & D Systems社)は、超生理学的
濃度(それぞれ正常値より12倍および25倍高く、IC尿標本中に測定される最高値
より2倍および5倍高い)でさえ、APF活性を完全に阻害することができなかった
(図6BおよびC)。
【0053】 これらのデータは、IC患者に由来する膀胱上皮細胞が外因性HB-EGFに反応して
増殖できること(これはそれらがおそらく機能的HER-1レセプターを持つことを
示す)と、IC尿標本に特異的な因子が引き起こすインビトロでの膀胱上皮細胞増
殖の阻害を、正常対照被験者から採取された尿標本中に測定されるものと同等の
濃度の単一の成長因子(HB-EGF)の添加によって遮断できることを示している。
このことは、rHB-EGFまたはその産生を刺激する薬剤もしくはその活性を模倣す
る薬剤が、慢性的に損傷された上皮を特徴とする膀胱障害であるICの治療に役立
ちうることを示唆している。
【0054】 図10AおよびBに示すように、初代ヒト膀胱上皮細胞を、組換えヒトHB-EGFと10
pg/107細胞のHPLC精製APFに同時にばく露した。48時間後に、3H-チミジン取り込
み法で細胞増殖を測定した。バーの値は三重の測定の平均を示す。垂直線は平均
の標準誤差を示す。図10Aは正常膀胱組織から生育した細胞を示す。図10BはIC患
者生検標本から生育した細胞を示す。HPLC精製APFを用いた実験により、組換え
ヒトHB-EGFは、IC患者に由来する細胞と対照被験者に由来する細胞に対するAPF
の増殖抑制効果のどちらをも阻害できることが確認される。
【0055】 C.考察 ここに記載するデータは、IC尿標本から得られるAPFによる膀胱上皮細胞増殖
の阻害が、細胞培地への組換えHB-EGFの添加によって遮断されうることを示して
いる。HB-EGFはAPFのアンタゴニストとして作用するようである。したがってHB-
EGFはICの治療に有効な治療薬として使用できるだろう。また、我々はHB-EGFが
増殖抑制活性を阻害する能力を持つことを実証したので、これが上皮細胞増殖(
具体的には膀胱上皮細胞増殖)の阻害に関係する他の障害の確実に有効な治療法
になりうることも明白である。重要な点は、増殖抑制活性を局所的に排除すると
いうHB-EGFの能力にある。この成長因子は、損傷した上皮細胞に、細胞増殖の望
ましい刺激を起こすのに適した形態で外因的に投与できる。その形態は局所適用
または局所外用に適したもの、例えば組織の表面に適用できる液体、クリーム、
軟膏、坐剤またはゲルなどでありうる。もう一つの選択肢として、その形態は全
身投与に適したもの、例えば経口または非経口製剤などであってもよい。投与は
不連続な投薬の形でも、連続送達が可能な形でも行いうる。
【0056】 重要な点は、HB-EGFによる細胞増殖の刺激の達成にある。この刺激は上皮細胞
へのHB-EGFの外因的投与に限定されるものではなく、内因性HB-EGF産生を刺激す
る薬剤、HB-EGFの分解を阻害する薬剤、HB-EGFに反応してHB-EGFレセプター結合
またはレセプター活性を刺激する薬剤を投与することによって、これを達成する
こともできる。
【0057】 具体的に述べると、本発明はHB-EGFに適用されるものと解釈されるべきではな
く、この成長因子の活性断片と、この成長因子の機能的誘導体、アゴニストとア
ンタゴニストおよび代謝分解産物にも適用される。特に本発明はこの成長因子を
阻害できる薬剤に関わる。
【0058】 HB-EGFの「機能的誘導体」とは、HB-EGFの生物学的活性に実質的に類似した生
物学的活性(機能上または構造上の)を持つ化合物、例えば膀胱細胞におけるAP
Fの増殖抑制活性を阻害する化合物である。「機能的誘導体」という用語は、あ
る分子の「断片」「変種」「類似体」または「化学誘導体」を含むものとする。
HB-EGFなどの分子の「断片」とは、その分子の任意のポリペプチド部分を指すも
のとする。HB-EGFなどの分子の「変種」とは、その分子全体またはその断片に構
造と機能が実質的に類似している分子を指すものとする。両分子が実質的に類似
した構造を持つか、両分子が類似した生物学的活性を有する場合に、一方の分子
はもう一つの分子に「実質的に類似」しているという。したがって、2つの分子
が類似した活性を持つのであれば、それらの分子の一方の構造が他方の分子には
見出されないとしても、またアミノ酸残基の配列が同一でないとしても、それら
は本明細書で使用する意味で変種であるとみなされる。HB-EGFなどの分子の機能
を模倣する「類似体」または薬剤とは、その分子全体またはその断片に機能は実
質的に類似しているが、構造は類似していない分子を指すものとする。本明細書
では、2つの分子の一方が、通常は他方の分子の一部でない追加の化学部分を含
む場合、その分子は他方の分子の「化学的誘導体」であるという。そのような部
分はその分子の溶解度、吸収性、生物学的半減期などを向上させうる。また、そ
れらの成分は、その分子の毒性を低下させたり、その分子の望ましくない副作用
を除去または緩和するものであってもよい。そのような効果を媒介できる部分は
「Remington's Pharmaceutical Sciences」(1980)に開示されている。分子に
そのような成分を結合させる方法は当技術分野ではよく知られている。
【0059】 HB-EGFの機能を模倣する薬剤またはHB-EGFの類似体も治療分子として使用でき
、APFの増殖抑制活性または機能を阻害する。HB-EGFまたはHB-EGF類似体は、阻
害された上皮細胞増殖、特に膀胱上皮細胞増殖に関係する他の障害にとって確実
に有効な治療法になりうる。HB-EGFの類似体はさらに免疫グロブリン(例えばモ
ノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、そのような抗体の活性断片など)を含
んでもよい。本発明の類似体は非免疫グロブリン化合物(ポリペプチド、有機化
合物など)を含んでもよい。
【0060】 HB-EGFの類似体はさらにAPFに結合できるポリクローナル抗体を含みうる。そ
のような抗体は、APFまたはAPFの機能的誘導体の調製物で哺乳動物を免疫化する
ことによって調製できる。そのような免疫化を達成する方法を当技術分野ではよ
く知られている。モノクローナル抗体(またはその断片)を、特定の生物学的試
料に含まれるAPFの有無(または量)を測定するために使用できることもできる
。そのような抗体は(Kohlerらの方法(Nature 256:495(1975);Eur.J.Immunol. 6:511(1976);Euro J.Immunol. 6:292(1976))を改良して)活性化されたAPFで
脾細胞を免疫化することによって製造できる。
【0061】 上記の方法に加えて、HB-EGFのレセプターに結合できる抗体は、抗イディオタ
イプ抗体を用いて二段階法で製造できる。そのような方法は、抗体がそれら自身
、抗原であるという事実と、したがってもう一つの抗体に結合する抗体を得るこ
とができるという事実を利用している。この方法では、HB-EGFに結合できる抗体
を使って動物を免疫化する。次にそのような動物の脾細胞を使ってハイブリドー
マ細胞を作成し、そのハイブリドーマ細胞をスクリーニングして、抗HB-EGF抗体
に結合するというその能力がHB-EGFによって特異的に遮断されうるクローンを同
定する。そのような抗体は抗HB-EGF抗体に対する抗イディオタイプ抗体を含む。
そのような抗体を使って動物を免疫化することにより、HB-EGFに結合できる抗体
の形成を誘導することができる。抗イディオタイプ抗体、またはHB-EGFを模倣す
る他の薬剤は、HB-EGFそのものと同様の方法で治療薬として使用できるだろう。
【0062】 HB-EGF(またはAPFの機能的誘導体)を対象に与えることに加えて、対象にHB-
EGFのアゴニストを投与することによって、対象におけるHB-EGFの効力を増加さ
せることもできる。本発明はさらにそのようなHB-EGFのアゴニストに関する。HB
-EGFのアゴニストとは、HB-EGFの機能の効力を増加させることができる任意の化
合物である。そのようなアゴニストの例には、その対象によるHB-EGFの合成を促
進する化合物などが含まれる。アゴニストは、薬物と治療法を試験するためや、
診断のために、正常細胞でHB-EGFを誘導するためにも使用できる。また、HB-EGF
の抗イディオタイプ抗体または類似体、またはHB-EGF活性を模倣する薬剤、また
はそれらの組合せを、そのような処置を必要とする対象に与えることもできる。
【0063】 HB-EGFは合成的に、または組換えDNA技術を使って、またはタンパク質分解に
よって得ることができる。このような薬剤の治療上の利益は、いくつかの薬剤の
併用投与によって増強することができる。本発明の範囲はさらに、1個、2個また
はそれ以上のアミノ酸残基を欠く、または変更されたアミノ酸残基を含むHB-EGF
の機能的誘導体を、そのような誘導体が細胞増殖に影響を及ぼす能力を示す限り
、包含するものとする。
【0064】 本明細書に記述した例は単に例示を目的とするものであって、決して本発明の
範囲を制限しようとするものではない。本発明をその特定の態様に関して詳述し
たが、本発明の精神と範囲から逸脱することなくそこに様々な変化や変更を加え
うることは、当業者には明らかだろう。
【0065】 ここに引用した文献はすべてそのまま参照により本明細書に組み入れられる。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1A、図1BはICを持つ女性、膀胱疾患を持たない無症状対照女
性および細菌性膀胱炎による急性かつ自己限定性の膀胱上皮損傷を持つ女性から
採取した尿標本中のHB-EGFの濃度を表す図。
【図2】 図2A、図2BはICを持つ女性、膀胱疾患を持たない無症状対照女
性および細菌性膀胱炎による急性かつ自己限定性の膀胱上皮損傷を持つ女性から
採取した尿標本中のEGFの濃度を表す図。
【図3】 図3A、図3BはICを持つ女性、膀胱疾患を持たない無症状対照女
性および細菌性膀胱炎による急性かつ自己限定性の膀胱上皮損傷を持つ女性から
採取した尿標本中のIGF-1の濃度を表す図。
【図4】 図4A、図4BはICを持つ女性、膀胱疾患を持たない無症状対照女
性および細菌性膀胱炎による急性かつ自己限定性の膀胱上皮損傷を持つ女性から
採取した尿標本中のIGFBP-3の濃度を表す図。
【図5】 図5A〜図5DはHPLC精製APFに反応したヒト膀胱上皮細胞による
インビトロでの特定成長因子[HB-EGF、EGF、IGF1およびIGFBP3]の産生を表す
図。
【図6】 組換えヒト成長因子[HB-EGF、EGFおよびIGF1]によるAPF活性の
阻害(すなわち膀胱上皮細胞増殖の刺激)を表す図。
【図7】 図7Aは、IC尿標本、無血清細胞培養培地のみ、細菌性膀胱炎(B
C)尿標本、または外陰腟炎(VV)尿標本中でインキュベートした正常成人膀胱
上皮細胞への3H-チミジン取り込みの阻害(細胞増殖の阻害に相関する尺度)を
表す(阻害百分率として表示)。図7Bは、IC患者膀胱尿標本またはIC患者腎盂
尿標本中でインキュベートした正常成人膀胱上皮細胞への3H-チミジン取り込み
の阻害(細胞増殖の阻害に相関する尺度)を表す(3H-チミジン取り込み量の変
化率として表示)。
【図8】 HPLC精製APFの質量スペクトル分析を表す図。
【図9】 APFにばく露された細胞内のHB-EGF mRNAレベルを表す図。ヒト膀
胱上皮細胞から抽出した全細胞RNAをIC尿標本または対照尿標本と共にインキュ
ベートした。
【図10】 図10A、図10BはrhHB-EGFによるHPLC精製APF活性の阻害を
表す図。
【図11】 図11A、図11BはELISAによるIC患者と対照被験者における
血清成長因子レベル(HB-EGFおよびEGF)を表す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 48/00 A61P 43/00 111 A61P 13/10 A61K 37/24 43/00 111 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB ,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,GH,G M,HR,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG ,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT, LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,N O,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG ,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA, UG,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 ヒス,マイケル アメリカ合衆国、21045 メリーランド州、 コロンビア、サドル・ドライブ、6379 Fターム(参考) 4C084 AA02 AA13 AA17 CA53 DB53 MA28 MA31 MA52 MA63 MA66 ZA812 4C085 AA13 BB07 GG02 GG08 GG10

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 医薬有効量のヘパリン結合性上皮成長因子(HB-EGF)または
    その機能的誘導体を投与することからなる、阻害された上皮細胞増殖に関係する
    疾患の治療方法。
  2. 【請求項2】 上記上皮細胞が膀胱細胞である請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 上記疾患が間質性膀胱炎である請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 上記成長因子が組換えHB-EGFである請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 上記成長因子が組換えHB-EGFである請求項2記載の方法。
  6. 【請求項6】 上記成長因子が組換えHB-EGFである請求項3記載の方法。
  7. 【請求項7】 上記投与段階がさらに全身投与を含む請求項1記載の方法
  8. 【請求項8】 上記全身投与が静脈内、皮下、非経口および経口投与からな
    る群より選択される請求項7記載の方法。
  9. 【請求項9】 上記投与段階がさらに局所投与を含む請求項1記載の方法。
  10. 【請求項10】 上記局所投与が局所外用を含む請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 上記局所投与が膀胱内投与を含む請求項9記載の方法。
  12. 【請求項12】 上記局所投与が液体、クリーム、軟膏、坐剤またはゲルの
    形をとる請求項9〜11記載の方法。
  13. 【請求項13】 上記投与段階がさらに外因的投与を含む請求項1記載の方
    法。
  14. 【請求項14】 上記投与段階がさらに内因的投与を含む請求項1記載の方
    法。
  15. 【請求項15】 上記内因的投与が上皮細胞によるHB-EGFの局所産生を刺激
    するための遺伝子治療を含む請求項14記載の方法。
  16. 【請求項16】 上記遺伝子治療がウイルスベクターまたは細菌ベクターを
    必要とする請求項15記載の方法。
  17. 【請求項17】 上記外因的投与が細胞にHB-EGFを連続的に投与することが
    できる移植可能な動的システムを含む請求項13記載の方法。
  18. 【請求項18】 上記ヘパリン結合性上皮成長因子(HB-EGF)の誘導体がHB
    -EGFに対する抗イディオタイプ抗体からなる群より選択される請求項1記載の方
    法。
  19. 【請求項19】 医薬有効量のヘパリン結合性上皮成長因子(HB-EGF)のア
    ゴニストを投与することからなる、阻害された上皮細胞増殖に関係する疾患の治
    療方法。
JP2000545002A 1998-04-17 1999-04-16 組換えヘパリン結合性上皮成長因子様成長因子(hb−egf)による間質性膀胱炎の治療方法 Withdrawn JP2002512259A (ja)

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