JP2002508318A - 乳腺炎の予防処置法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 ヒトを含む哺乳類母体の乳腺炎の予防処置法が開示される。本方法は、アスタキサンチンなど少なくとも１種のキサントフィル類を含有するヒト医薬または獣医薬の予防上有効な量を母体に投与することを含んでなる。好ましくは、アスタキサンチンは脂肪酸によりエステル化された形態、例えば藻類のヘマトコッカス種の培養によって産生される藻類ミールの形態で存在する。さらに、ヒトを含む哺乳類母体の乳腺炎の予防処置用のヒト医薬または獣医薬の製造のための、アスタキサンチンなど少なくとも１種のキサントフィル類の使用が開示される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 本発明は、ヒトを含む哺乳類母体の乳腺炎の予防方法に関する。本方法は、ア
スタキサンチンなど少なくとも１種のキサントフィル類を含有するヒト医薬また
は獣医薬の予防上有効な量を母体に投与することを含んでなる。本発明はまた、
乳腺炎の予防処置用のヒト医薬または獣医薬の製造のための、アスタキサンチン
など少なくとも１種のキサントフィル種の使用に関する。

【０００２】背景 乳腺炎（乳腺の炎症）は授乳／搾乳期ならびに乳汁分泌期にヒトおよび動物母
体でよく見られ、しばしば痛みを伴う疾病である。通常、主因は細菌感染である
。乳房、乳腺または乳頭への物理的な損傷が個体にこのような感染を起こりやす
くする。さらに乳腺炎は乳汁の生産を劇的に減少させ、子による栄養素や免疫グ
ロブリンの摂取が少なくなり、かつ／または酪農家の収益が減ってしまうことに
なる。治療処置は通常、薬物療法および医師／獣医の診断を必要とし、これには
費用がかかる。

【０００３】 新生動物の生育や健康状態には母乳の摂取が決定的に重要である。授乳／搾乳
期間中、乳汁はエネルギー、タンパク質、脂肪および他の必須栄養素の主要な供
給源である。さらに、酪農では、乳汁生産レベルおよび収量は農家の収益性にと
って極めて重要である。要するに、乳汁生産の低下は経済上また衛生上の深刻な
結果を持つと考えられる。

【０００４】 発明者らの国際特許出願ＷＯ９７／３５４９１号は、飼育および生産動物の生
産性を高めるための薬剤に関するものであり、雌豚に分娩前の期間と乳汁分泌期
にアスタキサンチンを添加した餌を与えて、例えばより多くの子豚を誕生させる
実験を開示している。

【０００５】 アスタキサンチンおよび他のキサントフィルは抗酸化性を示し、従っていわゆ
るフリーラジカルを除去する能力を有することが知られているが、生物学的試験
においてアスタキサンチンは他のカロチノイドに比べ、明確に最も高い抗酸化性
を有することがわかっている(Miki W, 1991, Pure and Appl Chem 63(1): 141-1
46)。

【０００６】発明の説明 本発明はヒトを含む哺乳類母体の乳腺炎の予防処置法であって、少なくとも１
種のキサントフィル類を含有するヒト医薬または獣医薬の予防上有効な量を母体
に投与することを含んでなる方法に向けられる。 好ましい具体例では、そのキサントフィル種はアスタキサンチンである。特に
好ましい具体例では、アスタキサンチンは脂肪酸によりエステル化された形態で
存在する。前記形態のアスタキサンチンは、藻類のヘマトコッカス(Haematococc us )種の培養により産生される藻類ミールの形態であってもよい。

【０００７】 製剤の予防上有効な量は、アスタキサンチン０．０１〜１ｍｇ／体重ｋｇ／日
を含有する。

【０００８】 本発明はまた、ヒトを含む哺乳類母体の乳腺炎の予防処置用のヒト医薬または
獣医薬の製造のための少なくとも１種のキサントフィル類の使用に向けられる。

【０００９】 ここでもまた、好ましい具体例において、このキサントフィル種はアスタキサ
ンチンである。特に好ましい具体例では、アスタキサンチンは脂肪酸によりエス
テル化された形態で存在する。前記形態のアスタキサンチンは、藻類のヘマトコ
ッカス種の培養により産生される藻類ミール（meal）の形態であってもよい。

【００１０】 例えば、医薬中のアスタキサンチン量は０．０１〜１ｍｇ／ヒトまたは動物母
体体重ｋｇであり得る。

【００１１】 本発明において、このヒト医薬および獣医薬は、合成アスタキサンチンと天然
に生じたアスタキサンチンの混合物といった、種々の種のキサントフィルの混合
物または種々の種のキサントフィルを含んでよい。

【００１２】 本発明のヒト医薬および獣医薬は、香味料、賦形剤、希釈剤、担体などのよう
な薬理学上許容される不活性または活性なさらなる成分を含んでなってもよく、
個別単位用量で提供してもよいし、あるいは食品または食餌に混合してもよい。
個別単位用量の例としては、錠剤、ゼラチンカプセル剤および所定量の水剤（例
えば油剤）、またはエマルション（例えば油中水もしくは水中油エマルション）
がある。本発明の製剤を配合し得る食品の例としては、ヨーグルトなどの乳製品
、チョコレートおよび穀物がある。

【００１３】実験の説明 本実験で使用される医薬は、ＡｓｔａＣａｒｏｔｅｎｅＡＢ，Ｇｕｓｔａｖｓ
ｂｅｒｇ，Ｓｗｅｄｅｎにより藻類のヘマトコッカス種によって産生されたキサ
ントフィルアスタキサンチンを含んでいた。

【００１４】 天然で生じたアスタキサンチンはまた、真菌類および甲殻類から、さらには藻
類からも得ることができる。他の供給源由来のアスタキサンチンおよびキサント
フィルも同様に本発明の目的に有用であると思われる。しかしながら藻類由来の
アスタキサンチンを用いる利点は、アスタキサンチンが脂肪酸によりエステル化
された形態で存在することであり[Renstrom B. et al, 1981, Phytochem 20(11)
:2561-2564]、エステル化されたアスタキサンチンは遊離アスタキサンチンより 取扱い中および保存中により安定である。

【００１５】実験計画および結果 従来の乳汁分泌期から乳汁生産量と乳腺炎の発症率が既知である１２０頭の乳
牛群に、分娩から以後１２週間にわたる期間、天然アスタキサンチン１００ｍｇ
／日となるように藻類ミール（ヘマトコッカス・プルビアリス(Haematococcus p luvialis )由来）を与えた。

【００１６】 この期間中は乳腺炎の発症率のみを記録した。この数字を以前の乳汁分泌期間
中に同牛で記録された８ケースと比較する。

【００１７】 本期間中（１００ｍｇ天然アスタキサンチン／日／牛）では以前の期間（天然
アスタキサンチンなし）に比べて乳汁生産が６％高かった。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＧＷ，ＭＬ， ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＧＭ，Ｋ Ｅ，ＬＳ，ＭＷ，ＳＤ，ＳＺ，ＵＧ，ＺＷ)，ＥＡ(ＡＭ ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ，ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ) ，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ， ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，Ｄ Ｋ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＥ，ＧＨ，ＧＭ，ＨＲ ，ＨＵ，ＩＤ，ＩＬ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ， ＫＲ，ＫＺ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，Ｌ Ｖ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ， ＳＫ，ＳＬ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ，Ｕ Ｓ，ＵＺ，ＶＮ，ＹＵ，ＺＷ

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ヒトを含む哺乳類母体の乳腺炎の予防方法であって、少なくとも１種のキサン
   トフィル類を含有するヒト医薬または獣医薬の予防上有効量を母体に投与するこ
   とを含んでなる方法。
2. 【請求項２】 そのキサントフィルの種類がアスタキサンチンである、請求項１記載の方法。
3. 【請求項３】 アスタキサンチンが脂肪酸によりエステル化された形態で存在する、請求項２
   記載の方法。
4. 【請求項４】 エステル化アスタキサンチンが藻類のヘマトコッカス(Haematococcus)種の培 養により産生される藻類ミールの形態である、請求項３記載の方法。
5. 【請求項５】 有効量の医薬がアスタキサンチン０．０１〜１ｍｇ／体重ｋｇ／日を含有する
   、請求項３または４記載の方法。
6. 【請求項６】 ヒトを含む哺乳類母体の乳腺炎の予防処置用のヒト医薬または獣医薬の製造の
   ための、少なくとも１種のキサントフィル類の使用。
7. 【請求項７】 キサントフィルの種類がアスタキサンチンである、請求項６記載の使用。
8. 【請求項８】 アスタキサンチンが脂肪酸によりエステル化された形態で存在する、請求項７
   記載の使用。
9. 【請求項９】 エステル化アスタキサンチンが藻類のヘマトコッカス種の培養により産生され
   る藻類ミールの形態である、請求項８記載の使用。
10. 【請求項１０】 製剤中のアスタキサンチン量が０．０１〜１ｍｇ／体重ｋｇである、請求項８
    または９記載の使用。