JP2002508161A - 分子計算素子:ゲートおよびフリップ・フロップ - Google Patents

分子計算素子:ゲートおよびフリップ・フロップ

Info

Publication number
JP2002508161A
JP2002508161A JP2000532799A JP2000532799A JP2002508161A JP 2002508161 A JP2002508161 A JP 2002508161A JP 2000532799 A JP2000532799 A JP 2000532799A JP 2000532799 A JP2000532799 A JP 2000532799A JP 2002508161 A JP2002508161 A JP 2002508161A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
binding site
protein
binding
nucleic acid
site
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000532799A
Other languages
English (en)
Inventor
ディー. シュナイダー,トーマス
エヌ. ヘンゲン,ポール
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
US Government
Original Assignee
US Government
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by US Government filed Critical US Government
Publication of JP2002508161A publication Critical patent/JP2002508161A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y10/00Nanotechnology for information processing, storage or transmission, e.g. quantum computing or single electron logic
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/10Processes for the isolation, preparation or purification of DNA or RNA
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/635Externally inducible repressor mediated regulation of gene expression, e.g. tetR inducible by tetracyline
    • GPHYSICS
    • G06COMPUTING; CALCULATING OR COUNTING
    • G06NCOMPUTING ARRANGEMENTS BASED ON SPECIFIC COMPUTATIONAL MODELS
    • G06N3/00Computing arrangements based on biological models
    • G06N3/12Computing arrangements based on biological models using genetic models
    • G06N3/123DNA computing

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Theoretical Computer Science (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Plant Pathology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Mathematical Physics (AREA)
  • Nanotechnology (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Bioinformatics & Computational Biology (AREA)
  • Evolutionary Biology (AREA)
  • Data Mining & Analysis (AREA)
  • Computational Linguistics (AREA)
  • Artificial Intelligence (AREA)
  • Evolutionary Computation (AREA)
  • Computing Systems (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Software Systems (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Shift Register Type Memory (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 本発明は、種々の論理素子、すなわち、ゲートおよびフリップ・フロップとして作用する新規な分子構築物に関する。構築物は種々の情況において有用であり、このような情況は計算および制御システムを包含するが、これらに限定されない。構築物の基本機能単位は少なくとも2つのタンパク質結合部位を有する。タンパク質結合部位をそれらの同種結合タンパク質は同時に占有することができない。この基本単位を多数のフォーマットで組立て、伝統的ディジタル論理素子(フリップ・フロップ、ゲート、インバータ、およびその他)のように作用する分子構築物を提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の分野 本発明は、種々の論理素子、すなわち、ゲートおよびフリップ・フロップとし
て作用する新規な分子構築物に関する。構築物は種々の情況において有用であり
、このような情況は計算および制御システムを包含するが、これらに限定されな
い。
【0002】 背景 計算装置の歴史は、より大きくかつより遅い装置からより小さくかつより速い
装置への進行を明らかにする。この進行における巨大な段階的進歩は、根元的技
術の有意な変化を伴った。こうして、例えば、計算速度の非常に大きい増加は、
機械的な、手動装置、例えば、計算器および手動現金登録器および計算器から電
気的に駆動する機械的コンピュータ( 例えば、電気的現金登録器/計算器) への
変移を伴った。同様に、有意の速度の増加および大きさの減少は、機械をベース
トする装置から管をベーストする電子的コンピュータへのシフトを伴い、再び管
をベーストする電子的コンピュータからトランジスタをベーストする電子的コン
ピュータへのシフトを伴い、しかも再び離散トランジスタ回路、集積回路から大
規模集積(LSI) 回路から大規模へのシフトを伴った。
【0003】 最近、大規模集積電子装置の連続的に減少する大きさおよび増加する速度は、
この進歩の理論的および実際的限界に関する興味および関心を増加させた。電子
システムにおける固有の雑音、種々の素子の主要大きさが減少するにつれて、常
に減少する表面積を横切る熱の消失の必要性、および微視的性質よりも量子機械
的性質が優勢である点にまで、装置の物理的大きさが減少するにつれて、装置の
「異常な」挙動により、このような理論的限界は影響を受ける。( しかしながら
、小さい主要大きさにおける量子機械的性質の出現は量子計算装置の基礎を提供
できることが認められ、そしてこの分野はかなりの関心がもたれている。) 予測
可能なかつ確実な微小製作のコストおよび困難により、実際的限界は付与される
【0004】 計算力および/または効率を改良する他のアプローチは、単一プロセッサが計
算において必要な操作を順次に実行する「線形」計算システムを、各計算成分が
2 またはそれ以上の処理素子を横切って分布されている「並列」計算システムで
置換することを包含した。並列計算システムは計算時間の非常に大きく節約した
。例えば、原理的に並列の100 計算素子上で実行するアルゴリズムは、各操作を
順次に処理しなくてはならない単一素子上の同一アルゴリズムよりも約100 倍速
く実行することができる。
【0005】 もちろん、素子を集積するとき、種々の計算素子間のアルゴリズムの分析にお
いて多少の時間が損失され、そして次の操作を進行させる前に、いくつかの素子
は他の素子が計算を完結するのを待機しなくてはならないことがあるので、実際
の効率ゲインは100 より小さい。それにもかかわらず、重く大きい並列システム
は、線形計算システムで実際に決定できない問題を解く( 例えば、大きい素数を
同定する) ことができた。
【0006】 2 つのアプローチの組合わせ、すなわち、重く大きい並列システムと小さい計
算素子との組合わせは分子計算の分野を誕生させた。これはAdleman(1994)Scien
ce 226:1021-1024による生産的な論文に例示されており、ここで分子生物学的道
具は有向ハミルトン経路の問題の例を解くために使用された。特に、Adleman は
問題( 有向グラフ) を核酸配列にコード化し、次いで引き続いてデコードできる
コード化解を究極的に産生する1 系列の結合を実行した。Schneider(1991)J.The
oret.Biol. 148:125に引き続いて、Adleman はこのような分子システムが34×10 19 操作/ジュールの理論最大値で顕著なエネルギー効率を証明できることを示唆
したが、慣用スーパーコンピュータは多くて109 操作/ジュールで実行する。
【0007】 DNA 分子の計算はある種の困難および制限を特に種々の問題のエンコーディン
グに付与すること、および慣用電子コンピュータはそれらが提供する操作の多様
性およびこれらの操作の適用の柔軟性において利点を有することを、Adleman は
認識した。しかしながら、現存する電子コンピュータが非常に非効率的でありか
つ分子生物学が提供する操作の利点を利用するように、大きい並列サーチを構成
できる、有向ハミルトン経路の問題のような、ある種の固有に複雑な問題につい
て、このような分子計算は好都合であることがあることを、彼は認めなかった。 Adleman が示すように、以前の分子計算システムの1 つの制限は、操作の多様
性およびそれらを適用できる柔軟性の欠如であった。
【0008】 発明の要約 本発明は、電子的対応物に類似する方法で操作し、こうして広範な種類の操作
を提供する、分子論理装置を提供することによって、多数のこれらの制限を克服
する。したがって、1 つの態様において、本発明は、分子双安定素子( フリップ
・フロップ) および広範な種類の論理素子( ゲート) 、例えば、AND 、OR、NAND
、NOR 、NOT ゲートまたはその他を提供する。
【0009】 これらの装置の中央操作素子は、2 つのタンパク質結合部位( 例えば、第1 タ
ンパク質結合部位および第2 タンパク質結合部位) を有する核酸である。タンパ
ク質が第1 タンパク質結合部位に特異的に結合するとき、そうでなければ第2 結
合部位を特異的に認識しかつそれに結合するタンパク質が第2 結合部位に結合す
ることができず;そしてタンパク質が第2 タンパク質結合部位に特異的に結合す
るとき、そうでなければ第1 結合部位を特異的に認識しかつそれに結合するタン
パク質が第1 結合部位に結合することができない;ように部位は配置されている
【0010】 こうして、結合部位は相互に排他的である。核酸は一本鎖または二本鎖の核酸
であることができるが、二本鎖核酸( 例えば、DNA)が好ましい。第1 および第2
の結合部位は同一であるか、あるいは異なるヌクレオチド配列を有することがで
きる。1 つの好ましい態様において、第1 および第2 の結合部位は同一でありか
つ本明細書に記載する配列番号:1 のヌクレオチド配列を有する。
【0011】 本明細書に記載する核酸結合タンパク質( 例えば、Fis 、修飾されたEF-tu 、
Tus 、およびLexA) の任意のものが結合部位を特異的に認識( それに結合) する
ように、結合部位を選択することができる。 上に示したように、結合部位は相互に排他的である( ただ1 つが一度に結合す
ることができる) ように、結合部位は間隔を置いて位置する。第1 結合部位は好
ましくは第2 結合部位の20ヌクレオチド( 塩基対) 以内、より好ましくは15塩基
対以内、最も好ましくは11またはそれより少ない塩基対以内に存在する。好まし
い結合部位は、個々の情報理論により決定して、少なくとも2.4 ビットの強度を
有する。個々の情報理論により決定して、2 つの部位の間の強度の差は少なくと
も0 ビットである。
【0012】 「フリップ・フロップ」は1 またはそれ以上のセレクター結合部位( 例えば、
第3 タンパク質結合部位) をさらに含み、ここで第3 結合部位の特異的結合( 例
えば、タンパク質との) が第1 または第2 の結合部位の特異的タンパク質結合を
排除するように、セレクター結合部位は第1 タンパク質結合部位または第2 タン
パク質結合部位に近接して存在する。
【0013】 1 つの好ましい態様において、フリップ・フロップは前述の核酸からなり、こ
こで第1 タンパク質結合部位はFis 結合部位であり;第2 タンパク質結合部位は
Fis 結合部位であり;そして結合部位は互いに12ヌクレオチド塩基対より少ない
間隔を置いて位置する。特に好ましいフリップ・フロップにおいて、核酸は本明
細書に記載する配列番号:2 または配列番号:3 の配列からなるデオキシリボ核
酸である。
【0014】 他の態様において、本発明は、本明細書に記載する種々の論理ゲート(NOR、OR
、NOT 、AND 、NAND) を提供する。これらのゲートの基本的単位はNOR ゲートで
ある。1 つの態様において、NOR ゲートは少なくとも5 塩基対の長さを有しかつ
第1 タンパク質結合部位、第2 タンパク質結合部位、および第3 タンパク質結合
部位をコードするヌクレオチド配列を有する単離された核酸からなる組成物であ
り、ここでタンパク質結合部位は互いに対して近接して間隔を置いて位置し、こ
うして第1 タンパク質結合部位または第3 タンパク質結合部位のいずれかに核酸
結合タンパク質が特異的に結合するとき、そうでなければ第2 結合部位を特異的
に認識しかつそれに結合するタンパク質は第2 結合部位に結合することができず
;そして核酸結合タンパク質は第1 タンパク質結合部位および第3 タンパク質結
合部位に同時に特異的に結合することができる。
【0015】 NOR ゲートは、第1 または第2 の結合部位に核酸結合タンパク質( 例えば、Fi
s または本明細書に記載する任意の結合タンパク質) が結合している状態である
ことができ、こうしてHIGH状態に設定されている。同様に、核酸結合タンパク質
は第2 結合部位に結合できるが、第1 または第2 の結合部位が結合されていると
き、結合できない。
【0016】 第2 結合部位に結合した結合タンパク質をアクチベーター( 例えば、Gal4のよ
うな遺伝子トランスアクチベーター) に結合させることができる。さらに、NOR
ゲートはトランスアクチベーターの制御下に遺伝子またはcDNAをさらに含むこと
ができる。遺伝子またはcDNAは事実上任意の構造タンパク質をコードすることが
できる。こうして、1 つの態様において、遺伝子はリポーター遺伝子( 例えば、
FFlux 、GFP 、およびその他) であることができるか、あるいは他の態様におい
て遺伝子は核酸結合タンパク質をコードすることができる。これは、上にゲート
またはフリップ・フロップの出力を同一ゲートまたはフリップ・フロップの入力
に、あるいは他のゲートまたはフリップ・フロップの入力にカップリングする方
法を提供する。
【0017】 前述のフリップ・フロップを使用するときのように、根元的核酸は二本鎖( 例
えば、DNA)であることができる。NOR ゲートからなる3 つの結合部位のすべては
異なることができる (この場合において、セレクターは不必要であるが、それら
は必要に応じて存在することができる) 。
【0018】 あるいは、第1 および第3 の結合部位は同一ヌクレオチド配列を有する( すな
わち、同一強度で同一タンパク質に結合する) ことができ、この場合において、
NOR ゲートはNOT ゲートのように作用する(I1 =I2、NOR(I1I2) =NOT(I1) であ
るとき) 。他の態様において、第1 または第3 の結合部位および第2 結合部位は
同一ヌクレオチド配列を有することができる。結合部位が任意の特定の結合タン
パク質について同種結合部位であるように、結合部位を選択することができる。
第1 および第2 の部位の間および第2 および第3 の部位の間の好ましい間隔は前
述した通りである。
【0019】 好ましい結合部位は、個々の情報理論により決定して、少なくとも2.4 ビット
の結合強度を有する。1 つの態様において、第1 および第3 の部位の間の強度の
差は、個々の情報理論により決定して、少なくとも0 ビットである。特に好まし
い態様において、第1 タンパク質結合部位はFis 結合部位であり、そして第3 タ
ンパク質結合部位はFis 結合部位である( 例えば、配列番号:1 の結合部位であ
る) 。
【0020】 他の態様において、本発明は、バイナリ情報を記憶する組成物を提供する。好
ましい記憶組成物は、第1 タンパク質結合部位または第2 タンパク質結合部位に
結合した核酸結合タンパク質を有する、前述の任意のフリップ・フロップからな
る。根元的核酸は、一方または双方の末端に制限部位を有し、好ましくは各末端
に異なる制限部位を有する。制限部位に隣接する結合部位が結合タンパク質で占
有されているとき、リガーゼが合致する鎖を制限部位に結合させることができな
いように、制限部位は位置することが好ましい。
【0021】 記憶組成物は溶液中で遊離であることができるか、あるいはそれを固体支持体
に結合させることができる。結合タンパク質は根元的核酸に共有結合させること
ができる。結合タンパク質は、前述した遺伝子トランスアクチベーターに結合さ
せることができる。さらに、記憶組成物は、好ましくはアクチベーター制御下に
ある、1 またはそれ以上の前述の遺伝子またはcDNAを含むことができる。
【0022】 なお他の態様において、情報を記憶させる方法を提供する。この方法は、核酸
結合タンパク質を、前述のフリップ・フロップの任意のものからなる核酸上また
は本明細書に記載するゲートの任意のものからなる核酸上の第1 タンパク質結合
部位に結合させることからなる。この方法は、結合タンパク質が核酸上のどの結
合部位に結合するかを決定する工程をさらに含むことができる。
【0023】 本発明は、また、バイナリ情報を変換する方法を提供する。この方法は、核酸
結合タンパク質を本明細書に記載する任意の1 またはそれ以上のゲート上の入力
タンパク質結合部位に結合させ;そして核酸結合タンパク質が出力タンパク質結
合部位に結合できるか否かを決定することを含む。出力結合部位は同一であるか
、あるいは異なるゲートであることができ、そしてそれは同一であるか、あるい
は異なる核酸であることができる。好ましい態様において、この目的のために使
用するゲートからなる核酸は、少なくとも3 塩基対の長さ、好ましくは少なくと
も5 塩基対の長さ、より好ましくは少なくとも7 塩基対の長さ、最も好ましくは
少なくとも22塩基対の長さを有する。
【0024】定義 用語「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、アミノ酸残基
のポリマーを言及するために本明細書において互換的に使用される。この用語は
、1 またはそれ以上のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工的
化学的アナローグ、ならびに天然に存在するアミノ酸ポリマーに対する人工的化
学的アナローグである、アミノ酸ポリマーに適用される。
【0025】 用語「核酸」は、一本鎖または二本鎖の形態のデオキシリボヌクレオチドまた
はリボヌクレオチドのポリマーを意味し、特記しない限り、天然に存在するヌク
レオチドと同様な方法において機能することができる、天然ヌクレオチドの既知
アナローグを包含する。また、この用語は、「ペプチド」核酸におけるようにペ
プチド結合により結合されたヌクレオチドを包含する。
【0026】 用語「特異的に結合する」は、本明細書において使用するとき、核酸へのタン
パク質またはポリペプチドの結合の言及において、タンパク質が特定の核酸配列
のパターン( ヌクレオチド配列) に強く結合しかつ他の異なる核酸パターンに弱
く結合する、タンパク質/核酸の相互作用を意味する( 例えば、ゲルシフトアッ
セイにおいて、同一タンパク質が同一長さの他の異なる核酸配列に対して示すゲ
ルシフトに比較して、特異的結合は有意なゲルシフトを示すであろう) 。
【0027】 用語「核酸結合タンパク質」は、本明細書において、特定のヌクレオチド配列
において核酸に特異的に結合するタンパク質を意味するために使用される。核酸
結合タンパク質は、DNA 結合タンパク質、mRNA結合タンパク質、tRNA結合タンパ
ク質、前述したような修飾されたまたはそうでなければ非標準的核酸に特異的に
結合するタンパク質を包含する。
【0028】 核酸結合タンパク質は下記のものを包含するが、これらに限定されない:DNA
結合タンパク質、例えば、Fis 、LacI、ラムダcI、ラムダcro 、LexA、TrpR、Ar
gR、AraC、CRP 、FNR 、OxyR、IHF 、GalR、MalT、LRP 、SoxR、SoxS、シグマ因
子、chi 、T4MotA、P1RepA、p53 、NF- カッパ-B、およびRNA 結合タンパク質ま
たはタンパク質/RNA 複合体、例えば、リボソーム、T4regA、スプライスソーム
( ドナーおよびアクセプター) 、ポリA 結合因子、およびその他。多数の核酸結
合タンパク質は、TransFacデータベースに記載されている(ftp://transfac.gbf-
braunschweig.de/pub/taransfac/ascii/、また、Nucleic Acids Res. 25(1):265
-268(1997)参照) 。
【0029】 「タンパク質結合部位」は、特定の核酸結合タンパク質が特異的に結合する核
酸中のヌクレオチド配列を意味する。 用語「同種タンパク質」または「同種結合部位」は、それぞれ、結合部位に特
異的に結合するかタンパク質または特定の結合タンパク質が特異的に結合する結
合部位を意味する。
【0030】 結合部位の「ブロッカー」、「セレクター」、または「モジュレーター」は、
結合部位に隣接して、それに対して近接して、またはその上に結合したとき、そ
の同種核酸結合タンパク質によるその部位の結合を部分的または完全にブロック
する成分を意味する。 用語「フリップ・フロップ」は、2 つの相互に排他的な部位の一方または他方
の中に存在する双安定装置を意味する。こうして、本発明の分子フリップ・フロ
ップは2 つの結合部位を有し、それらのただ1 つに一度に結合することができる
【0031】 用語「ゲート」は、1 またはそれ以上の入力に応答して特定の( 前もって決定
した) 出力を生成する装置を意味するために使用される。こうして、例えば、す
べての入力がHIGHであるときにのみ、AND ゲートはHIGH出力を生成する。ORゲー
トは、いずれかの入力がHIGHであるとき、HIGH出力を生成し、そしてすべての入
力がLOW であるときにのみ、LOW 出力を生成する。NOT 機能は、入力がLOW であ
るとき、HIGHに戻り、そして入力がHIGHであるとき、LOW に戻る。ゲートおよび
それらの使用はこの分野においてよく知られている( 例えば、下記の文献を参照
のこと:HorowitzおよびHill(1990)The Art of Electronics,Cambridge Univers
ity Press 、Cambridge)。
【0032】 用語「状態」は、本発明のフリップ・フロップまたは論理ゲートの特定の結合
部位のシグナル状態を言及するために使用される。結合したタンパク質であるか
、あるいは結合したタンパク質であることができるタンパク質結合部位はHIGHと
言われるが、非結合でありかつ結合タンパク質が結合することができない結合部
位はLOW と言われる。
【0033】 用語「入力」は、本明細書において、出力を誘発するためにシグナルを適用で
きる結合部位を意味するために使用される。シグナルそれ自体( 例えば、シグナ
ルペプチド) もまた入力と呼ぶ。差は使用に関して決定されるであろう。用語「
入力結合部位」は、入力として使用されるタンパク質結合部位を意味する。 用語「出力」は、本明細書において、1 またはそれ以上の入力結合事象の結果
として、その同種タンパク質への結合を可能または不可能とする結合部位を意味
するために使用される。出力という用語は、また、出力結合部位の状態を言及す
ることができる。出力は本発明の他のゲートまたはフリップ・フロップに入力を
提供することができる。
【0034】 「シグナルペプチド」は、本発明の分子フリップ・フロップまたは分子ゲート
の( 論理) 状態を設定する核酸結合タンパク質である。本明細書において記載す
るように、核酸上のタンパク質結合部位へのシグナルタンパク質の結合はその結
合部位の状態を高く設定する。シグナルタンパク質は、また、フリップ・フロッ
プまたはゲートの状態を読むために使用することができる。この後者の関係にお
いて、タンパク質が出力結合部位に結合できる( すなわち、結合部位はアンブロ
ックされる) 場合、出力の状態はHIGHと言われる。逆に、出力結合部位がブロッ
クされている場合、この状態はLOW と言われる。
【0035】 用語「状態の設定」は、結合部位を言及するとき、特定の結合部位からのシグ
ナルタンパク質の選択的結合または非結合を言及する。シグナルタンパク質が結
合部位に結合するとき、結合部位の状態は高く設定される。逆に、シグナルタン
パク質が部位から除去されているとき、この状態はLOW に設定される。フリップ
・フロップに関すると、状態の設定はその相互に排他的な安定な状態の1 つへの
遺伝子ガンの設定を意味する。こうして、状態1 はシグナルタンパク質を第1 結
合部位に結合することによって設定することができるが、状態2 はシグナルタン
パク質を第2 結合部位に結合することによって設定することができる。2 つの状
態は相互に排他的であるので、1 つの部位における状態は他の部位における状態
の設定( またはスイッチ) を暗示的に含む。
【0036】 用語「状態のリセット」は、入力結合部位、出力結合部位、またはフリップ・
フロップの状態を変化させること( 例えば、HIGHからLOW へまたはLOW からHIGH
へ) を意味する。 用語「GTP アーゼ様」タンパク質は、エネルギーの消失( 例えば、エネルギー
源、例えば、GTP 、ATP 、およびその他の加水分解、または光の入力) で結合し
た核酸を解放することができる結合タンパク質を意味する。このような解放は必
要に応じてコファクターの追加的使用により達成することができる。GTP アーゼ
様タンパク質は、天然に存在するGTP アーゼ様タンパク質(GTPアーゼを包含する
) ならびに修飾されたおよび非天然のGTP アーゼ様タンパク質を包含する。
【0037】 「組換え発現カセット」または単に「発現カセット」は、このような配列と適
合性の宿主における1 またはそれ以上の構造遺伝子の発現に影響を与えることが
できる核酸因子で、組換え的または合成的に発生させた、核酸構築物である。発
現カセットは、少なくともプロモーターおよび必要に応じて、転写停止シグナル
を包含する。典型的には、組換え発現カセットは、転写すべき核酸( 例えば、所
望のポリペプチドをコードする核酸) 、およびプロモーターを包含する。また、
発現を実行するとき必要なまたは助けとなる追加の因子を、本明細書において記
載するように、使用することができる。例えば、発現カセットは、また、宿主細
胞から発現されたタンパク質の分泌を指令するシグナル配列をコードするヌクレ
オチド配列を含むことができる。
【0038】 「論理カセット」は、1 またはそれ以上の遺伝子の発現が本発明の1 またはそ
れ以上の分子ゲートまたはフリップ・フロップの制御下にある発現カセットを意
味する。 句「発現が〜の制御下にある」は、論理素子( 例えば、ゲートまたはフリップ
・フロップ) について言及するとき、ゲートまたはフリップ・フロップの1 また
はそれ以上の状態( 入力および/または出力) の変化が遺伝子または前記制御下
の遺伝子の発現レベルを変更することを示す。
【0039】 同様に、「作用可能に連鎖された」またはアクチベーターの「制御下の」遺伝
子は、特定のアクチベーターの存在または非存在によりその発現が変更される遺
伝子を意味する。 「拘束されたアクチベーター」は、核酸結合タンパク質( 例えば、LexA) に直
接的にまたはリンカーを介して結合した遺伝子アクチベーター( 例えば、Gal4)
を意味する。結合は化学的複合化であるか、あるいは融合タンパク質の組換え発
現によることができる。ある場合において、アクチベーターの代わりにリプレッ
サーを使用することができ、そして拘束されたアクチベーターという用語はこの
可能性を包含することを意図する。
【0040】 用語「結合強さ」は、本明細書において使用するとき、個々の情報の理論を使
用して計算された( 例えば、Schneider(1977)J.Theoret.Biol. 189(4):427-441
に記載されているような) または結合エネルギー(-△G)により測定された結合強
さを意味する。
【0041】 用語「単離された」、「精製された」または「生物学的に純粋な」は、自然状
態において見出されるような通常付随する成分を実質的または本質的に含まない
物質を言及する。核酸の場合において、単離された核酸は事実それをフランクす
る核酸配列を典型的には含まない。単離された核酸を細胞の中に再導入すること
ができ、そしてこのような「異種」核酸は本発明において単離されたと見なされ
る。さらに、新たに合成された、またはクローニング( 例えば、組換えDNA技
術) により産生された核酸もまた「単離された」と見なされる。
【0042】 用語「配列ロゴグラム」は1 組の整列された配列においてパターンを表示する
グラフィック法を意味する。配列を表す記号は、整列された配列中の各位置につ
いて互いの上部に積み重ねられる。各文字の高さはその頻度に比例し、そして文
字は最も普通であるもとが上部に存在するように分類される。次いで全体の積み
重ねの高さを調節して、その位置における配列の情報含量を意味させる。
【0043】 これらの「配列ロゴグラム」から、コンセンサス配列ばかりでなく、かつまた
部位または配列中ですべての位置における塩基または情報含量( ビットで測定し
た) の相対的頻度を決定することができる。ロゴグラムは有意な残基および微妙
な配列のパターンの双方を表示する。配列のロゴグラムは下記の文献に詳細に記
載されている:Schneider & Stephans(1990)Nucl.Acids Res. 18:6097-6100およ
びSchneider(1996)Meth.Enzym. 274:445-455。
【0044】 用語「配列ウォーカー」は、結合タンパク質および他の高分子がヌクレオチド
配列の個々の塩基と相互作用する方法を表示するグラフィック法を意味する。配
列を表す文字は正常に配向されており、好適な接触、または転倒を示す線の上に
配置され、そして好ましくない接触を示す線の下に配置される。各文字の正また
は負の高さは、配列ロゴグラムにより表されるように、結合部位の平均配列保存
に対する塩基の寄与を示す。
【0045】 これらの配列 「ウォーカー」は生配列データに沿って段階的になっていて、
結合部位について視的に検索することができる。同一であるか、あるいは異なる
タンパク質について、多数の配列ウォーカーを配列の次の同時に配置させて、複
雑な遺伝的領域の定量的地図をつくることができる。配列を変更させて結合部位
を定量的に操作することができる。ウォーカーを結合分子の記録された位置に配
置させ、これを付近の配列を走査して見出された位置と比較することによって、
データベースの異常を可視化することができる。
【0046】 また、配列を変更させて、変化がモデル化されているレコナイザーについての
多形性または突然変異であるかどうかを予測することができる。「配列ウォーカ
ー」の計算および使用は下記の文献に記載されている:Schneider(1997)Nucl.Ac
ids Res. 25:4408-4415 、および同時継続米国出願第08/495,115号、1995年6 月
23日提出。ウォーカーについての数学は下記の文献に記載されている:Schneide
r(1997)J.Theoret.Biol. 189(4):427-441 。
【0047】 詳細な説明 本発明は、2 つの相互に排他的な状態のいずれかで特徴的に存在することがで
きる、新規な核酸/タンパク質構築物を提供する。一般に、本明細書において「
フリップ・フロップ」と呼ぶ構築物は、少なくとも2 つのタンパク質結合部位を
有する核酸からなる。第1 部位にその同種核酸結合タンパク質が結合していると
き、第2 部位が結合することができない( 例えば、立体障害性のために) ように
、結合部位は互いに近接して位置する。逆に、第2 部位にその同種核酸結合タン
パク質が結合しているとき、第1 部位は結合することができない。こうして、フ
リップ・フロップは2 つの可能な相互に排他的な状態、すなわち、結合した第1
部位または結合した第2 部位、で存在することができる。
【0048】 理解されるように、2 つの状態の素子、例えば、本明細書に記載するフリップ
・フロップは、広範な種類のディジタル情報処理および制御システムの心臓部を
形成する。特に、本明細書において、フリップ・フロップは静的または動的デー
タ記憶素子として作用することができる( すなわち、各フリップ・フロップは、
例えば、読取り専用記憶装置において、ビットとして作用する) ことを説明する
。さらに、フリップ・フロップは「論理」ゲート( 例えば、AND 、OR、NAND、NO
R 、NOT)に組み立てることができる。
【0049】 論理ゲートは、計算素子として作用するか、あるいは細胞機構( 例えば、1 ま
たはそれより多い遺伝子の発現) を制御するように組み立てることができる。こ
うして、本発明は、細胞中の遺伝子発現を調節する新規な方法を提供する。さら
に、本発明のフリップ・フロップは逐次論理システムにおいて使用して( 例えば
、真のリセット可能なフリップ・フロップとして) 真の分子バイナリ計算または
制御システムを提供することができる。
【0050】1.フリップ・フロップ、ゲート、およびそれらの使用 A)簡単なデータ記憶:読取り専用記憶装置(ROM) 本発明の分子フリップ・フロップは簡単なデータ記憶のために使用することが
できる。実際に、2 つの相互に排他的タンパク質結合部位を有する核酸から成る
分子フリップ・フロップは、3 つの明確に区別された状態、すなわち、完全に非
結合、結合した第1 部位、または結合した第2 部位、を有する( 例えば、第1a図
および第1b図参照) 。フリップ・フロップは、トリナリシステムにおいてコード
化された情報を記憶するために使用できる。
【0051】 しかしながら、バイナリ記憶について一般的に強調すると、典型的には2 つの
みの状態が使用されるであろう。これらは好ましくは結合/非結合、または結合
した部位1 /結合した部位2 を含むであろう( 図1aおよび図1bにおいてBS1 /BS
2)。第1 の場合において、非結合状態はゼロと表示し、結合状態を1 と表示する
ことができるが、第2 の場合において、結合した第1 部位をゼロと表示し、第2
部位を1 と表示することができる。 単一の核酸分子( 非結合/結合) または( 結合した部位1 /部位2)または多数
のこのような核酸分子の状態を使用して、情報をコードし、記憶することができ
る。
【0052】 例えば、産物の由来を分子レベルで標識化することができる。こうして、産物
がファクトリーA である場合、フリップ・フロップの部位1 は非結合( 例えば、
状態0)であることができるが、産物がファクトリーB である場合、フリップ・フ
ロップの部位1 は結合( 例えば、状態1)であることができる。こうして、単一の
タンパク質/核酸の「フリップ・フロップ」は1 ビットの情報を記憶し、この例
において、2 つの異なる部位起点を示すことができる。もちろん、多数の「フリ
ップ・フロップ」を組合わせて、事実上無限量の情報をコードする「レジスタ」
を形成することができる。
【0053】 任意の数の手段により、読出しを容易に達成することができる。例えば、1 つ
の態様において、フリップ・フロップ核酸を制限部位からなるオーバーハングで
終止し、そして各末端は異なる制限部位からなるであろう( 例えば、第2 図に図
解するように、結合部位1 に隣接するEcoRI オーバーハングおよび結合部位2 に
隣接するHindIII オーバーハング) 。次いでEcoRI オーバーハングまたはHindII
I オーバーハングのいずれかにおいて終わる二本鎖核酸からなる2 つの「読出し
」分子とフリップ・フロップを接触させ、そして結合反応を実行する。
【0054】 結合タンパク質( 例えば、Fis)により付与される干渉のために、リガーゼはブ
ロックされた( 結合した) 部位に隣接する制限部位において反応することができ
ない。逆に、リガーゼはブロックされた( 結合した) 部位に隣接する制限部位に
おいて反応し、これにより合致する制限部位を有する「読出し」分子を結合させ
るであろう。こうして、結合部位1 が結合している場合、読出し分子は結合部位
2 に隣接して結合し、そして結合部位2 が結合している場合、読出し分子は結合
部位1 に隣接して結合するであろう。
【0055】 読出し分子は広範な種類の手段により検出可能である。例えば、2 つの読出し
分子を区別可能な標識( 例えば、異なる色の蛍光分子) で標識化することができ
る。読出し分子は必要に応じてプライマー部位を含み、読出し分子が首尾よく結
合されたときにのみ増幅される特定の核酸配列のPCR 増幅を促進することができ
る。
【0056】 各フリップ・フロップの核酸は、また、レジスタまたはメッセージ中のどのビ
ットがそのフリップ・フロップにより表示されるかを示す、ユニークアイデンテ
ィファイアーをコードすることができる。したがって、PCR 反応はビットの同一
性またはアドレスおよびその状態の双方を同時に明らかにすることができる。他
の態様において、読出し配列は必要に応じて固体支持体( 例えば、マイクロタイ
ターまたはPCR プレートの壁) 上のビットを捕捉するためのハイブリダイゼーシ
ョンターゲットを提供することができる。
【0057】 フリップ・フロップは溶液の中に遊離状態で提供可能であるか、あるいはフリ
ップ・フロップを固体支持体に定着することができる( 例えば、ビオチン/スト
レプトアビジン反応を介して) 。定着されたとき、核酸の両端が遊離であるよう
に( 例えば、2 つの読出し分子を使用するために) アンカーを位置決定するか、
あるいはそれを1 端を通して定着することができる。
【0058】 フリップ・フロップの1 端を定着させる場合、自由端に対して相補的な制限部
位を有する単一の読出し分子を使用して、読出しを達成することができる。結合
の成功は自由端に隣接する結合部位が非結合であることを示すが、結合の失敗は
自由端に隣接する結合部位が占有( 結合) されていることを示すであろう。
【0059】 他の態様において、メモリは単一のタンパク質結合部位および単一のタンパク
質を有する核酸から単に成ることができる。この態様において、結合した核酸は
1 つの状態を示すが、非結合核酸は他の状態を示す。このメモリは本明細書にお
いて記載するように多数の手段により読むことができる。再び、好ましい態様に
おいて、読出しは結合反応により達成することができる。この場合において、核
酸分子はタンパク質結合部位に隣接する単一の制限部位からなることができる。
【0060】 この分子を相補的制限部位オーバーハングを有する核酸と接触させ、そして第
2 図に図解するように結合を実施する。タンパク質が結合したとき、リガーゼは
制限部位と反応することができず、結合反応は起こらない。逆に、結合部位が非
結合であるとき、結合は起こることができ、次いで結合した読出し分子を検出す
ることができる。
【0061】 いったんフリップ・フロップ分子メモリの状態が設定されると、この状態を核
酸への核酸結合タンパク質の架橋によりロックインすることができる。このよう
な固定化に適当な架橋剤は既知であり、そしてグルタルアルデヒド、アビジン−
ビオチン、およびその他のような物質を包含するが、これらに限定されない。こ
うして、フリップ・フロップは「ライト・ワンスイード・メニー」(WORM)メモリ
を提供し、これは環境条件の変動に対して極めて安定である。
【0062】 上記において示唆したように、こうしてほとんど任意の種類の情報を1 系列の
「フリップ・フロップ」の中にコード化し、後に読出すことができる。このよう
なフリップ・フロップの組合わせは、有用な情報を提供できるメッセージを分子
レベルで提供する( 例えば、制御された物質、例えば、薬剤または爆発物、ユニ
ークアイデンティファイアーまたは認証物、例えば、現金通貨、書類、およびそ
の他の製作時点) 。
【0063】 高いアフィニティーおよび安定性を有する結合タンパク質( 例えば、Tus)を使
用する場合、メッセージは極端な環境条件に対して比較的安定であり、架橋した
場合、高度に安定である。また、メッセージは何げない観察による検出は、不可
能でない場合においても、極めて困難であり、そして検出および/または読出し
のために適当なアッセイ( 例えば、正しい読出し分子とのリガーゼ反応) の使用
を必要とするであろう。
【0064】 好ましい態様において、読出し分子が所望のもの以外のタンパク質結合部位を
含有しないように、読出し分子は設計されることが認識されるであろう。これは
、Schneider(1997)Nucl.Acids Res. 25:4408-4415 に記載されているようにして
、「配列ウォーカー」を使用して日常的に達成することができる。
【0065】 B)分子計算 1)組合わせタスク ディジタルシステムにおいて、ディジタル出力はディジタル入力からしばしば
発生される。例えば、加算器は入力として2 つの16ビット数を取り、16ビット(
+桁上り) の和を発生する。あるいは、システムは2 つの数を掛け、他のタスク
は2 つの数を比較して、どちらが大きいかを決定するか、あるいは1 組の入力を
所望の入力と比較して、システムが同等であることを確かめることであろう。他
の態様において、「パリティ・ビット」をある数の結合させて1 の偶数の総数を
つくること、前述したようにデータ・リンクを通す伝送、が望ましいことがある
【0066】 次いでパリティを受け取ったとき、正しい伝送の簡単な検査として、検査する
ことができる( 例えば、引き続く解析) 。これらのすべては、1 またはそれ以上
の出力が1 またはそれ以上の入力の前もって決定したファンクションであるタス
クである。1 クラスとして、タスクは組合わせタスクとして知られている。タス
クはゲートと呼ばれる装置で実行することができ、これらの装置は2 つの状態(
バイナリ) システムに適用されたブール代数の操作を実行する。
【0067】 用語「ゲート」は、本明細書において使用するとき、1 またはそれ以上の入力
のファンクションである出力を戻す装置を意味する。出力および入力の双方はHI
GHまたはLOW のシグナルであり、そして本発明の分子ゲートにおいて、シグナル
はシグナルタンパク質により担持( 指示) され、シグナルタンパク質は、好まし
い態様において、特定の核酸配列( 結合部位) に結合する核酸結合タンパク質で
ある。
【0068】 本発明の分子コンピュータおよび制御において、特定のタンパク質結合部位(
次いでシグナル状態を電子システムと同様にHIGHと呼ぶ) または非結合である結
合部位( 本明細書において電子ディジタルシステムと同様にLOW と呼ぶ) におけ
る核酸に結合したタンパク質により、2 つの( バイナリ) シグナル状態は表され
る。
【0069】 理解されるように、種々のゲートを読み、こうして情報を提供することができ
る( 例えば、計算工程の結果) か、あるいはプロセスを制御するために使用する
ことができる。後者の態様において、出力状態を直接的に読む必要はなく、単に
1 またはそれ以上の遺伝子のアップレギュレーション( 例えば、出力シグナルタ
ンパク質が転写因子/エンハンサーである場合) またはダウンレギュレーション
( 例えば、出力シグナルタンパク質がリプレッサーである場合) を生ずることが
できる。また、1 つのゲートの出力が他のゲートの入力として作用するように、
ゲートを積み重ねることができる( 例えば、1 つのゲートは、次のゲートのため
の入力として作用できるタンパク質結合分子( シグナル分子) の転写を活性化す
る) 。
【0070】 ゲートは当業者によく知られている。基本ゲートはAND ゲート、ORゲート、お
よびインバータ(NOTファンクション) を包含する。他のゲートはNOR(NOT OR) 、
NAND(NOT AND) 、排他的OR(XOR) 、およびその他を包含する。ゲートの詳細な説
明は、例えば、下記の文献に記載されている:HorowitzおよびHill(1990)The Ar
t of Electronics,Cambridge University Press 、 Cambridge。
【0071】 NOR ゲートの構築および使用を後述する。一般に理解されているように、NOR
ゲートはすべての他の型のゲートを構築するために使用することができ、こうし
てファンクションコンピュータを提供するために十分である。NOT 、OR、AND 、
およびNANDゲートを構築するためのNOR ゲートの使用を後述する。本明細書にお
いて概説する原理を使用して、他のゲートをその上設計することができる。
【0072】 a)NOR ゲート 双方の入力がLOW(非結合) であるときにのみ、NOR ゲートの出力はHIGHである
( タンパク質に結合することができる) 。これは表1 に示すように「真理値表」
に表すことができる。本明細書において示す真理値表において、入力および出力
は根元的核酸上の特定の前もって選択した結合部位を意味する。入力は核酸結合
タンパク質( 例えば、Fis 、LacI、ラムダcI、ラムダcro 、LexA、TrpR、ArgR、
AraC、CRP 、FNR 、OxyR、IHF 、GalR、MalT、LRP 、SoxR、SoxS、シグマ因子、
chi 、T4MotA、P1RepA、p53 、NF- カッパ-B、リボソーム、T4regA、スプライス
ソーム( ドナーおよびアクセプター) 、ポリA 結合因子、およびその他)(また、
「シグナルタンパク質」と呼ばれる) により結合されているときHIGHと見え、そ
してそれらが非結合であるとき、LOW と見える。
【0073】 出力が核酸結合タンパク質で結合されているか、あるいは結合可能であるとき
、出力はHIGHと見える。( 部位の状態がHIGHである場合、結合が起こる環境下に
シグナルタンパク質を提供し、次いで結合したタンパク質を検出することによっ
て、ポリペプチドが結合することができる部位をHIGHとして読出すことができる
。) 逆に、出力に核酸結合タンパク質( すなわち、典型的にはその結合部位を認
識しかつそれに結合するタンパク質) が結合しないか、あるいは結合することができないとき、出力はLOW として見え
る。本明細書に示す真理値表において、「1 」はHIGH状態を表すが、ゼロはLOW
状態を表す。
【0074】
【表1】
【0075】 表1 に示すように、双方の入力が低いときにのみ、NOT ゲート出力はHIGHであ
る。2 より多い入力が存在する場合、入力のすべてが低いときにのみ、NOR 出力
ゲートはHIGHである。いずれかの入力がHIGHに設定されている場合、NOR ゲート
の出力はLOW である。
【0076】 本発明の分子NOR ゲートの1 例は第3 図に図解されている。好ましい分子NOR
ゲートは、少なくとも3 つのタンパク質結合部位を有する核酸配列からなる。2
つの周辺「入力」結合部位( 図3 においてI1およびI2と表示されている) は「出
力」結合部位( 図3 においてO1と表示されている) を囲んでいる。いずれかの入
力(I1 またはI2) が、すなわち、シグナルタンパク質により、結合されていると
き、核酸結合タンパク質( 例えば、第2 シグナルタンパク質) が中央の「出力」
(O1)部位に結合するのを結合したタンパク質が防止するように、タンパク質結合
部位は間隔を置いて位置する。
【0077】 これらの環境下に、表1 の条件は満足される。いずれかの入力タンパク質結合
部位がタンパク質と結合している場合、出力タンパク質結合部位は結合不可能で
ある。出力がHIGHである( 出力が結合可能である) 唯一の条件は、双方の入力が
LOW(非結合) であるときである。
【0078】 理解されるように、本明細書に記載するこのゲートまたは他のゲートにおいて
、タンパク質結合部位は同一であるか、あるいは異なるタンパク質に結合するよ
うに選択することができる。しかしながら、2 以上の部位が同一タンパク質に結
合する( 同一タンパク質により認識される) 場合、部位を結合タンパク質が区別
できるようにする「セレクター」機構が存在することが好ましい。好ましい態様
において、セレクターは第2 分子( 例えば、結合したとき、それぞれの入力また
は出力結合部位へのタンパク質の結合をブロックするDNA 結合タンパク質) であ
ることができる。セレクター分子が各部位において異なる場合、シグナル分子を
単に適当なセレクター使用により特定の位置に向けることができる。
【0079】 1 つの態様において、各入力は異なる結合タンパク質に特異的に結合し、そし
て出力は第3 の異なる結合タンパク質に結合する。あるいは、2 つの入力は同一
型の結合タンパク質に結合することができるが、出力は異なるタンパク質に結合
する。この場合において、I1またはI2( またはより多い入力が存在する場合、I3 ...) が結合するかどうかを特定するために、わずかに2 つのセレクター、例
えば、各入力に1 つのセレクター、を必要とするであろう。次いで入力結合工程
後に読出し結合タンパク質を添加することができ、そして出力結合部位のために
セレクターを必要としない。
【0080】 以上の説明から、同一であるか、あるいは異なる結合タンパク質および/また
はセレクターの他の組合わせを当業者は日常的に決定するであろう。1 つの好ま
しい態様において、入力および/または出力DNA 結合タンパク質はLacI、ラムダ
cI、ラムダcro 、LexA、TrpR、ArgR、AraC、CRP 、FNR 、OxyR、IHF 、GalR、Ma
lT、LRP 、SoxR、SoxS、シグマ因子、chi 、T4MotA、P1RepA、p53 、NF- カッパ
-Bを包含するが、これらに限定されないが、好ましい入力および/または出力RN
A 結合タンパク質はリボソーム、T4regA、スプライスソーム( ドナーおよびアク
セプター) 、ポリA 結合因子、およびその他を包含するが、これらに限定されな
いことが認識されるであろう。
【0081】 理解されるように、これらおよび他の核酸結合タンパク質もまたセレクターと
して作用することができる。あるいは、セレクターは結合した核酸に結合するが
、それを切断しないように修飾された制限酵素であることができる。DNA 結合タ
ンパク質および/またはセレクターの選択および/または設計を節IIにおいて後
述する。
【0082】 b)他のゲートへのNOR ゲートのカップリング 上に示したように、種々のゲートおよびいっそう苦心して作られた分子計算回
路の設計において、1 つのゲートの出力を他のゲートの入力にカップリングする
ことがしばしば望ましい。さらに詳しくは、1 つのゲートの入力は1 またはそれ
以上の他のゲートへの入力として作用する。 例えば、NOR ゲートの出力はNOR ゲートの入力として作用してORゲートを生成
することができる。この場合において、2 つの入力(I1 およびI2) により生成さ
れた出力(O1)は代数的に次のように表される: O1 =OR(I1,I2) =NOT(NOR(I1,I2))
【0083】 1 つのゲート( またはフリップ・フロップ) 出力を他のゲート( またはフリッ
プ・フロップ) の入力にカップリングすることは、多数の手段により達成するこ
とができる。例えば、1 つの態様において、単一の結合部位は1 つのゲートの出
力および他のゲートの入力の双方として作用することができる。しかしながら、
好ましい態様において、1 つのゲートまたはフリップ・フロップの出力および他
のゲートまたはフリップ・フロップの入力は異なる結合部位からなることが一般
に好ましい。この場合において、論理素子( またはゲートまたはフリップ・フロ
ップ) は、1 またはそれ以上の論理素子の中への入力として作用するシグナリン
グ分子( 結合タンパク質) の発現を調節することができる。
【0084】 結合タンパク質の発現を調節するゲートは図3 に図解されている。この図面は
遺伝子発現を調節するNOR ゲートを図解するが、これは本質的に任意のゲートを
使用して達成することができる。
【0085】 図3 に示すように、NOR ゲートの読出しは出力結合部位( 図3 におけるO1) を
拘束されたアクチベーターと接触することによって達成される。拘束されたアク
チベーターは、遺伝子アクチベーター( 例えば、Gal4、例えば、Ptashne(1985)C
ell 43(3):729-736 参照) に結合させた( 直接的にまたはリンカーを通して) 出
力結合部位( 例えば、O1) に特異的に結合することができる結合タンパク質から
なる。出力結合部位がHIGHに設定されている( 例えば、図3 に図解されているNO
R ゲートにおいて、双方の入力をLOW に設定することによって) とき、拘束され
たアクチベーターの結合タンパク質は出力結合部位に結合する。これはアクチベ
ーターを定着し、次いでアクチベーターはアクチベーターの制御下に遺伝子転写
を活性化する。
【0086】 遺伝子は結合タンパク質( シグナリング分子) をコードし、結合タンパク質は
、いったん発現されると、他の論理素子( 例えば、ゲートまたはフリップ・フロ
ップ) の入力結合部位に結合し、これにより1 またはそれ以上の入力をHIGHに設
定することができる。出力部位がLOW に設定される場合、拘束されたアクチベー
ターは結合することができず、転写は起こらない。シグナリングタンパク質は発
現されず、そして「下流の」論理素子の1 またはそれ以上の入力はLOW に止まる
。こうして、シグナリング分子( 結合タンパク質) の論理素子調節された発現は
1 つの論理素子の出力を他の論理素子の入力とカップリングさせる。
【0087】 拘束されたアクチベーターの定着が遺伝子活性化を発現できることはこの分野
において知られている。これはPtashne(1985)Cell 43(3):729-736 により最初に
証明された。彼はLexAオペレーター( 構築物を定着するための結合部位) が転写
開始部位付近に存在する場合および存在する場合にのみ、GAL4、LexAに結合させ
たサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)転写アクチベーター
、大腸菌(E.coli)リプレッサータンパク質が遺伝子転写を活性化できることを示
した。
【0088】 多数の他の拘束されたアクチベーター−結合タンパク質の構築物は同様に転写
を活性化することが示された( 例えば、下記の文献を参照のこと:Silverman et
al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、91:11665-11668、 Chrivia et al.(1993)N
ature 、365:855-859 、およびPfisterer et al.(1995)Biol.Chem. 270(50):298
70-29880) 。
【0089】 カップリングは、また、反対の「サイン」を使用して実施できる。この態様に
おいて、結合タンパク質をコードする遺伝子は構成的に活性であることができる
。次いで、結合したとき遺伝子発現をオフに切換える拘束されたリプレッサーに
より、論理素子の出力を結合することができる。結合タンパク質がシステムから
クリアーされるとき、以前に結合した(HIGH)入力部位はLOW 状態にリセットする
であろう。しかしながら、好ましい態様において、論理素子のカップリングをア
クチベーターの使用により達成して、溶液中の遊離リプレッサーによるシグナル
タンパク質の不注意な、望ましくない抑制を回避する。
【0090】 c)インバータ(NOT) のファンクション 第2 の重要な組合わせ論理ファンクションはインバータまたはNOT ファンクシ
ョンである。NOT ファンクションは論理レベルの補体に戻る。not ファンクショ
ンを表2 の真理値表に例示されている。
【0091】
【表2】
【0092】 NOT ファンクションは、入力がHIGHであるとき、LOW シグナル状態に戻り、そ
して入力がLOW であるとき、HIGHシグナル状態に戻る。分子インバータの関係に
おいて、タンパク質を入力に結合させる( これにより入力をHIGHに設定する) と
、タンパク質を出力結合部位へ結合させる( これにより出力をLOW に設定する)
ことが防止される。 表1 を見ると、双方の入力が等しいNOR ゲートはNOT ゲート( インバータファ
ンクション) になることが明らかになる。こうして、双方の入力がHIGHに設定さ
れている場合、NOR ゲートの出力はLOW でありそして、逆に、双方の入力がLOW
に設定されている場合、NOR ゲートの出力はHIGHである。
【0093】 NOT ゲートの1 つの態様は、図3 におけるゲートB により例示されており。こ
のゲートにおいて、双方の入力は同一結合部位であり、そして2 つの部位のどれ
を特異的に結合させるかを制御するためにセレクターは不必要である。 入力結合部位( 図3 におけるBP3)が存在するとき、I3およびI4のいずれかまた
は双方は結合され、HIGHに設定される。出力部位(O2)はブロックされ、これによ
りLOW に設定される。逆に、入力結合タンパク質(BP3) が非存在であるとき、双
方のI3およびI4は非結合であり、したがってLOW に設定される。出力部位(O2)が
アンブロックされ、したがって結合することができる。こうして、出力はHIGHに
設定される。こうして、ゲートB は表2 中の真理値表に順応する。
【0094】 入力が等しく設定されているORゲートとしてNOT ゲートが図解されているが、
理解されるように、ファンクションを本質的に変化させないで、入力の1 つを排
除することができる。例えば、入力3(I3) が排除される場合、LOW 入力4(I4) は
なおHIGHを生じ、そして逆もまた同じである。事実、双方の入力を排除し、そし
て単一部位を自己−NOT として見ることができる。
【0095】 しかしながら、この場合において、シグナルおよび読出し工程が明瞭に区別さ
れないかぎり、入力を出力と区別することが困難となる( 例えば、別々の時間お
よび異なる入力において実行し、読出し分子を使用する) 。 好ましい態様において、NOT ゲートは同一である2 つの入力結合部位(I1 およ
びI2) を有するNOR ゲートである。2 つの入力部位を使用すると、シグナリング
タンパク質濃度が低いとき、入力シグナルを検出する可能性が増加する。
【0096】 d)ORゲート NOR ゲートが本質的に逆ORゲートである。逆も真である。こうして、NOR ゲー
ト出力をNOT ゲートに通過させると、ORが得られる。代数的に、これは次のよう
に表示される: O1 =NOT(I1,I2)) =OR(I1,I2) ORゲートは表3 に図解される真理値表により特徴づけられる。
【0097】
【表3】
【0098】 一般に、いずれかまたはすべての入力がHIGHである( 結合部位が結合されてい
る) とき、ORゲートはHIGH出力を生成する( 出力タンパク質結合部位は結合に利
用可能であるか、あるいはシグナルタンパク質により結合される) 。 分子ORゲートは図3 に図解されている。図3 は出力(BP3) をNOT ゲートの中に
供給するNOR ゲートを示す。NOT ゲートの出力(O2)は、ORゲート( ゲートA)の中
への入力I1およびI2のNOR である。NOR ゲートは前述したように遺伝子発現を調
節する。遺伝子は、NOT ゲートの2 つの入力( 図3 においてBS3)のいずれかに特
異的に結合する結合タンパク質( 図3 においてBS3)をコードする。
【0099】 第1NORゲート( ゲートA)のいずれかまたは双方が高く設定されているとき、ア
クチベーターは出力に結合せず、遺伝子の活性化は起こらない。NOT ゲート( ゲ
ートB)の入力がLOW に設定され、これにより出力はHIGHに設定される。逆に、NO
R ゲートの双方の入力が非結合(LOW) であるとき、トランスアクチベーター(A)
をO1に定着させて、結合タンパク質( 図3 においてBP3)をコードする遺伝子を活
性化させることができる。結合タンパク質はNOT ゲートの1 またはそれ以上の入
力を高く設定し、O2においてLOW 出力を生ずる。こうして、O2がLOW である唯一
の条件は、入力(I1 またはI2) のいずれもHIGHでないときである。これは表3 に
示す真理値表と一致する。
【0100】 上に示したように、NOT ファンクション( 図3 におけるゲートB)の入力の一方
または双方を必要に応じて排除することができる。特に、NOT ゲートが第2 トラ
ンスアクチベーターの定着により他のゲートまたはファンクションに入力を提供
する場合、双方の入力を排除することができる。次いで、ゲートA への双方の入
力(I1 およびI2) がLOW に設定されているとき、結合タンパク質BP3 は発現され
、単一部位(O2)に結合し、これにより第2 トランスアクチベーターの定着を防止
する。
【0101】 e)AND ゲート 双方がHIGHであるときにのみ、AND ゲートの出力はHIGHである( タンパク質に
結合することができる) 。次のようにして、AND ゲートはNOR ゲートから構築す
ることができる: AND(I1,I2) =NOR(NOR(I1,I2),NOR(I1,I2)) これは表4 に示すように「真理値表」で表すことができる。再び、前述したよ
うに、入力および出力は特定の前もって選択したタンパク質結合部位を意味する
【0102】
【表4】
【0103】 本発明の1 つのAND ゲートは図4 に図解されている。AND ゲートは3 つのNOR
ゲート( 前述した) から成る。最初の2 つのNOR ゲート( 図4 においてゲートA
およびB)は、それぞれ、入力I1およびI2を受け取る。各NOR ゲートにおける2 つ
の入力結合部位は同一であるので、実際に、NOR ゲートはNOT ファンクションと
して作用することが認識されるであろう。
【0104】 NOR ゲートの入力がLOW に設定されているとき、結合タンパク質( 図4 におい
てBP1)は出力結合部位(O1 および/またはO2) に結合し、これによりORゲートの
各々からの結合タンパク質( 図4 においてBP2 および/またはBP3)の転写を活性
化するトランスアクチベーターを定着する。次いで結合タンパク質は第3 ゲート
( ゲートC)の中への入力として作用する。第3NORゲートの出力(O3)が高い唯一の
条件は、ゲートA の双方のI1およびI2がHIGHであり、BP4 またはBP3 の転写を生
じないときである。これは表4 の条件を満足する。
【0105】 AND ゲートは図4 において1 系列のNOR ゲートとして図解されているが、双方
のゲートA およびB は実際にNOT ファンクションであるので、いくつかの態様に
おいて、一方または双方の入力を排除することができる。こうして、AND ゲート
を図5aに図解するように5 つの結合部位の集合に減少することができる。しかし
ながら、この場合において、入力について異なる結合部位を使用してそれらを区
別することが好ましい。
【0106】 他の簡素化されたAND ゲートは第5b図に図解されている。このAND ゲートはそ
の上5 つののタンパク質結合部位から成る。隣接する各対はフリップ・フロップ
として作用することができる( すなわち、対における構成部位は相互に排他的で
ある) 。I1およびI2のいずれかまたは双方が非結合(LOW) であるとき、結合タン
パク質は部位BS2 に結合することができる。いずれかのBS2 が結合されていると
き、部位BS3 はブロックされており、こうして、O1はLOW に設定される。BS3 が
高く設定できる唯一の条件は、I1およびI2の双方が結合されているときである。
次いでタンパク質はBS2 に結合せず、そしてBS3(O1) はアンブロック(HIGH)であ
る。
【0107】 f) NAND ゲート NAND(NOT AND) は表5 に示されている。NANDゲートは本質的に逆AND ゲートで
ある。双方の入力がHIGHに設定されているときにのみ、このゲートはLOW 出力を
生成する。
【0108】
【表5】
【0109】 本発明の分子NANDゲートは図4 に図解されている。上に説明したように、ゲー
トA 、B 、およびC はAND ゲートを形成する。このAND ゲート(BP5) の出力はNO
T ゲート( ゲートD)を通過し、このゲートは入力I1およびI2に応答して出力O4
おけるシグナル生成NANDゲートを逆転する。
【0110】 g)他のゲート 前述の原理を使用して、事実上任意の型のゲートをNOR とNOT との適切な組合
わせから構築することができる。種々のゲートの同一性はこの分野においてよく
知られておりそして、また、ブール代数の第1 原理から決定することができる。
種々のゲートはHorowitzおよびHill、 supra. 、ならびにディジタル回路に関す
る多数の他の参考文献において例示されている。
【0111】 図3 、図4 、および図5 における種々の構築物からなるNOR およびNOT ゲート
は別々の核酸として図解されているが、理解されるように、種々の素子、ゲート
、および複雑なディジタル回路を単一の核酸上に存在させ、それによりコードす
ることができる。 また、同一種の拘束されたトランスアクチベーター(すなわち、同一の結合タ
ンパク質、アクチベータータンパク質の組合わせ)は多数の異なるゲートをカッ
プリングできることが認められる。このアクチベーターを論理制御下に配置する
ことによって、回路全体を単一入力により制御することができる。
【0112】 2)逐次論理:基本フリップ・フロップ 組合わせ回路において、出力は入力の現存する状態により完全に決定される。
これらのシステムにおいて、「メモリ」、歴史は存在しない。対照的に、逐次論
理システムにおいて、出力は入力により完全には決定されず、また、システムの
歴史により影響を受ける。
【0113】 「メモリ」をもつ装置をシステムに付加すると、カウンタ、アキュムレータ、
および歴史的システムを有する他のファンクションを構築することが可能である
。 記憶の基本単位は「フリップ・フロップ」である。一般に、フリップ・フロッ
プは2 つの安定状態を有する装置( またはシステム) である;それは「双安定」
と言われる。フリップ・フロップがどの状態にあるかは、その過去の歴史に依存
する。
【0114】 a)基本フリップ・フロップおよび記憶レジスタ 本発明の基本フリップ・フロップは、第1a図および第1b図に図解されている。
2 つのタンパク質結合部位を有する核酸が提供される。これらのタンパク質結合
部位は、核酸結合タンパク質がこれらの結合部位を同時に占有できないように、
位置決定される。こうして、第1 部位( 例えば、図1aにおいてBS1)が結合されて
いる(HIGHである)場合、第2 部位 (図1aにおいてBS2)は非結合(LOW) であり、
逆に、第2 部位が結合されている(HIGH である) 場合、第1 部位は非結合(LOW)
である。こうして、フリップ・フロップは2 つの安定状態を有する:第1 部位HI
GHおよび第2 部位LOW または第2 部位HIGHおよび第1 部位LOW 。
【0115】 シグナルポリペプチド( 図1aおよび図1bにおいてBP1 またはBP2)の結合は可逆
的または不可逆的であることができる。結合が不可逆的である場合、フリップ・
フロップは読取り専用記憶装置( リード・オンリ・メモリROM)として作用し、そ
して各フリップ・フロップは1 ビットの情報を記憶する。上に説明したように、
フリップ・フロップを組合わせることができ( 例えば、記憶レジスタを形成する
ために) そして究極的にはこれらの非常に多い量の情報をコードすることができ
る。このようなレジスタは少なくとも2 つのフリップ・フロップを含み、そして
それより多いフリップ・フロップ( 例えば、3 、4 、5 、6 、...4096または
それよりもなお多いフリップ・フロップ) を含むことができる。
【0116】 1 つの特に好ましいフリップ・フロップは、2 つのFis 結合部位を有するデオ
キシリボ核酸(DNA) からなる。部位は23塩基対(bp)より少ない、好ましくは約20
bpより少ない、より好ましくは約15bpより少ない、最も好ましくは約12bpより少
ない距離で間隔を置いて配置されている。1 つの最も好ましい態様において、Fi
s 結合部位は7 または11塩基対だけ離れている(例えば、実施例1 参照)が、理
解されるように、部位は完全にオーバーラップし、そして1 〜11塩基対の間隔で
分離されることができる。
【0117】 図8 に図解するように、間隔( 塩基対で表される) は完全にオーバーラップす
る部位からの塩基対で表されるシフトを意味する。こうして、0 の間隔は2 つの
部位の完全なオーバーラップを意味する。7bp の間隔は、結合部位が互いに関し
て7 塩基対だけ変位されていることを意味する。第8 図のFis 結合部位の場合に
おいて、結合部位が21bpの長さである場合、部位が7bp だけ間隔を置いて位置す
るとき、14bpのオーバーラップが存在するであろう(例えば、図8 参照)。
【0118】 好ましい態様において、Fis 結合部位は、個々の情報理論(Hengen et al.(199
7)supra.参照) により決定して、少なくとも約0 ビット、好ましくは少なくとも
約1 ビット、より好ましくは少なくとも約2 、最も好ましくは少なくとも約2.4
ビットの結合強さを提供するように選択される。1 つの好ましい態様において、
本発明の分子フリップ・フロップまたはゲート中の1 またはそれ以上の結合部位
は、配列(TTTG(G/C)TCAAAATTTGA(G/C)CAAA、配列番号:1)を有するFis 結合部位
である。
【0119】 この結合部位は好ましくは7 〜約11塩基対だけ間隔を置いて位置し、より好ま
しくは7 または11塩基対だけ間隔を置いて位置する(例えば、実施例1 参照)。
特に好ましい対合結合部位は下記のものを包含するが、これらに限定されない:
11bpの間隔( 例えば、5'-TATTCTTTGCTCAAAATTTGATCAAATTTTGAGCAAAGAATA-3'、配
列番号:2)および7bp の間隔( 例えば、5'-AGGCTTTTGCTCAAAGTTTAAACTTTGAGCAAA
AGCCT-3'、配列番号:3)それらのウォーカー地図は図8 に図解されている。特に
好ましいFis をベースとするフリップ・フロップは実施例に例示されている。
【0120】 b)フリップ・フロップの状態の設定 タンパク質を第1 または第2 の結合部位(図1aおよび図1bにおいてBS1 または
BS2 )に結合することによって、フリップ・フロップの状態は設定される。この
状態はランダムに設定することができるか、あるいはフリップ・フロップを特定
の前もって選択した状態に設定することができる(すなわち、第1 または第2 の
結合部位が占有されているかどうかを前もって決定する) 。2 つの結合部位が特
徴的に異なる核酸結合タンパク質に結合する( 例えば、Fis が第1 部位に結合し
かつCRP が第2 部位に結合する) 場合、フリップ・フロップの状態は2 つの結合
タンパク質の1 つを準備することによって設定することができる。
【0121】 あるいは、フリップ・フロップを使用して2 つのタンパク質の相対的存在量を
読むことができる。一方の結合タンパク質が他方に関してより大きい濃度で存在
する程度に、他方に対して反対の一方の状態のフリップ・フロップの優勢はタン
パク質の相対的存在量を示すであろう。後述するように、フリップ・フロップは
このような読出しを達成するために単独で使用するか、あるいは1 またはそれ以
上の他のフリップ・フロップおよび/またはゲートと組み合わせて使用して、こ
のような読出しを提供することができる。
【0122】 あるいは、フリップ・フロップの双方の結合部位は同一結合タンパク質(例え
ば、Fis )に結合することができる。この場合において、特定の前もって決定し
た状態へのフリップ・フロップの設定は、セレクターの使用を必要とすることが
ある。 セレクターは、特定の結合部位への結合タンパク質の結合を防止する成分であ
る。こうして、例えば、第1b図において、セレクターがセレクター結合部位S1
結合する場合、結合部位BS1 は占有されることができなず、フリップ・フロップ
は部位BS2 でHIGHに設定される。逆に、第1b図におけるセレクターS1が占有され
ている場合、結合タンパク質は部位BS1 にのみ結合し、次いでBS1 はHIGHに設定
される。
【0123】 セレクターについて後述する。しかしながら、この時点において、セレクター
は結合タンパク質であるか、あるいはそれに関連する結合部位を選択的にブロッ
クする任意の他の成分であることができることが認められる。こうして、セレク
ターは、根元的核酸に結合するが、それを切断しない、修飾された制限エンドヌ
クレアーゼ( 例えば、EcoRI )であることができる( 例えば、下記の文献を参照
のこと:King et al.(1989)J.Biol.Chem. 264(20):11870-11815)。セレクターは
、また、根元的核酸を選択的に修飾して( 例えば、塩基の修飾、チミジン二量化
、およびその他) 結合タンパク質の結合を防止する化学物質であることができる
であろう。他の可能なセレクターは、核酸( 例えば、アンチセンス分子) ペプチ
ド核酸、ストレプトアビジン/ビオチン、およびその他を包含する。
【0124】 c)フリップ・フロップの状態のリセット 上に示したように、フリップ・フロップは核酸に不可逆的に結合し、こうして
リード・オンリ・メモリ成分として作用するタンパク質を使用することができる
。あるいは、フリップ・フロップから解放できる結合タンパク質を使用すること
ができる。こうして、結合タンパク質を一方の部位に結合させ、次いでそのタン
パク質を解放する (かつ好ましくはタンパク質を他方の部位に結合させる)こ
とによって、フリップ・フロップの状態を設定することができる。
【0125】 可逆的に結合する核酸結合タンパク質はこの分野において知られており、そし
て下記のものを包含するが、これらに限定されない:LacI、ラムダcI、ラムダcr
o 、LexA、TrpR、ArgR、AraC、CRP 、FNR 、OxyR、IHF 、GalR、MalT、LRP 、So
xR、SoxS、シグマ因子、chi 、T4MotA、P1RepA、p53 、NF- カッパ-B、リボソー
ム、T4regA、スプライスソーム( ドナーおよびアクセプター) 、ポリA 結合因子
、およびその他。 さらに、天然に存在しない結合タンパク質は自然結合タンパク質の突然変異お
よび選択によるか、あるいは新たな合成により得ることができる。適当な核酸結
合タンパク質の同定および製造を節IIにおいて後述する。
【0126】 3)論理回路を形成するためのゲートの組合わせ 理解されるように、本発明の論理ゲートおよびフリップ・フロップを広範な種
類の方法で組合わせてシグナルを処理することができる。これは1 つのゲートの
出力を他のゲートの入力にカップリングさせることを包含する。これは上に例示
し、そこでNOR ゲートの出力をインバータの入力にカップリングさせて(それを
準備して)ORゲートを生成する。同様に、AND ゲートの出力をインバータにカッ
プリングさせてNANDゲートを生成する。もちろん、2 より多いゲートを回路の中
にカップリングし、そしてカップリングはインバータ以外のゲートに対するもの
であることができる。
【0127】 本明細書において例示するゲートを使用すると、多数の他の論理ファンクショ
ンは当業者にとって明らかであろう。そのうえ、前述のゲート形成およびカップ
リングの原理を拡張すると、ゲートおよび/またはフリップ・フロップの種々の
組合わせを組合わせて、複雑な計算シグナルおよび/または制御回路を製造する
ことができる。このような回路の1 つの例は、簡単な加算器を製造するためのゲ
ートの使用である。加算器回路はよく知られており、例えば、下記の文献に記載
されている:Gonick(1983)The Carton Guide to Computer Science、 Barner &
Noble Books 、 New York 、 N.Y. 。
【0128】 簡単に述べると、1 ビットの加算器の成分はXOR およびAND ゲートおよび桁上
げビットから作るすることができる。桁上げが0 であるとき、SUM は加数のXOR
であるが、CARRY は加数のAND である。こうして、c が前の桁上げであり、a が
1 の加数であり、そしてb は他方の加数である場合、加算器は表6 の条件を満足
する。
【0129】
【表6】
【0130】 表6 から明らかなように、これは事実和および桁上げである。入力桁上げが1
である場合、表は表7 に示すようにほとんど変化しない。
【0131】
【表7】
【0132】 前の1 ビット加算器からの桁上げが存在する場合、和はNOT(XOR(a,b)) であり
そしてCARRY はOR(a,b) である。入力桁上げc を使用して、これらの状態を選択
し、方程式を作る: SUM =(NOT(c) AND XOR(a,b)) または ( c AND NOT(XOR(a,b))) CARRY =NOT(c) AND AND(a,b)) または ( c AND OR(a,b))
【0133】 上に示したように、他の論理ファンクションを同様なアプローチにより生成す
ることができる。多数のカップリングされたゲートからなるシグナル処理および
制御回路は、この分野において知られている(Horowitz およびHill、 supra.)。 図3 、図4 、および図5 における種々のccstからなるNOT およびNOT ゲー
トは別々の核酸として図解されているが、理解されるように、種々の素子、ゲー
ト、およびさらに複雑なディジタル回路は単一の核酸上に存在し、それによりコ
ードされることができる。
【0134】 また、理解されるように、これらの回路はそれらのディジタル電子対応物に本
質的に等しい。しかしながら、回路は分子レベルで存在することができる。その
うえ、それらは莫大な数で製造することができ( 例えば、適当なベクターからの
簡単な発現により) こうして莫大な並列化が可能であり、したがってある種のク
ラスの複雑な計算の問題の解決によく適合する。 例えば、有向ハミルトン経路の問題を解決するために核酸構築物が使用されて
きていることが認められる(Adleman(1994)Science,226:1021-1024)。そのうえ、
Schneider(1991)J.Theort.Biol. 148:125 後、Adleman は分子計算が慣用スーパ
ーコンピュータよりも10桁程度に大きい理論的効率に近づいていると結論した。
【0135】 4)シグナル読出し 1 またはそれ以上のゲート出力またはフリップ・フロップの状態を読むために
、広範な種類の手段を使用することができる。上に示したように、ゲート出力に
シグナルタンパク質が結合しているか、あるいは結合することができる場合、ゲ
ート出力はHIGHとして読まれる。こうして、好ましい態様において、出力部位が
HIGHでありかつ非結合である場合、シグナルタンパク質が結合できる条件下に、
出力部位が適当なシグナルタンパク質と接触することを単に保証し、次いで結合
したシグナルタンパク質の存在または非存在を決定することによって、出力状態
を決定することができる。
【0136】 核酸へのタンパク質の結合を同定する方法はこの分野においてよく知られてい
る。1 つの態様において、これは実施例に記載されているようにゲルシフトアッ
セイにより達成することができる( また、下記の文献を参照のこと:Lane et al
.(1982)Microbiol.Rev. 56(4):509-528 およびGarner et al.(1981)Nucl.Acids
Res.、9(13):3047-3060)。
【0137】 しかしながら、結合は標識化シグナル分子の結合を決定させることによってい
っそう容易にアッセイすることができる。タンパク質を標識化する方法はこの分
野においてよく知られている( 例えば、下記の文献を参照のこと:Monoclonal A
ntibodies:Principles and Applications, Chapter 4, Birch およびLennox, 編
, John Wiley & Sons,Inc., N.Y.(1995)、これには標識および他の成分への抗体
の結合が記載されている) 。タンパク質は種々の官能基、例えば、カルボン酸(C
OOH)または遊離アミン(-NH2)基を含有し、これらは標識上または標識に結合した
リンカー上の適当な官能基との反応に有効である。
【0138】 本発明において使用するために適当な検出可能な標識は、分光的、光化学的、
生化学的、免疫化学的、電気的、光学的、遺伝的または化学的手段により検出可
能な任意の組成物を包含する。本発明において有用な標識は下記のものを包含す
る:標識化ストレプトアビジン複合体を使用する染色のためのビオチン、磁気ビ
ーズ( 例えば、Dynabeads TM) 、蛍光色素( 例えば、フルオレセイン、テキサス
レッド、ローダミン、緑色蛍光タンパク質、およびその他、例えば、下記の文献
を参照のこと:Molecular Probes, Eugene, Oregon, USA)、放射能標識( 例えば
3H、125I、35S 、14C 、または32P)、酵素( 例えば、セイヨウワサビペルオキ
シダーゼ、アルカリ性ホスファターゼおよびELISA において普通に使用されてい
る他のもの) 。
【0139】 選択可能なマーカー( 例えば、抗生物質耐性遺伝子) 、および比色標識、例え
ば、コロイド状金( 例えば、直径40〜80nmのサイズ範囲の金粒子は高い効率で緑
色光を散乱する) または着色ガラスまたはプラスチック( 例えば、ポリスチレン
、ポリプロピレン、ラテックス、およびその他) ビーズ。このような標識の使用
を教示する特許は、例えば、次の通りである:米国特許第3,817,837 号、米国特
許第3,850,752 号、米国特許第3,939,350 号、米国特許第3,996,345 号、米国特
許第4,277,437 号、米国特許第4,275,149 号、および米国特許第4,366,241 号。
【0140】 他の態様において、タンパク質結合時の発蛍光団とクエンチャーまたは第2 発
蛍光団( 例えば、蛍光共鳴エネルギー転移系) との間のエネルギー転移により引
き起こされる、結合タンパク質または核酸に結合させた発蛍光団の蛍光の変化に
より、核酸上の特定部位へのタンパク質の結合は決定可能である。こうして、例
えば、ルマジン誘導体はバソフェナントロリン−ルテニウム複合体と組み合わせ
てエネルギー転移系として使用されてきており、ここでルマジン誘導体はエネル
ギードナーとして作用しそしてルテニウム複合体はエネルギーレセプターとして
作用した。
【0141】 ルマジン誘導体およびルテニウム複合体は異なる核酸に結合された。2 つの化
合物が近接して蛍光を生ずるとき、エネルギー転移は起こった。この系は2 つの
基を支持する分子の相互作用を研究するためのメカニズムを提供した( 例えば、
下記の文献を参照のこと:Bannwarth et al.(1991), Helvetica Chimica Acta 7
4:1991-1999, Bannwarth et al.(1991), Helvetica Chimica Acta 74:2000-2007
、およびBannwarth et al.、欧州特許出願No.0439036A2号) 。
【0142】 さらに、このような共鳴エネルギー転移系は、タンパク質核酸の相互作用を検
出するために容易に適合される。これは「読もう」とする特定の結合部位付近に
発蛍光団またはクエンチャーを配置し、次いでそれぞれの標識化タンパク質がそ
の部位に結合するときの蛍光の変化を検出することを含む。あるいは、結合タン
パク質は発蛍光団を担持するが、DNA はクエンチャーを担持するか、あるいは逆
もまた同じであり、次いで蛍光強度はフリップ・フロップの状態を示す。他のエ
ネルギー転移系は当業者によく知られている( 例えば、下記の文献を参照のこと
:Tyagi et al.(1996)Nature Biotechnology, 14:303-308) 。このような系は、
なお単に異なるクエンチャーまたは異なる発蛍光団を各結合部位に準備すること
によって、2 つの安定状態を容易に区別することができる。
【0143】 上に示唆したように、読む前に、根元的核酸に核酸結合タンパク質( 存在する
場合) を共有結合させることによって、フリップ・フロップまたはゲートの状態
をロックすることができる。これは架橋剤の使用により達成できる。タンパク質
および核酸の架橋剤はこの分野においてよく知られており、そして下記のものを
包含するが、これらに限定されない:グルタルアルデヒド、ジスクシニミジルス
ベレート(DSS)(Pierc, Rockford, Illinois, USA) 、N-エチルマレイミドの活性
エステル( 例えば、下記の文献を参照のこと:Lerner et al.(1981)Proc.Natl.A
cad.Sci.USA 78:3403-3407およびKitagawa et al.(1976)J.Biochem. 79:233-236
) 、およびその他。
【0144】 他の態様において、根元的核酸から1 またはそれ以上の結合タンパク質を除去
した後でさえ、必要に応じて状態の情報を保存できるサロゲートマーカー( 読出
し分子) を使用することによって、フリップ・フロップおよび/またはゲートの
状態を読むことができる。このような読出し分子を使用する1 例は、読出し核酸
をフリップ・フロップの一方または他方の末端に読出し核酸を結合させる結合反
応の使用において前述された。
【0145】 他のサロゲート読出し分子はアビジン( ストレプトアビジン) ビオチン相互作
用を使用する。この態様において、ビオチンを根元的核酸に結合させる( 好まし
くはリンカーを介して) 。ビオチンはフリップ・フロップ結合部位の1 つ付近ま
たはゲートの出力部位付近に位置する。ゲートまたはフリップ・フロップの状態
が設定された後、論理素子をアビジンまたはストレプトアビジン分子と接触させ
る。結合部位が核酸結合タンパク質により占有されている(HIGH)とき、結合タ
ンパク質はストレプトアビジンとビオチンとの相互作用をブロックするであろう
【0146】 逆に、結合部位が非結合である(LOW) であるとき、ストレプトアビジンは結合
部位に結合することができる。結合したストレプトアビジンは標準的方法( 例え
ば、シフトアッセイまたは標識化ストレプトアビジン) により検出することがで
き、そして結合したストレプトアビジンはLOW 結合部位の状態を示すであろう。
ビオチン/ストレプトアビジンの相互作用は極めて安定であり、そして核酸結合
タンパク質が根元的核酸から解離された後でさえ、この状態を読むことができる
。この読出しシステムは実施例2 において例示されている。
【0147】 C)遺伝子発現の複雑な( 「ディジタル」) 制御 他の態様において、出力部位の状態を検出するために、シグナルタンパク質を
標識化する必要はまったくない。例えば、拘束されたアクチベーターを使用して
出力部位に結合する( 例えば、第3 図に示すように) 場合、拘束されたアクチベ
ーターの結合は適当に位置する遺伝子の活性化を誘導するであろう。入力シグナ
ルが出力部位( 例えば、NOR ゲート中の) をブロックする働きをする場合、拘束
されたアクチベーターは結合することができず、遺伝子の転写は起こらないであ
ろう。
【0148】 次いで、これらの拘束されたアクチベーター( またはリプレッサー) の制御下
の1 またはそれ以上の遺伝子の発現の検出は、出力の状態の指示を提供する。こ
うして、拘束されたアクチベーターが転写アクチベーターである場合、遺伝子転
写のアップレギュレーションは出力におけるHIGH状態を示す。逆に、拘束された
構築タンパク質がリプレッサーであり、かつ遺伝子が構成的に活性化される場合
、転写の減少はHIGH出力状態を示す。
【0149】 この場合において、出力状態の「読み」を単に望む場合、ゲートの制御下の1
またはそれ以上の遺伝子は典型的には1 またはそれ以上のリポーター遺伝子であ
ろう。リポーター遺伝子は検出が容易であり、このようなマーカーことに細胞の
同定を容易とする活性を有するタンパク質をコードする遺伝子である。このよう
なマーカーはこの分野においてよく知られており、そして下記のものを包含する
が、これらに限定されない:グルクロニダーゼ、細菌のクロラムフェニコールア
セチルトランスフェラーゼ(CAT) 、β- ガラクトシダーゼ( β-gal) 、Vibrio h
arveyi、Vibrio fischeri 、およびXenorhabdus luminescens によりコードされ
る種々の細菌のルシフェラーゼ遺伝子、ホタルのルシフェラーゼ遺伝子FFlux 、
緑色蛍光性タンパク質、およびその他。
【0150】 選択可能なマーカー( 例えば、抗生物質耐性遺伝子) は、フリップ・フロップ
の状態を読出す他の簡単な機構を提供する。この態様において、本発明の論理素
子の制御下の遺伝子または複数の遺伝子のうちの1 つは選択可能なマーカーであ
る。論理カセットを含有する細胞を選択条件( 例えば、1 またはそれ以上の抗生
物質の存在下に) 下に成長させ、そして細胞の生存は論理素子の状態を示す。
【0151】 他の態様において、本発明の論理ゲートは計算よりむしろ発現の制御に使用す
ることができる。この場合において、本発明の論理装置を使用してその発現を調
節しようとする1 またはそれ以上の遺伝子と、リポーター遺伝子を置換すること
ができる。このような遺伝子は下記のものを包含するが、これらに限定されない
:多薬剤耐性遺伝子(MDR1)、例えば、化学療法の間に健康な細胞に薬剤耐性を与
えるために;p53 腫瘍抑制遺伝子、例えば、ある種の乳癌において;テロメラー
ゼ遺伝子;およびその他。
【0152】 こうして、本発明は、複合刺激に応答して遺伝子発現を調節する手段を提供す
る。簡単な例は第3 図に図解されており、ここでNOR ゲートの制御下の遺伝子が
示されている。NOR ゲートの出力は拘束されたアクチベーターにより「読まれる
」。この拘束されたアクチベーターは、1 端に、出力結合部位を特異的に認識す
る結合タンパク質を有し、他端に、遺伝子アクチベーター(A) を有する。
【0153】 この場合において、入力1(I1) または入力2(I2) のいずれかが結合されている
とき、拘束された構築物は出力部位(O1)に定着することができず、そして拘束さ
れた構築物に結合したアクチベーターは遺伝子を活性化することができない。し
かしながら、双方の入力が非結合であるとき、拘束された構築物は出力部位(O1)
に結合し、アクチベーターを核酸に定着させ、ここでアクチベーターは次いで遺
伝子の転写を活性化することができる。
【0154】 2 つの入力( シグナル) タンパク質源は外因的( 好ましくはトランスポーター
、例えば、リポソームまたは他のベヒクルにより細胞に送出される)または異種
であることができる。あるいは、1 またはそれ以上のシグナルタンパク質は細胞
における内因的代謝経路の産物であるか、あるいはそれら自体が簡単な伝統的カ
セット( 誘導可能なまたは構成的) であることができるか、あるいは本発明の1
またはそれ以上の論理ゲートおよび/またはフリップ・フロップの発現下に遺伝
子を有する「論理」カセットであることができる、異種発現カセットのいずれか
または双方であることができる。
【0155】 同様に、1 またはそれ以上の拘束されたアクチベーターを外因的に供給するこ
とができるか、あるいは、特に結合タンパク質およびアクチベーターを結合する
リンカーがそれ自体ポリペプチドである( これにより融合タンパク質である拘束
されたアクチベーターを提供する) 場合、適当な発現カセットにより異種ポリペ
プチドとして拘束されたアクチベーターを発現させることができる。
【0156】 1 つの態様において、調節された遺伝子はそれ自体結合タンパク質をコードす
る核酸であることができるか、あるいは多数の遺伝子を「論理カセット」により
発現させることができ、論理カセットの1 またはそれより多くは前述の他のシグ
ナリングタンパク質( 核酸結合タンパク質) である。発現された核酸結合タンパ
ク質は論理カセットへの入力として作用し、そのカセットによる遺伝子発現の陰
性または陽性の調節を提供することができる。あるいは、このようなフィードバ
ック調節と組み合わせて、発現された結合タンパク質は他の論理カセットの中へ
の入力として作用し、これにより多数の論理カセットのカスケード調節および論
理カセットにより発現された1 またはそれ以上の遺伝子の極めて複雑な調節を可
能とすることができる。
【0157】 こうして、本発明の論理をベースとする発現制御システムは、異種遺伝子( ま
たはcDNA) 発現の調節の非常に大きい改良を提供する。伝統的異種遺伝子発現シ
ステムにおいて、遺伝子発現は典型的には単一誘導因子( 例えば、IPTG) により
調節される。対照的に、前述の1 またはそれ以上の論理素子の制御下の遺伝子(
またはcDNA) 発現は、1 またはそれ以上の誘導因子、陽性および陰性のフィード
バック調節、およびその他を包含する刺激の複雑な組合わせの結果であろう。
【0158】 D)アフィニティークロマトグラフィー/分析物の定量 多少ありふれているが、高度に有用な用途において、本発明のフリップ・フロ
ップは溶液( 例えば、生物学的試料、例えば、細胞ホモジネート、血液、および
その他) 中の分析物を効率よく定量するために使用できる。この態様において、
フリップ・フロップの双方の結合ドメインは同一であり、そして問題の分析物(
例えば、核酸結合タンパク質( 例えば、Fis)または核酸、およびその他) に特異
的に結合するように選択される。しかしながら、1 つの部位におけるターゲット
分析物の結合が他の部位における結合を排除するように、これらの部位はなお位
置決定される。
【0159】 各核酸分子上に2 つの結合部位を設けると、各核酸が単一の結合部位を有する
システムに比較して、結合の確率が増強される。結合部位の数は2 倍であるので
、分析物の発見の可能性および適当な結合への正しい方向づけは増加される。し
かしながら、いったん結合する、第2 結合部位は無効となる。こうして、結合し
た核酸の数は結合したターゲット分析物の数に等しい。こうして、結合した核酸
の定量は、結合したターゲット分析物量の直接的測度および溶液中の分析物量の
間接的測度を提供する。
【0160】 この分野においてよく知られている多数の手段により、結合した核酸の量を定
量できる。例えば、電気泳動ゲルを使用して、結合した核酸を非結合の核酸およ
び非結合の分析物から分離できる。次いで、分離された結合核酸を定量すること
ができ、例えば、電気泳動ゲルを使用して、結合した核酸を非結合の核酸および
非結合の分析物から分離することができる。次いで、例えば、核酸に結合させた
標識の定量により、分離された結合核酸を定量できる。前述したように、多数の
手段により、核酸を標識化することができる。
【0161】 このようなアッセイはイムノアッセイに類似する方法において実行される。こ
のようなイムノアッセイは、また、ターゲット分析物に対する抗体の結合をちょ
うど検出しおよび/または定量する。このような結合アッセイのフォーマットは
この分野においてよく知られており、そして下記のものを包含するが、これらに
限定されない:競合アッセイのフォーマット、非競合アッセイのフォーマット、
および他のフォーマット( 例えば、米国特許第4,366,241 号、米国特許第4,376,
110 号、米国特許第4,517,288 号、および米国特許第4,837,168 号) 。
【0162】 一般的イムノアッセイおよび結合アッセイのフォーマットの概観については、
また、下記の文献を参照のこと:Methods in Cell Biology Vol.37:Antibodise
in Cell Biology, Asai,編, Academic Press,Inc., New York(1993);Basic and
Clinical Immunology 7th Edition, Stites & Terr, 編(1991)。
【0163】II. 分子フリップ・フロップおよびゲートの組立て A)結合タンパク質/核酸の設計/選択 1)結合部位の同定および選択 多数の核酸結合タンパク質およびそれらの同種結合部位は本発明の実施に適当
である。一般に、適当なタンパク質は「基質」核酸( 例えば、一本鎖または二本
鎖のRNA 、DNA 、ペプチド核酸、およびその他) に特定のヌクレオチド配列によ
り特徴づけられる部位において結合するであろう。この部位は、設計されたタン
パク質結合部位であり、配列が変化可能であり、理解されるように、任意の特定
の結合タンパク質について、結合タンパク質に対してなお特異的であるが、その
タンパク質に異なる強さで結合する、多数の異なるヌクレオチド結合部位が存在
する( 例えば、Hengen et al.(1997)supra.)。
【0164】 使用すべき結合タンパク質/結合部位の組合わせは、多数の異なる因子を考慮
して決定される。これらは、特定の部位における結合が可逆的または不可逆的で
あるかどうか、そしてどんな結合部位を望むかにかかわらず、特定のシステムに
おいて使用しようとする、多数の異なる結合タンパク質を包含する。 多数の適当な結合タンパク質はこの分野において知られている。これらは下記
のものを包含するが、これらに限定されない:Fis 、LacI、ラムダcI、ラムダcr
o 、LexA、TrpR、ArgR、AraC、CRP 、FNR 、OxyR、IHF 、GalR、MalT、LRP 、So
xR、SoxS、シグマ因子、chi 、T4MotA、P1RepA、p53 、NF- カッパ-B、リボソー
ム、T4regA、スプライスソーム( ドナーおよびアクセプター) 、ポリA 結合因子
、およびその他。
【0165】 特に好ましい結合タンパク質は、それらの結合部位が適当に一緒に密接に間隔
を置いて位置するとき、「隣接する」部位の同種タンパク質の結合をブロックす
るものである。このようなタンパク質は簡単なスクリーニングにより同定できる
。これは種々の間隔で結合部位を含有する核酸( 例えば、二本鎖DNA)を準備し、
次いでどんな間隔で2 つのタンパク質が排他的に結合するかを決定することを伴
う。このようなアッセイは実施例において例示されている。
【0166】 適当な結合部位の間隔( 例えば、オーバーラップする部位) は個々の情報の理
論を使用して操作可能である( 例えば、下記の文献を参照のこと:米国特許出願
第08/494,115号1995年6 月23日提出、 Hengen et al.(1997)supra., Schneider(
1991)J.Theore.Biol. 148:125 、およびSchneider(1997)Nucl.Acids Res. 25:44
08-4415)。1 つのアプローチにおいて、すべての要求される成分のための配列ウ
ォーカーを配列について表示する。
【0167】 次いで配列は修飾されるが、各ウォーカーに対する定量的作用を観測する( 例
えば、実施例1 および第8 図参照) 。例えば、Fis 部位の強さを同一に維持しな
がら、制限酵素部位をFis 部位に操作することが可能である( 例えば、Schneide
r(1997)Nucl.Acids Res. 25:4408-4415 参照) 。こうして、論理成分のためのオ
ーバーラップする部位の設計は簡単であり、コンピュータ的に達成することがで
きる。
【0168】 事実密接に関連する( 例えば、対で) ように見える結合部位を有する核酸結合
タンパク質は、天然に存在するブロッキング部位のための特にすぐれた候補を提
供することが期待される。このような結合部位の存在についての検索は、寄託さ
れた( 例えば、GenBank)配列情報を使用してコンピュータ的に達成することがで
きる。「配列ウォーカー」を使用してこのような結合部位を検索し、同定する方
法は、下記の文献に記載されている:Schneider(1997)Nucl.Acids Res. 25:4408
-4415 、および同時継続米国出願第08/494,115号、1995年6 月23日提出。
【0169】 大部分のタンパク質結合部位について、排他的間隔は約0 塩基対( 完全なオー
バーラップ) 〜約60塩基対、好ましくは約0 塩基対〜約40塩基対、より好ましく
は約0 または1 塩基対〜約20塩基対、最も好ましくは約7 塩基対〜約11塩基対の
範囲であろう。
【0170】 フリップ・フロップの状態または入力または出力を変更( リセット) すべき場
合、核酸に可逆的に結合する核酸結合タンパク質を使用することが望ましい。こ
のような可逆的結合タンパク質はこの分野において知られており、そして例えば
、Fis 、LacI、ラムダcI、ラムダcro 、LexA、TrpR、ArgR、AraC、CRP 、FNR 、
OxyR、IHF 、GalR、MalT、LRP 、SoxR、SoxS、シグマ因子、chi 、T4MotA、P1Re
pA、p53 、NF- カッパ-Bを包含するが、これらに限定されないが、好ましい入力
および/または出力RNA 結合タンパク質はリボソーム、T4regA、スプライスソー
ム( ドナーおよびアクセプター) 、ポリA 結合因子、およびその他を包含するが
、これらに限定されない。
【0171】 2) GTPアーゼ様結合タンパク質 可逆的に結合するタンパク質の1 つの特に好ましいグループは、エネルギー源
( 例えば、ATP またはGTP の、それぞれ、ADP またはGDP への加水分解) の消費
で解放可能なものである。このようなタンパク質の1 つの特に好ましいクラスは
、GTP アーゼ様またはATP アーゼ様タンパク質である。GTP アーゼタンパク質、
例えば、EF-tu は核酸( この場合においてtRNA) に結合し、次いでエネルギー源
( 例えば、GTP)を供給したとき解放される。
【0172】 また、これらのタンパク質は解放のためにコファクター( 例えば、GAP)を必要
とし、こうして、エネルギー源またはコファクターのいずれかの供給を制限する
ことによって、解放をモジュレートすることができる。GTP アーゼ様タンパク質
は下記の文献に詳細に記載されている:Scheffzek et al.(1997)Science 277(18
):333-338 、およびAhmadian et al.(1997)Nature Structural Biology 4(9):68
6-689)。
【0173】 GTP アーゼ様タンパク質は、フリップ・フロップを設定およびリセットする好
都合な手段を提供する。このようなリセット可能なフリップ・フロップは第6 図
に図解されている。これは、c 、a1、b 、およびa2と表示する、4 つの結合部位
を有する核酸から成る。この部位に核酸結合タンパク質であるσx が結合するこ
とができる。σタンパク質はGTP アーゼ様タンパク質であり、これらのタンパク
質は、トリガーされたとき、核酸を解放する。また、タンパク質はGAP フィンガ
ーを含有する。GAP フィンガーは隣接するσタンパク質の解放をトリガーするこ
とができるが、それ自身の解放をトリガーすることができない(Scheffzek et al
.,surpa.およびAhmadian et al.,surpa.参照) 。
【0174】 次いでσc タンパク質は部位c に結合し、そのGAP フィンガーのために、いず
れかのσa の除去を引き起こす。こうして、フリップ・フロップがσa と接触す
るとき、σa のみは部位a2に結合したまま残る。こうして、フリップ・フロップ
は部位a2において安定である。その状態をスイッチするために、フリップ・フロ
ップを部位b に結合するσb と接触させ、σa の除去を引き起こし、部位b に安
定に結合したフリップ・フロップを残し、これはフリップ・フロップの第2 状態
である。
【0175】 部位a1およびa2に結合するσa とフリップ・フロップを接触させることによっ
て、フリップ・フロップを状態a にリセットする。a1にσa が結合しているとき
、それはσb の解放を引き起こすであろう。σa は一時的にのみ結合することが
できるが、溶液中の遊離σa はσb の変位を引き起こすために十分に長く部位が
占有されることを保証するであろう。これはフリップ・フロップを状態a にリセ
ットされたままにし、部位a2にσa は結合している。このサイクルは無限に反復
可能である。
【0176】 理解されるように、天然に存在しない解放可能なタンパク質は日常的選択手順
により得ることができる。例えば、EF-tu タンパク質1( または他の結合タンパ
ク質、例えば、制限エンドヌクレアーゼ) を日常的に突然変異化させ、「ファー
ジディスプレイライブラリー」においてフィラメント状ファージの表面上で発現
させることができる( 例えば、下記の文献を参照のこと:Marks et al.(1991)J.
Mol.Biol. 222:581-597,Vaughn et al.(1996)Nature Vaughn et al.(1996)Natur
e Biotechnology 14(3):309-314 、およびその他) 。
【0177】 次いで適当な結合部位を支持する核酸に結合しかつコファクター( 例えば、GA
P)を使用するか、または使用しないでエネルギー源(GTP) の存在下に解放するフ
ァージ( クローン) についてライブラリーをスクリーニングすることによって、
すぐれた解放可能なタンパク質は日常的に同定可能である。引き続く突然変異誘
発および選択のラウンドは、高い特異性およびアフィニティーを有する抗体につ
いての増強および選択に類似する方法で高いアフィニティーおよび特異性および
効率よい解放を示す結合タンパク質を産生することができる( 例えば、Vaughn e
t al.supra.,Marks et al.supra.) 。
【0178】 3)核酸の構築 根元的核酸は、この分野においてよく知られている任意の方法により産生する
ことができる。1 つの態様において、核酸は単離された天然に存在する核酸( 例
えば、大腸菌(E.coli)からのFis 結合部位を含有するセグメント) であることが
できる。しかしながら、好ましい態様において、核酸は、例えば、化学的合成に
より、新たにつくられる。
【0179】 核酸( 例えば、オリゴヌクレオチド) は、BeaucageおよびCaruthers(1981) 、
Tetrahedron Letts. 22(20):1859-1862 に記載されている固相ホスファイトトリ
エステル法に従い、例えば、Needhman-VanDevanter et al.(1984)Nucleic Acids
Res. 12:6159-6168 に記載されているような自動化合成装置を使用して、典型
的には化学的に合成される。必要な場合、オリゴヌクレオチドの精製は、典型的
には、自然アクリルアミドゲル電気泳動またはPearson およびRegnier(1983)J.C
hrom. 255:137-149 下記の文献に記載されているようなアニオン交換HPLCにより
実行される。合成オリゴヌクレオチドの配列は、Maxam およびGilber(1989)の化
学的分解法(Grossman およびMoldave(編)Academic Press 、 New York 、 Metho
ds in Enzymology 65:499-560)を使用して確認することができる。
【0180】 理解されるように、化学的に合成されたオリゴヌクレオチドは一本鎖である。
二本鎖核酸( 例えば、Fis のような結合タンパク質について) は、この分野にお
いてよく知られている方法に従い、相補的オリゴヌクレオチドを合成し、次いで
2 つのフラグメントを簡単なハイブリダイゼーション反応においてアニーリング
することによって製造することができる( 例えば、下記の文献を参照のこと:Sa
mbrook et al. 、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2 版),Vol.1-3,Co
ld Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor, New York, 1989) 。
【0181】 あるいは、相補的領域を有する単一のオリゴヌクレオチドを合成できる。適当
なハイブリダイゼーション条件下に、オリゴヌクレオチドは自己ハイブリダイゼ
ーションして、所望の結合部位を含有する二本鎖領域を有するヘアピンを形成す
ることができる( 例えば、実施例2 参照) 。
【0182】 4)結合タンパク質の構築 a)単離 核酸結合タンパク質は自然源から単離し、単離されたタンパク質から突然変異
原するか、あるいは新たに合成することができる。天然に存在する核酸結合タン
パク質を単離する手段はこの分野においてよく知られている。このような方法は
下記のよく知られているタンパク質精製法を包含するが、これらに限定されない
:硫酸アンモニウム沈降、アフィニティーカラム、カラムクロマトグラフィー、
ゲル電気泳動、およびその他( 一般に、下記の文献を参照のこと:R.Scopes(198
2)Protein Purification、 Springer-Verlag, N.Y.;Deutscher(1990)Methods in
Enzymology Vol.182:Guide to Protein Purification, Academic Press,Inc.,
N.Y.) 。
【0183】 結合タンパク質が可逆的に結合するとき、問題のタンパク質に対して特異的な
結合部位を有する核酸を支持する核酸アフィニティーカラムを使用して、タンパ
ク質をアフィニティー精製することができる。あるいは、タンパク質をHIS-Tag
で組換え的に発現させ、Ni2+/NTAクロマトグラフィーにより精製できる。
【0184】 b)化学的合成 他の態様において、結合タンパク質を標準的化学的ペプチド合成技術により化
学的に合成することができる。所望のサブ配列が比較的短い場合、分子を単一の
隣接するポリペプチドとして合成できる。より大きい分子を望む場合、サブ配列
を別々に合成し(1またはそれ以上の単位で) 次いで一方の分子のアミノ末端を他
方の分子のカルボキシル末端と凝縮させ、これによりペプチド結合を形成するこ
とによって融合することができる。これは、典型的には、商業的ペプチド合成装
置において単一アミノ酸のカップリングに使用されるのと同一の化学( 例えば、
Fmoc、 Tboc)を使用して達成される。
【0185】 配列のC 末端アミノ酸を不溶性支持体に結合させ、次いで配列の中に残りのア
ミノ酸を順次に付加する固相合成は、本発明のポリペプチドの化学的合成に好ま
しい方法である。固相合成技術は下記の文献に記載されている:BaranyおよびMe
rrifeild、 Solid-Phase Peptide Synthesis, pp.3-284 in The Peptides:Analy
sis,Synthesis,Biology,Vol.2:Special Methods in Peptide Synthesis, Part A
、 Merrifeildet al.(1963)J.Amer.Chem.Soc. 85:2149-2156、およびStewart et
al.(1984)Solid-Phase Peptide Synthesis,2nd ed.Pierce Chemical Co., Rock
ford、 III。
【0186】 c)組換え発現 好ましい態様において、組換えDNA 法を使用して結合タンパク質を合成する。
一般に、この方法は、結合タンパク質をコードするDNA 配列をつくり、このDNA
を発現カセットの中に特定のプロモーターの制御下に配置し、宿主中でタンパク
質を発現させ、発現されたタンパク質を単離しそして、必要に応じて、タンパク
質を復元することを含む。
【0187】 本発明の結合タンパク質またはサブ配列をコードするDNA は、前述の任意の適
当な方法により製造することができる。このような方法は、例えば、適当な配列
のクローニングおよび制限または下記のような方法による直接的化学的合成を包
含する:Narang et al.(1979)Meth.Enzymol. 68:90-99 のホスホトリエステル法
;Brown et al.(1979)Meth.Enzymol.68:109-151のホスホトリエステル法;Beauca
ge et al.(1981)Tetra.Lett. 22:1859-1862 のジエチルホスホルアミダイト法;
および米国特許第4,458,066 号の固体支持体法。 文字通りに数百の核酸結合タンパク質のアミノ酸および核酸配列が、この分野
においてよく知られている。こうして、例えば、Fis(E.coli Factor for Invers
ion Stimulation)のアミノ酸配列は、Swiss-Prot entry P11028 に見出される。
【0188】 1 またはそれ以上の所望の結合タンパク質をコードする核酸配列は、下記のも
のを包含する種々の宿主細胞において発現させることができる:大腸菌(E.coli)
、他の細菌宿主、酵母、および種々の高等真核細胞、例えば、COS 、CHO および
HeLa細胞系統および骨髄腫細胞系統。組換えタンパク質遺伝子は、各宿主のため
の適当な適当な発現制御配列に作用可能に連鎖されるであろう。
【0189】 大腸菌(E.coli)について、これはプロモーター、例えば、T7、trp 、またはラ
ムダプロモーター、リボソーム結合部位および好ましくは転写停止シグナルを包
含する。真核細胞について、制御配列は免疫グロブリン遺伝子、SV40、サイトメ
ガロウイルス、およびその他に由来するプロモーターおよび好ましくはエンハン
サー、およびポリアデニル化配列を包含し、そしてスプライスドナーおよびアク
セプター配列を含むことができる。
【0190】 本発明のプラスミドは、よく知られている方法、例えば、大腸菌(E.coli)につ
いて塩化カルシウム形質転換、および動物細胞についてリン酸カルシウム処理ま
たはエレクトロポレーションにより、選択された宿主細胞の中に形質転換するこ
とができる。プラスミドにより形質転換された細胞は、プラスミド上に含有され
る遺伝子、例えば、amp 、gpt 、neo およびhyg 遺伝子により与えられる抗生物
質耐性により選択することができる。 いったん発現されると、組換え結合タンパク質は前述のこの分野において知ら
れている標準的手順に従い精製することができる。
【0191】 当業者は認識するように、化学的合成、生物学的発現、または精製の後、1 ま
たはそれ以上の結合タンパク質は自然ポリペプチドのコンフォメーションと実質
的に異なるコンフォメーションを有することがある。この場合において、ポリペ
プチドを変性および還元し、次いでポリペプチドを好ましいコンフォメーション
にフォルディングすることが必要であることがある。
【0192】 タンパク質を還元および変性し、再フォルディングを誘導する方法はこの分野
において知られている( 下記の文献を参照のこと:Debinski et al.(1993)J.Bio
l.Chem. 268:14065-14070;KreitmanおよびPastan(1993)Bioconjug.Chem. 4:581-
585;およびBuchner et al.(1992)Anal.Biochem. 205:263-270)。例えば、Debins
ki et al. は、グアニジン-DTE中の封入体タンパク質の変性および還元を記載し
ている。次いで、酸化されたグルタチオンおよびL-アルギニンを含有するレドッ
クス緩衝液中で、このタンパク質を再フォルディングする。
【0193】 当業者は認識するように、結合タンパク質の生物学的活性を損なうことなく、
結合タンパク質を修飾することができる。多少の修飾を行って、ターゲッティン
グ分子のクローニング、発現、または融合タンパク質の中への組込みを促進する
ことができる。このような修飾はこの分野においてよく知られており、そして、
例えば、メチオニンをアミノ末端に付加して開始部位を形成すること、またはい
ずれかの末端に追加のアミノ酸( 例えば、ポリHis)を配置して好都合に位置する
制限部位をつくること、終止コドンまたは精製配列を包含する。 また、認識されるように、標準的組換えDNA 法を使用して、多数の結合タンパ
ク質がクローニングされ、再生産されてきている。さらに、いくつかの( 特に正
常および修飾された制限酵素) は商業的に入手可能である。
【0194】 B)結合部位のセレクター/モジュレーター/ブロッカー 前述したように、種々のセレクター( また、モジュレーターまたはブロッカー
と呼ばれる) を使用して、特定の結合部位への結合タンパク質の結合を制御する
ことができる。セレクターは結合タンパク質であるか、あるいはそれに関連する
結合部位を選択的にブロックする任意の他の成分であることができる。こうして
、セレクターは根元的核酸に結合するが、それを切断しない、修飾された制限エ
ンドヌクレアーゼ( 例えば、切断機能を排除するように突然変異されたEcoRI 、
例えば、下記の文献を参照のこと:King et al.(1989)J.Biol.Chem. 264(20):11
807-11815 およびWright et al.(1989)J.Biol.Chem. 264(20):11816-11821)。
【0195】 セレクターは、また、根元的核酸を選択的に修飾( 例えば、塩基の修飾、チミ
ジン二量化、およびその他) して、結合タンパク質の結合を防止する化学物質で
あることができるであろう。他の可能なセレクターは、核酸( 例えば、アンチセ
ンス分子) ペプチド核酸、ストレプトアビジン、アビジン、およびその他を包含
する。
【0196】 また、セレクターは光切断可能なブロッカーを包含することができる。このよ
うなブロッカーは、特定の波長の光に暴露されるまで、基質分子に結合して止ま
る。いったん暴露されると、セレクターは切断され、これにより部位をアンブロ
ックし、シグナル分子の結合を可能とする。これにより、論理回路の種々の素子
の状態を設定するために、光学的シグナルを使用することができる。同様に、前
述の蛍光読出し法を使用すると、光学的出力が得られる。こうして、システムの
入力および出力は光学的シグナルにより実行することができる。
【0197】 これはコンピュータの入力および出力に好都合である。コンピュータ素子が「
論理カセット」の成分である場合、これはまた遺伝子発現の光学的制御を提供す
ることが認められる。このような光学的制御システムはin vitroにおいて最も効
率的であることを証明することが期待される。 光切断可能なブロッカーはこの分野においてよく知られており、そしてNVOC、
MeNPOC、ジメトキシベンゾイニル、またはDDZ を包含するが、これらに限定され
ない( 例えば、米国特許第5,679,773 号、米国特許第5,639,603 号、米国特許第
5,525,735 号、米国特許第5,709,848 号、米国特許第5,556,961 号、および米国
特許第5,550,215 号参照) 。
【0198】 C)拘束されたアクチベーター 上記において、「出力」核酸結合部位に遺伝子アクチベーター( 例えば、Gal4
) を拘束すると、1 つの論理素子の出力( 例えば、フリップ・フロップまたはゲ
ート) を他にカップリングする機構が提供されることが説明された。遺伝子アク
チベーターを根元的核酸に拘束するとき、自然応答因子の非存在下にさえ、多数
の遺伝子アクチベーターは遺伝子を活性化するであろうことが証明された。これ
は最初にPtashne により証明された。
【0199】 アクチベーター( サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)転
写アクチベーター;Gal4) に融合された核酸結合タンパク質( 大腸菌(E.coli)リ
プレッサータンパク質;LexA) は、タンパク質結合部位(lexA オペレーター) が
転写開始部位付近に存在する場合および存在する場合にのみ、遺伝子の転写を活
性化することを彼は示した( 下記の文献を参照のこと:Ptashne(1985)Cell 43(3
):729-736 、およびFarrell et al.(1996)Genes Dev. 10(18):2359-2367)。
【0200】 他の拘束されたアクチベーターは、例えば、異種DNA 結合ドメイン(Gal4)を酵
母ADA2タンパク質に融合することによって製造されてきている(例えば、Silver
man et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:11665-11668 参照) 。同様に、CR
EB- 結合タンパク質に異種DNA 結合ドメインを融合すると、キメラタンパク質は
タンパク質キナーゼA 調節転写アクチベーターとして機能することができる(Chr
ivia et al.(1993)Nature 365:855-859)。同様に、GAL4 DNA結合ドメインに融合
したBOB.1/OBF.1B細胞制限コファクターは、繊維芽細胞においてオクタマー依存
性パラメーターを効率的に活性化することができる( 例えば、Pfisterer et al.
(1995)Biol.Chem. 270(50):29870-29880参照) 。他の遺伝子アクチベーターおよ
びリプレッサーはこの分野において知られている。
【0201】 結合タンパク質をリンカーで結合するとき、拘束された構築物の1 端がその同
種ターゲット( 例えば、論理ゲートゲートの出力) に結合されているとき、結合
タンパク質がそれと相互作用するように設計された転写開始部位と反対の末端に
おいて密接に近接する( 例えば、並列される) ように、リンカーの長さを選択す
る。 タンパク質を結合する方法はこの分野においてよく知られている。典型的には
、結合タンパク質およびアクチベータータンパク質を化学的に複合化されたリン
カーにより結合するか、あるいは2 つの結合タンパク質がポリペプチドにより結
合されている融合タンパク質として発現させることができる。
【0202】 分子を化学的に複合化する手段はこの分野においてよく知られている( 例えば
、下記の文献を参照のこと:Monoclonal Antibodies:Principles and Applicati
ons, Chapter 4, Birch およびLennox、編、John Wiley & Sons,Inc.、 N.Y.(19
95) 、これには抗癌剤、標識、例えば、放射能標識、酵素、および他への抗体の
複合化が記載されている) 。タンパク質は種々の官能基、例えば、カルボン酸(C
OOH)または遊離アミン(-NH2)基を含有し、これらはタンパク質を標識に結合する
リンカー上の適当な官能基との反応に有効である。
【0203】 あるいは、1 またはそれ以上の結合タンパク質を誘導化して追加の反応性官能
基を暴露するか、あるいは結合させることができる。誘導化は多数のリンカー分
子、例えば、Pierce Chemical Co.(イリノイ州ロックフォード) から入手可能で
あるものの結合を包含することができる。
【0204】 「リンカー」は、本明細書において使用するとき、結合タンパク質を結合する
ために使用する分子である。リンカーは、ターゲッティング分子およびエフェク
ター分子の双方に対して共有結合を形成することができる。適当なリンカーはこ
の分野においてよく知られており、そして直鎖状もしくは分枝鎖状の炭素リンカ
ー、複素環式炭素のリンカー、またはペプチドのリンカーを包含するが、これら
に限定されない。リンカーはそれらの側鎖基を通して( 例えば、システインに対
するジサルファイド結合を通して) 構成成分のアミノ酸に結合させることができ
る。しかしながら、好ましい態様において、リンカーは末端アミノ酸のアルファ
炭素のアミノ基およびカルボキシル基に結合されるであろう。
【0205】 特定の因子上で基と反応性の1 つの官能基,および抗体と反応性の他の基を有
する二官能価のリンカーを使用して、所望の拘束された構築物を形成することが
できる。あるいは、誘導化は結合タンパク質の化学的処理、例えば、タンパク質
に結合した糖成分のグリコールを過ヨウ素酸塩で切断して遊離アルデヒド基を発
生させることを包むことができる。タンパク質上の遊離アルデヒド基を因子上の
遊離アミンまたはヒドラジン基と反応させることができる( 例えば、米国特許第
4,671,958 号参照) 。また、ポリペプチド上に遊離スルフヒドリル基を発生され
る手順は既知である( 例えば、米国特許第4,659,839 号参照) 。
【0206】 種々のタンパク質を結合する多数の手順およびリンカー分子は既知である。例
えば、下記の文献を参照のこと:欧州特許出願No.188,256;米国特許第4,671,95
8 号、第4,659,839 号、第4,414,148 号、第4,699,784 号、第4,680,338 号、第
4,569,789 号および第4,589,071 号;およびBorlinghaus et al.、 Cancer Res.
47:4071-4075(1987) 。このようなリンカーはイムノトキシンの製造において広
く使用されており、そして、例えば、下記の文献に記載されている:″Monoclon
al Antibody-Toxin Conjugates:Aiming the Magic Bullet, ″Therpe et al.,Mo
noclonal Antibodies in Clinical Medicine, Academic Press、 pp.168-190(19
82) 、 Waldmann 、 Science 252:1657(1991) 、米国特許第4,545,985 号および
第4,894,443 号。
【0207】 好ましい態様において、拘束された構築物は組換え融合タンパク質として発現
される( すなわち、2 つの結合ドメインはポリペプチド結合により結合される)
。これは、基本的には、双方の結合タンパク質をコードする発現カセット、およ
び必要に応じてリンカーを準備し、発現カセットで細胞をトランスフェクトし、
これにより拘束された構築物を発現させることを含む。異種核酸を発現させる方
法は結合タンパク質の組換え発現の論考において前述され、そして結合タンパク
質- アクチベーター融合タンパク質の組換え発現はよく知られている(Silverman
et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:11665-11668、 Chrivia et al.(1993
)Nature 365:855-859 、およびPfisterer et al.(1995)Biol.Chem. 270(50):298
70-29880) 。
【0208】 理解されるように、アクチベーターに結合した結合タンパク質は全長の結合タ
ンパク質である必要がない。その反対に、好ましい態様において、核酸の結合ド
メインのみを拘束された構築物の末端に結合させる。
【0209】III)溶液相、固相およびin vivo システム A) ex vivoシステム 本発明の論理構築物( 例えば、フリップ・フロップおよび/またはゲート) を
計算および/またはアフィニティークロマトグラフィーのために使用する場合、
適用は好ましくはex vivo で実行されるであろう。これに関して、計算素子は溶
液中で利用することができ、および/または固体支持体に結合させることができ
る。固体支持体に結合させる場合、計算および/またはアフィニティーアッセイ
は固相中で有効に実施される。
【0210】 用語「固体支持体」は、核酸または結合タンパク質を表面にカップリングさせ
るように機能化することができる固体物質を意味する。しかしながら、多数の固
体支持体( 例えば、ニトロセルロース) はこのような誘導化を必要としない。核
酸または結合タンパク質を結合させることができ、かつ接触させる試薬に対して
安定である、任意の物質が適当である。固体支持体は下記のものを包含するが、
これらに限定されない:ポリアクリルモルホリド、金属、平面ガラス、シリカ、
コントロールされた孔を有するガラス(CPG) 、ポリスチレン、ポリスチレン/ラ
テックス、およびカルボキシル修飾テフロン。
【0211】 1 つの態様において、種々の論理素子を配列で配置することができる。一本鎖
または二本鎖の核酸の配列を作る方法はこの分野においてよく知られている( 例
えば、米国特許第5,143,854 号およびPCT 特許出願No.WO90/15070)。 溶液相または固相において、入力シグナルタンパク質、出力シグナルタンパク
質、ブロッカー、および1 またはそれ以上の拘束された構築物を必要に応じて同
時にまたは順次に付加することができる。同様に、読出しは前述の多数の日常的
手段により実行される。
【0212】 また、ex vivo において抽出された天然または合成の発現システムにおいて、
遺伝子発現を実行することができる。このようなシステムは、典型的には、緩衝
液、および遺伝子の転写および翻訳に必要なすべての因子を包含する( 例えば、
ATP 、Mg、リボザイム、ヌクレオシド三リン酸、およびその他) 。
【0213】 あるいは、本発明のゲートをバイオリアクターに添加して、リアクター環境を
同時にアッセイしかつモジュレートすることができるであろう。こうして、例え
ば、前述のORゲートは、バイオリアクターに添加するとき、それらがリアクター
システムの中に存在する場合、1 またはそれ以上の分析物に結合するであろう。
このような結合は出力をHIGHに設定するであろう。次いでHIGH出力結合部位はバ
イオリアクター中の第3 分析物に結合して、その中で成長する生物に対する分析
物の有効性を低下するか、あるいは無効することができる。
【0214】 B) in vivoシステム 他の態様において、本発明の論理制御は遺伝子発現の調節に使用することがで
きる。上に説明したように、細胞を1 またはそれ以上の「論理カセット」でトラ
ンスフェクトすることができる;発現カセットは、その発現が本発明の論理素子
( 例えば、1 またはそれ以上のゲートおよび/またはフリップ・フロップ) の制
御下にある1 またはそれ以上の遺伝子をコードする核酸からなる。
【0215】 前述したように、標準的ベクターを使用して論理カセットを細胞の中にトラン
スフェクトすることができる。論理カセットは、さらに、1 またはそれ以上の結
合タンパク質および/または1 またはそれ以上の拘束された構築物をコードする
ことができる。あるいは、結合タンパク質は内因的に発現されたタンパク質であ
るか、あるいは他の発現カセットまたは論理カセットにより提供されることがで
きる。同様に、拘束された構築物は、また、1 またはそれ以上の別の発現カセッ
トまたは論理カセットにより発現させることができる。
【0216】IV) 他の基質をベースとする論理素子 本明細書において提供される実施例は核酸結合部位を使用する論理素子( フリ
ップ・フロップおよびゲート) を証明するが、他の基質は特異的に結合されるこ
とができるかぎり、適当である。このような基質はタンパク質、糖タンパク質、
糖、およびその他を包含するが、これらに限定されない。タンパク質は特に好ま
しい別の基質を提供する。
【0217】 この分野においてよく知られているように、単一のタンパク質は広範な種類の
異なるエピトープを表示することができ、それらの各々に特定の抗体( 例えば、
モノクローナル抗体または抗体フラグメントFv、Fab'、およびその他、または一
本鎖Fv、およびその他) が特異的に結合する。そのうえ、また、エピトープにそ
れらのそれぞれの抗体が同時に結合できないように、エピトープを並列させるこ
とができることは知られている。この原理はエピトープマッピングの基礎を形成
する。
【0218】 こうして、抗体の結合が相互に排他的である2 つのエピトープを表示するタン
パク質は、タンパク質基質のフリップ・フロップのための基礎を形成する。同様
に、糖または糖タンパク質は同一原理に従う相互に排他的なレクチン結合のため
の基質を形成することができる。
【0219】V)分子計算および/または複雑な発現制御のためのキット また、本発明は、分子計算および/または遺伝子発現の調節のためのキットを
提供する。このキットは、本発明の論理素子( 例えば、フリップ・フロップ、ゲ
ート、論理カセット) を含有する1 またはそれ以上の容器からなる。1 またはそ
れ以上の容器は、単に根元的核酸または組合わせられた核酸および/またはシグ
ナルポリペプチドおよび/または1 またはそれ以上の拘束された構築物を含有す
ることができる。キットがex vivo の適用のために設計されている場合、固体支
持体( 例えば、96ウェルのマイクロタイタープレート) に結合させた種々の素子
を提供することができる。
【0220】 また、本明細書に記載する方法の1 つを実施するために、キットは必要に応じ
て試薬、緩衝液、蛍光標識、およびその他を含むことができる。 キットは分子計算システム、遺伝子制御、およびその他において本発明の論理
素子( フリップ・フロップ、ゲート、およびその他) の使用法( すなわち、プロ
トコル) を含有する使用説明書を必要に応じて含むことができる。使用説明書は
典型的には書かれたまたは印刷されたものからなるが、これらに限定されない。
このような使用説明書を貯蔵しかつそれらを最終ユーザーに伝えることができる
媒体は本発明に包含される。このような媒体は、電子記憶媒体( 例えば、磁気デ
ィスク、テープ、カートリッジ、チップ) 、光学的媒体( 例えば、CD ROM) 、お
よびその他を包含するが、これらに限定されない。このような媒体はこのような
使用説明書を提供する問題の部位へのアドレスを含むことができる。
【0221】 実施例 下記の実施例は本発明の例示であるが、請求の範囲の本発明を限定しない。実施例1 :オーバーラップするFis 部位7 または11塩基対は同時に結合されない この実施例において、情報理論を使用して大腸菌(Escherichia coli)DNA 中の
Fis(Factor for Inversion Stimulation) 結合部位を予測した。これらの予測は
以前から存在するDNアーゼフットプリント法によるか、あるいはゲル移動度シフ
トの実験により確証された。6 つの部位特異的逆位領域、λatt 、dif 、nrd 、
ndh およびfis プロモーターを包含する多数の多様な遺伝的系において、Fis 部
位はまた7 または11塩基対で離れていることが予測される。
【0222】 これらのオーバーラップするFis 部位はしばしば他のタンパク質の結合部位と
一致し、Fis がDNA へのアクセスをブロックできることを示唆する。Fis 配列ロ
ゴグラムの構造、分子モデル化およびゲル移動度シフトの実験のすべては、7 ま
たは11塩基だけ分離されたFis 部位が拮抗的に結合されることを示唆する。また
、11塩基対だけ分離されている2 つのオーバーラップするFis 部位は、染色体の
大腸菌(E.coli)複製起点(oriC)の中に存在する。
【0223】 本明細書中に提示されているデータにより示唆されるように、双方の部位はFi
s と結合し、そしてそれらは結合について競合してin vitroにおいて2 つの区別
可能な分子状態をつくる。2 つのオーバーラップするFis 部位のただ1 つが一度
に結合されることができ、この構造は分子フリップ・フロップである。これらの
2 つのFis 部位はoriC中の2 つのDnaA部位間に正確に位置し、これにより示唆さ
れるようにフリップ・フロップは反対方向における複製複合体の交互の発射を指
令する。
【0224】 Fis はよく特性決定された部位特異的DNA 結合タンパク質である。大腸菌(Esc
herichia coli)が富んだ栄養媒質に直面すると、Fis 分子の数はほぼゼロから25
,000〜50,000二量体/細胞に増加する(Ball et al.(1992)J.Bact. 174:8043-805
6)。Fis 部位における平均情報に基づく大腸菌(E.coli)ゲノム中のFis 部位の推
定数は同様な数を与え、これらの分子の大部分はゲノムを通して遺伝的システム
を制御していることが示される(Hengen et al.(1997)Nucl.Acids Res. 25(24):4
994-5002) 。
【0225】 Fis はDNA を曲げることが知られており、そして多数の部位特異的組換えシス
テム関係づけられる。さらに、それはそれ自身のプロモーターを自己調節し、他
のプロモーターを活性化する(Johnson & Simon(1987)Trends in Genetics 3:262
-267;Finkel & Johnson(1992)Molec.Microb. 6:3257-3265;Finkel & Johonson(1
992)Molec.Microb. 6:1023) 。
【0226】 Fis 結合部位およびそれらの取り囲む配列の情報分析は既知のそれらに隣接す
る従来同定されなかった部位を明らかにした(Hengen et al.(1997)supra.) 。Fi
s 部位の対は多数の遺伝的システムにおいてしばしば7 または11塩基だけ分離さ
れていることが観測された。これらのFis 部位は有意な場所において他のタンパ
ク質の結合部位、例えば、λatt のXis 部位としばしばオーバーラップする(Sch
neider(1997)Nucl.Acids Res. 25:4408-44415)。これらの対の意味を理解するた
めに、Fis が隣接する部位において共同的にまたは拮抗的に結合するかどうかを
我々は探求した。この研究において、人工的DNA 構築物において、部位は同時に
結合することができず、したがって分子フリップ・フロップとして作用する。
【0227】 DNA 複製はoriCと呼ぶ遺伝子座において大腸菌(Escherichia coli)染色体上で
83分に開始する。oriCにおいて開始する二方向の複製は、染色体の回りの半分の
道程の末端領域において完結する。配列ウォーカーを使用して(Schneider(1997)
Nucl.Acids Res. 25:4408-44415)、2 つのDnaA部位間に正確に割り込んだ2 つの
Fis 部位が存在するようであることを我々は観察した。
【0228】 結果および考察 自然Fis 部位間の自己競合 重み行列に基づく情報理論を使用してFis 部位についてDNA 配列を検索したと
き、hin gin およびmin において11塩基対の間隔を置いて位置するFis 部位を我
々は観察した(Hengen et al.(1997)supra.中の第5 図参照) 。B-型DNA は10.6塩
基対毎にねじれるので、この部位はDNA の同一側に存在するであろう。
【0229】 2 つの隣接するタンパク質はそれらのDNA 構築物の微妙なインターリーブによ
り同時に結合できると考えられるが、それらのタンパク質は主要な溝において結
合について競合する可能性あるようである。なぜなら、11塩基のシフト後、-7に
おいて優勢を占めるC が+4におけるG に対応し、そして-4におけるC が+7におけ
るCに対応する( 第7 図において下向きの矢印) ことを配列ロゴグラムが示すか
らである。これらの内部的に( 第7図) 重複するパターン間の競合(Schneider &
Matronard(1996)Discrete Applied Mathematics、71:259-268) はFis がDNA 湾
曲のその部位を変化できるようにし、そして多分これは逆位について重要である
【0230】 対照的に、P1 cin、P7 cinおよび大腸菌(E.coli)ell4 pin部位において、対間
の間隔はわずかに7 塩基であり、これはFis 二量体をB-DNA 上で122 °離して配
置するであろう(360° ̄360 °/回転×7 塩基/回転=122 °) 。7 塩基シフト
後、配列対数が示すように、-7におけるG は座標0 におけるDNA の反対面上の小
さい溝のA/T に合致するが、-4におけるC/T は+3におけるT/C と合致し、そして
-3におけるA/G は+4におけるC/A と合致する( 第7 図における上向き矢印) 。こ
れは2 つのタンパク質が同時に結合することを可能とし、これはまたこれらの領
域の機能にとって重要であろう。
【0231】 付近の部位へ2 つのFis タンパク質が結合する結果を研究するために、我々は
三次元モデルを構築した(Schneider(1997)Nucl.Acids Res. 25:4408-44415)。2
つのFis タンパク質は11塩基対だけ離れた部位に結合した2 つのFis タンパク質
が強く相互浸透性であるうることを我々は見出した。対照的に、7 塩基対の分離
は2 つの中央D らせん間におけるファン・デル・ワールス力の最小の不一致を有
するだけである。Fis がDNA に結合する方法に関して多少の不確かさが存在する
ことが分かると、これはDNA-タンパク質複合体の柔軟性により調節されるであろ
う。11塩基だけ分離したFis 分子は結合について競合するが、7 塩基の分離は同
時の結合を可能とするであろうと我々は考えた。
【0232】 電気泳動移動度ゲルシフトアッセイにおいて、Fis がhin 近接または中央Fis
部位のいずれかを含有する合成DNA に結合するという予備的観察により、これら
の考えは支持される (Hengen et al.(1997)supra.)。これらのオーバーラップす
る部位が11塩基の間隔で同一フラグメント上に一緒に存在したとき、ただ1 つの
バンドが観測され、部位のただ1 つが一度に結合可能であることが示唆される。
これが正しいかどうかを試験するためには、可能である場合、双方の部位が結合
されることを保証するために、高い濃度のFis および強いFis 部位を使用するこ
とが必要である。
【0233】 7 〜11のオールタネイトモデルの試験 オーバーラップするFis 部位にFis が同時に結合できるかどうかを決定するた
めに、7 または11塩基対でオーバーラップする( 第8a図、第8b図) または23塩基
対だけ分離された( 第7c図) 強いFis 部位を我々は合成し、ゲルシフトによりそ
れらの性質を試験した。Fis/DNA 比が極めて高くかつ例外的に強い(>12ビット)F
is結合部位を使用したときでさえ( 第9 図) 、11または7 塩基対のオーバーラッ
プ部位のいずれも二重シフトしたバンド示さず、ただ1 つのFis 分子が各DNA フ
ラグメントに結合できることが示唆された。
【0234】 23塩基対だけ分離された2 つのFis 部位をもつDNA フラグメントは事実二重シ
フトし、よく分離されたFis 部位は2 つの明確なバンドシフトを引き起こすこと
ができることが証明される(1第9 図) 。しかしながら、Fis は非特異的配列上で
ラダーをつくることができ(B termier et al.(1994)Biochimie 79:958-967)、そ
してこれは二重シフトを説明できるであろう。短いDNA を使用する我々の条件下
に、非特異的( すべての位置<1ビット)66bp のDNA フラグメントは高いFis 濃度
においてほとんどシフトしない(データは示されていない)ので、二次シフトは
非特異的結合からではなかった。
【0235】 これらの結果が証明するように、7 または11塩基だけ分離したFis 部位は同時
に結合できない。Fis の高い濃度における単一のシフトしたバンドは1 つのFis
分子が結合したDNA と正確に展開する複合体として2 つのFis 分子/DNA を含有
する可能性を我々は排除することができず、分子量変化に対するゲルシフトの感
度および23塩基対だけ分離したDNA についての結果が与えられると、これは起こ
りそうに思われない。
【0236】 第2Fis分子を直接的立体障害性によりブロックすることができるが、また、第
1 タンパク質は第2 部位を排除または閉鎖するために十分にDNA を変形させるこ
とができる。変形機構を使用する場合、2 つの弱いFis 部位が同時に結合されう
る可能性が残っている。さらに、低い熱的撹拌は多少の機械的歪にかかわらず結
合を可能とすることがあるので、7 塩基のオーバーラップ部位はより低い温度に
おいて同時に結合されうる。最後に、超らせんDNA および他の条件は同時結合を
可能とすることがある。
【0237】 Fis スイッチング:7 〜11フリップ・フロップモデルの遺伝的関係 tyrTプロモーターは、我々の23塩基対だけ分離された対照実験におけるように
、20および31塩基対だけ分離された3 つのFis 部位を有する( 第8 図および第9
図) 。tyrTにおける分離は、DNA の同一面上で3 つのFis 二量体がそれら自体同
時に位置決定して、σ70サブユニットに共同的に結合しかつ安定なRNA プロモー
ターの転写を活性化するために十分である(Muskhelishvili et al.(1995)EMBO J
. 14:1446-1452) 。分離された部位に基づく、この活性化機構に加えて、Fis は
またオーバーラップする部位を使用する他の制御機構を進化させた可能性がある
【0238】 種々の配列を横切って我々のFis の個々の情報モデルを我々が走査するとき、
逆位領域、fis 、nrd 、およびndh プロモーターにおいて、およびdif 、大腸菌
(E.coli)oriCおよびλatt において7 および11の間隔を我々は発見した(Hengen
et al.(1997)supra.;Schneider(1997)Nucl.Acids Res. 25:4408-44415)。後者の
3 つのシステムにおいて、Fis 部位は有意な場所における他のタンパク質の結合
部位をオーバーラップするので、単に部位の内部の豊富さのために、我々はFis
部位がこの間隔で出現すると考えなかった。
【0239】 例えば、Fis 重み行列を使用する走査は座標202 および213 におけるoriC中で
以前に同定された2 つのFis 部位を明らかにする(Roth et al.(1994)Biochimie
76:917-923) 。2 つの異なるグループからのフットプリント法のデータは一方、
他方および双方の部位をカバーする保護を示す( 第10図) 。2 つのFis 部位はR2
およびR3 DnaA 部位の間に正確に適合し、そして同様な個々の情報の内容を有し
、これによりそれらの結合エネルギーは類似するので、他の作用の非存在下に、
Fis はフリップ・フロップとほぼ等しい時間分数でそれらの部位を占有できるで
あろうことが示唆される。
【0240】 DnaAおよびFis による結合は相互に排他的であり(Gille et al.(1991)Nucl.Ac
ids Res. 19:4167-4172)、Fis 誘導DNA 湾曲の位置をDnaAにより制御することが
でき、そしてDnaAの結合がFis により制御することができことが暗示される。高
いFis 濃度が存在するとき、栄養のアップシフトの間に(Ball et al.(1992)supr
a.) 、1 つのFis 部位の占有はただ1 つのDnaAが一度に利用可能であることを保
証するであろう。Fis の非存在は非同時的複製に導き(Boye et al.(1982)In DNA
Replication and the Cell Cycle 、 Fanning Knippers およびWinnacker 編、
Vol.43:15-26、 Springer-Verlag、 Berlin)、このフリップ・フロップは反対方
向における複製複合体のオールタネイト発射を制御できるであろう。
【0241】 T4遺伝子32自発的調節の古典的例におけるように、密接に間隔を置いて位置す
る部位はしばしば共同的に結合する(Miller et al.(1994)In Molecular Biology
of Bacteriophage T4, Karam et al.編、 pp.193-205 、 American Soc.Microb
iol.、 Washington 、 D.C.)。対照的に、Fis はタンパク質がオーバーラップす
る位置における結合によりそれ自体と競合する、異常な状況を表す。
【0242】 自己閉鎖は人工構築物において観察され、ここで1 つのリボソームは付近で結
合した他のリボソームの存在により明らかにブロックされる(Barrick et al. (1
994)Nucl.Acids Res. 22:1287-1295) 。同様に、ColE1 およびColE7 において、
1対のLexA部位はLexA結合について互いに競合する(Ebina et al.(1983)J.Biol.
Chem. 258:13258-13261;Lu & Chak(1996)Mol.Gen.Genet. 251:407-411)。
【0243】 ColE7 中の同一対のLexA部位は、また、直ぐ上流の9.1 ビットのFis 部位と競
合することがあり、そしてこれらの部位のすべての3 つは直ぐ下流の2 つのオー
バーラップするIHF 部位に隣接する。これらの因子のこの相互作用はいっそう複
雑なフリップ・フロップ機構の典型であろう。例えば、5 つ程度に多いFis 部位
がλatt の中に存在するようである。これらのうちの2 つは11塩基対の間隔を置
いて位置し、それらのうちの1 つはオーバーラップするXis 部位である(Schneid
er(1997)Nucl.Acids Res. 25:4408-44415)。
【0244】 したがって、互いにかつ他のタンパク質の結合部位に関するFis 結合部位の位
置決定は、多数の多様なファンクションを実行するFis の能力にとって重要であ
るように見える。Fis は、部位がDNA の同一面上に存在しかつ同時に結合するた
めに十分に離れている、転写活性化モデルを進化させた。また、2 つの競合的結
合モデルを可能とするように、Fis を特異的に進化させることができる。部位が
DNA の同一面上に存在する(11bp の間隔) とき、DNA の全体の方向を変化させな
いで、単一のFis 分子は分離し、2 つの可能な場所の間で湾曲位置を動かすよう
に、再結合することができるであろう。
【0245】 部位がほぼ反対の面上に存在する(7bpの間隔) とき、Fis は湾曲の方向を122
°だけ変化させる。これらの歯が適合して多面発現性Fis ファンクションのより
大きい映像を形成する方法はまだ決定されていない。 この実施例から明らかなように、隣接するFis 部位は2 つの明確な結合モード
を有し、ここでFis はそれ自体と結合について競合し、したがって分子フリップ
・フロップとして作用する。
【0246】材料および方法 配列解析プログラム 配列および情報の計算を取扱うDelilaシステムを使用した(Schneider et al.(
1982)Nucl.Acids Res. 10:3013-3024;Schneider et al.(1984)Nucl.Acids Res.
12:129-140;Schneider et al.(1986)J.Mol.Biol. 188:415-431;Schneider & Ste
phens(1990)Nucl.Acids Res. 18:6097-6100;Stephens & Schneider(1992)J.Mol.
Biol. 228:1124-1136;Schneider(1997)J.Theoret.Biol. 189(4):427-441;Schnei
der(1997)Nucl.Acids Res. 25:4408-4415)。図面は、DelilaおよびUNIXスクリプ
ト・プログラムを使用してGenBank データから自動的に作成された。
【0247】 Fis 結合実験の設計 Fis 配列ロゴグラム中の各位置において最も頻度の高いな塩基から選択するこ
とによって、11および7 塩基対だけ分離された強いFis 部位を含有する合成DNA
を設計した(Hengen et al.(1997)supra.)。次いで種々の選択について Riw(b,l
) 値を比較することによって、11または7 塩基対だけシフトした同一配列を合同
させた。(注:我々が使用した初期モデルのコンセンサス配列は次の通りであっ
た:TTG(G/C)TCAAAATTTGA(G/C)CAAA( 配列番号:4)これははロゴグラムのそれと
異なる。)
【0248】 オーバーラップ11オリゴについてhin 近接および中央部位付近の自然配列に基
づく末端に、5 つの余分の塩基を付加し、そしてcin 外部および近接部位付近の
配列をオーバーラップ7 オリゴのために使用した(Hengen et al.(1997)supra.)
。DNA を自己相補的とした(図8a、図8b)。11塩基だけ分離したDNA を使用して
開始し、中央オーバーラップ領域を重複させることによって、23塩基だけ分離さ
れた部位をつくった。また、BamHI 部位を挿入し、DNA をEcoRI 部位でフランク
させた(図10c )。
【0249】 5'末端上でビオチンを使用してオリゴヌクレオチドを合成し、ゲル精製した(O
ligos Etc.、 Wilsonville、 OR 、 USA) 。完全なアニーリングを保証するため
に、それらを90℃に10分間加熱し、室温にゆっくり冷却した。アニールした生成
物を8 %(w/v) ポリアクリルアミドゲルを通して電気泳動にかけ、正しいサイズ
の線状二重らせんDNA に対応するバンドをゲルからスライスした。DNA を電気溶
離により回収し、イソアミルアルコールで抽出して臭化エチジウムを除去した。
非特異的対照DNA をバクテリオファージφX174(Life Technologies,Inc.)からの
2 つの66bpのhinF1 フラグメントから構成した。ゲル移動度シフト実験を前述し
たように実施した(Hengen et al.(1997)supra.)。
【0250】実施例2 :Fis /DNA フリップ・フロップの読出し ヘアピンループを急速に形成させる配列を中央に有する、単一の非常に長い核
酸を合成する( 第11図参照) 。次いで全体のDNA を緩衝液中に溶解し、加熱し、
冷却して二本鎖DNA を形成した。これにより、相補的鎖が等モルであり、そして
混合物の中に一本鎖DNA が存在しないことが保証される。 ヘアピン形成時にoriC部位を形成するように、核酸を設計し、そして位置77ま
たは78のいずれかにおけるT にビオチンを結合させる(19原子のリンカーを介し
て) 。
【0251】 Fis をヘアピンループDNA の中に入れる。Fis は2 つの位置に結合することが
期待される( 第11図において18および29、87および98におけるFis 部位はDNA の
他の鎖上の同一部位であることに注意すべきである) 。次いでストレプトアビジ
ンを添加する。 Fis 分子が位置18に結合されるとき、ストレプトアビジンもまた結合し、DNA
、Fis およびストレプトアビジンから成る高いバンドシフトが見られるであろう
。Fis 分子が位置29に結合されるとき、それはストレプトアビジンをブロックし
、DNA およびFis だけが存在するので、バンドはゲル上でより低いであろう。双
方のバンドの可視性は、溶液の中で双方の結合部位が形成することを示す。
【0252】 適当な制御は各結合部位の個々のおよび双方の部位のノックアウトを包含する
。添加順序が結果に影響を与えるかを見るために、実験はちょうどDNA 、DNA +
Fis 、DNA +Fis +ストレプトアビジン、およびDNA +ストレプトアビジン+Fi
s を包含する。2 つのバンドが存在する唯一の時間は、双方Fis 部位が存在する
とき、DNA +Fis +ストレプトアビジンの添加順序である。 理解されるように、本明細書に記載する実施例および態様は例示のみを目的と
し、そしてそれらに照らして種々の変更および変化は当業者に示唆され、これら
はこの出願の精神および範囲、および添付された請求の範囲内に入る。本明細書
において引用された、すべての刊行物、特許、および特許出願は引用することに
よって本明細書の一部とされる。
【図面の簡単な説明】
【図1a】 図1aは基本分子フリップ・フロップの2 つの状態を図解する。水平線は核酸を
表すが、BS1 およびBS2 と表示するボックスはタンパク質結合部位を表す。BP1
およびBP2 と表示する円は、それぞれ、BS1 およびBS2 に結合する結合タンパク
質を表す。BP1 がBS1 に結合するとき、BS2 を占有できないように、結合部位は
位置する。逆に、BP2 がBS2 に結合するとき、BS1 を占有できない。BS1 および
BS2 は同一型のタンパク質結合部位であるか、あるいは異なる種類のタンパク質
結合部位( すなわち、異なるタンパク質に結合する) であることができる。同様
に、BP1 およびBP2 は同一型の結合タンパク質であるか、あるいは異なる種類の
結合タンパク質であることができる。円S1およびS2は任意の「セレクター」、す
なわち、結合しているときBS1 およびBS2 をブロックし、これによりフリップ・
フロップの状態の選択的設定を可能とする結合部位、を表す。
【図1b】 図1bは基本分子フリップ・フロップの2 つの状態を図解する。水平線は核酸を
表すが、BS1 およびBS2 と表示するボックスはタンパク質結合部位を表す。BP1
およびBP2 と表示する円は、それぞれ、BS1 およびBS2 に結合する結合タンパク
質を表す。BP1 がBS1 に結合するとき、BS2 を占有できないように、結合部位は
位置する。逆に、BP2 がBS2 に結合するとき、BS1 を占有できない。BS1 および
BS2 は同一型のタンパク質結合部位であるか、あるいは異なる種類のタンパク質
結合部位( すなわち、異なるタンパク質に結合する) であることができる。同様
に、BP1 およびBP2 は同一型の結合タンパク質であるか、あるいは異なる種類の
結合タンパク質であることができる。円S1およびS2は任意の「セレクター」、す
なわち、結合しているときBS1 およびBS2 をブロックし、これによりフリップ・
フロップの状態の選択的設定を可能とする結合部位、を表す。
【図2】 図2 は、核酸読出し分子および結合反応を使用するフリップ・フロップの読出
しを図解する。フリップ・フロップを2 つの読出し分子とインキュベーションし
、それらの分子の一方はフリップ・フロップ核酸の1 端に対して相補的末端を有
し、そして他方はフリップ・フロップ核酸の他端に対して相補的末端を有する。
読出し分子は、ハイブリダイゼーション条件下に、フリップ・フロップ核酸のそ
れぞれの末端に結合する。次いで結合反応を実施する。結合した核酸結合タンパ
ク質( 第2 図においてFis)は結合した結合部位( 第2 図においてBS1)に隣接する
部位へのリガーゼのアクセスをブロックし、これによりその読出し分子の結合を
防止する。他方の読出し分子は核酸に首尾よく結合し、どの結合部位がブロック
されていないかを示すシグナルを提供する。
【図3】 図3 は、分子NOR ゲート、NOT ゲート、ゲートの制御下の遺伝子活性化、2 つ
のゲート間のシグナルのカップリングおよび分子ORゲートを図解する。本明細書
において記載するように、ゲートA は簡単なNOR ゲートとして作用し、出力O1
入力I1およびI2へのNOR 応答を提供する。本明細書において記載するように、I3 およびI4が同一である、ゲートB はNOT ゲートを提供し、O2はI3およびI4におけ
る入力NOT 応答を提供する。また、ゲートA は遺伝子発現の調節を例示する。出
力O1がHIGHであるとき、タンパク質BP1 はその部位に結合することができる。こ
れはは拘束されたアクチベーター(A) を定着し、次いでアクチベーターは遺伝子
発現を活性化する。第3 図において、遺伝子は結合タンパク質を発現し、この結
合タンパク質はゲートB のI3またはI4に特異的に結合し、これによりゲートA 出
力のゲートB 入力へのカップリングを例示する。ゲートB 出力(O2)はゲートA に
おける入力(I1 またはI2) に応答してORを生成する。また、任意の図解した結合
部位をセレクター分子とともに存在させることができる。
【図4】 図4 はAND およびNANDゲートを図解する。2 つのNOR ゲート、ゲートA および
ゲートB は、第3NORゲート( ゲートC)の中への入力を提供する。これはO3におい
て出力を生成し、この出力はゲートA およびB への入力(I1 およびI2) のAND 機
能である。NOT ゲートD によりAND シグナルを逆転すると、I1およびI2における
入力に応答して出力O4においてNANDを生ずる。ゲートA 、B 、およびD の入力部
位は同一であるので、これらのNOR ゲートは簡単なインバータとして作用する。
【図5a】 図5aは、同一結合部位がゲートA およびB のための入力および出力の双方とし
て作用する、簡素化したAND ゲートを図解する。
【図5b】 図5bは、5 つのタンパク質結合部位を利用する第2 の簡素化したAND ゲートを
図解する。AND ゲートは遺伝子を活性化する拘束された結合タンパク質とともに
図解されている。
【図6】 図6 はGTP アーゼ様タンパク質を利用するリセット可能なフリップ・フロップ
を示す。フリップ・フロップは、c 、a1、b 、およびa2と表示する、4 つの結合
部位を有する核酸から成る。この部位に核酸結合タンパク質であるσx が結合で
きる。σタンパク質はGTP アーゼ様タンパク質であり、トリガーされたとき、核
酸を解放する。また、タンパク質はGAP フィンガーを含有し、このフィンガーは
隣接するσタンパク質の解放をトリガーすることができるが、それ自身の解放を
トリガーすることができない。次いでσc タンパク質は部位c に結合し、そのGA
P フィンガーのために、部位a1におけるσa の除去を引き起こす。こうして、フ
リップ・フロップがσa と接触するとき、σa のみが部位a2において結合して止
まる。こうして、フリップ・フロップは部位a2において安定である。その状態を
スイッチするために、フリップ・フロップをσb と接触させ、このσb は部位b
に結合し、σa の除去を引き起こし、部位b に安定に結合したフリップ・フロッ
プ、すなわち、フリップ・フロップの第2 状態、を残す。部位a1およびa2に結合
するσa とフリップ・フロップを接触させることによって、フリップ・フロップ
を状態a にリセットすることができる。σa 分子がσc により除去される前に、
σb の解放を引き起こすために十分に長く部位a1は結合している。これはフリッ
プ・フロップを状態a にリセットしたままにし、部位a2にσa は結合している。
このサイクルは無限に反復可能である。
【図7】 図7 はFis 結合部位の自己類似性を図解する。Fis についての配列ロゴグラム
(Schneider & Stephans(1990)Nucl.Acids Res. 18:6097-6100 ;Hengen et al.(
1997)Nucl.Acids Res. 25(24):4994-5002)は3 回示されている。上部および下部
のロゴグラムは、中央のロゴグラムに関して、+11および+7 塩基だけ右に( そ
れぞれ) シフトされている。コサイン波は、10.6塩基の波長であり、+11の相対
的にシフトしたFis 部位がDNA の同一面上に存在するが、+7 の相対的にシフト
したFis 部位が反対面上に存在するであろうことを示す。矢印はロゴグラムがシ
フト後に自己類似性である位置に存在する。下向き矢印は、塩基に対するFis の
接触が、DNA の同一面上に存在するので、干渉するであろうことを意味する。上
向き矢印は、接触が反対面上に存在するので、同時でありうることを意味する。
【図8a】 図8aは、オーバーラップするFis 結合部位および分離Fis 結合部位のオリゴヌ
クレオチドのデザインを図解する。予測されたFis 部位は各DNA 配列の下にウォ
ーカーのフロティングにより示されている(Schneider(1997)Nucl.Acids Res. 25
:4408-4415;Hengen et al.(1997)supra.)。ウォーカーにおいて、垂直ボックス
は結合部位のゼロ塩基をマークする。また、ボックスは垂直目盛りを示し、上の
へりは+2 ビットであり、そして下のへりは−3 ビットである。各文字の高さは
Riw(b,1)マトリックス中のビット値から決定される(Schneider(1997)J.Theoret.
Biol. 189(4):427-441;Schneider(1997)Nucl.Acids Res. 25:4408-4415 ;Heng
en et al.(1997)supra.)。文字を転倒させ、それをゼロビットレベルの下に配置
することによって、負の重量は表される。3 つのDNA を設計し、各々は2 つのFi
s 部位を有し、11、7 および23塩基で間隔を置いて位置する。設計の詳細は実施
例1 、材料および方法に記載されている。部位の総強度は各塩基の情報の重量の
和である。18.1ビットのFis 部位は、自然配列中の平均Fis 部位よりも3.4 標準
偏差だけ高い(Hengen et al.(1997)supra.;Schneider(1997)J.Theoret.Biol. 1
89(4):427-441)。12.7および15.0ビットの部位は平均よりも1.6 および2.4 標準
偏差だけ高い( それぞれ) 。
【図8b】 図8bは、オーバーラップするFis 結合部位および分離Fis 結合部位のオリゴヌ
クレオチドのデザインを図解する。予測されたFis 部位は各DNA 配列の下にウォ
ーカーのフロティングにより示されている(Schneider(1997)Nucl.Acids Res. 25
:4408-4415;Hengen et al.(1997)supra.)。ウォーカーにおいて、垂直ボックス
は結合部位のゼロ塩基をマークする。また、ボックスは垂直目盛りを示し、上の
へりは+2 ビットであり、そして下のへりは−3 ビットである。各文字の高さは
Riw(b,1)マトリックス中のビット値から決定される(Schneider(1997)J.Theoret.
Biol. 189(4):427-441;Schneider(1997)Nucl.Acids Res. 25:4408-4415 ;Heng
en et al.(1997)supra.)。文字を転倒させ、それをゼロビットレベルの下に配置
することによって、負の重量は表される。3 つのDNA を設計し、各々は2 つのFi
s 部位を有し、11、7 および23塩基で間隔を置いて位置する。設計の詳細は実施
例1 、材料および方法に記載されている。部位の総強度は各塩基の情報の重量の
和である。18.1ビットのFis 部位は、自然配列中の平均Fis 部位よりも3.4 標準
偏差だけ高い(Hengen et al.(1997)supra.;Schneider(1997)J.Theoret.Biol. 1
89(4):427-441)。12.7および15.0ビットの部位は平均よりも1.6 および2.4 標準
偏差だけ高い( それぞれ) 。
【図8c】 図8cは、オーバーラップするFis 結合部位および分離Fis 結合部位のオリゴヌ
クレオチドのデザインを図解する。予測されたFis 部位は各DNA 配列の下にウォ
ーカーのフロティングにより示されている(Schneider(1997)Nucl.Acids Res. 25
:4408-4415;Hengen et al.(1997)supra.)。ウォーカーにおいて、垂直ボックス
は結合部位のゼロ塩基をマークする。また、ボックスは垂直目盛りを示し、上の
へりは+2 ビットであり、そして下のへりは−3 ビットである。各文字の高さは
Riw(b,1)マトリックス中のビット値から決定される(Schneider(1997)J.Theoret.
Biol. 189(4):427-441;Schneider(1997)Nucl.Acids Res. 25:4408-4415 ;Heng
en et al.(1997)supra.)。文字を転倒させ、それをゼロビットレベルの下に配置
することによって、負の重量は表される。3 つのDNA を設計し、各々は2 つのFi
s 部位を有し、11、7 および23塩基で間隔を置いて位置する。設計の詳細は実施
例1 、材料および方法に記載されている。部位の総強度は各塩基の情報の重量の
和である。18.1ビットのFis 部位は、自然配列中の平均Fis 部位よりも3.4 標準
偏差だけ高い(Hengen et al.(1997)supra.;Schneider(1997)J.Theoret.Biol. 1
89(4):427-441)。12.7および15.0ビットの部位は平均よりも1.6 および2.4 標準
偏差だけ高い( それぞれ) 。
【図9】 図9 は、11および7 塩基対オーバーラップするFis 部位および23塩基対分離し
たFis 部位についての移動度シフト実験を図解する。各レーンは、ゼロFis で開
示し、Fis を1 :64、およびその他に希釈した、増加する濃度のFis タンパク質
を含有する。1:1 希釈は2200nmolFis である。この濃度は意図して選択し、1nmo
lDNA/反応で、タンパク質/DNA 比は8.9 ビットの野生型hin 遠位のFis 部位を
含有するDNA を強くシフトさせるために必要な比よりも2 倍高い(Bruist et al.
(1987)Genes Dev. 1:762-772) 。配列は第8 図に記載されている。マーカーレー
ン(M) は10ngのビオチニル化φX174hinfI 消化DNA 標準(Life Technologies,Inc
.)を含有する。サイズはbpで示されている。図面中の大部分のレーン中の一番下
のバンドは一本鎖オリゴヌクレオチドDNA である。「分離23」実験において、高
い濃度で、一本鎖DNA がヘアピンに折りたたまれているとき、Fis タンパク質は
明らかにそれを捕捉することができる。これは100bp のマーカー付近に淡いバン
ドを生成する。
【図10】 図10は、大腸菌(E.coli)複製起点(oriC)におけるFis およびDnaA部位の位置を
示す。配列のデータはGenBank アクセスK01789からのものである。配列より下の
水平ダッシュはFis により保護される領域を表す。DnaA部位の位置はMesser et
al.(1991)Res.Microbiol. 、142:119-125 からのものである。非対称DnaAの個々
の情報マトリックスは、27の実験的に証明されたDnaA結合部位からつくられた(
データは示されていない) 。DNA 合成開始部位は下部における矢印により示され
ている(Seufert & Messer(1987)EMBO J. 6:2469-2472) 。ボックスは11塩基だけ
分離された2 つのFis 部位をマークする。正の個々の情報を有するFis 部位は−
7 から+7 までマークされているが、マトリックスに従い−10から+10まで評価
される。DnaA部位の直接性は、DnaAが結合する方向に側方に回転されている文字
で示されている(Schneider(1997)Nucl.Acids Res. 25:4408-4415) 。
【図11】 図11は、実施例2 のオリゴヌクレオチドの設計を示す。
【手続補正書】
【提出日】平成12年9月7日(2000.9.7)
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5A
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5A】
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5B
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5B】
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正内容】
【図6】
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正内容】
【図7】
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
【補正方法】変更
【補正内容】
【図8】
【手続補正10】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正内容】
【図9】
【手続補正11】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】変更
【補正内容】
【図10】
【手続補正12】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図11
【補正方法】変更
【補正内容】
【図11】
【手続補正13】
【補正対象書類名】要約書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【要約】 本発明は、種々の論理素子、すなわち、ゲートおよびフリップ・フロップとし
て作用する新規な分子構築物に関する。構築物は種々の情況において有用であり
、このような情況は計算および制御システムを包含するが、これらに限定されな
い。構築物の基本機能単位は少なくとも2 つのタンパク質結合部位を有する。タ
ンパク質結合部位をそれらの同種結合タンパク質は同時に占有することができな
い。この基本単位を多数のフォーマットで組立て、伝統的ディジタル論理素子(
フリップ・フロップ、ゲート、インバータ、およびその他)のように作用する分
子構築物を提供することができる。
【手続補正書】
【提出日】平成13年10月19日(2001.10.19)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0247
【補正方法】変更
【補正内容】
【0247】 Fis 結合実験の設計 Fis 配列ロゴグラム中の各位置において最も頻度の高いな塩基から選択するこ
とによって、11および7 塩基対だけ分離された強いFis 部位を含有する合成DNA
を設計した(Hengen et al.(1997)supra.)。次いで種々の選択について Riw(b,l
) 値を比較することによって、11または7 塩基対だけシフトした同一配列を合同
させた。(注:我々が使用した初期モデルのコンセンサス配列は次の通りであっ
た:TTG(G/C)TCAAAATTTGA(G/C)CAAA( 配列番号:1)これはロゴグラムのそれと異
なる。)
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0250
【補正方法】変更
【補正内容】
【0250】実施例2 :Fis /DNA フリップ・フロップの読出し ヘアピンループを急速に形成させる配列を中央に有する、単一の非常に長い核
酸(配列番号:15)を合成する( 第11図参照) 。次いで全体のDNA を緩衝液中に
溶解し、加熱し、冷却して二本鎖DNA を形成した。これにより、相補的鎖が等モ
ルであり、そして混合物の中に一本鎖DNA が存在しないことが保証される。 ヘアピン形成時にoriC部位を形成するように、核酸を設計し、そして位置77ま
たは78のいずれかにおけるT にビオチンを結合させる(19原子のリンカーを介し
て) 。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正内容】
【図7】 図7 はFis 結合部位の自己類似性を図解する。Fis についての配列ロゴグラム
(配列番号:4)(Schneider & Stephans(1990)Nucl.Acids Res. 18:6097-6100 ;Hengen et al.(1997)Nucl.Acids Res. 25(24):4994-5002)は3 回示されている
。上部および下部のロゴグラムは、中央のロゴグラムに関して、+11および+7
塩基だけ右に( それぞれ) シフトされている。コサイン波は、10.6塩基の波長で
あり、+11の相対的にシフトしたFis 部位がDNA の同一面上に存在するが、+7
の相対的にシフトしたFis 部位が反対面上に存在するであろうことを示す。矢印
はロゴグラムがシフト後に自己類似性である位置に存在する。下向き矢印は、塩
基に対するFis の接触が、DNA の同一面上に存在するので、干渉するであろうこ
とを意味する。上向き矢印は、接触が反対面上に存在するので、同時でありうる
ことを意味する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図8a
【補正方法】変更
【補正内容】
【図8a】 図8aは、オーバーラップするFis 結合部位および分離Fis 結合部位のオリゴヌ
クレオチドのデザインを図解する。予測されたFis 部位は各DNA 配列の下にウォ
ーカーのフロティングにより示されている(Schneider(1997)Nucl.Acids Res. 25
:4408-4415;Hengen et al.(1997)supra.)。ウォーカーにおいて、垂直ボックス
は結合部位のゼロ塩基をマークする。また、ボックスは垂直目盛りを示し、上の
へりは+2 ビットであり、そして下のへりは−3 ビットである。各文字の高さは
Riw(b,1)マトリックス中のビット値から決定される(Schneider(1997)J.Theoret.
Biol. 189(4):427-441;Schneider(1997)Nucl.Acids Res. 25:4408-4415 ;Heng
en et al.(1997)supra.)。文字を転倒させ、それをゼロビットレベルの下に配置
することによって、負の重量は表される。3 つのDNA を設計し、各々は2 つのFi
s 部位を有し、11(配列番号:21)、7(配列番号:3)および23塩基(配列番号
:5)で間隔を置いて位置する。設計の詳細は実施例1 、材料および方法に記載 されている。部位の総強度は各塩基の情報の重量の和である。18.1ビットのFis
部位(配列番号:6及び配列番号:7)は、自然配列中の平均Fis 部位よりも3.4
標準偏差だけ高い(Hengen et al.(1997)supra.;Schneider(1997)J.Theoret.Bio
l. 189(4):427-441)。12.7(配列番号:8及び配列番号:9)および15.0(配列番
号:10及び配列番号:11)ビットの部位は平均よりも1.6 および2.4 標準偏差だ
け高い( それぞれ) 。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図8b
【補正方法】変更
【補正内容】
【図8b】 図8bは、オーバーラップするFis 結合部位および分離Fis 結合部位のオリゴヌ
クレオチドのデザインを図解する。予測されたFis 部位は各DNA 配列の下にウォ
ーカーのフロティングにより示されている(Schneider(1997)Nucl.Acids Res. 25
:4408-4415;Hengen et al.(1997)supra.)。ウォーカーにおいて、垂直ボックス
は結合部位のゼロ塩基をマークする。また、ボックスは垂直目盛りを示し、上の
へりは+2 ビットであり、そして下のへりは−3 ビットである。各文字の高さは
Riw(b,1)マトリックス中のビット値から決定される(Schneider(1997)J.Theoret.
Biol. 189(4):427-441;Schneider(1997)Nucl.Acids Res. 25:4408-4415 ;Heng
en et al.(1997)supra.)。文字を転倒させ、それをゼロビットレベルの下に配置
することによって、負の重量は表される。3 つのDNA を設計し、各々は2 つのFi
s 部位を有し、11(配列番号:2)、7(配列番号:3)および23塩基(配列番号 :5)で間隔を置いて位置する。設計の詳細は実施例1 、材料および方法に記載 されている。部位の総強度は各塩基の情報の重量の和である。18.1ビットのFis
部位(配列番号:6及び配列番号:7)は、自然配列中の平均Fis 部位よりも3.4
標準偏差だけ高い(Hengen et al.(1997)supra.;Schneider(1997)J.Theoret.Bio
l. 189(4):427-441)。12.7(配列番号:8及び配列番号:6)および15.0ビット(
配列番号:10及び配列番号:11)の部位は平均よりも1.6 および2.4 標準偏差だ
け高い( それぞれ) 。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図8c
【補正方法】変更
【補正内容】
【図8c】 図8cは、オーバーラップするFis 結合部位および分離Fis 結合部位のオリゴヌ
クレオチドのデザインを図解する。予測されたFis 部位は各DNA 配列の下にウォ
ーカーのフロティングにより示されている(Schneider(1997)Nucl.Acids Res. 25
:4408-4415;Hengen et al.(1997)supra.)。ウォーカーにおいて、垂直ボックス
は結合部位のゼロ塩基をマークする。また、ボックスは垂直目盛りを示し、上の
へりは+2 ビットであり、そして下のへりは−3 ビットである。各文字の高さは
Riw(b,1)マトリックス中のビット値から決定される(Schneider(1997)J.Theoret.
Biol. 189(4):427-441;Schneider(1997)Nucl.Acids Res. 25:4408-4415 ;Heng
en et al.(1997)supra.)。文字を転倒させ、それをゼロビットレベルの下に配置
することによって、負の重量は表される。3 つのDNA を設計し、各々は2 つのFi
s 部位を有し、11(配列番号:2)、7(配列番号:3)および23塩基(配列番号 :5)で間隔を置いて位置する。設計の詳細は実施例1 、材料および方法に記載 されている。部位の総強度は各塩基の情報の重量の和である。18.1ビットのFis
部位(配列番号:6及び配列番号:7)は、自然配列中の平均Fis 部位よりも3.4
標準偏差だけ高い(Hengen et al.(1997)supra.;Schneider(1997)J.Theoret.Bio
l. 189(4):427-441)。12.7(配列番号:8及び配列番号:9)および15.0(配列番
号:10及び配列番号:11)ビットの部位は平均よりも1.6 および2.4 標準偏差だ
け高い( それぞれ) 。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図10
【補正方法】変更
【補正内容】
【図10】 図10は、大腸菌(E.coli)複製起点(oriC)におけるFis およびDnaA部位の位置を
示す。配列のデータはGenBank アクセスK01789からのものである。配列(配列番
号:12)より下の水平ダッシュはFis により保護される領域を表す。DnaA部位の
位置はMesser et al.(1991)Res.Microbiol. 、142:119-125 からのものである。
非対称DnaAの個々の情報マトリックスは、27の実験的に証明されたDnaA結合部位
からつくられた( データは示されていない) 。DNA 合成開始部位は下部における
矢印により示されている(Seufert & Messer(1987)EMBO J. 6:2469-2472) 。ボッ
クスは11塩基(配列番号:13及び配列番号:14)だけ分離された2 つのFis 部位
をマークする。正の個々の情報を有するFis 部位は−7 から+7 までマークされ
ているが、マトリックスに従い−10から+10まで評価される。DnaA部位の直接性
は、DnaAが結合する方向に側方に回転されている文字で示されている(Schneider
(1997)Nucl.Acids Res. 25:4408-4415) 。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM ,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE, KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,L T,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX ,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE, SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,U A,UG,US,UZ,VN,YU,ZW

Claims (65)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の成分: 少なくとも5塩基対の長さを有しかつ第1タンパク質結合部位および第2タン
    パク質結合部位をコードするヌクレオチド配列を有する単離された核酸、ここで
    前記第1および第2のタンパク質結合部位は互いに対して近接して間隔を置いて
    位置し、こうして: 前記第1タンパク質結合部位にタンパク質が特異的に結合するとき、そうでな
    ければ前記第2結合部位を特異的に認識しかつそれに結合するタンパク質が前記
    第2結合部位に結合することができず;そして 前記第2結合部位にタンパク質が特異的に結合するとき、そうでなければ前記
    第1結合部位を特異的に認識しかつそれに結合するタンパク質が前記第2結合部
    位に結合することができない;および 前記第1タンパク質結合部位または前記第2タンパク質結合部位に特異的に結
    合する核酸結合タンパク質; を含んでなる系。
  2. 【請求項2】 前記核酸が二本鎖核酸である、請求項1に記載の組成物。
  3. 【請求項3】 前記核酸がデオキシリボ核酸(DNA)である、請求項1に
    記載の組成物。
  4. 【請求項4】 前記第1結合部位および第2結合部位が同一ヌクレオチド配
    列を有する、請求項1に記載の組成物。
  5. 【請求項5】 前記第1結合部位および第2結合部位が配列番号:1のヌク
    レオチド配列を有する、請求項4に記載の組成物。
  6. 【請求項6】 前記第1結合部位および第2結合部位をFisおよびTus
    から成る群より選択されるタンパク質が特異的に認識しかつ結合する、請求項1
    に記載の組成物。
  7. 【請求項7】 前記第1結合部位または前記第2結合部位にEF−tuが結
    合する、請求項1に記載の組成物。
  8. 【請求項8】 前記第1結合部位が前記第2結合部位の20ヌクレオチド以
    内に存在する、請求項1に記載の組成物。
  9. 【請求項9】 前記第1結合部位が前記第2結合部位の11ヌクレオチド以
    内に存在する、請求項1に記載の組成物。
  10. 【請求項10】 個々の情報理論により決定して、前記第1結合部位が少な
    くとも2.4ビットの強度を有する、請求項8に記載の組成物。
  11. 【請求項11】 個々の情報理論により決定して、前記第1タンパク質結合
    部位と第2タンパク質結合部位との間の強度の差が少なくとも0ビットである、
    請求項1に記載の組成物。
  12. 【請求項12】 第3タンパク質結合部位をさらに含み、ここで前記第3結
    合部位とタンパク質との特異的結合が前記第1または第2の結合部位の特異的タ
    ンパク質結合を排除するように、前記第3部位は前記第1タンパク質結合部位ま
    たは前記第2タンパク質結合部位に近接して存在する、請求項1に記載の組成物
  13. 【請求項13】 前記第1タンパク質結合部位がFis結合部位であり; 前記第2タンパク質結合部位がFis結合部位であり;そして 前記結合部位が互いに12ヌクレオチド塩基対より少ない間隔を置いて位置す
    る; 請求項1に記載の組成物。
  14. 【請求項14】 前記核酸が配列番号:2または配列番号:3の配列からな
    るデオキシリボ核酸である、請求項13に記載の組成物。
  15. 【請求項15】 少なくとも5塩基対の長さを有しかつ第1タンパク質結合
    部位、第2タンパク質結合部位、および第3タンパク質結合部位をコードするヌ
    クレオチド配列を有する単離された核酸を含んでなる組成物であって、ここで前
    記タンパク質結合部位は互いに対して近接して間隔を置いて位置し、こうして: 前記第1タンパク質結合部位または前記第3タンパク質結合部位のいずれかに
    核酸結合タンパク質が特異的に結合するとき、そうでなければ前記第2結合部位
    を特異的に認識しかつそれに結合するタンパク質が前記第2結合部位に結合する
    ことができず;そして 核酸結合タンパク質は前記第1タンパク質結合部位および前記第3タンパク質
    結合部位に同時に特異的に結合することができる; 組成物。
  16. 【請求項16】 前記第1タンパク質結合部位または前記第3タンパク質結
    合部位に核酸結合タンパク質が結合する、請求項15に記載の組成物。
  17. 【請求項17】 前記第3タンパク質結合部位に核酸結合タンパク質が結合
    する、請求項15に記載の組成物。
  18. 【請求項18】 前記結合タンパク質が遺伝子トランスアクチベーターに結
    合されている、請求項17に記載の組成物。
  19. 【請求項19】 前記トランスアクチベーターがGa14トランスアクチベ
    ーターである、請求項18に記載の組成物。
  20. 【請求項20】 前記トランスアクチベーターの制御下に遺伝子またはcD
    NAをさらに含む、請求項15に記載の組成物。
  21. 【請求項21】 前記トランスアクチベーターの制御下に遺伝子またはcD
    NAをさらに含む、請求項20に記載の組成物。
  22. 【請求項22】 前記遺伝子がリポーター遺伝子である、請求項21に記載
    の組成物。
  23. 【請求項23】 前記遺伝子が核酸結合タンパク質をコードする、請求項2
    1に記載の組成物。
  24. 【請求項24】 前記核酸が二本鎖核酸である、請求項15に記載の組成物
  25. 【請求項25】 前記核酸がデオキシリボ核酸(DNA)である、請求項1
    5に記載の組成物。
  26. 【請求項26】 前記第1結合部位および前記第3結合部位が同一ヌクレオ
    チド配列を有する、請求項15に記載の組成物。
  27. 【請求項27】 前記第1結合部位または前記第2結合部位をFisおよび
    Tusから成る群より選択されるタンパク質が特異的に認識しかつ結合する、請
    求項15に記載の組成物。
  28. 【請求項28】 前記第1結合部位または前記第2結合部位にEF−tuが
    結合する、請求項15に記載の組成物。
  29. 【請求項29】 前記第1結合部位が前記第2結合部位の20ヌクレオチド
    以内に存在する、請求項15に記載の組成物。
  30. 【請求項30】 前記第1結合部位が前記第2結合部位の11ヌクレオチド
    以内に存在する、請求項15に記載の組成物。
  31. 【請求項31】 個々の情報理論により決定して、前記第1結合部位が少な
    くとも2.4ビットの強度を有する、請求項30に記載の組成物。
  32. 【請求項32】 個々の情報理論により決定して、前記第1タンパク質結合
    部位と第2タンパク質結合部位との間の強度の差が少なくとも0ビットである、
    請求項15に記載の組成物。
  33. 【請求項33】 前記第1タンパク質結合部位がFis結合部位であり; 前記第3タンパク質結合部位がFis結合部位である; 請求項1に記載の組成物。
  34. 【請求項34】 バイナリ情報を記憶する組成物であって、前記組成物は少
    なくとも3塩基対の長さを有しかつ第1タンパク質結合部位および第2タンパク
    質結合部位をコードするヌクレオチド配列を有する単離された核酸を含んでなり
    、ここで前記第1および第2のタンパク質結合部位は互いに対して近接して間隔
    を置いて位置し、こうして: 前記第1タンパク質結合部位にタンパク質が特異的に結合するとき、そうでな
    ければ前記第2結合部位を特異的に認識しかつそれに結合するタンパク質が前記
    第2結合部位に結合することができず;そして 前記第2結合部位にタンパク質が特異的に結合するとき、そうでなければ前記
    第1結合部位を特異的に認識しかつそれに結合するタンパク質が前記第2結合部
    位に結合することができない;そして 前記第1タンパク質結合部位または前記第2タンパク質結合部位に特異的に結
    合する核酸結合タンパク質をさらに含む; バイナリ情報を記憶する組成物。
  35. 【請求項35】 前記核酸が二本鎖核酸である、請求項34に記載の組成物
  36. 【請求項36】 前記核酸がデオキシリボ核酸(DNA)である、請求項3
    4に記載の組成物。
  37. 【請求項37】 前記第1結合部位および前記第3結合部位が同一ヌクレオ
    チド配列を有する、請求項34に記載の組成物。
  38. 【請求項38】 前記第1結合部位または前記第2結合部位をFisおよび
    Tusから成る群より選択されるタンパク質が特異的に認識しかつ結合する、請
    求項34に記載の組成物。
  39. 【請求項39】 前記第1結合部位が前記第2結合部位の20ヌクレオチド
    以内に存在する、請求項34に記載の組成物。
  40. 【請求項40】 前記第1結合部位が前記第2結合部位の11ヌクレオチド
    以内に存在する、請求項34に記載の組成物。
  41. 【請求項41】 個々の情報理論により決定して、前記第1結合部位が少な
    くとも2.4ビットの強度を有する、請求項40に記載の組成物。
  42. 【請求項42】 個々の情報理論により決定して、前記第1タンパク質結合
    部位と第2タンパク質結合部位との間の強度の差が少なくとも0ビットである、
    請求項34に記載の組成物。
  43. 【請求項43】 第3タンパク質結合部位をさらに含み、ここで前記第3結
    合部位とタンパク質との特異的結合が前記第1または第2の結合部位の特異的タ
    ンパク質結合を排除するように、前記第3部位は前記第1タンパク質結合部位ま
    たは前記第2タンパク質結合部位に近接して存在する、請求項34に記載の組成
    物。
  44. 【請求項44】 前記第1 タンパク質結合部位がFis結合部位であり; 前記第2 タンパク質結合部位がFis結合部位であり; 前記結合部位が12より少ないヌクレオチド塩基対により相互に分離され
    ている、請求項34に記載の組成物。
  45. 【請求項45】 前記核酸が、配列番号:2 または配列番号:3 の配列を含
    むデオキシリボ核酸である、請求項44に記載の組成物。
  46. 【請求項46】 前記結合タンパク質が遺伝子トランスアクチベーターに結
    合されている、請求項34に記載の組成物。
  47. 【請求項47】 前記トランスアクチベーターがGal4トランスアクチベ
    ーターである、請求項46に記載の組成物。
  48. 【請求項48】 前記トランスアクチベーターの制御下にある遺伝子または
    cDNAをさらに含む、請求項46に記載の組成物。
  49. 【請求項49】 前記遺伝子がレポーター遺伝子である、請求項48に記載の
    組成物。
  50. 【請求項50】 前記遺伝子が核酸結合タンパク質をコードする請求項48に
    記載の組成物。
  51. 【請求項51】 情報を記憶する方法であって、 核酸結合タンパク質を核酸の第1 タンパク質結合部位に結合する段階よ
    りなり、前記核酸が少なくとも3塩基対の長さを有し、かつ前記核酸が前記第1
    タンパク質結合部位および第2 タンパク質結合部位をコードし、前記第1 および
    第2 タンパク質結合部位は互いに近接して間隔を置いて位置し、かくして 前記第1 タンパク質結合部位にタンパク質が特異的に結合する場合、そ
    うでなければ前記第2 結合部位を特異的に認識し結合するタンパク質が前記第2
    結合部位に結合する事ができず、かつ 前記第2 結合部位にタンパク質が結合する場合、そうでなければ前記第
    1 結合部位を特異的に認識し結合するタンパク質が、前記第1 の結合部位に結合
    する事ができないことを特徴とする方法。
  52. 【請求項52】 さらに、前記結合タンパク質が前記核酸のどの結合部位に
    結合するかを決定する段階を含む、請求項51記載の方法。
  53. 【請求項53】 前記核酸が二本鎖核酸である、請求項51記載の方法。
  54. 【請求項54】 前記核酸がデオキシリボ核酸(DNA)である、請求項51
    に記載の方法。
  55. 【請求項55】 前記第1 結合部位及び第2 結合部位が同じヌクレオチド配
    列を有する、請求項51記載の方法。
  56. 【請求項56】 前記第1 結合部位および前記第2 結合部位が、配列番号:
    1 のヌクレオチド配列を有する、請求項55に記載の方法。
  57. 【請求項57】 前記第1 結合部位または前記第2 結合部位が、Fis 、 EF-
    tu、およびTus からなる群より選択されたタンパク質により特異的に認識され結
    合される、請求項51に記載の方法。
  58. 【請求項58】 前記第1 結合部位が前記第2 結合部位の20ヌクレオチド以
    内に存在する、請求項51に記載の方法。
  59. 【請求項59】 前記第1 結合部位が前記第2 結合部位の11ヌクレオチド以
    内に存在する、請求項51に記載の方法。
  60. 【請求項60】 前記第1 結合部位が、個々の情報理論により決定して、少
    なくとも2.4 ビットの強度を有する、請求項51に記載の方法。
  61. 【請求項61】 前記第1 タンパク質結合部位と第2 タンパク質結合部位と
    の間の強度の差が、個々の情報理論により決定して少なくとも0 ビットである、
    請求項51に記載の方法。
  62. 【請求項62】 前記第1 タンパク質結合部位がFis 結合部位であり; 前記第2 タンパク質結合部位が、Fis 結合部位であり;そして 前記結合部位は、互いに12より少ないヌクレオチド塩基対により相互に分離され
    ている、請求項51に記載の方法。
  63. 【請求項63】 前記核酸が配列番号 :2 または配列番号: 3の配列よりな
    るデオキシリボ核酸である、請求項51に記載の方法。
  64. 【請求項64】 バイナリ情報をトランスフォームする方法であって、 (i) 核酸結合タンパク質を、第1 の核核酸上の入力タンパク質結合部位に
    結合させ、そして (ii) 核酸結合タンパク質が、第2 の核酸上の出力タンパク質結合部位に結
    合できるか否かを決定する段階よりなり、 前記第1 の核酸が、少なくとも5 塩基対の長さを有し、そして第1 タンパク
    質結合部位、第2 タンパク質結合部位、および第3 タンパク質結合部位をコード
    するヌクレオチド配列を有する単離された核酸であって、これらのタンパク質結
    合部位は互いに近接して間隔を置いて位置し、かくして 前記第1 タンパク質結合部位あるいは前記第3 タンパク質結合部位のいずれ
    かに核酸結合タンパク質が特異的に結合する場合、そうでなければ前記第2 結合
    部位を特異的に認識し結合する核酸結合蛋白質が前記第2 の結合部位と結合する
    ことができず;そして 前記第1 タンパク質結合部位および前記第3 タンパク質結合部位は、同時に
    核酸結合タンパク質を特異的に結合することができる方法。
  65. 【請求項65】 前記第1 の核酸および第2 の核酸が同一の核酸である、請
    求項64に記載の方法。
JP2000532799A 1998-02-20 1999-02-17 分子計算素子:ゲートおよびフリップ・フロップ Pending JP2002508161A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US7546898P 1998-02-20 1998-02-20
US60/075,468 1998-02-20
PCT/US1999/003469 WO1999042929A1 (en) 1998-02-20 1999-02-17 Molecular computing elements: gates and flip-flops

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002508161A true JP2002508161A (ja) 2002-03-19

Family

ID=22125958

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000532799A Pending JP2002508161A (ja) 1998-02-20 1999-02-17 分子計算素子:ゲートおよびフリップ・フロップ

Country Status (6)

Country Link
EP (1) EP1057118B1 (ja)
JP (1) JP2002508161A (ja)
AT (1) ATE241830T1 (ja)
AU (1) AU2771399A (ja)
DE (1) DE69908308T2 (ja)
WO (1) WO1999042929A1 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006127406A (ja) * 2004-11-01 2006-05-18 Advanced Telecommunication Research Institute International Gtp結合タンパク質によるシグナル伝達を用いた演算方法およびデータ表現方法
JP2007096627A (ja) * 2005-09-28 2007-04-12 Konan Gakuen 分子論理素子
JP2019513396A (ja) * 2016-04-12 2019-05-30 シンプロイド バイオテック エルエルシーSynploid Biotek,Llc 遺伝子調節システムを有する合成染色体の作成方法及びその使用

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002048195A2 (en) * 2000-10-23 2002-06-20 Engeneos, Inc. Engineered stimulus-responsive switches
EP1215613A1 (en) * 2000-12-15 2002-06-19 James J. Dr. La Clair A digital molecular integrator
US7020560B2 (en) 2001-09-06 2006-03-28 University Of Tennessee Research Foundation Methods for cell-based combinatorial logic
WO2010075441A1 (en) 2008-12-22 2010-07-01 Trustees Of Boston University Modular nucleic acid-based circuits for counters, binary operations, memory, and logic
RU2491631C1 (ru) * 2012-04-02 2013-08-27 Максим Петрович Никитин Комплекс логического элемента на основе биомолекул (варианты)
MX368929B (es) 2013-09-25 2019-10-22 Halliburton Energy Services Inc Sistemas y metodos para mediciones en tiempo real de contenido de gas en fluidos de perforacion.
US9958570B2 (en) 2013-12-10 2018-05-01 Halliburton Energy Services, Inc. Analysis of a reservoir fluid using a molecular factor computational system
US10131583B2 (en) 2014-08-26 2018-11-20 Halliburton Energy Services, Inc. Systems and methods for analyzing the characteristics and compositions of a dry cement
GB2543973B (en) 2014-08-26 2021-01-20 Halliburton Energy Services Inc Systems and methods for in situ monitoring of cement slurry locations and setting processes thereof
RU2756476C2 (ru) * 2019-12-31 2021-09-30 Максим Петрович Никитин Молекулярное вычислительное устройство на основе существенно-некомплементарных одноцепочечных нуклеиновых кислот с низкой аффинностью друг к другу (варианты)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006127406A (ja) * 2004-11-01 2006-05-18 Advanced Telecommunication Research Institute International Gtp結合タンパク質によるシグナル伝達を用いた演算方法およびデータ表現方法
JP2007096627A (ja) * 2005-09-28 2007-04-12 Konan Gakuen 分子論理素子
JP4664791B2 (ja) * 2005-09-28 2011-04-06 学校法人甲南学園 分子論理素子
JP2019513396A (ja) * 2016-04-12 2019-05-30 シンプロイド バイオテック エルエルシーSynploid Biotek,Llc 遺伝子調節システムを有する合成染色体の作成方法及びその使用
JP2022097481A (ja) * 2016-04-12 2022-06-30 キャリージーンズ バイオエンジニアリング 遺伝子調節システムを有する合成染色体の作成方法及びその使用

Also Published As

Publication number Publication date
EP1057118B1 (en) 2003-05-28
WO1999042929A1 (en) 1999-08-26
DE69908308D1 (de) 2003-07-03
EP1057118A1 (en) 2000-12-06
DE69908308T2 (de) 2004-05-06
AU2771399A (en) 1999-09-06
ATE241830T1 (de) 2003-06-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Gowers et al. Protein motion from non‐specific to specific DNA by three‐dimensional routes aided by supercoiling
Brahma et al. INO80 exchanges H2A. Z for H2A by translocating on DNA proximal to histone dimers
JP2002508161A (ja) 分子計算素子:ゲートおよびフリップ・フロップ
Giffin et al. Sequence-specific DNA binding by Ku autoantigen and its effects on transcription
US5861254A (en) Flow cell SELEX
Stebbins et al. Crystal structure of the GreA transcript cleavage factor from Escherichia coli
Biet et al. Conserved sequence preference in DNA binding among recombination proteins: an effect of ssDNA secondary structure
Rich Right-handed and left-handed DNA: conformational information in genetic material
US6774222B1 (en) Molecular computing elements, gates and flip-flops
Qi et al. Ligation of triangles built from bulged 3-arm DNA branched junctions
Galazka et al. Site-specific OsO4 modification of the BZ junctions formed at the (dA-dC) 32 region in supercoiled DNA.
Lee et al. Humanizing the yeast origin recognition complex
Sano et al. Genetic engineering of streptavidin, a versatile affinity tag
Bernstein et al. Purification of the 56-kDa component of the bacteriophage T7 primase/helicase and characterization of its nucleoside 5′-triphosphatase activity.
JP2002506204A (ja) 可逆的アフィニティー電気泳動を用いる精製および検出プロセス
Mochizuki et al. A versatile puromycin-linker using cnvK for high-throughput in vitro selection by cDNA display
Jones et al. Interaction of the bacteriophage T4 gene 59 helicase loading protein and gene 41 helicase with each other and with fork, flap, and cruciform DNA
Geiger-Schuller et al. Functional instability allows access to DNA in longer transcription Activator-Like effector (TALE) arrays
Adhya et al. Promoter resurrection by activators—a minireview
WO2006078940A2 (en) Allosteric control of proteins by manipulating mechanical tension
Carter et al. Self-association of linker histone H5 and of its globular domain: evidence for specific self-contacts
Bi et al. A MutS-based protein chip for detection of DNA mutations
Goldfarb et al. Determinants of helix-loop-helix dimerization affinity: random mutational analysis of SCL/tal
DE DK et al. MOLEKULAR-RECHENELEMENTE: GATES UND FLIP-FLOPS ELEMENTS DE CALCUL MOLECULAIRES: PORTES ET BASCULES BISTABLES
Santucci et al. Bovine papillomavirus type 1 E1 ATPase activity does not depend on binding to DNA nor to viral E2 protein