【発明の詳細な説明】
環状CRFアンタゴニストペプチド
本発明は、一般的にペプチドおよびこのようなペプチドを使用する、哺乳動物
の薬理的治療に関するものである。より詳しくは、本発明は、CRFヘンテトラコ
ンタペプチド並びにCRF-様ペプチドの大きな群の構成員の環状アンタゴニスト、
このような環状CRFアンタゴニストを含有する薬理組成物、このような環状CRFア
ンタゴニストを使用した哺乳動物の治療方法、およびこのようなペプチドを使用
した新規薬物のスクリーニング法に関するものである。
ヒツジCRF(oCRF)(配列番号:1)は、特徴付けされた最初の(1981年)生理的コル
チコトロピン関連因子であった。これが41-残基をもつアミド化されたペプチド
であることが、米国特許第4,415,558号に記載されており、該ペプチドは、末梢
血に注入された場合に、哺乳動物の血圧を低下し、かつACTHおよびβ-エンドル
フィンの分泌を刺激するものとされている。
ラットのCRF(rCRF)(配列番号:2)が、後に単離、精製かつ特徴付けされた。こ
れは米国特許第4,489,163号に記載されている。ヒトCRFのアミノ酸配列は、rCRF
のアミノ酸配列と同一であることが確認され、従ってrCRFおよびhCRFは互換的に
使用され、r/hCRFで表される。これらのペプチドホルモンは、天然のCRF-様ペプ
チドおよびその類似体の大きな群の一部を形成するものと考えられている。該類
似体は、哺乳動物および魚類のCRF、ウロテンシンおよびソーバジン(sauvagine
)(配列番号:3)を包含する。
高いα-ヘリックス形成能を持つCRF類似体が、ほぼ1984年の初期に明らかにさ
れた。これは、米国特許第4,594,329号に記載されており、一般的にAHC(α-ヘ
リックスCRF)(配列番号:4)と呼ばれる41-残基をもつアミド化ペプチドであり、
該CRF-様ペプチドの全体としての群の一員であると考えられている。α-アミノ
酸のD-異性体を含むその他のCRF類似体、例えば米国特許第5,278,146号に記載さ
れているもの等も、明らかにされた。合成r/hCRF、oCRFおよびAHCは、全てイン
ビボおよびインビトロにてACTHおよびβ-エンドルフィン-様活性
(β-END-Li)を刺激し、かつ末梢的に注入された際に、実質的に血圧を低下する
。これら3種のペプチドおよびソーバジンおよびウロテンシンのアンタゴニスト
は、1986年8月12日に発効された来国特許第4,605,642号に記載されている。生
物学的な能力を呈する環状CRFアンタゴニストは、米国特許第5,493,006号および
同第5,510,458号および公開国際特許出願WO 96/19499号に記載されている。後の
2つの特許は、30および33位の残基間の環化結合を開示している。より具体的に
は、後者の文献は、式(シクロ-33)[D-Phe12、Nle21,38、Glu30、D-His32、Lys33
]-r/hCRF(12-41)で示される、デストレッシン(Destressin)と呼ばれる有力なCRF
アンタゴニストを開示している。
上記発見以来、更に一層改善されたCRFアンタゴニストに関する研究が続けら
れている。
CRFアンタゴニストペプチドは、今や既知のCRFアンタゴニストに比して、更に
大きな生物学的活性を示すことが見出されており、またその多くは実質的に残留
CRFアゴニスト活性を示さない。これらは、また例えば生理的なpHにおいて中性
の水性溶液に対して高い溶解性および高いレセプターアフィニティーをも示す。
該CRF-様ペプチド群の種々の構成員が、高度に生物学的な能力を呈する、この
ようなCRFアンタゴニストを生成するように改良することが可能であることも示
され、該CRFアンタゴニストは、既知のCRFレセプター(CRF-R)を著しく活性化す
ることなしに、該レセプターと強く結合し、結果として該レセプターにおけるCR
Fの活性を遮断する。これらは、oCRFの呈するアフィニティーよりも十分に高い
、CRF-Rに対するアフィニティーを示す。
一つの基本的な局面において、本発明は環状CRFアンタゴニストペプチドを提
供し、該ペプチドはCRFレセプターと結合するが、本来のCRFの活性の20%以下の
、このようなレセプターに対する固有の活性を有し、該ペプチドは以下の式:Y-A
-D-Xaa-B-Xaac-Xaaa-Xaab-Xaac-C-NH2を有し、ここでYは炭素原子数15までのア
シル基であり、AはAsp-Leu-ThrまたはAsp-Leu-Serであり、D-XaaはD-Phe、D-2Na
lまたはD-Leuであり、Bは,(a)哺乳動物および魚類CRF並びに魚類ウロテンシン
の残基13-29および(b)ソーバジンの残基12-28からなる配列群から選
択される、該CRF群のペプチドの17アミノ酸残基を含む配列であり、Xaacは、一
対のアミノ酸残基を表し、その側鎖は環化結合において結合しており、Xaaaは、
Cys以外の天然のα-アミノ酸残基を表し、Xaabは、(c)Cys以外の天然α-アミノ
酸および天然以外の芳香族α-アミノ酸のD-異性体からなる群から選択されるD-
異性体アミノ酸、または(d)Cys以外のα-アミノ酸の天然のL-異性体であり、お
よびCは(e)哺乳動物および魚類CRF並びに魚類ウロテンシンの残基34-41および(f
)ソーバジンの残基33-40からなる配列群から選択される、該CRF群のペプチドのC
-末端部分の最後の8個のアミノ酸残基を含む配列であり、但しCMLは、残基(a)
における残基-27として、または配列(b)における残基-26として存在することを
条件とし、ここでNleは該ペプチド配列において、Metと置換することが出来る。
このような環化結合の組み合わせ、CML27の存在および長さ33残基のペプチド
におけるN-末端のアシル化が、長期作用持続性かつ高い生物学的能力をもつ分子
、例えば(シクロ30-33)[Ac-Ser9、CML27、Glu30、Lys33]-r/hCRF(9-41)を生成す
ることが分かっている。このCRF-様ペプチド群は、該CRFレセプターと結合する
これらペプチドを包含するものと考えられ、また単離されかつ特徴付けされた最
初の哺乳動物CRFである、ヒツジCRFとの少なくとも約45%のアミノ酸構造上の相
同性を有している。該CRF-様ペプチド群は、以下の公知のペプチド群を包含する
:ヒツジCRF(配列番号:1)、ラット/ヒトCRF(配列番号:2)、ブタCRF(配列番号:5)
、ウシCRF(配列番号:6)、魚類CFR(配列番号:7)、α-ヘリックスCFR(AHC)(配列
番号:4)、コイウロテンシン(配列番号:8)、サッカーウロテンシン(配列番号:9)
、マギーソール(maggy sole)ウロテンシン(配列番号:10)、カレイウロテンシン(
配列番号:11)およびソーバジン(配列番号:3)。
上記のように、これらのペプチドは、哺乳動物の30-および33-位に見られるよ
うな、残基間に環化結合を有する。第二のこのような結合は、場合により20-お
よび23-位の残基間に与えられる可能性がある。好ましくは、該環化結合は、30-
位における残基上の側鎖カルボキシル基、好ましくはGluと、33-位の残基上の側
鎖アミノ基、好ましくはLysまたはOrnとの間のラクタムブリッジ(アミド結合)で
ある。該CRF-様ペプチド群の天然に産する残基は、CRFの32-位、即ちHis、
Gly、Leu、GlnおよびAlaに相当する位置に存在する可能性があるが、ここでは任
意のα-アミノ酸が許容されるものと思われる。しかしながら、好ましくは塩基
性および/または芳香族D-異性体残基またはその等価なものが、このラクタムブ
リッジにより結合した残基間の領域における32-位に存在し、その例は、D-His、
D-Arg、D-Tyr、imBz1D-His、D-Nal、D-Pal、D-Trp、D-Dpr(NiC)、D-Aph、D-Agl(
Nic)、D-Orn、D-Dbu、D-Dpr、D-Orn(Nic)または匹敵するD-異性体である。しか
し、広範囲に及ぶ他の残基、例えばD-Ala、D-Glu、D-Asn、Aib、Asn、Pal、Nal
、PheおよびTyrも存在することが出来る。
ここに記載したように、該30-および33-位における残基の側鎖間の該ラクタム
結合が好ましいが、該分子のこの同一の領域における別の環化結合により、幾分
程度は低いが、生物学的能力も増大する。例えば、Glu28またはGlu29の側鎖は、
夫々Lys31またはLys32と結合でき、あるいはまた夫々Lys32またはLys33(1残基長
い連鎖を生成する)と結合できる。これらの幾分生物学的能力に劣る代替物は、
該30-33環化結合と等価であると考えられる。
これらのペプチドは、またD-Phe、D-2NalまたはD-Leuもしくは等価なD-異性体
からなる好ましい介在物、例えばD-Cpa、D-Tyr、D-TrpまたはD-3Palを、12-位に
含み、またこれらは好ましくは、例えばr/hCRFの21および38位において、任意の
天然に産するMetと置換されたノルロイシンを有する。WO 96/19499号により詳細
に論じられているように、当分野において周知の如く、放射性同位元素または蛍
光性染料の付加による、結合またはその他のアッセイで使用するための、標識さ
れたペプチドを得たい場合には、D-Tyr、Tyr(例えば、Ac-D-TyrまたはAc-Tyr)ま
たはヒドロキシアリール部分を含むアシル基(例えば、desNH2-Tyr)が、そのN-末
端に存在して、標識に適した等価物を形成できる。その他の随意の置換基も、一
般的に知られているように、該分子全体に形成でき、またこれらは以下に記載さ
れる特定のペプチドの、官能性等価物であると考えられる。
広義の局面において、本発明は、環状ペプチドを提供し、該ペプチドはCRFの
アンタゴニストであり、このペプチドは以下の式で示される:
ここで、Yは炭素原子数15までのアシル基であり、R10はLeuまたはCMLであり、
R11はThrまたはSerであり、R13はHis、TyrまたはGluであり、R14はCMLまたはLeu
であり、R15はLeuまたはCMLであり、R17はGlu、CML、AsnまたはLysであり、R18
はVal、Nle、CMLまたはMetであり、R19はLeuまたはIleであり、R20はGlu、D-Glu
またはHisであり、R21はNleまたはMetであり、R22はAla、D-Ala、Aib、Asp、Thr
、D-Thr、GluまたはD-Gluであり、R23はArgまたはLysであり、R24はAla、Aibま
たはCMLであり、R25はGluまたはAspであり、R26はGln、AsnまたはLysであり、R2 8
はAla、Lys、AibまたはArgであり、R29はGln、AibまたはGluであり、R31はAib
またはCys以外のα-アミノ酸のL-異性体であり、R32はAibまたはCys以外のα-ア
ミノ酸のD-またはL-異性体であり、R33はLysまたはOrnであり、R34はAsnまたはA
ibであり、R36はLys、Orn、Arg、Har、CMLまたはLeuであり、R37はCML、Leuまた
はTyrであり、R38はNle、MetまたはCMLであり、R39はGlu、AibまたはAspであり
、R40はCML、Ile、Aib、Thr、Asn、Glu、Ala、Val、Leu、Nle、Phe、Nva、Glyま
たはGlnであり、およびR41はAla、Aib、Ile、Gly、Val、Leu、CML、Nle、Phe、N
vaまたはGlnであり、ここでD-Phe12は他のD-アミノ酸、例えばD-Leu、D-Tyr、D-
Trp、D-Cpa、D-Trp、D-NalまたはD-Pal、もしくはPheまたはTyrで置換すること
が出来る。
特に興味深いものは、27-位のLeu残基が、そのα-炭素原子においてメチル基
で置換されている、即ちCMLである類似体である。CMLは、また場合により10-、1
4-、15-、17-、18-、24-、36-、37-、38-、40-および/または41-位に存在するこ
ともでき、またCML27および少なくとも一つ以上のかかるCML残基を含む類似体が
好ましい。更に、CMLは19-および21-位で置換されて、等価な類似体を与えるこ
ともできる。α-アミノイソ酪酸(Aib)である、CαMeAla(CMA)も、場合により位
置22、24、28、29、31、32、34、39、40および41の1以上において挿入すること
もできる。このような置換単独または上記の種々の置換との組み合わせは、生物
学的な能力を高め、および/または作用の持続期間を延長するものと考えられる
。例えば、CML27とCML18およびCML40の一種以上との、および/またはAib22、Aib24
、Aib28、Aib31およびAib32の一種以上との組み合わせは、(30-33の側鎖ブリ
ッジと共に)生物学的活性の長い持続性をもたらす。
本発明による薬理組成物は、製薬上許容される液状または固体担体中に分散さ
れた、このようなCRFアンタゴニストまたはその非毒性の付加塩を含む。幾つか
のこのような処方を得ることは、生理的pHにおいて高い溶解度をもつことから容
易であるが、マニトールまたはコーン油の水性溶液中での処方が、皮下(s.c.)投
与にとって好ましい可能性がある。本発明に従って、哺乳動物特にヒトに対する
、このようなペプチドまたはその製薬上許容される付加塩の投与は、ACTH、β-
エンドルフィン、β-リポトロピン、コルチコステロンおよびプロオピオメラノ
コルチン(POMC)遺伝子のその他の生成物の分泌を調節するためにおよび/または
ムード、行動および胃腸管機能並びに自律神経系の活性化のために実施できる。
例えば、これらCRFアンタゴニストは、高いACTHレベルを下げ、結果としてスト
レス関連疾患、例えばストレスにより誘発されるうつ病および不安を治療し、iv
経路で注入された際に血圧を高め、胃腸管への血流を減じ、即ち特に過敏性腸症
候群および胃腸管疾患に罹った患者の治療のために、また炎症性疾患、免疫抑制
、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染、アルツハイマー病、神経性食欲不振、出血
性ストレス、薬物およびアルコール禁断症状、薬物中毒、および生殖能に係わる
問題を処置するために投与することができる。これらの広範囲の効果のために、
以下で論じるように、ホルモン置換療法と共に、これらペプチドを投与すること
が望ましい可能性がある。
本発明のペプチドは、またCRFレセプターに対するその高いアフィニティーの
結果として、該CRFレセプターと結合しおよび/または活性化するであろう、より
一層有力な分子を検出するために、価値ある薬物スクリーニング法の基礎を与え
る。
これらペプチドを命名するのに使用する、命名法は、Schroder & Lubke,「ザ
ペプチド(The Peptides)」,アカデミックプレス(Academic Press)(1965)によっ
て指定されているものである。ここでは、従来の表記法に従って、アミノ基を左
側に、またカルボキシル基を右側に示す。標準的な3文字略号を、α-アミノ酸
残基を示すのに使用し、また該アミノ酸残基が異性体形状をとる場合には、特に
述べない限り、提示されたアミノ酸のL-型を表し、例えばSer=L-セリン、Orn=L-
オルニチン、Nle=L-ノルロイシン、Nva=L-ノルバリン、Agl=アミノグリ
シン、Dbu=L-2,4-ジアミノ酪酸、Dpr=L-2,3-ジアミノプロピオン酸、Hly=L-ホモ
リジンおよびHar=L-ホモアルギニン等である。更に、以下の略号をも使用する:C
ML=CαCH3-L-ロイシン、Aib=CαCH3-アラニンまたは2-アミノイソ酪酸、Nal=L-
β-(1-または2-ナフチル)アラニン、Pal=L-β-(2-、3-または4-ピリジル)アラニ
ン、Cpa=L-(2-、3-または4-クロロ)フェニルアラニン、Aph=L-(2-、3-または4-
アミノ)フェニルアラニン、Amp=(2-、3-または4-アミノメチル)フェニルアラニ
ン、Nic=3-カルボキシピリジン(またはニコチン酸)、Pn=プロピオニル、iPn=イ
ソプロピオニル、ブチリル=Bt、バレリル=VI、Vac=ビニルアセチル、Nph=ナフト
イル、およびFlu=フルオレノイル。一般的に、該CRFアンタゴニストは、その12-
位にD-異性体を含み、またその32-位にもD-異性体を含むことができる。
一つの特定の局面において、本発明は、以下の式で示される、CRFアンタゴニ
ストペプチド(およびその等価な非毒性塩)を提供する。
ここでYは、炭素原子数7以下のアシル基であり、R12はD-PheまたはD-2Nalで
あり、R14はLeuまたはCMLであり、R18はVal、CMLまたはNleであり、R19はLeuま
たはIleであり、R20はGluまたはD-Gluであり、R21はNleまたはMetであり、R22は
Ala、D-Ala、AibまたはThrであり、R23はArgまたはLysであり、R24はAlaまたはA
ibであり、R25はAspまたはGluであり、R28はAlaまたはAibであり、R31はAlaまた
はAibであり、R32はD-His、imBz1D-His、D-Arg、D-2Nal、または別の塩基性およ
び/または芳香族α-アミノ酸のD-異性体であり、R33はLysまたはOrnであり、R34
はAibまたはAsnであり、R36はLysまたはCMLであり、R37はLeuまたはCMLであり、
R39はGluまたはAspであり、R40はIle、CMLまたはAibであり、およびR41はAla、A
ib、CMLまたはIleである。一般的に、これら全てのペプチドにおいて、D-Phe12
は、別のD-アミノ酸、例えばD-Leu、D-Tyr、D-Cpa、D-Nal、D-TrpまたはD-Pal、
もしくはPheまたはTyrによって置換できる。該N-末端のアシル化に代わるものと
して、スルフォンアミドを形成することができ、また糖または脂質を付加して、
親水性および結果として作用の持続期間および溶解度を
調節することができる。前に示したように、位置-32における残基の選択に関し
ては、大きな許容度があり、R32に関する適当な付随的残基の例は、Asn、Trp、A
rg、Nal、imBz1His、Tyr、Ala、Leu、Val、Ser、Thr、Cpa、Pal、Lys、Pheおよ
びGlnのD-およびL-異性体、並びにAib、Gly、D-Dpr(Nic)、D-Aph、D-Agl(Nic)、
D-Orn、D-Dbu、D-Dpr、またはD-Orn(Nic)を包含する。
もう一つの局面において、本発明は、以下の式で示される、CRFアンタゴニス
トペプチド(その非毒性塩を含む)を提供する:
ここで、YはAc、ForまたはAcrであり、R10はLeuまたはCMLであり、R12はD-Phe
またはD-2Nalであり、R14、R15またはR37は夫々独立にLeuまたはCMLであり、R17
はGluまたはCMLであり、R18はValまたはCMLであり、R21はMetまたはNleであり、
R23はArgまたはLysであり、R24はAlaまたはCMLであり、R32はHis、D-His、imBz1
D-His、D-Arg、D-Asn、D-Tyr、D-Pal、D-Nal、D-Trpまたは別の塩基性および/ま
たは芳香族D-異性体α-アミノ酸であり、R33はLysまたはOrnであり、R36はLysま
たはCMLであり、R38はMet、NleまたはCMLであり、およびR41およびR40は夫々独
立にIleまたはCMLを表し、かつ少なくとも一つのR14、R18、R36、R37、R41およ
びR40はCMLである。
更に別の局面において、本発明は、以下の式で示される、ペプチド(その非毒
性塩を含む)を提供する:
ここで、YはAc、AcrまたはForであり、R14はLeuまたはCMLであり、R18はVal、
CMLまたはNleであり、R20はGluまたはD-Gluであり、R22はAla、Aib、D-Alaまた
はThrであり、R23はArgまたはLysであり、R24はAlaまたはAibであり、R25はAsp
またはGluであり、R28はAlaまたはAibであり、R29はGlnまたはGluであり、R31は
AlaまたはAibであり、R32はHis、D-His、D-Arg、imBz1D-His、D-Nal、D-Glu、D-
Ala、D-Pal、D-Trp、D-Dpr(Nic)、D-Aph、D-Agl(Nic)、D-Orn、D-Dbu、D-Dprま
たはD-Orn(Nic)であり、R33はLysまたはOrnであり、R34はAsnまたは
Aibであり、R36はLys、CMLまたはLeuであり、R37はLeuまたはCMLであり、R39はG
luまたはAspであり、R40はIle、CML、AibまたはGluであり、およびR41はIle、Ai
b、CMLまたはAlaを表し、但し、D-PheをD-2NalまたはD-LeuもしくはPheで置換で
きることを条件とする。
これらペプチドの何れかが、極めて密接にr/hCRFと類似すべきことが望ましい
場合には、以下の選択の全てまたはその大部分を組み込む:R18はValであり、R2 2
はAlaであり、R23はArgであり、R24はAlaであり、R25はGluであり、R28はAlaで
あり、R39はGluであり、およびR41はIleである。
更に別の局面において、本発明は、以下の式で示される、CRFアンタゴニスト
ペプチド(その非毒性塩を含む)を提供する:
ここで、YはAc、AcrまたはForであり、R14はLeuまたはCMLであり、R18はVal、
CMLまたはNleであり、R20はGluまたはD-Gluであり、R22はAlaまたはAibであり、
R24はAlaまたはAibであり、R25はAspまたはGluであり、R28はAlaまたはAibであ
り、R31はAlaまたはAibであり、R32はHis、Aib、D-His、D-Arg、D-Nal、D-Glu、
D-Ala、D-Pal、D-Trp、D-Aph、D-Orn、D-DbuまたはD-Dprであり、R33はLysまた
はOrnであり、R34はAsnまたはAibであり、R36はLysまたはCMLであり、R37はLeu
またはCMLであり、R39はGluまたはAspであり、R40はIle、CMLまたはAibであり、
およびR41はIle、Aib、CMLまたはAlaを表し、但し、D-PheをD-2NalまたはD-Leu
もしくはPheで置換できることを条件とする。
更なる局面において、本発明は、以下の式で示される、CRFアンタゴニストペ
プチド(その非毒性塩を含む)を提供する:
ここで、YはAc、ForまたはAcrであり、R10はLeuまたはCMLであり、R12はD-Phe
またはD-2Nalであり、R14、R15およびR37は、夫々独立にLeuまたはCMLであり、R17
はGluまたはCMLであり、R18はValまたはCMLであり、R21はMetまたはNleであり
、R24はAlaまたはCMLであり、R32はHis、Aib、D-His、imBz1D-
His、D-Arg、D-Asn、D-Tyr、D-Pal、D-Nal、D-Trpまたはその他の塩基性および/
または芳香族D-異性体α-アミノ酸であり、R33はLysまたはOrnであり、R36はLys
またはCMLであり、R38はMet、NleまたはCMLであり、およびR40およびR41は夫々
独立にIleまたはCMLを表し、かつ少なくとも一つのR10、R14、R15、R17、R18、R19
、R37、R40およびR41はCMLである。高いACTHレベルを低下し、かつ血圧を上昇
するという観点から、特に生物学的に有力であると考えられる、この群の特定の
類似体は、以下の通りである:
更に別の局面において、本発明は、以下の式で示される、CRFアンタゴニスト
ペプチド(その非毒性塩を含む)を提供する:
ここで、Yは炭素原子数7以下のアシル基であり、R12はD-Phe、D-Leu、D-2Nal
またはD-Tyrであり、R13はHis、TyrまたはGluであり、R14はLeuまたはCMLであり
、R15はLeuまたはCMLであり、R17はGluまたはCMLであり、R18はVal、CML、Nleま
たはMetであり、R20はGluまたはD-Gluであり、R22はAla、D-Ala、Aib、
Thr、AspまたはGluであり、R23はArgまたはLysであり、R24はAla、AibまたはCML
であり、R25はAspまたはGluであり、R26はGln、AsnまたはLysであり、R28はAla
またはAibであり、R29はGln、AibまたはGluであり、R31はAlaまたはAibであり、
R32はHis、D-His、Aib、D-Arg、D-2Nal、D-3Pal、D-Trp、imBz1D-His、Gly、Tyr
、D-Tyr、Leu、D-Leu、AlaまたはD-Alaであり、R33はLysまたはOrnであり、R34
はAsnまたはAibであり、R36はLys、Orn、Arg、Har、CMLまたはLeuであり、R37は
CML、LeuまたはTyrであり、R39はGlu、AibまたはAspであり、R40はIle、CML、Ai
b、Thr、Glu、AsnまたはGlnであり、およびR41はAla、Aib、Ile、CML、Valまた
はPheであり、但しR18およびR40の少なくとも一つは、CMLであることを条件とす
る。
更に別の局面において、本発明は、以下の式で示される、CRFアンタゴニスト
ペプチド(その非毒性塩を含む)を提供する:
ここで、YはAc、ForまたはAcrであり、R10はLeuまたはCMLであり、R12はD-Phe
またはD-2Nalであり、R14、R15およびR37は、夫々独立にLeuまたはCMLであり、R17
はGluまたはCMLであり、R18はValまたはCMLであり、R21はMetまたはNleであり
、R24はAlaまたはCMLであり、R32はHis、D-His、imBz1D-His、D-Arg、D-Asn、D-
Tyr、D-Pal、D-Nal、D-Trpまたはその他の塩基性および/または芳香族D-異性体
α-アミノ酸であり、R33はLysまたはOrnであり、R36はLysまたはCMLであり、R38
はMet、NleまたはCMLであり、およびR40並びにR41は夫々独立にIleまたはCMLで
あり、但しR18およびR40の少なくとも一つは、CMLであることを条件とする。
更に別の局面において、本発明は、以下の式で示される、CRFアンタゴニスト
ペプチド(その非毒性塩を含む)を提供する:
ここで、YはAcまたはAcrであり、R12はD-PheまたはD-2Nalであり、R23はArg
またはLysであり、R33はLysまたはOrnであり、またここでHis32は、場合によりD
-His、imBz1D-His、D-Arg、D-Tyr、D-Nal、D-Pal、D-Trp、D-Asn、D-Lys、D-Dpr
(Nic)、D-Aph、D-Phe、D-Cpa、D-Agl(Nic)、D-Orn、D-Dbu、D-DprまたはD-Orn(N
ic)によって置換されていても良い。
更に別の局面において、本発明は、以下の式で示される、CRFアンタゴニスト
ペプチド(その非毒性塩を含む)を提供する:
ここで、Yは炭素原子数15までのアシル基であり、R10、R14、R15およびR37は
、夫々独立にLeuまたはCMLであり、R12はD-PheまたはD-2Nalであり、R17はGluま
たはCMLであり、R18はValまたはCMLであり、R21はMetまたはNleであり、R22、R2 8
およびR31は夫々独立にAlaまたはAibであり、R23はArgまたはLysであり、R24は
Ala、AibまたはCMLであり、R29はGlnまたはAibであり、R32はHis、Aib、D-His、
imBz1D-His、D-Arg、D-Asn、D-Tyr、D-Pal、D-Nal、D-Trpまたはその他の塩基性
および/または芳香族D-異性体α-アミノ酸であり、R33はLysまたはOrnであり、R34
はAsnまたはAibであり、R36はLysまたはCMLであり、R38はMet、NleまたはCML
であり、R39はGluまたはAibであり、およびR40はIle、CMLまたはAibであり、R41
はLeu、CMLまたはAibであり、かつR22、R24、R28およびR31の少なくとも一つはA
ibである。高いACTHレベルを低下し、かつ血圧を上昇するという観点から、特に
生物学的に有力であると考えられる、この群の具体的な類似体は、以下の通りで
ある: 本発明のペプチドは、古典的なペプチド溶液合成により合成することができ、
このような合成は、大容量での合成にとって好ましい。限られた量、例えば1kg
未満のペプチドを得るためには、固相合成、例えばMerrifield,J.Am.Chem.Soc.,
1964,85:2149に記載されているような方法を利用して調製することが好ましく、
この方法は、該CRFアンタゴニストペプチドを直接的な方法で合成し、次いです
ばやくテストして、生物学的な活性を測定することを容易にする。
ペプチドの化学的合成において一般的なことは、種々のアミノ酸部分の不安定
な側鎖基を、該基が最終的に除去されるまで、該サイトにおける化学反応の発生
を防止するであろう、適当な保護基で保護することである。通常、同様に一般的
なことは、アミノ酸またはフラグメントのα-アミノ基を保護することであり、
一方で該物質はカルボキシル基にて反応し、次いで該α-アミノ保護基を選択的
に除去することにより、該位置における後の反応を生ぜしめる。従って、合成の
一段階として、側鎖保護基をもつ、幾つかのこれら残基によって、該ペプチド中
の所定の配列で、配置された該アミノ酸残基各々を含有する、中間体化合物を製
造することが普通である。
例えば、好ましい一群の中の一ペプチド類似体の化学的合成は、まず以下のア
ミノ酸配列を持つ中間体の形成を含む: ここで、R群は上記定義通りである。
X1は、水素原子またはα-アミノ保護基である。X1によって意図する、該α-ア
ミノ保護基は、ポリペプチドの段階的合成において、当分野で有用であることが
知られているものである。X1によって示されるα-アミノ保護基としては、特に(
1)好ましくはN-末端においてのみ使用される、アシル型保護基、例えばフォルミ
ル(For)、アクリリル(Acr)、ベンゾイル(Bz)およびアセチル(Ac)、(2)芳
香族ウレタン型保護基、例えばベンジルオキシカルボニル(Z)および置換Z、例え
ばp-クロロベンジルオキシカルボニル、p-ニトロベンジルオキシカルボニルp-ブ
ロモベンジルオキシカルボニル、p-メトキシベンジルオキシカルボニル、(3)脂
肪族ウレタン保護基、例えばt-ブチルオキシカルボニル(BOC)、ジイソプロピル
メトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、エトキシカルボニル、ア
リルオキシカルボニル、(4)シクロアルキルウレタン−型保護基、例えばフルオ
レニルメトキシカルボニル(Fmoc)、シクロペンチルオキシカルボニル、アダマン
チルオキシカルボニル、およびシクロヘキシルオキシカルボニル、および(5)チ
オウレタン型保護基、例えばフェニルチオカルボニルである。2つの好ましいα
-アミノ保護基は、BOCおよびFmocである。
X2は、ThrまたはSerのヒドロキシル基に対する保護基であり、好ましくはアセ
チル(Ac)、ベンゾイル(Bz)、t-ブチル、トリフェニルメチル(トリチル)、テトラ
ヒドロピラニル、ベンジルエーテル(Bzl)および2,6-ジクロロベンジル(DCB)から
なる群から選択される。最も好ましい保護基は、Bzlである。X2は水素原子であ
り得、このことはヒドロキシル基には保護基がないことを意味する。
X3はArgまたはHarのグアニジノ基に対する保護基であり、好ましくはニトロ、
p-トルエンスルフォニル(Tos)、Z、アダマンチルオキシカルボニルおよびBOCか
らなる群から選択されるか、または水素原子である。Tosがもっとも好ましい。
X4は水素原子またはAsnまたはGlnのアミド基に対する保護基、好ましくはキサ
ンチル(Xan)である。AsnまたはGlnは、しばしば側鎖の保護がない場合に、ヒド
ロキシベンゾトリアゾール(HOBt)の存在下でカップリングする。
X5は、水素原子またはAspまたはGluのβ-またはγ-カルボニル基に対する、エ
ステル形成保護基であり、好ましくはシクロヘキシル(Ochx)、ベンジル(Obzl)、
2,6-ジクロロベンジル、メチル、エチルおよびt-ブチル(Ot-Bu)から選択される
。Ochxは、BOC法に対して好ましいものである。
X6は、水素原子またはLysまたはOrnの側鎖アミノ置換基に対する保護基である
。適当な側鎖アミノ保護基の例は、Z、2−クロロベンジルオキシカルボニル(2Cl
-Z)、Tos、t-アミルオキシカルボニル(Aoc)、BOCおよび前記したような芳香族ま
たは脂肪族ウレタン型保護基である。2Cl-Zが、BOC法にとって好ましい。
Hisが存在する場合、X7は水素原子またはイミダゾール窒素、例えばTosまたは
2,4-ジニトロフェニル(DNP)に対する保護基であり、Tyrが存在する場合には、X7
は水素原子またはヒドロキシル基、例えばDCBに対する保護基である。Metが存在
する場合には、必要ならばその硫黄原子を、酸素で保護することができる。
X8は同時に該保護基X6を除去することなしに、除去することができる、アミノ
側鎖に対する保護基、例えばFmocなどの塩基に対して不安定な基、あるいは同時
に該保護基X5を除去することなしに、除去することができる、カルボキシル側鎖
に対する保護基、例えばOfm(フルオレニルメチルエステル)等の塩基に対して不
安定な基である。
側鎖アミノ保護基の選択は、該合成中の、該α-アミノ基の脱保護の際に、除
去されないものであるべきこと以外は、重要ではない。従って、該α-アミノ基
および該側鎖アミノ保護基は、同一ではあり得ない。
X9はNH2、エステル等の保護基または固体樹脂担体に結合するために、固相合
成で使用するアンカー結合であり、該固体樹脂担体は、好ましくは以下に例示す
るものの一つである:-NH-ベンズヒドリルアミン(BHA)樹脂担体および-NH-パラメ
チルベンズヒドリルアミン(MBHA)樹脂担体。BHAまたはMBHA樹脂からの開列は、
該CRF類似体アミドを直接与える。このような樹脂のメチル誘導体を使用するこ
とによって、メチル置換されたアミドが生成され、これはその未置換のアミドの
等価物であると考えられる。この中間体のアミノ酸配列において、少なくともX1
、X2、X3、X4、X5、X6、X7およびX8の一つは、保護基であり、あるいはX9は樹脂
担体を含む。
該アシル化N-末端に関連して、Yで表される、炭素原子数15以下、好ましくは1
2以下のアシル基が存在し、アセチル(Ac)、フォルミル(For)、アクリリル(Acr)
およびベンゾイル(Bz)が、好ましいアシル基であるが、標識を簡単化するために
は、ヒドロキシアリール部分を含むアシル化剤、例えば4-ヒドロキシフェニルプ
ロピオン酸(desNH2-Tyr)または4-ヒドロキシフェニル酢酸を使用することができ
る。また、Yは適当な糖または脂質であっても良く、これらは、親水性を調節す
るのに使用できる等価物である。
かくして、一局面において、これら化合物の製法も提供され、該方法は(a)前
に記載したように、少なくとも一つの保護基を有する、ペプチド中間体を形成し
、ここでX1、X2、X3、X4、X5、X6、X7およびX8は、各々水素原子または保護基で
あり、あるいはX9は保護基または樹脂担体に対するアンカー結合またはNH2を表
し、(b)特に未だ形成されていない場合には、環化結合を形成し、(c)X1を除去し
、かつ該N-末端をアシル化し、(d)該ペプチド中間体から残りの保護基およびあ
らゆるアンカー結合を脱離し、(e)場合により、この時点で環化結合を形成し、(
f)所望により、得られたペプチドを、その非毒性付加塩に転化する工程を含む。
アミド環化結合(ラクタムブリッジ)を行うために、米国特許第5,064,939号お
よび同第5,043,322号に記載されているように、環化を行い、一方該部分的に保
護したペプチドを、該樹脂に結合したままとすることができる。このような手順
は、効果的に該2つの所定の側鎖間にアミド環化結合を生成し、一方で該ペプチ
ド中間体中における他の残基、例えばAsp、Gluおよび/またはLysを、その側鎖保
護状態に維持する。
該30-位の残基の側鎖カルボキシル基と、該33-位の残基の側鎖アミノ基との間
の、または等価な結合であると考えられる、その逆のアミド結合を介する環化の
際に、MBHAまたはBHA樹脂上で該保護されたペプチドを合成し、かつ該特定のカ
ルボン酸側鎖の該ベンジルエステルを、そのヒドラジドに誘導し、一方で該ペプ
チドを該樹脂に依然として結合したままとし、次いでこれを、米国特許第5,043,
322号に記載のように、選択的に脱保護されたアミノ側鎖と反応させることが好
ましい。好ましくは、環化は、該アミド結合ブリッジに関与している該残基の該
カルボキシル側鎖に対しては、例えばOFm等の塩基に対して不安定な保護基を使
用し、また該ブリッジに関与していると思われる、もう一つの残基上の該アミノ
側鎖に対する保護基としてFmocを使用することにより、達成される。該中間体の
N-末端における残基上の該α-アミノ保護基および全ての他の側鎖保護基を、所
定の位置に維持し、一方で該2つの塩基に対して不安定な基を、ピペリジン等を
使用して除去する。このような選択的な除去に引き続き、環化を行うための反応
を、該アミド結合の実質的に完全な発生をもたらす、BOPで処理することにより
実施する。2つのラクタムブリッジが該分子に組み込まれることになる
場合、該30-33ブリッジの形成を、好ましくは該合成中の、該23-位の残基を付加
する前の時点で行うか、あるいは米国特許第5,064,939号に教示されているよう
な合成プロトコールを利用する。BOC-保護基は、TFAを使用して、該N-末端から
除去され、かくして該N-末端をアシル化し、次いで該ペプチドを完全に脱保護し
、かつHF等の試薬を使用して、該樹脂から開列することができる。
直接的なインビトロアッセイを、単層培養物中のラット下垂体前葉細胞を使用
して実施して、候補ペプチドがどんなCRF-活性を呈するかを決定することができ
、使用するこの手順は、一般的にEndocrinology,1972,91:562に示されている
。このアッセイは、候補ペプチドがCRFアゴニストとして幾分かの活性を呈し、
かつこのような細胞上のCRFレセプターを活性化することによって、ACTHの分泌
を刺激するか否かを示し、このようにしてその固有のCRF活性が、高い投与量の
使用を通して測定される。本質的に、同様なインビトロアッセイを利用して、該
候補がCRFの抗原投与、通常はoCRFまたはr/hCRFと共に投与した際に、強力なCRF
アンタゴニスト特性を示すか否かを決定する。
候補CRFアンタゴニストペプチドは、また公知のCRFレセプター、例えばPerrin
,M.等,Endocrinology,1986,118:1171-1179に記載されているものを使用した
、結合アッセイにおいて容易に評価される。このような結合アッセイは、ヒトCR
F-Rを使用して実施することができる。CRF-Rレセプターを使用したこのような代
表的な結合アッセイの一例は、Chen等,P.N.A.S.,1993,10月,90:8967-8971に
記載されている。本発明の該環状ペプチドの幾つか、特に位置32にD-アミノ酸残
基をもつものは、放射性標識またはその他の適当な標識を施した場合に、全ての
既知のCRFレセプターに対して高い結合アフィニティーを示すので、これらはス
クリーニングアッセイにおいて使用するのに特に価値がある。このようなアッセ
イは、高いアフィニティーをもつ、このような標識された環状CRFアンタゴニス
トを使用して、ペプチドまたはその他の形状にある、有力なCRF-様リガンドにつ
いてスクリーニングするのに有利に利用される。
以下の実施例Iは、固相技術によってCRFアンタゴニストを合成するための好ま
しい方法を示す。
実施例I 9、D-Phe12、Nle21,38、CML27、Glu30、Lys33]-r/hCRF(9-41)の合成を、約0.43-
0.46meq/gの置換範囲を有する、Bachem社から入手できるような、MBHA塩酸塩樹
脂約3g上で、段階的な様式で実施する。この合成は、適当なプログラム、好まし
くは以下に示すようなものを使用して、自動ベックマン990Bペプチド合成装置で
実施する。 BOC-Ileのカップリングは、約0.35mM/gの置換をもたらす。
脱保護および中和の後に、該ペプチド鎖が、該樹脂上に段階的に溝築される。
一般的に、樹脂1g当たり1-2mMのBOC-保護アミノ酸の塩化メチレン溶液(例えば、
該樹脂の置換率に応じて、2-5倍過剰)、加えて塩化メチレン中の2モルのDCC1
当量を2時間に渡り使用した。BOC-Arg(Tos)をカップリングする場合、50%DMFと
塩化メチレンとの混合物を使用する。Bzlを、Ser用の該ヒドロキシ側鎖保護基と
して使用する。BOC-Asn(Xan)またはBOC-Gln(Xan)は、DMFと塩化メチレンとの50%
混合物中で、DCC1当量およびH0Bt2当量の存在下でカップリングする。側鎖が
ラクタムブリッジの一部であるか否かに応じて、Lys側鎖に対する保護基として
、2Cl-ZまたはFmocを使用する。Tosを使用して、Argのグアニジノ基およびHisの
イミダゾール基を保護し、またGluの側鎖カルボニル基を、これが該環化反応に
関与しているか否かに依存して、OchxまたはOfmで保護する。この合成の終了時
点において、以下の組成のものが得られる:
次に、残基30と33との環化(ラクタム化)を、前に言及した、また以下において
更に十分に説明される方法によって実施する。ジクロロメタン(DCM)(2回)および
ジメチルホルムアミド(DMF)(2回)で洗浄した後、夫々Glu30およびLys33のOfmc/F
moc基を、DMF中の20%ピペリジン(1x1分および2x10分)で除去し、次いでDMF(2回)
、Et3NのCH2Cl2溶液(1回)、メタノール(MeOH)(2回)およびDCM(2回)で浄する。
該ペプチド樹脂を、3倍過剰のベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-トリス(ジメ
チルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)と、過剰量のジイソ
プロピルエチルアミン(DIEA)のジメチルフォルムアミド(DMF)溶液の存在下で、
室温にて4時間反応することによって環化する。その他の適当な試薬は当分野で
周知であり、また選択的に使用できる。洗浄後、所望によって該環化を繰り返し
て、その完結を確実なものとする。この反応後に、カイザー(Kaiser)ニンヒドリ
ンテストを行う(E.Kaiser等,「ペプチドの固相合成における、遊離末端アミノ
基の検出のための発色テスト(Color test for detection of free terminal ami
no groups in the solid-phase synthesis of peptides)」,Anal Biochem.,197
0,34:595-98)。
環化に引き続き、該ペプチド−樹脂を、TFAで処理して、そのN-末端における
該BOC保護基を除去する。次いで、これを無水酢酸と反応させ、該アスパラギン
酸残基をアセチル化する。その約2gを、アニソール(0.6mL)の存在下で、0℃にて
90分間、無水HF(20mL)で開列する。得られる粗製ペプチドを、沈殿させ、かつ無
水ジエチルエーテル(450mLで3回に分けて)で洗浄し、濾過し、0.1% TFAのCH3CN
/H2O溶液(60:40)380mL(r個の部分)で、該樹脂から抽出し、凍結乾燥して、粗生
成物を得る。
この粗製凍結乾燥ペプチドを、分取逆相HPLC(RP-RHPLC)により精製する。該HP
LCでは、ウォーターズアッソシエーツ(Waters Associates)(MA州ミルフォード)
のPrep LC 3000システム、ウォーターズアッソシエート600Eシステムコン
トローラー(Waters Associate 600E System Controller)、シマヅ(Shimadzu)SPD
-6A UV分光光度可変−波長式検出器(検出は230mn)、ウォーターズ(Waters)1000(
プレプパックモジュール(PrepPakModule)およびフィッシャー(Fisher)(MA州レキ
シントン)のレコーダルシリーズ(Recordall Series)5000ストリップチャートレ
コーダー(チャート速度:0.25cm/分)を備えた装置を使用する。最終的なペプチド
精製を、バッファー、即ちpH2.25のTEAP、および0.1%のTFAおよび/またはpH6.5
のTEAPおよび0.1%のTFAを使用して、2または3段階で実施する。
この粗製ペプチド(約0.3-1.5g)を、まず400mLのバッファーA:トリエチルアン
モニウムホスフェート(TEAP)(pH2.25)(1:4v/v)に溶解し、実験室用のウォーター
ズポリエチレンスリーブおよびフリットおよびビダック(Vydac)C18シリカゲル(C
A州へスペリアのザセパレーショングループ(The Separation Group);孔径300オ
ングストローム、粒径15-20μm)中に充填された分取逆相HPLCカートリッジ(5x30
cm)に重層する。このペプチドを、バッファーB:バッファーA中の60%CH3CN、30-6
0%Bの勾配)を使用して溶出する。バッファーA(トリエチルアンモニウムホスフェ
ート(TEAP)、pH2.25)およびB(バッファーA中のCH3CN)を、95ml/分の流速で90分
間ポンプ輸送する。全体で50-100mLを含む画分を、定組成条件(61% B)にてスク
リーニングし、該化合物を含有する画分を同定しかつプールする。
第二段階において、該プールした画分を、160mLの水で希釈し、バッファーA:0
.1%TFA/H2OおよびバッファーB:0.1% TFAのCH3CN/H2O溶液(60:40)を、40-70%Bな
る勾配で使用して、90分間溶出する。全体で30-50mLを含有する画分を、スクリ
ーニングし、かつ該化合物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して、最終製品
としてのペプチドを得る。約98%なる純度が、キャピラリーゾーン電気泳動(CZE)
で確認され、また同一性はマススペクトル法(MS)により確認する。液体二次イオ
ンマススペクトル法(LSIMS)を使用して得た3947.87なる測定値は、3947.23なる
計算値と一致している。
このペプチド製品のインビトロでの生物学的能力は、以下のようにして測定す
る。雄スプラーグ-ダウレイラット由来のラット下垂体前葉腺を、コラーゲナー
ゼにより分解し、2%子牛血清(FBS)含有培地に塗布(0.16x106細胞/ウエル、48-
ウエルプレート)する。塗布の三日後に、該細胞を3回、0.1%のウシ血清アルブ
ミン(BSA)を含有する新鮮な培地で洗浄し、1時間インキュベートする。この1
時間の予備インキュベートの後、該細胞を再度洗浄し、かつ該テストペプチドを
、1nmのoCRFの存在下で、培地に適用する。3時間のインキュベートの後、該培
地を集め、ACTHの濃度をラジオイムノアッセイ(Diagnostic Products Corporati
on)により測定する。上記合成の該環状ペプチド製品は、ごく最近開発されたCRF
アンタゴニストである、デストレッシンよりも約1.2倍(0.41-4.21)大きな、生物
学的な能力を示す。該デストレッシンは、初期の実験室用「標準」ペプチド、即ち
[D-Phe12、Nle21,38]r/hCRF(12-41)の能力の多数倍の能力を示す。
このペプチドの投与は、ACTHおよびβ-エンドルフィン-様免疫活性(β-END-IL
)の分泌を阻害し、かつとりわけ長時間に及ぶ阻害作用を示す。これらのCRFアン
タゴニストをテストするのに使用するこのインビボアッセイは、副腎摘出(ADX)
ラットを使用する。成熟雄スプラーグ-ダウレイラット(230-250g)を、ハロタン
麻酔下でロンバー(lombar)法により副腎摘出する。その給餌には、飲料水に0.9%
のNaClを補給し、またオレンジを補給する。実験の二日前に、該動物に、C.Rivi
er等,Endocrinology,1982,110:272-278に記載されているように、頚静脈カテ
ーテルを取り付ける。実験日の朝に、該ivカテーテルをヘパリン処理した塩水で
満たしたラインに接続し、該ラットを個々の容器に入れ、2時間静かに放置する
。この実験のために、0.3mLの第一の血液サンプルを取り出し、該テスト溶液を
、注入し(容量0.2-0.5mL)引き続き血液サンプルを約5、45、90および120分にて
採取する。これら血液サンプルを遠心分離処理し、分離した血漿を、ACTH値につ
きアッセイするまで、凍結状態(-20℃)に維持する。血漿のACTH濃度を、C.Rivi
er等,J.Neuroscience,1994,14:1985に記載されているようにして測定する。
100μg/kg体重なる濃度でのインビボテストの結果として、60分の時点で、該環
状CRFアンタゴニストは、該血清中のACTHレベルを低下する上で、デストレッシ
ンよりも有効であり、かつ現時点では、本質的に該コントロール動物におけるの
と実質的に同一のレベルにあるとされている、該標準的なCRFアンタゴニストよ
りも一層効果的であることを示している。注入後90分の時点において、該環状化
合物は、該60分の時点におけるレベルよりも、更に該ACTH
レベルを降下する。一方で、デストレッシンは、より一層有効性は低く、ACTHレ
ベルは有意に増加する。注入後120分の時点において、該ACTHレベルは、該環状
化合物で処理したラットに関する、この低いレベルに維持され、デストレッシン
で処理した動物の、今やコントロールラットのレベルに近い、レベルよりも十分
に低い値に維持される。注入後150分の時点において、該ACTHレベルは、ちょう
ど正常な値に戻り始め、また180分の時点では、依然として該コントロールラッ
トを越える、有意に改善された状態にある。このことは、長期持続性を示すもの
と考えられる。
実施例II
D-HisとHis32とを置換して、実施例Iの合成を繰り返し、以下のペプチドを製
造する:(シクロ30-33)[Ac-Asp9、D-Phe12、Nle21,38、CML27、Glu30、D-His32、
これは、HPLC測定したところ、純度約98%を有しており、このことはCZEにより
確認される。LSIMSを使用して得た3947.2なる測定値は、3947.23なる計算値と一
致している。前に記載したような、インビトロテストによって測定した、このペ
プチドの生物学的な能力は、デストレッシンの値の約2.22(0.30-7.47)倍である
。インビボテストは、副腎摘出ラットにおいて約100μg/kgなる投与量にて、90
、120および150分の時点において、極めて有意かつデストレッシンよりも一層効
果的であることを示している。このことは、このものが、かなり長期持続性であ
り、かつほぼペプチドIに等しいものと考えられる。
実施例III
CαMeLeuとLeu14とを置換して、実施例Iの合成を繰り返して、以下のペプチド
を製造する:
これは、以下の式で示される:
これは、純度約98%を有しており、このことはCZEにより確認される。3961.28
なる測定値がLSIMSを使用して得られ、これは3961.2なる計算値と一致している
。前に記載したような、インビボテストによって測定した、このペプチドの生物
学的な能力は、90および150分におけるデストレッシンの値のよりも大きい。こ
れは、210分において有意な有効性を維持し、270分においても生物学的活性を持
続し、従ってインビボで極めて長期作用性であると考えられる。
実施例IV
CαMeLeuとVal16とを置換して、実施例Iの合成を繰り返して、以下のペプ
チドを製造する:
これは、以下の式で示される:
これは、純度約98%を有しており、このことはCZEにより確認される。LSIMSを
使用して得られる3975.8なる測定値は、3975.3なる計算値と一致している。前に
記載したような、インビトロテストによって測定した、このペプチドの生物学的
な能力は、該標準の値の約13倍である。これは、インビボにて極めて長期作用性
であり、120分において実質的にデストレッシンの値のよりも良好であり、かつ1
80分を超える期間に渡り有効性を維持する。
実施例V
CαMeLeuとLys36とを置換して、実施例Vの合成を繰り返して、以下のペプチド
を製造する:
これは、以下の式で示される: これは、純度約98%を有しており、このことはCZEにより確認される。LSIMSを
使用して得られる3946.26なる測定値は、3946.24なる計算値と一致している。約
100μg/kgなる投与量におけるインビボテストは、90分において、これがデスト
レッシンよりも一層有効であり、135分において実質的な有効性を維持している
ことを示す。これは、中程度に持続性のものであると考えられる。
実施例VI
CαMeLeuとLeu37とを置換して、実施例Iの合成を繰り返して、以下のペプチド
を製造する:
これは、以下の式で示される:
これは、純度約98%を有しており、このことはCZEにより確認される。LSIHSを
使用して得られる3961.20なる測定値は、3961.2なる計算値と一致している。約1
00μg/kgなる投与量におけるインビボテストは、90、120、135、180および210分
において、これがデストレッシンよりも実質上一層有効であり、また270分にお
いても有意に有効性を維持していることを示す。これは、極めて長期持続性のも
のであると考えられる。
実施例VII
CαMeLeuとIle40とを置換して、実施例Iの合成を繰り返して、以下のペプチド
を製造する:これは、以下の式で示される:
これは、純度約98%を有しており、このことはCZEにより確認される。LSIMSを
使用して得られる3961.30なる測定値は、3961.2なる計算値と一致している。
約100μg/kgなる投与量でのiv注入によるインビボテストは、90および150分にお
いて、これがデストレッシンよりも実質上一層有効であることを示す。ラット当
たり100μg(前の投与量の4倍)なる投与量で、iv投与した場合に、このペプチド
は、6時間に渡りこのように高い有効性を示し、また12時間においても依然とし
て幾分かの有効性を示す。これは、極めて長期持続性のものであると考えられる
。このペプチドをコーン油および水性3-6%マニトール溶液中で処方して、s.c.経
路で注入する。コーン油中約30μgおよび水性溶液中100μgの投与量において、
これら両処方は、24時間に渡る、ACTHの分泌の有意な阻害を示す。
実施例VIII
CαMeLeuとIle41とを置換して、実施例Iの合成を繰り返して、以下のペプチド
を製造する:
これは、以下の式で示される:
これは、純度約98%を有しており、このことはCZEにより確認される。LSIMSを
使用して得られる3961.30なる測定値は、3961.2なる計算値と一致している。約1
00μg/kgなる投与量におけるインビボテストは、90および120分において、これ
がデストレッシンよりも一層有効であるが、270分以降においては最早有効でな
いことを示す。
実施例IX
CαMeLeuとLeu10とを置換して、実施例Iの合成を繰り返して、以下のペプチド
を製造する:
これは、以下の式で示される:
これは、純度約98%を有しており、このことはCZEにより確認される。LSIMSを
使用して得られる3961.3Daなる測定値は、3961.2Daなる計算値と一致している。
このペプチドは、インビボにおいて中程度の持続性をもつものであり、90および
150分において、デストレッシンよりも実質的に良好であるが、約100μg/kgなる
投与量において、210分では殆ど活性を維持していないことが分かっている。
実施例X
CαMeLeuとLeu15とを置換して、実施例Iの合成を繰り返して、以下のペプチド
を製造する:
これは、以下の式で示される:
これは、純度約98%を有しており、このことはCZEにより確認される。LSIMSを
使用して得られる3961.3Daなる測定値は、3961.2Daなる計算値と一致している。
このペプチドは、インビボにおいて短期作用性をもつものであり、90分において
、デストレッシンよりも幾分良好であるが、その後かなり迅速にその有効性を失
い、約100μg/kgなる投与量において、150分では僅かに有効であるに過ぎないこ
とが分かっている。
実施例XI
CαMeLeuとLeu19とを置換して、実施例Iの合成を繰り返して、以下のペプチド
を製造する:
これは、以下の式で示される:
これは、純度約98%を有しており、このことはCZEにより確認される。LSIMS
を使用して得られる3961.3Daなる測定値は、3961.2Daなる計算値と一致している
。インビボテストは、このペプチドが、90分においてデストレッシンよりも一層
有効であることを示している。これは、150分においても依然として有効性を呈
するが、約100μg/kgなる投与量において、210分では有効性をもたない。これは
、一般的にはペプチドIと等価であると考えられる。
実施例XII
CαMeLeuとAla24とを置換して、実施例Iの合成を繰り返して、以下のペプチド
を製造する:
これは、以下の式で示される: これは、純度約98%を有しており、このことはCZEにより確認される。LSIMSを
使用して得られる4003.3Daなる測定値は、4003.3Daなる計算値と一致している。
このペプチドは、中程度のインビボ活性を有しており、90および150分において
デストレッシンよりも実質的に良好であるが、約100μg/kgなる投与量において
、約210分では有効性を失っていることが分かっている。
実施例XIII
CαMeLeuと、Leu14、Leu37およびIle40とを置換して、実施例Iの合成を一般的
に繰り返して、以下のペプチドを製造する:
これは、以下の式で示される:
これは、純度約98%を有しており、このことはCZEにより確認される。LSIMSを
使用して、その計算値と一致する測定値を得る。このペプチドは、ACTHの分泌を
阻害するのに有効である。実施例XIII A
D-2NalとD-Phe12とを置換して、実施例XIIIの合成を繰り返して、以下のペプ
チドを製造する:
(9-41)。これは、以下の式で示される: これは、純度約98%を有しており、このことはCZEにより確認される。LSIMSを
使用して、その計算値と一致する測定値を得る。このペプチドは、ACTHの分泌を
阻害するのに有効である。
実施例XIII B
CαMeLeuと、Leu37およびIle40とを置換して、実施例Iの合成を繰り返して、
以下のペプチドを製造する:
これは、以下の式で示される:
これは、純度約98%を有しており、このことはCZEにより確認される。このペプ
チドは、ACTHの分泌を阻害するのに有効である。
実施例XIII C
CαMeLeuとGlu17とを置換して、実施例Iの合成を繰り返して、以下のペプチド
を製造する:
これは、以下の式で示される:
これは、純度約98%を有しており、このことはCZEにより確認される。この合
を製造する。HPLCは、このものの純度が約98%であることを示したが、このこと
はCZEにより確認される。
これら両ペプチドは、計算値と一致する測定されたMS値を有し、かつインビボ
でACTHの分泌を阻害するのに有効である。
実施例XIII D
CαMeLeuとLeu15およびAibとHis32とを置換して、実施例Iの合成を繰り返して
、以下のペプチドを製造する:
(9-41)。これは、以下の式で示される:
このペプチドは、純度約98%を有しており、またACTHの分泌を阻害するのに有
効である。
実施例XIII E
CαMeLeuとNle21およびAibとHis32とを置換して、実施例Iの合成を繰り返して
、以下のペプチドを製造する:
これは、以下の式で示される:
このペプチドは、ACTHの分泌を阻害するのに有効である。
実施例XIII F
CαMeLeuとNle38とを置換して、実施例Iの合成を繰り返して、以下のペプチド
を製造する:
これは、以下の式で示される:
これは、純度約98%を有しており、このことはCZEにより確認される。LSIMSを
使用して得られる3961.28なる測定値は、3961.2なる計算値と一致している。前
に説明したインビトロテストにより測定したこのペプチドの生物学的な能力は、
該標準物質の約1.4倍であり、またこれは、インビボでACTHの分泌を阻害するの
に有効である。
実施例XIII G
CαMeLeuとLeu40およびAibとHis32とを置換して、実施例Iの合成を繰り返して
、以下のペプチドを製造する:
(9-41)。これは、以下の式で示される:
このペプチドは、純度約98%を有している。LSIMSを利用して、計算値と一致す
る測定値を得る。単一のテストに基づけば、このペプチドは、実施例VIIのペプ
チドよりも長期間に渡り、ACTHの分泌を阻害するのに有効であると思われる。
実施例XIII H
実施例Iの合成を多数回に渡り繰り返し、各回において付随的に少なくとも一
つのCMLと別の残基との置換を行った。結果として、以下のような(シクロ30-33)
環状ペプチドを製造する:
これらペプチドの投与は、ACTHおよびβ-END-LIの分泌を刺激し、またそのiv
経路での注入は、血圧を低下させる。
実施例XIV 記載のように実施する。但し、残基33は、Lysに代えてOrnである。このペプチド
の投与は、ACTHおよびβ-END-LIの分泌を阻害する。
実施例XIV A 施例XIVに記載のように実施する。但し、残基40は、Leuに代えてCMLであり、残
基32は、Hisに代えてAibである。このペプチドの投与は、ACTHおよびβ-END-LI
の分泌を阻害する。
実施例XIV B 例Iに記載の一般的手順に従って行ったテストは、この環状化合物が、ACTHおよ
びβ-END-LIの分泌を阻害することを示している。
実施例XIV C 手順に従って行ったテストは、この環状化合物が、ACTHおよびβ-END-LIの分泌
を阻害することを示している。
の分泌を阻害する上で生物学的に有力である。
実施例XIV D 実施例Iに記載の一般的手順に従って行ったテストは、この環状化合物が、ACT
Hおよびβ-END-LIの分泌を阻害することを示している。
実施例XIV E ペプチドは、ACTHおよびβ-END-LIの分泌を阻害する上で、生物学的に有力であ
る。
実施例XIV F びβ-END-LIの分泌を阻害する上で、生物学的に有力である。実施例XV
実施例XIIIの合成を多数回に渡り繰り返し、各回において1以上のAibおよび/
またはCMLと、該CRFアンタゴニストペプチド中の残基との置換を行った。結果と
して、以下のような(シクロ30-33)環状ペプチドを製造する: これらペプチドの投与は、ACTHおよびβ-END-LIの分泌を剌激し、またそのiv
経路での注入は、血圧を低下させる。
実施例XVI
一般的に実施例Iに示した手順を使用して、以下のCRFアンタゴニストペプチド
をも製造する:
これらペプチドは、種々の刺激に応答して、ACTHおよびβ-END-LIの分泌を阻
害する上で、生物学的に有力である。
好ましくは、該環状CRFアンタゴニストは、本来的に該CRFレセプターを活性
化しない。一般的に、ペプチドは、その固有の活性がその天然の化合物の約20%
以下であると評価された場合には、該CRFレセプターを有意に活性化しないと考
えられる。好ましいアンタゴニストは、約15%以下の固有の活性を有するが、固
有の活性は、アンタゴニストとしてのペプチドの能力に対して、釣り合わされる
べき一因子であるに過ぎない。
CRFは、下垂体−副腎皮質軸を完全に刺激し、またCRFアンタゴニストは、高い
ACTHおよび内因性グルココルチコイド生産を経験している患者の幾つかの型にお
ける、この軸の機能を阻害するのに有用である。例えば、CRFアンタゴニストは
、下垂体クッシング疾患またはあらゆるCRF−感受性腫瘍に罹った患者における
、下垂体−副腎機能を調節する上で有用である可能性がある。本発明によって与
えられる、これら改善されたCRFアンタゴニストの好ましい構成員は、CRFレセプ
ターを著しく活性化することなしに、該レセプターと高いアフィニティーで結合
する。即ち、これらは固有の活性またはヒツジCRFの値の、15%未満のアゴニズム
(agonism)を示す。その上、これらは、末梢的に、例えばiv、s.c.、鼻内、肺内
投与した場合に、神経作用をもつものと考えられており、また酸の分泌に起因す
る、ストレスによって誘発される胃障害を治療するのに使用できる。
殆どの他の調節性ペプチドは、エンドクリン系、中枢神経系および胃腸管に対
して影響を持つことが分かっている。ACTHおよびβ-END-LIの分泌は、ストレス
に対する哺乳動物の応答の「必要条件」であるので、CRFが多くの身体のストレス
応答の媒介体として、脳に重大な影響を及ぼすことは、驚くほどのことではない
。従って、脳に放出されたCRFアンタゴニストは、また正常な並びに精神的に障
害のある個人の、ムード、学習および挙動、例えば薬物中毒および薬物並びにア
ルコール禁断の改善における用途も見出されるはずである。更に、脳におけるCR
Fアンタゴニストは、内性CRFが寄与している可能性のあるストレスにより誘発さ
れる状態、例えば幾つかの型の緊張亢進症、神経性食欲不振、出血性ストレス、
不妊症、低リビド、不能症および高血糖症を改善するはずである。末梢的に投与
されたCRFアンタゴニストは、ACTH、β-END、β-リポトロピン、その他のプロオ
ピオメラノコルチン遺伝子生成物およびコルチコステロンのレベルを低下するの
で、このアンタゴニストの投与は、これら全ての物質の、脳に及ぼす作用を減
じて、記憶、ムード、苦痛感知等、およびより具体的には、警戒心、うつ病およ
び/または不安に影讐を及ぼし、かつ免疫系、胃腸管および副腎皮質の成長およ
び機能を調節するために利用できる。これらは、またHIV感染およびアルツハイ
マー病を治療するためにも利用できる。
CRFアンタゴニストは、視床下部下垂体軸(HPA)を遮断し、結果として例えば該
投与の所定の効果が他の機能(例えば、免疫、神経等)に及ぼされる場合には、AC
THおよびコルチコステロン分泌を遮断するので、ホルモン置換療法(即ち、ACTH
および/またはコルチコステロンの投与)が、ホメオスタシスの維持に必要とされ
るように、CRFアンタゴニスト療法に対する補助的な療法として推奨できる。こ
れと対応する例として、テストステロン置換が、リビドを維持するために、雄の
避妊の目的で、GnRHを有する正常なヒトを治療する際に、しばしば使用される。
このようなホルモン置換は、前立腺癌の治療の場合には必要とされない。
あらゆるCRF-関連ペプチドが、腸間膜血管床を拡張することが示されている。
CRFアンタゴニストは、また哺乳動物、特にヒトの胃腸管への血流を減じるため
にも使用されるはずである。また、CRFは、胃酸の生産にも影響するので、CRFア
ンタゴニストは、腹部腸症候群および炎症性疾患を含む、胃腸管機能の調節に対
しても有効であるはずである。
製薬上許容される担体と組み合わせて、薬理組成物を形成する、CRFアンタゴ
ニストまたはその非毒性の付加塩は、ヒトを包含する哺乳動物に、静脈内、皮下
、筋肉内、肺内、経皮、例えば鼻内、脳室内または経口経路の何れかを介して、
投与することができる。該ペプチドは、少なくとも約90%の純度を持つべきであ
り、また好ましくは少なくとも約98%の純度を持つべきであるが、より低い純度
でも有効であり、ヒト以外の哺乳動物について十分に使用することができる。こ
の純度は、該意図したペプチドが、全ての存在する類似のペプチドおよびペプチ
ドフラグメントを含む上記の重量%を構成することを意味する。ヒトに対する投
与は、内性のグルココルチコイド生産を阻害するために、または上で概説した可
能な用途に対して、医師によって行われる。投与は、種々の投与剤形、例えば錠
剤、ロゼンジ、粉剤、シロップ、注射溶液、注射用デポー剤処方物等として行う
ことができる。所定の投与量は、治療すべき特定の状態、該状態の重度および所
定の治
療期間に依存して変動し、また1日に対して多重投与量を使用することも可能で
ある。中枢神経系における内性CRFのストレス関連作用を遮断するために、該CRF
アンタゴニストを、脳室または脊髄液に放出する必要がある可能性がある。ある
いはまた、該アンタゴニストを変性して、血液脳関門を透過できるようにする手
段を、見出すべきである。腸管外投与のために、ピーナッツ油、水性プロピレン
グリコールまたは無菌水性溶液を使用することができ、無菌水性媒体は容易に入
手できる。緩衝処理されていることが望ましい、このような水性溶液は、特に静
脈内(iv)、筋肉内、皮下(s.c.)および腹腔内投与のために適している。s.c.投与
のためには、コーン油または3-6%のマニトール溶液の使用が好ましい。
このようなペプチドは、しばしば製薬上許容される非毒性塩、例えば酸付加塩
または金属錯塩として投与される。トリフルオロ酢酸およびパモ酸(pamoic acid
)の塩が好ましい。また、該CRFアンタゴニストペプチドを、長期間例えば一回の
投与から一週間またはこれよりもかなり長い期間に渡り放出、あるいは緩慢に放
出することが望ましい場合があり、デポー剤またはインプラント投与剤形を使用
することも可能である。
該ペプチドは、単一または多重投与量で、医師の指導に従って投与すべきであ
り、また薬理組成物は、通常該ペプチドを既知の製薬上許容される担体と共に含
み、該担体はその作用の持続期間を延長することができる。その有功投与量は、
一般的に意図した投与経路およびその他の因子、例えば医師には一般的に公知で
あるような、患者の年齢および体重、並びに治療すべき病気に依存する。通常、
般的に使用され、胃腸管疾患並びに神経性食欲不振、薬物およびアルコール禁断
なる投与量が、一般的に使用される。毎日の投与量は、一回の投与または3回ま
での分割投与で与えることができる。
本明細書で使用する全ての温度は、℃であり、また全ての比は容積比である。
するものとする。
以上本発明を好ましい態様に関連して記載してきたが、当分野の当業者には明
らかであるような、種々の変更並びに改良は、本明細書に添付する請求の範囲に
示された本発明の範囲から逸脱することなしに、行うことができるものであると
、理解すべきである。例えば、製薬上許容される塩は、具体的に例示はしないが
、特許請求した本発明の課題の明らかに公知の等価物である。該12-位におけるD
-Pheの代わりに、L-PheまたはTyrもしくは他の適当な、上記したものと一般的に
類似するD-異性体、例えばD-Cpaが存在することができ、かつこれは、D-異性体
が好ましいとはいえ、等価なものであると考えられる。生物学的な能力を、天然
の配列よりも十分に高いレベルに維持しつつ、D-Ala31とAla31とを置換すること
ができ、かくしてこれは該31-位における等価なものと考えられる。C-末端にお
ける単純なアミドの代わりに、低級アルキル-置換アミド、即ち1-4個の炭素原子
を含む、例えばメチルアミドまたはエチルアミドを組み込むことができる。等価
なラクタム結合も、Lys30およびGlu33の側鎖を結合することによって、生成する
ことができるが、前に例示した結合が好ましい。反応させて該30-33ラクタ
ノ基は、例えばメチル基を付加させるなどにより、アルキル化することができ、
このような変更は、等価な環状ペプチドを生成するものと考えられる。同様に、
Aph、Lys、Orn、Dbu、Dpr、Arg、またはAglのD-またはL-異性体が、32-位に存在
する場合には、その側鎖は、また場合により低級アルキル基、例えばメチルまた
はエチル等によってアルキル化されていても良い。このような上記のペプチドは
、本発明の範囲内にあるものと考えられる。
配列リストのまとめ
配列番号:1は、C-末端がアミド化されている場合には、ヒツジCRFのアミノ酸
配列である。
配列番号:2は、C-末端がアミド化されている場合には、ラット/ヒトCRFのアミ
ノ酸配列である。
配列番号:3は、pGluがN-末端にあり、かつC-末端がアミド化されている場合に
は、カエルソーバジンのアミノ酸配列である。
配列番号:4は、C-末端がアミド化されている場合には、「AHC」と呼ばれる、α-
ヘリックス型CRFのアミノ酸配列である。
配列番号:5は、C-末端がアミド化されている場合には、ブタCRFのアミノ酸配
列である。
配列番号:6は、C-末端がアミド化されている場合には、ウシCRFのアミノ酸配
列である。
配列番号:7は、C-末端がアミド化されている場合には、魚類CRFのアミノ酸配
列である。
配列番号:8は、C-末端がアミド化されている場合には、コイウロテンシンのア
ミノ酸配列である。
配列番号:9は、C-末端がアミド化されている場合には、サッカーフィッシュウ
ロテンシンのアミノ酸配列である。
配列番号:10は、C-末端がアミド化されている場合には、フラットヘッド(flat
head)(マギー(Maggy))ソール(sole)ウロテンシンのアミノ酸配列である。
配列番号:11は、C-末端がアミド化されている場合には、カレイウロテンシン
のアミノ酸配列である。