JP2002500895A - 喘息に関連した遺伝子 - Google Patents

喘息に関連した遺伝子

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アンドリュー ミラー
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Abstract

(57)【要約】 喘息と関連する遺伝子座を同定した。遺伝子座ASTH1IおよびASTH1Jに存在する遺伝子、ならびにその遺伝子座の調節配列の特徴を示す。以上の遺伝子は、コードされる蛋白質の産生のために、ASTH1蛋白質の機能の発現を調節する組成物に関するスクリーニングに、および関連する生理的経路の研究に用いられる。このDNAはさらに、喘息に対する遺伝的素因に関する診断薬として用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 序論 喘息は可逆性の気管支閉塞による疾患であり、気道炎症、上皮損傷、気道平滑
筋肥厚および気道過敏性を特徴とする。喘息の症状の多くは医療行為によって制
御可能であるが、米国では喘息による死亡および重篤例の発生率が上昇し続けて
いる。1989年の死亡件数はほぼ4,800例であり、1980年からみて46%増加してい る。米国における喘息の患者数はほぼ1200万人で1980年から66%増加しており、
本症に伴う医療費および間接的費用は年間60億ドルを上回ると推定されている。
【0002】 喘息は主に、アトピー性(アレルギー性または外因性)喘息および非アトピー
性(内因性)喘息の2種類に細分される。アトピーは、環境の共通抗原に対してI
gE抗体産生応答を生じる素因があることを特徴とする。アトピー性喘息では、喘
息症状、および共通アレルゲンに対する皮膚試験の陽性結果などのアレルギーの
所見がいずれも存在する。非アトピー性喘息は、可逆的な気流制限はあるがアレ
ルギーがみられないものと定義することが可能である。
【0003】 気管支を取り巻く平滑筋は、刺激に応じて気道の直径を容易に変化させること
ができる。応答が過度である場合、これは気道過敏性と呼ばれるが、喘息のこの
特徴には遺伝的な要素があると考えられている。喘息に対する遺伝的素因の存在
は、一卵性双生児の方が二卵性双生児よりもこの形質の一致率が高いことを示し
た研究によって示されている。しかし、喘息の遺伝的性質は複雑であり、単純な
遺伝パターンは示さない。喘息の発症には環境も一定の役割を果たしており、例
えば、喫煙者の子供は非喫煙者の子供よりも喘息を発症しやすい。
【0004】 近年、数万ものヒト遺伝子がクローニングされている。多くの場合、遺伝子の
発見は、アミノ酸配列、免疫学的反応性といった対応する蛋白質に関するそれま
での知見に基づく。この手法はこれまで大きな成果を上げてきたが、重大な点で
いくつか限界がある。限界の一つは、このような場合には遺伝子が蛋白質の分子
レベルの特性に関する知見に基づいて同定されることである。しかし、多くの重
要なヒト遺伝子については、それがコードする産物に関する生化学的データはほ
とんどまたは全くない。例えば、嚢胞性線維症、ハンチントン病などのヒト疾患
に対する素因をもたらす遺伝子は、それらが表現型効果(phenotypic effect) を示す点で関心がもたれている。このような遺伝子の生化学的な特徴を明らかに
することは、遺伝学的な特徴を明らかにすることからみれば副次的と思われる。
【0005】 この難問に対する解決策として、古典的な遺伝子マッピングを遺伝子の同定と
組み合わせたり、必要に応じて、染色体の広範な領域の配列決定と組み合わせる
ことが行われてきた。集団遺伝学的調査および家系調査により、関心対象の形質
と関連する遺伝子の位置を染色体の比較的小さな領域に特定することが可能であ
る。この時点で、物理地図を用いて候補遺伝子を同定したり、種々の分子生物学
的技法を用いて罹患個体における変異遺伝子を見つけだすことが可能となる。遺
伝子探索のためのこの「トップダウン」式アプローチは、遺伝子がゲノム中の位
置に基づいて同定されるため、ポジショナルクローニングと呼ばれている。
【0006】 現在、ポジショナルクローニングは、単純で一般に頻度の低い単一遺伝子病よ
りも、人類の多くが罹患する複合遺伝子病(complex genetic disease)に対し て用いられている。このような研究では、環境因子および遺伝因子がともに疾患
の発症に寄与することを考慮に入れる必要があり、しかも複数、おそらくは多数
の遺伝子が遺伝的要素に寄与することを許容する必要がある。喘息の臨床的重要
性は大きいため、本症の遺伝的素因の基盤をなす遺伝子の特徴を明らかにするこ
とには大きな関心がもたれる。ポジショナルクローニングは、この目標に到達す
るための手法となる。
【0007】 関連文献 喘息の症状および生物学的記載は、シャネツ(Chanez)ら(1994)Odyssey 1 :24〜33に概説されている。気道過敏性の概説は、スミス(Smith)およびマク ファデン(McFadden)(1995)Ann. Allergy. Asthma and Immunol. 74:454を 参照されたい。モス(Moss)(1989)Annals of Allergy 63:566は、喘息のア レルギーとしての病因論および免疫学的特徴を概説している。
【0008】 複合形質の遺伝的解析については、ランダー(Lander)およびショーク(Scho
rk)(1994)Science 265:2037〜2048で考察されている。アトピーおよび/ま たは気道過敏性に関する候補遺伝子の遺伝子マッピングについては、ポストマ(
Postma)ら(1995)N.E.J.M. 333:894、Marshら(1994)Science 264:1152お よびマイヤーズ(Meyers)ら(1994)Genomics 23:464に記載がある。
【0009】 ローレンス(Lawrence)ら(1994)Ann. Hum. Genet. 58:359は、アトピーお
よび喘息の遺伝解析のための手法について考察している。モファット(Moffat)
ら(1994)The Lancet 343:1597は、T細胞受容体のαサブユニットとIgE産生応
答との間に遺伝的連鎖があることを報告している。カラバロ(Caraballo)およ びエルナンデス(Hernandez)(1990)Tissue Antigens 35:182は、HLA対立遺 伝子とアレルギー性喘息との間に関連が認められることを報告している。アトピ
ーと染色体11q上のマーカーとの間に連鎖があるという所見は、英国のいくつか の喘息家系では認められているが(Cooksonら(1989)Lancet i:1292〜1295、Y
oungら(1991)J. Med. Genet. 29:236、英国の別の家系(Lympanyら(1992)C
lin. Exp. Allergy 22:1085〜1092)ならびにミネソタ(Minnesota)および日 本の家系(Richら(1992)Clin. Exp. Allergy 22:1070〜1076およびHizawaら (1992)Clin. Exp. Allergy 22:1065)では認められていない。
【0010】 FcεRI-β遺伝子に関する多型がアトピーのリスクと関連することは、ヒル(H
ill)ら(1995)B.M.J. 311:776、ヒル(Hill)およびクックソン(Cookson) (1996)Human Mol. Genet. 5:959およびシラカワ(Shirakawa)ら(1994)Nat
ure Genetics 7:125に記載されており、FcεRI-βが気道過敏性と関連すること
はファン・ヘルウェルデン(van Herwerden)(1995)The Lancet 346:1262に 記載されている。
【0011】 ヒトゲノムの全域から収集した多型マーカーを対象とした喘息との連鎖の検討
もなされており、マイヤーズ(Meyers)ら(1996)Am. J. Hum. Genet. 59:A22
8およびダニエルズ(Daniels)ら(1996)Nature 383:247〜250に記載されてい
る。これらの検討ではヒト染色体11pとの連鎖は認められなかった。
【0012】 発明の概要 喘息に対する遺伝的素因と関連するヒト遺伝子が提供される。本明細書でASTH
1IおよびASTH1Jと呼ぶ遺伝子は、ヒト染色体11p上に互いに近接して位置し、同 様の発現パターンおよび共通の配列モチーフを有する。本核酸組成物はコードさ
れる蛋白質を産生させるために用いられ、それは機能的試験のために、治療薬と
して、および関連する生理学的経路の検討に用いうる。核酸組成物および蛋白質
に対して特異的な抗体は、喘息に対する遺伝的素因を同定するための診断薬とし
て有用である。
【0013】 特定の態様の説明 提供されるASTH1遺伝子およびその断片、コードされる蛋白質、ASTH1ゲノム調
節領域ならびに抗ASTH1抗体は、喘息を発症しやすい素因をもつ個体の同定にお いて、ならびに予防的および治療的な目的でインビボ遺伝子活性を調節するため
に有用である。コードされるASTHI蛋白質は、特異的抗体を産生させるため、改 変型ASTH1蛋白質を含むASTH1の活性または発現を模倣または調節する組成物に関
する薬物スクリーニングのため、および治療薬として有用である。
【0014】 本明細書で定義される喘息とは、患者における一定期間にわたる可逆性の気流
制限のことである。本症は種々の刺激に対する気道反応性の亢進、および気道炎
症を特徴とする。喘息と診断された患者には一般に、喘鳴、喘息発作、およびメ
サコリン吸入誘発に対する陽性反応、すなわちメサコリン吸入誘発によるPC20 が約4mg/ml未満であることを含む複数の徴候が、時間の経過とともに認められ る。診断のための指針には、米国喘息教育プログラム専門委員団.喘息の診断お
よび管理のための指針(National Asthma Education Program Expert Panel. Gu
idelines for diagnosis and management of asthma)、National Institutes o
f Health、1991;Pub. #91〜3042がある。アトピー、呼吸器感染症および環境的
素因がみられることもあるが、喘息の診断に必須の要素ではない。アトピーと厳
密に関連している喘息の状態はアトピー性喘息と呼ばれる。
【0015】 ヒトASTH1IおよびASTH1J遺伝子配列のほか、ASTH1Jの5'側に位置するゲノム配
列が提供される。配列一覧表にて提供される主な関心対象の遺伝子は以下の通り
である。
【0016】 ASTH1遺伝子座はヒト染色体11pにマッピングされている。喘息の発生率が高い
単一の大規模な拡大家族であるトリスタンダクーニャ(Tristan da Cunha)の集
団におけるゲノムスキャニングにより、メサコリン吸入誘発に対する陽性反応を
生じる形質および喘息の病歴が遺伝的に連鎖することが示された(Zamelら(199
6)Am. J. Respir. Crit. Care Med. 153:1902〜1906にて考察)。カナダの一 連の喘息家系でも同じ連鎖の所見が認められた。最も強い連鎖が認められた領域
は第11番染色体の短腕上にあるマーカーD11S907であった。このほかのマーカー も、公的データベースの検索および新たな多型サテライトマーカーの独自クロー
ニングにより、D11S907周囲の4メガベースの領域から同定された。関心対象の領
域の精緻化(refinement)は、調査対象集団における新たなマーカーの遺伝子型
分析、およびマーカー対立遺伝子と疾患体質との間の相関レベルを反映する伝達
不平衡テスト(TDT)の実施によって行った。TDT曲線を物理地図と重ね合わせた
。続いて、関心対象の領域に対して遺伝子同定のための分子遺伝学的技法を適用
した。1メガベースのゲノム領域の塩基配列を高精度に決定し、この結果得られ たデータを、この領域における配列に基づく遺伝子予測および遺伝子のイントロ
ン/エキソン構造の決定のために用いた。
【0017】核酸組成物 ASTH1Iは、気管および前立腺で高レベルに発現され、肺および腎臓ならびにお
そらく他の組織における発現レベルは低い2.8kbのmRNAを生じる。ASTH1IのcDNA クローンは、前立腺、精巣および肺ライブラリーからも同定されている。配列多
型は表3に示されている。ASTH1Iには少なくとも3種類の選択的形態(alternate
form)があり、それぞれalt1、alt2およびalt3と表される。選択的スプライシン
グおよび開始コドンにより、アミノ末端が異なる3種類の形態のASTH1I蛋白質が 生じる。ASTH1I蛋白質alt1、alt2およびalt3の長さはそれぞれ265、255および16
4アミノ酸である。
【0018】 ASTH1I蛋白質およびASTH1J蛋白質のあるドメインは、etsファミリーの転写因 子と配列が類似している。etsファミリーは、さまざまな免疫過程および他の過 程に関与する遺伝子を活性化する転写因子の一群である。このファミリーのメン
バーのうち、ASTH1IおよびASTH1Jとの類似性が高いものは、ETS1、ETS2、ESX、E
LF、ELK1、TEL、NET、SAP-1、NERFおよびFLIである。ASTH1IおよびASTH1J蛋白質
には互いに類似性が認められる。それらのetsドメイン全体を通じての互いの類 似度(同じ位置に類似した性質をもつアミノ酸がある割合)は66%であり、一致
率は46%である。いずれの型のASTH1IおよびASTH1Jにおいても、いくつかの転写
因子の特徴であるヘリックス-ターン-ヘリックスモチーフが蛋白質のカルボキシ
ル末端付近に位置している。
【0019】 ASTH1Jは、気管、前立腺および膵臓で高レベルに発現され、大腸、小腸、肺お
よび胃における発現レベルは低い6kbのmRNAを生じる。ASTH1Jには少なくとも3種
類の形態があり、これはalt1、alt2およびalt3型からなる。3つの型のオープン リーディングフレームは同一であり、異なるのは5' UTRのみである。ASTH1Jによ
ってコードされる蛋白質の長さは300アミノ酸である。
【0020】 マウスasth1のコード領域の配列は配列番号:326に示されており、そのアミノ
酸配列は配列番号:327に示されている。マウスおよびヒト蛋白質の全長に関す る一致率は88.4%である。etsドメインにおける一致率は100%である。マウスcD
NAは、完全長ヒトcDNAのマウス肺cDNAライブラリー(Stratagene)に対するハイ
ブリダイゼーションによって同定された。
【0021】 「ASTHI遺伝子」という用語は、本明細書では、ASTH1I遺伝子およびASTH1J遺 伝子ならびにそれらの選択的形態を指定するために総称として用いられる。この
2つの遺伝子は、天然の染色体上では反対の向きに位置しており、両者の間に5' 調節配列が存在する。2つのコード領域の間にあるゲノム配列の部分は配列番号 :1として示されている。「ASTH1遺伝子座」という用語は、本明細書では、すべ
ての選択的形態を含むこの2つの遺伝子、および2つの遺伝子の間に位置するゲノ
ム配列を指して用いられる。選択的形態にはスプライシング変異体および配列に
おける多型が含まれる。個々の多型配列は配列番号:16〜159に示されている。 目的によっては、本明細書に記載される既知のEST配列を、ASTH1遺伝子座として
定義される配列から除外してもよい。
【0022】 ASTH1をコードするDNA配列は、cDNAまたはゲノムDNAでもよく、それらの断片 でもよい。「ASTH1遺伝子」という用語は、特定のASTH1ポリペプチドをコードす
るオープンリーディングフレーム、イントロン、ならびにコード領域を越えて最
大約1kbの範囲にわたるがさらに両方向に及ぶ可能性もある、発現の調節に関与 する隣接5'および3'非コードヌクレオチド配列も含むものとする。本遺伝子は染
色体外での維持または宿主内への組み込みのための適切なベクター中に導入しう
る。
【0023】 本明細書で用いられる「cDNA」という用語は、天然型の成熟mRNA種において認
められる配列要素の配列を共有するすべての核酸を含むものとし、ここで配列要
素とはエキソン、ならびに3'非コード領域および5'非コード領域である。通常、
mRNA種は介在するイントロンが核RNAスプライシングにより除去された連続する エキソンを有し、ASTH1蛋白質をコードする連続したオープンリーディングフレ ームが形成されている。
【0024】 ゲノムASTH1配列は、イントロンによって蛋白質コード領域が分断された非連 続的なオープンリーディングフレームを有する。関心対象のゲノム配列は、一覧
に示した配列中に規定されている通り、開始コドンと終止コドンとの間に、天然
の染色体に通常存在するすべてのイントロンを有する核酸を含む。これはさらに
、成熟mRNA中に認められる3'および5'非翻訳領域を含んでもよい。これはさらに
、転写領域の5'または3'端のいずれかに、約1kbだがそれより多い場合も考えら れる隣接ゲノムDNAを含む、プロモーター、エンハンサーなどの特定の転写およ び翻訳の調節配列を含んでもよい。ゲノムDNAは、100kbpまたはそれ未満の断片 として単離することができ、隣接する染色体配列を実質的に有しない。
【0025】 関心対象のゲノム領域には、配列番号:1に示すような、ASTH1Jに対して5'側に
位置する非転写配列が含まれる。DNAのこの領域は、連鎖したASTH1J遺伝子の発 現を指向する天然のプロモーター要素を含む。通常、プロモーター領域はASTH1 遺伝子の5'側に位置する約140ntの配列を有し、さらにTATAボックスおよびCAAT ボックスモチーフ配列(配列番号:14、nt. 597〜736)を含むと考えられる。プ
ロモーター領域が、さらにets結合モチーフ(C/A)GGA(A/T)(配列番号:14
、nt 1〜5)を含んでもよい。ets結合モチーフ、TATAボックスおよびCAATボック
スモチーフを含む、特に関心がもたれる領域を配列番号:14に示している。より
大きな配列内に位置する配列番号:14の位置は、配列番号:1のnt 60359〜61095
である。プロモーター配列がCAATボックス領域内に、例えば、プロモーターの機
能に影響を及ぼすことが示されている配列番号:12および配列番号:13における
ものなどの多型を含んでもよい。関心対象のプロモーター領域が、例えば配列番
号:1のnt 59000〜61095、配列番号:1のnt 5700〜61095などのように、より長 い配列内で配列番号:14の5'側まで伸長することも可能である。
【0026】 この5'領域の配列、ならびにさらに5'側の上流配列および3'側の下流配列を、
ASTH1Jが発現される組織中での発現をもたらすエンハンサー結合部位を含むプロ
モーター要素のために用いてもよい。組織特異的な発現は、発現パターンを決定
するため、および自然な発現パターンを模倣するプロモーターを提供するために
有用である。プロモーター領域内に天然にみられる多型は、発現における天然の
変異、特に疾患と関連する可能性のあるものを決定するために有用である。例え
ば、配列番号:12および13を参照されたい。または、実験的に規定された系にお
ける発現の変更の影響を明らかにするために、プロモーター領域に変異を導入す
ることも可能である。転写因子の結合に関与する特定のDNAモチーフを同定する ための方法は当技術分野で知られており、例えば、既知の結合モチーフとの配列
の類似性、ゲルシフト分析などがある。例えば、ブラックウェル(Blackwell) ら(1995)Mol Med 1:194〜205、マートロック(Mortlock)ら(1996)Genome
Res. 6:327〜33、ならびにジョウリン(Joulin)およびリチャード・フォイ(R
ichard-Foy)(1995)Eur J Biochem 232:620〜626を参照されたい。
【0027】 調節配列は、特に種々の組織または発生段階における、ASTH1発現の転写また は翻訳調節のために必要なシス作用配列を同定するため、およびASTH1発現を調 節または媒介するシス作用配列およびトランス作用因子を同定するために用いう
る。このような転写または翻訳制御領域は、培養細胞または胚、胎児もしくは成
体の組織における野生型もしくは改変型のASTH1または関心対象の他の蛋白質の 発現を促すため、および遺伝子治療のために、ASTH1遺伝子と機能的に結合した ものでありうる。
【0028】 本発明の核酸組成物は、主題ポリペプチドの全体または一部をコードする。DN
A配列の断片は、従来の方法に従ったオリゴヌクレオチドの化学合成、制限酵素 による消化、PCR増幅などによって入手することができる。DNA断片は概ね少なく
とも15ntであり、通常は少なくとも18ntであり、より一般的には少なくとも約50
ntであると考えられる。このような小さなDNA断片は、PCR、ハイブリダイゼーシ
ョンスクリーニングなどのためのプライマーとして有用である。より大きなDNA 断片、すなわち100ntを超えるものは、コードされるポリペプチドを産生するた めに有用である。PCRなどの増幅反応に用いるためには、一対のプライマーが用 いられると考えられる。プライマー配列の正確な組成は本発明にとって重要では
ないが、大部分の用途に関して、プライマーは当技術分野で既知のストリンジェ
ントな条件下で本配列とハイブリダイズすると考えられる。少なくとも約50nt、
好ましくは少なくとも約100ntの増幅産物を生じると思われる一対のプライマー を選択することが好ましい。プライマー配列を選択するためのアルゴリズムは一
般的に知られており、市販のソフトウエアパッケージとして入手可能である。増
幅プライマーはDNA相補鎖とハイブリダイズし、互いの方向への起始点となる。
【0029】 ASTH1遺伝子は、実質的に純粋な形で、一般には完全な哺乳動物染色体以外の 形で、単離および入手される。通常、このDNAは、ASTH1配列またはその断片を含
まない他の核酸配列を実質的に含まない形で得られると考えられ、一般には少な
くとも約50%、通常は少なくとも約90%の純度であり、典型的には「組換え体」
である、すなわち天然にみられる染色体では通常は付随していない1つまたは複 数のヌクレオチドが隣接していると考えられる。
【0030】 本DNA配列は種々の方式において用いられる。それらを、ASTH1関連遺伝子を同
定するためのプローブとして用いてもよい。哺乳動物相同体は、本配列とのかな
り高い配列類似性を有しており、すなわち、本DNA配列のヌクレオチド配列との 配列同一性が少なくとも75%、通常少なくとも90%、より一般的には少なくとも
95%である。配列類似性は、保存的モチーフ、コード領域、隣接領域などのより
大きな配列のサブセットであるような参照配列に基づいて算出される。参照配列
の長さは通常は少なくとも約18ntであり、より一般的には少なくとも約30ntであ
り、比較される完全な配列の長さを有していてもよい。配列解析のためのアルゴ
リズムは、当技術分野で公知であり、アルトシュル(Altschul)ら(1990)J Mo
l Biol 215:403〜10に記載されているBLASTなどがある。
【0031】 配列類似性のある核酸は、例えば、50℃で、10×SSC(0.9M食塩水/0.09Mクエ
ン酸ナトリウム)を用い、55℃の1×SSC中で洗浄した後に結合が保たれる、低ス
トリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションによって検出される。配列
一致率を、例えば、50℃またはそれ以上の温度および0.1×SSC(9M食塩水/0.9M
クエン酸ナトリウム)というストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーシ
ョンによって決定することもできる。プローブ、特にDNA配列の標識プローブを 用いることにより、相同遺伝子または関連遺伝子を単離することができる。相同
遺伝子の供給源は任意の種でよく、例えば、霊長類種、特にヒト、ラットおよび
マウスなどの齧歯類、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ウマ、酵母、ショウジョウバ
エ、線虫などが可能である。
【0032】 DNAを、生物標本における遺伝子の発現を同定するために用いることもできる 。ゲノムDNAまたはRNAのような特定のヌクレオチド配列の存在に関して細胞を探
索する際の様式は文献中に明確に記載されており、本明細書で詳細に記載するに
は及ばない。mRNAは細胞試料から単離される。逆転写酵素を用いて相補的DNA鎖 を形成し、続いて本DNA配列に対して特異的なプライマーを用いるポリメラーゼ 連鎖反応による増幅を行うRT-PCRによってmRNAを増幅してもよい。または、mRNA
試料は、ゲル電気泳動によって分離し、例えばニトロセルロース、ナイロンなど
の適当な支持体に転写し、続いて本DNAの断片をプローブとして用いて探索され る。オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ、インサイチューハイブリダイ
ゼーション、固相チップにアレイに配置されたDNAプローブへのハイブリダイゼ ーションなどの他の技法も用いられる。本配列にハイブリダイズするmRNAが検出
されることは、試料中にASTH1遺伝子が発現していることの指標となる。
【0033】 本核酸配列はさまざまな目的のために改変することができ、特にそれらが細胞
内で用いられる場合には、例えば、遺伝子の切断のために鉄またはクロムなどの
キレート化金属イオンなどの核酸切断剤との併用によって改変することが可能で
ある。
【0034】 プロモーター強度、コードされる蛋白質の配列などを選択的に変化させるため
に、隣接プロモーター領域およびコード領域を含むASTH1遺伝子座を、当技術分 野で知られた種々のやり方で変異させてもよい。このような変異のあるDNA配列 または産物は、本明細書で提供される配列と実質的に同一であると考えられ、す
なわちそれぞれヌクレオチドまたはアミノ酸が少なくとも1つ異なり、ヌクレオ チドまたはアミノ酸が少なくとも2つは異なってよいが、約10個を超えて異なる ことはないと考えられる。配列の変化としては置換、挿入または欠失が可能であ
る。欠失には、ドメインまたはエキソンの欠失などの比較的大規模な変化が含ま
れうる。関心対象のその他の改変には、FLAGシステム、HAなどを用いるエピトー
プタギング(epitope tagging)が含まれる。細胞内局在の検討には、緑色蛍光 蛋白質(GFP)との融合蛋白質を用いうる。このような変異遺伝子は、ASTH1ポリ
ペプチドの構造-機能相関を検討するため、またはその機能もしくは調節に影響 を及ぼす蛋白質の特性を変化させるために用いうる。例えば、この様式で、構成
的に活性をもつ転写因子、または転写活性化を要せずにASTH1 DNA標的部位と結 合するドミナントネガティブ活性蛋白質を作製することができる。
【0035】 クローニングされた遺伝子のインビトロ変異誘発のための技法は周知である。
変異のスキャニングのための手順の例には、ガスチン(Gustin)ら、Biotechniq
ues 14:22(1993)、バラニー(Barany)、Gene 37:111〜23(1985)、コリセ
リ(Colicelli)ら、MolGen Genet 199:537〜9(1985)およびプレントキ(Pre
ntki)ら、Gene 29:303〜13(1984)がある。部位特異的変異誘発のための方法
は、サムブルック(Sambrook)ら、分子クローニング:実験室マニュアル(Mole
cular Cloning:A Laboratory Manual)、CSH Press 1989、pp. 15.3〜15.108、
ワイナー(Weiner)ら、Gene 126:35〜41(1993)、セイヤーズ(Sayers)ら、
Biotechniques 13:592〜6(1992)、ジョーンズ(Jones)およびウィニストー ファー(Winistorfer)、Biotechniques 12:528〜30(1992)、バートン(Bart
on)ら、Nucleic Acids Res 18:7349〜55(1990)、マロッティ(Marotti)お よびトミッヒ(Tomich)、Gene Anal Tech 6:67〜70(1989)、ならびにチュー
(Zhu)Anal Biochem 177:120〜4(1989)にある。
【0036】ASTH1蛋白質の合成 本遺伝子は、完全なASTH1蛋白質またはそのポリペプチド断片、特に機能性ド メイン、結合部位などに対応する断片、および主題ポリペプチドと他の蛋白質ま
たはその一部との融合物を含めたものを合成するために用いることができる。発
現のためには、誘導性でも構成性でもよく、転写および翻訳開始領域ならびに転
写および翻訳終結領域をもたらし、コード領域が転写開始領域の転写制御下にお
いて機能的に結合した位置にあるような発現カセットを用いることができる。発
現宿主において機能的である種々の転写開始領域を用いることができる。
【0037】 発現の目的に応じて、従来の方法に従って、原核生物または真核生物において
ポリペプチドを発現させることもできる。蛋白質の大規模生産のためには、大腸
菌、枯草菌、酵母などの単細胞生物、または例えばCOS7細胞などの、脊椎動物、
特に哺乳動物などの高等生物の細胞を発現宿主細胞として用いることもできる。
多くの状況では、蛋白質が天然型の折りたたみおよび翻訳後修飾により有益とな
るようなASTH1遺伝子を哺乳動物細胞において発現させることが望ましいと考え られる。低分子ペプチドを研究室で合成することも可能である。
【0038】 発現宿主を用いてポリペプチドを大量に入手しうる場合には、従来の方法に従
ってポリペプチドを単離および精製することもできる。溶解物は発現宿主から調
製することができ、溶解物はHPLC、排除クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、ア
フィニティクロマトグラフィー、または他の精製法を用いて精製される。精製さ
れたポリペプチドは一般に少なくとも約80%の純度を有し、好ましくは少なくと
も約90%の純度を有し、100%の純度までを含むことが可能である。純粋とは、 その他の蛋白質や細胞片を含まないことを意味するものとする。
【0039】 本ポリペプチドは、短い断片が特定ポリペプチドに特異的な抗体を提供し、長
い断片または蛋白質全体がポリペプチドの表面全体にわたる抗体の産生を可能に
するような抗体の製造のために用いられる。抗体は野生型または変異型のTULP蛋
白質に対して産生させることができる。例えば、ASTH1遺伝子を発現している細 胞による免疫化、膜内に挿入されたASTH1を有するリポソームによる免疫化など によって、これらのドメインに対応する単離ペプチドまたは天然型蛋白質に対す
る抗体を産生させてもよい。
【0040】 発現されたポリペプチドまたは蛋白質が、それ自体または例えばKLH、pre-S H
BsAg、他のウイルス性もしくは真核生物性の蛋白質などの既知の免疫原性担体と
の複合体の形成によって免疫原として用いられるような、従来の方法に従って抗
体を調製する。一連の注射が行われるような、種々のアジュバントを適宜用いる
ことができる。モノクローナル抗体については、1回またはそれ以上の追加免疫 注射を行った後に、脾臓を単離して、細胞融合によってリンパ球を不死化し、続
いて高親和性の抗体結合に関してスクリーニングを行う。続いて、所望の抗体を
産生する不死化細胞、すなわちハイブリドーマを増殖させてもよい。より詳細な
記載については、モノクローナル抗体:実験マニュアル(Monoconal Antibodies
:A Laborarory Manual)、ハーロウ(Harlow)およびレーン(Lane)編、Cold
Spring Harbor Laboratories、Cold Spring Harbor、New York、1988を参照され
たい。必要に応じて、抗体の親和性をさらに高めるために、重鎖および軽鎖をコ
ードするmRNAを単離し、大腸菌内でのクローニングによる変異誘発を施して重鎖
および軽鎖を混合してもよい。抗体産生のための方法としてのインビボ免疫化に
対する代替法には、通常はインビトロ親和性成熟(affinity maturation)とと もに行われる、ファージ「ディスプレイ」ライブラリーに対する結合が含まれる
【0041】ASTH1関連喘息の検出 ASTH1関連喘息の診断は、生検材料、血液試料、頬の内側の擦過試料などの患 者からの任意の好都合な試料に関する蛋白質、DNAもしくはRNA配列および/また
はハイブリダイゼーション分析によってなされる。ASTH1と関連する可能性のあ る喘息の患者から得た核酸試料を、ASTH1における病因多型(predisposing poly
morphism)の存在に関して分析する。典型的な患者の遺伝子型には、少なくとも
1つの染色体上に素因となる変異が少なくとも1つあると考えられる。遺伝子産物
の活性または発現に影響を及ぼし、喘息に対する罹病性を高める多型性ASTH1配 列が存在すれば、病因多型とみなす。病因多型の有無に関してDNAまたはmRNAを 分析し、それを喘息に関して中立的な配列と比較することによって個人のスクリ
ーニングを行う。特定の関心対象の配列には、コード領域配列、スプライシング
に影響を及ぼすイントロン配列、または蛋白質の活性および発現に影響を及ぼす
プロモーターもしくはエンハンサー配列に影響を及ぼす挿入、置換および欠失を
非制限的に含む、臨床的な気道過敏性につながる、または喘息と関連するあらゆ
る多型が含まれる。喘息患者における具体的なASTH1多型の例は、表3〜8に一覧 として示されている。
【0042】 配列番号:12および13のCAATボックス多型(配列番号:14の内部に位置する)
には、特に関心がもたれる。「G」型である配列番号:13は、気道過敏性または 喘息を発症しやすい傾向と関連する可能性がある。周辺領域におけるその他の多
型はこの関連に影響を及ぼす。「A」から「G」への置換によって核蛋白質のDNA モチーフとの結合性が低下することが明らかになっている。
【0043】 ASTH1病因多型の影響は、Fcε受容体、クラスIおよびクラスII HLA抗原、T細 胞受容体および免疫グロブリン遺伝子、サイトカインおよびサイトカイン受容体
などを非制限的に含む、喘息およびアトピーに関連するその他の遺伝子における
患者の遺伝子型によって調節されうる。
【0044】 スクリーニングは、蛋白質の機能的または抗原的な特徴に基づくものでもよい
。ASTH1蛋白質における病因多型を検出するために設計されたイムノアッセイ法 をスクリーニングに用いてもよい。多種多様な変異によって特定の単一の疾患表
現型が生じる場合には、機能的蛋白質アッセイ法がスクリーニング用ツールとし
て有効なことが明らかになっている。
【0045】 ASTH1コード領域または制御領域における配列多型の候補が疾患と関連するか 否かを判定するために、生化学試験を行うこともできる。例えば、ASTH1の発現 に影響を及ぼすプロモーター配列またはエンハンサー配列の変化により、喘息に
対する素因が生じる可能性がある。当技術分野で知られた種々の方法によって、
候補となる変異型対立遺伝子の発現レベルを正常な対立遺伝子の発現レベルと比
較する。プロモーターまたはエンハンサーの強度を判定するための方法には、発
現された天然型蛋白質の定量化、好都合な定量化を可能とするβ-ガラクトシダ ーゼ、ルシフェラーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼなど
のレポーター遺伝子を備えたベクター中への変異型制御要素の挿入などが含まれ
る。コードされるASTH1蛋白質の活性は、野生型蛋白質との比較によって判定し うる。
【0046】 特定の配列の有無に関して核酸を分析するための方法は数多くある。大量のDN
Aを入手しうる場合には、ゲノムDNAを直接用いる。または、関心対象の領域を適
したベクター中にクローニングし、十分に分析を行える量になるまで増殖させる
。ASTH1遺伝子を発現する気管細胞などの細胞はmRNAの供給源として用いること ができ、それを直接アッセイしてもよく、または分析のためにcDNAに逆転写して
もよい。十分に分析を行える量を得るために、核酸をポリメラーゼ連鎖反応(PC
R)などの従来の技法によって増幅してもよい。ポリメラーゼ連鎖反応の用法は サイキ(Saiki)ら(1985)Science 239:487に記載されており、現在の技法の 概説はサムブルック(Sambrook)ら、分子クローニング:実験室マニュアル(Mo
lecular Cloning:A Laboratory Manual)、CSH Press 1989、pp.14.2〜14.33に
なされている。多型に対して特異的なプライマーを用いることにより、多型が存
在するか否かを判定するために増幅を用いることもできる。または、多型を検出
する手段としてオリゴヌクレオチド連結を用いる種々の方法も当技術分野では知
られており、例えば、ライリー(Riley)ら(1990)N.A.R. 18:2887〜2890、お
よびデラハンティ(Delahunty)ら(1996)Am. J. Hum. Genet. 58:1239〜1246
を参照されたい。
【0047】 増幅反応に検出可能な標識を含めてもよい。適した標識には、フルオレセイン
イソチオシアネート(FITC)、ローダミン、テキサスレッド、フィコエリトリン
、アロフィコシアニン、6-カルボキシフルオレセイン(6-FAM)、2',7'-ジメト キシ-4',5'-ジクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(JOE)、6-カルボキシ-X-ロ
ーダミン(ROX)、6-カルボキシ-2',4',7',4,7-ヘキサクロロフルオレセイン(H
EX)、5-カルボキシフルオレセイン(5-FAM)またはN,N,N',N'-テトラメチル-6-
カルボキシローダミン(TAMRA)などの蛍光色素、32P、35S、Hなどの放射
性標識などが含まれる。標識は、増幅されたDNAがアビジン、特異抗体などの高 親和性結合パートナーを持つビオチン、ハプテンなどと結合し、結合パートナー
が検出可能な標識と結合する2段階システムでもよい。標識をプライマーの一方 または両方と結合させてもよい。または、標識が増幅産物中に取り込まれるよう
に、増幅に用いるヌクレオチドのプールを標識する。
【0048】 試料となる核酸、例えば増幅またはクローニングされた断片は、当技術分野で
知られた数多くの方法のうちの1つによって分析される。ジデオキシ法または他 の方法によって核酸のシークエンシングを行い、塩基の配列を中立的ASTH1配列 と比較してもよい。サザンブロット法、ドットブロット法などにより、変異型配
列とのハイブリダイゼーションを、その有無を判定するために用いることも可能
である。変異型配列の存在を検出するための手段として、米国特許第5,445,934 号または国際公開公報第95/35505号に記載された、固体支持体上に固定された オリゴヌクレオチドプローブのアレイに対する対照および変異型配列のハイブリ
ダイゼーションパターンを用いてもよい。DNA配列の変異によって生じる立体構 造の変化を電気泳動移動度の変化として検出するためには、一本鎖立体構造多型
(SSCP)分析、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)、ミスマッチ切断検出およびゲル
基質におけるヘテロ二本鎖分析が用いられる。または、多型によって制限エンド
ヌクレアーゼの認識部位が創出または破壊される場合には(制限断片長多型、RF
LP)、試料をそのエンドヌクレアーゼで消化し、断片が消化されたか否かを判定
するために産物をサイズ分画にかける。分画は、ゲルまたはキャピラリー電気泳
動法により、特にアクリルアミドまたはアガロースゲルを用いて行われる。
【0049】 米国特許第5,445,934号または国際公開公報第95/35505号に記載された、固体
支持体上に固定されたオリゴヌクレオチドプローブのアレイに対する対照および
変異型配列のハイブリダイゼーションパターンを、変異型配列の存在を検出する
ための手段として用いることもできる。本発明の1つの態様では、アレイ上の離 散的な位置がASTH1遺伝子座のmRNAまたはゲノムDNAの少なくとも一部に対して相
補的であるようなオリゴヌクレオチドのアレイが提供される。このようなアレイ
は、そのそれぞれがASTH1遺伝子座由来のmRNA、cDNA、ゲノムDNAなどの核酸と特
異的にハイブリダイズしうる一連のオリゴヌクレオチドを含みうる。
【0050】 アレイは、表3に一覧を示す多型(配列番号:16〜126)の全体またはサブセッ
トを含みうる。アレイには、一覧に示す配列の一方または両方によって表される
多型の一方または両方が存在することができ、例えば、配列番号:12および13の
多型などが存在しうる。通常、このようなアレイは少なくとも2種の異なる多型 配列を含むと考えられ、すなわち遺伝子座におけるユニークな位置にある多型を
通常は少なくとも約5種、より一般的には少なくとも約10種含むことができ、さ らには50〜100種もの異なる多型を含みうる。アレイ上のオリゴヌクレオチド配 列の長さは通常、提供される多型配列の長さと思われる少なくとも12ntであると
考えられるが、長さ100〜200ntの断片が生じるように隣接領域まで延長してもよ
い。アレイの例としては、ハシア(Hacia)ら(1996)Nature Genetics 14:441
〜447、ロックハート(Lockhart)ら(1996)Nature Biotechnol. 14:1675〜16
80およびデ・リシ(De Risi)ら(1996)Nature Genetics 14:457〜460を参照 されたい。
【0051】 ASTH1多型に対して特異的な抗体を、スクリーニングイムノアッセイ法に用い ることもできる。中立的ASTH1の減少もしくは増加および/または喘息関連多型 が存在することは、喘息がASTH1と関連することの指標となる。ASTH1関連喘息の
疑いがある患者から試料を採取する。本明細書で用いる試料には、気管洗浄液、
血液、脳脊髄液、涙液、唾液、リンパ液、透析液など、器官または組織の培養物
に由来する液体、および生理的組織から抽出した液体が含まれる。また、この用
語には、このような液体の誘導物および画分も含まれる。気管擦過物などの生検
試料には特に関心がもたれる。試料中の細胞の数は、一般に少なくとも約10
、通常は少なくとも10個、より一般的には少なくとも約10個であると考えら
れる。固形組織の場合には細胞を分離してもよく、組織切片を分析してもよい。
または、細胞の可溶化物を調製することもできる。
【0052】 診断はさまざまな方法によって行いうる。種々の方法はいずれも、ASTH1にお いて病因多型が存在する疑いのある患者の細胞における正常または異常ASTH1の 有無もしくは量の変化を判定するものである。例えば、従来の方法に従って行わ
れる細胞または組織切片の染色を検出に用いることができる。関心対象の抗体を
細胞試料に添加し、エピトープとの結合が十分に起こるまでの時間、通常は少な
くとも約10分間にわたってインキュベートする。直接的検出のために抗体を放射
性同位体、酵素、蛍光剤、化学発光剤またはその他の標識によって標識してもよ
い。または、シグナルを増幅するために第2段階の抗体または試薬を用いる。こ のような試薬は当技術分野で周知である。例えば、一次抗体をビオチンと結合さ
せ、西洋ワサビペルオキシダーゼが結合したアビジンを第2段階の試薬として添 加することができる。最終的な検出には、ペルオキシダーゼの存在下で色調変化
をきたす基質を用いる。抗体結合の有無は、分離した細胞のフローサイトメトリ
ー、顕微鏡検査、X線検査、シンチレーション計数などを含む種々の方法によっ て判定しうる。
【0053】 1つの代替的な診断法は、可溶化物における抗体とASTH1との結合のインビトロ
検出に依拠する。試料またはその画分におけるASTH1結合濃度の測定は、種々の 特異的アッセイ法によって行いうる。従来のサンドイッチ式アッセイ法を用いて
もよい。例えば、サンドイッチアッセイ法ではまず、ASTH1特異的抗体を不溶性 表面または支持体に付着させる。本発明の試薬と方法全体との適合性がある限り
、結合の詳細な様式は特に重要ではない。それらのプレートとの結合は共有的で
も非共有的でもよいが、非共有的であることが好ましい。
【0054】 不溶性支持体は、それに対してポリペプチドが結合可能であって、可溶性材料
から容易に分離され、その他の点で方法全体との適合性がある任意の組成物であ
りうる。このような支持体の表面は充実性固体でも多孔性でもよく、任意の好都
合な形態でありうる。受容体が結合する適した不溶性支持体の例には、磁性ビー
ズなどのビーズ、膜およびマイクロタイタープレートが含まれる。これらは典型
的にはガラス、プラスチック(例えばポリスチレン)、多糖、ナイロンまたはニ
トロセルロース製である。少量の試薬および試料を用いて多数のアッセイを同時
に行えることから、マイクロタイタープレートが特に好都合である。
【0055】 続いて、患者試料の可溶化物を、抗体を含む別々にアッセイ可能な支持体(例
えば、マイクロタイタープレートの別々のウェル)に添加する。対照として利用
するために、既知の濃度の正常ASTH1および/または異常ASTH1を含む一連の標準
物質を、試料またはそのアリコートと並行してアッセイすることが好ましい。好
ましくは、各試料および標準物質は、それぞれに関する平均値が得られるように
複数のウェルに添加される。インキュベーション期間は結合が起こるために十分
である必要があり、一般には約0.1〜3時間で十分である。インキュベーション後
には一般に、不溶性支持体から非結合型成分を洗い流す。一般に、洗浄用媒体と
しては適切なpH、一般に7〜8の希薄非イオン性界面活性剤媒体を用いる。試料中
に存在する非特異的に結合した蛋白質を十分に洗い流すためには、十分な容量を
用いて、1回から6回の洗浄を行う。
【0056】 洗浄の後に、二次抗体を含む溶液を適用する。この抗体は、存在する他の成分
からそれを区別しうるような十分な特異性をもってASTH1と結合すると考えられ る。結合の直接的または間接的な定量化が容易になるように、二次抗体を標識し
てもよい。二次的な受容体結合の直接的測定を可能とする標識の例には、3Hまた
125Iなどの放射性標識、蛍光剤、色素、ビーズ、化学発光剤、コロイド粒子な
どが含まれる。結合の間接的測定を可能とする標識の例には、その基質が有色性
または蛍光性の産物をもたらすような酵素が含まれる。1つの好ましい態様では 、抗体を、適切な基質を添加した後に検出可能な産物シグナルを生じうる共有結
合性の酵素によって標識する。複合体として用いるために適した酵素の例には、
西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、リンゴ酸デヒドロゲナ
ーゼなどが含まれる。このような抗体-酵素複合体は、市販されていない場合に は、当業者に知られた技法によって容易に作製しうる。インキュベーション期間
は、標識されたリガンドが利用可能な分子と結合するために十分である必要があ
る。一般には、約0.1〜3時間、通常は1時間で十分である。
【0057】 二次的な結合段階の後に、不溶性支持体から非特異的に結合した材料を再び洗
い流す。従来の方法により、結合した複合体によって生じるシグナルを検出する
。酵素複合体を用いる場合には、検出可能な産物が形成されるように適切な酵素
基質を提供する。
【0058】 その他のイムノアッセイ法も当技術分野で知られており、診断法として有用な
可能性がある。オクタロニープレートは、抗体結合の簡便な判定法となる。ASTH
1に対して特異的な検出システムを必要に応じて用い、サンドイッチアッセイ法 に関して述べた標識法をうまく用いることにより、蛋白質ゲルまたはフィルター
上の蛋白質スポットに対してウエスタンブロット法を行うことも可能である。
【0059】 関心がもたれるその他の診断アッセイ法は、ASTH1蛋白質の機能的特性に基づ くものである。このようなアッセイ法は、極めて数多くの異なる変異が単一の共
通の表現型、すなわち気道過敏性につながる蛋白質機能の変化をもたらす場合に
は特に有用である。例えば、機能的アッセイ法は、ASTH1遺伝子産物によって媒 介される転写変化に基づくことが可能である。また、例えば、立体構造の変化、
ASTH1蛋白質の挿入、欠失もしくは切断に起因するサイズの変化、または細胞内 局在の変化を検出するためのアッセイ法も可能である。
【0060】 蛋白質切断試験では、ASTH1遺伝子またはその転写物から増幅されたPCR断片を
、蛋白質産物を産生させるためのインビボ転写/翻訳反応のためのテンプレート
として用いる。切断が機能喪失と相関する可能性がある場合には、多型遺伝子が
切断型蛋白質をコードするか否かを判定するために、ゲル電気泳動による分離を
行う。
【0061】 気道過敏性に対する素因と遺伝的連鎖がある多型に対して、特にマイクロサテ
ライトマーカーまたは一塩基多型(single nucleotide polymorphism)の使用に
より、診断的スクリーニングを行うことも可能である。マイクロサテライト多型
自体は表現型として発現されないが、それが疾病素因をもたらす配列と連鎖して
いることもしばしばである。しかし、場合によっては、マイクロサテライト配列
自体が遺伝子の発現に影響を及ぼすこともある。マイクロサテライト連鎖解析は
単独で行ってもよく、上記の直接的な多型検出と組み合わせてもよい。遺伝子型
判定のためのマイクロサテライトマーカーの使用には十分な文献的裏付けがある
。例えば、マンスフィールド(Mansfield)ら(1994)Genomics 24:225〜233、
ツィーグル(Ziegle)ら(1992)Genomics 14:1026〜1031、ディブ(Dib)ら、
前記を参照されたい。
【0062】 本方法において有用なマイクロサテライト遺伝子座は U (R) U' という一般式で表され、式中、UおよびU'は特定の遺伝子座を一意的に特定する 非反復性隣接配列であり、Rは反復モチーフであり、nは反復数である。反復モチ
ーフの長さは少なくとも2ヌクレオチドであり、最大で7ヌクレオチド、通常は2 〜4ヌクレオチドの長さである。反復は単純なものでも複雑なものでもよい。隣 接配列UおよびU'は、ヒトゲノムにおいてそのマイクロサテライト遺伝子座を一 意的に特定する。UおよびU'の長さは少なくとも約18ヌクレオチドであり、反復 のいずれかの側に数百塩基から最大約1kbにわたって伸長しうる。UおよびU'の内
部にある配列を増幅プライマー用として選択する。プライマー配列の厳密な構成
は本発明にとって特に重要というわけではないが、それらはストリンジェントな
条件下でそれぞれ隣接配列UおよびU'とハイブリダイズする必要がある。増幅プ ライマーの選択基準は以前に考察した通りである。遺伝子座におけるサイズの差
に関する分解能を最大限に高めるためには、増幅産物全体の長さが100〜500ヌク
レオチドの間となるように、反復配列に近接したプライマー配列を選択すること
が好ましい。
【0063】 特定の遺伝子座における反復数nは集団において多型性であるため、増幅プラ イマーの間に位置するDNAの長さには個体差が生じる。この数は、少なくとも1回
の反復から約100回またはそれ以上の反復に至るまでさまざまであると考えられ る。
【0064】 プライマーは、この反復を含むゲノムDNAの領域を増幅するために用いられる 。前記の通り、増幅反応において検出可能な標識を含めることが好都合と考えら
れる。数組のプライマーを同一の反応チューブ内で併用する多重増幅を行うこと
も可能である。これは、分析に用いうる試料DNAの量が限られている場合に特に 有益である。プライマーのそれぞれの組を異なる蛍光色素で標識するのが好都合
である。
【0065】 増幅の後に、産物のサイズ分画を行う。分画はゲル電気泳動により、特に変性
アクリルアミドまたはアガロースゲルを用いて行うことができる。好都合なシス
テムは、変性ポリアクリルアミドゲルを自動DNAシークエンサーと組み合わせて 用いるものであり、これについてはハンカピラー(Hunkapillar)ら(1991)Sci
ence 254:59〜74を参照されたい。自動シークエンサーは、多重増幅または別々
のPCR反応の産物をまとめたものに対して特に有用である。キャピラリー電気泳 動も分画のために用いうる。キャピラリー電気泳動に関する概説は、ランダース
(Landers)ら(1993)BioTechniques 14:98〜111に記載されている。増幅産物
のサイズは、プライマーによって特定される遺伝子座に存在する反復の数に比例
する。このサイズは集団において多型性であると考えられ、このため、その遺伝
子座に対する対立遺伝子マーカーとなる。
【0066】 ASTH1遺伝子座の領域では数多くのマーカーが同定されており、実験に関する セクションの表1に一覧を示している(配列番号:160〜273)。診断の目的で特 に関心がもたれるのはマーカーD11S2008であり、この遺伝子座に対立遺伝子Cま たはFがある個人には気道過敏性または喘息を発症しやすい素因があり、CAATボ ックス多型および他の多型を兼ね備えている場合には特にそうである。D11S2008
対立遺伝子の相関は以下の通りである。 診断に関して特に関心がもたれるDNA配列は、配列番号:15の1回または3回の反 復物に隣接する形で、表1に示されたD11S2008プライマー配列(配列番号:242お
よび243)を含む。
【0067】 診断の目的で関心がもたれる他のマイクロサテライトマーカーは、CA39_2、77
4F、774J、774O、L19PENTA1、6SP14TE1、AFM205YG5、D11S907、D11S4200、774N 、CA11-11、774L、AFM283WH9、ASMI14およびD11S1900である(プライマー配列は
表1に示されており、反復は表1Bに示されている)。
【0068】ASTH1発現の調節 ASTH1遺伝子は、例えば発生および組織に特異的な発現パターンの決定などに おけるASTH1発現の分析のため、ならびにインビトロおよびインビボでの発現の 調節のためにに有用である。配列番号:1の調節領域を、ASTH1発現分析を行うた
めに用いることも可能である。遺伝子導入のために有用なベクターには、プラス
ミドおよびウイルスベクターが含まれる。特に関心がもたれるものは、哺乳動物
細胞内で一次的または安定的に維持される、モロニーマウス白血病ウイルスおよ
び改変型ヒト免疫不全症ウイルスなどのレトロウイルスベクター、アデノウイル
スベクターなどである。細胞のゲノム内への遺伝子のトランスフェクションおよ
び/または組み込みのためには、多種多様なベクターを用いうる。または、適し
た宿主細胞内に遺伝子を導入するために、微量注入、融合などを用いてもよい。
例えば、ダーワン(Dhawan)ら(1991)Science 254:1509〜1512、およびスミ ス(Smith)ら(1990)Molecular and Cellular Biology 3268〜3271を参照され
たい。
【0069】 肺へのベクターの投与には特に関心がもたれる。イーストマン(Eastman)ら (1997)Hum Gene Ther8:765〜773、オードリリ(Oudrhiri)ら(1997)P.N.A.
S. 94:1651〜1656、マクドナルド(McDonald)ら(1997)Hum Gene Ther 8:41
1〜422に記載されている通り、このような方法にはリポソーム製剤を用いること
がしばしばである。
【0070】 発現ベクターは、機能的mRNAを産生するように配向した転写開始領域を有する
と考えられる。天然の転写開始領域、例えば配列番号:14の配列を用いることも 、または外因性の転写開始領域を用いることもできる。インビトロ組換え法によ
り、または配列の染色体への相同的組み込みの結果として、プロモーターを導入
することもできる。β-アクチンプロモーター、SV40初期および後期プロモータ ー、ヒトサイトメガロウイルスプロモーター、レトロウイルスLTR、メタロチオ ネイン反応要素(MRE)、テトラサイクリン誘導性プロモーター構築物などを含 む多くの強力なプロモーターが当技術分野では既知である。
【0071】 発現ベクターは一般に、核酸配列を挿入するためにプロモーター配列の付近に
配置された好都合な制限部位を有する。転写開始領域標的、標的遺伝子またはそ
の断片、および転写終結領域を含む転写カセットを調製してもよい。転写カセッ
トは、通常は少なくとも約1日の期間、より一般的には少なくとも約数日から数 週間の期間にわたって、ベクターが一時的または安定的に細胞内で維持されるよ
うな、例えばプラスミド、レンチウイルスなどのレトロウイルス、アデノウイル
スなどのさまざまなベクター中に導入することができる。
【0072】 アンチセンス分子は、細胞内でのASTH1遺伝子の発現をダウンレギュレートす るために用いられる。アンチセンス試薬は、アンチセンスオリゴヌクレオチド(
ODN)、特に天然型核酸からの化学修飾を有する合成ODN、またはそのようなアン
チセンス分子をRNAとして発現する核酸構築物でありうる。アンチセンス配列は 標的遺伝子のmRNAに対して相補的であり、標的遺伝子産物の発現を阻害する。ア
ンチセンス分子は、例えば翻訳に利用しうるmRNAの量の減少、RNAse Hの活性化 、または立体障害などのさまざまな機序を介して遺伝子発現を阻害する。1つの アンチセンス分子、または複数の異なる配列を含むようなその混合物を投与する
ことができる。
【0073】 アンチセンス分子は、アンチセンス鎖がRNA分子として産生されるように転写 開始が配向されている適切なベクター中での、標的遺伝子配列の全体または一部
の発現によって産生されうる。または、アンチセンス分子は合成オリゴヌクレオ
チドである。アンチセンスオリゴヌクレオチドの長さは一般に少なくとも約7、 通常は少なくとも約12、より一般的には少なくとも約20ヌクレオチドであり、か
つ約500ヌクレオチド以下、通常は約50ヌクレオチド以下、より一般的には約35 ヌクレオチド以下の長さであり、その長さは阻害効率、特に交差反応性がないこ
となどを含む特異性などによって規定される。長さ7〜8塩基の短いオリゴヌクレ
オチドは、遺伝子発現の強力かつ選択的な阻害剤となりうることが明らかになっ
ている(Wagnerら(1996)Nature Biotechnology 14:840〜844)。
【0074】 内因性センス鎖mRNA配列の特定の1つの領域または複数の領域が、アンチセン ス配列によって相補されるように選択される。オリゴヌクレオチドに関する特異
的な配列の選択には、いくつかの候補となる配列がインビトロまたは動物モデル
で標的遺伝子の発現を阻害することに関してアッセイされるような経験的な方法
を用いてもよい。mRNA配列のいくつかの領域がアンチセンス相補性に関して選択
された、配列の混合物を用いてもよい。
【0075】 アンチセンスオリゴヌクレオチドを、当技術分野で既知の方法によって化学合
成することもできる(Wagnerら(1993)前記、およびMilliganら、前記を参照)
。好ましいオリゴヌクレオチドは、細胞内での安定性および結合親和性を高める
ために天然のホスホジエステル構造に対して化学修飾を施されたものである。バ
ックボーン、糖もしくは複素環をベースとする化学的性質を変化させる数多くの
このような修飾について文献に記載されている。
【0076】 化学的骨格における有用な変化としては、ホスホロチオエート、非架橋性酸素
が両方とも硫黄で置換されたホスホロジチオエート、ホスホロアミダイト、アル
キルリン酸トリエステルおよびボラノリン酸(boranophosphate)がある。非キ ラル性リン酸誘導体には、3'-O'-5'-S-ホスホロチオエート、3'-S-5'-O-ホスホ ロチオエート、3'-CH2-5'-O-ホスホネートおよび3'-NH-5'-O-ホスホロアミダイ トが含まれる。ペプチド核酸では、ホスホジエステル骨格のすべてがペプチド結
合によって置換される。安定性および親和性を高めるために糖修飾も用いられる
。天然のβ-アノマーからみて塩基が反転している、α-アノマー型のデオキシリ
ボースを用いてもよい。リボース糖の2'-OHを変化させ、親和性を生じずに分解 に対する耐性が得られる2'-O-メチルまたは2'-O-アリル糖を形成させることも可
能である。複素環式塩基の修飾では、適切な塩基対形成を維持する必要がある。
いくつかの有用な置換としては、デオキシウリジンによるデオキシシチジンの置
換、5-メチル-2'-デオキシシチジンおよび5-ブロモ-2'-デオキシシチジンによる
デオキシシチジンの置換が含まれる。それぞれ5-プロピニル-2'-デオキシウリジ
ンおよび5-プロピニル-2'-デオキシシチジンによってデオキシチミジンおよびデ
オキシシチジンを置換した場合には、親和性および生物活性が高まることが示さ
れている。
【0077】 遺伝子発現を阻害するために、アンチセンス阻害剤の代替物として、例えばリ
ボザイム、アンチセンス複合体などの触媒性核酸化合物を用いてもよい。リボザ
イムはインビトロで合成して患者に投与してもよく、発現ベクター上にコードさ
れていて標的細胞内でそれからリボザイムが合成されてもよい(例えば、国際特
許出願・国際公開公報第9523225号、およびBeigelmanら(1995)Nucl. Acids Re
s 23:4434〜42を参照)。触媒活性を有するオリゴヌクレオチドの例は国際公開
公報第9506764号に記載されている。mRNA加水分解を媒介する能力を有する、例 えばテルピリジルCu(II)などの金属複合物とアンチセンスODNとの複合体は、バ シュキン(Bashkin)ら(1995)Appl Biochem Biotechnol 54:43〜56に記載さ れている。
【0078】ASTH1蛋白質の治療的利用 気道過敏性を調節または軽減するためには、宿主を完全なASTH1蛋白質で治療 してもよく、その活性断片で治療してもよい。ペプチドは免疫応答、特に抗体産
生応答を誘発しないことが望ましい。免疫応答を生じずに治療効果をもたらす能
力に関して異種類似体をスクリーニングしてもよい。蛋白質またはペプチドをイ
ンビトロ細胞培養物に添加することも可能である。
【0079】 投与には種々の方法を用いることができる。ポリペプチド製剤を経口投与して
もよく、静脈内、皮下、腹腔内などに注射してもよい。吸入による投与の方法は
当技術分野で周知である。治療的製剤の投与量は、疾患の性質、投与頻度、投与
様式、薬剤の宿主からの排出などに応じて大きく異なると考えられる。初回量を
多くし、続いてこれよりも少ない維持量にすることが可能である。投薬は週1回 または2週間に1回という低い頻度で行ってもよく、有効量レベルを維持するため
に、より少ない投与量に細分して毎日、週2回などの投与を行ってもよい。多く の場合には、静脈内投与の場合よりも経口投与の方がより高用量を要すると考え
られる。経口投与時の安定性を高めるために、アミド結合ならびにアミノ末端お
よびカルボキシル末端を修飾してもよい。
【0080】 本ポリペプチドは、例えば生理食塩水、PBSなどの薬学的に許容される媒体中 に薬理学的有効量を有する製剤として調製しうる。添加剤には殺菌剤、安定剤、
緩衝液などが含まれうる。本ペプチドまたは本ペプチド複合体の半減期を延長さ
せるために、ペプチドをカプセル封入したり、リポソームの内腔に導入したり、
コロイドとして調製してもよく、ペプチドの寿命を延長させる別の従来の技法を
用いてもよい。
【0081】 本ペプチドを、薬理学的活性のある他の薬剤との併用療法として投与すること
もできる。添加する薬物はペプチド組成物と別々に投与しても一緒に投与しても
よく、同一の製剤中に含めてもよい。
【0082】喘息に関するモデル 本核酸は、遺伝的に改変された非ヒト動物、または細胞株における部位特異的
遺伝子改変を作製するために用いられる。「トランスジェニック」という用語は
、ASTH1遺伝子活性の欠失もしくはその他のノックアウトを有する、宿主細胞内 に安定的に伝達された外因性ASTH1遺伝子を有する、またはレポーター遺伝子に 機能的に結合された外因性ASTH1プロモーターを有するような、遺伝的に改変さ れた動物を包含するものとする。ASTH1遺伝子座が変化する相同組換えによって トランスジェニック動物を作製することもできる。または、核酸構築物がゲノム
中に無作為に組み込まれる。安定的組み込みのためのベクターには、プラスミド
、レトロウイルスおよびその他の動物ウイルス、YACなどが含まれる。特に関心 が持たれるのは、例えばウシ、ブタ、ヤギ、ウマなど、および特にラット、マウ
スなどの齧歯類といったトランスジェニック哺乳動物である。
【0083】 「ノックアウト」動物とは、内因性ASTH1機能が実質的に減少または消失する ように遺伝的に操作されたものである。「ノックアウト」は、さまざまな手法を
用いて実現することができる。天然のASTH1ホモログ(homolog)の全体または一
部に関する染色体欠失を誘導してもよい。非コード領域、特にプロモーター領域
、3'調節配列、エンハンサーの欠失、またはASTH1遺伝子の発現を活性化する遺 伝子の欠失。天然のASTH1遺伝子の発現を阻止するアンチセンス構築物の導入に よって機能的ノックアウトを実現することも可能である(例えば、LiおよびCohe
n(1996)Cell 85:319〜329を参照)。
【0084】 外因性ASTH1遺伝子を有するトランスジェニック動物の作出も可能である。外 因性遺伝子は通常、宿主動物とは異なる種、または宿主動物のコード鎖もしくは
非コード鎖が改変されたものに由来する。導入される遺伝子は、野生型遺伝子で
も、天然にみられる多型でも、または、例えばコード領域もしくは非コード領域
における欠失、置換または挿入に関して以前に記載したものなどの遺伝的に操作
された配列でもよい。導入される配列はASTH1ポリペプチドをコードしてもよく 、レポーター遺伝子と機能的に結合したASTH1プロモーターを用いてもよい。導 入される遺伝子がコード配列である場合には、それは通常、宿主動物における発
現のために必要なプロモーター(これは構成性でも誘導性でもよい)およびその
他の調節配列と機能的に結合している。
【0085】 関心対象の具体的な構築物には、ASTH1の発現、ドミナントネガティブASTH1変
異体の発現、およびASTH1遺伝子の過剰発現を阻止すると考えられるアンチセン スASTH1が含まれる。ASTH1発現のアップレギュレーションが容易に検出される表
現型の変化をもたらすと考えられる場合には、ASTH1遺伝子座にlacZなどの検出 マーカーを導入してもよい。レポーター遺伝子またはコード領域とともに配列番
号:1、配列番号:14などのASTH1プロモーター領域を用いる構築物にも関心がも
たれる。
【0086】 改変された細胞または動物は、ASTH1の機能および調節の検討に有用である。 喘息に対する薬物候補の効果を判定するために、動物を機能的試験、薬物スクリ
ーニングなどに用いることができる。種々のエキソンのDNA結合、転写調節など における役割を明らかにするために、ASTH1遺伝子内に一連の小さな欠失および /または置換を作製してもよい。通常なら産生されないASTH1蛋白質を細胞内で 発現させることにより、細胞の挙動の変化を誘導することが可能である。また、
これらの動物は、優性と劣性との比較、異なる対立遺伝子の相対的効果、ならび
にASTH1IおよびASTH1Jとゲノム中のほかの場所にある他の喘息遺伝子との相乗効
果などに関するモデルを探求する上でも有用である。
【0087】 相同組換えのためのDNA構築物は、所望の遺伝的改変を施されたTULP遺伝子の 少なくとも一部を含み、標的遺伝子座に対して相同的な領域を含むと考えられる
。ランダム組み込みのためのDNA構築物は、組換えを媒介するための相同的な領 域を含む必要はない。陽性および陰性選択のためのマーカーを含めることが好都
合である。標的遺伝子の改変を有する細胞を相同組換えによって作製するための
方法は当技術分野では公知である。哺乳動物細胞のトランスフェクションのため
の種々の技法については、ケオウン(Keown)ら(1990)Methods in Enzymology
185:527〜537を参照されたい。
【0088】 胚幹(ES)細胞については、ES細胞系を用いることも、または例えばマウス、
ラット、モルモットなどの宿主から新たに胚細胞を採取することも可能である。
このような細胞は、適切な線維芽細胞の支持細胞層上で増殖させるか、または白
血病阻害因子(LIF)などの適切な増殖因子の存在下で増殖させる。ES細胞が形 質転換すれば、それらはトランスジェニック動物を作製するために用いることが
できる。形質転換の後に、細胞を適切な培地中の支持細胞層上に平板培養する。
構築物を含む細胞は、選択培地を用いることによって検出することができる。コ
ロニーが増殖するための十分な時間をおいた後に、それらを採取して、相同組換
えまたは構築物の組み込みの出現に関して分析する。陽性のコロニーは、続いて
胚操作および胚盤胞への注入に用いることができる。胚盤胞は4〜6 週齢の過排 卵性の雌から入手する。ES細胞にトリプシン処理を行い、改変された細胞を胚盤
胞の胞胚腔内に注入する。注入の後、その胚盤胞を、偽妊娠の雌の子宮角に戻す
。続いて雌に出産させ、結果として得られた同腹仔を、構築物を有する変異細胞
に関してスクリーニングする。さまざまな表現型の胚盤胞およびES細胞を提供す
ることにより、キメラ性の子孫を容易に検出することができる。
【0089】 キメラ動物を改変遺伝子の有無に関してスクリーニングし、改変された雄と雌
とを交配させてホモ接合型子孫を作出する。遺伝子の変化が発生中の何らかの時
点での致死性をもたらす場合には、組織または臓器を同種異系または共通遺伝子
系のグラフトもしくは移植組織として、またはインビトロ培養において維持する
ことができる。
【0090】 遺伝子機能の検討には、非哺乳動物モデル、特に生物学的および遺伝学的な特
徴が詳細に示されている線虫(C. elegans)、ショウジョウバエ(D. melanogas
ter)および酵母(S. cerevisiae)などの生物を用いることができる。例えば、
ASTH1遺伝子またはプロモーター領域の線虫ホモログ内にトランスポゾン(Tc1)
挿入を作製することが可能である。本遺伝子配列は、ASTH1機能に関与する生理 的および生化学的経路を解明することを目的として規定の遺伝子病変をノックア
ウトまたは補完するために用いうる。下等真核生物において多数のヒト遺伝子が
変異を補完することが示されている。
【0091】 薬物スクリーニングを本動物モデルと組み合わせて行うことが可能である。多
くの哺乳動物遺伝子は、酵母および下等動物にホモログがある。このようなホモ
ログの生理的役割および他の蛋白質との相互作用を研究することにより、生物的
機能の解明が容易になる。遺伝的相補性に基づくモデル系に加えて、酵母も、チ
ェン(Chien)ら(1991)P.N.A.S. 88:9578〜9582に記載されたツーハイブリッ
ドシステムを通じて、蛋白質-蛋白質相互作用を検討するための強力なツールに なることが示されている。ツーハイブリッドシステムによる分析は、ASTH1蛋白 質による転写活性化を探索する上で特に関心がもたれる。
【0092】薬物スクリーニング解析 ASTH1蛋白質の大量生産が提供されることにより、ASTH1と結合するか、その作
用を調節もしくは模倣するリガンドまたは基質を同定することができる。調査す
る領域は、喘息の治療の開発にある。薬物スクリーニングでは、罹患細胞におけ
るASTH1機能に関する置換または増強を提供する薬剤が同定される。反対に、AST
H1機能を逆転させるまたは阻害する薬剤により気管支の反応が刺激されうる。特
に関心が持たれるのは、ヒト細胞に対する毒性の低い薬剤に関するスクリーニン
グアッセイ法である。この目的には、標識下でのインビトロ蛋白質-蛋白質結合 アッセイ法、蛋白質-DNA結合アッセイ法、電気泳動移動度シフトアッセイ法、蛋
白質結合に関するイムノアッセイ法などを含む、極めてさまざまなアッセイ法を
用いることができる。精製された蛋白質を、分子間相互作用、転写調節などのモ
デル化のために用いうる三次元結晶構造の決定のために用いてもよい。
【0093】 本明細書で用いられる「薬剤」という用語は、例えば蛋白質または医薬品など
の、ASTH1の生理的機能を変更または模倣する能力を有する任意の分子を指す。 一般的には、種々の濃度に対するさまざまな反応を得るために、複数のアッセイ
混合物がさまざまな薬剤濃度で平行して検討される。典型的には、これらの濃度
のうち1つが陰性対照、すなわちゼロ濃度または検出レベル未満の役割を果たす 。
【0094】 候補となる薬剤は、典型的には有機分子、好ましくは分子量が50を超えて約25
00ダルトン未満である低分子有機化合物であるが、多くの化学的分類のものが含
まれる。候補となる薬剤は、蛋白質との構造的相互作用、特に水素結合のために
必要な官能基を含み、典型的には少なくともアミン、カルボニル、ヒドロキシル
またはカルボキシル基を、好ましくは少なくとも該官能化学基のうちの2つを含 む。候補となる薬剤はしばしば、上記の官能基の1つまたはそれ以上が置換され た、環状炭素もしくは複素環式構造および/または芳香族もしくは多環芳香族の
構造を有する。また、候補となる薬剤は、ペプチド、糖類、脂肪酸、ステロイド
、プリン、ピリミジン、それらの誘導体、構造類似体または配合物を非制限的に
含む生体分子中にも見いだされる。
【0095】 候補となる薬剤は、合成または天然の化合物のライブラリーを含む、極めて多
岐にわたる供給源から入手されうる。例えば、無作為化されたオリゴヌクレオチ
ドおよびオリゴペプチドの発現を含む、極めて多岐にわたる有機化合物および生
体分子のランダムまたは指向された合成のためには、多くの手段が利用可能であ
る。または、細菌、真菌、植物および動物抽出物の形態にある天然化合物のライ
ブラリーが利用可能または容易に作成しうる。そのほかにも、天然または合成的
に作製されたライブラリーおよび化合物は、従来の化学的、物理的および生化学
的手段によって容易に改変され、コンビナトリアルライブラリーを作製するため
に使用することもできる。構造類似体を作製するために、既知の薬理作用物質に
対してアシル化、アルキル化、エステル化、アミド化などの指向された、または
ランダムな化学修飾を施すこともできる。
【0096】 スクリーニング解析が結合解析である場合には、標識が直接的または間接的に
検出可能な信号を提供するように、1つまたはそれ以上の分子を標識と連結させ てもよい。種々の標識には、放射性同位体、蛍光剤、化学発光剤、酵素、特異的
な結合分子、例えば磁性粒子のような粒子などが含まれる。特異的な結合分子に
は、ビオチンおよびストレプトアビジン、ジゴキシンおよびアンチジゴキシンな
どの対が含まれる。特異的な結合メンバーについては、通常は相補的メンバーに
対して、既知の手順に従って、検出が提供される分子による標識が施される。
【0097】 さまざまな他の試薬をスクリーニング解析に含めてもよい。これらには、最適
な蛋白質-蛋白質結合を促進するため、および/または非特異的もしくは背景的 な相互作用を低減させるために用いられる、塩、アルブミンなどの天然蛋白質、
界面活性剤などのような試薬が含まれる。プロテアーゼ阻害剤、ヌクレアーゼ阻
害剤、抗菌剤などのアッセイ効率を改善する試薬を用いてもよい。必要となる結
合を提供するためには、構成要素の混合物が任意の順序で添加される。インキュ
ベーションは、任意の適した温度、典型的には4℃と40℃との間で実施される。 インキュベーション期間は最適な活性に関して選択されるが、迅速な高速スクリ
ーニングが促進されるように最適化することもできる。典型的には、0.1時間か ら1時間の間で十分であると考えられる。
【0098】 関心対象のその他のアッセイ法は、ASTH1の機能を模倣する作用物質を検出す るものである。例えば、機能性ASTH1を欠く細胞に対して候補作用物質を添加し 、機能アッセイ法にて、ASTH1を再び産生する能力に関してスクリーニングを行 う。
【0099】 望ましい薬理活性を有する化合物は、生理学的に許容されうる担体中にて、AS
TH1の機能における欠陥に起因する喘息の治療のために宿主に投与することがで きる。本化合物を、ASTH1機能を増強するために用いてもよい。治療用薬剤は、 経口的、局所的、皮下、腹腔内、ウイルス感染によるもの、静脈内などの非経口
的なものなど、様々な方法で投与することができる。吸入投与には特に関心が持
たれる。導入の様式に応じて、本化合物は様々な方法で製剤化することができる
。製剤中の治療的活性を有する化合物の濃度は重量にして約0.1〜100%の範囲で
変更しうる。
【0100】 この薬学的組成物は、顆粒剤、錠剤、丸剤、坐剤、カプセル剤、懸濁剤、軟膏
剤、ローション剤などのさまざまな形態で調製することができる。治療的に活性
な化合物を含む組成物を構成するために、経口的または局所的使用に適した医薬
品級(pharmaceutical grade)の有機または無機担体および/または希釈剤を用
いることができる。当技術分野で知られている希釈剤には、水性媒体、植物性お
よび動物性の油ならびに脂肪が含まれる。補助剤としては、安定化剤、湿潤剤お
よび乳化剤、浸透圧を変化させるための塩、または適切なpH値を確保するための
緩衝液、ならびに皮膚浸透促進剤を用いることができる。
【0101】薬理遺伝学 薬理遺伝学とは、個体の遺伝子型と、個体が治療薬を代謝するか、またはそれ
に反応する能力との間の連鎖をいう。代謝または標的感受性における差は、生理
活性薬の投与量と薬物の血中濃度との間の関係を変化させることによって、重大
な毒性または治療の失敗をもたらすおそれがある。この数年で、代謝酵素または
薬物標的における多型と反応および毒性の双方との間に明確な関係があることが
数多くの研究によって立証されている。これらの関係を利用して、治療薬の投与
を個別化することができる。
【0102】 多型性対立遺伝子の遺伝子型判定は、ある個体が特定の治療計画に対して良好
に反応すると思われるか否かを評価するために用いられる。また、多型配列は、
治療薬候補の投与量および特異性を判定するための薬物スクリーニングアッセイ
法にも用いられる。候補となるASTH1多型を、喘息の治療における有効性に対す る影響があるか否かを判定するための標的療法によってスクリーニングする。薬
物スクリーニングアッセイ法は上記の通りに行う。典型的には2種またはそれ以 上の異なる配列多型を、治療に対する反応性に関して検討する。
【0103】 喘息の治療に現在用いられている薬剤には、β2刺激薬、グルココルチコイド 、テオフィリン、クロモン(cromone)および抗コリン薬が含まれる。急性重症 喘息に対しては、吸入β2刺激薬が最も有効な気管支拡張薬である。短時間作用 型は急速な緩和をもたらし、長時間作用型の薬剤は持続的な緩和をもたらすほか
、夜間性喘息に有用である。慢性喘息に対する第一線の治療法は吸入グルココル
チコイドであり、現行の薬剤の中で気道炎症を軽減させるものはこれだけである
。テオフィリンは重症および夜間性喘息に対して有用であるが、最近の研究では
、本剤には免疫調節作用もあることが示唆されている。クロモンは軽症喘息患者
に優れた作用を示し、副作用はほとんどないが、その作用は短期間に過ぎないた
め、頻回に投与する必要がある。システイニルロイコトリエン(cysteinil leuk
otriene)は喘息の重要なメディエーターであり、その作用を阻害することによ り、アレルギー性鼻炎および喘息の治療は大きく前進する可能性がある。
【0104】 特定の配列多型がさまざまな薬剤の有効性と相関する場合には、診断的スクリ
ーニングを行うことができる。診断法についてはこれまでのセクションで詳細に
述べた。特定の多型の存在が検出され、罹患した個体に対する有効な治療戦略を
開発するために用いられる。
【0105】実験 以下の実施例は、本発明の作成および使用の仕方に関する完全な開示および説
明を当業者に対して行うことが目的であり、本発明者らが発明とみなしている内
容の範囲を制限するものではない。使用する数字(例えば、量、温度、濃度など
)に関して正確であるように努力は払っているが、実験的誤差および偏差が含ま
れている可能性は考慮する必要がある。別に特記しない限り、各部分は総重量に
占める部分であり、分子量は加重平均された分子量であり、温度は℃であり、圧
力は大気圧またはその近傍圧である。
【0106】材料および方法 遺伝子地図研究のための喘息家系 喘息表現型の評価および血液試料の採取は、南大西洋の離島であるトリスタン
ダクーニャ(Tristan da Cunha)の住民およびカナダ、トロントの喘息家系から
行った(Zamelら(1996)前記を参照)。トリスタンダクーニャの住民282人は、
起源創始者(original founder)28人を祖先とする単一の大規模な拡大家族をな
している。トリスタンダクーニャへの入植は、1817年に英国の駐屯軍がこの島を
引き上げた時に兵士が居残ったことに始まり、その後に難破船の生存者も加わっ
た。1827年にはセントヘレナ島の女性5人が子供1人を連れてトリスタンダクーニ
ャに移住し、島の男性と結婚した。これらの女性のうち1人は喘息であったと伝 えられており、これがこの集団における喘息に関する遺伝的創始者効果の起源と
考えられる。近親交配の結果、すべての個人に少なくともいとこレベルの血縁的
類似性が生じることとなった。
【0107】 トリスタンダクーニャの家系図は、洗礼、結婚および診療記録に加えて、初期
住民に関する信頼性のある正確な歴史的文献を詳しく調べることによって確認し
た(Zamel(1995)Can. Respir. J. 2:18)。トリスタンダクーニャでの喘息の
有病率は高く、23%が喘息と確定診断されている。
【0108】 トロントのコホートは、罹患した個人を少なくとも1人含む59の小家族を含む ものであった。これらは以下の基準に基づいて確認した:(i)罹患した発端者 (proband)、(ii)罹患の有無にかかわらず、発端者に兄弟姉妹が少なくとも1
人いること、(iii)DNAを入手しうる親が少なくとも1人いること。罹患した発 端者およびその両親からなる156の「三人組(triad)」家族の組も収集した。表
現型判定および血液試料を開始する前に各個人から署名による同意を得た。トロ
ントの患者は混在型欧州系の由来であった。
【0109】 臨床的特徴付け 米国胸部疾患学会(American Thoracic Society)のものに基づく標準質問票 (米国肺協会(American Lung Association)は、疫学研究における成人および 小児用の呼吸器疾患質問票を推奨している。1978. American Review of Respira
tory Disease 118(2):7〜53)を、咳、痰および喘鳴などの呼吸器症状の存在
、最近の上部気道感染、アレルギーの病歴を含むその他の胸部疾患の存在、発症
、派生物(offset)、医師による確認、有病率、重症度および誘発因子を含む喘
息発作、その他の疾患および喫煙歴、ならびに3カ月以内に使用したすべての医 薬品を記録するために用いた。医師による確認がなされた喘息発作を、喘息と診
断するための主基準とした。
【0110】 皮膚アトピーの判定は、以下の共通アレルゲンに対する皮膚プリックテストに
よって行った:A.フミガーツス(A. fumigatus)、クラドスポリウム、アルテル
ナリア、卵、牛乳、コムギ、木材、イヌ、草、ウマ、ハウスダスト、ネコ、羽毛
、コナヒョウダニ(D. farinae)およびヤケヒョウダニ(D. pteronyssinus)。
トロントの被験者に対するアトピー検査では、ヤケヒョウダニを省き、ゴキブリ
およびブタクサアレルゲンを追加した。食塩水およびヒスタミンによる対照検査
も行った(Bencard Laboratories、Mississauga、Ontario)。抗ヒスタミン薬の
使用は検査の少なくとも48時間前に中止させた。食塩水対照の膨疹直径を差し引
くことによって膨疹の直径を補正し、塗布10分後に記録された補正膨疹サイズが
3mmを上回る場合に陽性反応とみなした。
【0111】 気道反応性は、ベースライン時のFEV1(一秒量)が予想値の70%を上回る被験
者におけるコリン刺激試験によって評価した(Crapoら(1981)Am. Rev. Respir
. Dis. 123:659)。メサコリン吸入誘発に対する反応は、1回換気量法(tidal
breathing method)を用いて測定した(Cockcroftら(1977)Clin. Allergy 7:
235)。ライト式ネブライザーを用いて、0.03〜16mg/mlのメサコリンを用量を 倍にしながら投与し、FEV1が20%低下するメサコリン吸入誘発濃度(PC20)を測
定した。FEV1が予想値の70%未満である場合には、400mgのサルブタモール刺激 に対する気管支拡張反応を用いて気道反応性を評価した。メサコリン吸入誘発お
よび気管支拡張反応はいずれも、ソフトウエアパッケージ、ならびに東芝T1850C
ラップトップ式コンピュータ中に装着され、流量センサー(R5232F5)と連結さ れたインタフェイスボードからなるコンピュータ気管支刺激システム(S&M Inst
rument Co. Inc.、Doyleston、PA)を用いて測定した。トリスタンダクーニャで
用いた装置用の電源は記載されている(Zamelら(1996)前記)。気道反応性の 亢進は、PC20<4.0mg/ml、または気管支拡張薬の使用から15分後のFEV1の改善 が15%を上回る場合と定義した。被験者には検査の少なくとも8時間前から気管 支拡張薬の使用を控えるように指示し、吸入または全身ステロイドは常用量で維
持させた。検査の1カ月以内に上部気道感染症の病歴のある被験者では、後日再 び刺激試験を行った。
【0112】 遺伝子型判定 PCRプライマーの対は、アプライドバイオシステムズ(Applied Biosystems) 社の394自動オリゴ合成機(394 automated oligo synthesizer)を用いて合成し
た。各対の前方プライマーはFAM、HEXまたはTETホスホロアミダイト(Applied B
iosystems)によって標識した。オリゴ精製の段階は行わなかった。
【0113】 ゲノムDNAは全血から抽出した。PCRはPTC100サーモサイクラー(MJ Research )を用いて行った。反応物は最終容積20μl中に10mM Tris-HCl、pH 8.3、1.5〜3
.0mM MgCl、50mM KCl、0.01%ゼラチン、各250μMのdGTP、dATP、dTTP、dCTP 、各20μMのPCRプライマー、ゲノムDNA 20ngおよびTaqポリメラーゼ(Perkin El
mer Cetus)0.75Uを含む。反応は、ポリプロピレン製96穴マイクロタイタープレ
ート(Robbins Scientific)中でまず94℃で3分間変性させた後に、94℃ 30秒間
、アニーリング温度30秒間および72℃ 30秒間を30サイクル行い、最終サイクル の後に72℃で2分間、最後の伸長を行わせた。色素標識、アニーリング温度およ びマグネシウムの最終濃度は個々のマーカーに応じて固有のものを用いた。
【0114】 色素標識の強度およびPCR産物の量(アガロースゲル上で評価)を用いて、各 マーカー座に関して蓄積する量を決定した。蓄積された産物を沈殿させ、産物の
ペレットをジーンスキャン500タムラサイズ標準物質(Genescan 500 Tamra size
standard)0.4μl、ホルムアミド2μlおよびABIローディング色素(loading dy
e)1μlと混合した。PCR産物の蓄積物のプレートを80℃で5分間加熱し、直ちに 氷上に置いた後にゲルローディングに用いた。
【0115】 PCR産物を、ABI 373a装置を用いて1000ボルトの定電圧下で変性6%ポリアクリ
ルアミドゲル上での電気泳動にかけた。ピークの検出、サイズ分析および連続バ
ンドのふるい分けは、ジーンスキャン(Genescan)1.2およびジェノタイパー(G
enotyper)1.1ソフトウエア(Applied Biosystems)を用いて行った。続いて遺 伝子型データの精度管理および整合性チェックを行った(Hallら(1996)Genome
Res. 6:781)。
【0116】 ASTH1領域における「飽和」マーカーの遺伝子型判定は、いくつかの例外を除 き、上記の方法を用いて行った。ほとんどの場合には、標識していない各プライ
マー対の5'末端を配列GTTTCTTで修飾した(Smithら、1995 Genome Res. 5:312 )。PCRには、アンプリタクゴールド(Amplitaq Gold)(Perkin Elmer Cetus)
およびバッファーD(2.5mM MgCl、33.5mM Tris-HCl pH 8.0、8.3mM(NH SO、25mM KCl、85μg/ml BSA)を用いた。アニーリング温度を66℃で開始し 、1サイクル毎に1℃ずつ低下させ、最後の20サイクル目が56℃になるようにする
「タッチダウン」式増幅を用いた。産物は、ABI 377装置を用いて4.25%ポリア クリルアミドゲル上を泳動させた。データの処理には、ジーンスキャン(Genesc
an)2.1およびジェノタイパー(Genotyper)1.1ソフトウエアを用いた。
【0117】 ゲノムスキャニング オックスフォード(Oxford)(Reedら(1994)Nature Genetics 7:390)、ジ
ェネトン(Genethon)社(Dibら(1996)Nature 380:152)および協同ヒト連鎖
センター(Cooperative Human Linkage Center)(CHLC、Murrayら(1994)Scie
nce 265:2049)から選択した274種の多型マイクロサテライトマーカーを用いて
、トリスタンダクーニャの集団におけるゲノムスキャニングを行った。すべての
ヒト染色体がカバーされ、遺伝子型判定およびゲル上で複数マーカーを用いる際
のPCR産物のサイズが容易になるように、ヘテロ接合性の値が0.75以上のマーカ ーを選択した。サイズ別に分離した際に3種類の色素のそれぞれにPCR産物のラダ
ーが得られるように、15組の複合セットを用いた。まず公表されている距離を用
いてマップの分解能を評価した。データが得られた時点で、試験集団を用いてよ
り正確な遺伝距離を算出した。ゲノムスキャニングに関して、274種のマーカー の間隔は平均14cMであった。
【0118】 連鎖解析 マーカーのデータのパラメトリック連鎖解析は、ハセマン(Haseman)および エルストン(Elston)(1972)Behav. Genet. 2:3およびFASTLINK(Schafferら
(1996)Hum. Hered. 46:226)の方法を用い、不完全浸透による優性遺伝様式 を仮定して行った。喘息の診断(病歴)、気道反応性(メサコリン吸入誘発によ
るPC20が4mg/ml未満)およびアトピー(皮膚プリックテストで膨疹直径が3mmを
上回る部位が1つまたはそれ以上)を含む3つの主要表現型、ならびにこれらの組
み合わせとの連鎖を検討した。
【0119】 酵母人工染色体(YAC)DNAの少量調製 酵母細胞壁を破壊するためにガラスビーズおよび物理的剪断を用いる手順によ
り、STSマッピングのためのYAC DNAの少量単離を行った(SchererおよびTsui(1
991)、大きなDNA分子のクローニングおよび分析(Cloning and analysis of la
rge DNA molecule)、染色体研究における先進技術(Advanced Techniques in C
hromosome Research)(K.W. Adolph編)pp.33〜72、Marcel Dekker, Inc. New
York、Basel、Hong Kong)。
【0120】 YACブロックの調製およびパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE) 2×AHC中にて各YACの50ml培養物を30℃で増殖させた。細胞を遠心処理によっ てペレット化し、滅菌蒸留水で2回洗った。細胞を4mlのSCEM(1Mソルビトール、
0.1Mクエン酸ナトリウム(pH 5.8)、10mM EDTA、30mM β-メルカプトエタノー ル)中に再懸濁させた後、SCEM中に溶解した1.2%低融点アガロース5mlを添加し
て混合し、100mlのプラグモールド(plug mold)にピペットで移して固化させた
。30U/mlリティカーゼ(Sigma)を含む50mlのSCEM 中でプラグを一晩インキュ ベートした。プラグをTE(10mM Tris pH 8.0、1mM EDTA)ですすぎ、可溶化溶液
(0.5M EDTA、pH 8.0、1%w/vラウリルサルコシンナトリウム、0.5mg/mlプロ テイナーゼK)中にて50℃で、それぞれ12時間ずつ2回インキュベートした。それ
らをTEで5回洗い、0.5M EDTA(pH 8.0)中に4℃で保存した。
【0121】 CHEFマッパー(BIO-RAD)を用い、製造者によって指示された方法に従って、Y
ACおよび酵母染色体をパルスフィールドゲル上で分離した後、ニトロセルロース
に転写した。酵母染色体と共移動したYACを、ブロットと放射標識したYACベクタ
ー配列とのハイブリダイゼーションによって可視化した(SchererおよびTsui(1
991)前記)。
【0122】 YAC DNAと細菌人工染色体(BAC)およびコスミドグリッドとのハイブリダイゼー
ション サイズ精製されたYAC DNAを、低融点シープラーク(Seaplaque)GTGアガロー ス(FMC)ゲル上でのパルスフィールド電気泳動によって調製し、ジーンクリー ン(GeneClean)(BIO101)によって精製した上で、プライムイット(Prime-It )IIキット(Stratagene)を用いて32P-dCTPによる放射標識を30分間行った。
水50μlを添加し、取り込まれなかったヌクレオチドをクイックスピンカラム(Q
uick Spin Column)(Boehringer Mannheim)によって除去した。ほぼ150μlの 溶出液に対して11.2mg/mlのヒト胎盤DNA(Sigma)23μlおよび36μlの0.5M Na HPO、pH 6.0を添加した。プローブは5分間煮沸し、65℃で正確に3時間イン キュベートした後に、デキストラン硫酸ハイブリダイゼーション混合液(10%硫
酸デキストラン、1%SDS、1M NaCl)中の、プレハイブリダイゼーションを行っ てグリッド状にしたBAC(Shizuyaら(1992)Proc. Natl. Acad. Sci. 89:8794 、リサーチジェネティクス(Research Genetics)社から購入)または第11番染 色体コスミド[ドイツヒトゲノムプロジェクトの資源センター/主データベース
(Resource Center/ Primary Database of the German Human Genome Project )、Berlin、Lehrachら(1990)、Davies, K.E.およびTilghman, S.M.(編)、 ゲノム解析(Genome Analysis)第1巻:遺伝地図および物理地図の作成(Geneti
cおよびPhysical Mapping)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spr
ing Harbor、pp.39〜81]フィルターに対して添加した。ハイブリダイゼーショ ンを65℃で12〜48時間行った後、室温で2×SSC中での洗浄を10分間ずつ2回、65 ℃で0.2×SSC、0.2%SDS中での洗浄を20分間ずつ3回行った。
【0123】 メタフェーズ蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)および直視下
インサイチューハイブリダイゼーション(DIRVISH) メタフェーズFISHを標準的方法によって行った(HengおよびTsui(1994)、バ
ンド状染色体に対するFISH検出法(FISH detection on DAPI banded chromosome
s)、分子生物学の方法:インサイチューハイブリダイゼーションの手順(Metho
ds of Molecular Biology:In Situ Hybridisation Protocols)(K.H.A. Choo 編)pp.35〜49. Human Press、Clifton、N.J.)。2つまたはそれ以上のクローン
のゲノム上での相対的位置をマッピングするためには、高分解能FISHまたはDIRV
ISHを用いた。用いた手順は、パラ(Parra)およびウィンドル(Windle)(1993
)Nature Genet. 5:17に記載された通りである。簡潔に述べると、まずスライ ドグラスの一端に正常ヒトリンパ芽球細胞の懸濁液2μlを添加して乾燥させるこ
とにより、伸展されたDNA(stretched DNA)を含むスライドグラスを調製した。
可溶化緩衝液(0.5%SDS、50mM EDTA、200mM Tris-HCL、pH 7.4)8μlを添加し 、スライドグラスを室温で5分間インキュベートした。スライドグラスを傾けてD
NAがスライドグラスの下側に流れて広がるようにした後、乾燥させた。3:1メタ
ノール/酢酸400μlの添加によってDNAを固定した。プローブは、標準的なニッ クトランスレーション法(Rigbyら(1977)J. Mol. Biol. 113:237)により、 ビオチンまたはジゴキシゲニンで標識した。ハイブリダイゼーションおよび検出
は、標準的なインサイチューハイブリダイゼーション法(HengおよびTsui(1994
)前記)を用いて行った。結果は、CCDカメラ(Photometrics)を装着したマイ クロフォト(Mikrophot)SA顕微鏡(Nikon)を用いて画像化した。画像の記録に
はスマートキャプチャー(Smartcapture)ソフトウエア(Vysis)を用いた。
【0124】 ギャップフィリング マップ中でギャップに隣接するクローンの末端クローニングを、それぞれのベ
クター配列を切断しない酵素(BACクローンの場合はNsiI、PACクローンの場合は
XbaI)による消化によって行った後、再連結およびコンピテントDH5αへの形質 転換導入を行った。NotIおよびNsiIまたはXbaIで消化した際に2種類の末端断片 およびプラスミドベクターを生じるクローンのシークエンシングを行った。末端
クローンプローブによるグリッド状BACライブラリーのスクリーニングにより、 または末端クローン配列から設計されたプライマーを用いるPCRによるヒトゲノ ムPACライブラリー(Ioannouら(1994)Nature Genetics 6:84、ヒューマンリ サーチ社(Health Research, Inc.)からライセンス供与)のDNAプールのスクリ
ーニングにより、タイリングパス(tiling path)におけるギャップフィリング を行った。
【0125】 cDNAの直接選択 成人全肺組織および胎児全肺組織の双方に由来するcDNA(Clontech)を用いて
、cDNAの直接選択(Lovettら(1991)Proc. Natl. Acad. Sci. 88:9628)を行 った。cDNA合成用スーパースクリプト選択システム(Superscript Choice Syste
m)および指示された手順(Gibco BRL)を用いて、ポリ(A)+RNA 5μgを二本鎖cD
NAに変換した。第1ストランドのプライミングは、オリゴ(dT)およびランダムヘ キサマーの両方を用いて行った。この結果得られたcDNAを二等分し、MboIまたは
TaqIのいずれかで消化した後に特異的なリンカープライマーを添加した。MboIで
消化したDNAに対するリンカープライマーは、モーガン(Morgan)ら(1992)核 酸 Res. 20:5173によって記載された通りである。TaqIで消化したDNAに対する リンカープライマーはこれらの改変物である。 (配列番号:336)Taq1a:5'-CGAGAATTCACTCGAGCATCAGG、 (配列番号:337)Taq1b:5'-CCTGATGCTCGAGTGAATTCT 改変cDNAをエタノールで沈殿させ、200μlのHO中に再懸濁させた。100μlのPC
R反応物中でリンカープライマーMbo1bを用いてcDNA 1μlを増幅させた。この結 果生じた約1μgのcDNA産物を、1μgのCOT1 DNA(Gibco BRL)により、120mM NaP
O緩衝液、pH 7.0中にて60℃で4時間かけてブロックした。
【0126】 バイオニック標識システム(BioNick Labeling System)(Gibco BRL)を用い
て、適切なゲノムクローン約1μgをビオチン化した。取り込まれなかったビオチ
ンはスピンカラムクロマトグラフィーによって除去した。ビオチン化されたゲノ
ムDNA約100ngを変性させ、鉱油下における総容積20μlの120mM NaPO中にて、1
μgのブロック化DNAに対して60℃で60時間にわたってハイブリダイズさせた。ハ
イブリダイゼーションの後に、100μlの結合緩衝液(1M NaCI、10mM Tris、pH 7
.4、1mM EDTA)中にて室温下で20分間、定速回転下において、ストレプトアビジ
ンをコーティングした磁性ビーズ(Dynal)の表面上にビオチン化DNAを捕捉させ
た。定速回転下で、500μlの1×SSC/0.1%SDSにより室温で15分間ずつ2回洗っ た後、500μlの0.1×SSC/0.1%SDSによって65℃で20分間ずつ4回洗った。洗浄 を終えるたびに、磁石による分別を利用してビーズをチューブの一方の側に集め
、上清をピペットで除去した。最後の洗浄を行った後に、ビーズを洗浄液で1回 軽くすすぎ、続いて50μlの0.1M NaOHによって室温で10分間、結合型cDNAを溶出
させた。上清を除去し、50μlの1M Tris pH 7.4で中和した。一次的に選択され たcDNAを、セファデックス(Sephadex)G-50カラム(Boehringer Mannheim)を 用いて脱塩した。1、2、5および10μlの溶出液に対してMbo1bプライマーを用い てPCRを行った。増幅産物を1.4%アガロースゲルにて分析した。最も明瞭なバン
ドが認められ、最もバックグラウンドが低かった反応物をさらに増幅させ、約1 μgの一次選択cDNAを生成させた。増幅されたこの一次選択cDNAを1μgのCOT1に よって60℃で1時間ブロックした後、初回の選択と同じ条件下で、適切なゲノムD
NA 100ngに対する2回目のハイブリダイゼーションを行った。結合型cDNAの洗浄 、溶出、および選択されたcDNAのPCRは初回のものと同一とした。TAクローニン グシステムを製造者の手順に従って用いて、PCRで増幅された二次選択cDNA 1μg
をクローニングした(Invitrogen)。コロニーを摘出して96穴マイクロタイター
プレートに入れ、一晩増殖させた後にシークエンシングを行った。
【0127】 エキソントラッピング エキソントラッピングは、バックラー(Buckler)ら(1991、Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA 88:4005)の方法に、チャーチ(Church)ら(1994)Nature Genet
ics 6:98に記載された修正を加えて行った。ASTH1領域をカバーするのに必要な
最小クローンセット(すなわち、タイリングパス)の各BACクローンに対して別 々にエキソントラッピングを行った。簡潔に述べると、バーンズ(Burns)ら(1
995)Gene 161:183の通りに改変し、PstIまたはBamHIによる消化およびホスフ ァターゼ処理を行ったpSPL3B(GIBCO BRL)中に、各コスミドの制限断片(PstI またはBamHI/BglII)のショットガンサブクローニングを行った。この連結物を
電気穿孔法によってエレクトロマックス(ElectroMax)HB101細胞(Gibco BRL)
に導入し、直径20cmのLBアンピシリンプレート上に播いた。2000個を上回るコロ
ニーが生じたプレートから、LBアンピシリン液中への細菌の回収および標準的な
アルカリ溶菌手順(Sambrookら(1989)前記)により、DNAを調製した。各プラ スミドプール調製物から得たDNA 5μgを電気穿孔法によってCos7細胞(ATCC)に
導入し、48時間増殖させた後にTRIZOL(Gibco BRL)を用いてRNAを回収した。RT
-PCR産物をBstXIで消化した後に、2回目のPCR増幅を行った。産物をpAMP10(Gib
co BRL)中にクローニングし、DH5細胞(Gibco BRL)への形質転換導入を行った
。1つのBAC毎に96個のコロニーを摘出し、挿入物のサイズをPCRによって分析し た。
【0128】 ノーザンブロットハイブリダイゼーション ノーザンハイブリダイゼーションは、複数組織ノーザン(Multiple Tissue No
rthern)(MTN)ブロット(Clontech)を用いて行った。DNAプローブには、プラ
イムイット(Prime-It)IIキット(Stratagene)を用いるランダムプライミング
[FeinbergおよびVogelstein(1984)Anal. Biochem. 137:266]によって放射 標識を施した。ハイブリダイゼーションは、エクスプレスハイブ(ExpressHyb)
ハイブリダイゼーション溶液(Clontech)中にて、製造者の推奨に従って行った
。フィルターはオートラジオグラフイー用フィルムに対して一晩または3日間に わたって露出させた。
【0129】 cDNAライブラリーのスクリーニング ファージcDNAライブラリーのプレーティングを行い、放射標識プローブ(これ
らの配列を含むプラスミドからPCRによって増幅されたエキソントラッピングま たはcDNA選択産物)によるスクリーニングを標準的な方法を用いて行った(Samb
rookら(1989)前記)。
【0130】 cDNA末端の迅速増幅(RACE) ポリA+RNAおよびマラソン(Marathon)cDNA増幅キット(Clontech)を用いて 、RACEライブラリーを作製した。cDNA、または遺伝子断片の可能性があるもの(
トラッピングがなされたエキソン、エキソンと予想されるもの、保存断片など)
のそれぞれに対して入れ子(nested)RACEプライマーの組を設計した。遺伝子断
片の可能性があるそれぞれに対して一対のプライマーを用いるPCRによってRACE ライブラリーを検討し、2つの強陽性ライブラリーをRACE実験のために選択した 。
【0131】 ゲノムシークエンシング コスミド、PACおよびBACクローン由来のDNAをキアゲン(Qiagen)DNAプレップ
キットを用いて調製し、CsCl勾配によってさらに精製した。DNAに超音波処理を 加え、ヌクレオチドBAL-31およびT4 DNAポリメラーゼを用いて修復した。0.8〜2
.2kbのDNA断片をアガロースゲル電気泳動によるサイズ分画にかけ、pUC9ベクタ ー中に連結した。プラスミドクローンの挿入物をPCRによって増幅し、標準的なA
BIダイプライマー法(ABI dye-primer chemistry)を用いてシークエンシングを
行った。
【0132】 ABIサンプルファイルデータを、塩基呼び出し(base calling)および精度分 析のためのPhred(Phil Green、University of Washington)を用いて再分析し た。再分析した配列データの配列アセンブリーはPhrap(Phil Green、Universit
y of Washington)を用いて行った。構築されたコンティグと非結合性であるが 重複性であるコンティグとの間の物理的ギャップは、GFP(Baylor College of M
edicineからライセンス供与)およびConsed(Phil Green、University of Washi
ngton)を用いて構築データを検証することによって同定した。ギャップをまた いで配列データを生成するための材料はPCR増幅によって入手した。カバーの程 度が低い領域にはダイプライマーおよびダイターミネーター法(ABI)を用いて 再度シークエンシングを行った。最終的な塩基完全エディティング(精度が99%
を上回る)は、Consedを用いて行った。
【0133】 一本鎖立体構造多型(SSCP)分析 プライマー(Primer)(Whitehead Institute for Biomedical Researchから 公的に入手可能)またはオリゴ(Oligo)4.0(National Biosciencesからライセ
ンス供与)を用いて生成されたゲノム配列から、 ASTH1IおよびASTH1J遺伝子の 各エキソンに隣接するPCRプライマーを、または大型のエキソンについては複数 のプライマー対を設計した。放射性SSCPをオリタ(Orita)ら(1989、Proc. Nat
l. Acad. Sci. 86:2766)の方法によって行った。簡潔に述べると、PCR中にα- 32 P dCTPを取り込ませることにより、一組の喘息患者および対照ゲノムテンプ
レートDNAから、150〜300bpの範囲であってASTH1IおよびASTH1J遺伝子の複数の エキソンにまたがる放射標識PCR産物を生成させた。PCR反応物(20μl)は、1×
反応緩衝液、100μMの各dNTP、それぞれ1μMの前方および逆プライマー、ならび
にTaq DNAポリメラーゼ(Perkin-Elmer)1単位および1μCiのα-32P dCTPを含
む。94℃で短時間変性させた後に、94℃ 30秒間、アニーリング温度で30秒間お よび72℃ 30秒間を30〜32サイクル行い、続いて72℃ 5分間とした。放射標識さ れたPCR産物を水で1:20に希釈して、等容積の変性ローディング色素(95%ホル
ムアミド、0.25%ブロモフェノールブルー)と混合し、80℃で10分間変性させた
後、直ちに電気泳動にかけた。8%グリセリンの存在下および非存在下で1×TBE 中にて0.5×MDE(FMC)ゲルに8〜12ワットを加え、室温で16〜20時間泳動させた
。乾燥させたゲルを-80℃で1〜2日間、オートラジオグラフィー用フィルム(Kod
ak XAR)に対して露出させた。SSCP変異体を有する個人から得られたPCR産物を 、PCR2.1またはpZeroBluntプラスミドベクター(Invitrogen)中にサブクローニ
ングした。SSCPによって検出された立体構造変化の原因である配列変異体の性状
を明らかにするために、プラスミドクローンの挿入物をPCRによって増幅し、標 準的なABIダイプライマー法を用いてシークエンシングを行った。
【0134】 蛍光SSCPはABIの推奨手順(「多色蛍光SSCP(Multi Color Fluorescent SSCP )」と題するABI社の利用者向け刊行物)に従って行った。標識されていないPCR
プライマーを用いて、患者または対照DNAにおけるASTH1IまたはASTH1J遺伝子の 種々のエキソンを含むゲノムDNA区域を増幅した。続いて、蛍光標識(TET、FAM またはHEX)がなされた入れ子プライマーを用いて、関心対象のエキソンまたは 領域を含む150〜300bpの比較的小さな産物を増幅した。増幅は、アニーリング温
度を57℃から42℃に低下させながらアンプリタクゴールド(Amplitaq Gold) ポ
リメラーゼ(Perkin Elmer、Cetus)を用いる「タッチダウン」PCRの手順を用い
て行った。ほとんどの場合、蛍光標識がなされたプライマーは、通常の放射性SS
CPに用いたものと同一の配列であった。蛍光性PCR産物を希釈し、変性剤、ジー ンスキャン(Genescan)サイズ標準物質(Tamraによって標識されたGenescan 50
0)およびブルーデキストラン色素と混合した。試料を90℃に加熱し、氷上で急 速冷却した後に、2.5%グリセリンを含む6.5%標準または0.5×MDE(製品)ポリ
アクリルアミドゲルにローディングし、外部から温度を制御する改変型ABI 377 装置を用いて泳動させた。1240V、20℃で7〜9時間ゲル泳動を行い、ジーンスキ ャン(Genescan)ソフトウエア(ABI)を用いて分析した。
【0135】 比較(ヘテロ接合体検出)シークエンシング 標識されていないPCRプライマーを用いて、患者または対照DNA由来のASTH1Iま
たはASTH1J遺伝子の種々のエキソンを含むゲノムDNA区域を増幅した。続いて、 一組の入れ子PCRプライマーを用いて断片を再び増幅した。取り込まれなかった プライマーはセントリコン-100(Centricon-100)カラム(Amicon)により、130
bp未満の産物についてはセントリコン-30(Centricon-30)カラムにより、PCR産
物から除去した。続いて、入れ子プライマーおよびダイターミネーターシークエ
ンシング法(ABI PRISMダイターミネーターサイクルシークエンシングレディリ アクションキット(ABI PRISM dye terminator cycle sequencing ready reacti
on kit))を用いて、エキソンおよび隣接領域のサイクルシークエンシングを行
った。容積を5μlに減らし、ピークの高さの均一性が増すように10%DMSOを添加
した。クロマトグラムの肉眼観察およびシークエンスナビゲーター(Sequence N
avigator)(ABIからライセンス供与)を用いて試料間で配列を比較し、ヘテロ 接合性の位置を検出した。
【0136】 いくつかのエキソンについては、10個またはそれ以上のクローンに関するサブ
クローニングおよびシークエンシング、ならびに配列の比較によるPCR産物の比 較も行った。
【0137】結果 ゲノムスキャニングおよび連鎖解析 ヒトゲノム全域からの多型マイクロサテライトマーカー、およびトリスタンダ
クーニャ(Tristan da Cunha)の住民から採取した血液試料から単離されたDNA を用いてゲノムスキャニングを行った。トリスタンダクーニャの集団におけるマ
ーカーの順序およびすべての染色体上のマーカー間の相対的距離を検証するため
に、遺伝子およびマーカーの他のマーカーからの相対的な位置をマッピングする
ために用いられる確立された統計的手法である連鎖解析を適用した。連鎖解析は
マーカーと疾患との共分離を検出することが可能であることから、本集団におけ
る喘息の発症に影響を及ぼす遺伝子を検出するための手段として用いた。ゲノム
スキャニングにおいて最も有意性の高い連鎖(喘息の病歴についてはp=0.0001 、メサコリン吸入誘発についてはp=0.0009)は、第11番染色体の短腕上にある マーカーD11S907で得られた。この有意な連鎖の結果から、トリスタンダクーニ ャの集団では、喘息に対する素因に影響を及ぼす遺伝子がD11S907の近くに位置 することが示された。
【0138】 トロントの一連の喘息家系においてD11S907および付近のいくつかのマーカー を連鎖に関して検討した場合にも同じ所見が得られた。有意な連鎖が認められた
こと(喘息の病歴についてはp=0.001、メサコリン吸入誘発についてはp=0.05 )から、喘息遺伝子がD11S907の付近に位置することが裏づけられ、トリスタン ダクーニャの同系交配集団と同様に、比較的多様な異系交配がなされたトロント
の群でもこの遺伝子が関連することが示された。
【0139】 トリスタンダクーニャの集団におけるASTH1遺伝子のおおよその遺伝的位置を 、連鎖領域の可能性がある約30cMの範囲にわたって5cM以内の間隔をおいて位置 するD11S907付近のいくつかのマーカーによる遺伝子型判定およびデータ解析に よって確認した。兄弟姉妹の対および罹患した家系メンバーに関するこれらのマ
ーカーの連鎖解析により、連鎖を裏づける証拠が得られ、遺伝子が存在する区間
がさらに精緻化された。
【0140】 ASTH1での物理地図の作成:YACコンティグの構築 酵母人工染色体(YAC)クローンは、CEPH megaYACライブラリー(Cohenら 199
3 Nature 366:698)に由来するものとした。個々のYACのアドレスは、ホワイト
ヘッド研究所(Whitehead Institute)が管理しており、ワールドワイドウェブ (Cohenら 1993、前記、http://www-genome.wi.mit.edu/cg-bin/contig/phys_ma
p)を通じてアクセス可能である、CEPH megaYAC STS(配列タグ標識部位(seque
nce tagged site)、Olsonら(1989)Science 245:1434)マッピングデータの 公開物理地図から入手した。D11S907を含む他のYACにまたがるか重複するYACク ローンを地図の作成のために選択し、これらのYACに対するSTSのマッピングを地
図およびクローンの検証のために用いた。公的データベースでキメラ性であると
の注記がなされていたいくつかのYACは、解析対象から除外した。CEPH megaYAC ライブラリーのマスタープレートから播種した新たな画線培養プレートから得ら
れた各YACの複数のコロニーを、ASTH1領域由来のSTSマーカーを用いてスコア化 した。これらのマーカーには、多型マイクロサテライト反復、発現配列タグ(ES
T)およびSTSが含まれる。各クローンに関するSTSマッピングデータを公的マッ プと比較することにより、ASTH1領域のSTSを最も多く保持しており、このため欠
失が生じている可能性が低いと思われる個々のクローンを選択することが可能と
なる。STSの含有量が異なるクローンに関するYACアドレスは欠失が生じやすいと
解釈し、ASTH1領域のSTSを全く含んでいないクローンのサブセットに関するもの
は、ゲノムの別の領域に由来するYACを含む酵母細胞が混入したものと推定した 。選択されたクローンのキメラ性は、メタフェーズ蛍光インサイチューハイブリ
ダイゼーション(FISH)によって評価した。それらのサイズは、パルスフィール
ドゲル電気泳動(PFGE)、サザンブロット法およびYACベクタープローブとのハ イブリダイゼーションによって判定した。PFGE分析からも、選択したYACクロー ンはいずれも複数の酵母人工染色体を含んでいないことが示された。
【0141】 YACクローンにおける欠失数は極めて少ないとの仮定に基づき、STSマップを作
成した。STSマーカーの順序はホワイトヘッド(Whitehead)の地図のものと一致
していた。しかし、個々のYACのSTS保持パターンは、公的データのものとは若干
異なっていた。一般に、選択されたクローンはより多数のASTH1領域マーカーに 対して陽性であり、このことは、このデータセットでは公的マップよりも偽陰性
が少ないと思われることを意味する。最も関心がもたれる領域にまたがる非キメ
ラ性YACクローンを、この領域に由来するより小さなBAC、PAC、P1またはコスミ ドクローンを同定するためのハイブリダイゼーションプローブとして選択した。
【0142】 プラスミドに基づくクローン地図への変換 ASTH1の部位でのYAC地図によって4Mbの領域が連続的にカバーされ、その中心 にある1Mbに特に関心がもたれた。この領域の最小タイリングパス(minimal til
ing path)を含むYACクローンを選択し、サイズ精製がなされた人工染色体を、B
ACおよびコスミドクローンを同定するためのハイブリダイゼーションプローブと
して用いた。3×ヒトゲノムBACライブラリーおよびヒト第11番染色体特異的コス
ミドライブラリーのグリッド状フィルターを、放射標識した精製YACとハイブリ ダイズさせた。陽性物のグリッド座標に対応するクローンの画線培養によってコ
ロニーを精製し、フィルターに各BACまたはコスミドの4種のクローンをグリッド
状に配置した。これらの二次フィルターを、サイズ精製がなされたYAC DNAとハ イブリダイズさせた。これらの分析により、BACおよびコスミドの一定の割合は いずれも非クローン化性であることが明らかになった。それぞれのハイブリダイ
ゼーション陽性クローンを選択し、その後の分析に用いた。
【0143】 クローン間の重複を確定するために、BACおよびコスミドクローンのSTSマッピ
ングを行った。BACに対してはさらにDIRVISHによる位置決定も行った。STSマー カーを全く含まないBACを、別のBACとの同時二色DIRVISHにより、2つずつマッピ
ングした。作成された地図にはギャップが3つあり、続いて、末端クローニング および末端クローンとヒトゲノムPACライブラリーとのハイブリダイゼーション により、それらのフィッティングを行った。ASTH1領域の遺伝的精緻化はマッピ ングと同時になされたため、BAC整列化領域を延長する必要はなかった。マッピ ングデータはACeDB(EeckmanおよびDurbin(1995)Methods Cell Biol. 48:583
)に記録した。
【0144】 ゲノムシークエンシングおよび遺伝子予測 ゲノムシークエンシングのために、BACおよびコスミドクローンの最小タイリ ングパスを選択した。ASTH1の部位で1Mbを上回るゲノム配列が生成された。シー
クエンシングは平均するとカバー率12倍(配列の重複性が12倍)で行った。STS マップを基準としてマーカーの順序を確かめた。
【0145】 ASTH1領域内の配列と関連する公的データベース中の配列を同定するために、B
LAST検索(Altschulら(1990)前記)を行った。配列に基づく遺伝子予測は、GR
AIL[Roberts(1991)Science 254:805]およびジーンパーサー(Geneparser)
[SnyderおよびStormo(1993)Nucleic Acids Res. 21:607]プログラムを用い
て行った。ゲノム配列および特徴データはACeBDに保存した。
【0146】 ASTH1領域の遺伝的精緻化のための新規マイクロサテライトマーカーの開発 ASTH1領域の遺伝的精緻化のためには、情報的価値のあるほかの多型マーカー が重要であった。D11S907周囲の1Mb領域にあるマイクロサテライトのすべてに対
して「飽和」クローニングを行った。各YACに由来するPFGE精製DNAからプラスミ
ドライブラリーを作製し、それぞれの既知のマイクロサテライトマーカーに由来
するプライマーによるプレスクリーニングを行った後に、放射標識した(CA)15ま
たはトリヌクレオチドおよびテトラヌクレオチド反復性のオリゴヌクレオチドに
よるスクリーニングを行った。プラスミド挿入物のシークエンシングを行い、パ
ワーアセンブラー(Power assembler)(ABI)またはシークエンチャー(Sequen
cher)(Alsbyte)を用いて、この配列の組をこの領域内の既知のマイクロサテ ライトマーカーのものと比較した。それぞれの新規マイクロサテライト反復に隣
接するプライマー対を設計し、それぞれの新規マーカーのヘテロ接合性を遺伝子
型バッチ解析(Batched Analysis of Genotypes)(BAG、LeDucら、1995、PCR M
ethods and Applications 4:331)によって検討した。AceDB中のゲノム配列の 解析により、別のマイクロサテライトも見いだされた。ASTH1領域の遺伝子型判 定に用いたすべてのマイクロサテライトマーカー、ならびにそれらの反復の種類
、供給源およびプライマーの一覧を表1に示す。表1Bには反復配列のいくつかを 示す。
【0147】
【表1】 ASTH1領域内の多型マイクロサテライトマーカー マーカーの供給源は、文字を1つ記した括弧を名称の後に付したもの以外はセク アナテラピューティクス社(Sequana Therapeutics, Inc.)であり、G=ジェネ トン(Genethon)、L=ノーゼン(Nothen)およびデワルド(Dewald)(1995)C
lin. Genet. 47:165、U=ユタゲノムセンター(Utah genome center)(The Ut
ah Marker Development Group(1995)Am. J. Hum. Genet. 57:619を参照)、c
=協同ヒト連鎖センター(cooperative Human Lineage Center)である。
【0148】
【表1B】
【0149】 ASTH1領域の遺伝的精緻化 トリスタンダクーニャおよびトロントの両方のコホートにおける、ASTH1領域 に由来するYACから単離されたマイクロサテライトマーカーの遺伝子型判定を行 った。ASTH1領域の遺伝的精緻化は、ASTH1領域全体のマーカーの部位での、トリ
スタンおよびトロントの集団から得た遺伝データに対して、伝達/不平衡テスト
(TDT)(TDT、Spielmanら(1993)Am. J. Hum. Genet. 52:506)を適用するこ
とによって行った。TDT統計は、マーカー対立遺伝子と疾患状態との間の相関レ ベルを反映する。マルチポイント方式のTDTテストでは、遺伝子座の間のヘテロ 接合性の変動性を調節することにより、単一遺伝子座のTDTデータのプロットよ りもなめらかな領域性TDT曲線が得られる。TDT値の有意性はχ検定によって判
定され、χ値が3.84以上であれば0.05の確率水準で統計的に有意であるとみな
される。図1は、トロントの三人組家系に関する、喘息病歴およびメサコリン吸 入誘発陽性の双方の点で重要なASTH1領域マーカーに関するχ値のグラフを示 している。χ値は物理地図上でのマーカーのゲノム位置に対してプロットして
いる。
【0150】 トロントのTDTピークはマーカーD11S2008(χ=11.6、p<.0001)の位置に あった。不平衡状態にあるマーカー対立遺伝子は極めて稀であり(頻度=6%) 、このマーカーの部位では頻度の高い順から4番目の対立遺伝子であった。この 対立遺伝子についての罹患状態の正常状態に対する相対危険度は5.25であった。
これはトリスタンダクーニャでも連鎖および連鎖不平衡に関するピークマーカー
であり、このことはASTH1遺伝子がこのマーカーの極めて近傍にあることを意味 する。連鎖不平衡の境界を規定するマーカーはD11S907および6SP14TE1であった 。精緻化された領域の物理的サイズはほぼ100kbであった。
【0151】 TDTテストが有意であることは、疾患遺伝子座の近傍に位置する(疾患と「連 鎖不平衡」であるともいう)マーカーの対立遺伝子が疾患遺伝子座とともに分離
される傾向があることを反映し、一方、疾患遺伝子座からさらに離れて位置する
マーカーの対立遺伝子は罹患状態とは無関係に分離される。これから導き出され
る予想は、疾患遺伝子(すなわち、疾患の素因となる多型)が最近になって導入
された集団では、さらに長い期間にわたって変異型遺伝子が分離されてきた集団
よりも、遺伝子周囲のより長い領域にわたって統計的に有意なTDTが認められる であろうというものである。後者の場合には、時間の経過により、疾患遺伝子の
近傍にあるマーカーがそれとともに組換えられた可能性が高いと考えられる。本
発明者らの集団ではこの予想が実際に裏づけられた。創始者から10世代を経たに
過ぎないトリスタンダクーニャの集団では、混在型欧州系の由来をもち、このた
め歴史的により古く多様性も大きい、より以前に確立された集団であるトロント
の一連の家系よりも、幅広いTDT曲線が認められた。
【0152】 遺伝子の単離および特徴付け ASTH1領域の遺伝子に由来する配列を単離するために、BAC、コスミドおよびPA
Cクローンのタイリングパスに対して、エキソントラッピングおよびcDNA選択を 行った。エキソントラッピングを行ったクローンを、サイズおよびクロスハイブ
リダイゼーション能に基づいて選択した。同一でないと推定されるほぼ300種の クローンに対してシークエンシングを行った。cDNA選択は、プールしたタイリン
グパスクローンを用い、成体および胎児の肺RNAを用いて行った。cDNA選択を行 ったクローンのシークエンシングを行い、その配列をエキソントラッピングを行
ったクローンのものと組み合わせた。それぞれのアセンブリーにまたがる代表的
なエキソントラッピングクローンを選択し、クローンの「マスタープレート」(
96穴マイクロタイタープレート)として配列化した。エキソントラッピングを行
ったマスタープレートクローンおよびcDNA選択クローンに対して発現試験を行っ
た。
【0153】 ヒト複数組織のノーザンブロットに対して、マスタープレートクローンのPCR 産物によるプローブ検索を行った。場合によっては、エキソントラッピングクロ
ーンによってRNA種が検出されなかったが、これは、それらが発現配列を表して いないか、発現パターンが極めて限られた遺伝子を表しているため、またはエキ
ソンプローブのサイズが小さいためであった。
【0154】 ノーザンブロット上で離散的RNA種を検出したマスタープレートクローンを用 いて、クローンの発現パターンに基づいて選択されたλファージに基づくcDNAラ
イブラリーのスクリーニングを行った。cDNAの配列は、末端シークエンシングお
よび配列歩行法(sequence walking)によって決定した。cDNA末端の5'および3'
迅速増幅(RACE)により、cDNAの単離または伸長も行った。ほとんどの場合、cD
NAの5'末端を得るには5' RACEが必要であった。
【0155】 ASTH1IおよびASTH1Jはエキソントラッピングによって検出された。ASTH1Iエキ
ソンにより、気管および前立腺で高レベルに発現され、肺および腎臓での発現レ
ベルは低い2.8kbのmRNAが検出された。前立腺、肺および精巣cDNAライブラリー をスクリーニングするためのプローブとしてASTH1Iエキソンを用いたところ、こ
れらのライブラリーのそれぞれから陽性クローンが得られた。精巣からASTH1I c
DNAクローンが単離されたことは、この遺伝子がこの組織中で発現されること、 およびおそらくは他の組織中でもノーザンブロット分析では検出不能なレベルで
発現されると考えられることを示している。
【0156】 ASTH1Jエキソンの場合には、気管、前立腺および膵臓で高レベルに発現され、
結腸、小腸、肺および胃での発現レベルは低い6.0kbのmRNAが検出された。ASTH1
J由来のエキソンクローンにより、膵臓および前立腺ライブラリーのスクリーニ ングを行った。シークエンチャー(Sequencher)(Alsbyte)を用いて、cDNAク ローンの末端配列をエキソントラッピングを行ったクローンの配列と組み合わせ
、配列歩行およびRACEプライマーを設計するために用いる配列コンティグを得た
。これらの方法によって得られた付加的な配列を本来の配列と組み合わせること
により、cDNA配列のより長いコンティグを得た。ASTH1IおよびASTH1Jがともに5'
末端で選択的スプライシングを受けている、および/または選択的転写開始部位
を持つことは、いずれの遺伝子も全てのクローンが同一の5'配列を含むわけでは
なかったため、配列アセンブリーから明らかであった。
【0157】 ASTH1Jには3種類のスプライシング形態があり、その1つであるalt1型は前立腺
および肺cDNAクローンで認められ、エキソン(図1に示されている)は5' a、b、
c、d、e、f、g、h、i 3'という順序で認められた。第2の形態であるalt2では、 エキソンの順序は5' a2、b、c、d、e、f、g、h、i 3'であり、これは膵臓cDNAク
ローンで認められた。第3の形態であるalt3は、エキソンa2とbとの間に選択的エ
キソンであるa3を含む。開始コドンはエキソンbの内部にあるため、3つの形態と
もオープンリーディングフレームは同一であり、異なるのは5' UTRのみである。
配列番号:2(alt1型)、配列番号:3(alt2型)、配列番号:4(alt3型)とし て示されているASTH1J cDNAの長さはそれぞれ5427、5510および5667bpである。 蛋白質コード領域全体および選択的5' UTRの配列を示している。ポリA尾部が付 加されている3'末端にはクローン間で7bpの違いがある。示されている配列はこ れらの変異体のうち最も長いものである。コードされる蛋白質産物は配列番号:
5として示している。
【0158】 ASTH1Iには、alt1、alt2およびalt3として表現される3種類のアイソフォーム が認められた。ASTH1IおよびASTH1Jのエキソンには、cDNAの方向性が判明する前
に文字による命名を行ったため、2つの遺伝子でその順序は異なる。ASTH1Iのalt
1型ではエキソンは以下の順序である:5' i、f、e、d、c、b、a 3'。ASTH1Iのal
t2型では選択的5'エキソンであるjによってエキソンiが置換されており、エキソ
ンの配列は以下の通りとなる:5' j、f、e、d、c、b、a 3'。alt3型の遺伝子で はエキソンの順序は以下の通りである:5' f、k、h、g、e、d、c、b、a 3'。エ キソンi、fおよびeのそれぞれにおける選択的スプライシングおよび開始コドン のために、ASTH1I蛋白質にはアミノ末端が異なる3種類の形態が生じる。共通の 停止コドンはエキソンaに位置しており、これは長い3' UTRも含む。3' UTRには ポリアデニル化シグナルが2つ存在し、cDNAクローンの中には第1のポリAシグナ ルの直後のポリA部で終わるものもあれば、示されている配列の末端のポリA部で
終わるものもある。ASTH1Iのalt1、alt2およびalt3型(それぞれ2428bp、2280bp
および2498bp)に関して示された配列は、ノーザンブロット転写物サイズの推定
値である2.8kbと近いため、これらの配列は本質的に完全長である。
【0159】 ESTマッチング ASTH1Jのalt1、alt2およびalt3型ならびにASTH1Iのalt1、alt2およびalt3型の
ヌクレオチド配列を、これらの配列を表すEST配列を同定するために、dbESTに対
するBLAST検索に用いた。類似性ではなく配列一致率を表すために、完全または ほぼ完全に合致したものを採用した。アクセッション番号T65960、T64537、AA05
5924およびAA055327は、ASTH1Iの3' UTRの末端546bp(ポリA尾部は除く)にとも
にまたがる2つのクローンの前方および逆配列を表している。この遺伝子のコー ド領域のいずれかの部分にまたがるESTは得られなかった。結腸cDNAクローンの1
つ(アクセッション番号AA149006)は、ASTH1Jコード領域の末端21bpおよび3' U
TRの一部を含む402bpにまたがっていた。
【0160】 イントロン/エキソン構造の決定 ASTH1領域におけるゲノム構造を、cDNA配列とこの領域のゲノム配列をBLASTに
よって比較することによって決定した。ASTH1Jの5'側およびこれと重複するASTH
1領域のゲノム配列を配列番号:1に示す。ASTH1IおよびASTH1J遺伝子のゲノム構
造は図1に示されており、イントロン/エキソン接合部の配列は表2に示されてい
る。
【表2】 ASTH1IおよびASTH1J遺伝子のゲノム構造 *エキソン配列は大文字であり、隣接配列は小文字である。
【0161】 推定ASTH1I蛋白質およびASTH1J蛋白質 ASTH1Jによってコードされる蛋白質(配列番号:5)の長さは300アミノ酸であ
る。公的非重複配列データベース(NCBI)に対して蛋白質配列のBLASTP検索を行
ったところ、etsファミリーの転写因子の1つの蛋白質ドメインとの類似性が判明
した。etsファミリーは、この種の転写因子を最初に規定したE26腫瘍性蛋白質に
ちなんで命名されたものであり、種々の免疫学的およびその他の過程に関与する
遺伝子、または癌に関係するとみなされている遺伝子を活性化する転写因子の一
群である。このファミリーのメンバーのうちASTH1IおよびASTH1Jとの類似性が高
いものは、ETS1、ESX、ETS2、ELF、ELK1、TEL、NET、SAP-1、NERFおよびFLIであ
る。二次構造の分析、および蛋白質配列のヒトETS1-DNA複合体の結晶構造との比
較により(Wernerら(1995)Cell 83:761)、それが、転写因子であるいくつか
のDNA結合蛋白質の特徴である翼状ヘリックス-ターン-ヘリックスモチーフを有 することが確認された。
【0162】 ASTH1I、ASTH1Jおよび他のETSドメイン蛋白質の複数配列の整列化により、AST
H1I、ASTH1Jに加えて、ETSドメイン蛋白質の全てではないが一部によって共有さ
れる第2のN末端ドメインが検出された。このモチーフは保存的であることが観察
されており(Teiら(1992)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:6856〜6860)、ET
Sドメイン蛋白質の一つであるTELについては、それが血小板由来増殖因子β受容
体と融合した際にこのモチーフが蛋白質の自己会合に関与することが報告されて
いる(Carrolら(1996)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:14845〜14850)。ス ミス-ウォーターマン(Smith-Waterman)のアルゴリズムを用いて蛋白質データ ベースを検索するために、ETS蛋白質のN末端保存ドメインの配置を一般化配列プ
ロフィールに変換した。この検索により、ASTH1I、ASTH1Jおよび他のETSドメイ ン蛋白質におけるN末端ドメインがSAMドメインファミリー(Schultzら(1997)P
rotein Science 6:249〜253)に属することが明らかになった。SAMドメインは さまざまな発生蛋白質に認められており、蛋白質-蛋白質相互作用を媒介すると 考えられている。このため、ASTH1IおよびASTH1Jはいずれも、N末端蛋白質相互 作用ドメイン(SAMドメイン)およびC末端DNA結合ドメイン(ETSドメイン)とい
う2つの保存的モジュールを含むことが予想される。これらの2つのドメイン間の
配列区域は細長い非球形構造をとると予想され、ASTH1IおよびASTH1Jにおける2 つの機能性ドメインをつなぐヒンジの役割を果たすと考えられる。
【0163】 ASTH1Iのalt1(配列番号:7)、alt2(配列番号:9)およびalt3(配列番号:
11)型は、長さがそれぞれ265、255および164アミノ酸であり、5'末端が異なる 。ASTH1IおよびASTH1J蛋白質にはetsドメインに互いに類似性がみられ、ASTH1J のエキソンcとASTH1Iのエキソンeとの間にも類似性が認められる。それらの互い
の関連性は他の蛋白質とのものよりも強い。etsドメイン全体を通じての互いの 類似度(すなわち、同じ位置に類似した性質をもつアミノ酸がある割合)は66%
であり、一致率は46%である。ASTH1Iの3つの型ではいずれも、蛋白質のカルボ キシル末端付近にヘリックス-ターン-ヘリックスモチーフが位置している。
【0164】 ASTH1I蛋白質の選択的形態はそれぞれ、重要な点で機能に差があると考えられ
る。ets転写因子の活性は、ets蛋白質の結合ドメイン(ヘリックス-ループ-ヘリ
ックス)と相互作用する独立折り畳み蛋白構造モチーフの存在によって影響を受
ける可能性がある。ASTH1I蛋白質の5'末端が異なることは、蛋白質の活性を組織
特異的な様式で調節する上で一助となる可能性がある。
【0165】 ASTH1IおよびASTH1Jの多型解析 配列変異体の決定のために、トロントコホートからの罹患および非罹患個体、
ならびに喘息とは無関係に選択した集団に由来する対照例25例を用いた。トリス
タンダクーニャの集団からの罹患および非罹患個体も選択し、この集団における
ASTH1領域に関する主要なハプロタイプのすべてが表わされるように、アッセイ を行うための組も選択した。これにより、トリスタンについてはすべての種類の
染色体が確実に解析に含まれた。
【0166】 多型解析は、比較(ヘテロ接合体)シークエンシング、放射性SSCPおよび蛍光
SSCPという3種類の技法によって行った。SSCPによって見いだされた多型につい ては、それにかかわる正確な配列変化を明らかにするためにシークエンシングを
行った。
【0167】 ASTH1IおよびASTH1Jのコード領域の各エキソンに隣接するゲノム配列ならびに
5' UTRから、PCRおよびシークエンシング用のプライマーを設計した。蛍光SSCP に関しては、PCR産物の両方の鎖が可視化されるように、前方および逆PCRプライ
マーを異なる色素で標識した。一般に、産物の一方の鎖で認められた変異体は他
方の鎖にも認められた。比較シークエンシングでは、両方のDNA鎖からの配列中 にヘテロ接合体も検出された。
【0168】 ASTH1I遺伝子座との関連が認められた多型の一覧を表3に示す。各変異体に隣 接する配列も示している。転写物の同じ領域にまたがる複数の独立したcDNAクロ
ーン由来の配列の比較、およびゲノムDNA配列との比較からも多型が推定された 。これらの遺伝子の長い3' UTR領域にある多型はこの方法によって見いだされた
。各遺伝子における個々の多型は、蛋白質配列において1つのアミノ酸の変化を 伴う。ASTH1Jのエキソンcにおけるアラニン/バリンの差は保存的アミノ酸変化 である。ASTH1Iのエキソンgにおけるセリン/システイン変異は保存的変化では ないが、alt3型の蛋白質のみにおいて認められると考えられる。
【0169】 トリスタンダクーニャおよびトロントの全集団、ならびに非喘息選択対照例の
より大規模なサンプルにおいて、OLA(オリゴヌクレオチド連結アッセイ、Tobe ら(1996)NucI. Acids Res. 24:3728)もしくはタックマン(Taqman)(Holla
ndら(1992)Clin. Chem. 38:462)などの高スループット法により、またはPCR
および制限酵素消化によって、ASTH1IおよびASTH1Jの転写領域における多型の遺
伝子型判定を行った。この集団全体に関するデータを、喘息例と非喘息例との間
のASTH1IまたはASTH1J対立遺伝子の頻度における有意差に関する統計分析に用い
た。
【0170】
【表3】 ASTH1I遺伝子およびASTH1J遺伝子における多型 配列は、変異残基が適切な単一の文字名によって表されるように一覧化されてお
り、AまたはGの場合は「R」によって示されている。変異残基には下線が施され ている。多型が欠失である場合には、下線残基に下線を施し、選択的形態を「- 」として示している。 イントロン「a」はエキソン「a」の3'側のイントロンであり、その他も同様。 位置の番号はイントロンまたはエキソン内の位置に対応し、ヌクレオチド+1は
エキソンまたはイントロンの最も5'側の塩基である。または、負の数字はイント
ロンの3'末端からの塩基数を表す。 cDNAにおける位置=ASTH1Jのエキソンa型またはASTH1Iのエキソンi型からの位
置数 エキソン配列は大文字であり、イントロン配列は小文字である。 UTR=非翻訳領域。N/A=該当なし。
【0171】 配列の種間保存 配列の種間保存によって、比較的大きな領域における機能的に重要な配列領域
の存在が明らかになることがある。ASTH1IとASTH1Jとの間には約90kbの配列があ
り、この2つは反対方向に転写される(図1)。これらの遺伝子の転写方向により
、それらの発現の協調的調節が可能になると考えられる。これらの遺伝子の発現
パターンは類似しているが、同一ではない。遺伝子の5'側にある配列が、発現に
は特に重要である。調節性またはその他の重要な領域を検索するために、ASTH1I
とASTH1Jとの間のゲノム領域を調査し、ゲノムシークエンシング実験で得られた
プラスミドクローンを種間ハイブリダイゼーション実験のために選択した。プロ
ーブの選択基準は、AluまたはLINEなどの反復要素がないこととした。これらの クローンからの挿入物を、EcoRIで消化したヒト、マウスおよびブタまたはウシ ゲノムDNAのサザンブロットに対するプローブとして用いた。複数の種で離散的 バンドが生じたプローブは保存的であるとみなした。
【0172】 保存的プローブは4つの位置にクラスターを形成して存在した。領域の1つはAS
TH1Iの5'側に位置し、この遺伝子のエキソンjの全長にまたがっていた。第2の保
存領域はASTH1IJの5'側に位置し、ほぼ10kbに及び、ASTH1Jのエキソンaから5'側
に6kbのところから始まっていた(さらに、これは配列番号:1の範囲に含まれる
)。保存的プローブの残る2つのクラスターはASTH1IとASTH1Jとの間の領域に認 められた。それらの長さはほぼ10kbおよび6kbである。
【0173】 プロモーター、エンハンサーおよびその他の重要な制御領域は一般に、遺伝子
の5'末端の付近またはイントロン内にある。このような領域の同定および特徴分
析のための方法には以下のものが含まれる:ルシフェラーゼアッセイ法、クロラ
ムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)アッセイ法、ゲルシフトア ッセイ法、DNアーゼI保護アッセイ法(フットプリント法)、メチル化干渉アッ セイ法、機能的に関連するクロマチン非含有領域を検出するためのDNアーゼI超 高感度アッセイ法、その他の種類の化学的保護アッセイ法、β-ガラクトシダー ゼなどのレポーター遺伝子と機能的に結合した推定プロモーター領域を有するト
ランスジェニックマウス。このようなアッセイ法によって、ASTH1IおよびASTH1J
のプロモーターおよびその他の制御領域が規定され、これらの遺伝子の間で進化
的に保存されている配列の機能的意義が立証される。
【0174】 考察 ASTH1遺伝子座は、喘息および気道過敏性と関連している。ASTH1IおよびASTH1
Jは、気管、肺および他のいくつかの組織において発現される転写因子である。 このため、それらが喘息に対して影響を及ぼす主な部位も気管および肺組織内で
あると考えられる。etsファミリーの遺伝子は転写因子であるため、ASTH1Iおよ びASTH1Jの機能は、気管および肺の細胞内で特定の遺伝子セットの転写を活性化
することである。サイトカインは、喘息に共通する特徴である炎症において重要
な細胞外シグナル伝達蛋白質である。etsファミリーの転写因子のいくつかは、 上流シグナルによるそれら自体の活性化に反応してサイトカインまたはサイトカ
イン受容体の発現を活性化する。例えば、ELFは、喘息において重要な各種の細 胞間のシグナル伝達に関与する因子であるIL-2、IL-3、IL-2受容体αおよびGM-C
SFを活性化する。NETはIL-1受容体 アンタゴニスト遺伝子の転写を活性化する。
ETS1は、いくつかの家系においてアトピー性喘息と連鎖することが示されている
T細胞受容体α遺伝子を活性化する(Moffattら(1994)前記)。
【0175】 炎症に関与する遺伝子がetsファミリーの他のメンバーによって活性化される ことは、喘息の発症に対するこれらのASTH1遺伝子の作用が、気管および/また は肺におけるサイトカインもしくは受容体の発現に影響を及ぼすことによって生
じることを示唆する。サイトカインは、上皮細胞、内皮細胞および線維芽細胞を
含む気道内の構造細胞によって産生され、気道内への炎症細胞の補充を引き起こ
す。
【0176】 喘息におけるASTH1IおよびASTH1Jの役割に関する1つのモデルであって、ASTH1
と連鎖する表現型、これらの遺伝子の発現パターン、ASTH1I/J遺伝子の性質お よび類似遺伝子の既知の機能と矛盾しないモデルは、気管もしくは肺におけるAS
TH1Iおよび/または ASTH1Jの機能異常が炎症過程に関与する因子の発現変化を もたらし、これが慢性炎症および喘息につながるというものである。
【0177】ASTH1Jプロモーター配列変異体の機能解析およびASTH1Jプロモーターの位置 気管支および前立腺上皮細胞の双方から単離した全RNAを用いて行ったプライ マー伸長分析により、ASTH1Jに関する転写開始部位として主要なものが1つ、副 次的なものが5つ明らかになった。主要な部位はASTH1J遺伝子の転写開始の90% 以上を占める。これらの部位のうち、ヒト肺線維芽細胞から単離されたmRNAを用
いてプライマー伸長分析を行った際にASTH1Jを発現しないものは皆無である。
【0178】 ASTH1J転写開始部位が同定されたことから、TATAボックスと推定されるもの(
TTTAAAA)が-24と-30との間の位置(転写開始部位から5'側に24〜30bp)に存在 することが示された。この配列は典型的なTATAボックスのものとは異なるが、38
9種のTATAエレメント(Transfacデータベース:http://transfac.gbf-braunschw
eig.de/、ID:V$TATA_1)との比較では、TATAボックスの蛋白質結合に関するコ ンセンサス配列(TATAAAA)と合致する。
【0179】ゲルシフトアッセイ法による「G」型CAATボックス多型の解析 核蛋白質と、-140位(プライマー伸長実験によって規定されたASTH1Jの転写開
始位置から5'側に140bpの位置であり、これまでは「-165bp」と呼んでいたもの )に存在するGCCAATモチーフにおける多型(GCCAATまたはGCCAGT)との結合を、
電気泳動移動度シフトアッセイ法を用いて評価した。これらの実験により、正常
な「A」または変異型の「G」ヌクレオチドを含む放射標識二本鎖オリゴヌクレオ
チドと核蛋白質との結合を比較検討したところ、著明な差がはっきりと認められ
た。核蛋白質の特定の組は正常なオリゴヌクレオチドとは結合可能であったが、
「G」型オリゴヌクレオチドとは結合しなかった。正常または変異型のいずれか の非標識オリゴヌクレオチドとの競合により、DNA結合複合体の特異性をさらに 検討した。正常な非標識オリゴヌクレオチドの量を徐々に増やしながら添加した
場合には、核蛋白質と正常標識オリゴヌクレオチドとの結合には実効的な競合が
認められたが、「G」型の非標識オリゴヌクレオチドの量を徐々に増やしながら 添加した場合には競合は生じなかった。
【0180】 GCCAATシスエレメントは、多くのプロモーター中に遺伝子からみて種々の相対
的位置に認められるほか、隔たったエンハンサー中にも存在する。これらのエレ
メントの位置と活性との間に相関は認められていない。陽性および陰性のトラン
ス作用性調節因子はいずれも、このクラスのシスエレメントと結合することが知
られている。これらの因子はNF-1およびC/EBPファミリーに分類することができ
る。
【0181】 核因子-1(NF-1)ファミリーの転写因子は、真核生物DNA結合蛋白質の大きな 群を構成する。この遺伝子ファミリーにおける多様性の要因としては、複数の遺
伝子の存在(NF-1A、NF-1B、NF-1CおよびNF-1Xを含む)、スプライシングの違い
、およびヘテロ二量体化がある。
【0182】 転写因子C/EBP(CCAAT-エンハンサー結合蛋白質)は、ラット肝臓の核から最
初に精製された、耐熱性の配列特異的DNA結合蛋白質である。C/EBPは二分性(b
ipartite)構造モチーフを介してDNAと結合し、最終分化に至った分裂停止細胞 のみに対して作用するように思われる。C/EBPαは最初はNF-IL-6と記載されて おり、肝臓内でIL-6によって誘導されるが、肝臓ではそれが主なC/EBP結合成分
である。最近になって報告され、CRP1、C/EBPβおよびC/EBPδと命名されたこ
の遺伝子ファミリーの3つのメンバーは、C/EBPαと類似したDNA結合特異性およ
び親和性を示す。さらに、C/EBPβおよびC/EBPδは互いに、さらにはC/EBPα
とヘテロ二量体を容易に形成する。
【0183】 電気泳動移動度シフトアッセイ法において、現在までに知られたNF-1およびC /EBPファミリーの全メンバーを認識する市販の抗体(Santa Cruz Biotechnolog
ies、Santa Cruz、CA)を用いて判定すると、C/EBPファミリーの転写因子のメ ンバーはASTH1Jのプロモーター領域と結合するが、NF-1ファミリーのメンバーは
結合しない。
【0184】多型配列DNAアレイの製造 DNAアレイは、ポリ-L-リジンで前処理した顕微鏡用スライドグラス表面へのDN
A断片のスポッティングによって作られる。アレイ表面へのスポッティングは、 ロボット式アレイヤーによって行われる。紫外光照射によってDNAをガラスに架 橋させ、0.05%無水コハク酸、50% 1-メチル-2-ピロリジノンおよび50%ホウ酸
緩衝液で処理することによってポリ-L-リジン遊離基をブロックする。
【0185】 アレイ表面のスポットは、ABI自動合成機を用いて合成されたオリゴヌクレオ チドである。各スポットは、表3〜8に示されている選択的多型配列のいずれか1 つである。多型のそれぞれの対に関して、両方の形態を含める。サブセットには
(1)表3のASTH1J多型、(2)表3のASTH1I多型、および(3)表4の多型が含まれ
る。非多型性のコード領域配列および細菌対照を含む、いくつかの内部標準およ
び陰性対照スポットも含める。
【0186】 患者試料からゲノムDNAを単離して増幅し、続いて以下の通りに蛍光ヌクレオ チドによって標識する:単離したDNAを、プライマー(各100pmol)、250μMヌク
レオチドおよびTaqポリメラーゼ(Perkin Elmer)5単位を含む標準的なPCR反応 物に添加する。さらに、蛍光ヌクレオチド(Cy3-dUTP(緑色の蛍光)またはCyS-
dUTP(赤色の蛍光)、Amersham社から販売)を最終濃度が60μMとなるように添 加する。パーキンエルマー(Perkin Elmer)社のサーモサイクラー(PE9600)中
にて、以下のサイクル手順を用いて30サイクルにわたって反応を行う:92℃ 30 秒間、58℃ 30秒間、および72℃ 2分間。取り込まれなかった蛍光ヌクレオチド は、サイズ排除クロマトグラフィー(Microcon-30濃縮装置、Amicon社から販売 )によって除去する。
【0187】 緩衝液の交換、小型ヌクレオチドおよびプライマーの除去ならびに試料の濃縮
は、アミコン(Amicon)マイクロコンセントレーター30(microconcentrator 30
)(mwco=30,000Da)を用いる限外濾過を、0.45ml TEを3回交換しながら行うこ
とによって行う。試料を5μlに減らし、20×SSC 1.4μlおよび酵母tRNA 5μgを 添加する。あらかじめ湿らせておいた孔径0.45μのマイクロスピンフィルター(
microspin filter)(Ultrafree-MC、Millipore、Bedford、Ma.)を通過させる 濾過により、この混合物から粒子を除去する。SDSを最終濃度が0.28%となるよ うに添加する。続いて、蛍光標識がなされたcDNA混合物を98℃で2分間加熱して 急速冷却し、顕微鏡用スライドグラス表面のDNAアレイに対して適用する。カバ ーグラスをかけてハイブリダイゼーションを進行させ、このスライド集成体(as
sembly)を65℃の加湿容器中に15時間おく。
【0188】 スライドグラスを1×SSCおよび0.03%SDS中で短時間洗った後、0.06%SSC中で
洗浄する。スライドグラスは蛍光スキャニングを行う時点まで加湿容器に入れて
おく。
【0189】 蛍光スキャニングおよびデータ収集。20ミクロン/ピクセルに設定して蛍光ス
キャニングを行い、1ピクセル当たり2回の読み取りを行う。チャンネル1のデー タは、励起波長520nmおよび蛍光波長550〜600nmでCy3からの蛍光を収集するよう
に設定する。チャンネル2では、Cy5に適した励起波長647nmおよび蛍光波長660〜
705nmのシグナルを収集する。いずれのチャンネルからのシグナルにも中性フィ ルターは用いず、光電子増倍管のゲインは5に設定する。次に、2つのスポットか
ら得られるシグナルが等しくなるように光電子増倍管のゲインを微調整する。
【0190】 asth1Jトランスジェニックマウスの作製 マウスasth1Jゲノム断片の単離: ヒトasth1-J cDNAクローンPA1001Aの5'領域由来の443bpのBamHI-SmaI断片をプ
ローブとして用いてマウス129Svゲノムファージライブラリー(Stratagene)の スクリーニングを行うことにより、ファージMW1-Jを単離した。MW1-J中の23kb挿
入物のシークエンシングを行った。
【0191】 ASTH1-Jexbターゲティング構築物のアセンブリー MW1-Jから2.65kbのSacI断片(bp7115〜bp9765)を単離してpUC19のSacI部位に
クローニングし、この結果得られたプラスミドからEcoRI-XbaI断片として単離し
、pBluescriptII KS+(Stratagene)のEcoRI-XbaI部位に挿入して、2.5kbのXhoI
-MluI断片を単離した。MW1-Jから5.4kbのHindIII断片(bp11515〜bp16909)を単
離してpBluescriptII KS+のHindIII部位に挿入し、XhoI-NotI断片として再び単 離して、pPNTのXhoI-NotI部位に挿入し、9.5kbのXhoI-MluI断片を単離した。こ の2つのXhoI-MluI断片を連結して、最終的なターゲティング構築物プラスミドで
あるasth1exbを得た。NotIによる消化によってAsth1exbを線状化し、CsCIバンド
法によって精製した。
【0192】 ターゲティングがなされたESクローンの同定: 20μgの線状化asth1exbを電気穿孔法によって約1000万個のRW4 ES細胞(Genom
e Systems)に導入し、ES細胞培地(DMEM+15%ウシ胎児血清+1000U/ml LIF(
Life Technologies))および400μg/ml G418中にて、マイトマイシンC不活性 化MEF(マウス胚線維芽細胞)上で増殖させた。24〜48時間後に、細胞に新たなE
S細胞培地を与えた。選択培地中で7〜10日培養した後に、約200個のコロニーを 摘出してトリプシン処理にかけ、96穴マイクロタイタープレート中で増殖させた
後、2組の24穴マイクロタイタープレートに播いた。一方の組のプレートからの 細胞はトリプシン処理にかけ、凍結培地(Joyner, A.編、遺伝子ターゲティング
.実践的アプローチ(Gene Targeting, A Practical Approach)、1993. Oxford
University Press)中に再懸濁させて-85℃で保存した。もう一方の組のプレー
トからは標準的方法(Joyner、前記)によってゲノムDNAを単離した。クローン1
個当たり約10μgのゲノムDNAをNdeIで消化し、100bp断片(bp6164〜bp6260)を プローブとして用いるサザンブロット法によってスクリーニングを行った。スク
リーニングした113個のクローンのうち10個において、asth1-J遺伝子座での相同
組換えによる標的置換に一致するバンドパターンが検出された。
【0193】 asth1-Jノックアウトマウスの作出: ターゲティングがなされたクローンのうちcl#117およびcl#58の2つを増殖させ
、標準的な方法(Joyner、前記)に従ってC57BL/6胚盤胞に注入した。高率の雄
性キメラファウンダーマウス(アグーチ毛色の程度によって確認)をA/Jおよび
C57BL/6雌性マウスと交配させた。生殖細胞系の伝達は、A/J外部交配種に由来
するチンチラ毛色またはアルビノ毛色、およびC57BL/6外部交配種に由来するア
グーチ毛色によって確認した。ターゲティングがなされたASTH1-J対立遺伝子を 有する生殖系列子孫を同定するために、ES細胞スクリーニングのために用いられ
るNdeIサザンブロットアッセイ法を用いた。A/JおよびC57BL/6外部交配種の双
方から生殖系列子孫を同定し、それぞれをA/JまたはC57BL/6マウスと交配させ
た。
【0194】 ターゲティングがなされたasth1-J対立遺伝子に関してホモ接合性であるマウ スを得るために、ターゲティングがなされたAsth1-J対立遺伝子に関してヘテロ 接合性であるマウス同士を交配させる。上記のNdeIサザンブロットスクリーニン
グ法により、ホモ接合体を同定する。キメラファウンダーの生殖系列子孫の遺伝
的バックグラウンドは、50%がA/JまたはC57BL6であり、50%が129SvJである。
この後に野生型A/JまたはC57BL/6マウスとの戻し交配を数世代にわたって行う
ことにより、バックグラウンドに対する129SvJの寄与は半減すると考えられる。
A/JまたはC57BL/6バックグラウンドの割合は、ホモ接合性マウスのそれぞれに
ついて交配歴から算出される。
【0195】 ホモ接合性マウスの分子的および細胞的分析: 胚の段階から成熟成体までに至るさまざまな発生段階にあるホモ接合体、ヘテ
ロ接合体および野生型同腹仔の種々の組織を単離し、処理を行ってRNAおよび蛋 白質を得る。cDNAプローブならびにasth1-J蛋白質に対して特異的なポリクロー ナル抗体および/またはモノクローナル抗体を用いて、ノーザンおよびウエスタ
ン発現分析、ならびにインサイチューハイブリダイゼーションおよび免疫組織化
学分析を行う。
【0196】 ホモ接合性マウスの表現型分析: さまざまな発生段階にあり、A/JおよびC57BL/6バックグラウンドのそれぞれ
をもつA/J、C57BL/6、野生型、ヘテロ接合性およびホモ接合性のマウスを、肉
眼的病状、ならびに体重、生殖能、敏捷性および活動レベルなどの明瞭な行動表
現型の差に関して評価する。
【0197】 メサコリン吸入誘発試験は、発表されている手順(De Sanctisら(1995)、A /JおよびC57BL/6Jマウスにおける気道過敏性の定量的遺伝子座解析(Quantita
tive Locus Analysis of Airway Hyperresponsiveness in A/J and C57BL/6J
mice)、Nat. Genet. 11:150〜154)に従って行う。
【0198】 asth1-JのエキソンCのターゲティング: エキソンCのターゲティング構築物のアセンブリー: MW1-Jから3.2kbのHindIII-XbaI断片(bp11515〜bp14752)を単離してpUC19のH
indIII-XbaI部位にクローニングし、この結果得られたプラスミドからKpnI-XbaI
断片として単離し、pBluescriptII KS+(Stratagene)のEcoRI-XbaI部位に挿入 して、4.5kbのRsrII-MluI断片を単離した。MW1-Jから3.4kbのHindIII断片(bp17
217〜bp20622)を単離してpBluescriptII KS+のHindIII部位に挿入し、XhoI-Not
I断片として再び単離して、pPNTのXhoI-NotI部位に挿入し、9.5kbのRsrII-MluI 断片を単離した。この2つのRsrII-MluI断片を連結して、最終的なターゲティン グ構築物であるAsth1excを得た。NotIによる消化によってAsth1excを線状化し、
CsCIバンド法によって精製した。
【0199】 ターゲティングがなされたESクローンの同定: 20μgの線状化asth1excを電気穿孔法によって約1000万個のRW4 ES細胞(Genom
e Systems)に導入し、ES細胞培地(DMEM+15%ウシ胎児血清+1000U/ml LIF(
Life Technologies))および400μg/ml G418中にて、マイトマイシンC不活性 化MEF(マウス胚線維芽細胞)上で増殖させた。24〜48時間後に、細胞に新たなE
S細胞培地を与えた。選択培地中で7〜10日培養した後に約200個のコロニーを摘 出してトリプシン処理にかけ、96穴マイクロタイタープレート中で増殖させた後
、2組の24穴マイクロタイタープレートに播いた。一方の組のプレートからの細 胞をトリプシン処理にかけ、凍結培地(Joyner、前記)中に再懸濁させて-85℃ で保存した。もう一方の組のプレートからは標準的方法(Joyner、前記)によっ
てゲノムDNAを単離した。クローン1個当たり約10μgのゲノムDNAをNcoIで消化し
、518bp断片(bp8043〜bp8560)をプローブとして用いるサザンブロット法によ るスクリーニングを行った。スクリーニングした46個のクローンのうち3個にお いて、Asth1-J遺伝子座での相同組換えによる標的置換に一致するバンドパター ンが検出された。
【0200】 asth1-Jexbノックアウトマウスに関して行った場合と同様のやり方で、ターゲ
ティングがなされたクローンを胚盤胞に注入し、高率のキメラファウンダーマウ
スをA/JおよびC57BL/6マウスと交配させる。asth1-Jexbノックアウトマウスに
関して行った場合と同様のやり方で、ヘテロ接合体、ホモ接合体および野生型同
腹仔を入手して分析する。
【0201】 以上に示したデータは、ASTH1IおよびASTH1Jが、トリスタンダクーニャの集団
およびカナダの一連の喘息家系という2つのコホートにおいて臨床的な喘息およ び気道過敏性の病歴と連鎖する新規ヒト遺伝子であることを示している。ASTH1 領域におけるTDT曲線は、ASTH1IおよびASTH1Jが疾患と最も強く相関する領域に 位置することを示す。以上の遺伝子の特徴を分析し、それらの遺伝子構造を明ら
かにした。ASTH1Iに関する3種のアイソフォームおよびASTH1Jに関する3種のアイ
ソフォームを報告した。以上の遺伝子は、喘息の発生において重要なことが知ら
れているTCRα遺伝子およびサイトカイン遺伝子を含む種々の遺伝子の活性化に 関係するとみなされているetsファミリーの転写因子の新規メンバーである。AST
H1IおよびASTH1J遺伝子における多型を述べた。これらの多型は、喘息に対する 罹病性の発症前診断、ならびに喘息および喘息のサブタイプの診断の確定に有用
である。
【0202】 本明細書に引用したすべての刊行物および特許出願は、それぞれの独立した刊
行物または特許出願が参照として組み込まれることが特別かつ個々に示されてい
るのと同様に参照として本明細書に組み込まれる。あらゆる刊行物の引用は、本
出願日より以前の開示のものであり、本発明が、先行発明に基づいて、本開示が
成された日付を早める権利がないと自認したと解釈されるべきではない。
【0203】 上記の本発明は、理解しやすいように図面および実施例を用いてある程度詳細
に記載されているが、当業者には、本発明の教示に鑑みて、その精神または添付
の特許請求の範囲を逸脱することなく特定の変更および改変が可能であることは
容易に認識されると思われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ASTH1I遺伝子およびASTH1J遺伝子のゲノム構造。エキソンの大き
さは一定の縮尺比率にはなっていない。選択的エキソンには線影を施している。
転写の方向は各遺伝子の下に示されている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,LS,M W,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY ,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM ,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY, CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,E S,FI,GB,GE,GH,GM,GW,HU,ID ,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ, LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,M G,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT ,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL, TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ,V N,YU,ZW (72)発明者 バックラー アラン アメリカ合衆国 カリフォルニア州 カー ディフ ラグーン ビュー ドライブ 2315 (72)発明者 カードン ロン イギリス国 オックスフォード ルーズベ ルト ドライブ ユニバーシティー オブ オックスフォード ウェルカム トラス ト センター フォア ヒューマン ジェ ネティクス (番地なし) (72)発明者 キャリー アリソン エイチ. アメリカ合衆国 カリフォルニア州 サン ディエゴ ギャロウェイ ドライブ 3145 (72)発明者 ギャルビン マーガレット アメリカ合衆国 カリフォルニア州 カー ルスバッド コート プロムナード 7768 (72)発明者 ミラー アンドリュー アメリカ合衆国 カリフォルニア州 サン マテオ カントリーサイド ドライブ 3271 (72)発明者 ノース マイケル アメリカ合衆国 カリフォルニア州 ラ ジョラ ノース トレイ パインズ ロー ド 11099 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 CA01 CA09 CA11 DA03 EA04 HA11 HA14 4B063 QA01 QA06 QA13 QA18 QA19 QQ03 QQ42 QQ52 QQ53 QQ79 QR02 QR04 QR08 QR13 QR33 QR48 QR56 QR58 QR59 QR62 QR66 QR83 QR84 QS16 QS25 QS34 QX01 4H045 AA20 AA30 BA10 CA40 EA20 FA71

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 哺乳動物のASTH1遺伝子座の内部の配列を含む単離核酸分子 、またはその多型変異体。
  2. 【請求項2】 核酸分子がASTH1ポリペプチドをコードする、請求項1記載の
    単離核酸分子。
  3. 【請求項3】 核酸がプロモーターまたは調節領域を含む、請求項1記載の 単離核酸分子。
  4. 【請求項4】 ASTH1遺伝子座多型の検出のためのプローブを含む、請求項1
    記載の単離核酸分子。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の2種またはそれ以上のプローブを含む、オリゴ
    ヌクレオチドのアレイ。
  6. 【請求項6】 喘息に対する素因と関連したマイクロサテライト反復を含む
    、単離核酸。
  7. 【請求項7】 ASTH1遺伝子座がヒトのものである、 請求項1から5のいずれ
    か一項に記載の核酸。
  8. 【請求項8】 請求項1から4のいずれか一項に記載の核酸組成物を含む細胞
  9. 【請求項9】 請求項1記載の核酸の産物として存在する蛋白質を重量にし て少なくとも50%含む、精製されたポリペプチド組成物。
  10. 【請求項10】 個体における喘息に対する素因を検出するための方法であ
    って、 該個体のゲノムDNAまたはmRNAを、素因となるASTH1遺伝子座多型または病因多
    型(predisposing polymorphism)と連鎖した配列が少なくとも1つ存在すること
    に関して、該病因多型が喘息に対する罹病性の亢進の指標となる分析を行う段階
    を含む方法。
  11. 【請求項11】 分析段階が、個体のゲノムDNAまたはmRNAと、請求項4また
    は5のいずれか一項に記載の1つのプローブまたは複数のプローブとの間の特異的
    結合の検出を含む、請求項10記載の方法。
  12. 【請求項12】 分析段階が、個体のゲノムDNAまたはmRNAと、表1に一覧が
    示されたマイクロサテライトマーカーとの間の特異的結合の検出を含む、請求項
    10記載の方法。
  13. 【請求項13】 ASTH1遺伝子機能に関する非ヒトトランスジェニック動物 モデルであって、以下の特徴のいずれか1つを含むモデル: (a)ASTH1遺伝子のノックアウト; (b)外因性であって安定的に導入された哺乳動物ASTH1遺伝子配列;または (c)レポーター遺伝子と機能的に結合したASTH1プロモーター配列。
  14. 【請求項14】 ASTH1機能を調節する生理活性物質に関するスクリーニン グの方法であって、以下の段階を含む方法: 生理活性物質の候補物を、 (a)哺乳動物ASTH1ポリペプチド、 (b)哺乳動物ASTH1ポリペプチドをコードする核酸を含む細胞、または (c)(i)ASTH1遺伝子のノックアウト、(ii)外因性であって安定的に導 入された哺乳動物ASTH1遺伝子配列、もしくは(iii)レポーター遺伝子と機能的
    に結合したASTH1プロモーター配列のいずれか1つを含む、ASTH1遺伝子機能に関 する非ヒトトランスジェニック動物モデル のいずれか1つと組み合わせる段階;および ASTH1機能に対する該物質の効果を判定する段階 を含む方法。
  15. 【請求項15】 配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、
    配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、または配列番号:328のいずれか1つ
    とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、単離核酸。
  16. 【請求項16】 配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11 もしくは配列番号:339のいずれか1つの内部に示された配列と実質的に同一なア
    ミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその断片をコードする、単離核酸。
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