JP2002500234A - インシュリン関連疾患の治療および診断の方法および組成物 - Google Patents

インシュリン関連疾患の治療および診断の方法および組成物

Info

Publication number
JP2002500234A
JP2002500234A JP2000527564A JP2000527564A JP2002500234A JP 2002500234 A JP2002500234 A JP 2002500234A JP 2000527564 A JP2000527564 A JP 2000527564A JP 2000527564 A JP2000527564 A JP 2000527564A JP 2002500234 A JP2002500234 A JP 2002500234A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
insulin
polypeptide
degrading enzyme
complex
activity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000527564A
Other languages
English (en)
Inventor
クリフォード ダックワース、ウィリアム
ジー. ハメル、フレデリック
Original Assignee
クリフォード ダックワース、ウィリアム
ジー. ハメル、フレデリック
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by クリフォード ダックワース、ウィリアム, ジー. ハメル、フレデリック filed Critical クリフォード ダックワース、ウィリアム
Publication of JP2002500234A publication Critical patent/JP2002500234A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/575Hormones
    • C07K14/62Insulins
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Endocrinology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Diabetes (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

(57)【要約】 本発明は、絶対的または相対的インシュリン欠乏症、重度のインシュリン抵抗、脂質蓄積または過度の脂質合成、またはタンパク質異化作用または分解の疾患の症状を治療または軽減するための方法および組成物に関する。本発明はまた、このような疾患の治療の検出および評価方法を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の背景 細胞のタンパク質分解は、複雑な一組の相互作用の過程である。タンパク質異
化作用は、大きな臨床的関わり合いを有している。多くの病理状態が、タンパク
質分解の増加に係わっており、これは、しばしば患者に害を及ぼす。過度のタン
パク質および/または筋肉分解は、制御されていない糖尿病(たとえば、糖尿病
患者における筋肉質量の減少)、重度のストレス(たとえば、外傷、火傷、敗血
症)、急性心筋梗塞、慢性消耗病(たとえば、エイズ、癌)ならびに他の状態お
よび病気で発生する。
【0002】 リソソームのタンパク質加水分解が、細胞のタンパク質分解の主な部位である
と従来考えらていたが、最近の研究は、細胞のタンパク質分解における標的タン
パク質の分解および短期変質(すなわちインシュリンによる阻害)のような、特
に選択的なタンパク質加水分解経路における細胞質ゾルのタンパク質加水分解過
程が重要な役割を有することを示している。プロテアソーム(proteasome)および
リソソームが主な2つの細胞下タンパク質区画である。これらの区画はいずれも
インシュリンに影響される。極端な状況(全くインシュリンがない場合)では、
リソソ−ムの自己食作用が活性化するが、ほとんどの生理的および病態生理状況
下(たとえば、ストレス)では、プロテアソームがインシュリンの主な標的にな
る場合がある(たとえば、食後のタンパク質加水分解の減少)。 プロソームは、あらゆる生物の本質的にすべての細胞型の細胞質ゾルに存在する
偏在性円筒形細胞小器官であり、全細胞タンパク質の1〜2%を占める。プロソ
ームは、高分子量多触媒性プロテイナーゼ(MCP)と同一であることがわかっ
たとき、その名がプロテアソームに変えられた。多触媒性プロテイナーゼは、多
数の明確な触媒部位(5箇所にもわたる)および20〜35kDa範囲の多数の 帯からなるSDSゲル上の特徴的な縞模様を有する。多触媒プロテイナーゼおよ
びその成分は異なる分子形態(15S,20Sおよび26S)および異なる経路
(ATP依存、ユビキチンおよび非ATP依存)を含む複雑なタンパク質加水分
解システムの一部である。
【0003】 このシステムに対する強い関心が発達し、急速に拡大している。細胞質ゾルの
タンパク質分解複合体であるプロテアソームは、細胞タンパク質代謝回転におけ
る中心的な成分であることが最近の証拠により裏付けられている。プロテアソー
ム活性は、ユビキチン媒介タンパク質加水分解、インシュリン変質タンパク質加
水分解、抗原プロセシング、アポプトーシス、細胞増殖および自律分化ならびに
他の多くのタンパク質加水分解依存細胞機能にとって重要である。多触媒性プロ
テイナーゼは、ほとんどすべての細胞分解機能に係わってきたが、その制御につ
いては比較的ほとんど知られていない。
【0004】 インシュリン分解酵素(IDE)インシュリナーゼは、インシュリン分解での
比較的高い特異性によって初めて同定された。インシュリンはこの酵素に対して
最も高い親和性を有しているが、その後、インシュリン分解酵素の他の基質が認
識されている。この酵素について、分子量、タンパク質加水分解活性および至適
pHのような基本的な特性についての様々な報告があり、この酵素の特徴付けは
困難であった。特に、不安定さおよび手法によって変化する特性のために、この
タンパク質の精製は困難であった。同質性を得るまでの精製およびその後のcD
NAの単離によりそれらの問題のいくつかが解明した。インシュリン分解酵素は
、古典的なプロテイナーゼ類と同族でなくむしろZn2+の必要条件を有するが典
型的なZn2+の結合部位を有していない金属プロテイナーゼ類の提案された新し
い上綱の第1の代表物である。インシュリン分解酵素の分子量は、約110,0
00ダルトンである。
【0005】 インシュリン分解酵素は、インシュリンの細胞プロセシングおよび分解にとっ
て重要である。細胞のインシュリン分解の一般的な特徴は、この酵素の特性と一
致しており、インシュリン分解酵素は、インシュリン分解が始まるエンドソーム
に存在する。インシュリンの細胞分解生成物は、インシュリン分解酵素の公知の
切断部位と一致している。しかし、インシュリン分解酵素の一次細胞位置は細胞
質ゾルであり、この酵素は、インシュリンと結合および内化しない細胞を含むす
べての検査された細胞型に存在する。これは、インシュリン分解酵素は、単なる
インシュリン分解以上のより広い機能を有していることを示唆している。この考
え方は、大腸菌からヒトまでの生物でのインシュリン分解酵素の存在およびその
進化的保存によって裏付けられている。インシュリン分解酵素はまた、その発達
が調節されていることが示されており、細胞の分別および増殖に関わり合いがあ
る。インシュリン分解酵素は、多触媒性プロテイナーゼまたはプロテアソームの
活性を調節できることが示されている。インシュリン分解酵素および多触媒性プ
ロテイナーゼは複合体として細胞質ゾルから単離することができる。これらの酵
素の会合体を維持する条件下において、インシュリンは、この多触媒性酵素の基
質の全部ではなく、そのうちのいくつかの多触媒性プロテイナーゼ分解を阻害す
る。インシュリン分解酵素および多触媒性プロテイナーゼの精製による分離の後
、インシュリンの効果は消失する。インシュリン分解酵素、多触媒性プロテイナ
ーゼおよびそれらの複合体は、タンパク質の異化作用と関わり合いがある。 しかし、インシュリンの細胞内作用は一般的に受け入れられておらず、このよう
な活性についての研究もなかった。インシュリンの細胞内効果をもたらす公知の
メカニズムがなかったので、これらの問題を解決する方法が制限されていた。細
胞のタンパク質加水分解の媒介でのプロテアソームが果たす重要な役割を考慮す
ると、プロテアソーム活性を変性したり、その変性を評価するシステムは、糖尿
病、ストレス、エイズ、癌などの、タンパク質の異化作用の変化に付随する状態
において重要な臨床的関わり合いを有し得、このようなシステムの必要性が依然
として存在する。
【0006】 発明の要旨 本発明は、絶対的または相対的インシュリン欠乏症(たとえば、肥満患者にお
ける2型糖尿病)、重度のインシュリン抵抗、脂質蓄積または過度の脂質合成(
たとえば、肥満および/または糖尿病患者における体脂肪または脂質合成の増加
)、またはタンパク質異化作用または分解(たとえば、糖尿病または消耗症患者
における筋肉質量の減少)といった疾患の症状の治療または軽減方法およびこの
ような方法において用いることができるペプチドに関する。その必要性がある患
者におけるこのような疾患の症状の治療および軽減の好ましい方法は、患者にイ
ンシュリンのインシュリン分解酵素切断部位に隣接する配列を含むポリペプチド
を患者に投与することを含む。このようなペプチドは、インシュリン分解酵素と
多触媒性プロテイナーゼとの複合体の1つ以上の活性を阻害することが好ましい
。1つの実施形態では、症状の治療および軽減方法は、インシュリン分解酵素と
多触媒性プロテイナーゼとの複合体の活性を阻害するペプチドを投与することを
含む。
【0007】 本発明はまた、絶対的または相対的インシュリン欠乏症(たとえば、肥満患者
における2型糖尿病)、重度のインシュリン抵抗、脂質蓄積または過度の脂質合
成(たとえば、肥満および/または糖尿病患者における体脂肪または脂質合成の
増加)、またはタンパク質異化作用または分解(たとえば、糖尿病または消耗症
患者における筋肉質量の減少)といった疾患の検出方法に関する。このような検
出方法は、患者からの生体試料を用いて、インシュリン分解酵素と多触媒性プロ
テイナーゼとの複合体の活性を測定することを含む。好ましい検出方法では、こ
の活性レベルを適切な対照グループのレベルと比較する。1つの実施形態におい
て、この方法は、インシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼとの複合体の
活性に与える阻害剤の効果を測定することを含むことができる。
【0008】 本発明の他の実施形態では、患者からの生体試料を用いてのインシュリン分解
酵素と多触媒性プロテイナーゼとの複合体の活性の測定は、絶対的または相対的
インシュリン欠乏症(たとえば、肥満患者における2型糖尿病)、重度のインシ
ュリン抵抗、脂質蓄積または過度の脂質合成(たとえば、肥満および/または糖
尿病患者における体脂肪または脂質合成の増加)、またはタンパク質異化作用ま
たは分解(たとえば、糖尿病または消耗症患者における筋肉質量の減少)といっ
た疾患の治療効果を評価するのに用いることができる。この方法において、この
活性レベルを適切な対照と比較し、患者のレベルが典型的な範囲に戻ったか、ま
たは入ったかどうかを決定する。
【0009】 インシュリン分解酵素 インシュリン分解酵素は、Zn++およびおそらくMn++も含有する金属酵素で
あり、その分解活性は1つ以上の二価のカチオンを必要とする。Zn++およびM
++の他に、Ca++もまた、生体外および無傷細胞内でのインシュリン分解酵素
の分解活性に影響を及ぼすことが示されている。インシュリン分解酵素は、B鎖
における残基9と10との間、残基10と11との間、残基16と17との間、
残基24と25との間、残基25と26との間を含む部位でインシュリンを切断
する。インシュリンが最大の親和性を有する基質であるが、インシュリン分解酵
素は、他のペプチドおよびタンパク質とも作用する。一般的に、この酵素が認識
する基質は、インシュリンと構造上の同族関係を有する(プロインシュリン、プ
ロインシュリン中間体、表皮成長因子[EGF]、IGF−I、IGF−II、リ
ラキシンおよび心房性ナトリウム利尿ペプチド[ANP])。この発見により、こ
の酵素はこれらのタンパク質の構造上の特徴を認識するという結論に到達した。
【0010】 インシュリン分解酵素は、無傷細胞または生体において精製、単離および研究
することができる。この酵素は、インシュリン分解酵素として、多触媒性プロテ
イナーゼとの複合体の一部として、または他の細胞内システムの成分として存在
することができる。インシュリン分解酵素の活性は、当業者に公知の種々のアッ
セイを用いて測定することができる。放射性同位体で標識されたタンパク質基質
を用いる典型的なアッセイでは、トリクロロ酢酸を用いて基質を沈殿させ、生成
物は溶けた状態にする。インシュリン分解酵素の活性測定法として、HPLCを
ベースにしたアッセイも当該分野において公知である。公知のアッセイを用いて
、生体外または無傷細胞もしくは生体でのインシュリン分解酵素の活性をモニタ
ーすることができる。
【0011】 多触媒性プロテイナーゼ プロテアソームとしても知られている多触媒性プロテイナーゼ(MCP)は、
キモトリプシン様、トリプシン様およびペプチジル−グルタミル−分解活性など
を含む多数の触媒部位を有する。これらの触媒部位は、生体外および生体内アッ
セイに有用なタンパク質およびペプチドを含む種々の基質を分解する。多触媒性
プロテイナーゼは、無傷細胞または生体において精製、単離および研究すること
ができる。多触媒性プロテイナーゼの種々の活性は、当業者に公知の種々のアッ
セイを用いて測定することができる。放射性同位体で標識されたタンパク質基質
を用いる典型的なアッセイでは、トリクロロ酢酸を用いて基質を沈殿させ、生成
物は溶けた状態にする。また、多触媒性プロテイナーゼまたはインシュリン分解
酵素と多触媒性プロテイナーゼとの複合体による切断時のペプチドからの発色ま
たは蛍光発光性化合物の放出を用いるペプチドをベースにしたアッセイもある。
公知のアッセイを用いて、生体外または無傷細胞もしくは生体での多触媒性プロ
テイナーゼまたはその複合体の活性をモニタすることができる。
【0012】 単離したプロテアソームへ添加したインシュリンは、キモトリプシン様および
トリプシン様活性を非拮抗的に阻害する。この阻害を用いて、単独またはインシ
ュリン分解酵素との複合体の一部としての多触媒性プロテイナーゼの活性に与え
るタンパク質の効果を調べることができる。プロテアソーム活性の修飾要因の効
果を直接評価することができる生体外システムが存在する。インシュリンおよび
関連タンパク質は、このシステムに直接の効果を有する。これは基本的研究に重
要な意味を有しているが、このシステムは、タンパク質加水分解に対する効果に
無関係の物質のスクリーニングに用いることができることが、一般的および臨床
的に、より大きな重要性を有する。たとえば、無傷細胞内のプロテアソーム活性
は、膜浸透可能基質を用いて検定することができる。臨床的アッセイとして、患
者の血清または他の組織に対して、プロテアソーム活性に対する効果に関するス
クリーニングを行ない、さらに、重要なことに、プロテアソーム活性に対する処
置の効果を評価することができる。プロテアソーム活性の低下をもたらす治療は
、タンパク質異化作用に全く有益である(たとえば、糖尿病または消耗症患者で
の筋肉重量の維持または筋肉分解の低下)。同様に、プロテアソーム活性の低下
は、ある病理状態に起こり、活性増加への効果的な手法の評価方法は、臨床的重
要性を有する。
【0013】 疾患の検出および治療の評価方法 インシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼとの複合体の1つ以上の活性
レベルの測定は、絶対的または相対的インシュリン欠乏症(たとえば、肥満患者
における2型糖尿病)、重度のインシュリン抵抗、脂質蓄積または過度の脂質合
成(たとえば、肥満および/または糖尿病患者における体脂肪または脂質合成の
増加)、あるいはタンパク質異化作用または分解(たとえば、糖尿病または消耗
症患者における筋肉質量の減少)といった疾患を検出あるいはこのようは疾患の
治療の効能(たとえば、糖尿病または消耗症患者での筋肉重量の維持または筋肉
分解の低下)を評価する方法に用いることができる。インシュリン分解酵素と多
触媒性プロテイナーゼとの複合体の幾つかの活性の測定方法は、本明細書中に記
載され、当業者に公知である。
【0014】 このような活性は、絶対的または相対的インシュリン欠乏症(たとえば、肥満
患者における2型糖尿病)、重度のインシュリン抵抗、脂質蓄積または過度の脂
質合成(たとえば、肥満および/または糖尿病患者における体脂肪または脂質合
成の増加)、あるいははタンパク質異化作用または分解(たとえば、糖尿病また
は消耗症患者における筋肉質量の減少)といった疾患の治療の検出または評価の
ための適切な生物試料で測定することができる。適切な生物試料は、血液、血漿
、膵臓、筋肉、脂肪、肝臓、尿などを含む。次いで、測定されたレベルを、活性
の対照レベルと比較することができる。適切な対照は、異なる時間での同一患者
、当該疾患を有する患者の履歴個体群、予想レベルなどを含む。比較により、患
者がその疾患を患っているかどうか、その疾患がどの程度まで進行しているか、
または治療がうまくいっているかなどの要因を決定する。このようなアッセイは
また、タンパク質異化作用に対する実際の治療薬または治療薬候補の効果を評価
するのに用いることができる。
【0015】 インシュリン 本明細書で用いる「インシュリン」という語は、配列および構造が公知である
ウシ、ブタおよびヒトのインシュリンなどの哺乳類のインシュリンのことである
。ウシ、ブタおよびヒトのインシュリンが好ましい哺乳類のインシュリンであり
、ヒトのインシュリンがより好ましい。ヒトインシュリンのアミノ酸配列および
空間構造は周知である。ヒトインシュリンは、ジスルフィド結合によって架橋さ
れている21個のアミノ酸A鎖および30個のアミノ酸B鎖からなっている。適
切に架橋されたヒトインシュリンは、3つのジスルフィド架橋を含む。すなわち
、A鎖の7位とB鎖の7位との間に1つ、A鎖の20位とB鎖の19位との間に
2つ目、A鎖の6位と11位との間に3つ目がある。
【0016】 「インシュリン類似体」という語は、それぞれ、ヒトインシュリンのA鎖およ
びB鎖と実質的に同じアミノ酸配列を有するが、インシュリン類似体のインシュ
リン活性を破壊しない程度の1つ以上のアミノ酸欠失、1つ以上のアミノ酸置換
、1つ以上のアミノ酸付加および/または1つ以上の側鎖変質を有するという点
においてヒトインシュリンのA鎖およびB鎖とは異なるA鎖およびB鎖を有する
タンパク質を意味する。
【0017】 インシュリン類似体の1つのタイプである「モノマー性インシュリン類似体」
が当該分野においてよく知られている。このようなヒトインシュリンの類似体は
、たとえば、B28位のProがAsp、Lys,Leu,ValまたはAla
と置換されており、B29位のLysがLysであるかまたはProで置換され
ているヒトインシュリン、また、AlaB26−ヒトインシュリン、脱(des
)(B28−B30)ヒトインシュリンおよび脱(des)(B27)ヒトイン
シュリンを含む。モノマーのインシュリン類似体は、チャンス(Chance)らの19
96年5月7日発行米国特許第5,514,646号、ブレム(Brems)らのタン パク質工学(Protein Engineering)、6:527−533(1992)、ブラン ジ(Brange)らのEPO公報第214,826(1987年3月18日公開)およ
びブランジ(Brange)ら構造生物学における現代の意見(Current Opinion in Stru
ctural Biology)、1:934−940(1991)に開示されている。これら の開示は、モノマー性インシュリン類似体の記載に関し参照により本明細書中に
明示的に組み込まれる。本発明の製薬で用いるモノマー性インシュリン類似体は
、ヒトインシュリンと同じ位置で適切に架橋されている。
【0018】 インシュリン類似体は、またアミド化されたアミノ酸に代えて酸性形態を有す
ることがある。たとえば、Asnは、AspまたはGluと置換してもよい。同
様に、Glnは、AspまたはGluと置換してもよい。特に、AsnA18、
AsnA21、またはAspB3またはこれらの残基のどんな組み合わせも、A
spまたはGluに置換されてもよい。また、GlnA15またはGlnB4あ
るいは両者は、AspまたはGluのいずれかに置換されてもよい。代替インシ
ュリン類似体は、B21でのAspもしくはB3でのAspまたは両方の置換、
ならびに他の置換または欠失を有するものであってもよい。
【0019】 インシュリン由来阻害剤 絶対的または相対的インシュリン欠乏症(たとえば、肥満患者における2型糖
尿病)、重度のインシュリン抵抗、脂質蓄積または過度の脂質合成(たとえば、
肥満および/または糖尿病患者における体脂肪または脂質合成の増加)、あるい
はタンパク質異化作用または分解(たとえば、糖尿病または消耗症患者における
筋肉質量の減少)の状態または疾患におけるIDEおよびMCPの複合体の1つ
以上の活性のインシュリン由来の阻害剤の投与は、この状態または疾患の症状ま
たは影響を軽減するための効果的な方法である。このような状態は、(これらに
限らないが)糖尿病、重度のストレス(外傷、火傷、飢餓)、急性心筋梗塞、慢
性消耗病(たとえば、エイズ、癌)を含む。このようなペプチドは、グルコース
代謝または細胞増殖および有糸分裂誘発に対して直接の効果を有すると考えられ
ていない。というのは、これらのプロセスに対するインシュリンの効果は、異な
るメカニズムによるからである。間接的で潜在的に有益な効果(グルコースの低
下、有糸分裂誘発の低下)は、可能である。
【0020】 インシュリンは、インシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼとの複合体
のある特定の活性を阻害する。インシュリン由来のポリペプチドもまた、この複
合体のこれらの活性を阻害する。たとえば、インシュリン分解酵素によるインシ
ュリン切断からのポリペプチド生成物は、この複合体を阻害する。もっと完全に
分解したインシュリン、たとえば、トリクロロ酢酸に可溶の物質を主に含むイン
シュリン分解産物は、この複合体の阻害における効果は少ない。これは、インシ
ュリン分解酵素の切断部位に隣接するアミノ酸配列を含むインシュリン由来のポ
リペプチドが、この複合体の効果的な阻害剤であるということを示している。本
明細書に用いられている切断部位に隣接する(flanking the cleavage site )とは、切断部位に隣接し(adjacent)、酵素による結合切断を受けるアミノ酸
のうちの1つを含む配列を有するポリペプチドのことである。
【0021】 切断部位に隣接するアミノ酸配列を含む阻害剤ポリペプチドは、約4〜15個
という少ないアミノ酸、好ましくは約5〜約8個のアミノ酸であり得る。このよ
うな好ましいポリペプチドは、HLVEALY(配列番号:1)およびLVEA
LY(配列番号:2)を含む。これらの好ましいポリペプチドは、それぞれイン
シュリンB鎖由来のアミノ酸10−16および11−16を表す。インシュリン
分解酵素は、B鎖における残基9と10との間、残基10と11との間、残基1
6と17との間、残基24と25との間、残基25と26との間を含む部位でイ
ンシュリンを切断する。したがって、ペプチドHLVEALYおよびLVEAL
Yはそれぞれ、2つの切断部位に隣接する。これらの切断部位に隣接するさらな
るペプチドは、たとえば、インシュリンB鎖の残基1−9、5−9、1−10、
7−10、9−24、9−25、10−24、10−25、16−21、16−
25、16−26、17−24、17−25、17−30、24−30および2
5−30を表すペプチドなどを含む。
【0022】 本発明のポリペプチド、タンパク質およびペプチドは、合成または組換え技術
によって生成することができる。約15〜20個のアミノ酸より小さなポリペプ
チドは、自動固体相ペプチド合成のようなペプチド合成の公知の方法によってう
まく作ることができる。このようなポリペプチドはまた、組換え方法によっても
作ることができる。たとえば、このようなポリペプチドは、融合タンパク質の一
部として作ることができ、所望の配列の繰り返しを長い鎖状ポリマーの多数の単
位として発現させることができる。約20〜90個のアミノ酸より長いポリペプ
チドは、多数の公知の組換え方法によってうまく調製することができる。
【0023】 インシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼとの複合体の適切な阻害剤は
、上記のインシュリン内のアミノ酸配列と実質的に対応するポリペプチドを含む
。本発明の目的のための、上記のインシュリン内のアミノ酸配列と実質的に対応
するポリペプチドの定義は、インシュリンの対立遺伝子の異形体または変異体内
のアミノ酸配列と対応するペプチドを含む。前記異形体および変異体は、未変性
配列と高い相同性を有する(たとえば、置換、欠失または付加変異体)。インシ
ュリンのアミノ酸配列と実質的に対応するポリペプチドは、典型的に、少なくと
も約70%、より好ましくは少なくとも約90%の配列が、未変性配列と相同性
を有する。インシュリンのアミノ酸配列と実質的に対応するポリペプチドは、少
なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約90%の配列が未変性配列と同
一であることが好ましい。
【0024】 インシュリン内のアミノ酸配列と実質的に対応することに加えて、本発明のポ
リペプチドは、インシュリンまたはインシュリンの阻害フラグメントの望ましい
特性を維持する。本発明のポリペプチドは、インシュリン分解酵素と多触媒性プ
ロテイナーゼとの複合体に結合および/または阻害するというインシュリンの機
能的活性を維持する。さらに、本発明のポリペプチドは、インシュリン分解酵素
および/またはインシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼとの複合体の生
成物または基質であってもよい。また別の望ましい特性(たとえば、分解に対す
る抵抗または膜透過性の向上)を有するそれらのペプチドの類似体または誘導体
も本発明に含まれる。上記の生体外および他のアッセイシステムを用いて、潜在
的に有用な化合物をスクリーニングすることができる。
【0025】 本発明のインシュリン由来ポリペプチドの異形体は、欠失または同類アミノ酸
置換によって変形される。典型的に、このような同類アミノ酸置換は、「タンパ
ク質の配列および構造の地図書」(Atlas of Protein Sequence and Structure)
5、(1978)にデイホフ(Dayhoff)およびEMBOJ.8、779(198
9)にアルゴス(Argos)によって記載されたような置換を含み、これらの開示は 、本明細書に参照により組み込まれる。たとえば、次のクラスのうちの1つクラ
ス内でのアミノ酸の交換が同類置換である。クラスI:Ala、Gly、Ser 、ThrおよびPro(小さな脂肪族側鎖および水酸基側鎖を表している);ク
ラスII:Cys、Ser、ThrおよびTyr(−OHまたは−SH基を含んで
いる側鎖);クラスIII:Glu、Asp、AsnおよびGln(側鎖を含んで いるカルボキシル基を表している):クラスIV:His、ArgおよびLys(
塩基側鎖を表している);クラスV:Ile、Val、Leu、PheおよびM et(疎水性側鎖を表している);クラスVI:Phe、Trp、TyrおよびH
is(芳香族側鎖を表している);およびクラスVII:Lys、Asp、Glu 、AsnおよびGlnである。これらのクラスはまた、クラスIでは3Hypお
よび4Hyp;クラスIIではホモシステイン;クラスIIIでは2−アミノアジピ ン酸、2−アミノピメリン酸、g−カルボキシグルタミン酸、b−カルボキシア
スパラギン酸、および対応するアミノ酸アミド;クラスIVではオルニチン、ホモ
アルギニン、N−メチルリジン、ジメチルリジン、トリメチルリジン、2,3−
ジアミノプロピオン酸、2,4−ジアミノ酪酸、ホモアルギニン、サルコシンお
よびヒロドキシリジン;クラスVでは置換フェニルアラニン、ノルロイシン、ノ ルバリン、2−アミノオクタン酸、2−アミノヘプタン酸、スタチン(statine )およびb−バリン;ならびにクラスVIではナフチルアラニン、置換フェニルア
ラニン、テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸およびハロゲン化チロシン
のような関連のアミノ酸も含む。
【0026】 関連のアミノ酸およびアミノ酸誘導体のさらなる例は、当業者に公知の種々の
公報に見つけることができる(たとえば、Bachem Biosciences,Inc.(King of P
russia, PA)のカタログ)。さらに、L-アミノ酸が、置換に典型的に好ましいが 、上記クラスにLおよびD立体異性体の両者を含んでもよい。本明細書中に用いら
れる、「同類アミノ酸置換」もまた、グリスコフ(Gribskov)ら、核酸研究(Nucl. Acid Rres. )、14(16)、6745(1986)によって頻繁に発生する同
類アミノ酸置換とされた多数の他のアミノ酸置換を含み、この開示は、参照によ
り本明細書中に組み込まれる。このような同類アミノ酸置換には、AlaとCys、As
pまたはGluとの交換;GlyまたはHisとAsp,GluまたはGlnとの交換;SerとAsn、Ph
eまたはTrpとの交換;LeuとTyrまたはTrpとの交換およびProとGlu、GlnまたはAr
gとの交換が含まれる。アミノ酸誘導体はまた、リン酸化アミノ酸、ガンマ−グ ルタミルアミノ酸または別の天然発生のアミノ酸誘導体であってもよい。アミノ
酸誘導体は、インシュリンまたはインシュリン分解産物に天然発生するものであ
ることが好ましい。
【0027】 付加的ポリペプチド阻害剤 ある特定の他のタンパク質もまた、インシュリン分解酵素と多触媒性プロテイ
ナーゼとの複合体の1つ以上の活性を阻害する。これらのタンパク質は、心房性
ナトリウム利尿ペプチド、リラキシン、TGFα、またはインシュリン様成長因子 II,およびこれらのタンパク質由来のある特定のポリペプチドを含む。たとえ ば、インシュリン分解酵素による心房性ナトリウム利尿ペプチド、リラキシンま
たはインシュリン様成長因子IIの切断からのポリペプチド生成物は、この複合
体を阻害する。これは、これらのタンパク質由来であって、かつインシュリン分
解酵素の切断部位に隣接するアミノ配列を含んでいるポリペプチドが、この複合
体の効果的な阻害剤であることを示している。切断部位に隣接するアミノ配列を
含んでいる阻害剤ポリペプチドは、約4〜約15個、好ましくは約5〜8個とい
う少ないアミノ酸であってもよい。インシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナ
ーゼとの複合体の適切な阻害剤は、上記のタンパク質および上記のタンパク質の
誘導体のアミノ酸配列と実質的に対応する配列を有するポリペプチドを含む。心
房性ナトリウム利尿ペプチド、リラキシン、TGFα、またはインシュリン様成長 因子II,およびこれらのタンパク質由来のある特定のポリペプチドに実質的対 応するポリペプチドは、インシュリンと対応する配列の上で述べた特徴と似た特
徴を有する。
【0028】 ポリペプチドの製薬組成物 本発明のインシュリン由来および他のポリペプチドは、糖尿病、重度のストレ
ス(外傷、火傷、飢餓)、急性心筋梗塞および慢性消耗病(エイズ、癌など)の
ような疾患、絶対的または相対的インシュリン欠乏症(たとえば、肥満患者にお
ける2型糖尿病)、あるいは重度のインシュリン抵抗、脂質蓄積または過度の脂
質合成(たとえば、肥満および/または糖尿病患者における体脂肪または脂質合
成の増加)を含む他の疾患、ならびに/またはタンパク質分解もしくは異化作用
の破壊(たとえば、糖尿病または消耗症患者における筋肉質量の減少)の症状の
治療または軽減のための製薬組成物に用いることができる。
【0029】 本発明の薬学的組成物は、効果的単位投与量形態でのインシュリン由来ポリペ
プチドおよび製薬的に許容可能なキャリアを含む。本明細書中に用いる語「効果
的単位投与量」または「効果的単位投与」とは、絶対的もしくは相対的インシュ
リン欠乏症(たとえば、肥満患者における2型糖尿病)または重度のインシュリ
ン抵抗を含む疾患、脂質蓄積または過度の脂質合成(たとえば、肥満および/ま
たは糖尿病患者における体脂肪または脂質合成の増加)、あるいはタンパク質分
解または異化作用の破壊(たとえば、糖尿病または消耗症患者における筋肉質量
の減少)を含む疾患の症状の治療または軽減に効果的であるのに十分な所定の量
を意味する。製薬的に許容可能なキャリアは、医薬の投与目的に有用な物質であ
り、好ましくは無害であり、固形、液体、気体の物質であってもよく、不活性で
医薬的に許容可能であり、活性成分と相溶性がある。
【0030】 水、生理食塩水、水性デキストローズおよびグリコールが好ましい液体キャリ
アであり、これらは、特に(等張のとき)注射可能な溶液に好ましい。 キャリ アは、石油、動物、植物または合成源の、たとえば、ピーナッツ油、大豆油、鉱
物油、ゴマ油などを含む各種油から選択することができる。適切な製薬賦形剤は
、スターチ、セルロース、タルク、グルコース、ラクトーズ、ショ糖、ゲラチン
、麦芽、米、小麦粉、白亜、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリ
ン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、塩化ナトリウム、乾燥スキム
ミルク、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールなどを含む。組
成物は、殺菌などの従来の製薬手段に供することができ、防腐剤、安定剤、湿潤
剤、または乳化剤などの従来の製薬添加剤、浸透圧調整のための塩、緩衝剤など
含むことができる。適切な製薬キャリアおよびその組成は、マーチン(Martin) 、「レミングトンの製薬科学」(Remington's Pharmaceutical Sciences)、第1
5版;マック出版社(Mack Publishing Co.)、イーストン(Easton)(1975)(たと えば、1405-1412頁および1461-1487頁を参照)に記載されている。このような組
成物は、一般的に、宿主への適切な投与のための適切な投与形態が調製されるよ
うに、適切な量のキャリアとともに効果的な量の活性化合物を含む。
【0031】 これらの製薬組成物は、調製薬を用いるのが、体内の疾患であるか体外部の疾
患であるかによって、注射を含む非経口に、経口的に、パッチにより、イオン泳
動ありまたはイオン泳動なしで、座剤または膣座剤として用いる、軟膏、クリー
ム、噴霧剤、粉末としての局所施用する、または点眼剤または点鼻剤として与え
るなどして投与することができる。
【0032】 組成物は、0.1%〜99%の活性物質を含むことができる。たとえば、局所
投与には、一般的に組成物は0.01%から20%、より好ましくは0.5%か
ら5%の活性物質を含む。
【0033】 本発明はまた、糖尿病、重度のストレス(外傷、火傷、飢餓)、急性心筋梗塞
および慢性消耗病(エイズ、癌など)のような疾患、絶対的もしくは相対的イン
シュリン欠乏症(たとえば、肥満患者における2型糖尿病)または重度のインシ
ュリン抵抗、脂質蓄積もしくは過度の脂質合成(たとえば、肥満および/または
糖尿病患者における体脂肪または脂質合成の増加)を含む他の疾患、あるいはタ
ンパク質分解もしくは異化作用の破壊(たとえば、糖尿病または消耗症患者にお
ける筋肉質量の減少)を含む他の疾患の症状の軽減方法に関する。典型的に、こ
の組成物は、それを必要としている患者(ヒト、これに限らないが、ネコ、ウマ
、ブタ、ヒツジ、イヌおよびウシなどの哺乳動物ならびに鳥類を含む他の動物)
に対し、疾患の症状を治療または軽減するのに効果的な量を投与する。本発明の
組成物は、経口投与、静脈投与、筋肉投与または局所投与することができる。
【0034】 経口投与用として、微粉または顆粒は、希釈剤、分散剤および/または表面活
性剤を含むことができ、頓服水剤、水またはシロップ、乾燥状態または懸濁剤を
含むことができる非水性もしくは懸濁液でのカプセルまたはサックネット(sacne
t)、結合剤および潤滑剤を含むことができるタブレットまたは腸溶コーティング
ピル、または水またはシロップでの懸濁液という形態で提供することができる。
望ましいまたは必要な場合、調味剤、保存剤、懸濁剤、増粘剤または乳化剤を含
むことができる。
【0035】 口腔投与用として、組成物は、従来の方法で製造されたタブレットまたはトロ
ーチ剤の形態をとることができる。
【0036】 非経口投与または目の病気などのように滴剤としての投与のために、組成物は
、約0.1から10%、好ましくは0.5から2.0%、最も好ましくは1.2
%w/vの濃度の水溶液という形態で提供することができる。この溶液は、酸化
防止剤、緩衝剤などを含むことができる。
【0037】 本発明による組成物はまた、注射用に製造することもでき、添加の防腐剤とと
もにアンプルまたは多投与容器での単位投与形態で提供することができる。この
組成物は、油性もしくは水性ビークルでの懸濁液、溶液または乳濁液などの形態
をとることができ、懸濁剤、安定剤および/または分散剤のような調製上の薬剤
を含むことができる。あるいは、活性成分は使用前は粉末形態であり、適切なビ
ークル、たとえば無菌の発熱性物質を含有しない緩衝生理食塩水との構成物を形
成するようにしてもよい。本発明の組成物はまた、カプセル化されたリポソーム
の形態であってもよい。
【0038】 本発明の組成物は、局所的な軟膏またはクリームとして患者の体に塗布するこ
ともできる。組成物は、約0.1から10%、好ましくは0.5から2.0%、
最も好ましくは1.2%w/vの濃度で、たとえば水溶性軟膏基剤とともに軟膏
という形態で、またはたとえば、水中油クリーム基剤とともにクリームという形
態で提供することができる。局所投与の場合、ヒトの大人の治療に用いる毎日の
投与量は、0.1mgから1000mg、好ましくは0.5mgから10mgの
範囲である。しかし、重症の場合は、より多くの投与量の使用を必要とする場合
がある。
【0039】 本発明の組成物はまた、スプレーまたは滴剤の形態で鼻、口腔および耳のよう
な体の開口部に適用することができる。たとえば、本発明の組成物は、座薬また
はクリームという形態で直腸および膣のような体の開口部に適用することができ
る。
【0040】 全身投与の場合、ヒトの大人の治療に用いる毎日の投与量は、活性成分が5m
gから5000mg、好ましくは50mgから2000mgの範囲であり、たと
えば、投与の方法および患者の状態によって、1日1から5回投与することがで
きる。組成物が、投与単位を含んでいる場合、各単位は、活性成分が2mgから
2000mg、たとえば50mgから500mgを含むのが好ましい。重症の場
合は、化合物は、たとえば、0.01から10mg/kg/時の活性成分を用い
て静脈注射により投与することができる。
【0041】 本発明はまた、本発明の製薬組成物を含み、本発明の方法で用いるキットを包
含する。本発明のキットは、本発明のインシュリン由来ポリペプチドおよび乾燥
または液体形態のいずれかでの適切なキャリアを含むバイアルを含む。本発明の
キットは、バイアル上のラベルの形態および/またはバイアルが包装された箱に
含まれた挿入物という形態で使用説明書をさらに含む。この使用説明書はまた、
バイアルが包装された箱に印刷することもできる。使用説明書は、当該分野での
作業者が薬剤を投与することができるように、十分な投与量および投与情報など
の情報を含む。当該分野での作業者とは、薬剤を投与する可能性のあるいかなる
医者、看護婦または技術者を含んでいると考えられる。
【0042】 本発明はまた、インシュリン由来ポリペプチドを含んでいる、本明細書中に記
載の目的および使用のための投与に適切な製剤組成物に関する。本発明によると
、インシュリン由来ポリペプチドは、非経口または経口投与に適切な組成物また
は医薬の製造に用いることができる。本発明はまた、非経口または経口投与に適
切な形態のインシュリン由来ポリペプチドを含む組成物の製造方法に関する。た
とえば、非経口または経口調剤は従来の技術を用いて幾つかの方法で製造するこ
とができる。液体調剤は、緩衝剤または他の賦形剤を含んでいる、適切なpHの
水などの適切な溶媒にインシュリン由来ポリペプチドを溶解することによって製
造することができる。
【0043】 本発明は、以下の実施例を参照することにより、より理解することができる。
これらの実施例は、本発明の具体的な実施形態の代表的なものであり、本発明の
範囲を制限するものではない。
【0044】
【実施例】
(実施例1) インシュリンおよび他のIDE基質が、インシュリン分解酵素と多触媒性プロ テイナーゼとの複合体の活性を阻害する。
【0045】 インシュリン分解酵素は、インシュリンならびに付加的なペプチドおよびタン
パク質と作用、結合およびそれを切断する。一般的に、この酵素により認識され
る基質は、インシュリンと構造上の同族関係を有している。このような基質は、
たとえば、プロインシュリン、プロインシュリン中間体、表皮成長因子(EGF
)、IGF−I、IGF−II、リラキシンおよび心房性ナトリウム利尿ペプチ
ド(ANP)などである。これらの基質のうち、プロインシュリン、EGFおよ
びIGF−Iを含む幾つかは、結合するが、切断される速度は遅く、IGF−I
IおよびANPなどは急速に分解する。これらの基質ポリペプチドのうちいずれ
が、インシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼとの複合体の活性を阻害す
るかを決定することに関心があった。
【0046】 研究設計および方法 TyrA14またはTyrB26と特定して標識化される[125I]ヨードインシュリ ンは、イーライリリー研究所のブルース フランク(Bruce Frank)博士によって提
供され、当該技術分野において公知な方法によって作られた。結晶性ブタのイン
シュリン、グルカゴン、ヒトのプロインシュリン、IGF−IおよびIGF−I
Iは、イーライリリー研究所のドナルド チャンス(Ronald Chance)博士によって
提供された。酵素等級の硫酸アンモニウムは、ICNバイオメディカルズ(Irvi
ne, CA)から購入した。スクシニル-leu-leu-val-tyr-7-アミド-4-メチルクマ リン[LLVY]、CBZ-leu-leu-gul β-ナフチル-アミド[LLE]およびboc-leu-ser-
thr-arg-7アミド-4-メチルクマリン[LSTR]は、シグマ(Sigma)から購入した。DEA
E-セファセル(Sephacel)、フェニル−セファロース、 セファデックス G-50お
よび モノ-Qは、ファルマシア(Pharmacia)から購入した。バイオ−ゲル(Bio-Gel
)P−200はバイオ−ラッド(Bio-Rad)から購入した。他のすべての化学物質は
試薬等級以上であった。
【0047】 酵素試料の調製 インシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼとの複合体は、ラットの筋肉
から調製し、当該技術分野に公知の方法により超遠心分離および硫酸アンモニウ
ム沈降により精製した。いくつかの実験では、複合体は、DEAE-セファセルでさ らに精製した。精製された多触媒性プロテイナーゼは上記のように調製し、次い
で、当該技術分野の公知の方法によりフェニル−セファロース、バイオ−ゲルP
−200およびモノ-Qに対しクロマトグラフィを行なった。
【0048】 分解活性の測定 A14[125I]ヨードインシュリンまたは他の標識化されたインシュリンを用いて
インシュリン分解の測定をトリクロロ酢酸沈降により行ない、37℃での15分
間のインキュベーションごとに可溶パーセントとして表した。
【0049】 蛍光発生ペプチドの分解を当該技術分野の公知の方法により行ない、励起およ
び発光波長が390と440nm(LLVYおよびLSTR)または335と410nm (LLE)の蛍光発光によって測定した。LLVYの分解は、代謝性シェーカーで3
7℃、60分間、pH7.5の0.1Mトリス緩衝剤(アッセイ容量1ml)で
13μmのLLVYを用いて酵素試料をインキュベートすることにより測定した
。氷上のエタノールを0.2ml添加することにより反応を止めた。遊離したA
MCによる蛍光発光の増加を、それぞれ、390および440nmの励起および
発光波長について、セコイア−ターナー(Sequoia-Turner)蛍光計で測定した。デ
ータは、カラムプロフィルとして、60分当たりに遊離したAMCのナノモルま
たは60分当たりの蛍光発光単位で表している。
【0050】 励起波長380nm(スリット幅、15nm)、発光波長440nm(スリッ
ト幅、5nm)、37℃でLLVY分解を連続的にモニターを行なった。硫酸ア
ンモニウム分画(100μlの1:10の希釈液)をトリス(2mlの100m
M全アッセイ量、pH7.5)で13μmLLVYとともにインキュベートし、
AMCの遊離による蛍光発光を率が直線になるまでモニターした。10-5M(2
20μlの10-4M)のインシュリンをキュベットに入れ、遊離したAMCの量
の変化を同容量の緩衝剤を入れたものと比較した。あるいは、10-6Mのインシ
ュリン(220μlの10-4M)の反復投与量入れ、その率を同容量の緩衝剤を
添加したものと比較した。
【0051】 蛍光発生基質分解に対するペプチドホルモンの効果 酵素複合体または完全に精製された多触媒性プロテイナーゼを種々の濃度のイ
ンシュリン、ANP、リラキシン、IGF−II、プロインシュリン、グルカゴ
ン、EGFまたはIGF−Iの存在下および不存在下においてインキュベートを
行ない、LLVY,LSTRおよびLLEの分解を測定した。ペプチドホルモン
のインシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼとの複合体による分解の量に
与える効果と、精製多触媒性プロテイナーゼによる分解に与える効果とを比較し
た。さらにインシュリンC−ペプチド、セクレチン、卵胞刺激ホルモン(FSH
)、成長ホルモン、ウシ血清アルブミン(BSA)、腫瘍壊死因子、α2マクロ
グロブリン、カルモジュリン、ブラジキニン、ウシ膵臓ポリペプチド(BPP)
、ユビキチン、血管作動性小腸ペプチド(VIP)およびコレシストキニン(C
CK)を含む種々のペプチドおよびタンパク質の効果を測定し、ビークルだけの
場合と比較した。
【0052】 反応速度実験 種々の基質およびインシュリン濃度での複合体(硫酸アンモニウム分画)によ
るLLVYおよびLSTRの分解を測定した。LLVYまたはLSTRの濃度は
、3から67mmol/lまで変化させ、インシュリン濃度は、1.0mmol
/l、10mmol/l、50mmol/l、0.1μmol/l、0.5μm
ol/lまたは1.0μmol/lに設定した。データについてディクソン変換
を行なった。すべての濃度で酵素の不存在下でのバックグラウンド蛍光発光を引
いた。同様の実験をカゼインで行なった。α−カゼインの濃度(0、2.1、8
.5および21mmol/l)を変化させて、LLVY分解を上記のように測定
した。LLVY濃度は、10、50、および100mmol/lであった。
【0053】 結果 インシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼとの複合体を単離し、LLV
Yの分解を測定すると、インシュリンが、複合体の多触媒性プロテイナーゼのキ
モトリプシン様活性を阻害することが観察できた。表1は、インシュリン分解酵
素の基質であるインシュリンおよび多触媒性プロテイナーゼの基質であるLLV
Yは、複合体からの分離後、他の精製された酵素に直接効果を与えないことを示
している。これらのデータは、LLVY分解へのインシュリンの効果はインシュ
リン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼとの相互作用を必要とする。 (表1) インシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼとの複合体ならびに精製され
たインシュリン分解酵素および多触媒性プロテイナーゼの活性に与えるインシュ
リンとLLVYの効果 インシュリン分解活性 LLVY分解活性 インシュリン 分解酵素と多触媒性フ゜ロテイナーセ゛ との複合体 21±4 166±9 インシュリン添加 ND 92±5 LLVY添加 20±3 ND 精製IDE 22±1 0 LLVY添加 21±1 ND 精製MCP 0 147±6 インシュリン添加 ND 141±3 LLVY分解に対する1mmol/lインシュリンの効果およびインシュリン
分解に対する40mmol/lLLVYの効果を測定した。上記の方法の項で述
べたような方法で、インシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼとの複合体
によるか、または精製インシュリン分解酵素または多触媒性プロテイナーゼのい
ずれかによって分解が行なわれた。インシュリン分解活性は、15分当たりのイ
ンシュリンからのTCA可溶カウントの百分率として表す。LLVY分解活性は
、60分当たりの遊離した蛍光発光(任意の単位)として表す。データは、2つ
の独立実験の平均値±SEである。NDは、決定できずの意。
【0054】 インシュリンが、インシュリン分解酵素の好ましい基質であるが、他のペプチ
ドもこの酵素と結合し、基質または阻害剤として作用することができる。これら
の多くはIDE−MCP複合体に添加し、精製した多触媒性プロテイナーゼに別
に添加し、LLVY分解を測定した。インシュリン分解酵素と作用すると知られ
ているペプチドのすべてが、複合体によるLLVY分解を阻害したが、インシュ
リンが最も効果的であった(図1)。インシュリンと構造上同族関係を有するイ
ンシュリン分解酵素基質ANPおよびIGF−IIならびにリラキシンがこの複
合体を阻害した。インシュリン分解酵素と結合およびそれに分解されるグルカゴ
ンおよび結合するが貧基質であるEGFは、複合体と同様に精製多触媒性プロテ
イナーゼに直接の効果を有した。しかし、グルカゴンは、精製多触媒性プロテイ
ナーゼへの効果より複合体への効果のほうが大きかった。それ自体分解し難いイ
ンシュリン分解の競合阻害剤であるプロインシュリンは、部分的な効果を有した
。これらのデータは、インシュリン分解酵素結合および分解と多触媒性プロテイ
ナーゼの調節との複雑な相互作用を裏付けている。
【0055】 多触媒性プロテイナーゼは、多触媒性タンパク質の多数の活性部位に起因する
他の基質に対するタンパク質加水分解活性を有する。インシュリンは、活性に対
し異なる効果を有しており、キモトリプシン様およびトリプシン様活性(それぞ
れ、LLVYおよびLSTR分解)は、ペプチジル−グルタミル加水分解活性(
LLE分解)より大きく影響を受けることが当該技術分野において知られている
。図2および図3は、インシュリン分解酵素と作用するペプチドが、IDE−M
CP複合体によるLSTR分解についてはLLVY分解と同様の効果を有するが
、LLE分解については同様でないことを示している。これらのデータは、イン
シュリン効果の特異性およびIDEとMCPとの相互作用の特異性を裏付けてい
る。これらのデータはまた、グルカゴンは、多触媒性プロテイナーゼに対する直
接効果とは別の複合体に対する効果を有していることを示している。というのは
、そのホルモンが、複合体によるLSTR分解を低下させているが、精製多触媒
性プロテイナーゼによる分解を低下させていないからである。インシュリンは、
小さいが有意のLLE分解の阻害を有することもまた興味深い。これらのデータ
は、多触媒性プロテイナーゼ活性のインシュリン分解酵素調節という役割および
インシュリンの異なる効果を裏付けている。
【0056】 インシュリン分解酵素と相互作用しないことがわかっている他の多くのペプチ
ドを本発明のシステムで調べた。これらのペプチドは、インシュリンC−ペプチ
ド、セクレチン、FSH、成長ホルモン、BSA、TNF、I2マクログロブリ
ン、カルモジュリン、ブラジキニン、BPP、ユビキチン、VIPおよびCCK
を含む。これらのペプチドは、インシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼ
との複合体のタンパク質加水分解活性を大きく変えなかった(データは示さず)
。これらのデータは、インシュリン分解酵素基質の特異性を示し、阻害は、バル
クペプチドまたはビークル効果によるのではないことを示している。
【0057】 インシュリン、グルカゴンおよびプロインシュリンの他に、最も特徴づけられ
ているインシュリン分解酵素基質は、IGF−I、およびIGF−IIである。
IGF−Iは、インシュリン分解酵素に比較的高い親和性を有して結合するが、
分解は遅い。これは、プロインシュリンと同様であり、一方、IGF−IIは、
急速に分解しインシュリンと似ている。
【0058】 結論 IDE−インシュリン−相互作用は、公知のインシュリンの生物学的作用のと
おり、細胞質タンパク質である多触媒性プロテイナーゼの機能を変化させる。こ
れらの生物学的作用は、細胞グルココルチコイド作用の低下および細胞タンパク
質分解の阻害を含む。
【0059】 (実施例2) 活性インシュリン分解酵素は、インシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナー ゼとの複合体のインシュリン媒介阻害に必要とされる。
【0060】 インシュリン分解酵素は、多触媒性プロテイナーゼの関連の活性に影響を与え
ない濃度でのある公知のプロテイナーゼ阻害剤によって阻害される。これらの阻
害剤を用いて、活性インシュリン分解酵素が、インシュリン分解酵素と多触媒性
プロテイナーゼとの複合体に対する観察されたインシュリンの効果に必要である
かどうかを調べた。
【0061】 材料および方法 方法と試薬は、以下の例外を除いて実施例1に記載されたものと同様である。
使用した酵素調製剤は、当該技術分野に公知の手順によって硫酸アンモニウム分
画法によって部分的に精製した。酵素は、少なくとも20ボリュームの酢酸ナト
リウム、pH6.2に対して、添加なし、1mMのEDTAまたは1mMのEG
TAのいずれかの3つの変化で一晩透析した。2価のカチオンの酢酸塩を示され
た濃度で添加した。
【0062】 結果 インシュリン分解酵素によるインシュリン分解は、EDTAでの処置によって
減少する。インシュリン分解酵素の調節機能もまたEDTAによって影響される
。インシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼとの複合体のEDTA処置に
より、LLVYの分解の低下に反映されているように、多触媒性プロテイナーゼ
のキモトリプシン様が低下した。インシュリンとインシュリン分解酵素は、キモ
トリプシン様(LLVY分解)活性と同様にトリプシン様(LSTR分解)を調
節する。EDTA処置により、LSTR分解は大きく減少し、インシュリン効果
を消滅させる。
【0063】 インシュリン分解酵素の多触媒性プロテイナーゼの制御における調節機能をさ
らに調べるために、選択された阻害剤を調べた(表2)。金属プロテイナーゼ阻
害剤であるフェナントロリンは、インシュリン分解酵素を阻害し、EDTAと同
様、LLVY分解へのインシュリン効果を廃絶した。公知のインシュリン分解酵
素の阻害剤であるNEMおよびバシトラシンもまた、インシュリン効果を阻止し
た。低濃度でのPMSFは、大きな効果を示さなかった。
【0064】 (表2) 各種阻害剤のインシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼとの複合体に与
える効果 添加 濃度 IDE LLVY分解 (%) −インシュリン +インシュリン なし 100 100 51.3 1,10フェナントロリン 0.1mM 44.4 73.1 76.2 1.0mM 0.2 30.6 30.6 PMSF 0.1mM 93.7 111.2 68.0 1.0mM 85.3 116.1 62.7 NEM 0.01mM 56.0 63.4 66.0 0.1mM 13.4 24.7 18.6 バシトラシン 10μg/ml 59.9 71.3 52.0 100μg/ml 24.5 39.2 35.4 PCMB 0.05mM 5.1 * * 0.5mM 6.4 * * EDTA 1.0mM 52.4 33.7 28.8 10mM 7.9 32.8 30.1 EGTA 1.0mM 50.0 44.0 44.0 10mM 5.7 31.0 29.6 * LLVY分解なし IDE−MCP調製剤は、「材料および方法」の項において記載のように調製
した。インシュリンおよびLLVY分解は、示された濃度の阻害剤またはビーク
ルの存在下で測定した。LLVYの分解は、1.0μMのインシュリンまたはビ
ークルのみの存在下で決定した。数値は、ビークルのみの存在下での分解活性を
%で表したものである。データは、4つの独立した実験の平均値である。
【0065】 表3は、インシュリン分解酵素の阻害剤の効果について、インシュリン分解酵
素と多触媒性プロテイナーゼとの複合体のタンパク質加水分解活性に対する効果
と精製多触媒性プロテイナーゼの対応する活性に対する効果とを比較している。
フェナントロリン、NEMおよびバシトラシンは、多触媒性プロテイナーゼがイ
ンシュリン分解酵素と複合しているときLLVY分解を阻害するが、これらの薬
剤は、精製多触媒性プロテイナーゼには効果がない。これらの発見は、インシュ
リン分解酵素の多触媒性プロテイナーゼ活性に対する調節効果を裏付けている。
【0066】 (表3) MCP活性LLVY分解活性に対するIDEの阻害剤の効果(制御の%) 添加 IDE−MCP 精製MCP なし 100% 100% フェナントロリン 21% 95% NEM 3% 100% バシトラシン 10% 85% 結論 インシュリン分解酵素活性は、インシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナー
ゼとの複合体に対するインシュリンの観察された効果に必要である。
【0067】 (実施例3) インシュリンフラグメントは、インシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナー ゼとの複合体を阻害する。
【0068】 実施例2で報告された結果は、活性インシュリン分解酵素は、インシュリン分
解酵素と多触媒性プロテイナーゼとの複合体の複合体に対するインシュリン効果
に必要であることを示している。これは、インシュリン分解酵素によるインシュ
リン分解の生成物が、複合体でのインシュリン効果に寄与しているかもしれない
ことを示唆している。
【0069】 材料および方法 方法および試薬は、以下の例外を除いて実施例1および2に記載のものである
。インシュリンフラグメントの効果を調べるために、インシュリンをインシュリ
ン分解酵素とともにインキュベートし、生成物をセファデックスG−50カラム
で分離した。無傷のインシュリン(インシュリンフラグメントの異種混合)の後
、溶出した生成物をプールとし、インシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナー
ゼとの複合体に戻し添加した。未加工の(精製した硫酸アンモニウム)と精製し
た複合体の両方によるLLVY分解の阻害を調べた。
【0070】 結果 表4に示すように、インシュリン分解生成物は、10-7mol/lのインシュ
リンよりも効果的にLLVY分解を阻害した。
【0071】 (表4) インシュリンおよびインシュリン分解生成物の多触媒性プロテイナーゼ活性に
対する効果 酵素試料 添加なし インシュリン添加 生成物添加 未加工複合体 100 66.2 44.2 精製複合体 100 63.2 37.5 精製MCP 100 93.9 104.5 データは%。数値は、添加なしのMCP活性で正規化している。精製の種々の
段階でのLLVY−MCPの分解をインシュリン(0.1μmol/l)または
インシュリン分解酵素により生成され、次いでセファデックスG−50クロマト
グラフィで精製されたインシュリン分解生成物(濃度不明)の存在下で測定した
【0072】 先の実験は、高いが濃度不明のインシュリン分解生成物を用いたため、またイ
ンシュリンフラグメントのいくつかは、インシュリン分解酵素基質であるため、
表5に報告された実験は、これをより慎重に調べた。非常に高く精製されたイン
シュリン分解酵素を微量のB26ヨードインシュリンを含む5×10-8mol/
lインシュリンとともに時間を変化させてインキュベートした。インシュリン分
解は、TCA沈降によって評価した。示された時間において、インシュリン分解
酵素と多触媒性プロテイナーゼとの複合体(硫酸アンモニウム調製剤)をLLV
YまたはLSTRのいずれかとともに添加した。さらに60分後これらの基質の
分解を検定した(表5)。
【0073】 (表5) インシュリン分解生成物の生成および多触媒性プロテイナーゼ活性に対するイ
ンキュベーション時間の影響フ゜レインキュヘ゛ーション LLVY分解 LSTR分解 B−26ヨート゛インシュリン 時間 のTCA溶解度 インシュリン なし(0) 160 142 −−− 0 117 100 0.2 5 110 118 3.0 15 130 123 12.3 30 134 117 22.1 数値は、1時間当たり生成される蛍光発光(LLVYおよびLSTR分解)ま
たはTCA溶解度の百分率ある。示された時間の間、精製インシュリン分解酵素
でインシュリン(50nmol/l)を予め分解することによって種々のサイズ
および濃度のインシュリン分解生成物を生成した。次いでIDE−MCPを含む
酵素複合体を添加し、LLVY分解に対する予め分解されたインシュリンの効果
を測定した。プレインキュベーションで分解されたインシュリンの程度はTCA
溶解度によって概算された。
【0074】 表からわかるように、プレインキュベーションなしの5×10-8mol/lの
インシュリンは、LLVY分解を27%、LSTR分解を30%抑制した。精製
インシュリン分解酵素に5分間曝した後のインシュリンのTCA溶解度は3%で
あり、15分後および30分後はそれぞれ12.3%および22.1%にまで上
昇した。当該技術分野に示されているように、部分的に分解したインシュリンは
、かなりTCAの状態を保持するので、TCA溶解度は、実際の分解より低い数
値になっている。高性能液体クロマトグラフィ研究に基づくと、無傷インシュリ
ンの実際の消失は、TCA可溶性フラグメントの生成より3〜4倍大きい。した
がって、分解インシュリンは、5、15および30分でそれぞれ、〜10、40
および80%の当該物質を含んでいた。これにもかかわらず、すべての時間点に
おいて、LLVYおよびLSTR分解の阻害を示し、インシュリンの分解生成物
もまた多触媒性プロテイナーゼの活性に影響を与えていることを示している。イ
ンシュリンおよびその生成物による阻害の減少は、TCA可溶性放射活性の生成
によって概算される。これは、インシュリン分解酵素に結合しない低分子量生成
物は効果がないことを示唆している。
【0075】 結論 インシュリン分解酵素によるインシュリン分解の生成物は、インシュリン分解
酵素と多触媒性プロテイナーゼとの複合体を阻害する。
【0076】 (実施例4) インシュリン由来ペプチドは、インシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナー ゼとの複合体を阻害する。
【0077】 インシュリンフラグメントのインシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼ
との複合体を阻害する能力を、インシュリンフラグメントの配列を有する合成ペ
プチドを用いてさらに調べた。
【0078】 材料と方法 方法および試薬は、以下の例外を除いて実施例1および2に記載のものを用い
た。インシュリンB鎖のアミノ酸10〜16およびアミノ酸11〜16の配列を
有するペプチドを、固体相ペプチド合成の標準的な方法を用いて合成した。これ
らのペプチドは、それぞれ配列HLVEALYおよびLVEALYを有する。
【0079】 結果 インシュリン、インシュリン類似体およびインシュリン由来ペプチドの効果を
インシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼとの複合体のキモトリプシン様
、トリプシン様、グルタミル−トランスフェラーゼおよびタンパク質分解活性に
関するアッセイを用いて測定した。インシュリンおよびlys-proインシュリンは 、キモトリプシン様およびトリプシン様活性の両方の阻害において最も高いレベ
ルを示した(図4Aおよび図4B)。ペプチドHLVEALYおよびLVEAL
Yは、10-6と10-5モルとの間で阻害した(図5Aおよび図5B)。インシュ
リン、インシュリン類似体および各ペプチドは、インシュリン分解酵素と多触媒
性プロテイナーゼとの複合体グルタミル−グルタミル−トランスフェラーゼ活性
において大きな阻害を示さなかった。インシュリン分解酵素と多触媒性プロテイ
ナーゼとの複合体による125I−インシュリン加水分解の分解を測定すると、イ ンシュリンとその全長類似体は、最も強い阻害を示した(図7)。ここでも、ペ
プチドは10-6〜10-5モルの範囲で阻害を示した。
【0080】 結論 幾つかのインシュリン類似体およびインシュリン由来ペプチドHLVEALY
およびLVEALYはそれぞれ、インシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナー
ゼとの複合体のキモトリプシン様、トリプシン様、および一般のタンパク質分解
活性を阻害する。
【0081】 インシュリン分解酵素は、残基B9−10、残基B10−11および残基B1
6−17でインシュリンを切断する。B10−16(HLVEALY)ペプチド
は、インシュリンと同様の効果を有する。B11−16(LVEALY)ペプチ
ドは、高濃度において効果を有する。B10(B10ASP)で置換されたイン
シュリン類似体は、インシュリンほど効果がない。B16−B17(EQF)で
置換されたインシュリ類似体は、全く効果がない。 (実施例5) 無傷細胞において、インシュリンは、インシュリン分解酵素と多触媒性プロテ イナーゼとの複合体を阻害する。
【0082】 本実施例の研究は、細胞タンパク質分解に対するインシュリンの主な効果はプ
ロテアソーム活性に対する効果によるという証拠を提供する。
【0083】 材料および方法 方法および試薬は、以下の例外を除いて実施例1および2に記載のものを用い
た。HepG2細胞系は、OmahaVAMCのD.クレメンス(D. Clemens)
からのものであった。ダルベッコ(Dulbecco)のモディファイド イーグルズ (M
odified Eagle's)培地(DMEM)は、ライフテクノロジー(Life Technologies
) (Grand Island, NY)からのものであった。ウシ胎児の血清は、インタージェン
社(Intergen Co.)(Purchase, NY)からのものであった。蛍光発生基質メトキシサ
クシニル-phe-leu-phe-7-アミド−4-トリフルオロメチル クマリン(FLF)は
、酵素システムプロダクツ(Zenzyme Systems Products)(Dublin, CA)からのもの
であった。カルパイン阻害剤であるN−アセチル−leu-leu- ノルロイシナル(no
rleucinal)(カルパイン阻害剤I、ALLN)およびN−アセチル−leu-leu- メ チオニナル(methioninal)(カルパイン阻害剤II、ALLM)は、シグマ(セント
ルイス、MO)からのものであった。
【0084】 部分的に精製された多触媒性プロテイナーゼによるペプチド分解 当該技術分野に公知の方法で、ラットの骨格筋細胞質ゾルから多触媒性プロテ
イナーゼ(プロテアソーム)を部分的に精製した。示された濃度のインシュリン
で37℃、60分間、FLF(最終13μM)を用いてトリス緩衝剤(0.1M
、pH7.5)でこの酵素をインキュベートした。氷のように冷たいエタノール
で反応を止め、7−アミド−4−トリフルオロメチル クマリンの遊離による蛍 光発光は、それぞれ、390nmと515nmの励起および発光波長で測定した
【0085】 無傷細胞における細胞培養およびペプチド分解 5%のCO2/95%の空気環境で10%ウシ胎児血清で補足したDMEMに ヒト肝細胞癌(HepG2)細胞を保持した。ペプチド分解アッセイのために、
処置に先立ち、一晩(18時間)で亜密集培養を血清除去した。先に公開した方
法の変形により膜透過性基質(FLF)でペプチド分解を評価した。ホルモンお
よび/または阻害剤処置の後、FLFを最終濃度が13μMになるまで細胞に添
加し、1時間インキュベートした。FLFの添加からのDMSO濃度は0.04
%を超えなかった。次いで、超音波処理により細胞を破壊し、生じた細胞培地/
溶解物を上記の蛍光計で測定した。
【0086】 細胞ペプチド分解に関する阻害研究 プロテアーゼ阻害剤のHepG2細胞によるFLF分解に対する効果を、上記
のようなインシュリンおよび/またはFLF添加に先立ち、阻害剤による2時間
の細胞処置によって調べた。カルパイン阻害剤IおよびII(それぞれALLN
およびALLM)を、DMSOで原液から調製した。阻害剤添加からのDMSO
濃度は0.15%を超えなかった。
【0087】 結果 インシュリンは、投与量依存でFLF分解を阻害した。計算されたEC50=1
.1×10-6Mであった。従って、FLFは、生体外でプロテアソームのキモト
リプリン様基質としてLLVYのように振る舞うようである。FLFの細胞内分
解は、ヒトの肝細胞癌(HepG2)細胞で調べた。プロテアソーム基質として
のFLFの特異性を決定するために、プロテアーゼ阻害剤を用いた。カルパイン
阻害剤であるALLNおよびALLMは、同様の力価で、ナノモル濃度において
カルパインおよびカテプシンを阻害する。ALLNとALLMは両者ともプロテ
アソームに対しても阻害的であるが、これは、マイクロモルの濃度においてであ
り、力価は大きく異なる。多触媒性プロテイナーゼにより触媒されたFLF加水
分解の場合と同様に、ALLNは、マイクロモル濃度範囲でFLF分解を阻害し
たが、ALLMの効果はずっと少なかった。これらの結果により、HepG2細
胞におけるFLF分解の大部分はプロテアソームによることが確認された。 無傷細胞でのプロテアソーム活性に対するインシュリンの効果を調べた。図7に
示すように、インシュリンは、肝細胞癌細胞における全タンパク質分解に対する
インシュリンの濃度依存の効果と同様に、投与量依存でFLF分解を阻害した。
計算されたEC50(〜10-13M)は生理学的に重要である。最大阻害は19% であり、他の研究でのタンパク質加水分解の抑制へのインシュリン効果と同様で
ある。カルパイン阻害剤での追加の対照は、観察されたインシュリンの効果は多
触媒性プロテイナーゼ活性に対するものであることを示している。
【0088】 結論 本実施例の研究は、無傷の細胞におけるプロテアソーム活性に対するインシュ
リンの潜在的効果を調べることが目的であった。インシュリンは、単離されたプ
ロテアソームおよび無傷細胞のいずれによってもFLF分解を阻害した。細胞阻
害は、インシュリンに対して非常に感応性が高い形質転換された肝細胞を用いた
先の研究と匹敵するぐらいの濃度が必要とされる濃度依存であった。阻害の規模
は、タンパク質分解の阻害に対するインシュリンの公知の作用と一致している。
この研究は、無傷細胞におけるプロテアソーム活性のインシュリン制御の役割を
裏付けている。
【0089】 (実施例6) 無傷細胞において、インシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼとの複合 体のインシュリン媒介阻害に活性IDEが必要である。
【0090】 この研究は、活性インシュリン分解酵素が、この酵素を阻害する抗体を用いる
ことによる無傷細胞でのタンパク質分解のインシュリン阻害に必要であるかどう
かを決定する。
【0091】 材料と方法 方法および試薬は、以下の例外を除いて実施例1、2および5に記載されたも
のを用いた。プロテアソーム阻害剤であるラクタシスチン(lactacystin)は、E .J.コーレイ(Corey)(ハーバード大学)からのものであった。
【0092】 細胞タンパク質分解:スプラーグ−ドーレー(Sprague-Dawley)雄ラットを一晩
絶食させ、テリス(Terris)&スタイナー(Steiner)の方法の変形で肝細胞を単離 した。細胞緩衝剤において約106個/mlの密度で細胞を再懸濁し、37℃で 30分間インキュベートした。細胞の生存度は約90%であった。細胞タンパク
質分解は、3H−ロイシンおよび5X規定血清濃度の非標識アミノ酸(ロイシン を除く)を含む緩衝剤で60分間細胞を標識化することによって測定し、次いで
2mM非標識ロイシンで洗浄およびチェイスした。細胞は3つの部分に分割し、
30μg/mlの抗IDE抗体C20−3.1a(3)非特異性マウスIgG(
30μg/ml)またはPBS緩衝剤のいずれかを添加した。これらのシステム
のそれぞれに対し、以下のものを添加した。すなわち、5Xアミノ酸、10nM
ブタインシュリンまたは添加なしである。アミノ酸の規定血清濃度の5倍を正の
対照として用い、インシュリン調節システムとは独立した質量作用によるタンパ
ク質分解の阻害を示した。37℃で細胞をインキュベートし、0および120分
時点で0.5mlのアリクオットを取り、カウントした。細胞分解は、0および
120分での溶解度(12.5%のTCAでの)の違いにより決定した。
【0093】 生体外プロテアソーム活性: 多触媒性プロテイナーゼと複合体を形成する部
分的に精製したインシュリン分解酵素を、ラットの骨格筋から当該技術分野に公
知の方法により得た。 抗IDE抗体C20−3.1Aの量を増加させながら5 分間IDE−プロテイナーゼ複合体をプレインキュベートした。A14位で125 I−標識化されたインシュリンの分解をトリクロロ酢酸可溶カウントの生成によ
り測定した。プロテアソーム活性をLLVYおよびLSTRで測定し、それぞれ
、キモトリプシン様およびトリプシン様活性を決定した。
【0094】 抗体研究: HepG2細胞の亜密集培養を一晩血清除去し、次いでオカダお
よびレシュタイナー(Rechsteiner)の方法により、阻害抗IDEモノクローナル 抗体C20−3.1A(50μg/ml)で浸透充填した。蛍光発生プロテアソ
ーム基質FLFを添加し、1時間細胞をインキュベートした。FLFの分解によ
る蛍光発光を上記のように測定した。
【0095】 結果 表6に報告された結果は、全細胞タンパク質分解に与える細胞内インシュリン
IDE効果を示している。タンパク質分解は、インシュリンまたは過度のアミノ
酸とのインキュベートにより減少した。予め標識化された細胞もまた、インシュ
リン分解酵素活性を阻害するモノクローナル抗体とインキュベートを行った。抗
体で処置された細胞は、タンパク質分解を減少させることによってインシュリン
にもはや反応せず、インシュリンとは独立した質量作用によって働く5倍余分の
アミノ酸の添加に反応した。これらのデータは、タンパク質分解の阻害のインシ
ュリンへの細胞反応におけるインシュリン分解酵素の選択的機能を示している。 (表6) 抗IDE抗体は、単離されたラットの肝細胞でのタンパク質分解の阻害を排除
する。
【0096】 抗体なし 抗IDE 非特異性IgG 対照 100 100 100 5Xアミノ酸 78.8±4.6 85.0±2.4 78.4±6.5 インシュリン 83.5±6.4 99.7±2.5 78.2±6.2 放射性同位体で標識されたアミノ酸の放出により測定された細胞タンパク質分
解は、緩衝剤または非特異性IgGでのインシュリンと過度のアミノ酸によって
阻害される。しかし、抗IDE抗体の存在下では、インシュリンは、タンパク質
分解を阻害しない。データはインシュリンまたは過度のアミノ酸不存在下でイン
キュベートされた細胞のものに正規化された、放出された可溶標識の百分率で表
している。
【0097】 表6のデータは、インシュリン−IDE効果の特定の部位を示していない。イ
ンシュリン−IDE−プロテアソーム相互作用を示したので、単離されたプロテ
アソームをインシュリンの存在下または不存在下で抗IDE抗体の量を変化させ
ながらインキュベートした。プロテアソームの2つの異なる触媒部位であるトリ
プシン様およびキモトリプシン様を人工的な基質を用いてアッセイした。先に示
したように、インシュリンは、LLVY(キモトリプシン様)およびLSTR(
トリプシン様)分解を阻害した。抗IDE抗体は、投与量依存でLLVYおよび
LSTR分解へのインシュリン効果を阻止した。 (表7) モノクローナル抗体でのIDEの阻害は、生体外プロテアソームのインシュリ
ン阻害を減少させる。 抗体 インシュリン分解(%) 1μMインシュリンによる阻害(%) (μg/ml) LLVY LSTR 0 100 64.5±4.9 69.9±2.9 20 94.6±8.5 45.8±8.7 52.6±7.3 40 80.9±10.7 45.2±4.6 38.8±13.7 60 68.2±9.8 37.2±3.9 47.0±9.4 抗IDE抗体の量を増加させながらインシュリン分解を測定した。データは、
15分間のインキュベーションごとの酸可溶カウント百分率で表している。1μ
Mのインシュリンの存在下または不存在下で同じ条件でプロテアソーム活性を測
定した。データは、インシュリンの不存在下でのものと比べたときのプロテアソ
ーム活性の阻害の百分率で表している。データは3つの独立した実験での平均値
±SEMである。
【0098】 我々はまた、培養された肝細胞癌細胞での多触媒性プロテイナーゼによる蛍光
発生基質(FLF)の分解をモニターすることによって、インシュリンの生体内
効果もまた、インシュリン分解酵素による媒介に係わることを示した。これらの
細胞を、インシュリン分解酵素阻害モノクローナル抗体またはビークルのみで浸
透的に装填した。回収可能にするための一晩のインキュベーション後、アッセイ
した細胞およびFLF分解にインシュリンを添加した。ビークルのみを装填した
細胞において、インシュリンは、予想通り、投与量依存でプロテアソーム活性を
阻害した。阻害的抗体を含む細胞は、ホルモンへの反応が非常に制限された。
【0099】 結論 この実施例において、インシュリン分解酵素の活性を阻害する抗体を用いて、
無傷細胞でのタンパク質分解のインシュリン阻害にインシュリン分解酵素が必要
であることを示した。抗IDE抗体は、放射性アミノ酸で予め標識化されたタン
パク質の細胞の分解に対するインシュリン効果を阻止した。抗IDE抗体はまた
、無傷細胞における特異性基質のプロテアソーム分解のインシュリン阻害を減少
させた。これらのデータは、インシュリンは、プロテアソームによるタンパク質
分解を阻害するために、インシュリン分解酵素を介して細胞内で働くことを示し
ている。
【0100】 (実施例7) 無傷細胞において、インシュリン由来ペプチドは、インシュリン分解酵素と多 触媒性プロテイナーゼとの複合体を阻害する。
【0101】 インシュリン由来ペプチドHLVEALYおよびLVEALYを調べて、一次
培養および肝臓培養細胞系、HepG2での無傷の単離されたラットの肝細胞に
おけるインシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼとの複合体の活性に対す
る効果を決定した。
【0102】 材料および方法 実施例1、2、5および6に記載の方法および試薬を用いた。
【0103】 結果 インシュリンおよびインシュリン由来ペプチドであるHLVEALYおよびL
VEALYのいずれも、HepG2細胞でのインシュリン分解酵素と多触媒性プ
ロテイナーゼ複合体FLF分解を阻害する(図8Aおよび8B)。インシュリン
による阻害は、細胞をそのタンパク質に曝したあと少なくとも120分後に観察
された。ペプチドの阻害効果は一過性のものであった。阻害は、ペプチドの添加
60分後に観察されたが、ペプチドの添加120分後では観察されなかった。イ
ンシュリンのペプチドに対する効果もまた、単離された肝細胞で調べた(図9)
。インシュリンによる阻害は、最大約90分間明らかであった。10-10モルで のペプチドLVEALYによる阻害は、少なくとも120分間明らかであった(
図10A)。ペプチドHLVEALYによる阻害は一過性のものであり、ペプチ
ドの添加120分後に消滅した。
【0104】 結論 インシュリン由来ペプチドHLVEALYおよびLVEALYは、無傷細胞に
おいてインシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼとの複合体のプロテアー
ゼ活性を阻害する。
【0105】 (実施例8) 無傷細胞において、インシュリン、インシュリン類似体およびインシュリン由 来ペプチドが全細胞タンパク質分解を阻害する。
【0106】 全細胞タンパク質分解をインシュリン、インシュリン類似体およびインシュリ
ン由来ペプチドの存在下で測定し、インシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナ
ーゼとの複合体のこれらのポリペプチドによる阻害が、細胞におけるタンパク質
の代謝回転効果を有するかどうかを決定した。
【0107】 (実験1) 材料および方法 方法および試薬は、以下の例外を除いて実施例1、2、5および6に記載のも
のを用いた。肝細胞細胞系はH14であり、これは、細胞系HepG2の場合の
上記の実験研究に用いたものである。
【0108】 結果 図11に示すような結果になった実験において、一晩細胞を標識化し、洗浄し
、次いで、様々な濃度のインシュリン、インシュリン類似体およびインシュリン
由来ペプチドの存在下で3時間タンパク質分解を進行させた。インシュリンは、
生理学的濃度が10-11〜10-9モルにおいてタンパク質分解を阻害した。10 位にB鎖のアミノ酸変化を有する変異インシュリンは、インシュリンより低い程
度で阻害した。ペプチドLVEALYは、タンパク質分解に大きな阻害を示さな
かった。ペプチドHLVEALYは、10-9〜10-7モルの濃度でタンパク質分
解に対し大きな阻害を行った。
【0109】 図12に示すような結果となった別の実験において、一晩細胞を標識化し洗浄
し、3時間プレインキュベートした。次いで、阻害剤を添加し、4時間の期間の
終了時にタンパク質分解を評価した。インシュリンならびにインシュリン類似体
B10およびEQFはタンパク質分解を阻害した。ペプチドLVEALYは、大
きな阻害を示さなかった。ペプチドHLVEALYは、10-10および10-9で 阻害を示した。
【0110】 結論 インシュリン、インシュリン類似体およびインシュリン由来ペプチドは、無傷
肝細胞でのタンパク質分解を効果的に阻害した。
【0111】 (実験2) インシュリンおよびインシュリン由来ペプチドの存在下で様々な標識化および
ペプチドへの暴露条件で全細胞タンパク質分解を測定し、これらの条件が、細胞
におけるタンパク質の代謝回転のこれらのペプチドによる阻害に影響を与えるか
どうかを決定した。
【0112】 材料と方法 この実験において、時間を変化させて[3H]ロイシンとともに培養した肝細胞(
H4細胞)をインキュベートした。次いで、取り込まれなかった標識を洗浄して
落とし、細胞を過度の未標識ロイシンとともに細胞をインキュベートした。様々
な濃度のインシュリンまたはインシュリン由来ペプチドで細胞を処置した。上記
のような酸可溶放射性の生成によってタンパク質分解を検定した。その他は、実
施例1、2、5および6に記載の方法および試薬を用いた。肝細胞細胞系はH4
であり、これは、細胞系HepG2の場合に上記の実験研究に用いたものである
【0113】 結果 2つの異なる標識化条件でのインシュリンおよびペプチドのタンパク質分解に
与える効果を図31および図32に示す。図31は、インシュリンの投与量依存
効果を示しており、標準条件(18時間の標識化、3時間洗浄および4時間のイ
ンキュベーション)でのタンパク質分解が減少している。HLVEALYは、単
離されたプロテアソームで見られたのと非常によく似た3相効果を有している(
上記実施例4、図5Aおよび図5Bを参照)。LVEALYは、似ているが、顕
著さが少ない効果を有している。図32は、異なる標識化および処置条件(洗浄
なし、Ca++不存在でアミノ酸存在のインキュベーション培地)でのインシュリ
ンおよびペプチド効果を示している。これらの条件下では、いずれのペプチドも
インシュリンより低い濃度でタンパク質分解が減少しているが、全体的な効果は
少ない。
【0114】 結論 いずれのペプチドも、いずれの条件においても培養肝細胞でのタンパク質分解
を減少させる。
【0115】 (実施例9) 動物において、インシュリン由来ペプチドが、全細胞タンパク質分解を阻害す る。
【0116】 ラットにおける絶対的または相対的インシュリン欠乏症疾患または重度のイン
シュリン抵抗疾患およびタンパク質異化作用疾患の症状に影響を与え得るかどう
かについて、インシュリン由来ペプチドを評価した。材料と方法 糖尿病のスプラーグ−ドーレー(Sprague-Dawley)ラットを処置および対照グル
ープに分けた。移植された浸透ポンプから持続的に注入することによって、ビー
クルまたはインシュリン由来ペプチドのいずれかをラットに投与した。ペプチド
の投与量をμg/時で図13〜図16に示す。この動物の尿排泄および体組成に
ついて、当該技術分野で公知の方法で評価した。
【0117】 結果 第1の実験において、未処置の糖尿病ラット(n=1)をインシュリン処置(
n=2)およびHLVEALYペプチド処置(n=1)のラットと比較した。結
果を図13および図14に示す。投与量が0.5μg/時および1μg/時のH
LVEALYペプチドは、尿排出、体重量および種々の筋肉および器官の重量に
対して大きくかつ一貫した効果を示した。これらのデータは、ラットにおける絶
対的または相対的インシュリン欠乏症疾患または重度のインシュリン抵抗疾患お
よびタンパク質異化作用疾患の症状を軽減における明らかな生物学的効果を示し
ている。これらの研究において、ペプチドは実際、脂肪体および骨格筋のサイズ
を減少させた。ペプチドはグルコースレベルには効果がなかった。 第2の実験において、インシュリン処置の糖尿病ラット(n=1)をインシュリ
ンとHLVEALYペプチドの両方で処置されたラット(n=1)と比較した。
結果を図15および図16に示す。ここでも、HLVEALYペプチドが、尿容
量および体および器官の重量に対する効果が大きかった。5μg/時および8μ
g/時の投与量で、HLVEALYは、未処置およびインシュリン処置の糖尿病
対照に対して、脂肪体および骨格筋の重量を増加させた。ペプチドはグルコース
レベルには効果がなかった。
【0118】 結論 これらのデータは、関連動物モデルにおける絶対的または相対的インシュリン
欠乏症疾患または重度のインシュリン抵抗疾患およびタンパク質異化作用疾患の
症状に対するHLVEALYの生物学的効果を示している。 (実施例10) 糖尿病動物において、インシュリン由来ペプチドが、脂肪貯蔵を犠牲にして筋 肉質量を維持する。
【0119】 ラットにおける絶対的または相対的インシュリン欠乏症疾患または重度のイン
シュリン抵抗疾患およびタンパク質異化作用の症状に影響を与え得るかどうかに
ついて、インシュリン由来ペプチドを評価した。
【0120】 材料と方法 ストレプトゾトシンでの処置によりラットを糖尿病にし、皮下浸透小ポンプを
移植した。小ポンプにより、緩衝剤、0.1〜0.8μg/時のHLVEALY
、0.05〜5.0μg/時のLVEALY、または各ペプチドが0.1〜2.
5μg/時のこれら2種類のペプチドを組み合わせたもののうちいずれかを投与
した。小ポンプ(通常のインシュリン、2.4U/da7)または皮下注射(1
日当たり1.5〜3.5ユニットのPZIインシュリン)のいずれかによってイ
ンシュリンを投与した。
【0121】 血液グルコースレベルおよび尿3−メチルヒシチジンレベルを毎日測定した。
6日後、この動物を殺し、器官重量を測定した、種々の代謝物のアッセイのため
の血液を得た。
【0122】 結果 図17および図18は、それぞれ最初と最後の血液グルコースレベルを示す。
インシュリン処置により、グルコースレベルが大きく減少した。ペプチドにより
、グルコースは、大きくないがわずかに減少した。
【0123】 図19は尿N−メチルヒスチジン排泄を示す。N−メチルヒスチジンレベルは
、筋肉分解のレベルと相関関係があることが当該技術分野で知られている。図1
9のこの測定は、筋肉分解が糖尿病で増加し、インシュリンにより減少すること
を示している。HLVEALYは筋肉異化作用の減少においてインシュリン分解
酵素と同じくらい効果があった。LVEALYは、大きな効果がなかった。
【0124】 図20、図21および図22は、それぞれ、トリグリセリド、β−ヒドロキシ
酪酸塩および非エステル化脂肪酸の血清レベルを示す。それらはいずれも糖尿病
によって増加し、インシュリン処置により減少した。HLVEALYは、トリブ
リセリドを非糖尿病レベルにまで回復させるが、β−ヒドロキシ酪酸塩および非
エステル化脂肪酸のレベルに対しては大きな効果がなかった。LVEALYは、
これらの物質のいずれのレベルに対しても大きな効果がなかった。
【0125】 これらの短期間実験において、体または器官重量に対して大きな効果が見られ
なかった。5つの実験のうち4つ(動物の糖尿病の度合いが少ない1つの実験以
外)において、HLVEALYは、筋肉重量の維持および体脂肪の減少をいくら
か示した(図23〜図30)。図23は、対照動物およびインシュリン、HLV
EALYおよびLVEALYで処置されたラットにおける絶対滑車上部筋重量を
示す。図24は、全体重の%として表わした対照および実験動物における滑車上
部筋重量に対する効果を示す。図23および図24の結果は、LVEALYが実
際にこの代謝活性筋肉の重量を減少させたが、HLVEALYは、これを増加さ
せる傾向があった。しかし、副睾丸脂肪体については、未処置糖尿病動物よりH
LVEALY処置動物の方がさらに低い傾向があった(図25および図26)。
同様の傾向が、全体の脚、ひらめ筋および滑車上部筋に対する膨らみ部分の割合
において実際見られる(図27〜図29)。HLVEALY処置動物の全体重は
、低い傾向にあった(図30)。
【0126】 結論 HLVEALY処置は、糖尿病ラットにおける筋肉分解を減少させた。この処
置は、脂肪貯蔵を犠牲にして筋肉を保持する傾向があった。脂肪代謝回転への効
果は、HLVEALY処置ラットにおける血清トリグリセリドの減少により裏付
けられた。
【0127】 これらのデータは、関連動物モデルにおける絶対的または相対的インシュリン
欠乏症疾患または重度のインシュリン抵抗疾患およびタンパク質異化作用の症状
に対するHLVEALYペプチドの生物学的効果を示している。
【0128】 (実施例11) 無傷細胞において、インシュリンおよびインシュリン由来ペプチドは、タンパ ク質分解および脂質合成を減少させ、グルコース輸送、グルコース酸化およびI L−8分泌を増加させるが、インシュリン由来ペプチドは、DNA合成に影響を 与えない。
【0129】 細胞インシュリン反応の幾つかの特徴をインシュリンおよびインシュリン由来
ペプチドの存在下で測定して、これらのポリペプチドが、無傷細胞のタンパク質
分解、脂質合成、グルコース輸送または酸化、IL−8分泌およびDNA合成に
効果があるかどうかを決定した。
【0130】 (実験1) 上記のようなインシュリン作用の容認されたモデルは、脂肪堆積、代謝作用お
よびタンパク質の代謝回転におけるインシュリンプロセシングおよび分解の機能
を含む。この研究は、単離された脂肪細胞の代謝作用に対するインシュリンおよ
びペプチドの効果を調べる。
【0131】 材料および方法 以下に述べる方法および当該技術分野において通常の方法によって脂肪細胞を
得て培養した。その他は、実施例1、2、5および6に大体記載の試薬および方
法を用いた。当業者に公知の方法によりグルコース代謝作用を測定した。
【0132】 結果および議論 脂肪細胞における細胞内グルコース代謝作用に対するペプチドの効果を図33
および図34に示す。
【0133】 インシュリンは、脂肪細胞のグルコース輸送を増加させることが知られている
。これは、インシュリンに曝すと急速に発生し、インシュリンのプロセシングに
よって変化することがないインシュリンの効果であり、したがって、本研究には
含まなかった。この後グルコースは脂肪として貯蔵され(中間効果)、または酸
化される。
【0134】 無傷脂肪細胞において、HLVEALYは、グルコースの脂質への組み込みを
減少させ(図33)、グルコース酸化を増加させる(図34)。
【0135】 結論 グルコースの脂質への組み込みを減少させ、グルコース酸化を増加させるとい
うインシュリン由来ペプチドの効果は、本明細書で報告された糖尿病ラットの研
究に基づき予想していたものである。これらの効果は、インシュリンの効果につ
いての本発明の知識と一貫している。
【0136】 この効果は、インシュリン由来ペプチドが、脂肪貯蔵が第1の問題である肥満
、インシュリン抵抗2型糖尿病において顕著な臨床的利点を有することができる
【0137】 (実験2) インシュリンは、多くの生理的な経路を調節し、これは、従来からインシュリ
ン感応性とされていない細胞のものであっても行う。これらの多くは、たとえば
上記のようなインシュリンへの中間反応を有する。内皮細胞は、インシュリンに
反応してサイトカイン分泌を変化させ、これが、一次刺激剤のモジュレータとし
て働く。
【0138】 材料および方法 当該技術分野において通常の方法によって内皮細胞を得て培養した。その他は
、実施例1、25および6に大体記載の試薬および方法を用いた。当業者に公知
の方法によりIL−8刺激を達成し、レベルを測定した。
【0139】 結果 デキサメタゾン、インシュリンおよびTNFの間の相互作用ならびに呼吸内皮
細胞からのIL8分泌作用に対するそれらの効果を図35に示す。インシュリン
は、TNF刺激された細胞のIL8分泌作用を増加させた。LVEALY(ペプ
チドD)は、TNF刺激されたIL−8分泌作用に大きな効果がある。HLVE
ALY(ペプチドB)は、TNF刺激されたIL−8分泌作用へのインシュリン
効果より大きな効果がある。同様に、TNFとデキサメタゾンで処置された細胞
において、LVEALYは大きな効果がなく、HLVEALYはインシュリンよ
り大きな効果を示す。
【0140】 結論 ここでも、インシュリンの細胞作用を真似ているインシュリン由来ペプチドの
選択的効果が明らかである。
【0141】 (実験3) インシュリンプロセシングおよび分解に関係しないインシュリンの効果のなか
には、インシュリンDNA合成を刺激するという効果があった。インシュリン由
来ペプチドのDNA合成への効果を評価した。
【0142】 材料および方法 以下の例外を除いて実施例1、2、5および6に記載の方法および試薬を用い
た。肝細胞細胞系はH4であり、これは、細胞系HepG2の場合の上に記載し
た実験研究に用いたものである。
【0143】 結果 図36は、インシュリン由来ペプチドは、肝細胞においてDNA合成を刺激し
ないが、インシュリンはするということを示す結果を示す。
【0144】 結論 インシュリン由来ペプチドがDNA合成に対する効果がないということは、本
明細書に報告したこれらのペプチドの活性に基づくと予想される。これらの効果
は、インシュリンの効果の本発明の知識と一貫している。インシュリンのこの作
用は、インシュリンの分解に依存せず、分解したインシュリンを真似るペプチド
は、DNA合成を刺激するはずがない。
【0145】 (実施例12) 肥満2型糖尿病ラットにおいて、インシュリン由来ペプチドは、高血糖および 筋肉分解を減少させる。
【0146】 ラットにおける絶対的または相対的インシュリン欠乏症疾患または重度のイン
シュリン抵抗疾患およびタンパク質異化作用の症状に影響を与え得るかどうかに
ついて、インシュリン由来ペプチドを評価した。特に、糖尿病ラットの生体内デ
ータおよび生体外脂肪細胞研究により、肥満被験物の2型糖尿病の症状の軽減に
おけるインシュリン由来ペプチドの数値を示す。
【0147】 (実験1) 材料および方法 概して、実施例1、2、5、6、9および10に記載の材料および方法を用い
た。用いたラットは、ツッカー肥満糖尿病動物であった。他の手順および試薬は
当該技術分野で通常用いられるものである。
【0148】 結果 実験動物のうちたった2匹だけば、実験中に高血糖を発達させ始めた。 3−メチルヒシチジン排泄のレベルを測定することによって、筋肉分解をモニタ
した。結果を図37に示す。3−メチルヒシチジンレベルは、緩衝剤処置ラット
では徐々に増加したが、HLVEALY処置動物では最初の3日にかけて減少し
た。HLVEALYは、インシュリン欠乏ラットの場合と同様に、2型動物モデ
ルでの筋肉分解を減少させた。
【0149】 HLVEALY投与で達成されたパターン、すなわち、初期の3−メチルヒシ
チジンの減少、後の逸脱(escape)は、ペプチドの分解によるものかもしれない。
【0150】 結論 インシュリン由来ペプチドは、肥満2型糖尿病動物の筋肉分解および高血糖を
減少させた。
【0151】 (実験2) 材料および方法 概して、実施例1、2、5、6、9および10に記載の材料および方法を用い
た。用いたラットは、ツッカー肥満糖尿病動物であった。他の手順および試薬は
当該技術分野で通常用いられるものである。
【0152】 脂肪細胞調製 アルゼットモデル(Alzet Model) 2001小浸透ポンプを用いて、2μg/時で7
日間インシュリン由来ペプチドHLVEALY存在(n=2)または不存在(n
=2)で、ツッカー糖尿病肥満動物(ZDF/Gmitm−fa/fa)を処置し
た。副睾丸脂肪体を除去し、脂肪細胞をコラゲナーゼ消化により調製した。4%
のウシ血清アルブミンおよび0.55mMグルコースを含んでいるKrebs-Ringer
/HEPES緩衝剤、pH7.4をすべての単離およびインキュベーション工程で用い
た。この手順において、1gの切り刻まれた脂肪組織を、緩やかに振りながら3
7℃で45分間、5gのコラゲナーゼを含む2mlの緩衝剤でインキュベートし
た。次いで、緩衝剤で2回細胞を洗浄し、ポリエステルシルクで濾過した。次い
で、アッセイ用に細胞をマイクロフュージ(microfuge)チューブに等分した。
【0153】 脂肪酸酸化アッセイ [9,10-3H]パルミチン酸塩から3H2Oへの変換によって脂肪酸酸化を評価する。 37℃、5時間、1mMのKCN存在下および不存在下で、2%BSAおよび0
.1mMパルミチン酸塩(1μCi/μmol)と用いてMEMにおいて新しく
単離された脂肪細胞(2×106/ml)をインキュベードした。KCN(ミト コンドリア阻害剤)の存在下で起こる酸化は、もともとペルオキシゾーム性であ
ると考えた。5%トリクロロ酢酸による析出(2×)により、培地中の余分の[9
,10-3H]パルミチン酸塩を除去した。上澄み液をミイクロフュージチューブに移 し、0.5mlの非標識水とともにシンチレーションバイアルに入れ密閉し、5
0℃、18時間インキュベートした。次いで、マイクロフュージチューブの外部
の水をシンチレーション液に追加し、ベータカウンターで測定した。別途、10
μlの32Oをマイクロフュージチューブの490μlの水に添加することによ
り、32Oの平衡係数を決定し、上記のようにインキュベートした。次いで、こ
の平衡係数を用いて細胞によって生成された32Oの総量を計算した。
【0154】 結果 図38および図39は本研究の結果を示す。図38に示すように、処置された
動物からの細胞で全脂肪酸酸化は増加した。図39は、この増加の多くが、ペル
オキシゾーム性脂肪酸酸化からの刺激によるということを示している。
【0155】 結論 これらの結果は、HLVEALY処置が、脂肪細胞による脂肪酸酸化を増加さ
せることを示す。したがって、インシュリン由来ペプチドが、肥満2型糖尿病動
物の別の症状を減少させた。これらの結果は、処置動物の副睾丸(epidymal)脂肪
体重量の減少を示した、本明細書中の上記のスプラーグ−ドーレー(Sprague-Daw
ley)ラットでの研究と合致する。 種々の具体的な好ましい実施形態および技術を参照しながら本発明を説明した
。しかし、本発明の精神および範囲内で多くの変形および変更がなせることを理
解すべきである。
【0156】 本明細書中のすべての公報および特許出願は、本発明が関する当業者のレベル
を示している。すべての公報および特許出願は、各個々の公報および特許出願が
参照により具体的および個々に示されているのと同じ程度まで参照により本明細
書中に組み込まれている。
【0157】
【配列表】
SEQUENCE LISTING <110> DUCKWORTH, William,Clifford HAMEL, Frederick,G. <120> METHODS AND COMPOSITIONS FOR TREATING AND DIAGNOSING INSULIN RELATED DISORDERS <130> R4425 <140> PCT/US99/00471 <141> 1999-01-08 <150> US60/070,821 <151> 1998-01-08 <160> 2 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 7 <212> PRT <213> mammalian <220> <221> PEPTIDE <222> (1)..(7) <400> 1 His Leu Val Glu Ala Leu Tyr 1 5 <210> 2 <211> 6 <212> PRT <213> mammalian <220> <221> PEPTIDE <222> (1)..(6) <400> 2 Leu Val Glu Ala Leu Tyr 1 5
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、インシュリン分解酵素の高親和性配位子であるペプチドがインシュリ
ン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼとの複合体によるLLVY分解を阻害する
ことを示している。酵素複合体(□)または精製された多触媒性プロテイナーゼ
(黒塗りの四角)を1μmol/lのペプチドホルモンの存在下および不存在下でイ ンキュベートした。この複合体と精製された多触媒性プロテイナーゼについて、
それらによる分解に対するペプチドホルモンの効果を比較した(*P<0.01 )。LLVY分解をビークルだけの添加と比較して、60分当たりの遊離した蛍
光発光(任意の単位)の百分率で表している。データは3つの独立した実験での
平均値±SEで示されている。GLC,グルカゴン;INS,インシュリン;P
RO,プロインシュリン;RXN,リラキシン。
【図2】 図2は、インシュリン分解酵素の高親和性配位子であるペプチドがインシュリ
ン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼとの複合体によるLSTR分解を阻害する
ことを示す結果を表している。酵素複合体(□)または精製された多触媒性プロ
テイナーゼ(黒塗りの四角)を1μmol/lのペプチドホルモンの存在下および不 存在下でインキュベートした。この複合体と精製された多触媒性プロテイナーゼ
について、それらによる分解に対するペプチドホルモンの効果を比較した(*P <0.05、**P<0.01)。LSTR分解をビークルだけの添加と比較して
、60分当たりの遊離した蛍光発光(任意の単位)の百分率で表している。デー
タは3つの独立した実験での平均値±SEで示されている。用いられている短縮
形は、GLC,グルカゴン;INS,インシュリン;PRO,プロインシュリン
;RXN,リラキシンである。
【図3】 図3は、多触媒性プロテイナーゼによるLLE分解にほとんど効果のないペプ
チドを示している。酵素複合体(□)または精製された多触媒性プロテイナーゼ
(黒塗りの四角)を1μmol/lのペプチドホルモンの存在下および不存在下でイ ンキュベートした。この複合体と精製された多触媒性プロテイナーゼについて、
それらによる分解に対するペプチドホルモンの効果を比較した(*P<0.05 )。LLE分解をビークルだけの添加と比較して、60分当たりの遊離した蛍光
発光(任意の単位)の百分率で表している。データは3つの独立した実験での平
均値±SEで示されている。用いられている短縮形は、GLC,グルコース;I
NS,インシュリン;PRO,プロインシュリン;RXN,リラキシンである。
【図4】 図4Aおよび図4Bは、インシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼとの
複合体によるLLVY分解(A)およびLSTR分解(B)に与えるインシュリ
ンおよび類似体の効果の投与量応答曲線を示している。インシュリンおよびly
s−proインシュリンの効果はほぼ等しい。B10−aspの阻害はそれより
少なく、EQFは大きな阻害を示していない。
【図5】 図5Aおよび図5Bは、LLYY分解(A)およびLSTR分解(B)の加水
分解により触媒されたIDE−MCPに対するインシュリンおよびペプチドの効
果の投与量応答曲線を示している。HLVEALYは10-5Mで最大の阻害を有
する3相の効果を有する。LVEALYは10-5Mで阻害する。
【図6】 図6は、MCP−IDE複合体によって触媒された125Iインシュリンの分解 の阻害の投与量応答効果を示している。インシュリン、インシュリン類似体およ
びインシュリン由来ペプチドを試験した。B10−aspインシュリンと野生型
インシュリンは等しい。EQFインシュリンはより効果的である。ペプチドHL
VEALYおよびLVEALYは、10-6〜10-5Mの範囲の濃度で阻害する。
【図7】 図7は、無傷のHepG2細胞におけるインシュリンによるFLF分解の投与
量依存阻害を示している。HepG2細胞の亜密集培養は一晩血清除去し、次い
で2時間示された濃度のインシュリンで処置し、次いで1時間基質(FLF)を
添加した。データは、少なくとも4つの独立した実験のビークルだけでのFLF
分解%の平均値±SEMとして表している。EC50は、1.5×10-13Mイン シュリンであり、最大阻害率は19.1%である。**は、結果が、インシュリ
ンを全く添加しないときとは大きく異なることを示している(p<0.01)。
【図8】 図8Aおよび図8Bは、HepG2細胞におけるインシュリン分解酵素と多触
媒性プロテイナーゼとの複合体によるFLF分解のインシュリンおよびインシュ
リン由来のペプチドによる阻害を示している。インシュリンまたはペプチドの添
加60分後(A)および120分後(B)のインシュリン、HLVEALYおよ
びLVEALYの投与応答曲線を示す。
【図9】 図9は、単離された肝細胞におけるインシュリン分解酵素と多触媒性プロテイ
ナーゼとの複合体によるFLF分解のインシュリンによる経時的な阻害を添加イ
ンシュリンの不存在下、ゼロ時間の%として示している。
【図10】 図10Aおよび10Bは、単離された肝細胞におけるインシュリン分解酵素と
多触媒性プロテイナーゼとの複合体によるFLF分解に対するLVEALY(A
)およびHLVEALY(B)の効果を時間0でペプチドを添加しないときの分
解の%として示している。
【図11】 図11は、インシュリン、インシュリン類似体およびインシュリン由来ペプチ
ドによるH4細胞における全細胞タンパク質分解の阻害を示す。細胞を一晩標識
化し、次いで洗浄し、次いでインシュリン、類似体およびペプチドの効果を測定
した。
【図12】 図12は、標識が不存在下での3時間のプレインキュベーション後のインシュ
リン、インシュリン類似体およびインシュリン由来ペプチドによるH4細胞にお
ける全細胞タンパク質分解の阻害を示す。細胞を一晩標識化し洗浄した。3時間
のプレインキュベーション後の4時間にわたるタンパク質分解を評価した。
【図13】 図13は、対照およびHLVEALY処置動物の尿排出を示す。
【図14】 図14は、対照およびHLVEALY処置動物の体重を示す。
【図15】 図15は、対照およびHLVEALY処置動物の尿排出を示す。
【図16】 図16は、対照およびHLVEALY処置動物の体重を示す。
【図17】 図17は、インシュリンまたはインシュリン由来ペプチドで処置された糖尿病
動物における最初の血液グルコースレベルを示す。
【図18】 図18は、インシュリンまたはインシュリン由来ペプチドで処置された糖尿病
動物における最終血液グルコースレベルを示す。
【図19】 図19は、インシュリンまたはインシュリン由来ペプチドで処置された糖尿病
動物からの尿のN−メチルヒスチジン排泄を示す。
【図20】 図20は、インシュリンまたはインシュリン由来ペプチドで処置された糖尿病
動物における血清トリグリセリドレベルを示す。
【図21】 図21は、インシュリンまたはインシュリン由来ペプチドで処置された糖尿病
動物における血清β−ヒドロキシブチレートレベルを示す。
【図22】 図22は、インシュリンまたはインシュリン由来ペプチドで処置された糖尿病
動物における血清非エステル化脂肪酸レベルを示す。
【図23】 図23は、インシュリン、HLVEALYおよびLVEALYで処置された対
照動物およびラットにおける滑車上部筋の絶対重量を示す。
【図24】 図24は、対照および実験動物における滑車上部筋に与える効果を全体重の%
として示す。
【図25】 図25は、インシュリン、HLVEALYおよびLVEALYで処置された対
照動物およびラットにおける副睾丸の脂肪体の絶対重量を示す。
【図26】 図26は、対照および実験動物における副睾丸の脂肪体に与える効果を全体重
の%として示す。
【図27】 図27は、対照および実験動物における副睾丸の脂肪体に与える効果を全脚重
量の%として示す。
【図28】 図28は、対照および実験動物における副睾丸の脂肪体に与える効果をヒラメ
筋重量の%として示す。
【図29】 図29は、対照および実験動物における副睾丸の脂肪体に与える効果を滑車上
部筋重量の%として示す。
【図30】 図30は、インシュリン、HLVEALYおよびLVEALYで処置された対
照動物およびラットにおける体重変化を示す。
【図31】 図31は、標準的な条件下(18時間の標識化、3時間の洗浄および4時間の
インキュベーション)で標識された無傷細胞におけるタンパク質分解の減少に与
えるインシュリンの投与依存効果を示す。
【図32】 図32は、図31で用いたものと異なる標識化および処置条件下(洗浄なし、
Ca++がなくアミノ酸を有するインキュベーション培地)で標識された無傷細胞
におけるタンパク質分解の減少に与えるインシュリンおよびペプチドの効果を示
す。
【図33】 図33は、インシュリンおよびHLVEALYで処置された無傷の脂肪細胞で
のグルコースの脂質への取り込みを示す。
【図34】 図34は、インシュリンおよびHLVEALYで処置された無傷の脂肪細胞で
のグルコース酸化を示す。
【図35】 図35は、デクサメタゾーン、インシュリンおよびTNFの相互作用ならびに
呼吸内皮細胞からのIL8分泌に与えるそれらの効果を示す。
【図36】 図36は、H4肝細胞におけるDNA合成に対するインシュリンおよびインシ
ュリン由来ペプチドの効果を示す。
【図37】 図37は、肥満の2型糖尿病ラットによる尿3−メチルヒスチジン排泄に対す
るHLVEALY処置の効果を示す。
【図38】 図38は、肥満の2型糖尿病ラットの脂肪細胞における全脂肪酸酸化に対する
HLVEALY処置の効果を示す。
【図39】 図39は、肥満の2型糖尿病ラットの脂肪細胞におけるペルオキシゾーム性脂
肪酸酸化に対するHLVEALY処置の効果を示す。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成12年2月11日(2000.2.11)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM ,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE, KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,L T,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX ,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE, SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,U A,UG,US,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 ハメル、フレデリック ジー. アメリカ合衆国、68124 ネブラスカ州、 オマハ、エス.102ンド ストリート 3631 Fターム(参考) 2G045 DA36 FA26 FA27 FA29 FB01 FB03 FB07 FB08 FB12 GC15 4H045 AA10 BA13 BA14 BA15 BA16 BA17 CA40 DA56 EA20 EA27 FA34 FA74 HA02 HA03

Claims (37)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インシュリン分解酵素の切断部位に隣接するインシュリン由来
    の配列を含むポリペプチドであって、インシュリン分解酵素と多触媒性プロテイ
    ナーゼとの複合体の活性を阻害するポリペプチド。
  2. 【請求項2】 前記ポリペプチドが、インシュリン分解酵素の切断部位に隣接
    するインシュリン由来の配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
  3. 【請求項3】 前記ポリペプチドが、インシュリンB鎖の残基9、10、11
    、16、17またはそれらの組み合せを含む請求項2に記載のポリペプチド。
  4. 【請求項4】 前記ポリペプチドが、インシュリン残基B11〜16またはB
    10〜16を含む請求項3に記載のポリペプチド。
  5. 【請求項5】 前記ポリペプチドが、配列HLVEALYまたはLVEALY
    を有する請求項3に記載のポリペプチド。
  6. 【請求項6】 前記ポリペプチドが、インシュリン分解酵素またはインシュリ
    ン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼとの複合体によるインシュリンの分解産物
    の配列を含む請求項1に記載のポリペプチド。
  7. 【請求項7】 前記インシュリンが、天然インシュリンまたはAspB10イ
    ンシュリンを含む請求項1に記載のポリペプチド。
  8. 【請求項8】 前記インシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼとの複合
    体の活性が、前記切断部位に隣接する配列LLVYまたはLSTRを含んでいる
    基質の加水分解を含む請求項1に記載のポリペプチド。
  9. 【請求項9】 前記ポリペプチドが、前記切断部位に隣接する配列LLVYま
    たはLSTRを含んでいる基質の加水分解を大きく阻害する濃度で、インシュリ
    ン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼとの複合体のLLE活性を大きくは阻害し
    ない請求項8に記載のポリペプチド。
  10. 【請求項10】 前記ペプチドが、それを必要とする患者への投与により、絶
    対的または相対的インシュリン欠乏症、重度のインシュリン抵抗、脂質蓄積また
    は過度の脂質合成、あるいはタンパク質異化作用または分解の疾患の症状の軽減
    に効果がある請求項1に記載のポリペプチド。
  11. 【請求項11】 前記疾患が、糖尿病、重度のストレス、心筋梗塞または慢性
    消耗病を含む請求項10に記載のポリペプチド。
  12. 【請求項12】 前記重度のストレスは、外傷、火傷または飢餓を含む請求項
    11に記載のポリペプチド。
  13. 【請求項13】 前記慢性消耗病は、エイズまたはガンを含む請求項11に記
    載のポリペプチド。
  14. 【請求項14】 前記症状は、筋肉質量の減少、体脂肪の増加、脂質合成の増
    加またはそれらの組み合せを含む請求項10に記載のポリペプチド。
  15. 【請求項15】 患者の絶対的または相対的インシュリン欠乏症または重度の
    インシュリン抵抗疾患を検出する方法であって、 前記患者から生物試料を採取する工程と、 前記生物試料において、インシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼと
    の複合体の活性のレベルを測定する工程と、 前記測定レベルを前記患者の特定の特徴を有する被験物の公知または予想対
    照レベルあるいは対照グループの公知または予想レベルと相関させる工程とを含
    む方法。
  16. 【請求項16】 患者のタンパク質分解または異化作用の疾患を検出する方法
    であって、 前記患者から生物試料を採取する工程と、 前記生物試料において、インシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼと
    の複合体の活性のレベルを測定する工程と、 前記測定レベルを前記患者の特定の特徴を有する被験物の公知または予想対
    照レベルあるいは対照グループの公知または予想レベルと相関させる工程とを含
    む方法。
  17. 【請求項17】 患者の脂質蓄積または過度の脂質合成の疾患を検出する方法
    であって、 前記患者から生物試料を採取する工程と、 前記生物試料において、インシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼと
    の複合体の活性のレベルを測定する工程と、 前記測定レベルを前記患者の特定の特徴を有する被験物の公知または予想対
    照レベルあるいは対照グループの公知または予想レベルと相関させる工程とを含
    む方法。
  18. 【請求項18】 絶対的もしくは相対的インシュリン欠乏症または重度のイン
    シュリン抵抗の治療の効果を評価する方法であって、 前記患者から生物試料を採取する工程と、 前記生物試料において、インシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼと
    の複合体の活性のレベルを測定する工程と、 前記測定レベルを前記患者からの対応する生物試料におけるインシュリン分
    解酵素またはインシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼとの複合体の活性
    の以前のレベルと相関させる工程とを含む方法。
  19. 【請求項19】 タンパク質分解または異化作用の疾患の治療の効果を評価す
    る方法であって、 前記患者から生物試料を採取する工程と、 前記生物試料において、インシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼと
    の複合体の活性のレベルを測定する工程と、 前記測定レベルを前記患者からの対応する生物試料におけるインシュリン分
    解酵素またはインシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼとの複合体の活性
    の以前のレベルと相関させる工程とを含む方法。
  20. 【請求項20】 脂質蓄積または過度の脂質合成の疾患の治療の効果を評価す
    る方法であって、 前記患者から生物試料を採取する工程と、 前記生物試料において、インシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼと
    の複合体の活性のレベルを測定する工程と、 前記測定レベルを前記患者からの対応する生物試料におけるインシュリン分
    解酵素またはインシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼとの複合体の活性
    の以前のレベルと相関させる工程とを含む方法。
  21. 【請求項21】 それを必要とする患者での絶対的または相対的インシュリン
    欠乏症、重度のインシュリン抵抗、脂質蓄積または過度の脂質合成、あるいはタ
    ンパク質異化作用または分解の疾患の症状の軽減方法であって、 絶対的または相対的インシュリン欠乏症、重度のインシュリン抵抗、脂質蓄
    積または過度の脂質合成、あるいはタンパク質異化作用または分解の疾患の症状
    の軽減の必要性を決定する工程と、 インシュリンのインシュリン分解酵素の切断部位に隣接する配列を含むポリ
    ペプチドを効果的な量患者に投与する工程と、 前記投与の効能をモニターする工程とを含む方法。
  22. 【請求項22】 前記疾患が、糖尿病、重度のストレス、心筋梗塞または慢性
    消耗病を含む請求項21に記載の方法。
  23. 【請求項23】 前記重度のストレスは、外傷、火傷または飢餓を含む請求項
    22に記載の方法。
  24. 【請求項24】 前記慢性消耗病は、エイズまたはガンを含む請求項22に記
    載の方法。
  25. 【請求項25】 前記症状は、筋肉質量の減少、体脂肪の増加、脂質合成の増
    加またはそれらの組み合せを含む請求項21に記載の方法。
  26. 【請求項26】 前記インシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼとの複
    合体の活性のレベルを測定する工程をさらに含む請求項21に記載の方法。
  27. 【請求項27】 タンパク質異化作用のレベルを測定する工程をさらに含む請
    求項21に記載の方法。
  28. 【請求項28】 分解したタンパク質のレベルを測定する工程をさらに含む請
    求項27に記載の方法。
  29. 【請求項29】 前記ポリペプチドが、インシュリンのインシュリン分解酵素
    切断部位に隣接するインシュリン由来の配列を含み、前記ポリペプチドが、イン
    シュリン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼとの複合体の活性を阻害する請求項
    21に記載の方法。
  30. 【請求項30】 前記ポリペプチドが、インシュリンB鎖の残基9、10、1
    1、16、17またはそれらの組み合せを含む請求項29に記載の方法。
  31. 【請求項31】 前記ポリペプチドが、インシュリン残基B11〜16または
    B10〜16を含む請求項30に記載の方法。
  32. 【請求項32】 前記ポリペプチドが、配列HLVEALYまたはLVEAL
    Yを有する請求項30に記載の方法。
  33. 【請求項33】 前記ポリペプチドが、インシュリン分解酵素によるインシュ
    リンの分解産物を含む請求項29に記載の方法。
  34. 【請求項34】 前記インシュリンが、天然インシュリンまたはAspB10
    インシュリンを含む請求項21に記載の方法。
  35. 【請求項35】 前記インシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼとの複
    合体の活性が、前記切断部位に隣接する配列LLVYまたはLSTRを含んでい
    る基質の加水分解を含む請求項21に記載の方法。
  36. 【請求項36】 前記ポリペプチドが、前記切断部位に隣接する配列LLVY
    またはLSTRを含んでいる基質の加水分解を大きく阻害する濃度で、インシュ
    リン分解酵素と多触媒性プロテイナーゼとの複合体のLLE活性を大きくは阻害
    しない請求項35に記載の方法
  37. 【請求項37】 それを必要とする絶対的または相対的インシュリン欠乏症、
    重度のインシュリン抵抗、脂質蓄積または過度の脂質合成、あるいはタンパク質
    異化作用または分解の疾患の症状の軽減方法であって、 それを必要とする絶対的または相対的インシュリン欠乏症、重度のインシュ
    リン抵抗、脂質蓄積または過度の脂質合成、あるいはタンパク質異化作用または
    分解の疾患の症状の軽減の必要性を決定する工程と、 心房性ナトリウム利尿ペプチド、リラキシン、またはインシュリン様成長因
    子II由来の配列を含んでいるポリペプチドを、効果的な量患者に投与する工程
    であって、前記ポリペプチドが、インシュリン分解酵素と多触媒性プロテイナー
    ゼとの複合体の活性を阻害する工程と、 前記投与の効能をモニターする工程とを含む方法。
JP2000527564A 1998-01-08 1999-01-08 インシュリン関連疾患の治療および診断の方法および組成物 Pending JP2002500234A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US7082198P 1998-01-08 1998-01-08
US60/070,821 1998-01-08
PCT/US1999/000471 WO1999035169A2 (en) 1998-01-08 1999-01-08 Methods and compositions for treating and diagnosing insulin related disorders

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002500234A true JP2002500234A (ja) 2002-01-08

Family

ID=22097585

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000527564A Pending JP2002500234A (ja) 1998-01-08 1999-01-08 インシュリン関連疾患の治療および診断の方法および組成物

Country Status (7)

Country Link
EP (1) EP1045860A2 (ja)
JP (1) JP2002500234A (ja)
CN (1) CN1292798A (ja)
AU (1) AU2313899A (ja)
BR (1) BR9906833A (ja)
CA (1) CA2317674A1 (ja)
WO (1) WO1999035169A2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012507021A (ja) * 2008-10-31 2012-03-22 ベー.エル.アー.ハー.エム.エス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 心臓血管系に対する影響に関して食品及び/又は飲料及び/又は食事及び/又は栄養計画及び/又は薬剤を分類するための方法及びアッセイ

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6465714B2 (en) * 1999-11-05 2002-10-15 Arexis Ab Congenic animal models of non-insulin dependent diabetes mellitus
WO2006132530A2 (en) * 2005-01-31 2006-12-14 Leiden University Medical Center Methods and means for use in diagnostics and treatment of diabetes
WO2010086867A2 (en) 2009-02-02 2010-08-05 Ramot At Tel Aviv University Ltd. Peptides, pharmaceutical compositions comprising same and uses thereof
WO2012017439A2 (en) 2010-08-04 2012-02-09 Ramot At Tel-Aviv University Ltd. Methods of treating autoimmune diseases of the central nervous system (cns) and neurodegenerative diseases
CN104961706B (zh) * 2015-07-06 2017-03-01 成都知普莱生物医药科技有限公司 一种合成胰岛素降解酶抑制剂ml345的方法
CN115477686B (zh) * 2022-09-22 2024-01-30 北海黑珍珠海洋生物科技有限公司 一种具有美白功效的珍珠贝活性肽及其应用

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5891435A (en) * 1993-04-16 1999-04-06 Research Corporation Technologies, Inc. Methods and compositions for delaying or preventing the onset of autoimmune disease
AUPM411994A0 (en) * 1994-02-25 1994-03-24 Deakin Research Limited Epitopes
US5594100A (en) * 1995-02-22 1997-01-14 Regents Of The University Of Colorado Epitope for prevention of type I diabetes

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012507021A (ja) * 2008-10-31 2012-03-22 ベー.エル.アー.ハー.エム.エス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 心臓血管系に対する影響に関して食品及び/又は飲料及び/又は食事及び/又は栄養計画及び/又は薬剤を分類するための方法及びアッセイ

Also Published As

Publication number Publication date
BR9906833A (pt) 2001-11-27
WO1999035169A9 (en) 1999-11-11
CN1292798A (zh) 2001-04-25
WO1999035169A2 (en) 1999-07-15
EP1045860A2 (en) 2000-10-25
WO1999035169A3 (en) 1999-10-07
AU2313899A (en) 1999-07-26
CA2317674A1 (en) 1999-07-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5811395A (en) Relaxin analogs and derivatives methods and uses thereof
Duckworth et al. Insulin degradation: progress and potential
JP2828250B2 (ja) 真性糖尿病の治療
Owyang et al. Feedback regulation of pancreatic enzyme secretion. Suppression of cholecystokinin release by trypsin.
Liddle et al. Cholecystokinin bioactivity in human plasma. Molecular forms, responses to feeding, and relationship to gallbladder contraction.
Walsh et al. Insulin-like growth factor I diminishes in vivo and in vitro vascular contractility: role of vascular nitric oxide
Kumar Tumor-induced osteomalacia and the regulation of phosphate homeostasis
Clemmons Structural and functional analysis of insulin-like growth factors
Owens Human insulin: clinical pharmacological studies in normal man
Given et al. Biochemical and clinical implications of proinsulin conversion intermediates.
US6949506B2 (en) Relaxin-like factor and methods and uses thereof
US20090088380A1 (en) Ghrh analogs and therapeutic uses thereof
Goodyer et al. Renal tubular cells are potential targets for epidermal growth factor
Duckworth et al. Insulin acts intracellularly on proteasomes through insulin-degrading enzyme
van den Buuse et al. Endothelin and dopamine release
JP2002500234A (ja) インシュリン関連疾患の治療および診断の方法および組成物
Lenz et al. Regulation of natriuretic peptide (urodilatin) release in a human kidney cell line
Zheng et al. Tartrate resistant acid phosphatase activity in rat cultured osteoclasts is inhibited by a carboxyl terminal peptide (osteostatin) from parathyroid hormone‐related protein
YOSHINARI et al. Lysosomal digestion of thyroglobulin: role of cathepsin D and thiol proteases
Baxter et al. The molecular biology of human renin and its gene.
GRUPPUSO et al. Binding of proinsulin and proinsulin conversion intermediates to human placental insulin-like growth factor I receptors
Escande et al. Developmental aspects of parathyroid hormone-related protein biology
Tachibana et al. An aminopeptidase inhibitor, bestatin, enhances progesterone and oestradiol secretion by porcine granulosa cells stimulated with follicle stimulating hormone in vitro
Mahmood et al. Metabolism of angiotensin I in the coronary circulation of normal and diabetic rats
Poston et al. Calcitonin gene-related peptide: possible tumor marker for medullary thyroid cancer