JP2002367298A - ノイズキャンセラー装置及びノイズキャンセル方法 - Google Patents

ノイズキャンセラー装置及びノイズキャンセル方法

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JP2002367298A
JP2002367298A JP2001169852A JP2001169852A JP2002367298A JP 2002367298 A JP2002367298 A JP 2002367298A JP 2001169852 A JP2001169852 A JP 2001169852A JP 2001169852 A JP2001169852 A JP 2001169852A JP 2002367298 A JP2002367298 A JP 2002367298A
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noise
gain
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information signal
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JP2001169852A
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English (en)
Inventor
Kazuhiko Ozawa
一彦 小沢
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Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 適応フィルタ係数の乱れが発生せず、ノイズ
変化に対する追従性を高める。 【解決手段】 情報信号のレベルを制御するレベル制御
手段55と、エネルギー波発生手段41、43、44よ
りのエネルギー波に基づいて、情報信号に混入するノイ
ズ成分と相関のある疑似ノイズ信号を生成する適応フィ
ルタ28、29と、レベル制御手段55より出力された
情報信号から疑似ノイズ信号を減算して、ノイズ成分が
相殺された情報信号を得る減算手段26、27と、ノイ
ズ成分が相殺された情報信号を所定のスレッシュホール
ドレベル以下に抑えた後、適応フィルタ28、29に供
給するリミッタ手段34、35と、駆動信号源を制御す
る制御手段46により制御される、ノイズキャンセル装
置におけるステップゲイン及び忘却係数を可変する可変
ゲイン手段32、33とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ノイズキャンセラ
ー装置及びノイズキャンセル方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、カメラ一体型VTRのように、
内部に、駆動部品を備える再生装置や記録再生装置を有
する電子機器においては、回転ドラムやドラムモータの
回転音や、磁気テープ及び回転磁気ヘッド間の叩き音等
の駆動部品から発生するメカノイズ(機械的雑音)が、
再生装置や記録再生装置において、映像信号と共に、又
は、単独で、記録媒体に記録する音声信号の音声を収音
する内蔵マイクに、ノイズ音として混入されて、そのノ
イズ信号が本来の音声信号と共に記録媒体に記録されて
しまうという問題があった。
【0003】特に近年の電子機器の小型化に伴って、ノ
イズ発生源をマイクに対し隔離することが益々困難にな
ってきている。
【0004】次に、図1を参照して、音声信号に混入し
たノイズを除去するための一般的なアクティブ・ノイズ
・キャンセラー(ANC:Active Noise Cancellar)の
構成について説明する。主要入力用マイク1によって、
必要とする音声(直線状の実線の矢印にて示す)が収音
されるが、同時にノイズ(波線状の実線の矢印にて示
す)も収音される。従って、マイク1からは、ノイズ信
号が混入した主要音声入力信号Sが得られ、その主要音
声入力信号Sが遅延器3に入力される。
【0005】他方、上述のノイズ信号と相関性の高い参
照入力信号Xが、LMS法による適応信号処理回路5に
入力されるようになされている。この参照入力信号X
に、波線状の破線の矢印にて示すような音声に基づく音
声信号が混入すると、後に述べる加算器6において、本
来の音声信号も相殺されることになるので、特開平11
−176113号公報、特開平11−232802号公
報及び特開平11−232803号公報に記載の発明で
は、参照入力信号Xとして、ノイズ発生の基底周波数と
なるドラム回転基準信号をマイクロコンピュータ等から
得て使用している。
【0006】さて、主要入力信号Sは、遅延器3を通じ
て、加算器6の+側端子に入力される。他方、参照入力
信号Xは適応信号処理回路5によって適応処理されて、
主要入力信号Sに含まれるノイズ信号と近似した疑似ノ
イズ信号が適応出力信号Yとして出力され、その適応出
力信号Yが加算器6の−側端子に入力されて、遅延され
た主要入力信号Sから減算される。
【0007】従って、加算器6からは、ノイズ信号が相
殺された音声信号が得られ、この音声信号が出力端子7
から出力される。この加算器6から出力されたノイズ信
号が相殺された音声信号は、適応信号処理回路5に残差
信号Eとして帰還されて、適応処理に使用される。
【0008】上述した遅延器3の遅延量は、適応信号処
理回路5による処理時間に要する遅延分の補正を含め
て、最もノイズキャンセル効果の上がる遅延時間に設定
される。
【0009】次に、図2を参照して、図1のアクティブ
ノイズキャンセラーにおける適応信号処理回路5の具体
回路を説明する。この適応信号処理のアルゴリズムとし
ては種々の方法が提案されているが、一般に比較的収束
スピードが速く、演算回路規模が小さい最小二乗平均
(LMS:Least Mean Square )法がよく使用されるの
で、ここではLMS法の場合について説明する。このL
MS法は、全て、DSP(デジタル信号処理装置)、デ
ジタルLSIによるハードウェアやマイクロコンピュー
タによるソフトウェアで処理可能である。
【0010】図1の参照入力信号Xに相当する参照入力
信号Xは、破線で囲まれた適応フィルタ10及びLMS
演算処理回路14に入力される。適応フィルタ10は一
般的にはタップ数が数百タップ程度のFIR(有限イン
パルス応答)デジタルフィルタで構成されており、それ
ぞれのタップにある適応フィルタ係数WをLMSアルゴ
リズムに従って、適応的に更新していく。
【0011】この場合の適応フィルタ10は、(m+
1)タップのFIRフィルタである。111 、112
‥‥‥‥、11m は単位サンプリング時間の遅延器であ
る。X 0 、X1 、‥‥‥‥、Xm はそれぞれの遅延が施
された信号を示す。120 、121 、‥‥‥‥、12m
は係数乗算用の乗算器であり、W0 、W1 、‥‥‥‥、
m は、その各乗算器の係数である。乗算器120 、1
1 、‥‥‥‥、12mからの出力は、加算器13によ
って加算されて、その加算出力は適応出力信号Yとして
出力される。従って、適応出力信号Yは、以下に示す数
1の式で表わされる。
【0012】
【数1】
【0013】この数1の式において、jは0、1、‥‥
‥‥、mを示す。
【0014】更に、LMS演算処理回路14では、上述
の参照入力信号Xと残差信号Eから、以下に示す数2の
式に従って、それぞれの適応フィルタ係数W0 、W1
‥‥‥‥、Wm をサンプリング毎に更新していく。
【0015】
【数2】Wk+1 =Wk +2μ・Ek ・Xk
【0016】この数2の式において、それぞれの小文字
kのサフィックスは、時間経過を表わしており、一例と
して、kを単位サンプリングナンバーとし、(k+1)
サンプリング目のWk+1 を現在の適応フィルタ係数とす
れば、Wk はkサンプリング目、つまり1サンプリング
過去の適応フィルタ係数を表わしている。又、μはステ
ップゲインもしくはステップサイズと呼ばれ、LMSア
ルゴリズムにおける収束スピードを決定するパラメータ
であり、その値が大きい程収束が早くなるが収束後の精
度は落ち、逆にその値が小さい程収束は遅くなるが収束
後の精度が上がるため、使用する適応システム条件に応
じて最適化して設定される。又、残差信号Eは、図1の
残差信号Eに相当する。
【0017】このようにLMS演算処理回路14は、適
応フィルタ10における適応フィルタ係数Wを、残差信
号Eに含まれる参照入力信号Xに対し相関の高い信号を
常に最小にするように、数2の式で更新するため、図1
における参照入力信号Xをノイズ信号とすることで、主
要入力信号Sに含まれるノイズ成分を最小にすることが
できる。
【0018】次に、図3を参照して、従来の適応制御ノ
イズキャンセラー(特開平11−232802号公報参
照)について説明する。この図3は、VTR一体型カメ
ラにおける適応制御ノイズキャンセラーの場合である。
【0019】図3において、20、21は内蔵ステレオ
マイクを構成するそれぞれLch(左チャンネル)マイ
ク及びRch(右チャンネル)マイクである。尚、マイ
クの種類や個数は任意である。これらマイク20、21
は、VTR一体型カメラのヘリカルスキャン方式の磁気
記録再生装置に近接して配置されているものとする。
【0020】磁気記録再生装置において、41は回転ド
ラムで、その主面に、例えば、180°の角度割りを以
て、一対の回転磁気ヘッド41、44が設けられてい
る。そして、磁気テープ43が、回転ドラム41及び図
示を省略した固定ドラムに斜めに巻き付けられる如く案
内される。そして、この磁気記録再生装置よりのノイズ
音や振動が、いわゆるメカノイズとして、通常の音声に
混じって、マイク20、21に収音される。このメカノ
イズは、磁気テープ43及び回転磁気ヘッド44の接触
時の叩き音や、回転ドラム41を駆動するドラムモータ
42の電磁音等に起因しており、その発生するメカノイ
ズの周波数は、ドラムモータ42の回転周波数の高調波
となる。
【0021】ドラムモータ42の回転の所定の周波数及
び位相を制御するために、マイコン(マイクロコンピュ
ータ)46よりのサーボ信号45がドラムモータ42に
供給され、これによりドラムモータ42は常に一定回転
を保つように制御される。尚、この記録再生装置は図示
したようなVTR装置に限定されるものではなく、サー
ボ信号により制御される駆動装置を持つもの、例えば、
ハードディスク駆動装置や光ディスク駆動装置等のディ
スク駆動装置にも適用可能である。
【0022】この図3において、マイク20、21から
の音声信号及びメカノイズ信号の混合信号が、増幅器
(AMP)22、23によって前段増幅された後、A/
D変換器24、25に供給されて、アナログ−デジタル
変換され、その得られたデジタル信号はメカノイズ低減
処理回路40に入力される。
【0023】メカノイズ低減処理回路40はステレオ2
チャンネルで独立した処理を行っており、たとえばLc
hとRchとでノイズ成分が異なっていても、最適なメ
カノイズ低減処理ができるように構成されている。モノ
ラル信号やLch及びRch信号でノイズ成分がほとん
ど同じである場合には、メカノイズ低減処理回路40は
1チャンネル分の回路にても構成可能である。
【0024】メカノイズ低減処理回路40では、A/D
変換器24、25からのデジタル信号をそれぞれ加算器
26、27の+側端子に入力し、加算器24、25の−
側端子に入力される、後述する適応信号処理によって生
成された疑似ノイズ信号を減算し、それぞれ出力端子3
6、37よりノイズキャンセルされたLch及びRch
出力信号として出力される。更に、このLch及びRc
h出力信号はそれぞれリミッタ34、35に入力され
て、通常は音声のダイナミックレンジに対して、小レベ
ルであるノイズ信号成分のみを適応処理回路に入力する
ために、Lch及びRch出力信号のレベルが大レベル
のとき、リミッタをかける処理が行われて、ステップゲ
イン制御回路(SG)32、33に入力される。
【0025】ステップゲイン制御回路(SG)32、3
3は、上述の数2の式におけるステップゲインμを、リ
ミッタ34、35の出力にそれぞれ乗算する処理を行
う。そして、マイコン46よりのステップゲイン制御信
号48をステップゲイン制御回路(SG)32、33に
供給することによって、ステップゲインμをステップゲ
イン制御信号48により可変できるようにしている。こ
こでは、ステップゲイン制御回路(SG)32、33に
共通のステップゲイン制御信号48を供給して、ステッ
プゲインを制御するようにしているが、Lch、Rch
毎にステップゲインを独立に制御するようにしても良
い。
【0026】更に、ステップゲイン制御回路(SG)3
2、33からの信号は、適応信号処理回路28、29
に、図1における残差信号Eとして入力される。ここで
適応信号処理回路28、29は、図2と同様に構成さ
れ、LMSアルゴリズムで処理される。又、この適応信
号処理回路28、29には、マイコン46より、図1に
おける参照入力信号Xと同様のドラム基準信号47が入
力されるが、このドラム基準信号47は、ドラムモータ
42のサーボ信号45の基底周波数信号であるために、
適応信号処理回路28、29ではこの基準信号に相関の
ある信号成分、即ち、ドラム回転周波数とその高調波成
分がすべて適応処理のターゲットとなる。更に、適応信
号処理回路28、29からの図1における適応出力信号
Yに相当する出力信号は、それぞれスイッチ(SW)3
0、31を介して加算器26、27の−側端子に入力さ
れる。ここでスイッチ(SW)30、31は、加算器2
6、27において減算を行うか行わないかを、マイコン
46よりのキャンセルオンオフ制御信号49で制御し、
必要な時のみオンにして、キャンセルができるようにし
ている。
【0027】図3のように構成された従来の適応制御ノ
イズキャンセラー(メカノイズ低減回路)において、V
TRのモード遷移に合わせてマイコンからステップゲイ
ン制御信号48とキャンセルオンオフ制御信号49を適
宜制御することで、モード遷移時のメカノイズキャンセ
ルを行っていた。
【0028】次に、図4を参照して、VTRのモード遷
移時に発生するノイズと従来のパラメータ制御について
説明する。先ず、図4Aは、VTRモードが記録→記録
ポーズ(一時停止)→記録と遷移した場合のノイズ発生
量について概念的に示している。先ず、記録時は所定の
回転数で回転ドラム41(図3)が回転し、その回転ド
ラム41に取り付けられた回転磁気ヘッド44及び磁気
テープ43が高速で接触するために、回転ドラム41の
回転音並びに磁気テープ43及び回転磁気ヘッド44間
の叩き音の両者が発生する。
【0029】次にモード遷移期間を経て、ポーズモード
に遷移した場合には、磁気テープ保護のためにテープテ
ンション圧が弱まり、発生するノイズはドラム回転音の
みとなって、ノイズ量が減少する。更に、モード遷移期
間を経て、記録モードに遷移した場合には、再び磁気テ
ープがヘッドと接触するために発生するノイズは、ドラ
ム回転音及び磁気テープ43の回転磁気ヘッド44間の
叩き音となり、ノイズ量が増加する。
【0030】次に、このノイズを図3に示した従来の適
応制御ノイズキャンセラーで処理した場合のパラメータ
制御とノイズ量の例を図4B〜Dに示し、以下これを説
明する。図4の例では、常時メカノイズが発生している
ため、図3のスイッチ(SW)30、31は、キャンセ
ルオンオフ制御信号49によって常にキャンセルオン状
態になされている。
【0031】ここでステップゲインμ値がメカノイズキ
ャンセル動作に及ぼす影響を説明する。ステップゲイン
μ値が大きいと適応フィルタの係数更新量が増加し、例
えば、ノイズ量が変化した時の追従性が良くなるが、逆
に係数が収束した後の安定性が悪化する。又、ステップ
ゲインμ値が小さいと適応フィルタの係数更新量が減少
し、ノイズ量が変化した時の追従性は悪化するが、逆に
係数が収束した後の安定性は良好である。
【0032】従って、一般的には図4Bに示すように、
ステップゲインμ(破線で示す)を所定の値に固定し、
この場合には各VTRモードにおいて安定したノイズキ
ャンセルを行うようにステップゲインμを決定するた
め、モード遷移によってノイズ量や、ノイズの帯域が変
化すると、追従するまでにノイズが増加してしまう不具
合が生じてしまう。従って、特開平11−232802
号公報では、図4Cに示すようにステップゲインμの値
をモード遷移時付近のみ大きくして追従を早め、ノイズ
量を抑えるようにしている。
【0033】更に、図4Dではステップゲインμを記録
時のみ所定の値に固定し、それ以外のモードではゼロに
することで、上述した数2の式における右辺の第2項が
ゼロになり、第1項の適応フィルタの係数がホールドさ
れるようにして、係数更新が成されないようにしてい
る。これにより記録時、つまり磁気テープに記録される
音声信号に関しては、常にノイズキャンセルが行われる
ようにしている。
【0034】次に、図5を参照して、VTRモード遷移
と従来のキャンセルオンオフ制御について説明する。図
5Aは、VTRモードが記録→記録待機(停止)→記録
と遷移した場合のノイズ発生量について概念的に示して
いる。先ず、記録時は所定の回転数で回転ドラム41が
回転し、その回転ドラム41に取り付けられた回転磁気
ヘッド44と磁気テープ43とが高速で接触するため
に、回転ドラム41の回転音並びに磁気テープ43及び
回転磁気ヘッド44間の叩き音の両者が発生する。次に
モード遷移期間を経て、記録待機モードに遷移した場合
には、ドラムの回転が停止するためにノイズ発生がなく
なる。更に、モード遷移期間を経て、記録モードに遷移
した場合には、再び磁気テープ43が回転磁気ヘッド4
4と接触するため、発生するノイズはドラム回転音並び
に磁気テープ43及び回転ドラム41間の叩き音の両者
となり、ノイズ量が増加する。
【0035】次に、このノイズを図3に示した従来の適
応制御ノイズキャンセラーで処理した場合のパラメータ
制御とノイズ量の例を、図5B〜Dに示し、以下これを
説明する。先ず、図5Bはステップゲインμ(破線で示
す)を所定の値に固定し、キャンセルオンオフ制御(実
線で示す)を常にキャンセルオン状態にした場合であ
る。この時のノイズ量は、先ず、記録モードから記録待
機モードに遷移した場合は、それまでキャンセルしてい
たドラム回転音並びに磁気テープ43及び回転ドラム4
1間の叩き音の両者が急激になくなるために、それと同
レベルの疑似ノイズ成分だけが残り、記録待機モード中
にノイズゼロ状態まで追従する。又、記録待機モードか
ら記録モードに遷移した場合は、モード遷移中にノイズ
ゼロ状態から、いきなりドラム回転音並びに磁気テープ
43及び回転ドラム41間の叩き音が発生するため、そ
れに追従するまでの間はノイズ量が増加してしまい、記
録モードに遷移しても、しばらくはノイズが発生してし
まう。
【0036】従って、特開平11−232802号公報
の発明では、図5Cに示すようキャンセルオンオフ制御
を記録待機時にキャンセルオフ状態にし、それ以外のモ
ードではキャンセルオン状態にすることで記録待機時の
追従性を早めるようにしている。但し、この例において
は、キャンセルオフ状態で図3のスイッチ(SW)3
0、31をオフにしても、適応信号処理回路28、29
で適応フィルタ係数の更新が続いているために適応動作
としては不安定であり、適応フィルタ係数が誤動作する
可能性が残される。更に、図5Dでは、ステップゲイン
μを記録時以外でゼロにして、記録時の適応フィルタ係
数をホールドすることで、図4Dと同様に記録時、つま
りテープに記録される音声に関しては常にノイズキャン
セルが行われるようにしている。
【0037】本出願人は、先に、特開平11−1761
13号公報で、カメラ一体型VTRにおけるメカノイズ
をキャンセルするために、最小二乗平均(LMS:Leas
t Mean Squeare)法による適応信号処理に、ドラム回転
に依存した基底周波数信号を参照信号として入力し、音
声信号にほとんど影響を与えずにこのメカノイズだけを
効率よく低減するメカノイズキャンセラーの提案を行っ
ている。
【0038】このメカノイズキャンセラーは、メカノイ
ズレベルが変動せずに、音声レベルが変化するような通
常の入力信号レベル範囲においては、音声レベルが変化
してもメカノイズだけを非常に効率よくキャンセルする
が、例えば、記録される音声信号のダイナミックレンジ
(以下、Dレンジと称する)を、記録媒体に記録可能な
Dレンジに合わせて圧縮するためのAGC(Automatic
Gain Cntrol )(自動利得制御)回路が動作したり、
又、ユーザが任意に音声レベルを可変するためのMGC
(Manual Gain Control)(手動利得制御)回路が動作
したりした場合には、音声レベルと同時にメカノイズレ
ベルも変動してしまうために、メカノイズキャンセラー
において、引き込みスピードを決定する内部パラメータ
であるステップゲイン(ステップサイズとも呼ばれる)
の設定のみでは、このメカノイズのレベル変化に追従で
きず、メカノイズがキャンセルされない場合が発生して
いた。
【0039】又、本出願人が、先に提案した特開平11
−232803号公報では、AGC動作等により急激に
ノイズレベルが減少した場合には、LMS適応信号処理
の内部フィードバックループを切ってノイズキャンセル
オフモードを実現するようにしていたが、これでは、ノ
イズキャンセルオフモード時に適応フィルタ係数の乱れ
が発生し、追従性が劣る。
【0040】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような問
題点を鑑みて成されるもので、従来のステップゲインの
最適化のみでは、急激なノイズレベル変化に対して、過
去のデータを引きずってしまい、追従性に劣る点を改善
するため、本発明は、過去のデータに対する重みを決定
する忘却係数を導入し、これを適応制御することによ
り、ノイズ変化に対する追従性を高めることのできるノ
イズキャンセラー装置及びノイズキャンセル方法を提案
しようとするものである。
【0041】又、従来、AGC動作等により急激にノイ
ズレベルが減少した場合には、LMS適応信号処理の内
部フィードバックループを切ってノイズキャンセルオフ
モードを実現していたため、ノイズキャンセルオフモー
ド時に適応フィルタ係数の乱れが発生し、追従性に劣る
点を改善するために、本発明は、ステップゲイン及び忘
却係数を制御することで、ノイズキャンセルオフモード
を実現することによって、適応フィルタ係数の乱れが発
生せず、ノイズ変化に対する追従性を高めることのでき
るノイズキャンセラー装置及びノイズキャンセル方法を
提案しようとするものである。
【0042】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、駆動信号
源よりの駆動信号により駆動される、エネルギー波を発
生するエネルギー波発生手段よりのそのエネルギー波に
基づいて、情報信号に混入するノイズ成分をキャンセル
するようにしたノイズキャンセラー装置において、情報
信号のレベルを制御するレベル制御手段と、エネルギー
波発生手段よりのエネルギー波に基づいて、情報信号に
混入するノイズ成分と相関のある疑似ノイズ信号を生成
する適応フィルタと、レベル制御手段より出力された情
報信号から疑似ノイズ信号を減算して、ノイズ成分が相
殺された情報信号を得る減算手段と、ノイズ成分が相殺
された情報信号を所定のスレッシュホールドレベル以下
に抑えた後、適応フィルタに供給するリミッタ手段と、
駆動信号源を制御する制御手段により制御される、ノイ
ズキャンセル装置におけるステップゲイン及び忘却係数
を可変する可変ゲイン手段とを有するノイズキャンセラ
ー装置である。
【0043】第1の発明によれば、駆動信号源よりの駆
動信号により駆動される、エネルギー波を発生するエネ
ルギー波発生手段よりのそのエネルギー波に基づいて、
情報信号に混入するノイズ成分をキャンセルするように
し、レベル制御手段によって、情報信号のレベルを制御
し、適応フィルタによって、エネルギー波発生手段より
のエネルギー波に基づいて、情報信号に混入するノイズ
成分と相関のある疑似ノイズ信号を生成し、減算手段に
よって、レベル制御手段より出力された情報信号から疑
似ノイズ信号を減算して、ノイズ成分が相殺された情報
信号を得、リミッタ手段によって、ノイズ成分が相殺さ
れた情報信号を所定のスレッシュホールドレベル以下に
抑えた後、適応フィルタに供給し、駆動信号源を制御す
る制御手段により制御される可変ゲイン手段によって、
ノイズキャンセル装置におけるステップゲイン及び忘却
係数を可変する。
【0044】第2の発明は、第1の発明のノイズキャン
セラー装置において、レベル制御手段は、ノイズ成分が
混入した情報信号に所定のゲイン係数を乗ずる乗算器
と、情報信号を検波する検波手段と、その検波手段より
の検波出力に基づいてゲイン係数を生成するゲイン生成
手段と、そのゲイン生成手段よりのゲイン係数に時定数
を付加し、その時定数の付加されたゲイン係数を制御手
段に供給する時定数付加手段と、その時定数付加手段よ
りの時定数の付加されたゲイン係数及び制御手段よりの
手動ゲイン係数を、制御手段よりの切換え制御信号によ
って切り換えて、乗算器に供給する切換え手段とを備え
てなると共に、可変ゲイン手段は、制御手段によって、
時定数の付加されたゲイン係数(又は手動ゲイン係数)
と、時定数の付加されたゲイン係数の所定時間遅延され
たもの(又は手動ゲイン係数のその所定時間遅延された
もの)との比に対数演算を施して得た値に対して、所定
の変換マップから求めたパラメータ制御値によってゲイ
ン可変するようにしたノイズキャンセラー装置である。
【0045】第3の発明は、第2の発明のノイズキャン
セラー装置において、ゲイン係数が変化する場合には、
その変化期間付近の可変ゲイン手段におけるステップゲ
インを、それ以外の場合の、所定のステップゲインとは
異ならしめて、ノイズキャンセルの引き込み速度を大き
くするようにしたノイズキャンセラー装置である。
【0046】第4の発明は、第2の発明のノイズキャン
セラー装置において、ゲイン係数が変化する場合には、
その変化期間付近の可変ゲイン手段におけるステップゲ
イン及び忘却係数を、それ以外の場合の、それぞれ所定
のステップゲイン及び所定の忘却係数とは異ならしめ
て、ノイズキャンセルの引き込み速度を大きくするよう
にしたノイズキャンセラー装置である。
【0047】第5の発明は、第2の発明のノイズキャン
セラー装置において、前記ゲイン係数がゼロ付近の場合
には、その期間付近の可変ゲイン手段におけるステップ
ゲイン及び忘却係数を、それ以外の場合の、それぞれ所
定のステップゲイン及び所定の忘却係数とは異ならしめ
て、可変ゲイン手段がノイズキャンセルを行わないよう
にしたノイズキャンセラー装置である。
【0048】第6の発明は、駆動信号源よりの駆動信号
により駆動される、エネルギー波を発生するエネルギー
波発生手段よりのそのエネルギー波に基づいて、情報信
号に混入するノイズ成分をキャンセルするようにしたノ
イズキャンセル方法において、情報信号のレベルを制御
し、エネルギー波発生手段よりのエネルギー波に基づい
て、情報信号に混入するノイズ成分と相関のある疑似ノ
イズ信号を適応フィルタを用いて生成し、 レベル制御
手段より出力された情報信号から疑似ノイズ信号を減算
して、ノイズ成分が相殺された情報信号を得、ノイズ成
分が相殺された情報信号を所定のスレッシュホールドレ
ベル以下に抑えた後、適応フィルタに供給し、駆動信号
源を制御する制御手段の制御により、ノイズキャンセル
方法におけるステップゲイン及び忘却係数を可変するよ
うにしたノイズキャンセル方法である。
【0049】第7の発明は、第6の発明のノイズキャン
セル方法において、情報信号のレベルは、ノイズ成分が
混入した情報信号に所定のゲイン係数を乗じ、情報信号
を検波し、その情報信号の検波出力に基づいてゲイン係
数を生成し、その生成されたゲイン係数に時定数を付加
し、その時定数の付加されたゲイン係数を制御手段に供
給し、時定数の付加されたゲイン係数及び制御手段より
の手動ゲイン係数を、制御手段よりの切換え制御信号に
よって切り換えて、乗算器に供給し、ステップゲイン及
び忘却係数の可変は、制御手段によって、時定数の付加
されたゲイン係数(又は手動ゲイン係数)と、時定数の
付加されたゲイン係数の所定時間遅延されたもの(又は
手動ゲイン係数のその所定時間遅延されたもの)との比
に対数演算を施して得た値に対して、所定の変換マップ
から求めたパラメータ制御値にてゲイン可変するように
したノイズキャンセル方法である。
【0050】第8の発明は、第7の発明のノイズキャン
セル方法において、ゲイン係数が変化する場合には、そ
の変化期間付近のステップゲインを、それ以外の場合
の、所定のステップゲインとは異ならしめて、ノイズキ
ャンセルの引き込み速度を大きくするようにしたノイズ
キャンセル方法である。
【0051】第9の発明は、第7の発明のノイズキャン
セル方法において、ゲイン係数が変化する場合には、そ
の変化期間付近のステップゲイン及び忘却係数を、それ
以外の場合の、それぞれ所定のステップゲイン及び所定
の忘却係数とは異ならしめて、ノイズキャンセルの引き
込み速度を大きくするようにしたノイズキャンセル方法
である。
【0052】第10の発明は、第7の発明のノイズキャ
ンセル方法において、ゲイン係数がゼロ付近の場合に
は、その期間付近のステップゲイン及び忘却係数を、そ
れ以外の場合の、それぞれ所定のステップゲイン及び所
定の忘却係数とは異ならしめて、可変ゲインによるノイ
ズキャンセルを行わないようにしたノイズキャンセル方
法である。
【0053】
【発明の実施の形態】以下に、図6を参照して、本発明
の実施の形態のノイズキャンセラー装置及びノイズキャ
ンセル方法の例を詳細に説明する。図6において、図3
と対応する部分には、同一符号を付して説明する。図6
において、20、21は内蔵ステレオマイクを構成する
それぞれLch(左チャンネル)マイク及びRch(右
チャンネル)マイクである。尚、マイクの種類や個数は
任意である。これらマイク20、21は、VTR一体型
カメラのヘリカルスキャン方式の磁気記録再生装置に近
接して配置されているものとする。
【0054】磁気記録再生装置において、41は回転ド
ラムで、その主面に、例えば、180°の角度割りを以
て、一対の回転磁気ヘッド44が設けられている。そし
て、磁気テープ43が、回転ドラム41及び図示を省略
した固定ドラムに斜めに巻き付けられる如く案内され
る。そして、この磁気記録再生装置よりのノイズ音や振
動が、いわゆるメカノイズとして、通常の音声に混じっ
て、マイク20、21に収音される。このメカノイズ
は、磁気テープ43及び回転磁気ヘッド44の接触時の
叩き音や、回転ドラム41を駆動するドラムモータ42
の電磁音等に起因しており、その発生するメカノイズの
周波数は、ドラムモータ42の回転周波数の高調波とな
る。
【0055】ドラムモータ42の回転の所定の周波数及
び位相を制御するために、マイコン(マイクロコンピュ
ータ)46よりのサーボ信号45がドラムモード42に
供給され、これによりドラムモード42は常に一定回転
を保つように制御される。尚、この記録再生装置は図示
したようなVTR装置に限定されるものではなく、サー
ボ信号により制御される駆動装置を持つもの、例えば、
ハードディスク駆動装置や光ディスク駆動装置等のディ
スク駆動装置にも適用可能である。
【0056】この図6において、マイク20、21から
の音声信号及びメカノイズ信号の混合信号が、増幅器
(AMP)22、23によって前段増幅された後、A/
D変換器24、25に供給されて、アナログ−デジタル
変換され、その得られたデジタル信号は、レベル制御手
段55にに入力される。
【0057】レベル制御手段55は後段の信号処理の都
合や、記録再生装置の仕様により、通常はマイク入力の
Dレンジ(一般的には約120dB)を適正なDレンジ
(一例では約90dB)まで圧縮するために挿入され
る。この場合には後述するAGC(Automatic Gain Con
trol)(自動利得制御)動作を行う。又、レベル制御手
段55はユーザ等が任意のマイク入力レベルに設定する
ためのゲイン設定もできるように成されており、この場
合には後述するMGC(Manual Gain Cntrol) (手動利
得制御)動作を行い、前記AGC動作と切替えができる
ように成されている。
【0058】更に、レベル制御手段55はマイコン46
へレベル検波信号50を出力し、マイコン46からの制
御信号51がレベル制御手段55に入力され、又、上述
したMGC動作でユーザ等が任意のマイク入力レベルに
ゲイン設定するための操作スイッチ(操作SW)52が
マイコン46に接続されている。
【0059】尚、この図6の例では、レベル制御手段5
5は、A/D変換器24、25の後段に設けられて、デ
ジタル信号のレベル制御を行うデジタルレベル制御手段
にて構成されているが、このレベル制御手段55をA/
D変換器24、25の前段に設けて、レベル制御手段5
5をアナログレベル制御手段にて構成しても良い。
【0060】レベル制御手段55によってレベル制御さ
れた、A/D変換器24、25よりのデジタル信号は、
メカノイズ低減処理回路40に供給される。メカノイズ
低減処理回路40はステレオ2チャンネルで独立した処
理を行っており、たとえばLchとRchとでノイズ成
分が異なっていても、最適なメカノイズ低減処理処理が
できるように構成されている。モノラル信号やLch及
びRch信号でノイズ成分がほとんど同じである場合に
は、1チャンネル分でも構成可能である。
【0061】メカノイズ低減処理回路40では、レベル
制御手段55によってレベル制御された、A/D変換器
24、25からのデジタル信号をそれぞれ加算器26、
27の+側端子に入力し、加算器26、27の−側端子
に入力される、後述する適応信号処理によって生成され
が疑似ノイズ信号を減算し、それぞれ出力端子36、3
7よりノイズキャンセルされたLch及びRch出力信
号として出力される。更に、このLch及びRch出力
信号はそれぞれリミッタ34、35に入力されて、通常
は音声のダイナミックレンジに対して、小レベルである
ノイズ信号成分のみを適応処理回路に入力するために、
Lch及びRch出力信号のレベルが大レベルのとき、
リミッタをかける処理が行われて、ステップゲイン制御
回路(SG)32、33に入力される。
【0062】ステップゲイン制御回路(SG)32、3
3は、上述の数2の式におけるステップゲインμを、リ
ミッタ34、35の出力にそれぞれ乗算する処理を行
う。そして、マイコン46よりのステップゲイン制御信
号48をステップゲイン制御回路(SG)32、33に
供給することによって、ステップゲインμをステップゲ
イン制御信号48により可変できるようにしている。こ
こでは、ステップゲイン制御回路(SG)32、33に
共通のステップゲイン制御信号48で制御するようにし
ているが、Lch、Rch毎に独立に制御するようにし
ても良い。
【0063】更に、ステップゲイン制御回路(SG)3
2、33からの信号は、適応信号処理回路28、29
に、図1における残差信号Eとして入力される。ここで
適応信号処理回路28、29は、図2と同様に構成さ
れ、LMSアルゴリズムで処理される。又、この適応信
号処理回路28、29には、マイコン46より、図1に
おける参照入力信号Xと同様のドラム基準信号47が入
力されるが、このドラム基準信号47は、ドラムモータ
42のサーボ信号45の基底周波数信号であるために、
適応信号処理回路28、29ではこの基準信号に相関の
ある信号成分、即ち、ドラム回転周波数とその高調波成
分がすべて適応処理のターゲットとなる。更に、適応信
号処理回路28、29からの図1における適応出力信号
Yに相当する出力信号は、それぞれ加算器26、27の
−側端子に入力される。
【0064】図6の適応ノイズキャンセラー装置では、
新たに忘却係数λを導入し、更に、忘却係数λをマイコ
ン46によって可変制御していることに特徴が有り、具
体的には以下の2点で、図3の従来例とは異なってい
る。
【0065】先ず、1点目は、適応信号処理回路28、
29では以下の数3の式に従って、図2に示した内部の
適応フィルタ係数W0 、W1 、‥‥‥‥、Wm をそれぞ
れ更新していく。
【0066】
【数3】Wk+1 =λ・Wk +2μ・Ek ・Xk
【0067】ここで数3の式は、現在の単位サンプリン
グにおける適応フィルタ係数を、W k+1 とすると、1単
位サンプリング過去の適応フィルタ係数であるWk に係
数λを乗算している。この係数λは忘却係数と呼ばれ、
通常は1よりもわずかに小さい値に設定することで、過
去のデータに対する重みを小さくして、現在から遠ざか
る程過去のデータを棄却するように適応処理を動作させ
ることができる。例えば、適応が十分進んだ段階で数3
の式において残差信号Ek や、参照入力Xk が突然ゼロ
になった場合、例えば、ドラムモータが回転状態から停
止状態にモード遷移して、メカノイズの発生が無くなっ
た場合などでは、数3の式における右辺の第2項はゼロ
になるが、忘却係数λがないと第1項のWk がいつまで
も残り、聴感上で違和感が発生してしまうが、忘却係数
λがあるとWk は徐々に減衰して、最後にゼロになるた
め、このような場合の応答性が従来例よりも改善され
る。しかし、逆にドラムモーターが停止状態から回転状
態にモード遷移した場合には、適応処理の応答性が悪化
するため、忘却係数λは数3の式において、影響の無い
ように1に設定した方が良い。
【0068】次に2点目は、図3のキャンセルオンオフ
制御信号49によるスイッチ(SW)30、31のオン
/オフ切替えをやめており、これをやめることによるメ
リットは、オフ時にフィードバックループが切れないこ
とで適応処理の連続性が保たれることにある。つまりス
イッチ(SW)30、31がオン→オフ→オンと制御さ
れる場合、例えば、ドラムモータが回転状態から停止状
態にモード遷移して、再び回転状態にモード遷移した場
合を考えると、停止状態においては適応処理のターゲッ
トとなるメカノイズの発生がないため、スイッチ(S
W)30、31をオフにする必要性から適応処理のルー
プも同時に切れてしまい、適応フィルタの係数がこの期
間定まらず、この間に係数が大きく変化してしまうと、
再びスイッチ(SW)30、31をONにした時に安定
するまでの応答性が悪化してしまう。
【0069】従って、図6の適応制御ノイズキャンセラ
ーでは、忘却係数λとステップゲインμをマイコン46
より制御して、このフィードバックループを切らずにキ
ャンセルオン/オフを実現している。
【0070】従って、図6においては、マイコン46よ
りメカノイズ低減処理回路40内の適応信号処理回路2
8、29に忘却係数λ制御信号49が入力され、適応信
号処理回路28、29では、数3の式に従い、それぞれ
の適応フィルタの係数Wk に、忘却係数λが単位サンプ
リング毎に乗算される。
【0071】尚、上述の特開平11−232802号公
報及び特開平11−232803号公報では、メカノイ
ズキャンセルのON/OFFをキャンセルオンオフ制御
信号により行っていたが、この場合にはオフ時にフィー
ドバックループが切れてしまうため、適応処理の連続性
が保たれない問題点があった。つまりこのOFF期間は
適応フィルタの係数が定まらず、この間に係数が大きく
変化してしまうと、再びONにした時に安定するまでの
応答性が悪化してしまう。
【0072】そこで、図6の適応制御ノイズキャンセラ
ー装置では、忘却係数λとステップゲインμをマイコン
46により制御して、このフィードバックループを切ら
ずにキャンセルオンオフを実現している。
【0073】次に、図7を参照して、図6の適応制御ノ
イズキャンセラー装置におけるレベル制御手段55の具
体的構成を説明する。入力端子60、61に、図6のA
/D変換器24、25からのLchのデジタル信号とR
chのデジタル信号が入力される。そのLchのデジタ
ル信号は、LchのAGC(自動利得制御)手段62及
びLchのMGC(手動利得制御)手段63に供給され
る。又、Rchのデジタル信号は、RchのAGC手段
64及びRchのMGC手段65に供給される。
【0074】AGC手段62、64から得られたレベル
検波信号50が、端子72を通じて図6のマイコン46
に供給される。又、そのマイコン46よりの制御信号5
1が、端子73を通じて、MGC手段63、65に供給
されると共に、後述する切り換えスイッチ(SW)6
6、67に、切り換え制御信号として供給される。
【0075】LchのAGC手段62及びMGC手段6
3よりの、それぞれレベル制御されたデジタル信号が、
スイッチ66に供給されて切換えられた後、増幅器(A
MP)68に供給されて増幅され、その増幅出力がLc
h出力として出力端子70より出力される。又、Rch
のAGC手段64及びMGC手段65よりの、それぞれ
レベル制御されたデジタル信号が、スイッチ67に供給
されて切換えられた後、増幅器(AMP)69に供給さ
れて増幅され、その増幅出力がRch出力として出力端
子71より出力される。
【0076】尚、端子73よりの制御信号51は、Lc
h及びRchの各回路に対し、同じ状態に動作するよう
に制御しても良いし、各別の状態に動作するように制御
しても良い。
【0077】次に、図8を参照して、図7におけるAG
C手段62、64、MGC手段63、65及びスイッチ
66、67の具体構成例(片チャンネル分)を説明す
る。入力端子80からのデジタル音声信号が、遅延器8
1を介して乗算器82の一方の入力端子に供給されると
共に、検波手段83に供給される。
【0078】検波手段83は、デジタル音声信号のピー
クレベルや平均値レベルを所定の時間毎に検出し、その
検出された信号がゲイン生成手段84に供給されて、ゲ
イン係数が生成される。このゲイン生成手段84は、入
力端子93よりのAGC動作レベル設定信号によって、
AGC動作レベルが設定される。即ち、例えば、検波手
段83からの検波信号レベル及び記AGC動作レベルが
比較され、検波信号レベルがAGC動作レベル以下の場
合には所定のゲイン係数を出力し、検波信号レベルがA
GC動作レベルを上回った場合には、ゲイン係数を所定
値よりも一定量小さくすることによって、後述の乗算器
82においてデジタル音声信号を所定レベルに抑えるよ
うに動作する。
【0079】このように生成されたゲイン係数は、例え
ば、LPF(ローパスフィルタ)で構成される時定数付
加回路85に供給されて、人の聴感上でゲイン係数がな
めらかに変化するような時定数が付加され、AGC動作
のためのA係数92として、切り換えスイッチ(SW)
86の一方の入力端子に供給されると共に、レベル検波
信号50として、出力端子89より出力される。又、切
り換えスイッチ86の他方の入力端子には、入力端子8
8よりの制御信号51の内の、MGC動作のためのゲイ
ン係数であるM係数90が供給される。更に、マイコン
46よりの制御信号51が切換え制御信号91として、
スイッチ86に供給されて、スイッチ86の切り換えが
制御され、A係数92及びM係数90のいずれか一方
が、乗算器82の他方の端子に入力される。
【0080】乗算器82では、デジタル音声信号に、選
択されたゲイン係数が乗算される。ゲイン係数を、例え
ば、0以上、1以下の任意の係数とすれば、出力端子8
7より出力されるデジタル音声信号出力は、ゲイン係数
が0のときはゼロレベルのデジタル音声信号となり、1
のときは入力デジタル音声信号と同じレベルのデジタル
音声信号となり、ゲイン係数がその中間値の時はその係
数に応じたレベルのデジタル音声信号となる。ここで遅
延器81は、乗算器82に入力される音声信号及びゲイ
ン係数間の時間ずれが無いように、入力デジタル音声信
号を遅延させるためのものである。尚、スイッチ86
は、図7におけるスイッチ66、67に相当する。
【0081】次に、図9を参照して、図6のマイコン4
6内で、AGC動作の場合はレベル検波信号50の、
又、MGC動作の場合は制御信号51内のゲイン係数か
ら、ステップゲインμ制御信号48及び忘却係数λ制御
信号49のパラメータを生成する機能ブロックの例を説
明する。
【0082】入力端子100よりのAGC/MGC動作
におけるゲイン係数が信号Sとして、対数(LOG)演
算器102の入力端子107に入力されると共に、その
ゲイン係数が所定の単位サンプル時間遅延器(D-1)1
01に供給されて遅延され、その遅延信号が信号Pとし
て、LOG演算器102の入力端子106に入力され
る。
【0083】LOG演算器102では、以下の数4の式
のLOG(常用対数)演算を行い、端子108より信号
Qとして出力する。
【0084】
【数4】Q=log(S/P)
【0085】ここで、入力端子100に入力するゲイン
係数は、上述したように0以上、1以下の任意の実数係
数とすれば、出力信号Qは現サンプル信号Sが、単位サ
ンプル過去の信号Pに対して、大きければ正値になり、
小さければ負値になり、同じであればゼロになる。即
ち、このLOG演算器102によって、入力するゲイン
係数の変化量が判断され、その判断結果が後段のパラメ
ータ生成手段103に入力される。
【0086】パラメータ生成手段103は、入力する信
号Qから、上述のパラメータのステップゲインμ制御信
号48及び忘却係数λ制御信号49を生成する機能ブロ
ックであり、Q信号と上述のパラメータ値との変換表
を、変換マップ104として持つことで、例えば、後述
する図12Aにおけるゲイン係数がアタック/リカバ
リ、又は、ゲインダウン/ゲインアップで過去から現在
に対して変化した場合には、その変化量に合わせてQ値
が増減し、更に、そのQ値に対応するパラメータ値を変
換マップ104から選択し、出力端子105よりパラメ
ータ出力が得られる。従って、図9の機能ブロック例に
よれば、ゲイン係数の変化により適応的にパラメータが
選択されるため、常に最適なパラメータ制御が可能にな
る。
【0087】尚、図9の例では、LOG演算器102を
別に用意したが、処理を簡易化するために、対数(LO
G)変換表を変換マップ104にもつことで、たとえば
Q=S/Pの演算を、LOG演算器102で行い、LO
G変換マップから選択して、パラメータを出力するよう
にしても良い。
【0088】次に、図10を参照して、図6の適応制御
ノイズキャンセラー装置において、マイク20、21よ
りの音声信号にメカノイズ信号が混入していた場合にお
けるレベル制御手段55のAGC動作が、メカノイズキ
ャンセル処理に与える影響を説明する。
【0089】図10Aは、入力音声信号がAGC動作レ
ベル以下の場合を示し、図10Bは、入力音声信号がA
GC動作レベルを越えたような大レベルの場合を示し、
(a)はマイク入力、(b)はレベル制御手段55のA
GC処理後、(c)はメカノイズキャンセル処理後の各
信号波形例を示している。
【0090】先ず、デジタル音声信号が時点Tで段階的
にレベル変化した場合に、メカノイズ信号の周波数は音
声信号のレベル変化周波数に比べて高いために、メカノ
イズ信号は音声信号に重畳されて、時点Tで変化する音
声信号によって振幅変調される。
【0091】図10Aの(a)の場合は、マイク入力が
破線にて示すAGC動作レベル以下であるために、AG
C処理のゲイン係数は一定値となり、(b)のAGC処
理後のメカノイズ信号の振幅は、音声信号レベルが変化
しても、変化しない。従って、(c)のメカノイズキャ
ンセル処理後は、メカノイズ信号レベルが一定であるた
めに、ノイズ信号を安定にキャンセルすることができ
る。
【0092】次に、図10Bの(a)は、マイク入力が
時点Tで破線にて示すAGC動作レベル以上に変化した
場合で、このときは(b)のAGC処理後で、時点T以
降はAGC動作によって、ゲイン係数が小さくなり、A
GC動作レベル以下まで音声レベルが抑えられるが、こ
のとき同時にメカノイズ信号の振幅も小さくなってしま
う。従って、(c)のメカノイズキャンセル処理後で
は、時点Tまでは一定振幅のメカノイズ信号が安定にキ
ャンセルされるが、時点T以降はメカノイズ信号の振幅
が小さくなり、メカノイズキャンセル処理が追従するま
での期間はキャンセル動作が過補償となり、メカノイズ
信号がキャンセルされずに、これに追従するまでは残留
してしまう(徐々に引き込む)不具合が生じる。
【0093】又、音声信号に対するAGC動作で、いわ
ゆるアタック時は音声信号の急激なレベル増加に対し
て、後段でのダイナミックレンジが破綻しないように、
図10で説明したように比較的速く、一例では数m秒程
度でレベル変化に応答してゲイン係数を下げるが、その
後のリカバリー(リリースとも呼ばれる)時は、後段で
のダイナミックレンジの破綻等の心配がないため、通常
は数秒かけて徐々にゲイン係数を回復させる。従って、
メカノイズキャンセルの追従で問題となるのは、殆どの
場合は、図10に示したようなアタック動作時である。
【0094】次に、図11を参照して、図6の適応制御
ノイズキャンセラー装置において、マイク20、21よ
りの音声信号にメカノイズ信号が混入していた場合にお
けるレベル制御手段55のMGC動作が、メカノイズキ
ャンセル処理に与える影響を説明する。
【0095】図11Aは、入力音声信号をレベルアップ
した場合を示し、図11Bは、入力音声信号をレベルダ
ウンした場合を示し、(a)はマイク入力、(b)はレ
ベル制御手段55のMGC処理後、(c)はメカノイズ
キャンセル処理後の各信号波形例を示している。
【0096】図11Aの(a)のように音声信号のレベ
ルが小さいために、図6における操作スイッチ(SW)
52をユーザが操作して、レベル制御手段55のMGC
手段63、65により時点Tでゲイン係数を大きくし、
音声信号のレベルを上げると、(b)のMGC処理後の
ように音声信号と共に、混入しているメカノイズ信号の
振幅も増加してしまう。更に、(c)のメカノイズキャ
ンセル処理後では、時点T以前では安定にメカノイズが
キャンセルされていたが、時点T以降はキャンセル動作
が不足し、メカノイズがキャンセルされずに、これに追
従するまでは残留してしまう。
【0097】図11Bは、(a)のようにマイク入力の
音声レベルが大きいために、図6における操作スイッチ
(SW)52をユーザが操作して、レベル制御手段55
のMGC手段63、65により時点Tでゲイン係数を小
さくし、音声レベルを下げると、(b)のMGC処理後
のように音声信号とともに混入しているメカノイズ信号
の振幅も減少して非常に微少レベルになったとすれば、
(c)のメカノイズキャンセル処理後では、時点T以前
では安定にメカノイズがキャンセルされていたとして、
時点T以降はキャンセル動作が過補償になり、メカノイ
ズがキャンセルされずに、これに追従するまでは残留し
てしまう不具合が発生する。そこで、本発明では上述し
たようなAGC/MGC動作におけるメカノイズキャン
セルの問題点を解決するものである。
【0098】次に、図12を参照して、本発明のAGC
/MGC動作におけるパラメータ制御例を説明する。先
ず、図12Aは図6におけるAGC/MGC動作のゲイ
ン係数と、そのときの発生ノイズ量の時間変化を示して
いる。ゲイン係数は、図8におけるスイッチ(SW)8
6から出力され、乗算器82で入力音声信号に乗算され
る係数である。又、発生ノイズ量は、メカノイズキャン
セルを行わない場合のノイズ量のことである。先ず、時
点T0 からAGC動作を開始し、図7のスイッチ(S
W)66、67では、AGC手段62、64側が選択さ
れ、所定のゲイン係数で動作しているものとする。
【0099】次に、時点T1 で、AGC動作レベル以上
の比較的大レベルの音声(図示せず)がマイクに入力し
たとすると、AGC動作によりAGC動作レベル付近ま
で音声レベルを減少させるためにアタック動作でゲイン
係数を下げる。従って、発生ノイズ量も同様に減少し、
その後、時点T2 で、その音声がなくなると、リカバリ
動作により徐々にゲイン係数が回復し、それとともにノ
イズ量も増加する。
【0100】次に、リカバリ終了後、図7のスイッチ
(SW)66、67はMGC手段63、65側が選択さ
れる。その後、時点T3 で、ゲインダウンのために所定
量のゲイン係数を下げると、同時にノイズ量も減少す
る。その後、時点T4で再びゲインダウンし、その後、
時点T5 でゲイン係数をゼロに操作した場合には、ゲイ
ン係数に応じてノイズ量も減少し、ゲイン係数がゼロに
なるとノイズ量もゼロになる。
【0101】次に、時点T6 でゲインアップのために所
定量ゲイン係数を上げると、同時にノイズ量も増加し、
その後、時点T7 で再びゲインアップし、その後、時点
8でゲイン係数を更に上げる。初期値に戻す操作をし
た場合には、ゲイン係数に応じてノイズ量も増加するこ
とを示している。このように発生ノイズ量はゲイン係数
の変化に応じて変動する。
【0102】次に、図12B〜Dは、これらのノイズ変
動に対して、メカノイズキャンセル処理を施した例を示
している。図12Bは、上述の数3の式においてステッ
プゲインμと忘却係数λのパラメータを所定の値に固定
した場合であり、このときのメカノイズキャンセル後の
ノイズ量は、先ず、時点T0 から時点T1 までは安定し
てノイズキャンセルされているものとすれば、時点T1
のAGCアタック動作で発生ノイズ量が減少すると、こ
のアタック時定数にメカノイズキャンセル動作は追従で
きずに、キャンセル動作が過補償になりノイズ量が増加
し、所定のステップゲインμで決定される追従速度で徐
々に収束して、ノイズ量が減少していくが、AGCリカ
バリ動作で、発生ノイズ量が徐々に増加すると、これに
対応しながらノイズ量も減少する。
【0103】次に、MGC動作の時点T3 で発生ノイズ
量が減少すると、やはりメカノイズキャンセル動作は追
従できずに、キャンセル動作が過補償になりノイズ量が
増加し、その後所定のステップゲインμで決定される追
従速度で徐々に収束して、ノイズ量が減少していくが、
再び時点T4 で同様にノイズ量が増加し、時点T5 でも
ノイズ量が増加する。
【0104】更に、時点T6 で発生ノイズ量が増加する
と、やはりメカノイズキャンセル動作は追従できずに、
その分ノイズ量が増加し、その後所定のステップゲイン
μで決定される追従速度で徐々に収束して、ノイズ量が
減少していくが、再び時点T 7 で同様にノイズ量が増加
し、時点T9 でもノイズ量が増加する。
【0105】次に、図12Cは、ステップゲインμを破
線に示すように、ゲイン係数変化時付近で大きくして引
き込みを改善した場合であり、このとき忘却係数λは所
定の値に固定している。ここでは発生ノイズ量が変化し
た後の、追従速度が上がるために、図12Bと比較して
全体的にノイズ量が抑えられる。
【0106】次に、図12Dは、ステップゲインμの制
御と共に、忘却係数λも実線に示すように、ゲイン係数
変化時付近で制御した場合であり、AGC動作で先ず、
時点T1 で発生ノイズ量が減少したときは、ステップゲ
インμを大きくすると共に、忘却係数λを所定量よりも
小さくすると、適応フィルタ係数で過去の係数の重みを
小さくして、現在の係数に重みを大きく出来るため、適
応フィルタにおける係数更新がより促進され、ステップ
ゲインμと忘却係数λのパラメータ制御を最適化するこ
とにより、殆どノイズ量の増加を抑えることができる。
【0107】又、MGC動作で、時点T3 〜時点T8
で同様にノイズ量が増加する場合にもステップゲインμ
を大きくすると共に、忘却係数λを所定量よりも小さく
すると、適応フィルタ係数で過去の係数の重みを小さく
して、現在の係数の重みを大きく出来るため、適応フィ
ルタにおける係数更新がより促進され、パラメータ制御
を最適化することにより、ノイズ量の増加を殆ど全て抑
えることができる。
【0108】このように本発明においては、定常状態で
は最適なパラメータにしておき、発生ノイズ量が変化す
るときのみパラメータを制御することで、定常状態での
安定性を悪化させることがなく、メカノイズ信号レベル
が変動した場合でも、メカノイズキャンセルの追従性を
改善し、安定にメカノイズキャンセルすることができ
る。
【0109】次に、図13を参照して、VTRモード遷
移とパラメータ制御の一例を説明する。図13は図4と
同様のVTRモード遷移時における制御例を示してい
る。本発明では忘却係数λを新たに導入することで、過
去の適応フィルタ係数の重みを小さくし、現在の適応フ
ィルタ係数の重みを大きくすることができるため、ノイ
ズが変化した場合の追従性が改善される。従って、図1
3Aのモード遷移と発生ノイズ量(図4Aと同じ)に対
して、図13Bでは係数1よりもわずかに小さい値の、
所定の忘却係数λを適応フィルタ係数に乗ずることによ
り、図4Bと比較してモード遷移時のノイズ量が減少す
る。
【0110】次に図13Cはステップゲインμ値と忘却
係数λ値を、モード遷移時に制御した場合を示してお
り、ステップゲインμはモード遷移時に大きくして追従
性を上げ、逆に忘却係数λは小さくすることで、過去の
係数の忘却を加速して現在の係数に追従し易くしてい
る。これによりノイズ量はモード遷移時においても、殆
ど悪化せず、ノイズの変化に追従することができる。更
に、図13Dは、図4Dのように記録モード時の適応フ
ィルタ係数を常時ホールドして使用する場合のパラメー
タ制御方法であり、この場合には記録モード以外の時
は、ステップゲインμをゼロにして適応フィルタ係数の
更新を停止し、忘却係数λを1にして記録モード時の適
応フィルタ係数をホールドするようにしている。
【0111】次に、図14を参照して、VTRモード遷
移とパラメータ制御の他の例を説明する。図14は図4
と同様のVTRモード遷移時における制御例を示してい
る。先ず、図14Aに示したVTRモード遷移と発生ノ
イズ量(図4Aと同じ)に対して、図14BはVTRモ
ードが記録→記録待機(停止)に遷移した場合には、ス
テップゲインμをゼロにして適応フィルタ係数の更新を
停止し、忘却係数λを小さくして係数の忘却を加速する
ことで、それまでキャンセルしていたドラム回転音並び
に磁気テープ43及び回転磁気ヘッド44間の叩き音が
急激になくなることによるノイズ変化に追従させ、次に
記録待機→記録と遷移した場合には、ステップゲインμ
を所定の値よりも大きくして、適応フィルタ係数の追従
性を上げ、忘却係数λを1にして係数の忘却を停止する
ことで、モード遷移中にノイズゼロ状態から急激にドラ
ム回転音並びに磁気テープ43及び回転磁気ヘッド44
間の叩き音が発生し、ノイズ量が増加する場合でも追従
性が改善されて、図4Bの従来例と比較してノイズ量が
減少する。
【0112】次に図14Cは、記録待機モードではノイ
ズ発生が無くなるのに合わせて、キャンセルをオフに制
御した場合を示しており、先ず、VTRモードが記録→
記録待機(停止)に遷移した場合には、ステップゲイン
μと忘却係数λの両者をゼロにして適応動作を停止する
ことで、図6の適応信号処理回路29、30の適応出力
はゼロとなるためキャンセルオフが実現され、それまで
キャンセルしていたドラム回転音並びに磁気テープ43
及び回転磁気ヘッド44間の叩き音が急激になくなるこ
とによるノイズ変化に追従できる。次に記録待機→記録
と遷移した場合には、ステップゲインμを所定の値より
も大きくして適応フィルタ係数の追従性を上げ、忘却係
数λを1にして係数の忘却を停止することで、モード遷
移中にノイズゼロ状態から急激にドラム回転音とヘッド
叩き音が発生して、ノイズ量が増加する場合でも追従す
ることができ、これによりノイズ量はモード遷移時にお
いてもほとんど悪化せず、ノイズの変化に追従し、記録
待機モードではノイズ量もゼロにすることができ、更
に、従来例のキャンセルオンオフ制御にあったフィード
バックループが切れることによる不具合もない。
【0113】次に、図14Dは、従来例のような記録モ
ード時のノイズをホールドする場合の制御方法であり、
先ず、VTRモードが記録→記録待機(停止)に遷移し
た場合にはモード遷移開始時に記録モードのノイズをホ
ールドするためステップゲインμをゼロにし、同時に忘
却係数λを1にすることで記録モード時の適応フィルタ
係数がホールドされ、この状態から更に、記録待機→記
録とモード遷移した場合には、記録開始時にステップゲ
インμと忘却係数λを所定の記録時の値に解除すること
で、それまでホールドされていた適応フィルタ係数によ
る適応出力が出力され、記録モードでは常時一定のノイ
ズキャンセルが成される。
【0114】このように本発明においては従来のステッ
プゲインμの制御に加えて、忘却係数λを制御すること
で、フィードバックループを切らずにキャンセルオンオ
フが可能であり、これにより従来例以上に適応処理の追
従性を改善することが可能になる。
【0115】又、図12で説明したAGC/MGC動作
においても、本発明のメカノイズキャンセルオンオフ動
作を適用することも可能である。例えば、AGC動作に
おいて非常に大きなレベルの音声信号が入力した場合に
は、この音声信号にレベルを最適化するためにアタック
動作が発生し、メカノイズは聴感上でほとんど聞き取れ
ないレベルまで減少する場合には、むしろ前述のように
ステップゲインμと忘却係数λをゼロにしてキャンセル
オフにした方が良い。又、MGC動作においてもゲイン
係数がゼロ(図12Aの時点T5 及び時点T6 間)やゼ
ロ付近になった場合には、メカノイズは聴感上でほとん
ど聞き取れないレベルまで減少しており、この場合に
も、上述のようにステップゲインμと忘却係数λをゼロ
にしてキャンセルオフにした方が良い。
【0116】 近年のカメラ一体型VTR等のよう
に、マイクと記録再生装置が比較的近接配置される場合
であっても、上述のノイズキャンセラー装置及びノイズ
キャンセル方法によれば、記録再生装置から発生するメ
カノイズがマイクに混入する場合において、AGC動作
やMGC動作において音声信号と共に、メカノイズレベ
ルが変動しても、そのメカノイズだけを効率良くノイズ
キャンセルすることが可能である。
【0117】 上述のノイズキャンセラー装置及びノ
イズキャンセル方法によれば、AGC動作やMGC動作
におけるゲイン係数の変化量(変化の傾き)をLOG演
算により抽出し、更に、その抽出量からパラメータ生成
手段によって、ステップゲインμと忘却係数λの制御パ
ラメータを生成することによって、ゲイン係数の変化に
合わせたパラメータ制御が可能になり、更に、最適なノ
イズキャンセルが可能である。
【0118】 上述のノイズキャンセラー装置及びノ
イズキャンセル方法によれば、特開平11−23280
2号公報や特開平11−232803号公報における適
応処理のパラメータであるステップゲイン及びキャンセ
ルオンオフの制御例に対して、新たに忘却係数λを導入
することで、過去に対して現在の適応フィルタ係数に重
みをおくことができ、ノイズ変化に対しての追従性が改
善される。更に、制御するパラメータ数も変わらないた
め、マイコン処理も複雑にならない。
【0119】 従来例におけるキャンセルオンオフ制
御は、適応処理におけるフィードバックループを切って
オフモードにするため、オフの間に適応フィルタの係数
があらぬ値に飛びやすく、再び適応処理を開始したと
き、安定するまでに時間がかかっていたが、上述のノイ
ズキャンセラー装置及びノイズキャンセル方法によれ
ば、忘却係数を制御することでフィードバックループを
切らずに適応処理をオフにすることができ、適応処理の
追従性が改善される。
【0120】 上述のノイズキャンセラー装置及びノ
イズキャンセル方法によれば、全て、デジタル処理でき
るため、DSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)や
LSIによるハードウェアーやマイコン等によるソフト
ウェアでも実現が容易であり、今後の半導体微細化、高
密度化、メモリー高容量化により、回路規模の増加は、
殆ど問題とならずに実現が可能になる。
【0121】上述の例では、ビデオカメラにおける内蔵
マイクのノイズキャンセル処理に、本発明を適用した場
合について述べたが、一般的に適応フィルタを採用した
適応信号処理にも応用が可能であり、更に、LMSアル
ゴリズム以外のRLS(Recursive Least Square)アル
ゴリズム等においても使用可能である。
【0122】本発明は、ビデオカメラ等のVTR一体型
カメラ以外にも、ハードディスク記録再生装置や光ディ
スク記録再生装置等のディスク記録再生装置を持つ機器
にも応用が可能である。
【0123】
【発明の効果】第1の発明によれば、駆動信号源よりの
駆動信号により駆動される、エネルギー波を発生するエ
ネルギー波発生手段よりのそのエネルギー波に基づい
て、情報信号に混入するノイズ成分をキャンセルするよ
うにしたノイズキャンセラー装置において、情報信号の
レベルを制御するレベル制御手段と、エネルギー波発生
手段よりのエネルギー波に基づいて、情報信号に混入す
るノイズ成分と相関のある疑似ノイズ信号を生成する適
応フィルタと、レベル制御手段より出力された情報信号
から疑似ノイズ信号を減算して、ノイズ成分が相殺され
た情報信号を得る減算手段と、ノイズ成分が相殺された
情報信号を所定のスレッシュホールドレベル以下に抑え
た後、適応フィルタに供給するリミッタ手段と、駆動信
号源を制御する制御手段により制御される、ノイズキャ
ンセル装置におけるステップゲイン及び忘却係数を可変
する可変ゲイン手段とを有するので、過去のデータに対
する重みを決定する忘却係数を導入し、これを適応制御
することにより、フィードバックループを切らずに適応
処理をオフにすることができ、適応処理の追従性が改善
されて、ノイズ変換に対する追従性を高めることができ
ると共に、ステップゲイン及び忘却係数を制御すること
で、ノイズキャンセルオフモードを実現することによっ
て、適応フィルタ係数の乱れが発生せず、この点からも
ノイズ変化に対する追従性を高めることのでき、且つ、
情報信号のレベル制御によるノイズ成分のレベルの変動
にも拘らず、ノイズ成分を効率良くキャンセルすること
のできるノイズキャンセラー装置を得ることができる。
【0124】第2の発明によれば、第1の発明のノイズ
キャンセラー装置において、レベル制御手段は、ノイズ
成分が混入した情報信号に所定のゲイン係数を乗ずる乗
算器と、情報信号を検波する検波手段と、その検波手段
よりの検波出力に基づいてゲイン係数を生成するゲイン
生成手段と、そのゲイン生成手段よりのゲイン係数に時
定数を付加し、その時定数の付加されたゲイン係数を制
御手段に供給する時定数付加手段と、その時定数付加手
段よりの時定数の付加されたゲイン係数及び制御手段よ
りの手動ゲイン係数を、制御手段よりの切換え制御信号
によって切り換えて、乗算器に供給する切換え手段とを
備えてなると共に、可変ゲイン手段は、制御手段によっ
て、時定数の付加されたゲイン係数(又は手動ゲイン係
数)と、時定数の付加されたゲイン係数の所定時間遅延
されたもの(又は手動ゲイン係数のその所定時間遅延さ
れたもの)との比に対数演算を施して得た値に対して、
所定の変換マップから求めたパラメータ制御値によって
ゲイン可変するようにしたので、第1の発明の効果に加
えて、情報信号のレベルを自動及び手動でレベル制御す
ることによるノイズ成分のレベル変化量に応じて、ステ
ップゲイン及び忘却係数を可変する可変ゲイン手段のゲ
インを可変するので、ノイズキャンセルの追従性を一層
向上させることのできるノイズキャンセラー装置を得る
ことができる。
【0125】第3の発明によれば、第2の発明のノイズ
キャンセラー装置において、ゲイン係数が変化する場合
には、その変化期間付近の可変ゲイン手段におけるステ
ップゲインを、それ以外の場合の、所定のステップゲイ
ンとは異ならしめて、ノイズキャンセルの引き込み速度
を大きくするようにしたので、第2の発明の効果に加え
て、ゲイン係数が変化する場合におけるノイズ変化に対
する追従性を向上させることのできるノイズキャンセラ
ー装置を得ることができる。
【0126】第4の発明によれば、第2の発明のノイズ
キャンセラー装置において、ゲイン係数が変化する場合
には、その変化期間付近の可変ゲイン手段におけるステ
ップゲイン及び忘却係数を、それ以外の場合の、それぞ
れ所定のステップゲイン及び所定の忘却係数とは異なら
しめて、ノイズキャンセルの引き込み速度を大きくする
ようにしたので、第2の発明の効果に加えて、忘却係数
を制御することで、ノイズ変化以前の適応状態から、新
たなノイズの適応状態への引き込み速度を大きくでき、
ノイズ変化に対する追従性を向上させるこのできるノイ
ズキャンセラー装置を得ることができる。
【0127】第5の発明によれば、第2の発明のノイズ
キャンセラー装置において、前記ゲイン係数がゼロ付近
の場合には、その期間付近の可変ゲイン手段におけるス
テップゲイン及び忘却係数を、それ以外の場合の、それ
ぞれ所定のステップゲイン及び所定の忘却係数とは異な
らしめて、可変ゲイン手段がノイズキャンセルを行わな
いようにしたので、第2の発明の効果に加えて、ノイズ
成分のレベルがゼロに近いときにも、適応ループを切断
しないようにしたことにより、適応制御を再開したとき
に、安定したノイズキャセル動作を行うことのできるノ
イズキャンセラー装置を得ることができる。
【0128】第6の発明によれば、駆動信号源よりの駆
動信号により駆動される、エネルギー波を発生するエネ
ルギー波発生手段よりのそのエネルギー波に基づいて、
情報信号に混入するノイズ成分をキャンセルするように
したノイズキャンセル方法において、情報信号のレベル
を制御し、エネルギー波発生手段よりのエネルギー波に
基づいて、情報信号に混入するノイズ成分と相関のある
疑似ノイズ信号を適応フィルタを用いて生成し、 レベ
ル制御手段より出力された情報信号から疑似ノイズ信号
を減算して、ノイズ成分が相殺された情報信号を得、ノ
イズ成分が相殺された情報信号を所定のスレッシュホー
ルドレベル以下に抑えた後、適応フィルタに供給し、駆
動信号源を制御する制御手段の制御により、ノイズキャ
ンセル方法におけるステップゲイン及び忘却係数を可変
するようにしたので、過去のデータに対する重みを決定
する忘却係数を導入し、これを適応制御することによ
り、フィードバックループを切らずに適応処理をオフに
することができ、適応処理の追従性が改善されて、ノイ
ズ変換に対する追従性を高めることができると共に、ス
テップゲイン及び忘却係数を制御することで、ノイズキ
ャンセルオフモードを実現することによって、適応フィ
ルタ係数の乱れが発生せず、この点からもノイズ変化に
対する追従性を高めることのでき、且つ、情報信号のレ
ベル制御によるノイズ成分のレベルの変動にも拘らず、
ノイズ成分を効率良くキャンセルすることのできるるノ
イズキャンセル方法を得ることができる。
【0129】第7の発明によれば、第6の発明のノイズ
キャンセル方法において、情報信号のレベルは、ノイズ
成分が混入した情報信号に所定のゲイン係数を乗じ、情
報信号を検波し、その情報信号の検波出力に基づいてゲ
イン係数を生成し、その生成されたゲイン係数に時定数
を付加し、その時定数の付加されたゲイン係数を制御手
段に供給し、時定数の付加されたゲイン係数及び制御手
段よりの手動ゲイン係数を、制御手段よりの切換え制御
信号によって切り換えて、乗算器に供給し、ステップゲ
イン及び忘却係数の可変は、制御手段によって、時定数
の付加されたゲイン係数(又は手動ゲイン係数)と、時
定数の付加されたゲイン係数の所定時間遅延されたもの
(又は手動ゲイン係数のその所定時間遅延されたもの)
との比に対数演算を施して得た値に対して、所定の変換
マップから求めたパラメータ制御値にてゲイン可変する
ようにしたので、第6の発明の効果に加えて、情報信号
のレベルを自動及び手動でレベル制御することによるノ
イズ成分のレベル変化量に応じて、ステップゲイン及び
忘却係数を可変する可変ゲイン手段のゲインを可変する
ので、ノイズキャンセルの追従性を一層向上させること
のできるノイズキャンセル方法を得ることができる。
【0130】第8の発明によれば、第7の発明のノイズ
キャンセル方法において、ゲイン係数が変化する場合に
は、その変化期間付近のステップゲインを、それ以外の
場合の、所定のステップゲインとは異ならしめて、ノイ
ズキャンセルの引き込み速度を大きくするようにしたの
で、第7の発明の効果に加えて、ゲイン係数が変化する
場合におけるノイズ変化に対する追従性を向上させるこ
とのできるノイズキャンセル方法を得ることができる。
【0131】第9の発明によれば、第7の発明のノイズ
キャンセル方法において、ゲイン係数が変化する場合に
は、その変化期間付近のステップゲイン及び忘却係数
を、それ以外の場合の、それぞれ所定のステップゲイン
及び所定の忘却係数とは異ならしめて、ノイズキャンセ
ルの引き込み速度を大きくするようにしたので、第7の
発明の効果に加えて、忘却係数を制御することで、ノイ
ズ変化以前の適応状態から新たなノイズの適応状態への
引き込み速度を大きくすることができ、ノイズ変化に対
する追従性を向上させるこのできるノイズキャンセル方
法を得ることができる。
【0132】第10の発明によれば、第7の発明のノイ
ズキャンセル方法において、ゲイン係数がゼロ付近の場
合には、その期間付近のステップゲイン及び忘却係数
を、それ以外の場合の、それぞれ所定のステップゲイン
及び所定の忘却係数とは異ならしめて、可変ゲインによ
るノイズキャンセルを行わないようにしたので、第7の
発明の効果に加えて、ノイズ成分のレベルがゼロに近い
ときにも、適応ループを切断しないようにしたことによ
り、適応制御を再開したときに、安定したノイズキャセ
ル動作を行うことのできるノイズキャンセル方法を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のアクティブノイズキャンセラーを示すブ
ロック線図である。
【図2】図1のアクティブノイズキャンセラーにおける
適応信号処理回路を示すブロック線図である。
【図3】従来の適応制御ノイズキャンセラーを示すブロ
ック線図である。
【図4】VTRモード遷移と従来のパラメータ制御を示
すタイミングチャートである。
【図5】VTRモード遷移と従来のキャンセルオフ制御
を示すタイミングチャートである。
【図6】本発明の実施の形態の適応制御ノイズキャンセ
ラー装置の例を示すブロック線図である。
【図7】図6のノイズキャンセラー装置におけるレベル
制御手段の具体構成例を示すブロック線図である。
【図8】図7のレベル制御手段のAGC手段及びMG手
段の構成例(片チャンネル分)を示すブロック線図であ
る。
【図9】図6のマイコン内のゲイン係数からパラメータ
を生成する手段の機能ブロックを示すブロック線図であ
る。
【図10】AGC動作がメカノイズに与える影響を説明
するためのタイミングチャートである。
【図11】MGC動作がメカノイズに与える影響を説明
するためのタイミングチャートである。
【図12】図8のAGC/MGC手段によるAGC/M
GCにおけるパラメータ制御例を示すタイミングチャー
トである。
【図13】本発明の実施の形態の適応制御ノイズキャン
セラーにおけるVTRモード遷移とパラメータ制御の一
例を示すタイミングチャートである。
【図14】本発明の実施の形態の適応制御ノイズキャン
セラーにおけるVTRモード遷移とパラメータ制御の他
の例を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
20、21 マイク、22、23 増幅器、24、25
A/D変換器、26、27 加算器、28、29 適
応信号処理回路、32、33 ステップゲイン制御回
路、34、35 リミッタ、41 回転ドラム、42
ドラムモータ、43 磁気テープ、44 回転磁気ヘッ
ド、46 マイコン(マイクロコンピュータ)、52
操作スイッチ、55 レベル制御手段。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // G10K 11/178 G10K 11/16 H

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動信号源よりの駆動信号により駆動さ
    れる、エネルギー波を発生するエネルギー波発生手段よ
    りのそのエネルギー波に基づいて、情報信号に混入する
    ノイズ成分をキャンセルするようにしたノイズキャンセ
    ラー装置において、 上記情報信号のレベルを制御するレベル制御手段と、 上記エネルギー波発生手段よりのエネルギー波に基づい
    て、上記情報信号に混入するノイズ成分と相関のある疑
    似ノイズ信号を生成する適応フィルタと、 上記レベル制御手段より出力された上記情報信号から上
    記疑似ノイズ信号を減算して、ノイズ成分が相殺された
    情報信号を得る減算手段と、 上記ノイズ成分が相殺された情報信号を所定のスレッシ
    ュホールドレベル以下に抑えた後、上記適応フィルタに
    供給するリミッタ手段と、 上記駆動信号源を制御する制御手段により制御される、
    上記ノイズキャンセル装置におけるステップゲイン及び
    忘却係数を可変する可変ゲイン手段とを有することを特
    徴とするノイズキャンセラー装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のノイズキャンセラー装
    置において、 上記レベル制御手段は、 上記ノイズ成分が混入した情報信号に所定のゲイン係数
    を乗ずる乗算器と、 上記情報信号を検波する検波手段と、 該検波手段よりの検波出力に基づいてゲイン係数を生成
    するゲイン生成手段と、 該ゲイン生成手段よりのゲイン係数に時定数を付加し、
    該時定数の付加されたゲイン係数を上記制御手段に供給
    する時定数付加手段と、 該時定数付加手段よりの時定数の付加されたゲイン係数
    及び上記制御手段よりの手動ゲイン係数を、上記制御手
    段よりの切換え制御信号によって切り換えて、上記乗算
    器に供給する切換え手段とを備えてなると共に、 上記可変ゲイン手段は、 上記制御手段によって、上記時定数の付加されたゲイン
    係数(又は上記手動ゲイン係数)と、上記時定数の付加
    されたゲイン係数の所定時間遅延されたもの(又は上記
    手動ゲイン係数の該所定時間遅延されたもの)との比に
    対数演算を施して得た値に対して、所定の変換マップか
    ら求めたパラメータ制御値によってゲイン可変すること
    を特徴とするノイズキャンセラー装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のノイズキャンセラー装
    置において、 上記ゲイン係数が変化する場合には、その変化期間付近
    の上記可変ゲイン手段におけるステップゲインを、それ
    以外の場合の、上記所定のステップゲインとは異ならし
    めて、ノイズキャンセルの引き込み速度を大きくするよ
    うにしたことを特徴とするノイズキャンセラー装置。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載のノイズキャンセラー装
    置において、 上記ゲイン係数が変化する場合には、その変化期間付近
    の上記可変ゲイン手段における上記ステップゲイン及び
    上記忘却係数を、それ以外の場合の、それぞれ所定のス
    テップゲイン及び所定の忘却係数とは異ならしめて、ノ
    イズキャンセルの引き込み速度を大きくするようにした
    ことを特徴とするノイズキャンセラー装置。
  5. 【請求項5】 請求項2に記載のノイズキャンセラー装
    置において、 上記ゲイン係数がゼロ付近の場合には、その期間付近の
    上記可変ゲイン手段における上記ステップゲイン及び上
    記忘却係数を、それ以外の場合の、それぞれ所定のステ
    ップゲイン及び所定の忘却係数とは異ならしめて、上記
    可変ゲイン手段がノイズキャンセルを行わないようにし
    たことを特徴とするノイズキャンセラー装置。
  6. 【請求項6】 駆動信号源よりの駆動信号により駆動さ
    れる、エネルギー波を発生するエネルギー波発生手段よ
    りのそのエネルギー波に基づいて、情報信号に混入する
    ノイズ成分をキャンセルするようにしたノイズキャンセ
    ル方法において、 上記情報信号のレベルを制御し、 上記エネルギー波発生手段よりのエネルギー波に基づい
    て、上記情報信号に混入するノイズ成分と相関のある疑
    似ノイズ信号を適応フィルタを用いて生成し、 上記レベル制御手段より出力された上記情報信号から上
    記疑似ノイズ信号を減算して、ノイズ成分が相殺された
    情報信号を得、 上記ノイズ成分が相殺された情報信号を所定のスレッシ
    ュホールドレベル以下に抑えた後、上記適応フィルタに
    供給し、 上記駆動信号源を制御する制御手段の制御により、上記
    ノイズキャンセル方法におけるステップゲイン及び忘却
    係数を可変することを特徴とするノイズキャンセル方
    法。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載のノイズキャンセル方法
    において、 上記情報信号のレベルは、 上記ノイズ成分が混入した情報信号に所定のゲイン係数
    を乗じ、 上記情報信号を検波し、 該情報信号の検波出力に基づいてゲイン係数を生成し、 該生成されたゲイン係数に時定数を付加し、該時定数の
    付加されたゲイン係数を上記制御手段に供給し、 上記時定数の付加されたゲイン係数及び上記制御手段よ
    りの手動ゲイン係数を、上記制御手段よりの切換え制御
    信号によって切り換えて、上記乗算器に供給し、 上記ステップゲイン及び忘却係数の可変は、 上記制御手段によって、上記時定数の付加されたゲイン
    係数(又は上記手動ゲイン係数)と、上記時定数の付加
    されたゲイン係数の所定時間遅延されたもの(又は上記
    手動ゲイン係数の該所定時間遅延されたもの)との比に
    対数演算を施して得た値に対して、所定の変換マップか
    ら求めたパラメータ制御値にてゲイン可変することを特
    徴とするノイズキャンセル方法。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載のノイズキャンセル方法
    において、 上記ゲイン係数が変化する場合には、その変化期間付近
    のステップゲインを、それ以外の場合の、上記所定のス
    テップゲインとは異ならしめて、ノイズキャンセルの引
    き込み速度を大きくするようにしたことを特徴とするノ
    イズキャンセル方法。
  9. 【請求項9】 請求項7に記載のノイズキャンセル方法
    において、 上記ゲイン係数が変化する場合には、その変化期間付近
    の上記ステップゲイン及び上記忘却係数を、それ以外の
    場合の、それぞれ所定のステップゲイン及び所定の忘却
    係数とは異ならしめて、ノイズキャンセルの引き込み速
    度を大きくするようにしたことを特徴とするノイズキャ
    ンセル方法。
  10. 【請求項10】 請求項7に記載のノイズキャンセル方
    法において、 上記ゲイン係数がゼロ付近の場合には、その期間付近の
    上記ステップゲイン及び上記忘却係数を、それ以外の場
    合の、それぞれ所定のステップゲイン及び所定の忘却係
    数とは異ならしめて、上記可変ゲインによるノイズキャ
    ンセルを行わないようにしたことを特徴とするノイズキ
    ャンセル方法。
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