JP2002361510A - 微細凹面のミーリング加工法とその装置 - Google Patents

微細凹面のミーリング加工法とその装置

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JP2002361510A
JP2002361510A JP2001171868A JP2001171868A JP2002361510A JP 2002361510 A JP2002361510 A JP 2002361510A JP 2001171868 A JP2001171868 A JP 2001171868A JP 2001171868 A JP2001171868 A JP 2001171868A JP 2002361510 A JP2002361510 A JP 2002361510A
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end mill
axis
cutting
dimple
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Masami Masuda
正美 桝田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 凹球面状のディンプルを分布させたディンプ
ル面をもつ成形用母型を加工するに際し,ディンプルの
中心付近においては,用いるボールエンドミルの切れ刃
尖端の切削速度が,必然的に限りなく零に近づくため,
ディンプルの形状精度や表面粗さの劣化を来している. 【解決手段】 ボールエンドミルをチャッキングし,こ
れを回転させる高速主軸を,主軸の軸心に対しある傾き
角をもって傾斜させ,ボールエンドミルが自転と公転を
同時にできるようにしている.あわせて,高速主軸の軸
心方向の粗調整,およびこれに直角な断面での微調整可
能な構造とし,高速主軸の自転軸心と主軸の公転軸心と
の交点に,ボールエンドミルのボール半径の中心を高精
度に位置合わせできるようにした.これにより,切れ刃
尖端が円軌跡を描き,被加工物と切れ刃尖端との間に相
対速度を与えている.

Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は,凹球面,回転楕円
面,回転放物面,ないしはこれらの近似形状をもった微
細な回転対称の微細凹面形状,ないしはこれらの転写形
状を表面に形成することを目的とした,成形用母型や成
形品の製作技術に関する.
【0001】
【従来の技術】ここで加工対象としている被加工形状
は,半径が数mm以下の微細な回転対称の凹面で,これ
をここではディンプル,また該ディンプルを分布させた
表面をディンプル面と呼び,各種部品の機能を高めるた
めに,成形用母型表面に該ディンプル面を形成すること
を,本発明の目的としている.これまで,このようなデ
ィンプル面を母型素材表面に形成するには,高精度マシ
ニングセンターの主軸の一端に固定されたチャックに,
ボールエンドミルをチャッキングし,このボールエンド
ミルを回転させてミーリング加工する方法が採られてい
た.しかし,この加工法では,該ボールエンドミルの軸
心付近の切れ刃稜が不完全な形状をしているため,この
ボールエンドミルを用いて加工されるディンプルの中央
付近では,表面粗さや形状精度の低下を来していた.こ
のため,従来技術により形成されたディンプル面をもっ
た成形用母型を用いて成形された成形品では,所望の表
面機能を満足できなかった.
【0002】
【発明が解決しようとする課題】上記したように,従来
のディンプルを切削加工する方法では,ディンプルの形
状精度や表面粗さが劣化するという課題がある.本発明
の目的は,これら精度劣化の著しいディンプルの中央付
近においても,良好な形状精度や表面粗さを得ることの
できる,ボールエンドミルを用いたディンプルないしデ
ィンプル面のミーリング加工法と,これに用いられる加
工装置を提供することにある.
【0003】
【課題を解決するための手段】ディンプルの中央付近に
おいて,形状精度や表面粗さが劣化する原因は, 上述したように,ボールエンドミルの軸心付近の切れ
刃稜が不完全な形状をしている, ボールエンドミルの切れ刃稜の回転中心付近におい
て,必然的に切削速度が極小となる, ことにあり,ディンプル中央付近では切り屑の生成が極
めて困難になる.これに対して本発明では,自転するボ
ールエンドミルがもう一つの回転軸の周りを公転できる
ようにしており,この切れ刃稜の回転中心(以下では切
れ刃尖端とよぶ)が,円運動軌跡(以下では切れ刃尖端軌
跡とよぶ)を描き,被加工物に対して相対速度をもつミ
ーリング加工法を採っている.
【0004】
【発明の実施の形態】最初に図1により,ボールエンド
ミルを用いた従来のディンプルのミーリング加工法の課
題を説明する.従来は,ボール半径Rの円弧形状の切れ
刃稜をもつボールエンドミルが,自転軸心1のまわりに
回転することにより,被加工物2との間に相対速度を得
て,被加工物を切削しディンプル3を得ている.このと
き,
【0005】1) 複数の切れ刃稜をもつボールエンドミ
ルにおいては,これら切れ刃稜間にミクロン以下の対称
性の高い形状精度を確保することは,ほとんど不可能で
ある. 2) とくに切れ刃稜には,切削時に生じる切削力に抗す
るだけの強度をもたせるための厚さを確保する必要があ
るが,複数の切れ刃稜のいずれも,これらの合流箇所付
近においては,必然的に大きな負のすくい角をもつこと
になる. 3) ボールエンドミルを自転軸心1のまわりに回転させ
ているため,ディンプル中心4の近傍では,切削速度が
零ないし限りなく零に近くなり,被加工物2は切削され
ずに押し込まれながら塑性変形させられることになる.
この結果,このディンプル中心4の近傍では,形状精度
および表面粗さはともに著しく劣化する.
【0006】これに対し,本発明においては,図3に示
すボールエンドミル5を採用している.図4は,図3に
示した該ボールエンドミルのA部を拡大した平面図およ
び側面図である.すなわち,該ボールエンドミルのボー
ル半径Rの切れ刃稜8が,シャンク軸心7と交差するま
での1個の切れ刃稜をもった1枚刃ボールエンドミルで
ある.この1枚刃ボールエンドミルの採用により,上記
1)項に対しては,ボールエンドミルの対称度を論ずるこ
となく高い加工形状精度を確保できるようにしている.
また,1枚刃ボールエンドミルとすることにより,上記
2)項に記載の切れ刃稜の合流箇所をなくすことができ,
シャンク軸心7と切れ刃稜8との交点,すなわち切れ刃
尖端10の近傍においても,切削力に抗するだけの強度が
確保できる厚さをもった切れ刃6とすることができ,ま
た正ないしわずかに負の領域のすくい角とすることがで
き,正常な切削を可能にしている.
【0007】一方,上記3)項に記載の切削速度が零の課
題に対しては,本発明では,自公転ミーリング加工法に
より解決している.その原理図を図2に示す.すなわ
ち,ボールエンドミル5が,シャンク軸心7すなわち自
転軸心1まわりに自転するのに加えて,該自転軸心を傾
き角θだけ傾いた状態で,もう一つの回転軸すなわち公
転軸心14のまわりに回転できるようにし,該自転軸心
と該公転軸心との交点が,切れ刃稜のボール半径Rの中
心Oと一致するようにしている.このように,ボールエ
ンドミルに自転運動と公転運動を同時に与えることによ
り,切れ刃稜とシャンク軸心とが交差する切れ刃尖端10
が,図2の切れ刃尖端軌跡15で与えられる円運動をし,
被加工物との間に相対速度をもたせることにより,ディ
ンプルの形状精度および表面粗さの劣化を回避するよう
にしている.
【0008】これらの基本構成に基づいた本発明の一実
施例を,図5から図8に示す.図5は本発明を適用した
加工機本体16を示す.図6は,図5に示した加工機本体
16の主軸に装着された自公転ユニット23の断面図,図7
および図8は,図6におけるA-A断面図およびB-B断
面図を示す.加工機本体16は,ベッド17と,該ベッド上
には,Y軸方向に直進運動可能なYテーブル18とYテー
ブル駆動用モータ,およびYテーブル18の上には,Y軸
方向に直交するX軸方向に直進運動可能なXテーブル19
とXテーブル駆動用モータが載った構造となっている.
またベッド17のもう一方の上には,コラム20が固定され
ている.該コラムには,X軸方向およびY軸方向の両方
向にともに直交するZ軸方向に直進運動可能な主軸ヘッ
ド21が案内支持され,該主軸ヘッドを直進運動させるた
めの主軸ヘッド駆動モータが固定されている.また該主
軸ヘッドには,回転運動可能なように軸受支持された主
軸22を内蔵し,かつZ軸方向に直進運動可能なクイル
が,該クイルの直進駆動用モータとともに案内支持され
ている.また該主軸の軸端には,自公転ユニット23がボ
ルト結合されている.
【0009】該自公転ユニットは,主軸22の軸心に対し
てほぼ回転軸対称の形状をしており,該主軸に組み立て
られた状態で,該軸心まわりの不平衡モーメントに対す
るバランス取りがなされ,振動の発生を抑制する配慮が
なされている.すなわち該自公転ユニットは,主軸22に
対してほぼ回転軸対称に近い逆二等辺三角形状をしてお
り,その三角形の底辺にあたる位置に配置されたフラン
ジ24を介して,主軸22に4本のボルト25により結合され
ている.また二等辺の一方の傾斜に沿った傾き角θの方
向に,高速回転軸26の軸心が一致しており,該高速回転
軸の回転軸端側は内スリーブ54に固定されている.転が
り軸受28は,該内スリーブおよび外スリーブ55と嵌合し
ており,該転がり軸受の内輪は内輪押さえ29により該内
スリーブに固定され,該転がり軸受の外輪は外輪押さえ
30により外スリーブ27'に固定されている.なお内輪押
さえ29の他方は,数10μmから数100μmの微小間隙31
を隔てて,高速回転軸26とすきま嵌めされており,該外
輪押さえのすきま嵌め部の内円筒の両端には,2本のO
リング32,33が配置され,両Oリングでシールドされた
微小間隙31には,粘性流体が充填され,スクィーズ効果
を利用して制振効果を与えている.また自公転ユニット
本体27の一部には,高速回転軸に対し,直角方向に設け
られた軸直角スリット34,および軸心方向に設けられた
軸方向スリット35により,可撓性を高めた2個のフィン
ガー部36を有している.該フィンガー部に対し,外輪押
さえ30のすきま嵌め部の外円筒が嵌合し,ボルト37によ
り自公転ユニット本体27に固定されている.
【0010】高速回転軸26の他端には,上方に四角柱ボ
ス39をもつ軸端固定具38がボルトにより結合されてお
り,自公転ユニット本体27とボルトにより結合された調
整ケース40に対して,4個のシュー42を介して4本の微
調整ボルト41を締め付け調整することにより,図8の紙
面内の左右方向および上下方向に該四角柱ボスの位置決
め調整を可能にしている.また調整ケース40と,これに
ボルト44にて固定された中央に窪みをもつ押さえ蓋45と
の間に,その軸方向の動きが拘束された粗調整ボルト46
が,四角柱ボス39の軸心方向に穿たれた雌ねじ43とねじ
結合されており,ボルト37を緩めた状態で該粗調整ボル
トの回転角度調整を行うことにより,高速回転軸26の軸
方向の位置決めの粗調整を可能にしている.
【0011】さらに,外輪押さえ30と軸端固定具38の間
の高速回転軸26の外円筒部と,自公転ユニット本体27と
の間には,微小間隙47を保ち,その両端を2本のOリン
グ48,49でシールドし,該微小間隙に粘性流体を充填
し,制振効果を与えている.一方,高速回転軸26の軸端
には,コレットチャックによりボールエンドミル5がチ
ャッキングされ,切れ刃稜が高精度に位置決めされる.
この位置決めプロセスは,以下のように行う.まず最初
に,該ボールエンドミルは,切れ刃稜のボール半径の中
心Oが,自転軸心1と公転軸心2との交点に概略一致す
るようにチャッキングされる.次いで,ボルト37をゆる
めた後,粗調整ボルト45の回転により,ボール半径の中
心Oが自転軸心1と公転軸心2との交点に合致するよう
に,高速回転軸26の自転軸方向の位置が粗調整される.
この状態でボルト37を締め,外輪押さえ30を自公転ユニ
ット本体27に固定する.その後,転がり軸受28を支点と
して,自転軸心1を傾き角θの方向およびこれに直角方
向(すなわち図6において,高速回転軸の軸心を通り紙
面に垂直な方向)に4本の微調整ボルト41により微小角
度の調整がなされ,高速回転軸26の軸心すなわち自転軸
心1と,主軸22の軸心すなわち公転軸心14との交点に,
ボールエンドミルの切れ刃稜のボール半径Rの中心を一
致させる.上述の位置合わせプロセスにより,自転軸心
1と公転軸心14との交点に,切れ刃尖端をサブミクロン
の精度で一致させることができる.
【0012】ここで,上述の傾きの微調整の支点は転が
り軸受28にあり,該転がり軸受から切れ刃稜のボール半
径Rの中心Oまでの軸方向の距離と,該転がり軸受から四
角柱ボス39までの距離のレバー比に応じて,微調整ボル
ト41の移動量が縮小される縮小機構を採ることで,切れ
刃稜のボール半径Rの中心Oの位置を高精度に位置決めで
きるようにしている.また,内輪押さえ29と外輪押さえ
30の間には,皿バネ50により予荷重がかけられ,転がり
軸受28のボールには,ガタの発生要因を排除するととも
に,支点としての剛性を高めており,微小間隙31および
47に充填した粘性流体のスクィーズ効果により,高速回
転軸や主軸の回転時あるいは加工時に発生する振動を抑
制している.
【0013】以上のように,ボールエンドミル5は,高
速回転軸26により自転するとともに,主軸22の回転によ
り公転することができ,切れ刃稜とシャンク軸心とが交
差する切れ刃尖端10が,図2に示す切れ刃尖端軌跡15の
ごとくに円運動をし,被加工物2との間に相対速度をも
たせることが可能となり,ディンプルの形状精度および
表面粗さの劣化を回避することができる.
【0014】なお,これら回転ないし直進運動する各運
動箇所の駆動用モータ類は,いずれもNC制御装置(図
示せず)に連結されており,移動速度制御ならびに位置
決めないし角度決め制御を可能ならしめており,Xテー
ブル19の上に載架された被加工物2に対し,自公転する
ボールエンドミルにより,ディンプルの高精度切削を可
能にしている.
【0015】また,該NC制御装置に,図9に示すシー
ケンスフローの制御指令を与えること,すなわち,Z軸
方向の下降行程と上昇行程,およびX軸ピッチ送りない
しY軸ピッチ送りを間欠的に繰り返すことにより,図1
0に示すごとく,ディンプル3が一様に分布したディン
プル面を精度良く形成可能になる.図11は,図10に
示すディンプル面のC-C断面における断面形状を示
す.さらに,X軸方向とY軸方向の送りピッチを一定割
合で変えることにより,図12と図13に示すように細
長ディンプルが分布したディンプル面を形成することも
できる.また,Z軸方向の切り込み深さや,X軸ピッチ
送りないしY軸ピッチ送りをランダムに変動させること
により,図14と図15に示すようなランダムな形状と
分布をもつディンプル面も形成可能である.
【0016】なお,本発明の加工法では,微細なディン
プルを1個ずつ加工するため,加工に長時間を要し,そ
の結果高コストとなることが多い.このため,主として
樹脂成形に用いられる成形用母型のディンプル面形成に
適用される.このようにして製作された成形用母型を用
いて,電鋳プロセスや樹脂成形プロセスなどの複製プロ
セスにより,このディンプル形状と同じ形状ないしはこ
の反転形状を合成樹脂の表面に転写し,機能部品を量産
している.
【0017】
【発明の効果】上述したように,本発明によれば,ボー
ルエンドミルの切れ刃稜の回転軸心,すなわち切れ刃尖
端の近傍において,被加工物に対し相対速度をもつこ
と,また切り屑の排出が容易になることから,良好な表
面粗さが得られる.また本発明によれば,自転時に負の
切削方向となる懸念のあるボールエンドミルの切れ刃尖
端付近に小さなぬすみを設けても,ディンプルの形状精
度や表面粗さを劣化させることがなく,工具寿命のさら
なる向上を図ることができる.
【0018】なお,真鍮製の被加工物に対し,超精密治
具研削盤の主軸に本発明の自公転ユニットを搭載し,単
結晶ダイヤモンドの切れ刃をもつボール半径R0.6mm
のボールエンドミルを用いた場合に,X軸方向ピッチ1.
1mm,Y軸方向ピッチ0.3mmのディンプル面を,自転
速度80000回転/分,公転速度300回転/分で加工したと
ころ,300mm四方を超える広い面積にわたって,球面
度0.3μm,表面粗さ0.04μmRyの加工精度が得られて
いる.
【0019】本発明のもう一つの実施例を次に示す.図
16は,傾き角θが0°の場合で,従来のディンプル加
工法を示す模式図である.微視的に見ると,自転軸心1
に対するボール半径Rの切れ刃稜8の製作誤差や,シャ
ンクのチャッキング誤差などが存在し,切れ刃尖端10の
近傍においては,前逃げ面13の後方から被加工物が切れ
刃稜を擦過し,切れ刃稜を異常に摩耗させ,ディンプル
中央部51の形状精度の劣化や表面粗さの劣化を来す.こ
のため,図16に示すように,工具寿命および加工精度
の観点からは,すくい面側から見た切れ刃尖端10にごく
わずかなぬすみを設ける方が実用的である.しかし従来
加工法では,図17に示すディンプル断面形状からも明
らかなように,ディンプル中央部51に心残り(しんのこ
り)を発生させることになる.
【0020】これに対し,図18に示すように,本発明
からなる傾き角θの自公転ユニット23を用いた場合に
は,上記のような切れ刃尖端10にごくわずかのぬすみを
設けても,ボールエンドミルの自転によるディンプル中
央部51' にできる心残りは,図19に示すディンプル
断面の模式図のように公転により除去され,切れ刃稜8
の製作誤差やチャッキング誤差に起因した工具寿命の劣
化も抑制でき,従来加工法に比べて,工具寿命や加工精
度の大幅な改善ができる.ちなみに,ボール半径R=0.
6mm,傾き角θ=15°の場合,切れ刃尖端より長さ0.1
mmにわたって切れ刃稜を後退させても,本発明の効果
を失うことはなく,むしろ工具寿命がさらに伸長する.
【0021】本発明の他の実施例を以下に示す.主軸2
2が公転する替わりに,ディンプル1個を加工するごと
に,主軸回転方向には周期性のないランダムな角度で割
り出しを行い,これとディンプルの切削とを交互に繰り
返すディンプルテクスチャを形成する割り出しミーリン
グである.図20には,該割り出しミーリングにおける
シーケンスフローを示す.この割り出しミーリングによ
れば,図21に示すディンプルテクスチャの模式図のよ
うに,個々のディンプル中央部Qをランダムに分布させ
ることができる.このように,図14や図21のような
表面性状がランダムに分布したディンプルテクスチャと
することにより,たとえば対象とする機能面において,
表面品質が劣るものの,光学的に問題となるモアレ縞や
虹模様などの弊害を回避できる効果がある.
【0022】素材として,単結晶ダイヤモンドの替わり
に,多結晶ダイヤモンドやセラミックス,超硬合金を用
い,切れ刃の前逃げ面を良好な表面粗さに仕上げたボー
ルエンドミルを用いても,工具寿命が低下するものの,
上記と類似した効果が得られる.また,これまで述べた
実施例では,1個の切れ刃をもつエンドミルについて述
べたが,本発明によれば,切れ刃尖端の近傍の切れ刃稜
を後退させることができるので,複数の切れ刃稜をもつ
エンドミルにおいても,それらの切れ刃稜の合流箇所の
近傍における切れ刃稜を後退させることができ,類似の
効果が得られる.
【0023】また,加工機本体16には,精密治具研削盤
や高精度マシーニングセンタなど,X軸方向,Y軸方
向,Z軸方向に高い運動精度および位置決め精度を有し
ていれば,汎用の工作機械を用いても,上述したと同様
の効果が得られる.なお,上述の実施例では,ボールエ
ンドミル5がZ軸方向に上下してディンプルを形成する
方法を示したが,該ボールエンドミルと被加工物2との
間が相対的に制御可能であれば,本発明の効果を失うも
のではない.図22には,ハニカム構造をもった軽合金
製のハニカム真空チャック58が,Z'軸方向に伸張可能
な4個の磁歪素子57を介してチャックベース56に固定さ
れた被加工物支持台を示す.該被行物支持台を加工機本
体のXテーブル18上に固定し,該磁歪素子への制御指令
を,NC制御装置よりX軸方向およびY軸方向の制御指
令に同期して与えることで,ハニカム真空チャック58に
チャッキングされた被加工物2をミーリング加工し,デ
ィンプル面を形成可能にしている.該被加工物支持台を
用いることにより,Z軸方向の往復運動質量を小さくで
きるので,広い加工面積の被加工物に対して,より高速
に切り込み動作ができ,より高能率な加工が可能であ
る.上述した実施例では,微細凹球面をもったディンプ
ル加工について述べたが,本発明は何ら凹球面に限定さ
れるものではない.凹球面以外の窪んだ回転対称形状,
たとえば回転楕円面,回転放物面といった形状であって
も,楕円形状,放物形状ないしそれらの近似形状の切れ
刃稜をもったエンドミルを用いることにより,上記と同
様の効果が得られる.
【図面の簡単な説明】
【図1】ボールエンドミルを用いた従来のディンプルの
ミーリング加工の原理を示す説明図である.
【図2】本発明の自公転ミーリング加工法の原理を示す
説明図である.
【図3】本発明に用いた1枚刃ボールエンドミルの外観
図を示す.
【図4】図3におけるA部を拡大した平面図及び側面図
である.
【図5】本発明の一実施例を装備した加工機本体の概要
図である.
【図6】図5に示した自公転ユニットの断面図である.
【図7】図6におけるA-A断面の概略図である.
【図8】図6におけるB-B断面の概略図である.
【図9】一様にディンプルが分布したテクスチャを形成
するときのシーケンスフローを示す.
【図10】形成されたディンプルテクスチャの一例を示
す模式図(平面図)である.
【図11】図10のC-C断面における断面形状を示す
模式図である.
【図12】形成された細長ディンプルをもつテクスチャ
の模式図(平面図)を示す.
【図13】図12のD-D断面における断面形状を示す
模式図である.
【図14】ランダムに分布させたディンプルをもつテク
スチャの模式図(平面図)を示す.
【図15】図14のE-E断面における断面形状を示す
模式図である.
【図16】切れ刃尖端にぬすみを設けたボールエンドミ
ルを用い,自転軸心を傾けない(θ=0のとき)でディ
ンプルを形成する説明図である.
【図17】図16の方法により加工されたディンプルの
断面形状の模式図である.
【図18】切れ刃尖端にぬすみを設けたボールエンドミ
ルを用い,自転軸心を傾けた(θ≠0)ときのディンプ
ル形成の説明図である.
【図19】図18の方法により加工されたディンプルの
断面形状の模式図である.
【図20】公転軸を間欠的に割り出しミーリングすると
きのシーケンスフローを示す.
【図21】割り出しミーリングにより加工されたディン
プル面の模式図である.
【図22】被加工物を真空吸引力でチャッキングできる
被加工物支持台を示す.
【符号の説明】
1 自転軸心 2 被加工物 3 ディンプル(微細凹面) 4 ディンプル中心 5 ボールエンドミル(回転工具) 6 切れ刃 8 切れ刃稜 9 シャンク 10 切れ刃尖端 14 公転軸心 15 切れ刃尖端軌跡 16 加工機本体 18 Yテーブル 19 Xテーブル 20 コラム 21 主軸ヘッド 22 主軸 23 自公転ユニット 24 フランジ 26 高速回転軸 27 自公転ユニット本体 28 転がり軸受 29 内輪押さえ 30 外輪押さえ 31 微小間隙 36 フィンガー部 38 軸端固定具 39 四角柱ボス 40 調整ケース 41 微調整ボルト 45 押さえ蓋 46 粗調整ボルト 47 微小間隙 51 ディンプル中央部 54 内スリーブ 55 外スリーブ 56 チャックベース 57 磁歪素子 58 ハニカム真空チャック

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転工具と,該回転工具をチャッキングし
    これを回転させる高速回転軸と,該高速回転軸の回転駆
    動源と,該高速回転軸の軸心に対しある傾き角をなして
    交差する軸心をもった主軸と,該主軸における回転駆動
    源と,被加工物を載架でき少なくとも1軸方向に直進運
    動が可能なテーブルと,該テーブルに対する回転工具の
    相対距離が制御できる切り込み手段とを備えた加工装置
    において,高速回転軸の自転軸心と主軸の公転軸心との
    交点のまわりに回転工具の切れ刃稜が自転および公転で
    きるようにしたことを特徴とする,回転対称の微細凹面
    の加工装置およびミーリング加工法.
  2. 【請求項2】回転工具が円弧形状ないしは該円弧形状の
    近似形状をした切れ刃稜をもつボールエンドミルであっ
    て,該ボールエンドミルにおける切れ刃稜のボール半径
    の中心と,高速回転軸の自転軸心と主軸の公転軸心との
    交点とが,ほぼ一致できるような調心機構を具備したこ
    とを特徴とする請求項1に記載の回転対称の微細凹面の
    加工装置およびミーリング加工法.
  3. 【請求項3】回転工具が楕円形状,放物線形状,ないし
    はこれらの近似形状をした切れ刃稜をもつボールエンド
    ミルであって,該ボールエンドミルにおける切れ刃稜の
    焦点と,高速回転軸の自転軸心と主軸の公転軸心との交
    点とが,ほぼ一致できるような調心機構を具備したこと
    を特徴とする請求項2に記載の回転対称の微細凹面の加
    工装置およびミーリング加工法.
  4. 【請求項4】請求項1に記載の調心機構が,自転軸心方
    向の調整機構と,該自転軸心方向に対し垂直な2方向に
    は縮小リンク構造をもつ調整機構からなることを特徴と
    する請求項1,請求項2ないしは請求項3に記載の加工
    装置およびミーリング加工法.
  5. 【請求項5】請求項1に記載の直進運動が可能なテーブ
    ルの位置決め動作と,請求項1に記載の切り込み手段に
    よる切り込み動作が交互に繰り返されるミーリング加工
    法において,該位置決め動作が等ピッチ間隔で行われる
    ことおよび該切り込み動作が一定の切り込み量であるこ
    とを特徴とする請求項1から請求項4に記載のミーリン
    グ加工法,および該ミーリング加工法により表面に微細
    凹面を多数分布形成させたことを特徴とする成形用母
    型,および該成形用母型を用いて成形された成形品.
  6. 【請求項6】請求項1に記載の主軸が公転をし続けてミ
    ーリング加工する替わりに,該主軸の公転方向の角度割
    り出し動作と切り込み動作とを交互に繰り返すことを特
    徴とする請求項1から請求項5に記載のミーリング加工
    法,および該ミーリング加工法により加工された成形用
    母型,および該成形用母型を用いて成形された成型品.
  7. 【請求項7】請求項5に記載の位置決め動作におけるピ
    ッチ間隔がランダムに変えられること,ないしは切り込
    み動作における切り込み量がランダムに変えられるこ
    と,ないしはピッチ間隔と切り込み量がともにランダム
    に変えられることを特徴とする請求項5に記載のミーリ
    ング加工法,該ミーリング加工法により加工された成形
    用母型,および該成形用母型を用いて成形された成型
    品.
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