JP2002361280A - 有機汚泥を減量化するアルカリ性排水処理装置および有機汚泥減量化方法 - Google Patents

有機汚泥を減量化するアルカリ性排水処理装置および有機汚泥減量化方法

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JP2002361280A JP2001172436A JP2001172436A JP2002361280A JP 2002361280 A JP2002361280 A JP 2002361280A JP 2001172436 A JP2001172436 A JP 2001172436A JP 2001172436 A JP2001172436 A JP 2001172436A JP 2002361280 A JP2002361280 A JP 2002361280A
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sludge
tank
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waste water
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Hirokuni Arakawa
博邦 荒川
Norio Maki
教雄 牧
Takeshi Kawashima
武 川島
Hitoshi Sugimura
仁 杉村
Shigeaki Hirao
滋章 平尾
Taiji Kawasaki
泰治 川崎
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Kurabo Industries Ltd
Kurashiki Spinning Co Ltd
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Kurabo Industries Ltd
Kurashiki Spinning Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルカリ性排水を生物的に処理する方法にお
いて発生する汚泥の量を減量化する、排水処理装置を提
供する。 【解決手段】 排水を微生物により処理する、1以上の
生物処理槽、放流水と汚泥を分離する分離槽、分離した
汚泥を可溶化するための可溶化処理槽、可溶化処理槽へ
アルカリ性排水を送る手段、および可溶化汚泥液を、い
ずれかの生物処理槽へ返送する手段を有するアルカリ性
排水の処理装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は微生物により排水を
処理する方法において発生する汚泥の量を減量化するこ
とのできる排水処理装置、および排水処理方法を提供す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、生物的排水処理過程で大きな問題
となっているのが、発生した余剰汚泥の処理である。特
に近年、汚泥処分場の不足が深刻となっており、処理能
力は1年程度しかないといわれているなど、汚泥処理に
要するコストは益々高くつくようになってきた。
【0003】このような状況を受けて、汚泥を効率的に
減らす方法が各種考案されている。機械的に破壊する方
法、オゾンや過酸化水素などを使用する促進酸化法、好
熱菌を利用する方法、酸またはアルカリを使用して汚泥
を溶解させる方法などが良く知られている例である。
【0004】しかし、これらの方法も実用化を行うに
は、コストが高い、システムの維持が困難であるなどの
問題が多く、広く普及するには至っていない。特にアル
カリによる処理は余剰汚泥を著しく減少させることがで
きることから、多くの方法が提案されている。
また、アルカリ処理と同時に熱処理をかける方法(特開
平05−345200)が効果的であるとの報告がある
が、アルカリ性薬品を加え、熱を加えるなどのステップ
が複数必要であるなど、工程が複雑な上に、アルカリ性
薬品の投入、温度を維持するためのエネルギーが必要と
なり、コスト面から実用化の可能性は少ない。
【0005】染色排水に代表される、高アルカリ性排水
を原水とする産業排水は、硫酸などの酸を添加し、中和
することで生物学的排水処理を実施していることから、
汚泥の発生も多い。このため、中和用の薬品に加えて汚
泥処理費にも多くの経費が必要とされ、コスト面で大き
な問題となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、生物的排水
処理により生じる余剰汚泥の量を減少させ、経済的な処
理が可能となる、新規排水処理装置を提供することを目
的とする。さらに本発明はこの新規排水処理装置を用い
て実施される、新規排水処理方法を提供することを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、余剰汚泥
にアルカリ性薬品を添加する代わりにアルカリ性排水を
添加して処理することによって余剰汚泥を減量すること
ができることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】本発明は、即ちアルカリ性排水を微生物に
より処理する、1以上の生物処理槽、処理水から汚泥を
分離する分離槽、分離した汚泥を可溶化するための可溶
化槽、可溶化槽へアルカリ性排水を送る手段、および可
溶化槽中で得られる可溶化汚泥液を生物処理槽のいずれ
かへ返送する手段を有するアルカリ性排水処理装置を提
供する。
【0009】本発明はまた、排水中の有機物を1以上の
生物処理槽にて微生物により消化させる工程、および生
じた汚泥と処理水を分離する工程を有する生物的排水処
理方法において、分離した汚泥へアルカリ性排水を添加
し、汚泥中の有機物を可溶化する工程、および可溶化汚
泥液を生物処理槽へ返送する工程を含む、アルカリ性排
水の処理方法を提供する。
【0010】本発明はさらに、排水の生物的処理によっ
て生じる有機汚泥へ、アルカリ性排水を添加し、汚泥中
の有機物を可溶化する工程、および可溶化した汚泥液を
さらに生物的に処理する工程を含む、有機汚泥を減量化
する方法を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の処理装置において処理さ
れる排水としては、アルカリ性排水であればどのような
過程で発生したものであっても特に限定されず用いるこ
とができる。
【0012】アルカリ性排水のpHは9.0以上、特に
pH10.0以上のものが好適に用いられる。pHの上
限は特になく、pH14の排水であっても用いることが
可能である。かかるアルカリ性排水としては、繊維の染
色工場からの排水、アルカリ薬品製造工場等の化学工場
の排水、アルカリ洗浄の排水等が例示される。排水は、
アルカリ性排水の原水および原水から適当な物理的手段
にて固形分を除く等の常套の前処理を施したものであっ
てもよい。
【0013】本発明の処理装置において、生物処理槽と
しては従来公知のものがいずれも好適に用いられる。生
物処理は、好気性微生物により溶存酸素の存在下で有機
物を分解させる好気性処理槽であっても、嫌気性微生物
により溶存酸素の実質的に無い条件下で有機物を分解さ
せる嫌気性処理槽であっても、あるいは部分的に、もし
くは間欠的に曝気を行い、1つの槽で嫌気性処理と好気
性処理の両方を行う多段処理槽であってもよい。
【0014】本発明の処理装置に用いられる好気性処理
槽としては、好気条件下にて微生物を排水中に浮遊さ
せ、これにより有機物を消化させる活性汚泥槽、微生物
を浮遊させず坦体に付着させてこれによって有機物を消
化させる接触酸化槽、有機性窒素をアンモニア性窒素に
変え次いでアンモニア性窒素を亜硝酸性窒素や硝酸性窒
素に変える硝化槽等が例示されるがこれらに限定されな
い。
【0015】嫌気性処理槽としては、有機物をメタン生
成菌により消化させるメタン発酵槽、脱窒菌により硝酸
および亜硝酸性窒素を窒素ガスに変換する脱窒槽、固定
化した嫌気性微生物を用いる生物固定槽等が例示される
が、これらに限定されない。
【0016】嫌気性処理槽としては、メタン生成菌の嫌
気的条件下における微生物反応を利用して排水中の有機
物を分解するメタン発酵槽が、特に好適に用いられる。
メタン発酵槽においては有機物は分解されて菌体増殖に
利用されるほかに、メタンの生成にも利用されることか
ら、汚泥の発生自体が少ない。
【0017】また、メタン発酵槽を用いる場合、生成し
たメタンを燃焼させる燃焼装置をさらに設け、燃焼装置
により発生させた熱により可溶化処理槽および/または
メタン発酵槽を加熱することができ、排水処理装置のラ
ンニングコストを削減することができる。
【0018】メタン発酵槽のうちでも、上向流嫌気性ス
ラッジブランケット槽が特に好適に用いられる。上向流
嫌気性スラッジブランケット槽(UASB槽)は、固定
床法や流動床法のように担体に固定化した微生物を利用
するのではなく、微生物自身のもつ凝集性により形成さ
れた顆粒状汚泥を利用する公知の方法を実施するための
槽である。該顆粒状汚泥は、例えばメタノサルシナ(Met
hanosarcina)属、メタノバクテリウム(Methanobacteriu
m)属、メタノコッカス(Methanococcus)属またはメタノ
スピリルム(Methanospirillum)属などに属するメタン生
成菌を含有する。
【0019】上向流嫌気性スラッジブランケット槽の説
明のための概略図を図2に示す。上向流嫌気性スラッジ
ブランケット槽は、垂直方向に長い反応槽と、反応槽底
部に設けられた排水流入口と、反応槽上部に設けられた
気液分離装置とを有する。該気液分離装置は、バイオガ
スと、処理水とを分離するものである。例えば図1に示
す本発明の装置の一例において、上向流嫌気性スラッジ
ブランケット槽にメタンガス燃焼装置10が接続されて
いる場合、メタンを含有するバイオガスがメタンガス燃
焼装置10に導入される。顆粒状汚泥などの浮遊物質を
含有する処理水は分離槽へ、または別の生物処理槽に導
入されて更なる処理に付される。
【0020】上向流嫌気性スラッジブランケット槽を用
いる処理は処理時間が短い事に加え、運転管理が容易で
あるという利点を有する。なお、生成したメタンを利用
できる点は通常のメタン醗酵法と同様である。また、上
向流嫌気性スラッジブランケット法は本来高BOD排水
の処理のために開発された方法であり、低BOD濃度排
水の処理には適さないが、本発明の排水処理方法におい
ては、原排水と返送された可溶化汚泥液とを混合して処
理するので、実際に処理を受ける被処理水のBOD濃度
は、原排水のBOD濃度よりも高くなる。このことによ
り、低汚泥発生処理手段に上向流嫌気性スラッジブラン
ケット法を採用しても、低BOD濃度排水の処理が可能
である。
【0021】本発明の方法において、生物処理槽は、上
記のごとき各種処理槽を排水の種類、処理装置の設置面
積や設置環境等、従来から排水処理装置の設計の際に考
慮すべきさまざまな要因に応じて適当なものを単独で、
あるいは組み合わせて用いればよい。本発明の装置の生
物処理槽としては、従来公知のいかなる生物処理槽をい
かなる組み合わせで用いてもよい。
【0022】生物的処理が終了した排水を、次いで分離
槽に移す。処理された排水は分離槽で、処理水と汚泥に
分離される。分離手段としては特に限定されず、従来公
知のものがいずれも好適に用いられ、例えば汚泥を沈殿
させても、あるいは遠心分離、膜分離等の手段により汚
泥を分離してもよい。分離された処理水は放流基準を満
たすことを確認した上で放流する。
【0023】分離された汚泥は次いで可溶化槽へ送られ
る。汚泥の一部は可溶化槽ではなく返送汚泥として適当
な生物処理槽へ返送してもよい。例えば、生物処理槽と
して、活性汚泥処理槽を有する場合には、活性汚泥槽へ
汚泥の一部を返送汚泥として戻せばよい。
【0024】本発明の排水処理装置は、可溶化槽へアル
カリ性排水の少なくとも一部を導入する手段を有する。
可溶化槽へアルカリ性排水を導入するには、排水を生物
処理槽へ誘導する経路から直接引き込んでもよいし、あ
るいは排水を処理する前に一旦貯留する原水槽を有する
場合には、原水槽から可溶化槽へ引き込んでもよい。な
お、可溶化槽へはアルカリ性排水の補助としてアルカリ
性物質、例えば水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムを添
加してもよい。
【0025】可溶化槽は好適には可溶化槽中へ導入した
アルカリ性排水と、汚泥を混合する攪拌手段を有してい
る。攪拌手段としては常套のものがいずれも好適に用い
られ、例えば、攪拌羽根、空気によるバブリング、ポン
プ循環、超音波振動などが例示される。
【0026】可溶化槽はさらに、可溶化槽内の温度を3
5℃以上、より好ましくは50℃以上に加熱する、加熱
手段を有していることが好ましい。可溶化処理は、常温
で行ってもよいが、高温下で行うと可溶化速度が上昇
し、より短い時間での処理が可能となる。加熱手段とし
ては、従来より排水処理施設に用いられる加熱手段のい
ずれを用いてもよい。排水処理工程において熱が発生す
る場合には、この熱を取りこんで使えばよい。あるいは
メタンガス発酵法のごとく、燃料となる気体が発生する
場合には、この気体を燃焼させて熱を発生させ、これに
よって可溶化槽の温度を上げてもよい。
【0027】可溶化槽内での処理時間は、排水のpH、
可溶化槽内の温度、生物処理槽内の菌叢や処理条件、あ
るいは排水に含まれる物質による汚泥の種類によって異
なる。新たに処理装置を稼動させる場合には、適当な条
件を決定すればよい。当業者であればかかる決定を容易
にすることができる。可溶化処理の時間は典型的には
0.5時間〜168時間、好ましくは4〜48時間の範
囲とすればよい。
【0028】本発明の処理装置はさらに、可溶化槽で可
溶化した可溶化汚泥液をアルカリ性排水中へ返送する返
送手段を有する。かかる返送手段により、可溶化汚泥液
は、原排水と混合されさらに生物的処理に付される。可
溶化汚泥液を返送する先としては限定的ではなく、可溶
化処理槽へ導入するべく排水を取水する取水口より下流
であって、生物処理槽による処理に供することができる
いずれの場所であってもよく、例えば、生物的処理を行
う前処理を行うpH調節槽に投入する際に可溶化汚泥液
を同時に投入してもよい。ただし、可溶化汚泥液はpH
の高い液であることから生物処理槽に直接返送する場合
には、必要に応じて返送前にpHを調整してもよい。
【0029】本発明の装置の一例を図1に示した。図1
の装置は一例であり、本発明を限定するものではない。
図1においてアルカリ性排水(13)の一部が、可溶化
槽へ排水を導入する経路(19)によって可溶化槽
(5)へ送られる。残りの排水はpH調整槽(1)で生
物処理に適したpHとした後、第1処理槽(2)および
第2処理槽(3)にて生物的処理に付される。図1の例
では第1処理槽としてUASB槽を、第2処理槽として
活性汚泥槽を用いている。
【0030】2段階の生物的処理を終えた第2処理水
(15)は沈殿槽(4)へ送られ、ここで汚泥と放流水
(16)に分離される。汚泥は可溶化槽(5)へ送ら
れ、ここでアルカリ性排水により可溶化される。可溶化
槽およびUASB槽はUASB槽(2)より発生するメ
タンガスを燃焼するメタン燃焼装置(10)により発生
する熱により蒸気(20)を生じさせ、これにより加熱
する。なお、本態様においては汚泥の一部は返送汚泥と
して活性汚泥槽である第2処理槽(3)へ返送される。
【0031】アルカリ性排水により可溶化された可溶化
汚泥液は可溶化汚泥液返送経路(23)により可溶化処
理槽へ送付する排水を取水した後の排水と混合され、さ
らに生物的に処理される。
【0032】従来技術において、アルカリ性薬剤を汚泥
に添加して処理する技術は知られていたが、いずれもア
ルカリ性の排水そのものを添加するものではなかった。
本発明の排水処理装置は、アルカリ性の排水を可溶化槽
へ導いてこれを用いて汚泥を可溶化することから、アル
カリ性薬品を添加する必要がない。あるいは、補助的に
アルカリ性薬品を添加するだけでよいので、アルカリ性
薬品の量を大幅に減少させることができる。
【0033】また生物処理槽としてメタン発酵槽、例え
ば上向流嫌気性スラッジブランケット槽を用いれば、発
生するメタンを燃焼させて得られる熱により可溶化槽を
加熱することができ、さらに処理の迅速化とコストの削
減を図ることができる。
【0034】
【実施例】実施例1 繊維加工場の排水のpHを調整した後、標準的活性汚泥
法にて処理した。この標準的活性汚泥法で生じた余剰汚
泥の可溶化試験を行った。攪拌装置を備えた可溶化槽
(10L容)中へ、余剰汚泥に繊維加工場のアルカリ性
排水の原水(pH12.4)を添加して出発MLSS濃
度を20000mg/Lとした混合物を添加した。この
混合物を20℃にて緩やかな攪拌をしながらMLSS濃
度の経時変化を調べた。結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】比較例1 実施例1のアルカリ性排水の原水の代わりに、この排水
を硫酸で中和してpH7.0としたものを添加して可溶
化試験を実施した。その結果を表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】実施例1と比較例1より、アルカリ性排水
原水の可溶化効果が確認できた。比較例1では、汚泥の
増加の傾向が認められる。これは、汚泥中の微生物が排
水原水中のBODを摂取することにより増殖したもので
あると考えられる。
【0039】実施例2 実施例1の可溶化試験を、可溶化槽へ投込みヒーターを
投入して、温度を70℃に保って実施した。結果を表3
に示す。
【0040】
【表3】
【0041】比較例2 実施例2のアルカリ性排水の原水の代わりに、この排水
の原水を硫酸で中和してpH7.0としたものを添加
し、70℃に加熱しながら可溶化試験を実施した。結果
を表4に示す。
【0042】
【表4】
【0043】実施例1と実施例2を比べてみれば、高温
下で処理することでより一層の可溶化効果が得られるこ
とがわかる。また、比較例2において、長時間の処理に
より汚泥量の減量が見られたが、これは熱で汚泥中の微
生物の一部が死んだためであると思われる。
【0044】実施例3 アルカリ性排水の原水(pH12.4)に硫酸または水
酸化ナトリウムを加え、pH7〜12となるようにそれ
ぞれ調節した。各pHの排水を実施例1と同じ余剰汚泥
と、初期MLSSが20000mg/Lとなるように混
合し、実施例1と同じ可溶化槽へ投入した。投げ込みヒ
ーターで混合液の温度を70℃に維持し、ゆっくりと攪
拌しながら6時間置いた後、MLSS量を調べた。結果
を表5に示す。
【0045】
【表5】 pHが高くなるほど可溶化の進行が早いことが確認でき
た。排水原水のpHが9以上、好ましくは10以上であ
れば、充分に実用化可能である。
【0046】実施例4 図1に示すパイロットプラントを繊維加工場に設置し
て、染色工程の排水の処理を200日間実施した。パイ
ロットプラントの規格は以下のとおりである: pH調整槽(1) 50L UASB槽(2) 50L 活性汚泥槽(3) 150L 沈殿槽(4) 20L 可溶化槽(5) 20L
【0047】排水流入量750L/日、循環水量750
L/日、装置全体における水の滞留時間は8時間、活性
汚泥槽の汚泥滞留時間は7日間と設定した。アルカリ性
排水はpH調整槽でpHを7.8に調整した後、UAS
B槽で処理し、次いで活性汚泥槽で処理した。UASB
槽の温度は35℃〜40℃とし、可溶化槽の温度は60
〜70℃に設定した。活性汚泥槽で処理した第2処理水
を沈殿槽へ移し、処理水中の汚泥を沈殿させた。24時
間毎に沈殿汚泥を可溶化槽へ移した。なお、沈殿槽
(4)中のMSLLが300,000mg/Lである場
合の汚泥沈殿量を予め測定しておき、これを超えた分は
引き抜いて余剰汚泥とした。また、汚泥の一部は返送汚
泥として、活性汚泥槽へ返送した。
【0048】可溶化槽へのアルカリ性排水流入量は40
L/日とし、可溶化処理槽における可溶化処理時間を1
2時間とした。可溶化処理槽で処理した後、可溶化汚泥
液をpH調整槽(1)に返送した。また、なお、UAS
B槽と可溶化槽の温度調整はUASB槽から生じたメタ
ンを燃焼による燃焼熱を利用した。稼動後50日後、1
00日後、150日後、200日後の余剰汚泥量を表6
に示す。排水原水:BOD平均1000mg/L、pH
平均:12.2
【0049】
【表6】 高温可溶化槽のエネルギー源は全て、UASB槽から発
生したメタンガスでまかなわれた。また余ったエネルギ
ーの利用も可能である。
【0050】比較例3 実施例4と同じ装置を用いたが、可溶化槽へは排水原水
ではなく放流水を40L/日供給した。また、可溶化槽
では加熱を行わず、汚泥を12時間攪拌した後、これを
実施例4と同様にpH調整槽へ返送した。その他の条件
は実施例4と同じとした。稼動後50日後、100日
後、150日後、200日後の余剰汚泥量を表7に示
す。
【0051】
【表7】 実施例4と比較例3よりパイロットプラントでの余剰汚
泥発生量が半分以下になっていることがわかる。
【0052】
【発明の効果】本発明の装置により、アルカリ性排水を
生物的に処理する際に発生する汚泥の量を、コストをか
けずに大幅に減量することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一態様のスキーム図である。
【図2】 本発明の生物処理槽として好適に用いられる
上向流嫌気性スラッジブランケット槽(UASB槽)の
概略を示す図である。
【符号の説明】 1:pH調整槽、2:第1処理槽、3:第2処理槽、
4:分離槽、5:可溶化槽、6:散気装置、7:エアー
ポンプ、8:pH制御装置、9:ポンプ、10:メタン
ガス燃焼装置、11:モーター、12:pH電極、1
3:原排水、14:第1処理水、15:第2処理水、1
6:放流水、17:循環水、18:余剰汚泥、19:原
排水送達経路、20:蒸気、21:pH調整ずみ排水、
22:返送汚泥、23:返送可溶化汚泥液、31:サン
プル口、32:気液分離装置、33:隔壁、34:蒸気
量調製弁、35:湿式ガスメーター、36:前処理水、
37:第1処理水、38:バイオガス、39:蒸気、4
0:汚泥ブランケット、41:汚泥床
フロントページの続き (72)発明者 川島 武 大阪府寝屋川市下木田町14番41号 倉敷紡 績株式会社エンジニアリング部内 (72)発明者 杉村 仁 大阪府寝屋川市下木田町14番41号 倉敷紡 績株式会社エンジニアリング部内 (72)発明者 平尾 滋章 大阪府寝屋川市下木田町14番5号 倉敷紡 績株式会社技術研究所内 (72)発明者 川崎 泰治 大阪府寝屋川市下木田町14番5号 倉敷紡 績株式会社事業化推進部内 Fターム(参考) 4D028 AC03 AC09 BD00 BD11 4D040 AA04 AA27 AA34 AA42 AA58 BB42 BB82 4D059 AA05 BF14 BJ01 BJ09 BJ16 BK12 BK22 CA28 DA01 EB05 EB06

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 排水を微生物により処理する、1以上の
    生物処理槽、放流水と汚泥を分離する分離槽、分離した
    汚泥を可溶化するための可溶化処理槽、可溶化処理槽へ
    アルカリ性排水を送る手段、および可溶化汚泥液を、い
    ずれかの生物処理槽へ返送する手段を有するアルカリ性
    排水の処理装置。
  2. 【請求項2】 アルカリ性排水のpHが9.0以上であ
    る、請求項1記載のアルカリ性排水の処理装置。
  3. 【請求項3】 可溶化槽を50〜100℃の範囲の温度
    に制御する手段を有する、請求項1記載のアルカリ性排
    水の処理装置。
  4. 【請求項4】 1以上の生物処理槽が、少なくとも1の
    好気性処理槽を含む、請求項1から3いずれかに記載の
    装置。
  5. 【請求項5】 1以上の生物処理槽が、少なくとも1の
    嫌気性処理槽を含む、請求項1から4いずれかに記載の
    装置。
  6. 【請求項6】 嫌気性処理槽がメタン発酵槽である、請
    求項5記載の装置。
  7. 【請求項7】 メタン発酵槽において発生したメタンを
    回収し、これを燃焼させ、発生する熱により可溶化槽を
    加熱する手段をさらに有する、請求項6記載の装置。
  8. 【請求項8】 メタン発酵槽が上向流嫌気性スラッジブ
    ランケット槽である、請求項6または7記載の装置。
  9. 【請求項9】 排水中の有機物を1以上の生物処理槽に
    て微生物により消化させる工程、および生じた汚泥と処
    理水を分離する工程を有する生物的排水処理方法におい
    て、分離した汚泥へアルカリ性排水を添加し、汚泥中の
    有機物を可溶化する工程、および可溶化汚泥液を生物処
    理槽へ返送する工程を含む、アルカリ性排水の処理方
    法。
  10. 【請求項10】 アルカリ性排水のpHが9.0以上で
    ある、請求項9記載の処理方法。
  11. 【請求項11】 汚泥中の有機物を可溶化する工程を、
    50〜100℃の範囲の温度にて行う、請求項9または
    10記載の処理方法。
  12. 【請求項12】 有機汚泥へ、アルカリ性排水を添加
    し、汚泥中の有機物を可溶化する工程、および可溶化し
    た汚泥液をさらに生物的に処理する工程を含む、有機汚
    泥の減量化方法。
  13. 【請求項13】 アルカリ性排水のpHが9.0以上で
    ある、請求項12記載の処理方法。
  14. 【請求項14】 汚泥中の有機物を可溶化する工程を、
    50〜100℃の範囲の温度にて行う、請求項12また
    は13記載の有機汚泥の減量化方法。
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