JP2002359364A - 光センサー、および光センサーユニット - Google Patents

光センサー、および光センサーユニット

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JP2002359364A
JP2002359364A JP2001165566A JP2001165566A JP2002359364A JP 2002359364 A JP2002359364 A JP 2002359364A JP 2001165566 A JP2001165566 A JP 2001165566A JP 2001165566 A JP2001165566 A JP 2001165566A JP 2002359364 A JP2002359364 A JP 2002359364A
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optical sensor
receiving layer
light
light receiving
electrode
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JP2001165566A
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Yuji Fujimori
裕司 藤森
Tsutomu Miyamoto
勉 宮本
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Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】製造コストの削減に寄与でき、また、受光層が
応力で破損しにくいラインセンサーを提供すること。 【解決手段】ラインセンサー1は、基板2と、スイッチ
ング部7a〜7zと、センサー部8a〜8zと、保護層
25とを有している。スイッチング部7a〜7zは、薄
膜トランジスター71a〜71zと、遮光層72とで構
成されている。センサー部8a〜8zは、透明電極3a
〜3zと、受光層4a〜4zと、第1対向電極6a〜6
zおよび半導体電極5a〜5zを備えた対向電極56a
〜56zとで構成されている。本発明では、受光層4a
〜4zを主として酸化チタンで構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光センサー、およ
び光センサーユニットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ラインセンサー、エリアセンサー等の各
種光センサーが、コピー機、ファクシミリ装置、イメー
ジスキャナー、デジタルカメラ、電子黒板、バーコード
読み取り装置を始めとして、様々な機器に使用されてい
る。通常、光センサーの受光層は、多結晶シリコン、ア
モルファスシリコン等のシリコンで構成される。
【0003】このような光センサーを製造するために
は、CVD(化学的気相成長)法等の真空プロセスを、
繰り返し行なう必要がある。このため、受光層がシリコ
ンで構成された光センサーを製造するためには、通常、
製造ライン上に、真空プロセスを行なう装置を、複数設
置する必要がある。しかしながら、かかる装置は、高価
である。しかも、真空プロセスには、多大な電力と熱量
を必要とする。それゆえに、受光層がシリコンで構成さ
れた光センサーを製造する際の製造コストは、どうして
も高くなってしまう。
【0004】また、シリコンは、硬質の材料であり、可
とう性に欠ける。このため、受光層がシリコンで構成さ
れた光センサーでは、例えば受光層を支持する基板が湾
曲した場合等、受光層に応力が加わった場合に、受光層
が断裂してしまう場合がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、製造
コストの削減に寄与でき、また、受光層が応力で破損し
にくい光センサー、および光センサーユニットを提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
の本発明により達成される。
【0007】(1) 主として酸化チタンで構成された
受光層と、前記受光層の受光面側に設置された透明電極
と、前記受光層を介して、前記透明電極と対向して設置
された対向電極とを有し、複数の画素を備えることを特
徴とする光センサー。
【0008】(2) 前記受光層、透明電極、および対
向電極は、基板上に設けられている上記(1)に記載の
光センサー。
【0009】(3) 前記基板は、可とう性を有する上
記(2)に記載の光センサー。
【0010】(4) 前記基板は、光透過性を有する上
記(2)または(3)に記載の光センサー。
【0011】(5) 前記受光層で生じる電流の供給を
オン・オフするスイッチング手段を有する上記(1)な
いし(4)のいずれかに記載の光センサー。
【0012】(6) 前記スイッチング手段を画素毎に
有する上記(5)に記載の光センサー。
【0013】(7) 前記スイッチング手段は、薄膜ト
ランジスターで構成されている上記(5)または(6)
に記載の光センサー。
【0014】(8) 前記受光層、透明電極、対向電
極、およびスイッチング手段は、同一基板上に設けられ
ている上記(5)ないし(7)のいずれかに記載の光セ
ンサー。
【0015】(9) 前記スイッチング手段へ向かう光
を遮光する遮光手段を有する上記(5)ないし(8)の
いずれかに記載の光センサー。
【0016】(10) 画素が一列に並んでいる部分を
有する上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の光セ
ンサー。
【0017】(11) 前記透明電極および/または前
記対向電極の少なくとも一部分は、画素毎に形成されて
いる上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の光セ
ンサー。
【0018】(12) 前記受光層は、画素毎に形成さ
れている上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の
光センサー。
【0019】(13) 前記受光層は、多孔質である上
記(1)ないし(12)のいずれかに記載の光センサ
ー。
【0020】(14) 前記受光層の空孔率は、5〜9
0%である上記(13)に記載の光センサー。
【0021】(15) 前記受光層の表面粗さRaは、
5nm〜10μmである上記(1)ないし(14)のい
ずれかに記載の光センサー。
【0022】(16) 前記受光層は、平均厚さが0.
1〜300μmである上記(1)ないし(15)のいず
れかに記載の光センサー。
【0023】(17) 前記酸化チタンは、主として二
酸化チタンで構成される上記(1)ないし(16)のい
ずれかに記載の光センサー。
【0024】(18) 前記受光層は、塗布法を用いて
形成されたものである上記(1)ないし(17)のいず
れかに記載の光センサー。
【0025】(19) 前記対向電極は、異なる材料で
構成された複数の電極を有する上記(1)ないし(1
8)のいずれかに記載の光センサー。
【0026】(20) 前記対向電極は、第1の対向電
極と、該第1の対向電極と前記受光層との間に介挿され
た半導体電極とを有する上記(1)ないし(19)のい
ずれかに記載の光センサー。
【0027】(21) 前記半導体電極は、画素毎に形
成されている上記(20)に記載の光センサー。
【0028】(22) 前記半導体電極は、前記受光層
と接している上記(20)または(21)に記載の光セ
ンサー。
【0029】(23) 前記半導体電極は、イオン伝導
特性を有する物質で構成されている上記(20)ないし
(22)のいずれかに記載の光センサー。
【0030】(24) 前記イオン伝導特性を有する物
質は、ハロゲン化金属化合物である上記(23)に記載
の光センサー。
【0031】(25) 前記ハロゲン化金属化合物は、
ヨウ化金属化合物である上記(24)に記載の光センサ
ー。
【0032】(26) 前記半導体電極は、塗布法、印
刷法、またはインクジェット法を用いて形成されたもの
である上記(20)ないし(25)のいずれかに記載の
光センサー。
【0033】(27) 各画素を覆うように保護層が形
成されている上記(1)ないし(26)のいずれかに記
載の光センサー。
【0034】(28) 前記受光層への光の入射角が9
0°のときに前記受光層で生じる電流をA90、前記受
光層への光の入射角が52°のときに前記受光層で生じ
る電流をA52としたとき、A52/A90が0.8以
上である上記(1)ないし(27)のいずれかに記載の
光センサー。
【0035】(29) ラインセンサーである上記
(1)ないし(28)のいずれかに記載の光センサー。
【0036】(30) 上記(1)ないし(29)のい
ずれかに記載の光センサーと、前記光センサーを駆動す
るドライバーとを有することを特徴とする光センサーユ
ニット。
【0037】(31) 前記光センサーからの電流を増
幅する増幅手段を有する上記(30)に記載の光センサ
ーユニット。
【0038】(32) 前記ドライバーは、前記光セン
サーを画素毎に駆動可能な上記(30)または(31)
に記載の光センサーユニット。
【0039】(33) 前記ドライバーは、該ドライバ
ーに供給されるクロック信号に同期して前記光センサー
を駆動する上記(30)ないし(32)のいずれかに記
載の光センサーユニット。
【0040】(34) 前記クロック信号に同期して、
前記光センサーからの信号を出力する上記(33)に記
載の光センサーユニット。
【0041】
【発明の実施の形態】以下、本発明の光センサーおよび
光センサーユニットを、添付図面に示す好適実施形態に
基づいて、詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、
ラインセンサーを光センサーの代表として説明する。
【0042】<<< ラインセンサーの第1実施形態
>>>図1は、本発明のラインセンサーの第1実施形態
を示す模式的な縦断面図である。図2は、図1に示すラ
インセンサーの一画素を拡大した模式的な縦断面図であ
る。図3は、図1に示すラインセンサーの受光層と対向
電極との界面付近を拡大した縦断面図である。図4は、
図1に示すラインセンサーの受光層の受光面付近を拡大
した縦断面図である。
【0043】図1に示すラインセンサー(イメージセン
サー)1は、光検知(受光)の一単位となる画素100
a〜100zが一列(直線的)に複数配置された構成と
なっており、画素毎に独立して光を検知することができ
る。したがって、ラインセンサー1は、被写体から任意
に切り出した一次元のイメージを、読み取ることができ
る。
【0044】図1および図2に示すように、ラインセン
サー1は、基板2と、基板2上に設置されたスイッチン
グ部7a〜7zおよびセンサー部8a〜8zと、これら
スイッチング部7a〜7zおよびセンサー部8a〜8z
上に設けられた保護層25とを有している。
【0045】本実施形態では、センサー部8a〜8zお
よびスイッチング部7a〜7zは、画素100a〜10
0z毎に、それぞれ独立して設けられている。また、保
護層25は、画素100a〜100zを覆うように(す
なわち複数の画素を覆うように)、設けられている。
【0046】センサー部8a〜8zは、主としてセンサ
ーとして機能する部分である。すなわち光電変換により
入射光に対応した電流を出力する部分である。このセン
サー部8a〜8zは、基板2側から順に、透明電極3a
〜3zと、受光層4a〜4zと、半導体電極5a〜5z
および第1対向電極6a〜6zを備える対向電極56a
〜56zとで構成されている。図1、図2に示すよう
に、センサー部8a〜8zは、受光層4a〜4zに半導
体電極5a〜5zが接合され、また、これら受光層4a
〜4zおよび半導体電極5a〜5zを挟むように、透明
電極3a〜3zと第1対向電極6a〜6zとが設けられ
た構成となっている。なお、透明電極3a〜3zは、受
光層4a〜4zに接している。また、第1対向電極6a
〜6zは、半導体電極5a〜5zに接している。
【0047】スイッチング部7a〜7zは、主として、
センサー部8a〜8zからの出力電流の供給をオン・オ
フする部分である。各スイッチング部7a〜7zは、薄
膜トランジスター(スイッチング手段)71a〜71z
と、遮光層72とを、それぞれ有している。
【0048】本発明では、受光層4a〜4zを主として
酸化チタンで構成した。これにより、例えば基板2が湾
曲して受光層4a〜4zに応力が加わった場合でも、受
光層4a〜4zが断裂することが、好適に防止される。
【0049】このラインセンサー1では、検知される
光、すなわち入射光は、基板2側から入射する。この入
射光は、各受光層4a〜4zで、光電変換される。この
光電変換により生じる電荷すなわち電流は、各画素10
0a〜100zに入射した光の強度に対応しており、画
素100a〜100z毎に異なる。受光層4a〜4zで
画素100a〜100z毎に生成された電流は、透明電
極3a〜3z、半導体電極5a〜5z、第1対向電極6
a〜6z、およびスイッチング部7a〜7zを介して、
例えばラインセンサー1に接続された回路に供給され
る。このときの電流の供給は、薄膜トランジスター71
a〜71zにより、画素100a〜100z毎にオン・
オフされる。
【0050】本明細書では、説明の便宜上、入射光が入
射する側の面を、「入射面」と言う。入射面と反対側の
面を、「裏面」と言う。図1および図2では、図中の下
側の面が入射面となり、上側の面が裏面となる。
【0051】以下の説明において、総称して述べた方が
説明が分かりやすくなる場合には、画素100a〜10
0zを、単に、「画素100」という。同様に、スイッ
チング部7a〜7z、およびセンサー部8a〜8zを、
それぞれ、単に、「スイッチング部7」、および「セン
サー部8」という。同様に、透明電極3a〜3z、受光
層4a〜4z、半導体電極5a〜5z、および第1対向
電極6a〜6zを、それぞれ、単に、「透明電極3」、
「受光層4」、「半導体電極5」、および「第1対向電
極6」という。同様に、対向電極56a〜56zを、単
に、「対向電極56」という。同様に、薄膜トランジス
ター71a〜71zを、単に、「薄膜トランジスター7
1」という。
【0052】以下、ラインセンサー1を構成要素ごとに
説明する。
【0053】<基板2>基板2は、例えば、平板状の部
材で構成される。
【0054】この基板(基材)2は、基板2上に形成さ
れる各部材、具体的には、スイッチング部7を構成する
各部材、透明電極3、受光層4、半導体電極5、第1対
向電極6、および保護層25を支持する機能を有してい
る。
【0055】前述したように、本実施形態のラインセン
サー1では、入射光は、基板2側から受光層4に入射す
る。このような観点から、基板2は、光透過性を有する
もの、好ましくは実質的に透明(無色透明、有色透明ま
たは半透明)なものとされる。これにより、入射光が、
基板2を通過する際に減衰することが好適に防止され、
受光層4に効率よく到達するようになる。
【0056】この基板2は、例えば各種ガラス材料等の
硬質な材料で構成することもできるし、例えば各種プラ
スチック材料等の可とう性を有する材料(フレキシブル
素材)で構成することもできる。
【0057】基板2を硬質な材料(硬質材料)で構成す
ると、このような材料は一般的に比較的高い耐熱性を有
しているので、製造時に基板2上に薄膜トランジスター
71を形成することが容易となる。また、基板2上に電
子回路(例えば後述するドライバー92、増幅手段93
など)等を付加することも容易となる。
【0058】一方、基板2を可とう性を有する材料(可
とう性材料)で構成すると、可とう性を有するラインセ
ンサー1が得られる。詳細は後述するが、本発明では、
受光層4が、可とう性を有している。このため、本発明
のラインセンサー1では、基板2を湾曲させると、受光
層4は、破断・断裂せずに、基板2の湾曲に追従して湾
曲することができる。ゆえに、基板2を可とう性を有す
る材料で構成すると、ラインセンサー1は、全体として
可とう性を獲得できる。その結果、可とう性を有するラ
インセンサー1が得られる。
【0059】このような基板2の厚さ(平均)は、材
料、用途等により適宜設定され、特に限定されないが、
例えば、次のように設定することができる。
【0060】基板2を硬質な材料で構成する場合、基板
2の厚さは、0.1〜1.5mm程度であるのが好まし
く、0.8〜1.2mm程度であるのがより好ましい。
【0061】また、基板2を可とう性を有する材料で構
成する場合、基板2の厚さは、0.5μm〜1.5mm
程度であるのが好ましく、10μm〜1.2mm程度で
あるのがより好ましい。これにより、ラインセンサー1
の柔軟性と強度、および小型化との調和を図ることが容
易となる。なお、基板2は、必要に応じて、省略するこ
とができる。
【0062】<スイッチング部7>以上述べた基板2の
一方の面(裏面)には、スイッチング部7a〜7zが、
画素100a〜100z内に、それぞれ設置されてい
る。図2に示すように、1個のスイッチング部7は、薄
膜トランジスター71と、薄膜トランジスター71へ向
かう光を遮光・遮断する遮光層72とを有している。
【0063】以下、説明の便宜上、基板2の法線を基準
として、基板2に近付く方向を「下方」、基板2から離
間する方向を「上方」という。
【0064】・遮光層72 遮光層72は、基板2の裏面に設けられており、また、
薄膜トランジスター71の入射面側に位置している。こ
の遮光層72により、光が薄膜トランジスター71に入
射することが防止される。その結果、薄膜トランジスタ
ー71内で光電変換現象が起こることが、好適に防止さ
れる。これにより、ラインセンサー1の動作中に、入射
光の影響により薄膜トランジスター71のインピーダン
ス特性やスイッチング特性が変化することが、好適に防
止される。
【0065】この遮光層72は、例えば、Cr、Al、Al合
金、Ni、Zn、Ti等の金属、カーボンやチタン等の不透明
性材料(遮光性材料)を分散させた樹脂(不透明な樹
脂)などで構成される。なお、遮光層72は基板2の入
射面に設けてもよい。また、遮光層72は、設けなくて
もよい。
【0066】・薄膜トランジスター71 このような遮光層72上には、薄膜トランジスター71
が設けられている。薄膜トランジスター71は、遮光層
72上に設けられた下地層711と、下地層711上に
設けられ、チャンネル部712とソース部713とドレ
イン部714とを備える半導体層719と、半導体層7
19を覆うように設けられた絶縁層715と、チャンネ
ル部712上方の絶縁層715上に設けられたゲート電
極716と、一部分がソース部713に接触しているソ
ース電極717と、一部分がドレイン部714に接触し
ているドレイン電極718とを有している。
【0067】下地層711は、半導体層719と遮光層
72との密着性が低い場合には、半導体層719と遮光
層72との密着性を高める機能を果たす。また、遮光層
72が金属等の導体で構成されている場合には、下地層
711は、半導体層719と遮光層72との短絡を防止
する機能を果たす。
【0068】このような観点からは、下地層711は、
例えば、SiO2、TEOS(ケイ酸エチル)等のケイ
素化合物で構成されることが好ましい。なお、下地層7
11は、これ以外の材料、例えば樹脂、セラミックス等
で構成されてもよいことは、言うまでもない。
【0069】なお、下地層711は、画素100の全域
にわたって形成されていてもよく、また、基板2上に、
全面にわたって形成されていてもよい。この場合、下地
層711は、例えば、SiO2等の光透過性(透明性)
を有する材料で構成すると良い。なお、下地層711
は、設けなくてもよい。
【0070】本実施形態では、この下地層711上に、
半導体層719が設けられている。この半導体層719
は、例えば、多結晶シリコン、アモルファスシリコン等
のシリコン、ゲルマニウム、ヒ素化ガリウム等の半導体
材料で構成される。
【0071】前述したように、この半導体層719は、
チャンネル部712とソース部713とドレイン部71
4とを有している。図2に示すように、半導体層719
は、チャンネル部712の一方の側部にソース部713
が形成され、チャンネル部712の他方の側部にドレイ
ン部714が形成された構成となっている。
【0072】チャンネル部712は、例えば、真性半導
体材料で構成される。ソース部713およびドレイン部
714は、例えば、リン等のn型不純物が導入(ドー
プ)された半導体材料で構成される。なお、半導体層7
19の構成はこの構成に限定されず、例えば、ソース部
713およびドレイン部714は、p型不純物が導入さ
れた半導体材料で構成されてもよい。また、チャンネル
部712は、例えば、p型またはn型不純物が導入され
た半導体材料で構成されてもよい。
【0073】このような半導体層713は、絶縁層71
5で覆われている。この絶縁層715のうち、チャンネ
ル部712とゲート電極716との間に介在している部
分は、チャンネル部712とゲート電極716との間に
生じる電界の経路となるゲート絶縁層として機能する。
本実施形態では、絶縁層715は、半導体層713に加
えて、下地層711および遮光層72(半導体層719
からはみ出た部分)も、覆っている。これにより、ソー
ス電極717、ドレイン電極718と遮光層72との短
絡等が、好適に防止される。
【0074】この絶縁層715は、例えば、SiO2
どで構成される。
【0075】このような絶縁層715上には、ゲート電
極716、ソース電極717、およびドレイン電極71
8が設けられている。前述したように、ゲート電極71
6は、チャンネル部712の上方に形成されている。ソ
ース電極717は、ソース部713に接触している。ド
レイン電極718は、ドレイン部714に接触してい
る。
【0076】図2に示すように、絶縁層715のソース
部713が形成された領域内には、ソース部713に連
通する孔部(コンタクトホール)が形成されている。ソ
ース電極717は、この孔部を通じて、ソース部713
に接触している。また、絶縁層715のドレイン部71
4が形成された領域内には、ドレイン部714に連通す
る孔部が形成されている。ドレイン電極718は、この
孔部を通して、ドレイン部714に接触している。
【0077】本実施形態のラインセンサー1では、ドレ
イン電極718は、第1対向電極6と一体的に形成され
ている。すなわち、ドレイン電極718は、第1対向電
極6と電気的に接続されている。また、ソース電極71
7は、図示しない部分で、互いに電気的に接続されてい
る。さらには、各ゲート電極718は、他の回路(例え
ば後述するドライバー92)に、並列に接続可能になっ
ている。
【0078】これらゲート電極716、ソース電極71
7、およびドレイン電極718は、例えば、Al、Al合
金、Cr、Mo、Ta等の金属などで構成される。
【0079】<透明電極3>以上述べた薄膜トランジス
ター71a〜71zの近傍には、層状(平板状)の透明
電極3a〜3zが、画素100a〜100z毎に、それ
ぞれ独立して設置されている。
【0080】この透明電極3は、受光層4で発生した電
子を捕捉・受容する機能を有している。
【0081】図1、2に示すように、透明電極(第1の
電極)3は、受光層4の受光面側に位置している。この
ため、本実施形態のラインセンサー1では、入射光は、
透明電極3を通ってから、受光層4に到達する。このよ
うな観点から、透明電極3は、光透過性を有するもの、
好ましくは実質的に透明(無色透明、有色透明または半
透明)なものとされる。これにより、入射光が、透明電
極3を通過する際に減衰することが好適に防止され、受
光層4に効率よく到達するようになる。
【0082】なお、本明細書において、透明電極という
用語の「透明」とは、光透過性を有するという程度の意
である。また、本明細書において、対向電極の「対向」
という語は、受光層を挟んで透明電極に対向して設置さ
れるという意で、使用する。
【0083】入射光を効率よく透過させる観点からは、
透明電極3の構成材料としては、例えば、インジウムテ
ィンオキサイド(ITO)、フッ素ドープした酸化錫
(FTO)、酸化インジウム(IO)、酸化錫(SnO
2)のような金属酸化物、これらの材料を2種以上組み
合わせたもの、これらの材料と他の材料を組み合わせた
ものなどが、好適に用いられる。また、これら以外に
も、透明電極3の構成材料には、例えば、ポリアセチレ
ン類等の導電性樹脂を用いてもよい。
【0084】本実施形態のラインセンサー1では、透明
電極3は、図示しない部分で、互いに電気的に接続され
ている。
【0085】透明電極3の厚さ(平均)は、材料、用途
等により適宜設定され、特に限定されないが、0.05
〜5μm程度であるのが好ましく、0.1〜2μm程度
であるのがより好ましい。
【0086】なお、本実施形態では、透明電極3を画素
毎に独立して設けたが、透明電極3は、例えば、画素間
で連結されていてもよい。また、例えば、透明電極3
は、画素100a〜100zを覆うように、基板2の全
面にわたって設けてもよい。
【0087】<受光層4>本実施形態のラインセンサー
1では、透明電極3a〜3zを覆うように、受光層4a
〜4zが、画素100a〜100z毎に、それぞれ独立
して設けられている。
【0088】この受光層4の受光面の主要部は、透明電
極3の裏面に接している。本実施形態のように、透明電
極3を覆うように受光層4を形成すると、透明電極3と
第1対向電極6との短絡を、極めて容易かつ好適に、防
止できる。この受光層4は、光を受光して、内部に、電
子と正孔とを発生させる。本実施形態では、この受光層
4は、n型半導体として機能する。
【0089】本発明では、この受光層4を、主として酸
化チタンで構成した。すなわち、本発明のラインセンサ
ー1では、受光層4は、酸化チタンを主として含んでい
る。かかる酸化チタンは、可とう性を有している。この
ため、酸化チタンで構成された受光層4は、可とう性を
有している。したがって、本発明によれば、受光層4が
湾曲し、受光層4に応力が加わった場合でも、受光層4
に、破断・断裂が生じることが、好適に防止される。
【0090】ゆえに、本発明によれば、可とう性を有す
るラインセンサー1が得られる。この場合、基板2を、
例えばプラスチック等の可とう性を有する材料で構成す
ると良い。これにより、基板2を、好適に湾曲させるこ
とができるようになる。そして、前述したように、受光
層4は、可とう性を有しているため、基板2を湾曲させ
ても、通常、破壊されない。
【0091】なお、ラインセンサー1では、薄膜トラン
ジスター71の半導体層719等はシリコン等の硬質材
料で構成されることが多いが、通常、1個の半導体層7
19は、受光層4に比べて、はるかに小さい。このた
め、基板2を湾曲させた場合でも、半導体層719に断
裂・破壊が生じるほどの応力は、半導体層719には加
わりにくい。
【0092】ゆえに、基板2を可とう性を有する材料で
構成すると、ラインセンサー1を意図的に湾曲させるこ
とが、可能となる。別言すれば、本発明によれば、湾曲
・変形させて使用可能なラインセンサー1が得られる。
このため、例えば、本発明のラインセンサー1をバーコ
ード読み取り装置のヘッドに適用した場合、バーコード
が印刷された面に追従して読み取りヘッドが変形するよ
うなバーコード読み取り装置を、製造することが可能と
なる。これにより、バーコードが曲面等読み取りにくい
場所に形成されている場合でも、かかるバーコードを、
好適に読み取れるようになる。また、例えば、本発明の
ラインセンサー1をファクシミリ装置の送信原稿読み取
りヘッドに適用した場合、例えば給紙ロール上に、かか
るロールの外周面に対応するように湾曲させた状態で、
送信原稿読み取りヘッドを設置することが、可能にな
る。このため、装置の設計の自由度が高まるとともに、
装置の小型化、省スペース化を図ることができる。この
ように、本発明のラインセンサー1は、様々な応用、発
展の可能性を秘めている。
【0093】なお、基板2を例えばガラス等の硬質な材
料で構成した場合でも、ラインセンサー1は、受光層4
が可とう性を有していることの利点を享受できる。例え
ば、基板2が硬質な材料で構成されている場合、事故や
経年劣化等によって基板2が反ったり湾曲したりしてし
まう場合がある。この場合でも、本発明のラインセンサ
ー1では、受光層4が破断・断裂してしまうことが好適
に防止される。ゆえに、本発明のラインセンサー1で
は、基板2の反り・湾曲に起因する画素欠陥等が、生じ
にくい。
【0094】前述したように、受光層4の可とう性は、
受光層4を主として酸化チタンで構成したことにより実
現される。かかる酸化チタンとしては、例えば、二酸化
チタン、一酸化チタン、三酸化二チタン等が挙げられ、
これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用い
ることができる。この中でも、本発明のラインセンサー
1に用いられる酸化チタンとしては、二酸化チタンを用
いることが好ましい。すなわち、受光層4は、主として
二酸化チタンで構成されることが好ましい。二酸化チタ
ンは、光に対する感受性が特に高い。このため、受光層
4を主として二酸化チタンで構成すると、ラインセンサ
ー1の感度が、より向上する。
【0095】このような二酸化チタンとしては、アナタ
ーゼ型の結晶構造を有する二酸化チタンを主として用い
てもよいし、また、ルチル型の結晶構造を有する二酸化
チタンを主として用いてもよいし、さらには、両者の混
合物(両者の結晶構造が混在する二酸化チタン)を主と
して用いてもよい。
【0096】ルチル型の二酸化チタンは、その結晶構造
が安定しているので、ルチル型の二酸化チタンを主とす
る受光層4では、過酷な環境下に曝された場合でも、経
年変化(劣化)が少なく、安定した性能が長期間継続し
て得られるという利点を有する。
【0097】一方、アナターゼ型の二酸化チタンの結晶
構造は、比較的不安定であることに起因して、アナター
ゼ型の二酸化チタンを主とする受光層4では、電子をよ
り高効率で発生させ易いという利点を有する。
【0098】さらに、ルチル型の二酸化チタンとアナタ
ーゼ型の二酸化チタンとの混合物を主とする受光層4で
は、前述した利点を併有させることができる。このよう
に受光層4をルチル型の二酸化チタンとアナターゼ型の
二酸化チタンとを混合したもので構成する場合には、両
者の質量比は、特に限定されないが、例えば、95:5
〜5:95程度であるのが好ましく、80:20〜2
0:80程度であるのがより好ましい。
【0099】このような酸化チタンで構成された受光層
4は、膜状をなしていることが好ましい。これにより、
ラインセンサー1の小型化を図れる。また、これによ
り、製造が容易になるとともに、製造コストを削減でき
る。なお、受光層4は、比較的厚さの大きなものであっ
てもよい。
【0100】また、受光層4は、多孔質であることが好
ましい。このような観点から、本実施形態のラインセン
サー1では、受光層4は、図3、4に示すように、複数
の孔41を有している。受光層4が多孔質であると、受
光層4の構成材料(酸化チタン)と入射光との接触面
積、すなわち実質的な入射面積が増大し、光電変換効率
が上昇する。また、受光層4が多孔質であると、受光層
4と半導体電極5との接触面積が増大し、受光層4から
半導体電極5への正孔の輸送効率が、高まる。さらに
は、受光層4に色素を含有させる場合(後述参照)、酸
化チタンと色素との吸着量が増大する。なお、受光層4
は、緻密質であってもよい。
【0101】このように受光層4が多孔質である場合、
受光層4の空孔率は、特に限定されないが、例えば、5
〜90%程度であるのが好ましく、15〜50%程度で
あるのがより好ましく、20〜40%程度であるのがさ
らに好ましい。空孔率が前記範囲内の受光層4では、光
の利用効率がさらに向上する。その結果、受光層4は、
さらに効率よく電子を発生させることができるようにな
る。
【0102】このような効果をより容易に得られるよう
にする観点からは、受光層4は、酸化チタン粉末(粉末
状の酸化チタン)を用いて形成されたものであることが
好ましい。これにより、受光層4をより容易かつ確実に
多孔質とすることができる。
【0103】この場合、酸化チタン粉末全体としての平
均粒径は、特に限定されないが、例えば、1nm〜1μ
m程度であるのが好ましく、5〜50nm程度であるの
がより好ましい。酸化チタン粉末の平均粒径を前記の範
囲内とすることにより、受光層4内における酸化チタン
の分布を、より均一なものとすることができる。また、
このように酸化チタン粉末の平均粒径を小さくすること
により、得られる受光層4の比表面積(表面積)を、よ
り大きくすることができる。
【0104】このような受光層4の受光面の表面粗さR
aは、特に限定されないが、例えば、5nm〜10μm
程度であるのが好ましく、20nm〜1μm程度である
のがより好ましい。これにより、受光層4は、さらに効
率よく電子を発生させることができるようになる。
【0105】受光層4は、可視化処理が施されているこ
とが好ましい。すなわち、可視光領域(通常、400〜
750nm程度)において受光層4が吸収する光の量を
増大させる処理が、受光層4に施されていることが好ま
しい。これにより、受光層4の光の利用効率がより向上
し、受光層4は、より高頻度に電子を発生させることが
できるようになる。その結果、受光層4の光電変換効率
(光電量子効率)がさらに向上し、受光層4の光検知
能、すなわち感度が、さらに高いものとなる。
【0106】このような可視化処理の方法としては、例
えば、受光層4(酸化チタン)に色素を吸着させる色
素吸着法、酸化チタンに酸素欠陥を形成する酸素欠陥
形成法、チタン原子の一部をチタン原子以外の金属原
子に置換する原子置換法等が挙げられ、これらのうちの
1種または2種以上を組み合わせて用いることができ
る。以下、これら〜の方法について、それぞれ、詳
述する。
【0107】 色素吸着法 色素吸着法では、受光層4(酸化チタンの膜状体)に色
素を吸着させることにより受光層4の可視化がなされ
る。
【0108】この色素としては、特に限定されないが、
例えば、顔料、染料等が挙げられ、これらを単独または
混合して使用することができるが、経時的変質、劣化が
より少ないという点で顔料を、吸着性がより優れるとい
う点で染料を用いるのが好ましい。
【0109】顔料としては、特に限定されないが、例え
ば、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー等
のフタロシアニン系顔料、ファストイエロー、ジスアゾ
イエロー、縮合アゾイエロー、ペンゾイミダゾロンイエ
ロー、ジニトロアニリンオレンジ、ペンズイミダゾロン
オレンジ、トルイジンレッド、パーマネントカーミン、
パーマネントレッド、ナフトールレッド、縮合アゾレッ
ド、ベンズイミダゾロンカーミン、ベンズイミダゾロン
ブラウン等のアゾ系顔料、アントラピリミジンイエロ
ー、アントラキノニルレッド等のアントラキノン系顔
料、銅アゾメチンイエロー等のアゾメチン系顔料、キノ
フタロンイエロー等のキノフタロン系顔料、イソインド
リンイエロー等のイソインドリン系顔料、ニッケルジオ
キシムイエロー等のニトロソ系顔料、ペリノンオレンジ
等のペリノン系顔料、キナクリドンマゼンタ、キナクリ
ドンマルーン、キナクリドンスカーレット、キナクリド
ンレッド等のキナクリドン系顔料、ペリレンレッド、ペ
リレンマルーン等のペリレン系顔料、ジケトピロロピロ
ールレッド等のピロロピロール系顔料、ジオキサジンバ
イオレット等のジオキサジン系顔料のような有機顔料、
カーボンブラック、ランプブラック、ファーネスブラッ
ク、アイボリーブラック、黒鉛、フラーレン等の炭素系
顔料、黄鉛、モリブデートオレンジ等クロム酸塩系顔
料、カドミウムイエロー、カドミウムリトポンイエロ
ー、カドミウムオレンジ、カドミウムリトポンオレン
ジ、銀朱、カドミウムレッド、カドミウムリトポンレッ
ド、硫化等の硫化物系顔料、オーカー、チタンイエロ
ー、チタンバリウムニッケルイエロー、べんがら、鉛
丹、アンバー、褐色酸化鉄、亜鉛鉄クロムブラウン、酸
化クロム、コバルトグリーン、コバルトクロムグリー
ン、チタンコバルトグリーン、コバルトブルー、セルリ
アンブルー、コバルトアルミニウムクロムブルー、鉄
黒、マンガンフェライトブラック、コバルトフェライト
ブラック、銅クロムブラック、銅クロムマンガンブラッ
ク等の酸化物系顔料、ビリジアン等の水酸化物系顔料、
紺青等のフェロシアン化物系顔料、群青等のケイ酸塩系
顔料、コバルトバイオレット、ミネラルバイオレット等
のリン酸塩系顔料、その他(例えば硫化カドミウム、セ
レン化カドミウム等)のような無機顔料等が挙げられ、
これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用い
ることができる。
【0110】また、染料としては、特に限定されない
が、例えば、RuL2(SCN)2、RuL2Cl2、RuL2(CN)2、Ruteni
um535-bisTBA(Solaronics社製)、[RuL2(NCS)2]2H2Oの
ような金属錯体色素、シアン系色素、キサンテン系色
素、アゾ系色素、ハイビスカス色素、ブラックベリー色
素、ラズベリー色素、ザクロ果汁色素、クロロフィル色
素等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を
組み合わせて用いることができる。なお、前記組成式中
のLは、2,2'ーbipyridine、または、その誘導体を示
す。
【0111】 酸素欠陥形成法 酸素欠陥形成法では、酸化チタンに酸素欠陥を形成する
ことにより、受光層4の可視化がなされる。
【0112】酸素欠陥を形成する方法としては、特に限
定されないが、例えば、酸化チタン粉末あるいは膜状体
を、水素雰囲気(還元雰囲気)中で熱処理する方法、真
空(例えば10-5〜10-6Torr)下で熱処理する方
法、低温プラズマ処理する方法等が挙げられる。この中
でも、酸素欠陥を形成する方法としては、酸化チタン粉
末あるいは膜状体を、水素雰囲気中で熱処理する方法が
好ましい。
【0113】 原子置換法 原子置換法では、チタン原子の一部をチタン原子以外の
金属原子に置換することにより、受光層4の可視化がな
される。
【0114】チタン原子の一部をチタン原子以外の金属
原子に置換する方法としては、例えば、金属原子あるい
はその酸化物からなる無機増感剤が添加された受光層材
料の膜状体を焼成(焼結)する方法、金属原子をイオン
化して膜状体に対して注入する(打ち込む)方法等が挙
げられる。この中でも、チタン原子の一部をチタン原子
以外の金属原子に置換する方法としては、無機増感剤が
添加された受光層材料の膜状体を焼成する方法がより好
ましい。なお、原子置換法は、酸化チタン粉末に施すこ
ともできる。
【0115】以上述べた受光層4の平均厚さ(膜厚)
は、特に限定されないが、例えば、0.1〜300μm
程度であるのが好ましく、0.5〜100μm程度であ
るのがより好ましく、1〜25μm程度であるのがさら
に好ましい。受光層4の平均厚さが前記下限値未満の場
合、その空孔率等によっては、受光層4に入射した光の
透過が著しく、光の利用効率が低下することがある。一
方、受光層4の厚さを前記上限値を超えて厚くしても、
それ以上、光の利用効率の増大が見込めない。
【0116】なお、本実施形態では、受光層4を画素毎
に独立して設けたが、受光層4は、例えば、画素間で連
結されていてもよい。また、例えば、受光層4は、画素
100a〜100zを覆うように、基板2の全面にわた
って設けてもよい。また、受光層4は、酸化チタン以外
の他の成分、例えば、バインダー、可塑剤、酸化防止剤
等を含んでいてもよい。
【0117】<半導体電極5>受光層4の裏面(上面)
には、層状(平板状)の半導体電極(第2対向電極)5
が、画素100a〜100z毎に、それぞれ独立して設
置、接合されている。図1、2に示すように、この半導
体電極(介挿電極)5は、受光層4と第1対向電極6と
の間に介挿されるように、設けられている。
【0118】この半導体電極(第3の電極)5は、受光
層4で発生した正孔を捕捉し、この正孔を第1対向電極
6に供給することができる。この半導体電極5は、受光
層4がn型半導体として機能する場合、p型半導体とし
て機能する。したがって、本実施形態では、半導体電極
5は、p型半導体として機能する。本実施形態のライン
センサー1では、半導体電極5と受光層4との界面にダ
イオード特性を有する整流障壁が形成され、整流作用が
生じる。したがって、本明細書では、例えば図5に示す
ような回路図においては、センサー部8は、ダイオード
の記号で表記する。
【0119】このような半導体電極5は、図3に示すよ
うに、受光層4の内部(孔41)に入り込んで形成され
ているのが好ましい。これにより、受光層4と半導体電
極5との実質的な接触面積、すなわち整流障壁の形成領
域が増大する。その結果、受光層4での光電変換効率が
向上し、センサー部8の光センサーとしての感度が、よ
り鋭敏になる。
【0120】この半導体電極5は、イオン伝導特性を有
する物質で構成されることが好ましい。すなわち、半導
体電極5は、イオン伝導特性を有する物質を含むことが
好ましい。これにより、半導体電極5と受光層4との界
面に整流障壁が極めて好適に形成され、センサー部8の
受光感度が、さらに向上する。
【0121】このようなイオン伝導特性を有する物質と
しては、例えば、CuI、AgIのようなヨウ化金属化
合物、AgBrのような臭化金属化合物等のハロゲン化
金属化合物、CuSCNのようなチオシアン化金属化合
物、これらを2種以上組み合わせたもの、これらの物質
と他の物質とを組み合わせたものなどを挙げることがで
きる。
【0122】この中でも、イオン伝導特性を有する物質
としては、ヨウ化金属化合物、臭化金属化合物等のハロ
ゲン化金属化合物が好ましい。ハロゲン化金属化合物
は、イオン伝導特性に特に優れている。しかも、ハロゲ
ン化金属化合物は、柔軟性にも優れている。加えて、ハ
ロゲン化金属化合物は、製造時の取り扱いが容易であ
る。
【0123】さらにその中でも、イオン伝導特性を有す
る物質としては、CuI、AgIのようなヨウ化金属化
合物が、特に好ましい。ヨウ化金属化合物は、イオン伝
導特性に極めて優れている。また、ヨウ化金属化合物は
安定性が高く、経時的に劣化しにくい。
【0124】このような半導体電極5の厚さ(平均)
は、特に限定されないが、例えば、1〜500μm程度
であるのが好ましく、10〜300μm程度であるのが
より好ましく、10〜50μm程度であるのがさらに好
ましい。これにより、センサー部8のインピーダンスが
増大するのを抑制しつつ、センサー部8内での正孔の輸
送効率を、高めることができる。
【0125】なお、半導体電極5は、イオン伝導特性を
有する物質以外の物質、例えば、金属酸化物、金属など
で構成してもよい。また、整流障壁は、受光層4と半導
体電極5との界面ではなく、受光層4と透明電極3との
界面に形成されていてもよく、これらの双方に形成され
ていてもよい。
【0126】なお、本実施形態では、半導体電極5を画
素毎に独立して設けたが、半導体電極5は、例えば、画
素間で連結されていてもよい。また、例えば、半導体電
極5は、画素100a〜100zを覆うように、基板2
の全面にわたって設けてもよい。
【0127】<第1対向電極6>半導体電極5の裏面
(上面)には、層状(平板状)の第1対向電極(対向電
極本体)6が、画素100a〜100z毎に、それぞれ
独立して設置されている。前述したように、本実施形態
では、第1対向電極6は、ドレイン電極718と一体的
に形成されている。すなわち、本実施形態では、第1対
向電極6は、半導体電極5および受光層4の側方を通っ
て薄膜トランジスター71のドレイン部714上方まで
伸び、ドレイン部714に接触している。この第1対向
電極(第2の電極)6は、受光層4で発生した正孔を受
容することができる。
【0128】この第1対向電極6は、導体で構成されて
いることが好ましい。このような観点からは、第1対向
電極(導体電極)6の構成材料としては、例えば、アル
ミニウム、ニッケル、コバルト、白金、銀、金、銅、モ
リブデン、チタン、タンタル等の金属、またはこれらを
含む合金などが、好適に用いられる。なお、これら以外
にも、第1対向電極6の構成材料には、例えば、IT
O、FTO、IO、SnO2等の金属酸化物、ポリアセ
チレン等の導電性樹脂、炭素、これらの材料を2種以上
組み合わせたもの、これらの材料と他の材料を組み合わ
せたものなどを用いてもよい。
【0129】第1対向電極6の厚さ(平均)は、材料、
用途等により適宜設定され、特に限定されないが、0.
05〜100μm程度であるのが好ましく、0.1〜3
0μm程度であるのがより好ましい。以上述べた対向電
極56では、必要に応じて、第1対向電極6、半導体電
極5のうちの一方を、省略してもよい。
【0130】<保護層25>以上述べた各スイッチング
部7a〜7zおよびセンサー部8a〜8zは、保護層2
5で覆われている。すなわち、各画素100a〜100
zは、保護層25で覆われている。図1に示すように、
本実施形態のラインセンサー1では保護層25は、基板
2の全面にわたって設けられている。
【0131】この保護層25により、スイッチング部7
およびセンサー部8の構成部材は、傷つき、短絡、酸化
等から、好適に保護される。
【0132】このような観点から、保護層25は、例え
ば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポ
リイミド等の樹脂、SiO2、TEOS等のケイ素化合
物、AlN、SiN、TiN等のセラミックスなどの絶
縁体で構成されることが好ましい。
【0133】この保護層25の厚さは、特に限定されな
いが、1〜1000μm程度であることが好ましく、5
〜500μm程度であることがより好ましい。
【0134】以上述べたラインセンサー1では、スイッ
チング手段に薄膜トランジスターを用いたが、かかるス
イッチング手段には、薄膜トランジスター以外のもの、
例えば、MIM素子などを用いてもよい。
【0135】<ラインセンサー1の作用>以下、ライン
センサー1の作用について説明する。
【0136】以下の作用では、透明電極3が電源のプラ
ス極(電源電圧)側に接続され、また、ソース電極71
7が電源のマイナス極(グランド)側に接続されている
ことを、前提とする。
【0137】まず、1個の画素100に着目して、説明
する。
【0138】まず、画素100、具体的には透明電極3
とソース電極717との間に、所定の電圧を印加する。
【0139】この状態でゲート電極716に所定の電圧
を印加すると、ゲート電極716とチャンネル部712
との間に電界が形成され、この電界の効果により、チャ
ンネル部712を介して、ソース部713とドレイン部
714との間を電子が移動可能となる。これにより、ド
レイン電極718とソース電極717との間が半導体層
719を介して導通し、薄膜トランジスター71が、オ
ンとなる。その結果、透明電極3と第1対向電極6との
間に、電圧が印加される。
【0140】前述したように、第1対向電極6と透明電
極3とは、受光層4と半導体電極5とを挟んで、設置さ
れている。換言すれば、第1対向電極6と透明電極3と
は、所定距離離間して、ほぼ平行に配置されている。こ
のため、センサー部8は、所定の静電容量を有してお
り、コンデンサーとして機能する。したがって、第1対
向電極6と透明電極3との間に電圧が印加されると、第
1対向電極6には所定のマイナス電荷が、また、透明電
極3には所定のプラス電荷が、蓄積される。
【0141】そして、受光層4に光が入射すると、受光
層4において電子が励起され、電子と正孔とが発生す
る。前述したように、受光層4と半導体電極5との間に
は、整流障壁が形成されている。このため、受光層4と
半導体電極5との間には、界面電位の差による電場が形
成される。したがって、受光層4で発生した電子と正孔
とは、この電場により引き分けられる。そして、電子
は、受光層4を通って、透明電極3に移動する。また、
正孔は、受光層4および半導体電極5を通って、第1対
向電極6に移動する。
【0142】その結果、透明電極3に蓄積されたプラス
電荷の一部は、受光層4から供給された電子により、相
殺される。また、第1対向電極6に蓄積されたマイナス
電荷の一部は、受光層4から供給された正孔により、相
殺される。
【0143】このため、かかる相殺された電荷を補うべ
く、電流が、電源のマイナス極と第1対向電極6との
間、および電源のプラス極と透明電極3との間を流れ
る。
【0144】ここで、受光層4で発生する電子と正孔の
量は、入射する光の量(強度)に、対応している。ま
た、第1対向電極6および透明電極3で相殺される電荷
の量は、受光層4で発生した電子と正孔の量に対応して
いる。したがって、第1対向電極6および透明電極3で
相殺される電荷の量は、受光層4に入射する光の量と、
対応している。また、透明電極3およびソース電極71
7(すなわち第1対向電極6)に接続された配線に流れ
る電流の電流値は、第1対向電極6および透明電極3で
相殺された電荷に対応している。ゆえに、透明電極3お
よびソース電極717に接続された配線に流れる電流の
電流値、すなわち出力される電流値は、受光層4に入射
する光の量と、対応している。
【0145】ラインセンサー1では、このような現象
が、各画素100a〜100zで、それぞれ独立して起
こる。よって、各画素100a〜100zからは、各受
光層4a〜4zに入射した光の量に対応した電流が、そ
れぞれ出力される。
【0146】ここで、前述したように、薄膜トランジス
ター71a〜71zは、各センサー部8a〜8zに印加
する電圧をオン・オフするスイッチング機能を有してい
る。したがって、検知を行いたい画素100の薄膜トラ
ンジスター71に電圧を印加すれば、ラインセンサー1
は、かかる画素100のセンサー部8で光電変換された
電流を、信号として出力することができる。
【0147】このようにして光を検知するラインセンサ
ー1は、受光層4への光の入射角が90°のときに受光
層4で生じる電流(すなわち透明電極3および第1対向
電極6に接続された配線に流れる電流)をA90、受光
層4への光の入射角が52°のときに受光層4で生じる
電流をA52としたとき、A52/A90が0.8以上
となるような特性を有しているのが好ましく、0.85
以上となるような特性を有しているのがより好ましい。
このようなラインセンサー1は、斜め方向(ラインセン
サー1の法線方向から所定角度傾斜した方向)から入射
光が入射してくる場合でも、かかる入射光を、高い精度
で検知できる。したがって、ラインセンサー1がバーコ
ードで反射した光を検知する場合を例に取ると、バーコ
ードが形成された面とラインセンサー1の入射面とが非
平行の位置関係にある場合でも、ラインセンサー1は、
バーコードで反射した光を、好適に検知できる。なお、
受光層4で生じる電流とは、例えば、各画素100a〜
100zで生じる電流の平均を指標とすることができ
る。また、この電流は、例えば、透明電極3と第1対向
電極6との間に5V程度の電圧を印加して測定された電
流を、指標とすることができる。
【0148】<<< ラインセンサー1の製造方法 >
>>以下、ラインセンサー1の製造方法の一例を説明す
る。
【0149】ラインセンサー1は、例えば、基板2を用
意し、この基板2上に、遮光層72、薄膜トランジスタ
ー71の主要部、透明電極3、受光層4、半導体電極
5、第1対向電極6とドレイン電極718とソース電極
717、および保護層25を順次形成することにより、
製造することができる。
【0150】以下、ラインセンサー1の製造方法の一例
を、工程ごとに、詳細に説明する。なお、基板2を樹脂
等で構成する場合に行なうべき好ましい処理・工程は、
各工程を説明し終えた後、まとめて説明する。
【0151】まず、例えばガラス等で構成された基板2
を用意する。この基板2には、厚さが均一で、たわみの
ないものが好適に用いられる。
【0152】[1] 遮光層72の形成 次に、基板2上に、遮光層72を形成する。
【0153】この遮光層72は、例えば、気相成膜法
(例えば蒸着法、スパッタリング法等の物理蒸着法な
ど)とフォトリソグラフィー法とを組み合わせることに
より、形成することができる。一例として、1)まず、
基板2上に、気相成膜法により、遮光層72の構成材料
で構成された層を形成する。2)次いで、この層上に、
遮光層72のパターンを有するレジスト層を形成する。
3)次いで、前記層に対してエッチング(例えばウエッ
トエッチング、ドライエッチング等)を施す。4)その
後、前記レジスト層を除去する。これにより、遮光層7
2を形成することができる。なお、気相成膜法は、マス
クを用いて行ってもよい。また、レジスト層を形成して
から気相成膜法を行い、その後例えばリフトオフ法等を
行なうことにより、遮光層72を形成してもよい。
【0154】なお、以下の説明において、「気相成膜法
とフォトリソグラフィー法とを組み合わせることにより
層を形成する」と述べた場合には、かかる層は前段落に
記載の方法と同様の方法により形成できるので、詳しい
説明は省略する。なお、遮光層72を例えば樹脂等で構
成する場合には、例えば、印刷法、インクジェット法等
を用いて、遮光層72を形成してもよい。
【0155】[2] 薄膜トランジスター71の主要部
の形成 薄膜トランジスター71を製造する際には、例えば、ま
ず、下地層711、半導体層719、絶縁層715、お
よびゲート電極716を、順次形成する。次いで、半導
体層719の所定部分に不純物を導入してソース部71
3およびドレイン部714を形成する。その後、ソース
電極717およびドレイン電極718を形成する。これ
により、薄膜トランジスター71を形成できる。ただ
し、本工程では、ソース部713およびドレイン部71
4の形成までを行なう。本実施形態では、ソース電極7
17およびドレイン電極718は、後の工程で、第1対
向電極6と同時に形成する。なお、本工程においてソー
ス電極717およびドレイン電極718までを形成して
もよいことは、言うまでもない。以下、詳しく説明す
る。
【0156】[2−1] まず、遮光層72上に、下地
層711を形成する。この下地層711は、例えば、気
相成膜法(例えばCVD法、プラズマCVD法等の化学
蒸着法など)とフォトリソグラフィー法とを組み合わせ
ることにより、形成することができる。
【0157】[2−2] 次に、下地層711上に、半
導体層719を形成する。この半導体層719は、例え
ば、気相成膜法(例えばCVD法等の化学蒸着法など)
とフォトリソグラフィー法とを組み合わせることによ
り、形成することができる。このとき、半導体層719
の形成後あるいは形成時に、半導体層719を構成する
半導体材料を多結晶化させる処理を行ってもよい。
【0158】[2−3] 次に、半導体層719、下地
層711、および遮光層72を覆うように、絶縁層71
5を形成する。この絶縁層715は、例えば、気相成膜
法(例えばCVD法、プラズマCVD法等の化学蒸着法
など)とフォトリソグラフィー法とを組み合わせること
により、形成することができる。このとき、絶縁層71
5の形成とともに、ソース部713およびドレイン部7
14に連通する孔部(コンタクトホール)を、絶縁層7
15に形成する。
【0159】[2−4] 次に、絶縁層715上に、ゲ
ート電極716を形成する。このゲート電極716は、
チャンネル部712を形成する部分の上方に、形成す
る。このゲート電極716は、例えば、気相成膜法(例
えば蒸着法、スパッタリング法等の物理蒸着法など)と
フォトリソグラフィー法とを組み合わせることにより、
形成することができる。
【0160】[2−5] 次に、半導体層719の所定
部分に不純物を導入し、ソース部713およびドレイン
部714を形成する。
【0161】不純物の導入は、例えば、不純物をイオン
化して、このイオンを半導体層719の所定部位に衝突
させることにより、行なうことができる。ここで、不純
物のイオン化は、例えば、導入する不純物を構成元素と
して含む化合物(例えば水素化リン(PH3)等)を、
プラズマ化すること等により、行なうことができる。ま
た、半導体層719へのイオンの衝突は、例えば、前記
イオンを含むプラズマ雰囲気に10〜1000kV程度
の電圧を印加して、前記イオンを加速させることにより
行なうことができる。これにより、不純物が、半導体層
719の所定部位に、導入される。ただし、このとき、
ゲート電極716はイオンの流れを遮断するマスク層と
して機能するので、半導体層719のうち、ゲート電極
716の下方に位置する部分(すなわちゲート電極71
6の陰となる部分)には、不純物は導入されない。これ
に対し、半導体層719のうち、ゲート電極716の下
方に位置しない部分(すなわちゲート電極716の陰と
ならない部分)には、不純物が導入される。その結果、
半導体層719のうち、不純物が導入された部分が、最
終的に、ソース部713およびドレイン部714にな
る。また、半導体層719のうち、不純物が導入されな
かった部分は、チャンネル部712となる。
【0162】以上により、薄膜トランジスター71の主
要部が形成される。
【0163】[3] 透明電極3の形成 次に、基板2上に、透明電極3a〜3zを、画素100
a〜100z毎に形成する。
【0164】この透明電極3は、例えば、気相成膜法
(例えば蒸着法、スパッタリング法等の物理蒸着法な
ど)とフォトリソグラフィー法とを組み合わせることに
より、形成することができる。また、透明電極3を例え
ば導電性樹脂等で構成する場合には、例えば、印刷法、
インクジェット法等を用いて、透明電極3を形成しても
よい。
【0165】[4] 受光層4の形成 次に、透明電極3a〜3zを覆うように、受光層4a〜
4zを、画素100a〜100z毎に形成する。
【0166】受光層4は、例えば、塗布法、溶射法、イ
ンクジェット法、印刷法等により、形成することができ
る。この中でも、受光層4は、塗布法、インクジェット
法、または印刷法(以下、単に「塗布法等」という)に
より形成するのが好ましい。これにより、受光層4を、
容易かつ好適に膜状(厚膜および薄膜)にすることがで
きる。
【0167】このように、本発明では、受光層4を、塗
布法等で好適に形成できる。また、後述するように、半
導体電極5も、塗布法により好適に形成できる。このこ
とは、ラインセンサー1を製造するにあたり、CVD法
等の真空プロセスを行なう回数を削減できることを、意
味する。塗布法等は、通常、CVD法等に比べ、多大な
電力、熱量等を必要としない。したがって、本発明によ
れば、ラインセンサー1の製造に費やす電力、熱量等
を、削減できる。しかも、塗布法等を行なう装置は、C
VD法等を行なう装置に比べ、通常、安価である。この
ため、本発明によれば、ラインセンサー1を大量生産す
るにあたっての設備投資額を、抑制することができる。
ゆえに、本発明によれば、ラインセンサー1の製造コス
トを削減することができる。すなわち、本発明によれ
ば、比較的安価な製造コストで、ラインセンサー1を製
造することができる。なお、かかる記載は、本発明にお
いて、受光層4および半導体電極5をCVD法等を用い
て形成することを、排除するものではない。
【0168】以下、塗布法等を用いて受光層4を成形す
る場合の一方法を、詳細に説明する。なお、以下に述べ
る受光層4の形成方法は、色素吸着法により受光層4に
可視化処理を施す場合を基調として、説明する。それ以
外の方法、酸素欠陥形成法または原子置換法を行なう際
に必要な工程・処理は、本文中で適宜、補足的に説明す
る。なお、酸素欠陥形成法または原子置換法を行なう際
に必要な工程・処理の補足説明は、段落の始めに(!)
印を付した。
【0169】以下に述べる受光層4の形成方法は、主と
して、酸化チタン粉末を調製する工程と、この酸化チタ
ン粉末から塗布液を調製する工程と、この塗布液を基板
2に供給(塗布)し、乾燥する工程と、供給した酸化チ
タンに熱処理を施す工程と、供給した酸化チタンに色素
を吸着させる工程とで構成される。
【0170】[4−1] 酸化チタン粉末の調製 まず、ルチル型の二酸化チタン粉末とアナターゼ型の二
酸化チタン粉末とを所定の配合比(アナターゼ型の二酸
化チタン粉末のみ、ルチル型の二酸化チタン粉末のみの
場合も含む)にて、配合し混合しておく。
【0171】これらルチル型の二酸化チタン粉末の平均
粒径と、アナターゼ型の二酸化チタン粉末の平均粒径と
は、それぞれ異なっていてもよいし、同じであってもよ
いが、異なっている方が好ましい。
【0172】なお、酸化チタン粉末全体としての平均粒
径は、前述の範囲とすることが好ましい。
【0173】(!)酸化チタン粉末に酸素欠陥形成法を
施す場合、次工程を行なう前に、調製した酸化チタン粉
末に対して、水素雰囲気中で熱処理を施すと良い。この
ときの熱処理条件は、好ましくは温度800〜1200
℃程度で0.2〜3時間程度、より好ましくは温度90
0〜1200℃程度で0.5〜1時間程度とされる。
【0174】[4−2] 塗布液(供給液)の調製 [4−2−1] まず、前記工程で調製した酸化チタン
粉末を適当量の水(例えば、蒸留水、超純水、イオン交
換水、RO水等)すなわち分散媒に、懸濁する。
【0175】[4−2−2] 次に、かかる懸濁液に例
えば硝酸等の安定化剤を添加して、この懸濁液を、例え
ば乳鉢内で、十分に混練する。なお、安定化剤には、硝
酸に代わり、酢酸やアセチルアセトンのような酸化チタ
ンの表面修飾試薬を用いることもできる。
【0176】[4−2−3] 次に、かかる懸濁液に、
水を加えてさらに混練する。
【0177】このとき、懸濁液中における前記安定化剤
と水との配合比が体積比で好ましくは10:90〜4
0:60程度、より好ましくは15:85〜30:70
程度となるように水を添加すると良い。また、このと
き、例えば混練する量、懸濁液の水の含有量などを調整
して、懸濁液の粘度を、例えば0.2〜30cP程度に
すると良い。なお、配合比および粘度は、これ以外の値
に設定してもよいことは、言うまでもない。
【0178】[4−2−4] その後、懸濁液に界面活
性剤を添加して、さらに懸濁液を混練する。これによ
り、塗布液(受光層材料)が得られる。
【0179】界面活性剤は、特に限定されないが、塗布
液中での最終濃度が0.01〜5wt%程度となるよう
に、添加することが好ましい。なお、界面活性剤として
は、カチオン性、アニオン性、両イオン性、非イオン性
のいずれであってもよいが、好ましくは非イオン性のも
のが用いられる。
【0180】このような塗布液には、必要に応じて、例
えばポリエチレングリコールのようなバインダー、可塑
剤、酸化防止剤等の各種添加物を添加してもよい。
【0181】(!)酸化チタンに対して原子置換法を施
す場合、懸濁液にさらに無機増感剤と、必要に応じて焼
結助剤とを添加して、塗布液を調製すると良い。無機増
感剤としては、例えば、クロム、バナジウム、ニッケ
ル、鉄、マンガン、銅、亜鉛、ニオブ、またはこれらの
酸化物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以
上を組み合わせて用いることができる。焼結助剤として
は、特に限定されないが、例えば、三酸化モリブデン、
三酸化二ビスマス、酸化鉛、酸化パラジウム、三酸化二
アンチモン、二酸化テルル、三酸化二タリウム等の金属
酸化物(好ましくは融点が900℃以下の金属酸化物)
などが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を
組み合わせて用いることができる。なお、無機増感剤の
添加量は、特に限定されないが、例えば、酸化チタン粉
末1gに対して、0.1〜2.5μmol程度であるの
が好ましく、0.5〜2.0μmol程度であるのがよ
り好ましい。また、塗布液に焼結助剤を含有させる場
合、焼結助剤と酸化チタン粉末との配合比は、特に限定
されないが、例えば、体積比で1:99〜40:60程
度であるのが好ましく、5:95〜20:80程度であ
るのがより好ましい。塗布液に焼結助剤を添加すること
により、二酸化チタンの結晶構造がアナターゼ型からル
チル型へ転移するのを、好適に抑制することができる。
【0182】[4−3] 塗布液の供給・乾燥 [4−3−1] まず、前工程で得られた塗布液を、基
板2上に、透明電極3を覆うように、供給・塗布する。
【0183】なお、塗布法により塗布液を供給する場
合、塗布方法は、特に限定されず、スピンコート、ロー
ルコート、スプレーコート(スプレー塗装)、ドクター
ブレード、刷毛塗り、ディッピング、滴下等、いずれの
塗布方法を用いてもよい。
【0184】このように塗布法により塗布液を塗布する
場合、シール材(マスク)を用いつつ(シール材を所定
パターンで基板2上にパターニングしてから)、塗布液
を供給すると良い。これにより、受光層4のパターニン
グが容易となる。
【0185】[4−3−2] 次に、基板2上に供給し
た塗布液を、乾燥させる。これにより、酸化チタン粉末
が固化し、膜状となる。しかも、かかる固化物すなわち
膜状体は、多孔質になる。
【0186】塗布液の乾燥方法としては、例えば、自然
乾燥、熱乾燥、減圧乾燥、これらを組み合わせたもの等
が挙げられ、いずれの方法を用いてもよい。なお、酸化
チタンの膜は、例えば、前工程の塗布と本工程の乾燥と
を複数回繰り返し行って、形成、成長させてもよい。な
お、シール材を基板2上に設置した場合には、本工程終
了後、シール材を基板2から剥離、除去することが好ま
しい。
【0187】(!)酸化チタンの膜状体に酸素欠陥形成
法を施す場合、本工程終了後、膜状体に対して、水素雰
囲気中で熱処理を施すと良い。このときの熱処理条件
は、好ましくは温度800〜1200℃程度で0.2〜
3時間程度、より好ましくは温度900〜1200℃程
度で0.5〜1時間程度とされる。この場合、次工程の
熱処理は、この酸素欠陥形成法と兼用できる。
【0188】[4−4] 酸化チタンに対する熱処理 次に、必要に応じて、基板2に形成した膜状体に対し、
熱処理(例えば、焼成等)を施す。
【0189】これにより、接触するだけに止まっていた
酸化チタン粉末は、その接触部位に拡散が生じ、ある程
度互いに固着(固定)するようになる。
【0190】なお、加熱温度は、特に限定されないが、
例えば250〜500℃程度とすることができる。ま
た、加熱時間は、特に限定されないが、例えば0.5〜
3時間程度とすることができる。これにより、前述した
効果が、より好適に得られる。なお、本工程の熱処理
と、前工程の乾燥とを、一体的に行ってもよい。
【0191】その後、必要に応じて、酸化チタンの膜状
体に、後処理を行ってもよい。この後処理としては、例
えば、膜状体の不要部分を除去するための研削、研磨等
のような機械加工(後加工)や、その他、洗浄、化学処
理のような後処理等が挙げられる。
【0192】(!)酸化チタンに対して原子置換法を施
す場合、本工程終了後、膜状体を非酸化性雰囲気中で熱
処理(焼成・焼結)する。ここで、非酸化性雰囲気とし
ては、例えば、窒素ガス、アルゴンガス等の各種不活性
ガス雰囲気、真空または減圧状態(例えば、10-1〜1
-6Torr)等を挙げることができる。このときの熱
処理条件は、例えば、次のようにすることができる。酸
化チタン粉末がアナターゼ型の二酸化チタン粉末を含有
しない場合、もしくは、二酸化チタンの結晶構造がアナ
ターゼ型からルチル型へ転移することを想定している場
合、熱処理条件は、好ましくは1000〜1200℃で
0.5〜10時間程度とされる。二酸化チタンの結晶構
造がアナターゼ型からルチル型へ転移することを想定し
ていない(防止したい)場合、熱処理条件は、好ましく
は温度900℃以下程度で1〜26時間程度とされる。
この熱処理と工程[5−4]の熱処理とを、兼用するこ
ともできる。なお、原子置換法を施す熱処理は、酸化チ
タン粉末の調製前、または酸化チタン粉末の調製後に酸
化チタンに施してもよい。
【0193】[4−5] 色素の吸着 次に、酸化チタンの膜状体に、色素を吸着させる。これ
により、受光層4が完成する。
【0194】[4−5−1] まず、膜状体に色素を含
む液(例えば色素を溶解した溶液、色素を分散(懸濁)
した分散液等)を接触させる。
【0195】両者を接触させる方法としては、例えば、
色素を含む液を膜状体に注ぐ(供給する)方法、膜状体
を色素を含む液に浸漬する方法などが挙げられる。この
ような方法を行なうことにより、色素が膜状体の空孔内
に浸透し、膜状体の表面および空孔内に色素が吸着され
る。
【0196】なお、色素の溶媒または分散媒としては、
特に限定されないが、例えば、各種水、メタノール、エ
タノール、イソプロピルアルコール、アセトニトリル、
酢酸エチル、エーテル、塩化メチレン、NMP(N−メ
チル−2−ピロリドン)等が挙げられ、これらのうちの
1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0197】[4−5−2] 次に、膜状体を、乾燥さ
せる。
【0198】乾燥方法としては、例えば、自然乾燥、熱
乾燥、空気、窒素ガス等の気体を吹き付ける方法などが
挙げられる。その中でも、乾燥方法としては、熱乾燥が
好ましい。この場合、乾燥温度は、特に限定されない
が、例えば、60〜100℃程度とすることができる。
また、乾燥時間は、特に限定されないが、例えば、0.
5〜2時間程度とすることができる。
【0199】以上のような工程を経て、受光層4が得ら
れる。このように、色素吸着法によると、薄膜トランジ
スター71を高温環境(例えば800℃以上)にさらさ
ずに、容易に受光層4に可視化処理を施せる。このた
め、ラインセンサー1の製造時に薄膜トランジスター7
1が劣化することを、容易に回避できる。
【0200】[5] 半導体電極5の形成 次に、受光層4の裏面(上面)に、半導体電極5を形成
する。
【0201】半導体電極5は、例えば、塗布法、溶射
法、インクジェット法、印刷法等により形成することが
できるが、前述したように、半導体電極5は、塗布法に
より形成するのが好ましい。これにより、半導体電極5
が受光層4の孔41内により確実に浸透するように、半
導体電極5を形成できる。
【0202】塗布法により半導体電極5を形成する場
合、半導体電極5の構成材料を溶媒に溶解させ、この溶
液を受光層4の裏面に塗布(供給)すると良い。その
後、かかる塗布物に対してエッチングを施すと、半導体
電極5を、容易かつ好適に形成することができる。
【0203】本工程に用いられる塗布方法は、特に限定
されず、スピンコート、ロールコート、スプレーコート
(スプレー塗装)、ドクターブレード、刷毛塗り、ディ
ッピング、滴下等、いずれの塗布方法を用いてもよい。
【0204】このように塗布法により半導体電極5を形
成する場合、溶液の塗布は、受光層4を加熱しつつ、行
なうことが好ましい。この際の加熱温度は、特に限定さ
れないが、好ましくは50〜100℃程度とされる。こ
れにより、半導体電極5の構成材料の結晶サイズが増大
するのを、好適に抑制できるようになる。その結果、半
導体電極5の柔軟性が向上する。
【0205】このような操作は、例えば、80〜130
℃程度に加熱したホットプレート上に基板2を設置し、
この基板2に前記溶液を滴下すると、容易に行なうこと
ができる。
【0206】なお、加熱しないで前記溶液を受光層4に
塗布し、その後、この溶液を乾燥させてもよいことは言
うまでもない。また、以上述べた操作は、複数回繰り返
して行なうようにしてもよい。
【0207】塗布法により半導体電極5を形成する場
合、半導体電極5の構成材料を溶解させる溶媒は、半導
体電極5の構成材料に応じて適宜選択され、特に限定さ
れない。ただし、半導体電極5の構成材料がイオン伝導
特性を有する物質の場合の好ましい溶媒としては、アセ
トニトリル等の有機溶媒を挙げることができる。
【0208】半導体電極5を主としてイオン伝導特性を
有する物質で構成する場合、半導体電極5の構成材料を
溶解させた溶液は、イオン伝導特性を有する物質に加え
て、かかるイオン伝導特性を有する物質が結晶化する際
に結晶サイズが増大するのを抑制する物質を含有してい
るのが好ましい。半導体電極5の構成材料がこの物質を
含有していると、固化時に形成されるイオン伝導特性を
有する物質の結晶のサイズが、小さくなる。その結果、
半導体電極5の柔軟性が増し、半導体電極5は、ライン
センサー1の湾曲で、より断裂しにくくなる。また、半
導体電極5の構成材料がこの物質を含有していると、半
導体電極5の構成材料の結晶サイズが大きくなりすぎる
のを防止できる。その結果、受光層4にクラックが発生
したり、半導体電極5と透明電極3との間で短絡が生じ
たりすることが、好適に防止される。
【0209】このような結晶サイズが増大するのを抑制
する物質としては、特に限定されないが、例えば、ハロ
ゲン化アンモニウム等のハロゲン化物が挙げられ、特
に、テトラプロピルアンモニウムヨーダイド(TPA
I)等のハロゲン化アンモニウムを用いるのが好まし
い。テトラプロピルアンモニウムヨーダイドを用いるこ
とにより、イオン伝導特性を有する物質の結晶サイズの
増大を、より好適に抑制することができる。
【0210】このような物質を前記溶媒に含有させる場
合、その溶液中における前記物質の含有量は、特に限定
されないが、例えば、10-4〜10-1wt%(質量%)
程度であるのが好ましく、10-4〜10-2wt%程度で
あるのがより好ましい。このような数値範囲内におい
て、前記の効果がさらに顕著となる。
【0211】[6] 第1対向電極6、ソース電極71
7およびドレイン電極718の形成 次に、第1対向電極6を、半導体電極5の裏面(上面)
および半導体電極5および受光層4の側方に形成する。
また、これと同時に、薄膜トランジスター71のソース
電極717およびドレイン電極718を形成する。
【0212】これら第1対向電極6、ソース電極717
およびドレイン電極718は、例えば、気相成膜法(例
えば蒸着法、スパッタリング法等の物理蒸着法など)と
フォトリソグラフィー法とを組み合わせることにより、
同時に形成することができる。
【0213】このとき、絶縁層715のソース電極71
7に連通する孔部内では、ソース電極713の構成材料
は半導体層719表面から堆積し、成膜するので、ソー
ス電極713は、ソース部714に、電気的に接続され
る。また、絶縁層715のドレイン電極718に連通す
る孔部内では、ドレイン電極718の構成材料は半導体
層719表面から堆積し、成膜するので、ドレイン電極
718は、ドレイン部714に、電気的に接続される。
なお、第1対向電極6等を例えば導電性樹脂等で構成す
る場合には、例えば、塗布法、印刷法、インクジェット
法等を用いて、第1対向電極6等を形成してもよい。
【0214】[7] 保護層25の形成 その後、スイッチング部7およびセンサー部8を覆うよ
うに、保護層25を形成する。
【0215】この保護層25は、例えば、スピンコート
等の塗布法、気相成膜法等により、形成することができ
る。
【0216】以上のような工程を経て、ラインセンサー
1は、製造される。このように、受光層4を形成した後
に半導体電極5を形成するようにすると、半導体電極5
が、受光層4の内部(孔41)に入り込み易い。
【0217】<基板2を樹脂等で構成する場合の補足説
明>以下、基板2を樹脂等の耐熱性に劣る材料で構成す
る場合のラインセンサー1の製造方法について、補足説
明する。
【0218】以下に述べる方法を用いると、耐熱性の低
い材料で構成された基板2上に、遮光層72、薄膜トラ
ンジスター71、透明電極3、受光層4、半導体電極
5、第1対向電極6、および保護層25を、容易かつ好
適に設置することができる。
【0219】[I] まず、石英ガラス基板等、耐熱性
の高い基板(第1の基板)2を用意し、この基板2上
に、遮光層72、薄膜トランジスター71の主要部、透
明電極3、受光層4、半導体電極5、第1対向電極6
(ソース電極717およびドレイン電極718も含む。
以下同じ。)、および保護層25を形成する。すなわ
ち、工程[1]〜[7]を行なう。
【0220】[II] 次に、前記耐熱性の高い基板2か
ら、積層体(遮光層72、薄膜トランジスター71、透
明電極3、受光層4、半導体電極5、第1対向電極6、
および保護層25)を、剥離する。すなわち、前記耐熱
性の高い基板2から、遮光層72、薄膜トランジスター
71、透明電極3、受光層4、半導体電極5、第1対向
電極6、および保護層25を、一体的に剥離する。
【0221】[III] その後、この剥離した積層体
を、別途用意した基板2、すなわち耐熱性の低い基板
(第2の基板)2に、例えば接着剤等を用いて、接合す
る。
【0222】これにより、耐熱性に劣る材料で構成され
た基板(第2の基板)2上に、遮光層72、薄膜トラン
ジスター71、透明電極3、受光層4、半導体電極5、
第1対向電極6、および保護層25を、設置することが
できる。
【0223】その後、第1の基板は、繰り返しラインセ
ンサー1の製造に供することができる。したがって、例
えば、第1の基板に石英ガラス基板等の高価なガラス基
板を用いた場合でも、かかる基板を繰り返し使用するこ
とができる。したがって、以上述べた方法を用いれば、
ラインセンサー1のさらなる製造コストの削減を、図る
ことができる。
【0224】このようにしてラインセンサー1を製造す
る場合、工程[1]を行なう前に、あらかじめ第1の基
板に、積層体の剥離を容易ならしめる剥離処理を施して
おくと良い。これにより、工程[7]終了後、積層体を
第1の基板から容易に剥離できるようになる。
【0225】このような剥離処理としては、例えば、第
1の基板の表面に積層体の剥離を容易ならしめる剥離層
を形成する処理(方法)などが挙げられる。
【0226】この剥離層(剥離手段)は、例えば、1)
水素を含有するアモルファスシリコン、2)PZT、P
LZT、PLLZT、PBZT等のセラミックスなどで
構成することができる。剥離層を水素を含有するアモル
ファスシリコンで構成する場合、アモルファスシリコン
の水素含有量は、特に限定されないが、2〜30at%程
度とすることが好ましい。また、剥離層の厚さは、特に
限定されず、例えば、1nm〜20μm程度とすることが
できる。
【0227】例えば、剥離層を水素を含有するアモルフ
ァスシリコンで構成した場合、この剥離層に紫外線のよ
うな光を照射すると、剥離層から気体(水素ガス等)が
発生し、この気体が剥離層の内部、または剥離層と積層
体との界面あるいは剥離層と第1の基板との界面に蓄積
する。そして、この蓄積した気体の内圧等により、積層
体と第1の基板との密着力が低下する。したがって、前
記工程[7]終了後、剥離層に紫外線等を照射すると、
積層体を、第1の基板から、容易に剥離できるようにな
る。
【0228】このような剥離層は、例えば、気相成膜法
(例えばCVD法、低圧CVD法、プラズマCVD法な
どの化学蒸着法等)などを用いると、好適に形成するこ
とができる。なお、剥離層は、これ以外の方法で形成し
てもよいことは言うまでもない。また、剥離層は、前述
した材料以外の材料で構成してもよい。
【0229】このように、剥離層を介して積層体を第1
の基板から剥離する場合、積層体を剥離(工程[II])
後第2の基板に接合する(工程[III])前に、積層体
に付着した剥離層を除去する処理を行ってもよい。この
処理は、例えば、剥離層を剥離層の除去液に接触させる
こと等により、行なうことができる。
【0230】なお、剥離層をアモルファスシリコンで構
成した場合、除去液には、例えば、アミン溶液、水酸化
ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等のアルカリ
溶液、フッ酸、硝酸などが好適に用いられる。その中で
も、剥離層をアモルファスシリコンで構成した場合の除
去液としては、テトラメチル水酸化アンモニウム水溶
液、アンモニア水溶液等のアミン溶液が特に好適に用い
られる。アミン溶液は、薄膜トランジスター71に、悪
影響を極めて与えにくい。また、テトラメチル水酸化ア
ンモニウム水溶液等の4級アミン溶液は、アモルファス
シリコン等の除去能に、特に優れている。
【0231】<<< ラインセンサーユニットの第1実
施形態 >>>以下、以上述べたラインセンサー1を備
えたラインセンサーユニットについて、説明する。
【0232】図5は、本発明のラインセンサーユニット
の第1実施形態を示す回路図である。なお、この図で
は、ラインセンサー1を、電気的に等価な回路記号で表
記した。
【0233】図5に示すラインセンサーユニット9は、
ラインセンサー1の各画素100a〜100zを順次駆
動することができる。また、このラインセンサーユニッ
ト9は、受光層4a〜4zが光を受光することによりセ
ンサー部8a〜8zで生じた信号を順次増幅して、シリ
アル方式で出力することができる。
【0234】<ラインセンサーユニット9の構成>図5
に示すように、ラインセンサーユニット9は、ラインセ
ンサー1と、ラインセンサー1を画素100a〜100
z毎に駆動・制御するドライバー92と、画素100a
〜100zが光を検知した結果生じた電流を増幅する増
幅手段93と、センサー部8a〜8zに所定の電圧を印
加する電源部91とを有している。
【0235】このラインセンサーユニット9では、透明
電極3は、電源部91に接続されている。
【0236】また、薄膜トランジスター71a〜71z
のゲート電極717は、ドライバー92に、並列(パラ
レル)に接続されている。このドライバー(ドライバー
回路)92には、クロック信号およびスタート信号が、
供給されるようになっている。ドライバー92は、スタ
ート信号を受信すると、ラインセンサー1の駆動を開始
することができる。また、ドライバー92は、供給され
るクロック信号に同期して、薄膜トランジスター71a
〜71zの各ゲート電極717に、所定の電圧を、それ
ぞれ独立して印加することができる。
【0237】さらには、薄膜トランジスター71a〜7
1zのソース電極717は、増幅手段93に接続されて
いる。増幅手段93は、オペアンプ931と、一端がオ
ペアンプ931の入力側に接続され、他端がオペアンプ
931の出力側に接続された抵抗932とで構成されて
いる。ソース電極717は、オペアンプ931の入力側
に接続されている。前述したように、薄膜トランジスタ
ー71a〜71zのドレイン電極718は、第1対向電
極6a〜6zに、それぞれ接続されている。したがっ
て、増幅手段93は、薄膜トランジスター71a〜71
zを介して、受光層4a〜4zが光を受光することによ
りセンサー部8a〜8zで発生した電流を増幅し、この
増幅した電流を、出力信号として出力することができ
る。
【0238】また、オペアンプ931は、グランドにも
接続されている。したがって、第1対向電極6a〜6z
は、オペアンプ931を介して、グランドにも接続され
ている。
【0239】このようなラインセンサーユニット9で
は、ドライバー92および増幅手段93は、基板2上に
設けてもよいし、これらのうちの少なくとも一部を、基
板2と別体として設けてもよい。さらには、ドライバー
92および増幅手段93の全部を、基板2と別体として
設けてもよい。
【0240】また、本発明では、ラインセンサー1のス
イッチング手段を、基板2と別体で設けてもよい。さら
には、スイッチング手段は、設けなくてもよい。本実施
形態では、増幅手段をオペアンプを用いて構成したが、
増幅手段は、例えばトランジスターを用いて構成しても
よい。また、増幅手段は、設けなくてもよい。
【0241】<ラインセンサーユニット9の作用>以
下、ラインセンサーユニット9の作用を説明する。
【0242】以下に述べる作用の説明は、電源部91に
より各画素100a〜100zに所定の電圧が印加さ
れ、また、ドライバー92に所定周波数のクロック信号
が供給されていることを、前提とする。
【0243】この状態で、スタート信号がドライバー9
2に送信されると、ドライバー92は、ラインセンサー
1の駆動を開始する。
【0244】まず、スタート信号を受信した後の1クロ
ック目では、ドライバー92は、薄膜トランジスター7
1a〜71zのうち、薄膜トランジスター71aのゲー
ト電極716のみに、電圧を印加する。したがって、ラ
インセンサー1では、薄膜トランジスター71aのみが
オンとなり、それ以外の薄膜トランジスター71は、オ
フとなる。その結果、電源部91と増幅手段93との間
では、電源部91→画素100a→増幅手段93という
ラインのみが導通する。このため、1クロック目では、
センサー部8aにおいて光電変換により生じた電流のみ
が、増幅手段93に入力される。そして、この電流は、
増幅手段93で、増幅される。この増幅された電流信号
は、増幅手段93の出力側から、出力信号として出力さ
れる。このように、ラインセンサーユニット9は、スタ
ート信号が入力された後の1クロック目には、画素10
0aが検知・出力した信号を、増幅して出力する。
【0245】2クロック目では、ドライバー92は、薄
膜トランジスター71bのゲート電極716のみに、電
圧を印加する。したがって、前記と同様の原理から、ラ
インセンサーユニット9は、2クロック目では、画素1
00bが検知・出力した信号を、増幅して出力する。
【0246】同様に、3クロック目では、ドライバー9
2は、薄膜トランジスター71cのゲート電極716の
みに、電圧を印加する。したがって、ラインセンサーユ
ニット9は、3クロック目では、画素100cが検知・
出力した信号を、増幅して出力する。
【0247】さらには、nクロック目(nは正の整数)
では、ドライバー92は、薄膜トランジスター71aか
らn−1個ずれた薄膜トランジスター71のゲート電極
716のみに、電圧を印加する。したがって、ラインセ
ンサーユニット9は、nクロック目では、画素100a
からn−1個ずれた画素100が検知・出力した信号
を、増幅して出力する。
【0248】この要領で、ドライバー92は、薄膜トラ
ンジスター71zまでを、順次駆動する。これに対応し
て、増幅手段93は、センサー部8zまでが検知・出力
した信号を、順次増幅して出力する。
【0249】その後、再びスタート信号がドライバー9
2に入力されたら、ドライバー92は、画素100a→
画素100b→画素100c→・・・→画素100y→
画素100zという順番で、再び各画素100a〜10
0zを駆動する。これに対応して、増幅手段93は、画
素100a→画素100b→画素100c→・・・→画
素100y→画素100zという順番で、画素100か
らの信号を、増幅して出力する。
【0250】このようにして、ラインセンサーユニット
9は、供給されるクロック信号に同期して、受光によっ
て各画素100a〜100zで発生した信号を、順次出
力する。
【0251】以上述べたように、本実施形態のラインセ
ンサーユニット9によれば、各画素からの出力信号を、
1個の出力端子および1本の信号線で、出力することが
できる。このため、ラインセンサーユニット9に接続さ
れる他の回路・装置では、ラインセンサー1からの出力
信号の取り扱い、および配線が、容易となる。
【0252】なお、本実施形態では、1クロックごとに
画素の駆動を切り替えたが、例えば、mクロック(mは
2以上の整数)ごとに、画素の駆動を切り替えてもよ
い。また、ラインセンサーユニット9は、例えば増幅手
段93の出力側に、A/Dコンバーターを備えていても
よい。
【0253】<<< ラインセンサーの第2実施形態
>>>以下、本発明のラインセンサーの第2実施形態を
説明する。なお、以下の説明では、前記第1実施形態と
共通する事項については説明を省略し、相違する事項を
中心に説明する。
【0254】図6は、本発明のラインセンサーの第2実
施形態を示す模式的な縦断面図である。図7は、図6に
示すラインセンサーの一画素を拡大した模式的な縦断面
図である。
【0255】これらの図に示すように、ラインセンサー
1’は、基板2’と、基板2’上に設置されたスイッチ
ング部7a’〜7z’およびセンサー部8a’〜8z’
と、これらスイッチング部7a’〜7z’およびセンサ
ー部8a’〜8z’上に設けられた保護層25’とを有
している。
【0256】センサー部8a’〜8z’は、基板2’側
から順に、第1対向電極6a’〜6z’および半導体電
極5a’〜5z’を備える対向電極56a’〜56z’
と、受光層4a’〜4z’と、透明電極3a’〜3z’
とで構成されている。
【0257】スイッチング部7a’〜7z’は、薄膜ト
ランジスター(スイッチング手段)71a’〜71z’
を、それぞれ有している。
【0258】このラインセンサー1’では、検知される
光、すなわち入射光は、基板2’と対向する側(基板
2’の反対側)から入射する。したがって、図6および
図7では、図中の上側の面が入射面となり、下側の面が
裏面となる。以下、ラインセンサー1’を構成要素ごと
に説明する。
【0259】<基板2’>基板2’は、基板2’上に形
成される各部材、具体的には、スイッチング部7’を構
成する各部材、第1対向電極6’、半導体電極5’、受
光層4’、透明電極3’、および保護層25’を支持す
る機能を有している。
【0260】前述したように、本実施形態のラインセン
サー1’では、入射光は、基板2’の反対側から受光層
4’に入射する。したがって、基板2’は、光透過性を
有していてもよいし、光透過性を有していなくてもよ
い。
【0261】ゆえに、基板2’は、透明な硬質材料はも
ちろんのこと、例えば各種セラミックス材料等の不透明
な硬質材料でも、好適に構成できる。同様に、基板2’
は、透明な可とう性材料はもちろんのこと、例えば各種
金属材料等の不透明な可とう性材料でも、好適に構成で
きる。このように、本実施形態のラインセンサー1’で
は、基板2’を構成する材料の選択の自由度が、極めて
高い。
【0262】<スイッチング部7’>図7に示すよう
に、1個のスイッチング部7’は、薄膜トランジスター
71’を有している。この薄膜トランジスター71’
は、基板2’上に設けられている。
【0263】薄膜トランジスター71’は、基板2’上
に設けられた下地層711と、半導体層719と、絶縁
層715と、ゲート電極716と、ソース電極717
と、ドレイン電極718とを有している。
【0264】下地層711は、半導体層719と基板
2’との密着性が低い場合には、半導体層719と基板
2’との密着性を高める機能を果たす。また、基板2’
が金属等の導体で構成されている場合には、下地層71
1は、半導体層719と基板2’との短絡を防止する機
能を果たす。
【0265】前述したように、本実施形態のラインセン
サー1’では、入射光は、基板2’の反対側から受光層
4’に入射する。したがって、薄膜トランジスター7
1’では、ゲート電極716、ソース電極717、およ
びドレイン電極718は、電極として機能することはも
ちろんのこと、半導体層719へ向かう光を遮光・遮断
する遮光層としても、機能することができる。ゆえに、
本実施形態のラインセンサー1’では、半導体層719
と基板2’との間の遮光層を、積極的に省略することが
できる。なお、かかる記載が、本発明において、半導体
層719の下方に遮光層を設けることを排除するもので
はない。
【0266】<第1対向電極6’>以上述べた薄膜トラ
ンジスター71a’〜71z’の近傍には、第1対向電
極6a’〜6z’が、画素100a’〜100z’毎
に、それぞれ独立して設置されている。かかる第1対向
電極6’は、ドレイン電極718と一体的に形成されて
いる。すなわち、本実施形態では、第1対向電極6は、
薄膜トランジスター71のドレイン部714上方まで伸
び、ドレイン部714に接触している。
【0267】<半導体電極5’>本実施形態のラインセ
ンサー1’では、第1対向電極6a’〜6z’の入射面
側の面に、半導体電極5’が、画素100a〜100z
毎に、それぞれ独立して設けられている。
【0268】<受光層4’>半導体電極5’の受光面側
の面(上面)には、受光層4’が、画素100a〜10
0z毎に、それぞれ独立して設置、接合されている。
【0269】<透明電極3’>受光層4’の入射面(上
面)の主要部には、透明電極3’が、画素100a〜1
00z毎に、それぞれ独立して設置されている。
【0270】<保護層25’>以上述べた各スイッチン
グ部7a’〜7z’およびセンサー部8a’〜8z’
は、保護層25’で覆われている。
【0271】<ラインセンサー1’の作用>ラインセン
サー1’の作用は、ラインセンサー1の作用と同様なの
で、説明を省略する。
【0272】<<< ラインセンサー1’の製造方法
>>>以下、ラインセンサー1’の製造方法の一例を説
明する。なお、以下の説明では、前記ラインセンサー1
の製造方法と共通する事項については説明を省略し、相
違する事項を中心に説明する。
【0273】ラインセンサー1’は、例えば、基板2’
を用意し、この基板2’上に、薄膜トランジスター7
1’の主要部、第1対向電極6’とドレイン電極718
とソース電極717、半導体電極5’、受光層4’、透
明電極3’、および保護層25’を順次形成することに
より、製造することができる。
【0274】以下、ラインセンサー1’の製造方法の一
例を、工程ごとに、詳細に説明する。 [1’] まず、基板2’を用意する。
【0275】[2’] 薄膜トランジスター71’の形
成 [2−1’] まず、基板2’上に、下地層711を形
成する。 [2−2’] 次に、下地層711上に、半導体層71
9を形成する。
【0276】[2−3’] 次に、半導体層719およ
び下地層711を覆うように、絶縁層715を形成す
る。 [2−4’] 次に、絶縁層715上に、ゲート電極7
16を形成する。 [2−5’] 次に、半導体層719に、ソース部71
3およびドレイン部714を形成する。以上により、薄
膜トランジスター71’の主要部を形成できる。
【0277】[3’] 第1対向電極6’、ソース電極
717およびドレイン電極718の形成次に、基板2’
上に、第1対向電極6a’〜6z’を、画素100a’
〜100z’毎に形成する。また、これと同時に、薄膜
トランジスター71’のソース電極717およびドレイ
ン電極718を形成する。
【0278】[4’] 半導体電極5’の形成 次に、第1対向電極6’の入射面側の面(上面)に、半
導体電極5’を形成する。
【0279】なお、塗布法により半導体電極5’を形成
する場合、基板2’を加熱しつつ、半導体電極5の構成
材料を含む溶液の塗布を行なうことが好ましい。この場
合、80〜130℃程度に加熱したホットプレート上に
基板2’を設置し、この基板2’上に前記溶液を滴下す
ることが、特に好ましい。これにより、半導体電極5’
の構成材料の結晶サイズが増大するのを、好適に抑制で
きるようになる。その結果、半導体電極5’の柔軟性が
向上する。
【0280】[5’] 受光層4’の形成 次に、半導体電極5’の入射面側の面(上面)に、受光
層4’を形成する。
【0281】[5−1’] まず、酸化チタン粉末を調
製する。 [5−2’] 次に、この酸化チタン粉末から塗布液を
調製する。 [5−3’] 次に、この塗布液を半導体電極5’の入
射面側の面に供給し、乾燥する。
【0282】[5−4’] 次に、必要に応じて、供給
した酸化チタンに対して、熱処理を施す。このときの酸
化チタンに対する熱処理は、大気中で行ってもよいが、
窒素ガス、アルゴンガス等の各種不活性ガス雰囲気中、
あるいは、真空または減圧状態(例えば、10-1〜10
-6Torr)などの非酸化性雰囲気中で行なうことが好
ましい。これにより、半導体電極5’の構成材料が空気
中の酸素により酸化されることが、好適に防止される。
【0283】[5−5’] 次に、必要に応じて、塗布
した酸化チタンに色素を吸着させる。これにより、受光
層4’が得られる。
【0284】[6’] 透明電極3’の形成 次に、透明電極3’を、受光層4’の入射面(上面)に
形成する。
【0285】[7’] 保護層25’の形成 その後、スイッチング部7’およびセンサー部8’を覆
うように、保護層25’を形成する。
【0286】以上のような工程を経て、ラインセンサー
1’は、製造される。
【0287】<基板2’を樹脂等で構成する場合の補足
説明>以下、基板2’を樹脂等の耐熱性に劣る材料で構
成する場合のラインセンサー1’の製造方法について、
補足説明する。
【0288】[I’] まず、石英ガラス基板等、耐熱
性の高い基板(第1の基板)2’を用意し、この基板
2’上に、薄膜トランジスター71’の主要部、第1対
向電極6’とドレイン電極718とソース電極717、
半導体電極5’、受光層4’、透明電極3’、および保
護層25’を形成する。すなわち、工程[2’]〜
[7’]を行なう。
【0289】[II’] 次に、前記耐熱性の高い基板
2’から、積層体(薄膜トランジスター71’、第1対
向電極6’、半導体電極5’、受光層4’、透明電極
3’、および保護層25’)を、剥離する。すなわち、
前記耐熱性の高い基板2’から、薄膜トランジスター7
1’、第1対向電極6’、半導体電極5’、受光層
4’、透明電極3’、および保護層25’を、一体的に
剥離する。
【0290】[III’] その後、この剥離した積層体
を、別途用意した基板2’、すなわち耐熱性の低い基板
(第2の基板)2’に、例えば接着剤等を用いて、接合
する。
【0291】これにより、耐熱性に劣る材料で構成され
た基板(第2の基板)2’上に、薄膜トランジスター7
1’、第1対向電極6’、半導体電極5’、受光層
4’、透明電極3’、および保護層25’を、設置する
ことができる。
【0292】このようにしてラインセンサー1’を製造
する場合、工程[2’]を行なう前に、あらかじめ第1
の基板に、積層体の剥離を容易ならしめる剥離処理を施
しておくと良い。
【0293】<<< ラインセンサーユニットの第2実
施形態 >>>以下、以上述べたラインセンサー1’を
備えたラインセンサーユニットについて、説明する。な
お、以下の説明では、前記第1実施形態と共通する事項
については説明を省略し、相違する事項を中心に説明す
る。
【0294】図8は、本発明のラインセンサーユニット
の第2実施形態を示す回路図である。
【0295】<ラインセンサーユニット9’の構成>図
8に示すように、ラインセンサーユニット9’は、ライ
ンセンサー1’と、ラインセンサー1’を画素100
a’〜100z’毎に駆動・制御するドライバー92
と、画素100a’〜100z’が光を検知した結果発
生じた電流を増幅する増幅手段93と、センサー部8
a’〜8z’に所定の電圧を印加する電源部91とを有
している。
【0296】<ラインセンサーユニット9’の作用>ラ
インセンサーユニット9’の作用は、ラインセンサーユ
ニット9の作用と同様なので、説明を省略する。
【0297】以上、本発明を図示の実施形態に基づいて
説明したが、本発明は、これに限定されるものではな
い。
【0298】例えば、センサー部とは別の部位に、画素
の静電容量(蓄積容量)を増大させる手段(例えば所定
距離離間して設置された一対の電極など)を設けてもよ
い。また、抵抗、ツェナーダイオード等、画素のインピ
ーダンスあるいは印加電圧を調整する手段を設けてもよ
い。
【0299】例えば、ラインセンサーの入射面側、ある
いは透明電極の入射面側に、所定の色または波長をカッ
トする、あるいは所定の色または波長を選択的に透過す
るカラーフィルターを設置してもよい。さらには、複数
種類のカラーフィルターを組み合わせて、カラーのイメ
ージを検知できるようにしてもよい。
【0300】また、ラインセンサーには、カラーフィル
ター以外の光学素子、例えば、マイクロレンズ、対物レ
ンズ等の各種レンズ、反射防止膜などを設置してもよ
い。さらには、ラインセンサーに光学素子以外の部材、
例えば、耐擦傷層などを設けてもよい。
【0301】以上述べた本発明の実施形態は、1個の画
素は1個のセンサー部を有していたが、1個の画素は、
複数のセンサー部を有していてもよい。この場合、セン
サー部ごとに受光層に吸着させる色素の種類を変えても
よい。また、このような1個の画素が複数のセンサー部
を有するラインセンサーにカラーフィルターを設置する
場合、センサー部ごとに設置するカラーフィルターの種
類を変えてもよい。同様に、1個の画素に、スイッチン
グ手段を複数設けてもよい。
【0302】以上述べた本発明の実施形態は、多数の画
素を一列に配置したが、画素の配置は、これに限定され
ない。例えば、画素は、行列上に配置してもよい。
【0303】以上述べた本発明の実施形態は、ラインセ
ンサーを光センサーの代表として説明したが、本発明
は、ラインセンサー以外の光センサー、例えば、エリア
センサーなどにも適用できる。
【0304】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を述べる。
【0305】以下の実施例では、下記に示すような構成
のラインセンサーを、製造した。
【0306】実施例1:基板がガラスで構成され、基板
側から入射光が入射する構成のラインセンサー。なお、
受光層は、塗布法により形成。 実施例2:基板が可とう性を有する樹脂で構成され、基
板側から入射光が入射する構成のラインセンサー。な
お、受光層は、塗布法により形成。 実施例3:基板がガラスで構成され、基板と反対側から
入射光が入射する構成のラインセンサー。なお、受光層
は、塗布法により形成。 実施例4:基板が可とう性を有する金属で構成され、基
板と反対側から入射光が入射する構成のラインセンサ
ー。なお、受光層は、塗布法により形成。
【0307】実施例5:実施例1と同様の構成のライン
センサー。なお、受光層は、スクリーン印刷法により形
成。 実施例6:実施例2と同様の構成のラインセンサー。な
お、受光層は、スクリーン印刷法により形成。 実施例7:実施例3と同様の構成のラインセンサー。な
お、受光層は、スクリーン印刷法により形成。 実施例8:実施例4と同様の構成のラインセンサー。な
お、受光層は、スクリーン印刷法により形成。
【0308】実施例9:実施例1と同様の構成のライン
センサー。なお、受光層は、インクジェット法により形
成。 実施例10:実施例2と同様の構成のラインセンサー。
なお、受光層は、インクジェット法により形成。 実施例11:実施例3と同様の構成のラインセンサー。
なお、受光層は、インクジェット法により形成。 実施例12:実施例4と同様の構成のラインセンサー。
なお、受光層は、インクジェット法により形成。
【0309】(実施例1)画素が800個一列に並んだ
図1に示すような構造のラインセンサーを、製造した。
【0310】まず、厚さ1.0mmの石英ガラス基板を
用意した。次に、この石英ガラス基板を85℃の洗浄液
(硫酸と過酸化水素水との混合液)に浸漬して洗浄を行
い、その表面を清浄化した。
【0311】−1− 次に、石英ガラス基板上に、スパ
ッタリング法およびフォトリソグラフィー法を用いて、
厚さ0.2μmのCr膜(遮光層)を、画素毎に形成し
た。フォトリソグラフィー法では、硝酸系エッチング液
によるウェットエッチングを行った。
【0312】−2− 次に、下記のようにして、Cr膜
上に、薄膜トランジスターを、画素毎に形成した。
【0313】−2.1− まず、Cr膜上に、CVD法
およびフォトリソグラフィー法を用いて、厚さ0.2μ
mのSiO2膜(下地層)を形成した。フォトリソグラ
フィー法では、CFガスによるドライエッチングを行っ
た。
【0314】−2.2− 次に、SiO2膜上に、CV
D法およびフォトリソグラフィー法を用いて、厚さ0.
1μmのアモルファスシリコン膜を形成した。フォトリ
ソグラフィー法では、CFガスによるドライエッチング
を行った。エッチング後、アモルファスシリコン膜にエ
キシマレーザーを照射し、アモルファスシリコン膜を多
結晶シリコン膜(半導体層)に、変化させた。
【0315】−2.3− 次に、多結晶シリコン膜上
に、CVD法およびフォトリソグラフィー法を用いて、
厚さ0.1μmのSiO2膜(絶縁層)を形成した。フ
ォトリソグラフィー法では、CFガスによるドライエッ
チングを行った。
【0316】−2.4− 次に、SiO2膜上に、スパ
ッタリング法およびフォトリソグラフィー法を用いて、
厚さ5μmのAlよりなるゲート電極を形成した。フォ
トリソグラフィー法では、リン酸系エッチング液による
ウェットエッチングを行った。
【0317】−2.5− 次に、PH3をプラズマ化し
た後、このプラズマに50kVの電圧を印加して、ゲー
ト電極をマスクとしつつ、リンを、多結晶シリコン膜に
ドープした。これにより、多結晶シリコン膜に、ソース
部およびドレイン部を形成した。
【0318】−3− 次に、蒸着法およびフォトリソグ
ラフィー法を用いて、石英ガラス基板上に、厚さ1.0
μmのITO電極(透明電極)を、画素毎に形成した。
フォトリソグラフィー法では、塩酸系エッチング液によ
るウェットエッチングを行った。
【0319】−4− 次に、下記のようにして、石英ガ
ラス基板上に、厚さ10μmの受光層(TiO2膜)
を、画素毎に形成した。
【0320】−4.1− 酸化チタン粉末の調製 まず、ルチル型の二酸化チタン粉末と、アナターゼ型の
二酸化チタン粉末との混合物からなる酸化チタン粉末を
用意した。この酸化チタン粉末の平均粒径は、40nm
であった。また、ルチル型の二酸化チタン粉末とアナタ
ーゼ型の二酸化チタン粉末との配合比は、質量比で6
0:40とした。
【0321】−4.2− 塗布液の調製 −4.2.1− まず、調製した酸化チタン粉末50g
を、超純水100mLに懸濁した。
【0322】−4.2.2− 次に、かかる懸濁液に硝
酸(安定化剤)50mLを添加し、この懸濁液をメノウ
製の乳鉢内で、十分に混練した。
【0323】−4.2.3− 次に、かかる懸濁液に超
純水100mLを加えて、この懸濁液を、さらに混練し
た。この超純水の添加により、硝酸と水との配合比は、
体積比で、最終的に20:80となった。なお、このと
き、懸濁液の粘度は、5cPであった。
【0324】−4.2.4− その後、かかる懸濁液
に、非イオン性界面活性剤(ICN Biomedical社製、「Tr
iton-X 100」)を、懸濁液中での最終濃度が3wt%に
なるように添加し、この懸濁液をさらに混練した。これ
により、塗布液を得た。
【0325】−4.3− 塗布 石英ガラス基板上にセンサー部のパターンを有するシー
ル材を設置した後、この塗布液を、スピンコートによ
り、石英ガラス基板上に塗布した。塗布後、塗布液を自
然乾燥し、その後、石英ガラス基板からシール材を取り
除いた。
【0326】−4.4− 熱処理 この塗布物を、温度300℃で2時間、熱処理(焼成)
した。これにより、二酸化チタンの膜状体を得た。
【0327】−4.5− 色素の吸着 −4.5.1− 二酸化チタンの膜状体が形成された石
英ガラス基板を、カーボンブラック(無機顔料)を懸濁
したエタノールに浸漬した。
【0328】−4.5.2− その後、石英ガラス基板
をカーボンブラック懸濁液から取り出し、自然乾燥によ
り、エタノールを揮発させた。さらに、この石英ガラス
基板を、80℃で0.5時間、クリーンオーブンで乾燥
した。その後、この石英ガラス基板を、一晩放置した。
【0329】これにより、カーボンブラックが吸着され
た受光層を得た。なお、得られた受光層の空孔率は32
%であり、受光面の表面粗さRaは0.44μmであっ
た。
【0330】−5− 次に、受光層の上面(裏面)に、
厚さ30μmのCuI電極(半導体電極)を、画素毎に
形成した。
【0331】これは、次のようにして行った。まず、受
光層が形成された石英ガラス基板を、80℃に加熱した
ホットプレート上に設置した。次いで、受光層の上面
(裏面)に、CuI(半導体電極の材料)のアセトニト
リル溶液を滴下し、乾燥した。その後、この操作を繰り
返し行なって、CuI電極(半導体電極)の厚さを30
μmとした。その後、硝酸系エッチング液を用いたフォ
トリソグラフィー法により、CuI電極をパターニング
した。
【0332】なお、アセトニトリル溶液中には、テトラ
プロピルアンモニウムヨーダイドを10-3wt%添加し
た。
【0333】−6− 次に、スパッタリング法およびフ
ォトリソグラフィー法を用いて、厚さ5μmのAl電極
(第1対向電極、ソース電極およびドレイン電極)を、
画素毎に形成した。フォトリソグラフィー法では、リン
酸系エッチング液によるウェットエッチングを行った。
【0334】−7− その後、スピンコートにより、各
画素を覆うように、石英ガラス基板の全面にわたって、
厚さ50μmのポリイミド膜(保護層)を形成した。
【0335】これにより、ラインセンサーを得た。
【0336】(実施例2)以下に示した以外は実施例1
と同様にして、可とう性を有するラインセンサーを製造
した。
【0337】前記工程−1−を行なう前に、Si26
用いた低圧CVD法により、水素を18at%含有する厚
さ0.2μmのアモルファスシリコン膜(剥離層)を、
石英ガラス基板上に形成した。
【0338】次に、前記工程−1−〜−7−を行い、石
英ガラス基板のアモルファスシリコン膜を形成した面
に、Cr膜(遮光層)、薄膜トランジスター、ITO電
極(透明電極)、受光層(TiO2膜)、CuI電極
(半導体電極)、Al電極(第1対向電極)、およびポ
リイミド膜(保護層)を、順次形成した。
【0339】次に、波長308nmのXe−Clエキシマ
レーザーを、アモルファスシリコン膜で焦点を結ぶよう
に、石英ガラス基板側から照射した。
【0340】次に、Cr膜、薄膜トランジスター、IT
O電極、受光層、CuI電極、Al電極およびポリイミ
ド膜よりなる積層体を、石英ガラス基板から剥離した。
【0341】次に、Cr膜およびITO電極の受光面に
付着したアモルファスシリコンを、テトラメチル水酸化
アンモニウム水溶液(除去液)を用いて除去した。
【0342】その後、アクリル系接着剤を用いて、厚さ
1.0mmの可とう性を有する透明な低密度ポリエチレ
ン樹脂基板に、積層体を接合した。これにより、可とう
性を有するラインセンサーを得た。
【0343】(実施例3)画素が800個一列に並んだ
図6に示すような構造のラインセンサーを、製造した。
なお、以下に述べる各工程の説明において、実施例1と
同様の事項については、記載を省略した。
【0344】−1’− まず、石英ガラス基板を用意し
た。
【0345】−2’− 次に、石英ガラス基板上に、薄
膜トランジスターを、画素毎に形成した。 −2.1’− まず、石英ガラス基板上に、SiO2
(下地層)を形成した。
【0346】−2.2’− 次に、SiO2膜上に、多
結晶シリコン膜(半導体層)を形成した。 −2.3’− 次に、この多結晶シリコン膜上に、Si
2膜(絶縁層)を形成した。
【0347】−2.4’− 次に、このSiO2膜上
に、ゲート電極を形成した。 −2.5’− 次に、多結晶シリコン膜に、ソース部お
よびドレイン部を形成した。
【0348】−3’− 次に、石英ガラス基板上に、A
l電極(第1対向電極、ソース電極およびドレイン電
極)を、画素毎に形成した。
【0349】−4’− 次に、Al電極の上面(裏面)
に、厚さ30μmのCuI電極(半導体電極)を、画素
毎に形成した。
【0350】これは、次のようにして行った。まず、石
英ガラス基板を、80℃に加熱したホットプレート上に
設置した。次に、石英ガラス基板の上面(裏面)に、C
uI(半導体電極の材料)のアセトニトリル溶液を滴下
し、乾燥した。その後、この操作を繰り返し行なって、
CuI電極(半導体電極)の厚さを30μmとした。そ
の後、硝酸系エッチング液を用いたフォトリソグラフィ
ー法により、CuI電極をパターニングした。なお、ア
セトニトリル溶液中には、テトラプロピルアンモニウム
ヨーダイドを10-3wt%添加した。
【0351】−5’− 次に、下記のようにして、Cu
I電極上に、厚さ10μmの受光層(TiO2膜)を形
成した。
【0352】−5.1’− まず、酸化チタン粉末を調
製した。 −5.2’− 次に、この酸化チタン粉末から、塗布液
を調製した。 −5.3’− 次に、この塗布液を、CuI電極の上面
(入射面側の面)に、塗布した。
【0353】−5.4’− 次に、この塗布物を、窒素
ガス雰囲気下、温度300℃で2時間、熱処理(焼成)
した。これにより、二酸化チタンの膜状体を得た。 −5.5’− 次に、この膜状体に、カーボンブラック
を吸着させた。これにより、受光層を得た。
【0354】−6’− 次に、受光層の入射面に、IT
O電極(透明電極)を形成した。
【0355】−7’− その後、ポリイミド膜(保護
層)を形成した。
【0356】これにより、ラインセンサーを得た。
【0357】(実施例4)以下に示した以外は実施例3
と同様にして、可とう性を有するラインセンサーを製造
した。
【0358】まず、石英ガラス基板を用意した。
【0359】次に、この石英ガラス基板上に、実施例2
と同様にして、アモルファスシリコン膜(剥離層)を、
形成した。
【0360】次に、実施例1の工程−1−と同様にし
て、石英ガラス基板上の薄膜トランジスターを形成する
部位に、Cr膜(遮光層)を形成した。
【0361】次に、前記工程−2’−〜−7’−を行
い、石英ガラス基板のアモルファスシリコン膜を形成し
た面に、薄膜トランジスター、Al電極(第1対向電
極、ソース電極717およびドレイン電極718)、C
uI電極(半導体電極)、受光層(TiO2膜)、IT
O電極(透明電極)、およびポリイミド膜(保護層)
を、順次形成した。なお、薄膜トランジスターは、Cr
膜上に形成した。
【0362】次に、実施例2と同様にして、アモルファ
スシリコン膜に対して、レーザー光を、石英ガラス基板
側から照射した。
【0363】次に、Cr膜、薄膜トランジスター、Al
電極、CuI電極、受光層、ITO電極、およびポリイ
ミド膜よりなる積層体を、石英ガラス基板から剥離し
た。
【0364】その後、アクリル系接着剤を用いて、表面
にポリ塩化ビニルによる絶縁処理が施された(絶縁層が
形成された)厚さ0.5mmの可とう性を有するアルミ
ニウム箔(基板)に、積層体を接合した。これにより、
可とう性を有するラインセンサーを得た。
【0365】(実施例5)前記工程−4.3−で、スク
リーン印刷法により塗布液を石英ガラス基板上に供給し
た以外は、実施例1と同様にして、ラインセンサーを製
造した。
【0366】(実施例6)前記工程−4.3−で、スク
リーン印刷法により塗布液を石英ガラス基板上に供給し
た以外は、実施例2と同様にして、ラインセンサーを製
造した。
【0367】(実施例7)前記工程−5.3’−で、ス
クリーン印刷法により塗布液を石英ガラス基板上に供給
した以外は、実施例3と同様にして、ラインセンサーを
製造した。
【0368】(実施例8)前記工程−5.3’−で、ス
クリーン印刷法により塗布液を石英ガラス基板上に供給
した以外は、実施例4と同様にして、ラインセンサーを
製造した。
【0369】(実施例9)前記工程−4.3−で、イン
クジェット法により塗布液を石英ガラス基板上に供給し
た以外は、実施例1と同様にして、ラインセンサーを製
造した。
【0370】(実施例10)前記工程−4.3−で、イ
ンクジェット法により塗布液を石英ガラス基板上に供給
した以外は、実施例2と同様にして、ラインセンサーを
製造した。
【0371】(実施例11)前記工程−5.3’−で、
インクジェット法により塗布液を石英ガラス基板上に供
給した以外は、実施例3と同様にして、ラインセンサー
を製造した。
【0372】(実施例12)前記工程−5.3’−で、
インクジェット法により塗布液を石英ガラス基板上に供
給した以外は、実施例4と同様にして、ラインセンサー
を製造した。
【0373】各実施例で製造したラインセンサーの各画
素に、5Vの電圧を印加した。次いで、このラインセン
サーの入射面に、受光層への光の入射角度が90°およ
び52°となるように、人工太陽灯の光を順次照射し
た。そして、光の入射角度が90°のときに各画素に流
れた電流の平均をA90とし、52°のときに各画素に
流れた電流の平均をA52として、各実施例のラインセ
ンサーのA52/A90を測定した。その結果を、下記
に示す。
【0374】実施例1:0.89 実施例2:0.89 実施例3:0.86 実施例4:0.86 実施例5:0.88 実施例6:0.88 実施例7:0.85 実施例8:0.85 実施例9:0.87 実施例10:0.87 実施例11:0.85 実施例12:0.85
【0375】その後、各実施例で得られたラインセンサ
ーに、ドライバー回路、オペアンプ等を接続し、図5ま
たは図8に示すようなラインセンサーユニットを構成し
た。
【0376】そして、各実施例のラインセンサーユニッ
トを、バーコード読み取り装置のバーコード読み取りヘ
ッドに、組み込んだ。かかるバーコード読み取り装置を
用いてバーコードを読み取ってみたところ、いずれの実
施例のラインセンサーユニットを備えたバーコード読み
取り装置においても、バーコードを好適に読み取ること
ができた。特に、実施例2、4、6、8、10および1
2のラインセンサーは、バーコードが印刷された面の湾
曲形状に対応させてラインセンサーを湾曲させることが
できたので、曲面上に形成されたバーコードも、極めて
円滑かつ好適に読み取ることができた。
【0377】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、湾
曲等により受光層に応力が加わった場合でも、受光層が
破損しにくい光センサー、および光センサーユニットを
提供することができる。
【0378】また、本発明によれば、可とう性を有する
光センサー、および光センサーユニットを提供すること
もできる。
【0379】しかも、本発明によれば、このような光セ
ンサーおよび光センサーユニットを、製造コストの低減
を図りつつ、提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のラインセンサーの第1実施形態を示す
模式的な縦断面図である。
【図2】図1に示すラインセンサーの一画素を拡大した
模式的な縦断面図である。
【図3】図1に示すラインセンサーの受光層と対向電極
との界面付近を拡大した縦断面図である。
【図4】図1に示すラインセンサーの受光層の受光面付
近を拡大した縦断面図である。
【図5】本発明のラインセンサーユニットの第1実施形
態を示す回路図である。
【図6】本発明のラインセンサーの第2実施形態を示す
模式的な縦断面図である。
【図7】図6に示すラインセンサーの一画素を拡大した
模式的な縦断面図である。
【図8】本発明のラインセンサーユニットの第2実施形
態を示す回路図である。
【符号の説明】
1、1’ ラインセンサー(光
センサー) 100a〜100z、100a’〜100z’ 画素 2、2’ 基板 25、25’ 保護層 3a〜3z、3a〜3z 透明電極 4a〜4z、4a’〜4z’ 受光層 41 孔 56a〜56z、56a’〜56z’ 対向電極 5a〜5z、5a’〜5z’ 半導体電極 6a〜6z、6a’〜6z’ 第1対向電極 7a〜7z、7a’〜7z’ スイッチング部 71a〜71z、71a’〜71z’ 薄膜トランジス
ター(スイッチング手段) 711 下地層 719 半導体層 712 チャンネル部 713 ソース部 714 ドレイン部 715 絶縁層 716 ゲート電極 717 ソース電極 718 ドレイン電極 72 遮光層(遮光手段) 8a〜8z、8a’〜8z’ センサー部 9、9’ ラインセンサーユニ
ット 91 電源部 92 ドライバー 93 増幅手段 931 オペアンプ 932 抵抗
フロントページの続き Fターム(参考) 4M118 AA08 AA10 AB01 BA04 BA05 CA02 CA11 CA32 CB20 FB01 FB08 FB13 FB14 FB20 FB27 GA02 GB05 GB07 GB11 HA21 HA22 HA26 HA27 5B047 BB02 BC01 CA06 CB17 5C024 CY47 EX22 EX55 GX07 HX01 5C051 AA01 BA02 DA03 DB01 DB04 DB05 DB06 DB08 DB18 DC02 DC03 DC07 DE02 5F049 MA01 NA18 NA20 NB03 PA07 PA12 PA14 QA04 RA08 SE01 SS01

Claims (34)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主として酸化チタンで構成された受光層
    と、 前記受光層の受光面側に設置された透明電極と、 前記受光層を介して、前記透明電極と対向して設置され
    た対向電極とを有し、 複数の画素を備えることを特徴とする光センサー。
  2. 【請求項2】 前記受光層、透明電極、および対向電極
    は、基板上に設けられている請求項1に記載の光センサ
    ー。
  3. 【請求項3】 前記基板は、可とう性を有する請求項2
    に記載の光センサー。
  4. 【請求項4】 前記基板は、光透過性を有する請求項2
    または3に記載の光センサー。
  5. 【請求項5】 前記受光層で生じる電流の供給をオン・
    オフするスイッチング手段を有する請求項1ないし4の
    いずれかに記載の光センサー。
  6. 【請求項6】 前記スイッチング手段を画素毎に有する
    請求項5に記載の光センサー。
  7. 【請求項7】 前記スイッチング手段は、薄膜トランジ
    スターで構成されている請求項5または6に記載の光セ
    ンサー。
  8. 【請求項8】 前記受光層、透明電極、対向電極、およ
    びスイッチング手段は、同一基板上に設けられている請
    求項5ないし7のいずれかに記載の光センサー。
  9. 【請求項9】 前記スイッチング手段へ向かう光を遮光
    する遮光手段を有する請求項5ないし8のいずれかに記
    載の光センサー。
  10. 【請求項10】 画素が一列に並んでいる部分を有する
    請求項1ないし9のいずれかに記載の光センサー。
  11. 【請求項11】 前記透明電極および/または前記対向
    電極の少なくとも一部分は、画素毎に形成されている請
    求項1ないし10のいずれかに記載の光センサー。
  12. 【請求項12】 前記受光層は、画素毎に形成されてい
    る請求項1ないし11のいずれかに記載の光センサー。
  13. 【請求項13】 前記受光層は、多孔質である請求項1
    ないし12のいずれかに記載の光センサー。
  14. 【請求項14】 前記受光層の空孔率は、5〜90%で
    ある請求項13に記載の光センサー。
  15. 【請求項15】 前記受光層の表面粗さRaは、5nm
    〜10μmである請求項1ないし14のいずれかに記載
    の光センサー。
  16. 【請求項16】 前記受光層は、平均厚さが0.1〜3
    00μmである請求項1ないし15のいずれかに記載の
    光センサー。
  17. 【請求項17】 前記酸化チタンは、主として二酸化チ
    タンで構成される請求項1ないし16のいずれかに記載
    の光センサー。
  18. 【請求項18】 前記受光層は、塗布法を用いて形成さ
    れたものである請求項1ないし17のいずれかに記載の
    光センサー。
  19. 【請求項19】 前記対向電極は、異なる材料で構成さ
    れた複数の電極を有する請求項1ないし18のいずれか
    に記載の光センサー。
  20. 【請求項20】 前記対向電極は、第1の対向電極と、
    該第1の対向電極と前記受光層との間に介挿された半導
    体電極とを有する請求項1ないし19のいずれかに記載
    の光センサー。
  21. 【請求項21】 前記半導体電極は、画素毎に形成され
    ている請求項20に記載の光センサー。
  22. 【請求項22】 前記半導体電極は、前記受光層と接し
    ている請求項20または21に記載の光センサー。
  23. 【請求項23】 前記半導体電極は、イオン伝導特性を
    有する物質で構成されている請求項20ないし22のい
    ずれかに記載の光センサー。
  24. 【請求項24】 前記イオン伝導特性を有する物質は、
    ハロゲン化金属化合物である請求項23に記載の光セン
    サー。
  25. 【請求項25】 前記ハロゲン化金属化合物は、ヨウ化
    金属化合物である請求項24に記載の光センサー。
  26. 【請求項26】 前記半導体電極は、塗布法、印刷法、
    またはインクジェット法を用いて形成されたものである
    請求項20ないし25のいずれかに記載の光センサー。
  27. 【請求項27】 各画素を覆うように保護層が形成され
    ている請求項1ないし26のいずれかに記載の光センサ
    ー。
  28. 【請求項28】 前記受光層への光の入射角が90°の
    ときに前記受光層で生じる電流をA90、前記受光層へ
    の光の入射角が52°のときに前記受光層で生じる電流
    をA52としたとき、A52/A90が0.8以上であ
    る請求項1ないし27のいずれかに記載の光センサー。
  29. 【請求項29】 ラインセンサーである請求項1ないし
    28のいずれかに記載の光センサー。
  30. 【請求項30】 請求項1ないし29のいずれかに記載
    の光センサーと、前記光センサーを駆動するドライバー
    とを有することを特徴とする光センサーユニット。
  31. 【請求項31】 前記光センサーからの電流を増幅する
    増幅手段を有する請求項30に記載の光センサーユニッ
    ト。
  32. 【請求項32】 前記ドライバーは、前記光センサーを
    画素毎に駆動可能な請求項30または31に記載の光セ
    ンサーユニット。
  33. 【請求項33】 前記ドライバーは、該ドライバーに供
    給されるクロック信号に同期して前記光センサーを駆動
    する請求項30ないし32のいずれかに記載の光センサ
    ーユニット。
  34. 【請求項34】 前記クロック信号に同期して、前記光
    センサーからの信号を出力する請求項33に記載の光セ
    ンサーユニット。
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