JP2002356620A - 熱可塑性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物の製造方法

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JP2002356620A
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Akihisa Saito
暁久 斉藤
Koji Sugano
浩司 菅野
Shinichi Tamura
進一 田邨
Tatsuo Kikumoto
龍生 菊本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 寸法安定性、ソリ性、機械的特性、白色度を
バランスよく向上することが可能な熱可塑性樹脂組成物
の製造方法を提供すること。 【解決手段】 ガラス粉と炭酸カルシウムとを混合して
混合物を得る原料混合工程と、混合物に水ガラスおよび
水を添加して混合・成形しガラス成形体を得る成形工程
と、ガラス成形体を加熱して多孔質ガラスを得る加熱工
程と、多孔質ガラスを粉砕して多孔質ガラス粉砕粉を生
成する粉砕工程と、多孔質ガラス粉砕粉と熱可塑性樹脂
とを混合して熱可塑性樹脂組成物を得る樹脂混合工程と
を含むことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂組成
物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】加熱により軟化し、冷却すると再び硬化
する性質を有する熱可塑性樹脂は、射出成形等によって
容易に成形が可能であり幅広い産業分野で利用されてい
る。このような熱可塑性樹脂においては、一般的に、成
形体の寸法安定性、機械的強度、白色度あるいはソリ性
等の特性を向上させるためさまざまな充填物を混合する
ことが行われており、例えば、特開平7−11049号
公報、特開平7−90183号公報、または、特開平1
0−77418号公報等に開示されているように、充填
物として炭酸カルシウム、マイカ、ガラス繊維等を含む
熱可塑性樹脂組成物が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の熱可塑
性樹脂組成物は、これらの充填物の添加によりある程度
は各種特性の向上が図られるものの、これらの特性の向
上のバランスが悪く十分なものとは言えなかった。例え
ば、マイカを充填物とした場合、寸法安定性等は向上す
るが白色度が低下するという問題があり、また、ガラス
繊維を充填物とした場合、機械的強度等は向上するがソ
リ性や寸法安定性があまり向上しないといった問題があ
った。
【0004】本発明は、上記課題に鑑みてなされたもの
であり、寸法安定性、ソリ性、機械的特性、白色度をバ
ランスよく向上することが可能な熱可塑性樹脂組成物の
製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
を進めた結果、所定の方法で生成した多孔質ガラスの粉
砕粉を熱可塑性樹脂の充填剤とすることにより、寸法安
定性、ソリ性、機械的特性、白色度がバランスよく向上
された熱可塑性樹脂組成物が得られることを見出した。
【0006】本発明に係る熱可塑性樹脂組成物の製造方
法は、原料ガラス粉と炭酸カルシウムとを混合して混合
物を得る原料混合工程と、混合物に水ガラスおよび水を
添加して混合・成形しガラス成形体を得る成形工程と、
ガラス成形体を加熱して多孔質ガラスを得る加熱工程
と、多孔質ガラスを粉砕して多孔質ガラス粉砕粉を生成
する粉砕工程と、多孔質ガラス粉砕粉と熱可塑性樹脂と
を混合して熱可塑性樹脂組成物を得る樹脂混合工程と含
むことを特徴とする。
【0007】ここで、加熱工程において、加熱温度を8
50〜1000℃とすることが好ましい。
【0008】また、加熱工程において、加熱時間を5〜
60分とすることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る熱可塑性樹脂
組成物の製造方法の好適な実施形態について詳細に説明
する。
【0010】本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法
は、図1に示すように、原料ガラス粉と炭酸カルシウム
とを混合して混合物を得る原料混合工程(S1)と、混
合物に水ガラスおよび水を添加して混合・成形しガラス
成形体を得る成形工程(S2)と、ガラス成形体を加熱
して発泡させ多孔質ガラスを得る加熱工程(S3)と、
多孔質ガラスを粉砕して多孔質ガラス粉砕粉を生成する
粉砕工程(S4)と、多孔質ガラス粉砕粉と熱可塑性樹
脂とを混合して熱可塑性樹脂組成物を得る樹脂混合工程
(S5)とを含んでいる。
【0011】まず、原料混合工程において、原料ガラス
粉と炭酸カルシウムとを混合して混合物を得る。
【0012】この原料混合工程においては、水ガラス等
のバインダーを添加せずに原料ガラスと炭酸カルシウム
とを混合するので、原料ガラス粉と炭酸カルシウムとが
十分に混合され、炭酸カルシウムおよび原料ガラス粉が
混合物中で互いによく分散される。
【0013】この原料混合工程で使用する原料ガラス粉
は、特に制限されないが、アルカリ分の少ないEガラス
粉であることが好ましい。アルカリ分が多いと、樹脂混
合工程で熱可塑性樹脂と混合して得られる熱可塑性樹脂
組成物の強度の低下を引き起こす傾向がある。
【0014】なお、原料ガラスとして、Eガラス製品で
あるガラスヤーン、ガラスクロス等のガラス繊維の廃品
やカレット等を粉砕して用いると経済的である。この場
合、Eガラス製品等のガラス基材を800〜900℃で
焼成してから原料ガラスとして用いることが好ましい。
このような焼成によって原料のEガラス製品中の集束剤
等の有機物が焼却除去されるとともに、ガラスが脆化処
理されて粉砕が容易とされる。
【0015】また、使用する原料ガラス粉を、あらかじ
め200メッシュ(74μm)程度の篩で篩って粗粒を
分離しておくことが好ましい。粗粒が混入すると、均一
な混合が困難となるとともに、加熱工程での発泡が不均
一になり易い傾向にある。
【0016】原料混合工程で使用する炭酸カルシウム
は、特に制限されないが、例えば、炭酸カルシウムを含
むライムストーンやドロマイト等が使用できる。ここ
で、炭酸カルシウムの量は、原料ガラス粉に対して1〜
10wt%となるように添加することが好ましい。この
範囲よりも炭酸カルシウムが少なすぎると加熱工程で発
泡しにくく多孔質体ガラスが得られ難い傾向があり、多
すぎると発泡しすぎて過度の膨張を起こすおそれがあ
る。
【0017】原料混合工程の混合においては、各種の混
合器が使用可能であるが、V型ミキサーで1〜2時間程
度混合することが好ましい。
【0018】つぎに、成形工程において、原料混合工程
で得られた混合物に水ガラスおよび水を添加して混合・
成形しガラス成形体を得る。
【0019】この成形工程においては、原料混合工程で
よく混合された混合物に、バインダーとしての水ガラス
と、成形体のかさ密度を上げる効果を有する水とが添加
されることによって、熱伝導度の高いガラス成形体が得
られる。
【0020】成形工程で使用する水ガラスは、珪酸ナト
リウムを含むものなら種類を問わず、溶液状態のもので
も含水・無水の固体でも構わない。ここで、添加する水
の量は、混合物に対して15〜35wt%となるよう
に、水ガラスの量は混合物に対して、0.1〜1.0w
t%となるようにすることが好ましい。
【0021】ここで、水の量が15wt%よりも少ない
と、混合物(スラリー状)が嵩高となって熱伝導が悪く
なり、加熱工程において十分に発泡しにくい傾向があ
る。また、水の量が35wt%より多いと水分が蒸発す
るのに時間を要し、成形時間が長くなる傾向がある。ま
た、水ガラスは混合物の乾燥時の保形性を維持するバイ
ンダーの役割を果たすため、0.1wt%よりも少ない
と混合物の保形性が悪くなる傾向がある。また、水ガラ
スが1.0wt%より多いとアルカリ分が多くなり、熱
可塑性樹脂との接着性が悪くなる傾向にある。
【0022】つぎに、加熱工程において、得られたガラ
ス成形体を加熱する。
【0023】この加熱工程においては、ガラス成形体中
の炭酸カルシウムが、加熱によって以下の式に基づいて
二酸化炭素と酸化カルシウムとに分解し、この二酸化炭
素ガスの発生によってガラス成形体が発泡して多孔質ガ
ラスが形成される。CaCO3→CaO+CO2↑また、
原料混合工程において原料ガラス粉と炭酸カルシウムと
がよく混合されて炭酸カルシウムがガラス成形体中に均
一に分散されているとともに、成形工程において、この
ガラス成形体の熱伝導度が高くなるように成形されてい
るので、このガラス成形体の加熱が均等に行われて均一
に発泡が起こり、気泡径の揃った均質な多孔質ガラスが
得られる。
【0024】ここで、加熱の温度は850〜1000℃
とし、加熱時間は5〜60分とすることが好ましい。こ
の範囲よりも温度が低すぎたり加熱時間が短すぎると、
発泡が十分行われない傾向にあり、また、温度が高すぎ
たり加熱時間が長すぎると、発泡したガラスが溶融して
ガラス化し、多孔質ガラスが得られにくくなると共に粉
砕が困難になる傾向にある。
【0025】なお、このとき、炭酸カルシウムが分解し
て生成した酸化カルシウムは、原料ガラス粉の表面に残
る。
【0026】つぎに、粉砕工程において、得られた多孔
質ガラスを粉砕して多孔質ガラス粉砕粉を生成する。
【0027】この粉砕工程においては、加熱工程で得ら
れた気泡径のそろった均質な多孔質ガラスが粉砕される
ことにより、未発泡部等に由来する粗い塊等を含まない
均質な多孔質ガラス粉砕粉が高い歩留まりで得られる。
【0028】このようにして生成された多孔質ガラス粉
砕粉は、フレーク状(薄片状)ガラス粉を40〜50%
含み、残りの大部分は粒状ガラス粉である。また、これ
らは、各々多様な形状を備えていて、粒度分布もある程
度広いものとなる。
【0029】ここで、多孔質ガラスを、最大粒径が40
μm以下、平均粒径は6〜8μm程度の多孔質ガラス粉
砕粉となるように粉砕することが好ましい。このような
多孔質ガラス粉砕粉を充填剤として採用することによ
り、熱可塑性樹脂組成物の性能をさらに好適に向上させ
ることができる。
【0030】なお、粉砕工程における粉砕方法として
は、湿式や乾式等の各種の粉砕機が使用できる。また、
多孔質ガラスを粗粉砕したのち、ボールミルによって5
〜10時間さらに微粉砕することが好ましい。
【0031】また、この多孔質ガラス粉砕粉に対して、
必要に応じて、0.05〜0.1wt%程度のシランカ
ップリング剤によって表面処理を施すことが好ましい。
これによって、多孔質ガラス粉砕粉表面の摩擦が低下し
て多孔質ガラス粉砕粉同士の凝集が防止され、樹脂混合
工程での多孔質ガラス粉砕粉と熱可塑性樹脂との混合が
好適に行われるとともに、多孔質ガラス粉砕粉と熱可塑
性樹脂との濡れ性が改善されて混合された際に互いに強
固に結合するようになり、熱可塑性樹脂組成物の機械的
特性がさらに向上される。
【0032】なお、この表面処理は、例えば、粉砕工程
終了後に粉砕を行ったボールミル内で30分程度行うこ
とにより好適に実施される。
【0033】最後に、樹脂混合工程において、この多孔
質ガラス粉砕粉と熱可塑性樹脂とを混合して熱可塑性樹
脂組成物を得る。
【0034】この樹脂混合工程においては、混合、成
形、加熱および粉砕工程を経て得られた多孔質ガラス粉
砕粉を充填剤として熱可塑性樹脂組成物を得ており、こ
の多孔質ガラス粉砕粉の添加によって熱可塑性樹脂組成
物の機械的特性(例えば、曲げ強さ、曲げ安定率、引張
り強さ、IZOD衝撃強度(ノッチ有り)等)や、寸法
安定性(ソリ、収縮等)、あるいは、白色度等がバラン
スよく向上される。
【0035】この作用の詳細に付いては、例えば、白色
度の増加については、加熱工程においてガラスの表面に
残った酸化カルシウムの影響が考えられる。また、機械
的強度、寸法安定性、ソリ性等のバランスのよい向上に
ついては、この多孔質ガラス粉砕粉が、薄片状ガラスお
よび粒状ガラスの両方を有していることと関連するもの
と考えられる。
【0036】この樹脂混合工程で使用される熱可塑性樹
脂は、加熱により成形できる程度の熱可塑性を備える樹
脂であり、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート等の樹脂
が利用でき、さらにこれらを2種以上混合しても構わな
い。ここで、充填剤としての多孔質ガラス粉砕粉の量は
熱可塑性樹脂組成物に対して、5〜30wt%とするこ
とが好ましい。この範囲よりも多孔質ガラス粉砕粉が少
ないと諸特性がそれほど向上しない傾向にあり、多すぎ
ると射出成形等が困難となる傾向にある。
【0037】樹脂混合工程における混合においては、各
種混練機、例えば、一軸混練機等が使用でき、熱可塑性
樹脂組成物のペレット等を容易に得ることができる。
【0038】このようにして得られた熱可塑性樹脂組成
物は、射出成形機等の各種の成形装置を用いて容易に成
形することができる。このとき、熱可塑性樹脂組成物中
の充填物である多孔質ガラス粉砕粉が、薄片状ガラスだ
けでなく粒状ガラスも有しているので、熱可塑性樹脂組
成物の流動性が高くなって射出成形等が好適になされ
る。
【0039】
【実施例】以下に本発明を実施例によって詳しく説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。 (実施例1〜4、比較例1、2)ガラスヤーン、ガラス
クロスおよびカレットを含むEガラス製品を炉で840
℃で焼成した後、ボールミルで粉砕し、篩(200メッ
シュ)によって74μm以上の粗粉を取り除き、原料ガ
ラスとしてのEガラス粉を得た。
【0040】つぎに、このEガラス粉に対して炭酸カル
シウム7wt%を添加しV型ミキサーで1〜2時間攪拌
して混合物を得た。さらにこの混合物に対して水30w
t%と水ガラス0.5wt%とを投入して混練し、成形
機で板状または球状のガラス成形体を得た。そして、こ
のガラス成形体を電気炉で950℃で30分焼成し発泡
させて多孔質ガラスとし、これを粗粉砕した後、ボール
ミルによって8時間微粉砕し、多孔質ガラス粉砕粉を得
た。この多孔質ガラス粉砕粉の成分を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】また、図2にこの多孔質ガラス粉砕粉の粒
度分布データを、図3および図4にこの多孔質ガラス粉
砕粉のSEM写真の一例を各々示す。図2に示すよう
に、この多孔質ガラス粉砕粉は幅広い粒度分布をもって
おり、また、平均粒径は6.6μmであった。また、こ
の多孔質ガラス粉砕粉は図3に示すようなフレーク状の
ガラス粉や、図4に示すような不定形の粒状のガラス粉
を有しており、その形状は多様性に富む。なお、この多
孔質ガラス粉砕粉のかさ密度は1.35g/cm 3であ
った。
【0043】そして、このようにして得られた多孔質ガ
ラス粉砕粉をボールミル中においてシランカップリング
剤(日本ユニカ(株):A1100−0.1%)で30
分表面処理した。さらに、この多孔質ガラス粉砕粉と熱
可塑性樹脂としてのPA66(ナイロン66:旭化成製
レオナ1300S)との重量比が5:95となるよう
に多孔質ガラス粉砕粉とPA66とを混合してルーダー
で混練し、熱可塑性樹脂組成物としてのペレットを得
た。最後に、このペレットをインジェクション装置で射
出成形してFRTP成形体としての平板(80mm×8
0mm×1mm)を得た(実施例1)。
【0044】また、多孔質ガラス粉砕粉とPA66との
重量比を5:95に代えて、10:90、20:80、
および、30:70とする以外は実施例1と同様にし
て、熱可塑性樹脂組成物を混合・成形し実施例2,3,
4の成形体を各々得た。
【0045】さらに、充填剤を全く添加しないこと以外
は実施例1と同様にして比較例1としての成形体を得、
また、多孔質ガラス粉砕粉に代えて、ガラス繊維(φ5
μm)の粉砕粉を充填剤とし、実施例4と同様にして比
較例2としての成形体を得た。
【0046】これらの成形体の、ソリ、曲げ弾性率、曲
げ強さについて、表2に示す。なお、ここでソリ性にお
ける表とは、インジェクション装置の金型の射出ゲート
側の面を、裏とはその裏面を意味し、また、ソリの値は
各面に対して直角方向に測定した凹凸の最大距離とし
た。また、多孔質ガラス粉砕粉の充填量と成形体の弾性
率との関係について図5に示す。
【0047】
【表2】
【0048】多孔質ガラス粉砕粉を添加した成形体(実
施例1〜4)は、充填剤を入れない成形体(比較例1)
およびガラス繊維粉砕粉を添加した成形体(比較例2)
と比べて、著しくソリの値の低下が見られた。特に、多
孔質ガラス粉砕粉を30wt%添加した成形体(実施例
4)では、表裏共にソリが0となった。
【0049】また、実施例1〜4の成形体における曲げ
弾性率や曲げ強さも、充填剤を入れない比較例1の成形
体より向上され、特に、実施例4の成形体では、ガラス
繊維を同量添加した成形体(比較例2)を上回る性能の
向上が見られ、このような多孔体ガラス粉砕粉の添加に
より性能のバランスの取れた熱可塑性樹脂の組成物が得
られることが分かった。なお、多孔質ガラス粉砕粉の添
加量が増えるに従ってソリ性の低下、曲げ弾性率および
曲げ強さの増加がみられ、特に、図5に示すように、曲
げ弾性率は多孔質ガラス粉砕粉の添加量にほぼ比例して
増加した。
【0050】このような手順によって製造される多孔質
ガラス粉砕粉の価格は、一般的な熱可塑性樹脂よりも充
分低いので、機械的性能の高い熱可塑性樹脂組成物がこ
のような多孔質ガラス粉砕粉の添加によって低コストで
得られることとなる。 (実施例5、比較例3、4)熱可塑性樹脂として、PC
(ポリカーボネート:帝人化成製、PanliteL1
250J)を用い、表面処理されていない多孔質ガラス
粉砕粉を用いた以外は、実施例4と同様にして実施例5
の成形体を得た。また、充填剤をガラス繊維粉砕粉、あ
るいは、マイカ(12〜13μm)とし、実施例5と同
様にして比較例3、比較例4の成形体を得た。これらの
成形体の寸法安定性、曲げ強さ、引張強さおよびIZO
D衝撃強度(ノッチ有り)について、表3に示す。
【0051】
【表3】
【0052】充填剤として多孔質ガラス粉砕粉を添加し
た実施例5の成形体の寸法安定性は、ガラス繊維粉砕粉
を添加した比較例3の成形体より向上し、マイカを添加
した比較例4と同等の値を示した。また、実施例5の成
形体の曲げ強さやIZOD衝撃強度は、マイカやガラス
繊維粉砕粉を添加した比較例3、4の成形体よりもいず
れも向上した。 (実施例6、比較例5、6)熱可塑性樹脂として、PO
M(ポリアセタール:ポリプラスチックス製 ジュラコ
ンM90―31)を用い、実施例3と同様にして実施例
6の成形体を得た。また、充填材を添加しないこと以外
は実施例6と同様にして比較例5の成形体を得、さら
に、充填材としてガラス繊維粉砕粉を用いたこと以外は
実施例6と同様にして比較例6の成形体を得た。これら
の成形体の白色度、曲げ強さおよび引張強さを表4に示
す。なお、ここで、白色度のL値は、正の値が白方向
で、負の値が黒方向となる。また、白色標準サンプルの
測定値は97.21であった。
【0053】
【表4】
【0054】多孔質ガラス粉砕粉を用いた実施例6の成
形体の白色度は、ガラス繊維粉砕粉を添加した比較例6
よりも高く、さらに、充填剤無添加の比較例5の成形体
よりも高くなった。また、曲げ強度や引張り強さも、比
較例5および比較例6に比べて向上された。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る熱可
塑性樹脂組成物の製造方法によれば、所定の方法によっ
て得た多孔体ガラス粉砕粉を添加することによって、寸
法安定性、ソリ性、機械的特性、白色度のバランスの優
れた熱可塑性樹脂組成物を製造する方法を提供すること
ができる。また、本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方
法における多孔質ガラス粉砕物は比較的低コストで生産
できるので、熱可塑性樹脂組成物の低コスト化にも寄与
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る熱可塑性樹脂組成物の製造方
法を示すフロー図である。
【図2】実施例1で得られた多孔質ガラス粉砕粉の粒度
分布を示す図である。
【図3】実施例1で得られた多孔質ガラス粉砕粉中のフ
レーク状ガラスの一例を示すSEM写真である。
【図4】実施例1で得られた多孔質ガラス粉砕粉中の粒
状ガラスの一例を示すSEM写真である。
【図5】実施例1〜4で得られた熱可塑性樹脂組成物中
の多孔質ガラス粉砕粉の添加量と、熱可塑性樹脂組成物
の曲げ弾性率との関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田邨 進一 福島県福島市郷野目字東1番地 日東紡績 株式会社内 (72)発明者 菊本 龍生 福島県福島市郷野目字東1番地 日東紡績 株式会社内 Fターム(参考) 4F070 AA54 AC16 AC28 AE01 FA03 FB06 FC05 4J002 AA001 AA011 BB031 BB121 CB001 CG001 CG011 CG021 CL001 DL006 FA096 FD016

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料ガラス粉と炭酸カルシウムとを混合
    して混合物を得る原料混合工程と、 前記混合物に水ガラスおよび水を添加して混合・成形し
    ガラス成形体を得る成形工程と、 前記ガラス成形体を加熱して多孔質ガラスを得る加熱工
    程と、 前記多孔質ガラスを粉砕して多孔質ガラス粉砕粉を生成
    する粉砕工程と、 前記多孔質ガラス粉砕粉と熱可塑性樹脂とを混合して熱
    可塑性樹脂組成物を得る樹脂混合工程と、 を含むことを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記加熱工程において、加熱温度を85
    0〜1000℃とすることを特徴とする、請求項1に記
    載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記加熱工程において、加熱時間を5〜
    60分とすることを特徴とする、請求項1または2に記
    載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
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