JP2002356069A - 熱転写シート - Google Patents

熱転写シート

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JP2002356069A
JP2002356069A JP2001162546A JP2001162546A JP2002356069A JP 2002356069 A JP2002356069 A JP 2002356069A JP 2001162546 A JP2001162546 A JP 2001162546A JP 2001162546 A JP2001162546 A JP 2001162546A JP 2002356069 A JP2002356069 A JP 2002356069A
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JP2001162546A
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Kosaku Yoshimura
耕作 吉村
Kazuhito Miyake
一仁 宮宅
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Fujifilm Holdings Corp
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光熱変換層に含まれるカチオン性赤外線吸収
色素等の光熱変換色素の画像形成層への移行、ならびに
レーザー記録後の該色素の分解に起因する、記録画像に
おける色相の変動等の画質劣化を防止でき、耐光性及び
転写性に優れた熱転写シートを提供する。 【解決手段】 支持体上に、少なくともカチオン性赤外
線吸収色素及び酸基を有するポリマーを含有する光熱変
換層塗布液を塗布した後、乾燥することによりカチオン
性赤外線吸収色と該酸基を有するポリマーとの塩を形成
させてなる光熱変換層上に画像形成層塗布液を塗布する
ことを特徴とする熱転写シートの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザ光を用いて
高解像度の画像を形成する画像形成方法に用いるる熱転
写シートに関し、詳しくは、記録画像における色相の変
動等の画質劣化を防止でき、耐光性及び転写性に優れた
熱転写シートに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、レーザ光を利用した転写画像形成
方法に用いられる記録材料として、支持体上に、赤外線
吸収色素等の光熱変換色素を含み、レーザ光を吸収して
熱を発生する光熱変換層と、熱溶融性のワックス、バイ
ンダー等の成分中に顔料が分散された画像形成層と、を
この順に設けられた熱転写シートが知られている。これ
を用いた画像形成方法では、光熱変換層のレーザ光照射
領域で発生した熱によって、その領域に対応する画像形
成層が溶融し、熱転写シート上に積層配置された被転写
材料上に転写され、転写画像が形成される。
【0003】しかしながら、前記光熱変換層において
は、該層に含まれる赤外線吸収色素等の光熱変換色素
が、熱転写シート保存時に画像形成層に移行し、その状
態でレーザ光照射を行うと、画像形成層に該色素の分解
物が残留するといった現象が起こり、該色素の分解物に
より画像形成層が着色するという問題がある。さらに、
画像形成層に残留した該色素の分解物に光があたると退
色が起こるため、結果として、記録画像の色相が変動す
るという問題がある。また、画像形成層に赤外線吸収色
素が移行することに起因して、被転写材料から、更に記
録紙等の最終の被転写材料に画像を再転写する際の、転
写性が悪化するという問題もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来に
おける問題を解決し、以下の目的を達成することを課題
とする。即ち、本発明は、光熱変換層に含まれる赤外線
吸収色素等の光熱変換色素の画像形成層への移行、なら
びにレーザー記録後の該色素の分解に起因する、記録画
像における色相の変動等の画質劣化を防止でき、耐光性
及び転写性に優れた熱転写シートを提供することを目的
とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の手段は以下の通りである。 (1)支持体上に、少なくともカチオン性赤外線吸収色
素及び酸基を有するポリマーを含有する光熱変換層塗布
液を塗布した後、乾燥することによりカチオン性赤外線
吸収色と該酸基を有するポリマーとの塩を形成させてな
る光熱変換層上に画像形成層塗布液を塗布することを特
徴とする熱転写シートの製造方法。 (2)酸基を有するポリマーの酸基が、−SO3H、−
COOH、−OPO3 2から選ばれることを特徴とする
上記(1)に記載の熱転写シートの製造方法。 (3)酸基を有するポリマーが、有機溶剤可溶であるこ
とを特徴とする上記(1)または(2)に記載の熱転写
シートの製造方法。 (4)光熱変換層塗布液に含有されるカチオン性赤外線
吸収色素の対塩が、揮発性を有する酸の共役塩基である
ことを特徴とする上記(1)〜(3)の何れかに記載の
熱転写シートの製造方法。 (5)光熱変換層塗布液に含有されるカチオン性赤外線
吸収色素が揮発性を有する酸の共役塩基である対塩を有
するシアニン色素であることを特徴とする上記(1)〜
(4)の何れかに記載の熱転写シートの製造方法。 (6)カチオン性赤外線吸収色素が700〜900nm
に吸光係数100000以上の吸収を有するシアニン色
素であることを特徴とする上記(1)〜(5)の何れか
に記載の熱転写シートの製造方法。 (7)画像形成層が、色材と、軟化点が40〜150℃
の範囲にある非晶質有機高分子重合体と、をそれぞれ2
0〜80重量%含み、かつ、その厚さが0.2〜1.5
μmの範囲にあることを特徴とする上記(1)〜(6)
の何れかに記載の熱転写シートの製造方法。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の熱転写シートにつ
いて詳細に説明する。 《熱転写シート》本発明の熱転写シートの製造方法は、
支持体上に、少なくともカチオン性赤外線吸収色素及び
酸基を有するポリマーを含有する光熱変換層塗布液を塗
布した後、乾燥することによりカチオン性赤外線吸収色
と該酸基を有するポリマーとの塩を形成させてなる光熱
変換層上に画像形成層塗布液を塗布することを特徴とす
る。本発明では光熱変換層塗布液に含まれるカチオン性
赤外線吸収色素及び酸基を有するポリマーを支持体上に
塗布した後、乾燥することにより両者の塩形成反応が進
行し、その塩の形態を維持して光熱変換層に含有させる
ものである。従って、本発明の製法により得られる熱転
写シートは、光熱変換層にカチオン性赤外線吸収色素を
酸基を有するポリマーとの塩として含有することを特徴
とする。即ち、該ポリマーは新たなカチオン性赤外線吸
収色素の対塩となる。本発明において、塩の形成可能で
あれば、任意のカチオン性赤外線吸収色素及び酸基を有
するポリマーを用いることができる。酸基を有するポリ
マーとしては、酸基として−SO3H、−COOH、−
OPO32等を有したものが好ましい。また、カチオン
性赤外線吸収色素としては、シアニン色素が好ましく、
また、その対塩が、揮発性を有する酸の共役塩基である
ことが好ましい。そして、両者の光熱変換層塗布液にお
ける使用量は、ポリマーの酸基のモル数(a)がカチオ
ン性赤外線吸収色素のモル数(b)の過剰量となるよう
にすることが塩を効果的に形成できるので好ましい。具
体的には、(a):(b)=1:1〜1:100である
のが好ましく、1:2〜1:50であるのがより好まし
い。
【0007】本発明ではこのような塩の形成反応では、
全てのカチオン性赤外線吸収色素が塩形態となることが
好ましく、かつこのような塩形態で光熱変換層に存在す
ることが好ましいが、光熱変換層には微量の遊離したカ
チオン性赤外線吸収色素が含まれてもよい。カチオン性
赤外線吸収色素の対塩が、揮発性を有する酸の共役塩基
である場合の、その共役塩基としては、例えば、塩素イ
オン、臭素イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオ
ン、硝酸イオンなどが挙げられる。これら共役塩基は、
本発明による塗布、乾燥工程におけるカチオン性赤外線
吸収色素と酸基を有するポリマーとの塩形成反応にて揮
発性酸として光熱変換層外へ除去されるので好ましい。
上記乾燥条件としては好ましくは80〜200℃、0.
1〜5分、更に好ましくは100〜150℃、0.1〜
2分が挙げられる。
【0008】本発明により光熱変換層内で形成されるカ
チオン性赤外線吸収色素の酸基を有するポリマーとの塩
は、−SO3H、−COOH、−OPO32から選ばれ
る酸基のうち少なくとも1種を繰り返し単位として含有
するポリマーとの塩であることが好ましい。
【0009】シアニン色素は700〜900nmに吸光係
数100000以上の吸収を有するものがレーザー光を
用いた画像形成を行う上で好ましい。該吸光係数は15
0000以上が更に好ましい。カチオン性赤外線吸収色
素の酸基を有するポリマーとの塩は、有機溶剤に可溶で
あることが、有機溶剤に可溶なバインダーを含む光熱変
換層塗布液の調製を容易に行える上で好ましい。本発明
の熱転写シートは画像形成層が、色材と、軟化点が40
〜150℃の範囲にある非晶質有機高分子重合体と、を
それぞれ20〜80重量%含み、かつ、その厚さが0.
2〜1.5μmの範囲にあることが、特にレーザー光を
用いた画像形成を行う上で好ましい。
【0010】以下、熱転写シートの構成要素を更に説明
する。 <支持体>熱転写シートの支持体の材料には特に限定は
なく、寸法安定性に優れ画像形成の際の熱に耐えるもの
であれば、各種の支持体材料を目的に応じて用いること
ができる。支持体材料の好ましい例としては、ポリエチ
レンテレフタラート(PET)、ポリエチレン−2,6
−ナフタレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリ
塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、スチ
レン−アクリロニトリロ共重合体等の剛性樹脂材料を挙
げることができる。その中でも、二軸延伸ポリエチレン
テレフタレートが、機械的強度や熱に対する寸法安定性
の観点から好ましい。
【0011】また、レーザ光を支持体側から照射して画
像を形成するのであれば、この支持体は透明であること
が好ましい。また、レーザ光を画像形成層側から照射し
て画像を形成するのであれば、支持体は特に透明である
必要はない。
【0012】支持体は、被転写材料との密着性を上げる
ために、クッション性を有していてもよい。その場合
は、低弾性率を有する材料、又はゴム弾性を有する材料
を使用するのが好ましい。具体的には、天然ゴム、アク
リレートゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、ブタジエン
ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ク
ロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、アク
リルゴム、フッ素ゴム、ネオプレンゴム、クロロスルホ
ネーテッドポリエチレン、エピクロルヒドリン、EPD
M、ウレタネラストマー等のエラストマー、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリブテン、耐
高衝撃性ABS樹脂、ポリウレタン、ABS樹脂、アセ
テート、セルロースアセテート、アミド樹脂、ポリテト
ラフルオロエチレン、ニトロセルロース、ポリスチレ
ン、エポキシ樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹
脂、ポリエステル、耐衝撃性アクリル樹脂、スチレン−
ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、可塑剤入り塩化
ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポ
リ塩化ビニリデン等のうち、弾性率の小さな樹脂を挙げ
ることができる。これらの低弾性率を有する材料、又は
ゴム弾性を有する材料は、支持体のベース材料中に配合
してもよい。また、ポリノルボルネンやポリブタジエン
ユニットとポリスチレンユニットとが複合化されたスチ
レン系ハイブリッドポリマー等の形状記憶樹脂を使用し
てもよい。
【0013】支持体の厚さには、特に制約はないが、通
常は2〜300μmであり、好ましくは5〜200μm
である。クッション性を有する支持体の厚みは、使用す
る樹脂、あるいはエラストマーの種類、密着の際の吸引
力、マット材の粒径、マット材の使用量等の様々な因子
によって相違するので、一概に決定することはできない
が、通常10〜100μmである。
【0014】(バックコート層)また、支持体の光熱変
換層が設けられる側の反対側に、走行安定性、耐熱性、
帯電防止等の機能を付与するバックコート層を設けても
よい。バックコート層は、ニトロセルロース等の樹脂を
溶媒中に溶解したバックコート層用塗布液や、バインダ
ー樹脂と20〜30μmの微粒子を溶媒中に溶解、又は
分散させることによって得られるバックコート層用塗布
液を、支持体の表面に塗布して形成される。
【0015】(クッション層)支持体と光熱変換層との
間にはクッション層を設けることができる。寸法安定性
が要求される場合、あるいは低弾性率の材料を使用する
場合には、支持体にクッション性を付与するよりも、ク
ッション性を有しない支持体上に、クッション層を設け
るのが好ましい。クッション層の材料としては、クッシ
ョン性の支持体を形成するための材料として挙げたもの
が使用できる。
【0016】クッション層の厚みは、通常10〜100
μmが好ましい。しかし、これに限定されず、使用する
樹脂あるいはエラストマーの種類、密着の際の吸引力、
マット材の粒計、マット材の使用量等の様々な因子を考
慮して適宜決定するのが好ましい。
【0017】クッション層の形成方法としては、各種溶
媒に溶解もしくはラテックス状にして分散させたものを
ブレードコーター、ロールコーター、バーコーター、カ
ーテンコーター、グラビアコーター等の塗布方法、押出
ラミネーション法貼り合せ等によって形成することがで
きる。
【0018】クッション層を設けることで密着性は向上
するが、真空密着を行なう際の減圧に要する時間にはあ
まり変化がない。かえって、あまり急激な減圧は空気溜
りの発生を誘発する。密着性を十分に確保すると共に真
空密着に要する時間を短縮するには、熱転写シートを粗
面化することが好ましい。
【0019】熱転写シートを粗面化するには、あらかじ
めクッション層の表面を粗面化処理し、その後光熱変換
層及び画像形成層を設ける方法、又は、熱転写シートの
表面にマット材を含有させる方法等を挙げることができ
る。粗面化の程度は、クッション層の弾性、膜厚、加圧
力(真空度)、及び熱転写シートの表面粗さ、マット材
の粒径、添加量によって決めるのが好ましい。クッショ
ン層表面の粗面化では、クッション層を形成する素材に
もよるが、表面粗さRaが0.3〜10μmの範囲が好
ましい。熱転写シートの表面を粗面化する場合もほぼ同
様である。
【0020】<光熱変換層>前記光熱変換層は、光熱変
換物質であるカチオン性赤外線吸収色と酸基を有するポ
リマーとの塩、バインダー、及び必要に応じて添加剤、
マット材等その他の成分を含有してなる。前記光熱変換
層の層厚としては、0.1〜3μmが好ましく、0.1
〜1μmがより好ましい。光熱変換層の600〜110
0nmの波長での光学濃度は、0.3〜2.0であるこ
とが必要である。光学濃度が0.3未満では、照射され
た光を熱に変換することができず、2.0を超えると、
記録時に光熱変換層が破壊されてカブリが発生する。
【0021】(カチオン性赤外線吸収色素)前記光熱変
換層には、光熱変換物質であるカチオン性赤外線吸収色
素が酸基を有するポリマーとの塩として含有される。な
お、前記光熱変換物質とは、照射される光エネルギーを
熱エネルギーに変換する機能を有する物質のことをい
う。本発明の熱転写シートにおいて、使用可能なカチオ
ン性赤外線吸収色素としては、インドレニン系色素、ポ
リメチン系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシア
ニン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン色素、ニ
トロソ化合物及びその金属錯塩、チオールニッケル塩、
トリアリルメタン系色素、インモニウム系色素、ナフト
キノン系色素、アントラキノン系染料、アントラセン系
色素、アズレン系色素等を挙げることができる。具体的
には、特開昭62−87388号公報、同63−264
395号公報、同63−319191号公報、同64−
33547号公報、特開平1−160683号公報、同
1−280750号公報、同1−293342号公報、
同2−2064号公報、同2−2074号公報、同3−
26593号公報、同3−30991号公報、同3−3
0992号公報、同3−34891号公報、同3−36
093号公報、同3−36094号公報、同3−360
95号公報、同3−42281号公報、同3−6318
5号公報、同3−97589号公報、同3−97590
号公報、同3−97591号公報、同3−103476
号公報、同3−124488号公報、同3−13239
1号公報、同4−140191号公報、同4−1613
82号公報、同4−169289号公報、同4−169
290号公報、同4−173290号公報、同4−17
3291号公報、同5−32058号公報、同5−20
1140号公報、同5−221164号公報、同5−3
38358号公報、同6−24143号公報、同6−3
2069号公報、同6−115263号公報、同6−2
10987号公報、同6−255271号公報、同6−
309695号公報、同7−101171号公報、同7
−149049号公報、同7−172059号公報、同
7−195830号公報、同9−58143号公報、同
9−80763号公報、同10−207065号公報、
同10−268512号公報、同11−95026号公
報、又は同11−302610号公報に記載の化合物群
を挙げることができる。その中でも、本発明で用いるカ
チオン性赤外線吸収色素としては、メチン基を含むもの
が好ましく、インドレニン系色素が特に好ましい。ま
た、光熱変換層は2種以上のカチオン性赤外線吸収色素
を含有することが好ましい。カチオン性赤外線吸収色素
は前記したように700〜900nmに吸光係数1000
00以上の吸収を有するシアニン色素が好ましく、例え
ば、光熱変換層塗布液に用いられるものとしては、以下
のものを挙げることができる。これらは単独または組み
合わせて用いることができる。
【0022】
【化1】
【0023】
【化2】
【0024】(カチオン性赤外線吸収色素と塩を形成す
る酸基を有するポリマー)前記光熱変換層塗布液には、
カチオン性赤外線吸収色素と塩を形成する酸基を有する
ポリマーが添加される。本発明により光熱変換層内に形
成されたカチオン性赤外線吸収色素と酸基を有するポリ
マーとの塩は、カチオン性赤外線吸収色素が画像形成層
に移行することを防ぐことができるので、該色素の分解
物による画像形成層の着色や、該色素の分解物が退色す
ることによる記録画像の色相変動等の、画像劣化を防止
し、また、最終の被転写材料に画像を再転写する際の、
転写性の悪化をも防止することが可能となる。
【0025】カチオン性赤外線吸収色素の酸基を有する
ポリマーとの塩は、−SO3H、−COOH、−OPO3
2から選ばれる酸基のうち少なくとも1種を繰り返し単
位として含有する酸基を有するポリマーとの塩であるこ
とが好ましい。酸基を有するポリマー100質量%にお
いて、−SO3H、−COOH、−OPO32構造から
選ばれる酸基の繰り返し単位は、10〜100質量%、
好ましくは25〜80質量%含有することが好ましい。
ポリマーの数平均分子量は1000〜1000000、
好ましくは2000〜300000、より好ましくは2
000〜100000の範囲である。この範囲であれば
カチオン性赤外線吸収色素の画像形性層への移行が防止
され、有機溶剤にも可溶となる。ポリマー形態としては
付加重合、重縮合、重付加いずれによって得られるポリ
マーであっても良く、ビニルモノマーの付加重合生成物
であることが好ましい。また、これらの繰り返し単位全
てが光熱変換層内においてカチオン性赤外線吸収色素と
塩を形成していなくても良く、ナトリウム塩、カリウム
塩、リチウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩、テトラメ
チルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テ
トラブチルアンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモ
ニウム塩、ベンジルトリエチルアンモニウム塩などを含
有していても良い。−SO3H、−COOH、−OPO3
2から選ばれる酸基の繰り返し単位は、例えば、次の
一般式(1)で表すことができる。
【0026】
【化3】
【0027】式(1)中、R1は水素原子、メチル基、
あるいは−X−R2−A1を示し、R3は水素原子あるい
は−X−R2−A1を示し、Xは-CO-, -C(=O)O-, -CONH
-, -OC(=O)-, フェニレン、複素環の2価基を示し、R2
は2価の連結基あるいは単結合を示し、A1は−SO
3H、−COOHまたは−OPO32を示す。式(1)
で表される繰り返し単位において、同一単位で−X−R
2−A1が2個以上存在する場合は、X、R2またはA1
各々互いに同じでも異なってもよい。また、異なる構造
の単位を同一分子内に複数存在させてもよい。以下に−
SO3Hを有する繰り返し単位の具体例を挙げるがこれ
らに限定されない。
【0028】
【化4】
【0029】R11は水素原子またはメチル基を示す。具
体的には、以下のものが例示される。スチレンスルホン
酸、ビニルベンジルスルホン酸、2−アクリルアミド−
2−メチルプロパンスルホン酸など。以下に−COOH
を有する繰り返し単位の具体例を挙げるがこれらに限定
されない。尚、nは1〜10の整数を表す。Rは炭素数
1〜4の連結基を表し、該連結基上には単一あるいは複
数の置換基を有していても良く、また、該置換基同士が
連結していて環構造を形成していても良い。また、該連
結基中に複素原子を介していても良い。
【0030】
【化5】
【0031】具体的には、以下のものが例示される。
(メタ)アクリル酸(アクリル酸及びメタクリル酸の総
称の意味である。以下、同様。)、イタコン酸、クロト
ン酸、フマル酸、マレイン酸、スチレンカルボン酸な
ど。以下に−OPO32を有する繰り返し単位の具体例
を挙げるがこれらに限定されない。
【0032】
【化6】
【0033】具体的には、以下のものが例示される。リ
ン酸モノ2−(メタ)アクリロイルエチル、リン酸モノ
ビニルなど。
【0034】上記酸基を有するポリマーの共重合成分と
しては、例えば、芳香族ビニル化合物(例、スチレン、
α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、クロロ
メチルスチレン及びビニルトルエン)、(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステル(例、メチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)
アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート及び2
‐エチルヘキシル(メタ)アクリレート)、(メタ)ア
クリル酸アルキルアリールエステル(例、ベンジル(メ
タ)アクリレート)、(メタ)アクリル酸置換アルキル
エステル(例、グリシジル(メタ)アクリレート、2‐
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミ
ノエチル(メタ)アクリレート及びジメチルアミノプロ
ピル(メタ)アクリレート)、アルキル(メタ)アクリ
ルアミド(例、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メ
タ)アクリルアミド、N‐イソプロピル(メタ)アクリ
ルアミド、n−ブチル(メタ)アクリルアミド、tert−
ブチル(メタ)アクリルアミド及びtert−オクチル(メ
タ)アクリルアミド)、置換アルキル(メタ)アクリル
アミド(例、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルア
ミド及びジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミ
ド)、シアン化ビニル(例、(メタ)アクリロニトリル
及びα−クロロアクリロニトリル)、カルボン酸ビニル
エステル(例、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニ
ル)、脂肪族共役ジエン(例、1,3‐ブタジエン及び
イソプレン)及び重合性オリゴマー(例、片末端メタク
リロイル化ポリメチルメタクリレートオリゴマー、片末
端メタクリロイル化ポリスチレンオリゴマー及び片末端
メタクリロイル化ポリエチレングリコール)などが挙げ
られる。共重合成分は1種であっても良く、また2種以
上併用しても良い。
【0035】本発明に用いる酸基を有するポリマーの具
体例としては、スチレンスルホン酸/メチル(メタ)ア
クリレート共重合体、ビニルベンジルスルホン酸/メチ
ル(メタ)アクリレート共重合体、2−アクリルアミド
−2−メチルプロパンスルホン酸/メチル(メタ)アク
リレート共重合体、(メタ)アクリル酸/メチル(メ
タ)アクリレート共重合体、イタコン酸/メチル(メ
タ)アクリレート共重合体、マレイン酸/メチル(メ
タ)アクリレート共重合体、クロトン酸/メチル(メ
タ)アクリレート共重合体、スチレンカルボン酸/メチ
ル(メタ)アクリレート共重合体、リン酸モノ2−(メ
タ)アクリロイルエチル/メチル(メタ)アクリレート
共重合体、リン酸モノビニル/メチル(メタ)アクリレ
ート共重合体、スチレンスルホン酸/ブチル(メタ)ア
クリレート共重合体、スチレンスルホン酸/ベンジル
(メタ)アクリレート共重合体、スチレンスルホン酸/
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、
スチレンスルホン酸/スチレン共重合体、スチレンスル
ホン酸/α−メチルスチレン共重合体、スチレンスルホ
ン酸/ジメチル(メタ)アクリルアミド共重合体、スチ
レンスルホン酸/ジメチルアミノエチル(メタ)アクリ
レート共重合体、スチレンスルホン酸/アクリロニトリ
ル共重合体、スチレンスルホン酸/酢酸ビニル共重合
体、スチレンスルホン酸/安息香酸ビニル共重合体、ス
チレンスルホン酸/片末端メタクリロイル化ポリメチル
メタクリレートオリゴマー、スチレンスルホン酸/片末
端メタクリロイル化ポリスチレンオリゴマー、2−アク
リルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸/ブチル
(メタ)アクリレート共重合体、2−アクリルアミド−
2−メチルプロパンスルホン酸/ベンジル(メタ)アク
リレート共重合体、2−アクリルアミド−2−メチルプ
ロパンスルホン酸/2−ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレート共重合体、2−アクリルアミド−2−メチルプ
ロパンスルホン酸/スチレン共重合体、2−アクリルア
ミド−2−メチルプロパンスルホン酸/α−メチルスチ
レン共重合体、2−アクリルアミド−2−メチルプロパ
ンスルホン酸/ジメチル(メタ)アクリルアミド共重合
体、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸/ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート共重合
体、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸/アクリロニトリル共重合体、2−アクリルアミド−
2−メチルプロパンスルホン酸/酢酸ビニル共重合体、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸/
安息香酸ビニル共重合体、2−アクリルアミド−2−メ
チルプロパンスルホン酸/片末端メタクリロイル化ポリ
メチルメタクリレートオリゴマー共重合体、2−アクリ
ルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸/片末端メタ
クリロイル化ポリスチレンオリゴマー共重合体などが挙
げられる。これらポリマーは1種単独で用いても良く、
また2種以上併用しても良い。カチオン性赤外線吸収色
素と上記酸基を有するポリマーとの塩は有機溶剤可溶で
あることが望ましい。
【0036】上記有機溶剤としては、特に制限はなく、
公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、
(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル及
びその酢酸エステル類(例、エチレングリコールモノメ
チルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテ
ル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピ
レングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコ
ールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチ
ルエーテル、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、
1−エトキシ−2−プロピルアセテートなど)、酢酸エ
ステル類(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロ
ピル、酢酸i‐プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブ
チルなど)、芳香族炭化水素類(例、ベンゼン、トルエ
ン、キシレンなど)、ケトン類(例、メチルエチルケト
ン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサ
ノンなど)、アルコール類(メタノール、エタノール、
n−プロパノール、i‐プロパノール、ブタノール、ア
ミルアルコール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリ
ンなど)、アミド類(N−メチルピロリドン、N,N−
ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、N,N‘−ジメチルイミダゾリジノンなど)などが
挙げられる。これらは1種単独で使用しても良いし、2
種以上を併用しても良い。これらの中でもアミド類、ケ
トン類、アルキレングリコールモノアルキルエーテル及
びその酢酸エステル類が好ましい。
【0037】光熱変換層は、カチオン性赤外線吸収色素
と酸基を有するポリマーとの塩、及び後述するバインダ
ーとを溶解し、必要に応じて添加剤、マット材等その他
の成分を添加した塗布液を調製し、これを支持体上に塗
布乾燥することによって設けることができる。該光熱変
換層用塗布液を調製する際に、カチオン性赤外線吸収色
素と酸基を有するポリマーとの塩を溶解するための溶媒
としては、後述するバインダーを溶解する溶媒を同様に
用いることができる。
【0038】(バインダー)一般に、前記光熱変換層に
含有されるバインダーに要求される条件としては、前記
支持体上に層を形成し得る強度を少なくとも有し、ガラ
ス転移点が高く、熱伝導率の高いこと、更には画像記録
の際に、高エネルギーの照射を行っても発生する熱によ
って分解せず耐熱性を有すること等、が挙げられる。
【0039】そのような性質を有するバインダーとして
は、例えば、ポリメタクリル酸アルキル、ポリアクリル
酸アルキル、ポリカーボネート、ポリスチレン、エチル
セルロース、ニトロセルロース、ポリエステル、ポリウ
レタン、アセチルセルロース、ポリビニルアルコール、
ポリ塩化ビニル、アミド系樹脂、ポリイミド、ポリエー
テルイミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォ
ン、アラミド等の一般的な耐熱性樹脂が好適に挙げられ
る。これらの中でも、ポリビニルアルコールは光熱変換
層の飛散が起こりにくいので特に好ましい。また、ポリ
イミドも、有機溶媒に可溶で生産性向上等の観点から、
特に好ましい。
【0040】(添加剤)前記光熱変換層には、必要に応
じて添加剤を含有させてもよい。熱転写シート又はその
塗布液は、保存等の時間経過に伴って感度の低下や解像
度の劣化などの記録性能が低下する。特に、高温高湿下
では顕著である。これは、光熱変換層に含有されるカチ
オン性赤外線吸収色素の分解に起因している。また、室
温保存時であっても、それが長期におよぶと、膜中の残
存溶剤等の影響によってカチオン性赤外線吸収色素が分
解する場合があり、記録性能の低下の原因となる。さら
に、光熱変換層が塗布液の状態で保存されている場合で
も、カチオン性赤外線吸収色素が分解する場合があり、
所定の光学濃度が出ずに画質の低下を生じる。
【0041】かかる熱転写シートの記録性能の低下を防
ぐために、カチオン性赤外線吸収色素の分解の原因とな
る求核種などに対してクエンチング効果を有する添加剤
を、光熱変換層に含有させるのが好ましい。該添加剤と
しては、リン酸エステル、亜リン酸エステル、酸無水
物、酸ハライド、イソシアネートから選ばれる官能基の
うち少なくとも1つを有する化合物が好適に挙げられ、
これらの化合物を一種類以上光熱変換層に含有させるこ
とで、カチオン性赤外線吸収色素の分解を抑制すること
ができる。これらの添加剤により、カチオン性赤外線吸
収色素の分解に起因する画質劣化を防止することができ
る。
【0042】なお、前記リン酸エステル、亜リン酸エス
テル、酸無水物、酸ハライド、イソシアネートから選ば
れる官能基のうち少なくとも1つを有する化合物の具体
例等については、特願2000−117056号明細書
に詳しく記載されている。
【0043】(マット材等)前記光熱変換層には、必要
に応じてマット材を含有させてもよい。該マット材とし
ては無機微粒子や有機微粒子を挙げることができる。前
記無機微粒子としては、シリカ、酸化チタン、酸化アル
ミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、硫黄バリウ
ム、硫黄マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マ
グネシウム、窒化ホウ素等の金属塩、カオリン、クレ
ー、タルク、亜鉛華、鉛白、ジークライト、石英、ケイ
ソウ土、バーライト、ベントナイト、雲母、合成雲母等
が挙げられる。前記有機微粒子としては、フッ素樹脂粒
子、グアナミン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、スチレン
−アクリル共重合体樹脂粒子、シリコン樹脂粒子、メラ
ミン樹脂粒子、エポキシ樹脂粒子等の樹脂粒子を挙げる
ことができる。マット材の粒径は、通常、0.3〜30
μmであり、好ましくは0.5〜20μmであり、添加
量は0.1〜100mg/m2が好ましい。前記光熱変
換層には、更に必要に応じて界面活性剤、増粘剤、帯電
防止剤等の、その他の成分が添加されてもよい。
【0044】<画像形成層>本発明の熱転写シートにお
いては、光熱変換層、又は後述の剥離層の上に、画像形
成層が設けられる。本発明において、前記画像形成層
は、色材と、軟化点が40℃〜150℃の範囲にある非
晶質有機高分子重合体と、をそれぞれ20〜80質量%
含むことが好ましい。また、前記画像形成層の厚さ(層
厚)としては、通常は0.1〜3μmであり、0.2〜
1.5μmの範囲にあることが好ましい。前記画像形成
層には、前記色材及び前記非晶質有機高分子重合体の他
に、所望により、マット材等その他の成分を含有させて
もよい。なお、本発明における画像形成層とは、加熱時
に溶融もしくは軟化して被転写材料に転写される層を意
味する。画像形成層は、完全な溶融状態で転写されなく
てもよい。
【0045】(色材)前記画像形成層に含まれる色材と
しては顔料又は染料がある。顔料は一般に有機顔料と無
機顔料とに大別され、前者は特に塗膜の透明性に優れ、
後者は一般に隠蔽性に優れる。前記無機顔料としては、
二酸化チタン、カーボンブラック、酸化亜鉛、プルシア
ンブルー、硫化カドミウム、酸化鉄、ならびに鉛、亜
鉛、バリウム、及びカルシウムのクロム酸塩等が挙げら
れる。前記有機顔料としては、アゾ系顔料、チオインジ
ゴ系顔料、アントラキノン系顔料、アントアンスロン
系、トリフェンジオキサジン系の顔料、バット染料顔
料、イソインドリノン系顔料、ニトロ系顔料、フタロシ
アニン系顔料、たとえば銅フタロシアニン及びその誘導
体ならびにキナクリドン系顔料などが挙げられる。画像
形成層中の顔料の含有量は、20〜80質量%であるこ
とが好ましい。
【0046】また、色材としては染料を使用してもよ
い。有機染料としては、酸性染料、直接染料、分散染
料、油溶性染料、含金属油溶性染料、又は熱昇華性色素
等が挙げられ、該熱昇華性色素としては、例えば、シア
ン色素、マゼンタ色素、イエロー色素が好適に挙げられ
る。
【0047】前記シアン色素としては、特開昭59−7
8896号公報、同59−227948号公報、同60
−24966号公報、同60−53563号公報、同6
0−130735号公報、同60−131292号公
報、同60−239289号公報、同61−19396
号公報、同61−22993号公報、同61−3129
2号公報、同61−31467号公報、同61−359
94号公報、同61−49893号公報、同61−14
8269号公報、同62−191191号公報、同63
−91288号公報、同63−91287号公報、同6
3−290793号公報等に記載されているナフトキノ
ン系色素、アントラキノン系色素、アゾメチン系色素等
が挙げられる。
【0048】前記マゼンタ色素としては、特開昭59−
78896号、特開昭60−30392号、特開昭60
−30394号、特開昭60−253595号、特開昭
61−262190号、特開昭63−5992号、特開
昭63−205288号、特開昭64−159号、特開
昭64−63194号等の各公報に記載されているアン
トラキノン系色素、アゾ色素、アゾメチン系色素等が挙
げられる。
【0049】前記イエロー色素としては、特開昭59−
78896号、特開昭60−27594号、特開昭60
−31560号、特開昭60−53565号、特開昭6
1−12394号、特開昭63−122594号等の各
公報に記載されているメチン系色素、アゾ系色素、キノ
フタロン系色素、アントライソチアゾール系色素が挙げ
られる。
【0050】前記熱昇華性色素の中でも、開鎖型又は閉
鎖型の活性メチレン基を有する化合物と、p−フェニレ
ンジアミン誘導体の酸化体又はp−アミノフェノール誘
導体の酸化体とのカップリング反応によって得られるア
ゾメチン色素や、開鎖型又は閉鎖型の活性メチレン基を
有する化合物と、フェノール又はナフトール誘導体、p
−フェニレンジアミン誘導体の酸化体、あるいはp−ア
ミノフェノール誘導体の酸化体とのカップリング反応に
よって得られるインドアニリン色素等が、特に好まし
い。
【0051】画像形成層に含有される前記熱昇華性色素
は、形成する画像が単色であるならば、イエロー色素、
マゼンタ色素及びシアン色素のいずれであってもよい。
【0052】画像形成層における前記色材の含有率は、
通常、5〜70質量%であり、20〜80質量%が好ま
しく、30〜70質量%がより好ましい。
【0053】(結合剤 −非晶質有機高分子重合体−)
本発明にかかる画像形成層に用いることができる結合剤
(バインダー)としては、熱溶融性物質、熱軟化性物
質、及び熱可塑性樹脂を挙げることができる。前記熱溶
融性物質とは、通常、柳本MJP−2型を用いて測定し
た融点が40〜150℃の範囲内にある固体又は半固体
の物質のことをいう。
【0054】前記熱溶融性物質の具体例としては、例え
ば、カルナバロウ、木ロウ、オウリキュリーロウ及びエ
スパルロウ等の植物ロウ;蜜ロウ、昆虫ロウ、セラック
ロウ及び鯨ロウ等の動物ロウ;パラフィンワックス、マ
イクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、
エステルワックス及び酸ワックス等の石油ロウ;ならび
にモンタンロウ、オゾケライト及びセレシン等の鉱物ロ
ウ等のワックス類を挙げることができ、さらにこれらの
ワックス類などの他に、パルミチン酸、ステアリン酸、
マルガリン酸及びべへン酸等の高級脂肪酸;パルミチル
アルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコー
ル、マルガニルアルコール、ミリシルアルコール及びエ
イコサノール等の高級アルコール;パルミチン酸セチ
ル、パルミチン酸ミリシル、ステアリン酸セチル及びス
テアリン酸ミリシル等の高級脂肪酸エステル;アセトア
ミド、プロピオン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステ
アリン酸アミド及びアミドワックス等のアミド類;なら
びにステアリルアミン、ベヘニルアミン及びパルミチル
アミン等の高級アミン類が挙げられ、これらを単独で用
いてもよいし併用してもよい。
【0055】前記熱軟化性物質の具体例としては、植物
ロウ、動物ロウ、石油ロウ及び鉱物ロウ等のワックス類
を挙げることができ、さらにこれらのワックス類の他
に、高級脂肪酸、高級アルコール、高級脂肪酸エステ
ル、アミド類、高級アミン類、及び軟化点が40℃〜1
50℃である非晶質有機高分子重合体が好適に挙げられ
る。
【0056】前記軟化点が40℃〜150℃の非晶質有
機高分子重合体の具体例としては、例えば、ポリビニル
ブチラール樹脂、ブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、ポ
リエチレンイミン樹脂、スルホンアミド樹脂、ポリエス
テルポリオール樹脂、石油樹脂、スチレン、ビニルトル
エン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、クロ
ルスチレン、ビニル安息香酸、ビニルベンゼンスルホン
酸ナトリウム、アミノスチレン等のスチレン及びその誘
導体、置換体の単独重合体や共重合体、メチルメタクリ
レート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレー
ト、ヒドロキシエチルメタクリレート等のメタクリル酸
エステル類及びメタクリル酸、メチルアクリレート、エ
チルアクリレート、ブチルアクリレート、α−エチルヘ
キシルアクリレート等のアクリル酸エステル及びアクリ
ル酸、ブタジエン、イソプレン等のジエン類、アクリロ
ニトリル、ビニルエーテル類、マレイン酸及びマレイン
酸エステル類、無水マレイン酸、ケイ皮酸、塩化ビニ
ル、酢酸ビニル等のビニル系単量体の重合体、あるいは
該ビニル系単量体と他の単量体等との共重合体を挙げる
ことができる。これらの樹脂は2種以上混合して用いる
こともできる。
【0057】前記熱可塑性樹脂の具体例としては、エチ
レン系共重合体、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹
脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アク
リル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ロ
ジン系樹脂、アイオノマー樹脂及び石油系樹脂等の樹脂
類;天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴ
ム及びクロロプレンゴムなどのエラストマー類;エステ
ルガム、ロジンマレイン酸樹脂、ロジンフェノール樹脂
及び水添ロジン等のロジン誘導体;ならびにフェノール
樹脂、テルペン樹脂、シクロペンタジエン樹脂及び芳香
族系炭化水素樹脂等の軟化点40〜150℃の高分子化
合物などが挙げられる。
【0058】前記結合剤のうち、軟化点が40℃〜15
0℃の非晶質有機高分子重合体を使用することが好まし
い。画像形成層中の非晶質有機高分子重合体の含有量は
20〜80質量%が好ましく、30〜70質量%がより
好ましく、40〜60質量%が特に好ましい。
【0059】(マット材)前記画像形成層には、マット
材を添加することができる。支持体がクッション性を有
する場合、又は粗面化処理をしていないクッション層が
支持体上に設けられている場合には、画像形成層にマッ
ト材を添加して、その表面を粗面化することが好まし
い。前記マット材としては、無機微粒子や有機微粒子を
挙げることができる。前記無機微粒子としては、シリ
カ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マ
グネシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、水酸化
アルミニウム、水酸化マグネシウム、窒化ホウ素等の金
属塩、カオリン、クレー、タルク、亜鉛華、鉛白、ジー
クライト、石英、ケイソウ土、パーライト、ベントナイ
ト、雲母、合成雲母などが挙げられる。前記有機微粒子
としては、フッ素樹脂粒子、グアナミン樹脂粒子、アク
リル樹脂粒子、スチレン−アクリル共重合体樹脂粒子、
シリコン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、エポキシ樹脂粒
子等の樹脂粒子を挙げることができる。
【0060】また、画像転写時に、熱転写シートと被転
写材料と重ね合わせて加圧、あるいは加熱加圧する際
に、その圧力によって潰れてしまうマット材を熱転写シ
ートに含有させれば、支持体にクッション性を持たせる
ことができ、クッション層を設けなくても同様の効果を
奏することができる。
【0061】加圧時に潰れるようなマット材としては、
ゴム弾性を有する材料により形成された微粒子を挙げる
ことができる。具体的には、アクリレートゴム、ブチル
ゴム、ニトリルゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴ
ム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ウ
レタンゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴ
ム、ネオプレンゴム、クロロスルホネーテッドポリエチ
レン、エピクロルヒドリン、EPDM等のエラストマー
等が挙げられる。また、加熱加圧によって潰れるマット
材としては、パラフィンワックス、密蝋、油分の大きい
ワックス、低分子量成分の大きいワックス等の低硬度ワ
ックスからなる微粒子を使用することができる。このワ
ックス微粒子により粗面化された熱転写シートは、微粒
子を形成するワックスの溶融開始温度より10℃以上低
い温度で形成することによって製造することができる。
【0062】マット材の粒径は、通常、0.3〜30μ
mであり、好ましくは0.5〜20μmであり、添加量
は0.1〜100mg/m2である。
【0063】(その他の成分)画像形成層は、さらに、
上述の成分の他に、界面活性剤、無機あるいは有機微粒
子(金属粉、シリカゲル等)、オイル類(アマニ油、鉱
油等)などを含有してもよい。黒色の画像を得る場合を
除き、画像記録に用いる光源の波長を吸収する物質を含
有することで、転写に必要なエネルギーを少なくでき
る。光源の波長を吸収する物質としては、顔料、染料の
いずれでも構わないが、カラー画像を得る場合には、画
像記録に半導体レーザ等の赤外線の光源を使用して、可
視部に吸収の少なく、光源の波長の吸収が大きい染料を
使用するのが、色再現上好ましい。近赤外線染料の具体
例としては、特開平3−103476号公報に記載の化
合物を挙げることができる。
【0064】<飛散防止層>レーザー等の高密度エネル
ギーを光源として使用する場合、前記光熱変換層が光エ
ネルギーを急激に吸収することで発生した熱によって、
光熱変換物質又はバインダーが飛散することを防ぐため
に、飛散防止層を光熱変換層と画像形成層の間に設けて
もよい。飛散防止層としては、薄膜で光熱変換層の飛散
を抑制することのできる強度と、光熱変換層で発生した
熱を画像形成層まで速やかに熱伝達することができる、
熱伝導率の高い素材からなることが好ましい。飛散防止
層としては、光熱変換層のバインダーと同様に一般的な
耐熱性樹脂等により形成されるが、中でもポリビニルア
ルコールは飛散防止の効果が大きく、水に溶解して塗布
することが可能であり、画像形成層や光熱変換層との混
合が少なく好ましい。また、熱転写シートの支持体側か
ら光を照射する場合、飛散防止層は不透明でもよく、ア
ルミ等の金属蒸着膜も飛散防止効果がある。飛散防止層
の膜厚は、薄い程感度が高く、厚い程飛散防止の効果が
あるが、一般的に0.05〜1.0μmである。
【0065】<剥離層>光熱変換層と画像形成層との間
には、剥離層を設けることができる。剥離層の存在によ
って、感熱転写記録時における画像形成層の剥離が容易
になり、品質の高い画像を得ることができる。剥離層
は、熱溶融性化合物それ自体で構成することもできる
が、通常は、熱溶融性化合物及び/又は熱可塑性樹脂等
のバインダー樹脂などから構成することが好ましい。
【0066】剥離層の主成分として使用する熱溶融性化
合物は、公知のものから適宜に選択して使用すればよ
い。その具体例としては、例えば、特開昭63−193
886号公報の第4頁左上欄第8行〜同頁右上欄第12
行までに例示の物質を使用することができる。
【0067】前記熱可塑性樹脂の具体例としては、例え
ば、エチレン−酢酸ビニル系樹脂等のエチレン系共重合
体、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレ
タン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂及
びセルロース系樹脂などを挙げることができる。この
他、例えば、塩化ビニル系樹脂、ロジン系樹脂、石油系
樹脂及びアイオノマー樹脂などの樹脂、天然ゴム、スチ
レンブタジエンゴム、イソプレンゴム及びクロロプレン
ゴムなどのエラストマー類、エステルガム、ロジンマレ
イン酸樹脂、ロジンフェノール樹脂及び水添ロジン等の
ロジン誘導体、ならびにフェノール樹脂、テルペン樹
脂、シクロペンタジエン樹脂及び芳香族系樹脂等も場合
に応じて使用可能である。
【0068】本発明において、剥離層の成分として使用
できる熱可塑性樹脂は、上記例示の熱可塑性樹脂の中で
も、その融点もしくは軟化点が、通常50〜150℃、
特に60〜120℃の範囲にあるもの、あるいは二種以
上の混合によってその範囲になるものが好適に使用され
る。
【0069】<熱転写シートの製造>この発明の熱転写
シートを製造するには、まず、各層を形成する前記成分
を加熱しながら混合するか、あるいは溶媒に分散ないし
溶解して、各層形成用塗布液を調製する。そして、これ
らの塗布液を支持体の表面に順次塗布し、必要に応じて
溶媒を乾燥し、目的の熱転写シートを得ることができ
る。
【0070】塗布液を調製するための溶媒としては、
水、アルコール類(たとえば、エタノール、メタノー
ル)、セロソルブ類(たとえばメチルセロソルブ、エチ
ルセロソルブ)、芳香族類(たとえば、トルエン、キシ
レン、クロルベンゼン)、ケトン類(たとえばアセト
ン、メチルエチルケトン)、エステル系溶剤(たとえば
酢酸エチル、酢酸ブチル)、エーテル類(たとえばテト
ラヒドロフラン、ジオキサン)、塩素系溶剤(たとえば
クロロフォルム、トリクロルエチレン)などを挙げるこ
とができる。
【0071】塗布法には、従来から公知のグラビアロー
ルによる塗布法、押し出し塗布法、ワイヤーバー塗布
法、ロール塗布法等を採用することができる。
【0072】前記画像形成層は、支持体の表面の全面、
あるいは表面の一部に、単色の色材を含有する層として
形成されてもよいし、また、バインダー及びイエロー色
素を含有するイエロー画像形成層、バインダー及びマゼ
ンタ色素を含有するマゼンタ画像形成層、ならびにバイ
ンダー及びシアン色素を含有するシアン画像形成層が、
平面方向に沿って一定の繰り返しで、支持体の表面の全
面あるいは表面の一部に形成されていてもよい。また、
これらの各色の画像形成層を積層してもよい。
【0073】なお、熱転写シートには、パーフォレーシ
ョンを形成したり、あるいは色相の異なる区域の位置を
検出するための検知マーク等を設けることによって、使
用時の便を図ることができる。
【0074】《被転写材料》熱転写シートから像様に剥
離した画像形成層を受容して画像を形成するには、最終
の画像記録媒体として被転写材料が使用される。通常、
この被転写材料は支持体と、その上に1以上の受像層と
を有するが、支持体のみから形成されることもある。ま
た、支持体と受像層との間に、クッション層等を設けて
もよい。
【0075】前記被転写材料は、熱によって溶融した画
像形成層が転写されるのであるから、適度の耐熱性を有
するとともに、画像が適正に形成されるように寸法安定
性に優れていることが好ましい。
【0076】(支持体)前記被転写材料の支持体として
は、転写された画像を有する面とは反対側の面から透か
して見ることができる画像(透過画像)を形成するので
あれば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン
テレフタレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル及びポ
リイミド等の樹脂フィルムないし樹脂シート等を挙げる
ことができる。一方、転写された画像を有する面とは反
対側の面から透かして見ることはできず転写面側からし
か見えない画像(反射画像)を形成するのであれば、支
持体としては、樹脂フィルムないし樹脂シートに硫酸バ
リウム、炭酸カルシウム、酸化チタン等の白色顔料を添
加して成形された白色フィルム類、コート紙、アート
紙、RCペーパーなどの紙類を挙げることができる。
【0077】支持体にクッション性を付与する場合に
は、前述したクッション性を付与する材質で支持体を形
成してもよく、前記樹脂フィルムないし樹脂シートと、
クッション性を付与する材質からなるフィルムないしシ
ートとを複合した、複合フィルムないし複合シートによ
り支持体を形成してもよい。
【0078】(受像層)前記受像層は、バインダーと、
必要に応じて添加される各種の添加剤とから形成され
る。また、支持体がクッション性を有しない場合には受
像層に前述したクッション性を付与するための材質を添
加してもよい。
【0079】前記受像層に添加されるバインダーとして
は、エチレン−塩化ビニル共重合体系接着剤、ポリ酢酸
ビニルエマルジョン系接着剤、クロロプレン系接着剤、
エポキシ樹脂系接着剤等の接着剤、天然ゴム、クロロプ
レン系ゴム、ブチルゴム系、ポリアクリル酸エステル
系、ニトリルゴム系、ポリサルファイド系、シリコンゴ
ム系、ロジン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、石油系樹脂及
びアイオノマー樹脂などの粘着剤、再生ゴム、SBR、
ポリイソプレン、ポリビニルエーテル等を挙げることが
できる。
【0080】(クッション層)前記被転写材料におい
て、支持体や受像層にクッション性を持たせる代わりに
支持体と受像層との間にクッション層を設けてもよい。
この場合、クッション層は、前記熱転写シートにおける
クッション層と同様である。なお、支持体、クッション
層,及び受像層を有する被転写材料における支持体の厚
み、あるいは支持体だけで形成された被転写材料におけ
る支持体の厚みについては特に制限がない。また、クッ
ション層の厚みは、前記熱転写シートにおけるクッショ
ン層の厚みと同様である。前記受像層の厚みは、通常
0.1〜20μmであるが、クッション層を受像層とし
て用いる場合にはこの限りではない。
【0081】被転写材料の画像形成時に熱転写シートと
接触する面は、良好な平滑性を有するか、適度に粗面化
してある。更に言うと、熱転写シートの画像形成層の表
面が、上述したマット材の添加やクッション層の粗面化
等により粗面化されているときには、この被転写材料の
画像形成層に接触する面は、良好な平滑性を有している
ことが好ましい。これに対し、画像形成層が粗面化され
ていないときには、この被転写材料が画像形成層に接触
する面は、上述したマット材の添加やクッション層の粗
面化により粗面化されているのが好ましい。また、画像
形成層と、被転写材料が画像形成層に接触する面とが共
に粗面化されていてもよい。なお、熱転写シートと被転
写材料の双方が粗面化されていないときには、両者を密
着する直前にクッション層を有する被転写材料に粗面化
処理をし、真空密着した状態では粗面化させたところを
再び平滑にすることが好ましい。
【0082】(マット材)マット材については、前記熱
転写シートに関する説明と同様である。また、加圧又は
加熱加圧によって潰れるマット材を使用することによ
り、前記被転写材料にクッション性を有する支持体や受
像層、又はクッション層を設けなくてもすむことは、熱
転写シートにマット材を使用した場合と同様である。
【0083】前記熱転写シート又は被転写材料にマット
材を使用し、熱転写シートと被転写材料との接触面を適
度に粗面化することで、相互の面が密着し過ぎることに
よる不都合を解消することができる。一方、マット材を
使用することによって生じる不具合、すなわち密着ム
ラ、解像度の低下、及び色濁り等の発生を、被転写材料
にクッション性を付与することで解消することができ
る。
【0084】前記被転写材料は、前記熱転写シートによ
って画像を転写形成した場合、最終的な画像記録媒体と
して活用することができる。
【0085】なお、互いに色が相違する色材を有する多
種類の熱転写シートと、1枚の被転写材料とを使用し、
熱転写シート毎に単色の画像形成層を像様に転写して多
色あるいはフルカラーの転写画像を形成する場合、被転
写材料は、クッション性を有することが好ましい。特
に、クッション性を有する支持体、あるいはクッション
層を、復元可能な形状記憶樹脂で形成するのが好まし
い。この形状記憶樹脂としては、前述のものを挙げるこ
とができる。
【0086】(中間転写体)一般に、熱転写シートによ
って画像形成層を像様に被転写材料に熱転写するとき、
画像品質の高い転写画像を得るためには、被転写材料の
表面が平滑であることが好ましい。換言すると、表面の
平滑度の低い被転写材料では高品質の画像を記録するこ
とができない。そこで、表面平滑度の低い被転写材料に
高品質の画像を形成するには、熱転写シートによって、
表面平滑度の高い中間転写体としての被転写材料に一旦
画像を転写し、次いで表面平滑度の低い被転写材料に中
間転写体の画像を再転写するのが好ましい。
【0087】この中間転写体は、被転写材料と同様の構
成をとることができる。ただし、中間転写体はクッショ
ン性を有することが必要である。また、中間転写体には
粗面化は必要ない。中間転写体がクッション層を有する
場合、その厚みは、例えば上質紙を使用した場合、通
常、10〜20μmのうねりがあるので、少なくとも2
0μm以上であることが好ましい。
【0088】中間転写体には、画像形成層の受容性が良
好で、しかも最終の被転写材料への再転写性が良好であ
ることが望まれる。このような特性を有する中間転写体
としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、低VAタイ
プのエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチル
アクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メタアク
リレート共重合体(EMA)、エチレン−メチルメタア
クリレート共重合体(EMMA)、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体、アイオノマー樹脂、塩素化エチレン、塩素
化ポリプロピレン、塩素化ポリオレフィン、ブタジエン
ゴム、イソプレンゴム、SBR、SBS、SIP、ポリ
ビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニル
エーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリド
ン、各種のアクリル系樹脂などのオレフィン系ポリマ
ー、ポリエステル樹脂、ポエリウレタン樹脂、ポリアミ
ド樹脂、ニトロセルロース、酢酸セルロース、エチルセ
ルロース等のセルロース類、フッ素樹脂、シリコーン樹
脂等を挙げることができる。
【0089】中間転写体は最終の被転写材料と重ね合わ
せ、加圧又は加熱加圧により、中間転写体が有する画像
を最終の被転写材料の表面に再転写する。モノクロの画
像を再転写するのであれば、中間転写体である一種類の
被転写材料と、最終の被転写材料一種とが使用される。
多色の再転写画像あるいはフルカラーの再転写画像を、
最終の被転写材料に転写するのであれば、一個の最終の
被転写材料に対して、複数種の中間転写体を使用しても
よいし、一個の中間転写体上に多色あるいはフルカラー
の転写像を転写形成し、最終の被転写材料に再転写して
もよい。
【0090】モノクロ画像を再転写する場合でも、多色
画像もしくはフルカラー画像を再転写する場合でも、中
間転写体の受像層全体を最終の被転写材料に再転写する
手法と、中間転写体の受像層を転写することなく、中間
転写体上の転写画像を再転写する手法とのいずれをも採
用することができる。
【0091】受像層を再転写せず画像のみを再転写する
のであれば、中間転写体における受像層は、最終の被転
写材料に対して非接着性であることが好ましい。また、
加熱しながら再転写をするのであれば、再転写に際し、
中間転写体における受像層はヒートシール性でないこと
が望まれる。また、加熱しながら再転写する手法を採用
するときには、中間転写体における受像層とクッション
層とは熱によって容易に剥離しないような工夫、例えば
受像層とクッション層との間に接着層を介在させるなど
の工夫を要する。また、中間転写体の受像層と共に画像
を再転写するときには、上述とは逆に、受像層とクッシ
ョン層との間に離型層を介装するのが好ましい。
【0092】支持体上にクッション層や受像層を有する
被転写材料及び中間転写体は、各層を形成する上記各種
の成分を加熱しながら混合するか、あるいは溶媒に分散
ないし溶解して各層形成用塗布液を調製し、次いで、そ
の塗布液を支持体上に塗布し、必要に応じて溶媒を乾燥
することを繰り返すことで、得ることができる。
【0093】各層形成溶塗布液の塗布に用いる溶媒とし
ては、例えば、水、アルコール類(例えばエタノール、
プロパノール等)、セロソルブ類(例えばメチルセロソ
ルブ、エチルセロソルブ等)、芳香族類(例えばトルエ
ン、キシレン、クロロベンゼン等)、ケトン類(例えば
アセトン、メチルエチルケトン等)、エステル系溶剤
(例えば酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(例
えばテトラヒドロフラン、ジオキサン等)、塩素系溶剤
(例えば塩化メチレン、クロロホルム、トリクロルエチ
レン等)などが挙げられる。
【0094】各層形成溶塗布液の塗布には、従来から公
知のグラビアロールによる塗布法、押し出し塗布法、ワ
イヤーバー塗布法、ロール塗布法等を採用することがで
きる。上記塗布法の他にも、受像層の形成成分を有する
混合物を溶融押出し、ラミネートするホットメルトエク
ストゥルージョン・ラミネート法等によって受像層を形
成することができる。
【0095】前記ホットメルトエクストゥルージョン・
ラミネート法によるラミネートは、特開平1−2630
81号、同1−271289号、同2−106397
号、同2−111586号、同2−305688号、同
3−49991号公報等に記載されている通常の方法に
よって実施することができる。
【0096】《画像形成》 <モノクロ画像>本発明の熱転写シートを使用してモノ
クロ画像を形成する熱転写記録方法は、次の様にして行
われる。まず、基板上に、熱転写シートと被転写材料と
を重ねて配置する。この場合、基板上には、熱転写シー
トを先に載置しても、被転写材料を先に載置してもよ
い。
【0097】基板としては円筒状ドラム及び平板状基板
のいずれをも使用することができる。好ましいのは、円
筒状ドラムである。基板として円筒状ドラムを使用する
と、高速回転により高速で転写画像を形成することがで
きる。さらに、光照射系のスペースを小さくすると共
に、光学系を単純にすることでレーザー光等を使用する
際のエネルギー効率を上げることができる。これによっ
て、装置も小型化できる。
【0098】このとき、熱転写シート及び/又は被転写
材料は基板に密着させる。熱転写シートや被転写材料を
密着させる手段としては、特に制限がなく、例えば、基
板に多数の貫通孔を設け、排気手段により貫通孔から排
気し、これによる吸引力で熱転写シートあるいは被転写
材料を固定する手段を挙げることができる。
【0099】被転写材料を基板に密着させる際、密着性
を挙げるために、必要に応じて、熱転写シート及び被転
写材料の積層物の上にカバーシートをかぶせたり、基板
の外側におけるシートのサイズを、内側におけるシート
のサイズより少し大きくすることができる。2シートを
別々に密着、脱離させる方法としては実開昭63−87
031号公報に開示されている。密着時間を短くするた
めには、熱転写シート及び被転写材料にスクイーズをか
けながら、減圧することが好ましい。また、熱転写シー
トと被転写材料の少なくとも一方がクッション層を有し
ていると、一度強く減圧しながらスクイーズをかけて密
着させた場合、その後密着を維持するのに必要な真空度
は小さくてもよい。したがって、一度密着工程で十分真
空度を上げておくと、記録時の真空度は余り必要がない
ので、装置設計上も有利になる。
【0100】前記真空密着に要する真空度としては、熱
転写シート及び被転写材料の表面における粗面化の程度
にもよるが、13.3〜4.67×104Paが好まし
く、密着終了後はさらに低くてもよい。マット材を配合
した熱転写シートと被転写材料との積層物を加圧すると
きの加圧力としては、通常、0.1〜5kg/cm
2(9.8〜490kPa)が好ましい。粒径の小さな
マット材を使用するときには、加圧力は小さくてもよ
く、一方、粒径の大きなマット材を使用するときには、
加圧力は大きくする必要がある。
【0101】基板に積層体を密着した後は、基板が透明
であれば基板の裏側から、あるいはカバーシート側か
ら、レーザー光等の光を像様に照射する。熱転写シート
に含有されるカチオン性赤外線吸収色素によりレーザー
光が熱に変換され、画像形成層が像様に被転写材料に接
着する。その後に、熱転写シートと被転写材料とを剥離
すると、単色の画像が像様に接着した被転写材料を得る
ことができる。
【0102】<多色、フルカラー画像>多色の画像ない
しフルカラーの画像を得るには、まず、支持体上にシア
ンの画像形成層、マゼンタの画像形成層及びイエローの
画像形成層を順次に形成してなる熱転写シートを用意す
る。あるいは、シアンの画像形成層を支持体上に有する
単色の熱転写シート、マゼンタの画像形成層を支持体上
に有する単色の熱転写シート、及びイエローの画像形成
層を支持体上に有する単色の熱転写シートを用意する。
【0103】次いで、基板上に被転写材料を吸引作用に
よって固定し、その上に熱転写シートを重ねる。なお、
多色画像あるいはフルカラー画像を形成する場合では、
基板上に被転写材料を吸引密着させた状態で何度も熱転
写シートを交換する必要がある。従って、短時間で画像
を形成するためには、カバーシートを使用しない方が好
ましい。
【0104】上述の通り、像様に光を照射して被転写材
料の表面に、例えばシアンの画像を形成し、被転写材料
の表面から熱転写シートを剥離する。次いで、異なる色
の熱転写シートを重ね、同じく像様に光を照射して、例
えばマゼンタの画像を形成する。画像の形成後にこの熱
転写シートを被転写材料から剥離し、他の色の熱転写シ
ートを被転写材料に重ね合わせる。次いで、像様に光を
照射して、例えばイエローの画像を形成する。
【0105】なお、複数の熱転写シートを交換する間、
色ズレを起こさないように、基板上に被転写材料を固定
しておく必要がある。そのためには、基板の表面を、例
えば粘着性素材で形成するとともに、熱転写シートを交
換する際においても被転写材料を基板上に排気による吸
引力で固定することが好ましい。
【0106】また、被転写材料が形状記憶樹脂で形成さ
れたクッション層を有する場合には、1色転写するごと
に、クッション層を加温してその形状を回復させる。
【0107】前記中間転写体に画像を転写する場合に
も、上述の方法が使用できる。このようにして得られ
た、表面に画像を有する中間転写体を使用することによ
って、表面が平滑でない被転写材料にも精細な画像を形
成することができる。
【0108】
【実施例】以下に、本発明の実施例を説明するが、本発
明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
尚、文中で特に断りのない限り「部」は「質量部」を意
味する。
【0109】(実施例1) −熱転写シートC(シアン)の作製− 1)光熱変換層用塗布液の調製 下記の各成分をスターラーで攪拌しながら混合して、光
熱変換層用塗布液を調製した。 [光熱変換層用塗布液組成] ・赤外線吸収色素 7.6部 (「S0450」、ヒューケミカル社製)
【0110】
【化7】
【0111】 ・酸基を有するポリマー(化合物1) 10.4部
【0112】
【化8】
【0113】 ・ポリイミド樹脂 19.0部 ・N,N−ジメチルホルムアミド 1500部 ・メチルエチルケトン 360部 ・界面活性剤 0.5部 (「メガファックF−177」、大日本インキ化学工業社製) ・マット材 1.7部 (「シーホスターKEP150」:シリカゲル粒子、日本触媒(株)製)
【0114】2)支持体表面への光熱変換層の形成 厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム
(支持体)の一方の表面上に、上記光熱変換層用塗布液
をワイヤーバーを用いて塗布した後、塗布物を120℃
のオーブン中で3分間乾燥して、該支持体上に光熱変換
層を形成した。得られた光熱変換層の波長808nmに
おける光学濃度を(株)島津製作所社製UV−分光光度計
UV−240で測定したところ、OD=1.17であっ
た。層厚は、走査型電子顕微鏡により光熱変換層の断面
を観察したところ、平均で0.3μmであった。
【0115】3)シアン画像形成層用塗布液の調製 下記の各成分を、ニーダーのミルに入れ、少量の溶剤を
添加しつつ剪断力を加え、分散前処理を行った。その分
散物に、更に溶剤を加えて、最終的に下記組成となるよ
うに調製し、サンドミル分散を2時間行い、顔料分散母
液を得た。 [シアン顔料分散母液組成] ・ポリビニルブチラール 12.6部 (「エスレックB BL‐SH」、積水化学工業(株)製) ・顔料 15.0部 (シアン顔料(Pigment Blue 15、「#700−10 FG C Y−Blue」) ・分散助剤 0.8部 (「PW−36」、楠本化成(株)製) ・n−プロピルアルコール 110部
【0116】 [シアン画像形成層用塗布液組成] ・上記シアン顔料分散母液 118部 ・ポリビニルブチラール 5.2部 (「エスレックB BL−SH」、積水化学工業(株)製) ・ワックス系化合物 (ステアリン酸アミド「ニュートロン2」、日本精化(株)製) 1.0部 (ベヘン酸アミド「ダイヤミッドBM」、日本化成(株)製) 1.0部 (ラウリン酸アミド「ダイヤミッドY」、日本化成(株)製) 1.0部 (パルミチン酸アミド「ダイヤミンドKP」、日本化成(株)製) 1.0部 (エルカ酸アミド「ダイヤミッドL−200」(日本化成(株)製) 1.0部 (オレイン酸アミド「ダイヤミッドO−200」、日本化成(株)製)1.0部 ・ロジン 2.8部 (「KE−311」、荒川化学(株)製) ・モノマー 1.7部 (「PET−4A」、新中村化学(株)製) ・界面活性剤 1.7部 (「メガファックF−176P」、固形分20%、大日本インキ化学工業社製) ・n−プロピルアルコール 890部 ・メチルエチルケトン 247部 得られたシアン画像形成層用塗布液中の粒子を、レーザ
散乱方式の粒度分布測定器を用いて測定したところ、平
均粒径0.25μmであり、1μm以上の粒子の割合
は、0.5%であった。
【0117】4)光熱変換層表面へのシアン画像形成層
の形成 前記光熱変換層の表面に、上記シアン画像形成層用塗布
液をホワイラーを用いて1分間塗布した後、塗布物を1
00℃のオーブン中で2分間乾燥して、光熱変換層の上
にシアン画像形成層を形成した。以上の工程により、支
持体上に、光熱変換層及びシアン画像形成層が、この順
で設けられた熱転写シートCを作製した。熱転写シート
Cのシアン画像形成層の光学濃度(光学濃度:OD)
を、マクベス濃度計「TD−904」(Wフィルター)
で測定したところ、OD=0.91であった。シアン画
像形成層の層厚を測定したところ、平均で0.45μm
であった。また、シアン画像形成層における顔料の含有
率は、32質量%であり、ポリビニルブチラールの含有
率は、40質量%であった。
【0118】−被転写材料の作製− 下記組成のクッション層用塗布液及び受像層用塗布液を
調製した。 1)クッション層用塗布液 ・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 20部 (「MPR−TSL」、日信化学(株)製) ・可塑剤 10部 (「パラプレックスG−40」、CP.HALL.COMPANY社製) ・界面活性剤 0.5部 (「メガファックF−177」、大日本インキ化学工業(株)製) ・帯電防止剤 0.3部 (「SAT−5 Supper(IC)」、日本純薬(株)製) ・メチルエチルケトン 60部 ・トルエン 10部 ・N,N−ジメチルホルムアミド 3部
【0119】 2)受像層用塗布液 ・ポリビニルブチラール 8部 (「エスレックB BL−SH」、積水化学工業(株)製) ・帯電防止剤 0.7部 (「サンスタット2012A」、三洋化成工業(株)製) ・界面活性剤 0.1部 (「メガファックF−177」、大日本インキ化学工業(株)製) ・n−プロピルアルコール 20部 ・メタノール 20部 ・1−メトキシ−2−プロパノール 50部
【0120】小幅塗布機を用いて、白色PET支持体
(「ルミラー#130E58」、東レ(株)製、厚み1
30μm)上に、前記クッション製中間層形成用塗布液
を塗布し、塗布層を乾燥し、次に受像層用塗布液を塗布
し、乾燥した。乾燥後のクッション層の層厚が約20μ
m、受像層の層厚が約2μmとなるように塗布量を調節
した。作製した被転写材料は、ロール形態で巻き取り、
1週間室温で保存後、下記レーザ光による画像記録に用
いた。
【0121】−転写画像の形成− 直径1mmの真空セクション孔(3cm×8cmのエリ
アに1個の面密度)が開けられている直径25cmの回
転ドラムに、上記で作製した被転写材料(25cm×3
5cm)を巻き付け、真空吸着させた。次いで、30c
m×40cmに切断した前記熱転写シートC(シアン)
を前記被転写材料から均等にはみ出すように重ね、スク
イーズローラでスクイーズさせつつ、セクション孔に空
気が吸引されるように密着、積層させた。セクション孔
が塞がれた状態での減圧度は、1気圧に対して−150
mmHg(≒81.13kPa)であった。前記ドラム
を回転させ、ドラム上での積層体の表面に、外側から波
長808nmの半導体レーザー光を、光熱変換層の表面
で7μmのスポットになるように集光し、回転ドラムの
回転方向(主走査方向)に対して、直角方向に移動させ
ながら(副走査)、積層体へレーザー画像(画線)記録
を行った。レーザー照射条件は、以下の通りである。ま
た、本実施例で使用したレーザービームは、主走査方向
に5列、副走査方向に3列の平行四辺形からなるマルチ
ビーム2次元配列からなるレーザービームを使用した。 レーザーパワー 110mW ドラム回転数 500rpm 副走査ピッチ 6.35μm 環境温湿度 23℃50% 前記レーザ記録が終了した積層体を、ドラムから取り外
し、熱転写シートCを被転写材料から手で引き剥がした
ところ、熱転写シートCの画像形成層の光照射領域のみ
が、熱転写シートCから被転写材料に転写され、画像が
形成されているのが確認された。
【0122】−最終の被転写材料への再転写− 熱転写シートCから画像が転写された被転写材料と、最
終の被転写材料(記録紙;特菱アート135g;三菱製
紙社製)とを重ね合わせて、ラミネータCA−680T
III(富士写真フイルム(株)製)を用いて再転写を
行い、被転写材料の支持体を取り除き、最終の被転写材
料(記録紙)上に最終画像を得た。
【0123】(実施例2)光熱変換層用塗布液の組成に
おいて、化合物1を10.4部、及びポリイミド樹脂を
19.0部添加する代わりに、化合物2を5.8部、及
びポリイミド樹脂を23.6部添加する以外は、実施例
1と同様にして、熱転写シートCを作製した。そして、
実施例1と同様に、該熱転写シートC及び被転写材料を
用いて転写画像を形成し、さらに最終転写体(記録紙)
に再転写を行って最終画像を得た。
【0124】
【化9】
【0125】(実施例3)光熱変換層用塗布液の組成に
おいて、化合物1を10.4部、及びポリイミド樹脂を
19.0部添加する代わりに、化合物3を18.6部、
及びポリイミド樹脂を10.8部添加する以外は、実施
例1と同様にして、熱転写シートCを作製した。そし
て、実施例1と同様に、該熱転写シートC及び被転写材
料を用いて、転写画像を形成し、さらに最終転写体(記
録紙)に再転写を行って最終画像を得た。
【0126】
【化10】
【0127】(比較例1)光熱変換層用塗布液の組成に
おいて、化合物1を10.4部、及びポリイミド樹脂1
9.0部を添加する代わりに、ポリイミド樹脂を29.
4部添加する以外は、実施例1と同様にして、比較用熱
転写シートCを作製した。そして、実施例1と同様に、
該比較用熱転写シートC及び被転写材料を用いて、転写
画像を形成し、さらに最終の被転写材料(記録紙)に再
転写を行って最終画像を得た。
【0128】(比較例2)光熱変換層用塗布液の組成に
おいて、化合物1を10.4部、及びポリイミド樹脂1
9.0部添加する代わりに、ポリメチルメタクリレート
を10.4部、及びポリイミド樹脂を19.0部添加す
る以外は、実施例1と同様にして、熱転写シートCを作
製した。そして、実施例1と同様に、該熱転写シートC
及び被転写材料を用いて、転写画像を形成し、さらに最
終転写体(記録紙)に再転写を行って最終画像を得た。
【0129】<記録画像の評価>前記実施例1〜3及び
比較例1及び2において得られた最終画像における耐光
性ならびに転写性について、下記基準により評価を行っ
た。評価結果を表1に示す。
【0130】1)耐光性評価 得られた最終画像について、蛍光灯1000Lux下で
48時間曝光し、曝光前の色相と曝光後の色相とを測定
し、その差(色差)を求めた。色相としては、X−ri
te938(X−rite社製)を用いて、L*・a*
*値を測定した。なお、L*・a*・b*値において、L
*は、明度を表す値であり、a*,b*は、色相と彩度か
らなる色知覚の属性を表しており、色座標と呼ばれる値
である。また、評価は下記基準で行った。 ◎ 色差が1以下 (色相の変動がない。) ○ 色差が1〜2 (色相の変動が殆どない。) △ 色差が2〜4 (色相の変動がわずかにある。) × 色差が4以上 (色相の変動がかなりある)
【0131】2)転写性評価 得られた最終画像における転写性を、目視にて下記基準
で評価を行った。 ◎ 転写不良なし ○ わずかに転写部に浮きが発生している △ わずかに未転写部が発生している × 未転写部が発生している ×× 全面に未転写部が発生している
【0132】
【表1】
【0133】表1で示すように、熱転写シートCの光熱
変換層塗布液において、酸基を有するポリマーである化
合物1〜3を含有させた実施例1〜3は、酸基を有する
ポリマーを含有させなかった比較例1及び2に比べて、
最終画像における色相の変動が少なく、耐光性に優れ、
また転写性にも優れていることが明らかとなった。
【0134】
【発明の効果】本発明によると、光熱変換層に含まれる
カチオン性赤外線吸収色素等の光熱変換色素の画像形成
層への移行、ならびにレーザー記録後の該色素の分解に
起因する、記録画像における色相の変動等の画質劣化を
防止でき、耐光性及び転写性に優れた熱転写シートを提
供することができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、少なくともカチオン性赤外
    線吸収色素及び酸基を有するポリマーを含有する光熱変
    換層塗布液を塗布した後、乾燥することによりカチオン
    性赤外線吸収色と該酸基を有するポリマーとの塩を形成
    させてなる光熱変換層上に画像形成層塗布液を塗布する
    ことを特徴とする熱転写シートの製造方法。
  2. 【請求項2】 酸基を有するポリマーの酸基が、−SO
    3H、−COOH、−OPO32から選ばれることを特
    徴とする請求項1に記載の熱転写シートの製造方法。
  3. 【請求項3】 酸基を有するポリマーが、有機溶剤可溶
    であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱転
    写シートの製造方法。
  4. 【請求項4】 光熱変換層塗布液に含有されるカチオン
    性赤外線吸収色素の対塩が、揮発性を有する酸の共役塩
    基であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載
    の熱転写シートの製造方法。
  5. 【請求項5】 光熱変換層塗布液に含有されるカチオン
    性赤外線吸収色素が揮発性を有する酸の共役塩基である
    対塩を有するシアニン色素であることを特徴とする請求
    項1〜4の何れかに記載の熱転写シートの製造方法。
  6. 【請求項6】 カチオン性赤外線吸収色素が700〜9
    00nmに吸光係数100000以上の吸収を有するシ
    アニン色素であることを特徴とする請求項1〜5の何れ
    かに記載の熱転写シートの製造方法。
  7. 【請求項7】 画像形成層が、色材と、軟化点が40〜
    150℃の範囲にある非晶質有機高分子重合体と、をそ
    れぞれ20〜80重量%含み、かつ、その厚さが0.2
    〜1.5μmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜
    6の何れかに記載の熱転写シートの製造方法。
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