JP2002355798A - マイクロポンプ、マイクロミキサー、マイクロ機械デバイス、マイクロ可動ミラーおよび光スイッチ - Google Patents
マイクロポンプ、マイクロミキサー、マイクロ機械デバイス、マイクロ可動ミラーおよび光スイッチInfo
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Abstract
ることなく厚肉化を容易に実現して低コスト化をはか
り、使い捨て可能なマイクロマシンおよびその製造方法
を提供することにある。 【解決手段】エポキシ系感光性樹脂そのものを構造材料
としてマイクロ機械デバイスを構成することを特徴とす
る。半導体のフォトリソグラフィー技術により組立工程
なしに樹脂の三次元構造体がバッチ処理で作成できるた
め、樹脂デバイスの微小化や複雑化が容易に行え、低コ
スト化がはかれる。また、処理回路と一体化ができるた
めに浮遊容量の問題等を押さえることができ、高精度な
センサ等のデバイスを作り込むことが可能となる。
Description
三次元構造体を有するマイクロポンプ、マイクロミキサ
ー(マイクロ混合器)、マイクロ機械デバイス。マイク
ロ可動ミラー、静電型アクチュエータ、光スイッチ等の
マイクロマシンおよびその製造方法に関するものであ
る。
の成形技術としては、「マイクロマシン技術による製品
小型化・知能化事典」産業調査会事典出版センター編p
41〜p46(従来技術1)記載のLIGAプロセスに
代表される射出成形が主流をなしている。この従来技術
1における射出成形が、一般の機械部品の樹脂成形と異
なるのは、マイクロマシンが小さいために射出成形を行
う型を半導体の加工技術を用いて作成している点であ
る。この技術のポイントは、X線リソグラフィー技術に
用いるシンクロトロン放射光の直進性が良いため、厚い
感光性樹脂に側面の垂直なパターンを転写できる点にあ
る。問題は、シンクロトロン放射光をつくる装置が誰で
もが利用できる装置ではないため、非常に高価な加工技
術となってしまう点である。
は、殆どの場合、組立てなければ、マイクロマシンとし
て機能しないため、微小部品の組立工程が必要になる
が、組立時の位置決めや部品間の接着等、大きさが小さ
くなっているだけに難しく、非常に単純な構造のみに適
用されているのが現状である。
雑な金属構造体を作成する特開平6−45232号公報
(従来技術2)が知られている。これでは、作成した金
属構造体そのものをデバイスとして利用しているが、こ
の技術を用いて射出成形用の型を作成することで、樹脂
の部品点数を減らすことが可能となり、より複雑な樹脂
構造体の加工が可能となる。しかしながら、この従来技
術2を用いたとしても工程が煩雑であるためにコスト高
になってしまう。
イクロタービン歯車を、簡便で高精度に形成できるもの
として、特開平8−127073号公報(従来技術3)
が知られている。この従来技術3には、基材に感光性樹
脂膜を形成し、所望のパターンに露光する工程と、樹脂膜
の混合を防止し、その露光を妨げる中間膜を形成する工
程を繰り返し、樹脂膜と中間膜からなる多層構造物を形
成した後、樹脂の現像液に浸漬して露光部を選択除去し
てマイクロタービン歯車を製造することが記載されてい
る。
一層の感光性樹脂厚を数百ミクロン以上にして出来るだ
け積層する層数を低減して、マイクロマシンを低コスト
化で製造しようとする点について、十分考慮されていな
い。
エポキシ系感光性樹脂を用いることで、積層することな
く厚肉化を容易に実現して低コスト化をはかり、使い捨
て可能なマイクロポンプ、マイクロミキサー(マイクロ
混合器)、マイクロ機械デバイス、静電型アクチュエー
タ、マイクロ可動ミラーおよび光スイッチなどのマイク
ロマシンおよびその製造方法を提供することにある。
に、本発明は、基板上に複数の樹脂層を積層し、前記基
板と最上の樹脂層との間の樹脂層に対して選択的に露光
して除去することによって、圧力室並びに該圧力室の入
口側および出口側につながるノズルを有する流路を形成
し、前記圧力室の壁面を構成する部分をアクチュエータ
に接続されたダイアフラムとして構成することを特徴と
するマイクロポンプである。
脂層を積層し、前記基板と最上の樹脂層との間の樹脂層
に対して選択的に露光して除去することによって、圧力
室並びに該圧力室の入口側および出口側につながるノズ
ルを有する流路を形成し、前記圧力室の壁面を構成する
部分をアクチュエータに接続されたダイアフラムとして
構成したマイクロポンプを設け、更に、前記半導体基板
上に前記アクチュエータを駆動する駆動回路を作り込む
ことを特徴とするマイクロポンプである。
積層し、少なくとも前記基板と最上の樹脂層との間の複
数の樹脂層に対して選択的に露光して除去することによ
って、サンプルを搬送するサンプル搬送用流路、試薬を
搬送する試薬搬送用流路、および前記試薬搬送用流路で
搬送される試薬を前記サンプル搬送用流路で搬送される
サンプルに混合させるミキサー部を形成することを特徴
とするマイクロミキサー(マイクロ混合器)である。
おいて、流路の所望箇所に導電性薄膜からなる流量セン
サを備えたことを特徴とする。
おいて、ミキサー部の近傍または流路の所望箇所に導電
性薄膜からなるヒータおよび温度センサを備えたことを
特徴とする。
積層し、少なくとも前記基板と最上の樹脂層との間の複
数の樹脂層に対して選択的に露光して除去することによ
って、サンプルを搬送するサンプル搬送用流路、試薬を
搬送する試薬搬送用流路、前記試薬搬送用流路で搬送さ
れる試薬を前記サンプル搬送用流路で搬送されるサンプ
ルに混合させるミキサー部、試薬を前記試薬搬送流路に
送り込むマイクロポンプ、およびサンプルを前記サンプ
ル搬送用流路に送り込むマイクロポンプを形成すること
を特徴とするマイクロポンプ付マイクロミキサーであ
る。
積層し、これら積層された複数の樹脂層に対して選択的
に露光して除去することによって、固定電極を形成し、
さらに該固定電極に対向するように裏面に電極を形成し
た可動部、アンカー部、および前記可動部を前記アンカ
ー部に対して可動可能に支持するヒンジ部をつなげて形
成したことを特徴とするマイクロ機械デバイスである。
脂層を積層し、これら積層された複数の樹脂層に対して
選択的に露光して除去することによって、固定電極を形
成し、さらに該固定電極に対向するように裏面に電極を
形成した可動部、アンカー部、および前記可動部を前記
アンカー部に対して可動可能に支持するヒンジ部をつな
げて形成したマイクロ機械デバイスを設け、更に、前記
半導体基板上に、前記固定電極と可動部の電極とによっ
て構成される静電型アクチュエータを駆動する駆動回路
を作り込むことを特徴とするマイクロ機械デバイスであ
る。
スにおいて、可動部の表面をミラーで形成したことを特
徴とするマイクロ可動ミラーである。
を複数並べて構成したことを特徴とする光スイッチであ
る。
を複数並べて構成したことを特徴とする表示装置または
プロジェクタである。
系樹脂層を積層し、該複数のエポキシ系樹脂層の内、所
望のエポキシ系樹脂層に対して選択的に露光して除去す
ることによってエポキシ系樹脂そのものを構造材料とし
てマイクロマシン(マイクロ機械デバイス)を構成する
ことにある。
スにおいて、マイクロ機械構造として中空構造を有する
ことを特徴とする。また、本発明は、前記マイクロ機械
デバイスにおいて、マイクロ機械構造として可動構造を
有することを特徴とする。また、本発明は、前記マイク
ロ機械デバイスにおいて、積層されたエポキシ系樹脂層
の間に露光光を遮光する薄膜を有することを特徴とす
る。また、本発明は、前記マイクロ機械デバイスにおい
て、微小機械構造の一部に導電性薄膜を有することを特
徴とする。
として用いることを特徴とする。また、本発明は、前記
導電性薄膜をセンサとして用いることを特徴とする。ま
た、本発明は、前記マイクロ機械デバイスを、マイクロ
混合器若しくは反応器として構成することを特徴とす
る。また、本発明は、前記マイクロ機械デバイスを、ア
クチュエータとして構成することを特徴とする。また、
本発明は、前記アクチュエータが静電気力で駆動される
ことを特徴とする。
スを、センサとして構成することを特徴とする。また、
本発明は、前記センサを静電検出型で構成することを特
徴とする。
スを、2つ以上が組み合わされた複合体で構成すること
を特徴とする。また、本発明は、前記マイクロ機械デバ
イスを半導体基板上に形成し、さらに、同じ半導体基板
上に構成された回路と電気的に結合(接続)させること
を特徴とする。
よびその製造方法についての実施の形態について図面を
用いて説明する。
レックス(登録商標)ガラス、薄膜等を積層して構成さ
れてきたデバイスを、エポキシ系感光性樹脂で作成する
ことで、低コスト化をはかり、使い捨て可能なマイクロ
ポンプ、マイクロミキサー(マイクロ混合器若しくはマ
イクロ反応器)、マイクロ機械デバイス、静電型アクチ
ュエータ、マイクロ可動ミラーおよび光スイッチなどの
マイクロマシンを実現することにある。
施例であるマイクロポンプについて図1を用いて説明す
る。単結晶シリコンの積層構造を持つダイアフラムポン
プは、特開平10−110681号公報に示されてい
る。本発明に係わるマイクロポンプは、エポキシ系感光
性樹脂の積層構造で構成したものである。即ち、本発明
に係わるマイクロポンプは、基板101の上に、出入口
用流体抵抗106、107と圧力室108とを持つ第一
の樹脂層102があり、それらの構造の蓋をする形で出
入口104、105とダイアフラム109とを持つ第二
の樹脂層103が積層されて構成される。これら第一お
よび第二の樹脂層102,103の各々は、積層するこ
となく厚肉化可能なエポキシ系樹脂層で構成される。も
ちろん、基板101は、同じエポキシ系樹脂層であって
もかまわない。ところで、エポキシ系樹脂は、エポキシ
基の開環反応を利用した樹脂である。即ち、ビスフェノ
ールAを基に、架橋させて高分子にしたものである。こ
のように、エポキシ系樹脂は、厚く形成でき、機械とし
ての特性(例えば固有振動数を高く、延性)を持たせる
ことが可能となる。
板101または第二のエポキシ系樹脂層103、あるい
は両方101、103のダイアフラム面を、圧電素子等
のマイクロアクチュエータによって駆動することで、マ
イクロポンプとしてのポンプ機能を果たすことが可能と
なる。
作成方法について図2を用いて説明する。
1上に第一の樹脂層202となるエポキシ系感光性樹脂
を所望の厚みに均一に積む。この方法は、一般的なスピ
ン塗布法やローラーコーターを用いた方法であっても、
均一の積むことができればどのような方法であってもか
まわない。
フォトリソグラフィー技術を用いて出入口用流体抵抗1
06、107と圧力室108のパターンをエポキシ系感
光性樹脂上に転写して現像液に対する不溶部203を形
成する。なお、本図ではエポキシ系感光性樹脂としてネ
ガ型を用いた場合を示してあるがポジ型を用いても良
く、この工程が用いる感光性樹脂の種類により行う処理
が異なるのは当然である。例えば、J. Micromech. Micr
oeng. 7 (1997) pp.121-124「SU−8:a low-cost ne
gative resist for MEMS」に述べられているネガ型
エポキシ系感光性樹脂を用いる場合には、露光した後に
熱処理を行わないと露光部が現像液に不溶化しないた
め、熱処理が必要である。
ングしたエポキシ系感光性樹脂の現像はせずに、その全
面に光を通さない遮光膜204を成膜する。次に、図2
(d)に示す工程では、その遮光膜204上に重ねて第
二の樹脂層205となるエポキシ系感光性樹脂を第一の
樹脂層202と同様に所望の厚さで均一に積む。
第二の樹脂層205に半導体のフォトリソグラフィー技
術を用いて出入口パターン104、105を転写して現
像液に対する不溶部206を形成する。最後に、図2
(f)に示す工程において、現像液を用いて第一および
第二の樹脂層の現像液に対する不溶部203、206以
外を除去することで、目的とする出入口104、10
5、圧力室108、ダイアフラム109からなるダイア
フラムポンプ構造が得られる。
可溶であれば一回の現像工程で済むが、遮光膜204が
現像液に対して不溶な場合には、第二の樹脂層205の
現像を行った後、遮光膜204のエッチングを行い、続
いて第一の樹脂層202の現像を行う。なお、スピン塗
布法を用いてエポキシ系感光性樹脂を塗布する場合に
は、エポキシ系感光性樹脂を塗布する下地の状態によっ
て塗布厚が異なることがあるため、遮光を必要としない
基板上にも遮光膜を成膜した方がプロセス条件をそろえ
ることができて良い。
形プロセスでは、下層の第一の樹脂層202の露光領域
よりも上層の第二の樹脂層205の露光領域の方が大き
かったため遮光膜204を必要としたが、下層の樹脂層
の露光領域内にその上にある樹脂層の露光領域が完全に
入っている場合には、遮光膜は必要ではない。この場
合、感光性樹脂間のミキシングが起きない限りにおいて
は、遮光膜の工程を省いてもかまわない。
する部分の界面状態を均一にしたい場合には、基板上に
樹脂層を均一に塗布して底面も同じ樹脂とし、最後の現
像工程で流体との界面となる部分に残っている全ての遮
光膜を除去することが必要である。また、各樹脂層間の
密着性を上げるため、遮光膜表面を成膜条件や化学処
理、若しくは物理的処理により面粗さを悪くしておくこ
とも有効である。
いて、組立を必要としないバッチプロセス例を示した
が、例えば、構造が大きかったり、一番上の構造が蓋の
役目をなすだけで構造を持たない場合など、位置合わせ
に精度を要求されない場合には、樹脂の積層構造を二つ
に分けて、一方の構造のみ基板から分離しやすいよう
に、分離層や離形剤等により処理しておき、張り合わせ
で組立、その後、分離しやすくしていた基板から分離し
てデバイスを成形する方法もある。この方法は、気密構
造を形成するのに役立つ方法である。気密構造は、もち
ろんバッチプロセスでも成形可能である。その場合に
は、蓋となる樹脂層に微小な孔を開けておき、その部分
から現像液や遮光膜のエッチング液を供給して内部の不
要な樹脂や遮光膜を除去した後、微小な孔を半導体の成
膜技術や感光性樹脂を塗布する等により塞ぐことで気密
構造を実現する。
二の実施例であるマイクロミキサー(マイクロ混合器)
について図3を用いて説明する。この混合器若しくは反
応器の原理は、特開平6−226071号公報に示され
ている。第二の実施例であるマイクロ混合器若しくはマ
イクロ反応器は、サンプル導入口306から導入されて
きたサンプルに試薬導入口1(307)と試薬導入口2
(308)から導入されてきた二種類の試薬をミキサー
部1(313)及びミキサー部2(314)を用いて混
合若しくは反応することを目的として構成される。この
マイクロ混合器等の構造は、基板301上にエポキシ系
樹脂層が四層積層されたおり、第一の樹脂層302には
サンプル搬送用流路310が形成されており、第三の樹
脂層304には各試薬搬送用流路311、312が形成
されている。第二の樹脂層303は、第一の樹脂層30
2と第三の樹脂層304を隔離するとともに、サンプル
搬送用流路310につながる流路315と試薬搬送用流
路1(311)との交差部に微小な孔が多数配列されて
形成されるミキサー部1(313)、サンプル搬送用流
路310につながる流路315と試薬搬送用流路2(3
12)との交差部に微小な孔が多数配列されて形成され
るミキサー部2(314)が形成され、このミキサー部
313、314でサンプルと試薬を混合するようになっ
ている。第四の樹脂層305は、蓋の役目をなすととも
にサンプル導入口306、各試薬導入口307、30
8、廃液取出し口309が形成されている。
器において、サンプルや試薬の流速や液量が重要な要素
となる場合には、各搬送用流路310、311、312
の所望箇所に流量センサを白金電極で形成すればよい。
また、サンプルと試薬を混合する際に温度管理をする必
要がある場合には、混合部分の近傍若しくは流路の所望
箇所にヒータ及び温度センサを白金電極等により作成し
て一体に組込む。
イクロ混合器等の作成方法は、第一の実施例であるダイ
アフラムポンプよりもエポキシ系感光性樹脂の積層数が
多いだけで、図2に示したのと同様の手順で行うが、ヒ
ーターやセンサとして用いる白金電極等の作成は、後述
する図6を用いて説明する可動ミラーデバイスの作成方
法と同様に行う。このようにエポキシ系感光性樹脂を用
いることによって、一層として厚く形成でき、しかも耐
薬品性および耐熱性の点で優れ、マイクロ混合器として
使用可能になる。
二の実施例であるマイクロ混合器等に、サンプルや各試
薬を供給するポンプとして第一の実施例であるダイアフ
ラムポンプを用いて構成した第三の実施例について図4
を用いて説明する。本発明の第三の実施例は、同一基板
301上に一体化して構成される。この一体化構造の利
点は、別々の部品を繋ぐ際に生じるデットボリュームを
限りなく零にすることが出きる点で、試薬の消費量等を
削減するのに有効である。また、同じプロセスで構造が
成形できるため、各種デバイスを同一基板内に同時に作
り込むことが容易であるため、拡張性が高く、デバイス
製作のコストも低減できる。この第三の実施例では、ミ
キサー部313,314は第二の実施例と同様に作成
し、その際に、第三の樹脂層304及び第四の樹脂層3
05を用いて第一の実施例と同様なダイアフラムポンプ
406、407、408を作り込む。ただし、ダイアフ
ラムポンプ406を第三の樹脂層304に作り込む場合
には、ダイアフラムポンプ406から送り出されるサン
プルの出口を、第一の樹脂層301に作り込まれたサン
プル搬送用流路315につなげる必要がある。
乃至第三の実施例によれば、基板101、301、40
1上に、厚肉化可能なエポキシ系感光性樹脂層102〜
103、302〜305、402〜405を、最低限の
層数積層することによって、マイクロポンプ、マイクロ
混合器またはマイクロポンプ付マイクロ混合器を容易に
製造することができ、その結果、マイクロポンプ、マイ
クロ混合器またはマイクロポンプ付マイクロ混合器の大
幅な原価低減を実現することができる。
四の実施例であるマイクロ静電型アクチュエータ、マイ
クロ静電センサおよびマイクロ可動デバイスについて図
5を用いて説明する。本発明の第四の実施例であるマイ
クロ静電駆動型デバイスは、固定電極502、503
と、入射光を反射させる可動ミラー部(可動部)50
1、該可動ミラー部(可動部)501をその中央で支え
るヒンジ部506、およびそのアンカー部504、50
5とからなる。可動ミラー部501の裏面には、固定電
極502、503の各々に対向させて、電極となる導電
性薄膜が成膜されている。そして、この各裏面電極は、
ヒンジ部506を介してアンカー部1(502)及び2
(503)の各々の表面と電気的に接続される。さら
に、アンカー部1(502)及び2(503)の各々
は、ワイヤ511及び513の各々により外部取出し電
極508、509の各々に接続される。当然、固定電極
1(502)及び2(503)の各々は、ワイヤ513
及び511の各々により外部取出し電極510、507
の各々に接続される。
(可動部)501の駆動は、この可動ミラー部501の
裏面電極と固定電極1(502)と固定電極2(50
3)との間に加える電圧を制御することで行われる。例
えば、固定電極1(502)と可動ミラー部501の裏
面電極間に電圧差を与えることで、両電極間に働く静電
引力により電極可動ミラー部501がヒンジ部506を
回転中心として固定電極1(502)側に僅か傾く(微
回動する)。この可動ミラー部501の傾き(微回動)
は、ヒンジ部506がねじれることで発生する反発力と
両電極間で発生する静電引力が釣り合いで決まる。この
時、可動電極と固定電極の間に、駆動電圧とは別に、可
動ミラー部501が応答できない高周波の交流電圧を加
えることで、可動ミラー部501と固定電極502、5
03が形成するコンデンサに充放電を繰り返させ、そこ
から算出される容量から電極間距離を予測し、可動ミラ
ー部501と固定電極502、503の間に加える電圧
を操作することで、可動ミラー部501の回転量を制御
することも可能である。また、回転中心となるヒンジ部
506は、上下方向に対しては高剛性であり、回転方向
に関しては低剛性であることが望ましい。
動ミラー部501を可動部で構成する。)は、静電アク
チュエータを用いて駆動しているが、説明中にも示した
通り、高周波の交流を加えることでマイクロ静電センサ
としても利用可能である。さらに、加速度センサとして
用いる場合には、可動部501が錘となり、可動部の水
平面方向からの角加速度に対してその慣性力によりヒン
ジ部506を回転中心として回転することを利用して、
固定電極502、503と可動部501との間の距離を
容量変化量として計測することにより角加速度を算出す
ることが可能となる。
動型デバイスの成形プロセスについて図6を用いて説明
する。
に絶縁された基板601上に取出し電極602を形成す
る。この形成方法は、導電性薄膜を半導体の成膜技術を
用いて絶縁された基板601上に成膜し、フォトリソグ
ラフィー技術により取出し電極部602以外の導電性薄
膜を除去する。もちろん、エッチング法ではなくリフト
オフ法を用いても同様の電極パターンは成形できる。
出し電極602をパターニングした基板601上に第一
の樹脂層603となるエポキシ系感光性樹脂を所望の厚
みに均一に積む。次に、図6(c)に示す工程で、第一
の樹脂層603にフォトリソグラフィー技術を用いて固
定電極502、503やヒンジ部506のアンカー部5
04、505となる構造として現像液に対する不溶部6
04を形成する。次に、図6(d)に示す工程では、第
一の樹脂層603を現像せずに、その全面に遮光膜60
5を成膜する。
上に、導電性薄膜を成膜し、固定電極502、503と
なる部分以外の導電性薄膜をフォトリソグラフィー技術
により除去する。なお、遮光膜と導線性薄膜はエッチン
グ等によりどちらか一方を選択的に除去できる性質を有
する異なる材質を用いる。
605及びその上に成形された固定電極606上に第二
の樹脂層607となるエポキシ系感光性樹脂を均一に積
む。次に、図6(g)に示す工程において、第二の樹脂
層607上にヒンジ部506の構造となる現像液に対す
る不溶部608を、フォトリソグラフィー技術を用いて
パターニングして形成する。次に、図6(h)に示す工
程では、パターニングした第二の樹脂層607を現像せ
ずに、その全面に遮光膜609を成膜する。次に、図6
(i)に示す工程では、遮光膜609の上に重ねて導電
性薄膜を成膜し、フォトリソグラフィー技術を用いて可
動ミラー部501やヒンジ部506及びそのアンカー部
504、505となる部分以外の導電性薄膜を除去し
て、可動ミラー部501の裏面に形成される裏面電極の
各々に接続される導電性薄膜パターン610を形成す
る。この工程でももちろん遮光膜609と導電性薄膜は
どちらか一方を選択的に除去できるような異なる材質か
らなる。
609及び可動ミラー部(可動部)501やヒンジ部5
06及びそのアンカー部504、505となる部分の導
電性薄膜パターン610上に第三の樹脂層611となる
エポキシ系感光性樹脂を積む。次に、図6(k)に示す
工程において、フォトリソグラフィー技術を用いて可動
ミラー部501となる構造を第三の樹脂層611上に転
写して現像液に対する不溶部612を形成する。さら
に、図6(l)に示す工程において、ミラーとなるアル
ミ等の金属薄膜を第三の樹脂膜611上の全面に成膜
し、フォロリソフラフィー技術により可動ミラー部分以
外の金属薄膜を除去して、ミラー面613を形成する。
現像を行い、不要な部分の樹脂を除去する。この工程
で、遮光膜605、609が現像液に対して可溶であれ
ば、現像工程で一緒に除去可能となるが、不溶な場合に
は、現像、遮光膜除去の工程を交互に行うことで不要な
樹脂を除去して目的の可動ミラー部501、ヒンジ部5
06、アンカー部504,505および固定電極50
2、503の構造を得ることが可能となる。
の実施例によれば、基板601上に、厚肉化可能なエポ
キシ系感光性樹脂層603、607、611を、最低限
の層数積層することによって、マイクロ静電型アクチュ
エータ、マイクロ静電センサおよびマイクロ可動デバイ
ス等のマイクロマシンを容易に製造することができ、そ
の結果、マイクロ静電型アクチュエータ、マイクロ静電
センサおよびマイクロ可動デバイス等のマイクロマシン
の大幅な原価低減を実現することができる。
マイクロ可動ミラーとその駆動回路を同一基板上に実装
した第五の実施例について図7を用いて説明する。第五
の実施例は、可動ミラー駆動回路703をシリコン基板
701上に半導体製造技術により形成し、その後、可動
ミラーデバイス501をシリコン基板701上に樹脂で
形成する。可動ミラーデバイス501を成形する工程
は、半導体のフォトリソフラフィーと同様な工程であ
り、前もって形成してある可動ミラー駆動回路703に
悪影響を与えることはない。なお、可動ミラー駆動回路
703の表面を窒化物などで保護しておけばさらに好ま
しい。
施例であるマイクロポンプとその駆動回路を同一基板上
に実装した第六の実施例について説明する。第六の実施
例は、第五の実施例と同様に、第一の実施例や第三の実
施例におけるマイクロポンプをシリコン基板上に作り込
むものである。この第六の実施例によれば、駆動回路と
容易に一体にすることが可能となる。これにより、同一
の半導体プロセスで処理回路からデバイス、実装まで全
てをバッチ処理で作成することが可能となり、デバイス
の高密度化や高スループット化ができることにより、低
コスト化がはかれる。また、処理回路と一体化ができる
ために浮遊容量等を低減でき、高精度なセンサ等のデバ
イスを作り込むことも可能となる。
施例によれば、処理回路と一体化ができるために浮遊容
量の問題等を押さえることができ、高精度なセンサ等の
マイクロ機械デバイスを作り込むことが可能となる。
マイクロ可動ミラーを光切り替えマイクロスイッチに適
用した第七の実施例について図8を用いて説明する。即
ち、第七の実施例によれば、入射用光ファイバ802か
らマイクロ可動ミラー501に入射した信号光805
は、固定電極1(502)と固定電極2(503)を同
電位にしているときには、出力用光ファイバ1(80
3)に入射し、固定電極1(502)及び2(503)に
加える電圧を変えて点線で示すようにマイクロ可動ミラ
ー501を傾けた場合には、出力用光ファイバ2(80
4)に入射して切り替わり、光切り替えマイクロスイッ
チを実現することが可能となる。なお、このスイッチ
を、単にオンオフに使用する場合には、出力用光ファイ
バは一つで良く、コンパクト化が容易である。
光マイクロスイッチを2次元に多数並べることにより、
デジタルプロセッサやプロジェクタなどを構成すること
ができることになる。
ラフィー技術により組立工程なしに樹脂の三次元構造体
がバッチ処理で作成できるため、マイクロデバイスの微
小化や複雑化が容易に行え、低コスト化がはかれる。
実施例であるダイアフラムポンプ(マイクロポンプ)を
示す部分断面鳥瞰図である。
プの成形プロセスを示す図である。
実施例であるマイクロ混合器を示す鳥瞰図(半透明)で
ある。
実施例であるマイクロ混合器とダイアフラムポンプ(マ
イクロポンプ)を一体化した微量液ハンドリングシステ
ムを示す鳥瞰図(半透明)である。
例であるマイクロ可動ミラーデバイスを示す鳥瞰図であ
る。
イスの成形プロセスを示す図である。
例であるマイクロ可動デバイスと駆動回路を一体化した
マイクロシステムを示す斜視図である。
例であるマイクロミラーデバイスを利用したマイクロ光
切り替えスイッチの一実施例を示した斜視図である。
樹脂層、104:出口、105:入口、106:出口用
流体抵抗、107:入口用流体抵抗、108:圧力室、
109:ダイアフラム、201:基板、202:第一の
樹脂層、203:現像液に対する不溶部、204:遮光
膜、205:第二の樹脂層、206:現像液に対する不
溶部、301:基板、302:第一の樹脂層、303:
第二の樹脂層、304:第三の樹脂層、305:第四の
樹脂層、306:サンプル導入口、307:試薬導入口
1、308:試薬導入口2、309:廃液排出口、31
0:サンプル搬送用流路、311:試薬搬送用流路1、
312:試薬搬送用流路2、313:ミキサー部1、3
14:ミキサー部2、315:サンプル搬送用流路、4
06:サンプル用ダイアフラムポンプ、407:試薬1
用ダイアフラムポンプ、408:試薬2用ダイアフラム
ポンプ、501:可動ミラー部(可動部)、502:固
定電極1、503:固定電極2、504:アンカー部
1、505:アンカー部2、506:ヒンジ部、50
7、508,509,510:取出し電極、511、5
12、513、514:ワイヤ、601:基板、60
2:取出し電極、603:第一の樹脂層、604:現像
液に対する不溶部、605:遮光膜、606:固定電
極、607:第二の樹脂層、608:現像液に対する不
溶部、609:遮光膜、610:可動ミラー裏面電極、
611:第三の樹脂層、612:現像液に対する不溶
部、613:ミラー、701:シリコン基板、703:
可動ミラー駆動回路、802:入射用光ファイバ、80
3:出力用光ファイバ1、804:出力用光ファイバ
2。
Claims (16)
- 【請求項1】基板上に複数の樹脂層を積層し、前記基板
と最上の樹脂層との間の樹脂層に対して選択的に露光し
て除去することによって、圧力室並びに該圧力室の入口
側および出口側につながるノズルを有する流路を形成
し、前記圧力室の壁面を構成する部分をアクチュエータ
に接続されたダイアフラムとして構成することを特徴と
するマイクロポンプ。 - 【請求項2】半導体基板上に複数の樹脂層を積層し、前
記基板と最上の樹脂層との間の樹脂層に対して選択的に
露光して除去することによって、圧力室並びに該圧力室
の入口側および出口側につながるノズルを有する流路を
形成し、前記圧力室の壁面を構成する部分をアクチュエ
ータに接続されたダイアフラムとして構成したマイクロ
ポンプを設け、更に、前記半導体基板上に前記アクチュ
エータを駆動する駆動回路を作り込むことを特徴とする
マイクロポンプ。 - 【請求項3】基板上に複数の樹脂層を積層し、少なくと
も前記基板と最上の樹脂層との間の複数の樹脂層に対し
て選択的に露光して除去することによって、サンプルを
搬送するサンプル搬送用流路、試薬を搬送する試薬搬送
用流路、および前記試薬搬送用流路で搬送される試薬を
前記サンプル搬送用流路で搬送されるサンプルに混合さ
せるミキサー部を形成することを特徴とするマイクロミ
キサー。 - 【請求項4】請求項3記載のマイクロミキサーにおい
て、流路の所望箇所に導電性薄膜からなる流量センサを
備えたことを特徴とするマイクロミキサー。 - 【請求項5】請求項4記載のマイクロミキサーにおい
て、ミキサー部の近傍または流路の所望箇所に導電性薄
膜からなるヒータおよび温度センサを備えたことを特徴
とするマイクロミキサー。 - 【請求項6】基板上に複数の樹脂層を積層し、少なくと
も前記基板と最上の樹脂層との間の複数の樹脂層に対し
て選択的に露光して除去することによって、サンプルを
搬送するサンプル搬送用流路、試薬を搬送する試薬搬送
用流路、前記試薬搬送用流路で搬送される試薬を前記サ
ンプル搬送用流路で搬送されるサンプルに混合させるミ
キサー部、試薬を前記試薬搬送流路に送り込むマイクロ
ポンプ、およびサンプルを前記サンプル搬送用流路に送
り込むマイクロポンプを形成することを特徴とするマイ
クロポンプ付マイクロミキサー。 - 【請求項7】基板上に複数の樹脂層を積層し、これら積
層された複数の樹脂層に対して選択的に露光して除去す
ることによって、固定電極を形成し、さらに該固定電極
に対向するように裏面に電極を形成した可動部、アンカ
ー部、および前記可動部を前記アンカー部に対して可動
可能に支持するヒンジ部をつなげて形成したことを特徴
とするマイクロ機械デバイス。 - 【請求項8】半導体基板上に複数の樹脂層を積層し、こ
れら積層された複数の樹脂層に対して選択的に露光して
除去することによって、固定電極を形成し、さらに該固
定電極に対向するように裏面に電極を形成した可動部、
アンカー部、および前記可動部を前記アンカー部に対し
て可動可能に支持するヒンジ部をつなげて形成したマイ
クロ機械デバイスを設け、更に、前記半導体基板上に、
前記固定電極と可動部の電極とによって構成される静電
型アクチュエータを駆動する駆動回路を作り込むことを
特徴とするマイクロ機械デバイス。 - 【請求項9】請求項7または8記載のマイクロ機械デバ
イスにおいて、可動部の表面をミラーで形成したことを
特徴とするマイクロ可動ミラー。 - 【請求項10】請求項9記載のマイクロ可動ミラーを複
数並べて構成したことを特徴とする光スイッチ。 - 【請求項11】請求項9記載のマイクロ可動ミラーを複
数並べて構成したことを特徴とする表示装置。 - 【請求項12】基板上に複数のエポキシ系樹脂層を積層
し、該複数のエポキシ系樹脂層の内、所望のエポキシ系
樹脂層に対して選択的に露光して除去することによって
マイクロ機械構造を構成することを特徴とするマイクロ
機械デバイス。 - 【請求項13】請求項12記載のマイクロ機械デバイス
において、マイクロ機械構造として中空構造を有するこ
とを特徴とするマイクロ機械デバイス。 - 【請求項14】請求項12記載のマイクロ機械デバイス
において、マイクロ機械構造として可動構造を有するこ
とを特徴とするマイクロ機械デバイス。 - 【請求項15】請求項12または13または14記載の
マイクロ機械デバイスにおいて、積層されたエポキシ系
樹脂層の間に露光光を遮光する薄膜を有することを特徴
とするマイクロ機械デバイス。 - 【請求項16】請求項12または13または14記載の
マイクロ機械デバイスにおいて、微小機械構造の一部に
導電性薄膜を有することを特徴とするマイクロ機械デバ
イス。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001167707A JP2002355798A (ja) | 2001-06-04 | 2001-06-04 | マイクロポンプ、マイクロミキサー、マイクロ機械デバイス、マイクロ可動ミラーおよび光スイッチ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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---|---|
JP2002355798A true JP2002355798A (ja) | 2002-12-10 |
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ID=19010052
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001167707A Abandoned JP2002355798A (ja) | 2001-06-04 | 2001-06-04 | マイクロポンプ、マイクロミキサー、マイクロ機械デバイス、マイクロ可動ミラーおよび光スイッチ |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002355798A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004076862A1 (ja) * | 2003-02-27 | 2004-09-10 | Shinano Kenshi Kabushiki Kaisha | 電磁式ダイアフラムポンプ |
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WO2011122932A1 (en) * | 2010-03-29 | 2011-10-06 | Mimos Berhad | Planar micropump with integrated passive micromixers |
US8053850B2 (en) | 2005-06-30 | 2011-11-08 | Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. | Minute structure, micromachine, organic transistor, electric appliance, and manufacturing method thereof |
-
2001
- 2001-06-04 JP JP2001167707A patent/JP2002355798A/ja not_active Abandoned
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US8031578B2 (en) | 2005-08-26 | 2011-10-04 | Panasonic Corporation | Microarray with actuators inside and outside of light-irradiated region, and optical head device and optical information device incorporating the same |
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