JP2002353546A - 方形ロッド励起モジュールならびにそれを用いたレーザ発振器およびレーザ増幅器 - Google Patents

方形ロッド励起モジュールならびにそれを用いたレーザ発振器およびレーザ増幅器

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JP2002353546A
JP2002353546A JP2001157372A JP2001157372A JP2002353546A JP 2002353546 A JP2002353546 A JP 2002353546A JP 2001157372 A JP2001157372 A JP 2001157372A JP 2001157372 A JP2001157372 A JP 2001157372A JP 2002353546 A JP2002353546 A JP 2002353546A
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rectangular rod
axis
rod
heat
laser
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Takayuki Yanagisawa
隆行 柳澤
Yoshihito Hirano
嘉仁 平野
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Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 方形ロッドの非点収差および熱複屈折を補償
した方形ロッド励起モジュールを得る。 【解決手段】 第1の方形ロッド41の排熱をy軸方向
とし、第2の方形ロッド42の排熱をx軸方向とし、第
1の方形ロッド21と第2の方形ロッド42との間に1
/2波長板43を配置し、1/2波長板43の軸方向を
y軸方向に対して平行に配置した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、たとえば衛星搭
載用レーザレーダや加工用レーザ装置のレーザ発振器お
よびレーザ増幅器に用いられる方形ロッド励起モジュー
ルに関し、特に比較的簡単な構成で方形ロッドの非点収
差および熱複屈折を効果的に補償することにより、構成
を複雑化することなくエネルギーの利用効率の低下やビ
ーム品質の低下を抑制した方形ロッド励起モジュールな
らびにそれを用いたレーザ発振器およびレーザ増幅器に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、固体レーザ装置のレーザ媒質の
形状として用いられる方形ロッド(矩形ロッド、スラ
ブ)は、ロッドの側面が平面であるので、ロッド内で発
生した熱を排熱する機構、たとえば、金属製のヒートシ
ンクなどを取り付け易く、排熱が容易となる。
【0003】また、この種の方形ロッド励起モジュール
は、理想的な排熱を行えば、温度勾配が排熱方向のみに
発生することから、方形ロッド内の複屈折が一方向に発
生するので、直線偏光のレーザ発振を実現し易いという
特徴があり、伝導冷却が要求される衛星搭載用レーザ装
置や、高平均出力が要求される加工用レーザ装置などに
用いられている。
【0004】図5は、たとえばバルタ・コエフナ(Wa
lter Koechner)著のSpringer
Series in Optical Science
sVol.1「Solid−State Laser
Engineering第4版」(1995年ドイツS
pringer社発行)内の第434ページに記載され
た、従来の方形ロッド励起モジュールの構成を示す斜視
図である。
【0005】図5において、1は方形ロッド、1aは方
形ロッド1の排熱方向の側面すなわち排熱面、1bは方
形ロッド1の排熱面1aに対して垂直な他の側面、2は
排熱面1aに配設された冷却水、3は排熱面1aに対向
配置された励起光源、4は方形ロッド1の延長軸方向に
平行な光軸である。
【0006】ここでは、三次元方向(x、y、z軸)に
関連させて、方形ロッド1の排熱面1aに垂直な方向す
なわち排熱方向をy軸、光軸4の方向をz軸、y軸およ
びz軸に垂直な方向(側面1bに垂直な方向)をx軸と
している。
【0007】次に、図5に示した従来の方形ロッド励起
モジュールによるレーザ光励起動作について説明する。
図5のように構成された方形ロッド励起モジュールにお
いて、励起光源3から出射された励起光は、方形ロッド
1に吸収されて、利得を発生することにより、光軸4方
向に伝搬するレーザ光を増幅する。
【0008】また、方形ロッド1内で発生した熱は、冷
却水2を介して排熱面1aからy軸方向に排熱される。
ここで、理想的に排熱面1aから排熱された場合、方形
ロッド励起モジュールにおける温度勾配は、排熱(y
軸)方向のみに発生する。
【0009】このとき、温度勾配により生じる熱複屈折
は、複屈折の2つの軸方向がy軸方向およびx軸方向と
なるので、y軸方向またはx軸方向の直線偏光のレーザ
光が入射すると、直線偏光を保持したまま方形ロッド1
内を伝搬する。
【0010】この結果、消光比の低下による共振器内損
失は低減され、直線偏光のレーザ発振を容易に実現する
ことができる。しかし、温度分布による熱レンズ効果
は、排熱方向(y軸方向)のみに対して発生し、排熱方
向に垂直な方向(x軸方向)に対しては発生しない。
【0011】したがって、方形ロッド1は、y軸方向の
みに熱レンズ効果を有するシリンドリカルレンズとして
作用し、方形ロッド1を通過するレーザ光に非点収差を
発生させることになる。
【0012】このような非点収差が発生すると、方形ロ
ッド1を用いたレーザ発振器やレーザ増幅器において、
非点を補償する構成を用いる必要が生じ、光学系構成を
複雑にするという問題が生じる。
【0013】そこで、この問題の解決策として、たとえ
ば上記文献の第437ページには、図6に示すような従
来の方形ロッド励起モジュールを用いた共振器(レーザ
発振器)の構成が示されている。
【0014】図6は従来の方形ロッド励起モジュールを
用いたレーザ発振器を示す側面図であり、図6におい
て、冷却水2および励起光源3は前述(図5参照)と同
様のものである。
【0015】5は端面をブリュースタ角に研磨した方形
ロッド、5aは方形ロッド5の排熱方向の側面すなわち
排熱面、5bは方形ロッド5の排熱面5aに対して垂直
な他の側面、6は方形ロッド5の延長軸方向の一方に配
設された全反射ミラー、7は方形ロッド5の延長軸方向
の他方に配設された部分反射ミラー、8はレーザ発振器
内を伝搬するレーザ光の光軸である。
【0016】次に、図6に示した従来の方形ロッド励起
モジュールを用いたレーザ発振器によるレーザ光発振動
作について説明する。図6のように構成されたレーザ発
振器において、レーザ光は、方形ロッド5の中を排熱面
5aに沿ってジグザグに伝搬するので、排熱方向に生じ
る温度勾配が平均化されて、熱レンズ効果がうち消され
る。
【0017】一方、理想的に排熱面5aから排熱されて
いる場合、x軸方向の熱レンズは発生しないので、非点
収差が補償される。しかし、実際に使用される方形ロッ
ド5の大きさが有限の場合、排熱面5aから排熱してい
ても、側面5bから放射または伝導により逃げる熱が発
生するので、理想的にy軸方向に排熱することは困難で
あり、温度勾配がy軸に対して平行とならずに傾きが生
じてしまう。
【0018】図7は方形ロッド5の温度勾配の方向ずれ
を矢印で示す説明図であり、方形ロッド5の延長軸方向
から見た状態を示している。図7(a)は理想的に排熱
面5aから排熱された場合を示し、図7(b)は有限の
大きさの方形ロッド5によって温度勾配に傾きが生じた
場合の温度勾配の方向ずれを示している。
【0019】図7(a)においては、方形ロッド5内の
位置によらず、複屈折軸方向がy軸方向およびx軸方向
に発生するので、y軸方向またはx軸方向の直線偏光の
レーザ光が入射すると、直線偏光を保持したまま方形ロ
ッド内を伝搬する。また、温度勾配がy軸方向のみに発
生するので、熱レンズはy軸方向のみに発生し、x軸方
向には発生しない。
【0020】一方、図7(b)においては、方形ロッド
5の中心とx軸およびy軸付近とにおいて、温度勾配が
y軸に平行になるので、複屈折軸方向がy軸方向および
x軸方向に発生し、y軸方向またはx軸方向の直線偏光
のレーザ光が入射すると、直線偏光を保持したまま方形
ロッド内を伝搬する。
【0021】しかし、方形ロッド5の角の付近では、温
度勾配がy軸に平行な方向からずれるので、y軸方向ま
たはx軸方向の直線偏光のレーザ光が入射すると、方形
ロッド5を通過することにより、複屈折による直線偏光
度の低下、すなわち消光比の低下が生じてしまう。
【0022】したがって、図7(b)のように、有限の
大きさの方形ロッド5によって温度勾配に傾きが生じた
場合には、方形ロッド5をレーザ発振器およびレーザ増
幅器に使用したときに、エネルギーの利用効率の低下や
ビーム品質の低下が生じてしまう。
【0023】また、この場合、x軸方向に生じた温度勾
配によって、x軸方向にも弱い熱レンズが発生するの
で、従来の方形ロッド5の構成(図6参照)によれば、
y軸方向の熱レンズ効果はうち消されるものの、x軸方
向の熱レンズ効果が発生する。
【0024】したがって、結局、前述の非点収差が発生
してしまい、レーザ発振器やレーザ増幅器において、非
点を補償する構成を用いる必要が生じ、光学系構成を複
雑にするという問題が生じる。
【0025】そこで、このような複屈折軸のずれを補償
するための対策として、たとえば図8に示すような方形
ロッド励起モジュール構成も提案されている。図8は従
来の方形ロッド励起モジュールの他の例を示す斜視図で
ある。
【0026】図8において、21は第1の方形ロッド、
22は第2の方形ロッド、23は第3の方形ロッド、2
4は第4の方形ロッド、25は90゜旋光子、26は光
軸である。
【0027】この場合、三次元方向(x、y、z軸)に
関連させて、第1の方形ロッド21の排熱方向をy軸方
向、第2の方形ロッド22の排熱方向をx軸方向、第3
の方形ロッド23の排熱方向をx軸方向、第4の方形ロ
ッド24の排熱方向をy軸方向としている。また、90
゜旋光子25は、第2の方形ロッド22と第3の方形ロ
ッド23との間に配置されている。
【0028】第1の方形ロッド21および第4の方形ロ
ッド24は、ほぼ同じように励起をされており、方形ロ
ッド21および24内に生じる温度勾配および複屈折
は、ほぼ同じように発生している。
【0029】また、第2の方形ロッド22および第3の
方形ロッド23は、ほぼ同じ励起をされており、方形ロ
ッド22および23内に生じる温度勾配および複屈折
は、ほぼ同じように発生している。
【0030】次に、図8に示した従来の方形ロッド励起
モジュールによるレーザ光励起動作について説明する。
まず、レーザ光は、光軸26上を進み、第1の方形ロッ
ド21および第2の方形ロッド22を通過して、90゜
旋光子25に入射する。
【0031】この結果、レーザ光の偏光は、90゜旋光
子25により90゜回転された後、第3の方形ロッド2
3および第4の方形ロッド24を通過する。このとき、
図8に示した方形ロッド励起モジュールは、入射したレ
ーザ光の偏光によらず、90゜旋光子として機能し、入
射したレーザ光の偏光を90゜回転させる。
【0032】したがって、消光比の低下が生じないの
で、エネルギーの利用効率の低下やビーム品質の低下を
防止することができる。また、熱レンズ効果として、x
軸方向については、排熱方向の熱レンズを2回通過し、
且つ排熱方向に対して垂直方向の熱レンズを2回通過
し、y軸方向についても、排熱方向の熱レンズを2回通
過し、且つ排熱方向に対して垂直方向の熱レンズを2回
通過するので、x軸方向とy軸方向との熱レンズの差は
生じず、非点収差は補償される。
【0033】しかし、図8の構成では、4本の方形ロッ
ド21〜24が必要となり、励起モジュールの構成が複
雑になるという問題があった。
【0034】
【発明が解決しようとする課題】従来の方形ロッド励起
モジュール(図5参照)は以上のように、理想的にy軸
方向に温度勾配が発生するように排熱を行うことが困難
であることから、温度勾配がy軸に対して平行とならな
いので、複屈折軸の軸ずれによって消光比の低下が生じ
てしまい、エネルギーの利用効率の低下やビーム品質の
低下が生じるという問題点があった。
【0035】また、従来の方形ロッド励起モジュールを
用いたレーザ発振器およびレーザ増幅器(図6参照)
は、方形ロッドにおいてx軸方向に熱レンズ効果が生じ
ることから、非点収差が発生するので、レーザ発振器や
レーザ増幅器において非点を補償する構成を用いる必要
が生じ、光学系を複雑にしてしまうという問題点があっ
た。
【0036】また、他の従来の方形ロッド励起モジュー
ル(図8参照)は、4本の方形ロッド21〜24が必要
となり、構成が複雑化してしまうという問題点があっ
た。
【0037】この発明は上記のような問題点を解決する
ためになされたもので、比較的簡単な構成で非点収差お
よび熱複屈折を効果的に補償し、複屈折軸のずれによる
消光比の低下を補償して抑制することにより、構成を複
雑化することなくエネルギーの利用効率の低下やビーム
品質の低下を防止した方形ロッド励起モジュールならび
にそれを用いたレーザ発振器およびレーザ増幅器を得る
ことを目的とする。
【0038】
【課題を解決するための手段】この発明に係る方形ロッ
ド励起モジュールは、軸方向に配列された第1および第
2の方形ロッドと、第1および第2の方形ロッドの間に
介在された1/2波長板とを備え、第1の方形ロッド
は、ほぼ平行に向かい合った二つの面から排熱を行い、
1/2波長板は、軸方向が第1の方形ロッドの排熱方向
とほぼ平行に配置され、第2の方形ロッドは、ほぼ平行
に向かい合った二つの面から排熱を行うとともに、排熱
方向が第1の方形ロッドとほぼ垂直を成すように配置さ
れたものである。
【0039】また、この発明に係る方形ロッド励起モジ
ュールは、第1および第2の方形ロッドと1/2波長板
とからなる方形ロッド励起モジュールを、第1および第
2の方形ロッドの軸方向に複数個配列したものである。
【0040】また、この発明に係る方形ロッド励起モジ
ュールを用いたレーザ発振器は、上記方形ロッド励起モ
ジュールを用いたものである。
【0041】また、この発明に係る方形ロッド励起モジ
ュールを用いたレーザ増幅器は、上記方形ロッド励起モ
ジュールを用いたものである。
【0042】
【発明の実施の形態】実施の形態1.以下、図面を参照
しながら、この発明の実施の形態1について詳細に説明
する。図1はこの発明の実施の形態1による方形ロッド
励起モジュールの構成を示す斜視図であり、図1におい
て、41は第1の方形ロッド、42は第2の方形ロッ
ド、43は1/2波長板、44は光軸である。
【0043】この場合、三次元方向(x、y、z軸)に
関連させて、第1の方形ロッド41の排熱方向をy軸方
向、第2の方形ロッド42の排熱方向をx軸方向として
おり、1/2波長板43は、第1の方形ロッド41と第
2の方形ロッド42との間に配置されている。
【0044】第1の方形ロッド41は、ほぼ平行に向か
い合った二つの面からy軸方向に排熱を行い、第1の方
形ロッド41に対してほぼ垂直を成すように配置された
第2の方形ロッド42は、ほぼ平行に向かい合った二つ
の面からx軸方向に排熱を行う。
【0045】第1の方形ロッド41および第2の方形ロ
ッド42は、同じ排熱方向にそろえたときに、ほぼ同じ
励起をされており、各方形ロッド41および42内に生
じる温度勾配および複屈折は、排熱方向に対してほぼ同
じように発生している。また、1/2波長板43は、軸
方向が第1の方形ロッド41の排熱方向(y軸)とほぼ
平行に配置されている。
【0046】次に、図1に示したこの発明の実施の形態
1による方形ロッド励起モジュールのレーザ光励起動作
について説明する。まず、レーザ光は、光軸44上を進
み、第1の方形ロッド41を通過し、1/2波長板43
に入射する。
【0047】この結果、レーザ光の偏光は、1/2波長
板43により、波長板の軸に対して線対称な偏光に変換
された後、第2の方形ロッド42を通過する。このとき
の偏光の変化を、ジョーンズ・マトリクス(Jones
Matrix)を用いて説明する。
【0048】すなわち、光学素子に入射するレーザ光の
x軸方向の偏光成分をEx、y軸方向の偏光成分をEy
とし、光学素子のジョーンズ・マトリクスをJとする
と、光学素子を出射するレーザ光の偏光成分Exou
t、Eyoutは、以下の(1)式で表される。
【0049】
【数1】
【0050】ただし、(1)式において、ジョーンズ・
マトリクスJは、4行4列で表される行列である。ま
た、複屈折材料のジョーンズ・マトリクスJBは、以下
の(2)式で表される。
【0051】
【数2】
【0052】ただし、(2)式において、αはx軸と複
屈折のファスト軸との成す角、δはファスト軸とスロー
軸との位相差である。なお、複屈折材料の2つの複屈折
軸において、位相が進む軸をファスト軸、位相が遅れる
軸をスロー軸と呼ぶ。
【0053】また、1/2波長板43も複屈折材料の一
種であり、ジョーンズ・マトリクスJ1/2 λは、以下の
(3)式で表される。
【0054】
【数3】
【0055】ただし、(3)式において、βはx軸と1
/2波長板43のファスト軸との成す角である。
【0056】次に、図2の説明図を参照しながら、この
発明の実施の形態1による第1の方形ロッド41の複屈
折軸方向について説明する。図2は第1の方形ロッド4
1の複屈折軸(ファスト軸)方向を矢印で示しており、
第1の方形ロッド41の延長軸方向から見た状態を示し
ている。
【0057】図2において、第1の方形ロッド41の複
屈折軸のファスト軸(矢印参照)は、ロッド中心ならび
に軸Aおよび軸B上においては、図2(a)に示すよう
に、y軸に平行となる。
【0058】一方、ロッド中心ならびに軸Aおよび軸B
から離れた位置でのファスト軸は、図2(b)に示すよ
うに、y軸方向から角度θ1を成して傾いている。した
がって、第1の方形ロッド41のジョーンズ・マトリク
スJR41は、以下の(4)式で表される。
【0059】
【数4】
【0060】次に、図3の説明図を参照しながら、この
発明の実施の形態1による第2の方形ロッド42の複屈
折軸方向について説明する。図3は第2の方形ロッド4
2の複屈折軸(ファスト軸)方向を矢印で示しており、
第2の方形ロッド42の延長軸方向から見た状態を示し
ている。
【0061】図3において、第2の方形ロッド42の複
屈折軸のファスト軸は、ロッド中心ならびに軸Aおよび
軸B上においては、図3(a)に示すように、x軸に平
行となる。
【0062】一方、ロッド中心ならびに軸Aおよび軸B
から離れた位置でのファスト軸は、図3(b)に示すよ
うに、x軸方向から角度θ2を成して傾いている。した
がって、第2の方形ロッド42のジョーンズ・マトリク
スJR42は、以下の(5)式で表される。
【0063】
【数5】
【0064】したがって、図1で示した方形ロッド励起
モジュールのジョーンズ・マトリクスJAllは、以下の
(6)式で表される。
【0065】
【数6】
【0066】ただし、上記(6)式は、θ1=θ2、δ1
=δ2のとき、以下の(7)式のように表される。
【0067】
【数7】
【0068】上記(7)式は、θ1、θ2、δ1、δ2の値
に依存しない。すなわち、図1で示した方形ロッド励起
モジュールは、θ1=θ2、δ1=δ2のとき、1/2波長
板として機能し、入射したレーザ光の偏光をy軸に対し
て線対称に変化させる。
【0069】実際の方形ロッドでは、ロッド内の任意の
場所において完全に、θ1=θ2、δ 1=δ2を満たすわけ
ではないが、図1に示した構成により、ある程度の複屈
折補償がなされる。
【0070】図4はこの発明の実施の形態1による方形
ロッド励起モジュールを通過したときの消光比の励起パ
ワー依存性(測定値)を示す説明図であり、単一ロッド
からなる従来の方形ロッド励起モジュールを通過した場
合と対比して示している。
【0071】図4において、黒塗りプロットは、この発
明の実施の形態1による方形ロッド励起モジュール(図
1参照)を透過したときの消光比特性を示し、白抜きプ
ロットは、同じ励起パワーで従来の方形ロッド励起モジ
ュール(単1の方形ロッドで構成)を通過したときの消
光比特性を示している。
【0072】また、図4において、丸印のプロットは、
x軸に平行な直線偏光を有するレーザ光の場合の消光比
特性を示し、四角印のプロットは、x軸に45゜を成す
直線偏光を有するレーザ光の場合の消光比特性を示して
いる。なお、消光比の定義は、以下の通りである。
【0073】消光比=10・log(最大偏光成分のパ
ワー/最小偏光成分のパワー)
【0074】図4から明らかなように、消光比特性は、
x軸方向の偏光の場合(黒塗り丸印参照)では、従来
(白抜き丸印参照)と比べて約5dB程度改善され、x
軸に対して45゜方向の偏光の場合(黒塗り四角印参
照)では、従来(白抜き四角印参照)と比べて約8dB
〜9dB程度改善されている。
【0075】このように、比較的簡単な構成で消光比の
低下を抑制することができるので、図1の方形ロッド励
起モジュールをレーザ発振器やレーザ増幅器に適用した
場合に、エネルギーの利用効率の低下やビーム品質の低
下を防ぐことができる。
【0076】また、熱レンズ効果に関しては、x軸方向
について、排熱方向の熱レンズを1回通過し、且つ排熱
方向に対して垂直方向の熱レンズを1回通過しており、
y軸方向についても、排熱方向の熱レンズを1回通過
し、且つ排熱方向に対して垂直方向の熱レンズを1回通
過するので、x軸方向とy軸方向との熱レンズの差はほ
とんど生じず、非点収差は補償される。
【0077】すなわち、x軸方向とy軸方向の熱レンズ
の差が生じず、非点収差が補償されるので、レーザ発振
器やレーザ増幅器において非点を補償する構成を用いる
必要が無く、光学系の設計および構成を簡略化すること
ができる。
【0078】さらに、方形ロッド本数が少なく、最小限
の2本の方形ロッド41および42のみで、方形ロッド
41および42の複屈折を補償して消光比の劣化を防止
することができるので、方形ロッド41および42の研
磨やコーティングなどの工程を減らすことができ、方形
ロッド励起モジュールの装置全体を廉価に構成すること
ができる。
【0079】実施の形態2.なお、上記実施の形態1で
は、第1の方形ロッド41および第2の方形ロッド42
と、1/2波長板43とからなる方形ロッド励起モジュ
ールを1組のみ用いた場合を示しているが、同様の構成
の方形ロッド励起モジュールをm組(mは整数)だけ連
続的に配列して用いてもよい。
【0080】このように構成すれば、簡単な構成で、消
光比の低下をさらに抑制することができるので、レーザ
発振器やレーザ増幅器に適用した場合に、エネルギーの
利用効率の低下やビーム品質の低下をさらに防止するこ
とができる。
【0081】また、この場合も、熱レンズ効果は、x軸
方向について排熱に垂直方向の熱レンズをm回通過し、
y軸方向についても排熱に垂直方向の熱レンズをm回通
過するので、x軸方向とy軸方向の熱レンズの差は生じ
ず、非点収差は補償される。
【0082】さらに、方形ロッドの本数が増えるので、
レーザ光に与える増幅率をさらに大きくすることがで
き、レーザ発振器およびレーザ増幅器に適用した場合の
効率をさらに高くすることができる。
【0083】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、軸方
向に配列された第1および第2の方形ロッドと、第1お
よび第2の方形ロッドの間に介在された1/2波長板と
を備え、第1の方形ロッドは、ほぼ平行に向かい合った
二つの面から排熱を行い、1/2波長板は、軸方向が第
1の方形ロッドの排熱方向とほぼ平行に配置され、第2
の方形ロッドは、ほぼ平行に向かい合った二つの面から
排熱を行うとともに、排熱方向が第1の方形ロッドとほ
ぼ垂直を成すように配置されたので、比較的簡単な構成
で非点収差および熱複屈折を効果的に補償し、複屈折軸
のずれによる消光比の低下を補償して抑制することによ
り、構成を複雑化することなくエネルギーの利用効率の
低下やビーム品質の低下を防止した方形ロッド励起モジ
ュールが得られる効果がある。
【0084】また、この発明によれば、第1および第2
の方形ロッドと1/2波長板とからなる方形ロッド励起
モジュールを、第1および第2の方形ロッドの軸方向に
複数個配列し、方形ロッド本数の増大によりレーザ光に
与える増幅率を大きくしてレーザ効率を向上させたの
で、複屈折軸のずれによる消光比の低下をさらに補償し
て抑制した方形ロッド励起モジュールが得られる効果が
ある。
【0085】また、この発明によれば、比較的簡単な構
成で非点収差および熱複屈折を効果的に補償して、複屈
折軸のずれによる消光比の低下を補償して抑制した方形
ロッド励起モジュールを用いたので、構成を複雑化する
ことなくエネルギーの利用効率の低下やビーム品質の低
下を防止するとともに、光学系の設計および構成を簡略
化したレーザ発振器が得られる効果がある。
【0086】また、この発明によれば、比較的簡単な構
成で非点収差および熱複屈折を効果的に補償して、複屈
折軸のずれによる消光比の低下を補償して抑制した方形
ロッド励起モジュールを用いたので、構成を複雑化する
ことなくエネルギーの利用効率の低下やビーム品質の低
下を防止するとともに、光学系の設計および構成を簡略
化したレーザ増幅器が得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による方形ロッド励
起モジュールの構成を示す斜視図である。
【図2】 この発明の実施の形態1による第1の方形ロ
ッドの複屈折軸方向を示す説明図である。
【図3】 この発明の実施の形態1による第2の方形ロ
ッドの複屈折軸方向を示す説明図である。
【図4】 この発明の実施の形態1による方形ロッド励
起モジュールを通過したときの消光比の励起パワー依存
性を示す説明図である。
【図5】 一般的な方形ロッド励起モジュールの一例を
示す斜視図である。
【図6】 従来の方形ロッド励起モジュールを用いたレ
ーザ発振器の一例を示す側面図である。
【図7】 従来の方形ロッド励起モジュールによる方形
ロッド内の温度勾配の方向を示す説明図である。
【図8】 従来の方形ロッド励起モジュールの他の例を
示す斜視図である。
【符号の説明】
41 第1の方形ロッド、42 第2の方形ロッド、4
3 1/2波長板、44 光軸。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸方向に配列された第1および第2の方
    形ロッドと、前記第1および第2の方形ロッドの間に介
    在された1/2波長板とを備え、 前記第1の方形ロッドは、ほぼ平行に向かい合った二つ
    の面から排熱を行い、前記1/2波長板は、軸方向が前
    記第1の方形ロッドの排熱方向とほぼ平行に配置され、
    前記第2の方形ロッドは、ほぼ平行に向かい合った二つ
    の面から排熱を行うとともに、排熱方向が前記第1の方
    形ロッドとほぼ垂直を成すように配置されたことを特徴
    とする方形ロッド励起モジュール。
  2. 【請求項2】 前記第1および第2の方形ロッドと前記
    1/2波長板とからなる方形ロッド励起モジュールを、
    前記第1および第2の方形ロッドの軸方向に複数個配列
    したことを特徴とする請求項1に記載の方形ロッド励起
    モジュール。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の方形ロ
    ッド励起モジュールを用いたレーザ発振器。
  4. 【請求項4】 請求項1または請求項2に記載の方形ロ
    ッド励起モジュールを用いたレーザ増幅器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006131385A1 (de) * 2005-06-10 2006-12-14 Trumpf Laser Gmbh + Co. Kg Lasersystem mit mehreren longitudinal gepumpten laseraktiven festkörpern
CN108581239A (zh) * 2018-04-10 2018-09-28 上海柏楚电子科技股份有限公司 一种用于方管激光切割测定偏移和实时刀路补偿的方法

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US7542501B2 (en) 2005-06-10 2009-06-02 Trumpf Laser Gmbh + Co. Kg Laser system comprising a number of longitudinally pumped laser-active solid bodies
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