JP2002351064A - 平版印刷版の製版方法 - Google Patents

平版印刷版の製版方法

Info

Publication number
JP2002351064A
JP2002351064A JP2001152128A JP2001152128A JP2002351064A JP 2002351064 A JP2002351064 A JP 2002351064A JP 2001152128 A JP2001152128 A JP 2001152128A JP 2001152128 A JP2001152128 A JP 2001152128A JP 2002351064 A JP2002351064 A JP 2002351064A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
group
hydrophilic
printing plate
plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001152128A
Other languages
English (en)
Inventor
Noribumi Inno
紀文 因埜
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2001152128A priority Critical patent/JP2002351064A/ja
Publication of JP2002351064A publication Critical patent/JP2002351064A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)
  • Materials For Photolithography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 レーザー光によるヒートモード記録可
能な平版印刷版原版をレーザー光による画像露光後、1
20秒以内に現像処理を行い平版印刷版を製版する方法
において、現像性の劣化のない平版印刷原版を得ること
ができる製版方法を提供すること。 【解決手段】 支持体上に、光熱変換剤及びバイ
ンダーポリマーを含有する感熱層を有し、さらに、該感
熱層上に、親水性層または疎油性層を有してなる平版印
刷原版を画像様にレーザー露光した後、120秒以内
に、現像処理を施すことにより、レーザー露光部の親水
性層または疎油性層を除去して平版印刷版を形成する方
法において、前記平版印刷原版に含有される光熱変換剤
が赤外線吸収染料であることを特徴とする平版印刷版の
形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザー光による
ヒートモード記録可能な平版印刷版原版に関し、さら
に、レーザー光による画像露光後、短時間内に現像処理
により平版印刷版を製版する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、平版印刷版は、印刷過程でイン
クを受容する親油性の画像部と湿し水を受容する親水性
の非画像部とからなる。このような平版印刷版原版とし
ては、従来から親水性支持体上に親油性の感光性樹脂層
を設けたPS版が広く用いられている。その製版方法と
して、通常は、リスフィルムなどの画像を通して露光を
行った後、非画像部を現像液によって溶解除去する方法
であり、この方法により所望の印刷版を得ている。従来
のPS版に於ける製版工程は、露光の後、非画像部を溶
解除去する操作が必要であるが、このような付加的な湿
式の処理を不要化又は簡易化することは、従来技術に対
して改善が望まれてきた一つの課題である。特に近年
は、地球環境への配慮から湿式処理に伴って排出される
廃液の処分が産業界全体の大きな関心事となっているの
で、この面での改善の要請は一層強くなっている。この
要望に応じた簡易な製版方法の一つとして、印刷版原版
の非画像部の除去を通常の印刷過程の中で行えるような
画像記録層を用い、露光後、印刷機上で現像し最終的な
印刷版を得る方法が提案されている。このような方法に
よる平版印刷版の製版方式は機上現像方式と呼ばれる。
具体的方法としては、例えば、湿し水やインク溶剤に可
溶な画像記録層の使用、印刷機中の圧胴やブランケット
胴との接触による力学的除去を行う方法等が拳げられ
る。しかしながら、機上現像方式の大きな問題は、印刷
原板は、露光後も画像記録層が定着されないため、例え
ば、印刷機に装着するまでの間、原板を完全に遮光状態
又は恒温条件で保存する、といった手間のかかる方法を
とる必要があった。一方、この分野における近年のもう
一つの動向としては、画像情報をコンピュータを用いて
電子的に処理、蓄積、出力する、ディジタル化技術が広
く普及してきていることで、このようなディジタル化技
術に対応した新しい画像出力方式が種々実用されるよう
になってきている。これに伴い、レーザ光のような高収
斂性の輻射線にディジタル化された画像情報を担持し
て、この光で原板を走査露光し、リスフィルムを介する
ことなく、直接印刷版を製造するコンピュータ・トゥ・
プレート技術が注目されている。したがって、この目的
に適応した印刷版原版を得ることが重要な技術課題とな
っている。このような背景のもとで、製版作業の簡素
化、乾式化、無処理化が、上記した環境面と、ディジタ
ル化への適合化の両面から、従来にも増して強く望まれ
るようになっている。ディジタル化技術に組み込みやす
い走査露光による印刷版の製版方法として、最近、半導
体レーザー、YAGレーザー等の固体レーザーで高出力の
ものが安価に入手できるようになってきたことから、特
に、これらのレーザーを画像記録手段として用いる製版
方法が有望視されるようになっている。徒来方式の製版
方法では、感光性原版に低〜中照度の像様露光を与えて
光化学反応による原版面の像様の物性変化によって画像
記録を行っているが、高出カレーザーを用いた高パワー
密度の露光を用いる方法では、露光領域において、瞬間
的な露光時間の間に大量の光エネルギーが集中照射し
て、光エネルギーを効率的に熱エネルギーに変換し、そ
の熱により化学変化、相変化、形態や構造の変化などの
熱変化を起こさせ、その変化を画像記録に利用する。つ
まり、画像情報はレーザー光などの光エネルギーによっ
て入力されるが、画像記録は熱エネルギーこよる反応に
よって記録される。通常、このような高パワー密度露光
による発熱を利用した記録方式はヒートモード記録と呼
び、光エネルギーを熱エネルギーに変えることを光熱変
換と呼んでいる。ヒートモード記録手段を用いる製版方
法の大きな長所は、室内照明のような通常の照度レベル
の光では感光せず、また高照度露光によって記録された
画像は定着が必須ではないことにある。つまり、画像記
録にヒートモード感材を利用すると、露光前には、室内
光に対して安全であり、露光後にも画像の定着は必須で
はない。従って、例えば、ヒートモード露光により不溶
化若しくは可溶化する画像記録層を用い、露光した画像
記録層を像様に除去して印刷版とする製版工程を機上現
像方式で行えば、現像(非画像部の除去)は、画像露光
後ある時間、たとえ室内の環境光に暴露されても、画像
が影響を受けないような印刷システムが可能となる。従
って、ヒートモード記録を利用すれば、特に、機上現像
方式に望ましい平版印刷版原版を得ることも可能となる
と期待される。このようなヒートモード記録に基づく平
版印刷版の好ましい製造法の一つとして、ヒートモード
記録層の上層に親水性層または疎油性層を設け、画像状
にヒートモード露光し、記録層をアブレーションさせ、
必要に応じて湿式処理により、露光部の親水性層または
疎油性層を除去する方法が提案されている。このような
平版印刷原版のとしては、例えば、カーボンブラック等
のレーザー光吸収剤およびニトロセルロース等の自己酸
化性のバインダーを含有した感熱層上に、親水性層また
は疎油性層を設けた構成であり、親水性層を設けた構成
は、W098/40212号、W098/34796号、WO94/18005号、
特開平6-199064号公報、特開平8−282143号公報
等に、疎油性層を設けた構成は、特公昭42−2187
9号公報、特開昭50−158405号公報、特開平6
−55723号公報、特開平6−186750号公報、
米国特許第5,353,705号およびWO/94012
80号等に開示されている。しかしながら、これらのう
ち、レーザー光吸収剤とバインダーポリマーを含有する
感熱層を有する平版印刷原版を、レーザー露光による加
熱直後に、その上層である親水性層または疎油性層の除
去処理(現像処理)を擦り等により行った場合、レーザ
ー露光による加熱後充分に時間経過した後、同様に除去
処理した場合に比べ、著しくレーザー露光部の親水性層
または疎油性層の除去性(現像性)が劣化するという問
題があった。例えば、日本特許2938398号、日本
特許2648081号、US5755158号、EP8
87204A号、GB2297719A号等に記載され
ているような、印刷機シリンダー上に、平版印刷原版を
取りつけた後に、印刷機に搭載されたレーザーにより露
光し、その後に、印刷機上に搭載された版面洗浄装置で
版面を洗浄(現像)したり、又は、湿し水および/また
はインクを版面に供給し機上現像する、いわゆるCTC
(コンピューター・トゥ・シリンダー)型の印刷機を適
用する場合、各々の工程は自動化されており、連続的に
実施されるため、現像処理は、レーザー露光後、比較的
短時間のうちにに実施される。このため、レーザー露光
後短時間の経過における現像処理でも、現像性の劣化が
なく、CTC型印刷機に適用可能な平版印刷原版が望ま
れていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、レー
ザー光によるヒートモード記録可能な平版印刷版原版を
レーザー光による画像露光後、120秒以内に現像処理
を行い平版印刷版を製版する方法において、現像性の劣
化のない平版印刷原版を得ることができる製版方法を提
供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は鋭意検討の
結果、支持体上に、光熱変換剤及びポリマーバインダー
を含有する感熱層を有し、該感熱層上に親水性層または
疎油性層を有してなる平版印刷原版において、該光熱変
換剤として赤外線吸収染料を適用することにより、前記
平版印刷原版を画像様にレーザー露光した後、120秒
以内にレーザー露光部の親水性層または疎油性層の除去
のための現像処理を施しても、現像性の劣化がないこと
見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発
明は、支持体上に、光熱変換剤及びバインダーポリマー
を含有する感熱層を有し、該感熱層上に親水性層または
疎油性層を有してなる平版印刷原版を画像様にレーザー
露光した後、120秒以内に現像処理を施すことによ
り、レーザー露光部の親水性層または疎油性層を除去し
て平版印刷版を製版する方法において、前記光熱変換剤
が赤外線吸収染料であることを特徴とする平版印刷版の
製版方法である。
【0005】レーザー露光後充分な時間経過のないうち
に現像処理を実施する場合に現像性が劣化する原因は明
確ではないが、レーザー露光により加熱された感熱層が
充分に冷却されず、軟化状態のうちに処理されることに
よると考えられ、これが現像性劣化の原因であると考え
られる。また、この軟化状態は、感熱層が不均一に加熱
されることに関連すると考えられる。
【0006】本発明において、光熱変換剤として、赤外
線吸収染料を適用することにより、レーザー露光により
加熱された感熱層の熱履歴に起因する現像性の劣化がな
くなることが見出された。これは、光熱変換剤としてカ
ーボンブラック等の顔料を用いた場合、顔料は感熱層中
バインダーポリマーに分散されて存在し、レーザー光を
吸収し発熱する際、顔料粒子の周りが局部的に加熱され
るため、感熱層の加熱が不均一になるのに対し、光熱変
換剤として赤外線吸収染料を用いた場合、染料は感熱層
中バインダーポリマーに分子レベルで均一に存在し、レ
ーザー光を吸収し発熱する際、感熱層を均一に加熱する
ことができるためであると考えられる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳しく説明す
る。本発明の方法において使用される平版印刷原版の基
本的な構成は、支持体上に、少なくとも赤外線吸収染料
及びバインダーポリマーを含有する感熱層、親水性層ま
たは疎油性層をこの順に積層したものである。また、本
発明の平版印刷版の製版方法は、前記平版印刷原版をレ
ーザーによる画像露光後、120秒以内に、レーザー露
光部の親水性層または疎油性層を除去するための現像処
理を施して平版印刷版を製版する方法である。
【0008】(感熱層)本発明に用いられる感熱層は、
少なくとも一種の(1)赤外線吸収染料及び(2)ポリ
マーバインダーを含有する。さらに、本発明に用いられ
る感熱層は、レーザー露光部において、現像処理による
レーザー露光部の上層の除去に際し、レーザー露光部の
感熱層の全てが上層と共に除去され、インク受容性の下
層が露出しても良いし、あるいは、レーザー露光部の感
熱層の一部が上層と共に除去され、一部が残存し、残存
した感熱層がインク受容層としての機能を果たしても良
いが、下層へのインク受容性の付与の必要性や感度の低
下を考慮すると、レーザー露光部の感熱層が残存する態
様が好ましい。このためには、感熱層は、インク受容性
であり、かつ、架橋剤により硬膜されていることが好ま
しい。
【0009】本発明に用いる(1)赤外線吸収染料は、
赤外線光を吸収して熱に変換し得る染料ならば全て使用
できる。特に、好ましいのは、波長760nmから12
00nmの赤外線を有効に吸収する染料である。
【0010】本発明に使用可能な染料としては、市販の
染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、
昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが
利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染
料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラ
キノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、
キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワ
リリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の
染料が挙げられる。
【0011】好ましい染料としては、例えば、特開昭5
8−125246号、特開昭59−84356号、特開
昭59−202829号、特開昭60−78787号等
の各公報に記載されているシアニン染料、特開昭58−
173696号、特開昭58−181690号、特開昭
58−194595号等の各公報に記載されているメチ
ン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−2
24793号、特開昭59−48187号、特開昭59
−73996号、特開昭60−52940号、特開昭6
0−63744号等の各公報に記載されているナフトキ
ノン染料、特開昭58−112792号公報等に記載さ
れているスクワリリウム色素、英国特許434,875
号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
【0012】また、米国特許第5,156,938号記載
の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許
第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ
(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号公
報(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチン
チアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同5
8−220143号、同59−41363号、同59−
84248号、同59−84249号、同59−146
063号、同59−146061号各公報に記載されて
いるピリリウム系化合物、特開昭59−216146号
公報記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475
号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5
−13514号、同5−19702号公報に開示されて
いるピリリウム化合物も好ましく用いられる。
【0013】また、染料として好ましい別の例として米
国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(I
I)として記載されている近赤外吸収染料を挙げること
ができる。これらの染料のうち特に好ましいものとして
は、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム
塩、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。さらに、シ
アニン色素が好ましく、特に下記一般式(I)で示され
るシアニン色素が最も好ましい。
【0014】
【化1】
【0015】一般式(I)中、X1は、ハロゲン原子、
またはX2−L1を示す。ここで、X2は酸素原子また
は、硫黄原子を示し、L1は、炭素原子数1〜12の炭
化水素基、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、
およびアリール基、さらに好ましくはアリール基を示
す。R1およびR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜
12の炭化水素基、より好ましくはアルキル基を示す。
感光層塗布液の保存安定性から、R1およびR2は、炭素
原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、さ
らに、R1とR2とは互いに結合し、5員環または6員環
を形成していることが特に好ましい。
【0016】Ar1、Ar2は、それぞれ同じでも異なっ
ていても良く、置換基を有していても良い芳香族炭化水
素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベン
ゼン環およびナフタレン環が挙げられる。また、好まし
い置換基としては、炭素原子数12個以下のアルキル
基、アルケニル基等の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素
原子数12個以下のアルコキシ基が挙げられる。Y1
2は、それぞれ同じでも異なっていても良く、硫黄原
子または炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基
を示す。
【0017】R3、R4は、それぞれ同じでも異なってい
ても良く、置換基を有していても良い炭素原子数20個
以下の炭化水素基、より好ましくはアルキル基、アルケ
ニル基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数1
2個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が
挙げられる。R5、R6、R7およびR8は、それぞれ同じ
でも異なっていても良く、水素原子または炭素原子数1
2個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ま
しくは水素原子である。また、Z1-は、対アニオンを示
す。ただし、R1〜R8のいずれかにスルホ基が置換され
ている場合は、Z1-は必要ない。好ましいZ1-は、感光
層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸
イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオ
ロホスフェートイオン、およびスルホン酸イオンであ
り、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロ
ホスフェートイオン、およびアリールスルホン酸イオン
である。
【0018】本発明において、好適に用いることのでき
る一般式(I)で示されるシアニン色素の具体例([I
R−1]〜[IR−12])を以下に挙げるが、本発明
はこれらに制限されるものではない。
【0019】
【化2】
【0020】
【化3】
【0021】
【化4】
【0022】これらの赤外線吸収染料は、1種単独で用
いても、2種以上を併用して用いても良い。その使用量
は、感熱層の総固形分質量に対して、5質量%〜50質
量%、好ましくは8質量%〜45質量%、より好ましく
は10質量%〜40質量%である。赤外線吸収剤の添加
量が5質量%未満であると感度が低くなり、また50質
量%を越えると感熱層の被膜が脆くなり、印刷時非画像
部に汚れが発生し易くなる。
【0023】本発明に用いる(2)バインダーポリマー
とは、フィルム形成能を有する公知のポリマーが使用さ
れる。これらの例としてはニトロセルロース、エチルセ
ルロースなどのセルロース、セルロース誘導体類、ポリ
メチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレートなど
のアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの単独重
合体および共重合体、ポリスチレン、α−メチルスチレ
ンなどのスチレン系モノマーの単独重合体もしくは共重
合体、イソプレン、スチレン−ブタジエンなどの各種合
成ゴム類、ポリ酢酸ビニルなどのビニルエステル類の単
独重合体および酢酸ビニル−塩化ビニルなどの共重合
体、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカ
ーボネートなどの縮合系各種ポリマーおよび、「J. Ima
ging Sci.,P59-64, 30(2), (1986)(Frechetら)」や
「Polymers in Electronics (Symposium Series, P11,
242, T.Davidson,Ed., ACS Washington, DC (1984)(I
to,Willson)」、「Microelectronic Engineering, P3-
10, 13(1991)(E. Reichmanis,L.F.Thompson)」に記載
のいわゆる「化学増幅系」に使用されるバインダー等が
使用可能である。これらの中でも、感熱層層を架橋剤に
より硬膜するための架橋反応に用いることが可能な官能
基を有するポリマーが好ましい。
【0024】好ましい官能基としては、例えば、−O
H、−SH、−NH2、−NH−、−CO−NH2、−C
O−NH−、−O−CO−NH−、−NH−CO−NH
−、−CO−OH、−CO−O−、−CO−O-、−C
S−OH、−CO−SH、−CS−SH、−CO−O−
CO−、−SO3H、−SO2(O-)、−PO32、−
PO(O-)2、−SO2−NH2、−SO2−NH−、−C
O−CH2−CO−、−CH=CH−、−CH=CH2
−CO−CH=CH2、−CO−C(CH3)=CH2
【化5】 等が挙げられる。特に、水酸基、アミノ基、カルボキシ
ル基、エポキシ基、重合性ビニル基が好ましい。
【0025】本発明の好ましいバインダーポリマーとし
ては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキ
シル基を含有するモノマーの単独重合体もしくは共重合
体、ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシ
プロピルアクリレート等の水酸基を含有するアクリル酸
又はメタクリル酸エステルの単独重合体もしくは共重合
体、グリシジルメタアクリレート等のエポキシ基を含有
するアクリル酸又はメタクリル酸エステルの単独重合体
もしくは共重合体、N−アルキルアクリルアミド、アク
リルアミドの単独重合体もしくは共重合体、アミン類と
アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル又はア
リルグリシジルとの反応物の単独重合体もしくは共重合
体、p−ヒドロキシスチレン、ビニルアルコールの単独
重合体もしくは共重合体、ポリウレタン樹脂類、ポリウ
レア樹脂類、ポリアミド(ナイロン)樹脂類、エポキシ
樹脂類、ポリアルキレンイミン類、ノボラック樹脂類、
メラミン樹脂類、セルロース誘導体類等縮合体が挙げら
れる。これらのポリマーは、1種単独で用いても、2種
以上を併用して用いても良い。その使用量は感熱層の総
固形分質量に対して、20質量%〜95質量%、好まし
くは25質量%〜80質量%、より好ましくは30質量
%〜75質量%、さらに好ましくは50質量%〜75質
量%である。
【0026】本発明において使用される感熱層の硬膜に
使用する架橋反応としては、熱または光による共有結合
形成、又は、多価金属塩によるイオン結合形成が可能で
あり、本発明においては、公知の架橋剤による感熱層の
硬膜も可能である。公知の架橋剤としては、多官能イソ
シアネート化合物、多官能エポキシ化合物、多官能アミ
ン化合物、ポリオール化合物、多官能カルボキシル化合
物、アルデヒド化合物、多官能(メタ)アクリル化合
物、多官能ビニル化合物、多官能メルカプト化合物、多
価金属塩化合物、ポリアルコキシシラン化合物、ポリア
ルコキシチタン化合物、ポリアルコキシアルミニウム化
合物、金属キレート化合物(チタンジイソプロポキサイ
ドビス(2,4−ペンタジオネート)、チタンジイソプ
ロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)、アルミ
ニウムトリス(2,4−ペンタジオネート)等)、ポリ
メチロール化合物、ポリアルコキシメチル化合物等が挙
げられ、公知の反応触媒を添加し、反応を促進すること
も可能である。上記架橋剤のなかでも、感熱層上層の親
水性層又は疎油性層との密着性向上の点で、金属キレー
ト化合物が好ましく使用できる。その使用量は感熱層の
塗布液中の総固形分質量に対して、0質量%〜50質量
%、好ましくは3質量%〜40質量%、より好ましくは
5質量%〜35質量%である。
【0027】本発明において、その他の添加剤を用いる
ことが出来る。これらの添加剤は、感熱層の機械的強度
を向上させたり、レーザー記録感度を向上させたり、支
持体や中間層などの隣接する層に対する密着性を向上さ
せるなど種々の目的に応じて添加される。例えば、レー
ザー記録感度を向上させるために加熱により分解しガス
を発生する公知の化合物を添加することが考えられる。
この場合には感熱層の急激な体積膨張によりレーザー記
録感度が向上できる。これらの添加剤の例としては、ア
ジドジカルボンアミド、スルホニルヒドラジン、ジニト
ロソペンタメチレンテトラミン等を使用することが出来
る。
【0028】また、加熱により分解し酸性化合物を生成
する公知の化合物を添加剤として使用することが出来
る。これらを化学増幅系のバインダーと併用することに
より、感熱層の構成物質の分解温度を大きく低下させ、
結果としてレーザー記録感度を向上させることが可能で
ある。これらの添加剤の例としては、各種のヨードニウ
ム塩、スルホニウム塩、ホスホニウムトシレート、オキ
シムスルホネート、ジカルボジイミドスルホネート、ト
リアジンなどを使用することが出来る。さらに、接着性
を向上させるために公知の密着改良剤(例えば、シラン
カップリング剤、チタネートカップリング剤等)を添加
しても良い。この他にも、塗布性を改良するための界面
活性剤など必要に応じて各種の添加剤が使用される。
【0029】本発明に用いる上記の感熱層組成物は、例
えば、2−メトキシエタノール、2−メトキシエチルア
セテート、プロピレングリコールメチルエチルアセテー
ト、乳酸メチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモ
ノメチルエーテル、エタノール、イソプロパノール、メ
チルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,
N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジオ
キサン等の適当な溶剤の単独又はこれらの混合溶媒に溶
解して、基板上に塗布、乾燥される。その塗布重量は乾
燥後の重量で、0.1〜10g/m2が適当であり、好ま
しくは0.3〜5g/m2、さらに好ましくは0.5g/
2以上3g/m2未満である。感熱層の乾燥後の塗布重
量は、0.1g/m2より低いと、レーザー記録感度の低
下やインク受容性の低下など好ましくない結果を与え、
高い程、インクの消費量が増える傾向にあり、経済的に
不利である。
【0030】(支持体)本発明において使用される平版
印刷版原版に使用される支持体としては、通常の印刷機
にセットできる程度のたわみ性を有し、同時に印刷時に
かかる荷重に耐える寸度的に安定な板状物であり、例え
ば、紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅
等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロー
ス、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸
セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレー
ト、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポ
リカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のご
ときプラスチックがラミネートされた紙又は金属板、上
記のごとき金属がラミネート、もしくは蒸着された紙又
はプラスチックフィルム等が含まれる。支持体の厚み
は、25μmから3mm、好ましくは75μmから50
0μmが適当であるが、用いる支持体の種類と印刷条件
により最適な厚さは変動する。一般には100μmから
300μmが最も好ましい。
【0031】本発明において使用される平版印刷版原版
に用いられる支持体としては、ポリエステルフィルム又
はアルミニウム板が好ましい。その中でも寸法安定性が
よく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好まし
い。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板および
アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板
であり、更にアルミニウムがラミネートもしくは蒸着さ
れたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金
に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マ
グネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタ
ンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10質量
%以下である。本発明において特に好適なアルミニウム
は、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウ
ムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を
含有するものでもよい。このように本発明に適用される
アルミニウム板は、その組成が特定されるものではな
く、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に
利用することができる。
【0032】本発明においては、支持体と感熱層間の接
着性向上、印刷特性向上等のために、支持体にサンドブ
ラスト処理等による粗面化やコロナ処理等による表面改
質を施したり、支持体と感熱層との間に中間層を設ける
ことができる。
【0033】例えば、アルミニウム板の粗面化は以下の
ように行うことができる。アルミニウム板を粗面化する
に先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための
例えば界面活性剤、有機溶剤またはアルカリ性水溶液な
どによる脱脂処理が行われる。アルミニウム板の表面の
粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、
機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面
化する方法および化学的に表面を選択溶解させる方法に
より行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブ
ラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の
方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化
法としては塩酸または硝酸電解液中で交流または直流に
より行う方法がある。また、特開昭54−63902号
公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も
利用することができる。
【0034】上記の如き方法による粗面化は、アルミニ
ウム板の表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.2〜1.0
μmとなるような範囲で施されることが好ましい。粗面
化されたアルミニウム板は必要に応じて水酸化カリウム
や水酸化ナトリウムなどの水溶液を用いてアルカリエッ
チング処理がされ、さらに中和処理された後、所望によ
り耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。ア
ルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質として
は、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可
能で、一般的には硫酸、塩酸、蓚酸、クロム酸あるいは
それらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電
解質の種類によって適宜決められる。
【0035】陽極酸化の処理条件は用いる電解質により
種々変わるので一概に特定し得ないが一般的には電解質
の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流
密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間
10秒〜5分の範囲であれば適当である。陽極酸化皮膜
の量は、1.0〜5.0g/m2、特に1.5〜4.0g/
2であることが好ましい。
【0036】陽極酸化処理を施された後、アルミニウム
表面は必要により親水化処理が施される。本発明に使用
される親水化処理としては、米国特許第2,714,06
6号、同第3,181,461号、第3,280,734号
および第3,902,734号に開示されているようなア
ルカリ金属シリケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶
液)法がある。この方法においては、支持体がケイ酸ナ
トリウム水溶液で浸漬処理されるか、または電解処理さ
れる。他に特公昭36−22063号公報に開示されて
いるフッ化ジルコン酸カリウムおよび米国特許第3,2
76,868号、同第4,153,461号、同第4,68
9,272号に開示されているようなポリビニルホスホ
ン酸で処理する方法などが用いられる。
【0037】本発明に用いられる中間層としては、例え
ば、特開昭60−22903号公報に開示されているよ
うな種々の感光性ポリマーを感熱層を積層する前に露光
して硬化せしめたもの、特開昭62−50760号公報
に開示されているエポキシ樹脂を熱硬化せしめたもの、
特開昭63−133151号公報に開示されているゼラ
チンを硬膜せしめたもの、更に特開平3−200965
号公報に開示されているウレタン樹脂とシランカップリ
ング剤を用いたものや特開平3−273248号公報に
開示されているウレタン樹脂を用いたもの等を挙げるこ
とができる。この他、ゼラチンまたはカゼインを硬膜さ
せたものも有効である。
【0038】更に、中間層を柔軟化させる目的で、前記
の中間層中に、ガラス転移温度が室温以下であるポリウ
レタン、ポリアミド、スチレン/ブタジエンゴム、カル
ボキシ変性スチレン/ブタジエンゴム、アクリロニトリ
ル/ブタジエンゴム、カルボキシ変性アクリロニトリル
/ブタジエンゴム、ポリイソプレン、アクリレートゴ
ム、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプ
ロピレン等のポリマーを添加しても良い。その添加割合
は任意であり、フィルム層を形成できる範囲内であれ
ば、添加剤だけで中間層を形成しても良い。また、これ
らの中間層には前記の目的に沿って、染料、pH指示薬、
焼き出し剤、光重合開始剤、接着助剤(例えば、重合性
モノマー、ジアゾ樹脂、シランカップリング剤等)、顔
料、シリカ粉末や酸化チタン粉末等の添加物を含有させ
ることもできる。また、塗布後、露光によって硬化させ
ることもできる。一般に、中間層の塗布量は乾燥重量で
0.1〜10g/m2の範囲が適当であり、好ましくは
0.3〜8g/m2であり、より好ましくは0.5〜5g
/m2である。
【0039】また、本発明において支持体としてポリエ
ステル等の非導電性のものを用いる場合、感熱層と支持
体の密着性向上及び帯電防止を目的として、金属酸化物
微粒子やマット剤を分散したポリマー層より成る中間層
を設けるのが好ましい。上記中間層に用いられる金属酸
化物粒子の材料としては、SiO2、ZnO、TiO2
SnO2、Al23、In2O3、MgO、BaO、Mo
3、V25及びこれらの複合酸化物、及び/又はこれ
らの金属酸化物に更に異種原子を含む金属酸化物を挙げ
ることができる。これらは単独で用いてもよく、混合し
て用いてもよい。金属酸化物としては、SiO2、Zn
O、SnO2、Al23、TiO2、In23、MgOが
好ましい。
【0040】異種原子を少量含む例としては、ZnOに
対してAlあるいはIn、SnO2に対してSb、Nb
あるいはハロゲン元素、In23に対してSnなどの異
種原子を30モル%以下、好ましくは10モル%以下の
量をドープしたものを挙げることができる。金属酸化物
粒子は、中間層中に10〜90質量%の範囲で含まれて
いることが好ましい。金属酸化物粒子の粒子径は、平均
粒子径が0.001〜0.5μmの範囲が好ましい。ここ
でいう平均粒子径とは、金属酸化物粒子の一次粒子径だ
けでなく高次構造の粒子径も含んだ値である。
【0041】中間層に用いることができるマット剤とし
ては、、好ましくは平均粒径が0.5〜20μm、より
好ましくは平均粒径が1.0〜15μmの粒径を持つ無
機又は有機の粒子が挙げられる。無機粒子としては、例
えば、酸化ケイ素、酸化アルミ、酸化チタン、酸化亜鉛
等の金属酸化物、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、チタ
ン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム等の金属塩等が
挙げられる。有機粒子としては、ポリメチルメタクリレ
ート、ポリスチレン、ポリオレフィン及びそれらの共重
合体の架橋粒子が挙げられる。マット剤は、中間層中に
1〜30質量%の範囲で含まれていることが好ましい。
【0042】中間層に用いることができるポリマーとし
ては、例えば、ゼラチン、カゼイン等のタンパク質、カ
ルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー
ス、アセチルセルロース、ジアセチルセルロース、トリ
アセチルセルロース等のセルロース化合物、デキストラ
ン、寒天、アルギン酸ソーダ、澱粉誘導体等の糖類、ポ
リビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸
エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリスチレン、
ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエス
テル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル
酸、ポリメタクリル酸等の合成ポリマー等が挙げられ
る。ポリマーは、中間層中に10〜90質量%の範囲で
含まれていることが好ましい。
【0043】また、本発明で使用する支持体は、ブロッ
キングを防止する観点から、支持体の裏面の最大粗さ深
度(Rt)が少なくとも、1.2μm以上であることが
好ましく、さらに、支持体の裏面(即ち、本発明におけ
る平版印刷原版の裏面)が平版印刷原版の表面上を滑る
時の動摩擦係数(μk)が2.6以下であることが好まし
い。このため、支持体の裏面には、前述の中間層におい
て示したのと同様なマット剤を含有する層を設けたり、
サンドブラスト処理を施す等による粗面化が成されるこ
とが好ましい。
【0044】(親水性層)本発明において親水性層と
は、親水性表面を有し、印刷において親水性液体を保持
し、インク反発する機能を有する層を意味する。このよ
うな親水性層として、例えば、有機親水性ポリマーを架
橋あるいは疑似架橋することにより得られる有機親水性
マトリックスや、ポリアルコキシシラン、チタネート、
ジルコネート又はアルミネートの加水分解、縮合反応か
らなるゾル−ゲル変換により得られる無機親水性マトリ
ックスを含有する層あるいは親水性表面を有する金属又
は金属化合物の薄膜が好ましい。
【0045】本発明における親水性層として好ましい有
機親水性ポリマーを架橋あるいは疑似架橋することによ
り得られる有機親水性マトリックス形成に使用する架橋
反応としては、熱または光による共有結合形成、又は、
多価金属塩によるイオン結合形成が可能である。本発明
に用いる有機親水性ポリマーとしては、架橋反応に用い
ることが可能な官能基を有するポリマーが好ましい。好
ましい官能基としては、例えば、−OH、−SH、−N
2、−NH−、−CO−NH2、−CO−NH−、−O
−CO−NH−、−NH−CO−NH−、−CO−O
H、−CO−O−、−CO−O-、−CS−OH、−C
O−SH、−CS−SH、−SO3H、−SO
2(O-)、−PO32、−PO(O-)2、−SO 2−NH
2、−SO2−NH−、−CH=CH2、−CH=CH
−、−CO−C(CH3)=CH2、−CO−CH=CH
2、−CO−CH2−CO−、−CO−O−CO−、
【化6】 等が挙げられる。特に、水酸基、アミノ基、カルボキシ
ル基、エポキシ基が好ましい。
【0046】このような本発明における有機親水性ポリ
マーとしては、公知の水溶性バインダーを用いることが
可能であり、例えば、ポリビニルアルコール(ケン化度
60%以上のポリビニルアセテート)、カルボキシ変性
ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコール、
澱粉およびその誘導体、カルボキシメチルセルロースお
よびその塩、ヒドロキシエチルセルロースのようなセル
ロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、アラビアゴム、ポ
リビニルピロリドン、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体
及びその塩、スチレン−マレイン酸共重合体及びその
塩、ポリアクリル酸及びその塩、ポリメタクリル酸及び
その塩、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミ
ン、ポリビニルホスホン酸及びその塩、ポリスチレンス
ルホン酸及びその塩、ポリ(メタクリロイロキシプロパ
ンスルホン酸)及びその塩、ポリビニルスルホン酸及び
その塩、ポリ(メタクリロイロキシエチルトリメチルア
ンモニウムクロライド)、ポリヒドロキシエチルメタク
リレート、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリア
クリルアミド等が挙げられる。これらのポリマーは、親
水性を損なわない限りにおいて、コポリマーであっても
良く、1種単独で用いても、2種以上を併用して用いて
も良い。その使用量は親水性層の総固形分質量に対し
て、20質量%〜99質量%、好ましくは25質量%〜
95質量%、より好ましくは30質量%〜90質量%で
ある。
【0047】本発明においては、有機親水性ポリマーの
架橋を公知の架橋剤により行うことが可能である。公知
の架橋剤としては、多官能イソシアネート化合物、多官
能エポキシ化合物、多官能アミン化合物、ポリオール化
合物、多官能カルボキシル化合物、アルデヒド化合物、
多官能(メタ)アクリル化合物、多官能ビニル化合物、
多官能メルカプト化合物、多価金属塩化合物、ポリアル
コキシシラン化合物およびその加水分解物、ポリアルコ
キシチタン化合物およびその加水分解物、ポリアルコキ
シアルミニウム化合物およびその加水分解物、ポリメチ
ロール化合物、ポリアルコキシメチル化合物等が挙げら
れ、公知の反応触媒を添加し、反応を促進することも可
能である。その使用量は親水性層の塗布液中の総固形分
重量に対して、1質量%〜50質量%、好ましくは3質
量%〜40質量%、より好ましくは5質量%〜35質量
%である。
【0048】本発明における親水性層の無機親水性マト
リックス形成に使用することができるゾル−ゲル変換が
可能な系は、多価元素から出ている結合基が酸素原子を
介して網目状構造を形成し、同時に多価金属は未結合の
水酸基やアルコキシ基も有していて、これらが混在した
樹脂状構造となっている高分子体であって、アルコキシ
基や水酸基が多い段階ではゾル状態であり、エーテル結
合化が進行するのに伴って網目状の樹脂構造が強固とな
る。また、水酸基の一部が固体微粒子に結合することに
よって固体微粒子の表面を修飾し、親水性度を変化させ
る働きをも併せ持っている。ゾル−ゲル変換を行う水酸
基やアルコキシ基を有する化合物の多価結合元素は、ア
ルミニウム、珪素、チタン及びジルコニウムなどであ
り、これらはいずれも本発明に用いることができるが、
以下はもっとも好ましく用いることのできるシロキサン
結合によるゾル−ゲル変換系について説明する。アルミ
ニウム、チタン及びジルコニウムを用いるゾル−ゲル変
換は、下記の説明の珪素をそれぞれの元素に置き換えて
実施することができる。
【0049】すなわち、特に好ましく用いられるのは、
ゾル−ゲル変換が可能な、少なくとも1個のシラノール
基を有するシラン化合物を含んだ系である。以下に、ゾ
ル−ゲル変換を利用する系についてさらに説明する。ゾ
ル−ゲル変換によって形成される無機親水性マトリック
スは、好ましくはシロキサン結合およびシラノール基を
有する樹脂であり、少なくとも1個のシラノール基を有
するシラン化合物を含んだゾルの系である塗布液を、塗
布、乾燥、経時する間に、シラノール基の加水分解縮合
が進んでシロキサン骨格の構造が形成され、ゲル化が進
行することにより形成される。また、このゲル構造のマ
トリックスのなかには、膜強度、柔軟性等の物理的性能
向上や、塗布性の改良、親水性の調整等を目的として、
上記の有機親水性ポリマーや架橋剤などを添加すること
も可能である。
【0050】ゲル構造を形成するシロキサン樹脂は、下
記一般式(II)で示され、また少なくとも1個のシラノ
ール基を有するシラン化合物は、下記一般式(III)で
示されるシラン化合物の加水分解により得られ、必ずし
も一般式(III)のシラン化合物の部分加水分解物単独
である必要はなく、一般には、シラン化合物が部分加水
重合したオリゴマーからなっていてもよく、あるいは、
シラン化合物とそのオリゴマーの混合組成であってもよ
い。
【0051】
【化7】一般式(II)
【0052】上記一般式(II)のシロキサン系樹脂は、
下記一般式(III)で示されるシラン化合物の少なくと
も1種の化合物のゾル−ゲル変換によって形成され、一
般式(II)中のR01〜R03の少なくとも一つは水酸基を
表し、他は下記一般式(III)中の記号のR0及びYから
選ばれる有機残基を表わす。
【0053】 一般式(III) (R0)nSi(Y)4-n 一般式(III)中、R0は、水酸基、炭化水素基又はヘテ
ロ環基を表わす。Yは水素原子、ハロゲン原子(フッ素
原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表わす)、
−OR04、−OCOR05又は、−N(R06)(R07)を
表す(R04、R 05は、各々炭化水素基を表し、R06、R
07は同じでも異なってもよく、水素原子又は炭化水素基
を表す)、nは0、1、2又は3を表わす。
【0054】一般式(III)中のR0の炭化水素基又はヘ
テロ環基とは、例えば、炭素数1〜12の置換されても
よい直鎖状もしくは分岐状のアルキル基(例えば、メチ
ル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、
ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシ
ル基、ドデシル基等;これらの基に置換される基として
は、ハロゲン原子(塩素原子、フッ素原子、臭素原
子)、ヒドロキシ基、チオール基、カルボキシ基、スル
ホ基、シアノ基、エポキシ基、−OR'基(R'は、メチ
ル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、
ヘキシル基、オクチル基、デシル基、プロペニル基、ブ
テニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、2−ヒドロキ
シエチル基、3−クロロプロピル基、2−シアノエチル
基、N,N−ジメチルアミノエチル基、1−ブロモエチ
ル基、2−(2−メトキシエチル)オキシエチル基、2
−メトキシカルボニルエチル基、3−カルボキシプロピ
ル基、ベンジル基等を示す)、−OCOR''基(R''
は、前記R'と同一の内容を表わす)、−COOR''
基、−COR''基、−N(R''')(R''')基(R'''
は、水素原子又は前記R'と同一の内容を表わし、各々
同じでも異なってもよい)、−NHCONHR''基、−
NHCOOR''基−Si(R'')3基、−CONHR'''
基、−NHCOR''基等が挙げられる。これらの置換基
はアルキル基中に複数置換されてもよい)、
【0055】炭素数2〜12の置換されてもよい直鎖状
又は分岐状のアルケニル基(例えば、ビニル基、プロペ
ニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オ
クテニル基、デセニル基、ドデセニル基等、これらの基
に置換される基としては、前記アルキル基に置換される
基と同一の内容のものが挙げられる)、炭素数7〜14
の置換されてもよいアラルキル基(例えば、ベンジル
基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチル
メチル基、2−ナフチルエチル基等;これらの基に置換
される基としては、前記アルキル基に置換される基と同
一の内容のものが挙げられ、又複数置換されてもよ
い)、
【0056】炭素数5〜10の置換されてもよい脂環式
基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2
−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル
基、ノルボニル基、アダマンチル基等、これらの基に置
換される基としては、前記アルキル基の置換基と同一の
内容のものが挙げられ、又複数置換されてもよい)、炭
素数6〜12の置換されてもよいアリール基(例えば、
フェニル基、ナフチル基で、置換基としては前記アルキ
ル基に置換される基と同一の内容のものが挙げられ、又
複数置換されてもよい)、又は、窒素原子、酸素原子、
イオウ原子から選ばれる少なくとも1種の原子を含有す
る縮環してもよいヘテロ環基(例えば、該ヘテロ環とし
ては、ピラン環、フラン環、チオフェン環、モルホリン
環、ピロール環、チアゾール環、オキサゾール環、ピリ
ジン環、ピペリジン環、ピロリドン環、ベンゾチアゾー
ル環、ベンゾオキサゾール環、キノリン環、テトラヒド
ロフラン環等で、置換基を含有してもよい。置換基とし
ては、前記アルキル基に置換される基と同一の内容のも
のが挙げられ、又複数置換されてもよい)を表わす。
【0057】一般式(III)中のYの−OR04基、−O
COR05基又は−N(R06)(R07)基の置換基としては、
例えば、以下の置換基を表す。−OR04基において、R
04は炭素数1〜10の置換されてもよい脂肪族基(例え
ば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプ
チル基、ヘキシル基、ペンチル基、オクチル基、ノニル
基、デシル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘプテニル
基、ヘキセニル基、オクテニル基、デセニル基、2−ヒ
ドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−メ
トキシエチル基、2−(メトキシエチルオキソ)エチル
基、1−(N,N−ジエチルアミノ)エチル基、2−メ
トキシプロピル基、2−シアノエチル基、3−メチルオ
キサプロピル基、2−クロロエチル基、シクロヘキシル
基、シクロペンチル基、シクロオクチル基、クロロシク
ロヘキシル基、メトキシシクロヘキシル基、ベンジル
基、フェネチル基、ジメトキシベンジル基、メチルベン
ジル基、ブロモベンジル基等が挙げられる)を表わす。
【0058】−OCOR05基において、R05は、R04
同一の内容の脂肪族基又は炭素数6〜12の置換されて
もよい芳香族基(芳香族基としては、前記R0中のアリ
ール基で例示したと同様のものが挙げられる)を表わ
す。又、−N(R06)(R07)基において、R06、R07は、
互いに同じでも異なってもよく、各々、水素原子又は炭
素数1〜10の置換されてもよい脂肪族基(例えば、前
記の−OR04基のR04と同様の内容のものが挙げられ
る)を表わす。より好ましくは、R06とR07の炭素数の
総和が16個以内である。一般式(III)で示されるシ
ラン化合物の具体例としては、以下のものが挙げられる
が、これに限定されるものではない。
【0059】テトラクロルシラン、テトラブロムシラ
ン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テ
トライソプロポキシシラン、テトラn−プロピルシラ
ン、テトラt−ブトキシシラン、テトラn−ブトキシシ
ラン、ジメトキシジエトキシシラン、メチルトリクロル
シラン、メチルトリブロムシラン、メチルトリメトキシ
シラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプ
ロポキシシラン、メチルトリt−ブトキシシラン、エチ
ルトリクロルシラン、エチルトリブロムシラン、エチル
トリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチ
ルトリイソプロポキシシラン、エチルトリt−ブトキシ
シラン、n−プロピルトリクロルシラン、n−プロピル
トリブロムシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、
n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリイ
ソプロポキシシラン、n−プロピルトリt−ブトキシシ
ラン、n−ヘキシルトリクロルシラン、n−ヘキシルト
リブロムシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n
−ヘキシルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリイソ
プロポキシシラン、n−ヘキシルトリt−ブトキシシラ
ン、n−デシルトリクロルシラン、n−デシルトリブロ
ムシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−デシル
トリエトキシシラン、n−デシルトリイソプロポキシシ
ラン、n−デシルトリt−ブトキシシラン、n−オクタ
デシルトリクロルシラン、n−オクタデシルトリブロム
シラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オ
クタデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリ
イソプロポキシシラン、n−オクタデシルトリt−ブト
キシシラン、フェニルトリクロルシラン、フェニルトリ
ブロムシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニル
トリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラ
ン、フェニルトリt−ブトキシシラン、ジメチルジクロ
ルシラン、ジメチルジブロムシラン、ジメチルジメトキ
シシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジク
ロルシラン、ジフェニルジブロムシラン、ジフェニルジ
メトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニ
ルメチルジクロルシラン、フェニルメチルジブロムシラ
ン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチル
ジエトキシシラン、
【0060】トリエトキシヒドロシラン、トリブロムヒ
ドロシラン、トリメトキシヒドロシラン、イソプロポキ
シヒドロシラン、トリt−ブトキシヒドロシラン、ビニ
ルトリクロルシラン、ビニルトリブロムシラン、ビニル
トリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニ
ルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリt−ブトキシ
シラン、トリフルオロプロピルトリクロルシラン、トリ
フルオロプロピルトリブロムシラン、トリフルオロプロ
ピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエ
トキシシラン、トリフルオロプロピルトリイソプロポキ
シシラン、トリフルオロプロピルトリt−ブトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリ
シドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−グリ
シドキシプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−メタク
リロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタク
リロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタク
リロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロ
キシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メタクリ
ロキシプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−アミノプ
ロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメ
チルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキ
シシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ
−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミ
ノプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−メルカプトプ
ロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピ
ルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルト
リメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキ
シシラン、γ−メルカプトプロピルトリイソプロポキシ
シラン、γ−メルカプトプロピルトリt−ブトキシシラ
ン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルト
リメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキ
シル)エチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0061】本発明における親水性層の無機親水性マト
リックス形成に用いる一般式(III)で示されるシラン
化合物とともに、Ti、Zn、Sn、Zr、Al等のゾ
ル−ゲル変換の際に樹脂に結合して成膜可能な金属化合
物を併用することができる。用いられる金属化合物とし
て、例えば、Ti(OR084(R08はメチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基
等)、TiCl4、Ti(CH3COCHCOCH3)
2(OR08)2、Zn(OR08)2、Zn(CH3COCHC
OCH3)2、Sn(OR084、Sn(CH3COCHC
OCH34、Sn(OCOR084、SnCl4、Zr
(OR084、Zr(CH3COCHCOCH34、Al
(OR083、Al(CH3COCHCOCH33等が挙
げられる。
【0062】更に一般式(III)で示されるシラン化合
物、更には併用する前記の金属化合物の加水分解及び重
縮合反応を促進するために、酸性触媒又は塩基性触媒を
併用することが好ましい。触媒は、酸あるいは塩基性化
合物をそのままか、あるいは水またはアルコールなどの
溶媒に溶解させた状態のもの(以下、それぞれ酸性触
媒、塩基性触媒という)を用いる。そのときの濃度につ
いては特に限定しないが、濃度が高い場合は加水分解・
重縮合速度が速くなる傾向がある。但し、濃度の高い塩
基性触媒を用いると、ゾル溶液中で沈殿物が生成する場
合があるため、塩基性触媒の程度は1N(水溶液での濃
度換算)以下が望ましい。
【0063】酸性触媒あるいは塩基性触媒の種類は特に
限定されないが、具体的には、酸性触媒としては、塩酸
などのハロゲン化水素、硝酸、硫酸、亜硫酸、硫化水
素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、蟻酸や酢酸などのカ
ルボン酸、そのRCOOHで表される構造式のRを他元
素または置換基によって置換した置換カルボン酸、ベン
ゼンスルホン酸などのスルホン酸など、塩基性触媒とし
ては、アンモニア水などのアンモニア性塩基、エチルア
ミンやアニリンなどのアミン類などが挙げられる。
【0064】上記のゾル−ゲル法のさらに詳細は、作花
済夫「ゾル−ゲル法の科学」(株)アグネ承風社(刊)
(1988年)、平島碩「最新ゾル−ゲル法による機能
性薄膜作成技術」総合技術センター(刊)(1992
年)等の成書等に詳細に記述されている。
【0065】本発明における上記有機又は無機親水性マ
トリックスの親水性層中には、上記以外にも、親水性の
程度の制御、親水性層の物理的強度の向上、層を構成す
る組成物相互の分散性の向上、塗布性の向上印刷適性の
向上などの種々の目的の化合物を添加することができ
る。例えば、可塑剤、顔料、色素、界面活性剤、親水性
の粒子等が挙げられる。
【0066】親水性の粒子としては、特に限定されない
が、好ましくはシリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化マ
グネシウム、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウム
等が挙げられる。これらは、親水性を助長したり、皮膜
の強化などに用いることができる。より好ましくは、シ
リカ、アルミナ、酸化チタン又はこれらの混合物であ
る。本発明における上記有機又は無機親水性マトリック
スの親水性層においては、特に、シリカ、アルミナ、酸
化チタン等の金属酸化物粒子を含有することが好ましい
態様である。
【0067】シリカは、表面に多くの水酸基を持ち、内
部はシロキサン結合(−Si−O−Si−)を構成して
いる。本発明において、好ましく用いることができるシ
リカとしては、コロイダルシリカとも称される、水もし
くは、極性溶媒中に分散した粒子径1〜100nmのシ
リカ超微粒子である。具体的には、加賀美敏郎、林瑛監
修「高純度シリカの応用技術」第3巻、(株)シーエム
シー(1991年)に記載されている。
【0068】又、好ましく用いることができるアルミナ
としては、5〜200nmのコロイドの大きさをもつア
ルミナ水和物(ベーマイト系)で、水中の陰イオン(例
えば、フッ素イオン、塩素イオン等のハロゲン原子イオ
ン、酢酸イオン等のカルボン酸アニオン等)を安定剤と
して分散されたものである。又、好ましく用いることが
できる酸化チタンとしては、平均一次粒径が50〜50
0nmのアナターゼ型あるいはルチル型の酸化チタン
を、必要に応じ、分散剤を用い、水もしくは、極性溶媒
中に分散したものである。
【0069】本発明において、好ましく用いることがで
きる親水性の粒子の平均一次粒径は、1〜5000nm
であり、より好ましくは、10〜1000nmである。
本発明における親水性層中において、これらの親水性の
粒子は、1種単独で用いても、2種以上を併用して用い
ても良い。その使用量は親水性層の総固形分重量に対し
て、5質量%〜90質量%、好ましくは10質量%〜7
0質量%、より好ましくは20質量%〜60質量%であ
る。
【0070】本発明に用いる上記の有機または無機親水
性マトリックスの親水性層は、例えば、水や、メタノー
ル、エタノール等の極性溶剤等の適当な溶剤の単独又は
これらの混合溶媒に溶解あるいは分散して、支持体上に
塗布、乾燥、硬化される。その塗布重量は乾燥後の重量
で、0.1〜5g/m2が適当であり、好ましくは0.3
〜3g/m2、さらに好ましくは0.5〜2g/m2であ
る。親水性層の乾燥後の塗布重量は、0.1g/m2より
低すぎると、湿し水等の親水性液体の保持性の低下や、
膜強度の低下など好ましくない結果を与え、高すぎる
と、膜が脆くなり、耐刷性の低下などの好ましくない結
果を与える。
【0071】本発明における親水性層に用いる親水性表
面を有する金属又は金属化合物の薄膜としては、表面親
水性を有するものであれば特に制限はないが、例えば、
アルミニウム、クロム、マンガン、スズ、テルル、チタ
ン、鉄、コバルト、ニッケル、インジウム、ビスマス、
ジルコニウム、亜鉛、鉛、バナジウム、ケイ素、銅、銀
の金属および合金やそれぞれの金属に対応する金属酸化
物、金属炭化物、金属窒化物、金属ホウ化物、金属硫化
物、金属ハロゲン化物が挙げられる。実質上、上記金属
及び金属化合物の薄膜表面は、高酸化の状態にあり、親
水性の点において、有利に働く。このため、インジウム
スズ酸化物、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化ケ
イ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウ
ム等の金属酸化物の薄膜が、本発明における親水性層と
して好適に用いることができる。
【0072】また、本発明における親水性層に用いる親
水性表面を有する金属又は金属化合物の薄膜形成には、
真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法など
のPVD法(物理蒸着法)あるいはCVD法(化学蒸着
法)などが適宜用いられる。例えば真空蒸着法において
は、加熱方式としては、抵抗加熱、高周誘導加熱、電子
ビーム加熱等を用いることができる。また、反応性ガス
として、酸素や窒素等を導入したり、オゾン添加、イオ
ンアシスト等の手段を用いた反応性蒸着を用いても良
い。
【0073】スパッタ法を用いる場合は、ターゲット材
料として純金属または目的とする金属化合物を用いるこ
とができ、純金属を用いる時は反応性ガスとして酸素や
窒素等を導入する。スパッタ電源としては、直流電源、
パルス型直流電源、高周波電源を用いることができる。
【0074】上記の方法による薄膜形成に先だって、感
熱層との密着性を向上させるため、基体加熱等による基
体脱ガスや感熱層表面への真空グロー処理を施してもよ
い。例えば、真空グロー処理においては、1〜10mt
orr程度の圧力下で基体に高周波を印加しグロー放電
を形成させ、発生したプラズマによる基板処理を行うこ
とができる。また、印加電圧を上げたり、酸素や窒素な
どの反応性ガスを導入することにより効果を向上させる
ことも可能である。
【0075】本発明における親水性層に用いる親水性表
面を有する金属又は金属化合物の薄膜の厚みは、10n
m〜3000nmが好ましい。さらに好ましくは20〜
1500nmである。薄すぎると、湿し水等の親水性液
体の保持性の低下や、膜強度の低下など好ましくない結
果を与え、厚すぎると、薄膜形成に時間を要するため製
造適性上好ましくない。また、本発明における親水性層
は、同じ組成あるいは異なる組成の親水性層を重層する
ことにより形成しても良い。
【0076】また、本発明においては、親水性層の表面
親水性の保護を目的とし、親水性層上に親水性保護層を
設けても良い。親水性保護層としては、水あるいは湿し
水により容易に除去されることが好ましく、例えば、ポ
リビニルアルコール(ケン化度60%以上のポリビニル
アセテート)、カルボキシ変性ポリビニルアルコール等
の変性ポリビニルアルコール、澱粉およびその誘導体、
カルボキシメチルセルロースおよびその塩、ヒドロキシ
エチルセルロースのようなセルロース誘導体、カゼイ
ン、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、
酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、スチレン−マレイン
酸共重合体、ポリアクリル酸およびその塩、ポリメタク
リル酸およびその塩、ポリエチレングリコール、ポリエ
チレンイミン等の水溶性ポリマー溶液を塗布、乾燥する
ことにより設けることができる。この場合の親水性保護
層の乾燥重量は、0.01〜5g/m2が好ましく、より
好ましくは、0.05〜2g/m2である。
【0077】(疎油性層)本発明における疎油性層はイ
ンク反発性の表面を有する層である。従来公知のインク
反発性表面を有するものが使用できる。従来公知のイン
ク反発性表面を有する層に用いる化合物としては、低表
面エネルギーを有する物質であるフッ素あるいはシリコ
ーン化合物が良く知られている。特にシリコーンゴム
(シリコーンエラストマー)が水なし平版印刷版のイン
ク反発性表面を有する層として好適に用いられる。シリ
コーンゴムは大別して、縮合型シリコーンゴム、付
加型シリコーンゴム、放射線硬化型シリコーンゴムの
3種に分類されるが、本発明における水なし版の第2層
のシリコーンゴムとしては、これら全ての従来公知の各
種のシリコーンゴムが使用できる。縮合型シリコーンゴ
ム層は、下記組成物Aを硬化して形成した皮膜である。
【0078】 組成物A (a)ジオルガノポリシロキサン 100質量部 (b)縮合型架橋剤 3〜70質量部 (c)触媒 0.01〜40質量部 前記成分(a)のジオルガノポリシロキサンは、下記一
般式(IV)で示されるような繰り返し単位を有するポリ
マーで、R11およびR12は炭素数1〜10アルキル基、
ビニル基、アリール基であり、またその他の適当な置換
基を有していても良い。一般的にはR11およびR12の6
0%以上がメチル基、あるいはハロゲン化ビニル基、ハ
ロゲン化フェニル基などであるものが好ましい。
【0079】
【化8】一般式(IV)
【0080】このようなジオルガノポリシロキサンは両
末端に水酸基を有するものを用いるのが好ましい。ま
た、前記成分(a)は、数平均分子量が3,000〜1
00,000であり、より好ましくは、10,000〜7
0,000である。成分(b)は縮合型のものであれば
いずれであってもよいが、次の一般式(V)で示される
ようなものが好ましい。
【0081】一般式(IV) R11a・Si・Xb (a
+b=4、bは2以上) ここでR11は先に説明したR11と同じ意味であり、Xは
次に示すような置換基である。 ・Cl、Br、Iなどのハロゲン ・HまたはOH、OCOR13、OR13、−O−N=C
(R14)(R15)、−N(R14)(R15) などの有機置換
基。 ここでR13は炭素数1〜10のアルキル基および炭素数
6〜20のアリール基、R14、R15は炭素数1〜10の
アルキル基を示す。
【0082】成分(c)は錫、亜鉛、鉛、カルシウム、
マンガンなどの金属カルボン酸塩、例えば、ラウリン酸
ジブチル錫、オクチル酸鉛、ナフテン酸鉛など、あるい
は塩化白金酸等のような公知の触媒があげられる。ま
た、付加型シリコーンゴム層は、下記組成物Bを硬化し
て形成した皮膜である。
【0083】 組成物B (d)付加反応性官能基を有するジオルガノポリシロキサン 100質量部 (e)オルガノハイドロジェンポリシロキサン 0.1〜25質量部 (f)付加触媒 0.00001〜1質量部 上記成分(d)の付加反応性官能基を有するジオルガノ
ポリシロキサンとは、1分子中にケイ素原子に直接結合
したアルケニル基(より好ましくはビニル基)を少なく
とも2個有するオルガノポリシロキサンで、アルケニル
基は分子量末端、中間いずれにあってもよく、アルケニ
ル基以外の有機基としては、置換もしくは非置換の炭素
数1〜10のアルキル基、アリール基である。また、成
分(d)には水酸基を微量有することも任意である。
【0084】成分(d)は、数平均分子量が3,000
〜100,000であり、より好ましくは、10,000
〜70,000である。成分(e)としては、両末端水
素基のポリジメチルシロキサン、α、ω−ジメチルポリ
シロキサン、両末端メチル基の(メチルシロキサン)
(ジメチルシロキサン)共重合体、環状ポリメチルシロ
キサン、両末端トリメチルシリル基のポリメチルシロキ
サン、両末端トリメチルシリル基のジメチルシロキサ
ン)(メチルシロキサン)共重合体などが例示される。
成分(f)としては、公知のものの中から任意に選ばれ
るが、特に白金系の化合物が望ましく、白金単体、塩化
白金、塩化白金酸、オレフィン配位白金などが例示され
る。これらの組成物の硬化速度を制御する目的で、テト
ラシクロ(メチルビニル)シロキサンなどのビニル基含
有のオルガノポリシロキサン、炭素−炭素三重結合含有
のアルコ−ル、アセトン、メチルエチルケトン、メタノ
−ル、エタノ−ル、プロピレングリコ−ルモノメチルエ
−テルなどの架橋抑制剤を添加することも可能である。
【0085】また、放射線硬化型シリコーンゴム層は、
放射線照射により重合可能な官能基を有するシリコーン
ベースポリマーの放射線による架橋反応により硬化して
形成した皮膜であり、ベースポリマーを開始剤と共に溶
解した液をコーティング液とし、塗布後に、全面放射線
露光することで形成される。通常、アクリル系の官能基
を有するベースポリマーを使用し紫外線照射により架橋
を生成する。これらのシリコーンゴムについては、「R
&DレポートNo.22 シリコーンの最新応用技術」
(CMC発行、1982年)、特公昭56−2315
0、特開平3−15553、特公平5−1934号公報
などに詳しく記載されている。なお、上記疎油性層には
必要に応じて、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタンな
どの無機物の微粉末、シランカップリング剤、チタネー
ト系カップリング剤やアルミニウム系カップリング剤な
どの接着助剤や光重合開始剤を添加しても良い。
【0086】本発明に用いる上記のシリコーンゴム層の
組成物は、例えば、石油系溶剤、アイソパーE、アイソ
パーG、アイソパーH(エッソ化学製)、ヘキサン、ヘ
プタン、トルエン、キシレン等の適当な溶媒の単独又は
これらの適当に組み合わせた混合溶媒に溶解して、基板
上に塗布し、乾燥、硬化して設けても良い。本発明にお
けるシリコーンゴム層は、乾燥後の塗布重量が小さいと
インキ反撥性が低下し、傷が入りやすい等の問題点があ
り、乾燥後の塗布重量が大きい場合、現像性が悪くなる
という点から、乾燥後の塗布重量としては0.5〜5g
/m2が好ましく、より好ましくは1〜3g/m2であ
る。
【0087】また、シリコーンゴム層の上に更に種々の
シリコーンゴム層を塗工しても良い。更に、シリコーン
ゴム層の表面保護のために、シリコーンゴム層上に透明
なフィルム、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リ塩化ビニル、ポリ塩化ビリニデン、ポリビニルアルコ
ール、ポリエチレンテレフタレート、セロファン等をラ
ミネートしたり、ポリマーのコーティングを施しても良
い。これらのフィルムは延伸して用いても良い。また、
表面にマット加工を施しても良いが、マット加工の無い
ものの方が本発明では好ましい。
【0088】(レーザー露光)本発明においては、記録
に用いられるレーザー光エネルギーが、本発明における
平版印刷原版の感熱層において吸収されて熱エネルギー
に変換され、これに起因して、感熱層の一部もしくは全
体の燃焼、融解、分解、気化、爆発等の化学反応や物理
変化により、結果として感熱層とその上層間の密着性が
低下する。
【0089】本発明においては平版印刷原版を露光する
のにレーザー光が使用される。使用されるレーザーは、
感熱層の上層である親水性層または疎油性層が除去され
るのに十分な密着力の低下が起きるのに必要な露光量を
与えるものであれば特に制限はなく、Arレーザー、炭
酸ガスレーザーのごときガスレーザー、YAGレーザー
のような固体レーザー、そして半導体レーザーなどが使
用できる。通常出力が50mWクラス以上のレーザーが
必要となる。保守性、価格などの実用的な面からは、半
導体レーザーおよび半導体励起の固体レーザー(YAG
レーザーなど)が好適に使用される。これらのレーザー
の記録波長は赤外線の波長領域であり、700nmから
1200nmの発振波長を利用することが多い。また、
親水性層または疎油性層の表面保護のためのフィルムを
設ける場合は、使用するレーザー光に対して透過性のフ
ィルムであれば、そのまま露光しても良いし、剥がした
後に露光しても良い。
【0090】(現像処理)上記の方法で露光された本発
明における平版印刷原版は、下層に対する密着性の低下
したレーザー露光部の親水性層または疎油性層を除去す
るために現像処理される。本発明においては、この現像
処理が、レーザーによる画像露光後、120秒以内に実
施されることが要件である。本発明における現像処理
は、例えば、露光された平版印刷原版の表面に圧力を加
えながら、処理液の存在下又は非存在下において、布、
ゴムブレード、パッドやブラシ等の擦り部材により版面
を擦ることにより実施される。これによりレーザー画像
部の親水性層または疎油性層が除かれ、その部分がイン
キ受容部となる。
【0091】レーザー露光部の親水性層または疎油性層
の除去性やそれらのカスの版面からの洗浄性を考慮する
と、処理液の非存在下で、擦り処理を実施した後、処理
液の存在下で、さらに、擦り処理をすることも好まし
い。本発明において使用される処理液としては、平版印
刷版の処理液として公知のものが使用できる。公知のも
のとしては、例えば、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、ヘ
プタン、”アイソパーE、H、G”(エッソ化学(株)
製)あるいはガソリン、灯油等)、芳香族炭化水素類
(トルエン、キシレン等)、あるいはハロゲン化炭化水
素(トリクレン等)や、上記の炭化水素系溶剤に、下記
の極性溶媒を添加したものや、極性溶媒そのものが挙げ
られる。
【0092】極性溶剤としては、例えば、 ・アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノー
ル、イソプロパノール、ベンジルアルコール、エチレン
グリコールモノメチルエーテル、2−エトキシエタノー
ル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチ
レングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレング
リコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモ
ノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチル
エーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテ
ル、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコ
ール、エチレングリコール、プロピレングリコール等) ・ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等) ・エステル類(酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸ブチル、
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、
ジエチレングリコールアセテート、ジエチルフタレート
等) ・その他(トリエチルホスフェート、トリクレジルホス
フェート等)が挙げられる。また、上記有機溶剤系現像
液に水を添加したり、上記有機溶剤を界面活性剤等を用
いて水に可溶化したものや、更にその上にアルカリ剤
(例えば、炭酸ナトリウム、ジエタノールアミン、水酸
化ナトリウム等)を添加したものや単に水(水道水、純
水、蒸留水等)や界面活性剤の水溶液、印刷で使用され
る湿し水等が挙げられる。
【0093】これらのなかでも、安全性および引火性等
の観点から、水または水を主成分とする水溶液が好まし
く、溶剤の濃度は40質量%未満が望ましい。特に、好
ましいのは、界面活性剤(アニオン系、ノニオン系、カ
チオン系等)の水溶液である。処理液の温度は、任意の
温度で使用できるが、好ましくは10℃〜50℃であ
る。
【0094】以上のようなレーザー露光や擦り現像処理
は、日本特許2938398号、日本特許264808
1号、米国特許第5755158号、欧州特許第887
204A号、英国特許第2297719A号等に記載の
イメージング用レーザーユニットや版面洗浄ユニットを
搭載した印刷機(CTC型印刷機)において、平版印刷
原版を印刷機シリンダー上に取り付けた後実施すること
が可能である。また、擦り現像処理及びそれに続く水
洗、乾燥処理は、特開平2−220061号公報に記載
されているような自動処理機で行うこともできる。ま
た、以上のように現像処理された刷版を積み重ねて保管
する場合には、刷版を保護するために合紙を挿入し挟ん
でおくことが好ましい。
【0095】
【実施例】本発明を実施例によりさらに詳細に説明す
る。ただし、本発明は下記の実施例に限定されるもので
はない。 実施例1 [支持体の作製]両面にコロナ処理を施した厚さ180μ
mのポリエチレンテレフタレートの片面に、下記の塗布
液を塗布、加熱乾燥(180℃、30秒)し、乾燥塗布
量0.2g/m2の中間層を形成した。 (中間層塗布液) ・ポリエステル系ラテックス(ペスレジンA−520、高松油脂(株)製、固形 分30質量%) 8g ・メラミン化合物(スミテックスレジンM−3、住友化学工業(株)製、有効成 分濃度:80質量%) 6g ・コロイダルシリカ(スノーテックスC、日産化学(株)製) 4.8g ・界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、エマルゲン91 1 花王(株)製) 0.7g ・ポリスチレン(Nipol UFN1008、日本ゼオン(株)製、固形分2 0質量%) 0.04g ・蒸留水 81g 次いで、中間層と反対の面に、下記の塗布液を塗布、加
熱乾燥(180℃、30秒)し、乾燥塗布量0.2g/
2のバック層を形成した。
【0096】 (バック層塗布液) ・アクリル樹脂水分散物(ジュリマーET−410、日本純薬(株)製、固形分 20質量%) 10g ・酸化スズ−酸化アンチモン水分散物(平均粒径:0.1μm、17質量%) 90g ・メラミン化合物(スミテックスレジンM−3、住友化学工業(株)製、有効成 分濃度:80質量%) 0.2g ・アルキルスルホン酸ナトリウム塩水溶液(サンデッドBL、三洋化成工業(株 )製、44質量%) 0.6g ・蒸留水 45g さらに、バック層の上に、下記の塗布液を塗布、加熱乾
燥(170℃、30秒)し、乾燥塗布量0.05g/m2
の保護層を形成し支持体を作製した。
【0097】 (保護層塗布液) ・ポリオレフィン系ラテックス(ケミパールS−120、三井化学(株)製、固 形分27質量%) 6.2g ・コロイダルシリカ(スノーテックスC、日産化学(株)製) 1.2g ・アルキルスルホン酸ナトリウム塩水溶液(サンデッドBL、三洋化成工業(株 )製、44質量%) 0.6g ・エポキシ化合物(デナコールEX−614B、ナガセ化成(株)製、有効成分 濃度:100質量%) 0.6g ・蒸留水 90g
【0098】[感熱層の形成]下記の感熱層塗布液を、
上記中間層上に乾燥塗布量1.0g/m2となるように塗
布し、加熱乾燥(80℃、2分)して感熱層を形成し
た。
【0099】 (感熱層塗布液1) ・ポリウレタン樹脂(2,4−トリレンジイソシアネート4モル/1,3−ブチレ ングリコール2モル/2,2’−ジメチロールプロパン酸1モル/1,2−テトラ プロピレングリコール1モルの反応生成物) 3.0g ・赤外線吸収染料(前記IR−6) 1.0g ・フッ素系界面活性剤メガファックF177(大日本インキ化学工業(株)製) 0.005g ・プロピレングリコールモノメチルエーテル 40g ・メチルエチルケトン 60g
【0100】[疎油性層の形成]下記の疎油性層塗布液を
前記感熱層上に塗布し、加熱、乾燥(110℃、1分)
することにより、乾燥塗布量2.0g/m2の付加型シリ
コーンゴム層を形成し、水なし平版印刷原版を得た。
【0101】 (疎油性層塗布液) ・α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン(重合度1500) 9.0g ・(CH3)3SiO(SiH(CH3)O)8−Si(CH3)3 0.2g ・触媒CAT−2493(信越化学工業(株)製) 0.1g ・架橋抑制剤[HC≡C−C(CH3)2−O−Si(CH3)3] 0.2g ・アイソパーE(エクソン化学(株)製) 120g
【0102】得られた水なし平版印刷原版に、Pres
stek社製プレートセッターPEARLsetter
(波長830nm、ビ−ム径28μm(1/e2)、最
大出力750mWの半導体レーザー搭載)にて、175
lpi(1270dpi)の網点画像形成を行った。次
いで、画像露光終了後、15秒以内に、現像処理を行っ
た。現像処理は、下記組成の処理液1を含ませた現像用
パッドで版面を擦ることにより行い、レーザー露光部の
シリコーンゴム層を除去した。その結果、網点面積率2
%から98%までが再現されたシャープなエッジのシリ
コーン画像を有する水なし平版印刷版が形成された。
【0103】 (処理液1) ・ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(レオドールTW−O106、 花王(株)製) 5g ・水垢防止剤BK2(富士写真フイルム(株)製) 2g ・水 993g また、このようにして形成された水なし平版印刷版を用
いて印刷(印刷機:三菱重工製ダイヤIF2、インキ:
東洋インキ(株)製アクアレスエコーニューM墨、イン
キ着けローラー冷却:20℃)を行ったところ、現像不
良による画像部の抜けのない良好な印刷物が得られた。
【0104】実施例2 実施例1の水なし平版印刷原版をロール形態に加工し、
Heidelberg社製CTC型4色印刷機クイック
マスターDI46−4plusに取り付け、標準の条件
で、自動的にレーザー画像露光及び現像処理(処理液に
は、クイックマスター用の純正洗浄液を使用)を実施
し、印刷(インキには、東洋インキ(株)製アクアレス
エコーニューMの墨、藍、紅、黄を各々使用)を行っ
た。このとき、現像処理は、画像露光後15秒以内に開
始された。その結果、現像不良による画像部の抜けのな
い良好なフルカラーの印刷物が得られた。
【0105】実施例3 以下の感熱層塗布液に変える以外は、実施例1と同様に
して、水なし平版印刷原版を形成した。 (感熱層塗布液2) ・ポリウレタン樹脂 クリスボン3006LV(大日本インキ化学工業(株)製 ポリウレタン、固形分約30質量%) 4.0g ・ヒドロキシエチルメタクリレート(20質量%)とメチルメタクリレート(8 0質量%)の共重合体 0.8g ・チタボンド−50(日本曹達(株)製チタンジイソプロポキサイドビス(2, 4−ペンタジオネート)の約75%イソプロパノール溶液) 1.4g ・赤外線吸収染料(日本化薬(株)製KAYASORB IR−820B) 1.0g ・フッ素系界面活性剤 メガファックF177(大日本インキ化学工業(株)製) 0.005g ・プロピレングリコールモノメチルエーテル 40g ・メチルエチルケトン 60g
【0106】次いで、実施例1と同様に、画像露光及び
処理を行ったところ、網点面積率2%から98%までが
再現されたシャープなエッジのシリコーン画像を有する
水なし平版印刷版が形成された。また、形成された水な
し平版印刷版を用いて実施例1と同様に、印刷を行った
ところ、現像不良による画像部の抜けのない良好な印刷
物が得られた。
【0107】実施例4 水なし平版印刷原版として、実施例3の水なし平版印刷
原版を用いる以外は、実施例2と同様に、画像露光、現
像処理、印刷を行ったところ、実施例2と同様の結果が
得られた。
【0108】比較例1 実施例1の感熱層塗布液1において、赤外線吸収染料
を、下記のカーボンブラック分散液5.1gに変える以
外は、実施例1と同様にして水なし平版印刷原版を形成
した。次いで、実施例1と同様に、画像露光及び処理を
行ったところ、網点面積率4%から95%までしか再現
できず、シリコーン画像のエッジ部は、シャープではな
く、フリンジの残る形状であった。また、形成された水
なし平版印刷版を用いて実施例1と同様に、印刷を行っ
たところ、現像不良による画像部の抜けが生じたり、網
点形状バラツキにより網点濃度が不均一になり、良好な
印刷物を得ることができなかった。
【0109】 (カーボンブラック分散液) ・カーボンブラック(MA11、三菱化学(株)製) 15g ・分散剤(ソルスパースS24000R、ICI社製) 2g ・プロピレングリコールモノメチルエーテル 30g ・メチルエチルケトン 30g
【0110】比較例2比較例1の水なし平版印刷原版を
ロール形態に加工し、実施例2と同様にして、Heid
elberg社製CTC型4色印刷機クイックマスター
DI46−4plusに取り付け、画像露光、現像処
理、印刷を行ったところ、現像不良による画像部の抜け
が生じたり、網点形状バラツキにより網点濃度が不均一
になり、良好なフルカラーの印刷物を得ることができな
かった。
【0111】実施例5〜8 画像露光後、現像処理を開始するまでの時間を、各々、
30秒、60秒、90秒、120秒に変える以外は、実
施例2と同様にして、画像露光、現像処理、印刷を行っ
たところ、実施例2と同様の結果が得られた。
【0112】比較例3〜6 画像露光後、現像処理を開始するまでの時間を、各々、
30秒、60秒、90秒、120秒に変える以外は、比
較例2と同様にして、画像露光、現像処理、印刷を行っ
たところ、現像処理開始までの時間が長いほど、現像不
良による画像部の抜けや網点形状バラツキによる網点濃
度の不均一さは、良化するものの、実施例2と同様の良
好な印刷物を得ることができなかった。
【0113】実施例9 シリコーンゴム層の代わりに、下記の親水性層を形成す
る以外は、実施例1と全く同様にして水あり平版印刷原
版を形成した。 (親水性層の形成)実施例1の感熱層の上に、下記の塗
布液を塗布し、加熱乾燥(100℃、10分)すること
により、乾燥重量2g/m2の親水性層を形成した。
【0114】 (親水性層塗布液) ・酸化チタン20%/ポリビニルアルコール2%水分散液(酸化チタン(和光純 薬(株)製、ルチル型、平均粒径200nm)/PVA117(クラレ(株)製 )=10/1重量比) 20g ・メタノールシリカ(日産化学製:10nm〜20nmのシリカ粒子を30質量 %含有する メタノール溶液からなるコロイド) 5g ・ゾル−ゲル調製液(下記組成) 4.5g ・ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(ノニポール100、三洋化成工 業(株)製) 0.025g ・水 15g ・メタノール 5g
【0115】(ゾル−ゲル調製液の作成)下記組成の液
を室温において、1時間熟成してゾル−ゲル調製液を作
成した。 ・テトラエトキシシラン 8.5g ・メタノール 1.8g ・水 15.0g ・リン酸 0.015g
【0116】次いで、実施例1と同様に、画像露光及び
処理を行ったところ、網点面積率2%から98%までが
再現されたシャープなエッジの親水性層の画像を有する
水あり平版印刷版が形成された。また、形成された水あ
り平版印刷版を用いて印刷(印刷機:ハイデルベルグ製
SOR−M、湿し水:EU−3(富士写真フイルム
(株)製)を1体積%、イソプロパノールを10体積%
添加した水溶液、インキ:大日本インキ化学工業(株)
製GEOS−G墨)を行ったところ、現像不良による画
像部の抜けのない良好な印刷物が得られた。
【0117】実施例10 実施例9の水あり平版印刷原版をロール形態に加工して
取り付け、下記組成のエマルジョンインクを用いて単色
印刷を行った以外は、実施例2と同様にして、画像露
光、現像処理、印刷を行ったところ、現像不良による画
像部の抜けのない良好な印刷物が得られた。
【0118】 (エマルジョンインク組成) [エマルジョンインクの調製] (1)ワニスの調製(以下、部は、質量部を示す。) ワニスA :マレイン化石油樹脂 (ネオポリマー120:日本石油(株)製) 47部 スピンドル油 53部 ゲルワニスB :ロジン変性フェノール樹脂 (タマノール354:荒川化学工業(株)製) 34部 マシン油 31部 スピンドル油 31部 アルミニウムステアレート 4部 ワニスC :ギルソナイト 25部 マシン油 75部 (2)油性インク成分の調製: カーボンブラッック 14部 炭酸カルシウム(白艶華DD:白石工業(株)製) 5部 ワニスA 27部 ゲルワニスB 7部 ワニスC 11部 アマニ油 4部 マシン油 6部 スピンドル油 24部 シアニンブルー 1部 (3)親水性成分の調製: 精製水 5部 エチレングリコール 25部 プロピレングリコール 35部 グリセリン 34部 界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、リポノックスNC E:ライオン油脂(株)製) 1部 (2)項の油性インク成分100質量部と(3)項の親
水性成分70質量部、を攪拌混合してW/O型エマルジ
ョンインクを調製した。
【0119】実施例11 下記の塗布液を用いて縮合型シリコーンゴム層の形成を
行う以外は、実施例1と全く同様にして水なし平版印刷
原版を形成した。次いで、得られた水なし平版印刷原版
をロール形態に加工し、実施例2と同様に、画像露光、
現像処理、印刷を行ったところ、実施例2と同様の結果
が得られた。 (シリコーンゴム層塗布液組成) ・両末端に水酸基を有するジメチルポリシロキサン(重合度700) 9.00g ・メチルトリアセトキシシラン 0.3g ・ジブチル錫ジオクタエート 0.2g ・アイソパーG(エッソ化学(株)製) 160g
【0120】
【発明の効果】本発明のレーザー光によるヒートモード
記録可能な平版印刷原版の製版方法によれば、平版印刷
版原版をレーザー光による画像露光後、短時間の経過の
内に現像処理を施しても、現像性の劣化がなく、平版印
刷原版を製版することができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、少なくとも一種の光熱変
    換剤及びバインダーポリマーを含有する感熱層を有し、
    該感熱層上に親水性層または疎油性層を有してなる平版
    印刷原版を画像様にレーザー露光した後、120秒以内
    に現像処理を施すことにより、レーザー露光部の親水性
    層または疎油性層を除去して平版印刷版を製版する方法
    において、前記光熱変換剤が赤外線吸収染料であること
    を特徴とする平版印刷版の製版方法。
JP2001152128A 2001-05-22 2001-05-22 平版印刷版の製版方法 Pending JP2002351064A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001152128A JP2002351064A (ja) 2001-05-22 2001-05-22 平版印刷版の製版方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001152128A JP2002351064A (ja) 2001-05-22 2001-05-22 平版印刷版の製版方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002351064A true JP2002351064A (ja) 2002-12-04

Family

ID=18996852

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001152128A Pending JP2002351064A (ja) 2001-05-22 2001-05-22 平版印刷版の製版方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002351064A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007086695A (ja) * 2005-09-26 2007-04-05 Fujifilm Corp 赤外線感光性平版印刷版原版

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007086695A (ja) * 2005-09-26 2007-04-05 Fujifilm Corp 赤外線感光性平版印刷版原版
JP4593419B2 (ja) * 2005-09-26 2010-12-08 富士フイルム株式会社 赤外線感光性平版印刷版原版

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6632589B2 (en) Lithographic printing process
US6706463B2 (en) Method for making lithographic printing plate
JP4307786B2 (ja) 平版印刷版の作製方法
US6500599B1 (en) Lithographic printing plate precursor and plate-making method of lithographic printing plate using the same
JP4116755B2 (ja) 平版印刷方法
JP2001315452A (ja) 平版印刷用原板
JP2002351064A (ja) 平版印刷版の製版方法
JP4116759B2 (ja) 平版印刷方法
JP4132628B2 (ja) 平版印刷方法
JP2002240452A (ja) 平版印刷版用原版
JP2002287335A (ja) 平版印刷版の形成方法
JP2001030645A (ja) 平版印刷用原板及び平版印刷方法
JP2001047755A (ja) 平版印刷用原板及び平版印刷方法
JP2002226597A (ja) ポリマー微粒子の製造方法および平版印刷用原板
JP4991682B2 (ja) 平版印刷版の作製方法
JP2002341518A (ja) 平版印刷原版並びに平版印刷版の製版方法
JP2001242611A (ja) 平版印刷版の製版方法
JP2000355178A (ja) 平版印刷用原板
JP2001281852A (ja) 平版印刷用原板
JP2001105759A (ja) 平版印刷版及びネガ型平版印刷用原板。
JP2002120467A (ja) 平版印刷版用原版
JP2002006504A (ja) 平版印刷用原板
JP2001232961A (ja) 平版印刷版用原版
JP2002019319A (ja) 平版印刷方法
JP2002144693A (ja) 平版印刷方法