JP2002350432A - 血液採取用毛細管および検査用血液の採取方法 - Google Patents

血液採取用毛細管および検査用血液の採取方法

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JP2002350432A
JP2002350432A JP2001157227A JP2001157227A JP2002350432A JP 2002350432 A JP2002350432 A JP 2002350432A JP 2001157227 A JP2001157227 A JP 2001157227A JP 2001157227 A JP2001157227 A JP 2001157227A JP 2002350432 A JP2002350432 A JP 2002350432A
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blood
capillary
stirrer
opening
porous filter
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Hiroshi Takagi
宏 高木
Kiyoshi Kidouchi
清 木戸内
Masao Miura
征男 三浦
Katsuichi Nagayama
勝一 永山
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Original Assignee
Mitsubishi Pencil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 血液採取用毛細管の材質を変更することで、
破損の確率を低下させる。また、ガス分析に必要な撹拌
作業後の安全性を高める。 【構成】 熱可塑性樹脂を用い、これに低温プラズマ処
理を毛管力増のため施した血液採取用毛細管とする。採
取した資料の量を識別のための多孔質体を所定の箇所に
封入する。内容量、外形寸法を検討し、既存の分析機器
によってもビリルビン値測定と溶存ガス濃度測定とが行
えるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、検査や分析に用いる血
液を採取するための毛細管に関する。その毛細管は、血
液中の成分測定分析(例えばビリルビン値の測定)のほ
か、血液中の溶存ガス濃度の分析をも行える毛細管であ
る。
【0002】
【先行技術】新生児の核黄疸の診断や、呼吸障害や心不
全によって生じる低酸素血症、高炭酸ガス血症および低
酸素症の診断には、血液成分の測定分析が必要である。
血液成分の測定分析は、血漿成分の分析と、血液中の溶
存ガスの濃度分析とに大別される。前者は、採取した血
液を遠心分離器(12000rpmにて5分間の遠心分
離)にて血漿と血清とに分離し、血漿部分を光分析す
る。後者は、血液の中にとけ込んでいる酸素、炭酸ガ
ス、炭酸水素イオン濃度および水素イオン濃度を、溶存
ガス濃度分析器にて測定する。
【0003】さて、それら測定分析のために血液を採取
するための毛細管としては、ガラス製の毛細管が広く採
用されてきた。材質にガラスが採用されてきた理由は、
精度の高い測定分析を行うための素早い採取、測定分析
において用いる光の透過性能、寸法精度、および採取の
ための操作や測定分析時において必要とされる剛性とい
う、主に二つの性能を満たすためである。
【0004】血漿成分の測定分析のためには、ビリルビ
ン値を測定するための波長455ナノメーターの分析光
や、ヘモグロビン値を測定する575ナノメーターの分
析光などが、主に用いられる。現状の測定機器の性能で
は、これらの光を測定方法ASTMD1003において
90%以上透過することが、毛細管には要求される。
【0005】光による測定誤差を減らすには、光を効率
的に透過させるだけの透明度と均質性とが要求される。
また、管の厚み寸法が測定値に影響するので、寸法精度
も要求されている。すなわち、必要とされる剛性を満足
しつつ、管の厚み寸法が小さいほど、光の透過が確実で
数値も精度が期待できることが、材質にガラスを選定し
ている理由である。
【0006】その毛細管は、以下のようにして製造され
る。例えば、外径1.55ミリメートル、内径1.15
ミリメートルといった細いガラス管を製造する。ガラス
は濡れ性が高くて毛細管現象が起きやすいが、毛細管現
象による血液の吸い上げ力を更に高める必要があるとい
う場合にはプラズマ処理を施す。
【0007】その後、必要に応じて内壁面に、血液の凝
固を防止するための血液凝固防止剤をコーティングす
る。 また、血液凝固防止剤をコーティングした毛細管
と、コーティングしていないものと区別するための印刷
も施される。なお、採取した血液の量を把握できるよう
に、内容量を示す目盛が印刷される場合もある。
【0008】血漿成分の分析には、約60マイクロリッ
トルの血液が、血液中の溶存ガス濃度の分析には、現在
の分析器の性能では最低約80〜85マイクロリットル
の血液が必要である。このため、血液中の溶存ガス濃度
分析を行うための毛細管は、内容量が約100マイクロ
リットルの血液を採取できるものを採用している。現在
使われている毛細管の形状寸法は、外径1.55mm、
内径1.15mm、長さ75mmが多い。この寸法によ
って、遠心分離器による遠心力や、採取時などにおける
指の力に耐える機械的な強度を確保している。
【0009】続いて、前記のガラス製毛細管を用いて、
血液を採取してから分析する手順について説明する。ま
ず、検査対象者の人体の一部、例えば足の裏へ穿刺など
をすることによって出血させ、その出血へ、ガラス製毛
細管の一方の開口を接触させる。すると、毛細管現象に
よって管内へ血液が吸い込まれる。吸い込まれたら、他
方の開口へパテ材など押し込んで毛細管現象を停止させ
る。すると、両開口からの血液の漏れはなくなる。この
状態のガラス製毛細管を遠心分離器へ移動させ、遠心分
離器の固定枠へ固定し、12000rpmで5分間回転
させる。回転させると、毛細管の中の血液は血漿と血清
とに分離される。そして、その毛細管を、血漿と血清と
境目付近で切断し、血漿部分のみ取り出して検査をす
る。
【0010】血液中の溶存ガス濃度の分析では、毛細管
への血液採取後に、毛細管の内壁にコーティングされた
血液凝固防止剤と血液とを攪拌する必要がある。このた
め、毛細管内へ挿入可能な大きさにて製造された磁性体
(例えばフェライト系ステンレス)の攪拌子を毛細管の
一の開口から挿入し、その開口を密封する。そして、そ
の攪拌子を毛細管の外側で操作する磁石によって毛細管
内を動かして、血液凝固防止剤と血液とを攪拌させる。
攪拌後、毛細管の一の開口から攪拌子を取り出してか
ら、ガス分析器へ移動させる。
【0011】なお、ガス分析器で行われる血液中の溶存
ガス濃度の分析とは、血液の中にとけ込んでいる酸素、
炭酸ガスおよび炭酸水素イオン濃度、水素イオン濃度な
どを測定することである。このことにより呼吸障害や心
不全によって生じる低酸素血症、高炭酸ガス血症および
低酸素症の診断が可能となるもので、それらの治療のた
めには、必要不可欠な、かつ、頻回な測定が要求されて
いる。また、この分析に要する血液量は、既存の溶存ガ
ス濃度分析器では、最少で80〜85マイクロリットル
の血液採取を条件としている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】さて、上述したガラス
製毛細管には、以下のような欠点があった。第一に、ガ
ラスという材質に基づく欠点である。ガラスはほとんど
弾性変形しないため、一定以上の外力が加わると破損し
てしまう。血液採取時に破損してしまったとすると、採
取作業者は採取していた血液による血液感染の危険にさ
らされる。破損してしまった毛細管が採取作業者の皮膚
を傷つけて出血をもたらした場合には、その危険性が増
大する。遠心分離器への移動の際、遠心分離器への着脱
作業の際、遠心分離器の作動時などにも、毛細管の破損
の危険が伴う。
【0013】また、毛細管の切断作業における意図した
箇所での切断は、ガラス製ゆえ簡単ではなく、この際に
も破損およびそれに伴う怪我、さらにはそれらによる血
液感染の危険がある。
【0014】更に、採取する血液料の目安とするため、
毛細管の外周に線を印刷しているが、ガラスという材質
へ全周印刷するのは困難であり、製造コストの増加の一
因ともなっていた。
【0015】血液中の溶存ガス濃度の分析においては、
別の欠点がある。攪拌子の挿入、操作、取り出しといっ
た一連の作業は、毛細管は細く、攪拌子は小さいため、
細かい作業となる。しかも、攪拌に使用した攪拌子に
は、ウイルス感染などの危険が潜んでいるかもしれない
血液が付着しているのであり、作業者が危険にさらされ
ていることとなる。
【0016】発明が解決しようとする課題は、毛管力を
損なわず、破損やけがや血液感染の確率を低下させる安
全な血液採取用毛細管を提供することにある。請求項1
記載の発明の目的は、血液採取用毛細管の材質を変更
し、破損の確率を低下させることができる血液採取用毛
細管を提供することである。請求項2記載の発明の目的
は、血液採取用毛細管の材質を変更しても、必要とされ
る毛管力を確保できる血液採取用毛細管を提供すること
である。請求項3記載の発明の目的は、更に、ガス分析
を行うに際しての安全性を高めることができる血液採取
用毛細管を提供することである。請求項4記載の発明の
目的は、血液採取用毛細管の材質を変更しても、、現状
普及している遠心分離器をそのまま使用することができ
る血液採取用毛細管を提供することである。請求項5記
載の発明の目的は、ガス分析に必要な撹拌作業後の安全
性を高めることができる検査用血液の採取方法を提供す
ることである。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決する
ため、本出願では、毛細管の材質を変更するなどによ
り、請求項1から請求項に記載の発明を提供する。
【0018】請求項1記載の発明は、血液を採取して血
液中の成分分析を行うための血液採取用毛細管に係る。
すなわち、測定方法ASTMD790による曲げ強度が
70から160メガパスカルで、且つ測定方法ASTM
D1003による全光線透過度が90%以上であるよう
に、透明な熱可塑性樹脂を押出成型し、 内壁には血液
凝固防止剤をコーティングした血液採取用毛細管であ
る。
【0019】前述の曲げ強度および全光線透過度を満た
す材質としては熱可塑性樹脂、具体的には、ポリエステ
ル系のポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエ
チレンナフタレート、ポリオレフイン系の環状オレフイ
ンコポリマー、非結晶性のシクロオレフインポリマーな
どある。曲げ強度および全光線透過度の条件に加え、外
径・内径の寸法精度や仕上がりの得やすさなどを考慮し
た場合、最適な材料としては非結晶性のPETであっ
た。
【0020】なお、毛細管全体の材質が透明な熱可塑性
樹脂なので、ガラスと異なり、周囲への印刷は容易であ
り、毛細管外周への印刷の手間は、ガラス製のものの場
合に比べて軽減される。
【0021】測定方法ASTMD790による曲げ強度
として「70メガパスカル」以上を条件としたのは、血
液採取の作業時、遠心分離器への移動の際、遠心分離器
への着脱作業の際、遠心分離器の作動時などにおいて要
求される経験的な強度である。好ましくは80メガパス
カル以上である。なお、ガラスと異なり、熱可塑性樹脂
には弾性があるので、ガラスに要求された曲げ強度とは
異なる。また、曲げ強度について160メガパスカルの
上限を設けたのは、必要以上の強度とすると毛細管の外
形が太くなり、現状普及している遠心分離器へ装着でき
なくなるなどの問題が発生するからである。
【0022】測定方法ASTMD1003による全光線
透過度として「90%以上」を条件としたのは、現状普
及している分析器の性能に基づいたものである。この条
件を達成していれば、現状普及している分析器に対し
て、そのまま使用することができる。なお、光分析器の
性能が向上した場合には、ここで要求した透過度は90
%を下回ることとなるが、光分析器の性能が向上したと
しても透過度が高いほど分析精度を高められるというこ
とは記述するでもない。
【0023】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明を限定したものであり、毛管力を増強させるために毛
細管の管内面へ濡れ性向上処理を施した血液採取用毛細
管に係る。請求項1によって限定している、毛細管の材
料としての熱可塑性樹脂のほとんどは、ガラスよりも濡
れ性に劣り、毛管力が弱い。血液の鮮度を確保するため
には血液をできるだけ速く毛細管に吸い込む必要があ
り、毛管力を高める「濡れ性向上処理」が必要となる。
【0024】「濡れ性向上処理」とは、血液を素早く毛
細管の中に吸い上げるために毛細管現象の速度を速める
ための処理であり、例えば低温プラズマ処理である。こ
のプラズマ低温処理は、常温下で減圧した環境の中で、
放電により、プラズマの雰囲気を作り、そのプラズマ中
の荷電粒子のもつ強力な運動エネルギーが、粒子間に働
くクーロン力のポテンシャルエネルギーよりも大きいの
を利用して、表面層の化学結合を切断し、雰囲気中の活
性酸素が表面層の分子に結合して、親水性の高い官能基
(例えば、−OH、−CHO、−COOH)を形成する
ことにより、物の表面層を改質する作用を利用したもの
である。
【0025】請求項3記載の発明は、請求項1または請
求項2のいずれかに記載の血液採取用毛細管を限定した
ものであり、毛細管の一端から採取した血液の採取容量
がガス分析可能な容量を採取できる位置へ、空気を透過
しつつ血液を透過させにくい多孔質フィルタを固定した
血液採取用毛細管に係る。
【0026】多孔質フィルタは、孔部分がつながってい
る連泡のスポンジである。具体的には、単位長さあたり
の孔の数(セル数)は、30〜40個/25mm、密度
25〜35kg/立方メートルの多孔質体から作製した
フィルタを採用した。この多孔質フィルタは、空気を透
過させることができ、毛管現象を損なわない。しかも、
血液を透過させにくく、安全である。他には、細い繊維
を束ねて作製する多孔質体、例えばマーキングペンのペ
ン先に使われている繊維束芯であって、気孔率55〜6
5%である空気の透過面積の大きいペン芯、あるいは、
これらに該当する物質を選択し用いることができる。
【0027】「血液の採取容量がガス分析可能な容量を
採取できる位置」とは、具体例としては、毛細管の一端
から血液を採取し、その採取容積が100マイクロリッ
トルとなる位置とした。血漿成分分析および溶存ガス分
析のいずれも行える採取容積だからである。
【0028】前述のような材質の多孔質フィルタを採用
した場合、空気は当該フィルタを透過するので毛細管現
象によって血液が吸い上げられるものの、吸い上げられ
た血液はフィルタを透過しないので、ガス分析可能な容
量を採取することができる。
【0029】本請求項に係る血液採取用毛細管は、以下
のようにして使用する。まず、検査対象者の足の裏へ穿
刺などをすることによって出血させ、本請求項に係る血
液採取用毛細管における多孔質フィルタとは反対側に位
置する開口を血液に接触させる。すると、毛細管現象に
よって血液が吸い上げられる。このとき毛細管の中に入
っていた空気は、多孔質フィルタを通過して追い出され
る。吸い上げられた血液は当該フィルタを透過しないの
で、当該フィルタの位置まで達すると吸い上げが終わ
る。
【0030】次に、毛細管の開口から磁性体の攪拌子を
挿入し、その開口を密栓する。そして、マグネットを用
いて撹拌子を動かし、毛細管の内壁にコーティングされ
た血液凝固防止剤を撹拌する。撹拌を終えたら、マグネ
ットで撹拌子を多孔質フィルタ側へ移動させる。そし
て、密栓を取り外し、ガス分析器の血液流入口へ毛細管
の開口を連通させる。その後、多孔質フィルタと撹拌子
を含む長さの箇所に外部から切り欠きをつけ、外部から
の空気を流入させる。すると、空気が流入するので、毛
細管の開口から血液をガス分析器の血液流入口へ流入さ
せることができる。毛細管に対して「多孔質フィルタと
撹拌子を含む長さの箇所に外部から切り欠きをつけ」る
作業は、毛細管の材質が熱可塑性樹脂であるため、割
れ、破損などを起こしやすいガラスと比較して極めて行
いやすい。
【0031】血液をガス分析器へ移動させた毛細管には
撹拌子が残っているが、これを毛細管から取り出すこと
なく毛細管に入ったまま廃棄処分すればよい。そうすれ
ば血液が付着した撹拌子を作業者が触ることなく、作業
を終えることができる。そのため、撹拌子を原因とする
血液感染を未然に防ぐことができる。
【0032】(請求項4)請求項4記載の発明は、請求
項1から請求項3のいずれかに記載した血液採取用毛細
管を限定したものであり、外径1.80〜2.00m
m、内径1.30〜1.50mm、長さ70.0〜9
0.0mmとした血液採取用毛細管に係る。
【0033】外径、内径および長さについての限定を行
ったのは、現状普及している遠心分離器へ装着が可能で
あること、溶存ガス濃度分析にて現状必要な最低血液容
量である約80マイクロリットル(望ましくは100マ
イクロリットル)を確保すること、がその趣旨である。
【0034】100マイクロミリリットルの容量を確保
し、上記の数値限定の範囲に入る血液採取用毛細管は、
例えば、外径1.90mm、内径1.40mm、長さ8
0.0mm とした。なおこの場合、それぞれの精度
は、外径および内径が±0.05mm、長さが±0.1
0mmとした。
【0035】本請求項の限定により、病院の検査室や検
査専門会社において既に設置されている遠心分離器や溶
存ガス濃度分析用機器を、改造することなくそのまま使
用することができる。
【0036】(請求項5)請求項5に記載の発明は、透
明な熱可塑性樹脂を押出成型し、内壁には血液凝固防止
剤をコーティングし、且つ空気を透過しつつ血液を透過
させにくい多孔質フィルタを固定した血液採取用毛細管
を用いた検査用血液の採取方法に係る。すなわち、血液
採取用毛細管における前記多孔質フィルタとは反対側に
位置する開口を血液に接触させて血液を吸い上げる血液
吸入手順と、 前記開口から磁性体の攪拌子を挿入し、
その開口を密栓する撹拌準備手順と、 マグネットを用
いて前記撹拌子を動かし、毛細管の内壁にコーティング
された血液凝固防止剤を撹拌する撹拌手順と、 撹拌子
を多孔質フィルタ側へ移動させ、密栓を取り外し、ガス
分析器の血液流入口へ毛細管の開口を連通させる血液移
動準備手順と、撹拌子よりも開口側の箇所において血液
採取用毛細管の外周部から切り欠きを形成して、毛細管
内へ空気を流入させることによって血液をガス分析器へ
移動させる空気流入手順と備えた検査用血液の採取方法
である。
【0037】磁性体の攪拌子としては、従来から用いら
れているものと同様であり、例えばフェライト系のステ
ンレス、クロムメッキした鋼などが採用される。上述の
検査用血液の採取方法によれば、撹拌手順に用いた撹拌
子を毛細管から取り出すことなく、血液をガス分析器へ
移動させることができる。そのため、撹拌子を原因とす
る血液感染を未然に防ぐことができる。
【0038】
【発明の実施形態】以下、本発明の実施形態を図面に基
づいて、さらに詳しく説明する。
【0039】図1は、毛細管1の一端から血液を採取
し、その採取容積が100マイクロリットルとなる箇所
へ、毛細管の毛管力を妨げない多孔質フィルタ2を封入
したことを示している断面図である。この毛細管1は、
非結晶性のポリエチレンテレフタレートを押出成型し、
プラズマ低温処理を施して濡れ性を向上させた後、内壁
には血液凝固防止剤をコーティングしたものである。
【0040】この毛細管1の寸法は、外径1.90m
m、内径1.40mm、長さ80.0mm となってお
り、測定方法ASTMD790による曲げ強度は、70
メガパスカルを越えている。このため、血液採取の作業
時、遠心分離器への移動の際、遠心分離器への着脱作業
の際、遠心分離器の作動時などにおいて、通常の使用な
らば破損する確率は非常に低い。
【0041】以上のような毛細管は、測定方法ASTM
D1003による全光線透過度が90%以上を確保でき
る。したがって、ビリルビン値を測定するための波長4
55ナノメーターの分析光や、ヘモグロビン値を測定す
る575ナノメーターの分析光による、結晶の成分分析
が行える。
【0042】多孔質フィルタ2は、単位長さあたりの孔
の数(セル数)は、約35個/25mm、密度が約30
kg/立方メートルである連泡のスポンジである。この
多孔質フィルタ2は、空気を透過させることができるの
で、毛細管現象によって血液が吸い上げられるものの、
吸い上げられた血液は多孔質フィルタ2をほとんど透過
しない。このため、ガス分析可能な容量、すなわち10
0マイクロリットルの血液を採取することができる。
【0043】図2は、図示を省略した遠心分離器にかけ
て、血漿と血清とを分離し、分離した血漿について、ビ
リルビン値を測定する際の毛細管の状態を示す断面図で
ある。遠心分離器は、12000rpmにて5分間の遠
心分離を行わせる。多孔質フィルタ2側の端部には、封
止材3を埋め込んでから、遠心分離器へ毛細管1を固定
するのである。この封止材3は、従来から用いられてい
るパテ材や粘土である。
【0044】遠心分離器によって血漿と血清とを分離
し、その分離した血漿については、ビリルビン値を測定
するための波長455ナノメーターの分析光や、ヘモグ
ロビン値を測定する575ナノメーターの分析光を用い
て分析、測定をする。
【0045】図3は、血液中の溶存ガス濃度分析の準備
をするために血液採取用毛細管を使用している際の状態
を示している断面図である。血液採取用毛細管1におけ
る多孔質フィルタ2とは反対側に位置する開口を血液に
接触させて血液を吸い上げたら、前記開口からフェライ
ト系ステンレス製の攪拌子6を挿入し、その開口を密栓
4によって塞ぐ。そして、マグネットを用いて撹拌子6
を動かし、毛細管1の内壁にコーティングされた血液凝
固防止剤を撹拌するのである。
【0046】図4は、攪拌した血液をガス分析器へ移動
させる際の毛細管を示す断面図である。撹拌子6を外部
のマグネットの操作により、多孔質フィルタ2の側へ寄
せて、密栓5を取り外し、多孔質体と撹拌子を含む長さ
の箇所に外部から切り欠き5を形成して毛細管1を折り
曲げる。すると、その切り欠き5から毛細管1の内部へ
空気が流入するので、撹拌子6を毛細管1から取り出す
ことなく、血液をガス分析器へ移動させることができ
る。
【0047】以上のように、血漿のビリルビン値を測定
するための血液採取用毛細管と、血液中の溶存ガス濃度
分析に用いる血液採取用毛細管との二つの機能を満たす
毛細管を提供することが可能となった。
【0048】
【実験例】低温プラズマ処理の実験例について説明す
る。この低温プラズマ処理は、前述の実施形態に係るP
ET製の毛細管を摂氏50度で8時間乾燥後、常温下で
30秒、通常の雰囲気下でプラズマ処理した。毛管力の
テスト方法は、生理食塩水に、管の一端を10秒触れさ
せた際、管端からの液面の高さを判定する、という手法
とした。管の内径は同一として、得られた結果は、以下
のとおりであった。
【0049】 資料の種類 管端からの液面高さ ガラス製毛細管(未処理) 10mm PET製の毛細管(処理前) 3mm PET製の毛細管(処理後) 10mm 結果は、上記のように、毛細管の内表面の濡れ性が向上
し、ガラス製の既存品と同等の毛管力が得られた。
【0050】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、血液採取
用毛細管の材質を変更し、破損の確率を低下させること
ができる血液採取用毛細管を提供することができた。請
求項2記載の発明によれば、血液採取用毛細管の材質を
変更しても、必要とされる毛管力を確保できる血液採取
用毛細管を提供することができた。請求項3記載の発明
によれば、更に、ガス分析を行うに際しての安全性を高
めることができる血液採取用毛細管を提供することがで
きた。請求項4記載の発明によれば、血液採取用毛細管
の材質を変更しても、、現状普及している遠心分離器を
そのまま使用することができる血液採取用毛細管を提供
することができた。請求項5記載の発明によれば、ガス
分析に必要な撹拌作業後の安全性を高めることができる
検査用血液の採取方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す断面図である。
【図2】本発明の実施例のビリルビン値測定での使用の
形態を示す断面図である。
【図3】本発明の実施例の溶存ガス濃度測定での使用の
形態を示す断面図である。
【図4】本発明の実施例の溶存ガス濃度測定器への使用
の形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 安全血液採取用毛細管本体 2 多孔質フィルタ 3 封止材 4 密栓 5 外気流入切り欠き部 6 撹拌子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永山 勝一 静岡県小笠郡小笠町赤土1895 三邦ポリマ ー工業株式会社内 Fターム(参考) 2G045 AA13 BB10 BB34 BB60 CA25 DA51 DA53 DA80 DB01 DB02 DB03 FA13 FA36 FB15 GC08 GC10 JA09 JA11 JA20 2G052 AA30 AB02 AB06 AB16 AC00 AD14 AD29 AD46 BA02 BA14 CA02 CA03 CA14 CA29 CA32 CA33 CA39 CA45 CA48 DA09 DA13 DA22 EA03 EA08 EC00 ED06 ED17 FB07 FD13 GA11 HA02 HA04 HC27 HC36 JA05 JA16 JA22 JA23 JA26 4C038 TA05 UH01 UH02 UH03 UH06

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】血液を採取して血液中の成分分析を行うた
    めの血液採取用毛細管であって、 測定方法ASTMD790による曲げ強度が70〜16
    0メガパスカルで、且つ測定方法ASTMD1003に
    よる全光線透過度が90%以上であるように、透明な熱
    可塑性樹脂を押出成型し、 内壁には血液凝固防止剤をコーティングした血液採取用
    毛細管。
  2. 【請求項2】毛管力を増強させるために毛細管の管内面
    へ濡れ性向上処理を施した請求項1記載の血液採取用毛
    細管。
  3. 【請求項3】毛細管の一端から採取した血液の採取容量
    がガス分析可能な容量を採取できる位置へ、空気を透過
    しつつ血液を透過させにくい多孔質フィルタを固定した
    請求項1または請求項2のいずれかに記載の血液採取用
    毛細管。
  4. 【請求項4】外径1.80〜2.00mm、内径1.3
    0〜1.50mm、長さ70.0〜90.0mmとした
    請求項1または請求項3のいずれかに記載した血液採取
    用毛細管。
  5. 【請求項5】透明な熱可塑性樹脂を押出成型し、内壁に
    は血液凝固防止剤をコーティングし、且つ空気を透過し
    つつ血液を透過させにくい多孔質フィルタを固定した血
    液採取用毛細管を用いた検査用血液の採取方法であっ
    て、 血液採取用毛細管における前記多孔質フィルタとは反対
    側に位置する開口を血液に接触させて血液を吸い上げる
    血液吸入手順と、 前記開口から磁性体の攪拌子を挿入し、その開口を密栓
    する撹拌準備手順と、 マグネットを用いて前記撹拌子を動かし、毛細管の内壁
    にコーティングされた血液凝固防止剤を撹拌する撹拌手
    順と、 撹拌子を多孔質フィルタ側へ移動させ、密栓を取り外
    し、ガス分析器の血液流入口へ毛細管の開口を連通させ
    る血液移動準備手順と、 撹拌子よりも開口側の箇所において血液採取用毛細管の
    外周部から切り欠きを形成して、毛細管内へ空気を流入
    させることによって血液をガス分析器へ移動させる空気
    流入手順と備えた検査用血液の採取方法。
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