JP2002350363A - マイクロ波濃度測定装置 - Google Patents

マイクロ波濃度測定装置

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JP2002350363A JP2002142936A JP2002142936A JP2002350363A JP 2002350363 A JP2002350363 A JP 2002350363A JP 2002142936 A JP2002142936 A JP 2002142936A JP 2002142936 A JP2002142936 A JP 2002142936A JP 2002350363 A JP2002350363 A JP 2002350363A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】マイクロ波の回り込みやの誘導等がある場合で
も、被測定対象中の固形物・懸濁物質の濃度を高精度に
かつリアルタイムで求めること。 【解決手段】2つのマイクロ波のうちの一方のマイクロ
波を被測定対象に送出して受信した信号と他方のマイク
ロ波とを混合して位相差を測定し濃度を計測するマイク
ロ波濃度測定装置において、一方のマイクロ波について
複数の位相を発生するマイクロ波発生手段3,11と、マイ
クロ波発生手段3,11からの複数の位相による計測を行な
う計測手段28と、計測手段28からの計測値より被測定対
象の濃度を算出する演算手段19とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被測定対象中の固
形物・懸濁物質の濃度を測定するマイクロ波を用いた濃
度測定装置に係り、特に下水配管内の汚濁物質の濃度、
製紙におけるパルプ、その他種々の物質の被測定対象中
の濃度を、流れを妨げずに、高精度にかつリアルタイム
で測定できるようにしたマイクロ波濃度測定装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、被測定対象、例えば測定液体
中の固形物・懸濁物質の濃度を測定する一つの方法とし
て、測定液体の一部をサンプリングし、その測定液体を
蒸発させて残滓の重量を計るという原始的な方法があ
る。しかしながら、このような方法では、測定に時間が
かかり、自動化を図ることは困難である。
【0003】そのため、濃度計として多種のセンサが実
用化されている。その一つとして、例えば超音波を用い
た濃度計が用いられている。しかしながら、この超音波
式の濃度計では、液体中に気泡がある場合に測定が行な
えなくなるという問題点がある。
【0004】そこで、最近では、このような問題点を解
決するために、例えば“特開平4−238246号”に
示されるような、マイクロ波を用いた濃度計が開発され
てきている。
【0005】このマイクロ波濃度計は、マイクロ波の位
相が測定液体中の測定物質の濃度にほぼ比例した遅れを
生じることから、マイクロ波の位相遅れを計測すること
によって濃度を計測するものである。
【0006】以下、この種のマイクロ波濃度計による測
定方法の概要について、図11を用いて説明する。
【0007】図11は、この種の従来のマイクロ波濃度
計の構成例を示すブロック図である。
【0008】図11において、マイクロ波濃度計は、マ
イクロ波アンテナである、配管63に配置された送信
用,受信用のアンテナ62,64と、マイクロ波回路で
ある濃度計回路79と、演算装置81とから構成されて
いる。
【0009】発振器55は、周波数fの2つのマイクロ
波信号56,57を発生する。一方のマイクロ波信号5
6は、増幅器58によって増幅され、スイッチ59,6
0が図11に示すような状態の時、送信信号61は、配
管63に配置されたアンテナ62に送られて、被測定対
象である測定液体を通している配管63中に送出され、
アンテナ62に対向するように配管63に配置されたア
ンテナ64により受信される。
【0010】参照用発振器65は、発振器55のマイク
ロ波信号56,57の周波数fと少し異なる周波数f+
Δfの2つの参照信号66,67を発生する。他方のマ
イクロ波信号57と一方の参照信号66とはミキサ68
により混合され、差の周波数Δfである基準側ヘテロダ
イン出力69が得られ、コンパレータ70によって電圧
0をしきい値とする基準側デジタル信号θFB71に変換
され、位相差測定手段72に送られる。
【0011】アンテナ64による受信信号73は、増幅
器74によって増幅され、当該増幅された受信信号73
と他方の参照信号67とはミキサ75によって混合さ
れ、差の周波数Δfである測定側ヘテロダイン出力76
が得られ、コンパレータ77によって測定側デジタル信
号θREF 78に変換され、位相差測定手段72に送られ
る。
【0012】位相差測定手段72は、2つのデジタル出
力θFB71,θREF78の位相差ΦV を求める。この場
合、位相差ΦV の求め方としては、図11に示すよう
に、信号θFB,θREFの立ち上がりの時間差を位相差ΦV
として求めている。
【0013】ここで、点線で示した濃度計回路79にお
いては、回路内部の温度変化等により位相が変化し、誤
差の原因となる。そこで、スイッチ59,60を図11
に示すと反対側に切り替えて、固定基準80を通した位
相差ΦR を計測して、これを位相差ΦV から引くことに
より、前述の誤差を補償している。
【0014】すなわち、求める位相差Φは、 Φ=ΦV −ΦR となる。
【0015】ここで、固定基準80としては、マイクロ
波の信号レベルをアンテナ64で受信されるのと同等の
レベルに落とすために、減衰器を用いる。
【0016】あらかじめ基準の濃度における位相差に関
するデータ(検量線データ)を求めておけば、そのデー
タを基に、求めた位相差Φから演算装置81により、測
定液体中の測定物質の濃度を算出することができる。
【0017】ここで、濃度をDとすると、位相差との関
係は、 D=aΦ+b …(1) のように、ほぼ1次式になるので、濃度を変えて位相差
を測定して、回帰分析を行ない、aとbを決定すればよ
い。
【0018】測定液体として導電性のある媒質(例えば
水)中で、マイクロ波の減衰・位相遅れと、媒質の導電
率σ、誘電率、温度tの関係は、理論的には以下のよう
になる。
【0019】角周波数ω(rad/s)のマイクロ波の
減衰率α(Neper/m)、位相変化率β(rad/
m)は、(2)式、(3)式のように表わすことができ
る。
【0020】
【数1】
【0021】ただし、σは導電率、εr ´,εr ''は媒
質の複素比誘電率の実部と虚部である。
【0022】測定物質である汚泥やパルプ等の濃度が変
わると、実効的な誘電率が変わることが知られており、
特に誘電率実部と濃度との相関性が高い。
【0023】上記(2)式、(3)式で、
【数2】 であれば、すなわち誘電率虚部が小さく、導電率も小さ
ければ、
【数3】 上記(4)式、(5)式で求めたα、βから、減衰量、
位相遅れを求める。送信電力をP0 、z方向に進むマイ
クロ波電力をPとすると、 P=P0 exp(−2αz) …(6) であり、減衰量は20αz/ln10(dB)になる。
また、位相遅れは βz(rad)である。
【0024】上述した方式では、位相遅れを求めること
で、濃度を求める。上記(5)式に示すように、εr ´
の微小変化領域では、εr ´とβが比例するため、βz
から濃度が求められる。なお、αはβよりも相関度が小
さいため、直接的には濃度測定に使用しない。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来のマイクロ波濃度計では、次のような問題点があ
る。
【0026】(a)測定液体の温度や導電率が変化する
と、測定液体によるマイクロ波の減衰量が大幅に変化す
る。マイクロ波が減衰して測定側ヘテロダイン出力76
の振幅が小さくなると、コンパレータ77によってデジ
タル化する時に、雑音やドリフトの影響によって切り替
わりの時刻が変化し、結果的に測定誤差となる。
【0027】(b)上記(a)と同様の理由により、受
信信号73の電力が変化すると、電子回路の非直線性に
よって位相が変化するため、結果的に測定誤差を生じ
る。
【0028】(c)電子回路の温度ドリフトの影響を固
定基準により補償しているが、測定側ヘテロダイン出力
76の信号レベルが変化すると、温度による影響が変化
するため、完全には補償することができない。
【0029】(d)濃度を位相変化で求めるため、受信
信号73の位相が360度を越えると、正しく濃度を求
めることができない。すなわち、管径が大きかったり、
測定物質が高濃度の場合には、位相が360度以上変化
するため、位相変化から濃度が一意的に決まらなくな
る。連続的に測定を続けていれば、例えば“特開平8−
82606号”に示されるように、前後の関係で回転数
を求めることができるが、一度空になると、次に被測定
対象で満たされた場合に、正しい濃度を測定することが
できなくなる。
【0030】(e)回路の配線パターンからの回り込み
や誘導により、マイクロ波が液体中以外の場所を通って
受信され、結果的に測定誤差を生じる。
【0031】(f)測定液体中に気泡があると、マイク
ロ波の伝搬経路が長くなったり、マイクロ波の反射によ
り複数の経路を通って受信される等の原因により、結果
的に測定誤差を生じる。
【0032】(g)測定液体の温度や導電率が変化する
と、マイクロ波の位相が変化して誤差を生じる。そのた
め、温度および導電率を求めて補正を行なう必要があ
り、例えば“特開平9−43181号”に示されるよう
に、導電率を測定する方法が提案されてきている。しか
しながら、導電率センサには汚れが付着し易く、測定精
度の低下や保守作業といった問題があるため、実用化が
困難である。
【0033】本発明の目的は、マイクロ波の回り込みや
誘導等がある場合でも、被測定対象中の固形物・懸濁物
質の濃度を高精度にかつリアルタイムで求めることが可
能な低価格のマイクロ波濃度測定装置を提供することに
ある。
【0034】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1の発明では、2つのマイクロ波のうちの
一方のマイクロ波を被測定対象に送出して受信した信号
と他方のマイクロ波とを混合して位相差を測定し濃度を
計測するマイクロ波濃度測定装置において、一方のマイ
クロ波について複数の位相を発生するマイクロ波発生手
段と、マイクロ波発生手段からの複数の位相による計測
を行なう計測手段と、計測手段からの計測値より被測定
対象の濃度を算出する演算手段とを備えている。
【0035】従って、請求項1の発明のマイクロ波濃度
測定装置においては、一方のマイクロ波の位相を複数の
値として複数の計測を行ない、その計測値より濃度を測
定することにより、回路の配線パターンからの回り込み
や誘導があっても、複数の位相で計測して補償するた
め、高精度に濃度を測定することができる。
【0036】また、請求項2の発明では、上記請求項1
の発明のマイクロ波濃度測定装置において、マイクロ波
発生手段としては、一方のマイクロ波として90度異な
る2つの位相を発生するようにしている。
【0037】従って、請求項2の発明のマイクロ波濃度
測定装置においては、上記請求項1の発明と同様の作用
を奏する他、一方のマイクロ波として90度異なる2つ
の位相を用いて測定することにより、90度またはその
整数倍の位相を作るようにするため、ハイブリッドによ
り容易に回路を実現することができる。
【0038】さらに、請求項3の発明では、上記請求項
1または請求項2の発明のマイクロ波濃度測定装置にお
いて、位相差をセンタ位置でカウントする位相カウント
手段を有する位相差測定手段を備えている。
【0039】従って、請求項3の発明のマイクロ波濃度
測定装置においては、上記請求項1または請求項2の発
明と同様の作用を奏する他、位相差をセンタ位置でカウ
ントすることにより、測定誤差が生じず、高精度に濃度
を測定することができる。
【0040】一方、請求項4の発明では、上記請求項1
乃至請求項3のいずれか1つの発明のマイクロ波濃度測
定装置で、測定値として被測定対象と固定基準とを切り
替えて測定する方式のものにおいて、固定基準として、
外部の送信アンテナ位置からの信号を用いる固定基準測
定手段を備えている。
【0041】従って、請求項4の発明のマイクロ波濃度
測定装置においては、上記請求項1乃至請求項3のいず
れか1つの発明と同様の作用を奏する他、外部の送信ア
ンテナ位置からの信号を固定基準として測定することに
より、回路内部の温度変化等によって位相変化がある場
合でも、固定基準を通した位相差を計測して補償するた
め、高精度に濃度を測定することができる。
【0042】また、請求項5の発明では、上記請求項1
乃至請求項4のいずれか1つの発明のマイクロ波濃度測
定装置において、混合した信号のレベルを一定になるよ
うに制御する信号レベル制御手段を備えている。
【0043】従って、請求項5の発明のマイクロ波濃度
測定装置においては、上記請求項1乃至請求項4のいず
れか1つの発明と同様の作用を奏する他、混合した信号
のレベルを一定になるように制御することにより、被測
定対象の温度や導電率によって、マイクロ波の減衰が大
きい場合でも、誤差が生じず、また測定信号レベルが小
さい場合、信号を増幅して雑音に対するSN比を改善で
きるため、高精度に濃度を測定することができる。
【0044】さらに、請求項6の発明では、上記請求項
1乃至請求項5のいずれか1つの発明のマイクロ波濃度
測定装置において、測定装置本体が収納される筐体の温
度を測定する筐体温度測定手段と、筐体温度測定手段に
より測定された筐体温度が一定値以下の場合は、当該筐
体温度を一定値になるように制御する温度制御手段と、
筐体温度測定手段により測定された筐体温度が一定値以
上の場合は、あらかじめ設定した補正値により上記計測
値を補正する補正手段とを備えている。
【0045】従って、請求項6の発明のマイクロ波濃度
測定装置においては、上記請求項1乃至請求項5のいず
れか1つの発明と同様の作用を奏する他、筐体温度が一
定値以下の場合には、温度を一定値になるように制御
し、温度が一定値以上の場合には、あらかじめ設定した
補正値によって計測値を補正することにより、周囲の温
度が変化しても、高精度に濃度を測定することができ、
また回路が簡単になり、低コストにすることができる。
【0046】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。
【0047】(第1の実施の形態)図1は、本実施の形
態によるマイクロ波濃度測定装置の構成例を示すブロッ
ク図である。
【0048】図1において、クロック源1は、低周波の
信号である、位相基準として基準信号(θREF )2を発
生する。
【0049】マイクロ波発生手段の一部を構成する発振
器3は、PLL回路(フェーズド・ロック・ループ回
路)を含むものであり、クロック源1からの基準信号2
をPLL回路の同期信号として用いることにより、クロ
ック源1からの基準信号2に同期して、周波数fのマイ
クロ波(請求項の一方のマイクロ波に相当)を発生す
る。
【0050】発振器3からのマイクロ波は、増幅器4に
よって増幅し、スイッチ5とスイッチ6が図示状態の場
合に、送信アンテナ7から配管8内の被測定対象である
測定液体に送出して、受信アンテナ9により受信し、増
幅器10により増幅して受信信号12とする。
【0051】マイクロ波発生手段の一部を構成する参照
用発振器11は、発振器3と同様に、PLL回路を含む
ものであり、クロック源1からの基準信号2をPLL回
路の同期信号として用いることにより、クロック源1か
らの基準信号2に同期して、発振器3からのマイクロ波
の周波数fとΔfだけ異なる周波数f+Δfのマイクロ
波(請求項の他方のマイクロ波に相当)を、参照信号1
3として発生する。
【0052】マイクロ波混合手段であるミキサ14は、
受信信号12と参照信号13とを混合して、周波数Δf
のヘテロダイン出力15を得る。このヘテロダイン出力
15は、図示しないが、必要によりフィルタ等で不要高
周波を減衰して、周波数Δf成分を増幅するようにす
る。
【0053】コンパレータ16は、ヘテロダイン出力1
5を入力とし、測定デジタル信号θFB17を出力する。
【0054】位相差測定手段18は、測定デジタル信号
17とクロック源1からの基準信号2とを比較して位相
差を測定し、位相差Φを出力する。
【0055】ここで、位相差測定手段18としては、本
例では特に、位相差の実質的なセンタ位置で当該位相差
をカウントする位相カウント手段を備えるようにしてい
る。
【0056】演算装置19は、位相差測定手段18から
の位相差Φから、被測定対象の濃度を算出して出力す
る。
【0057】次に、以上のように構成した本実施の形態
のマイクロ波濃度測定装置においては、位相基準とし
て、クロック源1により基準信号2を発生し、この基準
信号2に同期して、発信器3と参照用発振器11により
互いに周波数が異なる2つのマイクロ波を発生させ、一
方のマイクロ波で測定した信号12と他方のマイクロ波
13とを混合し、この混合により得られたヘテロダイン
出力15に基づく測定デジタル信号θFB17とクロック
源1からの基準信号2とを位相比較していることによ
り、前述した図11の従来例では、マイクロ波の混合手
段であるミキサが2個必要であったのを、1個に削減す
ることができる。すなわち、図11の従来例におけるミ
キサ68を省略することができる。
【0058】これにより、高価なマイクロ波回路を省略
でき、ミキサの後のコンパレータ回路(図11の従来例
におけるコンパレータ70)も省略できるため、回路が
極めて簡単になり、安価で信頼性が高いものとなる。
【0059】すなわち、これが可能になったのは、2個
のマイクロ波発振器3,11が、マイクロ波でない低周
波のクロック源1と完全に同期するようにPLL回路に
より制御されていることにより、このクロック源1から
の信号の低周波が基準の周波数として使用できるからで
ある。
【0060】なお、位相差測定に用いる基準信号θREF
2は、測定デジタル信号θFB17との相対値を求めるの
に用いられ、固定基準20から求めた基準信号θREF
と測定デジタル信号θFB17との相対値から、その絶対
値が求められ、この絶対値と予め用意された検量線デー
タとの比較により、測定液体中の測定物質の濃度が計算
される。
【0061】一方、本実施の形態のマイクロ波濃度測定
装置においては、位相差の実質的なセンタ位置で位相差
をカウントしていることにより、測定誤差が生じず、高
精度に濃度を測定することができる。
【0062】図2(a)〜(c)は、位相カウント手段
の動作を説明する図である。
【0063】図2において、θREF は基準信号2であ
り、θFBは測定デジタル信号17であり、前述した従来
方式では、立ち上がりの時間差Φ1 を求めていたのに対
して、図2(a)では、Φ1 とΦ2 の平均値を求めるよ
うにしている。
【0064】すなわち、ヘテロダイン出力15のDC成
分や、ドリフトや、コンパレータ16のしきい値が厳密
に0[v]でない等の原因により、図2(b),(c)
に示すように、θFBの“0”と“1”の比率が異なる場
合、前述した従来方式では、誤差が生じるが、本実施の
形態のセンタ方式とすることにより、誤差が生じず、高
精度に濃度を測定することができる。特に、マイクロ波
の減衰が大きく、ヘテロダイン出力15の振幅が小さい
場合に効果が大きい。
【0065】上述したように、本実施の形態のマイクロ
波濃度測定装置では、位相基準として、クロック源1に
より低周波の基準信号2を発生し、この低周波の基準信
号2に同期して互いに周波数が異なる2つのマイクロ波
をPLL制御により発生させ、一方のマイクロ波を測定
液体に通して得た受信信号と他方のマイクロ波とを混合
し、クロック源1からの基準信号2と位相比較をするよ
うにしているため、回路が簡単になり、安価で信頼性が
高いものとすることが可能となる。
【0066】また、位相差の実質的なセンタ位置で位相
差をカウントするようにしているため、測定誤差が生じ
ず、高精度に濃度を測定することが可能となる。
【0067】なお、本実施の形態は、前述した図11に
示すような従来例に対しても適用することができる。
【0068】(第1の実施の形態の変形例)すなわち、
本実施の形態のマイクロ波濃度測定装置では、前述した
第1の実施の形態における発振器3および参照用発振器
11として、複数の同一周波数差のマイクロ波を発生す
るようにする。
【0069】すなわち、発振器3を、周波数f1 ,f
2のマイクロ波を発生するものとし、参照用発振器11
を、周波数f1+Δf,f2+Δfのマイクロ波を発生す
るものとする。
【0070】また、位相差測定手段18として、これら
複数の同一周波数差のマイクロ波に基づいて位相差を測
定するものとし、これらからのマイクロ波を切り替えて
測定し、360度以上の位相差を測定するようにしてい
る。
【0071】次に、以上のように構成した本実施の形態
のマイクロ波濃度測定装置においては、複数の同一周波
数差のマイクロ波を発生し、切り替えて測定し、360
度以上の位相差を測定していることにより、位相が36
0度を越えて変化する場合にも、正しい位相変化量を求
めることができる。
【0072】すなわち、本例では、2組の周波数f1 ,
2 とf1 +Δf,f2 +Δfを発生し、各々の組み合
わせにおける位相差を計測する。そして、この2つの位
相差から、位相変化の回転数を求め、360度を越える
場合の位相変化を求める。
【0073】ここで、2つの位相差をΦ1 、Φ2 とす
る。また、濃度0の時の位相差を、f1 、f2 について
各々Φ10、Φ20とし、濃度の変化によって次のように変
化したとする。
【0074】 f1 :Φ10 → Φ1 +2πm (mは0または正の整数) f2 :Φ20 → Φ2 +2πn (nは0または正の整数) m、n、は回転数である。
【0075】位相差の変化量ΔΦ1 、ΔΦ2 としては、 ΔΦ1 =Φ1 +2πm−Φ10 …(7) ΔΦ2 =Φ2 +2πn−Φ20 …(8) f1 、f2 における位相変化率をβ1 、β2 とすると、 ΔΦ2 =(β2 /β1 )・ΔΦ1 …(9) である。
【0076】(9)式の左辺から右辺を引き、上記
(7)式、(8)式を代入すると、 Φ2 +2πn−Φ20−(β2 /β1 )・(Φ1 +2πm−Φ10)=0 …(10) 実際には、位相差測定値に誤差があるから、上記(1
0)式の左辺に整数m、nを代入して、値が誤差の許容
値以内になるm、nの組み合わせを求めればよい。
【0077】このm、nから、上記(8)式、(9)式
により位相差変化量ΔΦ1 、ΔΦ2を求め、濃度を算出
する。
【0078】β2 /β1 は、上記(5)式よりεr ´が
同じならf1 /f2 に等しい。f1とf2 とは比較的近
い値をとるため、εr ´は一般的にはそれほど大きく変
化しない。
【0079】上述したように、本実施の形態の変形例の
マイクロ波濃度測定装置では、マイクロ波信号源である
発信器3,11は、複数の同一周波数差のマイクロ波を
発生し、切り替えて測定し、360度以上の位相差を測
定するようにしているため、位相が360度を越えて変
化する場合に、前述した“特開平8−82606号”の
ような方法を用いなくても、正しい位相変化量を求める
ことができる。
【0080】これにより、管径が大きかったり、測定物
質が高濃度の場合や、管内が一度空になってから測定液
体で満たされた場合にも、正しい濃度を測定することが
可能となる。
【0081】なお、本実施の形態は、第1の実施の形態
の変形例として説明したが、これに限らず、前述した図
11に示すような従来例に対しても適用することができ
る。
【0082】(第2の実施の形態)図3は、本実施の形
態によるマイクロ波濃度測定装置の構成例を示すブロッ
ク図であり、図1と同一部分には同一符号を付してその
説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べ
る。
【0083】すなわち、本実施の形態のマイクロ波濃度
測定装置は、その基本的な構成は前述した従来例と同様
であり、発振器3と参照用発振器11で発生したマイク
ロ波を、ミキサ22で混合して基準側ヘテロダイン信号
23を求め、コンパレータ24によって基準信号25を
求めるようにする。
【0084】この測定側ヘテロダイン出力15は、図示
しないが、必要によりフィルタ等で高周波を減衰して、
周波数Δf成分を増幅するようにする。
【0085】また、送信アンテナ7に隣接して、基準用
端子26を設けている。すなわち、固定基準として、外
部の送信アンテナ7位置からの信号を用いる固定基準測
定手段を備えるようにしている。
【0086】次に、以上のように構成した本実施の形態
のマイクロ波濃度測定装置においては、固定基準を通し
た位相差を計測して補償していることにより、回路内部
の温度変化等によって位相変化がある場合でも、高精度
に濃度を測定することができる。
【0087】特に、受信アンテナ9から電子回路である
濃度計回路の入口までの距離と、基準用端子26から電
子回路である濃度計回路の入口までの距離を同じくする
ことができる。このため、固定基準は、送信アンテナ7
と受信アンテナ9までのケーブルによる位相遅れを補償
することができ、かかる位相遅れの補償により、温度変
化による位相変動を除くことができるため、精密な測定
をすることができる。
【0088】これに対し、前述した従来例では、固定減
衰器を用いた固定基準であることから、ケーブルの温度
が変化すると誤差が出る可能性がある。すなわち、前述
した従来例では、回路内部の温度変化等によって位相が
変化するため、固定基準を通した位相差ΦR を計測し
て、位相差ΦV から引くことにより位相変化を補償して
いた。
【0089】これに対して、本実施の形態では、送信ア
ンテナ7に隣接して基準用端子26を設け、これにより
受信される信号を固定基準としている。そして、スイッ
チ6を基準用端子26側に切り替え、固定基準を通した
位相差ΦR を計測して、位相差ΦV から引くことによ
り、前記の誤差を補償することが可能となる。
【0090】なお、本実施の形態では、基準用端子26
としては、送信アンテナ7からの電波を受信するアンテ
ナとしたが、送信アンテナ7への電力の一部を分割して
受け取る手段を用いるようにしてもよい。
【0091】上述したように、本実施の形態のマイクロ
波濃度測定装置では、固定基準を通した位相差を計測し
て補償するようにしているため、回路内部の温度変化等
によって位相変化がある場合でも、高精度に濃度を測定
することが可能となる。
【0092】なお、本実施の形態は、第1の実施の形態
の変形例として説明したが、これに限らず、前述した図
11に示すような従来例に対しても適用することができ
る。
【0093】(第3の実施の形態)図4は、本実施の形
態によるマイクロ波濃度測定装置の構成例を示すブロッ
ク図であり、図3と同一部分には同一符号を付してその
説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べ
る。
【0094】すなわち、本実施の形態のマイクロ波濃度
測定装置は、その基本的な構成は前述した従来例と同様
であり、発振器3と参照用発振器11で発生したマイク
ロ波を、ミキサ22で混合して基準側ヘテロダイン信号
23を求め、コンパレータ24によって基準信号25を
求めるようにする。
【0095】この測定側ヘテロダイン出力15は、図示
しないが、必要によりフィルタ等で高周波を減衰して、
周波数Δf成分を増幅するようにする。
【0096】また、周波数混合手段28で、参照信号1
3の位相を複数の値として計測を行なう。特に、本例で
は、90度異なる2つの位相のマイクロ波を作って、ミ
キサ14により混合している。この90度異なる位相
は、ハイブリッド29により作る。
【0097】なお、固定基準27には、減衰器を用いて
いる。
【0098】次に、以上のように構成した本実施の形態
のマイクロ波濃度測定装置においては、測定側ヘテロダ
イン出力15を得るための一方のマイクロ波を複数の位
相値として、位相差を測定していることにより、回路の
配線パターンからの回り込みや誘導があっても、複数の
位相で計測して補償するため、高精度に濃度を測定する
ことができる。
【0099】また、ハイブリッド29は容易に入手可能
であることから、90度またはその整数倍の位相のマイ
クロ波の発生を容易に実現することができる。
【0100】すなわち、本実施の形態による位相計測
は、図5(a)に示すように、90度異なる位相ΦI
ΦQ を計測し、その平均を求めて、これを濃度値演算の
ための位相Φとしている。
【0101】この方式で、測定液体を通過したマイクロ
波の位相が、ある基準から+360度まで変化したとし
て、実験により測定される位相Φの誤差の特性の代表例
を図5(b)に示す。
【0102】すなわち、回路の配線パターンからの回り
込みや誘導のように、固定の位相である外乱により、Φ
I とΦQ はサイン成分の非直線性誤差を持っているが、
これらΦI とΦQの平均をとることにより得たΦは、誤
差が相殺されて,位相Φは直線性の良いものとなる。
【0103】なお、本実施の形態では、90度異なる2
つの位相を用いたが、これ以外に、180度異なる2個
の計測、あるいは、0°,90°,180°,270°
の4個の計測を行なうようにすることもできる。
【0104】また、本実施の形態では、参照信号の位相
を変化させたが、受信信号の位相を変化させる方式、あ
るいはミキサを2個設けて、一方は0゜、他方は90゜
というように、2組の回路を設けるようにすることもで
きる。
【0105】上述したように、本実施の形態のマイクロ
波濃度測定装置では、複数の位相で計測して補償するよ
うにしているため、回路の配線パターンからの回り込み
や誘導があっても、高精度に濃度を測定することが可能
となる。これは、特に、受信されるマイクロ波の電力が
小さい場合に効果が大きい。
【0106】また、90度、またはその整数倍の位相を
作るようにしているため、ハイブリッド29により容易
に回路を実現することが可能となる。
【0107】(第4の実施の形態)図6は、本実施の形
態によるマイクロ波濃度測定装置の構成例を示すブロッ
ク図であり、図4と同一部分には同一符号を付してその
説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べ
る。
【0108】すなわち、本実施の形態のマイクロ波濃度
測定装置は、その基本的な構成は前述した従来例と同様
であり、測定側ヘテロダイン出力15を、図示しない
が、必要によりフィルタ等で高周波を減衰して、周波数
Δf成分を増幅するようにする。
【0109】また、マイクロ波発生手段である送信アン
テナ30は、直線偏波または円偏波のマイクロ波を送出
する機能を有する。
【0110】さらに、マイクロ波受信手段である受信ア
ンテナ31には、第2の端子32を設け、スイッチ33
を図6に示す状態から第2の端子32側へ切り替え、送
信側が直線偏波の場合は、送信マイクロ波と同相のマイ
クロ波と、当該同相のマイクロ波に直角のマイクロ波を
受信し、一方送信側が円偏波の場合には、送信マイクロ
波と同一回転方向のマイクロ波と、送信マイクロ波と逆
回転方向のマイクロ波を受信するようにする。
【0111】被測定対象が測定液体である場合、測定液
体中に気泡があると、これにマイクロ波が反射して、偏
波面の方向や回転方向が変化する。この多重反射したマ
イクロ波を、第2の端子32により受信する。
【0112】ここで、多重反射するマイクロ波の量は、
気泡の量と正の相関があることから、演算装置19で二
つの信号から気泡の量を計算して、位相計測値を補正す
るようにする。
【0113】次に、以上のように構成した本実施の形態
のマイクロ波濃度測定装置においては、送出するマイク
ロ波を直線偏波または円偏波として、受信するマイクロ
波は送信側が直線偏波の場合は同相とこれに直角のマイ
クロ波を受信し、また送信側が円偏波の場合は同一回転
方向および逆回転方向のマイクロ波を受信するように
し、さらに二つの信号より気泡の量を計算し位相計測値
を補正していることにより、測定液体中に気泡がある場
合でも、気泡の量を測定してその影響を補償するため、
高精度に濃度を測定することができる。
【0114】すなわち、直線偏波と円偏波の場合、反射
の量を受信アンテナ31の第2の端子32で検出される
マイクロ波の強度として測定することができる。また、
あらかじめ気泡の量と受信されるマイクロ波の強度、お
よび位相変化の特性を求めておけば、気泡の量を測定し
て、位相への影響を補償することができる。
【0115】以下、かかる点について、より具体的に説
明する。
【0116】送信アンテナ30と受信アンテナ31には
共通部分があり、その基本的な構成を図7(a)に示
す。
【0117】図7(a)において、基板34は誘電体
(比誘電率)から成っている。
【0118】パターン35は、表側の正方形のベタパタ
ーンであり、薄膜状の金属である。1辺の長さは、λ/
2(λは波長)であるが、基板34上のため、λは真空
中の波長に比べると1/√εr に短縮されている。ま
た、パターン35には、端子36および端子37が設置
されている。
【0119】ここで、端子36は、パターン35の中心
の下で、中心から辺までの距離の約1/3の位置にあ
る。また、端子37は、パターン35の中心の右で、中
心から辺までの距離の約1/3の位置にある。
【0120】パターン38は、裏側のベタのグラウンド
パターン(これも薄膜状の金属)であり、端子36およ
び端子37のリードを通すところだけ穴が開いている。
【0121】送信アンテナ30と受信アンテナ31は、
端子36と37が正しく向かい合う(アンテナの中心と
端子36を結ぶ線同士が平行である)ように設置されて
いる。
【0122】送信アンテナ30から直線偏波を送出する
場合には、端子37は設置せず、端子36にのみ給電す
ればよい。また、送信アンテナ30から円偏波を送出す
る場合には、図7(b)に示すように、送信マイクロ波
39から、ハイブリッド40で、マイクロ波41と、9
0度位相が異なるマイクロ波42を作り、マイクロ波4
1を端子36、マイクロ波42を端子37に給電する。
なお、ハイブリッド40には4つの端子があるが、残り
の一つは終端抵抗43で終端されている。
【0123】直線偏波を用いた場合には、被測定対象中
の物体に反射して受信されるマイクロ波の偏波面は、送
信マイクロ波とは異なっている。受信アンテナ31で
は、端子36からは送信マイクロ波と同一偏波面の成
分、端子37からは送信マイクロ波と直交する偏波面の
成分がそれぞれ受信される。この場合には、端子37が
第2の端子32に相当する。
【0124】円偏波を用いた場合には、被測定対象中の
物体に反射して受信される円偏波のマイクロ波の回転方
向は、送信マイクロ波とは反対方向になっている。すな
わち、図7(c)に示すように、受信アンテナ31で
は、端子36および端子37で受信したマイクロ波をハ
イブリッド44に入れて合成する。なお、図面上の回転
方向を変えないため、図7(c)は透視図として示して
いる。
【0125】ここで、送信側で、図7(b)に示すよう
に、端子37へ、端子36に対して90度位相が遅れる
マイクロ波を給電していたとすると、送信マイクロ波と
同一回転方向の波を受信すると、端子37側が端子36
側に対して90度位相が遅れている。逆回転方向の波の
場合には、受信すると端子36側が端子37側に対して
90度位相が遅れている。
【0126】従って、ハイブリッド44で合成すると、
端子45の出力は、送信マイクロ波と同一回転方向の波
であれば、位相が合うため二つの入力を強め合うが、逆
回転方向の波であれば、位相が180度異なるため相殺
されて、送信マイクロ波と同一回転方向の波だけが出力
される。
【0127】また、逆に、端子46からは、送信マイク
ロ波と逆回転方向の波だけが強め合って出力される。こ
の場合には、端子46が第2の端子32に相当する。
【0128】上述したように、本実施の形態のマイクロ
波濃度測定装置では、気泡の量を測定してその影響を補
償するようにしているため、測定液体中に気泡がある場
合でも、高精度に濃度を測定することが可能となる。
【0129】(第5の実施の形態)図8は、本実施の形
態によるマイクロ波濃度測定装置の構成例を示すブロッ
ク図であり、図4と同一部分には同一符号を付してその
説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べ
る。
【0130】すなわち、本実施の形態のマイクロ波濃度
測定装置は、その基本的な構成は前述した従来例と同様
であり、測定側ヘテロダイン出力15を、図示しない
が、必要によりフィルタ等で高周波を減衰して、周波数
Δf成分を増幅するようにする。
【0131】また、信号レベル制御手段である可変ゲイ
ン増幅器47および電圧測定手段48を備え、可変ゲイ
ン増幅器47のゲインを、電圧測定手段48により測定
した値に基づいて制御し、測定側ヘテロダイン出力15
の振幅(レベル)を一定にするようにする。
【0132】次に、以上のように構成した本実施の形態
のマイクロ波濃度測定装置においては、可変ゲイン増幅
器47によって出力の振幅を一定にしていることによ
り、測定液体の温度や導電率によって、マイクロ波の減
衰が大きい場合でも、振幅の変化によりコンパレータ1
6の切り替わり時刻が変化することによる誤差が生じな
い。
【0133】また、測定信号レベルが小さい場合には、
信号を増幅して雑音に対するSN比を改善することがで
きるため、高精度に濃度を測定することができる。
【0134】上述したように、本実施の形態のマイクロ
波濃度測定装置では、混合した信号のレベルを一定にな
るように制御するようにしているため、測定液体の温度
や導電率によって、マイクロ波の減衰が大きい場合で
も、誤差が生じず、また測定信号レベルが小さい場合に
は、信号を増幅して雑音に対するSN比を改善できるた
め、高精度に濃度を測定することが可能となる。
【0135】(第6の実施の形態)図9は、本実施の形
態によるマイクロ波濃度測定装置の構成例を示すブロッ
ク図であり、図4と同一部分には同一符号を付してその
説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べ
る。
【0136】すなわち、本実施の形態のマイクロ波濃度
測定装置は、その基本的な構成は前述した従来例と同様
であり、測定側ヘテロダイン出力15を、図示しない
が、必要によりフィルタ等で高周波を減衰して、周波数
Δf成分を増幅するようにする。
【0137】また、破線で示す濃度計回路49は、同一
筐体内に納められている。この筐体に、筐体温度測定手
段である筐体温度計50を設置しており、この筐体温度
計50により筐体温度を測定し、この筐体温度が一定値
以下の場合には、筐体に設置した温度制御手段であるヒ
ータ制御回路51およびヒータ52により、筐体温度を
一定値になるように制御するようにする。
【0138】さらに、濃度計回路49の内部発熱や環境
温度によって回路温度が一定値以上になった場合には、
あらかじめ設定した補正値により、演算装置19で計測
値の補正を行なうようにする。
【0139】次に、以上のように構成した本実施の形態
のマイクロ波濃度測定装置においては、回路温度を一定
に制御あるいは補正していることにより、周囲の温度が
変化しても、回路温度変化による位相変化を防止して、
高精度に濃度を測定することができる。
【0140】また、電源投入時の温度が低い状態から,
早く安定な状態にすることができる。
【0141】さらに、温度が上がった時に、冷却を行な
うことは、回路が複雑になり、制御が簡単でなく、冷却
用の部品のコストが高くなるが、演算装置で19で計測
値を補正していることにより、回路を簡単に、低コスト
にすることができる。
【0142】上述したように、本実施の形態のマイクロ
波濃度測定装置では、筐体温度が一定値以下の場合に
は、温度を一定値になるように制御し、温度が一定値以
上の場合には、あらかじめ設定した補正値によって計測
値を補正するようにしているため、周囲の温度が変化し
ても、高精度に濃度を測定することが可能となり、また
回路が簡単になり、低コストにすることが可能となる。
【0143】(第7の実施の形態)図10は、本実施の
形態によるマイクロ波濃度測定装置の構成例を示すブロ
ック図であり、図8と同一部分には同一符号を付してそ
の説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べ
る。
【0144】すなわち、本実施の形態のマイクロ波濃度
測定装置は、その基本的な構成は前述した従来例と同様
であり、測定側ヘテロダイン出力15を、図示しない
が、必要によりフィルタ等で高周波を減衰して、周波数
Δf成分を増幅するようにする。
【0145】また、電圧測定手段48により測定した信
号レベルと温度計53により計測した測定液体の温度と
から、測定液体の温度、信号レベルによる位相変化を補
正して、濃度を算出するようにする。
【0146】さらに、信号レベルと測定液体の温度か
ら、測定液体の導電率と位相の補正値を算出し、導電率
による位相変化を補正して、濃度を算出するようにす
る。
【0147】ここで、補正演算を含む位相計算は、変数
が多く、それらと位相の関係は簡単には数式化できない
ことから、補正値演算手段であるニューラルネットワー
ク54により実現するようにする。このニューラルネッ
トワーク54の学習機能により、各変数と実際の濃度・
温度等を実際の測定で設定して学習させ、補正演算と位
相計算を行なうようにする。
【0148】次に、以上のように構成した本実施の形態
のマイクロ波濃度測定装置においては、受信した信号の
レベル、測定液体の温度から、測定液体の導電率と位相
の補正値を演算していることにより、測定液体の温度や
導電率によってマイクロ波の減衰が大きい場合や、測定
液体の温度によってマイクロ波の位相が変化する場合で
も、高精度に濃度を測定することができる。
【0149】すなわち、例えば塩分等が混入して被測定
対象の導電率が変化した場合には、前記(2)式、
(4)式に示したように、減衰率αが大きく変化する。
【0150】一方、測定液体の温度が変化すると、比誘
電率εr の変化があるので、温度を計測して、あらかじ
め決められた補正を行なうことにより、濃度の補正を行
なう。
【0151】位相差Δθは、 Δθ={θ2 −k(T−T0 )−γ(E−E0 )}−θ1 (11) ただし、 θ2 :被測定対象の位相 θ1 :基準の水の測定時位相 k :液温補正計数 T :液温 T0 :基準の水温 γ :導電率補正係数 E :被測定物の減衰量 E0 :基準水の減衰量 濃度Xは、 X=a×Δθ+b (12) ただし、 a:比例定数 b:バイアス 導電率の変化は、前述したように、減衰率αが大きく変
化する。εr の変化の影響もあるので、(11)式のγ
をεr の変化によりテーブルを作って選択する。
【0152】これにより、(11)式によりΔθを求
め、(12)式により、あらかじめ求められているa,
bにより濃度を計算する。
【0153】また、上記補正値の演算をニューラルネッ
トワーク54で実行していることにより、補正演算を容
易に実現することができる。
【0154】上述したように、本実施の形態のマイクロ
波濃度測定装置では、測定液体の温度、導電率、信号レ
ベルの変化による位相変化を補正しているため、測定液
体の温度や導電率によってマイクロ波の減衰が大きい場
合や、測定液体の温度によってマイクロ波の位相が変化
する場合でも、高精度に濃度を測定することが可能とな
る。
【0155】また、ニューラルネットワーク54によ
り、補正値を演算するようにしているため、補正演算を
容易に実現することが可能となる。
【0156】尚、前述した各実施の形態以外にも、複数
の各実施の形態を適宜組み合わせることによって、より
一層高性能なマイクロ波濃度測定装置を実現することが
可能である。
【0157】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のマイクロ
波濃度測定装置によれば、マイクロ波の回り込みや誘導
等がある場合でも、被測定対象中の固形物・懸濁物質の
濃度を高精度にかつリアルタイムで求めることが可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるマイクロ波濃度測定装置の第1の
実施の形態を示すブロック図。
【図2】同第1の実施の形態のマイクロ波濃度測定装置
における作用を説明するための図。
【図3】本発明によるマイクロ波濃度測定装置の第2の
実施の形態を示すブロック図。
【図4】本発明によるマイクロ波濃度測定装置の第3の
実施の形態を示すブロック図。
【図5】同第3の実施の形態のマイクロ波濃度測定装置
における一方のマイクロ波の位相を90度異なる2つの
値として測定する場合の計算方法を説明するための図。
【図6】本発明によるマイクロ波濃度測定装置の第4の
実施の形態を示すブロック図。
【図7】同第4の実施の形態のマイクロ波濃度測定装置
におけるアンテナの構成例を示す図。
【図8】本発明によるマイクロ波濃度測定装置の第5の
実施の形態を示すブロック図。
【図9】本発明によるマイクロ波濃度測定装置の第6の
実施の形態を示すブロック図。
【図10】本発明によるマイクロ波濃度測定装置の第7
の実施の形態を示すブロック図。
【図11】従来のマイクロ波濃度測定装置の構成例を示
すブロック図。
【符号の説明】
1…クロック源、 2…基準信号、 3…発振器、 4…増幅器、 5…スイッチ、 6…スイッチ、 7…送信アンテナ、 8…配管、 9…受信アンテナ、 10…増幅器、 11…参照用発振器、 12…受信信号、 13…参照信号、 14…ミキサ、 15…ヘテロダイン出力、 16…コ-ンパレータ、 17…測定デジタル信号、 18…位相差測定手段、 19…演算装置、 22…ミキサ、 23…基準側ヘテロダイン信号、 24…コンパレータ、 25…基準信号、 26…基準用端子、 27…固定基準、 28…周波数混合手段、 29…ハイブリッド、 30…送信アンテナ、 31…受信アンテナ、 32…第2の端子、 33…スイッチ、 34…基板、 35…パターン、 36,37…端子、 38…パターン、 39…送信マイクロ波、 40…ハイブリッド、 41…マイクロ波、 42…マイクロ波、 43…終端抵抗、 44…ハイブリッド、 45,46…端子、 47…可変ゲイン増幅器、 48…電圧測定手段、 49…濃度計回路、 50…筐体温度計、 51…ヒータ制御回路、 52…ヒータ、 53…温度計、 54…ニューラルネットワーク。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 下川 勝千 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中工場内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2つのマイクロ波のうちの一方のマイク
    ロ波を被測定対象に送出して受信した信号と他方のマイ
    クロ波とを混合して位相差を測定し濃度を計測するマイ
    クロ波濃度測定装置において、 前記一方のマイクロ波について複数の位相を発生するマ
    イクロ波発生手段と、 前記マイクロ波発生手段からの複数の位相による計測を
    行なう計測手段と、 前記計測手段からの計測値より被測定対象の濃度を算出
    する演算手段と、 を備えて成ることを特徴とするマイクロ波濃度測定装
    置。
  2. 【請求項2】 前記請求項1に記載のマイクロ波濃度測
    定装置において、 前記マイクロ波発生手段としては、一方のマイクロ波と
    して90度異なる2つの位相を発生するようにしたこと
    を特徴とするマイクロ波濃度測定装置。
  3. 【請求項3】 前記請求項1または請求項2に記載のマ
    イクロ波濃度測定装置において、 位相差をセンタ位置でカウントする位相カウント手段を
    有する位相差測定手段を備えて成ることを特徴とするマ
    イクロ波濃度測定装置。
  4. 【請求項4】 前記請求項1乃至請求項3のいずれか1
    項に記載のマイクロ波濃度測定装置で、測定値として被
    測定対象と固定基準とを切り替えて測定する方式のもの
    において、 前記固定基準として、外部の送信アンテナ位置からの信
    号を用いる固定基準測定手段を備えたことを特徴とする
    マイクロ波濃度測定装置。
  5. 【請求項5】 前記請求項1乃至請求項4のいずれか1
    項に記載のマイクロ波濃度測定装置において、 前記混合した信号のレベルを一定になるように制御する
    信号レベル制御手段を備えて成ることを特徴とするマイ
    クロ波濃度測定装置。
  6. 【請求項6】 前記請求項1乃至請求項5のいずれか1
    項に記載のマイクロ波濃度測定装置において、 測定装置本体が収納される筐体の温度を測定する筐体温
    度測定手段と、 前記筐体温度測定手段により測定された筐体温度が一定
    値以下の場合は、当該筐体温度を前記一定値になるよう
    に制御する温度制御手段と、 前記筐体温度測定手段により測定された筐体温度が一定
    値以上の場合は、あらかじめ設定した補正値により前記
    計測値を補正する補正手段と、 を備えて成ることを特徴とするマイクロ波濃度測定装
    置。
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