JP3643569B2 - マイクロ波濃度測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被測定対象中の固形物・懸濁物質の濃度を測定するマイクロ波を用いた濃度測定装置に係り、特に下水配管内の汚濁物質の濃度、製紙におけるパルプ、その他種々の物質の被測定対象中の濃度を、流れを妨げずに、高精度にかつリアルタイムで測定できるようにしたマイクロ波濃度測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、被測定対象、例えば測定液体中の固形物・懸濁物質の濃度を測定する一つの方法として、測定液体の一部をサンプリングし、その測定液体を蒸発させて残滓の重量を計るという原始的な方法がある。しかしながら、このような方法では、測定に時間がかかり、自動化を図ることは困難である。
【0003】
そのため、濃度計として多種のセンサが実用化されている。その一つとして、例えば超音波を用いた濃度計が用いられている。しかしながら、この超音波式の濃度計では、液体中に気泡がある場合に測定が行なえなくなるという問題点がある。
【0004】
そこで、最近では、このような問題点を解決するために、例えば“特開平4−238246号”に示されるような、マイクロ波を用いた濃度計が開発されてきている。
【0005】
このマイクロ波濃度計は、マイクロ波の位相が測定液体中の測定物質の濃度にほぼ比例した遅れを生じることから、マイクロ波の位相遅れを計測することによって濃度を計測するものである。
【0006】
以下、この種のマイクロ波濃度計による測定方法の概要について、図11を用いて説明する。
【0007】
図11は、この種の従来のマイクロ波濃度計の構成例を示すブロック図である。
【0008】
図11において、マイクロ波濃度計は、マイクロ波アンテナである、配管63に配置された送信用,受信用のアンテナ62,64と、マイクロ波回路である濃度計回路79と、演算装置81とから構成されている。
【0009】
発振器55は、周波数fの2つのマイクロ波信号56,57を発生する。一方のマイクロ波信号56は、増幅器58によって増幅され、スイッチ59,60が図11に示すような状態の時、送信信号61は、配管63に配置されたアンテナ62に送られて、被測定対象である測定液体を通している配管63中に送出され、アンテナ62に対向するように配管63に配置されたアンテナ64により受信される。
【0010】
参照用発振器65は、発振器55のマイクロ波信号56,57の周波数fと少し異なる周波数f+Δfの2つの参照信号66,67を発生する。他方のマイクロ波信号57と一方の参照信号66とはミキサ68により混合され、差の周波数Δfである基準側ヘテロダイン出力69が得られ、コンパレータ70によって電圧0をしきい値とする基準側デジタル信号θFB71に変換され、位相差測定手段72に送られる。
【0011】
アンテナ64による受信信号73は、増幅器74によって増幅され、当該増幅された受信信号73と他方の参照信号67とはミキサ75によって混合され、差の周波数Δfである測定側ヘテロダイン出力76が得られ、コンパレータ77によって測定側デジタル信号θREF 78に変換され、位相差測定手段72に送られる。
【0012】
位相差測定手段72は、2つのデジタル出力θFB71,θREF78の位相差ΦV を求める。この場合、位相差ΦV の求め方としては、図11に示すように、信号θFB,θREF の立ち上がりの時間差を位相差ΦVとして求めている。
【0013】
ここで、点線で示した濃度計回路79においては、回路内部の温度変化等により位相が変化し、誤差の原因となる。そこで、スイッチ59,60を図11に示すと反対側に切り替えて、固定基準80を通した位相差ΦR を計測して、これを位相差ΦV から引くことにより、前述の誤差を補償している。
【0014】
すなわち、求める位相差Φは、
Φ=ΦV −ΦR
となる。
【0015】
ここで、固定基準80としては、マイクロ波の信号レベルをアンテナ64で受信されるのと同等のレベルに落とすために、減衰器を用いる。
【0016】
あらかじめ基準の濃度における位相差に関するデータ(検量線データ)を求めておけば、そのデータを基に、求めた位相差Φから演算装置81により、測定液体中の測定物質の濃度を算出することができる。
【0017】
ここで、濃度をDとすると、位相差との関係は、
D=aΦ+b …(1)
のように、ほぼ1次式になるので、濃度を変えて位相差を測定して、回帰分析を行ない、aとbを決定すればよい。
【0018】
測定液体として導電性のある媒質(例えば水)中で、マイクロ波の減衰・位相遅れと、媒質の導電率σ、誘電率、温度tの関係は、理論的には以下のようになる。
【0019】
角周波数ω(rad/s)のマイクロ波の減衰率α(Neper/m)、位相変化率β(rad/m)は、(2)式、(3)式のように表わすことができる。
【0020】
【数1】
【0021】
ただし、σは導電率、εr ´,εr ''は媒質の複素比誘電率の実部と虚部である。
【0022】
測定物質である汚泥やパルプ等の濃度が変わると、実効的な誘電率が変わることが知られており、特に誘電率実部と濃度との相関性が高い。
【0023】
上記(2)式、(3)式で、
【数2】
であれば、すなわち誘電率虚部が小さく、導電率も小さければ、
【数3】
上記(4)式、(5)式で求めたα、βから、減衰量、位相遅れを求める。送信電力をP0 、z方向に進むマイクロ波電力をPとすると、
P=P0 exp(−2αz) …(6)
であり、減衰量は20αz/ln10(dB)になる。また、位相遅れは βz(rad)である。
【0024】
上述した方式では、位相遅れを求めることで、濃度を求める。上記(5)式に示すように、εr ´の微小変化領域では、εr ´とβが比例するため、βzから濃度が求められる。なお、αはβよりも相関度が小さいため、直接的には濃度測定に使用しない。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のマイクロ波濃度計では、次のような問題点がある。
【0026】
(a)測定液体の温度や導電率が変化すると、測定液体によるマイクロ波の減衰量が大幅に変化する。マイクロ波が減衰して測定側ヘテロダイン出力76の振幅が小さくなると、コンパレータ77によってデジタル化する時に、雑音やドリフトの影響によって切り替わりの時刻が変化し、結果的に測定誤差となる。
【0027】
(b)上記(a)と同様の理由により、受信信号73の電力が変化すると、電子回路の非直線性によって位相が変化するため、結果的に測定誤差を生じる。
【0028】
(c)電子回路の温度ドリフトの影響を固定基準により補償しているが、測定側ヘテロダイン出力76の信号レベルが変化すると、温度による影響が変化するため、完全には補償することができない。
【0029】
(d)濃度を位相変化で求めるため、受信信号73の位相が360度を越えると、正しく濃度を求めることができない。
すなわち、管径が大きかったり、測定物質が高濃度の場合には、位相が360度以上変化するため、位相変化から濃度が一意的に決まらなくなる。連続的に測定を続けていれば、例えば“特開平8−82606号”に示されるように、前後の関係で回転数を求めることができるが、一度空になると、次に被測定対象で満たされた場合に、正しい濃度を測定することができなくなる。
【0030】
(e)回路の配線パターンからの回り込みや誘導により、マイクロ波が液体中以外の場所を通って受信され、結果的に測定誤差を生じる。
【0031】
(f)測定液体中に気泡があると、マイクロ波の伝搬経路が長くなったり、マイクロ波の反射により複数の経路を通って受信される等の原因により、結果的に測定誤差を生じる。
【0032】
(g)測定液体の温度や導電率が変化すると、マイクロ波の位相が変化して誤差を生じる。そのため、温度および導電率を求めて補正を行なう必要があり、例えば“特開平9−43181号”に示されるように、導電率を測定する方法が提案されてきている。
しかしながら、導電率センサには汚れが付着し易く、測定精度の低下や保守作業といった問題があるため、実用化が困難である。
【0033】
本発明の目的は、被測定対象の温度・導電率の変化、装置内の温度変化等がある場合でも、被測定対象中の固形物・懸濁物質の濃度を高精度にかつリアルタイムで求めることが可能な低価格のマイクロ波濃度測定装置を提供することにある。
【0034】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明では、マイクロ波を被測定対象に送出して受信した信号と前記マイクロ波と異なる周波数のマイクロ波の参照信号とを混合して位相差を測定し濃度を計測するマイクロ波濃度測定装置において、被測定対象の温度を測定する被測定対象温度測定手段と、受信した信号のレベルと前記被測定対象温度測定手段により測定された被測定対象の温度とから、前記被測定対象の導電率の変化による位相の補正値を演算する補正値演算手段とを備えている。
【0035】
従って、請求項1の発明のマイクロ波濃度測定装置においては、受信した信号のレベル、被測定対象の温度から、被測定対象の導電率と位相の補正値を演算することにより、被測定対象の温度や導電率によってマイクロ波の減衰が大きい場合や、被測定対象の温度によってマイクロ波の位相が変化する場合でも、高精度に濃度を測定することができる。
【0038】
更に、請求項2の発明では、上記請求項1に記載のマイクロ波濃度測定装置において、位相差をセンタ位置でカウントする位相カウント手段を有する位相差測定手段を備えて成る。
【0039】
従って、請求項2の発明のマイクロ波濃度測定装置においては、上記請求項1の発明と同様の作用を奏する他、位相差をセンタ位置でカウントすることにより、測定誤差が生じず、高精度に濃度を測定することができる。
【0040】
一方、請求項3の発明では、上記請求項1または請求項2の発明のマイクロ波濃度測定装置で、測定値として被測定対象と固定基準とを切り替えて測定する方式のものにおいて、固定基準として、外部の送信アンテナ位置からの信号を用いる固定基準測定手段を備え、前記受信した信号を得る受信アンテナから測定装置本体の電子回路である濃度計回路の入口までの被測定対象測定用ケーブルの距離と、前記送信アンテナ位置から前記濃度計回路の入口までの固定基準用ケーブルの距離とを同じくしている。
【0041】
従って、請求項3の発明のマイクロ波濃度測定装置においては、上記請求項1または請求項2の発明と同様の作用を奏する他、外部の送信アンテナ位置からの信号を固定基準として測定することにより、回路内部の温度変化等によって位相変化がある場合でも、固定基準を通した位相差を計測して補償するため、高精度に濃度を測定することができる。
【0042】
また、請求項4の発明では、上記請求項1乃至請求項3のいずれか1つの発明のマイクロ波濃度測定装置において、混合した信号のレベルを一定になるように制御する信号レベル制御手段と、前記制御された信号を入力して測定デジタル信号を出力するコンパレータとを備えている。
【0043】
従って、請求項4の発明のマイクロ波濃度測定装置においては、上記請求項1乃至請求項3のいずれか1つの発明と同様の作用を奏する他、混合した信号のレベルを一定になるように制御することにより、被測定対象の温度や導電率によって、マイクロ波の減衰が大きい場合でも、誤差が生じず、また測定信号レベルが小さい場合、信号を増幅して雑音に対するSN比を改善できるため、高精度に濃度を測定することができる。
【0044】
さらに、請求項5の発明では、上記請求項1乃至請求項4のいずれか1つの発明のマイクロ波濃度測定装置において、測定装置本体が収納される筐体の温度を測定する筐体温度測定手段と、筐体温度測定手段により測定された筐体温度が一定値以下の場合は、当該筐体温度を前記一定値になるように制御する温度制御手段と、筐体温度測定手段により測定された筐体温度が一定値以上の場合は、あらかじめ設定した補正値により前記計測値を補正する補正手段とを備えている。
【0045】
従って、請求項5の発明のマイクロ波濃度測定装置においては、上記請求項1乃至請求項4のいずれか1つの発明と同様の作用を奏する他、筐体温度が一定値以下の場合には、温度を一定値になるように制御し、温度が一定値以上の場合には、あらかじめ設定した補正値によって計測値を補正することにより、周囲の温度が変化しても、高精度に濃度を測定することができ、また回路が簡単になり、低コストにすることができる。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0047】
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態によるマイクロ波濃度測定装置の構成例を示すブロック図である。
【0048】
図1において、クロック源1は、低周波の信号である、位相基準として基準信号(θREF )2を発生する。
【0049】
マイクロ波発生手段の一部を構成する発振器3は、PLL回路(フェーズド・ロック・ループ回路)を含むものであり、クロック源1からの基準信号2をPLL回路の同期信号として用いることにより、クロック源1からの基準信号2に同期して、周波数fのマイクロ波(請求項の一方のマイクロ波に相当)を発生する。
【0050】
発振器3からのマイクロ波は、増幅器4によって増幅し、スイッチ5とスイッチ6が図示状態の場合に、送信アンテナ7から配管8内の被測定対象である測定液体に送出して、受信アンテナ9により受信し、増幅器10により増幅して受信信号12とする。
【0051】
マイクロ波発生手段の一部を構成する参照用発振器11は、発振器3と同様に、PLL回路を含むものであり、クロック源1からの基準信号2をPLL回路の同期信号として用いることにより、クロック源1からの基準信号2に同期して、発振器3からのマイクロ波の周波数fとΔfだけ異なる周波数f+Δfのマイクロ波(請求項の他方のマイクロ波に相当)を、参照信号13として発生する。
【0052】
マイクロ波混合手段であるミキサ14は、受信信号12と参照信号13とを混合して、周波数Δfのヘテロダイン出力15を得る。このヘテロダイン出力15は、図示しないが、必要によりフィルタ等で不要高周波を減衰して、周波数Δf成分を増幅するようにする。
【0053】
コンパレータ16は、ヘテロダイン出力15を入力とし、測定デジタル信号 θFB17を出力する。
【0054】
位相差測定手段18は、測定デジタル信号17とクロック源1からの基準信号2とを比較して位相差を測定し、位相差Φを出力する。
【0055】
ここで、位相差測定手段18としては、本例では特に、位相差の実質的なセンタ位置で当該位相差をカウントする位相カウント手段を備えるようにしている。
【0056】
演算装置19は、位相差測定手段18からの位相差Φから、被測定対象の濃度を算出して出力する。
【0057】
次に、以上のように構成した本実施の形態のマイクロ波濃度測定装置においては、位相基準として、クロック源1により基準信号2を発生し、この基準信号2に同期して、発信器3と参照用発振器11により互いに周波数が異なる2つのマイクロ波を発生させ、一方のマイクロ波で測定した信号12と他方のマイクロ波13とを混合し、この混合により得られたヘテロダイン出力15に基づく測定デジタル信号θFB17とクロック源1からの基準信号2とを位相比較していることにより、前述した図11の従来例では、マイクロ波の混合手段であるミキサが2個必要であったのを、1個に削減することができる。すなわち、図11の従来例におけるミキサ68を省略することができる。
【0058】
これにより、高価なマイクロ波回路を省略でき、ミキサの後のコンパレータ回路(図11の従来例におけるコンパレータ70)も省略できるため、回路が極めて簡単になり、安価で信頼性が高いものとなる。
【0059】
すなわち、これが可能になったのは、2個のマイクロ波発振器3,11が、マイクロ波でない低周波のクロック源1と完全に同期するようにPLL回路により制御されていることにより、このクロック源1からの信号の低周波が基準の周波数として使用できるからである。
【0060】
なお、位相差測定に用いる基準信号θREF2は、測定デジタル信号θFB17との相対値を求めるのに用いられ、固定基準20から求めた基準信号θREF2と測定デジタル信号θFB17との相対値から、その絶対値が求められ、この絶対値と予め用意された検量線データとの比較により、測定液体中の測定物質の濃度が計算される。
【0061】
一方、本実施の形態のマイクロ波濃度測定装置においては、位相差の実質的なセンタ位置で位相差をカウントしていることにより、測定誤差が生じず、高精度に濃度を測定することができる。
【0062】
図2(a)〜(c)は、位相カウント手段の動作を説明する図である。
【0063】
図2において、θREF は基準信号2であり、θFBは測定デジタル信号17であり、前述した従来方式では、立ち上がりの時間差Φ1 を求めていたのに対して、図2(a)では、Φ1 とΦ2 の平均値を求めるようにしている。
【0064】
すなわち、ヘテロダイン出力15のDC成分や、ドリフトや、コンパレータ16のしきい値が厳密に0[v]でない等の原因により、図2(b),(c)に示すように、θFBの“0”と“1”の比率が異なる場合、前述した従来方式では、誤差が生じるが、本実施の形態のセンタ方式とすることにより、誤差が生じず、高精度に濃度を測定することができる。特に、マイクロ波の減衰が大きく、ヘテロダイン出力15の振幅が小さい場合に効果が大きい。
【0065】
上述したように、本実施の形態のマイクロ波濃度測定装置では、位相基準として、クロック源1により低周波の基準信号2を発生し、この低周波の基準信号2に同期して互いに周波数が異なる2つのマイクロ波をPLL制御により発生させ、一方のマイクロ波を測定液体に通して得た受信信号と他方のマイクロ波とを混合し、クロック源1からの基準信号2と位相比較をするようにしているため、回路が簡単になり、安価で信頼性が高いものとすることが可能となる。
【0066】
また、位相差の実質的なセンタ位置で位相差をカウントするようにしているため、測定誤差が生じず、高精度に濃度を測定することが可能となる。
【0067】
なお、本実施の形態は、前述した図11に示すような従来例に対しても適用することができる。
【0068】
(第1の実施の形態の変形例)
すなわち、本実施の形態のマイクロ波濃度測定装置では、前述した第1の実施の形態における発振器3および参照用発振器11として、複数の同一周波数差のマイクロ波を発生するようにする。
【0069】
すなわち、発振器3を、周波数f1 ,f2 のマイクロ波を発生するものとし、参照用発振器11を、周波数f1+Δf,f2+Δfのマイクロ波を発生するものとする。
【0070】
また、位相差測定手段18として、これら複数の同一周波数差のマイクロ波に基づいて位相差を測定するものとし、これらからのマイクロ波を切り替えて測定し、360度以上の位相差を測定するようにしている。
【0071】
次に、以上のように構成した本実施の形態のマイクロ波濃度測定装置においては、複数の同一周波数差のマイクロ波を発生し、切り替えて測定し、360度以上の位相差を測定していることにより、位相が360度を越えて変化する場合にも、正しい位相変化量を求めることができる。
【0072】
すなわち、本例では、2組の周波数f1 ,f2 とf1 +Δf,f2 +Δfを発生し、各々の組み合わせにおける位相差を計測する。そして、この2つの位相差から、位相変化の回転数を求め、360度を越える場合の位相変化を求める。
【0073】
ここで、2つの位相差をΦ1 、Φ2 とする。また、濃度0の時の位相差を、 f1 、f2 について各々Φ10、Φ20とし、濃度の変化によって次のように変化したとする。
【0074】
f1 :Φ10 → Φ1 +2πm (mは0または正の整数)
f2 :Φ20 → Φ2 +2πn (nは0または正の整数)
m、n、は回転数である。
【0075】
位相差の変化量ΔΦ1 、ΔΦ2 としては、
ΔΦ1 =Φ1 +2πm−Φ10 …(7)
ΔΦ2 =Φ2 +2πn−Φ20 …(8)
f1 、f2 における位相変化率をβ1 、β2 とすると、
ΔΦ2 =(β2 /β1 )・ΔΦ1 …(9)
である。
【0076】
(9)式の左辺から右辺を引き、上記(7)式、(8)式を代入すると、
Φ2 +2πn−Φ20−(β2 /β1 )・(Φ1 +2πm−Φ10)=0…(10)
実際には、位相差測定値に誤差があるから、上記(10)式の左辺に整数m、nを代入して、値が誤差の許容値以内になるm、nの組み合わせを求めればよい。
【0077】
このm、nから、上記(8)式、(9)式により位相差変化量ΔΦ1 、ΔΦ2 を求め、濃度を算出する。
【0078】
β2 /β1 は、上記(5)式よりεr ´が同じならf1 /f2 に等しい。f1 とf2 とは比較的近い値をとるため、εr ´は一般的にはそれほど大きく変化しない。
【0079】
上述したように、本実施の形態の変形例のマイクロ波濃度測定装置では、マイクロ波信号源である発信器3,11は、複数の同一周波数差のマイクロ波を発生し、切り替えて測定し、360度以上の位相差を測定するようにしているため、位相が360度を越えて変化する場合に、前述した“特開平8−82606号”のような方法を用いなくても、正しい位相変化量を求めることができる。
【0080】
これにより、管径が大きかったり、測定物質が高濃度の場合や、管内が一度空になってから測定液体で満たされた場合にも、正しい濃度を測定することが可能となる。
【0081】
なお、本実施の形態は、第1の実施の形態の変形例として説明したが、これに限らず、前述した図11に示すような従来例に対しても適用することができる。
【0082】
(第2の実施の形態)
図3は、本実施の形態によるマイクロ波濃度測定装置の構成例を示すブロック図であり、図1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0083】
すなわち、本実施の形態のマイクロ波濃度測定装置は、その基本的な構成は前述した従来例と同様であり、発振器3と参照用発振器11で発生したマイクロ波を、ミキサ22で混合して基準側ヘテロダイン信号23を求め、コンパレータ24によって基準信号25を求めるようにする。
【0084】
この測定側ヘテロダイン出力15は、図示しないが、必要によりフィルタ等で高周波を減衰して、周波数Δf成分を増幅するようにする。
【0085】
また、送信アンテナ7に隣接して、基準用端子26を設けている。すなわち、固定基準として、外部の送信アンテナ7位置からの信号を用いる固定基準測定手段を備えるようにしている。
【0086】
次に、以上のように構成した本実施の形態のマイクロ波濃度測定装置においては、固定基準を通した位相差を計測して補償していることにより、回路内部の温度変化等によって位相変化がある場合でも、高精度に濃度を測定することができる。
【0087】
特に、受信アンテナ9から電子回路である濃度計回路の入口までの距離と、基準用端子26から電子回路である濃度計回路の入口までの距離を同じくすることができる。このため、固定基準は、送信アンテナ7と受信アンテナ9までのケーブルによる位相遅れを補償することができ、かかる位相遅れの補償により、温度変化による位相変動を除くことができるため、精密な測定をすることができる。
【0088】
これに対し、前述した従来例では、固定減衰器を用いた固定基準であることから、ケーブルの温度が変化すると誤差が出る可能性がある。すなわち、前述した従来例では、回路内部の温度変化等によって位相が変化するため、固定基準を通した位相差ΦR を計測して、位相差ΦV から引くことにより位相変化を補償していた。
【0089】
これに対して、本実施の形態では、送信アンテナ7に隣接して基準用端子26を設け、これにより受信される信号を固定基準としている。そして、スイッチ6を基準用端子26側に切り替え、固定基準を通した位相差ΦR を計測して、位相差ΦV から引くことにより、前記の誤差を補償することが可能となる。
【0090】
なお、本実施の形態では、基準用端子26としては、送信アンテナ7からの電波を受信するアンテナとしたが、送信アンテナ7への電力の一部を分割して受け取る手段を用いるようにしてもよい。
【0091】
上述したように、本実施の形態のマイクロ波濃度測定装置では、固定基準を通した位相差を計測して補償するようにしているため、回路内部の温度変化等によって位相変化がある場合でも、高精度に濃度を測定することが可能となる。
【0092】
なお、本実施の形態は、第1の実施の形態の変形例として説明したが、これに限らず、前述した図11に示すような従来例に対しても適用することができる。
【0093】
(第3の実施の形態)
図4は、本実施の形態によるマイクロ波濃度測定装置の構成例を示すブロック図であり、図3と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0094】
すなわち、本実施の形態のマイクロ波濃度測定装置は、その基本的な構成は前述した従来例と同様であり、発振器3と参照用発振器11で発生したマイクロ波を、ミキサ22で混合して基準側ヘテロダイン信号23を求め、コンパレータ24によって基準信号25を求めるようにする。
【0095】
この測定側ヘテロダイン出力15は、図示しないが、必要によりフィルタ等で高周波を減衰して、周波数Δf成分を増幅するようにする。
【0096】
また、周波数混合手段28で、参照信号13の位相を複数の値として計測を行なう。特に、本例では、90度異なる2つの位相のマイクロ波を作って、ミキサ14により混合している。この90度異なる位相は、ハイブリッド29により作る。
【0097】
なお、固定基準27には、減衰器を用いている。
【0098】
次に、以上のように構成した本実施の形態のマイクロ波濃度測定装置においては、測定側ヘテロダイン出力15を得るための一方のマイクロ波を複数の位相値として、位相差を測定していることにより、回路の配線パターンからの回り込みや誘導があっても、複数の位相で計測して補償するため、高精度に濃度を測定することができる。
【0099】
また、ハイブリッド29は容易に入手可能であることから、90度またはその整数倍の位相のマイクロ波の発生を容易に実現することができる。
【0100】
すなわち、本実施の形態による位相計測は、図5(a)に示すように、90度異なる位相ΦI とΦQ を計測し、その平均を求めて、これを濃度値演算のための位相Φとしている。
【0101】
この方式で、測定液体を通過したマイクロ波の位相が、ある基準から+360度まで変化したとして、実験により測定される位相Φの誤差の特性の代表例を図5(b)に示す。
【0102】
すなわち、回路の配線パターンからの回り込みや誘導のように、固定の位相である外乱により、ΦI とΦQ はサイン成分の非直線性誤差を持っているが、これらΦI とΦQ の平均をとることにより得たΦは、誤差が相殺されて,位相Φは直線性の良いものとなる。
【0103】
なお、本実施の形態では、90度異なる2つの位相を用いたが、これ以外に、180度異なる2個の計測、あるいは、0°,90°,180°,270°の4個の計測を行なうようにすることもできる。
【0104】
また、本実施の形態では、参照信号の位相を変化させたが、受信信号の位相を変化させる方式、あるいはミキサを2個設けて、一方は0゜、他方は90゜というように、2組の回路を設けるようにすることもできる。
【0105】
上述したように、本実施の形態のマイクロ波濃度測定装置では、複数の位相で計測して補償するようにしているため、回路の配線パターンからの回り込みや誘導があっても、高精度に濃度を測定することが可能となる。これは、特に、受信されるマイクロ波の電力が小さい場合に効果が大きい。
【0106】
また、90度、またはその整数倍の位相を作るようにしているため、ハイブリッド29により容易に回路を実現することが可能となる。
【0107】
(第4の実施の形態)
図6は、本実施の形態によるマイクロ波濃度測定装置の構成例を示すブロック図であり、図4と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0108】
すなわち、本実施の形態のマイクロ波濃度測定装置は、その基本的な構成は前述した従来例と同様であり、測定側ヘテロダイン出力15を、図示しないが、必要によりフィルタ等で高周波を減衰して、周波数Δf成分を増幅するようにする。
【0109】
また、マイクロ波発生手段である送信アンテナ30は、直線偏波または円偏波のマイクロ波を送出する機能を有する。
【0110】
さらに、マイクロ波受信手段である受信アンテナ31には、第2の端子32を設け、スイッチ33を図6に示す状態から第2の端子32側へ切り替え、送信側が直線偏波の場合は、送信マイクロ波と同相のマイクロ波と、当該同相のマイクロ波に直角のマイクロ波を受信し、一方送信側が円偏波の場合には、送信マイクロ波と同一回転方向のマイクロ波と、送信マイクロ波と逆回転方向のマイクロ波を受信するようにする。
【0111】
被測定対象が測定液体である場合、測定液体中に気泡があると、これにマイクロ波が反射して、偏波面の方向や回転方向が変化する。この多重反射したマイクロ波を、第2の端子32により受信する。
【0112】
ここで、多重反射するマイクロ波の量は、気泡の量と正の相関があることから、演算装置19で二つの信号から気泡の量を計算して、位相計測値を補正するようにする。
【0113】
次に、以上のように構成した本実施の形態のマイクロ波濃度測定装置においては、送出するマイクロ波を直線偏波または円偏波として、受信するマイクロ波は送信側が直線偏波の場合は同相とこれに直角のマイクロ波を受信し、また送信側が円偏波の場合は同一回転方向および逆回転方向のマイクロ波を受信するようにし、さらに二つの信号より気泡の量を計算し位相計測値を補正していることにより、測定液体中に気泡がある場合でも、気泡の量を測定してその影響を補償するため、高精度に濃度を測定することができる。
【0114】
すなわち、直線偏波と円偏波の場合、反射の量を受信アンテナ31の第2の端子32で検出されるマイクロ波の強度として測定することができる。また、あらかじめ気泡の量と受信されるマイクロ波の強度、および位相変化の特性を求めておけば、気泡の量を測定して、位相への影響を補償することができる。
【0115】
以下、かかる点について、より具体的に説明する。
【0116】
送信アンテナ30と受信アンテナ31には共通部分があり、その基本的な構成を図7(a)に示す。
【0117】
図7(a)において、基板34は誘電体(比誘電率)から成っている。
【0118】
パターン35は、表側の正方形のベタパターンであり、薄膜状の金属である。1辺の長さは、λ/2(λは波長)であるが、基板34上のため、λは真空中の波長に比べると1/√εr に短縮されている。また、パターン35には、端子36および端子37が設置されている。
【0119】
ここで、端子36は、パターン35の中心の下で、中心から辺までの距離の約1/3の位置にある。また、端子37は、パターン35の中心の右で、中心から辺までの距離の約1/3の位置にある。
【0120】
パターン38は、裏側のベタのグラウンドパターン(これも薄膜状の金属)であり、端子36および端子37のリードを通すところだけ穴が開いている。
【0121】
送信アンテナ30と受信アンテナ31は、端子36と37が正しく向かい合う(アンテナの中心と端子36を結ぶ線同士が平行である)ように設置されている。
【0122】
送信アンテナ30から直線偏波を送出する場合には、端子37は設置せず、端子36にのみ給電すればよい。また、送信アンテナ30から円偏波を送出する場合には、図7(b)に示すように、送信マイクロ波39から、ハイブリッド40で、マイクロ波41と、90度位相が異なるマイクロ波42を作り、マイクロ波41を端子36、マイクロ波42を端子37に給電する。なお、ハイブリッド40には4つの端子があるが、残りの一つは終端抵抗43で終端されている。
【0123】
直線偏波を用いた場合には、被測定対象中の物体に反射して受信されるマイクロ波の偏波面は、送信マイクロ波とは異なっている。受信アンテナ31では、端子36からは送信マイクロ波と同一偏波面の成分、端子37からは送信マイクロ波と直交する偏波面の成分がそれぞれ受信される。この場合には、端子37が第2の端子32に相当する。
【0124】
円偏波を用いた場合には、被測定対象中の物体に反射して受信される円偏波のマイクロ波の回転方向は、送信マイクロ波とは反対方向になっている。すなわち、図7(c)に示すように、受信アンテナ31では、端子36および端子37で受信したマイクロ波をハイブリッド44に入れて合成する。なお、図面上の回転方向を変えないため、図7(c)は透視図として示している。
【0125】
ここで、送信側で、図7(b)に示すように、端子37へ、端子36に対して90度位相が遅れるマイクロ波を給電していたとすると、送信マイクロ波と同一回転方向の波を受信すると、端子37側が端子36側に対して90度位相が遅れている。逆回転方向の波の場合には、受信すると端子36側が端子37側に対して90度位相が遅れている。
【0126】
従って、ハイブリッド44で合成すると、端子45の出力は、送信マイクロ波と同一回転方向の波であれば、位相が合うため二つの入力を強め合うが、逆回転方向の波であれば、位相が180度異なるため相殺されて、送信マイクロ波と同一回転方向の波だけが出力される。
【0127】
また、逆に、端子46からは、送信マイクロ波と逆回転方向の波だけが強め合って出力される。この場合には、端子46が第2の端子32に相当する。
【0128】
上述したように、本実施の形態のマイクロ波濃度測定装置では、気泡の量を測定してその影響を補償するようにしているため、測定液体中に気泡がある場合でも、高精度に濃度を測定することが可能となる。
【0129】
(第5の実施の形態)
図8は、本実施の形態によるマイクロ波濃度測定装置の構成例を示すブロック図であり、図4と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0130】
すなわち、本実施の形態のマイクロ波濃度測定装置は、その基本的な構成は前述した従来例と同様であり、測定側ヘテロダイン出力15を、図示しないが、必要によりフィルタ等で高周波を減衰して、周波数Δf成分を増幅するようにする。
【0131】
また、信号レベル制御手段である可変ゲイン増幅器47および電圧測定手段48を備え、可変ゲイン増幅器47のゲインを、電圧測定手段48により測定した値に基づいて制御し、測定側ヘテロダイン出力15の振幅(レベル)を一定にするようにする。
【0132】
次に、以上のように構成した本実施の形態のマイクロ波濃度測定装置においては、可変ゲイン増幅器47によって出力の振幅を一定にしていることにより、測定液体の温度や導電率によって、マイクロ波の減衰が大きい場合でも、振幅の変化によりコンパレータ16の切り替わり時刻が変化することによる誤差が生じない。
【0133】
また、測定信号レベルが小さい場合には、信号を増幅して雑音に対するSN比を改善することができるため、高精度に濃度を測定することができる。
【0134】
上述したように、本実施の形態のマイクロ波濃度測定装置では、混合した信号のレベルを一定になるように制御するようにしているため、測定液体の温度や導電率によって、マイクロ波の減衰が大きい場合でも、誤差が生じず、また測定信号レベルが小さい場合には、信号を増幅して雑音に対するSN比を改善できるため、高精度に濃度を測定することが可能となる。
【0135】
(第6の実施の形態)
図9は、本実施の形態によるマイクロ波濃度測定装置の構成例を示すブロック図であり、図4と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0136】
すなわち、本実施の形態のマイクロ波濃度測定装置は、その基本的な構成は前述した従来例と同様であり、測定側ヘテロダイン出力15を、図示しないが、必要によりフィルタ等で高周波を減衰して、周波数Δf成分を増幅するようにする。
【0137】
また、破線で示す濃度計回路49は、同一筐体内に納められている。この筐体に、筐体温度測定手段である筐体温度計50を設置しており、この筐体温度計50により筐体温度を測定し、この筐体温度が一定値以下の場合には、筐体に設置した温度制御手段であるヒータ制御回路51およびヒータ52により、筐体温度を一定値になるように制御するようにする。
【0138】
さらに、濃度計回路49の内部発熱や環境温度によって回路温度が一定値以上になった場合には、あらかじめ設定した補正値により、演算装置19で計測値の補正を行なうようにする。
【0139】
次に、以上のように構成した本実施の形態のマイクロ波濃度測定装置においては、回路温度を一定に制御あるいは補正していることにより、周囲の温度が変化しても、回路温度変化による位相変化を防止して、高精度に濃度を測定することができる。
【0140】
また、電源投入時の温度が低い状態から,早く安定な状態にすることができる。
【0141】
さらに、温度が上がった時に、冷却を行なうことは、回路が複雑になり、制御が簡単でなく、冷却用の部品のコストが高くなるが、演算装置で19で計測値を補正していることにより、回路を簡単に、低コストにすることができる。
【0142】
上述したように、本実施の形態のマイクロ波濃度測定装置では、筐体温度が一定値以下の場合には、温度を一定値になるように制御し、温度が一定値以上の場合には、あらかじめ設定した補正値によって計測値を補正するようにしているため、周囲の温度が変化しても、高精度に濃度を測定することが可能となり、また回路が簡単になり、低コストにすることが可能となる。
【0143】
(第7の実施の形態)
図10は、本実施の形態によるマイクロ波濃度測定装置の構成例を示すブロック図であり、図8と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0144】
すなわち、本実施の形態のマイクロ波濃度測定装置は、その基本的な構成は前述した従来例と同様であり、測定側ヘテロダイン出力15を、図示しないが、必要によりフィルタ等で高周波を減衰して、周波数Δf成分を増幅するようにする。
【0145】
また、電圧測定手段48により測定した信号レベルと温度計53により計測した測定液体の温度とから、測定液体の温度、信号レベルによる位相変化を補正して、濃度を算出するようにする。
【0146】
さらに、信号レベルと測定液体の温度から、測定液体の導電率と位相の補正値を算出し、導電率による位相変化を補正して、濃度を算出するようにする。
【0147】
ここで、補正演算を含む位相計算は、変数が多く、それらと位相の関係は簡単には数式化できないことから、補正値演算手段であるニューラルネットワーク54により実現するようにする。このニューラルネットワーク54の学習機能により、各変数と実際の濃度・温度等を実際の測定で設定して学習させ、補正演算と位相計算を行なうようにする。
【0148】
次に、以上のように構成した本実施の形態のマイクロ波濃度測定装置においては、受信した信号のレベル、測定液体の温度から、測定液体の導電率と位相の補正値を演算していることにより、測定液体の温度や導電率によってマイクロ波の減衰が大きい場合や、測定液体の温度によってマイクロ波の位相が変化する場合でも、高精度に濃度を測定することができる。
【0149】
すなわち、例えば塩分等が混入して被測定対象の導電率が変化した場合には、前記(2)式、(4)式に示したように、減衰率αが大きく変化する。
【0150】
一方、測定液体の温度が変化すると、比誘電率εr の変化があるので、温度を計測して、あらかじめ決められた補正を行なうことにより、濃度の補正を行なう。
【0151】
位相差Δθは、
Δθ={θ2 −k(T−T0 )−γ(E−E0 )}−θ1 (11)
ただし、
θ2 :被測定対象の位相
θ1 :基準の水の測定時位相
k :液温補正計数
T :液温
T0 :基準の水温
γ :導電率補正係数
E :被測定物の減衰量
E0 :基準水の減衰量
濃度Xは、
X=a×Δθ+b (12)
ただし、
a:比例定数
b:バイアス
導電率の変化は、前述したように、減衰率αが大きく変化する。εr の変化の影響もあるので、(11)式のγをεr の変化によりテーブルを作って選択する。
【0152】
これにより、(11)式によりΔθを求め、(12)式により、あらかじめ求められているa,bにより濃度を計算する。
【0153】
また、上記補正値の演算をニューラルネットワーク54で実行していることにより、補正演算を容易に実現することができる。
【0154】
上述したように、本実施の形態のマイクロ波濃度測定装置では、測定液体の温度、導電率、信号レベルの変化による位相変化を補正しているため、測定液体の温度や導電率によってマイクロ波の減衰が大きい場合や、測定液体の温度によってマイクロ波の位相が変化する場合でも、高精度に濃度を測定することが可能となる。
【0155】
また、ニューラルネットワーク54により、補正値を演算するようにしているため、補正演算を容易に実現することが可能となる。
【0156】
尚、前述した各実施の形態以外にも、複数の各実施の形態を適宜組み合わせることによって、より一層高性能なマイクロ波濃度測定装置を実現することが可能である。
【0157】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のマイクロ波濃度測定装置によれば、被測定対象の温度・導電率の変化、装置内の温度変化等がある場合でも、被測定対象中の固形物・懸濁物質の濃度を高精度にかつリアルタイムで求めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるマイクロ波濃度測定装置の第1の実施の形態を示すブロック図。
【図2】同第1の実施の形態のマイクロ波濃度測定装置における作用を説明するための図。
【図3】本発明によるマイクロ波濃度測定装置の第2の実施の形態を示すブロック図。
【図4】本発明によるマイクロ波濃度測定装置の第3の実施の形態を示すブロック図。
【図5】同第3の実施の形態のマイクロ波濃度測定装置における一方のマイクロ波の位相を90度異なる2つの値として測定する場合の計算方法を説明するための図。
【図6】本発明によるマイクロ波濃度測定装置の第4の実施の形態を示すブロック図。
【図7】同第4の実施の形態のマイクロ波濃度測定装置におけるアンテナの構成例を示す図。
【図8】本発明によるマイクロ波濃度測定装置の第5の実施の形態を示すブロック図。
【図9】本発明によるマイクロ波濃度測定装置の第6の実施の形態を示すブロック図。
【図10】本発明によるマイクロ波濃度測定装置の第7の実施の形態を示すブロック図。
【図11】従来のマイクロ波濃度測定装置の構成例を示すブロック図。
【符号の説明】
1…クロック源、
2…基準信号、
3…発振器、
4…増幅器、
5…スイッチ、
6…スイッチ、
7…送信アンテナ、
8…配管、
9…受信アンテナ、
10…増幅器、
11…参照用発振器、
12…受信信号、
13…参照信号、
14…ミキサ、
15…ヘテロダイン出力、
16…コ-ンパレータ、
17…測定デジタル信号、
18…位相差測定手段、
19…演算装置、
22…ミキサ、
23…基準側ヘテロダイン信号、
24…コンパレータ、
25…基準信号、
26…基準用端子、
27…固定基準、
28…周波数混合手段、
29…ハイブリッド、
30…送信アンテナ、
31…受信アンテナ、
32…第2の端子、
33…スイッチ、
34…基板、
35…パターン、
36,37…端子、
38…パターン、
39…送信マイクロ波、
40…ハイブリッド、
41…マイクロ波、
42…マイクロ波、
43…終端抵抗、
44…ハイブリッド、
45,46…端子、
47…可変ゲイン増幅器、
48…電圧測定手段、
49…濃度計回路、
50…筐体温度計、
51…ヒータ制御回路、
52…ヒータ、
53…温度計、
54…ニューラルネットワーク。
Claims (5)
- マイクロ波を被測定対象に送出して受信した信号と前記マイクロ波と異なる周波数のマイクロ波の参照信号とを混合して位相差を測定し濃度を計測するマイクロ波濃度測定装置において、
前記被測定対象の温度を測定する被測定対象温度測定手段と、
前記受信した信号のレベルと前記被測定対象温度測定手段により測定された被測定対象の温度とから、前記被測定対象の導電率の変化による位相の補正値を演算する補正値演算手段と、
を備えて成ることを特徴とするマイクロ波濃度測定装置。 - 前記請求項1に記載のマイクロ波濃度測定装置において、
位相差をセンタ位置でカウントする位相カウント手段を有する位相差測定手段を備えて成ることを特徴とするマイクロ波濃度測定装置。 - 前記請求項1または請求項2に記載のマイクロ波濃度測定装置で、測定値として被測定対象と固定基準とを切り替えて測定する方式のものにおいて、
前記固定基準として、外部の送信アンテナ位置からの信号を用いる固定基準測定手段を備え、
前記受信した信号を得る受信アンテナから測定装置本体の電子回路である濃度計回路の入口までの被測定対象測定用ケーブルの距離と、前記送信アンテナ位置から前記濃度計回路の入口までの固定基準用ケーブルの距離とを同じくしたことを特徴とするマイクロ波濃度測定装置。 - 前記請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のマイクロ波濃度測定装置において、
前記混合した信号のレベルを一定になるように制御する信号レベル制御手段と、
前記制御された信号を入力して測定デジタル信号を出力するコンパレータと
を備えて成ることを特徴とするマイクロ波濃度測定装置。 - 前記請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のマイクロ波濃度測定装置において、
測定装置本体が収納される筐体の温度を測定する筐体温度測定手段と、
前記筐体温度測定手段により測定された筐体温度が一定値以下の場合は、当該筐体温度を前記一定値になるように制御する温度制御手段と、
前記筐体温度測定手段により測定された筐体温度が一定値以上の場合は、あらかじめ設定した補正値により前記計測値を補正する補正手段と、
を備えて成ることを特徴とするマイクロ波濃度測定装置。
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