JP2002347248A - 液体吐出装置およびその製造方法ならびにインクジェットプリンタ - Google Patents

液体吐出装置およびその製造方法ならびにインクジェットプリンタ

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JP2002347248A
JP2002347248A JP2002071853A JP2002071853A JP2002347248A JP 2002347248 A JP2002347248 A JP 2002347248A JP 2002071853 A JP2002071853 A JP 2002071853A JP 2002071853 A JP2002071853 A JP 2002071853A JP 2002347248 A JP2002347248 A JP 2002347248A
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JP
Japan
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substrate
ink
supply path
nozzles
liquid
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JP2002071853A
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English (en)
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Nobuo Matsumoto
伸雄 松本
Masao Mitani
正男 三谷
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Fujifilm Holdings Corp
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Fuji Photo Film Co Ltd
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】良好な生産性および得率、高い精度を有する液
体吐出装置およびその製造方法ならびにこの液体吐出装
置をインクジェット記録ヘッドとして利用するインクジ
ェットプリンタを提供する。 【解決手段】基板の一方の側に設けられた複数のノズル
と、基板に対して複数のノズルと逆側の面からサンドブ
ラスト加工法によって形成され、かつ基板に対して複数
のノズルと同じ側の面からエッチング加工法によって形
成された液体供給路を有することにより、上記課題を解
決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録ヘッド等に利用される液体吐出装置の技術分野に属
し、詳しくは、生産効率および得率が高く、しかも、高
精度で液滴を吐出可能な液体吐出装置、および、この液
体吐出装置の製造方法、ならびに、この液体吐出装置を
利用するインクジェットプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】ヒータによる加熱でインクの一部を急速
に気化させ、その膨張力等によってインク液滴をノズル
から吐出させる、サーマルインクジェットが各種のプリ
ンタに利用されている(特開昭48−9622号公報、
同54−51837号公報等参照)。また、静電気で振
動板を振動して、そのエネルギによってインク液滴をノ
ズルから吐出させる、静電方式のインクジェットを利用
するプリンタも知られている(特開平11−30985
0号公報等参照)。
【0003】このようなインクジェットのうち、いわゆ
る、トップシュータ型のサーマルインクジェットの記録
ヘッドの一例の概略図を図9に示す。図9において、
(A)は、記録ヘッドをインク吐出方向から見た図(以
下、平面図とする)で、(B)は、そのIV−IV線断面図
である。図9(A)に示されるように、記録ヘッド15
0は、インクを吐出するノズル20が一方向(図9
(B)では、紙面に垂直方向)に配列されて多数形成さ
れている。また、図示例では、このノズル20の列(以
下、ノズル列とする)を2列有することにより、記録密
度を向上している。
【0004】この記録ヘッド150は、Si(シリコ
ン)基板12に、個々のノズル20に対応するインク吐
出手段としてのヒータ(図示省略)、各ヒータを駆動す
る駆動用集積回路14が形成され、さらに、これらの上
に、各ノズル20(ヒータ)への個別のインク流路を形
成する隔壁15等が積層されている。また、ノズル20
は、隔壁15上に積層/貼着されるオリフィスプレート
22に形成される。さらに、記録ヘッド150のSi基
板12には、複数のノズル20の個別のインク流路にイ
ンクを供給するインク溝152、および、このインク溝
152にインクを供給するインク供給孔154が形成さ
れる。インク溝152は、Si基板12の表面を掘り下
げるようにして、ノズル列方向に延在して形成され、他
方、インク供給孔154は、Si基板12の裏面とイン
ク溝152とを連通して、ノズル列方向に所定の間隔で
配列されて穿孔される。
【0005】このような記録ヘッド150は、通常、S
i基板12を主体とするSiチップの状態で扱われるこ
とはなく、フレーム24に実装されて、インクジェット
プリンタのヘッドユニット(例えば、いわゆるカートリ
ッジ)等に装着される。フレーム24には、ヘッドユニ
ットに接続されたインクタンクから供給されたインク
を、記録ヘッド150のインク供給孔154に供給する
ためのインク流路26が形成される。
【0006】記録ヘッド150において、フレーム24
のインク流路26から供給されたインクは、Si基板1
2の裏面側からインク供給孔154に流入して、連通す
るインク溝152に導入され、インク溝152から、隔
壁15で形成される各ノズル20への個別のインク流路
を流れて、ヒータの発熱によって、ノズル20から吐出
される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このようなSi基板1
2に、ヒータ等のインク吐出手段(図示例のサーマルイ
ンクジェットのみならず、前述の静電式の振動板等も含
む)を形成する記録ヘッド150は、製膜技術やフォト
リソグラフィーを用いた半導体製造技術を利用して作製
することができる。
【0008】ここで、図示例のようなトップシュータ型
の記録ヘッド150では、Si基板12を貫通するイン
クの供給流路が必須であり、通常、図示例のように、各
ノズルの個別のインク流路にインクを供給するインク溝
152、および、Si基板12の裏面からインク溝15
2にインクを供給するインク供給孔154が形成され
る。このようなインク溝152およびインク供給孔15
4の加工方法としては、Si基板12のエッチングによ
る加工、レーザ加工、サンドブラストによる加工等が知
られている。
【0009】しかしながら、Si基板のエッチングは、
ウエットエッチングもドライエッチングも共に、加工精
度には優れるものの、加工効率が悪いという欠点があ
る。レーザ加工は、加工効率および加工精度が共に低
く、また、加工後に発生するスプラッシュ(加工カス)
を除去する必要があり、手間もかかるという問題があ
る。
【0010】サンドブラストは、加工効率には優れる
が、衝撃による研削加工であるため、加工精度が低く、
例えば、図9(B)に示されるようにインク溝152の
エッジ部のSi基板12が欠ける等の破損が発生する可
能性も高いという問題がある。また、このような欠けが
有ると、インクの流れが均一にならず、各ノズル20に
安定して適正量のインクを供給できなくなる上に、この
欠けからインクが浸入して、Si基板12に形成されて
いる駆動用集積回路14等を破壊してしまう場合もある
という問題がある。また、インク溝152等の加工は、
通常、駆動用集積回路14等を作製した後に行うが、サ
ンドブラストでは、加工中に静電気が発生するため、駆
動用集積回路14の絶縁層に帯電し、これにより駆動用
集積回路14等が静電破壊されてしまう場合もある。す
なわち、サンドブラストは、加工効率は良好であるが、
加工精度が低く、かつ、得率も低いという問題がある。
【0011】本発明の目的は、上記従来技術の問題点を
解消し、Si等の基板に静電気などで振動される振動板
やヒータ等の液体の吐出手段が形成されてなる、インク
ジェット記録ヘッド等に利用される液体吐出装置であっ
て、良好な生産性および得率を有し、かつ、必要な部分
は高い精度を有する液体吐出装置、および、この液体吐
出装置の製造方法、ならびに、この液体吐出装置をイン
クジェット記録ヘッドとして利用するインクジェットプ
リンタを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の第1の態様は、基板の一方の側に設けられ
た複数のノズルと、前記基板に対して前記複数のノズル
と逆側の面からサンドブラスト加工法によって形成さ
れ、かつ、前記基板に対して前記複数のノズルと同じ側
の面からエッチング加工法によって形成された液体供給
路を有することを特徴とする液体吐出装置を提供するも
のである。
【0013】ここで、上記液体吐出装置であって、さら
に、前記基板の前記複数のノズルと同じ側の面に形成さ
れた、前記複数のノズルの各ノズルに対応する液滴の吐
出手段と、前記各ノズルに液体を供給するための、前記
各ノズルを分離する隔壁によって形成される液体流路と
を備え、前記ノズルは、前記隔壁の上に積層される部材
に穿孔されるものであり、前記液体供給路は、前記基板
に前記エッチング加工法によって形成される第1供給路
および前記基板に前記サンドブラスト加工法によって形
成される第2供給路からなり、前記隔壁の高さをH、前
記ノズルの長さをh、前記第1供給路の長さをLとした
際に、Hが6μm以下、hが10μm以下で、かつ、5
H+h≧L≧2H+hを満たすのが好ましい。
【0014】また、本発明の第1の態様は、複数のノズ
ルと、基板の一方の面に形成され、前記複数のノズルの
各ノズルに対応する液滴の吐出手段と、前記各ノズルに
液体を供給する個別流路と、前記基板の個別流路と同じ
側の面からエッチング加工法によって形成された、複数
の前記個別流路に対応して液体を供給する表面供給路
と、前記基板の表面供給路と逆側の面からサンドブラス
ト加工法によって形成された、前記表面供給路に連通す
る裏面供給路とを有することを特徴とする液体吐出装置
を提供するものである。
【0015】ここで、前記個別流路は、前記各ノズルを
分離する隔壁によって形成され、前記ノズルは、前記隔
壁の上に積層構成される部材に穿孔されるものであり、
前記隔壁の高さをH、前記ノズルの長さをh、前記表面
供給路の前記個別流路寄りの端部と前記吐出手段との距
離をLとした際に、Hが6μm以下、hが10μm以下
で、かつ、5H+h≧L≧2H+hを満たすのが好まし
く、また、前記基板の厚さが、600μm以上で、前記
エッチング加工法によって形成される表面供給路が、2
0μm〜400μmの深さであるのが好ましく、さら
に、前記基板の面と略直交する方向に液体を吐出するの
が好ましい。
【0016】また、本発明の第2の態様は、複数のノズ
ル、基板の一方の面に形成され、かつ前記複数のノズル
の各ノズルに対応する液滴の吐出手段、前記各ノズルに
液体を供給する個別流路、複数の前記個別流路に液体を
供給する表面供給路、および前記表面供給路に液体を供
給する裏面供給路を有する液体吐出装置を製造するに際
し、前記基板の前記個別流路と逆側の面から、サンドブ
ラスト加工法によって前記裏面供給路を形成し、前記基
板の前記個別流路と同じ側の面から、エッチング加工法
によって表面供給路を形成することにより、前記基板を
貫通し、前記裏面供給路と表面供給路とを連通すること
を特徴とする液体吐出装置の製造方法を提供するもので
ある。
【0017】ここで、前記裏面供給路を前記サンドブラ
スト加工法によって形成した後に、前記表面供給路を前
記エッチング加工法によって形成するのが好ましく、前
記裏面供給路は、前記基板に前記吐出手段およびこの吐
出手段の駆動手段を形成した後に、前記基板をアースし
た状態で形成されるのが好ましい。
【0018】さらに、本発明の第3の態様は、本発明の
第1の態様の液体吐出装置、または本発明の第2の態様
の製造方法によって製造された液体吐出装置をインク液
滴の吐出装置として用いることを特徴とするインクジェ
ットプリンタを提供するものである。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の液体吐出装置、お
よび、この液体吐出装置の製造方法、ならびに、この液
体吐出装置を用いるインクジェットプリンタを、添付の
図面に示される好適実施形態に基づいて詳細に説明す
る。
【0020】以下の説明は、本発明の液体吐出装置を、
ヒータによる加熱によってインクの核沸騰を発生させ
て、その膨張力ならびに破裂力によってインクの液滴を
吐出する、いわゆる、サーマルインクジェットのインク
ジェット記録ヘッドに利用した実施形態で行う。
【0021】しかしながら、本発明は、これに限定はさ
れず、基板にヒータや、静電気または磁力等で振動され
る振動板等の液体吐出手段が形成されたものであれば、
インクジェット記録ヘッド以外にも、各種の用途に好適
に利用可能である。さらに、基板も、図示例のSi(シ
リコン)基板に限定はされず、各種のものが利用可能で
あり、例えば、Si化合物、各種の金属(合金や化合物
を含む)、セラミックス、ガラス等の基板が好適に例示
される。
【0022】また、図示例のように、本発明の液体吐出
装置をインクジェット記録ヘッドに利用する際には、図
示例のサーマルインクジェット記録ヘッド以外にも、各
種のインクジェット記録ヘッドに利用可能である。例え
ば、ノズルが形成されたインク室を有し、かつ、このイ
ンク室の1壁面が振動板となっており、静電気力や磁力
によって振動板を振動させて、その振動エネルギによっ
て、ノズルからインクを吐出し、かつ、インク室にイン
クを流入する、静電方式等のインクジェット記録ヘッド
にも、好適に利用可能である。
【0023】また、本発明に係るインクジェット記録ヘ
ッドは、インクジェット記録用紙または受像紙(以下、
単に記録用紙という)の断続的な搬送に組み合わされ
て、キャリッジによってノズル列と直交する方向に走査
される、シリアルタイプのプリンタに対応する小型のイ
ンクジェット記録ヘッドであってもよく、あるいは、記
録用紙の一辺の全域(あるいは、それを超える領域)に
対応してノズル列が延在する、いわゆるラインヘッドで
あってもよい。
【0024】さらに、図示例は、Si基板面に対して略
直交する方向にインクを吐出する、いわゆるトップシュ
ータ型(フェイスインクジェット)のインクジェット記
録ヘッドであるが、これ以外にも、Si基板面と略平行
にインクを吐出する、サイドシュータ型(エッジインク
ジェット)のインクジェット記録ヘッドでもよい。ここ
で、トップシュータ型のインクジェット記録ヘッド、特
に、表面インク供給路(図示例では、インク溝16に相
当)の両側にノズルを配置できるセンターフィード形式
のトップシュータ型のインクジェット記録ヘッドでは、
Si基板を貫通して形成されるインク供給路(図示例で
は、インク溝16およびインク供給孔18に相当)が必
須である。そのため、本発明は、特に、センターフィー
ド形式のトップシュータ型のインクジェット記録ヘッド
には、好適である。
【0025】図1に、本発明に係るインクジェット記録
ヘッドの一実施形態の概略図を示す。図1において、
(A)は、インクジェット記録ヘッドをインクの吐出
(飛翔)側から見た図(平面図)であり、(B)は、そ
のI−I線断面図である。ここで、図1に示されるイン
クジェット記録ヘッド10(以下、記録ヘッド10とす
る)は、大部分が、前述の図9に示される記録ヘッド1
50と同様であるので、同じ部位には同じ符号を付し、
以下の説明は異なる部位を主に行う。
【0026】前述の図9に示される記録ヘッド150と
同様、記録ヘッド10は、インクを吐出するノズル20
が一方向(図1(B)では、紙面に垂直方向)に配列さ
れて多数形成されており、また、このノズル20の列
(以下、ノズル列とする)を2列有することにより、記
録密度を向上している。なお、本発明に係る記録ヘッド
10は、ノズル列を2列有するのに限定はされず、ノズ
ル列は1列であってもよく、あるいは、3列以上のノズ
ル列を有するものであってもよい。また、各ノズル列か
ら吐出するインクの色およびその組み合わせも、任意で
ある。
【0027】図示例の記録ヘッド10においても、Si
(シリコン)基板12(Siウエハ)の一方の側の面
に、ヒータ(図2の符号36参照)やヒータの駆動用集
積回路14等が形成され、さらに、これらの上には、各
ノズル20(ヒータ)への個別のインク流路(図2の符
号48参照)を形成する隔壁15が積層される。なお、
本発明では、Si基板12は、ヒータ等が形成される側
の面を表面、逆側(他方の側)の面を裏面とする。
【0028】さらに、先の例と同様に、Si基板12に
は、複数のノズル20の各ノズルの個別のインク流路
(後述する個別インク流路48)の全てにインクを供給
するインク溝16、およびこのインク溝16にインクを
供給するインク供給孔18が形成される。インク溝16
は、Si基板12の表面を掘り下げるようにして、ノズ
ル列の全域に対応して形成され、他方、インク供給孔1
8は、裏面からインク溝16に連通するようにSi基板
12を貫通して、ノズル列方向に所定間隔で、複数、穿
孔される。
【0029】なお、図示例においては、インク溝16
は、1本で、全てのノズル20に個々に対応する全ての
個別のインク流路にインクを供給している。しかしなが
ら、本発明はこれに限定はされず、ノズル列方向に分割
された複数のインク溝、およびノズル列方向と略平行な
複数のインク溝の少なくとも一方を有し、それぞれのイ
ンク溝が、異なる領域の複数の個別のインク流路にイン
クを供給するようにしてもよい。また、インク溝16に
インクを供給する裏面供給路も、図示例のような、ノズ
ル列方向に所定間隔で形成されるインク供給孔18に限
定はされず、例えば、孔状ではなく、ノズル列方向に延
在するスリット状の供給路であってもよい。
【0030】ここで、本発明に係る記録ヘッド10にお
いては、インク溝16はSi基板12の表面側から、S
iのエッチング(異方性でも等方性でも可)によって形
成され、他方、インク供給孔18は、Si基板12の裏
面側からサンドブラストによって形成される。
【0031】前述したように、センターフィード形式の
トップシュータ型の記録ヘッド10は、Si基板12を
貫通するインクの供給路が必須であり、通常、図示例の
ように、複数(図示例では全て)のノズル20の個別の
インク流路(48)に対応してインクを供給するインク
溝16(表面供給路)、および、裏面側からインク溝1
6にインクを供給するインク供給孔18(裏面供給路)
が形成される。このようなインク溝やインク供給孔の形
成は、従来、Si基板のエッチング、レーザ加工法、サ
ンドブラスト等の種々の加工法で行われているが、いず
れの加工法も、加工効率が悪い、加工精度が低い、手間
がかかる等、何らかの問題を有しているのは前述した通
りである。
【0032】これに対し、本発明の記録ヘッド10は、
インク供給孔18は、Si基板12の裏面からサンドブ
ラストで加工されたものであり、インク溝16は、Si
基板12の表面からSiのエッチングで形成されたもの
である。すなわち、本発明においては、加工量(加工深
さ)は大きいものの、加工精度の要求が比較的緩やかな
インク供給孔18は、加工効率の良好なサンドブラスト
で形成し、加工精度の要求が厳しく、かつ、加工量が小
さいインク溝16は、加工精度が良好なSiのエッチン
グで形成する。
【0033】本発明に係る記録ヘッド10は、上記構成
を有することにより、良好な加工効率を確保すると共
に、加工精度の要求が高いインク溝16は、エッジの欠
け等がなく、かつ、十分に高精度に製造できる。なお、
インク溝16は、通常、100μm程度の深さであるの
で、エッチングによる加工であっても全体で見れば加工
効率の低下は少ない。しかも、エッチングによって形成
されたインク溝16は、エッジの欠け等が無い上に、表
面性状も良好であるので、各ノズル20(個別インク流
路48)へのインクの流れの均一性も良好で、画質にも
優れる。さらに、インク溝16を高精度にできるので、
インク溝16とヒータとの距離を短くでき、インク吐出
量の微量化ならびにインク吐出周波数の高速化も図るこ
とができる。また、エッチングでは静電気は発生せず、
また、サンドブラストは、裏面から行うので、好ましく
は、Si基板12をアースした状態で行うので、静電気
が駆動用集積回路14等が形成された表面側に帯電する
ことはなく、駆動用集積回路14の静電破壊も防止でき
る。
【0034】すなわち、本発明の記録ヘッド10(液体
吐出装置)は、高精度で、高画質かつ高速な画像記録が
可能で、しかも、加工性(すなわち生産性)および得率
も良好な、優れた特性を有する記録ヘッド10である。
【0035】本発明の記録ヘッド10において、Si基
板12を裏面から加工してインク供給孔18を形成する
サンドブラストの方法には、特に限定はなく、公知の方
法によればよい。同様に、Si基板12を表面から加工
してインク溝16を形成するエッチングの方法も、特に
限定はなく、公知の方法によればよい。従って、ウエッ
トエッチングでもドライエッチングでもよく、また、最
初は、ウエットエッチングで加工し、途中からドライエ
ッチング(あるいは、その逆)で加工してもよい。な
お、本発明の記録ヘッド10においては、サンドブラス
トで概略形状を加工後、ウェットエッチング加工および
/またはドライエッチング加工で精密に仕上げ加工して
も良い。
【0036】ここで、記録へッド10の強度および得率
を考えると、Si基板12は、厚い方が有利である。そ
の反面、加工効率は低下する。しかしながら、加工量の
大きいインク供給孔18をサンドブラストで形成する本
発明によれば、Si基板12が厚くなることに起因する
加工効率の低下は、極めて小さい。但し、前述のよう
に、サンドブラストは衝撃による研削加工であるので、
加工部のエッジに欠け等を生じる場合が多く、エッチン
グによる加工量が少な過ぎると、インク溝16のエッジ
部に、サンドブラストによる欠けが残ってしまう場合が
ある。以上のことを考慮すると、本発明においては、S
i基板12の厚さを600μm以上にすると共に、イン
ク溝(表面供給路)16の深さ(エッチングによる加工
深さ)を20μm以上とするのが好ましく、かつ、40
0μm以下とするのが好ましい。さらに、インク溝16
の深さは、300μm以下であるのがより好ましく、特
に、200μm以下が好ましい。
【0037】記録ヘッド10において、隔壁15の上に
は、ノズル20が形成(穿孔)されたオリフィスプレー
ト22が積層、貼着される。なお、オリフィスプレート
22および隔壁15の形成材料には、公知の材料が各種
利用可能であり、例えば、ポリイミド等が例示される。
【0038】図2(A)に、図1(B)のノズル20近
傍の拡大図を、図2(B)に、図2(A)のII−II線断
面図を、それぞれ示す。すなわち、図1(A)のI−I
線断面と、図2(B)のIII −III 線断面は、同じであ
る。
【0039】図2(A)および(B)に示されるよう
に、Si基板12の上には、LSIの製造プロセスによ
って駆動用集積回路14を形成する際に、酸化珪素(S
iO2)層32が同時に形成される。このSiO2 層3
2は、絶縁層および断熱層として作用する。
【0040】SiO2 層32の上には、薄膜抵抗体34
が形成される。さらに、薄膜抵抗体34上のノズル20
に対応する領域(ヒータの発熱部)36a以外には、ノ
ズル20に対して駆動用集積回路14側に各ノズル20
に対応する個別導体薄膜38が形成され、また、その逆
側に複数のノズル20に共通の共通導体薄膜40が形成
される。この薄膜抵抗体34、個別導体薄膜38および
共通導体薄膜40で、各ノズル20に対応するヒータ3
6が構成される。なお、記録ヘッド10においては、必
要に応じて、両導体薄膜を覆って、金メッキ層を形成し
てもよい。
【0041】図示例においては、例えば、薄膜抵抗体3
4は、タンタル(Ta)−シリコン(Si)−酸素
(O)の三元合金で形成され、また、個別導体薄膜38
および共通導体薄膜40は、ニッケル(Ni)で形成さ
れる。さらに、薄膜抵抗体34の導体薄膜で覆われてい
ない領域、すなわちノズル20に対応する領域36aに
は、薄膜抵抗体34(上述の三元合金)を酸化雰囲気中
で加熱、酸化してなる絶縁皮膜44が形成される。この
絶縁皮膜44は、優れた強度およびインクに対する耐蝕
性を有し、保護層として作用する。
【0042】なお、本発明に係る記録ヘッドは、これに
限定はされず、薄膜抵抗体として、ハフニウム(Hf)
−ホウ素(B)やTa−アルミニウム(Al)からなる
薄膜抵抗体や、Alからなる導体薄膜を用いてもよく、
また、この薄膜抵抗体は、耐蝕性、耐キャビテーション
等を目的とする保護層を有してもよい。
【0043】図1および図2に示されるように、インク
溝16から各ノズル20へとインクを導く個別のインク
流路48を形成する隔壁15は、ノズル20に対してイ
ンク溝16と逆側の全域を覆ってノズル20の極近傍ま
で形成される領域(個別インク流路48の下流側の端部
の前壁部)と、各ノズル20の間隙において前壁部(領
域)からインク溝16側に突出してノズル20よりも若
干インク溝16側まで延在する(隣接するノズル20を
分離する)横壁部とを有する。すなわち、図示例におい
ては、この隔壁15の横壁部が、各ノズル20をノズル
列方向に分離して、各ノズル20毎の個別インク流路4
8を構成する。
【0044】ここで、本発明に係る記録ヘッド10にお
いては、インク溝16のエッジ(個別インク流路48寄
りの端部)からヒータ36の発熱部36a(図示例で
は、共通導体薄膜40の端部)までの距離をL、隔壁1
5の厚さ(すなわち、インク加熱面(図示例では、酸化
皮膜44の上面)からノズル12の下端までの距離)を
H、ノズル20の長さをhとした際に、Hが6μm以
下、hが10μm以下で、かつ、下記式(1) 5H+h≧L≧2H+h …(1) を満たすのが好ましい。なお、図2(C)に示されるノ
ズル20aのように、段差を有する形状のノズル20a
の場合には、ノズルの長さhは、同図に示されるよう
に、インクの吐出に実質的に作用する長さとする。
【0045】近年では、画質および記録速度の向上を目
的として、インク吐出量(インク液滴の量)の低減なら
びにインクの吐出周波数の高速化が図られている。本発
明者の検討によれば、例えば、インク吐出量が2pL
(ピコリットル)以下で、吐出周波数が20kHz以上
のような、好適な微量化および高速化を図るためには、
隔壁15の厚さHおよびインク溝16からヒータまでの
距離Lを短くするのが、効果的であることが分かった。
しかしながら、距離Lがあまり短いと、隣接するノズル
20と干渉して、逆にインクの吐出量が不安定になる可
能性もある。
【0046】これに対し、隔壁15の厚さH、距離Lお
よびノズルの長さhが上記式(1)の条件を満たすこと
により、より好適に、インク吐出量の微量化および吐出
の高周波数化を図れると共に、隣のノズル20との干渉
も防止して、安定したインクの吐出を実現することがで
きる。また、インク溝16をSiのエッチングで形成す
る本発明によれば、上記条件を満たしたインク溝16の
高精度な加工も容易である。
【0047】先の例と同様に、このような記録ヘッド1
0は、フレーム24の所定位置に接着/固定(実装)さ
れて、インクジェットプリンタのヘッドユニット(例え
ば、いわゆるカートリッジ)等に装着される。また、フ
レーム24には、インク流路26が形成される。
【0048】記録ヘッド10において、ヘッドユニット
に接続されたインクタンクから所定の経路で供給された
インクは、フレーム24のインク流路26を経て、Si
基板12の裏面側からインク供給孔18に供給され、S
i基板12の表面に形成されたインク溝16に導入され
る。インク溝16に供給されたインクは、隔壁15が形
成されない共通インク流路46から、隔壁15(その横
壁部)によって各ノズル20毎に分離された個別インク
流路48に至り、駆動用集積回路14による駆動の下、
各ヒータ36の加熱によって生じた核沸騰によって、対
応するノズル20から吐出される(図1(A)および図
2(B)では、紙面に対して手前方向 図1(B)およ
び図2(A)では、図中上方に吐出される)。
【0049】なお、このような構成を有する記録ヘッド
10については、特開平6−71888号、同6−29
7714号、同7−227967号、同8−20110
号、同8−207291号、同10−16242号等の
各公報に詳述されている。
【0050】このような本発明に係る記録ヘッド10
は、インク溝16およびインク供給孔18の形成以外
は、基本的に、Si基板12にヒータ等を形成する各種
の(インクジェット)記録ヘッドと、同様に製造するこ
とができる。以下、図3のフローチャートを参照して、
記録ヘッド10を製造する本発明の製造方法の好適な一
例について説明する。
【0051】まず、Si基板12に駆動用集積回路14
を形成する。また、前述のように、これにより絶縁層お
よび断熱層として作用するSiO2 層(シリコン酸化
膜)32が形成される。なお、本製造方法において、
「駆動用集積回路の形成」〜「撥水処理」までの工程
は、図4に示されるように、半導体(以下、Siで代表
させる)ウエハ50の状態で行われ、かつ、一枚のSi
ウエハ50には、多数の記録ヘッド10となる半導体
(Si)チップ52が製造され、最後に、個々の記録ヘ
ッド10として切り出される。
【0052】駆動用集積回路14を形成した後、例え
ば、スパッタリングによって、薄膜抵抗体34となるT
a−Si−Oの三元合金膜を製膜し、さらに、導体薄膜
38および40となるNi膜を製膜し、フォトエッチン
グによって、薄膜抵抗体34、個別導体薄膜38および
共通導体薄膜40からなるヒータ36を形成する。その
後、酸化雰囲気中で加熱することにより三元合金の表層
を酸化して、絶縁皮膜44を形成する。絶縁皮膜44を
形成した後、隔壁15の形成材料、例えば、ポリイミド
をスピンコート等で塗布し、フォトドライエッチングに
よって、隔壁15を形成する。隔壁15の厚さHは、こ
の際のポリイミドの塗布量で調整できる。
【0053】その後、Si基板12の裏面からサンドブ
ラストを行って、インク供給孔18を形成し、その後、
表面からSiのエッチングを行って、インク溝16を形
成する。この際においては、図5(A)および(B)に
示すように、サンドブラストによるインク供給孔18の
形成は、Si基板12を貫通するまで行わず、駆動用集
積回路14の下層(裏面側)に形成されている絶縁層の
手前、例えば、残りが100μm程度のところでサンド
ブラストを終了する。次いで、表面からエッチングでイ
ンク溝16を形成して、これにより、図5(C)に示す
ように、Si基板12を貫通させ、インク供給孔18と
インク溝16とを連通する。このような手順でインク供
給孔18とインク溝16を形成することにより、インク
溝16のエッジの欠け等を完全に防止し、かつ、高精度
な加工を行って、より高品質な記録ヘッド10を、より
高い得率で得ることができる。
【0054】インク供給孔18およびインク溝16を形
成した後、隔壁15の上にノズル20が形成されていな
いオリフィスプレート22を積層して、貼着し、次い
で、フォトドライエッチング等によってノズル20を形
成する。その後、好ましくは、オリフィスプレート22
の表面の撥水処理を行う。撥水処理の方法には特に限定
はなく、公知の方法で行えばよい。
【0055】このようにして、Siチップ52の状態で
記録ヘッド10を完成した後、Siウエハ50をダイシ
ングして各記録ヘッド10を切り出し、さらに、個々の
記録ヘッド10毎に、フレーム24の所定位置に実装
し、結線等を行う。
【0056】図5(A)〜(C)に示す実施形態で、S
i基板12の裏面側からのサンドブラストによるインク
供給孔18の形成工程では、Si基板12を貫通するま
で行わず、駆動用集積回路14の下層(裏面側)に形成
されている絶縁層(SiO2層32)の手前のところで
サンドブラストを終了し、次いで、表面側からエッチン
グによるインク溝16の形成工程を行って、Si基板1
2を貫通させ、インク供給孔18とインク溝16とを連
通しているが、本発明は、これに限定されず、図6
(A)〜(C)に示すように、サンドブラストによるイ
ンク供給孔18の形成工程において、Si基板12を貫
通させても良い。この場合には、サンドブラストによっ
て裏面側からSi基板12にインク供給孔18を貫通孔
として形成した後、表面側からエッチングによってイン
ク溝16を形成すれば良い。また、Si基板12の裏面
側からサンドブラストによってインク供給孔18を形成
する際には、図6(A)〜(C)に示すように、Si基
板12の表面側にヒータ36やその駆動用集積回路14
を形成した後に、Si基板12をアースした状態で形成
するのが好ましい。
【0057】ここで、図6(A)〜(C)は、それぞれ
本発明の記録ヘッドの製造方法の別の実施形態の各工程
を示す断面概念図である。図6(A)〜(C)は、図1
(B)に示す記録ヘッド10のSi基板12の裏側面か
らブラスト領域を掘削して、インク供給孔18を開孔す
る場合の製造工程を表す模式的な断面図である。
【0058】図6(A)は、Si基板12上に駆動用集
積回路14が形成された後の半導体デバイスの状態の記
録ヘッド10を表す。ここで、Si基板12の表側面に
は、SiO2 層32が形成され、駆動用集積回路14
は、インク供給孔18となるブラスト領域の左右の領域
に形成されている。なお、図6(A)〜(C)には、説
明を容易にするために、半導体(Si)チップ52の状
態の記録ヘッド10の一実施形態を示しているが、基本
的に、サンドブラスト法は、半導体(Si)ウエハ50
(図4参照)の状態の記録ヘッド10に対して行われ
る。
【0059】まず、図6(B)に示すように、ブラスト
領域の外周部近傍のSi基板12の裏面側の表面上に金
属膜54を被覆し、その後、フォトリソグラフィー技術
により、フォトレジスト(マスク材料)を用いてマスク
パターン56を形成する。金属膜54には、特に制限が
あるわけではないが、例えば、Al,W,Ti,Mo,
Ta,Pt等の、通常の半導体製造プロセスで用いられ
る金属またはその合金を使用するのが好ましい。また、
図6(B)に示すように、金属膜54は、インク供給孔
18となるブラスト領域の外周部近傍、すなわち、ブラ
スト領域の外周部の内側および外側の所定範囲の領域を
被覆するものであればよいが、ブラスト領域の外周部の
内側の全面を被覆してもよい。
【0060】なお、金属膜54は、個々のSiチップ5
2(記録ヘッド10)の内部では、ブラスト領域の外周
部近傍の領域に被覆されるとともに、さらに、図示して
はいないが、Si基板12の端部まで延線するように被
覆され、Siウエハ50全体としては、金属膜54は、
記録ヘッド10となる個々のSiチップ52のSi基板
12の端部まで延線された金属膜54を、スクライブラ
インを介して互いに接続するように被覆される。
【0061】この金属膜54は、後述するように、サン
ドブラスト法により、ブラスト領域を開孔してインク供
給孔18を形成する時に、電気的にグランドと接続可能
な状態、すなわちアースした状態にしておく。例えば、
個々のSiチップ52(記録ヘッド10)の内部におい
て、金属膜54をグランドラインに接続(アース)して
もよいし、あるいは、Siウエハ50上に別途グランド
(アース)用の共通のボンディングパッド等を形成して
おき、このグランド(アース)用のボンディングパッド
に接続するようにしてもよい。
【0062】一方、マスクパターン56は、サンドブラ
スト法により開孔されるブラスト領域以外の領域全てを
被覆する。なお、金属膜54とマスクパターン56との
密着性を向上させるために、金属膜54上に0.1μm
以下の薄い保護膜を被覆してもよい。0.1μm以下の
保護膜であれば、サンドブラスト時に即座に削り取ら
れ、金属膜54の表面は帯電量の少ない内に露出される
ため、金属膜54の効果は保護膜の有無に関わらず同じ
である。
【0063】続いて、Siウエハ50上に形成された金
属膜54の少なくとも一部を、例えばSiウエハ50の
支持台等に接触させて電気的にグランドに接続(接地)
し、サンドブラスト法により、表側面からブラスト領域
のSi基板12を開孔して、図6(C)に示すように、
Si基板12の表裏を貫通するインク供給孔18を形成
する。なお、各々のSiチップ52(記録ヘッド10)
の上に形成された金属膜54とグランドとの間の抵抗値
は小さいほどよく、50MΩ以下であるのが好ましい。
【0064】これにより、サンドブラスト時に発生する
電荷を、Siウエハ50上に形成され、共通に接続され
た金属膜54を介してグランドに逃がすことができる。
従って、記録ヘッド10の駆動用集積回路14は、静電
破壊されることなく、Siウエハ50上に形成された各
々のSiチップ52に凹部(貫通孔を含む)を形成する
ことができる。また、マスクパターン56でマスクされ
た領域上の帯電は、フォトレジストの膜厚が厚いためほ
とんど何の問題も発生しない。
【0065】なお、サンドブラスト時に、図6(B)に
示すブラスト領域の内側の領域にまで被覆された金属膜
54も一緒に削り取られ、図6(C)に示すような状態
になる。図6(C)は、フォトレジストのマスクパター
ン56を取り除いた後の状態を表す。従って、インク供
給孔18が開孔され、マスクパターン56が取り除かれ
た直後の金属膜54は、インク供給孔18の外周部より
も外側のSi基板12上にのみ存在し、インク供給孔1
8の外周部の金属膜54の端面は露出されている。
【0066】インク供給孔18の開孔後、マスクパター
ン56を取り除き、Si基板12上に被覆された金属膜
54の一部ないしは全部を取り除いても良いし、逆に、
金属膜54の全てをそのままの状態で残し、以後の記録
ヘッド10における半導体製造工程を続行してもよい。
なお、金属膜54を設けて、グランド接続して、Si基
板12をアースした状態で、サンドブラストを行うの
は、図6(A)〜(C)に示すように、インク供給孔1
8を貫通孔として形成する時のみならず、図5(A)〜
(C)に示すように、Si基板12を貫通させず、Si
2 層32の手前まで穿孔する場合にも適用できるのは
もちろんである。
【0067】上述した例では、インクを、Si基板12
の裏面側に形成されたインク供給孔18からSi基板1
2の表面側に形成されたインク溝16に(図示例では、
Si基板12の裏面側から表面側に垂直上方に向かっ
て)供給し、さらに、インク溝16から横方向に延在す
る個別インク流路48を通ってヒータ36に(図示例で
は、Si基板12に平行な水平方向に)供給し、ヒータ
36の発熱によって、ノズル20から(図示例では、S
i基板12に対して垂直上方に向かって)吐出している
が、本発明は、これに限定されず、例えば、図7(A)
および(B)に示すように、横方向に延在するインク流
路がない構成であっても良い。
【0068】図7に、本発明に係るインクジェット記録
ヘッドの別の実施形態を示す。同図において、(A)
は、ノズルの配列方向に沿った概略断面図であり、
(B)は、その直交方向に沿った概略断面図である。図
7(A)および(B)に示される記録ヘッド60は、図
1(A)および(B)に示される記録ヘッド10と、イ
ンクの流路が直線的である点を除いて、同様な構成を有
するものであるので、同一の構成要素には、同一の番号
を付し、その詳細な説明は省略する。図7(A)および
(B)に示すように、記録ヘッド60においては、Si
基板12の表面側に、円環状のヒータ62やヒータ62
の駆動用集積回路(図示せず)等が形成され、さらに、
これらの上には、各ノズル20(ヒータ)への個別イン
ク供給路64を形成する隔壁15が積層される。
【0069】Si基板12には、各ノズル20の個別イ
ンク流路64に対応して設けられ、各個別インク流路6
4に個別にインクを供給する第1インク供給路66およ
び複数のノズル20にそれぞれ対応する複数の第1イン
ク供給路66の全てにインクを供給する共通の第2イン
ク供給路68が形成される。ここで、個別インク流路6
4および第1インク供給路66は、各ノズル20に対応
して設けられる個別インク流路であり、第2インク供給
路68は、複数のノズル20に共通に設けられる共通イ
ンク流路である。なお、本実施形態においては、ノズル
20、個別インク流路64および第1インク供給路66
は、直線的なインク流路として形成される。
【0070】本実施形態においても、Si基板12の表
面側に、ヒータ62(図2(A)の薄膜抵抗体34、薄
膜導体38,40参照)を円形状に形成するとともに、
その駆動用集積回路(図示せず)を形成し、さらに、こ
れらの上に隔壁15を積層した後、まず、Si基板12
の裏面側から、共通のインク流路となる第2インク供給
路68をサンドブラスト加工法によって形成する。次
に、Si基板12の表面側から、円形状ヒータ62の中
心に円形の第1インク供給路66をエッチング加工法に
よって共通の第2インク供給路68まで貫通する貫通孔
として形成する。その結果、ヒータ62は、円環状に形
成される。
【0071】この後、Si基板12の隔壁15の上に
は、複数のノズル20が穿孔されるべきオリフィスプレ
ート22が積層、貼着される。次いで、オリフィスプレ
ート22には、複数(4個のみが図示されている)のノ
ズル20が穿孔される。こうして、本実施形態の記録ヘ
ッド60が製造される。なお、本実施形態においても、
先の実施形態と同様に、個別インク流路64の長さに相
当する隔壁15の高さをH、オリフィスプレート22の
厚さに等しいノズル20の長さをh、第1インク供給路
66の長さをLとした際に、Hが6μm以下、hが10
μm以下で、かつ、下記式(1) 5H+h≧L≧2H+h …(1) を満たすのが好ましい。
【0072】ところで、本実施形態の個別インク流路6
4は、ヒータ62を含み、隔壁15によって形成される
点で、図1および図2に示す先の実施形態の個別のイン
ク流路48に相当し、第1インク供給路66は、個別の
インク流路ではあるが、Si基板12の表面側に設けら
れ、個別インク流路64にインクを供給する点で、本発
明の表面供給路ということもでき、先の実施形態のイン
ク溝16の役割も兼ねている。また、第2インク供給路
68は、Si基板12の裏面側に設けられ、第1インク
供給路66にインクを供給する点で、本発明の裏面供給
路ということができ、先の実施形態のインク供給孔18
に相当する。
【0073】上述したように、本実施形態の記録ヘッド
60も、第2インク供給路68は、Si基板12の裏面
からサンドブラストで加工されたものであり、第1イン
ク供給路66は、Si基板12の表面からSiのエッチ
ングで形成されたものであるので、先の実施形態と同様
に、加工量は大きいものの加工精度の要求が比較的緩や
かな第2インク供給路68の形成においては良好な加工
効率を確保するとともに、加工精度の要求が厳しく、加
工量が小さい加工精度の要求が高い第1インク供給路6
6の形成においては、エッジの欠け等がなく、十分なる
高精度を確保することができる。
【0074】従って、本実施形態においても、先の実施
形態と同様に、エッジの欠け等が無い上に、表面性状も
良好な第1インク供給路66により、各ノズル20(個
別インク供給路64)へのインクの流れの均一性も良好
にできるので、記録画像の画質も、優れたものにでき
る。さらに、第1インク供給路66を高精度にできるの
で、インク吐出量の微量化ならびにインク吐出周波数の
高速化も図ることができる。また、サンドブラスト加工
は、裏面側から行う、好ましくはSi基板12をアース
した状態で行うので、サンドブラスト加工時に、Si基
板12の表面への静電気の帯電はなく、Si基板12の
表面側に形成された駆動用集積回路14の静電破壊も防
止できる。すなわち、本実施形態の記録ヘッド60も、
高精度で、高画質かつ高速な画像記録が可能で、しか
も、加工性(すなわち生産性)および得率も良好な、優
れた特性を有するものである。
【0075】図8に、このような本発明に係る記録ヘッ
ド10を用いる、本発明のインクジェットプリンタの一
実施形態の概略図を示す。図8において、(A)は、こ
のインクジェットプリンタの構成を示す概念図であり、
(B)は、このインクジェットプリンタを斜め方向から
見た際の概念図である。図8に示されるインクジェット
プリンタ(以下、プリンタとする)80は、本発明に係
る記録ヘッド10を用いる以外は、基本的に、公知のイ
ンクジェットプリンタであって、記録ヘッド10とし
て、記録用紙Pの一辺を超えて延在するノズル列を有す
る、いわゆるラインヘッドを用いるものである。
【0076】図8に示されるプリンタ80は、本発明の
記録ヘッド10を用いる記録部82、給紙部84、プレ
ヒート部86、および排出部88(図8(B)では省
略)を有する。なお、プリンタ80は、これ以外にも、
記録ヘッド10の清掃や保護を行う、ワイパーやキャッ
プ等を有するメンテナンスユニットを有してもよい。
【0077】給紙部84は、搬送ローラ対92および9
4と、ガイド96および98とを有するもので、記録用
紙Pは、給紙部84によって、横方向から上方に搬送さ
れ、プレヒート部86に供給される。
【0078】プレヒート部86は、3本のローラおよび
エンドレスベルトからなるコンベア100と、コンベア
100の外方からエンドレスベルトに押圧される圧着ロ
ーラ102と、コンベア100の内方から圧着ローラ1
02(エンドレスベルト)に押圧されるヒータ104
と、プレヒート部86内(ハウジング86a内)を排気
する排気ファン106とを有する。このようなプレヒー
ト部86は、インクジェットによる画像記録に先立ち、
記録用紙Pを加熱することで、インクの乾燥を促進する
ためのもので、給紙部84から搬送された記録用紙P
は、コンベア100と圧着ローラ102とによって挟持
搬送されつつ、ヒータ104によって加熱され、記録部
82に搬送される。
【0079】記録部82は、本発明の記録ヘッド10を
利用するヘッドユニット110と、記録搬送手段108
とを有する。ヘッドユニット110は、本発明の記録ヘ
ッド10を実装し、かつ、インクタンク112(112
Y,112C,112M,および112B)を有する。
記録搬送手段108は、ローラ114a,114bおよ
び吸引ローラ116,ならびに多孔エンドレスベルト1
18からなるコンベア120と、多孔エンドレスベルト
118に押圧されるニップローラ122(図8(B)で
は省略)と、コンベア120内に配置される吸引箱12
4とを有する。
【0080】記録ヘッド10は、ノズル20を吸着ロー
ラ116に向けて配置される。また、記録搬送手段10
8は、記録ヘッド10のノズル列方向と直交する方向
に、所定速度で連続的に記録用紙Pを搬送する。従っ
て、プレヒート部80から供給された記録用紙Pは、ラ
インヘッドである記録ヘッド10のノズル列で全面を走
査され、画像が記録される。また、記録中は、吸引ロー
ラ116および吸引箱124が駆動しており、記録用紙
Pは、多孔エンドレスベルト118に吸着された状態で
搬送され、記録ヘッド10に対して所定位置に保たれた
状態で搬送される。
【0081】画像を記録された記録用紙Pは、排出部8
8に供給され、搬送ローラ対126および排出ローラ対
128によって搬送されて、例えば、図示しない排出ト
レイに排出される。
【0082】なお、本発明のインクジェットプリンタ
は、上述の例に限定はされず、公知のインクジェットプ
リンタが、各種利用可能であり、例えば、前述の記録用
紙を断続的に搬送すると共に、キャリッジによって記録
ヘッド(ヘッドユニット)を走査するシリアルタイプの
プリンタであってもよく、また、記録用紙を自動的に供
給するフィーダ等を有していてもよい。
【0083】以上、本発明の液体吐出装置、および液体
吐出装置の製造方法、ならびにインクジェットプリンタ
について詳細に説明したが、本発明は、上記実施形態に
は限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲におい
て、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんで
ある。
【0084】
【実施例】本発明を具体的実施例を挙げ、本発明をより
詳細に説明する。 [実施例1]図3に示されるフローチャートに準じて、
図1および図2に示されるような記録ヘッド10を製作
した。まず、半導体装置の製造技術を利用して、厚さ6
00μmのSiウエハに、各記録ヘッド10に対応する
駆動用集積回路14を形成した。また、これにより、S
i基板12の上面にSiO2 層32が形成された。
【0085】次いで、スパッタリングによって、Ta−
Si−Oの三元合金膜を製膜し、さらに、Ni膜を製膜
し、フォトエッチングによって、薄膜抵抗体34、個別
導体薄膜38および共通導体薄膜40からなる、インク
吐出用のヒータ36を形成した。その後、酸化雰囲気中
で加熱することにより、三元合金を酸化して、絶縁皮膜
44を形成した。
【0086】絶縁皮膜44の形成後、ポリイミドをスピ
ンコート等で塗布し、フォトドライエッチングによっ
て、隔壁15を形成した。次いで、Si基板12(Si
ウエハの状態)の両面に、フォトリソグラフィによって
フォトレジストによるマスクを形成し、サンドブラスト
によって裏面からインク供給孔18を形成し、その後、
表面からSiのウエットエッチングによって、インク溝
16を形成した。なお、この際においては、前述のよう
に、サンドブラストではSi基板12を貫通せずに、S
i基板12(Siウエハ)の厚さが残り約100μmと
なったところでサンドブラストを止め(すなわち、加工
深さ約500μm)、その後、ウエットエッチングによ
って、インク供給孔18とインク溝16を連通した。
【0087】その後、オリフィスプレート22の一面に
接着剤を塗布して、Siウエハの表面に積層して、貼り
付け、さらに、フォトドライエッチングによって、各記
録ヘッド10に対応して、ノズル20を形成した。ノズ
ル20を形成した後、ダイシングしてSiウエハを切断
して、各記録ヘッド10を切り出した。
【0088】このような記録ヘッド10を、隔壁15の
厚さH、ノズル長さh、インク溝16からヒータまでの
距離L、さらに、ノズル径Dを変更して、7種製作(ヘ
ッド1〜ヘッド7)した。それぞれの諸元は、下記表1
に示す。なお、表1において、各サイズの単位はμmで
ある。
【0089】それぞれの記録ヘッドについて、下記の方
法により、インク供給の応答性、および、隣接するノズ
ル20との非干渉性を確かめた。
【0090】[インク供給の応答性]インク吐出用のヒ
ータに、パルス幅3μsecのパルス電圧を20kHz
および30kHzの周波数で印加すると共に、記録用紙
を一定速度で搬送(ノズル列と直交方向)して、直線状
に独立ドットを記録した。なお、本検査においては、隣
接ノズルとの干渉による影響を排除するために、10ノ
ズルおきの5つのノズルからインクを吐出して、記録を
行った。記録されたドットの直径を算出して、全ドット
が平均値との差が10%以内の場合は、応答性が良好
「○」と判定し、平均値との差が10%を超えたドット
が存在する場合には応答性が良好ではない「×」と判定
した。結果を表1に併記する。
【0091】[隣接ノズルとの非干渉性]隣接する3つ
のインク吐出用のヒータに、3μsecの位相差で、パ
ルス幅3μsecのパルス電圧を周波数10kHzで印
加すると共に、記録用紙を一定速度で搬送(ノズル列と
直交方向)して、直線状に独立ドットを記録した。記録
されたドットの直径を算出して、全ドットが平均値との
差が10%以内の場合は、隣接ノズルとの非干渉性が良
好「○」と判定し、平均値との差が10%を超えたドッ
トが存在する場合には、隣接ノズルとの非干渉性が良好
ではない「×」と判定した。なお、吐出周波数を10k
Hzとしたのは、インク供給の応答性を考慮する必要が
無い条件で評価を行うためにである。結果を下記表1に
併記する。
【0092】
【表1】 なお、総合評価は、全ての検査の結果、応答性および非
干渉性の全てが「○」である場合を「◎」、2種の応答
性の1つのみおよび非干渉性の両方に「○」がある場合
を「○」、2種の応答性と非干渉性との一方のみが
「○」である場合を「△」、応答性および非干渉性の全
てが「×」である場合を「×」とした。
【0093】なお、以上の結果では、ヘッド4は、Lが
5H+hより大で、上記式(1)を満足しないため、隣
接ノズルとの非干渉性は「○」であるが、インク供給の
応答性が2種とも「×」になっており、ヘッド5は、L
が2H+hより小で、上記式(1)を満足しないため、
応答性は「○」であるが、非干渉性が「×」になってお
り、総合評価は「△」となっている。しかしながら、通
常の吐出周波数、例えば10kHz程度の吐出周波数で
あれば、ヘッド4の応答性で十分であり、問題はない。
他方、本発明の記録ヘッドによれば、ヘッド5のよう
な、L=12μmの記録ヘッド10も高い精度で製作す
ることはできるが、いかに加工精度が高くても、ヘッド
5のような諸元では、隣接ノズルとの干渉を完全に避け
るのは、困難である。しかし、比較的低品質(ドラフト
モード)で高速で記録するアルファベットや大きな漢字
等を印字する用途には、使用可能である。一方、ヘッド
6は、Hが6μmを超えているため、また、ヘッド7
は、hが10μmを超えているため、インク供給の応答
性の内の30kHzの場合が「×」であるが、残りは全
て「○」である。従って、通常の吐出周波数のインクジ
ェット記録ヘッドとしては、全く問題なく使用可能であ
る。
【0094】[比較例1]Si基板12(Siウエハの
状態)の裏面からのインク供給孔154の形成をサンド
ブラストではなく、Siのウエットエッチングで行った
以外には、上記実施例1と全く同様にして、従来の記録
ヘッドを製作した。その結果、7種の記録ヘッドのいず
れにおいても、インク供給孔154の形成に、実施例1
の約5倍の時間がかかった。
【0095】また、全く同様の比較実験を、厚さ825
μmのSiウエハを用いてインク供給孔18の加工深さ
を625μm、および、厚さ925μmのSiウエハを
用いてインク供給孔18の加工深さを825μmとし
て、それぞれ行った。その結果、いずれの記録ヘッドに
おいても、サンドブラストでインク供給孔18を形成し
た本発明に比して、ウエットエッチングでインク供給孔
154を形成した従来の記録ヘッドは、インク供給孔1
54の形成に5倍以上の時間がかかった。
【0096】さらに、上記の比較例1と全く同様の比較
実験を、Siのウエットエッチングの代わりに、Siの
ドライエッチングを用いて行った。その結果、同様に、
いずれの記録ヘッドにおいても、サンドブラストでイン
ク供給孔18を形成した本発明に比して、ドライエッチ
ングでインク供給孔154を形成した従来の記録ヘッド
は、インク供給孔154の形成に5倍以上の時間がかか
った。
【0097】[比較例2]Si基板12(Siウエハの
状態)の表面からのインク溝152の形成を、Siのウ
エットエッチングではなく、サンドブラストで行った以
外には、前記実施例1と全く同様にして、従来の記録ヘ
ッドを製作した。その結果、7種の記録ヘッドのいずれ
においても、形成されたインク溝152仕上がり寸法の
精度が悪く、寸法精度のバラツキが、実施例1に比べ、
約20倍であった。このため、得られた7種の記録ヘッ
ドについて、上記の方法によりインク供給の応答性およ
び隣接するノズルとの非干渉性の確認を行ったが、その
結果は、7種の記録ヘッドのいずれにおいても、応答性
および非干渉性の両方ともに「×」であり、総合評価も
「×」であった。
【0098】以上から、本発明の実施例の7種の記録ヘ
ッドは、比較例1および2に比べ、加工コストおよび加
工時間を大幅に短縮できたにもかかわらず、高い加工精
度を達成でき、実用できるレベルのインク供給の応答性
および隣接ノズルとの非干渉性を達成できたことがわか
る。特に、本発明の実施例の記録ヘッド1〜3は、イン
ク供給の応答性および隣接ノズルとの非干渉性にさらに
優れたものであることがわかる。なお、本発明者は、図
7(A)および(B)に示す実施形態の記録ヘッドにつ
いても、上記実施例1および比較例1,2と同様に、7
種の記録ヘッドを試作して、インク供給の応答性および
隣接ノズルとの非干渉性ならびに加工時間の確認を行っ
たが、同様の結果を得ることができた。すなわち、本発
明によれば、高い加工精度を維持したまま、加工コスト
および生産効率共に、大幅に向上できる。
【0099】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よれば、生産性および得率に優れ、しかも、高精度な液
体吐出装置を実現することができ、例えば、インクジェ
ット記録ヘッドに利用することにより、高画質な画像を
高速で記録することが可能である。また、本発明のイン
クジェットプリンタは、この液体吐出装置を用いた、優
れた特性を有するインクジェットプリンタである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るインクジェット記録ヘッドの一
実施形態の概略図であり、(A)は、平面図であり、
(B)は、(A)のI−I線断面図である。
【図2】 (A)は、図1(A)の部分拡大図であり、
(B)は、(A)のII−II線概略断面図であり、(C)
は、ノズルの別の例の概略図である。
【図3】 図1に示されるインクジェット記録ヘッドの
製造方法の一例のフローチャートである。
【図4】 図3における製造方法の一例を説明するため
のSiウエハの概念図である。
【図5】 (A)、(B)および(C)は、それぞれ図
3における製造方法の一例を説明するための概略図であ
る。
【図6】 (A)、(B)および(C)は、それぞれ本
発明に係るインクジェット記録ヘッドの製造方法の別の
例を説明するための概略図である。
【図7】 本発明に係るインクジェット記録ヘッドの別
の実施形態の概略図であり、(A)は、ノズルの配列方
向に沿った概略断面図であり、(B)は、その直交方向
に沿った概略断面図である。
【図8】 (A)および(B)は、それぞれ本発明のイ
ンクジェットプリンタの一実施形態の概念図である。
【図9】 従来のインクジェット記録ヘッドの概略図で
あり、(A)は、平面図であり、(B)は、(A)のIV
−IV線断面図である。
【符号の説明】
10,60,150 (インクジェット)記録ヘッド 12 Si基板 14 駆動用集積回路 16 インク溝 18 インク供給孔 20 オリフィス 22 オリフィスプレート 24 フレーム 26 インク流路 34 抵抗体薄膜 36,62 ヒータ 38 個別導体薄膜 40 共通導体薄膜 44 絶縁皮膜 46 共通インク流路 48 個別インク流路 50 半導体(Si)ウエハ 52 半導体(Si)チップ 64 個別インク流路 66 第1インク供給路 68 第2インク供給路 80 (インクジェット)プリンタ 82 記録部 84 供給部 86 プレヒート部 88 排出部 96,98 ガイド 92,94,126 搬送ローラ対 100,120 コンベア 102 圧着ローラ 104 ヒータ 106 排気ファン 108 記録搬送手段 110 ヘッドユニット 112 インクタンク 114a,114b ローラ 116 吸引ローラ 118 多孔エンドレスベルト 122 ニップローラ 124 吸引箱 128 排出ローラ対

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板の一方の側に設けられた複数のノズル
    と、 前記基板に対して前記複数のノズルと逆側の面からサン
    ドブラスト加工法によって形成され、かつ、前記基板に
    対して前記複数のノズルと同じ側の面からエッチング加
    工法によって形成された液体供給路を有することを特徴
    とする液体吐出装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の液体吐出装置であって、 さらに、前記基板の前記複数のノズルと同じ側の面に形
    成された、前記複数のノズルの各ノズルに対応する液滴
    の吐出手段と、 前記各ノズルに液体を供給するための、前記各ノズルを
    分離する隔壁によって形成される液体流路とを備え、 前記ノズルは、前記隔壁の上に積層される部材に穿孔さ
    れるものであり、 前記液体供給路は、前記基板に前記エッチング加工法に
    よって形成される第1供給路および前記基板に前記サン
    ドブラスト加工法によって形成される第2供給路からな
    り、 前記隔壁の高さをH、前記ノズルの長さをh、前記第1
    供給路の長さをLとした際に、Hが6μm以下、hが1
    0μm以下で、かつ、 5H+h≧L≧2H+h を満たすことを特徴とする液体吐出装置。
  3. 【請求項3】複数のノズルと、 基板の一方の面に形成された、前記複数のノズルの各ノ
    ズルに対応する液滴の吐出手段と、 前記各ノズルに液体を供給する個別流路と、 前記基板の個別流路と同じ側の面からエッチング加工法
    によって形成された、複数の前記個別流路に対応して液
    体を供給する表面供給路と、 前記基板の表面供給路と逆側の面からサンドブラスト加
    工法によって形成された、前記表面供給路に連通する裏
    面供給路とを有することを特徴とする液体吐出装置。
  4. 【請求項4】前記個別流路は、前記各ノズルを分離する
    隔壁によって形成され、 前記ノズルは、前記隔壁の上に積層構成される部材に穿
    孔されるものであり、 前記隔壁の高さをH、前記ノズルの長さをh、前記表面
    供給路の前記個別流路寄りの端部と前記吐出手段との距
    離をLとした際に、Hが6μm以下、hが10μm以下
    で、かつ、 5H+h≧L≧2H+h を満たす請求項3に記載の液体吐出装置。
  5. 【請求項5】前記基板の厚さが、600μm以上で、前
    記エッチング加工法によって形成される表面供給路が、
    20μm〜400μmの深さである請求項3または4に
    記載の液体吐出装置。
  6. 【請求項6】前記基板の面と略直交する方向に液体を吐
    出する請求項1〜5のいずれかに記載の液体吐出装置。
  7. 【請求項7】複数のノズル、基板の一方の面に形成さ
    れ、かつ前記複数のノズルの各ノズルに対応する液滴の
    吐出手段、前記各ノズルに液体を供給する個別流路、複
    数の前記個別流路に液体を供給する表面供給路、および
    前記表面供給路に液体を供給する裏面供給路を有する液
    体吐出装置を製造するに際し、 前記基板の前記個別流路と逆側の面から、サンドブラス
    ト加工法によって前記裏面供給路を形成し、前記基板の
    前記個別流路と同じ側の面から、エッチング加工法によ
    って表面供給路を形成することにより、前記基板を貫通
    し、前記裏面供給路と表面供給路とを連通することを特
    徴とする液体吐出装置の製造方法。
  8. 【請求項8】前記裏面供給路を、前記サンドブラスト加
    工法によって形成した後に、前記表面供給路を前記エッ
    チング加工法によって形成する請求項7に記載の液体吐
    出装置の製造方法。
  9. 【請求項9】前記裏面供給路は、前記基板に前記吐出手
    段およびこの吐出手段の駆動手段を形成した後に、前記
    基板をアースした状態で形成される請求項7または8に
    記載の液体吐出装置の製造方法。
  10. 【請求項10】請求項1〜6のいずれかに記載の液体吐
    出装置、または請求項7〜9のいずれかに記載の製造方
    法によって製造された液体吐出装置をインク液滴の吐出
    装置として用いることを特徴とするインクジェットプリ
    ンタ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008511477A (ja) * 2004-08-31 2008-04-17 ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. 流体射出装置用の基板およびその基板の形成方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008511477A (ja) * 2004-08-31 2008-04-17 ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. 流体射出装置用の基板およびその基板の形成方法

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