JP2002345957A - 点滴筒 - Google Patents

点滴筒

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JP2002345957A
JP2002345957A JP2002079832A JP2002079832A JP2002345957A JP 2002345957 A JP2002345957 A JP 2002345957A JP 2002079832 A JP2002079832 A JP 2002079832A JP 2002079832 A JP2002079832 A JP 2002079832A JP 2002345957 A JP2002345957 A JP 2002345957A
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JP2002079832A
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Nobuyuki Takechi
信之 武智
Takayuki Hagiwara
隆幸 萩原
Akihiro Nagai
昭博 永井
Hiroshi Suzuki
宏 鈴木
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
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Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 点滴中の輸液の液面を所定位置に容易に維持
できるうえ、使用開始時の輸液滴下を容易に確認できる
ようにしてプライミング操作を簡略にする。 【解決手段】 点滴筒(5)の筒体(8)に筒壁(13)を貫通
する排気管(14)を付設する。排気管(14)の内部に筒体
(8)の内部と外部とを連通する排気路(15)を形成する。
筒体(8)内に突入した排気管(14)の内端とその近傍との
少なくとも一方で筒壁(13)から離隔した位置に、排気路
(15)の排気入口(16)を開口する。気体の通過は許容する
が液体の通過は阻止する通気壁(17)を、上記排気路(15)
に設けて排気路(15)を液密状に封止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種の輸液を患者
へ点滴投与する際に使用される輸液装置用の点滴筒に関
し、さらに詳しくは、点滴中の輸液の液面を所定位置に
容易に維持できるうえ、使用時の姿勢にセットする際に
輸液の滴下を容易に確認できるようにし、点滴開始時の
いわゆるプライミング操作を簡略にした点滴筒に関す
る。
【0002】
【発明の背景】一般に、デキストロース溶液、食塩水、
又は水を含む液体や、これらに薬剤等を混合した各種の
輸液は、輸液装置で患者へ点滴投与することが広く行わ
れている。上記輸液装置は、輸液を収容した容器に連結
される輸液路と、この輸液路の中間部に設けた点滴筒
と、流量調節器とを備えており、上記点滴筒内に輸液を
半分程度流入させ、点滴筒内での輸液の滴下速度を確認
しながら、流量調節器により点滴速度を調節するように
してある。
【0003】上記輸液には上記薬剤の混合により炭酸ガ
ス等の気体成分を発生するものや、空気などの気体成分
を溶解しているものがあり、これらの気体成分が点滴中
に輸液から分離する場合がある。これらの輸液から分離
された気体成分は点滴筒内で貯溜し易く、この貯溜した
気体成分は点滴筒内の液面を押し下げ、さらには点滴筒
から上記輸液路へ排出される惧れがある。このため、患
者に気体成分が供給されないように、これら過剰となっ
た気体成分を点滴筒の外部へ排出して点滴筒内の液面を
所定位置に維持する必要がある。
【0004】
【従来の技術】従来、上記過剰の気体成分を外部へ排出
して液面を所定位置に維持する点滴筒として、例えば本
発明者等が先に提案した特開平11−19214号公報
に開示のものがある。即ち、この従来の点滴筒は、液体
入口と液体出口とを有する筒体を備えており、この筒体
の壁面の一部を、気体の通過は許容するが液体の通過は
阻止する通気壁で構成してある。この点滴筒内で気体成
分が増加して液面が所定位置よりも押し下げられると、
上記通気壁が液面上に露出し、この露出した部分から過
剰の気体成分が外部へ排出され、これにより液面が上昇
して所定位置に維持される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来技術では、
点滴筒内の液面を所定位置に容易に維持できるので、患
者に空気などの気体成分を供給する惧れがない利点があ
る。しかしながら、上記点滴筒を備えた輸液装置は、例
えば薬剤調製場所等で輸液容器に連結され点滴準備され
たのち患者のところへ搬送する際、点滴筒の姿勢を水平
方向にされることがある。このとき、例えば図13に示
すように、上記通気壁(52)が上方に位置すると点滴筒(5
1)内の気体成分のほとんどが、流入する輸液(53)によっ
て上記通気壁(52)から押し出され、点滴筒(51)内に気相
部分が残らなくなってしまう。
【0006】このように点滴筒(51)内に輸液(53)が充満
して気相部分が残らない状態になると、この点滴筒(51)
を使用時の垂直姿勢に切換えても、点滴筒(51)内の液体
入口よりも下方に気相部分が形成されないので、点滴筒
内で輸液の滴下を確認することができない。そこで、輸
液装置の使用開始にあたって、上記点滴筒(51)内から輸
液(53)の一部を排出するとともに空気を流入させて、液
面を所定位置まで押し下げる操作が必要となり、プライ
ミング操作が煩雑となる問題がある。本発明は上記問題
点を解消し、点滴中の輸液の液面を所定位置に容易に維
持できるうえ、使用時の姿勢にセットする際に輸液の滴
下を容易に確認できるようにし、点滴開始時のいわゆる
プライミング操作を簡略にした点滴筒を提供することを
技術的課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、例えば、本発明の実施の形態を示す図1か
ら図12に基づいて説明すると、点滴筒を次のように構
成したものである。即ち、請求項1に記載の発明は、液
体入口(11)と液体出口(12)とを有する筒体(8)を備え、
この筒体(8)の内部と外部とを連通する排気路(15)を備
え、気体の通過は許容するが液体の通過は阻止する通気
壁(17)を上記排気路(15)に設けることにより、この排気
路(15)を液密状に封止した点滴筒であって、上記筒体
(8)に筒壁(13)を貫通する排気管(14)を付設して、この
排気管(14)の内部に上記排気路(15)を形成し、上記筒体
(8)内に突入した上記排気管(14)の内端とその近傍との
少なくとも一方で上記筒壁(13)から離隔した位置に上記
排気路(15)の排気入口(16)を開口したことを特徴とす
る。
【0008】請求項2に記載の発明は、液体入口(11)と
液体出口(12)とを有する筒体(8)を備え、この筒体(8)
の内部と外部とを連通する排気路(15)を備え、気体の通
過は許容するが液体の通過は阻止する通気壁(17)を上記
排気路(15)に設けることにより、この排気路(15)を液密
状に封止した点滴筒であって、上記筒体(8)の筒壁(13)
に、筒体(8)内方へ凹入した凹入部(26)を形成して、こ
の凹入部(26)内に上記排気路(15)を形成するとともに、
最も凹入された部位とその近傍との少なくとも一方に上
記排気路(15)の排気入口(16)を開口したことを特徴とす
る。
【0009】ここで、上記気体の通過は許容するが液体
の通過は阻止する通気壁とは、例えばポリテトラフルオ
ルエチレンやフッ化ビニリデンなどのフッ素系樹脂で作
製した疎水性フィルター、ナイロンやポリプロピレンな
どの合成樹脂粉末の燒結体、これらを不織布にラミネー
トしたもの等からなるものをいう。上記排気路の排気入
口は、上記排気管の内端や凹入部の最凹入部位に開口し
てもよく、或いは、例えば排気管の内端近傍の管壁やこ
の内端に付設した装着部材など、上記排気管の内端の近
傍や上記最凹入部位の近傍に設けてもよい。さらに、上
記内端や最凹入部位とこれらの近傍とに亘って設けるこ
とも可能である。上記排気路の排気出口には、菌の透過
を阻止するフィルターや、異物の侵入を防止し上記通気
壁を保護する保護カバーなどを付設してもよい。上記筒
体は透明の合成樹脂等で一体形成してもよいが、有底筒
状の筒本体と、この筒本体の上端開口を蓋する蓋部材と
から構成し、上記液体入口を蓋部材に設けてもよい。
【0010】
【作用】点滴準備の際に点滴筒内へ輸液を流入させる
と、点滴筒内の気体成分は排気入口から通気壁を通過し
排気路を経て外部に排出される。上記排気入口は上記排
気管の内端やその近傍で筒壁から離隔した位置に、或い
は、上記凹入部の最も凹入された部位やその近傍に設け
てあるので、点滴筒がどのような姿勢にあっても、点滴
筒内には上記排気入口よりも上方に空間が形成される。
このため、点滴筒内の輸液が増えて上記排気入口を閉塞
すると、その後は気体成分は排出されないので、任意の
姿勢の点滴筒内には、その姿勢での上記排気入口よりも
上方に気相部分が確保される。点滴開始時に上記点滴筒
を所定の姿勢に切り換えると、上記気相部分が上方に移
動し、点滴筒内には輸液の液面と上記液体入口との間に
気相部分が形成され、液体入口から流入する輸液の滴下
が確認される。
【0011】点滴中に上記点滴筒内の気体成分が増加
し、輸液の液面を上記排気入口よりも下方に押し下げる
と、この排気入口が液面上に露出する。この結果、上記
増加した気体成分はこの液面上に露出した排気入口から
前記通気壁を通過して外部へ排出され、輸液の液面は上
昇して所定位置に維持される。
【0012】上記通気壁は排気路に設けてあればよく、
上記排気入口や排気路の中間部、或いは排気出口に設け
ることも可能である。しかし、上記通気壁を上記排気入
口とその近傍との少なくとも一方に配置した場合には、
通気壁が点滴筒の内部に配置されるので、他物が突き当
ったりして破損される惧れがなく、好ましい。
【0013】上記点滴筒内で液体入口からの輸液の滴下
は、目視観察で確認され或いは光学的センサーで検知さ
れる。このため、上記排気路を点滴筒の中間部よりも上
方に設けると、例えば上記排気管が障害となって、上記
滴下の目視観察や光学的センサーによる検知が困難とな
る惧れがある。これに対し、上記排気路を筒体の上下方
向中間部よりも下方にのみ形成した場合には、この排気
路の上方に目視などの障害となる部材が配置されないの
で、上記液体入口からの輸液の滴下が良好に確認・検知
される。
【0014】上記排気路は、筒体の内部と外部とを連通
する構造であればよく、筒体のいずれの部位に設けるこ
とも可能である。しかし、排気路の出口側を上方に形成
すると、落下してきた異物や水滴などが排気出口から排
気路に侵入して上記通気壁の外面に付着し、或いは通気
壁の外面に付着した結露水が容易に排出されず、通気壁
の通気性能を阻害する惧れがある。これに対し、上記排
気路を水平方向となる状態または外側にいくほど下方と
なる状態に形成した場合には、排気路内に異物や水滴が
侵入する惧れがなく、万一侵入しても重力の作用で簡単
に排出され、また、通気壁の外面に付着した結露水も重
力の作用で排出されるので、通気壁の通気性能が良好に
維持される。
【0015】上記通気壁は、水平姿勢・傾斜姿勢・垂直
姿勢のいずれの姿勢に配置してもよい。しかしながら、
水平姿勢に配置すると、輸液の液面が低下した際に表面
張力の作用で通気壁が輸液で完全に覆われてしまう惧れ
や、通気壁の露出に時間が掛かる惧れがある。この場
合、輸液の液面がかなり低下したのち気体成分が通気壁
を通過するので、液面が元の所定位置に上昇するまで大
量の気体成分が排出され、液体入口から短時間に多くの
液滴が滴下する。このため、特に滴下を光学的センサー
で検知していると点滴速度が速くなったと誤って判断さ
れる惧れがある。これに対し、上記通気壁を水平面と交
差させて設けた場合には、輸液の液面の僅かな低下で通
気壁の上端縁が露出して通気可能となるので、輸液の滴
下に大きな変動がなく、点滴速度を誤って判断する惧れ
がないので好ましい。なお、上記交差角度は大きいほど
好ましく、90度に交差させて通気壁を垂直方向に配置
するのが最も好ましい。
【0016】この場合、上記通気壁を矩形に形成するな
ど、通気壁の上端縁を略水平方向に長く形成した場合に
は、輸液の液面が低下すると通気壁が広い面積で露出す
るので過剰な気体成分を素早く排出でき、輸液の滴下が
一層安定するのでより好ましい。
【0017】
【実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づ
き説明する。図1から図3は本発明の第1実施形態を示
し、図1は本発明の点滴筒を用いた輸液装置の一部を破
断した構成図、図2は点滴筒の破断斜視図、図3は点滴
準備後の状態を示す点滴筒の断面図である。
【0018】図1に示すように、この輸液装置(1)は輸
液チューブ等で構成した輸液路(2)の一端に瓶針(3)
を、他端に注射針(4)をそれぞれ設け、輸液路(2)の中
間部に点滴筒(5)と流量調節器であるクランプ(6)と付
設してあり、このクランプ(6)により輸液路(2)の開閉
や点滴速度の調整をできるようにしてある。また、上記
輸液路(2)には注射針(4)の直前にタコ管(7)を設けて
あり、輸液内に含まれる微細な気泡がこのタコ管(7)に
捕集される。
【0019】なお、この実施形態では、点滴筒(5)内で
の輸液の滴下を目視で確認してクランプ(6)を手動操作
する輸液装置(1)について説明しているが、本発明の点
滴筒(5)は、上記輸液の滴下を光学的センサーで検知
し、輸液路に配置した輸液ポンプで流量を調節するよう
に構成された輸液装置にも適用できることは言うまでも
ない。
【0020】図1及び図2に示すように、上記点滴筒
(5)は筒体(8)を備えており、この筒体(8)は、透明材
料で構成した有底筒状の筒本体(9)と、この筒本体(9)
の上部開口を蓋する蓋部材(10)とからなる。上記蓋部材
(10)の下面には上記輸液路(2)の上流側部分に連通する
液体入口(11)が設けてあり、上記筒本体(9)の底部には
輸液路(2)の下流側部分に連通する液体出口(12)が開口
してある。
【0021】上記筒体(8)の上下方向中間部よりも下方
には、側部の筒壁(13)を貫通する状態に排気管(14)を水
平方向に付設してあり、この排気管(14)の内部に筒体
(8)の内部と外部とを連通する排気路(15)が形成してあ
る。上記筒体(8)内に突入した上記排気管(14)の内端は
上記筒壁(13)から離隔させてあり、この内端に上記排気
路(15)の排気入口(16)が開口してある。この排気入口(1
6)には、フッ素系樹脂製の疎水フィルターからなる通気
壁(17)が、上記排気路(15)を縦断する状態に、垂直方向
に設けてある。この通気壁(17)は気体の通過は許容する
が液体の通過は阻止するので、上記排気路(15)は液密状
に封止されている。上記排気管(14)の外端には上記排気
路(15)の排気出口(18)が開口してあり、この排気出口(1
8)に、多数の孔を開口した保護カバー(19)を装着してあ
る。
【0022】次に、上記輸液装置(1)を用いて点滴する
場合の手順を説明する。最初に、主薬成分と溶解液とを
混合するなどして輸液を輸液容器(20)内に調製し、次い
で、上記輸液路(2)をクランプ(6)で閉鎖した状態で瓶
針(3)を輸液容器(20)の液取出し口(21)に刺通し、輸液
容器(20)内の輸液を点滴筒(5)内へ流入させる。点滴筒
(5)内の気体成分は、その一部が上記流入した輸液(22)
により追い出されて上記排気路(15)から排出される。
【0023】上記輸液(22)の流入により点滴筒(5)内の
液面(23)が上昇し、前記排気路(15)の排気入口(16)が輸
液(22)で覆われると、気体成分の流出が停止するととも
に、輸液の流入も停止し、点滴準備が完了する。このと
き、点滴準備中に点滴筒(5)が水平方向に寝かされてい
ても、上記排気入口(16)が筒壁(13)から離隔した位置に
開口してあることから、図3に示すように、上記排気入
口(16)が輸液(22)で閉塞されたときに、上記排気入口(1
6)よりも上方に気相部分(24)が確保される。
【0024】そして、上記準備された輸液装置(1)で患
者に点滴を開始する際、上記点滴筒(5)を所定の点滴姿
勢に切り換えると、図1及び図2に示すように、点滴筒
(5)内には輸液(22)の液面(23)と前記液体入口(11)との
間に気相部分(24)が形成され、液体入口(11)から流入す
る輸液(22)の滴下が容易に確認される。このとき、排気
管(14)や通気壁(17)は筒体(8)の上下方向中間部よりも
下方にのみ設けてあるので、上記輸液(22)の滴下を容易
に目視することができる。
【0025】点滴中に上記気相部分(24)の気体成分が増
加すると上記液面(23)が低下し、排気入口(16)と通気壁
(17)の上部が輸液(22)上に露出するので、過剰な気体成
分が排気路(15)を経て外部へ排出され、これにより上記
液面(23)が所定位置に維持される。
【0026】上記第1実施形態では、上記通気壁(17)を
排気入口(16)に設けてあるので、前記保護カバー(19)が
万一外れても通気壁(17)が他物に突き当って破損される
惧れがない。しかし本発明は、例えば図4に示すよう
に、排気管(14)の排気出口(18)やその近傍に通気壁(17)
を設け、この通気壁(17)を保護カバー(19)で保護しても
よい。この場合、排気管(14)の内部に輸液(22)が侵入す
るが、排気入口(16)が輸液(22)で覆われると点滴筒(5)
内の気体成分は排気路(15)から排出されず、上記第1実
施形態と同様に、点滴筒(5)内に気相部分(24)が確保さ
れる。
【0027】図5及び図6は本発明の第2実施形態を示
し、図5は点滴筒の破断斜視図、図6は点滴準備後の状
態を示す点滴筒の断面図である。図5に示すように、こ
の第2実施形態では、円筒状の排気管(14)を筒本体(9)
の底部から上方に向けて筒壁(13)に貫通させてあり、こ
の排気管(14)の上端に、開口部を側方に向けた、横向き
椀状の装着部材(25)を固定し、この装着部材(25)の上記
の開口部に円形の排気入口(16)を形成するとともに、こ
の排気入口(16)に通気壁(17)を設けてある。
【0028】この第2実施形態では、上記の排気管(14)
を筒体(8)の外側にいくほど下方となる状態に配置して
あるので、外部からこの排気管(14)の内部へ異物や水滴
などが侵入し難い。また、外気に含まれる水分が上記の
通気壁(17)の外面に結露しても、その水滴は重力の作用
で排気管(14)内の排気路(15)から簡単に排出される。こ
の結果、通気壁(17)の通気性能が良好に維持される。
【0029】上記の排気入口(16)に設けた通気壁(17)
は、前記の第1実施形態と同様、円形に形成されている
ので方向性がない。この結果、生産時の組立工程で通気
壁部を組み上げる際、通気壁(17)の方向規制を行う必要
がなく、通気壁を矩形などの他の形状に形成した場合に
比べて、生産設備を簡略化でき生産性を向上することが
できる。
【0030】一方、前記の第1実施形態では排気管(14)
の端部に排気入口(16)を形成してこの排気入口(16)に円
形の通気壁(17)を設けたが、この第2実施形態では、排
気管(14)の上端に装着部材(25)を固定して、この装着部
材(25)の側面に形成した排気入口(16)に通気壁(17)を設
けてある。このため、排気入口(16)や通気壁(17)の面積
を、排気管(14)の断面積に制限されずに広く形成できる
ので、過剰な気体成分が素早く排出され、点滴筒(5)内
で輸液(22)の液面(23)が所定位置に安定して維持され
る。
【0031】上記排気入口(16)は、上記装着部材(25)の
側面のうちの、上記筒体(8)の筒壁(13)から最も離れた
側面に形成してある。このため、図6に示すように、点
滴準備の際に点滴筒(5)が水平方向に寝かされた場合、
輸液(22)で閉塞された上記排気入口(16)の上方に容積の
大きい気相部分(24)が確保される。
【0032】上記第2実施形態では円形の通気壁(17)を
用いたが、本発明の通気壁(17)は、例えば図7に示す変
形例のように、楕円形などの他の形状であってもよい。
即ち、この第2実施形態の変形例では、装着部材(25)に
形成した排気入口(16)が長径を水平方向に配置した楕円
形に形成してあり、この排気入口(16)に同じく楕円形の
通気壁(17)を設けてある。その他の構成は上記の第2実
施形態と同様であるので説明を省略する。
【0033】この変形例では、上記の第2実施形態と同
様、排気入口(16)や通気壁(17)の面積を、排気管(14)の
断面積に制限されずに広く形成できるうえ、通常、点滴
中は輸液(22)の液面(23)と通気壁(17)の長径が略平行と
なることから、上記の第2実施形態と異なり、輸液(22)
の液面(23)が低下すると通気壁(17)は上端縁に沿って広
い面積が露出するので、過剰な気体成分が素早く排出さ
れ、上記の液面(23)が所定位置に安定して維持される。
【0034】図8及び図9は本発明の第3実施形態を示
し、図8は点滴筒の破断斜視図、図9は点滴準備後の状
態を示す点滴筒の断面図である。図8に示すように、こ
の第3実施形態では、角筒型の排気管(14)を筒本体(9)
の底部から上方に向けて筒壁(13)を貫通させてあり、こ
の排気管(14)の上端に箱型の装着部材(25)を固定し、こ
の装着部材(25)の側面に矩形の排気入口(16)を形成する
とともに、この排気入口(16)に通気壁(17)を設けてあ
る。
【0035】この第3実施形態では、上記の第2実施形
態と同様、上記排気管(14)を外側が下方となる状態に配
置してあるので、外部からこの排気管(14)の内部へ異物
や水滴などが侵入し難く、また、通気壁(17)の外面に結
露した水滴が排気路(15)から簡単に排出されるので、通
気壁(17)の通気性能が良好に維持される。さらに、上記
の第2実施形態と同様、排気入口(16)や通気壁(17)の面
積を、排気管(14)の断面積に制限されずに広く形成でき
る。しかも、第2実施形態と異なって通気壁(17)が矩形
に形成されているので、輸液(22)の液面(23)が低下する
と通気壁(17)は上端縁に沿って広い面積が露出し、過剰
な気体成分が素早く排出されて、上記液面(23)が所定位
置に安定して維持される。
【0036】上記排気入口(16)は、上記の第2実施形態
と同様に、上記装着部材(25)の側面のうちの、筒体(8)
の筒壁(13)から最も離れた側面に形成してあり、図9に
示すように、点滴準備の際に点滴筒(5)が水平方向に寝
かされた場合には、輸液(22)で閉塞された排気入口(16)
の上方に容積の大きい気相部分(24)が確保される。
【0037】なお、上記の第2実施形態や第3実施形態
では、いずれも排気管(14)の上端に装着部材(25)を固定
したが、両者は一体に形成してもよく、例えば円筒状の
排気管の上端に上記の第2実施形態の装着部材等と同様
の形状の膨出部を形成し、この膨出部に排気入口を形成
し、この膨出部と上記の排気管の内部に亘って排気路を
形成してもよい。
【0038】上記の第2実施形態や第3実施形態は、前
記第1実施形態と同様、排気管(14)を筒体(8)の上下方
向中間部よりも下方にのみ設けてあるので、液体入口(1
1)からの輸液(22)の滴下を容易に確認できる。しかしな
がら本発明では、例えば図10に示す第4実施形態のよ
うに、上記輸液滴下の確認に障害とならない範囲で筒体
(8)の上方部分に設けてもよい。即ち、この第4実施形
態では、筒体(8)のうちの蓋部材(10)を上下に貫通する
状態に排気管(14)を配置し、この排気管(14)の下端に装
着部材(25)を付設してある。
【0039】上記第1〜第4の各実施形態はいずれも筒
体(8)に付設した排気管(14)の内部に排気路(15)を形成
したが、本発明の排気路は筒体の筒壁の一部を凹入して
この凹入部の内部に形成してもよい。
【0040】即ち、図11に示す本発明の第5実施形態
では、筒体(8)の底部から筒壁(13)の一部を上方へ凹入
して凹入部(26)を形成し、この凹入部(26)内に排気路(1
5)を形成してある。上記凹入部(26)の上端は開口してあ
り、この上端部に上記第3実施形態と同様の装着部材(2
5)を固定し、この装着部材(25)に形成した排気入口(16)
に通気壁(17)を設けてある。この第5実施形態は上記の
各実施形態と異なり排気管を要しないので、部品点数が
少なく済み、安価に実施できる。その他の構成は上記第
3実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0041】図12は本発明の第6実施形態を示す、点
滴筒の破断斜視図である。この第6実施形態では、上記
筒体(8)の周囲の筒壁(13)の一部を筒体(8)内方へ凹入
して凹入部(26)を形成し、最も凹入された部位に上記排
気路(15)の排気入口(16)を開口し、この排気入口(16)に
通気壁(17)を設けてある。上記凹入部(26)には必要に応
じて保護カバー(19)が装着され、排気路(15)は上記の排
気入口(16)から凹入部(26)内を経て保護カバー(19)に形
成された排気出口(18)に至る経路で構成される。
【0042】
【発明の効果】本発明は上記のように構成され作用する
ことから、次の効果を奏する。
【0043】(イ)点滴準備の際に点滴筒内へ輸液を流
入させると、点滴筒内の気体成分は排気入口から通気壁
を通過し排気路を経て外部へ排出されるが、点滴筒がど
のような姿勢にあっても、点滴筒内にはその姿勢での上
記排気入口よりも上方に気相部分が確保されることか
ら、点滴開始時に上記点滴筒を使用時の姿勢に切り換え
るだけで、液体入口と輸液の液面との間に気相部分を形
成できる。従って、予め輸液を流入させて準備された点
滴筒は、使用時の姿勢にセットするだけで輸液の滴下を
容易に確認できるようになり、点滴開始時のいわゆるプ
ライミング操作を簡略にできる。
【0044】(ロ)点滴中は、点滴筒内の気体成分が増
加して輸液の液面が低下すると排気入口が液面上に露出
するので、上記過剰となった気体成分をこの露出した排
気入口から通気壁を通過させて外部へ排出でき、点滴中
の輸液の液面を所定位置に容易に維持できる。
【0045】(ハ)上記通気壁を上記排気入口とその近
傍との少なくとも一方に配置した場合には、通気壁が点
滴筒の内部に配置されるので、他物が突き当ったりして
通気壁を破損する惧れがなく、輸液が洩れたり菌で汚染
されたりする惧れがない。
【0046】(ニ)上記排気路を筒体の上下方向中間部
よりも下方にのみ形成した場合には、この排気路の上方
に目視などの障害となる部材が配置されないので、上記
液体入口からの輸液の滴下を良好に目視確認でき、ある
いは光学的センサーにより検知することができる。
【0047】(ホ)上記排気路を、水平方向となる状態
または外側にいくほど下方となる状態に形成した場合に
は、排気路内に異物や水滴が侵入する惧れがなく、万一
侵入しても重力の作用で簡単に排出でき、また、通気壁
の外面に付着した結露水も重力の作用で排出できるの
で、通気壁の通気性能を良好に維持することができる。
【0048】(ヘ)上記通気壁を水平面と交差させて設
けた場合には、輸液の液面の僅かな低下で通気壁の上端
縁が露出して通気可能となるので、輸液の滴下を大きく
変動させることがなく、点滴速度を誤って判断する惧れ
がない。
【0049】(ト)この場合、上記通気壁の上端縁を略
水平方向に長く形成した場合には、輸液の液面が低下す
ると通気壁が広い面積で露出するので過剰な気体成分を
素早く排出でき、輸液の滴下を一層安定させることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す、点滴筒を用いた
輸液装置の一部を破断した構成図である。
【図2】第1実施形態の、点滴筒の破断斜視図である。
【図3】第1実施形態の、点滴準備後の状態を示す点滴
筒の断面図である。
【図4】第1実施形態の変形例を示す、図3相当図であ
る。
【図5】第2実施形態を示す、図2相当図である。
【図6】第2実施形態の、図3相当図である。
【図7】第2実施形態の変形例を示す、要部の断面図で
ある。
【図8】第3実施形態を示す、図2相当図である。
【図9】第3実施形態の、図3相当図である。
【図10】第4実施形態を示す、点滴筒の上半部の断面
図である。
【図11】第5実施形態を示す、点滴筒の下半部の断面
図である。
【図12】第6実施形態を示す、図2相当図である。
【図13】従来技術を示す、図3相当図である。
【符号の説明】
1…輸液装置、5…点滴筒、8…筒体、11…液体入口、
12…液体出口、13…筒壁、14…排気管、15…排気路、16
…排気入口、17…通気壁、26…凹入部。
フロントページの続き (72)発明者 鈴木 宏 大阪府吹田市末広町19番3号 Fターム(参考) 4C066 AA07 BB01 CC01 DD01 EE12 FF04 GG01 QQ02 QQ42

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体入口(11)と液体出口(12)とを有する
    筒体(8)を備え、この筒体(8)の内部と外部とを連通す
    る排気路(15)を備え、 気体の通過は許容するが液体の通過は阻止する通気壁(1
    7)を上記排気路(15)に設けることにより、この排気路(1
    5)を液密状に封止した点滴筒であって、 上記筒体(8)に筒壁(13)を貫通する排気管(14)を付設し
    て、この排気管(14)の内部に上記排気路(15)を形成し、 上記筒体(8)内に突入した上記排気管(14)の内端とその
    近傍との少なくとも一方で上記筒壁(13)から離隔した位
    置に、上記排気路(15)の排気入口(16)を開口したことを
    特徴とする、点滴筒。
  2. 【請求項2】 液体入口(11)と液体出口(12)とを有する
    筒体(8)を備え、この筒体(8)の内部と外部とを連通す
    る排気路(15)を備え、 気体の通過は許容するが液体の通過は阻止する通気壁(1
    7)を上記排気路(15)に設けることにより、この排気路(1
    5)を液密状に封止した点滴筒であって、 上記筒体(8)の筒壁(13)に、筒体(8)内方へ凹入した凹
    入部(26)を形成して、この凹入部(26)内に上記排気路(1
    5)を形成するとともに、最も凹入された部位とその近傍
    との少なくとも一方に上記排気路(15)の排気入口(16)を
    開口したことを特徴とする、点滴筒。
  3. 【請求項3】 上記通気壁(17)を上記排気入口(16)とそ
    の近傍との少なくとも一方に配置した、請求項1または
    請求項2に記載の点滴筒。
  4. 【請求項4】 上記排気路(15)を、筒体(8)の上下方向
    中間部よりも下方にのみ形成した、請求項1から3のい
    ずれか1項に記載の点滴筒。
  5. 【請求項5】 上記排気路(15)を、水平方向となる状態
    または外側にいくほど下方となる状態に形成した、請求
    項4に記載の点滴筒。
  6. 【請求項6】 上記通気壁(17)を水平面と交差させて設
    けた、請求項1から5のいずれか1項に記載の点滴筒。
  7. 【請求項7】 上記通気壁(17)の上端縁を略水平方向に
    長く形成した、請求項6に記載の点滴筒。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005218863A (ja) * 2004-01-29 2005-08-18 Becton Dickinson & Co 自動準備iv溶液投与システム
JP2010029411A (ja) * 2008-07-29 2010-02-12 Nippon Sherwood Medical Industries Ltd 点滴筒およびそれを備えた点滴装置

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