JP2002342389A - シミュレーション方法及びこれをコンピュータに実行させるためのプログラム - Google Patents
シミュレーション方法及びこれをコンピュータに実行させるためのプログラムInfo
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- JP2002342389A JP2002342389A JP2001147438A JP2001147438A JP2002342389A JP 2002342389 A JP2002342389 A JP 2002342389A JP 2001147438 A JP2001147438 A JP 2001147438A JP 2001147438 A JP2001147438 A JP 2001147438A JP 2002342389 A JP2002342389 A JP 2002342389A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 複数の物体が移動して接触及び離反する状
態をモデル化し、数値的に解析するときの困難を回避す
るとともに、接触及び離反すると基の電界の状態を精度
よく制限して解析する。 【解決手段】 互いに接触して回転する2つのロール
1,2の周面のある位置に着目し、接近、接触及び離反
するときの電気的状態を、ロールの周面を形成する各層
及びその間の空気層をそれぞれ要素とし、一次元のモデ
ルとして解析する。2つのロール周面の空気層を隔てた
距離を演算し、所定の値以上であると空気層に相当する
要素を絶縁層として数値計算する。距離が所定値以下で
あると、所定の抵抗率を有する仮想抵抗層を介挿して演
算を行う。
態をモデル化し、数値的に解析するときの困難を回避す
るとともに、接触及び離反すると基の電界の状態を精度
よく制限して解析する。 【解決手段】 互いに接触して回転する2つのロール
1,2の周面のある位置に着目し、接近、接触及び離反
するときの電気的状態を、ロールの周面を形成する各層
及びその間の空気層をそれぞれ要素とし、一次元のモデ
ルとして解析する。2つのロール周面の空気層を隔てた
距離を演算し、所定の値以上であると空気層に相当する
要素を絶縁層として数値計算する。距離が所定値以下で
あると、所定の抵抗率を有する仮想抵抗層を介挿して演
算を行う。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、複数の物体及び
これらの間に介在する空気層を想定した要素を仮想空間
内又は仮想平面内に設定して電気的な状態を数値的に解
析するシミュレーション方法及びこのシミュレーション
方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに関
するものである。
これらの間に介在する空気層を想定した要素を仮想空間
内又は仮想平面内に設定して電気的な状態を数値的に解
析するシミュレーション方法及びこのシミュレーション
方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】複数の物体間に形成される電界の計算
は、理論的には所定の境界条件のもとにポアソン方程式
を解くことによって行なわれる。このときの計算モデル
は、対象とする系の性質や解析に求められる解の精度に
応じて単純にも複雑にもなるが、多くの場合、方程式は
解析的な解を得ることは難しく、数値的に解かれる。特
にモデルが2次元以上である場合、あるいは1次元であ
っても、計算対象となる層の数が多い場合やパラメータ
が時間や電界などによって変化する対象を扱う場合には
方程式が複雑になる。そこで、2次元の場合には有限差
分法、有限要素法、1次元の場合には差分法やルンゲ−
クッタ法などを用いて空間もしくは時間またはその両方
を離散化して数値的に解く場合が多い。
は、理論的には所定の境界条件のもとにポアソン方程式
を解くことによって行なわれる。このときの計算モデル
は、対象とする系の性質や解析に求められる解の精度に
応じて単純にも複雑にもなるが、多くの場合、方程式は
解析的な解を得ることは難しく、数値的に解かれる。特
にモデルが2次元以上である場合、あるいは1次元であ
っても、計算対象となる層の数が多い場合やパラメータ
が時間や電界などによって変化する対象を扱う場合には
方程式が複雑になる。そこで、2次元の場合には有限差
分法、有限要素法、1次元の場合には差分法やルンゲ−
クッタ法などを用いて空間もしくは時間またはその両方
を離散化して数値的に解く場合が多い。
【0003】そうした電界解析において、ふたつの離れ
た物体が接触したり、再び離反するような工程を扱う場
合、物理的・数学的な困難を伴う。これはふたつの物体
が理想的に接触した場合に、そこで境界の数がひとつ減
るが、離反する際に境界の数が再びひとつ増えることに
由来する。接触前、ふたつの物体のそれぞれには、ある
電荷がたまっている。ふたつの物体が理想的に接触する
とき、それらの電荷は足し合わされる。次に、ふたつの
物体が離反するとき、それぞれの物体表面に、直前の電
荷がどういう割合で振り分けられるかを決めることはで
きない。そこで、通常は、このような解析の際には接触
領域において微小な空気層を介在させることによってこ
の問題を回避している。
た物体が接触したり、再び離反するような工程を扱う場
合、物理的・数学的な困難を伴う。これはふたつの物体
が理想的に接触した場合に、そこで境界の数がひとつ減
るが、離反する際に境界の数が再びひとつ増えることに
由来する。接触前、ふたつの物体のそれぞれには、ある
電荷がたまっている。ふたつの物体が理想的に接触する
とき、それらの電荷は足し合わされる。次に、ふたつの
物体が離反するとき、それぞれの物体表面に、直前の電
荷がどういう割合で振り分けられるかを決めることはで
きない。そこで、通常は、このような解析の際には接触
領域において微小な空気層を介在させることによってこ
の問題を回避している。
【0004】このような工程を扱った例として、ロール
及びベルトを用いたゼログラフィの転写プロセスの解析
に1次元の電界解析を適用した研究(”Performance of
anElectrically Biased Transfer Roller in a Kodak
ColorEdge Copier", NIP7,1991, vol1, p73, Zaretzky)
がある。この研究においては、転写ベルトから紙への
トナーの転写に関し、転写ニップ周辺の転写電界の解析
が扱われている。モデルは1次元であり、転写ロール、
紙、空気層、トナー層、転写ベルトが、積層された層と
して扱われる。これらの5層のすべてに比誘電率と体積
抵抗率が与えられ、さらに空気層の厚さは転写ロールの
曲率とプロセススピードに応じて変化する。そして、転
写ニップの中で紙とトナー層が接触するとき、上記のよ
うに空気層をなくすのではなく、空気層の厚さとして十
分に小さな値を与えるものとしている。
及びベルトを用いたゼログラフィの転写プロセスの解析
に1次元の電界解析を適用した研究(”Performance of
anElectrically Biased Transfer Roller in a Kodak
ColorEdge Copier", NIP7,1991, vol1, p73, Zaretzky)
がある。この研究においては、転写ベルトから紙への
トナーの転写に関し、転写ニップ周辺の転写電界の解析
が扱われている。モデルは1次元であり、転写ロール、
紙、空気層、トナー層、転写ベルトが、積層された層と
して扱われる。これらの5層のすべてに比誘電率と体積
抵抗率が与えられ、さらに空気層の厚さは転写ロールの
曲率とプロセススピードに応じて変化する。そして、転
写ニップの中で紙とトナー層が接触するとき、上記のよ
うに空気層をなくすのではなく、空気層の厚さとして十
分に小さな値を与えるものとしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような解析では、次のような問題点がある。実際の現象
においては、トナー層と紙は、ある接触状態に置かれ
る。そして、通常トナーは高抵抗であるが、厳密にいえ
ば、トナー層から紙へ電流が生じる。ところが、先に述
べたようなモデルにおいては、紙とトナー層との間に空
気層(絶縁体)が介在しているため、紙とトナー層との
間で伝導電流は生じない。この問題は、トナー層が存在
しない場合(非画像部)の計算においてより大きな問題
となる。
ような解析では、次のような問題点がある。実際の現象
においては、トナー層と紙は、ある接触状態に置かれ
る。そして、通常トナーは高抵抗であるが、厳密にいえ
ば、トナー層から紙へ電流が生じる。ところが、先に述
べたようなモデルにおいては、紙とトナー層との間に空
気層(絶縁体)が介在しているため、紙とトナー層との
間で伝導電流は生じない。この問題は、トナー層が存在
しない場合(非画像部)の計算においてより大きな問題
となる。
【0006】トナー層が存在しない場合、転写ベルトと
紙とが直接接触することになる。転写ベルトは通常10
8 [Ωcm]〜1012[Ωcm]程度のいわゆる中抵抗の物
質である場合が多く、紙もまた、環境にも依存するが、
同程度の抵抗である。このような物質がある接触状態に
置かれた場合、両者間に生じる電流を無視することはで
きない。しかし計算においては、空気層の存在によっ
て、そのような電流が生じないため、計算結果と実際の
現象との間にずれが発生する。このずれは、物体の抵抗
が低ければ低いほど顕著になる。
紙とが直接接触することになる。転写ベルトは通常10
8 [Ωcm]〜1012[Ωcm]程度のいわゆる中抵抗の物
質である場合が多く、紙もまた、環境にも依存するが、
同程度の抵抗である。このような物質がある接触状態に
置かれた場合、両者間に生じる電流を無視することはで
きない。しかし計算においては、空気層の存在によっ
て、そのような電流が生じないため、計算結果と実際の
現象との間にずれが発生する。このずれは、物体の抵抗
が低ければ低いほど顕著になる。
【0007】一方、このような物体どうしの接触の問題
において、理想的あるいは完全な接触を仮定して理論的
に解析しようとすると、先に述べたように境界の増減の
問題を避けることはできない。つまり、境界の数が増え
るときに、電荷の振り分け方を原理的に決定できない。
さらに、実際には、物体どうしは理想的あるいは完全に
接触するわけでなく、たとえば、両者の表面粗さに応じ
た不完全な接触状態に置かれていると考えられる。した
がって、計算においてもそのような状態を再現すること
が望ましい。
において、理想的あるいは完全な接触を仮定して理論的
に解析しようとすると、先に述べたように境界の増減の
問題を避けることはできない。つまり、境界の数が増え
るときに、電荷の振り分け方を原理的に決定できない。
さらに、実際には、物体どうしは理想的あるいは完全に
接触するわけでなく、たとえば、両者の表面粗さに応じ
た不完全な接触状態に置かれていると考えられる。した
がって、計算においてもそのような状態を再現すること
が望ましい。
【0008】本発明は、上記のような事情に鑑みてなさ
れたものであり、その目的は、複数の物体が移動して接
触及び離反する状態をモデル化し、数値的に解析すると
きの困難を回避するとともに、接触及び離反するときの
電界の状態を精度よく再現して数値的に解析することで
ある。
れたものであり、その目的は、複数の物体が移動して接
触及び離反する状態をモデル化し、数値的に解析すると
きの困難を回避するとともに、接触及び離反するときの
電界の状態を精度よく再現して数値的に解析することで
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に係る発明は、 少なくともひとつが移動
する複数の物体及びこれらの間に介在する空気層を想定
した要素を仮想空間内又は仮想平面内に設定して、電荷
の移動を含む電気的な状態を数値的に解析するシミュレ
ーション方法であって、 あらかじめ設定された各時刻
において、前記複数の物体が前記空気層を介して離隔す
る距離を演算する工程と、 演算された前記距離が0
(ゼロ)又はあらかじめ設定された所定の値以下である
か否かの判別を行う工程と、 前記判別工程で、前記距
離が0(ゼロ)又は所定の値以下であると判別されたと
きに、前記物体を想定した要素間に、あらかじめ設定さ
れた厚さで所定の導電率及び比誘電率を有する仮想抵抗
層を要素として設定する工程と、 前記物体を想定した
要素が移動する過程における所定の時刻において、所定
の条件のもとに各要素における電界と表面電荷密度とを
演算する工程とを含むシミュレーション方法を提供す
る。
に、請求項1に係る発明は、 少なくともひとつが移動
する複数の物体及びこれらの間に介在する空気層を想定
した要素を仮想空間内又は仮想平面内に設定して、電荷
の移動を含む電気的な状態を数値的に解析するシミュレ
ーション方法であって、 あらかじめ設定された各時刻
において、前記複数の物体が前記空気層を介して離隔す
る距離を演算する工程と、 演算された前記距離が0
(ゼロ)又はあらかじめ設定された所定の値以下である
か否かの判別を行う工程と、 前記判別工程で、前記距
離が0(ゼロ)又は所定の値以下であると判別されたと
きに、前記物体を想定した要素間に、あらかじめ設定さ
れた厚さで所定の導電率及び比誘電率を有する仮想抵抗
層を要素として設定する工程と、 前記物体を想定した
要素が移動する過程における所定の時刻において、所定
の条件のもとに各要素における電界と表面電荷密度とを
演算する工程とを含むシミュレーション方法を提供す
る。
【0010】このシミュレーション方法では、二つの物
体を想定した要素間の距離が接触したとみなせる程度に
小さな値になったとき、又は0(ゼロ)になったとき
に、それまで物体間にあった空気層を想定した要素を所
定厚さの抵抗層におきかえる。したがって、解析モデル
における要素間の境界の数は変化せず、二つの物体が接
近し、接触する状態を、連続性をもって解析することが
できる。
体を想定した要素間の距離が接触したとみなせる程度に
小さな値になったとき、又は0(ゼロ)になったとき
に、それまで物体間にあった空気層を想定した要素を所
定厚さの抵抗層におきかえる。したがって、解析モデル
における要素間の境界の数は変化せず、二つの物体が接
近し、接触する状態を、連続性をもって解析することが
できる。
【0011】なお、二つの物体の接触後に空気層を想定
した要素が消滅するものとすると、境界の数が減少し、
境界ごとに導かれる電界と表面電荷密度との関係式が接
触前と接触後で異なるものとなってしまう。このため、
接触前と接触後との連続性を維持しながら解析すること
が困難となってしまう。
した要素が消滅するものとすると、境界の数が減少し、
境界ごとに導かれる電界と表面電荷密度との関係式が接
触前と接触後で異なるものとなってしまう。このため、
接触前と接触後との連続性を維持しながら解析すること
が困難となってしまう。
【0012】一方、上記のように、境界の数を変えるこ
となく、空気層に相当する要素を仮想抵抗層に置き換
え、この要素の比誘電率、導電率を適切に設定すること
により、二つの物体が実際に接触しているのとほぼ同等
の電気的な状態を再現することができる。
となく、空気層に相当する要素を仮想抵抗層に置き換
え、この要素の比誘電率、導電率を適切に設定すること
により、二つの物体が実際に接触しているのとほぼ同等
の電気的な状態を再現することができる。
【0013】また、二つの物体の表面が粗な状態で電気
的に抵抗を有する状態で接触している場合等、現実的な
接触状態を再現することが可能となる。したがって、二
つの物体が離間状態から接触する工程について、電界の
状態を精度よく解析することができる。
的に抵抗を有する状態で接触している場合等、現実的な
接触状態を再現することが可能となる。したがって、二
つの物体が離間状態から接触する工程について、電界の
状態を精度よく解析することができる。
【0014】請求項2に係る発明は、請求項1に記載の
シミュレーション方法において、前記複数の物体を想定
した要素の移動は、互いに接触した状態から離反する過
程を含むものであり、 接触していた要素間の距離が0
(ゼロ)より大きい値又は所定の値より大きくなったと
きに、前記仮想抵抗層として介挿した要素を、空気層を
想定した要素に置き換えるものとする。
シミュレーション方法において、前記複数の物体を想定
した要素の移動は、互いに接触した状態から離反する過
程を含むものであり、 接触していた要素間の距離が0
(ゼロ)より大きい値又は所定の値より大きくなったと
きに、前記仮想抵抗層として介挿した要素を、空気層を
想定した要素に置き換えるものとする。
【0015】このシミュレーション方法では、二つの物
体が接近し、接触した後離反する過程についても境界の
数は変わらず、精度の良い解析が可能となる。つまり、
二つの物体が接触し離反するときに、これらの間の空気
層を想定した要素を消滅させ、離反するときに再び挿入
するといった処理をすると、空気層を想定した要素を挿
入するときに、接触面に存在していた電荷を離反する双
方の物体に振り分ける必要が生じ、これを実際の状態の
対応させることが困難となってしまう。しかし、上記の
ように境界の数を変えることなく処理を行うのでこのよ
うな問題が生じることはなく、精度のよい解析が可能と
なるものである。
体が接近し、接触した後離反する過程についても境界の
数は変わらず、精度の良い解析が可能となる。つまり、
二つの物体が接触し離反するときに、これらの間の空気
層を想定した要素を消滅させ、離反するときに再び挿入
するといった処理をすると、空気層を想定した要素を挿
入するときに、接触面に存在していた電荷を離反する双
方の物体に振り分ける必要が生じ、これを実際の状態の
対応させることが困難となってしまう。しかし、上記の
ように境界の数を変えることなく処理を行うのでこのよ
うな問題が生じることはなく、精度のよい解析が可能と
なるものである。
【0016】請求項3に係る発明は、請求項1に記載の
シミュレーション方法において、前記仮想抵抗層の導電
率は、 二つ物体を実際に接触させ、表面電位を実測す
る実験の結果と、前記導電率を変化させて該実験内容と
対応する数値解析を行った結果とを対比して定めるもの
とする。
シミュレーション方法において、前記仮想抵抗層の導電
率は、 二つ物体を実際に接触させ、表面電位を実測す
る実験の結果と、前記導電率を変化させて該実験内容と
対応する数値解析を行った結果とを対比して定めるもの
とする。
【0017】この方法では、二つの物体を実際に接触さ
せたときの表面電位の実測定値に、数値解析値がほぼ合
致するように仮想抵抗層の導電率を定めることができ
る。このため、仮想抵抗層は二つの物体間の接触状態を
解析モデル上で精度良く再現するものとなり、シミュレ
ーションによる数値解析値の精度が向上する。
せたときの表面電位の実測定値に、数値解析値がほぼ合
致するように仮想抵抗層の導電率を定めることができ
る。このため、仮想抵抗層は二つの物体間の接触状態を
解析モデル上で精度良く再現するものとなり、シミュレ
ーションによる数値解析値の精度が向上する。
【0018】請求項4に係る発明は、請求項1に記載の
シミュレーション方法において、前記仮想抵抗層の導電
率は、接触する前記物体のいずれか一方の最表層の材料
が有する導電率を用いるものとする。
シミュレーション方法において、前記仮想抵抗層の導電
率は、接触する前記物体のいずれか一方の最表層の材料
が有する導電率を用いるものとする。
【0019】この方法では、二つの物体を想定した要素
間に介挿された仮想抵抗層が、接触する二つの物体のい
ずれか一方の最表層の一部であるのと同じように作用
し、直接に二つの物体が接触している状態に近似するも
のとなる。そして、仮想抵抗層の層厚を適切に小さくす
ることにより、境界の数を変えることなく、二つの物体
の接触状態をモデル化することができる。
間に介挿された仮想抵抗層が、接触する二つの物体のい
ずれか一方の最表層の一部であるのと同じように作用
し、直接に二つの物体が接触している状態に近似するも
のとなる。そして、仮想抵抗層の層厚を適切に小さくす
ることにより、境界の数を変えることなく、二つの物体
の接触状態をモデル化することができる。
【0020】請求項5に係る発明は、請求項1又は請求
項2に記載のシミュレーション方法において、 前記複
数の物体を想定した要素が空気層を介して隔てられた距
離について、該物体間で放電が生じるか否かを所定の条
件で判別し、 前記判別の結果、放電が生じる場合に、
放電に相当する電荷量を、前記要素間で数値的に移動さ
せるものとする。
項2に記載のシミュレーション方法において、 前記複
数の物体を想定した要素が空気層を介して隔てられた距
離について、該物体間で放電が生じるか否かを所定の条
件で判別し、 前記判別の結果、放電が生じる場合に、
放電に相当する電荷量を、前記要素間で数値的に移動さ
せるものとする。
【0021】この方法では、二つの物体が近接したとき
に生じる放電を考慮した解析、つまり非接触状態にある
物体間で電荷が所定の条件のもとに移動するのを考慮し
た解析を行うことができる。したがって、より実際に物
体が接触又は離反する状態をより精度良く再現して数値
的に解析することができる。
に生じる放電を考慮した解析、つまり非接触状態にある
物体間で電荷が所定の条件のもとに移動するのを考慮し
た解析を行うことができる。したがって、より実際に物
体が接触又は離反する状態をより精度良く再現して数値
的に解析することができる。
【0022】請求項6に係る発明は、 複数の物体を想
定した要素及びこれらの物体間に存在する空気層を想定
した要素が、仮想空間内又は仮想平面内で占める範囲、
及び該要素のそれぞれについて比誘電率と導電率とを設
定し、各要素間の電荷の移動を含む電気的状態の数値的
解析をコンピュータに実行させるためのプログラムであ
って、 時間の経過にともなって前記物体を想定した要
素が前記仮想空間内又は仮想平面内で移動するように、
各要素の位置を変化させ又は占める範囲を変化させる手
順と、 前記物体を想定した要素が移動する過程におけ
る所定の時刻において、該複数の物体を想定した要素が
空気層を介して隔てられた距離を演算する手順と、 前
記複数の物体を想定した要素間の距離が0(ゼロ)又は
あらかじめ設定された所定の値以下であるか否かを判別
する手順と、 前記距離が、0(ゼロ)又はあらかじめ
設定された所定の値以下であるときに、前記物体を想定
した要素間に、あらかじめ設定された厚さで所定の導電
率及び比誘電率を有する仮想抵抗層を要素として設定す
る手順と、 前記物体を想定した要素が移動する過程に
おける所定の時刻において、所定の条件のもとに、各要
素内における電界と表面電荷密度とを演算する手順と、
をコンピュータに実行させるためのプログラムを提供す
る。
定した要素及びこれらの物体間に存在する空気層を想定
した要素が、仮想空間内又は仮想平面内で占める範囲、
及び該要素のそれぞれについて比誘電率と導電率とを設
定し、各要素間の電荷の移動を含む電気的状態の数値的
解析をコンピュータに実行させるためのプログラムであ
って、 時間の経過にともなって前記物体を想定した要
素が前記仮想空間内又は仮想平面内で移動するように、
各要素の位置を変化させ又は占める範囲を変化させる手
順と、 前記物体を想定した要素が移動する過程におけ
る所定の時刻において、該複数の物体を想定した要素が
空気層を介して隔てられた距離を演算する手順と、 前
記複数の物体を想定した要素間の距離が0(ゼロ)又は
あらかじめ設定された所定の値以下であるか否かを判別
する手順と、 前記距離が、0(ゼロ)又はあらかじめ
設定された所定の値以下であるときに、前記物体を想定
した要素間に、あらかじめ設定された厚さで所定の導電
率及び比誘電率を有する仮想抵抗層を要素として設定す
る手順と、 前記物体を想定した要素が移動する過程に
おける所定の時刻において、所定の条件のもとに、各要
素内における電界と表面電荷密度とを演算する手順と、
をコンピュータに実行させるためのプログラムを提供す
る。
【0023】このプログラムでは、物体を想定した要素
が接触状態となったときにも、空気層に相当する要素の
代わりに仮想抵抗層を要素として介在させるので境界の
数は変わらず接触の前後にわたり、連続性を有する演算
を容易に行うことができる。また、仮想抵抗層の導電
率、比誘電率を適切に設定することにより、物体が接触
し、離反する過程を精度良く再現してシミュレーション
を行うことができる。
が接触状態となったときにも、空気層に相当する要素の
代わりに仮想抵抗層を要素として介在させるので境界の
数は変わらず接触の前後にわたり、連続性を有する演算
を容易に行うことができる。また、仮想抵抗層の導電
率、比誘電率を適切に設定することにより、物体が接触
し、離反する過程を精度良く再現してシミュレーション
を行うことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本願に係る発明の一実施形
態であるシミュレーション方法を図に基づいて説明す
る。ここで説明するシミュレーションは、図1(a)に
示すように、二つのロール1,2が平行に配置され、周
面が接触して回転しているときの電荷の移動及び電界の
状態を数値的に解析するものである。そして解析は、そ
れぞれのロールの周方向の特定位置が、各ロールの回転
にともなって接近し、二つのロールのニップ部で接触し
た後、再び離反するときの状態を一次元モデルとして解
析するものである。
態であるシミュレーション方法を図に基づいて説明す
る。ここで説明するシミュレーションは、図1(a)に
示すように、二つのロール1,2が平行に配置され、周
面が接触して回転しているときの電荷の移動及び電界の
状態を数値的に解析するものである。そして解析は、そ
れぞれのロールの周方向の特定位置が、各ロールの回転
にともなって接近し、二つのロールのニップ部で接触し
た後、再び離反するときの状態を一次元モデルとして解
析するものである。
【0025】上記ロールは、図1(b)に示すように、
いずれも導電性金属の芯材1a,2aの周面上に、3層
の誘電体層1b,1c,1d,2b,2c,2dを設け
たものであり、双方の芯材間に所定の電圧が印加され
る。
いずれも導電性金属の芯材1a,2aの周面上に、3層
の誘電体層1b,1c,1d,2b,2c,2dを設け
たものであり、双方の芯材間に所定の電圧が印加され
る。
【0026】解析モデルは、図2に示すように、各3層
の誘電体層を想定した要素とその間に介挿される空気層
に相当する要素とで構成されており、芯材との接触面に
相当する面11,12を所定電位に設定する。上記誘電
体層は、いずれも層厚は変化するものではなく、比誘電
率及び導電率は該誘電体層を形成する材料に対応する値
に設定する。
の誘電体層を想定した要素とその間に介挿される空気層
に相当する要素とで構成されており、芯材との接触面に
相当する面11,12を所定電位に設定する。上記誘電
体層は、いずれも層厚は変化するものではなく、比誘電
率及び導電率は該誘電体層を形成する材料に対応する値
に設定する。
【0027】上記空気層は、絶縁層として計算するもの
であり、導電率γair は0(ゼロ)に設定する。この
空気層の厚さdair(t)は時間tとともに変化するもので
あり、図3に示すように、二つのロールの回転に対応さ
せ、次式で示されるものとする。
であり、導電率γair は0(ゼロ)に設定する。この
空気層の厚さdair(t)は時間tとともに変化するもので
あり、図3に示すように、二つのロールの回転に対応さ
せ、次式で示されるものとする。
【数1】 ここで、R1、R2は、第1のロール、第2のロールの半
径、ω1、ω2はそれぞれの角速度、doff1、doff2はロー
ルオフセット量である。
径、ω1、ω2はそれぞれの角速度、doff1、doff2はロー
ルオフセット量である。
【0028】また、二つのロールの表面が、これらのロ
ールの回転にともなって接近し、接触したと想定される
ときには、次式に示されるように二つのロール周面間
に、厚さがδの仮想抵抗層が存在するものとする。
ールの回転にともなって接近し、接触したと想定される
ときには、次式に示されるように二つのロール周面間
に、厚さがδの仮想抵抗層が存在するものとする。
【数2】
【0029】上記解析モデルにより、設定された時間間
隔の各時刻における各要素の電荷、電界、電圧及び電位
は次のようにして解析する。解析方法を一般的に説明す
るために、層構造がN層からなるものとする。
隔の各時刻における各要素の電荷、電界、電圧及び電位
は次のようにして解析する。解析方法を一般的に説明す
るために、層構造がN層からなるものとする。
【0030】ガウスの法則から、第i層、第i+1層に
形成される電界Ei,Ei+1と第i層と第i+1層間の表面
電荷密度σi,i+1,に以下の関係が成り立つ。
形成される電界Ei,Ei+1と第i層と第i+1層間の表面
電荷密度σi,i+1,に以下の関係が成り立つ。
【数3】 ここで、εiは第i層の比誘電率であり、qiは第i層が
有する体積電荷である。
有する体積電荷である。
【0031】一方、定電圧制御では各層の分圧の総和は
常に印加電圧Vinに等しいから、次の関係が成り立つ。
常に印加電圧Vinに等しいから、次の関係が成り立つ。
【数4】 ここでdiは第i層の層厚である。
【0032】さらに、電荷保存則から、第i層と第i+
1層の境界の電荷密度σi,i+1の時間変化は、その前後
の層の電流密度jの差に等しい。ここで第i層の電流密
度j iは、第i層の導電率をγiと書くと、オームの法則
から、
1層の境界の電荷密度σi,i+1の時間変化は、その前後
の層の電流密度jの差に等しい。ここで第i層の電流密
度j iは、第i層の導電率をγiと書くと、オームの法則
から、
【数5】 と書けるから、電荷保存則は式(4)のように表され
る。
る。
【0033】
【数6】
【0034】いま、トナー層などの体積電荷を有する層
はないと仮定し、qi=0と置くと、式(1)と式
(4)から、第i層と第i+1層の境界の電荷密度σi,i+1
に関する微分方程式(5)が得られる。
はないと仮定し、qi=0と置くと、式(1)と式
(4)から、第i層と第i+1層の境界の電荷密度σi,i+1
に関する微分方程式(5)が得られる。
【数7】
【0035】さらに、式(1)と式(2)とから、各表
面電荷密度の関係式(8)が得られる。
面電荷密度の関係式(8)が得られる。
【数8】
【0036】ここで、dk(t)は第k層の厚さであ
り、本実施例では、空気層以外の層厚は、時間に依存せ
ず、空気層は式(A)に示されるとおりである。また、
上記空気層は、二つのロールの周面が接触した状態で
は、式(B)に示されるように厚さがδの仮想抵抗層に
置き換えられる。つまり、二つのロールが接触した状態
でも、ロール周面間に一つの要素が介在しており、境界
の数は変化しない。
り、本実施例では、空気層以外の層厚は、時間に依存せ
ず、空気層は式(A)に示されるとおりである。また、
上記空気層は、二つのロールの周面が接触した状態で
は、式(B)に示されるように厚さがδの仮想抵抗層に
置き換えられる。つまり、二つのロールが接触した状態
でも、ロール周面間に一つの要素が介在しており、境界
の数は変化しない。
【0037】このような設定で上記式(5)及び式
(8)として示される連立微分方程式を解くことによ
り、各層の電界、電荷、電圧、電位を求めることができ
る。
(8)として示される連立微分方程式を解くことによ
り、各層の電界、電荷、電圧、電位を求めることができ
る。
【0038】上記仮想抵抗層は、空気層と同じ扱いで絶
縁体とするとロール間に導電電流は流れない。これは、
現実の現象とは異なる。この違いは、ロールの抵抗が小
さいとき、さらに大きな違いとなる。このため、ロール
の周面が接触したときに、有限な抵抗を有する仮想的な
抵抗層として計算するものである。この仮想抵抗層は、
接触が続く間保持され、ロールが離反すると同時に再び
空気層すなわち絶縁層として扱われるようになる。
縁体とするとロール間に導電電流は流れない。これは、
現実の現象とは異なる。この違いは、ロールの抵抗が小
さいとき、さらに大きな違いとなる。このため、ロール
の周面が接触したときに、有限な抵抗を有する仮想的な
抵抗層として計算するものである。この仮想抵抗層は、
接触が続く間保持され、ロールが離反すると同時に再び
空気層すなわち絶縁層として扱われるようになる。
【0039】仮想接触層の層厚をδとしたとき、設定さ
れたδに対応する適正な体積抵抗率ρは、実験の結果と
の対比により定める。この値は、おもに物理的な接触状
態(接触面積率)により規定されるものである。しか
し、実際には実験の結果との比較により現象論的に決め
ればよい。その具体的な例は後述する。
れたδに対応する適正な体積抵抗率ρは、実験の結果と
の対比により定める。この値は、おもに物理的な接触状
態(接触面積率)により規定されるものである。しか
し、実際には実験の結果との比較により現象論的に決め
ればよい。その具体的な例は後述する。
【0040】なお、上記のように仮想抵抗層を設定せ
ず、接触領域に置いては完全にロール間にどんな層も存
在しないものとして計算した場合には、二つのロールの
表面が空気層を介することなく幾何学的にも電気的にも
完全に接触したことになる。この場合、ロール表面の電
荷は、接触の瞬間に足し合わされるが、離反するときに
電荷がどのように二つのロール表面に振り分けられるか
が決定できない。このような方法では、接触部にいわゆ
る接触抵抗を有するような一般的な接触を表現すること
ができない。
ず、接触領域に置いては完全にロール間にどんな層も存
在しないものとして計算した場合には、二つのロールの
表面が空気層を介することなく幾何学的にも電気的にも
完全に接触したことになる。この場合、ロール表面の電
荷は、接触の瞬間に足し合わされるが、離反するときに
電荷がどのように二つのロール表面に振り分けられるか
が決定できない。このような方法では、接触部にいわゆ
る接触抵抗を有するような一般的な接触を表現すること
ができない。
【0041】一方、上記解析において、電荷の移動は各
要素の体積抵抗率に従って生じるものであり、絶縁体
(導電率γ=0)である空気層では電荷の移動が生じな
い。しかし、現実のロール間では、接触前及び接触後離
反するときの微少空隙内で放電が生じ、電荷が移動す
る。この現象を、図3に示す解析モデルでの演算におい
て、次のように考慮する。
要素の体積抵抗率に従って生じるものであり、絶縁体
(導電率γ=0)である空気層では電荷の移動が生じな
い。しかし、現実のロール間では、接触前及び接触後離
反するときの微少空隙内で放電が生じ、電荷が移動す
る。この現象を、図3に示す解析モデルでの演算におい
て、次のように考慮する。
【0042】まず計算過程において、各時刻における空
気層の厚さdairと、空気層の両側にかかる電圧Vairとの
関係をPaschen 電圧Vpas と比較して放電が発生してい
るか否かを判定させる。
気層の厚さdairと、空気層の両側にかかる電圧Vairとの
関係をPaschen 電圧Vpas と比較して放電が発生してい
るか否かを判定させる。
【0043】Paschen則は式(9)で表され、計算過程の
各時刻において、VairとVpasが比較される。Vair<Vpas
の場合は計算はそのまま次のステップへ進むが、Vair>
Vpasの場合には放電が発生するとみなし、ロール表面電
荷に放電に相当する処理を行う。処理は、VairがVpasに
戻るような電荷を、第1のロール及び第2のロールそれ
ぞれの最表層の表面電荷から差し引きすることで行われ
る。
各時刻において、VairとVpasが比較される。Vair<Vpas
の場合は計算はそのまま次のステップへ進むが、Vair>
Vpasの場合には放電が発生するとみなし、ロール表面電
荷に放電に相当する処理を行う。処理は、VairがVpasに
戻るような電荷を、第1のロール及び第2のロールそれ
ぞれの最表層の表面電荷から差し引きすることで行われ
る。
【数9】 上記処理は、式(5)及び式(8)に示される連立微分
方程式をルンゲ−クッタ(Runge-Kutta)法等によって
数値的に解くときに考慮することができる。
方程式をルンゲ−クッタ(Runge-Kutta)法等によって
数値的に解くときに考慮することができる。
【0044】次に、上記仮想抵抗層の体積抵抗率を定め
る方法について説明する。この方法は、実際のロールを
接触させ、双方向に電圧を印加したときのロール表面電
位の実測値と数値解析によって得られた結果との対比に
よって定めるものである。
る方法について説明する。この方法は、実際のロールを
接触させ、双方向に電圧を印加したときのロール表面電
位の実測値と数値解析によって得られた結果との対比に
よって定めるものである。
【0045】ロール表面電位の実測は、図1(a)に示
すように2本のロールの軸を回転可能に支持した状態
で、平行に設定する。位置を固定した第1のロール1に
接する位置から第2のロール2を第1のロール側に0.
1[mm]押し付ける。第1のロール1の軸にはモータ
(図示しない)から駆動力を伝達し、周面速度96mm/sで
回転させる。これにともない、第2のロール2は第1の
ロール1の回転に伴って同じ周速で回転する。
すように2本のロールの軸を回転可能に支持した状態
で、平行に設定する。位置を固定した第1のロール1に
接する位置から第2のロール2を第1のロール側に0.
1[mm]押し付ける。第1のロール1の軸にはモータ
(図示しない)から駆動力を伝達し、周面速度96mm/sで
回転させる。これにともない、第2のロール2は第1の
ロール1の回転に伴って同じ周速で回転する。
【0046】これらのロールは、いずれもアルミニウム
のパイプ状の芯材1a,2a上に、それぞれ3層の樹脂
層が積層され、外径が42mmとなっている。それぞれの
ロールに形成された各樹脂層の物性は表1に示すとおり
である。
のパイプ状の芯材1a,2a上に、それぞれ3層の樹脂
層が積層され、外径が42mmとなっている。それぞれの
ロールに形成された各樹脂層の物性は表1に示すとおり
である。
【表1】
【0047】これらのロールには、図4に示すように、
双方が圧接されるニップを通過した後45°の位置に電
位測定用プローブ3,4が設置され、表面電位径5,6
によってロールの表面電位が測定できるようになってい
る。そして、第1のロール1及び第2のロール2には、
アルミニウムの軸および芯材1a,2aを介して電源7
からバイアス電圧が与えられる。この実験においては、
第1のロール1は接地され、第2のロール2には300
[V]の電位が与えられる。
双方が圧接されるニップを通過した後45°の位置に電
位測定用プローブ3,4が設置され、表面電位径5,6
によってロールの表面電位が測定できるようになってい
る。そして、第1のロール1及び第2のロール2には、
アルミニウムの軸および芯材1a,2aを介して電源7
からバイアス電圧が与えられる。この実験においては、
第1のロール1は接地され、第2のロール2には300
[V]の電位が与えられる。
【0048】このような条件の基に、各ロールの表面電
位を測定した結果、第1のロール1の表面電位は15
V、第2のロール2の表面電位は300Vであった。
位を測定した結果、第1のロール1の表面電位は15
V、第2のロール2の表面電位は300Vであった。
【0049】一方、図5に示すように、接触状態で二つ
のロール間に仮想抵抗層を介挿したモデルを用いる。こ
のとき、二つのロールのそれぞれ3層の誘電体層は、表
1に示す物性を有するものに設定する。そして、仮想抵
抗層は、層厚を1μmとし、体積抵抗率を変えて計算す
る。
のロール間に仮想抵抗層を介挿したモデルを用いる。こ
のとき、二つのロールのそれぞれ3層の誘電体層は、表
1に示す物性を有するものに設定する。そして、仮想抵
抗層は、層厚を1μmとし、体積抵抗率を変えて計算す
る。
【0050】この結果は、図6に示すとおりとなる。図
6(a)は第1のロールの表面電位を、図6(b)は第
2のロールの表面電位を示すものである。これらの値
と、上記実験の値とを比較すると、第1のロール及び第
2のロールの表面電位は、仮想抵抗層の体積抵抗率ρv
を ρv=3×1011[Ωcm] としたときに、計算値と実験における計測値とがほぼ一
致することがわかる。
6(a)は第1のロールの表面電位を、図6(b)は第
2のロールの表面電位を示すものである。これらの値
と、上記実験の値とを比較すると、第1のロール及び第
2のロールの表面電位は、仮想抵抗層の体積抵抗率ρv
を ρv=3×1011[Ωcm] としたときに、計算値と実験における計測値とがほぼ一
致することがわかる。
【0051】仮想抵抗層の体積抵抗率ρvが上記値より
大きくなると、第1のロールの表面電位は、実験値より
低い値となってずれが生じ、1.0×1015Ωcm程度
となると、空気層つまり絶縁層が介挿されているのと大
きな差異がないものとなる。また、仮想抵抗層の体積抵
抗率ρvが上記値より小さくなると、第1のロールの表
面電位は、実験値より高い値となり、第2のロールの表
面電位は、実験値より低い値となって、双方の値の間に
大きなずれを生じることになる。
大きくなると、第1のロールの表面電位は、実験値より
低い値となってずれが生じ、1.0×1015Ωcm程度
となると、空気層つまり絶縁層が介挿されているのと大
きな差異がないものとなる。また、仮想抵抗層の体積抵
抗率ρvが上記値より小さくなると、第1のロールの表
面電位は、実験値より高い値となり、第2のロールの表
面電位は、実験値より低い値となって、双方の値の間に
大きなずれを生じることになる。
【0052】一方、上記数値計算において、仮想抵抗層
の層厚は、1μmとしたが、仮想抵抗層の層厚をゼロに
設定すると、物理的には層が存在しないにもかかわらず
電気的に層が存在するという矛盾((5)式中仮想抵抗
層の表面電荷は存在するのに(8)式中の仮想抵抗層の
層厚はゼロになるという矛盾)をもたらし、厚すぎると
現実的にはロールが接触しているにもかかわらず、計算
上は有限の距離が設定されるという矛盾が大きくなる。
後者は、接触中よりも接触直前及び直後の電界計算値の
精度に大きく影響を及ぼす。なぜなら、仮想抵抗層の厚
みに相当する距離においてロールは接触すると判定され
るため、層厚が大きい場合、接触部近傍の電界変化が不
十分なまま接触領域に突入することになるからである。
の層厚は、1μmとしたが、仮想抵抗層の層厚をゼロに
設定すると、物理的には層が存在しないにもかかわらず
電気的に層が存在するという矛盾((5)式中仮想抵抗
層の表面電荷は存在するのに(8)式中の仮想抵抗層の
層厚はゼロになるという矛盾)をもたらし、厚すぎると
現実的にはロールが接触しているにもかかわらず、計算
上は有限の距離が設定されるという矛盾が大きくなる。
後者は、接触中よりも接触直前及び直後の電界計算値の
精度に大きく影響を及ぼす。なぜなら、仮想抵抗層の厚
みに相当する距離においてロールは接触すると判定され
るため、層厚が大きい場合、接触部近傍の電界変化が不
十分なまま接触領域に突入することになるからである。
【0053】仮想抵抗層の厚さと接触後の表面電位の計
測値と計算値との差との関係を図7に示す。ここで、計
算における仮想抵抗層の体積抵抗率は層厚に逆比例する
ように設定してある。計測値に対する計算値のずれの比
率Δφ/φの許容値を0.1(10%)として、許容さ
れる仮想抵抗層の層厚は最大100μm程度であり、こ
れよりも仮想抵抗層の厚さが大きいと、十分な精度は得
られない。したがって、仮想抵抗層の層厚は、0<dv
≦100[μm]、望ましくは、0<dv≦10[μ
m]、さらに望ましくは、0<dv≦1[μm]であ
る。
測値と計算値との差との関係を図7に示す。ここで、計
算における仮想抵抗層の体積抵抗率は層厚に逆比例する
ように設定してある。計測値に対する計算値のずれの比
率Δφ/φの許容値を0.1(10%)として、許容さ
れる仮想抵抗層の層厚は最大100μm程度であり、こ
れよりも仮想抵抗層の厚さが大きいと、十分な精度は得
られない。したがって、仮想抵抗層の層厚は、0<dv
≦100[μm]、望ましくは、0<dv≦10[μ
m]、さらに望ましくは、0<dv≦1[μm]であ
る。
【0054】上記仮想抵抗層の設定値の妥当性を確認す
るために、他の二つのロールについて、実験による計測
値と計算値とを対比した結果を次に示す。ここで、二つ
のロールは、導電性の芯金の周面に3層の誘導体層を形
成したものであり、それぞれのロールの誘電体層を形成
する樹脂の物性は、表2に示すとおりである。
るために、他の二つのロールについて、実験による計測
値と計算値とを対比した結果を次に示す。ここで、二つ
のロールは、導電性の芯金の周面に3層の誘導体層を形
成したものであり、それぞれのロールの誘電体層を形成
する樹脂の物性は、表2に示すとおりである。
【表2】
【0055】上記二つのロールを平行に当接し、周速9
6mm/sで回転させるとともに、第1のロールの芯金
は電気的に接地し、第2のロールの芯金には500vの
電圧を印加する。このようなロールの表面電位を測定
し、この計測値と、仮想抵抗層を前述のように設定した
数値解析による計算値とを対比した結果を図8に示す。
このようなロールにおいても実験における計測値と計算
値とはほぼ一致しており、仮想抵抗層が適切に設定され
ていると考えることができる。
6mm/sで回転させるとともに、第1のロールの芯金
は電気的に接地し、第2のロールの芯金には500vの
電圧を印加する。このようなロールの表面電位を測定
し、この計測値と、仮想抵抗層を前述のように設定した
数値解析による計算値とを対比した結果を図8に示す。
このようなロールにおいても実験における計測値と計算
値とはほぼ一致しており、仮想抵抗層が適切に設定され
ていると考えることができる。
【0056】次に、仮想抵抗層の別の設定について説明
する。この設定は、仮想抵抗層を第1のロール1の最表
層を形成する材料と同じ物性を有するものとする。すな
わち、2つのロールが、それぞれ表1に示す誘電体層を
有するものであるとき、仮想抵抗層の体積抵抗率は、第
1のロール1の表層と同じ1.0×1013とする。この
ような条件で、上記と同様に実験における計測値と計算
値とを比較すると、図9に示すような結果となる。
する。この設定は、仮想抵抗層を第1のロール1の最表
層を形成する材料と同じ物性を有するものとする。すな
わち、2つのロールが、それぞれ表1に示す誘電体層を
有するものであるとき、仮想抵抗層の体積抵抗率は、第
1のロール1の表層と同じ1.0×1013とする。この
ような条件で、上記と同様に実験における計測値と計算
値とを比較すると、図9に示すような結果となる。
【0057】この図に示されるように、仮想抵抗層を上
記のように設定しても実験における計測値と計算値とは
ほぼ一致する。
記のように設定しても実験における計測値と計算値とは
ほぼ一致する。
【0058】なお、以上に説明した実施形態は、一次元
問題としてシミュレーションを行うものであるが、二次
元解析、三次元解析においても適用することができる。
また、微分方程式を解く手段としては、上記ルンゲ−ク
ッタ法の他に、有限要素法、有限差分法を用いることも
できる。
問題としてシミュレーションを行うものであるが、二次
元解析、三次元解析においても適用することができる。
また、微分方程式を解く手段としては、上記ルンゲ−ク
ッタ法の他に、有限要素法、有限差分法を用いることも
できる。
【0059】次に、上記シミュレーションをコンピュー
タに実行させるためのプログラムであって、請求項6に
係る発明の一実施形態であるコンピュータプログラム
を、図10に基づいて説明する。このコンピュータプロ
グラムは、次のような処理を行うように構成されてい
る。
タに実行させるためのプログラムであって、請求項6に
係る発明の一実施形態であるコンピュータプログラム
を、図10に基づいて説明する。このコンピュータプロ
グラムは、次のような処理を行うように構成されてい
る。
【0060】・二つのロールの周面に形成された誘電体
層を想定した要素を仮想平面上に設定する。この処理
は、入力装置から入力された層厚・物性等のデータを用
いて行うのが一般的であるが、その他のデータから演算
処理等によって設定するものであってもよい。この処理
によって、図2に示されるような解析モデルがコンピュ
ータ内に設定される。
層を想定した要素を仮想平面上に設定する。この処理
は、入力装置から入力された層厚・物性等のデータを用
いて行うのが一般的であるが、その他のデータから演算
処理等によって設定するものであってもよい。この処理
によって、図2に示されるような解析モデルがコンピュ
ータ内に設定される。
【0061】・二つのロール間にある空気層の層厚d
airが時間の経過とともに変化する量を設定する。この
設定は、あらかじめ定められた時刻についてそれぞれデ
ータを入力して設定するものであってもよいし、時間t
をパラメータとする所定の関数を入力するものであって
もよい。
airが時間の経過とともに変化する量を設定する。この
設定は、あらかじめ定められた時刻についてそれぞれデ
ータを入力して設定するものであってもよいし、時間t
をパラメータとする所定の関数を入力するものであって
もよい。
【0062】・上記のように設定された要素の集合体、
つまり解析モデルの時刻toについて、式(5)及び式
(8)に示される連立微分方程式をルンゲ−クッタ法に
よって解く(ST1)。
つまり解析モデルの時刻toについて、式(5)及び式
(8)に示される連立微分方程式をルンゲ−クッタ法に
よって解く(ST1)。
【0063】・つづいて各層の電荷計算を行うように設
定された次の時刻tmの状態に要素を変更する。つま
り、空気層の層厚が時間の経過によって変化した量を考
慮して、要素を設定する(ST2)。そして、このモデ
ルについて、空気層の層厚dairが0(ゼロ)又は所定
の値以下である否かを判別する。つまり、二つのロール
が接触状態であるとして処理するか、離れた状態である
として処理するかを判別する(ST3)。なお、上記所
定の値は、あらかじめプログラムに組み込んであっても
よいし、入力装置から入力されたものでもよい。
定された次の時刻tmの状態に要素を変更する。つま
り、空気層の層厚が時間の経過によって変化した量を考
慮して、要素を設定する(ST2)。そして、このモデ
ルについて、空気層の層厚dairが0(ゼロ)又は所定
の値以下である否かを判別する。つまり、二つのロール
が接触状態であるとして処理するか、離れた状態である
として処理するかを判別する(ST3)。なお、上記所
定の値は、あらかじめプログラムに組み込んであっても
よいし、入力装置から入力されたものでもよい。
【0064】・二つのロールが接触していない状態であ
ると判別されたときには、変更されたモデルについて、
上記連立微分方程式を解き、各層の電荷計算を行う。
ると判別されたときには、変更されたモデルについて、
上記連立微分方程式を解き、各層の電荷計算を行う。
【0065】・上記電荷計算を所定の時刻について順次
行い、二つのロールが接触している状態である判別され
たときには、空気層を仮想抵抗層に変更する。つまり、
層厚δ及び導電率γairをあらかじめ入力されている値
に設定する。 ・そして、このモデルについて各層の電荷計算を行う
(ST4)。
行い、二つのロールが接触している状態である判別され
たときには、空気層を仮想抵抗層に変更する。つまり、
層厚δ及び導電率γairをあらかじめ入力されている値
に設定する。 ・そして、このモデルについて各層の電荷計算を行う
(ST4)。
【0066】・さらに次の時刻の計算に移り、当該時刻
に対応したものに解析モデルを変更する(ST5)。 ・この変更された解析モデルについて、二つのロールが
接触状態か又は離反した状態かを判別する(ST6)。 ・接触した状態であると判別された場合は当該解析モデ
ルについて、各層の電荷計算を繰り返す。
に対応したものに解析モデルを変更する(ST5)。 ・この変更された解析モデルについて、二つのロールが
接触状態か又は離反した状態かを判別する(ST6)。 ・接触した状態であると判別された場合は当該解析モデ
ルについて、各層の電荷計算を繰り返す。
【0067】・二つのロールが離反したと判別される
と、空気層の層厚dairは、設定された値d(t)と
し、導電率は0(ゼロ)として各層の電荷計算を行う
(ST7)。 ・その後、設定された各々の時刻についての計算を繰り
返し、変化する空気層の層厚が所定の値となるまで続け
る。
と、空気層の層厚dairは、設定された値d(t)と
し、導電率は0(ゼロ)として各層の電荷計算を行う
(ST7)。 ・その後、設定された各々の時刻についての計算を繰り
返し、変化する空気層の層厚が所定の値となるまで続け
る。
【0068】上記のような計算の結果は、ディスプレイ
への表示又はプリンタへの出力を行う。この結果によ
り、二つのロールが接触して回転するときの、各ロール
の電気的な状態を容易に予測することができる。
への表示又はプリンタへの出力を行う。この結果によ
り、二つのロールが接触して回転するときの、各ロール
の電気的な状態を容易に予測することができる。
【0069】
【発明の効果】以上説明したように、本願発明のシミュ
レーション方法では、複数の物体が移動し、空気層を介
して離れた状態から接触した状態に移行する過程につい
て、さらに接触した状態から離反した状態に移行する過
程について、電気的な状態の数値的解析を一般的な手法
により高い精度で行うことができる。また、本願発明の
コンピュータプログラムでは、上記シミュレーションを
コンピュータに実行させ、精度の高い結果を得ることが
できる。
レーション方法では、複数の物体が移動し、空気層を介
して離れた状態から接触した状態に移行する過程につい
て、さらに接触した状態から離反した状態に移行する過
程について、電気的な状態の数値的解析を一般的な手法
により高い精度で行うことができる。また、本願発明の
コンピュータプログラムでは、上記シミュレーションを
コンピュータに実行させ、精度の高い結果を得ることが
できる。
【図1】本願発明に係るシミュレーション方法によって
適切に解析することができる二つのロールの接触状態を
示す概略斜視図及び断面図である。
適切に解析することができる二つのロールの接触状態を
示す概略斜視図及び断面図である。
【図2】図1に示す二つのロールの電気的状態を解析す
るためのモデルを示す図である。
るためのモデルを示す図である。
【図3】図1に示すロール間の空気層の厚さを示す説明
図である。
図である。
【図4】二つのロールの表面電位を測定する方法を示す
概略図である。
概略図である。
【図5】仮想抵抗層の適値を求めるための数値計算に用
いる解析モデルを示す概略図である。
いる解析モデルを示す概略図である。
【図6】図5に示すモデルで、仮想抵抗層の体積抵抗率
を変化させたときの表面電位の計測値を、計測値と対比
する図である。
を変化させたときの表面電位の計測値を、計測値と対比
する図である。
【図7】仮想抵抗層の厚さと、計測値に対する計算値の
ずれの比率との関係を示す図である。
ずれの比率との関係を示す図である。
【図8】他の例について、表面電位の計測値と計算値と
を対比して示す図である。
を対比して示す図である。
【図9】仮想抵抗層の導電率の値を他の設定とした場合
について、表面電位の計算値を計測値と対比して示す図
である。
について、表面電位の計算値を計測値と対比して示す図
である。
【図10】請求項6に係る発明の一実施形態でるコンピ
ュータプログラムの要旨を示すフロー図である。
ュータプログラムの要旨を示すフロー図である。
1 第1のロール 2 第2のロール 3,4 プローブ 5,6 表面電位計 7 電源 11,12 電位が設定される面
Claims (6)
- 【請求項1】 少なくともひとつが移動する複数の物
体及びこれらの間に介在する空気層を想定した要素を仮
想空間内又は仮想平面内に設定して、電荷の移動を含む
電気的な状態を数値的に解析するシミュレーション方法
であって、 あらかじめ設定された各時刻において、前記複数の物体
が前記空気層を介して離隔する距離を演算する工程と、 演算された前記距離が0(ゼロ)又はあらかじめ設定さ
れた所定の値以下であるか否かの判別を行う工程と、 前記判別工程で、前記距離が0(ゼロ)又は所定の値以
下であると判別されたときに、前記物体を想定した要素
間に、あらかじめ設定された厚さで所定の導電率及び比
誘電率を有する仮想抵抗層を要素として設定する工程
と、 前記物体を想定した要素が移動する過程における所定の
時刻において、所定の条件のもとに各要素における電界
と表面電荷密度とを演算する工程とを含むことを特徴と
するシミュレーション方法。 - 【請求項2】 前記複数の物体を想定した要素の移動
は、互いに接触した状態から離反する過程を含むもので
あり、 接触していた要素間の距離が0(ゼロ)より大きい値又
は所定の値より大きくなったときに、前記仮想抵抗層と
して介挿した要素を、空気層を想定した要素に置き換え
ること特徴とする請求項1に記載のシミュレーション方
法。 - 【請求項3】 前記仮想抵抗層の導電率は、 二つ物
体を実際に接触させ、表面電位を実測する実験の結果
と、前記導電率を変化させて該実験内容と対応する数値
解析を行った結果とを対比して定めることを特徴とする
請求項1に記載のシミュレーション方法。 - 【請求項4】 前記仮想抵抗層の導電率は、接触する
前記物体のいずれか一方の最表層の材料が有する導電率
を用いることを特徴とする請求項1に記載のシミュレー
ション方法。 - 【請求項5】 前記複数の物体を想定した要素が空気
層を介して隔てられた距離について、該物体間で放電が
生じるか否かを所定の条件で判別し、 前記判別の結果、放電が生じる場合に、放電に相当する
電荷量を、前記要素間で数値的に移動させることを特徴
とする請求項1又は請求項2に記載のシミュレーション
方法。 - 【請求項6】 複数の物体を想定した要素及びこれら
の物体間に存在する空気層を想定した要素が、仮想空間
内又は仮想平面内で占める範囲、及び該要素のそれぞれ
について比誘電率と導電率とを設定し、各要素間の電荷
の移動を含む電気的状態の数値的解析をコンピュータに
実行させるためのプログラムであって、 時間の経過にともなって前記物体を想定した要素が前記
仮想空間内又は仮想平面内で移動するように、各要素の
位置を変化させ又は占める範囲を変化させる手順と、 前記物体を想定した要素が移動する過程における所定の
時刻において、該複数の物体を想定した要素が空気層を
介して隔てられた距離を演算する手順と、 前記複数の物体を想定した要素間の距離が0(ゼロ)又
はあらかじめ設定された所定の値以下であるか否かを判
別する手順と、 前記距離が、0(ゼロ)又はあらかじめ設定された所定
の値以下であるときに、前記物体を想定した要素間に、
あらかじめ設定された厚さで所定の導電率及び比誘電率
を有する仮想抵抗層を要素として設定する手順と、 前記物体を想定した要素が移動する過程における所定の
時刻において、所定の条件のもとに、各要素内における
電界と表面電荷密度とを演算する手順と、をコンピュー
タに実行させるためのプログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001147438A JP2002342389A (ja) | 2001-05-17 | 2001-05-17 | シミュレーション方法及びこれをコンピュータに実行させるためのプログラム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001147438A JP2002342389A (ja) | 2001-05-17 | 2001-05-17 | シミュレーション方法及びこれをコンピュータに実行させるためのプログラム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002342389A true JP2002342389A (ja) | 2002-11-29 |
Family
ID=18992928
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001147438A Withdrawn JP2002342389A (ja) | 2001-05-17 | 2001-05-17 | シミュレーション方法及びこれをコンピュータに実行させるためのプログラム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002342389A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7342849B2 (en) | 2003-01-31 | 2008-03-11 | Sony Corporation | Recording and/or playback device |
KR101015486B1 (ko) | 2010-04-28 | 2011-02-22 | 펑션베이(주) | 웍피스 이송 시스템에서의 롤러 시스템에 대한 모델링 방법 |
-
2001
- 2001-05-17 JP JP2001147438A patent/JP2002342389A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101015486B1 (ko) | 2010-04-28 | 2011-02-22 | 펑션베이(주) | 웍피스 이송 시스템에서의 롤러 시스템에 대한 모델링 방법 |
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RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
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