JP2002335106A - 高周波回路装置および通信装置 - Google Patents

高周波回路装置および通信装置

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JP2002335106A
JP2002335106A JP2001139117A JP2001139117A JP2002335106A JP 2002335106 A JP2002335106 A JP 2002335106A JP 2001139117 A JP2001139117 A JP 2001139117A JP 2001139117 A JP2001139117 A JP 2001139117A JP 2002335106 A JP2002335106 A JP 2002335106A
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spurious
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JP2001139117A
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Kenichi Iio
憲一 飯尾
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 限られた面積のスプリアスモード伝搬阻止回
路で、確実にスプリアスモードの伝搬を阻止できるよう
にした高周波回路装置および通信装置を構成する。 【解決手段】 伝送線路であるグラウンデッドコプレー
ナ線路1の電磁波伝搬方向に垂直な向きに高インピーダ
ンス線路と低インピーダンス線路とを交互に直列接続し
たストリップ状線路からなるスプリアスモード伝搬阻止
回路3を、誘電体板の上下面に形成する。その際、誘電
体板の上下の高インピーダンス線路と低インピーダンス
線路とが対向するように配置する。これにより、限られ
た面積でのスプリアスモード伝搬阻止回路で、パラレル
プレートモード等のスプリアスモードの伝搬を効率よく
抑制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、2つの平行平面
導体を有する導波路や共振器などの高周波回路装置およ
びそれを用いた通信装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】誘電体板の一方の面にほぼ全面の接地電
極を形成し、他方の面にコプレーナを形成したグラウン
デッドコプレーナ線路や、誘電体板の一方の面に接地電
極を形成し、他方の面にスロットを形成したグラウンデ
ッドスロット線路や、誘電体板の両面に、誘電体板を挟
んで対向するスロットを形成した平面誘電体線路などの
各種伝送線路が、マイクロ波帯やミリ波帯における伝送
線路として用いられている。
【0003】これらの伝送線路は、いずれも2つの平行
な平面導体を含む構造であるため、たとえば線路の入出
力部やベンドなどで電磁界が乱れると、いわゆるパラレ
ルプレートモード(平行平板モード)等のスプリアスモ
ードの波が2つの平行な平面導体間(平行平面導体間)
に誘起され、そのスプリアスモードの波(以下単に「ス
プリアスモード」という。)が平面導体間を伝搬すると
いう問題があった。そのため隣接する線路間で上記スプ
リアスモードの漏洩波で干渉が生じて、信号のリークな
どの問題が生じる場合がある。
【0004】そこで、本願の出願人は特願平10−20
9520号にて、スプリアスモードが伝搬しようとする
平行平面導体にスプリアスモード伝搬阻止回路を設けた
装置を提案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記出願に係るスプリ
アスモード伝搬阻止回路の典型的な例は、平行平面導体
に二次元に広がるマイクロストリップ状線路から成る帯
域阻止フィルタを、たとえばスプリアスモードの波長よ
り短い間隔を隔てて平面上に配列したものである。
【0006】このようなスプリアスモード伝搬阻止回路
は、平行平面導体に形成するものであるため、電極をパ
ターンニングするだけでよく、その製造が容易である。
【0007】ところが、近年の電子機器の小型化の要請
に伴って、マイクロ波回路の集積化が進み、上述のスプ
リアスモードの伝搬を阻止すべき回路を形成する面積も
限られたものになってきている。
【0008】この発明の目的は、限られた面積のスプリ
アスモード伝搬阻止回路で確実にスプリアスモードの伝
搬を阻止できるようにした高周波回路装置および通信装
置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明の高周波回路装
置は、平行な少なくとも2つの平面導体と、該2つの平
面導体間を伝搬するスプリアスモードと結合して当該ス
プリアスモードの伝搬を阻止するスプリアスモード伝搬
阻止回路を前記2つの平面導体の両方に形成した高周波
回路装置であって、前記2つの平面導体の一方のスプリ
アスモード伝搬阻止回路の開放端と短絡端が、他方のス
プリアスモード伝搬阻止回路の短絡端と開放端にそれぞ
れ対向するように、前記2つの平面導体のスプリアスモ
ード伝搬阻止回路のパターンを配置する。後述するよう
に、この構造により、スプリアスモードの抑圧条件を最
適化し、限られた面積のスプリアスモード伝搬阻止回路
でスプリアスモードの伝搬を効果的に阻止する。
【0010】また、この発明の高周波回路装置は、前記
スプリアスモード伝搬阻止回路のパターンとして、前記
伝送線路の電磁波伝搬方向に垂直な向きに高インピーダ
ンス線路と低インピーダンス線路とを交互に直列接続し
たストリップ状線路を、スプリアスモードの波長より短
い間隔を隔てて配置したものとする。これにより、2つ
の平面導体のスプリアスモード伝搬阻止回路のパターン
を容易に配置できるようにする。また、パラレルプレー
トモード等のスプリアスモードを、ストリップ状線路に
よる他のモードに変換するとともに、所定の周波数にお
いてそれらのモードの信号を反射させる。
【0011】また、この発明の高周波回路装置は、前記
スプリアスモード伝搬阻止回路のパターンとして、2開
口以上の多開口回路を構成する基本パターンを複数個配
置したものとし、各基本パターンの任意の2開口間をつ
なぐストリップ状導体に、使用周波数における1/4波
長の電気長を有する先端が開放されたストリップ状線路
を並列に接続して構成する。この構造により、任意の2
開口回路を帯域阻止フィルタ特性を示す回路として、パ
ラレルプレートモード等のスプリアスモードを所定の周
波数において反射させることによりスプリアスモードの
伝搬を阻止する。
【0012】また、この発明の通信装置は、前記高周波
回路装置を通信信号の伝搬部や通信信号の所定周波数帯
域を通過させたり阻止したりするフィルタ等の信号処理
部に用いて構成する。
【0013】
【発明の実施の形態】第1の実施形態に係る高周波回路
装置の構成を図1〜図8を参照して説明する。図1の
(A)は2つの平面導体間を伝搬するパラレルプレート
モードの電磁界分布の例を示している。(A)は一部破
断斜視図、(B)は断面図である。図1において、20
は誘電体板であり、その下面に電極21、上面に電極2
2をそれぞれ形成している。このような誘電体板に、た
とえばグラウンデッドコプレーナ線路を構成した場合、
そのグラウンデッドコプレーナ線路では、端部において
電磁界の乱れが生じ、誘電体板20の上下面の電極2
1,22を縦方向に走る電界(図中の実線の矢印)を誘
起し、これにより、図に示すようにパラレルプレートモ
ードの電磁界が生じる。ここで破線は磁界の分布、白抜
きの矢印は電極21,22を流れる電流の分布をそれぞ
れ示している。
【0014】図1の(B)において、A−A′面は2つ
の電極21,22の対称面を示している。ここでA−
A′面は電気壁である。
【0015】図2は図1の(B)に示した断面内電磁界
の等価回路である。ここでA−A′は電気壁であること
から、この対称面で短絡、すなわちポート1,2から逆
相の励振が行われているものと考えることができる。こ
の考えによれば、上下の電極間に電界が垂直に発生する
モードの存在条件は、ポート1,2からの逆相励振であ
り、抑圧条件は、その逆であり、これら2つのポートに
同相励振を行うことである。
【0016】図3は、上記パラレルプレートモード等の
スプリアスモードの抑圧機構のコンセプトを等価回路で
表現したものである。まず、たとえばコプレーナ線路等
の基本モードの伝搬路が存在し、その伝搬路の一部に、
図中トランスで示すように、たとえばベンドや不連続部
によって発生するパラレルプレートモードの発生源が存
在する。このパラレルプレートモードは、平行平板中を
伝搬し、回路パターン境界でモード変換を起こし、回路
パターン中を伝搬していくモードとしてパターン中を伝
搬する。図中回路パターンA,Bで示すように、スプリ
アスモード伝搬阻止回路のパターンが上下の電極に存在
する場合、たとえばTE01モード、スロットモード、
またはマイクロストリップモード等のモードに変換され
て、モード変換後の伝搬モードは、上下両面に分離して
伝搬していく。
【0017】図3において、パラレルプレートモードと
スプリアスモード伝搬阻止回路境界面でのパラレルプレ
ートモードによって誘起される電流は逆相関係にあるた
め、上下のスプリアスモード伝搬阻止回路のパターンに
は、それぞれ逆相の伝搬モードが誘起される。図3にお
いて上面回路パターンAのトランスが正相トランスであ
るのに対し、下面回路パターンBが逆相トランスとして
いるのは、このためである。
【0018】前述したように、パラレルプレートモード
の抑圧条件は、上下電極間から同相の励振を行うことで
ある。スプリアスモード伝搬阻止回路の上下電極変換部
での上下電極間の(回路間の)位相差が逆相であること
から、全体として同相とするためには、上下の回路パタ
ーンA,Bの反射位相差を逆相関係にする必要がある。
【0019】次に、その回路パターン設計法の例につい
て説明する。まず、回路パターンとして、インピーダン
スが低い1/4波長線路と、インピーダンスが高い1/
4波長線路の繰り返しによって構成されるパターンを想
定する。この回路パターンは、所定の周波数を遮断波数
とする帯域阻止フィルタとして作用する。
【0020】図4の(A)は、上面電極に形成する回路
パターンA、図4の(B)は下面電極に形成する回路パ
ターンBである。両者は、高インピーダンス線路と低イ
ンピーダンス線路の位置を入れ換えたものに等しい。
【0021】図4の(C)は、図4の(A),(B)に
おけるB−B′面から見た入力インピーダンスの軌跡
を、スミスチャート上にプロットしたものである。ここ
で、実線は図4の(A)に示した回路パターンAについ
て、破線は図4の(B)に示した回路パターンBについ
て示している。
【0022】図中のa〜e,a′〜e′は図4の
(A),(B)における各点に対応している。このよう
に、2つの軌跡は、共に180°の位相ずれがあり、回
路パターンA,Bをこのように選ぶことによって、逆相
関係となることがわかる。その結果、この2つの回路パ
ターンA,Bのような関係を持つ2つの回路をスプリア
スモード伝搬阻止回路とすることにより、上述したスプ
リアスモード伝搬抑圧条件を満足させることができる。
【0023】図5は、上記スプリアスモード抑圧条件を
満足するスプリアスモード伝搬阻止回路を備えた高周波
回路装置の例を示している。図5の(A)は上面図であ
り、誘電体板の上面に形成したスプリアスモード伝搬阻
止回路および伝送線路のパターンを示している。また
(B)は下面図であり、誘電体板の下面に形成したスプ
リアスモード伝搬阻止回路のパターンを示している。こ
のように、上面回路パターンの高インピーダンス線路部
分を下面回路パターンの低インピーダンス線路部分に対
向させ、上面回路パターンの低インピーダンス線路部分
を下面回路パターンの高インピーダンス線路部分に対向
させている。
【0024】次に、このスプリアスモード伝搬阻止回路
の有効性を確認するために、三次元電磁界解析シミュレ
ータHFSSを用いて計算を行った結果を示す。
【0025】計算モデルとして、パラレルプレートモー
ドに準じたモードであるTEモードをスプリアス伝搬阻
止回路の両側から励振し、この回路によってTEモード
の伝搬が抑圧される量を求めた。この時の計算モデルと
しては、図6に示すパターンを用いた。ここで寸法Ws
は1.5mm、誘電体板の比誘電率は3.2としてい
る。スプリアスモード伝搬阻止回路のパターンは、10
mm×0.6mmの断面形状を有する誘電体導波管のH
面に形成し、パターン形成部の外には間隔1mmの空気
層を設けている。
【0026】このような導波管の伝搬モードはパラレル
プレートモードと類似しているので、このスプリアスモ
ード伝搬阻止回路の伝搬阻止効率の善し悪しが性能の目
安となる。結果を図7に示す。この時の設計周波数は2
5GHzである。ポート1からポート2への伝搬量は−
30〜−40dBである。
【0027】比較のために、誘電体板の上下面の回路パ
ターンを同一パターンとしたもの、すなわち、高インピ
ーダンス線路同士および低インピーダンス線路同士が対
向するように配置した場合の特性を図8に示す。この場
合には、ポート1からポート2への伝搬量は−20dB
程度である。この従来のスプリアスモード伝搬阻止回路
に比べて本願のスプリアスモード伝搬阻止回路によれ
ば、スプリアスモード伝搬阻止効率が非常に大きく向上
することが確認できる。
【0028】次に、第2の実施形態に係る高周波回路装
置におけるスプリアスモード伝搬阻止回路のパターンを
図9に示す。図9の(A)は誘電体板の上面に形成した
スプリアスモード伝搬阻止回路のパターン、(B)は下
面に形成したスプリアスモード伝搬阻止回路のパターン
である。このパターンは、一重丸で示す部分で、6つの
開口を共通に接続した6開口回路を配置するとともに、
その6つの開口回路を構成する6つのストリップ状導体
のうち、120°の角度間隔を隔てた3つのストリップ
状導体を、隣接する6開口回路のストリップ状導体と連
結させている。6開口回路の他の3つのストリップ状導
体は、先端を開放させた1/4波長の電気長を有する先
端開放のストリップ状線路、すなわちオープンスタブと
している。
【0029】上記先端開放のスタブをそれぞれ3つ接続
した一重丸で示す部分は短絡部である。この短絡部から
1/4波長の電気長だけ隔てた二重丸で示す部分および
破線の丸印で示す部分は開放部である。
【0030】図9に示す例では、(A)において一重丸
で示す上面のパターンにおける短絡部を、(B)におい
て二重丸で示す開放部に対向させ、同時に下面のパター
ンにおいて一重丸で示す短絡部を、上面のパターンにお
いて二重丸で示す開放部にそれぞれ対向させている。こ
の構造によりスプリアスモード伝搬抑圧条件を満足させ
ている。
【0031】なお、図9に示した一重丸の短絡部を破線
の丸印で示す開放部に互いに対向させるように上下のパ
ターンを配置させてもよい。
【0032】このように、任意の2点をむすぶ線路間に
並列にスタブを挿入することによって、帯域阻止フィル
タとして動作する。したがって、例えばパラレルプレー
トモードなどのスプリアスモードの波が、この回路パタ
ーンのストリップ状線路によってマイクロストリップの
モードに変換されても、この回路パターンを伝搬でき
ず、結局、スプリアスモードの波はこの回路パターンの
形成箇所で全反射する。このことにより、スプリアスモ
ードの伝搬が阻止できる。しかも、上記スプリアスモー
ド伝搬抑圧条件を満足しているので、スプリアスモード
の伝搬阻止効率を大幅に高めることができる。
【0033】次に、第3の実施形態に係る高周波回路装
置におけるスプリアスモード伝搬阻止回路のパターンの
例を図10に示す。(A)は誘電体板の上面に形成した
上面回路パターン、(B)は誘電体板の下面に形成した
下面回路パターンである。この例では、一重丸で示す部
分で8つの開口を共通に接続した8開口回路を配置する
とともに、その8つの開口回路を構成する8つのストリ
ップ状導体のうち、90°の角度間隔を隔てた4つのス
トリップ状導体を、縦横に隣接する他のストリップ状導
体に連結させている。8開口回路の他の4つのストリッ
プ状導体は、先端を開放させてメアンダライン状に形成
した1/4波長の電気長を有する先端開放のストリップ
状線路、すなわちオープンスタブとしている。
【0034】4つのスタブの開放端同士が向かい合った
二重丸で示す部分が開放部である。また、各スタブの接
続部である一重丸で示す部分が短絡部である。
【0035】(A)に示す上面回路パターンの開放部と
短絡部は、(B)に示す下面回路パターンの短絡部と開
放部にそれぞれ対向するようにパターンを形成してい
る。これによりスプリアスモード伝搬抑圧条件を満足さ
せている。
【0036】なお、ストリップ状導体による2開口以上
の多開口回路を構成する基本パターンを配置し、各基本
パターンの任意の2開口回路が帯域阻止フィルタ特性を
示すようにしたスプリアスモード伝搬阻止回路について
は、本願の出願人は特願2001−001356号で出
願している。本願発明におけるスプリアスモード伝搬阻
止回路のパターンとしては、特願2001−00135
6号で示した各種回路パターンを適用することができ
る。
【0037】次に、伝送線路を備えた高周波回路装置の
いくつかの例を図11〜図14を参照して説明する。図
11はスロット線路を備えた高周波回路装置の斜視図で
ある。この例では、誘電体板20の下面に電極21、上
面に電極22を形成し、所定位置にスロットを形成する
ことによってグラウンデッドスロット線路4を構成して
いる。そして、電極21,22をパターンニングするこ
とによって、スロット線路の両側に図5,図9、図10
等に示したものと同様のスプリアスモード伝搬阻止回路
3を構成している。図11においては、スプリアスモー
ド伝搬阻止回路3を簡略化して表している。
【0038】このようにスロット線路の両側に、スロッ
ト線路に沿ってスプリアスモード伝搬阻止回路3を設け
ることによって、スロットモードに結合して発生したパ
ラレルプレートモードがスプリアスモード伝搬阻止回路
3のマイクロストリップ線路のモードに変換されて全反
射される。このことにより、スプリアスモード伝搬阻止
回路3より外側にパラレルプレートモードがほとんど伝
搬せず、隣接する他の線路との不要な結合が生じない。
【0039】図12に示す例では、誘電体板20の下面
にグランド電極21、上面に電極22およびストリップ
導体19を形成していて、その一部をグランデッドコプ
レーナ線路1としている。このグランデッドコプレーナ
線路1に沿って、その両側の電極21,22に、図5、
図9、図10に示したものと同様のスプリアスモード伝
搬阻止回路3を形成している。図12においては、スプ
リアスモード伝搬阻止回路3を簡略化して表している。
【0040】このように、グラウンデッドコプレーナ線
路に適用した場合にもパラレルプレートモードの伝搬が
阻止される。
【0041】図13に示す例は、平面誘電体線路(PD
TL)に適用した例であり、(A)はその斜視図、
(B)は誘電体板部分の下面図である。誘電体板20の
上下面には誘電体板20を挟んで対向するスロットを有
する電極23,24を形成している。誘電体板20の上
下には、所定間隔をおいて導体板27,28を平行に配
置している。誘電体板20には、その電極23,24を
パターンニングすることによって、図5、図9、図10
に示したものと同様のスプリアスモード伝搬阻止回路3
をスロット26の両脇に設けている。但し、図において
はスプリアスモード伝搬阻止回路3を簡略化して表して
いる。
【0042】この構成により、誘電体板20の上下の電
極23−24間を伝搬するパラレルプレートモード、電
極24と導体板28との間の空間を伝搬するパラレルプ
レートモード、電極23と導体板27との間の空間を伝
搬するパラレルプレートモードのいずれのモードについ
ても、スプリアスモード伝搬阻止回路でマイクロストリ
ップの準TEMモードにモード変換されて、それが全反
射される。このことによって、スプリアスモードの伝搬
が阻止される。
【0043】図14は誘電体線路に適用した例であり、
同図の(A)は主要部の部分破断斜視図、(B)は断面
図である。図において35,36はそれぞれ誘電体スト
リップ、33は上下面に電極34を設けた誘電体板であ
り、これらを導体板31,32の間に設けることによっ
て、誘電体ストリップ35,36部分に電磁界エネルギ
ーを閉じ込めて電磁波の伝搬を行う非放射性誘電体線路
(NRDガイド)を構成している。
【0044】一般に、誘電体線路においては、誘電体ス
トリップのつなぎ目部分やベンドなどの不連続部分にお
いて電磁界が乱れて、上下の導体板間にパラレルプレー
トモードなどのスプリアスモードが伝搬する。
【0045】誘電体板33には、その上下面の電極34
をパターンニングすることによって、誘電体ストリップ
35,36の両脇に、図5、図9、図10に示したもの
と同様のスプリアスモード伝搬阻止回路3を設けてい
る。これにより、同図の(B)に示すように、電極34
と上部の導体板32との間(A1)、および電極34と
下部の導体板31との間(A2)をそれぞれ伝搬するパ
ラレルプレートモードの電磁波がスプリアスモード伝搬
阻止回路3のマイクロストリップ線路により準TEMモ
ードに変換されて全反射される。したがってこの誘電体
線路と、隣接する他の誘電体ストリップによる誘電体線
路とが漏洩波によって干渉することがない。
【0046】次に共振器を備えた高周波回路装置の例を
図15を参照して説明する。図15の例では、誘電体板
29の上下面の電極に、誘電体板29を挟んで互いに対
向する円形の電極非形成部30を設けている。この構造
により、電極非形成部30を磁気壁とする誘電体共振器
を構成している。この例ではTE010モードの共振器
として作用する。誘電体板29の上下面の電極にはスプ
リアスモード伝搬阻止回路3をパターンニングしてい
る。但し、そのパターンは図においては簡略化して表し
ている。このスプリアスモード伝搬阻止回路3は、図
5、図9、図10に示したものと同様である。このよう
に円形の電極非形成部30の周囲に沿ってスプリアスモ
ード伝搬阻止回路3を形成する場合に、図5、図9、図
10に示したパターンを直角座標とした場合に、これを
極座標形式に座標変換したものに相当するパターンとし
てもよい。
【0047】図15において、誘電体共振器部に閉じ込
められる電磁界エネルギーの一部はパラレルプレートモ
ードとして誘電体板29の上下の電極間を、誘電体共振
器を中心として放射方向に広がるが、そのパラレルプレ
ートモードはスプリアスモード伝搬阻止回路3によって
マイクロストリップ線路のモードに変換され、全反射す
る。そのため、このスプリアスモード伝搬阻止回路3よ
り外側へはパラレルプレートモードがほとんど漏洩する
ことがない。また、逆にスプリアスモード伝搬阻止回路
3の外側から内部(共振器方向)へもスプリアスモード
がほとんど漏洩することがない。したがって、このスプ
リアスモード伝搬阻止回路3の外側に伝送線路や他の共
振器が存在していても、それらとの間で漏洩波の結合に
よる干渉が生じない。
【0048】次に、電圧制御発振器の構成例を図16を
参照して説明する。図16は電圧制御発振器の構成を示
す分解斜視図である。41、44は上下の導体板であ
り、その間に誘電体板20を配置している。(図示の都
合上、上部の導体板41は誘電体板20から大きく離し
て表している。)誘電体板20には、その上下面に各種
導電体パターンを形成している。この誘電体板20の上
面には、スロット線路入力型のFET(ミリ波GaAs
FET)50を実装している。62,63はそれぞれ2
つの電極を一定間隔で配してなる誘電体板20上面のス
ロットであり、誘電体板20の下面のスロットとともに
平面誘電体線路を構成する。また45はコプレーナ線路
であり、FET50に対してゲートバイアス電圧および
ドレインバイアス電圧を供給する。
【0049】61は薄膜抵抗であり、誘電体板20の上
面に形成したスロット62の終端部分を先細り形状にす
るとともに、その上部にこの薄膜抵抗61を設けてい
る。65は誘電体板20の上面に設けた他のスロットで
あり、誘電体板20を挟んでその裏面側にもスロットを
設けて平面誘電体線路を構成している。60はスロット
65を跨ぐように実装した可変容量素子であり、印加電
圧に応じてそのキャパシタンスが変化する。また図中6
4は誘電体板20の上面に設けた誘電体共振器用導体非
形成部であり、誘電体板20を挟んでその裏面側に対向
する誘電体共振器用導電体非形成部とによって、この部
分にTE010モードの誘電体共振器を構成している。
【0050】図16においてクロスハッチングで示す部
分にスプリアスモード伝搬阻止回路3を形成している。
誘電体板20の下面側にも、上面のスプリアスモード伝
搬阻止回路に対向する領域にスプリアスモード伝搬阻止
回路を形成している。この上下面のスプリアスモード伝
搬阻止回路のパターンは、図5、図9、図10に示した
ものと同様である。このように、スプリアスモード伝搬
阻止回路3を形成することにより、たとえばスロット6
3による平面誘電体線路とスロット65による平面誘電
体線路や誘電体共振器用導体非形成部64の誘電体共振
器との間での漏洩波による干渉を防止する。
【0051】次に、スプリアスモード伝搬阻止回路を用
いた高周波モジュールの例を図17に示す。(A)は全
体の斜視図である。この高周波モジュールは、基板70
上にチップ状の複数の集積回路部品を実装して、例えば
2〜30GHzの周波数帯に適用される高周波モジュー
ルを構成している。(B)は、その1つの集積回路部品
の拡大平面図である。この集積回路部品は、基板上にス
パイラルインダクタとスロット線路等を形成して、等価
的には線路にインダクタを並列接続して成る整合回路を
構成している。このスロット線路およびスパイラルスロ
ットインダクタの形成領域以外の領域で、基板70の上
下面に、図5、図9、図10に示したものと同様のスプ
リアスモード伝搬阻止回路を形成している。
【0052】このように、スロット線路に分岐部やベン
ド部が有ると、それらの箇所でスプリアスモードが発生
する。もし、上記スプリアスモード伝搬阻止回路を設け
ずに、単なる平面導体とすれば、上記スプリアスモード
の波は平行平面導体間を伝搬し、スパイラルインダクタ
と結合したり、寄生容量を増加させる原因となる。その
結果、例えば通信モジュールにおいて混信などの現象を
引き起こしたり、各部品の特性が設計値から大きくずれ
て、全体の設計が困難になるといった問題を生む。
【0053】これに対し、図17に示したように、スロ
ット線路およびスパイラルスロットインダクタの形成領
域以外の領域に上記スプリアスモード伝搬阻止回路を形
成すれば、スロット線路の分岐部やベンド部で発生する
スプリアスモードがスプリアスモード伝搬阻止回路で吸
収されるため、スプリアスモードの波がスパイラルイン
ダクタと結合したり、寄生容量が増加することがなく、
上記の問題が解消される。
【0054】図18は、上記電圧制御発振器を用いた通
信機の構成例を示すブロック図である。図18において
DPXはアンテナ共用器であり、パワーアンプPAから
送信信号が入力される。またDPXから受信信号がロー
ノイズアンプLNAおよびRXフィルタ(受信フィル
タ)をとおってミキサへ与えられる。一方、PLLによ
る局部発振器はオシレータOSCと、その発振信号を分
周する分周器DVから成り、ローカル信号が上記ミキサ
へ与えられる。ここで、OSCとして上記電圧制御発振
器を用いる。
【0055】
【発明の効果】この発明によれば、スプリアスモードが
伝搬する2つの平面導体のうち、一方のスプリアスモー
ド伝搬阻止回路の開放端と短絡端が、他方のスプリアス
モード伝搬阻止回路の短絡端と開放端にそれぞれ対向す
るように、2つの平面導体のスプリアスモード伝搬阻止
回路のパターンを配置したことにより、スプリアスモー
ドの抑圧条件が最適化され、限られた面積のスプリアス
モード伝搬阻止回路でスプリアスモードの伝搬が効果的
に阻止される。
【0056】また、この発明によれば、スプリアスモー
ド伝搬阻止回路のパターンを、伝送線路の電磁波伝搬方
向に垂直な向きに高インピーダンス線路と低インピーダ
ンス線路とを交互に直列接続したストリップ状線路を、
スプリアスモードの波長より短い間隔を隔てて配置した
ものとすることにより、2つの平面導体のスプリアスモ
ード伝搬阻止回路のパターンが容易に配置できるように
なる。
【0057】また、この発明によれば、前記スプリアス
モード伝搬阻止回路のパターンとして、2開口以上の多
開口回路を構成する基本パターンを複数個配置したもの
とし、各基本パターンの任意の2開口間をつなぐストリ
ップ状導体に、使用周波数における1/4波長の電気長
を有する先端が開放されたストリップ状線路を並列に接
続して構成することにより、2つの平面導体のスプリア
スモード伝搬阻止回路のパターンが容易に配置できるよ
うになる。
【0058】また、この発明によれば、前記高周波回路
装置を、通信信号の伝搬部や通信信号の所定周波数帯域
を通過させたり阻止したりするフィルタ等の信号処理部
に用いることにより、線路や共振器の配置間隔を狭めて
も、線路間または線路と共振器間における干渉が確実に
防止されるので、通信装置全体を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】パラレルプレートモードの様子を示す一部破断
斜視図および断面図
【図2】図1におけるモードの等価回路を示す図
【図3】スプリアスモード抑圧機構の概念を示す等価回
路図
【図4】スプリアスモード伝搬阻止回路のパターンと入
力インピーダンス軌跡の例を示す図
【図5】スプリアスモード伝搬阻止回路を備えた高周波
回路装置の上面図および下面図
【図6】特性評価用の計算モデルを示す図
【図7】同モデルの反射特性および透過特性を示す図
【図8】比較例としての従来のスプリアスモード伝搬阻
止回路の反射特性および透過特性を示す図
【図9】第2の実施形態に係る高周波回路装置における
スプリアスモード伝搬阻止回路パターンの例を示す図
【図10】第3の実施形態に係る高周波回路装置におけ
るスプリアスモード伝搬阻止回路パターンの例を示す図
【図11】グラウンデッドスロット線路に適用した例を
示す図
【図12】グランデッドコプレーナ線路に適用した例を
示す図
【図13】平面誘電体線路に適用した例を示す図
【図14】誘電体線路に適用した例を示す図
【図15】共振器を備えた高周波回路装置に適用した例
を示す図
【図16】電圧可変発振器の構成例を示す図
【図17】スプリアスモード伝搬阻止回路を設けた高周
波モジュールの例を示す図
【図18】通信装置の構成例を示す図
【符号の説明】
1−グラウンデッドコプレーナ線路 3−スプリアスモード伝搬阻止回路 4−グラウンデッドスロット線路 19−ストリップ導体 20−誘電体板 21〜24−電極 25,26−スロット 27,28−導体板 29−誘電体板 30−電極非形成部 31,32−導体板 33−誘電体板 34−電極 35,36−誘電体ストリップ 50−FET 60−可変容量素子 61−薄膜抵抗 62,63−スロット 64−誘電体共振器用導体非形成部 70−基板

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平行な少なくとも2つの平面導体と、該
    2つの平面導体間を伝搬するスプリアスモードと結合し
    て当該スプリアスモードの伝搬を阻止するスプリアスモ
    ード伝搬阻止回路を前記2つの平面導体の両方に形成し
    た高周波回路装置であって、 前記2つの平面導体の一方のスプリアスモード伝搬阻止
    回路の開放端と短絡端が、他方のスプリアスモード伝搬
    阻止回路の短絡端と開放端にそれぞれ対向するように、
    前記2つの平面導体のスプリアスモード伝搬阻止回路の
    パターンを配置した高周波回路装置。
  2. 【請求項2】 前記スプリアスモード伝搬阻止回路のパ
    ターンは、前記伝送線路の電磁波伝搬方向に垂直な向き
    に高インピーダンス線路と低インピーダンス線路とを交
    互に直列接続したストリップ状線路を、スプリアスモー
    ドの波長より短い間隔を隔てて配置したものである請求
    項1に記載の高周波回路装置。
  3. 【請求項3】 前記スプリアスモード伝搬阻止回路のパ
    ターンは、2開口以上の多開口回路を構成する基本パタ
    ーンを複数個配置したものとし、各基本パターンの任意
    の2開口間をつなぐストリップ状導体に、使用周波数に
    おける1/4波長の電気長を有する先端が開放されたス
    トリップ状線路を並列に接続して構成した請求項1に記
    載の高周波回路装置。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のうちいずれかに記載の高
    周波回路装置を通信信号の伝搬部または通信信号の信号
    処理部に設けた通信装置。
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