JP2002331682A - インクタンクおよびインクタンクへのインク注入方法 - Google Patents

インクタンクおよびインクタンクへのインク注入方法

Info

Publication number
JP2002331682A
JP2002331682A JP2001139901A JP2001139901A JP2002331682A JP 2002331682 A JP2002331682 A JP 2002331682A JP 2001139901 A JP2001139901 A JP 2001139901A JP 2001139901 A JP2001139901 A JP 2001139901A JP 2002331682 A JP2002331682 A JP 2002331682A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
container
absorber
communication port
shielding member
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001139901A
Other languages
English (en)
Inventor
Keisuke Matsuo
圭介 松尾
Kenji Kitahata
健二 北畠
Koki Hayashi
弘毅 林
Yasuo Kotaki
小瀧  靖夫
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2001139901A priority Critical patent/JP2002331682A/ja
Publication of JP2002331682A publication Critical patent/JP2002331682A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクやインク吸収体の種類を問わず、イン
クの分布状態を制御し使用効率を向上させる。 【解決手段】 真空ポンプ15で容器2内を減圧した
後、開閉弁13を開きインク供給手段14からインクを
注入する。所定量のインクを注入すると、インクはイン
ク吸収体1に吸収されるとともにバッファ空間7に溜ま
る。開閉弁13を閉じ大気連通口5を開放すると、減圧
されて膨張したインク吸収体1内の空気が収縮し、バッ
ファ空間7のインクはインク吸収体1に引き込まれ、イ
ンク吸収体1の外表面付近のインクは内部へ移動する。
インク吸収体1の、遮蔽部材8と接する部分は、遮蔽部
材8により遮蔽されてインクが浸透せず、インクに濡れ
ないままである。インク吸収体1は、インクを十分吸収
した領域11と、僅かに保持する領域16と、濡れてい
ない領域12を含む。インクの界面9は概ね水平で良好
なインク分布状態になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクを保持する
インク吸収体を収納するインクタンクと、そのインクタ
ンクへのインク注入方法に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録装置は、いわゆるノ
ンインパクト方式の記録装置であり、高速記録や様々な
記録媒体への記録が可能であって、記録時の騒音がほと
んど生じないといった利点を有しており、広く普及して
いる。このようなインクジェット記録装置は、微小なノ
ズルから微小なインク滴を吐出させて記録媒体に記録を
行うものであり、一般に、インク滴を吐出するためのノ
ズルを有する記録ヘッドと、記録ヘッドに供給するイン
クを保持するインクタンクとを有している。
【0003】このインクジェット記録装置に用いられる
従来のインクタンクは、インクタンクから記録ヘッドへ
のインク供給を良好にするために、インクの圧力を調整
する構成となっている。例えば、従来、インクタンク内
にインク吸収体が収納された構成のものがある。内部に
インク吸収体が収納されたインクタンクを用いる場合、
記録ヘッドのインク吐出口とインクタンク内のインクの
液面との水頭差を考慮し、インク吸収体が常に負圧状態
に保たれることにより、記録ヘッド内のインクがインク
吐出口から垂れ落ちることなく保持され、インクに吐出
エネルギーが付与された際にインクが記録ヘッド外に流
出し過ぎることを防ぎ、記録ヘッドから適量のインクの
みが吐出されるように制御される。また、記録ヘッドか
らインクが吐出された後は、インク吸収体に保持されて
いるインクが記録ヘッドへ送られるが、インクタンクか
ら記録ヘッドに際限なく連続的にインクが流入し続けな
いように、インク吸収体による負圧によってインクは適
度にインク吸収体に引き寄せられている。このように、
インク吸収体を用いることによって、インクタンクおよ
び記録ヘッド内のインクに加わる圧力が調整される。
【0004】このようなインクタンク内にインクを注入
する方法としては、インクに圧力をかけて強制的にイン
クを流入させる加圧注入方法がある。
【0005】図7はこの加圧注入方法のインク注入工程
を示した模式図である。このインクタンク110は、中
空の容器102に蓋104が取り付けられて密閉されて
おり、インクを保持するインク吸収体101が容器10
2内に収納されている。容器102の一面(図7下方)
には、図示しない記録ヘッドにインクを供給するため、
かつ容器102内にインクを注入するためのインク供給
口103が設けられている。また、インク供給口103
形成面と反対側(図7上方)に位置する蓋104には、
容器102の内部と大気とを連通させるための大気連通
口105が設けられている。蓋104の内側にはリブ1
06が設けられており、このリブ106の設けられてい
る位置が、インク吸収体101が存在しないバッファ空
間107になっている。インク吸収体101は、容器1
02の内面およびリブ106に囲まれる空間とほぼ同じ
大きさである。
【0006】加圧注入工程においては、まず図7(a)
に示すように、大気連通口105を大気に開放した状態
でインク供給口103にインク注入用のシリンダー(概
略的に図示)108を取り付ける。そして、シリンダー
108を作動させて、容器102内へのインクの注入を
開始する。インク注入が開始されると、図7(b)に示
すように、インク吸収体101の内部において、インク
を吸収している領域111とインクで濡れていない領域
112の界面109が容器102の底面と平行に形成さ
れ、インク注入が進むにしたがって図7(c)に示すよ
うにこの界面109が上昇していく。最終的には、気温
や気圧の変動の影響を考慮して、図7(d)に示すよう
にインク吸収体101の上部にインクに濡れていない領
域112を残してインク注入を終了する。
【0007】この加圧注入方法では、インク注入時のイ
ンクタンク110の姿勢やインク注入速度によって、イ
ンク吸収体101内部のインク分布状態が容易に管理で
きる。しかし、表面張力の比較的高いインクを用いる場
合や、インク吸収体101のインクの接触角が大きく濡
れ性が悪い場合は、インクが注入されにくい。仮に過大
な圧力を加えてインクを注入しようとすると、図7
(b)に示すようにインクの界面109が平行に上昇し
ていかず、図7(e)に示すように容器102の内壁と
インク吸収体101との間をインクが進行して、図7
(f)に示すように、容器102内壁の近傍でのインク
吸収が早く進行し、インク吸収体101の中央部ではイ
ンク吸収が遅い状態になってしまう。その結果、インク
吸収体101の内部に十分にインクが浸透する前に、容
器102の内壁とインク吸収体101との間を通過した
インクがインク吸収体101上のバッファ空間107に
溜まってしまう。インク吸収体101の上面中央部は全
くインクに濡れておらずインクが浸透しにくい状態であ
り、しかも、バッファ空間107に溜まったインクはイ
ンク吸収体101へ向かう方向の圧力を受けないので、
このインクはインク吸収体101に吸収されることはな
くバッファ空間107に滞留する。そのため、所定量の
インクをインク吸収体101に収納できなかったり、バ
ッファ空間107に滞留するインクが振動等により大気
連通口105から漏れてしまうおそれがある。
【0008】したがって、加圧注入を行う場合には、図
7(e)および図7(f)に示すような状態にならない
ように、使用するインクやインク吸収体101の種類が
限定される。具体的には、表面張力が高いインクと、イ
ンクに対する濡れ性が悪いインク吸収体は使用不能であ
る。
【0009】一方、容器102の内部を減圧状態にして
インクを吸引する減圧注入方法がある。この減圧注入方
法の注入工程が、図8に模式的に示されている。インク
タンク110は図7に示したものと同様の構成である。
【0010】減圧注入を行う場合は、まず図8(a)に
示すように、インク供給口103に開閉弁113を介し
てインク供給手段114を取り付け、大気連通口105
に真空ポンプ115などの減圧手段を取り付ける。そし
て、開閉弁113を閉じてインク供給口103を塞いだ
状態で、大気連通口105から真空ポンプ115を用い
て容器102内部の空気を吸引して減圧する。
【0011】容器102内部が所定の圧力に減圧された
ら、図8(b)に示すように、真空ポンプ115を停止
し大気連通口105を塞いだままの状態で、開閉弁11
3を開き、インク供給手段114からインク供給口10
3を介して容器102の内部にインクを注入する。イン
クの注入が開始されると、インク供給口103の近傍か
らインク吸収体101にインクが浸透するとともに、容
器102の内部壁面に沿ってインクが進行する。さらに
インク注入が進むと、図8(c)に示すように、インク
吸収体101の内部に十分にインクが浸透する前に、イ
ンク吸収体101の外表面がほとんどインクに覆われ
て、インク吸収体101内部に残った空気の逃げ道がな
くなり、それ以上インクが浸透せず、インク吸収体10
1上のバッファ空間107にインクが溜まる。
【0012】この状態で開閉弁113を閉じインク注入
を終了して、大気連通口105を大気に開放すると、図
8(d)に示すように、減圧状態で膨張していたインク
吸収体101内部の空気が収縮することにより、バッフ
ァ空間107に溜まったインクがインク吸収体101に
引き込まれて吸収される。同時に、インク吸収体101
の外表面付近に含浸しているインクは、インク吸収体1
01の内部へ向かって移動する。こうして、インクを十
分吸収している領域111とインクに濡れ僅かにインク
を保持している領域116とが形成された状態で、イン
ク注入が完了する。
【0013】このように減圧注入によると、図8(c)
に示すようにインク吸収体101上のバッファ空間10
7にインクが溜まった状態になっても、大気連通口10
5を大気に開放して減圧状態で膨張していたインク吸収
体101内部の空気を収縮させることにより、バッファ
空間107に溜まったインクをインク吸収体101に引
き込んで吸収させることができる。したがって、減圧注
入方法によると、インクおよびインク吸収体101の種
類にかかわらず、バッファ空間107にインクが滞留す
ることがなく、所定量のインクをインク吸収体101に
吸収させることができる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】前記した通り減圧注入
方法では、加圧注入方法で注入することができない表面
張力の比較的高いインクを用いる場合や、インク吸収体
101のインクの接触角が大きく濡れ性が悪い場合にも
所定量のインクを注入可能であり、インクおよびインク
吸収体101の種類が限定されない。しかし、減圧状態
で膨張した空気が大気圧に開放されたときに収縮するこ
とによってインクをインク吸収体101内部に引き込む
ために、インク吸収体101内部のインク分布状態を管
理することは難しい。したがって、インクおよびインク
吸収体101の種類にかかわらず、図8(d)に示すよ
うにインク吸収体101内部のインク分布状態が不規則
なパターンになる。
【0015】インク吸収体101のインク保持能力の限
界までインクを注入した場合には、図7に示す加圧注入
方法であっても図8に示す減圧注入方法であっても、イ
ンクの使用効率、すなわち、インク吸収体101内のイ
ンクを使い切れずに残ってしまう量はほぼ同じである。
しかし、バッファ空間107にインクが滞留することを
防ぐためにインク吸収体101のインク保持能力の80
%〜90%程度の量のインクを注入した場合には、加圧
注入方法の場合、好適な種類のインクおよびインク吸収
体101であれば、図7(d)のように、インクが十分
に含浸している領域111とインクに全く濡れていない
領域112を有する状態になり、減圧注入方法の場合、
インクが十分含浸している領域111とインクが僅かに
含浸している領域116とを有するがインクに全く濡れ
ていない領域はほとんど存在しない状態になる。
【0016】前者(加圧注入方法)の場合、インク吸収
体101内のインクを使い切れずに残ってしまう量は、
インクが十分に含浸している領域111に残るインク量
だけである。これに対し後者(減圧注入方法)の場合、
インク吸収体101内のインクを使い切れずに残ってし
まう量は、インクが十分に含浸している領域111とイ
ンクが僅かに含浸している領域116の両方に残るイン
ク量であるので、無駄に残留するインク量が多く、イン
ク使用効率が悪い。すなわち、前者(加圧注入方法)の
場合、インクに全く濡れていない領域112は、以降の
工程においてインクが使用されてインク吸収体101内
部でインクの移動があっても、通常は、インクが浸透し
にくいいまま保たれ、インクを使い切る時点までインク
に濡れないままである。したがって、インクが残留する
のは、インクが十分に含浸している領域111のみなの
で体積が小さく、残留するインク量が少なくインク使用
効率がよい。後者(減圧注入方法)の場合、インク吸収
体101の全てが大なり小なりインクに濡れた状態であ
るので、全域にわたってインクが残留する。したがっ
て、残留するインク量が多くインク使用効率が悪い。し
かも、一旦インクで濡れた領域111,116は、イン
クに全く濡れていない領域112と比較してインクが移
動しやすいため、特に、記録ヘッドに装着される前の物
流時等に、気温や気圧の変動や振動等により、インクが
バッファ空間107側(上側)に移動してインクがイン
ク供給口103に良好に供給されなくなったり、インク
が大気連通口105から飛び出したりするおそれがある
など、インクの流れの信頼性が低い。
【0017】そこで本発明の目的は、インクやインク吸
収体の種類が限定されない減圧注入方法を行う場合に、
インク分布状態を制御してインク使用効率を向上させる
ことができ、インクの流れの信頼性が高いインクタンク
およびインク注入方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明のインクタンク
は、インクを保持するインク吸収体と、インク吸収体を
収納する容器と、容器の一面に設けられた、容器内にイ
ンクを注入するためのインク供給口と、容器のインク供
給口形成面と異なる面に設けられた、容器内と大気とを
連通するための大気連通口と、容器の大気連通口形成面
と対向する位置に設けられ、インク吸収体と接する遮蔽
部材とを有するものである。
【0019】遮蔽部材は1枚の板状の部材であってもよ
い。または、遮蔽部材は1枚の板材を複数に分割した形
状の複数の部材であってもよい。
【0020】遮蔽部材は大気連通口を覆う位置にあるこ
とが好ましい。
【0021】遮蔽部材は、リブを介して、大気連通口形
成面に対して間隔をおいて配置されており、遮蔽部材と
大気連通口形成面との間にインク吸収体の存在しない空
間が設けられていることが好ましい。リブは遮蔽部材と
一体的に形成されていてもよい。または、リブは容器の
大気連通口形成面と一体的に形成されていてもよい。
【0022】また、本発明のインクタンクへのインク注
入方法は、インクを保持するインク吸収体と、インク吸
収体を収納する容器と、容器の一面に設けられた、容器
内にインクを注入するためのインク供給口と、容器の前
記インク供給口形成面と異なる面に設けられた、容器内
と大気とを連通するための大気連通口と、容器の大気連
通口形成面と対向する位置に設けられている遮蔽部材と
を有するインクタンクへのインク注入方法であって、大
気連通口を閉鎖した状態で容器内を減圧して、インク供
給口から前記容器内にインクを吸引注入するとともに、
インク吸収体の遮蔽部材との接触面の周囲にインク非含
浸部分を残すことを特徴とするものである。
【0023】大気連通口を閉鎖した状態で容器内を減圧
して、インク供給口から容器内にインクを吸引注入した
後、大気連通口を開放して容器内を大気圧にすることが
好ましい。
【0024】少なくとも大気連通口と対向する位置をイ
ンク非含浸部分とすることが好ましい。
【0025】遮蔽部材の大きさおよび形状および位置に
よって、インク非含浸部分の体積および形状および位置
の少なくとも一つを制御することが好ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明のインクタンク10
の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0027】図1は本発明のインクタンク10を示す分
解斜視図、図2はその断面図である。このインクタンク
10は、中空の容器2に蓋4が取り付けられて密閉され
ており、インクを保持するインク吸収体1が容器2内に
収納されている。容器2の一面(下面)には、不図示の
記録ヘッドにインクを供給するため、かつ容器2内にイ
ンクを注入するためのインク供給口3が設けられてい
る。インク供給口3形成面と反対側(上方)に位置する
蓋4には、容器2の内部と大気とを連通させる大気連通
口5が設けられている。蓋4の内側にはリブ6が設けら
れており、リブ6の端部に1枚の板状の部材である遮蔽
部材8が取り付けられている。遮蔽部材8は、大気連通
口5を覆い、大気連通口5形成面に対し間隔をおいて対
向しており、その下面はインク吸収体1に接している。
インク吸収体1が存在せずリブ6が存在する、遮蔽部材
8と大気連通口5形成面との間の空間がバッファ空間7
になっている。インク吸収体1は、容器2の内面および
遮蔽部材8に囲まれる空間とほぼ同じ大きさである。
【0028】このインクタンク10の組み立て方法は以
下の通りである。すなわち、容器2の内部にインク吸収
体1を挿入し、次にインク吸収体1上面に遮蔽部材8を
当接させ、その後、容器2の開口部に蓋4を嵌合させ、
超音波溶着等によって容器2の開口部端面と蓋4とを接
合して、インク吸収体1と遮蔽部材8が収納された容器
2を蓋4によって実質的に密閉する。容器2と蓋4とを
接合するときに、リブ6と遮蔽部材8とも超音波接合等
により接合することが好ましい。
【0029】次に、このインクタンク10に減圧注入方
法によりインクを注入する方法を説明する。
【0030】まず、図3(a)に示すように、インク供
給口3に開閉弁13を介してインク供給手段14を取り
付け、大気連通口5に真空ポンプ15などの減圧手段を
取り付ける。そして、開閉弁13を閉じてインク供給口
3を塞いだ状態で、大気連通口5から真空ポンプ15を
用いて容器2内部の空気を吸引して減圧する。
【0031】インクタンク内部が所定の圧力に減圧され
たら、図3(b)に示すように、真空ポンプ15を停止
し大気連通口5を塞いだままの状態で、開閉弁13を開
き、インク供給手段14からインク供給口3を介して容
器2の内部にインクを注入する。インクの注入が開始さ
れると、インク供給口3の近傍からインク吸収体1にイ
ンクが浸透するとともに、容器2の内部壁面に沿ってイ
ンクが進行する。さらに、インク注入が進むと、図3
(c)に示すように、インク吸収体1の内部に十分にイ
ンクが浸透する前に、インク吸収体1の外表面がほとん
どインクに覆われて、インク吸収体1内部に残った空気
の逃げ道がなくなり、それ以上インクが浸透せず、イン
ク吸収体1上のバッファ空間7にインクが溜まる。
【0032】そこで、この状態で開閉弁13を閉じイン
ク注入を終了して、大気連通口5を大気に開放すると、
図3(d)に示すように、減圧状態で膨張していたイン
ク吸収体1内部の空気が収縮することにより、バッファ
空間7に溜まったインクがインク吸収体1に引き込まれ
て吸収される。同時に、インク吸収体1の外表面付近に
含浸しているインクは、インク吸収体1の内部へ向かっ
て移動する。ただし、以上の工程において、インク吸収
体1の遮蔽部材8と接している部分は、遮蔽部材8によ
り遮蔽されているため、バッファ空間7に溜まったイン
クが浸透していくことはない。しかも、インク吸収体1
のこの部分は、インクに全く濡れていない状態であるた
め、インクが浸透しにくく、周囲からインクが移動して
来難い。遮蔽部材8から離れた部分では、図3(c)に
示す状態でインクに濡れていなかった部分が、図3
(d)に示す時点ではインクが浸透しているところもあ
るが、インク吸収体1の遮蔽部材8と接する面に近い部
分は、インクを含浸しないままに保たれる。したがっ
て、図3(d)に示すように、インク吸収体1は、イン
クを十分吸収している領域11と、僅かな量のインクを
保持している領域16と、インクに全く濡れていない領
域12とを含む状態になって、インク注入が完了する。
【0033】なお、インクに全く濡れていない領域12
は、遮蔽部材8からの距離によって概ね決まるので、こ
の領域12の界面9は、遮蔽部材8の下面に平行、すな
わち概ね水平になる。したがって、図3(d)に示すよ
うにインクの界面9がほぼ水平であり、図7(d)に示
す加圧注入とほぼ同じ良好なインク分布状態になる。
【0034】本実施形態によると、減圧注入を行うた
め、減圧状態で膨張したインク吸収体1内部の空気の収
縮力を利用することにより、所定量のインクをインク吸
収体1に吸収させることができ、インクおよびインク吸
収体1の種類に特に制限はない。
【0035】本実施形態では、遮蔽部材8を設けたこと
により、インクに全く濡れない領域12が設けられ、そ
れによってインクの残留する領域が小さくなるため、使
われずに残留するインク量が減ってインクの使用効率が
向上する。さらに、遮蔽部材8を設けることによって、
インクの界面9がほぼ水平になりインク分布状態が安定
するので、インク吸収体1各部のインク消費のばらつき
がなくなり、インクの使用効率が向上する。
【0036】また、本実施形態によると、インク吸収体
1の、大気連通口5に近接する部分にはインクが含浸さ
れていないので、気温や気圧の変動や振動等によってイ
ンクが大気連通口5から漏れるおそれはない。遮蔽部材
8が大気連通口5を覆う位置に設けられていると、イン
ク漏れ防止の効果が特に大きい。
【0037】本実施形態では、蓋4に設けられたリブ6
によってバッファ空間7を形成するとともに、遮蔽部材
8をインク吸収体1に密接させて遮蔽を行なっている
が、遮蔽部材8の構成については特に限定されない。前
記した実施形態では、蓋4と一体的にリブ6が形成さ
れ、このリブ6に1枚の板状の遮蔽部材8が溶着された
構成であるが、これに限定されるものではない。
【0038】例えば、図4に示すように、板状の遮蔽部
材17と一体的にリブ18が形成され、このリブ18が
蓋19に溶着される構成であってもよい。
【0039】図5に示すように、蓋20と一体的にリブ
21を形成し、このリブ21の先端部を拡大して遮蔽部
材22としてもよい。この場合、複数のリブ21の先端
部からなる遮蔽部材22は、1枚の板材を複数に分割し
た形状の複数の部材である。
【0040】図6に示すように、蓋23とリブ24と遮
蔽部材25とが一体的に形成された構成であってもよ
い。この構成は、リブ24の個数を減らしその配置を工
夫することによって、形成可能である。
【0041】また、図示しないが、フィルム状の遮蔽部
材をインク吸収体の一面(大気連通口形成面に対向する
面)に接着する構成であってもよい。さらに、インク吸
収体を形成する材質であるフェルトなどの繊維集合体の
一面を加工し、例えば、その面の一部またはほぼ全域に
熱を加えて溶かし込むことにより、遮蔽部材を形成して
もよい。この場合、繊維集合体の加熱硬化された部分が
遮蔽部材となり、それ以外の部分がインク吸収体とな
る。
【0042】ここに例示した各実施形態のように、大気
連通口5形成面と対向する位置にインク吸収体1に接す
る遮蔽部材8,17,22,25を設けると、前記した
通り、使われずに残留するインク量が減るとともに、イ
ンク分布状態が安定してインク吸収体1各部のインク消
費のばらつきがなくなって、インクの使用効率が向上す
る。さらに、インクが大気連通口5から漏れることが防
げる。
【0043】また、インク吸収体1のインクに全く濡れ
ない領域12は、その体積や形状や位置が全て遮蔽部材
8,17,22,25によって決められる。すなわち、
遮蔽部材8,17,22,25の大きさや形状や位置を
調整してインクに全く濡れない領域12の体積や形状や
位置を制御することによって、インクタンク10のイン
ク供給特性を左右する、インク吸収体1の総インク吸収
量やインク分布パターンなどを任意に調整することがで
きる。それによって、所望のインク供給特性を有するイ
ンクタンク10を容易に製造することができる。
【0044】インクタンク10の遮蔽部材8,17,2
2,25や蓋4,19,20,23や容器2の材料は問
わないが、生産性やコストの観点から、射出成形で形成
できる樹脂であることが望ましく、これらは同一材料で
あることがより望ましい。インク吸収体1の材料は、ウ
レタンフォームなどの多孔質体やフェルトなどの繊維集
合体に限られず、インクの保持力がありインク供給時の
流抵抗が小さければ何でもよい。ただし、インクと接し
ても変質したりインクを劣化させたりしない材料が望ま
しく、安価で耐薬品性に優れたポリオレフィン系の繊維
集合体が最も好適である。容器2、遮蔽部材8,17,
22,25、蓋4,19,20,23、およびインク吸
収体1が、全て同種の材料から形成されていると、イン
クタンク10のリサイクル時に、分解することなく溶融
して再加工することができるなどの利点がある。
【0045】インクタンク10の容器2と蓋4,19,
20,23との結合方法は、インク注入時にインクタン
ク10内部を減圧状態にしたときにその圧力に耐えられ
る構造にすることができれば、いかなる方法であっても
よい。
【0046】
【発明の効果】以上の説明した通り、本発明によると、
減圧注入方法によって、インクやインク吸収体の材質に
かかわらずインク吸収体に所定量のインクを吸収させる
ことができ、しかも、インク吸収体内のインク分布状態
を容易に制御できる。そして、インク吸収体にインクに
全く濡れない領域が設けられ、残留するインク量が減っ
てインクの使用効率が向上する。また、インクが大気連
通口から漏れるおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態のインクタンクを示す
分解斜視図である。
【図2】第1の実施形態のインクタンクの断面図であ
る。
【図3】第1の実施形態のインクタンクへのインク注入
方法を示す断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態のインクタンクの断面
図である。
【図5】本発明の第3の実施形態のインクタンクの断面
図である。
【図6】本発明の第4の実施形態のインクタンクの断面
図である。
【図7】従来のインクタンクへのインク加圧注入方法を
示す断面図である。
【図8】従来のインクタンクへのインク減圧注入方法を
示す断面図である。
【符号の説明】
1 インク吸収体 2 容器 3 インク供給口 4,19,20,23 蓋 5 大気連通口 6,18,21,24 リブ 7 バッファ空間(インク吸収体の存在しない空
間) 8,17,22,25 遮蔽部材 9 インクの界面 10 インクタンク 11 インクを十分吸収している領域 12 インクに濡れていない領域 13 開閉弁 14 インク供給手段 15 真空ポンプ(減圧手段) 16 インクを僅かに保持している領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 弘毅 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 小瀧 靖夫 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA25 EA26 KC01 KC09 KC11 KC17 KC30

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクを保持するインク吸収体と、 前記インク吸収体を収納する容器と、 前記容器の一面に設けられた、前記容器内にインクを注
    入するためのインク供給口と、 前記容器の前記インク供給口形成面と異なる面に設けら
    れた、前記容器内と大気とを連通するための大気連通口
    と、 前記容器の前記大気連通口形成面と対向する位置に設け
    られ、前記インク吸収体と接する遮蔽部材とを有するイ
    ンクタンク。
  2. 【請求項2】 前記遮蔽部材は1枚の板状の部材であ
    る、請求項1に記載のインクタンク。
  3. 【請求項3】 前記遮蔽部材は1枚の板材を複数に分割
    した形状の複数の部材である、請求項1に記載のインク
    タンク。
  4. 【請求項4】 前記遮蔽部材は前記大気連通口を覆う位
    置にある、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインク
    タンク。
  5. 【請求項5】 前記遮蔽部材は、リブを介して、前記大
    気連通口形成面に対して間隔をおいて配置されており、
    前記遮蔽部材と前記大気連通口形成面との間に前記イン
    ク吸収体の存在しない空間が設けられている、請求項1
    〜4のいずれか1項に記載のインクタンク。
  6. 【請求項6】 前記リブは前記遮蔽部材と一体的に形成
    されている、請求項5に記載のインクタンク。
  7. 【請求項7】 前記リブは前記容器の前記大気連通口形
    成面と一体的に形成されている、請求項5に記載のイン
    クタンク。
  8. 【請求項8】 インクを保持するインク吸収体と、前記
    インク吸収体を収納する容器と、前記容器の一面に設け
    られた、前記容器内にインクを注入するためのインク供
    給口と、前記容器の前記インク供給口形成面と異なる面
    に設けられた、前記容器内と大気とを連通するための大
    気連通口と、前記容器の前記大気連通口形成面と対向す
    る位置に設けられている遮蔽部材とを有するインクタン
    クへのインク注入方法であって、 前記大気連通口を閉鎖した状態で前記容器内を減圧し
    て、前記インク供給口から前記容器内にインクを吸引注
    入するとともに、前記インク吸収体の前記遮蔽部材との
    接触面の周囲にインク非含浸部分を残すことを特徴とす
    る、インクタンクへのインク注入方法。
  9. 【請求項9】 前記大気連通口を閉鎖した状態で前記容
    器内を減圧して、前記インク供給口から前記容器内にイ
    ンクを吸引注入した後、前記大気連通口を開放して前記
    容器内を大気圧にする、請求項8に記載のインクタンク
    へのインク注入方法。
  10. 【請求項10】 少なくとも前記大気連通口と対向する
    位置を前記インク非含浸部分とする、請求項8または9
    に記載のインクタンクへのインク注入方法。
  11. 【請求項11】 前記遮蔽部材の大きさおよび形状およ
    び位置によって、前記インク非含浸部分の体積および形
    状および位置の少なくとも一つを制御する、請求項8〜
    10のいずれか1項に記載のインクタンクへのインク注
    入方法。
JP2001139901A 2001-05-10 2001-05-10 インクタンクおよびインクタンクへのインク注入方法 Pending JP2002331682A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001139901A JP2002331682A (ja) 2001-05-10 2001-05-10 インクタンクおよびインクタンクへのインク注入方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001139901A JP2002331682A (ja) 2001-05-10 2001-05-10 インクタンクおよびインクタンクへのインク注入方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002331682A true JP2002331682A (ja) 2002-11-19

Family

ID=18986599

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001139901A Pending JP2002331682A (ja) 2001-05-10 2001-05-10 インクタンクおよびインクタンクへのインク注入方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002331682A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009255539A (ja) * 2008-03-24 2009-11-05 Seiko Epson Corp 液体容器およびその製造方法
JP2015077731A (ja) * 2013-10-17 2015-04-23 キヤノン株式会社 インク充填装置およびインク充填方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009255539A (ja) * 2008-03-24 2009-11-05 Seiko Epson Corp 液体容器およびその製造方法
JP2015077731A (ja) * 2013-10-17 2015-04-23 キヤノン株式会社 インク充填装置およびインク充填方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6840610B2 (en) Liquid container, ink jet cartridge and ink jet printing apparatus
US5182581A (en) Ink jet recording unit having an ink tank section containing porous material and a recording head section
JP3278410B2 (ja) 液体収納容器、該容器の製造方法、該容器のパッケージ、該容器と記録ヘッドとを一体化したインクジェットヘッドカートリッジ及び液体吐出記録装置
JP3833123B2 (ja) 保管されたインクジェットヘッド、及びインクジェットヘッドの保管方法
JP3347559B2 (ja) インクタンク及びインクジェットカートリッジならびにインクジェット記録装置
JP3356818B2 (ja) インクジェット記録装置のインク供給装置
JPH1148490A (ja) 液体収容室を有する液体収容容器への液体充填方法及び液体充填装置
JP2003025605A (ja) 液体収納容器および液体供給システム
JPH07137272A (ja) インク供給装置
JP2002331682A (ja) インクタンクおよびインクタンクへのインク注入方法
JP3140619B2 (ja) インクジェット装置用インクカートリッジへのインク注入方法
JP2918558B2 (ja) 記録ヘッド
JPH0615839A (ja) インクタンク
JP2000177142A (ja) インクカートリッジへのインクの充填方法およびインクカートリッジ
JP3972954B1 (ja) 液体収納容器、及び液体供給システム
US6350027B1 (en) Ink tank structure
JP2618008B2 (ja) 液体噴射記録ヘッド
JP5414446B2 (ja) 液体収納容器の製造方法
JP2677391B2 (ja) 液体噴射記録ヘッド用液体収容器
JP2006051762A (ja) インクカートリッジ
JP2931511B2 (ja) ヘッドカートリッジおよびプリント装置
JP3298588B2 (ja) インクジェット記録装置のインク供給装置
JP4238589B2 (ja) インクカートリッジのインク充填方法およびインク充填装置
JP2003165236A (ja) インクジェット式記録装置
JP2002144592A (ja) インク乾燥防止装置、インクジェット記録ヘッド保管容器、インクジェット記録ヘッド保管構造系及びインクジェット記録装置