JP2002328319A - 圧電/電歪デバイス及びその製造方法 - Google Patents

圧電/電歪デバイス及びその製造方法

Info

Publication number
JP2002328319A
JP2002328319A JP2002053993A JP2002053993A JP2002328319A JP 2002328319 A JP2002328319 A JP 2002328319A JP 2002053993 A JP2002053993 A JP 2002053993A JP 2002053993 A JP2002053993 A JP 2002053993A JP 2002328319 A JP2002328319 A JP 2002328319A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piezoelectric
electrostrictive
deformed
electrostrictive device
base
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002053993A
Other languages
English (en)
Inventor
Yukihisa Takeuchi
幸久 武内
Tsutomu Nanataki
七瀧  努
Koji Kimura
浩二 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NGK Insulators Ltd
Original Assignee
NGK Insulators Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NGK Insulators Ltd filed Critical NGK Insulators Ltd
Priority to JP2002053993A priority Critical patent/JP2002328319A/ja
Publication of JP2002328319A publication Critical patent/JP2002328319A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Mechanical Light Control Or Optical Switches (AREA)
  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 素子の大型化を招くことなく偏向角度を大き
くでき、駆動部分の経時的な劣化が生じ難い圧電/電歪
デバイスを提供すること。 【解決手段】 この圧電/電歪デバイス10は、基部1
1と、基部から延設されて平面を構成する薄板状の変形
部12と、変形部に密着された圧電/電歪素子14と、
前記変形部の平面と交差する平面状の作用面13aを構
成するように同変形部から延設されるとともに同作用面
上に光反射部材13bを配した反射部13とを備えてい
る。そして、前記圧電/電歪素子の作動によって前記変
形部が同変形部の平面と略直交する方向に変形されるこ
とにより前記反射部の光の反射角度が変化する。これに
よれば、光の反射角度を大きくするために変形部の長さ
を大きくしても、反射部を大きくする必要がない。ま
た、反射部は剛性が高く形成されるので、光反射面の平
坦性が長期に渡り維持される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像表示装置、画
像描画装置、露光装置、及び光スイッチ等に利用される
光変調機構を備えた圧電/電歪デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、光変調機構を備えた種々のデバイ
スが開発されていて、特開平5−196880号公報
は、その一例である変形可能鏡装置(以下、DMDと称
呼する。)を開示している。このDMDは、概略斜視図
である図33に示したように、CMOS基板200と、
基板200上に設けられた支持体202,202と、前
記支持体202,202に支持された一対のトーション
・ヒンジ204,204と、トーション・ヒンジ20
4,204を介して支持体202,202に保持された
ヨーク206と、ヨーク206に支持されたミラー20
8とを備え、静電引力を利用してトーション・ヒンジ2
04,204を捩ることによってミラー208の角度を
変更するようになっている。なお、図33においては、
理解を容易にするため、ミラー208が透明に描かれて
いる。
【0003】このDMDは、小型化が容易で画素の高密
度化を可能とするされているが、トーション・ヒンジ2
04,204を捩らせてミラー208を駆動するため、
同ヒンジ204,204が疲労し易いという問題を有し
ている。また、ミラー208は静電引力により駆動され
るため、同ミラー208が作動中にスティッキング(固
着)してしまう惧れもある。
【0004】これに対し、特開平11−72724号公
報に開示された薄膜型光路調節装置(以下、AMAと称
呼する。)は、概略断面図である図34に示したよう
に、基板300の上に形成されたアンカ302と、アン
カ302により支持された支持層304と、支持層30
4の上に順に積層された下部電極306、圧電物質を含
む変形層308、及び上部電極310と、支持層304
〜上部電極310により構成されるアクチュエーティン
グ部312にポスト314を介して支持されたストレス
バランス層316と、ストレスバランス層316の上に
形成された光反射部材318とを備えていて、下部電極
306と上部電極310との間に電圧を印加して変形層
308を変形させ、これによりアクチュエーティング部
312を傾斜させることで光反射部材318を傾斜させ
るようになっている。このように、AMAは、トーショ
ン・ヒンジの捩り運動ではなく、圧電材料を含む変形層
308の変形を利用して光反射部材318の角度を変化
させるので、駆動部分の疲労が少なく、且つ、静電引力
を利用していないので、光反射部材318がスティッキ
ングし難いという特性を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記A
MAは、光反射部材318と変形層308とが平行に形
成されているので、偏向角度(反射面の変化角度)を大
きくする場合に変形層308を長くする必要があり、こ
の結果、素子のサイズが大きくなるという問題を有して
いる。また、AMAにおける光反射部材318は剛性が
小さい金属薄膜であるため、同光反射部材318により
構成される反射面の平坦性の確保が難しく、同平坦性が
AMA作動に伴って経時的に変化し、偏向が長期間に渡
り安定して行えないという課題もある。本発明は、DM
D及びAMAが有する上記課題を解決するためになされ
たものであって、その目的は、素子の大型化を招くこと
なく偏向角度を大きくすることができ、駆動部分の経時
的な劣化が生じ難い圧電/電歪デバイス、及び、その製
造方法を提供することにある。
【0006】
【本発明の概要】本発明による圧電/電歪デバイスは、
基部と、前記基部から延設されて平面を構成する薄板状
の変形部と、少なくとも前記変形部に密着された圧電/
電歪素子と、前記変形部の平面と交差する平面状の作用
面を構成するように同変形部から延設されるとともに同
作用面上に光反射部材を配した反射部とを備え、前記圧
電/電歪素子の作動によって前記変形部が同変形部の平
面と略直交する方向に変形されることにより前記反射部
の光の反射角度が変化するように構成された1組の機能
素子を含んで構成される。
【0007】これによれば、反射部材を配した反射部の
光の反射角度を変化させる際、圧電/電歪素子によって
薄板状の変形部が同変形部の平面と略直交する方向に変
形されるので、駆動部分である同変形部にねじり等が加
わらず、同変形部に経時的な劣化が生じ難い。また、反
射部材を配した反射部の作用面は、変形部の平面と交差
する平面を構成しているから、偏向角度(反射面の変化
角度)を大きくするために同変形部を長くした場合であ
っても、同光反射部材を同変形部と同じだけ長くする必
要がない。従って、上記構成によれば、小型であって、
例えば、画像表示装置として用いた場合に、画素の高密
度化を達成し得る信頼性の高い圧電/電歪デバイスが提
供され得る。なお、係るデバイスの小型化は、前記反射
部の作用面と前記変形部の平面とが直交する場合におい
て、最も顕著に達成される。
【0008】この場合、上記圧電/電歪デバイスにおい
て、前記反射部は前記変形部の端部から同変形部と略同
一幅を有して延設されることが好適である。
【0009】上記従来のAMAにおいては、光反射部材
がポストにより一点にて支持されているから、同光反射
部材に自重等による変形(ねじれ、たわみ)が生じ易
く、反射面の平坦度を長期に渡り良好に維持することが
難しいという問題がある。これに対し、上記のように、
反射部を変形部の端部から同変形部と略同一幅を有して
延設するように構成すれば、同反射部が長い距離にて支
持されるとともに、同反射部の剛性を高めることが可能
となるので、同反射部の変形を生じ難くでき、反射面の
平坦度を良好に維持することが可能となる。
【0010】上記本発明によるデバイスは、光スイッチ
や露光装置等に利用し得る態様となるように複数組の機
能素子を直線状(直線的)に隣接配置して構成してもよ
く、この場合、前記直線状に隣接配置された複数組の機
能素子の前記各基部が一体的に形成されてなることが好
適である。
【0011】上記本発明によるデバイスは、光スイッ
チ、画像表示装置、及び露光装置等に利用し得る態様と
なるように複数組の機能素子をマトリクス状に隣接配置
して構成してもよく、この場合、前記マトリクスの少な
くとも一列を構成する前記複数組の機能素子の前記各基
部が一体的に形成されてなることが好適である。
【0012】また、上記何れかに記載のデバイスは、前
記1組の機能素子の前記基部と前記変形部と前記反射部
とがセラミックスの一体化物として形成されてなること
が好適である。
【0013】これによれば、セラミックスの特性によ
り、前記変形部を、薄く、厚み方向に変形し易く、且つ
金属膜のように変形の繰り返しによりその面内で延びて
しまうことがないように形成することができるととも
に、基部、変形部、及び反射部、の間に接着剤が介在し
ない構造であるので、小型で、望ましい特性、及び優れ
た耐久性を備えた光変調機構を有するデバイスを提供す
ることができる。
【0014】この場合、前記圧電/電歪素子は、膜型の
圧電/電歪素子であり、焼成により前記変形部に一体化
されてなることが好適である。
【0015】これによれば、小型の圧電/電歪素子を容
易に形成でき、デバイスの作動電圧を小さくできるとと
もに、圧電/電歪素子を変形部に接着剤等を用いて密着
させる必要がないので、圧電/電歪素子の発生する歪み
をロスすることなく、効率良く利用することができる。
【0016】また、本発明による他のデバイスは、基部
と、前記基部から延設されて平面を構成する薄板状の変
形部と、少なくとも前記変形部に密着された圧電/電歪
素子と、前記変形部の平面と交差する平面状の作用面を
構成するように同変形部から延設されるとともに同作用
面上に光反射部材を配した反射部と、前記変形部と対向
するように前記基部から延設され前記反射部の一部を保
持する保持部とを備え、前記圧電/電歪素子の作動によ
って前記変形部が同変形部の平面と略直交する方向に変
形されることにより、前記保持部が変形することなく前
記反射部の光の反射角度が変化するように構成された1
組の機能素子を含んで構成される。
【0017】これは、上述した本発明による圧電/電歪
デバイスに対し、前記変形部と対向するように前記基部
から延設され前記反射部の一部を保持する保持部を更に
具備させたものである。この保持部は、前記圧電/電歪
素子によって前記変形部が変形され、前記反射部の光の
反射角度が変化されたときにも、変形することがないよ
うな構造(例えば、剛性)を有している。
【0018】従って、この本発明による他の圧電/電歪
デバイスは、上記本発明による圧電/電歪デバイスと同
様な利点を有することに加え、前記反射部の光の反射角
度を変化させるために同反射部が駆動されたとき、その
駆動中心が保持部により前記基部に対し移動しないよう
になっているので、光軸が反射部から外れてしまうこと
を防止することができる。
【0019】この場合、上記他の圧電/電歪デバイスに
おいても、前記反射部は前記変形部の端部から同変形部
と略同一幅を有して延設されることが好適である。
【0020】これによれば、反射部が変形部により長い
距離をもって支持されるとともに、同反射部の剛性を高
めることが可能となるので、同反射部の変形を生じ難く
でき、反射面の平坦度を良好に維持することが可能とな
る。
【0021】上記本発明による他のデバイスは、光スイ
ッチや露光装置等に利用し得る態様となるように複数組
の機能素子を直線状に隣接配置して構成してもよく、こ
の場合、前記直線状に隣接配置された複数組の機能素子
の前記各基部が一体的に形成されてなることが好適であ
る。
【0022】上記本発明による他のデバイスは、光スイ
ッチ、画像表示装置、及び露光装置等に利用し得る態様
となるように複数組の機能素子をマトリクス状に隣接配
置して構成してもよく、この場合、前記マトリクスの少
なくとも一列を構成する前記複数組の機能素子の前記各
基部が一体的に形成されてなることが好適である。
【0023】また、上記何れかに記載の他のデバイス
は、前記1組の機能素子の前記基部、前記変形部、前記
反射部、及び前記保持部がセラミックスの一体化物とし
て形成されてなることが好適である。
【0024】これによれば、セラミックスの特性によ
り、前記変形部を、薄く、厚み方向に変形し易く、且つ
金属膜のように変形の繰り返しによりその面内で延びて
しまうことがないように形成することができるととも
に、基部、変形部、反射部、及び保持部の間に接着剤が
介在しない構造であるので、小型で、望ましい特性、及
び優れた耐久性を備えた光変調機構を有するデバイスを
提供することができる。
【0025】この場合、前記圧電/電歪素子は、膜型の
圧電/電歪素子であり、焼成により前記変形部に一体化
されてなることが好ましい。
【0026】これによれば、小型の圧電/電歪素子を容
易に形成でき、デバイスの作動電圧を小さくできるとと
もに、圧電/電歪素子を変形部に接着剤等を用いて密着
させる必要がないので、圧電/電歪素子の発生する歪み
をロスすることなく、効率良く利用することができる。
【0027】本発明の他の特徴は、厚肉のセラミックス
からなる基部から延設された薄肉のセラミックスからな
る変形部を少なくとも同変形部に密着された圧電/電歪
素子の作動により変形させることによって、同変形部か
ら延設されたセラミックスからなる反射部の角度を変更
する圧電/電歪デバイスの製造方法が、中央部に略長方
形状の貫通窓が形成されたセラミックグリーンシート上
に別のセラミックグリーンシートを同貫通窓を覆うよう
に積層する工程と、前記積層された両セラミックグリー
ンシートを焼成して厚肉部と薄肉部とを有するセラミッ
クスの一体化物を形成する工程と、少なくとも前記薄肉
部の上面に圧電/電歪素子を形成する工程と、前記セラ
ミックスの一体化物を形成した後であって、前記圧電/
電歪素子を形成した後又は前記圧電/電歪素子を形成す
る前に、前記薄肉部の端部から一定の肉厚を残すように
前記厚肉部の一部を切断加工する第1切断工程と、少な
くとも前記切断加工により一定の肉厚が残された厚肉部
を同切断加工により形成された切断面と交差する平面に
沿って切断し、同一定の肉厚を有する前記反射部と、前
記薄肉の変形部と、前記厚肉の基部とを形成する第2切
断工程と、を含んだことにある。
【0028】これによれば、特に、上記直線状又はマト
リクス状に複数組の機能素子を隣接配置する圧電/電歪
デバイスを少ない工程により効率的に製造することがで
きる。
【0029】この場合において、前記第2切断工程前の
状態にあるセラミックスの一体化物を複数個用意すると
ともに同複数個の一体化物の前記厚肉部であって後に前
記基部となる部分同士をスペーサを介在させて接合する
工程と、前記反射部に光反射部材を形成する工程と、を
含むことが好適である。前記セラミックスの一体化物を
接合する工程は、前記セラミックスの一体化物が形成さ
れた後であれば、前記第1切断工程後であっても、前記
第1切断工程前であってもよい。
【0030】これによれば、各々が反射部を備える複数
の機能素子をマトリクス状に隣接配置した圧電/電歪デ
バイスを簡単に製造することができる。また、前記一体
化物間の距離をスペーサにより精密且つ簡易に管理しな
がら製造することができる。
【0031】また、前記第2切断工程は、少なくとも前
記第1切断工程の切断加工により一定の肉厚が残された
厚肉部、前記光反射部材、及び前記薄肉部を切断する工
程であることが好適である。
【0032】これによれば、第2切断工程において、基
部、変形部、反射部を一つの切断加工により同時に形成
することができる。
【0033】また、前記圧電/電歪素子を形成する工程
は、同圧電/電歪素子を複数個互いに略同一間隔を隔て
て形成する工程であり、前記圧電/電歪素子の形成後で
あって前記第2切断工程前に同圧電/電歪素子間の前記
薄肉部をスリット状に除去する工程を含み、更に、前記
第2切断工程は、少なくとも前記第1切断工程の切断加
工により一定の肉厚が残された厚肉部及び前記光反射部
材を、前記スリットに沿った面で切断する工程であって
もよい。更に、この場合、前記薄肉部をスリット状に除
去する工程は、レーザー加工によりスリットを形成する
工程であり、前記第2切断工程は、レーザー加工により
前記一定の肉厚が残された厚肉部及び前記光反射部材を
切断する工程であることが望ましい。
【0034】これによれば、圧電/電歪素子間の薄肉部
が予めスリット状に除去されているので、第2切断工程
において、前記第1切断工程の切断加工により一定の肉
厚が残された厚肉部及び前記光反射部材を、前記スリッ
トに沿った面で切断するだけでよく、この結果、同第2
切断加工の際にデバイスに加わる負荷(応力)を低減す
ることができ、製造時の破損等を効果的に抑制できる。
また、スリットの形成、及び第2切断工程の切断をレー
ザー加工により行えば、切断時にデバイスに加わる負荷
を一層低減することができる。
【0035】この場合において、前記光反射部材を形成
する工程は同光反射部材の形成前に前記第1切断工程に
おいて切断加工された面を研磨する研磨工程を含み、更
に、前記複数個の一体化物の前記肉厚部同士を前記スペ
ーサを介して接合した後であって前記研磨工程の実施前
に同複数個の一体化物の間隙部に充填材を充填する工程
と、前記第2切断工程の後に前記充填材を除去する工程
とを含むことが好適である。
【0036】これによれば、前記複数個の一体化物を接
合した後であって前記光反射部材を形成する前に同複数
個の一体化物の間隙部に充填材が充填され、その状態で
前記光反射部材が形成される面が研磨される。そして、
前記研磨面に前記光反射部材が形成されてから、同光反
射部材と前記厚肉部(と前記薄肉部)とが切断加工さ
れ、最後に前記充填材が除去される。従って、研磨加工
時及び第2切断工程の切断加工時において、充填材が前
記複数個の一体化物間に存在しているので、同研磨加工
及び同切断加工を安定して行うことが可能となる。
【0037】
【発明の実施の形態】本明細書において「圧電/電歪」
とは、圧電及び/又は電歪のことを意味している。圧電
/電歪素子は、主に加えられる外部電界と平行な方向に
伸張し、同電界と直交する方向に収縮する性質を備え、
電気的エネルギと機械的エネルギとを相互に変換する素
子として広く知られている。一般に、圧電素子は、抗電
界(分極が反転するときの外部電界)の大きさが比較的
大きく、電歪素子は同抗電界が極めて小さいという特徴
を有するものである。
【0038】以下、本発明による圧電/電歪デバイス及
びその製造方法の各実施形態について、図面を参照しな
がら説明する。なお、各図において示されたx,y,z
軸は互いに直交する座標軸である。また、圧電/電歪デ
バイスを構成する各部分のうち、x,y,及びz軸方向
に沿った辺の長さは、幅、厚さ又は奥行き、及び高さと
それぞれ称呼される。
【0039】(第1実施形態)図1に概略斜視図を、図
2に正面図を示した本発明の第1実施形態に係る圧電/
電歪デバイス10は、基部11、変形部12、反射部1
3、及び圧電/電歪素子14を備え、これらにより1組
の光変調機能を有する機能素子を構成している。
【0040】基部11は、部分安定化ジルコニアを主成
分とするセラミックスからなり、幅W1、厚さL1、高
さH1を有する略直方体形状の中実で剛性を有する箱体
である。幅W1は、厚さL1と略同一又は同厚さL1よ
り若干だけ大きく、高さH1は、幅W1及び厚さL1よ
り大きくなっている。なお、これらの寸法の大小関係
は、圧電/電歪デバイスの用途、使用目的等により適宜
決定される。
【0041】変形部12は、基部11と同一種のセラミ
ックスからなり、同基部11と一体的に形成されてい
る。この変形部12は、幅W1、厚さL2、高さH2の
略直方体形状を有する可撓性の薄板体(振動板)であっ
て、y軸方向に容易に変形し得るようになっている。即
ち、基部11と変形部12の厚さを肉厚と考えれば、薄
肉の変形部12は厚肉の基部11から高さ方向に同基部
11と同一の幅W1を有しながら延設されていて、基部
11の一面11aと同一の平面内に存在する平面12a
を構成している。この平面12aは、後述するように変
形することから、変形面12aとも称呼される。
【0042】反射部13は、基部11及び変形部12と
同一種のセラミックスからなり、同基部11及び同変形
部12と一体的に形成されている。この反射部13は、
幅W1、奥行きL3、高さH3の略直方体形状を有する
薄板体であって、高さH3は変形部12の厚さL2より
も大きく、これにより反射部13自体は変形しないよう
になっている。ただし、このような寸法関係にすること
が、反射部13の変形を防止する唯一の方法ということ
ではない。
【0043】この反射部13は、前記変形部12の平面
12aと直角に交差する(直交する)平面状の作用面1
3aを構成するように、同変形部12と同一の幅W1を
有しながらから同変形部12の端部(基部11側と反対
側の端部)から延設されている。また、前記作用面13
aの上には、アルミニウムの薄膜からなる光反射部材1
3bが配されていて、同作用面13aと並行な反射面が
形成され、これにより反射部13(光反射部材13b)
に入射する光が反射されるようになっている。なお、こ
の例では、反射部13の奥行きL3は、基部11の厚さ
L1と等しくされている。
【0044】圧電/電歪素子14は、変形部12の幅W
1と同一の幅W1、長さH4、及び厚さDの略直方体形
状(薄板形状)を有していて、より具体的には、図2に
示したように、圧電セラミックスからなる膜状の圧電/
電歪層14aと、同圧電/電歪層14aを挟むように形
成された白金からなる膜状の第1電極14b及び金から
なる第2電極14cとを備えている。第1電極14b
は、変形部12の平面12a上の殆どの部分、及び基部
11の上部(基部11の底面から同基部の高さH1より
も低い高さH5より上部)に密着するように形成させら
れていて、これにより、圧電/電歪素子14の全体が同
変形部12の殆どの部分、及び同基部11の上部と密着
している。また、第1,第2電極14b,14cには、
図示しない回路(駆動回路)から所定の電位差(駆動電
圧)が印加されるようになっていて、これにより圧電/
電歪層14aに対し厚さDの方向の電界が加えられるよ
うになっている。
【0045】次に、このように構成された圧電/電歪デ
バイス10の作用について説明すると、第1電極14b
及び第2電極14cに対して電圧が印加されていない場
合、圧電/電歪デバイス10は、図2に示した状態を維
持する。一方、図示しない駆動回路から第1電極14b
及び第2電極14cに電圧が印加され、これらの電極間
に所定の電位差が与えられると、圧電/電歪層14aに
は厚さD方向の電界が加わり、同圧電/電歪層14aは
電界と直交する方向に収縮する。
【0046】このとき、第1電極14bは変形部12の
大部分と密着されているから、圧電/電歪層14aの第
1電極14b側の収縮は妨げられ、第2電極14c側が
収縮する。これにより、図3に示したように、変形部1
2がその変形面12a(平面12a)と略垂直な方向に
円弧状に屈曲変位する。この結果、反射部13に形成さ
れた光反射部材13bの角度はθだけ変化する。本圧電
/電歪デバイス10は、この作用を利用して光反射部材
13bに入射する光の反射方向を変更し、もって光変調
機能を達成する。
【0047】以上説明した本発明の第1実施形態によれ
ば、反射部13(光反射部材13b)のなす反射面(反
射部13の作用面13a)が変形部12の変形面12a
と直角に交差しているから、変形部の高さH2を大きく
することにより、光反射部材13bの角度変化(即ち、
光の反射角度の変化)を大きくすることができる。従っ
て、圧電/電歪デバイス10は、光反射部材13bの角
度変化を大きくしても、反射部13(光反射部材13
b)を大きくする必要がないので、小型で所望の光変調
機能を達成することができ、例えば、画像表示用に用い
れば画素の高密度化を達成し得るデバイスとなってい
る。
【0048】また、上記圧電/電歪デバイス10におい
ては、反射部13は変形部12と同一の幅W1を有しな
がら同変形部12から屈曲(延設)されているので、同
反射部13の剛性を高くすることができ、同反射部13
自体に歪みが生じ難く、光反射部材13bはこの剛性を
有する反射部13の作用面13aに形成されるので、光
反射部材13bの反射面の平坦度を経時的に一定に維持
することが可能である。更に、前記したように、光反射
部材13b(反射面)の大きさを反射角度の大小にかか
わらず一定とすることができるので、その反射面の平坦
度を設計によらず安定したものとすることができる。
【0049】加えて、圧電/電歪デバイス10において
は、基部11と変形部12と反射部13とがセラミック
スの一体化物として形成されるているので、セラミック
スの特性により、前記変形部12を、薄く(厚みDを小
さく)、厚みD方向に変形し易く、且つ金属膜のように
変形の繰り返しによりその面内で延びてしまうことがな
いように形成することができる。また、基部11、変形
部12、及び反射部13の間に接着剤が介在しない構造
であるので、圧電/電歪デバイス10は、小型で、望ま
しい特性、及び優れた耐久性を備えた光変調機構を有す
るデバイスとなっている。
【0050】更に、圧電/電歪素子14の一部が厚肉の
基部11上に形成されていることから、前述した屈曲変
位が基部11と変形部12との接合部を支点として発現
され、同圧電/電歪素子14の歪みを効率良く屈曲変位
に変換できる。
【0051】なお、第1実施形態においては、反射部1
3の作用面13a(光反射部材13bのなす反射面)が
変形部12の変形面12aと直角に交差していたが、こ
れらの面が交差していればその交差角度は直角でなくて
もよい。また、第1実施形態においては、基部11、変
形部12、及び反射部13はセラミックスの一体化物と
して形成されていたが、これらは各部の機能を満足する
限り別体の部材から構成され、且つこれら別体の部材が
接着等により上記第1実施形態のように接合されてもよ
い。更に、セラミックスに代えて、金属、エンジニアリ
ングプラスチックで構成されてもよい。
【0052】(第2実施形態)図4は、本発明の第2実
施形態に係る圧電/電歪デバイス20の概略斜視図を示
している。この圧電/電歪デバイス20は、第1実施形
態に係る1組の機能素子である圧電/電歪デバイス10
を実質的に複数組有し、これら複数組の圧電/電歪デバ
イス10を、その変形面12a(圧電/電歪素子14の
平面)と光反射部材13bのなす反射面とがそれぞれ同
一面上に存在するように、直線状に隣接配置したもので
ある。この圧電/電歪デバイス20においては、第1実
施形態の基部11に相当する部分が、各圧電/電歪素子
14の下端部(反射部13が存在する側と反対側の端
部、即ちz軸負方向の端部)14dよりも下方部分にお
いて一体的に形成(連接)され、一つの基部21を形成
している。
【0053】即ち、各圧電/電歪素子14の下端部14
dの基部21の底面からの高さH5は同基部21の高さ
H1よりも低く、且つ、基部11に相当する部分が隣接
する基部11に相当する部分に連接している部分の高さ
H6は、前記下端部14dの高さH5よりも低い。な
お、下端部14dの高さH5が基部21の高さH1より
高い場合には、前記基部21の連接部分の高さH6は、
同基部21の高さH1以下でなければならない。このよ
うに、基部21を形成することで、複数の変形部12が
独立して変位可能となる。
【0054】この圧電/電歪デバイス20は、第1実施
形態の圧電/電歪デバイス10と同様に、各圧電/電歪
素子14の第1,第2電極14b,14c(図4におい
ては図示が省略されている。)に電位差が与えられる
と、同電位差が与えられた同圧電/電歪素子14に歪み
が生じ、変形部12がその変形面12aと略垂直な方向
に円弧状に屈曲変位し、この結果、反射部13に形成さ
れた光反射部材13bの角度はθだけ変化する。本圧電
/電歪デバイス20は、この作用を利用して、光反射部
材13bに入射する光の反射方向を変更し、もって光変
調機能を達成する。即ち、この第2実施形態によれば、
直線状に並べられ、且つ互いに独立に光の反射角度を変
化させ得る複数の反射面を備えた圧電/電歪デバイス2
0が提供される。
【0055】なお、第2実施形態においても、各反射部
13の作用面13a(光反射部材13bのなす反射面)
が各変形部12の変形面12aと直角に交差していた
が、これらの面が交差していれば、その交差角度は直角
でなくてもよい。また、第2実施形態においては、基部
21が、各変形部12、及び各反射部13に対して共通
化されていたが、第1実施形態の圧電/電歪デバイス1
0を単に一列に整列させ、これらを互いに所定の間隔を
もって接着等により接合して形成したものであってもよ
い。また、第2実施形態においても、基部21、変形部
12、反射部13がセラミックスの一体化物として形成
されていたが、これらは各部の機能を満足する限り別体
の部材からなり、これらの別体の部材が接着等により上
記第2実施形態のように接合されてもよい。
【0056】(第3実施形態)図5は、本発明の第3実
施形態に係る圧電/電歪デバイス30の概略斜視図を示
している。この圧電/電歪デバイス30は、第1実施形
態に係る1組の機能素子である圧電/電歪デバイス10
を実質的に複数組有し、これらの圧電/電歪デバイス1
0を同一の向きに、且つ各圧電/電歪デバイス10の光
反射部材13bのなす反射面がそれぞれ同一面上に存在
するように、マトリクス状に隣接配置したものである。
【0057】より具体的に述べると、圧電/電歪デバイ
ス30は、第2実施形態に係る一列(x軸方向)の圧電
/電歪デバイス20を複数個備え、これら複数の圧電/
電歪デバイス20を図5に示したように行方向に並べ、
基部21同士を接着材により接合したたものである。な
お、各基部21間にはスペーサSPが介在され、隣接す
る圧電/電歪デバイス20間の距離が一定に維持されて
いる。
【0058】この圧電/電歪デバイス30は、第1実施
形態の圧電/電歪デバイス10と同様に、各圧電/電歪
素子14の第1,第2電極14b,14c(図5におい
ては図示が省略されている。)に電位差が与えられる
と、同電位差が与えられた圧電/電歪素子14に歪みが
生じ、変形部12がその変形面12aと略垂直な方向に
円弧状に屈曲変位し、この結果、反射部13に形成され
た光反射部材13bの角度はθだけ変化する。なお、図
5は、一つの光反射部材13bの角度が変更された例を
示している。
【0059】本圧電/電歪デバイス30は、この作用を
利用して光反射部材13bに入射する光の反射方向を変
更し、もって光変調機能を達成する。即ち、この第3実
施形態によれば、マトリクス状に配置され、且つ互いに
独立に光の反射角度を変化させ得る複数の光反射部材1
3bを備えた圧電/電歪デバイス30が提供される。そ
して、このような光変調機能を有する本圧電/電歪デバ
イスを画像表示装置、露光装置、光スイッチ等に使用す
れば、小型で、かつ画像形成の再現精度の高い装置を実
現することができる。また、一般に、従来の露光装置
は、画像(パターン)形成にクロムマスク等のマスクを
必要とするが、本圧電/電歪デバイスを使用した露光装
置は、画像データ(電子情報)で直接的に画像を形成す
ることができるので、設計変更の都度新たにマスクを準
備する煩雑さがなく、設計変更のリードタイムを大幅に
削減できるという効果を奏する。
【0060】なお、第3実施形態においても、各反射部
13の作用面13a(光反射部材13bのなす反射面)
が各変形部12の変形面12aと直角に交差していた
が、これらの面が交差していれば、図6に示したよう
に、同作用面13a(反射面)と変形面12aの交差角
度は直角でなくてもよい。
【0061】また、第3実施形態においては、基部21
が、同一列内の各変形部12、及び各反射部13に対し
て共通化されていたが、第1実施形態の圧電/電歪デバ
イス10を単にマトリクス状に整列させ、これらを互い
に所定の間隔をもって接着等により接合して形成したも
のであってもよい。また、第3実施形態においても、各
列内の基部21、変形部12、反射部13がセラミック
スの一体化物として形成されていたが、これらは各部の
機能を満足する限り別体の部材からなり、これらの別体
の部材が接着等により上記第3実施形態のように接合さ
れてもよい。
【0062】(圧電/電歪デバイスの第1の製造方法)
次に、圧電/電歪デバイス30の第1の製造方法につい
て、図7〜図9を参照しながら説明する。先ず、図7
(A)に示したように、後に基部21と反射部13を構
成するための略長方形状で厚肉のセラミックグリーンシ
ート41を準備し、同セラミックグリーンシートの略中
央部に金型を用いた打ち抜き加工、レーザー加工等の方
法で長方形の貫通窓41aを形成する。次いで、セラミ
ックグリーンシート41と実質的に同じ長方形状を有
し、後に変形部12を構成するための薄肉(前記セラミ
ックグリーンシート41に比較して)のセラミックグリ
ーンシート42を準備する。
【0063】これらのセラミックグリーンシート41,
42は、例えば、先ずジルコニア等のセラミック粉末に
バインダ、溶剤、分散剤、可塑剤等を添加混合してスラ
リーを作成し、これを脱泡処理後、リバースロールコー
ター法、ドクターブレード法等の方法により作成され
る。また、図7においては、セラミックグリーンシート
41はセラミックグリーンシート42と比較して厚肉と
されているが、これらの厚みは、目的とする圧電/電歪
デバイスの設計に応じて適宜決定され、例えば両セラミ
ックグリーンシート41,42とも同一の厚みを有する
ものであってもよい。さらに、図7ではセラミックグリ
ーンシート41,42は、各一枚からなるセラミックグ
リーンシートとして説明しているが、これらはそれぞれ
複数からなるセラミックグリーンシートを積層・圧着し
たものであってもよい。なお、積層一体化のための圧着
回数や順序は限定されない。
【0064】上記圧着は、熱を加えることで、より積層
性を向上させることができる。また、セラミック粉末、
バインダを主体としたペースト、スラリー等をセラミッ
クグリーンシート上に塗布、印刷して接合補助層とする
ことで、セラミックグリーンシート界面の積層性を向上
させることができる。なお、上記セラミック粉末を含む
ペーストをセラミックグリーンシート上に塗布、印刷す
る場合、同セラミック粉末はセラミックグリーンシート
に使用されたセラミックスと同一又は類似した組成であ
ることが、信頼性確保の点で好ましい。また、セラミッ
クグリーンシート41,42が薄い場合、プラスチック
フィルム、中でも表面にシリコーン系の離形剤をコーテ
ィングしたりポリエチレンテレフタレートフィルムを用
いて取り扱うことが好ましい。
【0065】次いで、図7(B)に示したように、薄肉
のセラミックグリーンシート42を厚肉のセラミックグ
リーンシート41の上に貫通窓41aを覆うように積層
・圧着し、その後両セラミックグリーンシート41,4
2を1200℃〜1600℃程度で焼成して薄肉部と厚
肉部とを有するセラミックスの一体化物43を形成す
る。なお、前記焼成・一体化によりセラミックグリーン
シート41,42間の積層境界(界面)は消失するが、
図面では説明上そのまま境界を示している。
【0066】次に、図7(C)に示したように、セラミ
ックスの一体化物43の薄肉部の大部分を覆うように圧
電/電歪素子層44をスクリーン印刷により形成する。
より具体的には、後に第1電極14bを構成する電極層
をセラミックスの一体化物43上にスクリーン印刷によ
り形成して焼成し、その上に後に圧電/電歪層14aを
構成する層をスクリーン印刷により形成して焼成し、そ
の上に後に第2電極14cを構成する電極層をスクリー
ン印刷により形成して焼成する。スクリーン印刷法を用
いるのは、膜形成とパターン形成とを同時に行うことが
できるため、製造工程の簡素化に有利だからである。な
お、圧電/電歪素子層44を構成する層の焼成温度は5
00〜1500℃、特に、圧電/電歪層14aを構成す
る層の焼成温度は1000〜1400℃であることが好
ましい。このとき、厚肉部に、後に第1電極14bを構
成する層と、後に第2電極14cを構成する層とに対す
る端子T(配線パターン)も形成する。
【0067】なお、第1電極14bとして白金(P
t)、圧電/電歪層14aとしてジルコン酸チタン酸鉛
(PZT)、第2電極14cとして金(Au)というよ
うに、各部材の焼成温度が積層順に従って低くなるよう
に材料を選定することが有利である。これによれば、あ
る焼成段階において、それ以前に焼成された材料の再焼
結が発生せず、電極層等の剥離や凝集といった不具合の
発生を回避できるからである。
【0068】なお、圧電/電歪素子層44及び端子、配
線を形成する方法としては、スクリーン印刷のほか、デ
ィッピング法、塗布法、及び電気泳動法等の厚膜形成法
や、イオンビーム法、スパッタリング法、真空蒸着、イ
オンプレーティング法、化学気相成長法(CVD)、め
っき等の薄膜形成法を用いることができる。
【0069】このような膜形成法を用いて圧電/電歪素
子層44(即ち、圧電/電歪素子14)を形成すること
により、接着剤を用いることなく、圧電/電歪素子14
と変形部12とを一体的に接合することができるので、
デバイスとしての信頼性を確保できるとともに、集積化
を容易に達成することができる。
【0070】なお、圧電/電歪層14aを上記厚膜形成
法を用いて形成すれば、平均粒子径0.01〜5μm、
好ましくは0.05〜3μmの圧電セラミックスの粒
子、粉末を主成分とするペーストやスラリー、又はサス
ペンションやエマルジョン、ゾル等を用いて膜化するこ
とができ、それを焼成することによって良好な圧電/電
歪特性を有する圧電/電歪素子層44を得ることができ
る。また、電気泳動法は、膜を高い密度で、かつ、高い
形状精度で形成できるという利点がある。
【0071】更に、上記においては、電極層と圧電/電
歪層を印刷毎に逐次焼成していたが、これらの印刷を連
続的に行った後に一括して焼成しても良い。また、図面
上では外部の制御機器(駆動回路)との接続のための配
線、端子は省略されているが、実際には後述する態様の
配線が、スクリーン印刷によって形成される。
【0072】上記圧電/電歪素子層44については、前
述の膜形成方にて直接形成するほか、別体として圧電/
電歪素子層を形成し、これを導電性の接着剤等により前
記セラミックスの一体化物43の所定位置に接着するこ
とで形成してもよい。別体として圧電/電歪素子層を得
る方法としては、例えば、圧電/電歪層14aとなるグ
リーンシートを準備し、そのグリーンシート上に第1,
第2電極14b,14cとなる電極層をスクリーン印刷
等により形成し、これを所定の形状に加工した後に焼成
して得る方法がある。また、別体の圧電/電歪素子層
は、圧電/電歪層14aとなるグリーンシートを準備
し、それを所定の大きさに加工して焼成し、その焼成体
にスパッタリング等の手法により第1,第2電極14
b,14cとなる電極層を形成することで得ることもで
きる。なお、この場合には、圧電/電歪素子と駆動回路
との接続のために、セラミックスの一体化物43の所定
部位に配線を別途形成しておく必要がある。
【0073】次に、この一体化物43を、図7(D)に
示した破線に沿って切断する。即ち、薄肉部(つまり、
覆われた貫通窓41a)の端部から一定の肉厚を残すよ
うに厚肉部をダイシング、スライシング、ワイヤーソー
等で切断する。この切断により一定の肉厚が残された厚
肉部は後に反射部13を構成する部分である。なお、こ
の切断工程を、便宜上、第1切断工程と呼ぶ。
【0074】次に、図8(A)及び図9に示したよう
に、第1切断工程後のセラミックスの一体化物43を複
数用意し、これらをスペーサSPの存在下で接着剤によ
り接合する。ただし、接合部は後に基部21を構成する
端子T(配線)が形成された厚肉部同士で行う。スペー
サとしては、ガラスやプラスチックのビーズ、ロッド、
及びプレート、更には金属シムなどをあげることができ
る。また、接合にあたっては、スペーサSPを介した基
部21の隙間に接着剤を充填してもよく、接着剤とスペ
ーサSPとを混合したもので基部21同士を接合しても
よい。なお、上記した第1切断工程の切断を、図7
(C)に示した圧電/電歪素子44を形成した状態であ
って図7(D)に示した破線に沿って切断されていない
セラミックスの一体化物43を複数接合した後に、一括
して行うようにしても良い。
【0075】その後、前記接合部以外のセラミックスの
一体化物43間の隙間に、後に溶剤等で除去可能な樹
脂、ワックス等の充填材を充填する。この段階で、接合
されたセラミックスの一体化物43の上面を研磨する。
【0076】次いで、図8(B)に示したように、研磨
された上面の上に光反射部材45の膜をスパッタリング
により形成する。なお、形成方法は、スパッタリングに
代え、真空蒸着等の他の薄膜形成方法であってもよい。
このとき、マスクを用いて必要な部位のみに光反射部材
からなる膜45を形成してもよいし、マスクを用いずに
前面に同光反射部材からなる膜45を形成してもよい。
更に、膜45を形成することに代えて後述するような金
属等のバルク体を接着してもよい。
【0077】次に、この状態の一体化物の所定部位を、
図8(B)に示した破線に沿ってダイシング、スライシ
ング、ワイヤーソー等により切除(切断)する。即ち、
前記第1切断工程の切断加工により一定の肉厚が残され
た厚肉部、前記膜状に形成された光反射部材45、薄肉
部、圧電/電歪素子層44、及び後に基部を構成する部
分の上部を、前記切断加工により形成された切断面と交
差する平面に沿って一時に切断する。この切除工程を便
宜上、第2切断工程と呼ぶ。最後に、図8(C)に示し
たように、前記隙間に充填された樹脂、ワックスを溶剤
で除去する。以上により、圧電/電歪デバイス30が完
成する。
【0078】この第1の製造方法によれば、独立して反
射角度が変更可能な多数の反射部を有する圧電/電歪デ
バイスを簡単な工程で得ることができる。また、基部2
1をスペーサSPを介して接合しているので、セラミッ
クスの一体化物43間の距離を精密且つ簡易に管理しな
がら、圧電/電歪デバイス30を製造することができ
る。また、セラミックスの一体化物43間の隙間に充填
材が充填され、その状態で研磨加工及び第2切断工程が
実施されるので、同研磨加工及び同切断加工を安定して
行うことが可能となる。
【0079】なお、上記第1の製造方法の一部を省略す
ることにより、上記第1,第2実施形態の圧電/電歪デ
バイス10,20を製造することができる。即ち、圧電
/電歪デバイス10は、図7(A)で準備するセラミッ
クグリーンシート41,42を圧電/電歪デバイス10
の1組分の大きさとし、図7(D)に示した第1切断工
程の後、図8(B)と同様に光反射部材を形成し、図8
(C)の第2切断工程のように一定肉厚が残された厚肉
部、光反射部材、変形部等を切断することにより製造さ
れ得る。また、圧電/電歪デバイス20は、図8(A)
に示した接合工程を省略し、一列の状態のセラミックス
の一体化物43に図8(B)の光反射部材形成工程、及
び図8(C)の第2切断工程を施すことにより製造され
得る。
【0080】(圧電/電歪デバイスの第2の製造方法)
次に、圧電/電歪デバイス30の第2の製造方法につい
て、図10及び図11を参照しながら説明する。先ず、
図10(A)に示したように、後に基部21と反射部1
3を構成するための略長方形状で厚肉のセラミックグリ
ーンシート41を準備し、同セラミックグリーンシート
41の略中央部に長方形の貫通窓41aを形成する。次
いで、セラミックグリーンシート41と実質的に同じ長
方形状を有し、後に変形部12を構成するための薄肉の
セラミックグリーンシート42を準備する。セラミック
グリーンシート41,42の作成、それらの厚さ、及び
貫通窓41aの形成方法については、上記第1の製造方
法に記載した通りである。
【0081】次いで、図10(B)に示したように、薄
肉のセラミックグリーンシート42を厚肉のセラミック
グリーンシート41の上に貫通窓41aを覆うように積
層し、両セラミックグリーンシート41,42を焼成し
て薄肉部と厚肉部とを有するセラミックスの一体化物4
3を形成する。ここまでは、図7(A)、及び図7
(B)に示した工程と同一である。
【0082】次に、図10(C)に示したように、少な
くともセラミックスの一体化物43の薄肉部の上に長方
形状の圧電/電歪素子14・・14をスクリーン印刷に
より形成する。この各圧電/電歪素子14は、最終的に
得られる圧電/電歪素子14と同一の形状であって、隣
接する圧電/電歪素子14との間に一定の距離が存在す
るように形成される。具体的には、圧電/電歪素子14
は、後に第1電極14bを構成する層をセラミックスの
一体化物43上にスクリーン印刷により形成して焼成
し、その上に後に圧電/電歪層14aを構成する層をス
クリーン印刷により形成して焼成し、その上に後に第2
電極14cを構成する層をスクリーン印刷により形成し
て焼成することで形成される。また、厚肉部に、後に第
1電極14bを構成する層と、後に第2電極14cを構
成する層とに対する端子T(配線パターン)も前記電極
の形成時にスクリーン印刷により同時に形成する。
【0083】次に、この一体化物43を、図10(C)
に示した破線に沿って切断する。即ち、薄肉部(つま
り、覆われた貫通窓41a)の端部から一定の肉厚を残
すように厚肉部をダイシング、スライシング、ワイヤー
ソー等で切断する。この切断により残される厚肉部は後
に反射部13を構成する部分である。なお、この切断工
程を、便宜上、第1切断工程と呼ぶ。なお、この例にお
いては、一体化物43に圧電/電歪素子14を形成した
後に前記第1切断工程の切断を行っていたが、一体化物
43に圧電/電歪素子14を形成する前の段階で同一体
化物43を同第1切断工程の切断と同様に切断し、その
後同圧電/電歪素子14を形成するようにしても良い。
【0084】次に、図10(D)に破線で示した各圧電
/電歪素子14の間のセラミックスの薄肉部をレーザー
加工等により除去し、同各圧電/電歪素子14の長辺に
沿った貫通スリットSLを形成する。
【0085】次に、図11(A)及び図9に示したよう
に、スリットSLが形成されたセラミックスの一体化物
43を複数用意し、これらをスペーサSPの存在下で接
着剤により接合する。ただし、接合部は後に基部21を
構成する端子T(図9参照)が形成された厚肉部同士で
行う。その後、前記接合部以外のセラミックスの一体化
物43間の隙間に、後に溶剤等で除去可能な樹脂、ワッ
クス等の充填材を充填する。この段階で、接合されたセ
ラミックスの一体化物43の上面を研磨する。
【0086】次いで、図11(B)に示したように、研
磨された上面の上に光反射部材の膜45をスパッタリン
グにより形成する。なお、形成方法は、真空蒸着等の他
の薄膜形成方法であってもよい。このとき、マスクを用
いて必要な部位のみに光反射部材からなる膜45を形成
してもよいし、マスクを用いずに前面に同光反射部材か
らなる膜45を形成してもよい。更に、膜45を形成す
ることに代えて後述するような金属等のバルク体を接着
してもよい。
【0087】次に、図11(B)に示した破線に沿っ
て、光反射部材からなる膜45と前記第1切断工程の切
断加工により一定の肉厚が残された厚肉部とをレーザー
等で細く除去する(切れ込みを入れる)。この切れ込み
は、前記形成されたスリットSLのなす直線と同一直線
上に(スリットSLを含む面に沿って)形成され、従っ
て、この切れ込みが前記スリットSLに繋がって、前記
変形部12が形成される。このレーザーによる切除工程
を便宜上、第2切断工程と呼ぶ。最後に、図11(C)
に示したように、前記隙間に充填された樹脂、ワックス
等の充填材を溶剤で除去する。以上により、圧電/電歪
デバイス30が完成する。
【0088】なお、この製造方法により製造される圧電
/電歪デバイスは、図4に示した圧電/電歪デバイス2
0を複数個並べたものであるが、図4に示した高さH6
は基部21の高さH1と略等しくなる。
【0089】この第2の製造方法によれば、第1の製造
方法と同様な利点が得られるほか、圧電/電歪素子14
間の薄肉部が予めスリット状に除去されているので、第
2切断工程において、前記第1切断工程の切断加工によ
り一定の肉厚が残された厚肉部及び前記光反射部材45
を、前記スリットSLに沿った面で切除(切断)するだ
けでよく、この結果、同第2切断加工の際に製造物に加
わる負荷(応力)を低減することができる。また、スリ
ットSLの形成、及び第2切断工程の切断をレーザー加
工により行っているので、切断時に製造物に加わる負荷
を一層低減することができ、製造時におけるデバイスの
破損を防止できるという利点が得られる。
【0090】加えて、本製造方法では、一般に脆い材料
である圧電/電歪材料(圧電/電歪層)に機械加工を施
さないので、セラミック粒子の脱粒等の不具合が発生し
ない。更に、レーザー加工によれば、加工幅を小さくす
ることができるので、光反射部材13bが存在しない部
分の割合が小さくなる。従って、かかる製造方法により
製造された複数の反射部を有する圧電/電歪デバイス
は、画像表示装置等に応用した場合において光源の光の
利用率が大きいものとなる。
【0091】なお、以上に説明した第1,第2の製造方
法では、圧電/電歪素子層44はセラミックスの一体化
物(焼成体)に対して形成されるが、グリーンシートの
積層体(セラミックグリーンシート41,42を積層・
圧着したもの)に形成し、それらを同時に焼成して形成
することもできる。また、圧電/電歪素子14の構造
を、第1電極14b、圧電/電歪層14a、及び第2電
極14cを1組として積層し、この積層方向に同様な組
を複数組積層させた構造としてもよい。なお、この場
合、任意の第2電極14cは、これに積層された圧電/
電歪層14aの第1電極14bを構成することになる。
【0092】(第4実施形態)次に、本発明による第4
実施形態に係る圧電/電歪デバイス50について説明す
ると、図12に斜視図を、図13に正面図を示した同圧
電/電歪デバイス50は、保持部51を備えている点の
みにおいて、第1実施形態の圧電/電歪デバイス10と
構成上相違する。従って、図12において圧電/電歪デ
バイス10と同一構成部分には同一符号を付し、以下に
おいては、上記相違点である保持部51を中心に説明を
加える。
【0093】保持部51は、基部11と同一種のセラミ
ックスからなり、同基部11からz軸方向に延設されて
いて、同基部11と一体的に形成されている。この保持
部51は、変形部12と同一の幅W1、変形部12の厚
さL2より大きい厚さL4、及び変形部12と同一の高
さH2の略直方体形状を有する剛性の高い薄板体であっ
て、反射部13の変形部12により支持されている辺と
対向する(反対側の)辺と連接され、同反射部13を保
持(支持)している。
【0094】次に、このように構成された圧電/電歪デ
バイス50の作用について説明すると、第1電極14b
及び第2電極14c(図12において図示省略)に対し
て電圧が印加されていない場合、圧電/電歪デバイス5
0は、図12に示した状態を維持する。一方、図示しな
い駆動回路から第1電極14b及び第2電極14cに電
圧が印加され、これらの電極間に所定の電位差が与えら
れると、圧電/電歪層14a(図12において図示省
略)には厚さD方向の電界が加わり、同圧電/電歪層1
4aは電界と直交する方向に収縮する。
【0095】このとき、第1電極14bは変形部12の
大部分と密着されているから、圧電/電歪層14aの第
1電極14b側の収縮は妨げられ、第2電極14c側が
収縮する。これにより、図14に示したように、変形部
12がその変形面12aと略垂直な方向に円弧状に屈曲
変位する。一方、保持部51は剛性が十分に高く、変形
部12の変形が生じた場合でも変形しない。この結果、
反射部13に形成された光反射部材13bは、保持部5
1と反射部13との接続部Pを中心に角度θだけ傾斜す
る。本圧電/電歪デバイス50は、この作用を利用し
て、光反射部材13bに入射する光の反射方向を変更
し、もって光変調機能を達成する。
【0096】この第4実施形態に係る圧電/電歪デバイ
ス50は、第1実施形態に係る圧電/電歪デバイス10
の有する効果に加え、光反射部材13bの反射面が接続
部Pを中心に回転して傾斜するので、同光反射部材13
bの位置が大きく移動しないという利点を有している。
このため、光反射部材13bで反射すべき光の軸が同光
反射部材13bから外れてしまうという惧れがない。
【0097】なお、この圧電/電歪デバイス50は、圧
電/電歪デバイス10が図4,図5に示した態様で使用
されるのと同様に、複数の圧電/電歪デバイス50が直
線状(図15を参照)に、又はマトリクス状(図16を
参照)に隣接配置され、基部11が共通化された態様に
て使用され得る。特に、マトリクス状に配置された場
合、圧電/電歪デバイス10では反射角度を大きくする
と、隣接する圧電/電歪デバイス10と干渉する惧れが
あるところ、圧電/電歪デバイス50は、光反射部材1
3bの反射面(即ち、反射部13の作用面13a)が接
続部Pを中心に回転して傾斜するので、そのような干渉
の惧れがないという利点も備えている。なお、図16に
示した圧電/電歪デバイス100においては、変形部の
幅よりも圧電/電歪素子の幅の方が小さくされている。
【0098】(第5実施形態)図17に正面図を示した
本発明による第5実施形態に係る圧電/電歪デバイス6
0は、第4実施形態に係る1組の圧電/電歪デバイス5
0を2組備え、これらの圧電/電歪デバイス50をその
保持部51が互いに対向するように隣接配置したもので
ある。図17は、両圧電/電歪デバイス50の各第1,
第2電極14b,14cに同一の電位差を与えた状態を
示していて、この図からも明らかなように、反射部13
(光反射部材13b)は互いに逆向きに角度θだけ傾斜
する。
【0099】(第6実施形態)図18に斜視図を示した
本発明による第6実施形態に係る圧電/電歪デバイス7
0は、第5実施形態の圧電/電歪デバイス60をマトリ
クス状に配列するとともに、例えば図5に示した第3実
施形態と同様に、基部11を各列において共通化したも
のである。このような、第5,第6実施形態に係る圧電
/電歪デバイスでは、隣接した(第6実施形態ではマト
リクスの行方向(y軸方向)に隣接した)二組の機能素
子の光反射部材13bに同一光を入射することで、同入
射光の反射角度を±θの範囲で変更することができる。
但し、入射光を二組の機能素子で分けることになるた
め、各反射光の強度は入射光の強度の1/2となる。
【0100】(第7実施形態)図19に正面図を示した
本発明による第7実施形態に係る圧電/電歪デバイス8
0は、基部11の対向する面から同基部11を挟むよう
に延設された、互いに対向する同一形状からなる(圧電
/電歪デバイス10の変形部12と同一形状である)一
対の変形部12R,12L、及び同一対の変形部12
R,12Lにそれぞれ密着された一対の圧電/電歪素子
14R,14Lを備え、同一対の変形部12R,12L
により反射部13の両端を支持する構造を有する点にお
いてのみ、第1実施形態の圧電/電歪デバイス10と構
成上相違する。なお、図18において圧電/電歪デバイ
ス10と同一構成部分には同一符号を付している。
【0101】この圧電/電歪デバイス80の作用につい
て図19及び図20を参照しながら説明すると、何れの
第1電極14b及び第2電極14cに対しても電圧が印
加されていない場合、圧電/電歪デバイス80は、図1
9に示した状態を維持する。一方、図20(A)に示し
たように、右側の圧電/電歪素子14Rの第1電極14
b及び第2電極14cに対し、図示しない駆動回路から
所定の電位差が与えられると、右側の圧電/電歪素子1
4Rの作動により右側の変形部12Rが円弧状(弓状)
に屈曲変位する。このとき、左側の変形部12Lは僅か
に変形するのみである。この結果、反射部13に形成さ
れた光反射部材13bは、左側の変形部12Lと反射部
13との接続部PL近傍を中心に角度θだけ傾斜する。
【0102】他方、図20(B)に示したように、左側
の圧電/電歪素子14Lの第1電極14b及び第2電極
14cに対し、図示しない駆動回路から所定の電位差が
与えられると、左側の圧電/電歪素子14Lの作動によ
り左側の変形部12Lが円弧状(弓状)に屈曲変位す
る。このとき、右側の変形部12Rは僅かに変形するの
みである。この結果、反射部13に形成された光反射部
材13bは、右側の変形部12Rと反射部13との接続
部PR近傍を中心に角度θだけ傾斜する。
【0103】このように、第7実施形態に係る圧電/電
歪デバイス80は、実質的に光反射部材13bの位置を
移動させることなく、その角度のみを水平角度から±θ
だけ傾斜させることができるので、より広いニーズに対
応可能なデバイスとなっている。
【0104】(第8実施形態)図21に正面図を示した
本発明による第8実施形態に係る圧電/電歪デバイス9
0は、第7実施形態に係る1組の圧電/電歪デバイス8
0を2組備え、一方(図21において右側)の圧電/電
歪デバイス80の左側の圧電/電歪素子14Lと、他方
(図21において左側)の圧電/電歪デバイス80の右
側の圧電/電歪素子14Rとが互いに対向するように隣
接配置したものである。なお、図21は、右側の圧電/
電歪デバイス80の右側の圧電/電歪素子14Rを作動
させて右側の変形部12Rを変位させるとともに、左側
の圧電/電歪デバイス80の左側の圧電/電歪素子14
Lを作動させて左側の変形部12Lを変位させた状態を
示している。
【0105】(第9実施形態)図22に斜視図を示した
本発明による第9実施形態に係る圧電/電歪デバイス1
10は、第8実施形態の圧電/電歪デバイス90をマト
リクス状に配列するとともに、基部11を列方向にて共
通化したものである。この例では、基部11が共通化さ
れた列状の圧電/電歪デバイスを行方向に配置し、これ
らを図示しない基板等に接着等により固定している。
【0106】前述の第5,第6実施形態においては、二
つの機能素子(二つの反射部材)を用いて入射光を±θ
で反射させていたので、反射光の強度が入射光の強度の
1/2となっていた。これに対し、上記第8実施形態と
第9実施形態に係る圧電/電歪デバイスは、1組の機能
素子(一つの反射部材)で±θの反射角を与えるので、
反射光の強度が入射光の強度の1/2となることはな
く、効率良く光変調を行うことができる。
【0107】なお、第4実施形態に代表される保持部5
1、又は第7実施形態に代表される変形部と対向する変
形部(一対の変形部)を有する圧電/電歪デバイスは、
先に記載の第1,第2の製造方法において、後に基部及
び反射部となるセラミックグリーンシート41と後に変
形部となるセラミックグリーンシート42とを積層する
際に、保持部又は対向する変形部となるグリーンシート
を、セラミックグリーンシート41を挟んで、セラミッ
クグリーンシート42と対向して積層しておき、他は第
1,第2の製造方法と実質的に同様な工程を実施するこ
とで製造され得る。
【0108】(第10実施形態)図23に斜視図を示し
た本発明による第10実施形態に係る圧電/電歪デバイ
ス120は、第1実施形態に係る圧電/電歪デバイス1
0の圧電/電歪素子14を、櫛歯電極が配設された圧電
/電歪素子15に置換した点のみにおいて、同第1実施
形態と相違している。従って、図23において圧電/電
歪デバイス10と同一構成部分には同一符号を付し、以
下においては、上記相違点である圧電/電歪素子15を
中心に説明を加える。
【0109】圧電/電歪素子15は、一対の櫛歯状電極
15a,15bが対向してなる電極間の空隙に、圧電/
電歪層15cが埋め込まれる態様とされていて、これが
変形部12と基部11の両部に密着されている。一対の
櫛歯状電極15a,15bからは、下方(z軸負方向)
に延びる電圧印加用の端子15d,15eがそれぞれ基
部11上に形成されている。櫛歯状電極15a,15
b、及び電圧印加用の端子15d,15eは、例えば白
金から形成されている。
【0110】次に、このように構成された圧電/電歪デ
バイス120の作用について説明すると、櫛歯状電極1
5a,15bに対して電圧が印加されていない場合、圧
電/電歪デバイス120は、図23に示した状態を維持
する。一方、櫛歯状電極15a,15bに対して図示し
ない駆動回路から所定の電位差が与えられると、圧電/
電歪層15cには、対向する電極歯15a1,15b1
によるz軸方向の電界が加わる。このため、圧電/電歪
層15cはz軸方向に伸張するが、同圧電/電歪層15
cの変形部12側は同変形部12と密着しているので、
その伸張が妨げられる。この結果、変形部12はy軸負
方向側に屈曲変位し、反射部13に形成された光反射部
材13bの角度が変化する。本圧電/電歪デバイス12
0は、この作用を利用して、光反射部材13bに入射す
る光の反射方向を変更し、もって光変調機能を達成す
る。
【0111】この圧電/電歪デバイス120は、圧電/
電歪デバイス10が図4,図5に示した態様で使用され
るのと同様に、直線状に、又はマトリクス状に隣接配置
され、基部11が共通化された形態にて使用され得る。
また、図24に示したように、圧電/電歪デバイス10
と併用することもできる。この構成により、先の第5,
第6実施形態と同様な効果が得られる。
【0112】なお、圧電/電歪デバイス120のように
一対の櫛歯状電極の間に圧電/電歪材料を埋め込むこと
に代え、変形部12上に圧電/電歪層を直接形成し、同
形成された圧電/電歪層の面上に一対の櫛歯状電極を形
成したものとしてもよい。また、変形部12上に一対の
櫛歯状電極を形成し、その上に圧電/電歪層を形成して
もよい。
【0113】(各実施形態における各部の材料例及び寸
法例)次に、上記各実施形態の基部、光反射部材、圧電
/電歪素子、電極の材料及び寸法例について説明する。
以下に述べるように、従来のDMD及びAMAでは、各
部品を構成する材料が半導体プロセスに適した材料に制
限されるのに対し、上記各実施形態の圧電/電歪デバイ
スは、機能的な観点から基部、変形部、及び反射部等の
各部毎に材料を最適化することが可能であるという特徴
を有している。
【0114】基部11,21、及び反射部13を構成す
る材料としては、剛性を有する限り特に限定されず、例
えばセラミックス、又は、金属材料を用いることができ
る。セラミックスの具体例としては、安定化ジルコニア
及び部分安定化ジルコニアをはじめとするジルコニア、
アルミナ、マグネシア、窒化珪素、窒化アルミニウム、
酸化チタンを主成分とする材料等を挙げることができ
る。このうち、機械的強度や靱性が高い点において、ジ
ルコニア、特に安定化ジルコニアを主成分とする材料と
部分安定化ジルコニアを主成分とする材料が最も好適で
ある。金属材料の具体例としては、ステンレス鋼、及び
ニッケル鋼等が挙げられる。なお、反射部13を金属に
より形成した場合、反射部13自体を反射部材としても
よい。これは、金属よりなる反射部13に、同一金属か
らなる反射部材を配したものと言える。
【0115】基部11,21の厚さL1、及び反射部1
3の奥行きL3は、それぞれ30〜2000μmとする
ことが好ましく、これらの幅W1は30〜2000μm
が好ましい。また、反射部13の高さ(厚さ)H3は、
同反射部13がそれ自体で作用面13a(従って、光反
射部材13bの反射面)の平坦性を維持し得る剛性を有
するための高さとされるが、具体的には30〜500μ
mが好ましい。なお、基部11の厚さL1と反射部13
の奥行きL3は、必ずしも同じである必要はなく、基部
11の厚さL1を反射部13の奥行きL3より大きくし
てもよい。
【0116】変形部12は、上述したように、圧電/電
歪素子14の作動によって屈曲変位する部分である。従
って、変形部12の材質は、可撓性を有し、屈曲変位時
に破損しない程度の機械的強度を有するものであれば足
り、反射部13の応答性、操作性を考慮して適宜選択す
ることができる。
【0117】変形部12を構成する材料としては、基部
11と同様のセラミックスを用いることができ、ジルコ
ニア、中でも安定化ジルコニアを主成分とする材料と部
分安定化ジルコニアを主成分とする材料は、薄肉であっ
ても機械的強度が大きいこと、靱性が高いこと、圧電/
電歪層や電極材との反応性が小さいことから好適であ
る。また、変形部12と前記基部11とを同一の材料で
構成することが好ましく、この場合、接合部分の信頼性
の向上、圧電/電歪デバイス10の強度の増加、製造の
煩雑さの低減を図ることができる。
【0118】また、変形部12を金属材料で構成するこ
ともできる。この場合、鉄系材料としては、各種ステン
レス鋼、各種バネ鋼鋼材が望ましく、非鉄系材料として
は、ベリリウム銅、リン青銅、ニッケル、ニッケル鉄合
金が望ましい。
【0119】なお、上述した基部11、変形部12等に
好適な安定化ジルコニア及び部分安定化ジルコニアにお
いては、次のような化合物を添加することにより安定化
及び部分安定化されたものが好ましい。即ち、ジルコニ
アを安定化及び部分安定化させる化合物としては、酸化
イットリウム、酸化イッテルビウム、酸化セリウム、酸
化カルシウム、及び酸化マグネシウムがあり、少なくと
もそのうちの一つの化合物を添加、含有させることによ
り、ジルコニアを部分的に又は完全に安定化させる。こ
の場合、1種類の上記化合物を添加してもよく、複数種
類の化合物を組合せて添加してもよい。
【0120】なお、上記化合物の添加量としては、酸化
イットリウムや酸化イッテルビウムの場合にあっては、
1〜30モル%、好ましくは1.5〜10モル%、酸化
セリウムの場合にあっては、6〜50モル%、酸化カル
シウムや酸化マグネシウムの場合にあっては、5〜40
モル%、好ましくは5〜20モル%とすることが望まし
い。これらのうち、特に、酸化イットリウムを安定化剤
として用いることが好ましく、その場合においては、
1.5〜10モル%、更に好ましくは2〜4モル%とす
ることが望ましい。また、焼結助剤等の添加物としてア
ルミナ、シリカ、遷移金属酸化物等を0.05〜20w
t%の範囲で添加することが可能である。特に、圧電/
電歪素子14(圧電/電歪層14a)の形成手法とし
て、膜形成法による焼成一体化を採用する場合は、アル
ミナ、マグネシア、遷移金属酸化物等を添加物として添
加することも好ましい。
【0121】また、機械的強度と安定した結晶相が得ら
れるように、ジルコニアの平均結晶粒子径を0.05〜
3μm、好ましくは0.05〜1μmとすることが望ま
しい。
【0122】圧電/電歪素子14(圧電/電歪層14
a)には、圧電セラミックスが好適に用いられ得るが、
電歪セラミックスや強誘電体セラミックス、又は反強誘
電体セラミックスを用いることもできる。但し、上記各
実施形態の圧電/電歪デバイスは、この圧電/電歪素子
14の作動により反射部13の作用面13a(従って、
光反射部材13bの反射面)の光反射角度を高精度に変
更する画像表示装置、画像描画装置、露光装置、及び光
スイッチ等に利用されるものであることから、変形部1
2の変位量と駆動電圧との間のリニアリティを良好に維
持する必要があり、そのためには、歪み履歴の小さい材
料(例えば、抗電界が10kV/mm以下の材料)を用
いることが望ましい。
【0123】より具体的に述べると、ここでの圧電/電
歪素子の材料には、ジルコン酸鉛、チタン酸鉛、亜鉛ニ
オブ酸鉛、マンガンニオブ酸鉛、アンチモンスズ酸鉛、
マンガンタングステン酸鉛、コバルトニオブ酸鉛、チタ
ン酸バリウム、チタン酸ナトリウムビスマス、ニオブ酸
カリウムナトリウム、タンタル酸ストロンチウムビスマ
ス等を単独で、又は混合物として含有するセラミックス
が使用され得る。また、電歪素子の材料には、マグネシ
ウムニオブ酸鉛、ニッケルニオブ酸鉛を単独で、又は混
合物として含有するセラミックスが使用され得る。
【0124】これらの中でも、特に、高い電気機械結合
係数と圧電定数とを有し、圧電/電歪層14aの焼結時
における変形部12及び基部11との反応性が小さく、
安定した組成の素子が得られるという点において、ジル
コン酸鉛、チタン酸鉛、及びマグネシウムニオブ酸鉛を
主成分とする材料、若しくはチタン酸ナトリウムビスマ
スを主成分とする材料が好適に用いられる。
【0125】更に、前記材料に、ランタン、カルシウ
ム、ストロンチウム、モリブデン、タングステン、バリ
ウム、ニオブ、亜鉛、ニッケル、マンガン、セリウム、
カドミウム、クロム、コバルト、アンチモン、鉄、イッ
トリウム、タンタル、リチウム、ビスマス、スズ等の酸
化物等を単独で、又は組合せて混合したセラミックス
を、圧電/電歪素子14の材料として用いてもよい。
【0126】例えば、主成分であるジルコン酸鉛、チタ
ン酸鉛、及びマグネシウムニオブ酸鉛に、ランタンやス
トロンチウムを含有させることにより、抗電界や圧電特
性を調整可能となる等の利点が得られる場合がある。
【0127】なお、シリカ等のガラス化し易い材料の添
加は避けることが望ましい。なぜならば、シリカ等の材
料は、圧電/電歪層の熱処理時に、圧電/電歪材料と反
応し易く、その組成を変動させ、圧電特性を劣化させる
からである。
【0128】上記第1,第2電極14b,14c、櫛歯
状電極15a,15b、及び後述する配線や端子の材料
としては、室温で固体であり、導電性に優れた金属で構
成されていることが好ましく、例えばアルミニウム、チ
タン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ニ
オブ、モリブデン、ルテニウム、パラジウム、ロジウ
ム、銀、スズ、タンタル、タングステン、イリジウム、
白金、金、鉛等の金属単体、又はこれらの合金が用いら
れる。また、これらの金属に圧電/電歪素子14又は変
形部12と同じ材料を分散させたサーメット材料を用い
てもよい。
【0129】上記第1,第2電極14b,14c、櫛歯
状電極15e,15f、及び後述する配線や端子の材料
は、また、圧電/電歪素子14の形成方法に依存して決
定される。例えば、変形部12上に第1電極14bを形
成した後、同第1電極14bの上に圧電/電歪層14a
を焼結により成形する場合は、同第1電極14bには圧
電/電歪層14aの焼成温度においても変化しない白
金、パラジウム、白金−パラジウム合金、銀−パラジウ
ム合金等の高融点金属を使用する必要がある。これに対
し、形成された圧電/電歪層14aの上に形成される第
2電極14cは、低温で電極形成を行うことができるた
め、アルミニウム、金、銀等の低融点金属を使用するこ
とができる。
【0130】また、第1,第2電極14b,14cの厚
みは、少なからず圧電/電歪素子14の作動による変形
部12の変位を低下させる要因となるため、特に圧電/
電歪層14aの焼成後に形成される電極には、焼成後に
緻密でより薄い膜が得られる有機金属ペースト、例え
ば、金レジネートペースト、白金レジネートペースト、
銀レジネートペースト等の材料を用いることが好まし
い。
【0131】上記変形部12の厚みL2は、4〜100
μm程度とすることが好ましく、変形部12と圧電/電
歪素子14とを合わせた厚み(L2+D)は7〜400
μmとすることが好ましい。第1,第2電極14b,1
4cの厚みは0.05〜50μmが好ましく、特に、
0.1〜5μmとすることが好ましい。圧電/電歪層1
4aの厚みは3〜200μmとすることが好ましい。ま
た変形部12の幅W1は、30〜2000μmが好まし
い。
【0132】光反射部材13bの材料としては、光の反
射効率が高い限り特に限定されず、例えば、金属単体、
合金、ガラス、セラミックス、ゴム、有機樹脂等が使用
され得る。これらの材料は、単独で、又は混合されて使
用されてもよい。上記金属単体及び合金を構成する金属
成分は、例えばアルミニウム、チタン、クロム、鉄、コ
バルト、ニッケル、銅、すず、タンタル、タングステ
ン、イリジウム、白金、金、銀、鉛等であってよい。
【0133】この光反射部材13bは、上記材料からな
るバルク体を作用面13a上に接着すること、上記材料
からなる薄膜を同作用面上13aに形成すること、又は
上記各材料からなる薄膜を作用面13a上に積層するこ
と等により、同作用面13aの上面に配され得る。な
お、光反射面の傾斜角度及び平坦度を均一に形成できる
という点において、上記単層の薄膜又は上記積層された
薄膜の方が、上記バルク体よりも好ましい。
【0134】(電極配線(端子T)構成例)次に、上記
各実施形態における第1,第2電極14b,14cへの
配線例(端子Tの構成例)について、図25〜図30を
参照しながら説明する。なお、図25〜図29は、上記
第2実施形態の圧電/電歪デバイス20に対しての電極
配線例を図示するが、これらの配線例は他の実施形態に
おいても同様に適用され得る。
【0135】図25に示した圧電/電歪デバイス20に
おいては、基部21に密着されている第1電極14bが
圧電/電歪層14aの下端部14dより下方(z軸負方
向)まで延設されていて、同延設された部分の上面に導
電性金属からなる長方形薄板状の電極パッド14b1が
形成されている。また、第2電極14cの下端部近傍に
導電性金属からなる長方形薄板状の電極パッド14c1
が形成されている。そして、これらの各電極パッド14
b1,14c1に対して図示しない金属ワイヤ(例え
ば、金線)がボンディングされ、同ワイヤが図示しない
駆動回路に接続されている。この構成によれば、各圧電
/電歪素子14の密着した変形部12が独立して変位
し、その結果、反射部13の作用面13a(従って、光
反射部材13bの反射面)の角度が独立して変更され得
る。駆動回路への接続は、フレキシブルプリント基板
(FPC)、フレキシブルフラットケーブル(FFC)
等で行ってもよい。
【0136】図26に示した圧電/電歪デバイス20
は、各第1電極14bに接続された複数の第1配線部
(第1端子T)14b2・・14b2と、図26におい
て最も左に位置する圧電/電歪素子14の第2電極14
cに接続された第2配線部14c2と、隣接する圧電/
電歪素子14の各第2電極14c同士を接続する第3配
線部14c3とを備えている。
【0137】第1配線部14b2・・14b2は、各第
1電極14bの略中央下端部から各圧電/電歪層14a
と基部21との間を貫通して下方(z軸負方向)に延
び、その後直角に屈曲してx軸正方向に延びるように基
部21上に形成されている。この第1配線部14b2・
・14b2は、図示しない駆動回路に対して独立に接続
されている。
【0138】第2配線部14c2は、図26において最
も左に位置する圧電/電歪素子14の左下端部の下方ま
でx軸負方向に延び、同左下端部下方において直角に屈
曲して上方(z軸正方向)に延び、その後、圧電/電歪
層14aの下端面に沿ってy軸正方向に延びて第2電極
14cに接続されるように形成されている。第2配線部
14c2は、前記駆動回路に接続されている。
【0139】第3配線部14c3は、各圧電/電歪素子
14の第2電極14cの右下端部から圧電/電歪層14
aの下端面に沿ってy軸負方向に延びて基部21に至
り、その後、下方(z軸負方向)に向い、直角に屈曲し
て隣接する各圧電/電歪素子14の左下端部下方までx
軸負方向に延び、そこから再度直角に屈曲して同隣接す
る圧電/電歪素子14の左下端部に至り、そこから圧電
/電歪層14aの左下端面に沿ってy軸正方向に延びて
第2電極14cに接続されるように形成されている。
【0140】この配線例においては、第2電極14cが
第2配線部14c2と第3配線部14c3とにより同電
位に維持され、前記駆動回路によって各第1配線部14
b2・・14b2を介して各第1電極14b・・14b
に独立した電位が加えられることにより、各圧電/電歪
素子14が密着した変形部12が独立して変位され、そ
の結果、反射部13の作用面13a(従って、光反射部
材13bの反射面)の角度が独立して変更され得る。
【0141】図27に示した圧電/電歪デバイス20
は、各第1電極14bと図示しない駆動回路とを独立に
接続する複数の第1配線部14b3,14b3、14b
4,14b4と、圧電/電歪素子14の各第2電極14
c同士を駆動回路に共通に接続する第2配線部14c4
とを備えている。
【0142】第1配線部14b3,14b3は、前記駆
動回路と接続されるとともに基部21上をx軸負方向に
伸び、各圧電/電歪素子14の右下端部下方に至ると上
方(z軸正方向)に屈曲して同各圧電/電歪素子14の
右下端部に至り、各圧電/電歪層14aと基部21との
間を貫通して第1電極14bの各々に接続されるように
形成されている。なお、z軸方向に伸びる部分には、第
2配線部14c4との絶縁を維持するための絶縁部Rが
設けられている。
【0143】同様に、第1配線部14b4,14b4
は、前記駆動回路と接続されるとともに基部21上をx
軸正方向に伸び、各圧電/電歪素子14の右下端部下方
に至ると上方(z軸正方向)に屈曲して同各圧電/電歪
素子14の右下端部に至り、各圧電/電歪層14aと基
部21との間を貫通して第1電極14bの各々に接続さ
れるように形成されている。なお、z軸方向に伸びる部
分には、第2配線部14c4との絶縁を維持するための
絶縁部Rが設けられている。
【0144】第2配線部14c4は、基部21上をx軸
方向に伸びる水平部Hを含むとともに、同水平部Hの各
圧電/電歪素子14の左下端部下方から上方(z軸正方
向)に延びて同左下端部に至り、その後、圧電/電歪層
14aの下端面に沿ってy軸正方向に延びて第2電極1
4cに接続される垂直部Vとを備えている。
【0145】この配線例においては、第2電極14cが
第2配線部14c4により同電位に維持され、前記駆動
回路によって各第1配線部14b3,14b3、14b
4,14b4を介して各第1電極14b・・14bに独
立した電位が加えられることにより、各圧電/電歪素子
14が密着した変形部12が独立して変位され、その結
果、反射部13の作用面13a(従って、光反射部材1
3bの反射面)の角度が独立して変更され得る。
【0146】図28に示した圧電/電歪デバイス20
は、図28において最も左に位置する圧電/電歪素子1
4の第1電極14bに接続された第1配線部14b5
と、隣接する圧電/電歪素子14の各第1電極14b同
士を接続する第2配線部14b6と、各第2電極14c
と図示しない駆動回路とを独立に接続する複数の第3配
線部14c5とを備えている。
【0147】第1配線部14b5は、図28において最
も左に位置する圧電/電歪素子14の左下端部の下方ま
で基部21上をx軸負方向に延び、同左下端部において
屈曲して上方(z軸正方向)に延び、その後、圧電/電
歪層14aの第1電極14bに接続されるように形成さ
れている。
【0148】第2配線部14b6は、各圧電/電歪素子
14の第1電極14bの右下端部から基部21に沿って
下方(z軸負方向)に延び、直角に屈曲して隣接する各
圧電/電歪素子14の左下端部下方までx軸負方向に延
び、そこから再度直角に屈曲して同隣接する圧電/電歪
素子14の左下端部に至り、更に上方(z軸正方向)に
延びて同隣接する圧電/電歪素子14の第1電極14b
に接続されるように形成されている。
【0149】第3配線部14c5の各々は、各第2電極
14cの略中央下端部から圧電/電歪層14aに沿って
z軸負方向、その後y軸負方向に延びて基部21に至
り、その後、下方(z軸負方向)に向い、直角に屈曲し
てx軸正方向に延びて前記駆動回路に接続されるように
形成されている。
【0150】この配線例においては、第1電極14bが
第1配線部14b5,14b6により同電位に維持さ
れ、前記駆動回路によって各第2配線部14c5を介し
て各第2電極14cに独立した電位が加えられることに
より、各圧電/電歪素子14が密着した変形部12が独
立して変位され、その結果、反射部13の作用面13a
(従って、光反射部材13bの反射面)の角度が独立し
て変更され得る。
【0151】図29に示した圧電/電歪デバイス20
は、各第1電極14bと図示しない駆動回路とを共通に
接続する第1配線部14b7と、各第2電極14cと同
駆動回路とを共通に接続する第2配線部14c6とを備
えている。
【0152】第1配線部14b7は、基部21上をx軸
方向に伸びる水平部Hbを含むとともに、同水平部Hb
の各圧電/電歪素子14の右下端部下方から上方(z軸
正方向)に延びて同右下端部に至り、その後、各圧電/
電歪層14aと基部21との間を貫通して第1電極14
bの各々に接続される垂直部Vbとを備えている。
【0153】第2配線部14c6は、基部21上をx軸
方向に伸びる水平部Hcを含むとともに、同水平部Hc
の各圧電/電歪素子14の左下端部下方から上方(z軸
正方向)に延びて同左下端部に至り、その後、圧電/電
歪層14aの下端面に沿ってy軸正方向に延びて第2電
極14cに接続される垂直部Vcとを備えている。な
お、前記第1配線部14b7の垂直部Vbと、第2配線
部14c6の水平部Hcとが交差する部分には絶縁部R
が設けられ、同第1配線部14b7と同第2配線部14
c6との絶縁状態が維持されるようになっている。
【0154】この配線例においては、各第1電極14b
及び各第2電極14cが、それぞれ共通に前記駆動回路
に接続されているから、これらの各電極間には同一の電
位差が常に与えられる。従って、各圧電/電歪素子14
が密着した変形部12が同時に変位し、その結果、反射
部13の作用面13a(従って、光反射部材13bの反
射面)の角度が同時に変更され得る。
【0155】図30は、図26に示した配線例を上記第
3実施形態の圧電/電歪デバイス30に適用した例を示
している。この場合、各配線と図示しない駆動回路との
接続を容易に行うため、マトリクスの各列を構成する圧
電/電歪デバイス20a〜20dの各左端部がx軸方向
に順に長くなるように構成されている。
【0156】(使用例)次に、上記各実施形態を実際に
光スイッチ等として使用する際の具体例について、上記
第3実施形態の圧電/電歪デバイス30を用いながら説
明する。なお、以下の例は上記他の実施形態にも同様に
適用され得る。
【0157】図31に示した圧電/電歪デバイス130
においては、上記圧電/電歪デバイス30の光反射部材
13bの上部であって、変形部12が変位していない場
合の同光反射部材13bのなす反射面に平行な面内にス
トッパ部材22が配置されている。このストッパ部材2
2は、ガラス、石英、透明性プラスチック(アクリル
等)などからなる透明の(光透過性の)薄板であって、
圧電/電歪素子14の作動によって変形部12が変位さ
れ反射部13の作用面13a(従って、光反射部材13
bのなす反射面)が角度αだけ傾斜したときに、同光反
射部材13bの端部が当接し、同反射面の角度が角度α
以上にならないような位置に配置されている。
【0158】この角度αは、圧電/電歪素子14の作動
による光反射部材13bのなす反射面の最大傾斜角度θ
mよりも小さくなっている。即ち、圧電/電歪素子14
の第1,第2電極(図31において図示を省略)に対し
光反射部材13bの反射面の傾斜角度がαより大きくな
るように所定の電位差を与えたとき、光反射部材13b
の端部が当接し、これにより反射面の傾斜角度が常に一
定の角度αとなる。
【0159】これによれば、圧電/電歪素子14の作動
に伴う反射面の反射角度(傾斜角度)が長期に渡り安定
するとともに、一つのデバイス内における各反射面間の
反射角度、或いは各デバイス間における反射角度が一定
に維持される。
【0160】図32は、図12に示した圧電/電歪デバ
イス50をマトリクス状に隣接配置した圧電/電歪デバ
イス140(即ち、図16に示した圧電/電歪デバイス
100)を光スイッチとして使用した例を示している。
この例においては、複数の光ファイバ141により伝達
されてきた光が、各光ファイバの形成する光軸142上
にある光反射部材13bによって反射される。このと
き、光が入射された光反射部材13bのなす反射面が傾
斜されていなければ、同入射光は同光反射部材13bに
より反射されて第1出力側光ファイバ群143の対応す
る光ファイバ143aにレンズ143bを介して入射さ
れる。一方、光が入射された光反射部材13bのなす反
射面が傾斜されていると、同入射光は同光反射部材13
bにより反射されて第2出力側光ファイバ群144の対
応する光ファイバ144aにレンズを介して入射され
る。このようにして、光信号のチャンネルが切り換えら
れる。
【0161】以上、説明したように、本発明による各実
施形態によれば、小型で、光反射面の平坦性が長期に渡
り安定して維持可能で、且つ、耐久性及び信頼性に優れ
た光変調機構を備えた圧電/電歪デバイスが提供され
る。
【0162】なお、本発明は上記実施形態に限定される
ことはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採
用することができる。例えば、上記各実施形態において
は、基部11(21)、変形部12、反射部13、及び
/又は保持部51がセラミックスの一体化物として構成
されていたが、これら各部を金属材料同士で構成するこ
ともでき、セラミックスから構成された部材と金属から
構成された部材とを組合せて構成することもできる。ま
た、基部11(21)を総て金属により構成する場合に
は、同基部11に相当する部分を鋳造により形成するほ
か、薄板状の金属を積層してクラッディング法により形
成することができる。また、反射部13の作用面13a
(従って、光反射部材13bのなす反射面)は変形部1
2の変形面12aと交差していればよく、必ずしも直角
に交差している必要はない。
【0163】また、圧電/電歪デバイス、即ち1組の機
能素子をマトリクス状に隣接配置した実施形態において
は、各機能素子により形成されるマトリクスの行と列と
が直交するとともに整列するようになっていたが、同マ
トリクスは、各行又は各列でピッチがずれていてもよ
い。更に、上記機能素子をマトリクス状に隣接配置した
各実施形態においては、光反射部材13bのなす反射面
がx−y平面と並行な同一面内に存在するようになって
いたが、同反射面は必ずしも同一平面内に存在している
必要はない。即ち、例えば、マトリクスの列方向(x軸
方向)における各反射面は同各列内において同一の平面
内に存在させ(即ち、基部21の底面から各反射面まで
の高さを同一にし)、同マトリクスの行方向(y軸方
向)における反射面は、階段状に配置され同行方向中央
部で最低の高さとなるように(各反射面の基部21の底
面からの高さが行方向において徐々に小さくなった後に
徐々に大きくなるように)存在させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による第1実施形態に係る圧電/電歪
デバイスの概略斜視図である。
【図2】 図1に示した圧電/電歪デバイスの正面図で
ある。
【図3】 図1に示した圧電/電歪デバイスの変形部が
変位したときの同圧電/電歪デバイスの正面図である。
【図4】 本発明による第2実施形態に係る圧電/電歪
デバイスの概略斜視図である。
【図5】 本発明による第3実施形態に係る圧電/電歪
デバイスの概略斜視図である。
【図6】 本発明による第3実施形態に係る圧電/電歪
デバイスの変形例の概略斜視図である。
【図7】 図7(A)〜(D)は、図5に示した圧電/
電歪デバイスの第1の製造方法の各工程を説明するため
の図である。
【図8】 図8(A)〜(C)は、図5に示した圧電/
電歪デバイスの第1の製造方法の各工程を説明するため
の図である。
【図9】 図8(A)に示した状態の製造途中にある圧
電/電歪デバイスの正面図である。
【図10】 図10(A)〜(D)は、図5に示した圧
電/電歪デバイスの第2の製造方法の各工程を説明する
ための図である。
【図11】 図11(A)〜(C)は、図5に示した圧
電/電歪デバイスの第2の製造方法の各工程を説明する
ための図である。
【図12】 本発明による第4実施形態に係る圧電/電
歪デバイスの概略斜視図である。
【図13】 図12に示した圧電/電歪デバイスの正面
図である。
【図14】 図12に示した圧電/電歪デバイスの変形
部が変位したときの同圧電/電歪デバイスの正面図であ
る。
【図15】 図12に示した圧電/電歪デバイスを直線
的(直線状)に隣接配置してなる圧電/電歪デバイスの
概略斜視図である。
【図16】 図12に示した圧電/電歪デバイスをマト
リクス状に隣接配置してなる圧電/電歪デバイスの概略
斜視図である。
【図17】 本発明による第5実施形態に係る圧電/電
歪デバイスの、各変形部が変位された場合の正面図であ
る。
【図18】 本発明による第6実施形態に係る圧電/電
歪デバイスの概略斜視図である。
【図19】 本発明による第7実施形態に係る圧電/電
歪デバイスの正面図である。
【図20】 図20(A)は図19に示した圧電/電歪
デバイスの右側の変形部が変位された場合の同圧電/電
歪デバイスの正面図、図20(B)は図19に示した圧
電/電歪デバイスの左側の変形部が変位された場合の同
圧電/電歪デバイスの正面図である。
【図21】 本発明による第8実施形態に係る圧電/電
歪デバイスの、右側の機能素子の右側の変形部、及び左
側の機能素子の左側の変形部が変位された場合の正面図
である。
【図22】 本発明による第9実施形態に係る圧電/電
歪デバイスの概略斜視図である。
【図23】 本発明による第10実施形態に係る圧電/
電歪デバイスの概略斜視図である。
【図24】 図23に示した圧電/電歪デバイスの使用
例を示す概略斜視図である。
【図25】 図4に示した圧電/電歪デバイスの配線例
を示す同圧電/電歪デバイスの斜視図である。
【図26】 図4に示した圧電/電歪デバイスの配線例
を示す同圧電/電歪デバイスの斜視図である。
【図27】 図4に示した圧電/電歪デバイスの配線例
を示す同圧電/電歪デバイスの斜視図である。
【図28】 図4に示した圧電/電歪デバイスの配線例
を示す同圧電/電歪デバイスの斜視図である。
【図29】 図4に示した圧電/電歪デバイスの配線例
を示す同圧電/電歪デバイスの斜視図である。
【図30】 図5に示した圧電/電歪デバイスの配線例
を示す同圧電/電歪デバイスの斜視図である。
【図31】 図5に示した圧電/電歪デバイスを実際に
使用する際の具体例を示した同圧電/電歪デバイスの正
面図である。
【図32】 図12に示した圧電/電歪デバイスをマト
リクス状に隣接配置したものを、光スイッチとして使用
した例を示す概念図である。
【図33】 従来の変形可能鏡装置(DMD)の斜視図
である。
【図34】 従来の薄膜型光路調節装置(AMA)の概
略断面図である。
【符号の説明】
10…電歪デバイス、11…基部、12…変形部、12
a…変形面、13…反射部、13a…作用面、13b…
光反射部材、14…圧電/電歪素子、14a…圧電/電
歪層、14b…第1電極、14c…第2電極、41,4
2…セラミックグリーンシート、41a…貫通窓、43
…一体化物、44…圧電/電歪素子層、45…光反射部
材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 41/22 Z (72)発明者 木村 浩二 愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号 日 本碍子株式会社内 Fターム(参考) 2H041 AA14 AA16 AB14 AC08 AZ02 AZ05 AZ08

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基部と、 前記基部から延設されて平面を構成する薄板状の変形部
    と、 少なくとも前記変形部に密着された圧電/電歪素子と、 前記変形部の平面と交差する平面状の作用面を構成する
    ように同変形部から延設されるとともに同作用面上に光
    反射部材を配した反射部とを備え、 前記圧電/電歪素子の作動によって前記変形部が同変形
    部の平面と略直交する方向に変形されることにより前記
    反射部の光の反射角度が変化するように構成された1組
    の機能素子を含んでなる圧電/電歪デバイス。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の圧電/電歪デバイスであ
    って、 前記反射部は前記変形部の端部から同変形部と略同一幅
    を有して延設されてなる圧電/電歪デバイス。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の圧電/電歪デバイスであ
    って、 前記1組の機能素子を複数組有し、 前記複数組の機能素子を直線状に隣接配置してなる圧電
    /電歪デバイス。
  4. 【請求項4】請求項3に記載の圧電/電歪デバイスであ
    って、 前記直線状に隣接配置された複数組の機能素子の前記各
    基部が一体的に形成されてなる圧電/電歪デバイス。
  5. 【請求項5】請求項1に記載の圧電/電歪デバイスであ
    って、 前記1組の機能素子を複数組有し、 前記複数組の機能素子をマトリクス状に隣接配置してな
    る圧電/電歪デバイス。
  6. 【請求項6】請求項5に記載の圧電/電歪デバイスであ
    って、 前記マトリクスの少なくとも一列を構成する前記複数組
    の機能素子の前記各基部が一体的に形成されてなる圧電
    /電歪デバイス。
  7. 【請求項7】請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載
    の圧電/電歪デバイスであって、 前記1組の機能素子の前記基部と前記変形部と前記反射
    部とがセラミックスの一体化物として形成されてなる圧
    電/電歪デバイス。
  8. 【請求項8】請求項7に記載の圧電/電歪デバイスであ
    って、 前記圧電/電歪素子は、膜型の圧電/電歪素子であり、
    焼成により前記変形部に一体化されてなる圧電/電歪デ
    バイス。
  9. 【請求項9】基部と、 前記基部から延設されて平面を構成する薄板状の変形部
    と、 少なくとも前記変形部に密着された圧電/電歪素子と、 前記変形部の平面と交差する平面状の作用面を構成する
    ように同変形部から延設されるとともに同作用面上に光
    反射部材を配した反射部と、 前記変形部と対向するように前記基部から延設され前記
    反射部の一部を保持する保持部とを備え、 前記圧電/電歪素子の作動によって前記変形部が同変形
    部の平面と略直交する方向に変形されることにより、前
    記保持部が変形することなく前記反射部の光の反射角度
    が変化するように構成された1組の機能素子を含んでな
    る圧電/電歪デバイス。
  10. 【請求項10】請求項9に記載の圧電/電歪デバイスで
    あって、 前記反射部は前記変形部の端部から同変形部と略同一幅
    を有して延設されてなる圧電/電歪デバイス。
  11. 【請求項11】請求項9に記載の圧電/電歪デバイスで
    あって、 前記1組の機能素子を複数組有し、 前記複数組の機能素子を直線状に隣接配置してなる圧電
    /電歪デバイス。
  12. 【請求項12】請求項11に記載の圧電/電歪デバイス
    であって、 前記直線状に隣接配置された複数組の機能素子の前記各
    基部が一体的に形成されてなる圧電/電歪デバイス。
  13. 【請求項13】請求項9に記載の圧電/電歪デバイスで
    あって、 前記1組の機能素子を複数組有し、 前記複数組の機能素子をマトリクス状に隣接配置してな
    る圧電/電歪デバイス。
  14. 【請求項14】請求項13に記載の圧電/電歪デバイス
    であって、 前記マトリクスの少なくとも一列を構成する前記複数組
    の機能素子の前記各基部が一体的に形成されてなる圧電
    /電歪デバイス。
  15. 【請求項15】請求項9乃至請求項14の何れか一項に
    記載の圧電/電歪デバイスであって、 前記1組の機能素子の前記基部、前記変形部、前記反射
    部、及び前記保持部がセラミックスの一体化物として形
    成されてなる圧電/電歪デバイス。
  16. 【請求項16】請求項15に記載の圧電/電歪デバイス
    であって、 前記圧電/電歪素子は、膜型の圧電/電歪素子であり、
    焼成により前記変形部に一体化されてなる圧電/電歪デ
    バイス。
  17. 【請求項17】厚肉のセラミックスからなる基部から延
    設された薄肉のセラミックスからなる変形部を少なくと
    も同変形部に密着された圧電/電歪素子の作動により変
    形させることによって、同変形部から延設されたセラミ
    ックスからなる反射部の角度を変更する圧電/電歪デバ
    イスの製造方法であって、 中央部に略長方形状の貫通窓が形成されたセラミックグ
    リーンシート上に別のセラミックグリーンシートを同貫
    通窓を覆うように積層する工程と、 前記積層された両セラミックグリーンシートを焼成して
    厚肉部と薄肉部とを有するセラミックスの一体化物を形
    成する工程と、 少なくとも前記薄肉部の上面に圧電/電歪素子を形成す
    る工程と、 前記セラミックスの一体化物を形成した後であって、前
    記圧電/電歪素子を形成した後又は前記圧電/電歪素子
    を形成する前に、前記薄肉部の端部から一定の肉厚を残
    すように前記厚肉部の一部を切断加工する第1切断工程
    と、 少なくとも前記切断加工により一定の肉厚が残された厚
    肉部を同切断加工により形成された切断面と交差する平
    面に沿って切断し、同一定の肉厚を有する前記反射部
    と、前記薄肉の変形部と、前記厚肉の基部とを形成する
    第2切断工程と、 を含んでなる圧電/電歪デバイスの製造方法。
  18. 【請求項18】請求項17に記載の圧電/電歪デバイス
    の製造方法であって、 前記第2切断工程前の状態にあるセラミックスの一体化
    物を複数個用意するとともに同複数個の一体化物の前記
    厚肉部であって後に前記基部となる部分同士をスペーサ
    を介在させて接合する工程と、 前記反射部に光反射部材を形成する工程と、 を含んでなる圧電/電歪デバイスの製造方法。
  19. 【請求項19】請求項18に記載の圧電/電歪デバイス
    の製造方法であって、 前記第2切断工程は、少なくとも前記第1切断工程の切
    断加工により一定の肉厚が残された厚肉部、前記光反射
    部材、及び前記薄肉部を切断する工程である圧電/電歪
    デバイスの製造方法。
  20. 【請求項20】請求項18に記載の圧電/電歪デバイス
    の製造方法であって、 前記圧電/電歪素子を形成する工程は、同圧電/電歪素
    子を複数個互いに略同一間隔を隔てて形成する工程であ
    り、 前記圧電/電歪素子の形成後であって前記第2切断工程
    前に同圧電/電歪素子間の前記薄肉部をスリット状に除
    去する工程を含み、更に、 前記第2切断工程は、少なくとも前記第1切断工程の切
    断加工により一定の肉厚が残された厚肉部及び前記光反
    射部材を、前記スリットに沿った面で切断する工程であ
    る圧電/電歪デバイスの製造方法。
  21. 【請求項21】請求項20に記載の圧電/電歪デバイス
    の製造方法であって、 前記薄肉部をスリット状に除去する工程は、レーザー加
    工によりスリットを形成する工程であり、 前記第2切断工程は、レーザー加工により前記一定の肉
    厚が残された厚肉部及び前記光反射部材を切断する工程
    である圧電/電歪デバイスの製造方法。
  22. 【請求項22】請求項18乃至請求項21の何れか一項
    に記載の圧電/電歪デバイスの製造方法であって、 前記光反射部材を形成する工程は同光反射部材の形成前
    に前記第1切断工程において切断加工された面を研磨す
    る研磨工程を含み、更に、 前記複数個の一体化物の前記肉厚部同士を前記スペーサ
    を介して接合した後であって前記研磨工程の実施前に同
    複数個の一体化物の間隙部に充填材を充填する工程と、 前記第2切断工程の後に前記充填材を除去する工程とを
    含んでなる圧電/電歪デバイスの製造方法。
JP2002053993A 2001-03-02 2002-02-28 圧電/電歪デバイス及びその製造方法 Pending JP2002328319A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002053993A JP2002328319A (ja) 2001-03-02 2002-02-28 圧電/電歪デバイス及びその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001059281 2001-03-02
JP2001-59281 2001-03-02
JP2002053993A JP2002328319A (ja) 2001-03-02 2002-02-28 圧電/電歪デバイス及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002328319A true JP2002328319A (ja) 2002-11-15

Family

ID=26610589

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002053993A Pending JP2002328319A (ja) 2001-03-02 2002-02-28 圧電/電歪デバイス及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002328319A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008501132A (ja) * 2004-05-29 2008-01-17 ポラティス リミテッド 光学スイッチとアクチュエータ
WO2008102687A1 (ja) * 2007-02-20 2008-08-28 Ngk Insulators, Ltd. 圧電/電歪素子
JP2010506553A (ja) * 2006-10-02 2010-02-25 ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング 印刷形成法により製造したエネルギハーベスティング装置
JP2011137927A (ja) * 2009-12-28 2011-07-14 Funai Electric Co Ltd 振動ミラー素子および振動ミラー素子の製造方法
JP2011170298A (ja) * 2010-02-22 2011-09-01 Nikon Corp 空間光変調器の製造方法、空間光変調器、照明光発生装置および露光装置
JP5572703B2 (ja) * 2010-05-26 2014-08-13 日本碍子株式会社 圧電素子の製造方法
CN115210626A (zh) * 2020-03-12 2022-10-18 三菱电机株式会社 光扫描装置、测距装置以及光扫描装置的制造方法

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008501132A (ja) * 2004-05-29 2008-01-17 ポラティス リミテッド 光学スイッチとアクチュエータ
JP4856631B2 (ja) * 2004-05-29 2012-01-18 ポラティス リミテッド 光学的スイッチ
JP2010506553A (ja) * 2006-10-02 2010-02-25 ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング 印刷形成法により製造したエネルギハーベスティング装置
WO2008102687A1 (ja) * 2007-02-20 2008-08-28 Ngk Insulators, Ltd. 圧電/電歪素子
JP5295945B2 (ja) * 2007-02-20 2013-09-18 日本碍子株式会社 圧電/電歪素子
US9178130B2 (en) 2007-02-20 2015-11-03 Ngk Insulators, Ltd. Piezoelectric/electrostrictive element
JP2011137927A (ja) * 2009-12-28 2011-07-14 Funai Electric Co Ltd 振動ミラー素子および振動ミラー素子の製造方法
US8917434B2 (en) 2009-12-28 2014-12-23 Funai Electric Co., Ltd. Vibrating mirror element and method for manufacturing vibrating mirror element
JP2011170298A (ja) * 2010-02-22 2011-09-01 Nikon Corp 空間光変調器の製造方法、空間光変調器、照明光発生装置および露光装置
JP5572703B2 (ja) * 2010-05-26 2014-08-13 日本碍子株式会社 圧電素子の製造方法
CN115210626A (zh) * 2020-03-12 2022-10-18 三菱电机株式会社 光扫描装置、测距装置以及光扫描装置的制造方法
CN115210626B (zh) * 2020-03-12 2024-04-16 三菱电机株式会社 光扫描装置、测距装置以及光扫描装置的制造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1089352B1 (en) Piezoelectric/electrostrictive device and method of manufacturing same
EP1237205B1 (en) Piezoelectric/electrostrictive device for light reflection and method for fabricating the same
US6404109B1 (en) Piezoelectric/electrostrictive device having increased strength
EP1638153B1 (en) Piezoelectric/electrostrictive device and method of manufacturing same
US6498419B1 (en) Piezoelectric/electrostrictive device having mutually opposing end surfaces and method of manufacturing the same
US6772492B2 (en) Piezo-electric/electrostrictive device and method of manufacturing
JP3466550B2 (ja) 圧電/電歪デバイス
JP3845543B2 (ja) 圧電/電歪デバイス及びその製造方法
US6657364B1 (en) Piezoelectric/electrostrictive device
JP2002328319A (ja) 圧電/電歪デバイス及びその製造方法
US6452309B1 (en) Piezoelectric/electrostrictive device
JP3466551B2 (ja) 圧電/電歪デバイス
JP4756013B2 (ja) 圧電/電歪デバイス
JP3466548B2 (ja) 圧電/電歪デバイス
EP1089359B1 (en) Piezoelectric/electrostrictive device and method for producing the same
JP4562756B2 (ja) 圧電/電歪デバイス
JP2001315100A (ja) 圧電/電歪デバイス
JP4015909B2 (ja) 圧電/電歪デバイス
JP3999132B2 (ja) 圧電/電歪デバイス
JP2002026413A (ja) 圧電/電歪デバイス
EP1089355B1 (en) Piezoelectric/electrostrictive device
JP2006340597A (ja) 圧電/電歪デバイス及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050930

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051011

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20051207

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060328

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060718