JP2002322946A - 自由ピストン型再生スターリング機関 - Google Patents
自由ピストン型再生スターリング機関Info
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Abstract
を採用し、リニア発電による完全密閉式・無振動形発電
装置を得る。 【解決手段】 出力ピストン(1)とディスプレーサ・
ピストン(2)を自由ピストンとし、これらを本体(2
a)に密閉した構造とする。出力ピストン(1)からリ
ニア発電機により電気出力を得る。ピストンを対向型に
配置することにより、無振動性を得る。
Description
力ピストンとディスプレーサ・ピストンに適用した自由
ピストン型再生スターリング機関に関する。
機械的変換装置を有するものが一般的であり、機構運動
による振動の発生、機械的摩擦損失の発生、複雑な機構
による製造コスト高およびメンテナンス・コスト高が実
用上の欠点とされている。
ンと出力機構の運動から発生する振動をなくすこと。 (2) 複雑な出力機構によらず単純な構造とするこ
と。 (3) 熱再生器の再生効率の向上を図ること。 (4) 出力ピストンとディスプレーサ・ピストンの運
動は、スターリング・サイクルの実現のためには、適切
な位相差をもつことが必須とされる。機械的変換装置で
は、機構的に位相差が固定されてしまうが、自由ピスト
ン型を採用することによつて、運転条件に応じて最適に
調整可能とすること。 (5) 従来型では、ピストンと外部出力機構の間に機
械的接続が必要なため、作動ガスの気密保持が物理的に
困難とされてきた。機関本体を完全密閉構造とし、高圧
作動ガスの封入を可能ならしめること。
対向型に配置することにより、従来型のもつ不平衡起振
力を理論上零とする。 (2) 自由ピストンの採用により、出力機構を単純化
し機械的摩擦損失を減らし、メンテナンス・フリー化を
達成する。 (3) 熱再生器を機関本体に内蔵することにより放熱
損失を防ぎ、ガスの流動抵抗損失を減らし、熱再生効率
を向上させる。 (4) 出力ピストンの運動から、リニア発電機によつ
て電気出力を取りし、その電力の一部を用いてリニア電
動機によつて、ディスプレーサ・ピス・トンを駆動す
る。両ピストンの動きがスターリング・サイクルの実現
に最適となるように制御するため、電気/電子制御装置
を設け電子的にプログラムされた制御を行うものとす
る。このとき、リニア発電機の電気出力とリニア電動機
の消費電力の差が、外部出力として取出される。 (5) 機関本体外構に、自由ピストンを機構的に完全
に内蔵した密閉構造とする。これにより、内部に高圧作
動ガスを封入しても漏洩のおそれがなく、高出力化、高
効率化とメンテナンス・フリー化が実現できる。
力ピストンとディスプレーサ・ピストンを共に自由ピス
トン対向配置することにより、無振動性(理論的)を確
保している。このため、機関の中央部に加熱部を、両端
に冷却部を配置し、それらの中間に対向する円筒形出力
ピストンと円環形ディスプレーサ・ピストンを、それぞ
れを対にして配置する。
を機構的拘束なく自由に滑動するが各シリングとピスト
ン間でリニア発電機とリニア電動機を構成させ、リニア
発電/電動機において、発電/消費される電力の余剰分
を機関の外部出力として取り出すものとする。すなわ
ち、機械的変換機構によらず直接電気出力を得るものと
する。
み、作動ガスの熱損失と流動抵抗損失の極少化を図り、
有効な熱再生を行うろものとする。
る電気/電子制御装置で制御される。両ピストンの運動
が、運転条件に応じて最適の位相差をもつように制御装
置に電子プログラムを組みこむ。
撥室を設ける。反撥室のガス圧縮による容積の変化が、
全作動ガスの容積変化に相当し、これがスターリング・
サイクルを成立させる機構となる。
御されるが、力学的にも対称運動になることを図つて、
加熱室の圧力均衡のためのガス流通孔を設ける。さら
に、加熱室と冷却室間にもガス流通孔を機関中央線に対
して対称に設けて、ピストンの運動が流体力学的に調整
される機構とする。
プロセスで実現される。図−1に示すように膨脹ピスト
ン(1)と圧縮ピストン(2)の間に熱再生器(3)を
設け、加熱された作動ガスの保有熱を流動に応じて、こ
れに蓄熱したり、放熱したりする役目をもたす。図の線
図は、1サイクル中の両ピストンの動きを示したもの
で、1サイクルを4等分(A−B−C−D)して示す。
Aでは、膨張ピストン(1)は、加熱されたガスの膨脹
圧力で外方に動かされて、外部へ仕事をする。一方、圧
縮ピストン(2)は、内方位置で停つたままでいる。B
では、両ピストンの平列移動でガスが再生器(3)へ放
熱しながら移動するのみである。Cでは、逆に圧縮ピス
トンが内方へ移動し、ガスを圧縮するが、膨脹ピストン
は内方位置に停つたままでいる。Dでは、両ピストンの
平列移動でガスが再生器から受熱しながら移動するのみ
である。この過程で1サイクル(A−B−C−D−A)
が完結する。これをスターリング・サイクル線上で示す
と、図−2の通りとなる。
ルを説明する。このサイクルで面積(A−B−C−D−
A)が、理想的に取り出せる機関の出力(外部仕事量)
Wtであり、 Wt=Wab+ Wcd となる。スターリング・サイクルの理論熱効率η
thは、出力(仕事量)と加熱量の比で示される。 ηth=(Wab+Wcd )/(Qab+Qda) 若し、熱再生が理想的に行われると、加熱量Qdaが放
熱量Qbcで再生されるため、実質的に必要な加熱量
は、Qab=Wabのみでサイクルが成立する。したが
つて、理想的な再生サイクルの理論熱効率ηthrは、 ηthr=(Wab+Wcd)/Wab=1−Tl/T
h となることが証明される。ここで、Thは、このサイク
ルの最高絶対温度(A→B間)であり、Tlは最低絶対
温度(C→D間)である。すなわち、この事実は、最高
温度Thと最低温度Tl間で作動する理想的なカルノー
・サイクルの効率と合致することを示している。したが
つて、図−1に示すような再生スターリング・サイクル
が実現できると、カルノー・サイクルに匹敵する高い理
論熱効率をもつ外燃機関が出現することになる。
めに自由ピストン式を選択する。その目的は、出力機構
の簡素化にある。自由ピストン式は、その機構が単純で
あり、機械的ロスが少いうえに耐久性にも優れるものと
孝えられている。図−1のピストンの動きを、2個のフ
リーピストン体で再現するため図−3に示すような構成
を孝案した。ピストン(1)は、円筒シリンダー(1
a)に内蔵され自由に滑動する円筒形ピストンである。
ピストン(2)は、ピストン(1)を内蔵するシリンダ
(1a)の外周を自由に滑動する円環形ピストンであ
る。シリング(1a)の両端は、本体(2a)に支持さ
れており、一方が加熱側、他方が冷却側となる。作動ガ
スの流動が可能なように、シリンダの両端には、通気孔
(1b)、(1c)が開口されている。ピストン
(1)、(2)の両側の作動ガスがピストンの位置関係
によつて、再生器(3)内を流動するよう管路(3
a)、(3b)が通結されている。この機構において、
図−1に示した過程がどのように再現できるかを示した
ものが図−3の線図である。Aの初めでは、作動ガスは
ほとんどが加熱側にあるためガスの圧力、温度が上昇
し、ピストン(1)を冷却側に動かす。Bの初めでは、
ガスがすべて加熱側にあり、膨脹を完了している。つい
で、ピストン(1)、(2)が同時に加熱側へ動き、C
の初めではガスはすべて冷却側に移つている。Dの初め
では、ピストン(2)が冷却側へもどり始め、ついでピ
ストン(1)がもどりDの終りではAの初めの状態に復
す。このようにして1サイクルを完了し、ピストンの動
きを示す線図は図−1と同じものであることがわかる。
(ただし、ピストンの動く方向は、本機構では逆方向に
なつている。) このピストン(1)、(2)の動きは、近似的に位相差
90度で動いている。(既存のスターリング機関のピス
トン機関の作動も、これと同じようにほぼ位相差90度
で動いている。)
の課題を達成するものとする。 1) ピストン(1)、(2)に、位相差が約90度の
運転を実現させること。 2) ピストン(1)、(2)の位相差が約90度であ
るため、ピストンの運動軸方向に不平衡力が生ずる。こ
の不平衡力を原理的に消去する工夫をなすこと。 3) ピストン(1)から外部へ出力(動力)を取り出
すこと。 4) ピストン(2)の運動は、ピストン(1)から得
られる出力の一部をフィードバックして確保すること。 5) ピストンの前後の加熱側と冷却側に作動ガスが流
動するための通気孔と、その間に熱再生器を設けるこ
と。
し、図−4にその基本機構を示す。(1)は円筒状出力
(膨脹)ピストンで、(2)は円環体状ディスプレサー
(圧縮)・ピストンで、いずれも自由ピストンとして作
動する。(4)は加熱器で高温に保たれる部分であり
(5)は冷却器で低温に保たれる部分である。(1a)
は、ピストン(1)が滑動するための内シリンダーであ
り、(2a)にはピストン(2)が内蔵され、かつ本体
の外囲いとなる外シリンダーである。(6)は、(1)
に軸で結合された反撥ピストンで、反撥室(1d)内で
滑動し、(1)の反撥運動を実現するものである。ま
た、(1)には熱再生器(3)が内蔵されており、それ
を貫通して、熱再生通路(3c)が多数設けられてい
る。 (4a)は加熱室であり、(5a)は冷却室であ
る。内シリンダー(1a)には、作動ガスが流通するた
めの高温ガス通気孔(1b)と、低温ガス通気孔(1
c)が設けられている。また(1a)には、リニア発電
機(7)と(2a)の中央部にリニア電動機(8)が設
けられている。(9)は、(7)と(8)に電気的に結
合されている電気/電子制御装置である。本構造は、本
体の中央線で対称となる水平対向型に構成されている。
(したがつて、片側のみで説明ができる。)
りの過程で、ピストン(1)、(2)が作動するものと
する。Aのとき、加熱室(4a)内の作動ガスは、高
温、高圧となつておりピストンを押し出すように働く。
Bでは、両ピストンとも冷却側(外死点)に位置し、す
べてのガスが加熱側にあり、膨脹が完了しついる。この
とき、ピストンの動きで、リニア発電機(7)では電気
出力が発生する。BからCで、両ピストンが同時に内方
へ移動するが、このときピストン(1)は、反撥室(1
d)に蓄われられたエネルギーで内方に反転運動し、こ
の動きでも、またリニア発電機(7)で電気出力が発生
する。一方、ディスプレサー・ピストン(2)は、冷却
室(5a)の部分的反撥力でも内方に戻るが、主として
リニア電動機の動力で駆動される。両ピストンが内方に
戻るとき、ピストンの位置関係から、加熱室(4a)と
冷却室(5a)の両室が、通気孔(1b)、(1c)を
通じて連通されるため、作動ガスがすべて冷却側へ移動
したのち、両ピストンは内死点に到達する。CからDに
なると、ピストン(2)が、リニア電動機(8)の駆動
力で外方へ戻されるため、冷却されたガスは、(1c)
を流通し再生器(3)から再生熱を受熱し昇温しつつ、
加熱室(4a)に流入する。加熱室(4a)に戻つたガ
スは、加熱器(4)で加熱され、再び高温、高圧に復
す。こうして両ピストンは、Aの状態に復帰し、1サイ
クルを完了する。このような両自由ピストンの動作の確
立は、リニア発電機(7)とリニア電動機(8)の電気
的制御を電気/電子制御装置を用いて行うことによつて
可能となる。すなわち、出力ピストン(1)から電気出
力を得て、その一部の電力をリニア電動機にフィードバ
ック(電力供給)することにより行われる。実際には、
電気/電子制御装置内に設けられるコンピュータ・プロ
グラムによつて、両ピストン(1)、(2)の作動が自
由ピストン・スターリング機関として最適に作動するよ
うに(例えば90度の位相差の確立など)制御する。な
お、リニア発電機とリニア電動機は、機関の始動機とし
ても機能する。
ニア発電機に必要な電力として供給される。消費される
電力は、ディスプレーサ・ピストンを動かし作動流体の
圧縮および流動のために費される。余剰の電力が、スタ
ーリング機関としての外部出力となる。
動を励起するためのものであるが、反撥室内の流体の圧
縮と膨脹によつて生ずる容積変化が、全作動流体の容積
変化と相等しい。したがつて、スターリング・サイクル
の最大容積Vmaxと最小容積Vminが定まり、サイ
クルの圧縮比εが次式で決まる。 圧縮比ε= Vmax/Vmin 圧縮比が高い方が、理論熱効率が向上することが判つて
いる。
ため、ピストンの対称的運動の確立が前提である。
向ピストンの対称的運動の制御を行うものであるが、力
学的な平衡作用を助長するために加熱室(4)に圧力平
衡孔(4c)を設けている。左右の加熱室(4a)、
(4b)に何らかの理由で圧力差が生じて左右のピスト
ンに非対称な運動が生じた場合、圧力平衡孔(4c)に
よつて平衡に復す。また、通気孔(1c)、(1e)
は、左右対称に設けられているため、何らかの理由でピ
ストンの動きが非対称となると、作動流体の流動に左右
で不平衡が生じ圧力の差異が現われるが、これも圧力平
衡孔(4c)によつて補正される。これらの作用によつ
て対向型自由ピストンの対称運動を確保することができ
る。
位相差で運動することにより生ずる本質的な不平衡力
は、対向型自由ピストン方式で理論的に消去することが
可能となる。これは、無振動機関としてあらゆる利用に
有用であるが、とりわけ宇宙基地塔載用の発電装置とし
て適合する。本機関と太陽光集光装置を組合せて、宇宙
空間で利用するとき、何らの燃料を使用することなく半
永久的に電力を確保することができるようになる。
体で構成されるため、出力はリニア発電機による電気出
力として直接的に得られる。機械的出力機構がないた
め、内部に高圧の作動流体を封入することが可能とな
る。作動ガスの圧力(平均有効圧力)が高いことが、効
率および出力性能に有利であることが明らかになつてい
る。
め、熱損失および流動抵抗損失の極小化が実現できる。
論熱効率がカルノー・サイクルに近づくことが知られて
いる。
機と電気/電子制御装置の組合せによつて、プログラム
制御することが可能である。これによつて、出力ピスト
ンとディスプレーサ・ピストンの位相差を運転状況(負
荷)によつて最適に制御することができる。また、負荷
(出力)に応じた最適化運転(高効率化)も可能とな
る。同時に、対向型自由ピストンの対称的運動を確保す
ることも可能となる。
図である。
程における熱移動量、仕事量を説明する図である。
する図であろ。
機関の断面図である。
ニア電動機に必要な電力として供給される。消費される
電力は、ディスプレーサ・ピストンを動かし作動流体の
圧縮および流動のために費される。余剰の電力が、スタ
ーリング機関としての外部出力となる。
Claims (7)
- 【請求項 1】自由ピストンを、出力(膨脹)ピストン
(1)、ディスプレーサ(圧縮)・ピストン(2)に採
用し、これら2対を対向形に配置することより、発生す
る不平衡力を零とするスターリング機関。 - 【請求項 2】出力ピストン(1)とディスプレーサ・
ピストン(2)を同一軸上に同心円的に内外に配置し、
互に一定の位相差をもつて運動することによりスターリ
ング・サイクルを実現する装置。 - 【請求項 3】出力ピストン(1)の一部として、熱再
生器を内蔵せしめることにより、加熱室(4a)と冷却
室(5a)の間の作動ガスの流通の抵抗が少なく、かつ
効率よく熱再生を行わせる構造。 - 【請求項 4】出力ピストン(1)の運動から、リニア
発電機(7)によつて電気出力を得て、その電力の一部
を用いてディスプレーサ・ピストン(2)をリニア電動
機(8)で駆動するシステム。このとき、電気/電子制
御装置により両ピストンの動きを最適になるようプログ
ラム制御を行い、リニア発電機とリニア電動機の余剰電
力を外部出力として取り出すシステム。 - 【請求項 5】外シリンダ(2a)内に自由ピストン
(1)、(2)を機構的に完全に内蔵した密閉構造と
し、内部に高圧の作動ガスを封入することを可能ならし
め、これにより高効率、高出力のスターリング機関を実
現する構造。 - 【請求項 6】出力ピストン(1)の往復運動を励起す
るガス反撥室(1d)を設け、反撥室内の容積変化が全
作動ガスの容積変化に相当するものとし、スターリング
・サイクルを成立させる構造。 - 【請求項 7】対向型ピストンの運動が、力学的に対称
となることを図つて、加熱器(4)に流通孔(4c)
と、内シリンダの対称位置に流通孔(1c)と(1e)
を設け、ガスの流動によりピストンの運動を自動的に調
整する機構。
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