JP2002320416A - 農業用水の製造方法および製造装置 - Google Patents

農業用水の製造方法および製造装置

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JP2002320416A
JP2002320416A JP2001130413A JP2001130413A JP2002320416A JP 2002320416 A JP2002320416 A JP 2002320416A JP 2001130413 A JP2001130413 A JP 2001130413A JP 2001130413 A JP2001130413 A JP 2001130413A JP 2002320416 A JP2002320416 A JP 2002320416A
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Yoichi Kobayashi
洋一 小林
Makoto Iwane
真 岩根
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Toshiba Plant Construction Corp
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Toshiba Plant Construction Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 植物栽培に必要な鉄やマンガンなどの金属を
安定な溶解状態で含有する農業用水を簡単な装置で製造
する。 【構成】 金属が溶解している原水にキレート化合物を
混合し、そのキレート化合物と金属を反応させ、それに
よってキレート金属塩を含有する農業用水を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は地下水、河川水、雨
水、水道水などの原水に溶解されている鉄やマンガンな
どの金属成分を安定化させた農業用水を製造する方法お
よび製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に植物栽培に使用される水、すなわ
ち農業用水は地下水、河川水、雨水、水道水などの原水
を利用しているが、これらの原水には種々の金属が溶解
しており、例えば地下水中の鉄は炭酸鉄としてイオン状
態で存在するが、汲み上げられて空気中の酸素と触れる
と酸化し、水酸化鉄となって沈殿する。このような水酸
化鉄は配管内にスライムやスラッジとして蓄積し、ある
いは非鉄金属のほう金製などのバルブを腐蝕(もらい
錆)させてしまう。そこで従来からこのような問題を回
避するために除鉄装置を設けていた。
【0003】従来の除鉄方法としては、例えば第1鉄イ
オン(二価の鉄)として原水に溶解している鉄をばっ気
する気曝法、または次塩素酸ソーダなどの塩素剤で酸化
する塩素酸化法、酸化触媒を使用して水酸化第二鉄(三
価の鉄)とする触媒酸化法などにより酸化させて沈殿す
る沈殿方法、または砂ろ過装置や膜分離装置を使用して
鉄分を除去する物理的な分離方法が知られている。
【0004】一般に植物の成長には窒素、燐酸、カリな
どの肥料成分のほかに、金属成分が欠かせない場合も多
い。例えばトマトの成長には鉄およびマンガンが必須成
分である。しかし上記のように農業用水の配管等を保護
するために除鉄操作を行うと、鉄に加えてマンガンなど
の他の金属成分が除去されてしまう。そこで従来から、
植物に必要なこれら鉄やマンガン成分を補うために、除
鉄工程を経た農業用水に水溶解性の鉄やマンガンなどの
金属成分を再度添加する方法も採用されている。
【0005】鉄やマンガンを水溶解性とするには、それ
らの金属をキレート化合物と反応させてキレート金属塩
とする方法が好ましい。キレート金属塩は水溶解性に優
れ析出や沈殿現象がないので農業用水中に安定して含有
させることがでる。キレート剤としては入手が容易で価
格も低いEDTA(エチレンジアミン4酢酸)が一般的
に使用されるが、そのほかにDTPA(ジエチレントリ
アミン5酢酸)、EDDHA(エチレンジアミンヒドロ
キシフェニル酢酸)なども試用されている。但しこれら
キレート剤はいずれも難分解性であるため、農業用水が
河川などに排水されたときに自然界に存在する水銀など
の有害金属と結合し、飲料水等に混入するおそれがある
ので注意する必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに原水に溶解している鉄やマンガンを除去した後、再
びそれらの金属を添加する方法は、酸化反応層、酸化沈
殿除去槽などの大きな設置面積の装置の設置を必要と
し、蓄積する酸化沈殿物の廃棄や、定期的な洗浄操作も
欠かせない。さらに、鉄やマンガンなどの有用なキレー
ト金属塩を購入して原水に添加するために原水の処理コ
ストが上昇するという問題もある。
【0007】そこで本発明は、このような従来の農業用
水の製造における問題点を解決することを課題とし、そ
のための新しい農業用水の製造方法を提供することを目
的とする。また本発明はその製造方法を好適に実施でき
る製造装置を提供することも目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明に係る農業用水の製造方法は、金属が溶解している原
水にキレート化合物を混合し、そのキレート化合物と前
記金属を反応させてキレート金属塩を生成し、それによ
って当該キレート金属塩を含有する農業用水を得ること
を特徴とする。(請求項1)
【0009】上記製造方法において、原水に溶解してい
る金属の量が所望値より不足している場合に、その不足
する金属をキレート化合物溶液に溶解させてキレート金
属塩を生成し、そのキレート金属塩を含有するキレート
化合物溶液を原水と混合することができる。(請求項
2) 上記製造方法は特に金属が鉄およびマンガンである場合
に有効である。(請求項3) さらに上記いずれかの製造方法において、製造された農
業用水の使用目的に応じて、キレート化合物として生分
解性または難分解性のものを使用することができる。
(請求項4)
【0010】さらに、前記課題を解決する本発明に係る
農業用水の製造装置は、金属が溶解している原水を供給
する原水供給系統と、キレート化合物を供給するキレー
ト化合物供給系統と、前記原水供給系統によって供給さ
れる原水とキレート化合物供給系統によって供給される
キレート化合物を混合してキレート金属塩を生成させる
混合装置と、その混合装置から排出されるキレート金属
塩を含有する農業用水を貯蔵する貯蔵タンクと、を備え
ていることを特徴とする。(請求項5) そして上記製造方法において、混合装置として静止型混
合器を使用することができる。(請求項6)
【0011】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を図面に
より説明する。図1は本発明に係る農業用水の製造装置
の1例を示すプロセスフロー図である。図中、1は原水
供給系統、2はキレート化合物供給系統、3は混合装
置、4は貯蔵タンク、5は汲み上げポンプ、6は流量
計、7はキレート化合物槽、8は薬液ポンプ、9は制御
器、a〜dは配管である。
【0012】原水供給系統1は地下水などの原水を汲み
上げる汲み上げポンプ5、配管aおよび配管bにより構
成され、キレート化合物系統2はキレート化合物槽7、
定量ポンプである薬液ポンプ8、制御器9および配管c
により構成される。流量計6は例えばフロート式または
タービン式の流量計が使用され、流量に比例した電気信
号を制御器9に出力するようになっている。
【0013】制御器9は原水中に含まれる金属のモル濃
度に対してキレート化合物が予め設定されたモル濃度に
なるように薬液ポンプ8を制御する。例えば、流量計6
からの原水流量測定信号にキレート化すべき金属の総モ
ル濃度を乗じた値とキレート化合物溶液の流量にそのモ
ル濃度を乗じた値を比較し、それが所定の比率を維持す
るように、制御器9は薬液ポンプ8の回転速度を制御す
る。なお薬液ポンプ8はこの分野で慣用されている容量
式の薬液ポンプ8であり、吐出量はその回転速度に正確
に比例する。
【0014】この混合装置3は原水供給系統1から流入
する原水と、キレート化合物供給系統2から流入するキ
レート化合物を均一に混合してキレート金属塩を生成さ
せる機能を有する。本発明に好適に使用できる混合装置
3は、例えば配管路内に攪拌混合用静止型混合器の羽根
が重層に配置されているような構造からなるものを使用
することができる。かかる静止型混合器を使用すると、
ポンプなど駆動機器がいらないというような利点があ
る。上記製造装置において、汲み上げポンプ5以降の原
水供給系統1、キレート化合物供給系統2、混合装置3
等は密閉系を構成しており、キレート化合物などが空気
に触れないように考慮されている。
【0015】キレート化合物としては、水中で安定に溶
解状態を維持し、植物が吸収できる性状を有し、さらに
毒性がなく取り扱いやすいものが望ましい。そのような
キレート化合物としては、微生物に分解される生分解性
化合物と、分解されにくい難分解性化合物の2種があ
り、前者の生分解性化合物にはEDDS(エチレンジア
ミン2コハク酸)、グルコン酸塩、クエン酸塩など、後
者の難分解性化合物にはEDTA(エチレンジアミン4
酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミン5酢酸)、E
DDHA(エチレンジアミンヒドロキシフェニル酢酸)
などがある。
【0016】次に図1の装置を使用して農業用水を製造
する方法について説明する。先ず、使用する原水中に溶
解されている鉄やマンガンなどの植物に必要な金属の種
類とそれぞれのモル濃度を調べ、その結果、もし有用金
属の種類もしくはモル濃度が所望値より不足している状
態であれば、その不足分を補う量の金属を予めキレート
化合物槽7に添加しておく。なお金属は水溶解性の形態
で調整し、例えば鉄の場合は硫酸鉄7水和物、マンガン
の場合は硫酸マンガン4水和物のような金属化合物の形
態で添加する。
【0017】次にキレート化合物槽7内に水を補給する
と共に、キレート化合物溶液を所定のモル濃度になるよ
うに投入する。なおキレート化合物の種類は植物栽培シ
ステムに合わせて生分解性または難分解性のいずれかを
選択する。例えば本発明の方法により製造された農業用
水が養液栽培の用水として使用される場合、養液掛け捨
てシステム(養液が培地に散布された後に施設外に廃棄
するシステム)を採用するときは生分解性のキレート化
合物を使用する。
【0018】すなわちキレート化合物を自然界に放出す
ると環境中の重金属を捕捉する性質があり好ましくな
い。そこで自然界に存在する微生物で分解されやすい生
分解性のキレート化合物を使用することによって、河
川、地下水などを汚染する(環境中の重金属を捕捉す
る)問題を回避することができる。なお生分解性のキレ
ート化合物を使用する場合には、その濃度を高めに設定
してキレート化合物槽7内などに空気が浸入し、それに
含まれている微生物で分解されないようにする。好まし
い濃度は1000倍程度である。このような濃度とする
ことにより水素イオン濃度が酸性になり、微生物が繁殖
しにくくなる。
【0019】一方、養液循環システム(養液を施設外に
放出せず循環して使用するシステム)を採用するときは
難溶解性のキレート化合物を使用する。この難分解性キ
レート化合物は長期間循環して使用しても溶液中の微生
物によって分解されることなく、安定して植物に必須金
属を供給する役目を果たすことができる。
【0020】次に原水の金属モル濃度に基づき、必要な
キレート化合物の供給量を設定する。金属のモル濃度に
対してキレート化合物のモル濃度を1.05倍以上とす
ることが好ましく、より好ましくは1.05〜1.10
倍の範囲とする。このモル濃度の比率(またはその換算
比率)は制御器9に設けた設定器に予め設定することが
でき、その設定に従って制御器9は前記のように薬液ポ
ンプ8の回転速度を制御する。
【0021】上記操作により装置の準備が完了するの
で、次に汲み上げポンプ5を運転して農業用水の製造を
開始する。原水の流量は流量計6の測定目盛りが所定の
範囲になるように配管bに設けた調整弁(図示せず)で
調整する。原水が所定流量に設定されると、制御器9は
原水に注入されるキレート化合物のモル濃度が所定の比
率になるように薬液ポンプ8を制御する。キレート化合
物が注入された原水は次に混合装置3に導入され、そこ
を通過する間に原水に含まれている金属とキレート化合
物が反応してキレート金属塩が生成する。そして原水中
に溶解されていた金属が実質的にキレート金属塩になっ
た状態の農業用水は地下などに設置される貯蔵タンク4
に流入し貯蔵される。
【0022】次に実施例により本発明の農業用水の製造
方法をより具体的に説明する。
【0023】
【実施例1】本発明の方法により農業用水を製造し、ハ
ウスによる養液栽培法(養液循環式)により2.2ヘク
タールの栽培面積でトマトを栽培した。原水として使用
した地下水中の成分分析を行った結果、鉄が3mg/
l、マンガンが0.8mg/lの濃度で含まれており、
トマト栽培に必要な量を満たしていることが分かった。
しかしトマト栽培に必要な銅、亜鉛は含まれていなかっ
たので、銅を0.01mg/l、亜鉛を0.01mg/
lの濃度になるように添加する必要があった。(表1参
照)
【0024】
【表1】
【0025】2.2ヘクタールの栽培面積を有する養液
栽培ハウスの場合、1日に必要とする最大農業用水の量
は100トンである。日産100トンの農業用水中に必
要な鉄は300g(5.38モル)、マンガン80g
(1.46モル)と計算され、添加すべき銅は1g
(0.02モル)、亜鉛は1g(0.02モル)と計算
された。養液栽培は循環式であるので、キレート化合物
は難分解性のEDTA・2Na・2H2 O(エチレンジ
アミン4酢酸2水素2ナトリウム水和物)を使用した。
その際の必要なキレート化合物の量は(5.38+1.
46+0.02+0.02)の1.05倍のモル濃度
7.22モルの2685.84gが必要と計算された。
【0026】そこで上記エチレンジアミン4酢酸2水素
2ナトリウム水和物2685.84gと前記添加金属を
キレート化合物槽7に溶かし込んだ。その際、キレート
化合物等の溶媒として原水を98.5リットル使用した
ので、その溶媒に含まれている鉄、マンガンに消費され
る分としてエチレンジアミン4酢酸2水素2ナトリウム
水和物をさらに2.67g追加した。なお調整したキレ
ート化合物の濃縮率は1000倍とした。
【0027】100トン/日の農業用水を製造するため
に、100リットル・分の能力を有するステンレス製の
汲み上げポンプ5、10〜200リットル/分の測定範
囲を有する流量計6、1〜1000ミリリットル/分の
薬液ポンプ8、およびそれに対応する制御器9、密閉型
で100リットル容量のキレート化合物槽7、静止型混
合器からなる塩化ビニール樹脂製の混合装置3等を使用
し、貯蔵タンク4は既存のものを使用した。配管類は塩
化ビニール樹脂製、薬液チューブはシリコン製とした。
なお装置の設置に必要な面積は、貯蔵タンク4を除いて
2平方メートルであった。
【0028】既存の地下水管(井戸)から原水を100
リットル/分で汲み上げ、薬液ポンプ8で100ミリリ
ットル/分の割合でキレート化合物が注入されるように
制御器9を設定した。装置が運転開始すると、農業用水
は6トン/時の割合で製造され、約16時間40分で1
00トン製造することができた。運転開始前原水、運転
直後用水、8時間時点用水、16時間時点用水および貯
蔵タンク4に24時間貯留後用水をそれぞれ原子吸光光
度計で成分分析した結果を表2に示す。
【0029】表2から分かるように、本実施例によって
原水中に含まれていた鉄、マンガンを酸化沈殿させるこ
となく、溶解状態の農業用水が製造された。また、製造
後24時間貯蔵タンク4などの空気に接触する槽内に貯
留しておいても、その溶解状態が維持された。さらに、
製造された農業用水を1時間バッキ処理しても、表3に
示すように沈殿物の発生はなかった。
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】上記のように製造された農業用水を使用
し、前記の養液栽培設備でトマトを栽培した結果を表4
に示す。表4から分かるように、栽培期間を通してトマ
トの植物葉、茎および果実部に鉄、マンガン、銅、亜鉛
の欠乏症状、過剰症状は認められずに正常に生育した。
また、他の要素の欠乏症状、過剰症状も認められなかっ
た。さらに、トマト10アール当たりの収穫量を、従来
の農業用水(除鉄マンガン処理した用水に金属塩を添加
したもの)で同様の栽培を行って比較した結果、両者に
実質的な差は認められなかった。(表5参照)
【0033】
【表4】
【0034】
【表5】
【0035】
【実施例2】本発明の方法により農業用水を製造し、ハ
ウスによる養液栽培法(養液掛け捨て式)により1アー
ルの栽培面積でトマトを栽培した。なお原水は実施例1
と同じものを使用した。1アールの栽培面積を有する養
液栽培ハウスの場合、1日に必要とする最大農業用水の
量は5トンである。日産5トンの農業用水中に必要な鉄
は15g(0.27モル)、マンガン4g(0.07モ
ル)と計算され、添加すべき銅は0.05g(0.00
1モル)、亜鉛は0.05g(0.001モル)と計算
された。
【0036】養液栽培は掛け捨て式であるので、キレー
ト化合物は生分解性のC3 4 (OH)(COOH3
・H2 O(クエン酸1水和物)を使用した。その際の必
要なキレート化合物の量は(0.27+0.07+0.
001+0.001)の1.05倍のモル濃度0.35
9モルとなり75.46gが必要と計算された。このク
エン酸1水和物75.46gと添加金属を5リットルを
キレート化合物槽7へ溶かし込んだ。その際、キレート
化合物等の溶剤として原水を4.55リットル使用した
ので、その溶媒に含まれている鉄、マンガンに消費され
る分としてクエン酸1水和物をさらに3.4mg追加し
た。なお調整したキレート化合物の濃縮率は1000倍
とした。
【0037】5トン/日の農業用水を製造するために、
5リットル・分の能力を有するステンレス製の汲み上げ
ポンプ5、0.5〜10リットル/分の測定範囲を有す
る流量計6、0.1〜500ミリリットル/分の薬液ポ
ンプ8、およびそれに対応する制御器9、密閉型で10
リットル容量のキレート化合物槽、静止型混合器からな
る塩化ビニール樹脂製の混合装置3等を使用し、貯蔵タ
ンク4は既存のものを使用した。配管類は塩化ビニール
樹脂製、薬液チューブはシリコン製とした。なお装置の
設置に必要な面積は、貯蔵タンク4を除いて1平方メー
トルであった。
【0038】原水を5リットル/分で汲み上げ、薬液ポ
ンプ8で5ミリリットル/分の割合でキレート化合物が
注入されるように制御器9を設定した。装置が運転開始
すると、農業用水は300リットル/時の割合で製造さ
れ、約16時間40分で5トン製造することができた。
運転開始前原水、運転直後用水、8時間時点用水、16
時間時点用水および貯蔵タンク4に24時間貯留後用水
をそれぞれ原子吸光光度計で成分分析した結果を表6に
示す。
【0039】表6から分かるように、本実施例によって
原水中に含まれていた鉄、マンガンを酸化沈殿させるこ
となく、溶解状態の農業用水が製造された。また、製造
後24時間貯蔵タンク4などの空気に接触する槽内に貯
留しておいても、その溶解状態が維持された。さらに、
製造された農業用水を1時間バッキ処理しても、表7に
示すように沈殿物の発生はなかった。
【0040】
【表6】
【0041】
【表7】
【0042】キレート化合物槽7のpH(水素濃度イオ
ン)を濃度計で測定したところ、常時pH3.5で酸性
を維持していた。また、一般生菌数は検出されなかっ
た。このようにキレート化合物槽7内を酸性にすること
により、微生物によるキレート化合物の分解を防止して
溶解状態を維持することができることが分かった。(表
8参照)
【0043】
【表8】
【0044】上記のように製造された農業用水を使用
し、前記1アールの養液栽培設備でトマトを栽培した結
果を表9に示す。表9から分かるように、栽培期間を通
してトマトの植物葉、茎および果実部に鉄、マンガン、
銅、亜鉛の欠乏症状、過剰症状は認められずに正常に生
育した。また、他の要素の欠乏症状、過剰症状も認めら
れなかった。さらに、トマト1アール当たりの収穫量
を、従来の農業用水(除鉄マンガン処理した用水に金属
塩を添加したもの)で同様の栽培を行って比較した結
果、両者に実質的な差は認められなかった。(表10参
照)
【0045】
【表9】
【0046】
【表10】
【0047】さらに、養液栽培後の廃液を100リット
ルの円筒型密閉容器にサンプリングし、サンプリング直
後と24時間貯留後に原子吸光光度計により成分分析し
た結果を表11に示す。表11から分かるように、養液
廃液中に溶解する鉄、マンガンは存在しなかった。すな
わちクエン酸1水和物が微生物によって分解され、キレ
ート機能が消失し、その結果、鉄、マンガン等が酸化沈
殿され、環境への影響がない状態になっていた。
【0048】
【表11】
【0049】
【発明の効果】以上のように本発明に係る農業用水の製
造方法は、金属が溶解している原水にキレート化合物を
混合し、そのキレート化合物と前記金属を反応させてキ
レート金属塩を生成し、それによって当該キレート金属
塩を含有する農業用水を得ることを特徴とする。そのた
め従来方法のように原水を除金属操作してから再度鉄等
を溶解させるという複雑な工程を必要とせず、簡単な操
作で農業用水を製造することができる。また本発明の方
法によれば金属添加を最小限に抑えることができるの
で、ランニングコストが低くなる。さらに、本発明の方
法は環境への影響が少ない方法で実施できる。
【0050】上記製造方法において、原水に溶解してい
る金属が所望値より不足している場合に、その不足する
金属をキレート化合物溶液に溶解させてキレート金属塩
を生成し、そのキレート金属塩を含有するキレート化合
物溶液を原水と混合することができる。このような方法
を採用することにより、使用する原水の範囲を広げるこ
とができる。
【0051】また、本発明に係る農業用水の製造装置
は、金属が溶解している原水を供給する原水供給系統
と、キレート化合物を供給するキレート化合物供給系統
と、前記原水供給系統によって供給される原水とキレー
ト化合物供給系統によって供給されるキレート化合物を
混合してキレート金属塩を生成させる混合装置と、その
混合装置から排出されるキレート金属塩を含有する農業
用水を貯蔵する貯蔵タンクと、を備えていることを特徴
とする。この装置を使用することにより上記方法を好適
に実施することができる。また上記構成とすることによ
り装置を小型化することができ、農業用水製造能力当た
りの設置面積も小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の農業用水製造装置の1例を示すプロセ
スフロー図。
【符号の説明】
1 原水供給系統 2 キレート化合物供給系統 3 混合装置 4 貯蔵タンク 5 汲み上げポンプ 6 流量計 7 キレート化合物槽 8 薬液ポンプ 9 制御器 a〜d 配管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C02F 1/68 ZBP C02F 1/68 ZBP

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属が溶解している原水にキレート化合
    物を混合し、そのキレート化合物と前記金属を反応させ
    てキレート金属塩を生成し、それによって当該キレート
    金属塩を含有する農業用水を得ることを特徴とする農業
    用水の製造方法。
  2. 【請求項2】 原水に溶解している金属の量が所望値よ
    り不足している場合に、その不足する金属をキレート化
    合物溶液に溶解させてキレート金属塩を生成し、そのキ
    レート金属塩を含有するキレート化合物溶液を原水と混
    合することを特徴とする請求項1に記載の農業用水の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 金属が鉄およびマンガンである請求項1
    または2に記載の農業用水の製造方法。
  4. 【請求項4】 キレート化合物が生分解性または難分解
    性である請求項1ないし3のいずれかに記載の農業用水
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 金属が溶解している原水を供給する原水
    供給系統(1) と、キレート化合物を供給するキレート化
    合物供給系統(2) と、前記原水供給系統(1)によって供
    給される原水とキレート化合物供給系統(2) によって供
    給されるキレート化合物を混合してキレート金属塩を生
    成させる混合装置(3) と、その混合装置(3) から排出さ
    れるキレート金属塩を含有する農業用水を貯蔵する貯蔵
    タンク(4) と、を備えていることを特徴とする農業用水
    の製造装置。
  6. 【請求項6】 混合装置(3) が静止型混合器である請求
    項5に記載の農業用水の製造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012191873A (ja) * 2011-03-15 2012-10-11 Meiji Univ 水耕栽培方法および水耕栽培装置
KR20170044744A (ko) 2014-09-01 2017-04-25 가부시키가이샤니혼트림 농업용 전해수 생성장치 및 농업용 전해수

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