JP2002318605A - プラントの制御装置 - Google Patents

プラントの制御装置

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JP2002318605A JP2001125648A JP2001125648A JP2002318605A JP 2002318605 A JP2002318605 A JP 2002318605A JP 2001125648 A JP2001125648 A JP 2001125648A JP 2001125648 A JP2001125648 A JP 2001125648A JP 2002318605 A JP2002318605 A JP 2002318605A
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 比較的短時間のうちにプラントの特性が変化
する場合においても、モデルパラメータを迅速に最適値
に収束させ、良好な制御性を維持することができるプラ
ントの制御装置を提供する。 【解決手段】 モデルパラメータベクトルθの同定誤差
ideを演算し(S33a)、同定誤差ideに応じて
更新ベクトルdθを演算する(S33b)。スロットル
弁開度偏差量DTHに応じて基準モデルパラメータベク
トルθbaseを算出し(S33c)、基準モデルパラ
メータベクトルθbaseに更新ベクトルdθを加算す
ることにより、モデルパラメータベクトルθを算出する
(S34a)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラントの制御装
置に関し、特にプラントをモデル化した制御対象モデル
のモデルパラメータを同定しつつ、そのモデルパラメー
タを用いてプラントを制御するものに関する。
【0002】
【従来の技術】制御対象であるプラントをモデル化し、
その制御対象モデルのモデルパラメータをパラメータ調
整機構により算出し、このモデルパラメータを用いる適
応制御器により、内燃機関に供給する混合気の空燃比を
目標空燃比にフィードバック制御する空燃比制御装置が
従来より知られている(例えば特開平11−73206
号公報)。この制御装置では、モデルパラメータの初期
値に、モデルパラメータの同定誤差に応じて算出される
更新成分を加算することにより、モデルパラメータが算
出される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、モデル
パラメータの初期値はプラントへの制御入力を算出する
時点におけるプラントの状態量とは無関係に設定される
ため、比較的短時間のうちにプラントの特性が変化する
場合に、モデルパラメータが最適値に収束するまでの時
間が長くなり、十分な制御性能を得られないことがあっ
た。
【0004】本発明はこの点に着目してなされたもので
あり、比較的短時間のうちにプラントの特性が変化する
場合においても、モデルパラメータを迅速に最適値に収
束させ、良好な制御性を維持することができるプラント
の制御装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
請求項1に記載の発明は、プラントをモデル化した制御
対象モデルのモデルパラメータ(θ)を、前記プラント
の入力及び出力に基づいて同定する同定手段と、該同定
手段により同定されたモデルパラメータを用いて前記プ
ラントを制御する制御手段とを備えたプラントの制御装
置において、前記同定手段は、前記プラントの状態量
(DTH)に応じて基準モデルパラメータ(θbas
e)を算出する基準モデルパラメータ算出手段と、前記
モデルパラメータの同定誤差(ide)を算出する同定
誤差算出手段と、該同定誤差に応じて更新成分(dθ)
を算出する更新成分算出手段とを有し、該更新成分を前
記基準モデルパラメータに加算することにより、前記モ
デルパラメータを算出することを特徴とする。
【0006】この構成によれば、モデルパラメータの同
定誤差に応じて更新成分が算出され、プラントの状態量
に応じて算出される基準モデルパラメータに更新成分を
加算することにより、モデルパラメータが算出されるの
で、常に変化するプラントの状態量に応じた基準モデル
パラメータを補正する形でモデルパラメータが算出さ
れ、従来の手法に比べて迅速に最適値に収束させること
が可能となる。
【0007】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
のプラント制御装置において、前記プラントの状態量
は、前記プラントの動特性変化を示すパラメータ(DT
H)であることを特徴とする。この構成によれば、プラ
ントの動特性変化を示すパラメータに応じて基準モデル
パラメータが算出されるので、プラントの動特性変化に
応じた適切な基準モデルパラメータが得られる。その結
果、特にプラントに非線形要素が含まれる場合でもモデ
ルパラメータを迅速に収束させることができる。
【0008】請求項3に記載の発明は、請求項1または
2に記載のプラントの制御装置において、前記制御手段
は、スライディングモード制御により前記プラントを制
御するものであることを特徴とする。この構成によれ
ば、ロバスト性を有するスライディングモード制御によ
り、プラントが制御されるので、外乱や制御対象モデル
のモデル化誤差(実際のプラントの特性と、モデル化し
た制御対象モデルの特性との差)、あるいは制御対象の
むだ時間の存在下においても、良好な制御性を得ること
ができる。
【0009】請求項4に記載の発明は、請求項3に記載
のプラントの制御装置において、前記制御手段による前
記プラントへの制御入力は、適応則入力を含むことを特
徴とする。この構成によれば、プラントへの制御入力は
適応則入力を含むので、外乱やモデル化誤差があって
も、良好な制御性を実現することができる。
【0010】請求項5に記載の発明は、請求項1から4
の何れかに記載のプラントの制御装置において、前記プ
ラントは、内燃機関のスロットル弁と、該スロットル弁
を駆動する駆動手段とを有するスロットル弁駆動装置を
含み、前記制御手段は、前記スロットル弁の開度を目標
開度に一致させるように、前記スロットル弁駆動装置へ
の制御入力を決定するパラメータを算出することを特徴
とする。
【0011】この構成によれば、同定手段により同定さ
れたモデルパラメータを用いて、スロットル弁開度を目
標開度に一致させる制御が行われるので、スロットル弁
開度の目標開度への制御性を向上させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面を
参照して説明する。 (第1の実施形態)図1は本発明の第1の実施形態にか
かるスロットル弁制御装置の構成を示す図である。内燃
機関(以下「エンジン」という)1の吸気通路2には、
スロットル弁3が設けられている。スロットル弁3に
は、該スロットル弁3を閉弁方向に付勢する第1付勢手
段としてのリターンスプリング4と、該スロットル弁3
を開弁方向に付勢する第2付勢手段としての弾性部材5
とが取り付けられている。またスロットル弁3は、駆動
手段としてのモータ6によりギヤ(図示せず)を介して
駆動できるように構成されている。モータ6による駆動
力がスロットル弁3に加えられない状態では、スロット
ル弁3の開度THは、リターンスプリング4の付勢力
と、弾性部材5の付勢力とが釣り合うデフォルト開度T
HDEF(例えば5度)に保持される。
【0013】モータ6は、電子制御ユニット(以下「E
CU」という)7に接続されており、その作動がECU
7により制御される。スロットル弁3には、スロットル
弁開度THを検出するスロットル弁開度センサ8が設け
られており、その検出信号は、ECU7に供給される。
【0014】またECU7には、エンジン1が搭載され
た車両の運転者の要求出力を検出するアクセルペダルの
踏み込み量ACCを検出するアクセルセンサ9が接続さ
れており、その検出信号がECU7に供給される。EC
U7は、スロットル弁開度センサ8及びアクセルセンサ
9の検出信号が供給される入力回路、入力信号をディジ
タル信号に変換するAD変換回路、各種演算処理を実行
する中央演算ユニット(CPU)、CPUが実行するプ
ログラムやプログラムで参照されるマップやテーブルな
どを格納するメモリ、及びモータ6に駆動電流を供給す
る出力回路を備えている。ECU7は、アクセルペダル
の踏み込み量ACCに応じてスロットル弁3の目標開度
THRを決定し、検出したスロットル弁開度THが目標
開度THRと一致するようにモータ6の制御量DUTを
決定し、制御量DUTに応じた電気信号をモータ6に供
給する。
【0015】本実施形態では、スロットル弁3、リター
ンスプリング4、弾性部材5及びモータ6からなるスロ
ットル弁駆動装置10を制御対象とし、該制御対象に対
する入力をモータ6に印加する電気信号のデューティ比
DUTとし、制御対象の出力をスロットル弁開度センサ
8により検出されるスロットル弁開度THとする。
【0016】スロットル弁駆動装置10の応答周波数特
性を実測すると、図2に実線で示すゲイン特性及び位相
特性が得られる。そこで、下記式(1)で定義されるモ
デルを制御対象モデルとして設定した。このモデルの応
答周波数特性は、図2に破線で示すようになり、スロッ
トル弁駆動装置10の特性に近似していることが確認さ
れている。 DTH(k+1)=a1×DTH(k)+a2×DTH(k-1) +b1×DUT(k-d)+c1 (1) ここで、kは離散化された時間を表すパラメータであ
り、DTH(k)は下記式(2)により定義されるスロッ
トル弁開度偏差量である。 DTH(k)=TH(k)−THDEF (2) ここで、THは検出したスロットル弁開度、THDEF
は前記デフォルト開度である。また式(1)のa1,a
2,b1,c1は、制御対象モデルの特性を決めるモデ
ルパラメータであり、dはむだ時間である。
【0017】上記式(1)で定義されるモデルは、適応
制御の適用を容易にするために採用した、離散時間系の
DARXモデル(delayed autoregressive model with
exogeneous input:外部入力を持つ自己回帰モデル)で
ある。式(1)においては、出力の偏差量DTHに関わ
るモデルパラメータa1,a2、入力のデューティ比D
UTに関わるモデルパラメータb1の他に、入出力に関
わらないモデルパラメータc1が設定されている。この
モデルパラメータc1は、デフォルト開度THDEFの
ずれやスロットル弁駆動装置に加わる外乱を示すパラメ
ータである。すなわち、モデルパラメータ同定器によ
り、モデルパラメータa1,a2,a3と同時にモデル
パラメータc1を同定することにより、デフォルト開度
ずれや外乱を同定できるようにしている。
【0018】図3は、ECU7により実現されるスロッ
トル弁制御装置の機能ブロック図であり、この制御装置
は、適応スライディングモードコントローラ21と、モ
デルパラメータ同定器22と、むだ時間dが経過した後
の予測スロットル弁開度偏差量(以下「予測偏差量」と
いう)PREDTH(k)(=DTH(k+d))を算出する状
態予測器23と、アクセルペダル踏み込み量ACCに応
じてスロットル弁3の目標開度THRを設定する目標開
度設定部24とからなる。
【0019】適応スライディングモードコントローラ2
1は、検出したスロットル弁開度THが目標開度THR
と一致するように、適応スライディングモード制御によ
りデューティ比DUTを算出し、該算出したデューティ
比DUTを出力する。適応スライディングモードコント
ローラ21を用いることにより、スロットル弁開度TH
の目標開度THRへの追従応答特性を、所定のパラメー
タ(VPOLE)を用いて適宜変更することが可能とな
り、その結果スロットル弁3を開弁位置から全閉位置に
移動させる際の衝撃(スロットル全閉ストッパへの衝
突)の回避、及びアクセル操作に対するエンジンレスポ
ンスの可変化が可能となる。また、モデルパラメータの
誤差に対する安定性を確保することが可能となる。
【0020】モデルパラメータ同定器22は、修正モデ
ルパラメータベクトルθL(θLT=[a1,a2,b
1,c1])を算出し、適応スライディングモードコン
トローラ21に供給する。より具体的には、モデルパラ
メータ同定器22は、スロットル弁開度TH及びデュー
ティ比DUTに基づいて、モデルパラメータベクトルθ
を算出する。さらに、そのモデルパラメータベクトルθ
に対してリミット処理を行うことにより修正モデルパラ
メータベクトルθLを算出し、該修正モデルパラメータ
ベクトルθLを適応スライディングモードコントローラ
21に供給する。このようにしてスロットル弁開度TH
を目標開度THRに追従させるために最適なモデルパラ
メータa1,a2,b1が得られ、さらに外乱及びデフ
ォルト開度THDEFのずれを示すモデルパラメータc
1が得られる。
【0021】リアルタイムでモデルパラメータを同定す
るモデルパラメータ同定器22を用いることにより、エ
ンジン運転条件の変化への適応、ハードウエアの特性ば
らつきの補償、電源電圧変動の補償、及びハードウエア
特性の経年変化への適応が可能となる。
【0022】状態予測器23は、スロットル弁開度TH
及びデューティ比DUTに基づいて、むだ時間d後のス
ロットル弁開度TH(予測値)、より具体的には予測偏
差量PREDTHを算出し、適応スライディングモード
コントローラ21に供給する。予測偏差量PREDTH
を用いることにより、制御対象のむだ時間に対する制御
系のロバスト性を確保し、特にむだ時間が大きいデフォ
ルト開度THDEF近傍での制御性を向上させることが
できる。
【0023】次に適応スライディングモードコントロー
ラ21の動作原理を説明する。先ず下記式(3)によ
り、目標値DTHR(k)を目標開度THR(k)とデフォル
ト開度THDEFとの偏差量として定義する。 DTHR(k)=THR(k)−THDEF (3) ここで、スロットル弁開度偏差量DTHと、目標値DT
HRとの偏差e(k)を下記式(4)で定義すると、適応
スライディングモードコントローラの切換関数値σ(k)
は、下記式(5)にように設定される。 e(k)=DTH(k)−DTHR(k) (4) σ(k)=e(k)+VPOLE×e(k-1) (5) =(DTH(k)−DTHR(k)) +VPOLE×(DTH(k-1)−DTHR(k-1)) ここで、VPOLEは、−1より大きく1より小さい値
に設定される切換関数設定パラメータである。
【0024】縦軸を偏差e(k)とし、横軸を前回偏差e
(k-1)として定義される位相平面上では、σ(k)=0を満
たす偏差e(k)と、前回偏差e(k-1)との組み合わせは、
直線となるので、この直線は一般に切換直線と呼ばれ
る。スライディングモード制御は、この切換直線上の偏
差e(k)の振る舞いに着目した制御であり、切換関数値
σ(k)が0となるように、すなわち偏差e(k)と前回偏差
e(k-1)の組み合わせが位相平面上の切換直線上に載る
ように制御を行い、外乱やモデル化誤差(実際のプラン
トの特性と、モデル化した制御対象モデルの特性との
差)に対してロバストな制御を実現し、スロットル弁開
度偏差量DTHを目標値DTHRに追従させるものであ
る。
【0025】また式(5)の切換関数設定パラメータV
POLEの値を変更することにより、図4に示すよう
に、偏差e(k)の減衰特性、すなわちスロットル弁開度
偏差量DTHの目標値DTHRへの追従特性を変更する
ことができる。具体的には、VPOLE=−1とする
と、全く追従しない特性となり、切換関数設定パラメー
タVPOLEの絶対値を小さくするほど、追従速度を速
めることができる。
【0026】スロットル弁制御装置においては、下記要
求A1及びA2が満たされることが求められる。A1)
スロットル弁3を全閉位置に移動させる際にスロットル
全閉ストッパへの衝突を回避することA2)デフォルト
開度THDEF近傍における非線形特性(リターンスプ
リング4の付勢力と弾性部材5の付勢力とが釣り合うこ
とに起因する弾性特性の変化、モータ6とスロットル弁
3と間に介装されたギヤのバックラッシ、デューティ比
DUTの変化してもスロットル弁開度が変化しない不感
帯)に対する制御性を向上させることそのため、スロッ
トル弁の全閉位置近傍では、偏差e(k)の収束速度を低
下させ、またデフォルト開度THDEFの近傍では、収
束速度を高める必要がある。
【0027】スライディングモード制御によれば、切換
関数設定パラメータVPOLEを変更することにより、
容易に収束速度を変更できるので、本実施形態では、ス
ロットル弁開度TH及び目標値DTHRの変化量DDT
HR(=DTHR(k)−DTHR(k-1))に応じて、切換
関数設定パラメータVPOLEを設定するようにした。
これにより、上記要求A1及びA2を満たすことができ
る。
【0028】上述したようにスライディングモード制御
では、偏差e(k)と前回偏差e(k-1)の組み合わせ(以下
「偏差状態量」という)を切換直線上に拘束することに
より、偏差e(k)を指定した収束速度で、かつ外乱やモ
デル化誤差に対してロバストに、0に収束させる。した
がって、スライディングモード制御では、如何にして偏
差状態量を切換直線に載せ、そこに拘束するかが重要と
なる。
【0029】そのような観点から、制御対象への入力
(コントローラの出力)DUT(k)(Usl(k)とも表記
する)は、下記式(6)に示すように、等価制御入力U
eq(k)、到達則入力Urch(k)及び適応則入力Uad
p(k)の和として構成される。 DUT(k)=Usl(k) =Ueq(k)+Urch(k)+Uadp(k) (6)
【0030】等価制御入力Ueq(k)は、偏差状態量を
切換直線上に拘束するための入力であり、到達則入力U
rch(k)は、偏差状態量を切換直線上へ載せるための
入力であり、適応則入力Uadp(k)は、モデル化誤差
や外乱の影響を抑制し、偏差状態量を切換直線へ載せる
ための入力である。以下各入力Ueq(k),Urch(k)
及びUadp(k)の算出方法を説明する。
【0031】等価制御入力Ueq(k)は、偏差状態量を
切換直線上に拘束するための入力であるから、満たすべ
き条件は下記式(7)で与えられる。 σ(k)=σ(k+1) (7) 式(1)並びに式(4)及び(5)を用いて式(7)を
満たすデューティ比DUT(k)を求めると、下記式
(9)が得られ、これが等価制御入力Ueq(k)とな
る。さらに、到達則入力Urch(k)及び適応則入力U
adp(k)を、それぞれ下記式(10)及び(11)に
より定義する。
【数1】
【0032】ここで、F及びGは、それぞれ到達則制御
ゲイン及び適応則制御ゲインであり、以下に述べるよう
に設定される。またΔTは、制御周期である。上記式
(9)の演算には、むだ時間d経過後のスロットル弁開
度偏差量DTH(k+d)及び対応する目標値DTHR(k+d+
1)が必要である。そこで、むだ時間d経過後のスロット
ル弁開度偏差量DTH(k+d)として、状態予測器23に
より算出される予測偏差量PREDTH(k)を用い、目
標値DTHR(k+d+1)として、最新の目標値DTHRを
用いることとする。
【0033】次に到達則入力Urch及び適応則入力U
adpにより、偏差状態量が安定に切換直線上に載せら
れるように、到達則制御ゲインF及び適応則制御ゲイン
Gの決定を行う。具体的には外乱V(k)を想定し、外乱
V(k)に対して切換関数値σ(k)が安定であるための条件
を求めることにより、ゲインF及びGの設定条件を求め
る。その結果、ゲインF及びGの組み合わせが、下記式
(12)〜(14)を満たすこと、換言すれば図5にハ
ッチングを付して示す領域内にあることが安定条件とし
て得られた。
【0034】 F>0 (12) G>0 (13) F<2−(ΔT/2)G (14) 以上のように、式(9)〜(11)により、等価制御入
力Ueq(k)、到達則入力Urch(k)及び適応則入力U
adp(k)を算出し、それらの入力の総和として、デュ
ーティ比DUT(k)を算出することができる。
【0035】モデルパラメータ同定器22は、前述した
ように制御対象の入力(DUT(k))及び出力(TH
(k))に基づいて、制御対象モデルのモデルパラメータ
ベクトルを算出する。具体的には、モデルパラメータ同
定器22は、下記式(15)による逐次型同定アルゴリ
ズム(一般化逐次型最小2乗法アルゴリズム)により、
モデルパラメータベクトルθ(k)を算出する。 θ(k)=θ(k-1)+KP(k)ide(k) (15) θ(k)T=[a1’,a2’,b1’,c1’] (16)
【0036】ここで、a1’,a2’,b1’及びC
1’は、後述するリミット処理を実施する前のモデルパ
ラメータである。またide(k)は、下記式(17)、
(18)及び(19)により定義される同定誤差であ
る。DTHHAT(k)は、最新のモデルパラメータベク
トルθ(k-1)を用いて算出される、スロットル弁開度偏
差量DTH(k)の推定値(以下「推定スロットル弁開度
偏差量」という)である。KP(k)は、下記式(20)
により定義されるゲイン係数ベクトルである。また、式
(20)のP(k)は、下記式(21)により算出される
4次の正方行列である。
【数2】
【数3】
【0037】式(21)の係数λ1,λ2の設定によ
り、式(15)〜(21)による同定アルゴリズムは、
以下のような4つの同定アルゴリズムのいずれかにな
る。 λ1=1,λ2=0 固定ゲインアルゴリズム λ1=1,λ2=1 最小2乗法アルゴリズム λ1=1,λ2=λ 漸減ゲインアルゴリズム(λは
0,1以外の所定値) λ1=λ,λ2=1 重み付き最小2乗法アルゴリズム
(λは0,1以外の所定値)
【0038】一方本実施形態では、下記B1)、B
2)、B3)の要求を満たすことが求められる。 B1)準静的動特性変化及びハードウエアの特性ばらつ
きに対する適応 「準静的動特性変化」とは、例えば電源電圧の変動やハ
ードウエアの経年劣化といった変化速度の遅い特性変化
を意味する。 B2)動的な動特性変化への適応 具体的には、スロットル弁開度THの変化に対応する動
特性変化への適応を意味する。 B3)モデルパラメータのドリフト防止 モデルパラメータに反映すべきでない制御対象の非線形
特性などに起因する同定誤差の影響によって、モデルパ
ラメータの絶対値が増大するような不具合を防止する。
【0039】先ず上記B1)及びB2)の要求を満たす
ために、係数λ1及びλ2をそれぞれ所定値λ及び
「0」に設定することにより、重み付き最小2乗法アル
ゴリズムを採用する。次にモデルパラメータのドリフト
について説明する。図6に示すように、モデルパラメー
タがある程度収束した後に、スロットル弁の摩擦特性な
どの非線形特性によって生じる残留同定誤差が存在した
り、平均値がゼロでない外乱が定常的に加わるような場
合には、残留同定誤差が蓄積し、モデルパラメータのド
リフトを引き起こす。
【0040】このような残留同定誤差は、モデルパラメ
ータの値に反映すべきものではないので、図7(a)に
示すような不感帯関数Fnlを用いて不感帯処理を行
う。具体的には、下記式(23)により、修正同定誤差
idenl(k)を算出し、この修正同定誤差idenl
(k)を用いてモデルパラメータベクトルθ(k)の算出を行
う。すなわち、上記式(15)に代えて下記式(15
a)を用いる。これにより、上記要求B3)を満たすこ
とができる。 idenl(k)=Fnl(ide(k)) (23) θ(k)=θ(k-1)+KP(k)idenl(k) (15a)
【0041】なお、不感帯関数Fnlは、図7(a)に
示すものに限るものではなく、例えば同図(b)に示す
ような不連続不感帯関数、または同図(c)に示すよう
な不完全不感帯関数を用いてもよい。ただし、不完全不
感帯関数を用いた場合には、ドリフトを完全に防止する
ことはできない。
【0042】また、残留同定誤差は、スロットル弁開度
THの変動量に応じてその振幅が変化する。そこで、本
実施形態では、図7に示す不感帯の幅を定義する不感帯
幅パラメータEIDNRLMTを、下記式(24)によ
り算出される、目標スロットル弁開度THRの変化量の
二乗平均値DDTHRSQAに応じて設定する(具体的
には、二乗平均値DDTHRSQAが増加するほど、不
感帯幅パラメータEIDNRLMTが増加するように設
定する)ようにしている。これにより、モデルパラメー
タの値に反映させるべき同定誤差を、残留同定誤差とし
て無視してしまうことを防止することができる。式(2
4)のDDTHRは、目標スロットル弁開度THRの変
化量であり、下記式(25)により算出される。
【数4】
【0043】ここで、スロットル弁開度偏差量DTHは
目標値DTHRへ適応スライディングモードコントロー
ラ21により制御されているため、同様に式(25)の
目標値DTHRをスロットル弁開度偏差量DTHへ変更
し、スロットル弁開度偏差量DTHの変化量DDTHを
算出し、式(24)のDDTHRをDDTHに代えて得
られる二乗平均値DDTHRSQAにより不感帯幅パラ
メータEIDNRLMTを変更することもできる。
【0044】また制御系のロバスト性をさらに高めるた
めには、適応スライディングモードコントローラ21を
より安定化させることが有効である。そこで本実施形態
では、前記式(15)により算出されたモデルパラメー
タベクトルθ(k)の各要素a1’,a2’,b1’及び
c1’についてリミット処理を施し、修正モデルパラメ
ータベクトルθL(k)(θL(k)T=[a1,a2,b
1,c1])を算出する。そして、適応スライディング
モードコントローラ21は、修正モデルパラメータベク
トルθL(k)を用いて、スライディングモード制御を実
行する。なおリミット処理の詳細については、フローチ
ャートを参照して後述する。
【0045】次に状態予測器23による予測偏差量PR
EDTHの算出方法を説明する。先ず下記式(26)〜
(29)により、マトリクスA及びBと、ベクトルX
(k)及びU(k)を定義する。
【数5】 これらのマトリクスA,Bと、ベクトルX(k),U(k)を
用いて、制御対象モデルを定義する前記式(1)を書き
直すと、下記式(30)が得られる。 X(k+1)=AX(k)+BU(k-d) (30)
【0046】式(30)からX(k+d)を求めると、下記
式(31)が得られる。
【数6】 ここで、リミット処理前のモデルパラメータa1’,a
2’,b1’及びc1’を用いてマトリクスA’及び
B’を下記式(32)及び(33)により定義すると、
予測ベクトルXHAT(k+d)は、下記式(34)で与え
られる。
【数7】
【0047】予測ベクトルXHAT(k+d)の第1行の要
素であるDTHHAT(k+d)が、予測偏差量PREDT
H(k)であり、下記式(35)で与えられる。 PREDTH(k)=DTHHAT(k+d) =α1×DTH(k)+α2×DTH(k-1) +β1×DUT(k-1)+β2×DUT(k-2)+…+βd×DUT(k-d) +γ1+γ2+…+γd (35) ここで、α1はマトリクスA’dの1行1列要素、α2
はマトリクスA’dの1行2列要素、βiはマトリクス
A’d-iB’の1行1列要素、γiはマトリクスA’d-i
B’の1行2列要素である。
【0048】式(35)により算出される予測偏差量P
REDTH(k)を、前記式(9)に適用し、さらに目標
値DTHR(k+d+1),DTHR(k+d),及びDTHR(k+d
-1)をそれぞれDTHR(k),DTHR(k-1),及びDT
HR(k-2)に置き換えることにより、下記式(9a)が
得られる。式(9a)により、等価制御入力Ueq(k)
を算出する。
【数8】
【0049】また、式(35)により算出される予測偏
差量PREDTH(k)を用いて、下記式(36)により
予測切替関数値σpre(k)を定義し、到達則入力Ur
ch(k)及び適応則入力Uadp(k)を、それぞれ下記式
(10a)及び(11a)により算出する。 σpre(k)=(PREDTH(k)−DTHR(k-1)) +VPOLE(PREDTH(k-1)−DTHR(k-2))(36)
【数9】
【0050】次にモデルパラメータc1’は、前述した
ように、デフォルト開度THDEFのずれ及び外乱を示
すパラメータである。したがって、図8に示すように、
外乱によって変動するが、デフォルト開度ずれは比較的
短い期間内でみればほぼ一定とみなせる。そこで、本実
施形態では、モデルパラメータc1’を統計処理し、そ
の変動の中心値をデフォルト開度ずれthdefadp
として算出し、スロットル弁開度偏差量DTH及び目標
値DTHRの算出に用いることとした。
【0051】統計処理の手法には、一般に最小2乗法が
知られているが、この最小2乗法による統計処理は、通
常、ある一定期間内のデータ、すなわち同定されたモデ
ルパラメータc1’をすべてメモリに格納しておき、あ
る時点で一括演算を行うことによって実行される。とこ
ろが、この一括演算法では、すべてのデータを格納する
ために膨大な容量のメモリが必要となり、さらに逆行列
演算が必要となって演算量の増大を招く。
【0052】そこで本実施形態では、前記式(15)〜
(21)で示される適応制御の逐次型最小2乗法アルゴ
リズムを、統計処理に応用し、モデルパラメータc1の
最小2乗中心値を、デフォルト開度ずれthdefad
pとして算出するようにしている。
【0053】具体的には、前記式(15)〜(21)の
θ(k)及びθ(k)Tをthdefadpに置換し、ζ(k)及
びζ(k)Tを「1」に置換し、ide(k)をec1(k)に置
換し、KP(k)をKPTH(k)に置換し、P(k)をPTH
(k)に置換し、λ1及びλ2をそれぞれλ1’及びλ
2’に置換することにより、下記式(37)〜(40)
を得る。
【数10】
【0054】係数λ1’及びλ2’の設定により、前述
した4つのアルゴリズムの何れかを選択可能であるが、
式(39)においては、係数λ1’を0または1以外の
所定値に設定し、係数λ2’を1に設定することによ
り、重み付き最小2乗法を採用した。
【0055】上記式(37)〜(40)の演算において
は、記憶すべき値はthdefadp(k+1)及びPTH
(k+1)のみであり、また逆行列演算は不要である。した
がって、逐次型最小2乗法アルゴリズムを採用すること
により、一般的な最小2乗法の欠点を克服しつつ、最小
2乗法によるモデルパラメータc1の統計処理を行うこ
とができる。
【0056】統計処理の結果得られるデフォルト開度ず
れthdefadpは、前記式(2)及び(3)に適用
され、式(2)及び(3)に代えて下記式(41)及び
(42)により、スロットル弁開度偏差量DTH(k)及
び目標値DTHR(k)が算出される。 DTH(k)=TH(k)−THDEF+thdefadp (41) DTHR(k)=THR(k)−THDEF+thdefadp (42)
【0057】式(41)及び(42)を使用することに
より、デフォルト開度THDEFが、ハードウエアの特
性ばらつき、あるいは経時変化により、設計値からずれ
た場合でも、そのずれを補償して正確な制御を行うこと
ができる。
【0058】次に上述した適応スライディングモードコ
ントローラ21、モデルパラメータ同定器22及び状態
予測器23の機能を実現するための、ECU7のCPU
における演算処理を説明する。
【0059】図9は、スロットル弁開度制御の全体フロ
ーチャートであり、この処理は所定時間(例えば2ms
ec)毎にECU7のCPUで実行される。ステップS
11では、図10に示す状態変数設定処理を実行する。
すなわち、式(41)及び(42)の演算を実行し、ス
ロットル弁開度偏差量DTH(k)及び目標値DTHR(k)
を算出する(図10,ステップS21及びS22)。な
お、今回値であることを示す(k)は、省略して示す場合
がある。
【0060】ステップS12では、図11に示すモデル
パラメータ同定器の演算、すなわち前記式(15a)に
よるモデルパラメータベクトルθ(k)の算出処理を実行
し、さらにリミット処理を実行して修正モデルパラメー
タベクトルθL(k)を算出する。
【0061】続くステップS13では、図21に示す状
態予測器の演算を実行し、予測偏差量PREDTH(k)
を算出する。次いでステップS12で算出した修正モデ
ルパラメータベクトルθL(k)を用いて、図22に示す
制御入力Usl(k)の演算処理を実行する(ステップS
14)。すなわち、等価制御入力Ueq、到達則入力U
rch(k)及び適応則入力Uadp(k)を算出し、それら
の入力の総和として、制御入力Usl(k)(=デューテ
ィ比DUT(k))を算出する。
【0062】続くステップS16では、図29に示すス
ライディングモードコントローラの安定判別処理を実行
する。すなわち、リアプノフ関数の微分値に基づく安定
判別を行い、安定判別フラグFSMCSTABの設定を
行う。この安定判別フラグFSMCSTABは、「1」
に設定されると適応スライディングモードコントローラ
21が不安定となっていることを示す。安定判別フラグ
FSMCSTABが「1」に設定され、適応スライディ
ングモードコントローラ21が不安定となったときは、
切換関数設定パラメータVPOLEを安定化所定値XP
OLESTBに設定する(図24、ステップS231,
S232参照)とともに、等価制御入力Ueqを「0」
とし、到達則入力Urch及び適応則入力Uadpのみ
による制御に切り換えることにより、制御の安定化を図
る(図22、ステップS206,S208参照)。適応
スライディングモードコントローラ21が不安定となっ
たときは、さらに到達則入力Urch及び適応則入力U
adpの算出式を変更する。すなわち、到達則制御ゲイ
ンF及び適応則制御ゲインGの値を、コントローラ21
を安定化させる値に変更するとともに、モデルパラメー
タb1を使用しないで、到達則入力Urch及び適応則
入力Uadpを算出する(図27,28参照)。以上の
ような安定化処理により、適応スライディングモードコ
ントローラ21の不安定状態を早期に終息させ、安定な
状態に戻すことができる。ステップS17では、図30
に示すthdefadp算出処理を実行し、デフォルト
開度ずれthdefadpを算出する。
【0063】図11は、モデルパラメータ同定器22の
演算処理のフローチャートである。ステップS31で
は、式(20)によりゲイン係数ベクトルKP(k)を算
出し、次いで式(18)により推定スロットル弁開度偏
差量DTHHAT(k)を算出する(ステップS32)。
ステップS33では、図12に示すidenl(k)の演
算処理を実行し、ステップS32で算出した推定スロッ
トル弁開度偏差量DTHHAT(k)を、式(17)に適
用して同定誤差ide(k)を算出するとともに、図7
(a)に示す関数を用いた不感帯処理を行い、修正同定
誤差idenlを算出する。
【0064】続くステップS34では、式(15a)に
より、モデルパラメータベクトルθ(k)を算出し、次い
でモデルパラメータベクトルθ(k)の安定化処理を実行
する(ステップS35)。すなわち各モデルパラメータ
のリミット処理を行って修正モデルパラメータベクトル
θL(k)を算出する。
【0065】図12は、図11のステップS33で実行
されるidenl(k)演算処理のフローチャートであ
る。ステップS51では、式(17)により同定誤差i
de(k)を算出する。次いで、ステップS53でインク
リメントされるカウンタCNTIDSTの値が、制御対
象のむだ時間dに応じて設定される所定値XCNTID
ST(例えば、むだ時間d=2に対応して、「3」に設
定される)より大きいか否かを判別する(ステップS5
2)。カウンタCNTIDSTの初期値は「0」である
ので、最初はステップS53に進み、カウンタCNTI
DSTを「1」だけインクリメントし、同定誤差ide
(k)を「0」に設定して(ステップS54)、ステップ
S55に進む。モデルパラメータベクトルθ(k)の同定
を開始した直後は、式(17)による演算で正しい同定
誤差が得られないので、ステップS52〜S54によ
り、式(17)による演算結果を用いずに同定誤差id
e(k)を「0」に設定するようにしている。
【0066】ステップS52の答が肯定(YES)とな
ると、直ちにステップS55に進む。ステップS55で
は、同定誤差ide(k)のローパスフィルタ処理を行
う。具体的には、ローパス特性を有する制御対象のモデ
ルパラメータを同定する場合、最小2乗同定アルゴリズ
ムの同定誤差ide(k)に対する同定重みは、図13
(a)に実線L1で示すような周波数特性を有するが、
これをローパスフィルタ処理により、破線L2で示すよ
うに高周波成分を減衰させた特性とする。これは、以下
の理由による。
【0067】実際の制御対象及びこれをモデル化した制
御対象モデルの周波数特性は、それぞれ図13(b)に
実線L3及びL4で示すようになる。すなわち、ローパ
ス特性(高周波成分が減衰する特性)を有する制御対象
について、モデルパラメータ同定器22によりモデルパ
ラメータを同定すると、同定されたモデルパラメータは
高周波域阻止特性に大きく影響されたものとなるため、
低周波域での制御対象モデルのゲインが実際の特性より
低くなる。その結果、スライディングモードコントロー
ラ21による制御入力の補正が過補正となる。
【0068】そこで、ローパスフィルタ処理により同定
アルゴリズムの重みの周波数特性を、図13(a)に破
線L2で示すような特性とすることにより、制御対象モ
デルの周波数特性を、同図(b)に破線L5で示すよう
な特性とし、実際の周波数特性と一致させ、あるいは制
御対象モデルのゲインが実際のゲインよりやや高くなる
ように修正することとした。これにより、コントローラ
21による過補正を防止し、制御系のロバスト性を高め
て制御系をより安定化させることができる。
【0069】なお、ローパスフィルタ処理は、同定誤差
の過去値ide(k-i)(例えばi=1〜10に対応する1
0個の過去値)をリングバッファに記憶し、それらの過
去値に重み係数を乗算して加算することにより実行す
る。さらに、同定誤差ide(k)は、前記式(17)、
(18)及び(19)を用いて算出しているため、スロ
ットル弁開度偏差量DTH(k)と、推定スロットル弁開
度偏差量DTHHAT(k)とに同様のローパスフィルタ
処理を行うこと、あるいは、スロットル弁開度偏差量D
TH(k-1)及びDTH(k-2)と、デューティ比DUT(k
-d-1)とに同様のローパスフィルタ処理を行うことによ
っても同様の効果が得られる。
【0070】図12に戻り、続くステップS56では、
図14に示す不感帯処理を実行する。図14のステップ
S61では、前記式(24)において例えばn=5とし
て、目標スロットル弁開度THRの変化量の二乗平均値
DDTHRSQAを算出し、次いで二乗平均値DDTH
RSQAに応じて図15に示すEIDNRLMTテーブ
ルを検索し、不感帯幅パラメータEIDNRLMTを算
出する(ステップS62)。
【0071】ステップS63では、同定誤差ide(k)
が不感帯幅パラメータEIDNRLMTより大きいか否
かを判別し、ide(k)>EIDNRLMTであるとき
は、下記式(43)により、修正同定誤差idenl
(k)算出する(ステップS67)。 idenl(k)=ide(k)−EIDNRLMT (43)
【0072】ステップS63の答が否定(NO)である
ときは、さらに同定誤差ide(k)が不感帯幅パラメー
タEIDNRLMTに負号を付した値より小さいか否か
を判別し(ステップS64)、ide(k)<−EIDN
RLMTであるときは、下記式(44)により、修正同
定誤差idenl(k)算出する(ステップS65)。 idenl(k)=ide(k)+EIDNRLMT (44) また同定誤差ide(k)が±EIDNRLMTの範囲内
にあるときは、修正同定誤差idenl(k)を「0」と
する(ステップS66)。
【0073】図16は、図11のステップS35で実行
されるθ(k)の安定化処理のフローチャートである。ス
テップS71では、この処理で使用されるフラグFA1
STAB,FA2STAB,FB1LMT及びFC1L
MTをそれぞれ「0」に設定することにより、初期化を
行う。そして、ステップS72では、図17に示すa
1’及びa2’のリミット処理を実行し、ステップS7
3では、図19に示すb1’のリミット処理を実行し、
ステップS74では、図20に示すc1’のリミット処
理を実行する。
【0074】図17は、図16のステップS72で実行
されるa1’及びa2’のリミット処理のフローチャー
トである。図18は、図17の処理を説明するための図
であり、図17とともに参照する。
【0075】図18においては、リミット処理が必要な
モデルパラメータa1’とa2’の組み合わせが「×」
で示され、また安定なモデルパラメータa1’及びa
2’の組み合わせの範囲がハッチングを付した領域(以
下「安定領域」という)で示されている。図17の処理
は、安定領域外にあるモデルパラメータa1’及びa
2’の組み合わせを、安定領域内(「○」で示す位置)
に移動させる処理である。
【0076】ステップS81では、モデルパラメータa
2’が、所定a2下限値XIDA2L以上か否かを判別
する。所定a2下限値XIDA2Lは、「−1」より大
きい負の値に設定される。所定a2下限値XIDA2L
は、「−1」に設定しても、安定な修正モデルパラメー
タa1,a2が得られるが、前記式(26)で定義され
る行列Aのn乗が不安定となる(これは、a1’及びa
2’が発散はしないが振動することを意味する)場合が
あるので、「−1」より大きな値に設定される。
【0077】ステップS81でa2’<XIDA2Lで
あるときは、修正モデルパラメータa2を、この下限値
XIDA2Lに設定するとともに、a2安定化フラグF
A2STABを「1」に設定する。a2安定化フラグF
A2STABは「1」に設定されると、修正モデルパラ
メータa2を下限値XIDA2Lに設定したことを示
す。図18においては、ステップS81及びS82のリ
ミット処理P1によるモデルパラメータの修正が、「P
1」を付した矢線(矢印を付した線)で示されている。
【0078】ステップS81の答が肯定(YES)、す
なわちa2’≧XIDA2Lであるときは、修正モデル
パラメータa2はモデルパラメータa2’に設定される
(ステップS83)。ステップS84及びステップS8
5では、モデルパラメータa1’が、所定a1下限値X
IDA1Lと所定a1上限値XIDA1Hできまる範囲
内にあるか否かを判別する。所定a1下限値XIDA1
Lは、−2以上且つ0より小さい値に設定され、所定a
1上限値XIDA1Hは、例えば2に設定される。
【0079】ステップS84及びS85の答がいずれも
肯定(YES)であるとき、すなわちXIDA1L≦a
1’≦XIDA1Hであるときは、修正モデルパラメー
タa1はモデルパラメータa1’に設定される(ステッ
プS88)。一方a1’<XIDA1Lであるときは、
修正モデルパラメータa1を下限値XIDA1Lに設定
するとともに、a1安定化フラグFA1STABを
「1」に設定する(ステップS84,S86)。またa
1’>XIDA1Hであるときは、修正モデルパラメー
タa1を上限値XIDA1Hに設定するとともに、a1
安定化フラグFA1STABを「1」に設定する(ステ
ップS85,S87)。a1安定化フラグFA1STA
Bは、「1」に設定されると、修正モデルパラメータa
1を下限値XIDA1Lまたは上限値XIDA1Hに設
定したことを示す。図18においては、ステップS84
〜S87のリミット処理P2によるモデルパラメータの
修正が、「P2」を付した矢線で示されている。
【0080】ステップS90では、修正モデルパラメー
タa1の絶対値と修正モデルパラメータa2の和が、所
定安定判定値XA2STAB以下であるか否かを判別す
る。所定安定判定値XA2STABは、「1」に近く
「1」より小さい値(例えば0.99)に設定される。
【0081】図18に示す直線L1及びL2は、下記式
(45)を満たす直線である。 a2+|a1|=XA2STAB (45) したがって、ステップS90は、修正モデルパラメータ
a1及びa2の組み合わせが、図18に示す直線L1及
びL2の線上またはその下側にあるか否かを判別してい
る。ステップS90の答が肯定(YES)であるとき
は、修正モデルパラメータa1及びa2の組み合わせ
は、図18の安定領域内にあるので、直ちに本処理を終
了する。
【0082】一方ステップS90の答が否定(NO)で
あるときは、修正モデルパラメータa1が、所定安定判
定値XA2STABから所定a2下限値XIDA2Lを
減算した値(XIDA2L<0であるので、XA2ST
AB−XIDA2L>XA2STABが成立する)以下
か否かを判別する(ステップS91)。そして修正モデ
ルパラメータa1が(XA2STAB−XIDA2L)
以下であるときは、修正モデルパラメータa2を(XA
2STAB−|a1|)に設定するとともに、a2安定
化フラグFA2STABを「1」に設定する(ステップ
S92)。
【0083】ステップS91で修正モデルパラメータa
1が(XA2STAB−XIDA2L)より大きいとき
は、修正モデルパラメータa1を(XA2STAB−X
IDA2L)に設定し、修正モデルパラメータa2を所
定a2下限値XIDA2Lに設定するとともに、a1安
定化フラグFA1STAB及びa2安定化フラグFA2
STABをともに「1」に設定する(ステップS9
3)。
【0084】図18においては、ステップS91及びS
92のリミット処理P3によるモデルパラメータの修正
が、「P3」を付した矢線で示されており、またステッ
プS91及びS93のリミット処理P4によるモデルパ
ラメータの修正が、「P4」を付した矢線で示されてい
る。
【0085】以上のように図17の処理により、モデル
パラメータa1’及びa2’が図18に示す安定領域内
に入るようにリミット処理が実行され、修正モデルパラ
メータa1及びa2が算出される。
【0086】図19は、図16のステップS73で実行
されるb1’のリミット処理のフローチャートである。
ステップS101及びS102では、モデルパラメータ
b1’が、所定b1下限値XIDB1Lと所定b1上限
値XIDB1Hできまる範囲内にあるか否かを判別す
る。所定b1下限値XIDB1Lは、正の所定値(例え
ば0.1)に設定され、所定b1上限値XIDB1H
は、例えば「1」に設定される。
【0087】ステップS101及びS102の答がいず
れも肯定(YES)であるとき、すなわちXIDB1L
≦b1’≦XIDB1Hであるときは、修正モデルパラ
メータb1はモデルパラメータb1’に設定される(ス
テップS105)。一方b1’<XIDB1Lであると
きは、修正モデルパラメータb1を下限値XIDB1L
に設定するとともに、b1リミットフラグFB1LMT
を「1」に設定する(ステップS101,S104)。
またb1’>XIDB1Hであるときは、修正モデルパ
ラメータb1を上限値XIDB1Hに設定するととも
に、b1リミットフラグFB1LMTを「1」に設定す
る(ステップS102,S103)。b1リミットフラ
グFB1LMTは、「1」に設定されると、修正モデル
パラメータb1を下限値XIDB1Lまたは上限値XI
DB1Hに設定したことを示す。
【0088】図20は、図16のステップS74で実行
されるモデルパラメータc1’のリミット処理のフロー
チャートである。ステップS111及びS112では、
モデルパラメータc1’が、所定c1下限値XIDC1
Lと所定c1上限値XIDC1Hできまる範囲内にある
か否かを判別する。所定c1下限値XIDC1Lは、例
えば−60に設定され、所定c1上限値XIDC1H
は、例えば60に設定される。
【0089】ステップS111及びS112の答がいず
れも肯定(YES)であるとき、すなわちXIDC1L
≦c1’≦XIDC1Hであるときは、修正モデルパラ
メータc1はモデルパラメータc1’に設定される(ス
テップS115)。一方c1’<XIDC1Lであると
きは、修正モデルパラメータc1を下限値XIDC1L
に設定するとともに、c1リミットフラグFC1LMT
を「1」に設定する(ステップS111,S114)。
またc1’>XIDC1Hであるときは、修正モデルパ
ラメータc1を上限値XIDC1Hに設定するととも
に、c1リミットフラグFC1LMTを「1」に設定す
る(ステップS112,S113)。c1リミットフラ
グFC1LMTは、「1」に設定されると、修正モデル
パラメータc1を下限値XIDC1Lまたは上限値XI
DC1Hに設定したことを示す。
【0090】図21は、図9のステップS13で実行さ
れる状態予測器の演算処理のフローチャートである。ス
テップS121では、マトリクス演算を実行して前記式
(35)の行列要素α1,α2,β1〜β2、及びγ1
〜γdを算出する。ステップS122では、式(35)
により、予測偏差量PREDTH(k)を算出する。
【0091】図22は、図9のステップS14で実行さ
れる、スロットル弁駆動装置10への制御入力Usl
(=DUT)を算出する処理のフローチャートである。
ステップS201では、図23に示す予測切換関数値σ
preの演算処理を実行し、ステップS202では、図
26に示す予測切換関数値σpreの積算値の演算処理
を実行する。ステップS203では、前記式(9)によ
り、等価制御入力Ueqを算出する。ステップS204
では、図27に示す到達則入力Urchの演算処理を実
行し、ステップS205では、図28に示す適応則入力
Uadpの演算処理を実行する。
【0092】ステップS206では、後述する図29の
処理で設定される安定判別フラグFSMCSTABが
「1」であるか否かを判別する。安定判別フラグFSM
CSTABは、「1」に設定されると、適応スライディ
ングモードコントローラ21が不安定となっていること
を示す。
【0093】ステップS206でFSMCSTAB=0
であって適応スライディングモードコントローラ21が
安定であるときは、ステップS203〜S205で算出
された制御入力Ueq,Urch及びUadpを加算す
ることにより、制御入力Uslを算出する(ステップS
207)。
【0094】一方FSMCSTAB=1であって適応ス
ライディングモードコントローラ21が不安定となって
いるときは、到達則入力Urch及び適応則入力Uad
pの和を、制御入力Uslとして算出する。すなわち、
等価制御入力Ueqを、制御入力Uslの算出に使用し
ないようにする。これにより、制御系が不安定化するこ
とを防止することができる。
【0095】続くステップS209及びS210では、
算出した制御入力Uslが所定上下限値XUSLH及び
XUSLLの範囲内にあるか否かを判別し、制御入力U
slが所定上下限値の範囲内にあるときは、直ちに本処
理を終了する。一方、制御入力Uslが所定下限値XU
SLL以下であるときは、制御入力Uslを所定下限値
XUSLLに設定し(ステップS209,S212)、
制御入力Uslが所定上限値XUSLH以上であるとき
は、制御入力Uslを所定上限値XUSLHに設定する
(ステップS210,S211)。
【0096】図23は、図22のステップS201で実
行される予測切換関数値σpreの演算処理のフローチ
ャートである。ステップS221では、図24に示す切
換関数設定パラメータVPOLEの演算処理を実行し、
次いで前記式(36)により、予測切換関数値σpre
(k)の演算を実行する(ステップS222)。
【0097】続くステップS223及びS224では、
算出した予測切換関数値σpre(k)が所定上下限値X
SGMH及びXSGMLの範囲内にあるか否かを判別
し、予測切換関数値σpre(k)が所定上下限値の範囲
内にあるときは、直ちに本処理を終了する。一方、予測
切換関数値σpre(k)が所定下限値XSGML以下で
あるときは、予測切換関数値σpre(k)を所定下限値
XSGMLに設定し(ステップS223,S225)、
予測切換関数値σpre(k)が所定上限値XSGMH以
上であるときは、予測切換関数値σpre(k)を所定上
限値XSGMHに設定する(ステップS224,S22
6)。
【0098】図24は、図23のステップS221で実
行される切換関数設定パラメータVPOLEの演算処理
のフローチャートである。ステップS231では、安定
判別フラグFSMCSTABが「1」であるか否かを判
別し、FSMCSTAB=1であって適応スライディン
グモードコントローラ21が不安定となっているとき
は、切換関数設定パラメータVPOLEを安定化所定値
XPOLESTBに設定する(ステップS232)。安
定化所定値XPOLESTBは、「−1」より大きく
「−1」に非常に近い値(例えば−0.999)に設定
される。
【0099】FSMCSTAB=0であって適応スライ
ディングモードコントローラ21が安定であるときは、
下記式(46)により目標値DTHR(k)の変化量DD
THR(k)を算出する(ステップS233)。 DDTHR(k)=DTHR(k)−DTHR(k-1) (46) ステップS234では、スロットル弁開度偏差量DTH
及びステップS233で算出される目標値の変化量DD
THRに応じてVPOLEマップを検索し、切換関数設
定パラメータVPOLEを算出する。VPOLEマップ
は、図25(a)に示すように、スロットル弁開度偏差
量DTHが0近傍の値をとるとき(スロットル弁開度T
Hがデフォルト開度THDEF近傍の値をとるとき)増
加し、0近傍以外の値ではスロットル弁開度偏差量DT
Hの変化に対してはほぼ一定の値となるように設定され
ている。またVPOLEマップは、同図(b)に実線で
示すように、目標値の変化量DDTHRが増加するほ
ど、VPOLE値が増加するように設定されているが、
スロットル弁開度偏差量DTHが0近傍の値をとるとき
には、同図に破線で示すように目標値の変化量DDTH
Rが0近傍の値をとるときに増加するように設定されて
いる。
【0100】すなわち、スロットル弁開度の目標値DT
HRが減少方向の変化が大きいときには、切換関数設定
パラメータVPOLEは比較的小さな値に設定される。
これにより、スロットル弁3がスロットル全閉ストッパ
に衝突することを防止することができる。また、デフォ
ルト開度THDEF近傍においては、切換関数設定パラ
メータVPOLEが比較的大きな値に設定され、デフォ
ルト開度THDEF近傍における制御性を向上させるこ
とができる。
【0101】なお、同図(c)に示すように、スロット
ル弁開度THが全閉開度近傍または全開開度近傍にある
ときは、切換関数設定パラメータVPOLEを減少させ
るように設定してもよい。これにより、スロットル弁開
度THが全閉開度近傍または全開開度近傍にあるとき
は、目標開度THRに対する追従速度が遅くなり、スロ
ットル弁3の全閉ストッパ(全開開度でもストッパとし
て機能する)への衝突防止をより確実にすることができ
る。
【0102】続くステップS235及びS236では、
算出した切換関数設定パラメータVPOLEが所定上下
限値XPOLEH及びXPOLELの範囲内にあるか否
かを判別し、切換関数設定パラメータVPOLEが所定
上下限値の範囲内にあるときは、直ちに本処理を終了す
る。一方、切換関数設定パラメータVPOLEが所定下
限値XPOLEL以下であるときは、切換関数設定パラ
メータVPOLEを所定下限値XPOLELに設定し
(ステップS235,S237)、切換関数設定パラメ
ータVPOLEが所定上限値XPOLEH以上であると
きは、切換関数設定パラメータVPOLEを所定上限値
XPOLEHに設定する(ステップS236,S23
8)。
【0103】図26は、図22のステップS202で実
行される、予測切換関数値σpreの積算値SUMSI
GMAを算出する処理のフローチャートである。積算値
SUMSIGMAは、後述する図28の処理で適応則入
力Uadpの算出に使用される(前記式(11a)参
照)。
【0104】ステップS241では、下記式(47)に
より、積算値SUMSIGMAを算出する。下記式のΔ
Tは、演算の実行周期である。 SUMSIGMA(k)=SUMSIGMA(k-1)+σpre×ΔT (47) 続くステップS242及びS243では、算出した積算
値SUMSIGMAが所定上下限値XSUMSH及びX
SUMSLの範囲内にあるか否かを判別し、積算値SU
MSIGMAが所定上下限値の範囲内にあるときは、直
ちに本処理を終了する。一方、積算値SUMSIGMA
が所定下限値XSUMSL以下であるときは、積算値S
UMSIGMAを所定下限値XSUMSLに設定し(ス
テップS242,S244)、積算値SUMSIGMA
が所定上限値XSUMSH以上であるときは、積算値S
UMSIGMAを所定上限値XSUMSHに設定する
(ステップS243,S245)。
【0105】図27は、図22のステップS204で実
行される到達則入力Urchの演算処理のフローチャー
トである。ステップS261では、安定判別フラグFS
MCSTABが「1」であるか否かを判別する。安定判
別フラグFSMCSTABが「0」であって適応スライ
ディングモードコントローラ21が安定であるときは、
制御ゲインFを所定通常ゲインXKRCHに設定し(ス
テップS262)、下記式(48)(前記式(10a)
と同一の式)により、到達則入力Urchを算出する
(ステップS263)。 Urch=−F×σpre/b1 (48)
【0106】一方安定判別フラグFSMCSTABが
「1」であって適応スライディングモードコントローラ
21が不安定となったときは、制御ゲインFを、所定安
定化ゲインXKRCHSTBに設定し(ステップS26
4)、モデルパラメータb1を使わない下記式(49)
により到達則入力Urchを算出する(ステップS26
5)。 Urch=−F×σpre (49)
【0107】続くステップS266及びS267では、
算出した到達則入力Urchが所定上下限値XURCH
H及びXURCHLの範囲内にあるか否かを判別し、到
達則入力Urchが所定上下限値の範囲内にあるとき
は、直ちに本処理を終了する。一方、到達則入力Urc
hが所定下限値XURCHL以下であるときは、到達則
入力Urchを所定下限値XURCHLに設定し(ステ
ップS266,S268)、到達則入力Urchが所定
上限値XURCHH以上であるときは、到達則入力Ur
chを所定上限値XURCHHに設定する(ステップS
267,S269)。
【0108】このように適応スライディングモードコン
トローラ21が不安定となったときは、制御ゲインFを
所定安定化ゲインXKRCHSTBに設定するととも
に、モデルパラメータb1を使用しないで到達則入力U
rchを算出することにより、適応モデルパラメータコ
ントローラ21を安定な状態に戻すことができる。モデ
ルパラメータ同定器22による同定が不安定となった場
合に、適応スライディングモードコントローラ21が不
安定となるので、不安定となったモデルパラメータb1
を使わないことによって、適応スライディングモードコ
ントローラ21を安定化することができる。
【0109】図28は、図22のステップS205で実
行される適応則入力Uadpの演算処理のフローチャー
トである。ステップS271では、安定判別フラグFS
MCSTABが「1」であるか否かを判別する。安定判
別フラグFSMCSTABが「0」であって適応スライ
ディングモードコントローラ21が安定であるときは、
制御ゲインGを所定通常ゲインXKADPに設定し(ス
テップS272)、下記式(50)(前記式(11a)
に対応する式)により、適応則入力Uadpを算出する
(ステップS273)。 Uadp=−G×SUMSIGMA/b1 (50)
【0110】一方安定判別フラグFSMCSTABが
「1」であって適応スライディングモードコントローラ
21が不安定となったときは、制御ゲインGを、所定安
定化ゲインXKADPSTBに設定し(ステップS27
4)、モデルパラメータb1を使わない下記式(51)
により適応則入力Uadpを算出する(ステップS27
5)。 Uadp=−G×SUMSIGMA (51)
【0111】このように適応スライディングモードコン
トローラ21が不安定となったときは、制御ゲインGを
所定安定化ゲインXKADPSTBに設定するととも
に、モデルパラメータb1を使用しないで適応則入力U
adpを算出することにより、適応モデルパラメータコ
ントローラ21を安定な状態に戻すことができる。
【0112】図29は、図9のステップS16で実行さ
れるスライディングモードコントローラの安定判別処理
のフローチャートである。この処理では、リアプノフ関
数の微分項に基づく安定判別を行い、安定判別フラグF
SMCSTABの設定を行う。
【0113】ステップS281では下記式(52)によ
り、切換関数変化量Dσpreを算出し、次いで下記式
(53)により、安定性判別パラメータSGMSTAB
を算出する(ステップS282)。 Dσpre=σpre(k)−σpre(k-1) (52) SGMSTAB=Dσpre×σpre(k) (53) ステップS283では、安定性判別パラメータSGMS
TABが安定性判定閾値XSGMSTAB以下か否かを
判別し、SGMSTAB>XSGMSTABであるとき
は、コントローラ21が不安定である可能性があると判
定して不安定検知カウンタCNTSMCSTを「1」だ
けインクリメントする(ステップS285)。また、S
GMSTAB≦XSGMSTABであるときは、コント
ローラ21が安定であると判定して不安定検知カウンタ
CNTSMCSTのカウント値をインクリメントするこ
となく保持する(ステップS284)。
【0114】ステップS286では、不安定検知カウン
タCNTSMCSTの値が所定カウント値XSSTAB
以下か否かを判別する。CNTSMCST≦XSSTA
Bであるときは、コントローラ21は安定していると判
定し、第1判定フラグFSMCSTAB1を「0」に設
定する(ステップS287)。一方CNTSMCST>
XSSTABであるときは、コントローラ21は不安定
となっていると判定し、第1判定フラグFSMCSTA
B1を「1」に設定する(ステップS288)。なお、
不安定検知カウンタCNTSMCSTは、イグニッショ
ンスイッチオン時にそのカウント値が「0」に初期化さ
れる。
【0115】続くステップS289では、安定判別期間
カウンタCNTJUDSTを「1」だけデクリメント
し、次いでその安定判別期間カウンタCNTJUDST
の値が「0」であるか否かを判別する(ステップS29
0)。安定判別期間カウンタCNTJUDSTは、イグ
ニッションスイッチオン時に所定判別カウント値XCJ
UDSTに初期化される。したがって、最初はステップ
S290の答は否定(NO)となり、直ちにステップS
295に進む。
【0116】その後安定判別期間カウンタCNTJUD
STが「0」となると、ステップS290からステップ
S291に進み、第1判定フラグFSMCSTAB1が
「1」であるか否かを判別する。そして、第1判定フラ
グFSMCSTAB1が「0」であるときは、第2判定
フラグFSMCSTAB2を「0」に設定し(ステップ
S293)、第1判定フラグFSMCSTAB1が
「1」であるときは、第2判定フラグFSMCSTAB
2を「1」に設定する(ステップS292)。
【0117】続くステップS294では、安定判別期間
カウンタCNTJUDSTの値を所定判別カウント値X
CJUDSTに設定するとともに、不安定検知カウンタ
CNTSMCSTの値を「0」に設定し、ステップS2
95に進む。ステップS295では、安定判別フラグF
SMCSTABを、第1判定フラグFSMCSTAB1
と第2判定フラグFSMCSTAB2の論理和に設定す
る。第2判定フラグFSMCSTAB2は、ステップS
286の答が肯定(YES)となり、第1判定フラグF
SMCSTAB1が「0」に設定されても、安定判別期
間カウンタCNTJUDSTの値が「0」となるまで
は、「1」に維持される。したがって、安定判別フラグ
FSMCSTABも、安定判別期間カウンタCNTJU
DSTの値が「0」となるまでは、「1」に維持され
る。
【0118】図30は、図9のステップS17で実行さ
れるデフォルト開度ずれthdefadpの算出処理の
フローチャートである。ステップS251では、下記式
(54)により、ゲイン係数KPTH(k)を算出する。 KPTH(k)=PTH(k-1)/(1+PTH(k-1)) (54)
【0119】ここでPTH(k-1)は、本処理の前回実行
時にステップS253で算出されたゲインパラメータで
ある。ステップS252では、図11に示すモデルパラ
メータ同定器演算処理で算出されるモデルパラメータC
1’及びステップS251で算出したゲイン係数KPT
H(k)を下記式(55)に適用し、デフォルト開度ずれ
thdefadp(k)を算出する。 thdefadp(k)=thdefadp(k-1) +KPTH(k)×(c1’−thdefadp(k-1)) (55)
【0120】ステップS253では、下記式(56)に
よりゲインパラメータPTH(k)を算出する。 PTH(k)=(1−PTH(k-1)/(XDEFADPW+PTH(k-1))) ×PTH(k-1)/XDEFADPW (56) 式(56)は、前記式(39)においてλ1’及びλ
2’を、それぞれ所定値XDEFADPW及び「1」に
設定したものである。図30の処理により、モデルパラ
メータc1’が逐次型重み付き最小2乗法により統計処
理され、デフォルト開度ずれthdefadpが算出さ
れる。
【0121】(第2の実施形態)上述した第1の実施形
態では、制御対象モデルをむだ時間dを含む式(1)を
用いて定義し、状態予測器23を用いて、むだ時間d経
過後の予測偏差量PREDTHを算出することにより、
むだ時間を含む制御対象モデルの制御を行っている。そ
のため、状態予測器23に対応した演算をCPUで実行
する必要があり、CPUの演算量が大きくなる。そこ
で、本実施形態では、CPUに加わる演算負荷の軽減を
図るべく、むだ時間dを「0」とした下記式(1a)に
より制御対象モデルを定義し、むだ時間dを「0」とす
ることに起因するモデル化誤差は、適応スライディング
モード制御のロバスト性によって補償している。 DTH(k+1)=a1×DTH(k)+a2×DTH(k-1) +b1×DUT(k)+c1 (1a)
【0122】CPUの演算負荷をさらに軽減するため
に、モデルパラメータの同定アルゴリズムとして、固定
ゲインアルゴリズムを採用している。また、より一層の
制御の安定化を図るべく、モデルパラメータのドリフト
を防止する手法として、不感帯処理に変わる他の手法を
採用している。以下本実施形態を、第1の実施形態と異
なる点を中心として詳細に説明する。以下に述べる点以
外は、第1の実施形態と同一である。
【0123】図31は、ECU7により実現されるスロ
ットル弁制御装置の機能ブロック図であり、この制御装
置は、適応スライディングモードコントローラ21a
と、モデルパラメータ同定器22aと、モデルパラメー
タスケジューラ25と、アクセルペダル踏み込み量AC
Cに応じてスロットル弁3の目標開度THRを設定する
目標開度設定部24とからなる。
【0124】適応スライディングモードコントローラ2
1aには、予測偏差量PREDTHではなく、検出した
スロットル弁開度THが入力され、このスロットル弁開
度THが目標開度THRと一致するように、適応スライ
ディングモード制御によりデューティ比DUTが算出さ
れる。
【0125】適応スライディングモードコントローラ2
1aを用いることにより、第1の実施形態で説明した効
果と同様の効果が得られ、また制御対象のむだ時間に対
する制御系のロバスト性を確保することができる。した
がって、むだ時間dを「0」とすることに起因するモデ
ル化誤差を補償することができる。
【0126】モデルパラメータ同定器22aは、第1の
実施形態とは異なる手法で、修正モデルパラメータベク
トルθL(θLT=[a1,a2,b1,c1])を算
出し、適応スライディングモードコントローラ21aに
供給する。より具体的には、モデルパラメータ同定器2
2aは、モデルパラメータスケジューラ25から供給さ
れる基準モデルパラメータベクトルθbaseを、スロ
ットル弁開度TH及びデューティ比DUTに基づいて補
正することにより、モデルパラメータベクトルθを算出
する。さらに、そのモデルパラメータベクトルθに対し
てリミット処理を行うことにより修正モデルパラメータ
ベクトルθLを算出し、該修正モデルパラメータベクト
ルθLを適応スライディングモードコントローラ21a
に供給する。このようにしてスロットル弁開度THを目
標開度THRに追従させるために最適なモデルパラメー
タa1,a2,b1が得られ、さらに外乱及びデフォル
ト開度THDEFのずれを示すモデルパラメータc1が
得られる。
【0127】モデルパラメータスケジューラ25は、ス
ロットル弁開度THに基づいて、基準モデルパラメータ
ベクトルθbase(θbaseT=[a1base,
a2base,b1base,c1base])を算出
し、モデルパラメータ同定器22aに供給する。
【0128】本実施形態では、前記式(1a)により制
御対象モデルを定義しているので、適応スライディング
モードコントローラ21aは、等価制御入力Ueq、到
達則入力Urch及び適応則入力Uadpを、前記式
(9a),(10a),(11a)に代えて、下記式
(9b),(10b),(11b)により算出する。
【数11】
【0129】式(9b)〜(11b)は、前記式(9)
〜(11)のむだ時間dを「0」とすることにより得ら
れる。モデルパラメータ同定器22aは、前述したよう
に制御対象の入力(DUT(k))及び出力(TH(k))に
基づいて、制御対象モデルのモデルパラメータベクトル
を算出する。具体的には、モデルパラメータ同定器22
aは、下記式(15)(再掲)により、モデルパラメー
タベクトルθ(k)を算出する。 θ(k)=θ(k-1)+KP(k)ide(k) (15)
【0130】式(15)の同定誤差ide(k)は、下記
式(17)(再掲)、(18)(再掲)及び(19a)
により定義される。式(19a)は、前記式(19)の
むだ時間dを「0」としたものである。ゲイン係数ベク
トルKP(k)は、下記式(20)(再掲)により定義さ
れ、式(20)の正方行列P(k)は、下記式(21)
(再掲)により算出される
【数12】
【数13】 本実施形態では、第1の実施形態と同様に下記要求B1
〜Bを満たすことに加えて、さらに下記要求B4及びB
5を満たすことが求められる。
【0131】B1)準静的動特性変化及びハードウエア
の特性ばらつきに対する適応 「準静的動特性変化」とは、例えば電源電圧の変動やハ
ードウエアの経年劣化といった変化速度の遅い特性変化
である。 B2)動的な動特性変化への適応 具体的には、スロットル弁開度THの変化に対応する動
特性変化への適応を意味する。 B3)モデルパラメータのドリフト防止 モデルパラメータに反映すべきでない制御対象の非線形
特性などに起因する同定誤差の影響によって、モデルパ
ラメータの絶対値が増大するような不具合を防止する。 B4)ECUの演算能力とマッチング 具体的には、演算量をより低減させることが求められ
る。 B5)モデルパラメータ(制御性能)の安定化 具体的は、同定されるモデルパラメータのばらつきを極
力抑制することが求められる。
【0132】先ず要求B4を満たすために、係数λ1及
びλ2をそれぞれ1,0に設定することにより、固定ゲ
インアルゴリズムを採用する。これによって、正方行列
P(k)は一定となるため、式(21)の演算を省略する
ことができ、演算量を大幅に低減できる。
【0133】すなわち固定ゲインアルゴリズムを採用す
ると、式(20)は、下記式(20a)のように簡略化
される。式(20a)においてPは、定数を対角要素と
する正方行列である。
【数14】 このように簡略化されたアルゴリズムによれば、演算量
を削減できる。しかし、モデルパラメータベクトルθ
(k)を算出する式(15)は、下記式(15b)のよう
に書き直すことができ、同定誤差ide(k)の積分構造
を有するため、モデルパラメータのドリフトが起き易
い。 θ(k)=θ(0)+KP(1)ide(1)+KP(2)ide(2) +……+KP(k)ide(k) (15b) ここで、θ(0)は、モデルパラメータの初期値を要素と
する初期値ベクトルである。
【0134】そこで本実施形態では、このようなモデル
パラメータのドリフトを防止するために、モデルパラメ
ータベクトルθ(k)を上記式(15b)に代えて、下記
式(15c)により、算出するようにした。 θ(k)=θ(0)+DELTAk-1×KP(1)ide(1) +DELTAk-2×KP(2)ide(2)+…… +DELTA×KP(k-1)ide(k-1)+KP(k)ide(k) (15c) ここで、DELTAは下記式で示すように、忘却係数D
ELTAi(i=1〜4)を要素とする忘却係数ベクト
ルである。 DELTA=[DELTA1,DELTA2,DELT
A3,DELTA4]
【0135】忘却係数DELTAiは、0から1の間の
値に設定され(0<DELTAi<1)、過去の同定誤
差の影響を徐々に減少させる機能を有する。ただし、モ
デルパラメータb1の演算に係る係数DELTA3また
はモデルパラメータc1の演算にかかる係数DELTA
4の何れか一方は、「1」として、実質的に忘却係数が
乗算されないようにする。このように、忘却係数ベクト
ルDELTAの要素の一部を「1」とすることにより、
目標値DTHRと、スロットル弁開度偏差量DTHとの
定常偏差が発生することを防止することができる。な
お、係数DELTA3及びDELTA4をともに「1」
とすると、モデルパラメータのドリフト防止効果が不十
分となるので、何れか一方のみを「1」とすることが望
ましい。
【0136】式(15c)を漸化式形式に書き直すと、
下記式(15d)(15e)が得られる。前記式(1
5)に代えて下記式(15d)及び(15e)を用いて
モデルパラメータベクトルθ(k)を算出する手法を、以
下δ修正法といい、式(15e)で定義されるdθ(k)
を「更新ベクトル」という。 θ(k)=θ(0)+dθ(k) (15d) dθ(k)=DELTA×dθ(k-1)+KP(k)ide(k) (15e)
【0137】δ修正法を用いたアルゴリズムによれば、
上記要求B3を満たすドリフト防止効果とともに、上記
要求B5を満たすモデルパラメータの安定化効果も得ら
れる。すなわち、初期値ベクトルθ(0)が常に保存さ
れ、更新ベクトルdθ(k)も忘却係数ベクトルDELT
Aの働きにより、その要素のとりうる値が制限されるの
で、各モデルパラメータを初期値近傍に安定させること
ができる。
【0138】さらに実際の制御対象の入出力データに基
づいた同定により更新ベクトルdθ(k)を調整しつつモ
デルパラメータを算出するので、実際の制御対象に適合
したモデルパラメータを算出でき、上記要求B1も満た
される。次に要求B2を満たすべく、本実施形態では上
記式(15d)の初期値ベクトルθ(0)に代えて、基準
モデルパラメータベクトルθbaseを用いる下記式
(15f)により、モデルパラメータベクトルθ(k)を
算出することとした。 θ(k)=θbase+dθ(k) (15f)
【0139】基準モデルパラメータベクトルθbase
は、モデルパラメータスケジューラ25によりスロット
ル弁開度偏差量DTH(=TH−THDEF)に応じて
設定されるので、スロットル弁開度THの変化に対応す
る動特性の変化に適応させることができ、上記要求B2
を満たすことができる。
【0140】以上のように本実施形態では、固定ゲイン
アルゴリズムを採用することにより、ECUの演算量の
低減を図り(要求B4)、δ修正法を用いたアルゴリズ
ムを採用することにより、準静的動特性変化及びハード
ウエアの特性ばらつきに対する適応(要求B1)、モデ
ルパラメータ(制御性能)の安定化(要求B5)、及び
モデルパラメータのドリフト防止(要求B3)を実現
し、モデルパラメータスケジューラ25を採用すること
により、スロットル弁開度THの変化に対応した動特性
変化への適応(要求B2)を実現している。
【0141】なお、式(15f)により算出されるモデ
ルパラメータベクトルθ(k)の各要素a1’,a2’,
b1’及びc1’についてリミット処理を施し、修正モ
デルパラメータベクトルθL(k)(θL(k)T=[a1,
a2,b1,c1])を算出する点は、第1の実施形態
と同様である。
【0142】また、モデルパラメータc1’を統計処理
し、その変動の中心値をデフォルト開度ずれthdef
adpとして算出し、下記式(41)(42)(再掲)
によりスロットル弁開度偏差量DTH及び目標値DTH
Rを算出する点も、第1の実施形態と同様である。 DTH(k)=TH(k)−THDEF+thdefadp (41) DTHR(k)=THR(k)−THDEF+thdefadp (42)
【0143】次に上述した適応スライディングモードコ
ントローラ21a、モデルパラメータ同定器22a及び
モデルパラメータスケジューラ25の機能を実現するた
めの、ECU7のCPUにおける演算処理を説明する。
【0144】図32は、スロットル弁開度制御の全体フ
ローチャートである。この処理は、図9に示すスロット
ル弁開度制御処理のステップS13(状態予測器の演
算)を削除し、ステップS12,S14及びS16を、
それぞれステップS12a,14a及び16aに変更し
たものである。
【0145】ステップS12aでは、図33に示すモデ
ルパラメータ同定器の演算、すなわち前記式(15f)
によるモデルパラメータベクトルθ(k)の算出処理を実
行し、さらにリミット処理を実行して修正モデルパラメ
ータベクトルθL(k)を算出する。
【0146】ステップS14aでは、修正モデルパラメ
ータベクトルθL(k)を用いて、図36に示す制御入力
Usl(k)の演算処理を実行する。すなわち、前記式
(9b)(10b)(11b)により、等価制御入力U
eq、到達則入力Urch(k)及び適応則入力Uadp
(k)を算出し、それらの入力の総和として、制御入力U
sl(k)(=デューティ比DUT(k))を算出する。
【0147】ステップS16aでは、図41に示すスラ
イディングモードコントローラの安定判別処理を実行す
る。すなわち、予測切換関数値σpreに代えて、切換
関数値σを用いてスライディングモードコントローラの
安定性判別を行い、安定判別フラグFSMCSTABの
設定を行う。この安定判別フラグFSMCSTABは、
「1」に設定されたときの処理は、第1の実施形態と同
様である。
【0148】図33は、モデルパラメータ同定器22a
の演算処理のフローチャートである。この処理は、図1
1に示すモデルパラメータ同定器の演算処理のステップ
S31〜S34をそれぞれ、ステップS31a〜S34
aに変更し、さらにステップS33b及びS33cを追
加したものである。
【0149】ステップS31aでは、式(20a)によ
りゲイン係数ベクトルKP(k)を算出し、次いで式(1
8)及び(19a)により推定スロットル弁開度偏差量
DTHHAT(k)を算出する(ステップS32a)。ス
テップS33aでは、図35に示すide(k)の演算処
理を実行し、同定誤差ide(k)を算出する。ステップ
S33bでは、式(15e)により更新ベクトルdθ
(k)を算出し、次いでスロットル弁開度偏差量DTHに
応じて図34に示すθbaseテーブルを検索し、基準
モデルパラメータベクトルθbaseを算出する(ステ
ップS33c)。θbaseテーブルには、基準モデル
パラメータa1base,a2base及びb1bas
eが設定されている。スロットル弁開度偏差量DTHが
「0」近傍の値をとる(スロットル弁開度THが、デフ
ォルト開度THDEF近傍である)とき、基準モデルパ
ラメータa1base及びb1baseは減少し、基準
モデルパラメータa2baseは増加するように設定さ
れている。また、基準モデルパラメータc1base
は、「0」に設定される。
【0150】ステップS34aでは、式(15f)によ
りモデルパラメータベクトルθ(k)を算出し、次いで第
1の実施形態と同様に、モデルパラメータベクトルθ
(k)の安定化処理を実行する(ステップS35)。すな
わち各モデルパラメータのリミット処理を行って修正モ
デルパラメータベクトルθL(k)を算出する。
【0151】図35は、図33のステップS33aで実
行されるide(k)演算処理のフローチャートである。
この処理は、図12のide(k)演算処理のステップS
56(不感帯処理)を削除し、ステップS51をステッ
プS51aに変更したものである。すなわち本実施形態
では、δ修正法により、モデルパラメータのドリフトが
防止されるので、不感帯処理は実行しない。
【0152】また、ステップS51aでは、推定スロッ
トル弁開度偏差量DTHHAT(k)を式(18)及び
(19a)により算出し、この推定スロットル弁開度偏
差量DTHHAT(k)を用いて同定誤差ide(k)を算出
する。本実施形態では、制御対象モデルのむだ時間dを
「0」としているので、ステップS52の所定値XCN
TIDSTは、例えば「2」に設定される。
【0153】図36は、図32のステップS14aで実
行される、スロットル弁駆動装置10への制御入力Us
l(=DUT)を算出する処理のフローチャートであ
る。この処理は、図22に示すUsl演算処理のステッ
プS201〜S205を、それぞれステップS201a
〜S205aに変更したものである。
【0154】ステップS201aでは、図37に示す切
換関数値σの演算処理を実行し、ステップS202aで
は、図38に示す切換関数値σの積算値の演算処理を実
行する。ステップS203aでは、前記式(9b)によ
り、等価制御入力Ueqを算出する。ステップS204
aでは、図39に示す到達則入力Urchの演算処理を
実行し、ステップS205aでは、図40に示す適応則
入力Uadpの演算処理を実行する。
【0155】図37は、図36のステップS201aで
実行される切換関数値σの演算処理のフローチャートで
ある。この処理は、図23に示す予測切換関数値σpr
eの演算処理のステップS222〜S226を、それぞ
れステップS222a〜226aに変更したものであ
る。
【0156】ステップS222aでは、前記式(5)に
より、切換関数値σ(k)を算出する。続くステップS2
23a〜S226aは、図23のステップS223〜S
226の「σpre」を「σ」に置き換えたものであ
り、切換関数値σ(k)に対して、図23の処理と同様の
リミット処理を行う。
【0157】図38は、図36のステップS202aで
実行される、切換関数値σの積算値SUMSIGMAa
を算出する処理のフローチャートである。この処理は、
図26に示すσpreの積算値演算処理のステップS2
41〜S245を、それぞれステップS241a〜S2
45aに変更したものである。積算値SUMSIGMA
aは、後述する図40の処理で適応則入力Uadpの算
出に使用される(前記式(11b)参照)。
【0158】ステップS241aでは、下記式(47
a)により、積算値SUMSIGMAaを算出する。 SUMSIGMAa(k)=SUMSIGMAa(k-1)+σ×ΔT (47a) 続くステップS242a〜S245aでは、算出した積
算値SUMSIGMAaに対して、図26の処理と同様
のリミット処理を行う。
【0159】図39は、図36のステップS204aで
実行される到達則入力Urchの演算処理のフローチャ
ートである。この処理は、図27に示す到達則入力Ur
ch演算処理のステップS263及びS265をそれぞ
れステップS263a及びS265aに変更したもので
ある。
【0160】すなわち、本実施形態では、予測切換関数
値σpreではなく、切換関数値σを用いて、適応スラ
イディングモードコントローラ21aが安定してるとき
の到達則入力Urchの算出(ステップS263a)、
及び適応スライディングモードコントローラ21aが不
安定であるときの到達則入力Urchの算出(ステップ
S265a)を実行する。
【0161】図40は、図36のステップS205aで
実行される適応則入力Uadpの演算処理のフローチャ
ートである。この処理は、図28に示す適応則入力Ua
dp演算処理のステップS273及びS275をそれぞ
れステップS273a及びS275aに変更したもので
ある。
【0162】すなわち、本実施形態では、切換関数値σ
の積算値SUMSIGUMAaを用いて、適応スライデ
ィングモードコントローラ21aが安定してるときの適
応則入力Uadpの算出(ステップS273a)、及び
適応スライディングモードコントローラ21aが不安定
であるときの適応則入力Uadpの算出(ステップS2
75a)を実行する。
【0163】図41は、図32のステップS16aで実
行されるスライディングモードコントローラの安定判別
処理のフローチャートである。この処理は、図29のス
テップS281及びS281をそれぞれステップS28
1a及びS282aに変更したものである。
【0164】ステップS281aでは下記式(52a)
により、切換関数変化量Dσを算出し、ステップS28
2aでは、下記式(53a)により、安定性判別パラメ
ータSGMSTABを算出する。すなわち、予測切換関
数値σpreではなく、切換関数値σに基づいて安定性
判別を行う。 Dσ=σ(k)−σ(k-1) (52a) SGMSTAB=Dσ×σ(k) (53a)
【0165】本実施形態では、スロットル弁駆動装置1
0及びECU7の一部(モータ6に駆動電流を供給する
出力回路)がプラントに相当し、図36の処理が制御手
段に相当し、図33の処理が同定手段に相当し、図35
の処理が同定誤差算出手段に相当し、図33のステップ
S33cが基準モデルパラメータ算出手段に相当し、図
33のステップS33bが更新成分算出手段に相当す
る。
【0166】(第3の実施形態)図42は、本発明の第
3の実施形態にかかる制御系の構成を示すブロック図で
ある。この制御系は、制御対象であるプラント101
と、プラントの出力である混合液のpH(ペーハー)を
検出するpHセンサ102と、pHセンサ出力V1OU
Tから第1基準値V1BASEを減算する減算器103
と、制御目標値V1TARGETを生成する目標値生成
部104と、第1操作量U1を決定する操作量決定部1
05と、第1操作量U1と第2基準値V2BASEとを
加算し、第2操作量U2を出力する加算器106とから
なる。
【0167】減算器103、目標値生成部104、操作
量決定部105及び加算器106は、具体的にはCP
U、メモリ、入出力回路などからなる電子コントロール
ユニットにより構成される。プラント101は、第2操
作量U2に応じてアルカリ液の流量を制御する流量制御
弁111と、流量制御弁111を介して供給されるアル
カリ液と、酸性液とを攪拌する攪拌器112とからな
る。プラント101は、アルカリ液と酸性液とを攪拌す
ることにより、所望のpH値の混合液を出力するもので
ある。
【0168】操作量決定部105は、プラント101を
モデル化した制御対象モデルのモデルパラメータベクト
ルを同定する同定器121と、適応スライディングモー
ドコントローラ122と、予測器123とからなる。同
定器121、適応スライディングモードコントローラ1
22、及び予測器123は、それぞれ第1の実施形態に
おけるモデルパラメータ同定器22、適応スライディン
グモードコントローラ21、及び状態予測器23に対応
し、これらと同様の機能を有する。
【0169】以下本実施形態における構成要素及びパラ
メータと、第1の実施形態における構成要素及びパラメ
ータとの対応関係を説明する。pHセンサ101は、ス
ロットル弁開度センサ8に相当し、pHセンサ101の
出力V1OUTは、スロットル弁開度THに相当する。
第1目標値V1BASEは、デフォルト開度THDEF
に相当するものであり、本実施形態では、例えば中性に
対応するpH値とする。したがって、偏差量DV1がス
ロットル弁開度偏差量DTHに相当する。また目標値生
成部104が、目標開度設定部24に相当し、制御目標
値V1TARGETがスロットル弁開度偏差量の目標値
DTHRに相当する。なお、第1の実施形態において
は、減算器103の機能は、モデルパラメータ同定器2
2及び状態予測器23に含まれている。
【0170】第2基準値V2BASEは、適応スライデ
ィングモードコントローラ122の出力である第1操作
量U1の中心値をバイアスするために加算されるもので
ある。第1の実施形態では加算器106に相当する構成
要素はなく、したがって第2基準値V2BASEは実質
的に「0」とされている(すなわち、U1=U2=Us
lである)。本実施形態では、第2基準値V2BASE
は、例えば流量制御弁111の開度が50%となるよう
な値に設定される。
【0171】流量制御弁111は、デューティ比DUT
のパルス信号でオンオフ制御されるスイッチング素子
(ECU7の出力回路に含まれ、図示及び説明を省略し
ている)に相当し、アルカリ液は電源電圧に相当する。
また流量制御弁111の出力流量V2は、モータ6の駆
動電流に相当し、攪拌器112は、モータ6及びスロッ
トル弁3の弁体に相当し、酸性液はスロットル弁3の弁
体に加わる吸気管負圧や、リターンスプリング4及び弾
性部材5の付勢力に相当する。攪拌器112から出力さ
れるの混合液のpH値V1が、実際のスロットル弁開度
に相当する。
【0172】以上のような対応関係があるので、プラン
ト101を第1の実施形態と同様にモデル化し、同様の
制御手法を適用することができる。すなわち、同定器1
21は、第1操作量U1及び偏差量DV1に基づいて、
第1の実施形態と同様の演算処理により、修正モデルパ
ラメータパラメータベクトルθLを算出し、予測器12
3は、第1操作量U1、偏差量DV1及び修正モデルパ
ラメータベクトルθLに基づいて、第1の実施形態と同
様の演算処理により、予測偏差量PREDV1を算出
し、適応スライディングモードコントローラ122は、
予測偏差量PREDV1及び修正モデルパラメータベク
トルθLに基づいて、第1の実施形態と同様の演算処理
により、予測偏差量PREDV1を制御目標値V1TA
RGETに一致させるように、第1操作量U1を算出す
る。したがって、制御目標値V1TARGETとして、
所望の相対pH値(第1基準値V1BASEとの偏差
量)を設定することにより、プラントの出力V1を所望
のpH値に一致させることができる。
【0173】(第3の実施形態の変形例)図43は、図
42に示す構成の変形例を示す図である。この変形例で
は、図42のプラント101ではなく、プラント101
aが制御対象とされる。プラント101aは、プラント
101に、流量制御弁111の出力流量V2を検出する
流量センサ113と、流量センサ出力V2OUTが第2
操作量U2に対応する流量値と一致するように、流量制
御弁111を制御するフィードバック制御器114とを
追加して構成されている。
【0174】このようにローカルフィードバックループ
を含むプラントに対しても、第3の実施形態と同様のモ
デル化及び同様の制御手法の適用が可能である。なお第
1の実施形態では、モータの駆動回路は公知のものであ
るため、詳細な説明を行っていないが、オンオフ制御さ
れるスイッチング素子の出力電流を検出する電流センサ
を設け、検出電流値IDが、操作量Uslに対応する電
流値IRと一致するようにフィードバック制御を行うよ
うにしてもよく、本変形例は第1の実施形態においてそ
のような回路構成を採用した場合に相当する。
【0175】(第4の実施形態)図44は、本発明の第
4の実施形態にかかる制御系の構成を示すブロック図で
ある。この制御系は、図42の操作量決定部105を操
作量決定部105aに代えたものであり、第2の実施形
態として示した制御系に対応する。なお、以下に説明す
る以外は第3の実施形態と同一である。
【0176】操作量決定部105aは、同定器121a
と、適応スライディングモードコントローラ122a
と、パラメータスケジューラ124とからなる。同定器
121a、適応スライディングモードコントローラ12
2a及びパラメータスケジューラ124は、それぞれ第
2の実施形態におけるモデルパラメータ同定器22a、
適応スライディングモードコントローラ21a及びモデ
ルパラメータスケジューラ25に対応し、これらと同様
の機能を有する。
【0177】すなわち、パラメータスケジューラ124
は、偏差量DV1に基づいて第2の実施形態と同様の演
算処理により、基準モデルパラメータベクトルθbas
eを算出し、同定器121aは、第1操作量U1、偏差
量DV1及び基準モデルパラメータベクトルθbase
に基づいて第2の実施形態と同様の演算処理により、修
正モデルパラメータベクトルθLを算出し、適応スライ
ディングモードコントローラ122aは、偏差量DV1
及び修正モデルパラメータベクトルθLに基づいて、第
2の実施形態と同様の演算処理により偏差量DV1を制
御目標値V1TARGETに一致させるように、第1操
作量U1を算出する。したがって、制御目標値V1TA
RGETとして、所望の相対pH値(第1基準値V1B
ASEとの偏差量)を設定することにより、プラントの
出力V1を所望のpH値に一致させることができる。
【0178】本実施形態では、同定器121aが同定手
段に相当し、同定誤差算出手段及び更新成分算出手段を
含む。またパラメータスケジューラ124が基準モデル
パラメータ算出手段に相当する。
【0179】(第4の実施形態の変形例)図45は、図
44に示す構成の変形例を示す図である。この変形例で
は、図44のプラント101ではなく、プラント101
aが制御対象とされる。プラント101aは、図43の
プラント101aと同一である。このようにローカルフ
ィードバックループを含むプラントに対しても、第4の
実施形態と同様のモデル化及び同様の制御手法の適用が
可能である。
【0180】(その他の実施形態)モデルパラメータの
同定誤差ide(k)の算出手法として、δ修正法に代え
て、以下に述べるε修正法を採用してもよい。すなわ
ち、前記式(15c)に代えて、下記式(15g)によ
り、モデルパラメータベクトルθ(k)を算出するように
してもよい。 θ(k)=EPSkθ(0) +EPSk-1×KP(1)ide(1) +EPSk-2×KP(2)ide(2)+…… +EPS×KP(k-1)ide(k-1)+KP(k)ide(k) (15g) ここで、EPSは下記式で示すように、忘却係数EPS
i(i=1〜4)を要素とする忘却係数ベクトルであ
る。 EPS=[EPS1,EPS2,EPS3,EPS4]
【0181】忘却係数EPS1,EPS2及びEPS4
は、前記忘却係数DELTAiと同様に、0から1の間
の値に設定され(0<EPSi<1)、過去の同定誤差
の影響を徐々に減少させる機能を有する。
【0182】ただしε修正法の場合、モデルパラメータ
b1の演算に係る係数EPS3は、必ず「1」にする必
要がある。これは、以下の理由による。ε修正法の場
合、同定誤差ide(k)が小さくなると、モデルパラメ
ータはすべてゼロ近傍の値となる。ところが、モデルパ
ラメータb1は、式(9b)、(10b)、(11b)
の分母に適用されるため、モデルパラメータb1が
「0」に近づくと、制御対象への入力Uslが発散する
からである。
【0183】式(15g)は、初期値ベクトルθ(0)に
も忘却係数ベクトルEPSが乗算されている点で、式
(15c)と異なる。式(15g)を漸化式形式に書き
直すと、下記式(15h)が得られる。前記式(15)
に代えて下記式(15h)を用いてモデルパラメータベ
クトルθ(k)を算出する手法を、ε修正法と呼ぶ。 θ(k)=EPS×θ(k-1)+KP(k)ide(k) (15h)
【0184】ε修正法によっても、過去の同定誤差ei
dの影響が低減されるので、モデルパラメータのドリフ
トを防止することができる。また第2の実施形態では、
δ修正法によりモデルパラメータのドリフトを防止する
ようにしたが、第1の実施形態と同様に、不感帯処理
(図14)により修正同定誤差idenl(k)を算出
し、これを用いてモデルパラメータベクトルθ(k)を算
出するようにしてもよい。
【0185】また第1の実施形態において、不感帯処理
に代えてδ修正法またはε修正法を採用してもよい。さ
らに、第1の実施形態においてδ修正法を採用する場合
には、第2の実施形態と同様にモデルパラメータスケジ
ューラを導入し、モデルパラメータスケジューラにより
算出される基準モデルパラメータベクトルθbaseに
更新ベクトルを加算する形式でモデルパラメータベクト
ルθを算出することが望ましい。
【0186】
【発明の効果】以上詳述したように請求項1に記載の発
明によれば、モデルパラメータの同定誤差に応じて更新
成分が算出され、プラントの状態量に応じて算出される
基準モデルパラメータに更新成分を加算することによ
り、モデルパラメータが算出されるので、常に変化する
プラントの状態量に応じた基準モデルパラメータを補正
する形でモデルパラメータが算出され、従来の手法に比
べて迅速に最適値に収束させることが可能となる。
【0187】請求項2に記載の発明によれば、プラント
の動特性変化を示すパラメータに応じて基準モデルパラ
メータが算出されるので、プラントの動特性変化に応じ
た適切な基準モデルパラメータが得られる。その結果、
特にプラントに非線形要素が含まれる場合でもモデルパ
ラメータを迅速に収束させることができる。
【0188】請求項3に記載の発明によれば、ロバスト
性を有するスライディングモード制御により、プラント
が制御されるので、外乱や制御対象モデルのモデル化誤
差(実際のプラントの特性と、モデル化した制御対象モ
デルの特性との差)、あるいは制御対象のむだ時間の存
在下においても、良好な制御性を得ることができる。
【0189】請求項4に記載の発明によれば、プラント
への制御入力は適応則入力を含むので、外乱やモデル化
誤差があっても、良好な制御性を実現することができ
る。請求項5に記載の発明によれば、同定手段により同
定されたモデルパラメータを用いて、スロットル弁開度
を目標開度に一致させる制御が行われるので、スロット
ル弁開度の目標開度への制御性を向上させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる内燃機関のスロッ
トル弁駆動装置と、その制御装置を示す図である。
【図2】図1に示すスロットル弁駆動装置の周波数特性
を示す図である。
【図3】図1の電子制御ユニット(ECU)により実現
される機能を示す機能ブロック図である。
【図4】スライディングモードコントローラの制御特性
と、切換関数設定パラメータ(VPOLE)の値との関
係を示す図である。
【図5】スライディングモードコントローラの制御ゲイ
ン(F,G)の設定範囲を示す図である。
【図6】モデルパラメータのドリフトを説明するための
図である。
【図7】同定誤差を修正する関数を示す図である。
【図8】スロットル弁のデフォルト開度ずれがモデルパ
ラメータ(c1’)に反映されることを説明するための
図である。
【図9】スロットル弁開度制御処理のフローチャートで
ある。
【図10】図9の処理において状態変数の設定を行う処
理のフローチャートである。
【図11】図9の処理においてモデルパラメータ同定器
の演算を実行する処理のフローチャートである。
【図12】図11の処理において同定誤差(ide)の
演算を実行する処理のフローチャートである。
【図13】同定誤差(ide)のローパスフィルタ処理
を説明するための図である。
【図14】図12の処理における不感帯処理のフローチ
ャートである。
【図15】図14の処理で使用されるテーブルを示す図
である。
【図16】図11の処理におけるモデルパラメータベク
トル(θ)の安定化処理のフローチャートである。
【図17】図16の処理におけるモデルパラメータ(a
1’,a2’)のリミット処理のフローチャートであ
る。
【図18】図16の処理によるモデルパラメータの値の
変化を説明するための図である。
【図19】図16の処理におけるモデルパラメータ(b
1’)のリミット処理のフローチャートである。
【図20】図16の処理におけるモデルパラメータ(c
1’)のリミット処理のフローチャートである。
【図21】図9の処理において状態予測器の演算を実行
する処理のフローチャートである。
【図22】図9の処理において制御入力(Usl)の演
算を実行する処理のフローチャートである。
【図23】図22の処理において予測切換関数値(σp
re)の演算を実行する処理のフローチャートである。
【図24】図23の処理において切換関数設定パラメー
タ(VPOLE)の演算を実行する処理のフローチャー
トである。
【図25】図24の処理で使用するマップを示す図であ
る。
【図26】図22の処理において予測切換関数値(σp
re)の積算値の演算を実行する処理のフローチャート
である。
【図27】図22の処理において到達則入力(Urc
h)の演算を実行する処理のフローチャートである。
【図28】図22の処理において適応則入力(Uad
p)の演算を実行する処理のフローチャートである。
【図29】図9の処理においてスライディングモードコ
ントローラの安定判別を実行する処理のフローチャート
である。
【図30】図9の処理においてデフォルト開度ずれ(t
hdefadp)の演算を実行する処理のフローチャー
トである。
【図31】図1の電子制御ユニット(ECU)により実
現される機能を示す機能ブロック図である(第2の実施
形態)。
【図32】スロットル弁開度制御処理のフローチャート
である(第2の実施形態)。
【図33】図32の処理においてモデルパラメータ同定
器の演算を実行する処理のフローチャートである。
【図34】図33の処理で使用するテーブルを示す図で
ある。
【図35】図33の処理において同定誤差(ide)の
演算を実行する処理のフローチャートである。
【図36】図32の処理において制御入力(Usl)の
演算を実行する処理のフローチャートである。
【図37】図36の処理において切換関数値(σ)の演
算を実行する処理のフローチャートである。
【図38】図36の処理において切換関数値(σ)の積
算値の演算を実行する処理のフローチャートである。
【図39】図36の処理において到達則入力(Urc
h)の演算を実行する処理のフローチャートである。
【図40】図36の処理において適応則入力(Uad
p)の演算を実行する処理のフローチャートである。
【図41】図32の処理においてスライディングモード
コントローラの安定判別を実行する処理のフローチャー
トである。
【図42】本発明の第3の実施形態に係る制御系の構成
を示すブロック図である。
【図43】図42に示す構成の変形例を示すブロック図
である。
【図44】本発明の第4の実施形態に係る制御系の構成
を示すブロック図である。
【図45】図44に示す構成の変形例を示すブロック図
である。
【符号の説明】
1 内燃機関 3 スロットル弁 7 電子制御ユニット 10 スロットル弁駆動装置 21 適応スライディングモードコントローラ(制御手
段) 22 モデルパラメータ同定器(同定手段、同定誤差算
出手段、更新成分算出手段) 24 目標開度設定部 25 モデルパラメータスケジューラ(同定手段、基準
モデルパラメータ算出手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G05B 13/00 G05B 13/00 A (72)発明者 高橋 潤 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 Fターム(参考) 3G065 CA00 DA05 DA06 DA15 FA06 FA07 GA46 HA06 HA21 HA22 JA04 JA09 JA11 KA02 KA15 KA16 3G084 BA05 EA12 EB12 EB13 EB24 EB25 EC04 EC06 3G301 LA03 NA01 NA09 NB02 NC08 ND02 ND05 ND41 ND45 NE17 NE19 NE25 PA11A PA11Z 5H004 GA10 GA40 GB12 HA07 HB07 KA22 KA45 KA54 KA74 KC12 KC26 KC28 KC43 KC45 LA03 LA13 MA12

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラントをモデル化した制御対象モデル
    のモデルパラメータを、前記プラントの入力及び出力に
    基づいて同定する同定手段と、該同定手段により同定さ
    れたモデルパラメータを用いて前記プラントを制御する
    制御手段とを備えたプラントの制御装置において、 前記同定手段は、前記プラントの状態量に応じて基準モ
    デルパラメータを算出する基準モデルパラメータ算出手
    段と、前記モデルパラメータの同定誤差を算出する同定
    誤差算出手段と、該同定誤差に応じて更新成分を算出す
    る更新成分算出手段とを有し、該更新成分を前記基準モ
    デルパラメータに加算することにより、前記モデルパラ
    メータを算出することを特徴とするプラントの制御装
    置。
  2. 【請求項2】 前記プラントの状態量は、前記プラント
    の動特性変化を示すパラメータであることを特徴とする
    請求項1に記載のプラント制御装置。
  3. 【請求項3】 前記制御手段は、スライディングモード
    制御により前記プラントを制御するものであることを特
    徴とする請求項1または2に記載のプラントの制御装
    置。
  4. 【請求項4】 前記制御手段による前記プラントへの制
    御入力は、適応則入力を含むことを特徴とする請求項3
    に記載のプラントの制御装置。
  5. 【請求項5】 前記プラントは、内燃機関のスロットル
    弁と、該スロットル弁を駆動する駆動手段とを有するス
    ロットル弁駆動装置を含み、前記制御手段は、前記スロ
    ットル弁の開度を目標開度に一致させるように、前記ス
    ロットル弁駆動装置への制御入力を決定するパラメータ
    を算出することを特徴とする請求項1から4の何れかに
    記載のプラントの制御装置。
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