JP2002310250A - 動力伝達装置 - Google Patents

動力伝達装置

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JP2002310250A
JP2002310250A JP2001118554A JP2001118554A JP2002310250A JP 2002310250 A JP2002310250 A JP 2002310250A JP 2001118554 A JP2001118554 A JP 2001118554A JP 2001118554 A JP2001118554 A JP 2001118554A JP 2002310250 A JP2002310250 A JP 2002310250A
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Japan
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outer ring
power transmission
transmission device
roller
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JP2001118554A
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English (en)
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Tomoaki Makino
智昭 牧野
Hiromi Nojiri
博海 野尻
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NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アウタリングと、サンローラと、遊星ローラ
とを備える動力伝達装置において、接触部の法線力を大
きくする。 【解決手段】 アウタリング11と、このアウタリング
11に同心状に挿通されるサンローラ12と、アウタリ
ング11とサンローラ12との間に圧接状態で配される
複数の遊星ローラ13とを備えた動力伝達装置におい
て、アウタリング11を複数の環状部材11A、11B
で構成し、外側の環状部材11Aの線膨張係数を内側の
環状部材11Bの線膨張係数よりも大きいアルミニウム
合金などで形成するとともに、内側の環状部材11Bを
高炭素クロム軸受鋼や浸炭鋼などの耐摩耗性が高い材料
で形成し熱処理を施し、遊星ローラ13に接する内側環
状部材11Bが外側環状部材11Aから圧縮応力を受け
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は動力伝達装置に関
し、詳しくは自動車、動力補助自転車、産業機械等に用
いられる遊星ローラ式変速機や多段ローラ式変速機等の
動力伝達装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】摩擦係合式の動力伝達装置は、相互の押
し付けられたころがり要素間で動力を伝達するもので、
ころがり要素としては各種の組み合わせのものがある
が、その代表的なものとして、ローラ/ローラの組み合
わせがある。このローラ/ローラの組み合わせを利用し
た動力伝達装置として、遊星ローラ式変速機や多段ロー
ラ式変速機などがある。
【0003】図7に遊星ローラ式動力伝達装置70の従
来例を示す。この遊星ローラ式動力伝達装置70は、ア
ウタリング71と、このアウタリング71に同心状に挿
通されたサンローラ72と、アウタリング71とサンロ
ーラ72との間に圧接状態で配された複数の遊星ローラ
73と、遊星ローラ73を円周等間隔にかつ回転自在に
保持するキャリア74とで構成され、このキャリア74
の円周方向等間隔に形成した孔に遊星ローラ支持軸75
が圧入され、この遊星ローラ支持軸75に対して、遊星
ローラ73が回転自在に保持される。なお、図示してい
ないが、アウタリング71は、その回転が拘束されるよ
うにハウジング等に固定され、サンローラ72とキャリ
ア74との間で動力が伝達される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の遊星ローラ式動
力伝達装置70のような摩擦伝動装置では、動力伝達に
必要な法線力を各接触部に作用させる必要がある。この
法線力が大きいほど、遊星ローラ式動力伝達装置70の
動力伝達容量は増加する。図7に示す遊星ローラ式動力
伝達装置70の場合、一般には、焼き嵌め方式で組み立
てることにより、上記の法線力を発生させる。すなわ
ち、アウタリング71を遊星ローラ73等の温度に対し
て約100℃程度高い温度に加熱することで熱膨張させ
た後、遊星ローラ73に外嵌めして組み立てる。組み立
て後、アウタリング71は冷却のため収縮し、その結
果、アウタリング71と遊星ローラ73との接触部、お
よび遊星ローラ73とサンローラ72との接触部に法線
力が作用することになる。このような焼き嵌めによる法
線力発生方式は、その構造が簡易であるという長所を有
する。
【0005】上記の遊星ローラ式動力伝達装置70を組
み立てる際、サンローラ72と遊星ローラ73の外径寸
法およびアウタリング71の内径寸法によって設定され
る締め代以上にアウタリング71を膨張させる必要があ
る。膨張量が不十分だと組み立てができず、無理に圧入
すれば、転走面に傷が付き、滑らかな回転が阻害され
る。
【0006】遊星ローラ式動力伝達装置70において、
アウタリング71、サンローラ72および遊星ローラ7
3は、転がり接触する転走面を有し、一般には高炭素ク
ロム軸受鋼(SUJ2など)や、浸炭鋼により形成さ
れ、熱処理が施される。この熱処理により、表面硬度お
よび内部硬度が増し、十分な転動疲労耐久性または耐摩
耗性を得ることができる。この熱処理後に部材の温度を
上昇させると、焼き戻し軟化を起こし、耐久性が低下す
る。一般には、SUJ2のズブ焼きの場合、温度上昇は
120℃以内にすべきである。
【0007】アウタリング71を焼き嵌めによって外嵌
め・組み立てする場合、アウタリング71の加熱温度を
高くするほど膨張量が増すため、より大きな法線力を与
えることができる。しかしながら、前述のように、加熱
温度が高すぎると、焼き戻し軟化現象が起こり、アウタ
リング71の機械的強度および転動疲労に対する耐久性
が低下する問題点を生じる。アウタリング71が焼き戻
し軟化を起こさない範囲でアウタリング71を加熱する
焼き嵌め方式では、十分な法線力が得られず、その結
果、装置のサイズが拡大するという問題点が生じる。
【0008】このような問題点は、上述の遊星ローラ式
動力伝達装置70のみならず、特開平9−177917
号公報に示されるような、キャリアに形成したポケット
に遊星ローラを収納させた他の形式の遊星ローラ式動力
伝達装置や、特開平11−227664号公報および特
開2000−97303号公報に示されるような、サン
ローラと遊星ローラとの間に1段または複数段の中間ロ
ーラを介在した多段ローラ式動力伝達装置等において
も、同様に生じていた。
【0009】したがって、本発明は、遊星ローラ式動力
伝達装置や多段ローラ式動力伝達装置などの動力伝達装
置において、接触部に作用させる法線力を大きくして、
動力伝達容量を増加させることができる動力伝達装置を
提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の動力伝達装置
は、上記課題を解決するために、アウタリングと、この
アウタリングに同心状に挿通されるサンローラと、アウ
タリングとサンローラとの間に圧接状態で配される複数
の遊星ローラとを備えた動力伝達装置において、前記ア
ウタリングが複数の環状部材からなり、遊星ローラと接
する環状部材は、外嵌めされる他の環状部材により圧縮
応力を受ける構造であることを特徴とするものである。
【0011】上記のように、アウタリングを複数の環状
部材により多重構成にすることにより、各環状部材の材
料をその役割に応じて選定することができる。例えば、
外側環状部材は内側環状部材よりも線膨張係数が大きい
材料を選定し、また、内側環状部材は耐摩耗性が高い材
料を選定することによって、接触部に大きな法線力が得
られるとともに、転走面に高い耐摩耗性を得ることがで
きる。
【0012】本発明の動力伝達装置はまた、アウタリン
グと、このアウタリングに同心状に挿通されるサンロー
ラと、アウタリングとサンローラとの間に圧接状態で径
方向に多段に配される複数のローラ群とを備えた動力伝
達装置において、前記アウタリングが複数の環状部材か
らなり、ローラ群と接する環状部材は、外嵌めされる他
の環状部材により圧縮応力を受ける構造であってもよ
い。
【0013】このように構成されていると、多段に配さ
れる複数のローラ群と接する環状部材が、外嵌めされる
他の環状部材により圧縮応力を受けるので、アウタリン
グとローラ群との接触部、ローラ群間の接触部およびロ
ーラ群とサンローラと接触部に大きな法線力を与えるこ
とができる。
【0014】本発明の動力伝達装置はさらに、前記圧縮
応力を受ける構造が、環状部材間の締り嵌め構造で達成
されるようにしてもよい。
【0015】このように構成されていると、環状部材に
より圧縮応力を受ける構造を、組み立て容易で技術的に
も確立している焼き嵌め方式による締り嵌め構造で実現
することができる。この焼き嵌めは内方側の環状部材か
ら順次外方側の環状部材へと焼き嵌めしていくことによ
り、容易に実現できる。
【0016】本発明の動力伝達装置は、前記アウタリン
グが、異なる線膨張係数を有する環状部材の組み合わせ
により形成されてもよい。
【0017】このように構成されていると、複数の環状
部材の材料を、半径方向の外側になるほど順次線膨張係
数が大きくなるように選択使用することによって、内側
の環状部材から順次、焼き嵌め方式で組み立てることが
できるのみならず、組み立て後の圧縮応力を大きくでき
るので、接触部に大きな法線力を得ることができる。ま
た、内側環状部材より中間環状部材の線膨張係数を大き
くするとともに、中間環状部材の外側にそれよりも線膨
張係数が小さい外側環状部材を配置するように、するこ
とによって、動力伝達装置の運転時の温度上昇による中
間環状部材の熱膨張を外側環状部材が抑えて、法線力の
低下を低く抑えることができる。
【0018】本発明の動力伝達装置は、前記アウタリン
グは、内径側ほど線膨張係数が小さい環状部材で形成さ
れてもよい。
【0019】このように構成されていると、内側の環状
部材から順次、焼き嵌め方式で組み立てることができる
のみならず、各環状部材の圧縮応力が加算されるので、
組み立て後の圧縮応力を大きくできるので、接触部に大
きな法線力を得ることができる。
【0020】本発明の動力伝達装置は、上記記載の動力
伝達装置に、その最外径の環状部材よりも線膨張係数が
小さい部材を外嵌めした構成を採用することができる。
【0021】このように構成されていると、アウタリン
グの外側に、その最外径の環状部材よりも線膨張係数が
小さいケーシング等の部材を外嵌めすることによって、
動力伝達装置の運転時の温度上昇による最外径の環状部
材の熱膨張を抑えて、法線力の低下を低く抑えることが
できる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の各種の実施形態に
ついて、図1〜図6を参照して説明する。
【0023】図1(A)(B)は、本発明の第1実施形
態に係る遊星ローラ式動力伝達装置10の横断面図およ
び縦断面図を示し、図1(A)は図1(B)のA−A線
に沿った横断面図であり、図1(B)は図1(A)のB
―B線に沿った縦断面図である。
【0024】図1(A)(B)において、11はアウタ
リング(固定輪)で、外側環状部材11Aと内側環状部
材11Bとの2重の環状部材で構成されている。外側環
状部材11Aと内側環状部材11Bは、どちらも鉄鋼材
料により形成されている。外側環状部材11Aは転走面
を有しないため、熱処理は必ずしも必要ではないが、内
側環状部材11Bは転走面を有するために、耐摩耗性が
高い高炭素クロム軸受鋼または浸炭鋼により形成され、
ズブ焼き入れ、または浸炭焼き入れなどの熱処理を施し
てある。
【0025】このアウタリング11の内側に同心状にサ
ンローラ12が挿通配置されており、アウタリング11
の内側環状部材11Bと、サンローラ12との間に形成
される空間に、4個の遊星ローラ13が円周等間隔に配
置されている。これら4個の遊星ローラ13にはそれぞ
れ孔が形成されており、それぞれの孔にキャリア14の
円周方向等間隔位置に形成された孔に圧入固定された遊
星ローラ支持軸15が回転自在に嵌挿されている。
【0026】上記アウタリング11の内側環状部材11
Bと遊星ローラ13、また遊星ローラ13とサンローラ
12とは、それぞれ圧接状態で接触部を形成している。
【0027】上記の構成において、サンローラ12を駆
動軸として回転させると、それに外接する遊星ローラ1
3が回転し、遊星ローラ13が回転することによって、
キャリア14が回転する。このような動力伝達では、サ
ンローラ12の動力がキャリア14に減速して伝達され
る減速型の変速機となる。
【0028】上記の構成において、キャリア14を駆動
軸として回転させると、遊星ローラ支持軸15に回転自
在に取り付けられた遊星ローラ13が回転し、遊星ロー
ラ13が回転することによって、遊星ローラ13に内接
するサンローラ12が回転する。このような動力伝達で
は、キャリア14の動力がサンローラ12に増速して伝
達される増速型の変速機となる。
【0029】上記の構成の遊星ローラ式動力伝達装置1
0の組み立て工程では、まず、サンローラ12に対して
遊星ローラ13をキャリア14の遊星ローラ支持軸15
に回転自在に支持して円周方向等間隔に接するように配
置し、内側環状部材11Bを加熱後に外嵌めする。内側
環状部材11Bが冷却した後、外側環状部材11Aを焼
き嵌め、あるいは圧入により外嵌めする。外側環状部材
11Aの外嵌めにより、内側環状部材11Bは圧縮応力
を受け、その結果、転がり接触部における法線力が増加
する。内側環状部材11Bは焼き戻し軟化を防ぐため、
その焼き嵌め加熱温度はせいぜい120℃程度が上限で
ある。それに対して、外側環状部材11Aを焼き嵌めす
る場合、焼き戻し軟化を防ぐ必要がないため、加熱温度
をさらに高くすることができ、その結果、転がり接触部
における法線力をさらに増加することができる。
【0030】図1の実施形態では、外側環状部材11A
および内側環状部材11Bのどちらも、鉄鋼材料で形成
しているが、外側環状部材11Aを内側環状部材11B
よりも大きな線膨張係数を有する材料(例えばアルムニ
ウム合金や銅合金など)で形成して、焼き嵌めすること
により、さらに大きな焼き嵌め代が得られ、その結果、
法線力をさらに大きくすることができる。ただし、この
ままでは、外側環状部材11Aの熱膨張は内側環状部材
11Bの熱膨張よりも大きいため、遊星ローラ式動力伝
達装置10の運転によって温度が上昇すると、外側環状
部材11Aが熱膨張して接触部の法線力が低下する。
【0031】図2(A)(B)は、上記の問題点を解決
する本発明の第2実施形態に係る遊星ローラ式動力伝達
装置20の横断面図および縦断面図を示し、図2(A)
は図2(B)のA−A線に沿った横断面図を示し、図2
(B)は図2(A)のB−B線に沿った縦断面図を示
す。この実施形態では、アウタリング21が、外側環状
部材21Aと、中間環状部材21Bと、内側環状部材2
1Cとの3重の環状部材で構成されている。このアウタ
リング21の内側にサンローラ22が同心状に挿通配置
され、アウタリング21とサンローラ22との間に形成
される空間に4個の遊星ローラ23が円周等間隔に配置
されている。これら4個の遊星ローラ23の孔には、キ
ャリア24の遊星ローラ支持軸25が嵌挿されている。
【0032】この第2実施形態に係る遊星ローラ式動力
伝達装置20の動作は、上記図1に示したものと同様で
あるので、その説明を省略する。
【0033】この実施形態では、内側環状部材21Cは
中間環状部材21Bよりも線膨張係数が小さい高炭素ク
ロム軸受鋼または浸炭鋼により形成され、ズブ焼き入れ
または浸炭焼き入れなどの熱処理が施される。中間環状
部材21Bは内側環状部材21Cよりも線膨張係数が大
きな材料(例えばアルムニウム合金や銅合金など)で形
成される。外側環状部材21Aは、中間環状部材21B
よりも線膨張係数が小さな材料(例えば鉄鋼材料など)
によって形成される。
【0034】その組み立て工程においては、まずサンロ
ーラ22に対して遊星ローラ23を円周方向等間隔に接
するように配置し、内側環状部材21Cを加熱後に外嵌
めする。その後、半径方向の内側の中間環状部材21B
から外側環状部材21Aへと順次、焼き嵌めしていく。
このような焼き嵌めにより、内側環状部材21Cは中間
環状部材21Bおよび外側環状部材21Aから圧縮応力
を受けるようになり、その結果、転がり接触部における
法線力は増加する。また、運転によって遊星ローラ式動
力伝達装置20の温度が上昇しても、中間環状部材21
Bの熱膨張は線膨張係数が小さな材料で形成された外側
環状部材21Aによって抑えられるため、温度上昇によ
る接触部の法線力の低下を低く抑えることができる。
【0035】図3は、本発明の第3実施形態に係る遊星
ローラ式動力伝達装置30の縦断面図を示し、上記図2
の遊星ローラ式動力伝達装置20における外側環状部材
21Aを、ケーシングで代用させたものである。図3に
おいて、31はアウタリングで、外側環状部材31Aと
内側環状部材31Bとの2重の環状部材で構成されてい
る。32はサンローラ、33は遊星ローラ、34はキャ
リア、35は遊星ローラ支持軸である。36はサンロー
ラ32側のケーシングで、37はキャリア34側のケー
シングである。それぞれのケーシング36,37には、
サンローラ32およびキャリア34が、軸受38,39
を介して回転自在に取り付けられている。
【0036】ここで、内側環状部材31Bは、高炭素ク
ロム軸受鋼または浸炭鋼により形成され、ズブ焼入れま
たは浸炭焼き入れなどの熱処理が施される。外側環状部
材31Aは、内側環状部材31Bよりも線膨張係数が大
きい材料(例えばアルミニウム合金、銅合金など)で形
成されている。サンローラ32側のケーシング36は、
外側環状部材31Aよりも線膨張係数が小さい材料で形
成される。外側環状部材31Aとケーシング36との嵌
め合いは、必ずしも締り嵌めである必要はないが、その
隙間はできるだけ小さいことが望ましい。外側環状部材
31Aよりも線膨張係数が小さい材料で形成されたケー
シング36により、遊星ローラ式動力伝達装置30の運
転時の温度上昇による外側環状部材31Aの熱膨張が抑
えられるため、温度上昇による接触部の法線力の低下を
低く抑えることができる。
【0037】なお、上記各実施形態においては、遊星ロ
ーラ13,23,33を遊星ローラ支持軸15,25,
35にて支持する構成の遊星ローラ式動力伝達装置につ
いて説明したが、本発明は遊星ローラ13,23,33
をキャリア14,24,34に形成したポケットに収容
する形式の遊星ローラ式動力伝達装置(特開平9−17
7917号公報参照)にも適用できる。
【0038】図4(A)は、そのような本発明の第4実
施形態の遊星ローラ式動力伝達装置40の一部を切り開
いた斜視図を示し、図4(B)は(A)の縦断面図を示
す。図4において、41はアウタリングで、外側環状部
材41Aと内側環状部材41Bとの2重の環状部材で構
成されている。このアウタリング41の内側に同心状
に、キャリア44と一体に形成された円盤部45が、図
4(A)から明らかなように、すきまを設けて挿通され
ており、このキャリア44の円盤部45の円周等間隔位
置に形成された円筒状の複数(図示例は4個)のキャリ
アポケット46内に遊星ローラ43が収納されている。
ここで、前記アウタリング41の内側環状部材41B
と、遊星ローラ43と、サンローラ42とは圧接されて
おり、接触部に法線力が与えられている。
【0039】上記の遊星ローラ式動力伝達装置40は、
前述の遊星ローラ式動力伝達装置10,20,30と異
なり、キャリア44に遊星ローラ支持軸(15,25,
35)を圧入固定する代りに、キャリアポケット46内
に遊星ローラ43を収納した点が異なる。
【0040】この遊星ローラ式動力伝達装置40は、サ
ンローラ42が回転すると、このサンンローラ42と接
触している遊星ローラ43がキャリアポケット46内で
回転し、遊星ローラ43の回転によって遊星ローラ43
がアウタリング41の内側環状部材41Bの内周面を転
動して、それによって遊星ローラ43にキャリアポケッ
ト46の転走面が押されてキャリア44が回転する。
【0041】前記キャリア44は、例えば、潤滑性能が
良好な金属粉末あるいは潤滑剤粉末を加えた焼結材料を
成形型にて加圧成形し、これを高温で焼結して製作され
ており、これによって遊星ローラ43との滑り接触面で
良好な潤滑性能が得られる。また、前記キャリアポケッ
ト46の非転走面は、開口端側に向かって開かれるテー
パ面に形成し、かつ、そのテーパ面に軸方向溝状の潤滑
剤溜り47を形成しており、それによって、遊星ローラ
43とキャリアポケット46の非転走面との間に潤滑剤
が浸入しやすくして、良好な潤滑性能が得られる。
【0042】このような遊星ローラ式動力伝達装置40
によっても、外側環状部材41Aおよび内側環状部材4
1Bで構成された2重構成のアウタリング41を具備す
ることによって、図1に示す外側環状部材11Aおよび
内側環状部材11Bで構成された2重構成のアウタリン
グ11を具備する遊星ローラ式動力伝達装置10と同様
に、内側環状部材41Bが外側環状部材41Aによって
圧縮応力を受けるようにして、接触部に大きな法線力を
得ることができる。
【0043】本発明はまた、アウタリングとサンローラ
との間に多段ローラを配置した多段ローラ式動力伝達装
置(特開平11−227664号公報、特開2000−
97303号公報参照)にも適用できる。
【0044】図5(A)はそのような本発明の第5実施
形態に係る多段ローラ式動力伝達装置50の平面図を示
し、図5(B)は図5(A)のB−B線に沿った縦断面
図を示す。
【0045】図5において、51はアウタリングで外側
環状部材51Aと内側環状部材51Bとの2重の環状部
材で構成されている。このアウタリング51の内側に、
同心状に、サンローラ52が挿通されている。そしてア
ウタリング51とサンローラ52との間に、複数の第1
ローラ53Aと複数の第2ローラ53Bとが、それぞれ
円周等間隔に配置されている。第1ローラ53Aはサン
ローラ52の外周面と摩擦接触し、第2ローラ53Bは
アウタリング51の内側環状部材51Bの内周面に摩擦
接触している。第1ローラ53Aは2つの摩擦接触面で
構成されることによって、2つの異なる回転半径を持っ
た転走面を有する。前記第2ローラ53Bはそれぞれキ
ャリア54の円周等間隔に圧入固定されたローラ支持軸
55に回転自在に取り付けられている。図中の2点鎖線
で示す符号56は、アウタリング51が固定されるハウ
ジングを示すが、固定手段は図示を割愛している。
【0046】この多段ローラ式動力伝達装置50は、サ
ンローラ52が回転すると、第1ローラ53Aが回転
し、第1ローラ53Aが回転することで第2ローラ53
Bが回転し、第2ローラ53Bがアウタリング51の内
側環状部材51Bの内周面を転走することによって、キ
ャリア54が回転する。これによって、サンローラ52
の回転が減速されて、キャリア54に伝達される。
【0047】前記第1ローラ53Aは前述のとおり、2
つの摩擦接触面(サンローラ52との大径の接触面と、
第2ローラ53Bとの小径の接触面)で構成されること
によって、2つの異なる回転半径を持った転走面を有す
るので、その大径の接触面の半径と、小径の接触面の半
径との、大きさおよび/または半径比を変えることで、
任意の変速比を得ることができる。
【0048】この多段ローラ式動力伝達装置50は、ア
ウタリング51が外側環状部材51Aと内側環状部材5
1Bとの2重の環状部材で構成されているので、図1お
よび図4に示す遊星ローラ式動力伝達装置10および4
0と同様に、内側環状部材51Bが外側環状部材51A
により圧縮応力を受けるようにして、接触部に大きな法
線力が得られる。
【0049】なお、上記の多段ローラ式動力伝達装置5
0においては、第2ローラ53Bにローラ支持軸55を
回転自在に挿通する場合について説明したが、上記図4
の実施形態と同様に、キャリア54にキャリアポケット
を形成して、このキャリアポケット内に第2ローラを収
納した構成としてもよい。
【0050】また、図5では第1ローラ53Aおよび第
2ローラ53Bを有する2段式の多段ローラ式動力伝達
装置50について説明したが、3段以上の多段ローラ構
成としてもよい。
【0051】図6は、本発明の第6実施形態に係る遊星
ローラ式動力伝達装置60の部分横断面図を示す。この
遊星ローラ式動力伝達装置60は、ボルトにより締め付
けるクランプ構造のもので、アウタリング61が外側環
状部材61Aと内側環状部材61Bとの2重の環状部材
によって構成されている。外側環状部材61Aと内側環
状部材61Bは、どちらも鉄鋼材料により形成されてい
る。外側環状部材61Aは転走面を有しないので、熱処
理は必ずしも必要ではないが、内側環状部材61Bは転
走面を有するために、耐摩耗性が高い高炭素クロム軸受
鋼または浸炭鋼により形成され、ズブ焼入れまたは浸炭
焼入れなどの熱処理を施してある。
【0052】このアウタリング61の内側に同心状にサ
ンローラ62が挿通配置されており、アウタリング61
の内側環状部材61Aと、サンローラ62との間に形成
される空間に、4個の遊星ローラ63が円周等間隔に配
置されている。これら4個の遊星ローラ63にはそれぞ
れ孔が形成されており、それぞれの孔にキャリア64の
円周等間隔位置に形成された孔に圧入固定された遊星ロ
ーラ支持軸65が回転自在に嵌挿されている。
【0053】前記アウタリング61の外側環状部材61
Aは、これまで説明した第1ないし第5実施形態の動力
伝達装置10,20,30,40,50における切れ目
のない円環状の外側環状部材11A,21A,31A,
41A,51Aと異なり、その一部に切り欠き部66を
有し、この切り欠き部66を挟んで一方側に、断面が扇
形の凹所67およびこの凹所67に連通するボルト挿通
孔68aを形成するとともに、他方側に前記ボルト挿通
孔68aと同一軸線上に雌ネジを刻設したナット部68
bが設けてある。そして、前記一方側の凹所67から、
ボルト挿通孔68aを通してナット部68bに、ボルト
69が螺着されて締め付けられている。
【0054】上記の遊星ローラ式動力伝達装置60の組
み立て工程では、まず、サンローラ62に対して遊星ロ
ーラ63をキャリア64の遊星ローラ支持軸65に回転
自在に支持して円周方向等間隔に接するように配置し、
内側環状部材61Bを加熱後に外嵌めする。内側環状部
材61Bが冷却した後、外側環状部材61Aを外嵌め
し、ボルト69で締め付けることによって、外側環状部
材61Aの内径寸法を減少させるようにして、内側環状
部材61Bに締め付け力が作用するようにしている。こ
の外側環状部材61Aのボルト69による締め付け力に
よって、内側環状部材61Bは圧縮応力を受け、その結
果、転がり接触部における法線力が増加する。
【0055】この第6実施形態によれば、組み立て工程
において、外側環状部材61Aの焼き嵌めが不要であ
り、組み立て作業が容易になるのみならず、ボルト69
の締め付け力を調整することによって、内側環状部材6
1Bに対する圧縮応力を調整することができる。
【0056】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の動力
伝達装置は、アウタリングと、このアウタリングに同心
状に挿通されるサンローラと、アウタリングとサンロー
ラとの間に圧接状態で配される複数の遊星ローラとを備
えた動力伝達装置において、前記アウタリングが複数の
環状部材からなり、遊星ローラと接する環状部材は、外
嵌めされる他の環状部材により圧縮応力を受ける構造で
あるから、アウタリングを構成する複数の環状部材の材
質を、外側環状部材は内側環状部材よりも線膨張係数が
大きく、転走面を構成する内側環状部材は耐摩耗性が高
い材質から適宜選定することによって、接触部に大きな
法線力を得られるとともに、耐摩耗性が大きい遊星ロー
ラ式の動力伝達装置が提供できる。
【0057】また、本発明の動力伝達装置は、アウタリ
ングと、このアウタリングに同心状に挿通されるサンロ
ーラと、アウタリングとサンローラとの間に圧接状態で
径方向に多段に配される複数のローラ群とを備えた動力
伝達装置において、前記アウタリングが複数の環状部材
からなり、ローラ群と接する環状部材は、外嵌めされる
他の環状部材により圧縮応力を受ける構造であることを
特徴とするものであるから、上記と同様の効果を奏する
多段ローラ式の動力伝達装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の第1実施形態に係る遊星ロー
ラ式動力伝達装置の部分横断面図、(B)は(A)のB
−B線に沿った部分縦断面図である。
【図2】(A)は本発明の第2実施形態に係る遊星ロー
ラ式動力伝達装置の部分横断面図、(B)は(A)のB
−B線に沿った部分縦断面図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る遊星ローラ式動力
伝達装置の部分縦断面図である。
【図4】(A)は本発明の第4実施形態に係る遊星ロー
ラ式動力伝達装置の一部を切り開いた斜視図、(B)は
(A)の縦断面図である。
【図5】(A)は本発明の第5実施形態に係る多段ロー
ラ式動力伝達装置の平面図、(B)は(A)のB−B線
に沿った縦断面図である。
【図6】本発明の第6実施形態に係る遊星ローラ式動力
伝達装置の部分横断面図である。
【図7】(A)は従来の遊星ローラ式動力伝達装置の部
分横断面図、(B)は(A)のB−B線に沿った部分縦
断面図である。
【符号の説明】
10,20,30,40,60 動力伝達装置(遊星ロ
ーラ式動力伝達装置) 11,21,31,41,51,61 アウタリング 11A,21A,31A,41A,51A,61A 外
側環状部材 11B,21C,31B,41B,51B,61B 内
側環状部材 21B 中間環状部材 12,22,32,42,52,62 サンローラ 13,23,33,43,63 遊星ローラ 14,24,34,44,54,64 キャリア 15,25,35,65 遊星ローラ支持軸 36,37,56 ケーシング 38,39 軸受 46 キャリアポケット 50 動力伝達装置(多段ローラ式動力伝達装置) 53A 第1ローラ 53B 第2ローラ 55 ローラ支持軸 66 切り欠き部 69 ボルト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3J051 AA01 BA03 BB06 BC01 BD02 BE03 EA10 EB02 EB03 EB04 EC04 EC08 FA01 FA02 FA10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アウタリングと、このアウタリングに同
    心状に挿通されるサンローラと、アウタリングとサンロ
    ーラとの間に圧接状態で配される複数の遊星ローラとを
    備えた動力伝達装置において、 前記アウタリングが複数の環状部材からなり、遊星ロー
    ラと接する環状部材は、外嵌めされる他の環状部材によ
    り圧縮応力を受ける構造であることを特徴とする動力伝
    達装置。
  2. 【請求項2】 アウタリングと、このアウタリングに同
    心状に挿通されるサンローラと、アウタリングとサンロ
    ーラとの間に圧接状態で径方向に多段に配される複数の
    ローラ群とを備えた動力伝達装置において、 前記アウタリングが複数の環状部材からなり、ローラ群
    と接する環状部材は、外嵌めされる他の環状部材により
    圧縮応力を受ける構造であることを特徴とする動力伝達
    装置。
  3. 【請求項3】 前記圧縮応力を受ける構造が、環状部材
    間の締り嵌め構造である請求項1または2に記載の動力
    伝達装置。
  4. 【請求項4】 前記アウタリングが、異なる線膨張係数
    を有する環状部材の組み合わせにより形成されている請
    求項1ないし3のいずれかに記載の動力伝達装置。
  5. 【請求項5】 前記アウタリングは、内径側ほど線膨張
    係数が小さい環状部材で形成されている請求項1ないし
    4のいずれかに記載の動力伝達装置。
  6. 【請求項6】 前記請求項5に記載の動力伝達装置に、
    その最外径の環状部材よりも線膨張係数が小さい部材を
    外嵌めしたことを特徴とする動力伝達装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103115118A (zh) * 2013-02-05 2013-05-22 胡贻勃 同轴心线双行星轮系驱动增速器

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