JP2002298896A - 燃料電池システム - Google Patents

燃料電池システム

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JP2002298896A
JP2002298896A JP2001103276A JP2001103276A JP2002298896A JP 2002298896 A JP2002298896 A JP 2002298896A JP 2001103276 A JP2001103276 A JP 2001103276A JP 2001103276 A JP2001103276 A JP 2001103276A JP 2002298896 A JP2002298896 A JP 2002298896A
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    • Y02E60/50Fuel cells

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 燃料電池本体と水回収用の熱交換器との間の
配管内に溜まる水をポンプを設けることなく、純水タン
クへ回収する。 【解決手段】 燃料電池本体2の酸化剤極出口とコンデ
ンサ(熱交換器)5とを連通する排ガス流路8aの下方
に開閉バルブ18を介して水回収用チャンバ9を設け
る。3方弁19、22は、水回収用チャンバ9を介する
空気流路とこれをバイパスするバイパス流路10とを切
り換え可能となっている。通常時には、空気冷却器11
で冷却された圧縮空気を水回収用チャンバ9を通して加
湿器1へ供給する。水回収用チャンバ9の水位が低下し
たとき、開閉バルブ18を開き、3方弁19、22をバ
イパス流路10へ切り換えさせ、排ガス流路8aに溜ま
った水を水回収チャンバ9へ流下させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は燃料電池システムに
係り、特に酸化剤極から排出される排ガス中の水分を有
効利用できる燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】燃料電池は、燃料が有する化学エネルギ
を熱エネルギや機械エネルギを経由することなく直接電
気エネルギに変換するため、高いエネルギ変換効率が実
現可能な発電装置として知られている。
【0003】この燃料電池は、酸化剤極に酸素を含有す
る酸化剤ガスの供給を受け、燃料極に水素を含有する燃
料ガスの供給を受ける。燃料極では(1)式に示す電気
化学反応により水素が電離して水素イオンと電子にな
る。電子は外部回路を通じて酸化剤極に到達し、水素イ
オンは酸化剤極まで電解質中を移動する。酸化剤極で
は、(2)式に示す電気化学反応により水が生じる。燃
料電池全体としては、(3)式の化学反応が生じたこと
になる。
【0004】
【数1】 H→2H+2e …(1) (1/2)O+2H+2e→HO …(2) H+(1/2)O→HO …(3) このように、燃料電池における電気化学反応では、水素
と酸素から水が生じる。また燃料電池の電解質層の乾燥
によるイオン伝導性の低下を防ぐ目的で、燃料ガスや酸
化ガスには水蒸気が加えられている。このため、酸化剤
極出口から排出される排ガス中には、加湿された水分に
加えて、電気化学反応による生成水が含まれている。通
常、この排ガス中の水分は、酸化剤極の出口に備えられ
た水回収用の熱交換器(コンデンサ)により水分を凝縮
させて回収し、加湿器で消費した水分を補うべく再循環
させている。
【0005】このような従来技術としては、例えば特開
2000−30727号公報記載の燃料電池システムが
知られている。この技術によれば、燃料電池スタックか
ら排出される空気中の水蒸気を回収する水回収装置を設
け、水供給系のタンクの水量に応じて、水回収装置の電
動冷却ファンをオン・オフ制御している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】燃料電池システムを車
両に搭載するためには、燃料電池システム中のかなりの
重量及び容積を占める燃料電池本体を車両の床下など安
全な位置に配置する必要がある。また燃料電池本体の酸
化剤極から排出された排ガス中の水分を熱交換器(コン
デンサ)によって回収し、この回収された水分を加湿器
に供給するための純水タンクに戻す必要がある。上記の
ことを考慮し、さらに車両搭載性を考慮すると、必然的
に、純水タンクの上部に熱交換器を配置することとな
る。このため、燃料電池本体が床下近傍で、かつ、熱交
換器が燃料電池本体よりも高い位置にあるため、燃料電
池システムの運転状態によっては、燃料電池本体の酸化
剤極から排出される生成水と水分を含む排ガス中の水分
が熱交換器へ至る配管中で凝縮して、溜まる可能性があ
る。このため、溜まった純水を純水供給タンクに戻すた
めに、わざわざ水ポンプなどを設置しなければならない
という問題点があった。
【0007】また、燃料電池本体の酸化剤極から排出さ
れる排ガスから回収された純水は、比較的高温となって
いるが、これを直接純水タンクに戻したのでは、この熱
エネルギーを利用できないという問題点があった。
【0008】以上の問題点に鑑み、本発明の目的は、燃
料電池本体と、燃料電池から水回収用の熱交換器へ至る
配管内に溜まる水を、ポンプ等を設けることなく純水タ
ンクへ回収することができる燃料電池システムを提供す
ることである。
【0009】また本発明の目的は、燃料電池本体の酸化
剤極から排出される排ガスから回収された高温の純水が
持つ熱エネルギーを利用し、加湿器を小型化することが
できる燃料電池システムを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明は、電解質膜を挟んで燃料極と
酸化剤極とが対設された燃料電池本体と、所望の流量及
び圧力で水素を含む燃料ガスを供給する燃料ガス供給手
段と、空気を圧縮して所望の流量及び圧力で吐出するこ
とができる空気コンプレッサと、該空気コンプレッサか
ら吐出された圧縮空気を冷却する空気冷却器と、該空気
冷却器で冷却された空気及び前記燃料ガスを密閉型純水
タンクから供給された純水でそれぞれ加湿して前記燃料
電池本体に供給するための加湿器と、前記燃料電池本体
の酸化剤極出口から排出される排ガスを冷却して水分を
回収する熱交換器と、を備えた燃料電池システムにおい
て、前記燃料電池本体の酸化剤極出口と前記熱交換器と
を連通する排ガス流路の下方に配設された水回収用チャ
ンバと、該水回収用チャンバと前記排ガス流路との間を
開閉する第1の開閉バルブと、を備えたことを要旨とす
る。
【0011】上記目的を達成するため、請求項2記載の
発明は、請求項1記載の燃料電池システムにおいて、前
記空気冷却器と前記加湿器とを接続する空気流路上に、
前記水回収用チャンバを経由する流路と該水回収用チャ
ンバをバイパスするバイパス流路とを切り換える流路切
換弁を配設し、該流路切換弁が前記水回収用チャンバを
経由する流路に切り換えているとき、前記空気冷却器で
冷却された空気が前記水回収用チャンバ内で加湿された
後に前記加湿器で加湿されることを要旨とする。
【0012】上記目的を達成するため、請求項3記載の
発明は、請求項1または請求項2記載の燃料電池システ
ムにおいて、前記密閉型純水タンクと前記水回収用チャ
ンバとの間を開閉する第2の開閉バルブを備えたことを
要旨とする。
【0013】上記目的を達成するため、請求項4記載の
発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載の
燃料電池システムにおいて、前記水回収用チャンバから
前記燃料電池システム外へ余分な水を排出する第3の開
閉バルブを備えたことを要旨とする。
【0014】上記目的を達成するため、請求項5記載の
発明は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の
燃料電池システムにおいて、前記水回収用チャンバの水
位を検知する第1の水位センサを備えたことを要旨とす
る。
【0015】上記目的を達成するため、請求項6記載の
発明は、請求項5記載の燃料電池システムにおいて、前
記第1の水位センサが検出した前記水回収用チャンバ内
の水位が所定値以上の場合には、前記第1、第2、及び
第3の開閉バルブを全て閉じる一方、前記流路切換弁を
前記水回収用チャンバを経由する流路に切り換えて、前
記水回収用チャンバで加湿を行った空気を前記加湿器に
流入させることを要旨とする。
【0016】上記目的を達成するため、請求項7記載の
発明は、請求項5記載の燃料電池システムにおいて、前
記第1の水位センサが検出した前記水回収用チャンバ内
の水位が所定値未満の場合には、前記第1の開閉バルブ
を開き、前記第2及び第3の開閉バルブを閉じる一方、
前記流路切換弁を前記水回収用チャンバをバイパスする
バイパス流路に切り換えて、前記水回収用チャンバを通
過しない空気を前記加湿器に流入させることを要旨とす
る。
【0017】上記目的を達成するため、請求項8記載の
発明は、請求項5記載の燃料電池システムにおいて、前
記密閉型純水タンクの水位を検出する第2の水位センサ
を備え、前記第1の水位センサが検出した前記水回収用
チャンバ内の水位が所定値以上で、かつ前記第2の水位
センサが検出した前記密閉型純水タンクの水位が所定値
未満の場合には、前記第1、及び第3の開閉バルブを閉
じ、前記第2の開閉バルブを開く一方、前記流路切換弁
を前記水回収用チャンバを経由する流路に切り換えて、
前記空気コンプレッサの吐出圧力により、前記水回収用
チャンバから前記密閉型純水タンクへ水を移送すること
を要旨とする。
【0018】上記目的を達成するため、請求項9記載の
発明は、請求項5記載の燃料電池システムにおいて、前
記密閉型純水タンクの水位を検出する第2の水位センサ
を備え、前記第1の水位センサが検出した前記水回収用
チャンバ内の水位が所定値以上で、かつ前記第2の水位
センサが検出した前記密閉型純水タンクの水位が所定値
以上の場合には、前記第1、及び第2の開閉バルブを閉
じ、前記第3の開閉バルブを開く一方、前記流路切換弁
を前記水回収用チャンバを経由する流路に切り換えて、
前記空気コンプレッサの吐出圧力により、前記水回収用
チャンバから余分な水を燃料電池システム外へ排出する
ことを要旨とする。
【0019】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、電解質膜を挟
んで燃料極と酸化剤極とが対設された燃料電池本体と、
所望の流量及び圧力で水素を含む燃料ガスを供給する燃
料ガス供給手段と、空気を圧縮して所望の流量及び圧力
で吐出することができる空気コンプレッサと、該空気コ
ンプレッサから吐出された圧縮空気を冷却する空気冷却
器と、該空気冷却器で冷却された空気及び前記燃料ガス
を密閉型純水タンクから供給された純水でそれぞれ加湿
して前記燃料電池本体に供給するための加湿器と、前記
燃料電池本体の酸化剤極出口から排出される排ガスを冷
却して水分を回収する熱交換器と、を備えた燃料電池シ
ステムにおいて、前記燃料電池本体の酸化剤極出口と前
記熱交換器とを連通する排ガス流路の下方に配設された
水回収用チャンバと、該水回収用チャンバと前記排ガス
流路との間を開閉する第1の開閉バルブと、を備えたこ
とにより、排ガスを冷却して水分を回収する熱交換器を
例えば燃料電池本体よりも高い位置に配置しても両者を
連通する排ガス流路に溜まる凝縮水を第1の開閉バルブ
を開いて水回収用チャンバへ回収することができるとい
う効果がある。
【0020】請求項2の発明によれば、請求項1の発明
の効果に加えて、前記空気冷却器と前記加湿器とを接続
する空気流路上に、前記水回収用チャンバを経由する流
路と該水回収用チャンバをバイパスするバイパス流路と
を切り換える流路切換弁を配設し、該流路切換弁が前記
水回収用チャンバを経由する流路に切り換えていると
き、前記空気冷却器で冷却された空気が前記水回収用チ
ャンバ内で加湿された後に前記加湿器で加湿されるよう
にしたので、密閉型純水タンクに戻りきらなかった凝縮
水を再利用することができるとともに、予め水回収用チ
ャンバ内で加湿された空気を加湿器が加湿するので加湿
器の負担が減少し、加湿器を小型化することができると
いう効果がある。
【0021】請求項3の発明によれば、請求項1または
請求項2の発明の効果に加えて、前記密閉型純水タンク
と前記水回収用チャンバとの間を開閉する第2の開閉バ
ルブを備えたことにより、水回収用チャンバ内の純水を
密閉型純水タンクに戻して再利用することができるとい
う効果がある。
【0022】請求項4の発明によれば、請求項1ないし
請求項3の発明の効果に加えて、前記水回収用チャンバ
から前記燃料電池システム外へ余分な水を排出する第3
の開閉バルブを備えたことにより、純水の量が過剰とな
った場合、燃料電池システム外へ排水管から排水して純
水の量を適度に保つことができるという効果がある。
【0023】請求項5の発明によれば、請求項1ないし
請求項4の発明の効果に加えて、前記水回収用チャンバ
の水位を検知する第1の水位センサを備えたことによ
り、水回収用チャンバの水位を正確に制御することがで
きるという効果がある。
【0024】請求項6の発明によれば、請求項5の発明
の効果に加えて、前記第1の水位センサが検出した前記
水回収用チャンバ内の水位が所定値以上の場合には、前
記第1、第2、及び第3の開閉バルブを全て閉じる一
方、前記流路切換弁を前記水回収用チャンバを経由する
流路に切り換えて、前記水回収用チャンバで加湿を行っ
た空気を前記加湿器に流入させるようにしたので、水回
収用チャンバ内に純水が充分あるときに、これにより加
湿した空気を加湿器へ供給し、加湿器における純水の消
費量を低減することができるという効果がある。
【0025】請求項7の発明によれば、請求項5記載の
発明の効果に加えて、前記第1の水位センサが検出した
前記水回収用チャンバ内の水位が所定値未満の場合に
は、前記第1の開閉バルブを開き、前記第2及び第3の
開閉バルブを閉じる一方、前記流路切換弁を前記水回収
用チャンバをバイパスするバイパス流路に切り換えて、
前記水回収用チャンバを通過しない空気を前記加湿器に
流入させるようにしたので、燃料電池本体の酸化剤極出
口と熱交換器とを連通する排ガス流路に滞留した凝縮水
を速やかに水回収用チャンバに回収することができると
いう効果がある。
【0026】請求項8の発明によれば、請求項5記載の
発明の効果に加えて、前記密閉型純水タンクの水位を検
出する第2の水位センサを備え、前記第1の水位センサ
が検出した前記水回収用チャンバ内の水位が所定値以上
で、かつ前記第2の水位センサが検出した前記密閉型純
水タンクの水位が所定値未満の場合には、前記第1の開
閉バルブ及び前記第3の開閉バルブを閉じ、前記第2の
開閉バルブを開く一方、前記流路切換弁を前記水回収用
チャンバを経由する流路に切り換えて、前記空気コンプ
レッサの吐出圧力により、前記水回収用チャンバから前
記密閉型純水タンクへ水を移送するようにしたので、純
水回収用のポンプを設けることなく、密閉型純水タンク
へ純水を供給することができるという効果がある。
【0027】請求項9の発明によれば、請求項5記載の
発明の効果に加えて、前記密閉型純水タンクの水位を検
出する第2の水位センサを備え、前記第1の水位センサ
が検出した前記水回収用チャンバ内の水位が所定値以上
で、かつ前記第2の水位センサが検出した前記密閉型純
水タンクの水位が所定値以上の場合には、前記第1の開
閉バルブ及び前記第2の開閉バルブを閉じ、前記第3の
開閉バルブを開く一方、前記流路切換弁を前記水回収用
チャンバを経由する流路に切り換えて、前記空気コンプ
レッサの吐出圧力により、前記水回収用チャンバから余
分な水を燃料電池システム外へ排出するようにしたの
で、純水のオーバフローによる空気の圧力上昇などを防
止することができるという効果がある。
【0028】
【発明の実施の形態】次に、図面を参照して、本発明に
係る燃料電池システムの実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明に係る燃料電池システムの構成を示すシ
ステム構成図であり、燃料電池車両に好適な燃料電池シ
ステムを示している。同図において、燃料電池本体(燃
料電池スタック)2は、固体高分子電解質膜を挟んで酸
化剤極と燃料極を対向配置した燃料電池構造体をセパレ
ータで扶持し、複数これを積層したものである。また、
加湿器1は、燃料ガスとしての水素、酸化剤ガスとして
の空気をそれぞれ半透膜を介して純水と隣接させ、水分
子が半透膜を通過することにより、それぞれのガスに加
湿を行うものである。
【0029】水素タンク4に貯えられた水素ガスは、図
示しない調圧弁により調圧された後、加湿器1により加
湿されて、燃料電池本体2の燃料極の入口に供給され
る。燃料極の出口からの排気は、エゼクタ(水素循環装
置)3にて水素タンク4から新たに供給される水素ガス
と合流・混合させられて、加湿器1を介して、燃料電池
本体2の燃料極に再循環させられる。
【0030】酸化剤としての空気は、空気コンプレッサ
12によって圧縮された後、空気冷却器11により冷却
されて、水回収用チャンバ9またはバイパス流路10の
いずれか一方の流路を介して加湿器1に供給される。こ
の空気流路を切り換えるのが3方弁19及び22(流路
切換弁)である。即ち、空気冷却器11からの空気は、
これら3方弁19、22の開状態のとき水回収用チャン
バ9を通り、3方弁19、22が閉状態のときバイパス
流路10を通って加湿器1に流入する。加湿器1で加湿
された空気は、燃料電池本体2の酸化剤極入口へ供給さ
れる。
【0031】燃料電池本体2の酸化剤極の出口からの排
気は、水蒸気と液水を含んでいるため、コンデンサ(熱
交換器)5によって水分を凝縮させた後、密閉型純水タ
ンク6へ流入する。排気と水とは密閉型純水タンク6で
分離され、排気は排圧調整バルブ24を介して大気に放
出され、水は密閉型純水タンク6に貯留される。密閉型
純水タンク6内の水は、水ポンプ7で加湿器1へ圧送さ
れ、一部が加湿により消費されて、残った水が密閉型純
水タンク6に戻される。また、密閉型純水タンク6の内
部には、その水位を検出する水位センサ26が設けられ
ている。
【0032】コンデンサ5は、液冷式のコンデンサであ
り、コンデンサ5を冷却する冷却液は、ラジエータ14
から、ポンプ16、電力制御装置13、空気コンプレッ
サ12、空気冷却器11、コンデンサ5を経て、ラジエ
ータ14に戻る経路で循環するようになっている。尚、
コンデンサ5への冷却水流入口と同流出口との間には、
通常閉状態の開閉バルブ23が設けられている。開閉バ
ルブ23を開いたとき、冷却水がコンデンサ5をバイパ
スして、コンデンサ5では殆ど水分が凝縮されないよう
になっている。電力制御装置13は、電気自動車の電力
を制御する装置であり、燃料電池の高圧直流電圧を補機
用の低圧(例えば12V)直流電圧に変換するDC/D
Cコンバータ、或いは交流駆動モータ用の交流電圧に変
換するDC/ACインバータ等を含むものである。さら
に駆動モータ自体に冷却の必要があれば、上記冷却系に
組み込んでもかまわない。尚、図示しないが燃料電池本
体2を冷却する冷却系が別途設けられている。
【0033】ここで、燃料電池本体2とコンデンサ5は
排ガス流路8aの配管で連通しているため、排ガス流路
8a内部に液水や凝縮した水分が溜まり、排気が円滑に
コンデンサ5へ流れにくくなる。特に、燃料電池本体2
は、本燃料電池システムのかなりの容積と重量を占める
ので、車載用としては、車両の重心を低下させるために
車両の底部等の低い位置に配設されているが、コンデン
サ5は、燃料電池本体2より小型軽量であるので配置の
自由度が大きく、コンデンサ5が燃料電池本体2より高
い位置に配設される場合には、排ガス流路8a内部に液
水や凝縮した水分が溜まり、排気が著しく流れにくくな
る。
【0034】このため、本発明では、排ガス通路8aか
ら下方へ分岐する分岐ガス流路である排ガス流路8bを
設け、排ガス流路8bの下端部に水回収用チャンバ9
と、排ガス流路8aと水回収用チャンバ9との連通を開
閉する開閉バルブ18(第1の開閉バルブ)とを設けて
いる。水回収用チャンバ9の内部には、水位センサ25
が設けられ、水位センサ25が検出した水位に応じて、
開閉バルブ21(第2の開閉バルブ)を介して水回収用
チャンバ9から密閉純水タンク6へ送水できるようにな
っている。さらに過剰な水を水回収用チャンバ9から燃
料電池システム外へ排出するための開閉バルブ20(第
3の開閉バルブ)が設けられている。水位センサ25、
26が検出する各水位の信号は、図示しない制御装置へ
入力され、制御装置は、これらの水位に応じて、開閉バ
ルブ18、20、21、23、及び3方弁19、22を
制御できるようになっている。
【0035】図2、図3は、燃料電池システム起動時の
制御を説明するフローチャートである。図2において、
燃料電池システムの起動時においては、まず開閉バルブ
18,20,21,23及び三方弁19,22は全て閉
となるように制御される(S10〜S20)。次いで密
閉型純水タンク6の水位センサ26が検出する水位:L
2の値が読み込まれ(S22)、燃料電池起動に要する
最低水位TL以上か否かを判定する(S24)。L2が
TL以上であれば、図3のバルブ制御(S30)へ移
る。L2がTL未満であれば、水漏れ等により最低水位
に満たなかったものとして、起動を中止しシステム終了
する。
【0036】図3のS30では、水回収用チャンバ9の
水位センサ25が検出する水位:L1の値を読み込み
(S32)、L1が所定の低レベルしきい値CLを超え
ているか否かを判定する(S34)。L1がCLを超え
ていなければ、開閉バルブ18を開いて、燃料電池本体
2とコンデンサ5とを連通する排ガス流路8aと、水回
収用チャンバ9と、を連通させ、排ガス流路8aで凝縮
した水分を水回収用チャンバ9に流下させるようにして
(S36)、S32へ戻る。S34の判定でL1がCL
を超えていれば、燃料電池の運転モードである定常・過
渡バルブ制御を行うため、図4のS40へ移る。
【0037】本発明の実施形態として、燃料電池システ
ムの起動時においては、空気コンプレッサ12から所定
の流量および圧力にて酸化剤ガスを吐出して、加湿器1
にて所定の露点まで加湿して燃料電池本体2に供給す
る。ここで、三方弁19,22が閉じているので、酸化
剤ガスは、水回収用チャンバ9内を通過しないでバイパ
ス流路10を介して加湿器1に流入するようになってい
る。一方、水素タンク4から吐出された燃料ガスも、加
湿器1にて所定の露点まで加湿して燃料電池本体2に供
給する。このとき、排圧調整バルブ17および24にて
燃料電池本体2へ供給する各々のガス供給圧力を調整す
る。
【0038】このようにして燃料電池で発電を開始する
と、燃料電池システム全体が定常運転温度まで暖まって
いないので、燃料電池本体2の酸化剤極から排出される
酸化ガス中に含まれる水分が排ガス流路8a内で凝縮
し、コンデンサ5に至らず排ガス流路8a中に溜まり、
さらに、燃料電池の発電によって生成した純水もコンデ
ンサ5に至らず排ガス流路8a中に溜まることが予想さ
れる。この要因は、燃料電池本体2とコンデンサ5の車
両レイアウトでの相対的な位置(高低差)が大きく寄与
しており、かつ、起動時においては燃料電池本体2に供
給する酸化剤ガスおよび燃料ガスの流量および圧力は高
くないことから上記の現象が起きる。
【0039】そこで、燃料電池システム起動時は、開閉
バルブ18を開き、排ガス流路8aで凝縮する水を水回
収用チャンバ9内に流下させる。このように制御するこ
とによって、排ガス流路8a内で凝縮する、あるいは、
コンデンサ5まで至らない純水によって、酸化剤極の圧
力上昇や、圧力変動などを防止することが可能となる。
【0040】次に、水回収用チャンバ9に一時的に溜ま
った純水が水位センサ25によりある所定の低レベルし
きい値CLを超えた場合、三方弁19,22を開にし、
開閉バルブ18を閉じ、空気コンプレッサ12により吐
出された酸化剤ガスを水回収用チャンバ9を通過させる
ことによって、一時的に溜めた純水により加湿器1に入
る前に空気を予め加湿して加湿器1に流入させる。この
ように制御することで加湿器1での純水の消費量を削減
することができ、かつ、余剰水となっている純水を再利
用することができる。以上についてのバルブ制御のフロ
ーチャートを図4に示す。
【0041】図4の定常・過渡バルブ制御(S40)に
おいて、まず、水回収用チャンバ9の水位センサ25が
検出する水位:L1の値を読み込み(S42)、L1が
所定の高レベルしきい値CHを超えているか否かを判定
する(S44)。L1がCHを超えていれば、図5の水
の移動制御(S60)へ移る。L1がCHを超えていな
ければ、L1が所定の低レベルしきい値CL未満か否か
を判定する(S46)。L1がCL未満であれば、3方
弁19、22を閉じて空気冷却器11で冷却された空気
が水回収用チャンバ9をバイパスするバイパス流路10
を通じて加湿器1に供給されるようにし(S54、S5
6)、開閉バルブ18を開いて排ガス流路8aに溜まっ
た凝縮水を水回収用チャンバ9へ流下させるようにして
(S58)、S30のバルブ制御へ移る。
【0042】S46の判定で、L1がCL未満でなけれ
ば、水回収用チャンバ9の水位が適切であるので、水回
収用チャンバ9で空気に対して補助的な加湿を行った
後、加湿器1で加湿されるように、開閉バルブ18を閉
じて水回収チャンバ9から排ガス流路8aへの空気の逆
流を防ぎ(S48)、3方弁19、22を開くことによ
り空気冷却器11からの空気が水回収用チャンバ9を通
って加湿器1へ供給されるようにして(S50、S5
2)、S42へ戻る。
【0043】一方、水回収用チャンバ9に一時的に溜ま
る純水量が多く、ある所定の高レベルしきい値CHより
高くなった場合は、密閉型純水タンク6内の純水の量を
水位センサ26により検知し、所定の高レベルしきい値
TH以下であれば、水回収用チャンバ9に溜まった純水
を密閉型純水タンク6に移動させる。この場合、水回収
用チャンバ9と密閉型純水タンク6との間を連通するた
め開閉バルブ21を開き、空気コンプレッサ12により
吐出された空気の圧力を利用して、密閉型純水タンク6
に純水を戻す。そして、水回収用チャンバ9に溜まった
純水を密閉型純水タンク6に戻した後、再度、図4に示
した定常・過渡バルブ制御を行う。
【0044】図5は、水回収用チャンバ9から密閉型純
水タンク6への水の移動制御を説明するフローチャート
である。まず、密閉型純水タンク6の水位センサ26が
検出する水位:L2の値を読み込み(S62)、L2が
所定の高レベルしきい値THを超えているか否かを判定
する(S64)。L2がTHを超えていれば、水分過剰
なので図6の水排出制御(S80)へ移る。L2がTH
を超えていなければ、開閉バルブ21を開いて(S6
6)、水回収用チャンバ9の水位センサ25が検出する
水位:L1の値を読み込み(S68)、L1が所定の高
レベルしきい値CH未満か否かを判定する(S70)。
L1がCH未満となれば、開閉バルブ21を閉じて水の
移動を終了し(S72)、定常・過渡バルブ制御(S4
0)へ戻る。S70の判定で、L1がCH未満でなけれ
ば、未満となるまで水の移動を続けるため、S68へ戻
る。
【0045】このように制御を行うことによって、水回
収用チャンバ9と密閉型純水タンク6との間に水ポンプ
などを必要とせず、純水を密閉型純水タンク6に戻すこ
とが可能となる。
【0046】次に、水回収用チャンバ9および密閉型純
水タンク6内の純水量が水位センサ25,26によりあ
らかじめ定められた所定値より大きい場合は、開閉バル
ブ20を開き、水回収用チャンバ9から燃料電池システ
ム外へ純水を排出する。この時、コンデンサ5にて燃料
電池本体2の酸化剤極から排出される排ガスに含まれる
水蒸気を液水として回収しないように、冷却水バイパス
用の開閉バルブ23を開き、コンデンサ5に冷却水を流
さないように制御する。
【0047】図6は、上記の水分過剰時の水排出制御を
説明するフローチャートである。まず、開閉バルブ2
3、20を開き(S82、S84)、水回収用チャンバ
9の水位センサ25が検出する水位:L1の値を読み込
み(S86)、L1が所定の高レベルしきい値CHを超
えるか否かを判定する(S88)。L1がCHを超えて
いれば、水位を監視しつつ排水を続けるためS86へ戻
る。L1がCHを超えていなければ、開閉バルブ20、
23を閉じて排水を終了し(S90、S92)、定常・
過渡バルブ制御(S40)へ戻る。
【0048】以上の制御により水分過剰時には、コンデ
ンサ5で酸化剤極の排ガス中の水分を回収しないため、
冷却系のラジエータ14における放熱量を低減させるこ
とができ、省燃費化につながる。また、水余り現象に伴
う酸化剤極の圧力上昇や圧力変動を回避でき、省燃費化
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る燃料電池システムの構成を示すシ
ステム構成図である。
【図2】燃料電池起動時の動作を説明するフローチャー
トである。
【図3】燃料電池起動時の動作を説明するフローチャー
トである。
【図4】燃料電池システムの定常運転時及び過渡運転時
のバルブ制御を説明するフローチャートである。
【図5】水回収用チャンバから密閉型純水タンクへの水
の移動制御を説明するフローチャートである。
【図6】過剰な水分を排出する水排出制御を説明するフ
ローチャートである。
【符号の説明】
1 加湿器 2 燃料電池本体 3 エゼクタ 4 水素タンク 5 コンデンサ 6 密閉型純水タンク 7 水ポンプ 8a、8b 排ガス流路 9 水回収用チャンバ 10 バイパス流路 11 空気冷却器 12 空気コンプレッサ 13 電力制御装置 14 ラジエータ 15 ラジエータファン 16 冷却水ポンプ 17 排圧調整バルブ 18 開閉バルブ(第1の開閉バルブ) 19 三方弁(流路切換弁) 20 開閉バルブ(第3の開閉バルブ) 21 開閉バルブ(第2の開閉バルブ) 22 三方弁(流路切換弁) 23 開閉バルブ 24 排圧調整バルブ 25 水位センサ 26 水位センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷山 剛 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 Fターム(参考) 5H026 AA06 5H027 AA06 BA13 BA19 KK00 MM01 MM03

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解質膜を挟んで燃料極と酸化剤極とが
    対設された燃料電池本体と、 所望の流量及び圧力で水素を含む燃料ガスを供給する燃
    料ガス供給手段と、 空気を圧縮して所望の流量及び圧力で吐出することがで
    きる空気コンプレッサと、 該空気コンプレッサから吐出された圧縮空気を冷却する
    空気冷却器と、 該空気冷却器で冷却された空気及び前記燃料ガスを密閉
    型純水タンクから供給された純水でそれぞれ加湿して前
    記燃料電池本体に供給するための加湿器と、 前記燃料電池本体の酸化剤極出口から排出される排ガス
    を冷却して水分を回収する熱交換器と、 を備えた燃料電池システムにおいて、 前記燃料電池本体の酸化剤極出口と前記熱交換器とを連
    通する排ガス流路の下方に配設された水回収用チャンバ
    と、 該水回収用チャンバと前記排ガス流路との間を開閉する
    第1の開閉バルブと、を備えたことを特徴とする燃料電
    池システム。
  2. 【請求項2】 前記空気冷却器と前記加湿器とを接続す
    る空気流路上に、前記水回収用チャンバを経由する流路
    と該水回収用チャンバをバイパスするバイパス流路とを
    切り換える流路切換弁を配設し、 該流路切換弁が前記水回収用チャンバを経由する流路に
    切り換えているとき、前記空気冷却器で冷却された空気
    が前記水回収用チャンバ内で加湿された後に前記加湿器
    で加湿されることを特徴とする請求項1記載の燃料電池
    システム。
  3. 【請求項3】 前記密閉型純水タンクと前記水回収用チ
    ャンバとの間を開閉する第2の開閉バルブを備えたこと
    を特徴とする請求項1または請求項2記載の燃料電池シ
    ステム。
  4. 【請求項4】 前記水回収用チャンバから前記燃料電池
    システム外へ余分な水を排出する第3の開閉バルブを備
    えたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれ
    か1項記載の燃料電池システム。
  5. 【請求項5】 前記水回収用チャンバの水位を検知する
    第1の水位センサを備えたことを特徴とする請求項1な
    いし請求項4のいずれか1項記載の燃料電池システム。
  6. 【請求項6】 前記第1の水位センサが検出した前記水
    回収用チャンバ内の水位が所定値以上の場合には、前記
    第1、第2、及び第3の開閉バルブを全て閉じる一方、
    前記流路切換弁を前記水回収用チャンバを経由する流路
    に切り換えて、前記水回収用チャンバで加湿を行った空
    気を前記加湿器に流入させることを特徴とする請求項5
    記載の燃料電池システム。
  7. 【請求項7】 前記第1の水位センサが検出した前記水
    回収用チャンバ内の水位が所定値未満の場合には、前記
    第1の開閉バルブを開き、前記第2及び第3の開閉バル
    ブを閉じる一方、前記流路切換弁を前記水回収用チャン
    バをバイパスするバイパス流路に切り換えて、前記水回
    収用チャンバを通過しない空気を前記加湿器に流入させ
    ることを特徴とする請求項5記載の燃料電池システム。
  8. 【請求項8】 前記密閉型純水タンクの水位を検出する
    第2の水位センサを備え、 前記第1の水位センサが検出した前記水回収用チャンバ
    内の水位が所定値以上で、かつ前記第2の水位センサが
    検出した前記密閉型純水タンクの水位が所定値未満の場
    合には、前記第1、及び第3の開閉バルブを閉じ、前記
    第2の開閉バルブを開く一方、前記流路切換弁を前記水
    回収用チャンバを経由する流路に切り換えて、前記空気
    コンプレッサの吐出圧力により、前記水回収用チャンバ
    から前記密閉型純水タンクへ水を移送することを特徴と
    する請求項5記載の燃料電池システム。
  9. 【請求項9】 前記密閉型純水タンクの水位を検出する
    第2の水位センサを備え、 前記第1の水位センサが検出した前記水回収用チャンバ
    内の水位が所定値以上で、かつ前記第2の水位センサが
    検出した前記密閉型純水タンクの水位が所定値以上の場
    合には、前記第1、及び第2の開閉バルブを閉じ、前記
    第3の開閉バルブを開く一方、前記流路切換弁を前記水
    回収用チャンバを経由する流路に切り換えて、前記空気
    コンプレッサの吐出圧力により、前記水回収用チャンバ
    から余分な水を燃料電池システム外へ排出することを特
    徴とする請求項5記載の燃料電池システム。
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