JP2002292511A - 焼入れ鋼用穴明け工具 - Google Patents

焼入れ鋼用穴明け工具

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JP2002292511A
JP2002292511A JP2001097873A JP2001097873A JP2002292511A JP 2002292511 A JP2002292511 A JP 2002292511A JP 2001097873 A JP2001097873 A JP 2001097873A JP 2001097873 A JP2001097873 A JP 2001097873A JP 2002292511 A JP2002292511 A JP 2002292511A
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cutting edge
tool
drilling tool
tip
hardened steel
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JP2001097873A
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Takashi Masuda
敬 増田
Taichi Aoki
太一 青木
Hiroshi Ikeuchi
寛 池内
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MMC Kobelco Tool Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱処理が施された焼入れ鋼に穴明け加工を行
う場合において、加工穴入口のひびやクラックの発生を
抑えるとともに穴明け工具の寿命の延長を図る。 【解決手段】 円柱軸状の刃先部12の先端に2つの平
面よりなる先端面15,15を形成して、これら先端面
15,15の直線状の交差稜線を切刃16とする。刃先
部12の表面全体を硬質チタン系皮膜により被覆する。
切刃16は、軸線O方向の先端側から見て刃先部12の
直径方向に延び、かつ、工具本体11の側面から見て軸
線Oに直交する方向に延びて、刃先部12の外周面12
Aまで達する。2つの先端面15,15がなす挟角θ
を、45゜≦θ≦175゜の範囲に設定する。刃先部1
2の外周に、その先端から基端側に延びる2条の切屑排
出溝41,41を形成する。工具本体の心厚dを、切刃
16の外径Dに対して0.5D以上に設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱処理が施されて
硬質な焼入れ鋼よりなる加工物に穴明け加工を行う焼入
れ鋼用穴明け工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、熱処理が施されて、HRC60
以上と硬質な焼入れ鋼に対して、軸線回りに回転される
工具本体の先端に、例えば2枚の切刃が所定の先端角を
もって形成されるとともに、2条の切屑排出溝を備えた
ドリル状の穴明け工具を用いて穴明け加工を行うことが
行われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなドリル状の穴明け工具によって上記焼入れ鋼に穴明
け加工を施そうとした場合、加工穴の入口にひびやクラ
ック等が生じ易く、とくにこのようなひびやクラック
は、工具本体先端の軸線上に位置する切刃の先端角をも
った突端(いわゆるチゼルエッジ)が加工物に食い付く
際に発生しやすい。これは、この軸線上では、工具本体
の回転速度が0となるために、切刃の突端が1点で加工
物に押しつけられるように接触することとなり、これに
よって加工物に過大な負荷が作用して亀裂が生じること
によるものと考えられる。
【0004】また、その一方で、上記焼入れ鋼はHRC
60以上と高硬度でもあるため、ドリル状の穴明け工具
の切刃にチッピングが生じたり、刃先部の折損が生じて
しまい、比較的少ない穴加工数で工具の寿命が尽きてし
まうという問題が生じていた。そして、これらのような
傾向は、加工穴の径が極小さく、したがって穴明け工具
の切刃の外径も極小さくならざるを得ない場合におい
て、とくに顕著となる。なお、例えばダイヤモンド皮膜
によって切刃部分を被覆して強度の向上を図ることも考
えられるが、ダイヤモンドは鉄系材料加工を不得手とす
るために、上記のような焼入れ鋼に対してはその効果を
発揮できない。
【0005】本発明は、上記課題に鑑みてなされたもの
で、硬質な焼入れ鋼に穴明け加工を行う場合において、
加工穴入口のひびやクラックの発生を抑えるとともに穴
明け工具の寿命の延長を図ることができる焼入れ鋼用穴
明け工具を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決して、こ
のような目的を達成するために、本発明は、熱処理が施
された焼入れ鋼よりなる加工物に穴明け加工を行う焼入
れ鋼用穴明け工具であって、軸線回りに回転される円柱
軸状の工具本体の先端に、前記軸線に対して傾斜して互
いに交差する2つの先端面を有するとともに、その2つ
の先端面の交差稜線が切刃とされていて、該切刃が、前
記軸線方向の先端側から見て前記工具本体の直径方向に
延びて該工具本体の外周面まで達しており、さらに、少
なくとも前記切刃部分が硬質チタン系皮膜またはcBN
皮膜により被覆されている、あるいは、少なくとも前記
切刃部分がcBN焼結体,サーメットまたはセラミック
スのうちのいずれかにより形成されていることを特徴と
する。このような構成とすると、穴明け加工の際には、
従来のように、軸線上に位置する切刃の突端が1点で加
工物に押しつけられるように接触することがなくなっ
て、加工物に亀裂が生じるのを防ぐことができ、さら
に、切刃の強度を高く保ってチッピングを生じ難くする
ことが可能となる。また、工具本体が円柱軸状をなすこ
とにより、その剛性を著しく高く保つことができるの
で、刃先部の折損を防止するとともに、良好な穴位置精
度を得ることができる。さらに、少なくとも加工物の切
削に供される切刃部分が硬質チタン系皮膜またはcBN
皮膜により被覆されている、あるいは、cBN焼結体,
サーメットまたはセラミックスのうちのいずれかにより
形成されていることから、切刃部分の耐摩耗性を向上さ
せることができるとともに、硬質な焼入れ鋼に対しても
確実な切削作用を奏して、穴明け加工を施すことができ
る。
【0007】また、本発明は、前記切刃が、前記工具本
体の側面から見て前記軸線に直交する方向に延びる直線
状をなしていることを特徴とする。このような構成とし
たことにより、穴明け加工の際に、切刃が加工物に線接
触で食い付くので、食い付きの際に加工物が受ける負荷
をこの切刃の全長で分散させて作用させることができ、
加工物に亀裂をより生じ難くすることができる。
【0008】また、本発明は、前記切刃が、前記軸線方
向の先端側に膨らむ凸曲線状をなしていることを特徴と
する。このような構成としたことにより、穴明け加工の
際に、切刃の最も工具本体の先端側に突出した緩やかな
曲線状の部分から徐々に加工物に食い付くので、従来の
ように一点で加工物に食い付くことがなく、亀裂が生じ
るおそれを減らすとともに、切刃に衝撃的な負荷が作用
するのを防止することができて、よりチッピングを生じ
難くすることが可能になる。
【0009】また、本発明は、前記2つの先端面がなす
挟角θが、45゜≦θ≦175゜の範囲に設定されてい
ることを特徴とする。このような構成とすると、2つの
先端面の交差稜線がなす切刃の強度を高く保ってチッピ
ングが生じるのをより確実に防止できるとともに、切刃
の切れ味を落としてしまうことがない。
【0010】また、本発明は、前記工具本体の外周に
は、その先端から基端側に延びる1条以上の切屑排出溝
が形成されていることを特徴とする。このような構成と
したことにより、工具本体の先端の切刃で生成する切屑
を切屑排出溝によって工具本体の基端側に確実に逃がす
ことができて、切屑が加工穴の内周面と工具本体の外周
面との間に噛み込まれて加工精度を損なったりするおそ
れをなくすことができる。
【0011】また、本発明は、前記工具本体の心厚が、
前記切刃の外径Dに対して0.5D以上に設定されてい
ることを特徴とする。このような構成としたことによ
り、工具本体の剛性を確保できて、加工穴の穴径が極小
さくて穴明け工具の工具本体の外径(切刃の外径)も極
小さくならざるを得ない場合でも、工具本体が折損した
りするのを防ぐことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
した図面を用いて説明する。図1は、本発明の第一実施
形態による焼入れ鋼用穴明け工具の側面図、図2は、同
焼入れ鋼用穴明け工具の先端部斜視図、図3は、同焼入
れ鋼用穴明け工具の先端面図、図4は、図3におけるA
−A線断面図である。
【0013】本第一実施形態による焼入れ鋼用穴明け工
具10は、図1に示すように、超硬合金等の硬質材料に
より一体に形成されて、軸線O回りに回転される工具本
体11を有しており、その先端側部分が加工物に挿入さ
れて穴明け加工を施す刃先部12をなし、基端側部分が
工作機械の主軸に把持されるシャンク部13をなしてい
る。また、刃先部12は、シャンク部13に対して一段
縮径して、刃先部12とシャンク部13との間が工具本
体11の先端側に向けて漸次縮径するテーパ部14によ
って結ばれており、これにより、工具本体11が、円柱
軸状をなす刃先部12と、同じく円柱軸状をなすシャン
ク部13とが同軸で連結された多段円柱軸状をなしてい
る。
【0014】そして、刃先部12の先端(工具本体11
の先端)には、それぞれ平面で構成されて略半楕円形状
をなす2つの先端面15,15が形成されており、この
2つの先端面15,15の交差稜線が直線状をなす切刃
16となっている。すなわち、円柱軸状をなす刃先部1
2の先端部分が2つの平面よりなる先端面15,15に
よって切り欠かれて、あたかもマイナスドライバーのよ
うな形状をなしている。この切刃16は、工具本体11
の側面から見たときには、図1に示すように、軸線Oに
直交する方向に延びる直線状をなし、工具本体11の軸
線O方向の先端側から見たときには、図3に示すよう
に、軸線Oを通過して刃先部12の直径方向に延びる直
線状をなしている。しかも、切刃16は、その両端部1
6A,16Aが刃先部12の外周面12A上に位置して
いることによって、刃先部12の外周面12A(工具本
体11の外周面)まで達している。ここで、例示する
と、従来のドリル状の穴明け工具におけるチゼルエッジ
を工具本体の外周面まで達するように延長したものが、
本第一実施形態における切刃16に相当すると考えるこ
ともできる。
【0015】また、刃先部12を、軸線Oを含む平面の
うち切刃16と直交する平面における断面(図3におけ
るA−A線断面)で見たときには、図4に示すように、
2つの先端面15,15が、軸線Oに対して、それぞれ
同一の傾き角で傾斜していて、これら2つの先端面1
5,15同士のなす挟角θが、45゜≦θ≦175゜の
範囲に設定されている。それゆえ、切刃16の刃物角
が、45°≦θ≦175°の範囲に設定されていること
になる。また、刃先部12は円柱軸状をなしているの
で、刃先部12の心厚d(工具本体11の心厚d)は、
切刃16の外径D(刃先部12の外径D)に対して1.
0Dとなっている。
【0016】ここで、本第一実施形態による焼入れ鋼用
穴明け工具10は、上述したように熱処理が施されて、
HRC60以上の硬質な焼入れ鋼に極小径の加工穴を形
成するためのものであるため、焼入れ鋼に穴明け加工を
施す刃先部12の外径D(切刃16の外径D)も小さ
く、0.2〜3mm程度とされるとともに、この刃先部
12の長さも1〜10mm程度とされている。
【0017】そして、本第一実施形態では切刃16部分
を含めた刃先部12の表面(刃先部12の外周面12A
及び先端面15,15)全体が、図中における打点で示
すように、例えばTiAlN皮膜またはTiCN皮膜な
どの硬質チタン系皮膜によって被覆されている。
【0018】このような構成とされた本第一実施形態に
よる焼入れ鋼用穴明け工具10は、工具本体11のシャ
ンク部13が工作機械の主軸に把持されて、軸線O回り
に回転されつつ軸線O方向の先端側に送り出され、熱処
理が施された焼入れ鋼よりなる加工物に穴明け加工を行
う。したがって、本第一実施形態による焼入れ鋼用穴明
け工具10は、その刃先部12の先端面15,15の交
差稜線をなして、工具本体11の側面視で軸線Oに直交
する方向に延びる直線状の切刃16が加工物に線接触で
食い付くこととなる。
【0019】そして、このときの工具本体11の軸線O
方向の先端側への送り量を、例えば0.025〜0.1
5μm/revと極小さく設定することにより、加工物
に線接触している切刃16が、その接触部分を極わずか
ずつながらも、こそげとるようにして加工穴の穴底を切
削加工していき、熱処理が施された焼入れ鋼よりなる加
工物に確実に穴明け加工を施すことが可能となる。な
お、この穴明け加工時には、加工物の穴明け部位に切削
油を供給するのが望ましい。
【0020】本第一実施形態による焼入れ鋼用穴明け工
具10によれば、このように刃先部12の切刃16が線
接触で加工物に食い付くので、食い付きの際に加工物が
受ける負荷をこの切刃16の全長で分散させて作用させ
ることができ、熱処理が施された焼入れ鋼よりなる加工
物にこのような焼入れ鋼用穴明け工具10によって加工
穴を形成する場合であっても、この焼入れ鋼用穴明け工
具10の食い付きの際の負荷が1点に集中して加工物に
亀裂が生じたりするのを防止して、この亀裂に起因して
ひびやクラックが生じるのを未然に防ぐことが可能とな
る。このため、これらひびやクラックによる加工穴入口
のコバ欠け等を抑制して、より高品位の加工穴を精度よ
く形成することができるとともに、回転する穴明け工具
による機械的な加工方法によって加工穴を形成すること
ができるので、上述のような焼入れ鋼に対しても経済的
かつ効率的に穴明け加工を行うことが可能となる。
【0021】また、本第一実施形態においては、刃先部
12の心厚dが1.0Dとされていて、刃先部12が円
柱軸状をなしているものであるから、その剛性を著しく
高く保つことができて、刃先部12の折損を確実に防止
できるとともに、穴位置精度を良好に保つことが可能に
なる。しかも、2つの先端面15,15がなす挟角θ
が、45゜≦θ≦175゜の範囲に設定されていること
から、切刃16の強度を高く保って、よりチッピングが
生じにくくできるとともに、その切れ味を落としてしま
うことがない。なお、挟角θが45゜より小さいと、切
刃16の強度を高く確保できず、一方、挟角θが175
゜より大きいと、切刃16の切れ味が落ちてしまい、加
工効率が悪くなってしまう。また、上述した効果をより
確実なものとするためには、2つの先端面15,15が
なす挟角θを、90゜≦θ≦175゜の範囲に設定する
のが好ましい。
【0022】さらに本第一実施形態では、この刃先部1
2の切刃16部分を含む先端面15,15から刃先部1
2の外周面12Aにかけて硬質チタン系皮膜によって被
覆されているので、この工具本体11の刃先部12全体
の耐摩耗性等の向上を図ることができて刃先部12の損
傷を一層確実に防止することができるとともに、こうし
て硬質チタン系皮膜が施された刃先部12の外周面12
Aが工具本体11の送りに伴い加工穴に挿入されてその
内周面に摺接させられるので、この刃先部12の外周面
12Aの硬質チタン系皮膜の微細な凹凸によって加工穴
の内周面をより高い仕上げ面精度に加工することができ
るという利点も得られる。
【0023】次に、本発明の第二実施形態による焼入れ
鋼用穴明け工具について説明するが、上述の第一実施形
態と同様の部分については同一の符号を用いてその説明
を省略する。図5は、本発明の第二実施形態による焼入
れ鋼用穴明け工具の側面図、図6は、同焼入れ鋼用穴明
け工具の先端部斜視図、図7は、同焼入れ鋼用穴明け工
具の先端面図、図8は、図7におけるB−B線断面図で
ある。
【0024】本第二実施形態による焼入れ鋼用穴明け工
具20は、その刃先部12の先端(工具本体11の先
端)に、それぞれ凸曲面で構成されて略半楕円形状をな
す2つの先端面21,21が形成されていて、この2つ
の先端面21,21の交差稜線が曲率半径の大きい緩や
かな曲線状をなす切刃22となっている。すなわち、円
柱軸状をなす刃先部12の先端が、2つの凸曲面よりな
る先端面21,21によって切り欠かれたような形状を
なしている。この切刃22は、工具本体11の側面から
見たときには、図5に示すように、軸線O方向の先端側
に緩やかに膨らむ凸曲線状をなし、工具本体11の軸線
O方向の先端側から見たときには、図7に示すように、
軸線Oを通過して刃先部12の直径方向に延びる直線状
をなしている。しかも、切刃22は、その両端部22
A,22Aが、刃先部12の外周面12A上に位置して
いることによって、切刃22が刃先部12の外周面12
Aまで達している。
【0025】このような構成とされた本第二実施形態に
よる焼入れ鋼用穴明け工具20によれば、上述の第一実
施形態と同様の効果を奏するが、その切刃22が、工具
本体11の側面視で軸線O方向の先端側に緩やかに膨ら
む曲率半径の大きい凸曲線状をなすことから、加工物に
食い付く際には、切刃22の最も工具本体11の先端側
に突出した緩やかな曲線状の部分から徐々に食い付くこ
ととなり、従来のように一点で加工物に食い付くことが
なくて亀裂を生じるおそれを減らし、しかも、切刃に衝
撃的な負荷が作用するのを防止することになるので、よ
りチッピングを生じ難くすることができる。
【0026】次に、本発明の第三実施形態による焼入れ
鋼用穴明け工具について説明するが、上述の第一及び第
二実施形態と同様の部分については同一の符合を用いて
その説明を省略する。図9は、本発明の第三実施形態に
よる焼入れ鋼用穴明け工具の先端部斜視図、図10は、
同焼入れ鋼用穴明け工具の先端面図である。
【0027】本第三実施形態による焼入れ鋼用穴明け工
具30は、図9及び図10に示すように、上述の第一実
施形態とほぼ同様の構成をなしているが、その刃先部1
2の外周面12Aに所定の二番取り深さaで一段薄くな
るようにして二番取り面31,31が形成されているも
のである。この二番取り面31,31は、刃先部12の
先端での外周面12Aにおいて、切刃16の両端部16
A,16Aが位置している部分を除いて形成されるもの
であり、その刃先部12の先端から基端側に向けて工具
回転方向Tの後方側にねじれる螺旋状に形成されてい
る。なお、本第二実施形態では、この二番取り面31,
31も硬質チタン系皮膜によって被覆されている。ま
た、本第三実施形態における刃先部12の心厚dは、刃
先部12の断面において、軸線Oを中心とし、二番取り
面31,31を円弧とする仮想の円の直径となり(二番
取り面31,31が、刃先部12の外周面12Aから所
定の二番取り深さaで一段薄くなっているために、刃先
部12の心厚d=D−2aとなる)、切刃16の外径D
(刃先部12の外径D)に対して0.5D以上となるよ
うに設定されている。
【0028】このような構成とされた本第三実施形態に
よる焼入れ鋼用穴明け工具30によれば、上述の第一実
施形態と同様の効果を奏するが、上述の第一及び第二実
施形態と比較して、刃先部12の多少の剛性を失うもの
の、加工穴の内周面に接触する刃先部12の外周面12
Aの面積が減少するので、加工物と刃先部12との摩擦
抵抗が高くなるような場合に好適である。さらに、二番
取り面31,31と加工穴の内周面との間に形成される
わずかな隙間を利用して、細かい切粉状の切屑を排出す
る働きを奏することもできる。
【0029】次に、本発明の第四実施形態による焼入れ
鋼用穴明け工具について説明するが、上述の第一乃至第
三実施形態と同様の部分については同一の符合を用いて
その説明を省略する。図11は、本発明の第四実施形態
による焼入れ鋼用穴明け工具の先端部斜視図、図12
は、同焼入れ鋼用穴明け工具の先端面図である。
【0030】本第四実施形態による焼入れ鋼用穴明け工
具40は、図11及び図12に示すように、上述の第三
実施形態とほぼ同様の構成をなしているが、その刃先部
12の外周に2条の切屑排出溝41,41が軸線Oを挟
んで互いに反対側に形成されているものである。この切
屑排出溝41,41は、刃先部12の先端の外周面12
Aにおいて、切刃16の両端部16A,16Aが位置し
ている箇所の工具回転方向Tのすぐ前方側に位置して、
刃先部12の軸線O側に凹む凹曲面によって構成される
ものであり、その刃先部12の先端から基端側に向けて
工具回転方向Tの後方側にねじれる螺旋状に形成されて
いる。なお、本第四実施形態では、この切屑排出溝4
1,41を構成する凹曲面も硬質チタン系皮膜によって
被覆されている。また、本第四実施形態における刃先部
12の心厚dは、刃先部12の断面において、軸線Oを
中心とし、切屑排出溝41,41を構成する凹曲面の溝
底部に内接する円の直径となり、切刃16の外径D(刃
先部12の外径D)に対して0.5D以上となるように
設定されている。
【0031】このような構成とされた本第四実施形態に
よる焼入れ鋼用穴明け工具40によれば、上述の第一及
び第三実施形態と同様の効果を奏するが、刃先部12の
外周面12Aに2条の切屑排出溝41,41が形成され
ていることにより、切刃16によって加工物が削り取ら
れて生成された極微細な切粉状の切屑を、この切屑排出
溝41,41を通して確実に工具本体11の基端側に送
り出して加工穴から排出することができ、切屑が加工穴
の内周面と刃先部12の外周面12Aとの間に噛み込ま
れて加工穴の仕上げ面精度を損なったりするのを防止す
ることができる。これは、本実施形態のように熱処理が
施された焼入れ鋼よりなる加工物に極小径の加工穴を形
成するのに伴い、刃先部12の外径Dも極小径とならざ
るを得ない場合において、特に有効である。さらに、穴
明け加工時に切削油を供給すれば、切屑排出溝41,4
1から切屑が排出されるのと入れ替わりにこの切削油を
加工穴の穴底に送り込むことができ、刃先部11の切刃
16によって削られる加工穴の穴底を効率的に冷却・潤
滑することが可能となるとともに、生成された切屑の円
滑な排出を図ることができる。
【0032】なお、第三,第四実施形態においては、そ
の二番取り面31,31、もしくは二番取り面31,3
1及び切屑排出溝41,41が、刃先部12の先端から
基端側に向けて工具回転方向Tの後方側にねじれる螺旋
状に形成されているものであるが、これに限定されるこ
となく、ねじれていなくてもよい。また、第四実施形態
のように、刃先部12の周面に形成される切屑排出溝が
2条ではなく、1条あるいは3条以上の切屑排出溝が形
成されていてもよい。また、本実施形態のように穴明け
加工を施す際に生成される切屑が極微細な切粉状であ
り、しかも送り量が上述のように極小さい場合には、図
10及び図12で示された穴明け加工時の工具回転方向
Tとは逆向きに、すなわち工具本体11の先端側に向け
ての切屑排出溝41,41のねじれの向きとは反対向き
の方向に工具本体11を回転させてもよく、これによっ
て切屑の排出が阻害されたりすることはない。
【0033】さらに、各実施形態においては、刃先部1
2の表面全体をTiAlN皮膜またはTiCN皮膜など
の硬質チタン系皮膜によって被覆するようにしたが、こ
れに限定されることなく、少なくとも切刃16(22)
部分が被覆さればよく、例えば、刃先部12における先
端側部分のみを硬質チタン系皮膜によって被覆したり、
先端面15,15(21,21)のみを硬質チタン系皮
膜によって被覆したりしてもよい。さらには、硬質チタ
ン系皮膜に代えて、cBN皮膜などの他の硬質皮膜を用
いても、上述のような効果を何の遜色もなく奏すること
ができる。
【0034】また、刃先部12の少なくとも切刃16
(22)部分を硬質の皮膜によって被覆するのではな
く、少なくとも切刃16(22)部分、例えば図中に打
点で示した刃先部12全体を、cBN焼結体,サーメッ
トまたはセラミックスのうちのいずれかによって形成
し、これを超硬合金等から一体に形成されたシャンク部
13及びテーパ部14の先端にロウ付け等によって接合
したり、場合によっては、焼入れ鋼用穴明け工具全体を
これらの材料から一体に形成したりしてもよい。このよ
うな焼入れ鋼用穴明け工具でも上記と同様の効果を得る
ことができる。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
穴明け加工の際には、従来のように、軸線上に位置する
切刃の突端が1点で加工物に押しつけられるように接触
することがなくなり、加工物に亀裂が生じるのを防い
で、この亀裂に起因する加工穴の入り口のひびやクラッ
クが生じるのを抑制することが可能となる。また、切刃
の強度を高く保ってチッピングを生じ難くするととも
に、工具本体の剛性を高く保って折損を防止し、工具寿
命を延長させ、かつ、良好な穴位置精度を得ることがで
きる。さらに、少なくとも切刃部分が硬質チタン系皮膜
またはcBN皮膜により被覆されている、あるいは、c
BN焼結体,サーメットまたはセラミックスのうちのい
ずれかにより形成されているから、切刃部分の耐摩耗性
を向上させて、より寿命の長い穴明け工具を得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一実施形態による焼入れ鋼用穴
明け工具の側面図である。
【図2】 本発明の第一実施形態による焼入れ鋼用穴
明け工具の先端部の斜視図である。
【図3】 本発明の第一実施形態による焼入れ鋼用穴
明け工具の先端面図である。
【図4】 図3におけるA−A線断面図である。
【図5】 本発明の第二実施形態による焼入れ鋼用穴
明け工具の側面図である。
【図6】 本発明の第二実施形態による焼入れ鋼用穴
明け工具の先端部の斜視図である。
【図7】 本発明の第二実施形態による焼入れ鋼用穴
明け工具の先端面図である。
【図8】 図7におけるB−B線断面図である。
【図9】 本発明の第三実施形態による焼入れ鋼用穴
明け工具の先端部の斜視図である。
【図10】 本発明の第三実施形態による焼入れ鋼用
穴明け工具の先端面図である。
【図11】 本発明の第四実施形態による焼入れ鋼用
穴明け工具の先端部の斜視図である。
【図12】 本発明の第四実施形態による焼入れ鋼用
穴明け工具の先端面図である。
【符号の説明】
10,20,30,40 焼入れ鋼用穴明け工具 11 工具本体 12 刃先部 13 シャンク部 15,21 先端面 16,22 切刃 31 二番取り面 41 切屑排出溝 O 軸線 d 心厚 D 切刃の外径 θ 挟角
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 池内 寛 兵庫県明石市魚住町金ヶ崎西大池179−1 エムエムシーコベルコツール株式会社内 Fターム(参考) 3C037 BB01 CC01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱処理が施された焼入れ鋼よりなる加
    工物に穴明け加工を行う焼入れ鋼用穴明け工具であっ
    て、 軸線回りに回転される円柱軸状の工具本体の先端に、前
    記軸線に対して傾斜して互いに交差する2つの先端面を
    有するとともに、その2つの先端面の交差稜線が切刃と
    されていて、 該切刃が、前記軸線方向の先端側から見て前記工具本体
    の直径方向に延びて該工具本体の外周面まで達してお
    り、 さらに、少なくとも前記切刃部分が硬質チタン系皮膜ま
    たはcBN皮膜により被覆されていることを特徴とする
    焼入れ鋼用穴明け工具。
  2. 【請求項2】 熱処理が施された焼入れ鋼よりなる加
    工物に穴明け加工を行う焼入れ鋼用穴明け工具であっ
    て、 軸線回りに回転される円柱軸状の工具本体の先端に、前
    記軸線に対して傾斜して互いに交差する2つの先端面を
    有するとともに、その2つの先端面の交差稜線が切刃と
    されていて、 該切刃が、前記軸線方向の先端側から見て前記工具本体
    の直径方向に延びて該工具本体の外周面まで達してお
    り、 さらに、少なくとも前記切刃部分がcBN焼結体,サー
    メットまたはセラミックスのうちのいずれかにより形成
    されていることを特徴とする焼入れ鋼用穴明け工具。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の焼入
    れ鋼用穴明け工具において、 前記切刃が、前記工具本体の側面から見て前記軸線に直
    交する方向に延びる直線状をなしていることを特徴とす
    る焼入れ鋼用穴明け工具。
  4. 【請求項4】 請求項1または請求項2に記載の焼入
    れ鋼用穴明け工具において、 前記切刃が、前記軸線方向の先端側に膨らむ凸曲線状を
    なしていることを特徴とする焼入れ鋼用穴明け工具。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項4のいずれかに記
    載の焼入れ鋼用穴明け工具において、 前記2つの先端面がなす挟角θが、45゜≦θ≦175
    ゜の範囲に設定されていることを特徴とする焼入れ鋼用
    穴明け工具。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項5のいずれかに記
    載の焼入れ鋼用穴明け工具において、 前記工具本体の外周には、その先端から基端側に延びる
    1条以上の切屑排出溝が形成されていることを特徴とす
    る焼入れ鋼用穴明け工具。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至請求項6のいずれかに記
    載の焼入れ鋼用穴明け工具において、 前記工具本体の心厚が、前記切刃の外径Dに対して0.
    5D以上に設定されていることを特徴とする焼入れ鋼用
    穴明け工具。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009136980A (ja) * 2007-12-07 2009-06-25 Osg Corp 切削工具

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