JP2002289822A - X線ccd - Google Patents

X線ccd

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JP2002289822A
JP2002289822A JP2001086041A JP2001086041A JP2002289822A JP 2002289822 A JP2002289822 A JP 2002289822A JP 2001086041 A JP2001086041 A JP 2001086041A JP 2001086041 A JP2001086041 A JP 2001086041A JP 2002289822 A JP2002289822 A JP 2002289822A
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concentration
semiconductor layer
type semiconductor
ccd
semiconductor substrate
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Application number
JP2001086041A
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English (en)
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Kazuhisa Miyaguchi
和久 宮口
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Hamamatsu Photonics KK
Original Assignee
Hamamatsu Photonics KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 X線の検出感度を向上可能なX線CCDを提
供する。 【解決手段】 N型半導体基板1上にエピタキシャル半
導体層2を形成し、エピタキシャル半導体層2内に電荷
転送チャネル3を形成し、基板1からの不純物の拡散に
よる半導体層2内の不純物濃度の増加を抑制する。これ
により、半導体層2内に形成される空乏層を厚くするこ
とができる。空乏層の厚化によって増加傾向となる暗電
流は、基板1と半導体層2との間には逆バイアスを印加
することで、基板1側に吸収する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、入射したX線を検
出するX線CCD(電荷結合素子)に関する。
【0002】
【従来の技術】X線を検出する手法としては、X線をシ
ンチレータによって可視光に変換し、この可視光を撮像
する方法が一般的である。しかしながら、X線のエネル
ギー量と入射位置を正確に検出するためには、X線を可
視光に変換することなく検出する方が望ましく、このよ
うなX線CCDはX線分光分析等に用いることができ
る。また、X線CCDは非常に高性能な検出器であるの
で、人工衛星等に搭載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
X線CCDにおいては、X線の検出感度が不十分であっ
た。というのも、このようなX線CCDにおいては、P
型半導体基板上に、P型エピタキシャル半導体層を形成
し、このP型エピタキシャル半導体層の表面側に電荷転
送チャネルを構成しており、P型半導体基板に含まれる
P型不純物が製造時にP型エピタキシャル半導体層内に
拡散し、P型エピタキシャル半導体層の空乏化が抑制さ
れ、したがって、透過率の高いX線の検出に寄与する空
乏層が薄くなっていたからである。
【0004】本発明のX線CCDは、このような課題に
鑑みてなされたものであり、X線の検出感度を向上可能
なX線CCDを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
め、本発明のX線CCDは、高濃度N型半導体基板上に
低濃度P型エピタキシャル半導体層を形成し、当該低濃
度P型エピタキシャル半導体層の表面側に電荷転送チャ
ネルを形成し、且つ、前記高濃度N型半導体基板及び前
記低濃度P型エピタキシャル半導体層に電気的にそれぞ
れ接続された電極を設けたことを特徴とする。なお、高
濃度及び低濃度とは相対的な不純物濃度である。
【0006】X線は半導体に対する透過性が高い、すな
わち半導体のX線吸収係数は低いため、空乏層として機
能する部分の半導体領域は厚い方が望ましい。低濃度P
型エピタキシャル半導体層は、動作時に空乏層となる。
空乏層はドーパント濃度が低いほど、すなわち高抵抗で
あるほど形成されやすい。
【0007】したがって、X線の吸収に寄与する半導体
領域は、その厚みが厚く、且つ高抵抗であることが望ま
れる。P型エピタキシャル半導体層に入射したX線は、
正孔電子対に変換され、このキャリアの一方は電荷転送
チャネルによって転送される。X線の入射位置応じてキ
ャリアの転送されるタイミングが異なるので、当該タイ
ミングからX線入射位置を、キャリア量からエネルギー
の大きさを検出することができる。
【0008】このX線CCDにおいては、高濃度N型半
導体基板からN型の不純物がP型エピタキシャル半導体
層内に拡散しても、これらの導電型は逆なので、キャリ
アは相殺し合い、P型エピタキシャル半導体層の低抵抗
化は抑制される。すなわち、P型エピタキシャル半導体
層における空乏領域は、上述の如く基板にP型半導体を
用いたものよりも著しく広がり、X線の検出感度を向上
することができる。
【0009】特に、高濃度N型半導体基板と低濃度P型
エピタキシャル半導体層との間に前記電極を介して逆バ
イアスが印加される場合には、これらの接合面から主と
して低濃度側、すなわち、低濃度P型エピタキシャル半
導体層側へ空乏層が広がり、また、空乏層において発生
する暗電流、特に電子は基板側に吸収され、高精度のX
線検出を行うことができる。
【0010】また、本発明のX線CCDは、P型半導体
基板の裏面側に高濃度N型半導体層を形成し、当該P型
半導体基板の表面側に電荷転送チャネルを形成し、且
つ、前記P型半導体基板及び前記高濃度N型半導体層に
電気的にそれぞれ接続された電極を設けたことを特徴と
する。
【0011】このX線CCDにおいては、P型半導体基
板を用いているため、その厚みが比較的厚く、転送電極
φ1,φ2に加える電圧によりP型半導体基板内に形成
される空乏層が厚くなる。すなわち、P型半導体基板に
おける空乏領域は著しく広がり、また、結晶欠陥等に起
因してP型半導体基板内で発生する暗電流は、高濃度N
型半導体層によって吸収することができ、X線の検出感
度を向上することができる。
【0012】すなわち、P型半導体基板と高濃度N型半
導体層との間には前記電極を介して逆バイアスが印加さ
れることが好ましく、これらの接合面から主として低濃
度側、すなわち、低濃度のP型半導体基板側へ空乏層が
広がり、また、空乏層において発生する暗電流、特に電
子はN型半導体層に吸収され、高精度の検出を行うこと
ができる。
【0013】なお、電荷の転送方式としては、FT(フ
レームトランスファ)方式、FFT(フル・フレームト
ランスファ)方式を適用することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、実施の形態に係るX線CC
Dについて説明する。同一要素には、同一符号を用いる
こととし、重複する説明は省略する。
【0015】(第1実施形態)図1は第1実施形態に係
るX線CCDの縦断面図である。このX線CCDは、高
濃度N型半導体基板1上に低濃度P型エピタキシャル半
導体層2を形成し、低濃度P型エピタキシャル半導体層
2の表面側に電荷転送チャネル(チャネル層)3を形成
し、且つ、高濃度N型半導体基板1及び低濃度P型エピ
タキシャル半導体層2に電気的にそれぞれ接続された電
極1e,2eを設けたものである。なお、高濃度及び低
濃度とは相対的な不純物濃度である。
【0016】電荷転送チャネル3は、P型エピタキシャ
ル半導体層2の表面領域に駆動信号を印加することによ
って形成される電荷蓄積或いは転送用のポテンシャル井
戸であってもよいが、本例においては電荷転送チャネル
3は埋め込み型のN型半導体領域であるとする。
【0017】各電荷転送チャネル3を覆うようにSiO
2からなる絶縁膜T1を形成されている。絶縁膜T1の
上部に形成された転送電極φ1,φ2に複数相の駆動信
号を印加すると、低濃度P型エピタキシャル半導体層2
内で発生したキャリアが電荷転送チャネル3によって紙
面に垂直な方向に転送される。すなわち、電荷転送チャ
ネル3は垂直シフトレジスタを構成している。
【0018】なお、転送電極φ1,φ2は、図面上の理
解を容易とするため、縦方向にずらして記載してある。
また、転送電極の数は、例えば各画素当たり3つ以上で
あってもよい。転送電極が3つの場合には、これらに3
相の駆動信号が印加される。
【0019】各電荷転送チャネル3間及び必要に応じて
絶縁膜T1の直下には、高濃度P型半導体からなるアイ
ソレーション領域4が形成されている。
【0020】低濃度P型エピタキシャル半導体層2の表
面側にはN型MOSFET(電界効果トランジスタ)Q
1が形成されている。トランジスタQ1は、各電荷転送
チャネル3内を転送されてきた電荷を外部へ出力する出
力部であり、高濃度N型半導体領域をソース及びドレイ
ンとし、ゲートG直下の半導体領域をN型としており、
このゲートは信号電荷を検出する端子に接続されてい
て、ゲート電圧の変化を低インピーダンスで出力するソ
ースホロア接続して用いられる。
【0021】絶縁膜T1上にはPSG(Phospho-Silica
te Glass)膜T2が形成されている。PSG膜T2には
幾つかのスルーホールが形成されており、このスルーホ
ールを通って、転送電極φ1、φ2、トランジスタQ1
のソース、ドレイン並びにゲート、及びP型エピタキシ
ャル半導体層2にバイアス電位を与えるために当該半導
体層2内に形成された高濃度P型半導体領域5、それぞ
れに縦方向の電極eが接続されている。
【0022】PSG膜T2は、SiO2からなる絶縁膜
T3によって覆われている。絶縁膜T3上には、高濃度
P型半導体領域5に電気的に接続された上述の電極2e
が形成されており、また、トランジスタQ1の上部領域
には電極(Al)2eと同時に形成される遮蔽金属膜(Al)
2e’が位置する。
【0023】X線を直接検出する場合、これが100e
V程度の低エネルギー線の時においては、X線は100
nm程度の厚さの膜でも簡単に吸収されてしまう。した
がって、CCDの表面側には可能な限り付加的な層が形
成されていないことが望ましい。
【0024】上記X線CCDにおいて、転送電極φ1,
φ2(ポリシリコン)や絶縁膜T1,T2,T3が合計
で2μm程度堆積した場合、これらはエネルギーの低い
X線の検出精度を低下させる。この場合、直接、検出で
きるのは0.5keV以上のエネルギーを有するX線で
ある。このエネルギー領域においてでさえ、転送電極
(ポリシリコン)φ1,φ2の厚みを100nm薄くす
るだけで、量子効率が大きく改善する。
【0025】転送電極φ1、φ2の膜厚とその上に堆積
される絶縁膜T1,T2,T3を薄くしたCCDを試作
し、分光感度特性で効果を確認した。分光感度特性の評
価結果によれば、転送電極(ポリシリコン)φ1,φ2
の膜厚を減らすと、分光感度特性が改善が見られ、CC
Dとしても性能は良好であった。
【0026】なお、電荷転送チャネル3が形成された領
域の直上に位置する絶縁膜T3の領域上には、薄い金属
膜2e”が形成されている。金属膜2e”は、可視光を
遮蔽しており、本例の場合には、金属膜2e”はアルミ
ニウムからなる。アルミニウムの厚みが厚い場合にはX
線の透過率が低下し、薄い場合には金属膜2e”にピン
ポールが形成される。したがって、本例の金属膜2e”
の厚みは100〜300nmであることが望ましい。
【0027】本例における半導体はSiである。X線
は、半導体に対する透過性が高い、すなわち半導体のX
線吸収係数は低いため、空乏層として機能する部分の半
導体領域は厚い方が望ましい。低濃度P型エピタキシャ
ル半導体層2は、N型の電荷転送チャネルとの間、N型
の半導体基板1との間の拡散電位によって、或いは金属
膜2eを介して駆動信号が印加されると、動作時に空乏
層となる。空乏層はドーパント濃度が低いほど、すなわ
ち高抵抗であるほど形成されやすい。
【0028】したがって、X線の吸収に寄与する半導体
領域、すなわち空乏化した低濃度P型エピタキシャル半
導体層2は、その厚みが厚く、且つ高抵抗であることが
望まれる。P型エピタキシャル半導体層2に入射したX
線は、正孔電子対に変換され、このキャリアの一方は電
荷転送チャネル3によって紙面の厚み方向に沿って転送
される。電荷転送チャネル3が垂直シフトレジスタであ
る場合、この電荷は基板の横方向端部に設けられた図示
しない水平シフトレジスタを介して出力部に転送され、
ソースホロア接続されたトランジスタQ1で電荷から電
圧に変換される。
【0029】信号の読み出しのため、トランジスタQ1
のゲートGに電圧を印加すると、これに転送されてきた
キャリアがソース/ドレイン間を流れ、外部に出力され
る。キャリアの転送されるタイミングはX線の入射位置
応じて異なるので、当該タイミングからX線入射位置
を、キャリア量からX線のエネルギーの大きさを検出す
ることができる。
【0030】このX線CCDの製造時においては、高濃
度N型半導体基板1の形成後にP型のエピタキシャル半
導体層2を成長させる。したがって、製造時において、
高濃度N型半導体基板1から、N型の不純物がP型エピ
タキシャル半導体層2内に拡散しても、これらの導電型
は逆なので、双方のドーパントは相殺し合って、P型エ
ピタキシャル半導体層2の低抵抗化は抑制される。
【0031】すなわち、P型エピタキシャル半導体層2
における空乏領域は著しく広がり、X線の検出感度を向
上することができる。
【0032】本例においては、高濃度N型半導体基板1
と低濃度P型エピタキシャル半導体層2との間に電極1
e,2eを介して逆バイアスが印加される。逆バイアス
は、裏面側の電極1eの電位を表面側の電極2eの電位
よりも高くすることによって印加される。
【0033】この場合、高濃度N型半導体基板1と低濃
度P型エピタキシャル半導体層2との間の接合面から主
として低濃度側、すなわち、低濃度P型エピタキシャル
半導体層2側へ空乏層が広がり、また、当該空乏層にお
いて発生する暗電流、特に電子は基板1側に吸収される
ので、高精度のX線検出を行うことができる。
【0034】なお、画素の大きさはできるだけ小さい方
が望ましいが、本例のX線CCDにおいては12μm×
12μmである。なお、画素サイズはこれよりも大きい
もの(例えば、24μm×24μm)或いは小さいもの
(例えば、8μm×8μm)であってもよい。
【0035】上述のX線CCDを製作した。画素サイズ
は24μm×24μm、転送方式はFT方式である。こ
のX線CCDは、FT方式のため、チャネル3の形成さ
れた領域で規定される撮像領域(受光部)の画素数は1
024x1024であり、これと同じ画素数の蓄積領域
が当該撮像領域に隣接して設けられる。蓄積領域の画素
サイズは、撮像領域よりも小さく設計され、このX線C
CD4つを近接して配置することができる。チップ単体
のデッドスペースは、約3辺(左右と上)において15
0μmである。なお、画素サイズを12μm×12μm
とした場合、水平方向のデッドスペースは約400μm
なる。
【0036】X線CCDはAlN板からなる実装基板上
に固定される。実装基板は冷却装置に熱的に接続され
る。冷却装置はペルチェ素子である。このペルチェ素子
は1Wの消費電力で周囲温度−20℃において、−60
℃まで冷却できる。
【0037】X線CCDでは空乏層を厚くするため、電
流も増加させる。X線CCDではより一層の冷却が必要
であり、その温度は概ね−100℃前後である。これく
らいの温度になるとCCD(シリコン)とそれを固定し
て電気的な配線を外部に取り出すためのパッケージの熱
膨張係数の違いが問題になってくる。
【0038】衛星上においては、X線CCDは−90℃
程度に冷却されるため、本X線CCDの上記実装基板に
はSiと熱膨張係数が近く熱伝導の良いAlN板を用い
た。
【0039】この実装基板としてSiと熱膨張係数の近
いインバー鋼を用いることもできるが、AlN板はその
平坦度が著しく高く、AlN板からなる実装基板を用い
た場合には、約2.5x5.0cm2のCCDを±5μ
m以下の平坦度で実装することができる。
【0040】撮像領域の縦半分ずつの領域毎に信号を読
み出すことができるように、アンプを撮像領域の左右に
配置した。これにより読み出し時間も単一アンプの半分
となる。
【0041】このCCDの読み出しノイズは電子数に換
算して3〜5個(rms)、画素あたりの飽和レベルは
電子数に換算して300、000個、P型エピタキシャ
ル半導体層2内に形成される空乏層の厚さは30〜60
μmである。
【0042】その他、X線CCDのエネルギー分解能を
劣化させる要因としては、いくつかのパラメータがあ
る。最も問題となるのは読み出しノイズとCCDの転送
効率である。非転送効率は1×10-5以下を実現するこ
とができるので、エネルギー分解能は主として読み出し
ノイズに依存する。
【0043】読み出しノイズ以外に動作電圧が最適に設
定されていない場合は、暗電流やスプリアス電荷が問題
になる場合も有り、エネルギー分解能が物理的な限界で
あるFanoノイズに近づくような状態ではCCDや回
路系にも高い性能のものが求められる。そこで、トラン
ジスタQ1としては熱雑音の小さなMOSFETをスー
スホロア接続して電荷増幅(電荷電圧変換)器として用
い、一般にフロティングディフュージョンアンプ(FD
A)と呼ばれている。
【0044】ノイズの低いFDAは容量が10fF程度
と小さく、トランジスタQ1はCCDと同様に埋め込み
構造で形成される。CCDの読み出しノイズは信号処理
の周波数(すなわち1画素の読み出し周波数)と相関が
ある。そこで、低ノイズを実現するため読み出し周波数
は数10kHz以下とする。
【0045】CCDの出力の後段に接続される信号処理
回路は相関二重サンプリング(CDS)回路が好まし
く、100kHz前後の周波数において読み出しノイズ
を低減することができる。CDS回路を用いた場合、ノ
イズレベルは電子数に換算して3〜4又は5個(rm
s)であった。この場合、結果としてX線のエネルギー
分解能も安定し、半値幅(FWHM)150eV(Fe
−55)以下の分解能を得ることができ、好適には14
0eV以下とすることができる。
【0046】CCDの電荷転送チャネル3中央の2から
3μmにイオン注入を行って、ポテンシャルの深い領域
を形成する(ノッチ領域の作製)こととしてもよい。こ
の時にノッチ領域は2V前後、それ以外の領域より深い
ポテンシャルになるようイオン注入量が設定される。
【0047】これによりノッチ構造のCCDでは信号電
荷量が少ない時には、信号電荷をチャネルの中央に集め
て転送することができる。衛星搭載を考えた場合に宇宙
環境でのシリコンの放射線損傷によるバルクトラップの
影響を受けにくくなり、転送効率が向上する。
【0048】また、CCDのゲート絶縁膜T1は、上述
のようにシリコン酸化膜(SiO2)で形成されてい
る。シリコン酸化膜はシリコンをO2やH2Oで酸化する
ことで簡単に得られ、また、シリコンプロセス上、不純
物が入りにくいため、これを使ったMOSデバイスでは
安定した性能を実現することができる。しかしながら、
宇宙環境では多量の放射線にさらされるため、酸化膜あ
るいはシリコンと酸化膜の界面のイオン損傷が問題にな
る。イオン損傷を受けるとCCDの最適な動作条件がシ
フトしたり、CCDの暗電流が増加してX線CCDとし
ての性能も劣化する。
【0049】適切に放射線の対応がなされれば、これら
の損傷の影響は減少できるが、劣化が起こることは確実
のため、衛星搭載ではイオン損傷に強いCCDが必要で
ある。そこで、窒化珪素(SiN)膜を上記シリコン酸
化膜上に形成することとしてもよい。この場合、ホット
キャリアに対しても耐性が向上し、さらにイオン損傷に
対しても耐性が向上される。
【0050】また、垂直電荷転送チャネルの端部に電荷
注入用のゲートを設けても良く、この場合には電気的に
性能試験を行ったり、常時トラップを電子で埋めておく
ことができる。また、上記X線CCDを複数隣接させて
組み合わせ、大面積のX線CCDを構成することとして
もよい。
【0051】なお、電荷の転送方式としては、FT(フ
レームトランスファ)方式、FFT(フル・フレームト
ランスファ)方式を適用することができる。
【0052】(第2実施形態)図2は、第2実施形態に
係るX線CCDの縦断面図である。第1実施形態のもの
との相違は、高濃度N型半導体基板1をN型半導体層
1’に置換した点と、低濃度P型エピタキシャル半導体
層2をP型半導体基板2’に置換した点のみである。
【0053】すなわち、このX線CCDは、P型半導体
基板2’の裏面側に高濃度N型半導体層1’を形成し、
P型半導体基板2’の表面側に電荷転送チャネル3を形
成し、且つ、P型半導体基板2’及び高濃度N型半導体
層1’に電気的にそれぞれ接続された電極2e,1eを
設けたものである。
【0054】空乏層を厚くするための方法の1つは、高
抵抗のシリコンウェハでCCDを製作することである。
空乏層を厚くすることを考えた時に、CCDの製作に最
も適したシリコンウェハはバルクウェハである。本例に
用いるバルクウェハ(半導体基板2’)は5kΩcm以
上の比抵抗を有する。
【0055】一方でバルクウェハの欠点はシリコンウェ
ハ全体が暗電流の発生源になることであり、厚さの制限
されたエピタキシャルウェハに対して桁違いに暗電流が
増加する。これらの暗電流の殆どは、空乏化していない
中性領域(Field Free Region)から
の拡散による成分であり、空乏層に影響を与えないでこ
れらの暗電流を除去できれば理想的である。
【0056】このための方法はいくつか考えられ、その
1つは空乏化していない中性領域をエッチングにより削
り落としてしまうことであるが、この方法により試作し
たCCDでは暗電流が期待したほど減少しなかった。こ
の原因の1つは削った後の裏面の処理にあるものと考え
ている。
【0057】そこで、CCDの裏面にバックダイオード
(Back Diode)を形成して、CCDを動作さ
せる時に、バックダイオードに逆バイアスを加えること
で中性領域の不要なキャリアを消滅させることとした。
これは上記第1実施形態のCCDにおいても用いた方法
である。CCDのプロセス工程中にダイオードを形成す
る方法もあるが、シリコンウェハとしてp/n+型を用
いることで、この工程を簡略化させる。
【0058】すなわち、このX線CCDにおいては、P
型半導体基板2’を用いているため、その厚みが比較的
厚く、所定の転送電位或いは拡散電位によって形成され
るP型半導体基板2’における空乏層が厚くなる。P型
半導体基板2’における空乏領域は著しく広がり、ま
た、結晶欠陥等に起因してP型半導体基板内で発生する
暗電流は、バックダイオードとなる高濃度N型半導体層
によって吸収することができるので、X線の検出感度を
向上することができる。
【0059】P型半導体基板2’と高濃度N型半導体層
1’との間には電極1e,2eを介して逆バイアスが印
加され、これらの接合面から主として低濃度側、すなわ
ち、低濃度のP型半導体基板2’側へ空乏層が広がり、
また、空乏層において発生する暗電流、特に電子はN型
半導体層1’に吸収され、高精度の検出を行うことがで
きる。
【0060】実際に試作したバックダイオード付きX線
CCDは、暗電流がエピタキシャルウェハ同じかそれ以
上に激減でき、X線CCDとしての性能(特にエネルギ
ー分解能)も最高レベルを実現することができた。
【0061】なお、上述の第1及び第2実施形態におい
て用いた各層のパラメータ(不純物濃度の範囲、厚
みの範囲)は以下の通りである。
【0062】
【表1】
【0063】
【発明の効果】本発明のX線CCDによれば、X線の検
出感度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係るX線CCDの縦断面図であ
る。
【図2】第2実施形態に係るX線CCDの縦断面図であ
る。
【符号の説明】
1…N型半導体基板、2…P型エピタキシャル半導体
層、1’…N型半導体層、2’…P型半導体基板、1
e,2e…電極、2e,2e’…遮蔽金属膜、2e”…
金属膜、T1,T2,T3…絶縁膜、φ1,φ2…転送
電極、e…電極、3…電荷転送チャネル、4…アイソレ
ーション領域、Q1…トランジスタ。
フロントページの続き Fターム(参考) 2G088 EE30 FF02 FF03 FF15 GG21 JJ05 JJ09 JJ31 JJ37 KK32 LL15 4M118 BA12 CA08 CA18 DA03 DA23 DB06 DD01 FA24 GA10 5C024 AX12 CX41 CY47 GX07 GY03 GY19

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高濃度N型半導体基板上に低濃度P型エ
    ピタキシャル半導体層を形成し、当該低濃度P型エピタ
    キシャル半導体層の表面側に電荷転送チャネルを形成
    し、且つ、前記高濃度N型半導体基板及び前記低濃度P
    型エピタキシャル半導体層に電気的にそれぞれ接続され
    た電極を設けたことを特徴とするX線CCD。
  2. 【請求項2】 前記高濃度N型半導体基板と低濃度P型
    エピタキシャル半導体層との間には前記電極を介して逆
    バイアスが印加されることを特徴とする請求項1に記載
    のX線CCD。
  3. 【請求項3】 P型半導体基板の裏面側に高濃度N型半
    導体層を形成し、当該P型半導体基板の表面側に電荷転
    送チャネルを形成し、且つ、前記P型半導体基板及び前
    記高濃度N型半導体層に電気的にそれぞれ接続された電
    極を設けたことを特徴とするX線CCD。
  4. 【請求項4】 前記P型半導体基板と前記高濃度N型半
    導体層との間には前記電極を介して逆バイアスが印加さ
    れることを特徴とする請求項3に記載のX線CCD。
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