JP2002289424A - 一次元的超電導線材及びそれを用いたコイル - Google Patents

一次元的超電導線材及びそれを用いたコイル

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JP2002289424A
JP2002289424A JP2001084004A JP2001084004A JP2002289424A JP 2002289424 A JP2002289424 A JP 2002289424A JP 2001084004 A JP2001084004 A JP 2001084004A JP 2001084004 A JP2001084004 A JP 2001084004A JP 2002289424 A JP2002289424 A JP 2002289424A
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superconducting wire
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Kazuhide Tanaka
和英 田中
Michiya Okada
道哉 岡田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】導電異方性の原因となる導電平面を持たない超
電導体を内包した一次元的超電導線材及びそれを用いた
超電導コイルを提供する。 【解決手段】一次元的な導電性を有する多結晶体の超電
導物質を内包してなる超電導線材において、該多結晶体
の導電方向が線材の長手方向に配列した一次元的超電導
線材及び超電導コイルを作製することにより解決でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超電導臨界温度
(Tc)以下の環境において、超電導性を発現する超電
導体を用いることによって、高い超電導臨界電流密度
(Jc)が得られる超電導線材及びそれを用いた超電導
コイルに関するものである。それらは、電流リード,送
電ケーブル,大型マグネット,核磁気共鳴分析装置,医
療用磁気共鳴診断装置,超電導電力貯蔵装置,磁気分離
装置,磁場中単結晶引上装置,冷凍機冷却超電導マグネ
ット装置,超電導エネルギー貯蔵,超電導発電機,核融
合炉用マグネット等の機器において適用される。
【0002】
【従来の技術】超電導材料としては、従来からNbT
i,Nb3Sn 等の金属系のものがよく知られている。
しかし、これらの金属系超電導材料はTcが最も高いN
3Geでも23K(ケルビン)である。最近になっ
て、Nature410,63−64(2001)で報告され
たように、ニホウ化マグネシウム(MgB2)が39Kで
超電導を示すことが見い出されたが、いずれの超電導体
においても、その冷却には高価な液体ヘリウムを用いる
必要がある。
【0003】一方、高温超電導体においては、1986
年4月にTcが30Kのランタン(La)系酸化物系超
電導体が発見されて以降、Tcが液体窒素の沸点温度
(77K)を超えるイットリウム(Y)系,ビスマス(B
i)系,タリウム(Tl)系というような各銅(Cu)系
酸化物系超電導体が相次いで発見された。これらの酸化
物超電導体は、Tcが高いため安価で、かつ入手が容易
な液体窒素を冷媒に用いることができるため、超電導現
象を活用する各種応用分野の研究者達に大きなインパク
トを与えた。しかしながら、酸化物超電導体の特徴であ
る高いTc,高いJc,高い上部臨界磁場(Hc2)を維
持した長尺の超電導線材を得ることは技術的に極めて困
難であり、実用化は金属系超電導線材を用いたものに比
べると非常に難しいのが現状である。
【0004】長尺の酸化物超電導線材で高い超電導特性
が維持できるようになれば、送電ケーブル等の電力応用
のみならず、例えば近年脚光を浴びている分野の一つで
あるバイオサイエンスへの応用等、様々な分野への貢献
が期待できる。
【0005】ところで、以上のような酸化物超電導体の
うち、いくつかの代表的な結晶構造を述べると、La
2-xxCuO4(A=Ca,Sr,Ba)に代表されるK2
NiF4構造,YBa2Cu3x系をはじめとする酸素欠
損ペロブスカイト構造,Bi−Sr−Ca−Cu−O系
やTl−Ba−Ca−Cu−O系などM22(M=B
i,Tl)層の間にペロブスカイト層をはさんだオウリ
ビリウス相と類似の構造などがあげられる。
【0006】これら酸化物超電導体は、全て銅を含む銅
系の酸化物超電導体であるが、結晶構造の特徴のひとつ
として、MCuO3(M=ランタノイド元素,アルカリ土
類元素)で表されるペロブスカイト構造を基本としてお
り、いずれもその結晶中に導電面と考えられているCu
2 二次元平面を持っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上のような層状ペロ
ブスカイト構造超電導体及び酸素欠損ペロブスカイト構
造超電導体においては、上述したように導電面が二次元
平面であるため、c軸方向とa−b面方向とで電磁気特
性が大きく異なる、いわゆる異方性があることが知られ
ている。例えば、(La1-xSrx)2CuO4組成を有する
超電導体においては、単結晶であっても、c軸方向の電
気抵抗がa軸方向のそれの約20倍である。また、a軸
方向の上部臨界磁場(Hc2)がc軸のそれより約1桁大
きいことが明らかになっている。
【0008】したがって、これらの超電導体の単結晶あ
るいは多結晶を超電導体として備えた塊,焼結体,厚
膜,線材等においては、Hc2 が低いc軸に磁場がかか
ると極端に超電導特性が低下するという問題が発生す
る。
【0009】以上のような問題を解決すべく、CuO2
面のような二次元的な導電面ではなく、一次元導電体と
なる結晶構造を持つ超電導体の研究開発が鋭意行われて
いる。その中で、Croatica Chemica Acta 71 (1998) P.
81-86 や 6th InternationalConference on Materials
and Mechanisms of Superconductivity and High-Tempe
rature Superconductors (2000年2月20−25
日米国にて開催)の4PO8−85に紹介されているよ
うに、Tcが270Kを超えるPb1-XAgXCO3Pb
1+8をはじめとするPb−Ag系炭酸塩化合物の超電
導体が報告された。
【0010】この材料の結晶構造は、導電性が一次元的
な構造になっていると考えられており、これが高いTc
発現の原因の一つになっているものと考えられている。
然るに、これを線材化することにより、従来の超電導線
材の特性を大きく上回る線材の出現が期待されている。
【0011】本発明は、以上述べたような事情に鑑みて
なされたものであり、一次元的な導電性を有する多結晶
体の超電導物質が線材の長手方向にしたがって連続的に
一致している超電導線材及びそれを用いた超電導コイル
を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】発明者らはこれまで、C
uO2 面が導電面である銅系の酸化物超電導体を用いた
超電導線材による応用を目指して検討を進めてきた。し
かし、超電導体の導電面が平面であるため、結晶のc軸
方向とa−b面方向で超電導電流の大きさが異なる問題
があった。すなわち、銅系の酸化物超電導体は、ある方
向には電流がよく流れるのに対して、それ以外の方向で
は流れにくいという導電異方性を持っている。このこと
から、高い超電導特性を出すには、超電導体を形成して
いる結晶粒子の結晶軸の方向をできる限り揃える等の工
夫が必要であった。
【0013】そこで発明者らは、上述したPb−Ag系
材料を用いた超電導線材の開発をはじめとして、問題の
解決に注力した結果、従来の超電導線材及び超電導コイ
ルに比べて超電導特性を大幅に向上することが可能な、
新規の超電導線材及びそれを用いた超電導コイルを見い
出したのでここにまとめた。
【0014】すなわち、上記目的は、一次元的な導電性
を有する多結晶体の超電導物質を内包してなる超電導線
材において、該多結晶体の導電方向が線材の長手方向に
配列していることを特徴とする一次元的超電導線材を用
いることによって達成できる。
【0015】また、前記一次元的超電導線材において、
超電導線材内に内包される前記超電導物質の密度が理論
密度の90%以上であり、かつ前記多結晶体の導電方向
が線材の金属被覆材の界面に対して15度以内で平行で
ある一次元的超電導線材を用いることによって達成でき
る。
【0016】また、前記一次元的超電導線材の超電導物
質の主成分が、金属元素A及び炭酸塩Bの2元素であ
り、金属元素Aがロジウム(Rh),パラジウム(P
d),銀(Ag),白金(Pt),金(Au)の単独あ
るいは複数から構成され、かつ炭酸塩Bがインジウム
(In),スズ(Sn),Tl,鉛(Pb),Biの単
独あるいは複数から構成された超電導物質を内包するこ
とを特徴とする一次元的超電導線材を用いることによっ
て達成できる。
【0017】このときの該超電導物質の代表的な化学組
成は、B1-XXCO9 であり、金属元素Aと炭酸塩Bに
炭素を加えた化合物で構成される多結晶体を内包した一
次元的超電導線材を用いることによって達成できる。
【0018】また、前記一次元的超電導線材において、
該超電導線材の被覆材が、アルミニウム(Al),C
u,Ag,マグネシウム(Mg),ニッケル(Ni)の
単独あるいはそれらを主成分とする合金で構成されてい
ることによって達成できる。
【0019】また、前記一次元的超電導線材の導電体
が、前記金属元素Aの単独あるいは複数で構成される超
電導物質を内包した一次元的超電導線材を用いることに
よって達成できる。
【0020】また、以上述べた一次元的超電導線材を巻
回して成る一次元的超電導コイルを用いることによって
達成できる。
【0021】上述の一次元的超電導線材及び超電導コイ
ルは、線材の長手方向でのJc特性に優れる。すなわ
ち、一次元的な導電性を有する多結晶体の導電方向が線
材の長手方向と一致していない従来の場合には、単結晶
で得られたJcの1/1,000 〜1/10,000 まで劣
化していたのに対し、それらが一致した場合には単結晶
の1/2〜1/10のJcまで向上することが可能にな
る。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明における超電導粉末,焼結
体,塊の製造方法としては、それぞれの化合物を粉砕,
混合し、その混合物を焼成する方法が挙げられる。この
方法には、原料化合物のすべてを一度に混合する方法や
原料化合物の一部を予め混合した後、残りの原料粉末を
混合する方法がある。
【0023】本発明における超電導粉末の合成及び中間
焼成に際しての熱処理温度は、250〜600℃の範囲内
が用いられる。また、必要に応じて酸素ガス,炭酸ガ
ス,窒素ガス等を単独あるいは混合して熱処理を行う。
さらに、必要に応じて、大気圧以上の圧力で加圧しなが
ら熱処理を行う。
【0024】本発明における超電導物質を作製するため
に用いる、各原料化合物は、酸化物,水酸化物,炭酸
塩,硝酸塩,ほう酸塩,酢酸塩等の形で用いる。
【0025】超電導線材の作製方法は、これまでに多く
の方法が提案されているが、ここではその1つの例とし
て線引き−圧延法について詳しく述べる。
【0026】上述した様な方法で超電導体、あるいは前
駆体を合成した後、適当なサイズに粉砕,焼結したもの
をパイプ状の被覆材に充填する。次に、ドローベンチ,
スエージャー,カセットローラーダイス、あるいは溝ロ
ールを用いて断面減少率5〜20%の線引き加工を行
い、その後必要に応じて線材の多芯化を行う。多芯化を
行う方法は、丸断面形状あるいは六角断面形状に伸線加
工した線材をパイプに組み込み、上述したような装置を
用いて断面減少率5〜20%で所定の線径まで伸線す
る。ここでの工程は、線材を所望の形状にすると同時
に、シース内に充填された超電導粉末を高密度化する作
用がある。
【0027】次に、さらに緻密化を図るため、冷間ある
いは熱間圧延機で加工し、平角状あるいはテープ状の断
面とし、適切な温度や雰囲気で熱処理をすることによっ
て高いJcを持った線材が得られる。
【0028】本発明における超電導線材は、超電導物質
の密度が理論密度に対して90%を超えた場合に、高い
Jcを持った線材が得られる。
【0029】本発明における超電導線材の最終的な熱処
理温度としては、250〜600℃の範囲内が用いられ
る。この線材は、目的に応じて一本以上複合させてコイ
ル状に巻いたり、リード線状やケーブル線状に成形して
利用する。また、この熱処理過程で超電導体の特性を高
めるため、熱処理雰囲気が材料によって選択される。例
えば、酸素ガス,炭酸ガス,窒素ガスを単独あるいは混
合したガスを適当な流量だけ気流、又は封入して、熱処
理される。
【0030】また、必要に応じて、第3元素を添加、あ
るいは置換し、得られた超電導体の結晶粒子の内部に非
超電導相を分散させ、ピンニング力を高める方法を用い
てもよい。
【0031】上述した方法以外にも、例えば溶射法,ド
クターブレード法,ディップコート法,スプレーパイロ
リシス法、あるいはジェリーロール法等で作製した線材
を用いても同等の超電導特性を得ることは可能である。
【0032】本発明における超電導線材のシース材や基
板材料には、主に熱処理に際して腐食等の問題を考慮し
なくてすむPd,Ag,Pt,Au等が好ましいが、N
i,Cu,Rh等を使用しても差し支えない。また、P
d,Ag,Pt,Au,Ni,Cu,Rhが主成分の合
金であってもよい。また、必要に応じて非磁性の耐熱合
金を構造補強のために利用しても何ら問題はない。
【0033】本発明における超電導線材とともに巻合わ
せる絶縁材は、コイル設計上、密に巻線を行って発生磁
場を高めることが重要であることから、絶縁層の厚みを
0.3mm以下にすることが好ましく、さらに好ましくは0.
1mm 以下にまで薄くする。また、熱処理後に超電導特
性を劣化させないことはもちろん、絶縁性,密着性,強
度及び耐熱性も良好であることが重要である。
【0034】本発明において製造された超電導体を液体
ヘリウム中で使用する場合には、金属系超電導体や酸化
物超電導体と組み合わせる構造にすることで、より強い
磁場を発生する超電導マグネット等の実用導体が実現で
きる。このときの金属系超電導体としては、NbTi系
合金,Nb3Sn 系化合物,Nb3Al系化合物,V3
a 系,シェブレル系化合物を用い、必要に応じて2種
以上のマグネットを配置する。このときの酸化物超電導
体は、Bi系超電導体が望ましい。
【0035】また、本発明において製造された超電導体
を液体窒素中で使用する場合には、酸化物超電導体と組
み合わせることにより、より高性能の超電導マグネット
等の実用導体が実現できる。
【0036】このようにして、所望の構造に加工された
導体は、コイル,電流リード,ケーブルとして加工変形
された後、熱処理が行われる。超電導線材は、超電導マ
グネットのほか、送電ケーブル,電流リード,MRI装
置,NMR装置,SMES装置,超電導発電機,超電導
モータ,磁気浮上列車,超電導電磁推進船,超電導変圧
器,超電導限流器などに用いることができる。また、そ
の使用温度が液体窒素温度以上であれば、一層効果的で
ある。
【0037】以下、本発明を実施例に基づいて具体的に
説明する。なお、充填粉末の作製は、6th Internationa
l Conference on Materials and Mechanisms of Superc
on-ductivity and High-Temperature Superconductors
における4PO8−85(http://m2s-conf.uh.edu/abst
racts/4PO8_9.html)でDanijel Djurek達が用いている方
法を参考にした。但し、本発明は、これらに限定される
ものではない。
【0038】出発原料として、炭酸鉛(PbCO3)と酸
化鉛(PBO)を用いて二酸化炭素(CO2)と酸化鉛
(PbO)が原子モル比でおよそ1:3になるように秤
量したものに、酸化銀(Ag2O)を添加し、これらを純
水又はエタノール又はベンゼンにより溶かした状態で、
10〜60分間にわたって混合する。これを乾燥するこ
とにより混合体を作製した。次に、この混合体を300
℃〜500℃の温度で、2〜24時間にわたって熱処理
を施す。このとき、1気圧以上の炭酸ガス及び1気圧以
上の酸素ガスの雰囲気中で熱処理を行う。
【0039】次いで、得られた粉末を外径6mm,内径5
mm,長さ400mmの円形の断面形状を有するCuパイプ
に充填する。この線材を、断面減少率10乃至15%で
伸線加工し、所定形状まで縮径する。必要に応じて、線
材の横断面形状を楕円形,六角形,平角形又は丸形状の
横断面形状に減面加工する。本実施例では、外径2.0mm
程度の丸線と厚さ1mm,幅2mmの平角線になるまで縮径
し、超電導線材1を得る。必要に応じて、線材の横断面
形状を楕円形,六角形,平角形又は板状の横断面形状に
減面加工する。
【0040】円形,楕円形及び六角形の線材の外径は、
対辺の長さが最も短い部分で1〜2mm程度が実用上望ま
しいが、用途や通電電流に応じて適切な外径とすればよ
く、特に限定されるものではない。
【0041】得られた線材を、300℃〜600℃の温
度で、2〜24時間にわたって熱処理を施す。このと
き、1気圧以上の炭酸ガス及び1気圧以上の酸素ガスの
雰囲気中で熱処理を行うことにより、超電導線材1を得
た。
【0042】次に、本実施例で作製した線材の断面を走
査型電子顕微鏡で観察することにより、一次元的な導電
性を有する多結晶体の超電導物質の導電方向と線材の長
手方向の関係を調査した。その結果を図1に模式的に図
示する。図から明らかなように、一次元的な導電性を有
する多結晶体の超電導物質の導電方向2が線材の長手方
向とよく一致している。
【0043】この線材のTcを直流四端子法で測定した
ところ、102Kで電気抵抗がゼロになることが確認で
きた。また、77K,ゼロ磁場におけるJcを測定した
ところ、600,000A/cm2 を得た。
【0044】線材内部の超電導物質の密度を調査したと
ころ、理論密度の95%であることが確認できた。ま
た、顕微鏡写真から多結晶体の導電方向と線材の金属被
覆材界面の角度を求めると、平均5度以内で平行である
ことが確認できた。
【0045】その後の実験により、一次元的な導電性を
有する多結晶体の導電方向と線材の金属被覆材界面の角
度においてJcが低下しない、しきい値を調査した結
果、15度以内で平行であれば大きな低下がないことを
確認した。
【0046】また、超電導線材内に内包される超電導物
質の密度が理論密度の90%以下の場合には線材内部に
空隙ができ、一次元的な導電性を有する多結晶体の導電
方向が線材の金属被覆材の界面に対して15度を超えや
すいことが確認された。このことについて、次に比較例
として説明する。
【0047】粉末をパイプに充填する際の密度を70%
に減らした以外は、上述した方法と同様に比較材3を作
製した。そして、作製した比較材3の断面を走査型電子
顕微鏡で観察することにより、一次元的な導電性を有す
る多結晶体の超電導物質の導電方向と線材の長手方向の
関係を調査した。
【0048】その結果を図2に模式的に図示する。図か
ら明らかなように、比較材3は、一次元的な導電性を有
する多結晶体の超電導物質の導電方向4が線材の長手方
向と一致せず、結晶の方向性が不規則である。すなわ
ち、比較材3は、一次元的な導電性を有していないとい
える。
【0049】顕微鏡写真から多結晶体の導電方向と線材
の金属被覆材界面の角度を求めると、平均30度である
ことが確認できた。
【0050】この線材のTcを直流四端子法で測定した
ところ、96Kで電気抵抗がゼロになることが確認でき
た。また、77KのJcを測定したところ、ゼロ磁場で
800A/cm2まで低下した。
【0051】以上述べたように、一次元的な導電性を有
する多結晶体の導電方向が線材の長手方向と一致してい
る場合に高いJcが得られる。また、超電導線材内に内
包される超電導物質の密度が理論密度の90%以上であ
り、かつ前記多結晶体の導電方向が線材の金属被覆材の
界面に対して15度以内で平行であれば高いJcが得ら
れる。
【0052】本発明において製造された超電導線材1の
内形状及び外形状は特に限定されない。また、内部に組
込まれたフィラメントの形状も特に限定されない。さら
に、フィラメントの本数に関しても単芯線でも多芯線で
も全く問題なく、本数も特に限定されない。
【0053】また、パイプに粉末を充填する工程が本実
施例と異なった場合においても、超電導体を合成する熱
処理条件が類似のものであれば、超電導線材の特性には
ほとんど影響がないことも筆者らは実験により確認して
いる。
【0054】前記実施例においては、線引き−圧延法を
利用しているが、他の方法、例えば、ドクターブレード
法,ディップコート法,スプレーパイロリシス法,スク
リーン印刷法等により、金属基板上に超電導体を連続的
に形成させる方法を用いても、同様の超電導特性を有す
る超電導線材が得られる。
【0055】また、必要に応じて、金属基板上と超電導
体の間に中間層を設ける場合がある。この中間層の代表
例としては、MgOやSrTiO3 が挙げられるが、超
電導体の熱処理時に超電導体の性質を損なわないもので
あれば、どのような元素から成るものであっても構わな
い。
【0056】表1は、本実施例における典型的な組成例
として、化学式[A0.25・B0.75CO9]で表される組成
の超電導物質において、炭酸塩Bに固定し、金属元素A
にNi,Cu,Rh,Pd,Ag,Pt,Au,Ti,
Taを用いた場合のTcと77K,ゼロ磁場におけるJ
cを示す。
【0057】
【表1】
【0058】このことから、本発明における化学式[A
0.25・B0.75CO9]で表される組成の超電導物質におけ
る金属元素Aには、Rh,Pd,Ag,Pt,Auを選
ぶことが効果的であって、Jcが高い超電導線材が得ら
れるようになる。
【0059】また、上記Rh,Pd,Ag,Pt,Au
の複数から構成された金属元素Aであっても特に問題は
ない。
【0060】次いで、表2は、本実施例における典型的
な組成例として、化学式[A0.25・B0.75CO9]で表さ
れる組成の超電導物質において、金属元素AをAgに固
定し、炭酸塩BにIn,Sn,Sb,Hg,Tl,P
b,Bi,Al,Siを用いた場合のTcと77K,ゼ
ロ磁場におけるJcを示す。
【0061】
【表2】
【0062】このことから、本発明における化学式[A
0.25・B0.75CO9]で表される組成の超電導物質におけ
る炭酸塩Bには、In,Sn,Tl,Pb,Biを選ぶ
ことが効果的であって、Jcが高い超電導線材が得られ
るようになる。
【0063】また、上記In,Sn,Tl,Pb,Bi
の複数から構成された炭酸塩Bであっても特に問題はな
い。
【0064】表3は、超電導線材1の被覆材をNi,C
u,Rh,Pd,Ag,Pt,Au,Nb,Mg,A
l,Snにした場合の加工性、Tc及び77K,ゼロ磁
場におけるJcを示す。なお、加工性は、直径2mmの線
材が最長で何m作製できたかを示している。最長で2m
以下しか得られなかった線材は、Jcの測定は行わなか
った。
【0065】
【表3】
【0066】このことから、本発明における超電導線材
1の金属被覆材は、Ni,Cu,Ag,Mg,Alを選
ぶことが効果的であって、加工性に優れ、かつJcが高
い超電導線材が得られるようになる。
【0067】また、上記Ni,Cu,Ag,Mg,Al
の複数から構成された金属被覆材であっても何ら問題は
ない。
【0068】図3は、本発明で製造された超電導線材1
と絶縁材5を用いて巻回した超電導コイル6の断面概略
図である。超電導線材1には、超電導体7が内包されて
いる。上記導体は、外径50mm,内径40mmの金属製ボ
ビン8にソレノイド状に巻き付けて、図に示すような断
面構造を有するコイルを作製した。コイル巻線時には、
超電導線材1の機械強度に合わせた張力を線材に付加し
ながら巻線することが好ましい。なぜなら、それ以下の
張力で巻線を行った場合、巻線密度が著しく低下し、か
つ巻線精度も劣るためである。
【0069】次に、巻線を終了したコイルに超電導特性
を付与するため、これまでに述べてきたような条件で熱
処理を施す。その後、超電導コイル6の機械強度を高め
るために、エポキシ系材料,シリコン系材料,ウレタン
系材料でも、かつそれがグリース状,ワックス状の含浸
材を用いてコイルを補強することが好ましい。
【0070】また、さらに高強度の金属テープ等でコイ
ルを補強しても差し支えない。この場合、引張強さを概
ね3〜10倍程度高めることが可能であって、機械的強
度を高める機能を付与せしめることができる。
【0071】本発明の酸化物超電導コイルは広く超電導
機器に適用することが可能であって、例えば、大型マグ
ネット,核磁気共鳴分析装置,医療用磁気共鳴診断装
置,超電導電力貯蔵装置,磁気分離装置,磁場中単結晶
引上装置,冷凍機冷却超電導マグネット装置などに利用
することにより、機器の高効率化を達成できる効果があ
る。
【0072】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の超電導線材及びそれを用いた超電導コイルを製造する
ことにより、従来得られていた超電導体とは性質が大き
くことなり、実用性に優れる超電導線材及び超電導コイ
ルを得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において製造した超電導線材における多
結晶体の導電方向と線材の長手方向を表す模式図。
【図2】本発明において製造した比較材における多結晶
体の導電方向と線材の長手方向を表す模式図。
【図3】本発明において製造した超電導コイルの断面概
略図。
【符号の説明】
1…本発明により製造した超電導線材、2…本発明によ
り製造した超電導線材の多結晶体の導電方向、3…比較
材、4…比較材の多結晶体の導電方向、5…絶縁材、6
…超電導コイル、7…超電導体、8…金属製ボビン。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C01G 19/00 C01G 21/00 21/00 29/00 29/00 30/00 30/00 H01B 12/04 ZAA H01B 12/04 ZAA 13/00 565D // H01B 13/00 565 H01F 5/08 ZAAB Fターム(参考) 4G047 JA05 JC11 4G048 AA03 AA08 AB01 AC04 AD03 AE05 5G321 AA01 BA01 BA03 CA04 CA08

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一次元的な導電性を有する多結晶体の超電
    導物質を内包してなる超電導線材において、該多結晶体
    の導電方向が線材の長手方向に配列していることを特徴
    とする一次元的超電導線材。
  2. 【請求項2】前記一次元的超電導線材において、該超電
    導線材内に内包される前記超電導物質の密度が理論密度
    の90%以上であり、かつ前記多結晶体の導電方向が線
    材の金属被覆材の界面に対して15度以内で平行である
    ことを特徴とする請求項1に記載の一次元的超電導線
    材。
  3. 【請求項3】前記一次元的超電導線材の超電導物質の主
    成分が、金属元素A及び炭酸塩Bの2元素であり、 Aを構成する金属元素がRh,Pd,Ag,Pt,Au
    の単独あるいは複数から成り、 Bを構成する炭酸塩元素がIn,Sn,Tl,Pb,B
    iの単独あるいは複数から成る超電導物質を内包するこ
    とを特徴とする請求項1及び2に記載の一次元的超電導
    線材。
  4. 【請求項4】前記一次元的超電導線材において、該超電
    導線材の被覆材が、Al,Cu,Ag,Mg,Niの単
    独あるいはそれらを主成分とする合金で構成されている
    ことを特徴とする請求項1ないし3に記載の一次元的超
    電導線材。
  5. 【請求項5】前記一次元的超電導線材の導電体が、請求
    項3に記載の金属元素Aの単独あるいは複数で構成され
    る超電導物質を内包した請求項1ないし4に記載の一次
    元的超電導線材。
  6. 【請求項6】請求項1ないし5に記載の一次元的超電導
    線材を巻回して成る一次元的超電導コイル。
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