JP2002284901A - 輸送機器用frp製外板部材 - Google Patents

輸送機器用frp製外板部材

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JP2002284901A
JP2002284901A JP2001084427A JP2001084427A JP2002284901A JP 2002284901 A JP2002284901 A JP 2002284901A JP 2001084427 A JP2001084427 A JP 2001084427A JP 2001084427 A JP2001084427 A JP 2001084427A JP 2002284901 A JP2002284901 A JP 2002284901A
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JP2001084427A
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Takuya Karaki
琢也 唐木
Akihiko Kitano
彰彦 北野
Shiyouji Murai
彰児 村井
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】表面品位と耐振動疲労性を兼ね備えた輸送機器
用FRP製外板部材を提供する。 【解決手段】本発明の輸送機器用FRP製外板部材は、
織物基材からなる繊維強化プラスチック(FRP)を使
用する輸送機器用FRP製外板部材であって、前記輸送
機器用FRP製外板部材における次のコンポジットカバ
ーファクターが、95%〜100%の範囲内であること
を特徴とする。コンポジットカバーファクター:コンポ
ジット中の織糸間に形成される空隙部の大きさおよびボ
イドの大きさに関係する指標でコンポジット上に任意の
面積S1の領域を設定したとき、面積S1内においてコ
ンポジットに形成される空隙部の面積およびボイドの面
積の総和S2とすると、次式で定義される値をいう。コ
ンポジットカバーファクター=[(S1−S2)/S
1]×100

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は輸送機器用FRP製
外板部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】繊維強化プラスチック(以下、FRPと
略す)は、軽量、高剛性、高強度であるため、従来から
さまざまな構造部材に用いられてきた。近年ではその低
コスト化と表面品位向上技術により、自動車を代表とす
る輸送機器用の外板部材に、FRPを用いる試みがなさ
れている。特にSMC(シートモールディングコンパウ
ンド)というFRPはすでに輸送機器用FRP製外板部
材の実用例が多く存在する。
【0003】このSMC(例えば、特開平6−2860
08号公報等を参照)は補強繊維として長さ数cmの不
連続繊維を補強繊維とし、この不連続繊維と樹脂(例え
ば、不飽和ポリエステル樹脂)を混ぜ合わせた中間基材
を、型内で加熱加圧し、下地板を作り、これに後処理
(例えば、サンディングや有色塗装など)を施しFRP
製外板部材とする。しかし、このSMCは補強繊維とし
て不連続繊維を使用しているため、補強繊維として連続
繊維を使用した場合に比べ強度や剛性が低くなるだけで
なく、飛来物の衝突に対して弱く、飛来物が簡単に外板
を突き破ってしまう場合があり、貫通衝撃性に劣るとい
う欠点があった。
【0004】これに対して、補強繊維に連続繊維からな
る織物を使用した輸送機器用FRP製外板部材の実用化
が試みられており、例えば特開平8−300526号公
報(先行例1)で提案されている。
【0005】輸送機器用FRP製外板部材に連続繊維か
らなる織物を使用した場合に求められる機能としては、
強度や剛性はもちろんのこと、上述の耐貫通衝撃性に加
え、表面品位が挙げられる。加えて、輸送機器特有の振
動により、強度や剛性が低下しないという振動疲労性も
必要とされる。この振動疲労性の低下の主原因として
は、FRP中のボイド、目隙などによる樹脂だまり等の
存在が挙げられる。つまり、前記部分に、飛来物の衝突
等の理由によりクラックが発生して、その後に、外板部
材に振動が与えられるにつれ、そのクラックが成長・伝
播して、ついには全体に広がり、外板部材全体の剛性低
下や、場合によっては外板部材の破壊につながるおそれ
があるため、FRP中のボイド、目隙などによる樹脂だ
まりの解消が強く求められている。また、上述のボイド
や目隙による樹脂だまりは、表面品位を損なう主要因で
もあり、これらの解消は、輸送機器用の外板部材におい
て、とりわけ重要な問題点ということができる。
【0006】この問題を解決する手段として、前記先行
例1では、織物基材としてカバーファクター95〜10
0%の織物基材を使用することにより、上述したボイド
や目隙による樹脂だまりの解消を図っている。カバーフ
ァクターとは、特開平7−118988号公報に記載、
定義されているように、織糸間に形成される空隙部の大
きさに関係する要素であり、織物基材の外観を規定する
指標として用いられている。
【0007】しかしながら、この織物基材は、そのカバ
ーファクターを維持したままに繊維基材として取り扱う
ことは難しく、実際には織物基材を製品型に賦型する工
程において、目のずれや剪断変形により前記カバーファ
クターが容易に低下してしまう(織糸間に隙間ができて
しまう)という問題点を有していた。例えば、カバーフ
ァクター100%の織物基材を使用しても、上述した生
産工程で目のずれや剪断変形でカバーファクターが80
%まで落ちていれば、成形されたFRP製外板部材には
ボイドや樹脂だまりが多く存在してしまい、ひいては当
初のねらいであった表面品位や振動疲労性を達成できな
いでいた。
【0008】また、織物基材を賦型する工程以外でも、
例えばレジントランスファーモールディング法(RTM
法)の場合では、樹脂注入行程で真空漏れに伴い空気が
混入してしまっては、やはり成形してできたFRP製外
板部材にはボイドが存在し、表面品位を損ない耐振動疲
労性を低下させる要因となってしまう。
【0009】このように、輸送機器用FRP製外板部材
を製造する際には、使用する織物基材や製造方法によっ
てではなく、製造された輸送機器用FRP製外板部材が
当初の要求通りの表面品位や耐振動疲労性を有している
かを判断する総合的な指標が必要とされているのであ
る。
【0010】このような指標としては、例えば金属の場
合は光沢計やテンションメーターなど様々な方法が提案
されているが、金属と性質の違うFRPの場合はそれら
の指標をそのまま適用することは難しい。たとえば、金
属の場合は製造工程で工具の落下などにより衝撃が与え
られたときは、その部分が塑性変形してしまうので、肉
眼で確認できるが、FRPの場合は塑性変形せず、内部
にクラックが入ってしまうだけので、肉眼では確認でき
ない。また金属は異方性をもたないが、連続繊維を使用
した輸送機器用FRP製外板部材の場合、繊維の方向の
ずれやゆがみが全体の表面品位、耐振動疲労性に大きな
影響を与えるため、繊維の方向のずれやゆがみを判定す
る指標も必要である。
【0011】つまり、輸送機器用FRP性外板部材が、
要求されている表面品位や耐振動疲労性を本当に有して
いるかを判断する指標およびその指標を満たすFRP製
の外板部材はこれまで得られていなかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、輸送機器用
FRP性外板部材が、輸送機器用の外板部材に要求され
ている表面品位や耐振動疲労性を有しているかを判断す
る指標の確立、およびその指標を満たす表面品位および
耐振動疲労性を兼ね備えた輸送機器用FRP製外板部材
を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の輸送機器用FRP製外板部材は以下の構成
を有する。すなわち、織物基材からなる繊維強化プラス
チック(FRP)を使用する輸送機器用FRP製外板部
材であって、前記輸送機器用FRP製外板部材における
次のコンポジットカバーファクターが、95%〜100
%の範囲内であることを特徴とする。
【0014】(コンポジットカバーファクター:コンポ
ジット中の織糸間に形成される空隙部の大きさおよびボ
イドの大きさに関係する指標でコンポジット上に任意の
面積S1の領域を設定したとき、面積S1内においてコ
ンポジットに形成される空隙部の面積およびボイドの面
積の総和S2とすると、次式で定義される値をいう。
【0015】コンポジットカバーファクター=[(S1
−S2)/S1]×100 )
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面を参照しながら説明する。
【0017】図1は本発明の輸送機器用FRP製外板部
材を使用したルーフを搭載した自動車の斜視図である。
図2はこの自動車のルーフの外板部材の一部分Aを抜き
出した拡大図である。本発明の輸送機器用FRP製外板
部材1は織物基材からなるFRPで、コンポジットカバ
ーファクターが95%〜100%の範囲内の領域2と、
輸送機器用FRP製外板部材を製造する上で排除するこ
とが極めて困難な、目隙3と繊維の蛇行4とボイド5と
からなる。
【0018】ここでいうコンポジットカバーファクター
とは、コンポジット中の織糸間に形成される空隙部の大
きさおよびボイドの大きさに関係する指標でコンポジッ
ト上に任意の面積S1の領域を設定したとき、面積S1
内においてコンポジットに形成される空隙部の面積およ
びボイドの面積の総和S2とすると、[(S1−S2)
/S1]×100で定義される値であり、図2の例を用
いてかかるコンポジットファクターを説明すると、図2
における織物基材の目隙3あるいはボイド5による白色
の部分がしめる割合のことであり、コンポジットカバー
ファクター100%とは、この部分が全くないことを意
味する。具体的には、次のようにして求めた。すなわ
ち、まず、解像度が35万画素のデジタルカメラを使用
して、該自動車ルーフの外観を任意のアングルで織物の
たて糸とよこ糸がそれぞれ20本以上入るフォーカスで
撮影した。ライトはハレーションを起こさない範囲で調
節した。この撮影画像をAdobe製画像処理ソフト
「フォトショップ」で画像の濃淡が均一になるように調
整したあと白黒の明暗を表すデジタルデータに変換して
画像処理装置で解析し、全体の面積をS1、白い部分の
総和をS2とした。これらの値からカバーファクターC
fを以下の(式1)から算出した。
【0019】 (式1)Cf=((S1−S2)/S1)×100 かかるコンポジットカバーファクターは100%であれ
ば最もよいのであるが、現実には、特に曲面状の外板部
材を製造するときには、目隙や目の蛇行を完全に排除す
るのは極めて困難な場合があり、95%が許容できる最
低の値である。95%未満であると明らかに表面品位が
劣り、耐振動疲労性も低下してしまう。
【0020】上述したコンポジットカバーファクターを
低下させる要因の一つとして、図2における目隙3の存
在が挙げられる。目隙3とは、織物基材のたて糸とよこ
糸の交錯部分における空隙部分のことであり、隣接する
たて糸同士、または、隣接するよこ糸同士で糸幅が異な
ると生じてしまう。具体的には図3を用いて説明する。
図3は、図2からさらに目隙3の周辺部分を抜きだした
拡大図である。ここで糸幅とは、例えばたて糸31の糸
幅は、図3のようにたて糸31の縁を定義し、その距離
wを測ることによって求めることができる。よこ糸32
の糸幅も同様である。このようにして求めた糸幅の平均
値(図3の場合たて糸4本の糸幅の総和/4、あるいは
よこ糸4本の糸幅の総和/4)に対し、たて糸33のよ
うに糸幅の平均値より小さい糸幅の糸が存在すると、他
の糸との交錯部において目隙34が生じてしまう。
【0021】よって、織物基材の糸巾のばらつきを示す
目ずれ度が0.01〜0.20の範囲内であることが好
ましい。目ずれ度が0とはすべての糸幅が等しいことに
なるが、現実的には目ずれ度が0.01程度まで小さけ
れば目隙は無視して良いほど小さいものになるのでかま
わない。0.20を超えると明らかに目隙が顕著化し、
コンポジットカバーファクター低下の要因となる。
【0022】ここで目ずれ度とは、コンポジット中の織
物基材の単糸幅の歪みに関係する指標で、織物基材の単
糸の幅(たて糸またはよこ糸)をwとし、その平均をw
aveとすると、|wave−w|/waveで定義される値
を指し、具体的には次のようにして求めた。すなわち、
まず、解像度が35万画素のデジタルカメラを使用し
て、該自動車ルーフの外観を任意のアングルで織物のた
て糸とよこ糸がそれぞれ20本以上入るフォーカスで撮
影した。ライトはハレーションを起こさない範囲で調節
した。この撮影画像をAdobe製画像処理ソフト「フ
ォトショップ」で画像の濃淡が均一になるように調整し
たあとたて糸とよこ糸の縁を定義した。これら定義した
縁の間隔wをたて糸よこ糸一本づつ測定し、間隔の平均
値を測定した。そして目ずれ度を以下の(式2)から算
出した。
【0023】 (式2)目ずれ度=|wave−w|/wave 次にコンポジットカバーファクターを低下させる要因と
しては、糸の蛇行による空隙部4が挙げられる。具体的
には図4を用いて説明する。図4は、図2からさらに繊
維の蛇行による空隙部4の周辺を拡大した図である。こ
こで繊維の蛇行度とは、例えばたて糸41の場合、糸の
縁を定義し、縁の中間に当たる部分を中心線として定義
する。糸の縁幅がwの場合は、中心線は互いの縁からw
/2ずつ離れた線42となる。よこ糸に隠れて見えない
部分は、直近の中心線同士を結んで定義する。例えばた
て糸41の場合は中心線42と中心線43を結んだ中心
線44とする。このように定義した中心線の間隔dを測
定する。中心線の間隔dの平均値に対して、たて糸45
のように、繊維が蛇行している場合は、図の中心線間隔
d’のように中心線どうしの間隔が開いてしまい、空隙
部46ができてしまう。
【0024】このような空隙部をなくすためには、糸の
蛇行の程度を示す繊維蛇行度が−0.20〜0.20で
あることが好ましい。この範囲内であると空隙部が存在
せず、コンポジットカバーファクターの低下、ひいては
耐振動疲労性や表面品位の低下を防ぐことができる。繊
維蛇行度が−0.20未満であると繊維が重なっている
ことを意味し、表面に凹凸ができてしまい好ましくな
い。また、0.20を越えると前述したように空隙部が
できてしまいやはり好ましくない。
【0025】ここで繊維蛇行度とは、コンポジット中の
織物基材の単糸間の歪みに関係する要素で、織物基材の
隣り合うたて糸の中心線間隔、あるいは、隣り合うよこ
糸の中心線間の間隔をd、その平均値をdaveとして
(d−dave)/daveで定義される値を指し、具体的に
は次のようにして求めた。すなわち、のデジタルカメラ
を使用して、該自動車ルーフの外観を任意のアングルで
織物のたて糸とよこ糸がそれぞれ20本以上入るフォー
カスで撮影した。ライトはハレーションを起こさない範
囲で調節した。この撮影画像をAdobe製画像処理ソ
フト「フォトショップ」で画像の濃淡が均一になるよう
に調整したあと、たて糸とよこ糸の中心線を定義した。
これらたて糸の隣り合う中心線同士あるいはよこ糸の隣
り合う中心線同士の間隔dを織り目ますごとに測定し、
間隔のばらつきを測定した。そして繊維蛇行度を以下の
(式3)から算出した。
【0026】 (式3)繊維蛇行度=(d−dave)/dave なお、本発明で用いる織物基材は繊維が連続している状
態で平織り、綾織り、朱主織りなどの織物形態とする。
織物形態であることにより、外板部材など湾曲した部分
にもきれいに基材を沿わすことができる。本発明で織物
の目付(g/m 2)は特に限定しないが、20g/m2
〜800g/m2 の範囲内であることが好ましい。これ
以上低いと基材の強度剛性が足りず、これより大きいと
曲面部分に沿わすことが難しくなるからである。
【0027】織物基材を構成する補強繊維糸の形体は特
に限定はしないが、糸幅/厚み比が20以上の扁平な補
強繊維糸であると、織り糸のクリンプを押さえ、結果的
にコンポジットカバーファクターを95%以上に維持し
やすく好ましい。なお、このような扁平な補強繊維糸は
実質的に撚りが無いことが重要である。ここでいう実質
的に撚りが無いとは、糸長1mあたり1ターン以上の撚
りが無い状態をいう。
【0028】また、織物基材の単糸の糸幅も特に限定し
ないが、単糸の糸幅が3〜16mmの範囲であると、製
織がし易く、また、上述の糸幅/厚み比も20以上にし
易く、好ましい。
【0029】本発明のFRPを構成する補強繊維は、外
板部材に必要な強度剛性を付与できればよいので、ガラ
ス繊維、アルミナ繊維などの無機繊維、アラミド系やナ
イロンなどの有機繊維、そして炭素繊維などを使用する
ことができる。その中でもガラス繊維は価格が安く、強
度剛性のバランスもよいので好ましい。また、炭素繊維
は強度剛性に優れ軽量でもあり特に好ましい補強繊維で
ある。
【0030】また、本発明のFRPを構成する樹脂は、
外板部材に必要な強度剛性を発現できればよく、例えば
エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステ
ル樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、アク
リル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポ
リアミド樹脂、ABS樹脂、ポチブチレンテレフタレー
ト樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、
ポリウレタン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂等を使用
することができる。中でも耐薬品性、耐候性などに優れ
るエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹
脂およびこれらの変性樹脂を用いることが好ましい。ま
た、フェノール樹脂やベンゾオキサジン樹脂も難燃性に
優れるため、難燃性が求められる場合には好ましい樹脂
といえる。
【0031】次にFRPにおける補強繊維の割合は、樹
脂に対して重量比で30%〜75%の範囲内であること
が好ましい。30%を下回ると外板としての剛性、耐衝
撃性が足りず、金属製外板部材に匹敵するには軽量化を
犠牲にしなくてはならなくなる可能性があるからであ
る。また、75%以下である理由は、75%を越えると
樹脂の含心が難しくなりボイドが発生して物性状好まし
くない場合があるからである。
【0032】次に本発明の効果を図5を用いてさらに詳
細に説明する。本来、輸送機器には使用の際に多大な振
動が与えられ、これに伴い目隙やボイドの部分からクラ
ックが生じ、そのクラックが進展して全体の破壊ないし
は剛性低下という深刻な事態を引き起こす。コンポジッ
トカバーファクター100%ということはこのような目
隙やボイドが全くないということであり、それはそのま
まクラックが入りにくいことを示している。実質的に
は、コンポジットカバーファクターが95%以上である
と目隙やボイドが無いと判断してよい。このため外板部
材の耐振動疲労性が飛躍的に向上するという特徴があ
る。また目隙やボイドが全くないということは、表面に
白色の点状部分がないということであり、表面品位に優
れるという特徴もある。
【0033】このような理由から輸送機器用FRP製外
板部材は本来全面がコンポジットカバーファクター95
%以上であるのが望ましいが、織物基材を取り扱いう上
でその実現は困難な場合もある。なぜなら、製造工程で
織物基材を外板部材の形状に沿わすときや、外板部材の
寸法に裁断するときなど、織物の目が剪断変形してしま
ったり、目の間隔が開いてしまうといったことが起こり
得るからである。しかし、このような場合においても実
際にはコンポジットカバーファクター95%以下である
部分が、外板部材に部分的に散在している状態なら、耐
振動疲労性もそれほど低下することはない場合が多いた
め、そのような状態も本発明の範囲に含まれる。
【0034】これを図5を用いて説明すると、カバーフ
ァクター80%の部分(図5における領域2以外の部
分)が散在し、ここからそれぞれ振動にともないクラッ
ク6が発生する。本来これらクラックは単独では微少で
あり、外板部材の強度や剛性にそれほど影響を与えな
い。しかしこれらクラックが伝播しつながって巨大にな
ると外板部材に深刻な破壊をもたらす。このためクラッ
クとクラックの間にカバーファクター95%以上の部分
が存在すると、このようなクラックの伝播を阻止する防
壁のような役目をはたし、外板部材の強度や剛性の低下
を阻止できる。このように、コンポジットカバーファク
ターが95%以上の部分が外板部材全体の50%以上を
占めていれば、振動による強度や剛性の低下を防ぐこと
ができる。また外板部材全体の50%以上をコンポジッ
トカバーファクター95%以上になるよう製造すること
は実現可能であるため、量産レベルの製造が可能であ
る。もちろん外板部材100%においてコンポジットカ
バーファクターが95%以上であるのがより好ましいの
は言うまでもない。外板部材全体の50%未満でコンポ
ジットカバーファクターが95%未満であると、前述し
たようにクラックの成長・伝播を防げず、振動により全
体の剛性や強度が低下してしまい好ましくない。
【0035】なお本外板部材の成形方法としては、RT
M(レジントランスファーモールディング)法、RIM
法、ハンドレイアップ法、プリプレグレイアップ法、プ
ルトルージョン法(引き抜き成型法)、プルワインド
法、フィラメントワインド法、SCRIMP法などが挙
げられ、その他の成形技術を用いても差し支えない。こ
れらの中でも、生産性に優れるRTM法、RIM法、S
CRIMP法で成形するのが好ましい。
【0036】また本発明の外板部材は、自動車、高速車
両、高速船艇、単車などの輸送機器全判に使用でき、そ
の使用部分もドア、ボンネット、フェンダー、トランク
リッド、ルーフ(例えばハードトップ等)、サイドミラ
ーカバー、等のいかなる部位にも使用できる。その中で
も、本発明の効果を最大限に発現することができるの
は、輸送機器の中でも自動車であり、その使用部分の中
でも目に付きやすいルーフである。
【0037】
【実施例】本発明の輸送機器用FRP製外板部材の特徴
を実施例によって述べる。
【0038】(実施例1)自動車ルーフの形状をした凸型
の金型に、炭素繊維(弾性率235GPa、強度5GP
a、伸度2.0%)からなる織物基材(炭素繊維目付3
00g、厚み0.3mm、カバーファクター98%)を
2枚重ねて、凹型を閉じ、エポキシ樹脂を70℃で注入
し、120℃1時間硬化させて、厚さ0.6mmの自動
車用ルーフを作製した。同自動車ルーフのコンポジット
カバーファクターは98%、目ずれ度は0.19、繊維
蛇行度は0.10であった。この自動車ルーフはボイド
が見られず、目のずれも繊維の蛇行もほとんど見られ
ず、表面品位は極めて良好であった。
【0039】この自動車ルーフで1000時間の走行テ
ストをおこなったところ、走行テスト後もほぼ同程度の
剛性を保っていた。
【0040】ここでコンポジットカバーファクター、目
ずれ度、繊維蛇行度は前記した方法に基づいて測定して
求めたものである。
【0041】(比較例1)実施例1同様の原料を用いて、
樹脂を注入する時、微量の空気を混入させる点だけを実
施例1と異なるようにし、後は実施例1と同様の方法に
て自動車用ルーフを作製した。同自動車ルーフのコンポ
ジットカバーファクターは70%、目ずれ度は0.1
5、繊維蛇行度は0.10であった。この自動車ルーフ
は目のずれや繊維の蛇行はほとんど見られなかったが、
ボイドが多数見受けられ、表面品位は劣悪であった。こ
こでコンポジットカバーファクター、目ずれ度、繊維蛇
行度は実施例1と同様にして求めた。この自動車ルーフ
で1000時間の走行テストをおこなったところ、ボイ
ドからクラックが生じ、走行テスト後、剛性は半分に低
下していた。
【0042】(比較例2)実施例1と同様の原料を用い
て、樹脂を注入する時、樹脂の中に微量の気泡が存在し
たまま樹脂を注入する点だけを実施例1と異なるように
し、後は実施例1と同様の方法にて自動車用ルーフを作
製した。同自動車ルーフのコンポジットカバーファクタ
ーは85%、目ずれ度は0.17、繊維蛇行度は-0.
25であった。この自動車ルーフは目のずれは見られな
かったがや繊維の蛇行による繊維同士の重なりで表面に
凹凸が若干見受けられた。また、ボイドも微量ながら目
視観察され、表面品位も良好とはいえなかった。ここで
コンポジットカバーファクター、目ずれ度、繊維蛇行度
は実施例1と同様にして求めた。この自動車ルーフで1
000時間の走行テストをおこなったところ、ボイドや
表面の凹凸部に存在している樹脂だまりからクラックが
生じ、走行テスト後、剛性は半分に低下していた。
【0043】(実施例2)実施例1と同様の原料、方法で
あるが、織物基材を型に重ねる作業は実施例1と比較し
て若干雑に行い、自動車用ルーフを作製した。同自動車
ルーフのコンポジットカバーファクターは95%、目ず
れ度は0.20、繊維蛇行度は0.3であった。この自
動車ルーフはボイドが見られず、目のずれもほとんど見
受けられなかった。繊維の蛇行による表面の凹凸が見受
けられたが表面品位を損なうほどではなく、表面品位は
良好であった。ここでコンポジットカバーファクター、
目ずれ度、繊維蛇行度は実施例1と同様にして求めた。
この自動車ルーフで1000時間の走行テストをおこな
ったところ、走行テスト後も剛性はほとんど低下してい
なかった。
【0044】(実施例3)実施例1と同様の原料、方法で
あるが、織物基材を型に重ねる作業は実施例1と比較し
て若干雑に行い、自動車用ルーフを作製した。同自動車
ルーフのコンポジットカバーファクターは97%、目ず
れ度は0.23、繊維蛇行度は0.22であった。この
自動車ルーフは目のずれや繊維の蛇行が若干見られた
が、それらはさほど目立たず、表面品位は良好であっ
た。ここでコンポジットカバーファクター、目ずれ度、
繊維蛇行度は実施例1と同様にして求めた。この自動車
ルーフで1000時間の走行テストをおこなったとこ
ろ、走行テスト後も剛性は全く低下していなかった。以
上の実施例、比較例の結果を以下の表1にまとめる。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】本発明の輸送機器用FRP製外板部材
は、コンポジットカバーファクターを95%〜100%
の範囲内にすることによって、表面品位と耐振動疲労性
を兼ね備えることができ、輸送機器用外板部材として有
用なFRPを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のルーフを搭載した自動車の一例を示す
斜視図である。
【図2】ルーフの外板部材の一部分Aを抜き出した拡大
図である。
【図3】図2に示す目隙3の周辺の拡大図である。
【図4】図2に示す繊維の蛇行による空隙部4の周辺の
拡大図である。
【図5】ルーフの外板部材の一部分Aを抜き出した拡大
図である。
【符号の説明】
1:外板部材 2:コンポジットカバーファクター95%以上の領域 3:目隙 4:繊維の蛇行による空隙部 5:ボイド 6:クラック 31:たて糸 32:よこ糸 33:目ずれ度が平均以下のたて糸 34:目ずれによる空隙部 41、45:たて糸 42〜44:たて糸41の中心線 46:空隙部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F072 AA04 AA07 AA08 AB10 AB28 AD03 AD11 AD23 AG03 AH31 AJ04 AK13 AK14 AK15 AK17 AL02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】織物基材からなる繊維強化プラスチック
    (FRP)を使用する輸送機器用FRP製外板部材であ
    って、前記輸送機器用FRP製外板部材における次のコ
    ンポジットカバーファクターが、95%〜100%の範
    囲内であることを特徴とする輸送機器用FRP製外板部
    材。(コンポジットカバーファクター:コンポジット中
    の織糸間に形成される空隙部の大きさおよびボイドの大
    きさに関係する指標でコンポジット上に任意の面積S1
    の領域を設定したとき、面積S1内においてコンポジッ
    トに形成される空隙部の面積およびボイドの面積の総和
    をS2とすると、次式で定義される値をいう。 コンポジットカバーファクター=[(S1−S2)/S
    1]×100 )
  2. 【請求項2】前記輸送機器用FRP製外板部材における
    次の目ずれ度が、0.01〜0.20の範囲内であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の輸送機器用FRP製外
    板部材。(目ずれ度:コンポジット中の織物基材の単糸
    幅の歪みに関係する指標で、織物基材の単糸の幅をwと
    し、その平均をwaveとすると、次式で定義される値を
    いう。 目ずれ度=|wave−w|/wave
  3. 【請求項3】前記輸送機器用FRP製外板部材における
    次の繊維蛇行度が、−0.20〜0.20の範囲内であ
    ることを特徴とする請求項1または2に記載の輸送機器
    用FRP製外板部材。(繊維蛇行度:コンポジット中の
    織物基材の単糸間の歪みに関係する要素で、織物基材の
    隣り合うたて糸の中心線間隔、あるいは、隣り合うよこ
    糸の中心線間の間隔をd、その平均値をdaveとして次
    式で定義される値をいう。 繊維蛇行度=(d−dave)/dave
  4. 【請求項4】前記輸送機器用FRP製外板部材におけ
    る、少なくとも50%以上100%以下のコンポジット
    カバーファクターが95%〜100%の範囲内であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の輸送機器用FRP製外
    板部材。
  5. 【請求項5】該輸送機器用FRP製外板部材からなる自
    動車ルーフ。
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