JP2002273825A - 捨石に対する耐衝撃性に優れた重防食被覆鋼材 - Google Patents

捨石に対する耐衝撃性に優れた重防食被覆鋼材

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JP2002273825A
JP2002273825A JP2001080246A JP2001080246A JP2002273825A JP 2002273825 A JP2002273825 A JP 2002273825A JP 2001080246 A JP2001080246 A JP 2001080246A JP 2001080246 A JP2001080246 A JP 2001080246A JP 2002273825 A JP2002273825 A JP 2002273825A
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Nobuki Yoshizaki
信樹 吉崎
Hiroaki Yasuda
博昭 安田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外面に防食被覆を必要とする鋼材で、例えば
鋼管の埋設施工、あるいは鋼管杭の打設、もしくは打設
後の捨て石、その他船舶を含む浮遊物等によって発生す
る衝撃に対して被覆の耐衝撃性に優れた高強度被覆を有
する被覆鋼材を提供する。 【解決手段】 下地処理を施した鋼材1の表面に、ポリ
オレフィン又はポリウレタン防食層2を0.5〜6mmの
厚みで積層した後、ガラス繊維を含有した不飽和ポリエ
ステル硬化樹脂による厚さ3mm以上の保護被覆層3、樹
脂製長繊維と不飽和ポリエステルによる厚さ0.3〜2
mmの表面保護層4を順次積層し、高強度被覆を有する被
覆鋼材を製造する。 【効果】 本発明の高強度被覆を有する被覆鋼材は、従
来の製品に対して、高い耐衝撃性と耐久性を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は外面に防食被覆を必
要とする鋼管の埋設施工時、あるいは鋼管杭、鋼管矢板
の港湾・河川の桟橋や護岸などの鋼構造物の打設時、も
しくは打設後の捨て石類、その他船舶を含む浮遊物等に
よって発生する衝撃に対して防食被覆の耐衝撃性・耐久
性に優れた外面重防食被覆鋼材に関する。
【0002】
【従来の技術】外面防食が必要とされる鋼管、鋼管杭、
鋼管矢板において数十年の長期耐久性が必要とされる場
合、ポリオレフィン、あるいはポリウレタンといった樹
脂を被覆材とした重防食被覆鋼材が製造されている。こ
のような重防食被覆ではポリオレフィンあるいはポリウ
レタン樹脂のコスト、電気絶縁性、耐薬品性等の種々の
樹脂特性を生かし、添加剤により耐候性・耐久性を付与
したものが使用される。このような被覆材料を用いた重
防食被覆鋼材では被覆の防食性には著しく優れるが、用
いられる樹脂自体の強度が低く、運搬、保管、施工時の
ハンドリングにおける衝突や摩擦などによる被覆の傷発
生が問題となってきた。
【0003】これに対して特開平10−272728、
特開平10−242729に提案されるようにポリオレ
フィンまたはポリウレタン樹脂からなる防食被覆上に、
ガラス繊維とポリエステルまたはウレタンエラストマー
を同時に塗装することで保護層を形成し、耐傷性を向上
させる方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】重防食被覆の表層に強
度・硬度に優れる耐傷性被覆層として特開平10−27
2728に提案される被覆構成の断面図を図2に示す。
ポリオレフィンまたはポリウレタン樹脂からなる防食被
覆6の上に、ガラス短繊維を含むポリエステルまたはウ
レタンエラストマーの保護層4をスプレー塗装して形成
したものである。この方法は、ガラス短繊維のみで保護
層が形成されているため被覆が脆く、耐衝撃性や耐久性
に課題があり、捨石の重量が大きい場合や取り扱いによ
っては保護層の破損が生じる場合があった。一方、特開
平10−242729に示されるガラスマットに不飽和
ポリエステル樹脂を含浸させて不織布と供に巻き付ける
方法で作成された被覆の被覆構成図を図3に示す。図3
で示されるように、ガラスマットと樹脂繊維を同時に巻
き込む方法で被覆を形成すると、強度の弱い樹脂繊維を
含む層が被覆の内部に交互に積層された形となるため被
膜全体の強度が低く、またガラスマットと樹脂繊維層と
の層間剥離の問題もあり、膜厚を上げないと十分な耐衝
撃性が得られないという問題があった。
【0005】そこで本発明は、主として鋼管、鋼管杭、
鋼管矢板等の防食が必要とされる構造物に対して重防食
被覆と保護被覆によって、耐衝撃性と耐久性に優れる高
強度被覆を有する被覆鋼材を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の問題
を解決する手段として、下地処理を行った鋼材表面にポ
リオレフィン、又はポリウレタン樹脂による重防食被覆
層、ガラス繊維を含有した不飽和ポリエステル硬化樹脂
による繊維強化樹脂(FRPと称す)被覆層、最表面に
熱可塑性樹脂繊維を含有した不飽和ポリエステル硬化樹
脂層を順次積層することで耐衝撃性・耐傷性と防食性に
優れた高強度被覆を有する被覆鋼材が得られることを見
いだし、本発明に至った。
【0007】すなわち、本発明は、(1)下地処理を行
った鋼材表面にポリオレフィン、又はポリウレタン樹脂
による重防食被覆層、ガラス短繊維を含有した不飽和ポ
リエステル硬化樹脂による繊維強化樹脂(FRP)保護
被覆層、熱可塑性樹脂の長繊維を含有した不飽和ポリエ
ステル硬化樹脂表面保護層を順次積層したことを特徴と
する捨石に対する耐衝撃性に優れた高強度被覆を有する
被覆鋼材、及び(2)上記(1)の表面保護層部分に用
いる熱可塑性樹脂繊維がポリプロピレン、ナイロン、ポ
リエステルの長繊維不織布であることを特徴とする捨石
に対する耐衝撃性に優れた重防食被覆鋼材である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明は図1に示すが如く、下地
処理2を施した鋼材1の表面に、ポリオレフィン又はポ
リウレタン防食層3を0.5〜6mmの厚みで積層した
後、ガラス繊維を含有した不飽和ポリエステル硬化樹脂
による厚さ3mm以上の保護被覆層4、樹脂製長繊維と不
飽和ポリエステルによる厚さ0.3〜2mmの表面保護層
5を順次積層したことを特徴とする高強度被覆を有する
被覆鋼材である。
【0009】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明に使用する鋼材は配管用の鋼管、あるいは海洋、河
川の鋼構造物として使用される鋼管杭、鋼管矢板であ
る。鋼材は下地処理として、まず表面の油分・スケール
等を除去する。その方法としては、サンド、グリッド、
ショット等を用いるブラスト処理を行なう方法が効率的
である。更に下地処理として、被覆鋼材の使用環境が厳
しい場合や耐陰極剥離性能が求められる場合、スケール
を除去した鋼材表面にクロメート処理を実施する。クロ
メート処理に用いるクロメート処理剤は成分としてクロ
ム酸を含有するものであれば良いが、部分還元クロム酸
と乾式超微粒子シリカを主成分としたもの、または前記
主成分にリン酸やその化合物、シランカップリング剤等
の各種添加剤を添加したものを用いると耐剥離性等の防
食性に優れる。また塗布量としては全クロム付着量が5
0〜1000mg/m2 の範囲になるように塗布する。
【0010】また、下地処理としてポリオレフィンやポ
リウレタンで構成される重防食層の密着性や、防食性を
更に向上させるためプライマー処理を行う。プライマー
処理は熱硬化性樹脂に無機顔料を添加したものを硬化後
の平均膜厚が10〜150μmとなるように塗布する。
プライマー処理剤は液体、あるいは粉体で供給され、ロ
ール塗装、スプレー塗装、静電粉体塗装等を用いて塗布
後、常温あるいは加熱により硬化させる。プライマー処
理層の膜厚が10μm以下ではプライマーによる鋼材表
面被覆率が低下し、150μm以上ではプライマー皮膜
の応力増加により密着力が低下する。プライマー処理剤
に使用する熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、ウレタン樹
脂、ビニルエステル樹脂等の鋼材との密着性、耐久性に
優れたものを用いる。エポキシ樹脂とはビスフェノール
A又はビスフェノールFのジグリシジルエーテルの単独
又は混合物である。塗料粘度が問題にならない場合、耐
熱性の高いフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレ
ゾールノボラック型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹
脂を添加して使用すると耐水性が向上する。エポキシ樹
脂の硬化剤としては、脂環式アミン、脂肪族アミン、ジ
シアンジアミド、変性イミダゾール、フェノールノボラ
ック硬化剤等を単独又は混合して用いる。一方、ウレタ
ン樹脂は、ポリオールとイソシアネートからなる化合物
であり、2液反応硬化もしくはイソシアネート末端プレ
ポリマーによる湿気硬化型として使用する。イソシアネ
ート末端プレポリマーとしては、ポリプロピレングリコ
ールなどのポリオールとメチレンジフェニルイソシアネ
ートを付加した一般市販のものを用いる。また、プライ
マー樹脂として分子中にビスフェノール骨格を有するビ
ニルエステル樹脂を用いても良い。プライマー処理剤に
は顔料として、無機微粉末を主として添加する。酸化ケ
イ素、アルミナ、酸化チタン、ケイ酸マグネシウム、炭
酸カルシウム、クロム酸化合物、リン酸化合物、ホウ酸
化合物またはそれの混合物などが使用出来る。また、乾
式超微粒子シリカも塗料のチキソ性制御や、防食性向上
に添加しても構わない。
【0011】下地処理を行った鋼材の表面に、ポリオレ
フィン樹脂層又はポリウレタン樹脂層を積層する。ポリ
エチレン樹脂は、エチレンを主成分として重合した低密
度〜高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンを
単独又はブレンドして用いる。ポリプロピレン樹脂は一
般的に用いられるプロピレンモノマー単独、あるいは一
部に種々のエチレン、α−オレフィン、ジオレフィン、
ビニルモノマー等のモノマーとを共重合したものであ
る。これらのポリオレフィン樹脂は鋼管杭のように耐候
性が要求される場合には、カーボンブラックを1〜3%
添加して用いる。ポリエチレンあるいはポリプロピレン
といった一般的なポリオレフィン樹脂を使用する場合は
分子内に極性基を持たないため、接着には防食層に使用
するのと同種の成分を含有するポリオレフィン接着剤層
を下層に100〜1000μm厚みで形成する。ポリオ
レフィン接着剤はプライマー層とポリオレフィン層との
融着性が優れるものであれば良いが、ポリオレフィンを
変性して極性基を導入した変性ポリオレフィン樹脂を用
いると接着性に優れる。変性ポリオレフィン樹脂には、
ポリオレフィンをマレイン酸、アクリル酸、イタコン
酸、メタアクリル酸等の不飽和カルボン酸またはその無
水物で一部変性したものを一般的に用いる。ポリオレフ
ィン接着剤は下地処理後の加熱した鋼材に、粉砕品を静
電塗装、あるいは押出機とダイスを用いてフィルム状に
押し出して被覆する。
【0012】防食層として用いるポリウレタン樹脂は、
ポリオールと充填無機顔料、着色顔料の混合物からなる
主剤と、イソシアネート化合物からなる硬化剤を2液混
合塗装する。ポリオールとしてはポリエステルポリオー
ル、ポリブタジエンポリオール、ポリプロピレングリコ
ールなどの一般市販のポリオールを用いる。イソシアネ
ートとしてはメチレンジフェニルジイソシアネートなど
の一般市販のイソシアネートを使用する。充填無機顔料
としては、シリカ、酸化チタン、カオリンクレーなどの
一般市販の無機顔料を用いる、また着色顔料には、樹脂
に耐候性を付与するため、一般的にはカーボンブラック
を用いる。意匠性から他の着色顔料を用いる場合には、
紫外線吸収剤を併せて添加する。被覆厚みは防食層とし
ての機能を有する0.5mm以上、防食機能と製造費用の
バランスから最大膜厚としても6mm程度が好ましい。
【0013】次に防食層の上層に被覆するFRP保護層
について説明する。用いるFRPとしては不飽和ポリエ
ステル樹脂にガラス繊維を充填したものである。被覆方
法にはハンドレイアップ法、スプレーアップ法、コール
ドプレス法、フィラメントワインデイング法や型枠によ
る注入成形等の方法を用いる。本発明で使用する不飽和
ポリエステル硬化樹脂とは、分子内にエステル結合と二
重結合を有するものであれば良く、オルソフタル酸系、
イソフタル酸系、テレフタル酸系、ビスフェノール系の
不飽和ポリエステル樹脂が使用出来る。また経済性の問
題はあるが、化学的に安定で末端に二重結合を持つビニ
ルエステルを使用しても良い。これらの不飽和ポリエス
テル樹脂をスチレンモノマー等の重合性単量体を含有率
で30〜60%の割合に溶解したものをケトンパーオキ
シド、ハイドロパーオキシドの様な過酸化物触媒とコバ
ルト系、バナジウム系、マンガン系、アミン系等の促進
剤によって硬化する熱硬化性樹脂を用いる。用いるガラ
ス繊維はその長さが短いと強度向上効果が得られないた
め、5mm以上の長さを持つものを10wt%以上添加す
る。フィラメントワインデイング法やガラスクロス、ガ
ラスマットを用いる場合では特に長さの上限はないが、
スプレーアップ等においてガラス短繊維を用いる場合
は、ガラス繊維が長いと塗料の脱泡性が低下することか
ら5〜50mm程度が望ましい。また、その添加量の上限
としては50wt%以下の範囲で添加する。保護被覆層の
添加繊維には、価格と樹脂補強効果、防食性能からガラ
ス繊維を用いる。また、意匠性と耐候性付与のため着色
顔料を0.5〜3%の割合で添加し、ポリエステル樹脂
層を着色して用いる。使用する着色顔料としては、例え
ばカドミウムイエロー、酸化鉄、ポリアゾイエロー、キ
ノフタロンイエロー、イソインドリノンイエロー、キナ
クリドンイエロー、ベンガラレッド、ポリアゾブラウ
ン、アゾレーキイエロー、ペリレンレッド、フタロシア
ニンブルー、フタロシアニングリーン、ベンガライエロ
ー、アルミン酸コバルト、アニリンブラック、カーボン
ブラック、酸化チタン、ウルトラマリンブルー、アルミ
ニウム微粉末等を添加する。被覆の厚みは厚いほど防食
被覆の耐疵性が向上するが、落石に対する耐衝撃性を十
分に有するためには3mm以上の保護層の厚みが必要であ
る。
【0014】表面保護層としては、ガラス繊維強化ポリ
エステル被覆層を形成後、その表面に樹脂性長繊維を含
有した層を塗装する。着色不飽和ポリエステル硬化樹脂
としては前記の保護層に用いるものと同種のもの、ある
いはチキソ性、紫外線吸収剤の添加により耐候性を付与
したものを使用する。樹脂製長繊維には一般市販の数μ
〜数10μm径のもので強度高く、融点の低いものが良
く、熱可塑性樹脂であるポリプロピレン、ナイロン、ポ
リエステルが適する。形態としては長繊維の織物よりも
不織布を用いると、樹脂の含浸性に優れる。不織布は有
機長繊維をバインダー、あるいは熱融着によって0.1
〜0.5mmの厚みに成形されたものを単層又は複層で使
用して表面保護層の厚みが、その効果の生じる0.3mm
以上、硬化収縮歪で耐候性の低下する2mm以下になるよ
うにする。以上の被覆を図1の断面図に示すように順次
積層することで、表面にのみ熱可塑性樹脂繊維含有層を
形成することで高い耐衝撃性、耐久性と優れた防食性を
持つ高強度被覆を有する被覆鋼材が得られることを見い
だし、本発明に至った。
【0015】鋼材上に被覆されたポリオレフィン、ある
いはポリウレタン樹脂は高い防食性を持つことから、下
地処理と併せて鋼材の腐食抑制機能を持つ。FRPは単
独で鋼材に被覆しても防食被覆として適さないが、防食
被覆上に保護被覆として積層すると、耐疵性や衝撃性が
大幅に向上する。また、特性の異なる樹脂を積層する効
果によって衝撃によって上層のFRPに割れが発生した
場合でも、重防食被覆のポリオレフィンやポリウレタン
樹脂には割れが伝播しないために単独で用いる場合に比
較して大幅に耐衝撃性が向上する。更に、本発明での樹
脂性長繊維を含有する表面保護層を用いると、表面保護
層の強度は内部のガラス繊維強化保護層には劣るが、実
際に落石を行った場合に樹脂製の長繊維によって石の先
端の食い込み防止と、先端の滑り性が向上する効果によ
って被膜の割れが発生しにくくなる。さらに長期使用に
よって、表面の不飽和ポリエステル樹脂は熱硬化性であ
るためにチョーキングが発生するが、樹脂製長繊維によ
って保護層は形状を維持するため、FRP中のガラス繊
維が露出しにくく、耐久性の急激な低下抑止が可能とな
る。すなわち本発明により、被覆の耐疵性と耐久性に優
れた高強度被覆を有する被覆を提供することが出来る。
【0016】
【実施例】外径800A×長さ10000mmの鋼管外面
にグリッドブラスト処理を施し、スケール等を除去して
表面に粗度を付与した後、クロム−シリカ系のクロメー
ト処理剤を全クロム付着量で500mg/m2 となるように
塗布乾燥後して下地処理を行った。鋼管を加熱後、無機
顔料として酸化チタンを10%添加し、アミン系の硬化
剤を用いたエポキシ樹脂プライマーを30〜60μm膜
厚となるようにスプレー塗布し、次いで無水マレイン酸
で変性したポリエチレン接着剤(膜厚:200μm)と
ポリエチレン樹脂を2層Tダイスによってフィルム状に
押し出したものをスパイラル状に鋼管表面に被覆した
後、冷却し、ポリエチレン(厚み:1〜5mm)被覆鋼管
を製造した。次に、スプレーアップ法により、スチレン
モノマーを30%含有するオルソ系不飽和ポリエステル
樹脂に1%の着色顔料を添加した塗料と過酸化物触媒含
有硬化剤をスプレー混合しながら、ガラスロービングを
ガンの先端で25mm長に切断しながら、その添加量が3
0%になるように同時に吹き付け塗装、脱泡作業を行
い、着色保護層を形成した。表面保護層を形成する場合
は不飽和ポリエステル樹脂が硬化する前の状態で、その
表層に0.25mm厚みのポリエステル、ポリプロピレ
ン、ナイロンのいずれかの樹脂の不織布を1〜3層の巻
きつけを行い、不織布に不飽和ポリエステル樹脂を十分
含浸させ、防食層がポリエチレン、保護層がガラスチョ
ップと不飽和ポリエステル樹脂のFRP、表層が有機樹
脂繊維と不飽和ポリエステル樹脂の硬化物である本発明
の実施例1〜9の高強度被覆を有する被覆鋼材を製造し
た。実施例10は、上記の被覆の表面保護層にポリエス
テル繊維の織物(0.6mm厚み)を用いた。但し、織物
の場合は不飽和ポリエステルの含浸性が劣るため、表面
に樹脂を塗装した。実施例12、13はFRP保護層の
施工方法を変更した場合の例である。実施例12ではF
RP保護層にガラスチョップドストランドマット(番
手:450 g/m2 )を用いて、樹脂含浸させながらポリ
エチレン防食層上に4層巻きつけた。実施例13ではF
RP保護層にガラスチョップドストランドマット(番
手:450 g/m2 )と平織りのガラスロービングクロス
(番手:570 g/m2 )を交互に2層ずつ樹脂含浸させ
ながらポリエチレン防食層上に巻きつけた。
【0017】また、防食層に被覆を施したを使用した場
合として実施例13は防食層にポリプロピレン、実施例
14は防食層にポリウレタンを用いた例である。実施例
1〜10と同様の被覆方法で、外径800Aの鋼管外面
にブラスト処理を施し、クロメート処理剤を塗布乾燥後
して下地処理を行った。鋼管を加熱後、エポキシ樹脂プ
ライマーを30〜60μm膜厚となるように塗布し、次
いで変性ポリプロピレン接着剤(膜厚:200μm)と
ポリプロピレン樹脂を2層Tダイスによってフィルム状
に押し出したものをスパイラル状に鋼管表面に被覆した
後、冷却し、ポリプロピレン(厚み:3mm)被覆鋼管を
製造した。次に、スプレーアップ法により、着色したイ
ソ系不飽和ポリエステル樹脂塗料とガラスロービングを
ガンの先端で切断したものを、同時に吹き付け塗装・脱
泡作業を行い着色保護層を形成した。表面保護層は不飽
和ポリエステル樹脂が硬化する前に0.25mm厚みのポ
リエステル樹脂の不織布を巻きつけ、樹脂を十分に含浸
させて実施例13の高強度被覆を有する被覆鋼材を製造
した。実施例14は、鋼管外面にブラスト処理後、2液
硬化タイプで無機防錆顔料を含むウレタン樹脂プライマ
ーを塗布、硬化させた後、その表面にウレタンエラスト
マー樹脂をエアレス塗装して硬化させ、ウレタン重防食
鋼材を作成した。この表面に実施例1〜10と同様の方
法でFRP保護塗装と、表面保護層の被覆を実施して、
実施例14の重防食被覆鋼材を製造した。
【0018】一方、比較例として、実施例と同様の方法
で重防食層、FRP保護層を形成し、表面保護層には着
色ゲルーコート塗装を行って有機樹脂繊維を含まない表
面層を持った比較例1、表面に有機樹脂繊維のかわりに
一般的なガラスサーフェイスマット(30 g/m2 )を巻
きつけ、不飽和ポリエステル樹脂を含浸させた表面保護
層を持つ比較例2の重防食鋼管を製造した。実施例と同
様の方法で、全膜厚保を一定にしてFRP保護層の厚み
と表面保護層の厚み比を変化させて比較例3〜5の重防
食鋼管を製造した。比較例6は防食層にタールエポキシ
塗装を行った場合である。比較例7及び8では、まず鋼
管外面にTダイスの一部からのポリエチレン押し出しフ
ィルムを切断、分離しながらスパイラル状に被覆して表
面段差を形成したポリエチレン被覆鋼管を作成した。こ
れに特開平10−272728に相当する方法として前
述のチョップドストランドマットとポリエステル不織布
を積層しながら交互に4層巻きつけを行い比較例7の重
防食被覆鋼管を製造した。また特開平10−42729
に相当するスプレーアップ方法でFRP保護層を形成
し、比較例8の重防食被覆鋼を製造した。
【0019】製造した実施例及び比較例の被覆鋼管を横
向きに配置し、5年間の屋外暴露の後、表面状態を観察
した。また、JIS A 5006に準拠した安山岩:
20号を、1mの高さから鋼管鉛直上に5回、鉛直上か
ら45度の位置に10回、場所を変更しながら落石し、
防食層に達する貫通疵の有無を調査した。水準と結果を
表1に示す。
【0020】表1の試験結果から明らかなように、各種
の重防食被覆層に対してFRP保護層と表面樹脂製繊維
を含む表面保護層により優れた耐衝撃性が得られた。こ
れは、ガラス繊維保護層と樹脂製繊維保護層との比率を
変更した比較例3〜5の結果で耐衝撃性が低下している
ことから、同膜厚では内部にガラス繊維強化樹脂の強固
な皮膜と、表層部にのみ有機繊維含有樹脂層が形成され
てることで、有機樹脂繊維の伸びや、石の先端部の食い
込み防止の効果が発揮されることがわかる。一方、特開
平10−272728に相当するガラス繊維層と有機繊
維層を交互に積層した比較例7では、内部に弱い有機樹
脂繊維含有層を含むため、衝撃性が劣る。また、表層に
用いる有機繊維が織物でも耐衝撃性に問題は無いが、樹
脂の含浸性が悪いことら、作業性の悪化や暴露後の外観
が低下する。一方、比較例1の表面ゲルコートや、比較
例2のサーフェイスマットでも、暴露後の外観は良好だ
が、耐衝撃性は有機樹脂繊維の保護層よりも劣る。この
ため、有機繊維には不織布を用いる方法が最も好まし
い。一方、比較例6のように他の防食層としてタールエ
ポキシ樹脂の様に皮膜強度の低い樹脂を用いると、衝撃
によって下層の防食層が破壊される。以上の結果からも
明らかなように、本発明の高強度被覆を有する被覆鋼材
は、従来のFRPで保護被覆した被覆鋼材に対して、優
れた耐候性と耐衝撃性を示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【発明の効果】本発明の高強度被覆を有する被覆鋼材は
実施例からも明らかな様に、従来の高強度保護被覆を持
つ重防食被覆鋼材に比較して、優れた耐衝撃性と耐久性
確保が同膜厚でも可能である。本発明を、鋼管及び鋼管
杭、鋼管矢板に適用することにより、重防食被覆鋼材の
施工時や、船舶等の衝突、捨て石による損傷を防止する
ことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高強度被覆を有する被覆鋼材の断面図
を示す。
【図2】特開平10−272728に相当する重防食被
覆鋼管の断面図を示す。
【図3】特開平10−242729に相当する重防食被
覆鋼管の断面図を示す。
【符号の説明】
1 表面下地処理を施した鋼材 2 プライマー層 3 接着剤付きポリオレフィン又はポリウレタン樹脂
による重防食被覆層 4 ガラス繊維強化の着色不飽和ポリエステル樹脂に
よる保護層 5 熱可塑性樹脂の長繊維を含有した着色不飽和ポリ
エステル硬化樹脂の表面保護層 6 表面に螺旋状突起を設けたポリオレフィン樹脂重
防食被覆層
フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AB03A AG00C AK01D AK03B AK07D AK07H AK41D AK41H AK44C AK44D AK48D AK48H AK51B BA04 BA10A BA10D CA23D DG03C DG04D DG04H DH01D DH02C EJ64A GB90 JB02 JK10

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下地処理を行った鋼材表面にポリオレフ
    ィン、又はポリウレタン樹脂による重防食被覆層、ガラ
    ス短繊維を含有した不飽和ポリエステル硬化樹脂による
    繊維強化樹脂保護被覆層、樹脂製長繊維を含有した不飽
    和ポリエステル硬化樹脂表面保護層を順次積層したこと
    を特徴とする捨石に対する耐衝撃性に優れた重防食被覆
    鋼材。
  2. 【請求項2】 表面保護層部分に用いる樹脂製長繊維が
    ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステルの長繊維不織
    布であることを特徴とする請求項1記載の捨石に対する
    耐衝撃性に優れた重防食被覆鋼材。
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