JP2002272290A - 形質転換イネ - Google Patents

形質転換イネ

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JP2002272290A
JP2002272290A JP2001079306A JP2001079306A JP2002272290A JP 2002272290 A JP2002272290 A JP 2002272290A JP 2001079306 A JP2001079306 A JP 2001079306A JP 2001079306 A JP2001079306 A JP 2001079306A JP 2002272290 A JP2002272290 A JP 2002272290A
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gogat
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plant
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Tomoyuki Yamatani
知行 山谷
Hiroyuki Nakajima
啓之 中嶋
Kazusue Saito
和季 斉藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 日本型イネのNADA-GOGAT遺伝子を導入した形
質転換インド型イネを提供する。 【解決手段】 日本型イネのNADAグルタミン酸合成酵素
(NADA-GOGAT)をコードするポリヌクレオチドが導入さ
れたインド型イネであって、高いNADA-GOGAT活性を有す
ることを特徴とする形質転換イネまたはその組織。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、日本型イ
ネのNADA-GOGAT遺伝子によって形質転換されたインド型
イネに関するものである。さらに詳しくは、この出願の
発明は、窒素利用効率に優れ、高い収量が期待される形
質転換インド型イネに関するものである。
【0002】
【従来の技術】植物にとって窒素は必須の栄養素であ
り、窒素代謝はその個体維持や種の継続のために不可欠
の生理過程である。
【0003】日本型イネ(ササニシキ等)の穂を構成す
る全窒素の8割は老化器官からの転流(リサイクル)に
よるものである。師管を介して転流する窒素形態はグル
タミンとアスパラギンであるが、グルタミンに関して
は、老化器官では細胞質型グルタミン合成酵素(GS1)
が、また登熟初期の穂や若い葉身ではNADAグルタミン酸
合成酵素がグルタミンの合成と再利用反応の鍵を握って
いる。
【0004】この出願の発明者らは、ササニシキ(Oryz
a sativa)のNADA-GOGAT遺伝子とそのcDNAを単離し、そ
の構造を報告している(Biochim. Biophys. Acta. 138
7: 298-308, 1998)。また、NADA-GOGAT遺伝子の5'上流
域(3.7kbpまたは142bpまで)がプロモーター活性を有
することを見出してもいる(Aust. J. Plant Physiol.2
7: 787-793, 2000)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】インド型イネ(インデ
ィカ)は全世界的に広く栽培され、遺伝的変異が多様で
あるために、日本型イネ(ジャポニカ)にはない有益な
遺伝形質(例えば、耐病虫性、耐塩性、耐乾性、光合成
能、半矮性など)を有するが、米の収量の点で日本型イ
ネに劣っている。このことは、インド型イネの多くが日
本型に比べて老化葉身のGS1含量は高いが、NADA-GOGAT
含量が低いことが原因の一つとして考えられる。NADA-G
OGAT活性が低いことによって窒素転流効率が低く、その
ために穂の形成が効率的に行われていないためである。
【0006】高いNADA-GOGAT活性によって窒素転流効率
の優れたインド型イネ品種が得られれば、米の収量を大
きく向上させ、世界的な食料問題の解決に大きく貢献す
る。また、そのような品種を日本型イネと交配すること
などによって、互いの優れた形質を共有する新しいイネ
品種の作出も期待される。
【0007】この出願の発明は、以上のとおりの事情に
鑑みてなされたものであって、日本型イネのNADA-GOGAT
遺伝子によって形質転換されたインド型イネを提供する
ことを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】この出願は、前記の課題
を解決するための発明として、日本型イネのNADA-GOGAT
をコードするポリヌクレオチドが導入されたインド型イ
ネであって、高いNADA-GOGAT活性を有することを特徴と
する形質転換イネまたはその組織を提供する。
【0009】また、この形質転換イネまたはその組織に
おいては、ポリヌクレオチドが、NADA-GOGAT遺伝子のプ
ロモーター領域を構成するポリヌクレオチドと、NADA-G
OGATcDNAとの融合ポリヌクレオチドであることを好まし
い態様としてもいる。
【0010】なお、この発明の形質転換イネまたはその
組織は、ポリヌクレオチドを導入したプロトプラスト、
カルス、再生個体(初代植物)およびその子孫植物、さ
らには植物個体から単離された植物組織(根、茎、葉
等)および種子が含まれる。
【0011】以下、この発明の実施形態について詳しく
説明する。
【0012】
【発明の実施の形態】この発明の形質転換インド型イネ
は、日本型イネ由来のNADA-GOGATをコードするポリヌク
レオチドが形質導入され、野生型よりも高いNADA-GOGAT
活性を有することを特徴とする遺伝子導入(トランスジ
ェニック)イネである。この形質転換イネは、その高い
NADA-GOGAT活性によって、穂や葉身における窒素転流効
率に優れ、米の高い収量が可能となる。
【0013】NADA-GOGATコードするポリヌクレオチド
は、日本型イネのNADA-GOGATの遺伝子断片(ゲノムDNA
断片)、mRNA、cDNA等を用いることができる。この出願
の発明者らによって、ササニシキのNADA-GOGAT遺伝子の
ゲノム構造(GenBank accession No. AB001916)および
cDNA(GenBank accession No. AB008845)が公知とされ
ており、これら公知の塩基配列に基づいて合成したオリ
ゴヌクレオチドをプローブとして、他の日本型イネのゲ
ノムDNAライブラリーやcDNAライブラリーをスクリーニ
ングすることによって目的とするポリヌクレオチドを単
離することができる。また、オリゴヌクレオチドをプラ
イマーとして、日本型イネ細胞から抽出したmRNAを鋳型
とするRT-PCRによってcDNAを得ることができる。
【0014】ポリヌクレオチドは、例えばcDNAを用いる
場合には、植物で機能するプロモーター(例えば、カリ
フラワーモザイクウイルス(CaMV)35Sプロモーター
等)と連結してベクターに組換え、形質転換に用いるこ
とができる。また、NADA-GOGAT遺伝子のプロモーター領
域のポリヌクレオチドを連結するようにしてもよい。例
えば、ササニシキ由来のNADA-GOGAT遺伝子プロモーター
は、GenBank accessionNo. AB001916の位置1〜3726に存
在するので、この領域を適当な制限酵素で切り出し、cD
NAと連結して用いるようにする。
【0015】ポリヌクレオチドを導入するインド型イネ
は、実施例で示したカラサスのほか、IR24、キンスラボ
ロI、テパI、グルースディック等を対象とすることがで
きる。
【0016】イネの形質転換は、公知のエレクトロポレ
ーション法(Nature 338:274, 1989)、アグロバクテリ
ウム法(Plant J. 6:271, 1994)またはパーティクルガ
ン法(Plant Cell Rep. 14:586, 1995)により行うこと
ができる。ただし、形質転換の効率等を考慮した場合に
は、実施例に示したようなアグロバクテリウム法を採用
することが好ましい。
【0017】以下、実施例を示してこの出願の発明につ
いてさらに詳細かつ具体的に説明するが、この出願の発
明は以下の例によって限定されるものではない。
【0018】
【実施例】実施例1:形質転換用ベクターの構築 プロモーター活性を有するササニシキNADA-GOGAT遺伝子
の5'上流域-2,352から第3エクソン上のXhoIサイト+1,3
22まで(GenBank accession No. AB001916の位置1〜372
6まで)のDNA断片(約3.8kbp)と、NADA-GOGAT cDNAの
蛋白質翻訳領域(GenBank accession No. AB008845の位
置263〜6762)のDNA断片(約65kbp)とを連結して約10k
bpの融合DNA断片とし、これをインサートとする組換え
ベクターを構築した。具体的には、以下のとおりとし
た。
【0019】NADH-GOGAT遺伝子5'上流域-2840bpのSalI
サイトから3'下流+2370bpのBamHIサイトまでの領域がpB
luescriptII SK(-)のSalI−BamHIサイトに挿入されてい
るゲノムクローンを+1322のXhoIサイトで切断し脱リン
酸化した。NADH-GOGAT cDNA全長(7047 bp)がpBluescr
iptII SK(-)のEcoRIサイトに、EcoRI-NotI-SalIアダプ
ターが両端に付加された状態で挿入されているcDNA ク
ローンをXhoIで切断したDNA断片を調製し、両者でライ
ゲーション反応を行った。このpBluescriptII SK(-)上
に構築した2つのDNA断片を連結した融合遺伝子は、ゲノ
ムクローン由来のNADH-GOGAT遺伝子5'上流域-2840bpか
ら第3エキソン上の+1322 XhoIサイトの下流にXhoIサイ
トから3' poly(A)配列までのcDNAを連結した約10 kbの
融合遺伝子である。この融合遺伝子はXbaIにより5'上流
-2352bp以下Poly(A)配列までの蛋白質翻訳領域全長を切
り出すことができる。そこで遺伝子をXbaIで切り出し、
バイナリーベクターpBI101Hm(Aust. J. Plant Physio
l. 27: 787-793, 2000)からGUS遺伝子を取り除いたベ
クターのT-DNAのカナマイシン耐性遺伝子とハイグロマ
イシン耐性遺伝子の間に挿入し、バイナリーベクターpB
INGT10(図1参照)を構築した。 実施例2:形質転換インド型イネの作出 以下の方法により、センスNADA-GOGAT cDNAがコードす
る蛋白質を発現する形質転換インド型イネ(カラカス)
を作出した。 (1) アグロバクテリウムの形質転換方 凍結融解法に基づき、無菌的な操作によってアグロバク
テリウム(Agrobacterium tumefaciens EHA101)を形質
転換した。すなわち、実施例1の構築したベクター(pB
INGT10)1μg(2〜10μl)を、氷上に置いたエッペンド
ルフチューブ内の凍結状態のアグロバクテリウムコンピ
テントセルに乗せるように加えた。エッペンドルフチュ
ーブに蓋をして、37℃のウォーターバス中で正確に5分
間インキュベートした。その後、チューブを氷中に移し
1分冷却した。50μg/mlのカナマイシンを含むYEP培地1m
lを加え、26℃で2時間培養した。室温7500rpmで30秒間
遠心した後、菌体を回収した。50μg/mlのカナマイシン
を含むYEP培地100μlを加え菌体を溶解し、全量をカナ
マシンとハイグロマイシンをそれぞれ50μg/mlの濃度で
含むYEP固形培地に塗布した。培地全体に菌体を広げ
て、26℃暗所でシングルコロニーができるまで48〜72時
間培養した。 (2) 種子の選抜 前年度に収穫し塩水(比重1.14)により選抜した後、4
℃に保存してあるカサラスの完熟種子を用いた。小型籾
すり機で完熟種子の籾を除去し、ひびや傷の入っていな
い種子を選別した。選別した約1000粒ほどの種子を、20
0粒づつ50mlのファルコンチューブに入れて蒸留水にて
ゴミや埃を洗い落とした。
【0020】以下、密閉系以外はクリーンベンチ内にお
いて室温で無菌的に操作を行なった。また、試薬はオー
トクレーブ滅菌か濾過滅菌し、器具は乾熱滅菌した物を
用いた。 (3) 種子の滅菌 洗浄した種子を新しい滅菌ファルコンチューブに移し、
70%(v/v)エタノールを40ml加え1分間ゆっくりと振盪し
てアルコール殺菌を行なった。エタノールを捨てSDWに
て同様に洗浄した後、再び新しいファルコンチューブに
種子を移し、50μlのTween-20を含む40mlの2%次亜塩素
酸ナトリウム溶液を40ml加えて、20分間穏やかに振盪し
て滅菌を行なった。滅菌後、種子をSDWで1分×3回、液
を交換して洗浄し完全に塩素を除いた。 (4) カルスの誘導 滅菌種子をシャーレ(直径9cm)に移し、滅菌したピン
セットにて1粒ずつN6CI培地(N6 callus induction)[N6
salts and vitamins(Sci. Sinica 18: 659-668, 197
5),30g/l sucrose, 2mg 2,4D, 0.3g/l casamino acid,
2.8g/l proline,2g/l Gellum Gum (関東化学), pH5.8]
に4種子/シャーレ(直径5cm)ずつ置床し、サージカ
ル テープ(Micropore Surgical Tape,3M社、カタログN
o.1530-0)でシールして、26℃明所にて3週間培養した。 (5) カルスの前培養 2週間培養した完熟種子の胚盤由来カルス以外の部分を
ピンセットで除去し、カルスのみを新しいN6 callus in
duction培地に4種子/シャーレ(直径5cm)で置床しサー
ジカルテープでシールして、26℃明所で3日間前培養し
た。 (6) アグロバクテリウムの培養 アグロバクテリウムの50%グリセロールストック(-80
℃)をミクロスパーテルでかき取り(山盛り1杯ぐら
い)、AB固形培地(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 71: 3
672-3676, 1974)[3g/l K2HPO4, 1g/l NaH2SO4, 1g/l N
H4Cl, 0.3g/l MgSO4・7H2O, 0.15 KCl, 0.01g/l CaCl2,
2.5mg/l FeSO4,・7H2O, 5g/l glucose, 15g/l agar, 5
0mg/l Kanamycin (明治製菓), 50mg/l HygromycinB (Bo
ehringer Mannheim), 15g/l Bacto Agar (DIFCO) pH7.
2]上に先のミクロスパーテルでまんべんなく塗布した。
培地全体に菌体を広げてサージカルテープでシールし、
26℃暗所で3日間培養した(カルスの前培養と平行して
行なった)。 (7) アグロバクテリウムの感染・共存培養 (7)-1:アグロバクテリウム感染溶液の調製 AB培地上のアグロバクテリウムを薬さじで約0.8×2.5cm
2(シャーレの底に裏から黒インクでマークするとよ
い)かき取り、アグロバクテリウム懸濁培地(AAsuspen
sion)[AA salts and amino acids(Plant Sci. 41: 179
-183, 1985), B5vitamins(Exp. Cell Res. 50: 151-15
8, 1968), 20g/l sucrose, 2mg/l 2,4D,0.2mg/l kineti
n, 10mg/l Acetosyringone, pH5.8]30mlに懸濁しよく撹
拌した後(液体が白濁する)、シャーレ(直径9cm)に全
量移した。 (7)-2:感染 前培養した4シャーレ(16種子分)のカルスを、30μm
のナイロンメッシュのついたガラスの筒(直径3cm、高
さ6cm)に入れ、感染溶液中に浸し1.5分間軽く振盪し
た。浸漬後、滅菌したペーパータオル(キムワイプ)上
に2分間筒ごと乗せて余分な水分を除去し、滅菌濾紙を
敷いたN6共存培養培地(N6 co-culture)[N6 salts and
vitamins, 30g/l sucrose, 10g/l glucose, 2mg/l 2,4
D, 1%(w/v)glucose, 10mg/l Acetosyringone, 2g/l Gel
lum Gum (関東化学), pH5.2]に16種子分のカルスを置床
し、サージカルテープでシールし、26℃暗所で3日間共
存培養した。 (8) アグロバクテリウムの除去 除菌溶液[500mg/l Carbenicillin (Pfizer) in SDW]
を、30mlずつ50mlのファルコンチューブに分注した。そ
の中に、アグロバクテリウムを感染させたカルスを1シ
ャーレ(16種子)すべて移した。しっかりと蓋をしてサ
ージカルテープ(2cm幅)でシールし、振とう培養機に
真横に設置し、5分間振盪洗浄した。液が白く濁ったら
洗浄液を代えて、この操作を5回程繰り返した。滅菌キ
ムワイプ上で、2分間余分な水分の除去を行なった。こ
の時点で洗浄液の白濁はほとんど確認されないが、もし
目視できる程度に菌が確認されたら(細かい塵のような
もの、未使用の洗浄液と比較するとよい)さらに除菌を
繰り返した。 (9) 選抜 選抜は、形質転換体の選抜の為のハイグロマイシンと、
除菌のためのカルベニシリンを含む2種類の培地を用い
て行なった。
【0021】先ず、除菌したカルスをピンセット(新し
く滅菌したもの)で、500mg/lの濃度でカルベニシリン
を含むN6選抜培地(N6 selection)[50mg/l HygromycinB
in N6CI]に9種子/シャーレ(直径9cm)で置床し(このと
き細かいカルスも残さずに置床した)、サージカルテー
プでシールし、26℃明所で2週間培養した。培地は1週
間ごとに新しく更新した。
【0022】2週間後、カルスの増殖の是非に関わらず
全てのカルスを、250mg/lの濃度でカルベニシリンを含
むN6選抜培地(N6 selection) [50μg/ml HygromycinB i
n N6CI]に置床し、同様にサージカルテープでシール
し、26℃明所で培養を継続した。1週間ごとに培地を更
新した。 (10) 再分化 (10)-1:地上部 選抜培地上で増殖してきたカルスのみをMS再分化培地
(MS regenaration)[MSsalts and vitamins (Physiol.
Plant. 15: 473-492, 1962), 30g/l sucrose,30g/l so
lbitol, 2g/l casamino acid, 1mg/l NAA(Wako), 2g/l
BAP (Wako), 50μg/ml HygromycinB, 250mg/l Carbeni
cillin 4g/l Gellum Gum, pH5.8 ]に置床し(1カルス/
シャーレ)、サージカルテープでシールし、26℃明所で
再分化を行なった。これより、1つの細胞から増殖して
きたと見られるカルス群を1系統と数え、各系統のカル
スが混合しないように1シャーレには1カルスを置く事
とした。1週間ごとに培地を更新し、緑化のみられてき
た部分は、なるべく培地に接触するように置床しなおし
た。なお、MS培地の salt stock solutionはムラシゲ・
スクーグ培地用混合塩類(和光)1袋を500mlの蒸留水に
溶解し、2×stock solutionとした。 (10)-2:地下部 再分化幼植物が3〜5cmになったら、そのシャーレ上の再
分化幼植物の一群を地上部と根が切れないように注意し
ながら2本のピンセットで分割し、MS hormonefree培地
[MS salts and vitamins, 30g/l sucrose, 50mg/l Hygr
omycinB, 0.8%Agar (植物組織培養用:Wako), pH 5.8]20
mlを分注した植物培養用の試験管に移植した。蓋を閉め
26℃明所で再分化を行なった。培地の水分が枯れない用
に適時水を補充した。培地上1cm程度を水で満たした。
水が枯れる頃にはしっかりした植物体になっており、培
地への水の補充は無菌状態では行わなかった。各系統3
〜7個体を移植した。但し、1系統は1つのカルス由来の
個体群とした。 (11) 馴化 再分化個体の地上部が5cm以上に成長し、根も培地上に
しっかりと伸びたのを確認できた後、温室内への馴化を
段階に分けて行なった。まず、フタを開け植物培養用試
験管中の培地が枯れないように水で満たし、保護ビニー
ルをかけて、適当な大きさになるまで7〜10日間馴化を
行った。馴化はP1レベルの温室(MCB200:日本医科器械
製作所)内で行ない、環境条件は明期14時間(AM5:00〜
PM7:00)26℃、暗期10時間23℃とした。 (12) 水耕栽培 馴化を終えた再分化個体は、P1温室内で水耕栽培を行っ
た。水耕栽培の最初の1週間は根が発達するまで保護ビ
ニールをかけて行なった。水耕液(Plant Physiol. 73:
1002-1007, 1983)は、水耕栽培を開始した日を1日目
とし、1-14日目、15-28日目、29-42日目、43日目以降と
4つの段階に分けて、2週間ごとに、下記の組成の1/4、
2/1、3/4、4/4、の強度で水耕液を調整して用いた。ま
た、随時水耕液の補充を行い、組成の変化を調製するた
め1週間ごとに水耕液全量を交換した。43日目以降は強
度4/4のものを随時補充した。特に登熟初期は水耕液の
減少が激しいので、収穫を行なうまで頻繁に水耕液を補
充した。なお、水耕液(4/4)の組成は表1に示したと
おりである。1N HClにて、pH5.2に調製した市水を使用
した 。
【0023】
【表1】
【0024】実施例3 実施例1で作出した形質転換イネ(当代)について、抗
NADA-GOGAT抗体(Plant Physiol. 98: 1317-1322, 199
2)を用いた抗体法によってNADA-GOGAT蛋白質発現量を
調べた。
【0025】結果は表2に示したとおりであり、形質転
換イネ(センス)は、野生型カラカスおよび対象(NADA
-GOGAT遺伝子を保有しないpBBI101Hmを導入したイネ)
と比較して、NADA-GOGAT蛋白質の発現量が約45%増加し
た。また、比較としてフェレドキシン依存型GOGATの発
現量を抗体法により測定したが、表3に示したようにそ
の発現量には有意な差は認められなかった。
【0026】以上の結果から、実施例2で得られた形質
転換イネが、高いNADA-GOGAT活性を有することが確認さ
れた。
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】実施例4 実施例2の形質転換イネを、実施例2(12)と同様にして
120日間栽培し、穂数、一穂当たりの粒数、千粒重、主
幹の穂重量、草丈をそれぞれ計測した。
【0030】結果は表4に示したとおりであり、この発
明の形質転換イネは、野生型および対象に比較して、穎
果の千粒重と主幹の穂重量(収量)が約30%増加した。
この結果から、この発明の形質転換イネからは高い収量
が得られることが確認された。
【0031】
【表4】
【0032】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この出願の
発明によって、日本型イネのNADA-GOGAT遺伝子を導入し
た形質転換インド型イネが提供される。この形質転換イ
ネは、野生型インド型イネに比較して高いNADA-GOGAT活
性を有することによって効率的に窒素転流を行うことが
でき、それによって高い米収量を実現するコトが可能で
ある。この形質転換イネは食料の増産や、新しいイネ品
種の作出に大きく貢献する。
【図面の簡単な説明】
【図1】形質転換のための組換えベクターpBINGT10の構
成を示した模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2B030 AA02 AB02 AD08 CA06 CA17 CA19 CB02 CD03 CD07 CD10 CD13 CD17 CD21 4B024 AA08 BA07 BA79 CA04 DA01 DA05 EA04 FA02 GA11 GA17 GA19 GA27 4B065 AA11X AA88X AA88Y AB01 AC14 BA02 BA25 BC31 BC46 BD50 CA27 CA53

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 日本型イネのNADAグルタミン酸合成酵素
    (NADA-GOGAT)をコードするポリヌクレオチドが導入さ
    れたインド型イネであって、高いNADA-GOGAT活性を有す
    ることを特徴とする形質転換イネまたはその組織。
  2. 【請求項2】 ポリヌクレオチドが、NADA-GOGAT遺伝子
    のプロモーター領域を構成するポリヌクレオチドと、NA
    DA-GOGAT cDNAとの融合ポリヌクレオチドである請求項
    1の形質転換イネまたはその組織。
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WO2003005809A1 (fr) * 2001-07-09 2003-01-23 Ajinomoto Co.,Inc. Procede permettant d'augmenter la teneur d'une plante en acide glutamique et plantes ayant une teneur elevee en acide glutamique
JP2010046010A (ja) * 2008-08-21 2010-03-04 National Agriculture & Food Research Organization イネ属の植物を形質転換する方法

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