JP2002270158A - 電 池 - Google Patents

電 池

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JP2002270158A
JP2002270158A JP2001067349A JP2001067349A JP2002270158A JP 2002270158 A JP2002270158 A JP 2002270158A JP 2001067349 A JP2001067349 A JP 2001067349A JP 2001067349 A JP2001067349 A JP 2001067349A JP 2002270158 A JP2002270158 A JP 2002270158A
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lithium
battery
metal
capacity
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JP2001067349A
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Goro Shibamoto
悟郎 柴本
Shigeru Fujita
茂 藤田
Momoe Adachi
百恵 足立
Hiroyuki Akashi
寛之 明石
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Abstract

(57)【要約】 【課題】 負極の高容量化を図ることにより、容量特性
を向上させることができる電池を提供する。 【解決手段】 帯状の正極21と負極22とがセパレー
タ23を介して巻回された巻回電極体20を備える。負
極22は、リチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料とし
て、炭素材料またはリチウムと合金あるいは化合物を形
成可能な金属などを含んでいる。負極22には充電の途
中においてリチウム金属が析出するようになっており、
負極22の容量はリチウムの吸蔵・離脱による容量成分
とリチウム金属の析出・溶解による容量成分との和によ
り表される。つまり、完全充電状態の負極22について
電解液を除去した状態で示差走査熱量測定を行うと、リ
チウム金属の融解に起因する吸熱ピークが得られる。こ
れにより、負極22の容量を高くすることができ、電池
の容量特性が改善される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、正極および負極と
共に電解質を備えた電池係り、特に、負極に軽金属を吸
蔵および離脱することが可能な負極材料を含む電池に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器の小型化、ポータブル化
および高性能化に伴い、ポータブル電源として、二次電
池の小型化および高容量化の要求が高まっている。高容
量を得ることができる二次電池としては、例えば、負極
に炭素材料などのリチウム(Li)を吸蔵および離脱す
ることが可能な材料を用いたリチウムイオン二次電池
や、あるいは負極にリチウム金属を用いたリチウム二次
電池がある。中でも、リチウムイオン二次電池は、高作
動電圧および高エネルギー密度を有することから注目さ
れおり、現在まで、炭素材料よりなる負極の放電容量お
よび充放電効率を改善することにより高容量化がなされ
てきた。また、リチウム二次電池は、リチウム金属の理
論容量が3800Ah/gと大きく、リチウムイオン二
次電池で用いられる炭素材料の10倍以上にも相当する
ことから、リチウムイオン二次電池を上回る高容量を得
られるものと期待され、多くの研究者等により実用化に
向けて研究開発がなされてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、リチウ
ムイオン二次電池では、負極に用いる炭素材料の理論容
量が372mAh/gであり、これ以上に容量を向上さ
せるには、新たな技術開発が必要であるという問題があ
った。一方、リチウム二次電池は、クーロン効率が悪
い、あるいはデントライト析出による正負極間のショー
ト等の問題があり、未だ実用化には至っていない。しか
も、リチウム二次電池では、実際には負極に理論負極容
量の8倍程度のリチウム量が必要となり、さほど高容量
化が図れないという問題もあった。
【0004】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
ので、その目的は、負極の高容量化を図ることにより、
容量特性を改善することができる電池を提供することに
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明による電池は、正
極および負極と共に電解質を備えたものであって、負極
は、軽金属を吸蔵および離脱することが可能な負極材料
を含むと共に、完全充電状態において電解質を除去した
状態で示差走査熱量測定を行うと、軽金属の融解に起因
する吸熱ピークが得られるものである。
【0006】本発明による電池では、完全充電状態の負
極について電解質を除去した状態で示差走査熱量測定を
行うと、軽金属の融解に起因する吸熱ピークが得られる
ように構成されており、これにより高容量化が図られ
る。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。
【0008】(第1の実施の形態)図1は本発明の第1
の実施の形態に係る二次電池の断面構造を表すものであ
る。この二次電池は、いわゆるジェリーロール型といわ
れるものであり、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部
に、帯状の正極21と負極22とがセパレータ23を介
して巻回された巻回電極体20を有している。電池缶1
1は、例えばニッケルのめっきがされた鉄により構成さ
れており、一端部が閉鎖され他端部が開放されている。
電池缶11の内部には、巻回電極体20を挟むように巻
回周面に対して垂直に一対の絶縁板12,13がそれぞ
れ配置されている。
【0009】電池缶11の開放端部には、電池蓋14
と、この電池蓋14の内側に設けられた安全弁機構15
および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficie
nt;PTC素子)16とが、ガスケット17を介してか
しめられることにより取り付けられており、電池缶11
の内部は密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池
缶11と同様の材料により構成されている。安全弁機構
15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的
に接続されており、内部短絡あるいは外部からの加熱な
どにより電池の内圧が一定以上となった場合にディスク
板15aが反転して電池蓋14と巻回電極体20との電
気的接続を切断するようになっている。熱感抵抗素子1
6は、温度が上昇すると抵抗値の増大により電流を制限
し、大電流による異常な発熱を防止するものであり、例
えば、チタン酸バリウム系半導体セラミックスにより構
成されている。ガスケット17は、例えば、絶縁材料に
より構成されており、表面にはアスファルトが塗布され
ている。
【0010】巻回電極体20は、例えば、センターピン
24を中心に巻回されている。巻回電極体20の正極2
1にはアルミニウムなどよりなる正極リード25が接続
されており、負極22にはニッケルなどよりなる負極リ
ード26が接続されている。正極リード25は安全弁機
構15に溶接されることにより電池蓋14と電気的に接
続されており、負極リード26は電池缶11に溶接され
電気的に接続されている。
【0011】図2は図1に示した巻回電極体20の一部
を拡大して表すものである。正極21は、例えば、対向
する一対の面を有する正極集電体21aの両面に正極合
剤層21bが設けられた構造を有している。なお、図示
はしないが、正極集電体21aの片面のみに正極合剤層
21bを設けるようにしてもよい。正極集電体21a
は、例えば、厚みが5μm〜50μm程度であり、アル
ミニウム箔,ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金
属箔により構成されている。正極合剤層21bは、例え
ば、厚みが80μm〜250μmであり、軽金属である
リチウムを吸蔵および離脱することが可能な正極材料を
含んで構成されている。なお、正極合剤層21bの厚み
は、正極合剤層21bが正極集電体21aの両面に設け
られている場合には、その合計の厚みである。
【0012】リチウムを吸蔵および離脱することが可能
な正極材料としては、例えば、リチウム酸化物,リチウ
ム硫化物あるいはリチウムを含む層間化合物などのリチ
ウム含有化合物が適当であり、これらの2種以上を混合
して用いてもよい。特に、エネルギー密度を高くするに
は、一般式Lix MO2 で表されるリチウム複合酸化物
あるいはリチウムを含んだ層間化合物が好ましい。な
お、Mは1種類以上の遷移金属が好ましく、具体的に
は、コバルト(Co),ニッケル(Ni),マンガン
(Mn),鉄(Fe),アルミニウム(Al),バナジ
ウム(V)およびチタン(Ti)のうちの少なくとも1
種が好ましい。xは、電池の充放電状態によって異な
り、通常、0.05≦x≦1.10の範囲内の値であ
る。また、他にも、スピネル型結晶構造を有するLiM
2 4 、あるいはオリビン型結晶構造を有するLiF
ePO4 なども高いエネルギー密度を得ることができる
ので好ましい。
【0013】なお、このような正極材料は、例えば、リ
チウムの炭酸塩,硝酸塩,酸化物あるいは水酸化物と、
遷移金属の炭酸塩,硝酸塩,酸化物あるいは水酸化物と
を所望の組成になるように混合し、粉砕した後、酸素雰
囲気中において600℃〜1000℃の範囲内の温度で
焼成することにより調製される。
【0014】正極合剤層21bは、また、例えば導電剤
を含んでおり、必要に応じて更に結着剤を含んでいても
よい。導電剤としては、例えば、黒鉛,カーボンブラッ
クあるいはケッチェンブラックなどの炭素材料があげら
れ、そのうちの1種または2種以上が混合して用いられ
る。また、炭素材料の他にも、導電性を有する材料であ
れば金属材料あるいは導電性高分子材料などを用いるよ
うにしてもよい。結着剤としては、例えば、スチレンブ
タジエン系ゴム,フッ素系ゴムあるいはエチレンプロピ
レンジエンゴムなどの合成ゴム、またはポリビニリデン
フルオロライドなどの高分子材料が挙げられ、そのうち
の1種または2種以上を混合して用いられる。例えば、
図1に示したように正極21および負極22が巻回され
ている場合には、結着剤として柔軟性に富むスチレンブ
タジエン系ゴムあるいはフッ素系ゴムなどを用いること
が好ましい。
【0015】負極22は、例えば、対向する一対の面を
有する負極集電体22aの両面に負極合剤層22bが設
けられた構造を有している。なお、図示はしないが、負
極集電体22aの片面のみに負極合剤層22bを設ける
ようにしてもよい。負極集電体22aは、良好な電気化
学的安定性、電気伝導性および機械的強度を有する銅
箔,ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金属箔によ
り構成されている。特に、銅箔は高い電気伝導性を有す
るので最も好ましい。負極集電体22aの厚みは、例え
ば、6μm〜40μm程度であることが好ましい。6μ
mよりも薄いと機械的強度が低下し、製造工程において
負極集電体22aが断裂しやすく、生産効率が低下して
しまうからであり、40μmよりも厚いと電池内におけ
る負極集電体22aの体積比が必要以上に大きくなり、
エネルギー密度を高くすることが難しくなるからであ
る。
【0016】負極合剤層22bは、軽金属であるリチウ
ムを吸蔵および離脱することが可能な負極材料のいずれ
か1種または2種以上を含んで構成されており、必要に
応じて、例えば正極合剤層21bと同様の導電剤あるい
は結着剤を含んでいてもよい。負極合剤層22bの厚み
は、例えば、80μm〜250μmである。この厚み
は、負極合剤層22bが負極集電体22aの両面に設け
られている場合には、その合計の厚みである。
【0017】なお、本明細書において軽金属の吸蔵・離
脱というのは、軽金属イオンがそのイオン性を失うこと
なく電気化学的に吸蔵・離脱されることを言う。これ
は、吸蔵された軽金属が完全なイオン状態で存在する場
合のみならず、完全なイオン状態とは言えない状態で存
在する場合も含む。これらに該当する場合としては、例
えば、黒鉛に対する軽金属イオンの電気化学的なインタ
カレーション反応による吸蔵が挙げられる。また、金属
間化合物あるいは合金の形成による軽金属の吸蔵も挙げ
ることができる。
【0018】リチウムを吸蔵および離脱することが可能
な負極材料としては、例えば、黒鉛,難黒鉛化性炭素あ
るいは易黒鉛化性炭素などの炭素材料が挙げられる。こ
れら炭素材料は、充放電時に生じる結晶構造の変化が非
常に少なく、高い充放電容量を得ることができると共
に、良好な充放電サイクル特性を得ることができるので
好ましい。特に黒鉛は、電気化学当量が大きく、高いエ
ネルギー密度を得ることができ好ましい。
【0019】黒鉛としては、例えば、真密度が2.10
g/cm3 以上のものが好ましく、2.18g/cm3
以上のものであればより好ましい。なお、このような真
密度を得るには、(002)面のC軸結晶子厚みが1
4.0nm以上であることが必要である。また、(00
2)面の面間隔は0.340nm未満であることが好ま
しく、0.335nm以上0.337nm以下の範囲内
であればより好ましい。
【0020】黒鉛は、天然黒鉛でも人造黒鉛でもよい。
人造黒鉛であれば、例えば、有機材料を炭化して高温熱
処理を行い、粉砕・分級することにより得られる。高温
熱処理は、例えば、必要に応じて窒素(N2 )などの不
活性ガス気流中において300℃〜700℃で炭化し、
毎分1℃〜100℃の速度で900℃〜1500℃まで
昇温してこの温度を0時間〜30時間程度保持し仮焼す
ると共に、2000℃以上、好ましくは2500℃以上
に加熱し、この温度を適宜の時間保持することにより行
う。
【0021】出発原料となる有機材料としては、石炭あ
るいはピッチを用いることができる。ピッチには、例え
ば、コールタール,エチレンボトム油あるいは原油など
を高温で熱分解することにより得られるタール類、アス
ファルトなどを蒸留(真空蒸留,常圧蒸留あるいはスチ
ーム蒸留),熱重縮合,抽出,化学重縮合することによ
り得られるもの、木材還流時に生成されるもの、ポリ塩
化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチ
ラートまたは3,5−ジメチルフェノール樹脂がある。
これらの石炭あるいはピッチは、炭化の途中最高400
℃程度において液体として存在し、その温度で保持され
ることで芳香環同士が縮合・多環化し、積層配向した状
態となり、そののち約500℃以上で固体の炭素前駆
体、すなわちセミコークスとなる(液相炭素化過程)。
【0022】有機材料としては、また、ナフタレン,フ
ェナントレン,アントラセン,トリフェニレン,ピレ
ン,ペリレン,ペンタフェン,ペンタセンなどの縮合多
環炭化水素化合物あるいはその誘導体(例えば、上述し
た化合物のカルボン酸,カルボン酸無水物,カルボン酸
イミド)、またはそれらの混合物を用いることができ
る。更に、アセナフチレン,インドール,イソインドー
ル,キノリン,イソキノリン,キノキサリン,フタラジ
ン,カルバゾール,アクリジン,フェナジン,フェナン
トリジンなどの縮合複素環化合物あるいはその誘導体、
またはそれらの混合物を用いることもできる。
【0023】なお、粉砕は、炭化,仮焼の前後、あるい
は黒鉛化前の昇温過程の間のいずれで行ってもよい。こ
れらの場合には、最終的に粉末状態で黒鉛化のための熱
処理が行われる。但し、嵩密度および破壊強度の高い黒
鉛粉末を得るには、原料を成型したのち熱処理を行い、
得られた黒鉛化成型体を粉砕・分級することが好まし
い。
【0024】例えば、黒鉛化成型体を作製する場合に
は、フィラーとなるコークスと、成型剤あるいは焼結剤
となるバインダーピッチとを混合して成型したのち、こ
の成型体を1000℃以下の低温で熱処理する焼成工程
と、焼成体に溶融させたバインダーピッチを含浸させる
ピッチ含浸工程とを数回繰り返してから、高温で熱処理
する。含浸させたバインダーピッチは、以上の熱処理過
程で炭化し、黒鉛化される。ちなみに、この場合には、
フィラー(コークス)とバインダーピッチとを原料にし
ているので多結晶体として黒鉛化し、また原料に含まれ
る硫黄や窒素が熱処理時にガスとなって発生することか
ら、その通り路に微小な空孔が形成される。よって、こ
の空孔により、リチウムの吸蔵・離脱反応が進行し易し
くなると共に、工業的に処理効率が高いという利点もあ
る。なお、成型体の原料としては、それ自身に成型性、
焼結性を有するフィラーを用いてもよい。この場合に
は、バインダーピッチの使用は不要である。
【0025】難黒鉛化性炭素としては、(002)面の
面間隔が0.37nm以上、真密度が1.70g/cm
3 未満であると共に、空気中での示差熱分析(differen
tialthermal analysis ;DTA)において700℃以
上に発熱ピークを示さないものが好ましい。
【0026】このような難黒鉛化性炭素は、例えば、有
機材料を1200℃程度で熱処理し、粉砕・分級するこ
とにより得られる。熱処理は、例えば、必要に応じて3
00℃〜700℃で炭化した(固相炭素化過程)のち、
毎分1℃〜100℃の速度で900℃〜1300℃まで
昇温し、この温度を0〜30時間程度保持することによ
り行う。粉砕は、炭化の前後、あるいは昇温過程の間で
行ってもよい。
【0027】出発原料となる有機材料としては、例え
ば、フルフリルアルコールあるいはフルフラールの重合
体,共重合体、またはこれらの高分子と他の樹脂との共
重合体であるフラン樹脂を用いることができる。また、
フェノール樹脂,アクリル樹脂,ハロゲン化ビニル樹
脂,ポリイミド樹脂,ポリアミドイミド樹脂,ポリアミ
ド樹脂,ポリアセチレンあるいはポリパラフェニレンな
どの共役系樹脂、セルロースあるいはその誘導体、コー
ヒー豆類、竹類、キトサンを含む甲殻類、バクテリアを
利用したバイオセルロース類を用いることもできる。更
に、水素原子(H)と炭素原子(C)との原子数比H/
Cが例えば0.6〜0.8である石油ピッチに酸素
(O)を含む官能基を導入(いわゆる酸素架橋)させた
化合物を用いることもできる。
【0028】この化合物における酸素の含有率は3%以
上であることが好ましく、5%以上であればより好まし
い(特開平3−252053号公報参照)。酸素の含有
率は炭素材料の結晶構造に影響を与え、これ以上の含有
率において難黒鉛化性炭素の物性を高めることができ、
負極22の容量を向上させることができるからである。
ちなみに、石油ピッチは、例えば、コールタール,エチ
レンボトム油あるいは原油などを高温で熱分解すること
により得られるタール類、またはアスファルトなどを、
蒸留(真空蒸留,常圧蒸留あるいはスチーム蒸留),熱
重縮合,抽出あるいは化学重縮合することにより得られ
る。また、酸化架橋形成方法としては、例えば、硝酸,
硫酸,次亜塩素酸あるいはこれらの混酸などの水溶液と
石油ピッチとを反応させる湿式法、空気あるいは酸素な
どの酸化性ガスと石油ピッチとを反応させる乾式法、ま
たは硫黄,硝酸アンモニウム,過硫酸アンモニア,塩化
第二鉄などの固体試薬と石油ピッチとを反応させる方法
を用いることができる。
【0029】なお、出発原料となる有機材料はこれらに
限定されず、酸素架橋処理などにより固相炭化過程を経
て難黒鉛化性炭素となり得る有機材料であれば、他の有
機材料でもよい。
【0030】難黒鉛化性炭素としては、上述した有機材
料を出発原料として製造されるものの他、特開平3−1
37010号公報に記載されているリン(P)と酸素と
炭素とを主成分とする化合物も、上述した物性パラメー
タを示すので好ましい。
【0031】リチウムを吸蔵および離脱することが可能
な負極材料としては、また、リチウムと合金あるいは化
合物を形成可能な金属あるいは半導体、またはこれらの
合金あるいは化合物が挙げられる。これらは高いエネル
ギー密度を得ることができるので好ましく、特に、炭素
材料と共に用いるようにすれば、高エネルギー密度を得
ることができると共に、優れたサイクル特性を得ること
ができるのでより好ましい。また、これらの中には導電
性が十分に高くないものも有るので、そのような場合に
は、導電性を向上させるためにも炭素材料と共に用いる
ことが好ましい。混合する炭素材料としては、リチウム
を吸蔵および離脱することが可能なものであれば好まし
いが、単に導電剤として機能するものでもよい。
【0032】リチウムと合金あるいは化合物を形成可能
な金属あるいは半導体としては、例えば、スズ(S
n)、鉛(Pb)、アルミニウム(Al)、インジウム
(In)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)、アンチモン
(Sb)、ビスマス(Bi)、ガリウム(Ga)、ゲル
マニウム(Ge)、ヒ素(As)、銀(Ag)、ハフニ
ウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)およびイットリウ
ム(Y)が挙げられる。これらの合金あるいは化合物と
しては、例えば、化学式Mas Mbt Liu 、あるいは
化学式Map Mcq Mdr で表されるものが挙げられ
る。これら化学式において、Maはリチウムと合金ある
いは化合物を形成可能な金属元素および半導体元素のう
ちの少なくとも1種を表し、MbはリチウムおよびMa
以外の金属元素および半導体元素のうち少なくとも1種
を表し、Mcは非金属元素の少なくとも1種を表し、M
dはMa以外の金属元素および半導体元素のうち少なく
とも1種を表す。また、s、t、u、p、qおよびrの
値はそれぞれs>0、t≧0、u≧0、p>0、q>
0、r≧0である。
【0033】中でも、4B族の金属元素あるいは半導体
元素、またはそれらの合金あるいは化合物が好ましく、
特に好ましいのはケイ素あるいはスズ、またはそれらの
合金あるいは化合物である。これらは結晶質のものでも
アモルファスのものでもよい。
【0034】このような合金あるいは化合物について具
体的に例を挙げれば、LiAl、AlSb、CuMgS
b、SiB4 、SiB6 、Mg2 Si、Mg2 Sn、N
2Si、TiSi2 、MoSi2 、CoSi2 、Ni
Si2 、CaSi2 、CrSi2 、Cu5 Si、FeS
2 、MnSi2 、NbSi2 、TaSi2 、VS
2 、WSi2 、ZnSi2 、SiC、Si3 4 、S
2 2 O、SiOv (0<v≦2)、SnOw (0<
w≦2)、SnSiO3 、LiSiOあるいはLiSn
Oなどがある。
【0035】リチウムを吸蔵および離脱することが可能
な負極材料としては、更に、他の金属化合物あるいは高
分子材料が挙げられる。他の金属化合物としては、酸化
鉄,酸化ルテニウムあるいは酸化モリブデンなどの酸化
物や、あるいはLiN3 などが挙げられ、高分子材料と
してはポリアセチレン,ポリアニリンあるいはポリピロ
ールなどが挙げられる。
【0036】また、この二次電池では、充電の過程にお
いて、開回路電圧(すなわち電池電圧)が過充電電圧よ
りも低い時点で負極22にリチウム金属が析出し始める
ようになっている。つまり、開回路電圧が過充電電圧よ
りも低い状態において負極22にリチウム金属が析出し
ており、負極22の容量は、リチウムの吸蔵・離脱によ
る容量成分と、リチウム金属の析出・溶解による容量成
分との和で表される。従って、この二次電池では、リチ
ウムを吸蔵・離脱可能な負極材料とリチウム金属との両
方が負極活物質として機能し、リチウムを吸蔵・離脱可
能な負極材料はリチウム金属が析出する際の基材となっ
ている。
【0037】なお、過充電電圧というのは、電池が過充
電状態になった時の開回路電圧を指し、例えば、日本蓄
電池工業会(電池工業会)の定めた指針の一つである
「リチウム二次電池安全性評価基準ガイドライン」(S
BA G1101)に記載され定義される「完全充電」
された電池の開回路電圧よりも高い電圧を指す。また換
言すれば、各電池の公称容量を求める際に用いた充電方
法、標準充電方法、もしくは推奨充電方法を用いて充電
した後の開回路電圧よりも高い電圧を指す。具体的に
は、この二次電池では、例えば開回路電圧が4.2Vの
時に完全充電となり、開回路電圧が0V以上4.2V以
下の範囲内の一部においてリチウムを吸蔵・離脱可能な
負極材料の表面にリチウム金属が析出している。
【0038】よって、完全充電状態において電解質を完
全に除去した状態で負極22(具体的にはリチウムを吸
蔵・離脱可能な負極材料)について示差走査熱量測定
(Differential Scanning Calorimetry ;DSC)を例
えば500℃まで行うと、リチウム金属の融解に起因す
る吸熱ピークが得られる。これに対して、完全放電状態
においては、リチウム金属の融解に起因する吸熱ピーク
は得られない。なお、完全放電というのは、負極22か
ら正極21への電極反応種(本実施の形態ではリチウム
イオン)の供給がなくなった場合に相当する。例えば、
本実施の形態における二次電池の場合には、閉回路電圧
が2.75Vに達した時点で「完全放電された」と見な
すことができる。
【0039】これにより、この二次電池では、高いエネ
ルギー密度を得ることができると共に、サイクル特性お
よび急速充電特性を向上させることができるようになっ
ている。これは、負極22にリチウム金属を析出させる
という点では負極にリチウム金属あるいはリチウム合金
を用いた従来のリチウム二次電池と同様であるが、リチ
ウムを吸蔵・離脱可能な負極材料にリチウム金属を析出
させるようにしたことにより、次のような利点が生じる
ためであると考えられる。
【0040】第1に、従来のリチウム二次電池ではリチ
ウム金属を均一に析出させることが難しく、それがサイ
クル特性を劣化させる原因となっていたが、リチウムを
吸蔵・離脱可能な負極材料は一般的に表面積が大きいの
で、この二次電池ではリチウム金属を均一に析出させる
ことができることである。第2に、従来のリチウム二次
電池ではリチウム金属の析出・溶出に伴う体積変化が大
きく、それもサイクル特性を劣化させる原因となってい
たが、この二次電池ではリチウムを吸蔵・離脱可能な負
極材料の粒子間の隙間にもリチウム金属が析出するので
体積変化が少ないことである。第3に、従来のリチウム
二次電池ではリチウム金属の析出・溶解量が多ければ多
いほど上記の問題も大きくなるが、この二次電池ではリ
チウムを吸蔵・離脱可能な負極材料によるリチウムの吸
蔵・離脱も充放電容量に寄与するので、電池容量が大き
いわりにはリチウム金属の析出・溶解量が小さいことで
ある。第4に、従来のリチウム二次電池では急速充電を
行うとリチウム金属がより不均一に析出してしまうので
サイクル特性が更に劣化してしまうが、この二次電池で
は充電初期においてはリチウムを吸蔵・離脱可能な負極
材料にリチウムが吸蔵されるので急速充電が可能となる
ことである。
【0041】これらの利点をより効果的に得るために
は、例えば、開回路電圧が過充電電圧になる前の最大電
圧時において負極22に析出するリチウム金属の最大析
出容量は、リチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料の充電
容量能力の0.05倍以上3.0倍以下であることが好
ましい。リチウム金属の析出量が多過ぎると従来のリチ
ウム二次電池と同様の問題が生じてしまい、少な過ぎる
と充放電容量を十分に大きくすることができないからで
ある。また、例えば、リチウムを吸蔵・離脱可能な負極
材料の放電容量能力は、150mAh/g以上であるこ
とが好ましい。リチウムの吸蔵・離脱能力が大きいほど
リチウム金属の析出量は相対的に少なくなるからであ
る。なお、負極材料の充電容量能力は、例えば、リチウ
ム金属を対極として、この負極材料を負極活物質とした
負極について0Vまで定電流・定電圧法で充電した時の
電気量から求められる。負極材料の放電容量能力は、例
えば、これに引き続き、定電流法で10時間以上かけて
2.5Vまで放電した時の電気量から求められる。
【0042】セパレータ23は、例えば、ポリテトラフ
ルオロエチレン,ポリプロピレンあるいはポリエチレン
などの合成樹脂製の多孔質膜、またはセラミック製の多
孔質膜により構成されており、これら2種以上の多孔質
膜を積層した構造とされていてもよい。中でも、ポリオ
レフィン製の多孔質膜はショート防止効果に優れ、かつ
シャットダウン効果による電池の安全性向上を図ること
ができるので好ましい。特に、ポリエチレンは、100
℃以上160℃以下の範囲内においてシャットダウン効
果を得ることができ、かつ電気化学的安定性にも優れて
いるので、セパレータ23を構成する材料として好まし
い。また、ポリプロピレンも好ましく、他にも化学的安
定性を備えた樹脂であればポリエチレンあるいはポリプ
ロピレンと共重合させたり、またはブレンド化すること
で用いることができる。セパレータ23の厚みは、15
μm〜30μm程度であることが好ましい。15μm未
満では歩留まりが悪く、30μmよりも厚いとエネルギ
ー密度が低下してしまうからである。
【0043】このポリオレフィン製の多孔質膜は、例え
ば、溶融状態のポリオレフィン組成物に溶融状態で液状
の低揮発性溶媒を混練し、均一なポリオレフィン組成物
の高濃度溶液としたのち、これをダイスにより成型し、
冷却してゲル状シートとし、延伸することにより得られ
る。
【0044】低揮発性溶媒としては、例えば、ノナン,
デカン,デカリン,p−キシレン,ウンデカンあるいは
流動パラフィンなどの低揮発性脂肪族または環式の炭化
水素を用いることができる。ポリオレフィン組成物と低
揮発性溶媒との配合割合は、両者の合計を100質量%
として、ポリオレフィン組成物が10質量%以上80質
量%以下、更には15質量%以上70質量%以下である
ことが好ましい。ポリオレフィン組成物が少なすぎる
と、成型時にダイス出口で膨潤あるいはネックインが大
きくなり、シート成形が困難となるからである。一方、
ポリオレフィン組成物が多すぎると、均一な溶液を調製
することが難しいからである。
【0045】ポリオレフィン組成物の高濃度溶液をダイ
スにより成型する際には、シートダイスの場合、ギャッ
プは例えば0.1mm以上5mm以下とすることが好ま
しい。また、押し出し温度は140℃以上250℃以
下、押し出し速度は2cm/分以上30cm/分以下と
することが好ましい。
【0046】冷却は、少なくともゲル化温度以下まで行
う。冷却方法としては、冷風,冷却水,その他の冷却媒
体に直接接触させる方法、または冷媒で冷却したロール
に接触させる方法などを用いることができる。なお、ダ
イスから押し出したポリオレフィン組成物の高濃度溶液
は、冷却前あるいは冷却中に1以上10以下、好ましく
は1以上5以下の引取比で引き取ってもよい。引取比が
大きすぎると、ネックインが大きくなり、また延伸する
際に破断も起こしやすくなり、好ましくないからであ
る。
【0047】ゲル状シートの延伸は、例えば、このゲル
状シートを加熱し、テンター法、ロール法、圧延法ある
いはこれらを組み合わせた方法により、二軸延伸で行う
ことが好ましい。その際、縦横同時延伸でも、逐次延伸
のいずれでもよいが、特に、同時二次延伸が好ましい。
延伸温度は、ポリオレフィン組成物の融点に10℃を加
えた温度以下、更には結晶分散温度以上融点未満とする
ことが好ましい。延伸温度が高すぎると、樹脂の溶融に
より延伸による効果的な分子鎖配向ができず好ましくな
いからであり、延伸温度が低すぎると、樹脂の軟化が不
十分となり、延伸の際に破膜しやすく、高倍率の延伸が
できないからである。
【0048】なお、ゲル状シートを延伸したのち、延伸
した膜を揮発溶剤で洗浄し、残留する低揮発性溶媒を除
去することが好ましい。洗浄したのちは、延伸した膜を
加熱あるいは送風により乾燥させ、洗浄溶媒を揮発させ
る。洗浄溶剤としては、例えば、ペンタン,ヘキサン,
ヘブタンなどの炭化水素、塩化メチレン,四塩化炭素な
どの塩素系炭化水素、三フッ化エタンなどのフッ化炭
素、またはジエチルエーテル,ジオキサンなどのエーテ
ル類のように易揮発性のものを用いる。洗浄溶剤は用い
た低揮発性溶媒に応じて選択され、単独あるいは混合し
て用いられる。洗浄は、揮発性溶剤に浸漬して抽出する
方法、揮発性溶剤を振り掛ける方法、あるいはこれらを
組み合わせた方法により行うことができる。この洗浄
は、延伸した膜中の残留低揮発性溶媒がポリオレフィン
組成物100質量部に対して1質量部未満となるまで行
う。
【0049】セパレータ23には、液状の電解質である
電解液が含浸されている。この電解液は、液状の溶媒、
例えば有機溶剤などの非水溶媒と、この非水溶媒に溶解
された電解質塩であるリチウム塩とを含んでいる。液状
の非水溶媒というのは、例えば、非水化合物よりなり、
25℃における固有粘度が10.0mPa・s以下のも
のを言う。このような非水溶媒としては、例えば、環状
炭酸エステルあるいは鎖状炭酸エステルにより代表され
る物質の1種または2種以上を混合したものが好まし
い。
【0050】具体的には、エチレンカーボネート、プロ
ピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレン
カーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクト
ン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、
2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラ
ン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、酢酸メチル、
プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、ジメチルカ
ーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカー
ボネート、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポ
ニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロ
ピロニトリル、N,N−ジメチルフォルムアミド、N−
メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、
N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、
ニトロエタン、スルホラン、ジメチルスルフォキシド、
燐酸トリメチルおよびこれらの化合物の水酸基の一部ま
たは全部をフッ素基に置換したものなどが挙げられる。
特に、優れた充放電容量特性および充放電サイクル特性
を実現するためには、エチレンカーボネート、プロピレ
ンカーボネート、ビニレンカーボネート、ジメチルカー
ボネート、エチルメチルカーボネートの少なくとも1種
を用いることが好ましい。
【0051】リチウム塩としては、LiAsF6 、Li
PF6 、LiBF4 、LiClO4、LiB(C
6 5 4 、LiCH3 SO3 、LiCF3 SO3 、L
iN(SO 2 CF3 2 、LiC(SO2 CF3 3
LiAlCl4 、LiSiF6 、LiClおよびLiB
rなどが挙げられ、これらのうちのいずれか1種または
2種以上が混合して用いられる。リチウム塩の含有量
(濃度)は溶媒に溶解することができる程度であれば問
題ないが、好ましくは溶媒に対して0.2mol/dm
3 〜2.0mol/dm3 であり、より好ましくは0.
6mol/dm3 〜1.5mol/dm3 である。リチ
ウム塩の含有量が少なすぎるとイオン伝導度が低くなり
理論容量を得ることができず、多すぎると電解液の粘性
が高くなりリチウムイオンの移動度が低下して理論容量
を得ることができないからである。
【0052】この二次電池は、例えば、次のようにして
製造することができる。
【0053】まず、例えば、リチウムを吸蔵・離脱可能
な正極材料と、導電剤と、結着剤とを混合して正極合剤
を調製し、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドン
などの溶剤に分散してペースト状の正極合剤スラリーと
する。この正極合剤スラリーを正極集電体21aに塗布
し溶剤を乾燥させたのち、ロールプレス機などにより圧
縮成型して正極合剤層21bを形成し、正極21を作製
する。
【0054】次いで、例えば、リチウムを吸蔵・離脱可
能な負極材料と、結着剤とを混合して負極合剤を調製
し、この負極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの
溶剤に分散してペースト状の負極合剤スラリーとする。
この負極合剤スラリーを負極集電体22aに塗布し溶剤
を乾燥させたのち、ロールプレス機などにより圧縮成型
して負極合剤層22bを形成し、負極22を作製する。
【0055】続いて、正極集電体21aに正極リード2
5を溶接などにより取り付けると共に、負極集電体22
aに負極リード26を溶接などにより取り付ける。その
のち、正極21と負極22とをセパレータ23を介して
巻回し、正極リード25の先端部を安全弁機構15に溶
接すると共に、負極リード26の先端部を電池缶11に
溶接して、巻回した正極21および負極22を一対の絶
縁板12,13で挟み電池缶11の内部に収納する。正
極21および負極22を電池缶11の内部に収納したの
ち、電解質を電池缶11の内部に注入し、セパレータ2
3に含浸させる。そののち、電池缶11の開口端部に電
池蓋14,安全弁機構15および熱感抵抗素子16をガ
スケット17を介してかしめることにより固定する。こ
れにより、図1に示した二次電池が形成される。
【0056】この二次電池は次のように作用する。
【0057】この二次電池では、充電を行うと、正極合
剤層21bからリチウムイオンが離脱し、セパレータ2
3に含浸された電解液を介して、まず、負極合剤層22
bに含まれるリチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料に吸
蔵される。更に充電を続けると、開回路電圧が過充電電
圧よりも低い状態において、充電容量がリチウムを吸蔵
・離脱可能な負極材料の充電容量能力を超え、リチウム
を吸蔵・離脱可能な負極材料の表面にリチウム金属が析
出し始める。そののち、充電を終了するまで負極22に
はリチウム金属が析出し続ける。これにより、負極合剤
層22bの外観は、例えばリチウムを吸蔵・離脱可能な
負極材料として炭素材料を用いる場合、黒色から黄金
色、更には白銀色へと変化する。
【0058】次いで、放電を行うと、まず、負極22に
析出したリチウム金属がイオンとなって溶出し、セパレ
ータ23に含浸された電解液を介して、正極合剤層21
bに吸蔵される。更に放電を続けると、負極合剤層22
b中のリチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料に吸蔵され
たリチウムイオンが離脱し、電解液を介して正極合剤層
21bに吸蔵される。
【0059】よって、この二次電池では、充電初期にお
いてリチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料にリチウムを
吸蔵し、開回路電圧が過充電電圧よりも低い充電途中か
らリチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料の表面にリチウ
ム金属が析出するので、従来のいわゆるリチウム二次電
池およびリチウムイオン二次電池の両方の特性が得られ
る。すなわち、高い容量が得られると共に、サイクル特
性および急速充電特性が改善される。
【0060】このように、本実施の形態によれば、負極
22にリチウムを吸蔵および離脱することが可能な負極
材料を含むと共に、負極22について完全充電状態にお
いて電解質を除去した状態で示差走査熱量測定を行う
と、リチウムの融解に起因する吸熱ピークが得られるよ
うにしたので、高い容量を得ることができる、サイクル
特性および急速充電特性も向上させることができる。
【0061】特に、負極22がリチウムを吸蔵および離
脱することが可能な負極材料として、炭素材料、また
は、リチウムと合金あるいは化合物を形成可能な金属、
半導体、これらの合金あるいは化合物を含むようにすれ
ば、負極22の容量をより高くすることができる。ま
た、炭素材料と、リチウムと合金あるいは化合物を形成
可能な金属、半導体、これらの合金、および化合物から
なる群のうちの少なくとも1種とを含むようにすれば、
より高い効果を得ることができる。
【0062】(第2の実施の形態)図3は本発明の第2
の実施の形態に係る二次電池を分解して表すものであ
る。この二次電池は、正極リード31および負極リード
32が取り付けられた巻回電極体30をフィルム状の外
装部材40の内部に封入したものである。正極リード3
1および負極リード32は、電気化学的にも化学的にも
安定でかつ導通がとれる材料、例えばアルミニウム、
銅、あるいはニッケルなどの金属材料により構成されて
おり、薄板状または網目状とされている。
【0063】図4は図3に示した巻回電極体30の断面
構造の一部を拡大して表すものである。巻回電極体30
は、正極33と負極34とが電解質層35およびセパレ
ータ36を介して積層され、巻回されたものである。正
極33,負極34およびセパレータ36の構成は、第1
の実施の形態と同様である。但し、セパレータ36の厚
みは5μm〜15μm程度であることが好ましい。5μ
m未満では歩留まりが悪くなり、15μmよりも厚いと
エネルギー密度が低くなってしまうからである。また、
セパレータ36は必ずしも備えていなくてもよく、その
場合には、電解質層35がショート防止の役割を果た
す。
【0064】電解質層35は、固体状の電解質の1種で
あるゲル状の電解質により構成されている。ゲル状の電
解質は、例えば、マトリックス状の高分子化合物に電解
液が分散あるいは保持されたものであり、組成および高
分子化合物の構造に特に限定はない。電解液(すなわち
液状の溶媒および電解質塩)は、第1の実施の形態と同
様である。高分子化合物としては、液状の溶媒と相溶す
るものが好ましい。具体的には、ポリアクリルニトリ
ル,ポリエチレンオキサイド,ポリフッ化ビニリデン,
ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの
共重合体,スチレンブタジエンゴムおよびポリメタクリ
ル酸メチルなどが挙げられ、これらのうちの1種または
2種以上が混合して用いられる。
【0065】リチウム塩の溶媒に対する含有量は、第1
の実施の形態と同様である。但し、ここで溶媒というの
は、液状の溶媒のみを意味するのではなく、電解質塩を
解離させることができ、イオン伝導性を有するものを広
く含む概念である。よって、高分子化合物にイオン伝導
性を有するものを用いる場合には、その高分子化合物も
溶媒に含まれる。電解質層35の厚みは、5μm〜15
μmであることが好ましい。薄すぎるとショートが起こ
りやすくなり、厚すぎると高負荷特性の劣化および体積
エネルギー密度の低下が起こるからである。
【0066】外装部材40は、図3に示したように、例
えば、矩形状とされた2枚の防湿性多層フィルムを外縁
部において融着あるいは接着剤により密着された構造を
有している。防湿性多層フィルムは、例えば、高分子薄
膜と金属薄膜とが張り合わされたものでる。金属薄膜と
しては、防湿性を有するアルミニウム薄膜を少なくとも
有することが好ましく、高分子薄膜としては、少なくと
も片面に、熱融着性高分子膜を有することが好ましい。
熱融着性高分子膜としては、例えば、ポリエチレンテレ
フタラート(PET)、ナイロン(Nylon )、直鎖状低
密度ポリエチレン(L−LDPE),無延伸ポリプロピ
レン(CPP),高密度ポリエチレン(HDPE)また
はこれらの共重合体により構成されたものが挙げられ
る。
【0067】図5は、外装部材40の一例の断面構造を
表すものである。この外装部材40は、ナイロン膜40
a、アルミニウム膜40b、ポリエチレンテレフタラー
ト膜40cおよび直鎖状低密度ポリプロピレン膜40d
をこの順に張り合わせることにより形成されており、直
鎖状低密度ポリプロピレン膜(L−LDPE膜)40d
が内側となり巻回電極体30と対向するように構成され
ている。
【0068】なお、図3に示したように、正極リード3
1および負極リード32と外装部材40とは、例えば密
着フィルム41を介して、外気の侵入が防止されるよう
に十分に密着している。この密着フィルム41は、正極
リード31および負極リード32に対して密着性を有す
る材料、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポ
リエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレ
フィン樹脂により構成される。
【0069】この二次電池は、例えば、次のようにして
製造することができる。
【0070】まず、第1の実施の形態と同様にして、正
極33および負極34を作製し、正極集電体33aに正
極リード31を取り付け、負極集電体34aに負極リー
ド32を取り付ける。次いで、正極合剤層33bおよび
負極合剤層34bの上に電解質層35を塗布し形成した
のち、例えば、セパレータ36、正極33、セパレータ
36、負極34の順に積層して巻回し、巻回電極体30
を形成する。
【0071】続いて、巻回電極体30を外装部材40の
間に挟み込み、減圧雰囲気中において外装部材40を巻
回電極体30に圧着させると共に、外装部材40の外縁
部同士を熱融着などにより密着させる。なお、正極リー
ド31および負極リード32と外装部材40との間に
は、密着フィルム41を挟み込んで密着させる。これに
より図3に示した二次電池が形成される。
【0072】この二次電池は、第1の実施の形態と同様
に作用し、同様の効果を得ることができる。
【0073】
【実施例】更に、本発明の具体的な実施例について詳細
に説明する。
【0074】(実施例1−1,1−2)実施例1−1,
1−2として、図1および図2に示した二次電池を下記
のようにして作製した。ここでは、図1および図2を参
照し、図1および図2に示した符号を用いて説明する。
【0075】まず、市販の炭酸リチウム(Li2
3 )と炭酸コバルト(CoCO3 )とを、Li2 CO
3 :CoCO3 =1:1のモル比で混合し、空気中にお
いて900℃で5時間焼成して、正極材料としてのリチ
ウム・コバルト複合酸化物(LiCoO2 )を得た。次
いで、このリチウム・コバルト複合酸化物粉末95質量
部と、導電剤としてロザン社製の平均粒径が7μmのK
S−15グラファイト2質量部と、結着剤としてポリフ
ッ化ビニリデン3質量部とを混合して正極合剤を調製し
た。続いて、この正極合剤を溶剤であるN−メチル−2
−ピロリドンに分散して正極合剤ペーストとし、厚み2
0μm、幅58mmの帯状アルミニウム箔よりなる正極
集電体21aの両面に均一に塗布して乾燥させ、ロール
プレス機で圧縮成型して正極合剤層21bを形成し、正
極21を作製した。そののち、正極集電体21aの一端
にアルミニウム製の正極リード25を取り付けた。
【0076】また、負極材料90質量部と結着剤である
ポリフッ化ビニリデン10質量部とを混合して負極合剤
を調整した。その際、リチウムを吸蔵・離脱可能な負極
材料として、実施例1−1では粉砕したピッチコークス
を用い、実施例1−2では粉砕したピッチコークスと、
銅・ケイ素合金(Cu・Si合金)との混合物を用い
た。その混合比は、ピッチコークス7に対して銅・ケイ
素合金2の質量比とし、銅・ケイ素合金には銅50質量
%、ケイ素50質量%のものを用いた。次いで、この負
極合剤を溶媒であるN−メチル−2−ピロリドンに分散
させて負極合剤ペーストとしたのち、厚み10μm、幅
59mmの帯状銅箔よりなる負極集電体22aの両面に
均一に塗布して乾燥させ、ロールプレス機で圧縮成型し
て負極合剤層22bを形成し、負極22を作製した。続
いて、負極集電体22aの一端にニッケル製の負極リー
ド26を取り付けた。
【0077】なお、正極合剤層21bは、市販のリチウ
ムイオン二次電池と同じ厚み、面積密度および体積密度
とし、負極合剤層22bは、厚みを市販のリチウムイオ
ン二次電池より実施例1−1については15%、実施例
1−2については50%薄くし、面積密度および体積密
度は市販リチウムイオン二次電池と同じとした。すなわ
ち、リチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料の量を減ら
し、過充電電圧よりも低い状態において負極22にリチ
ウム金属が析出するようにした。
【0078】正極21および負極22をそれぞれ作製し
たのち、負極22,セパレータ23,正極21,セパレ
ータ23の順に積層して渦巻状に多数回巻回し、巻回電
極体20を作製した。巻回電極体20を作製したのち、
巻回電極体20を一対の絶縁板12,13で挟み、負極
リード26を電池缶11に溶接すると共に、正極リード
25を安全弁機構15に溶接して、巻回電極体20をニ
ッケルめっきした内径13.3mmの鉄製の電池缶11
の内部に収納した。そののち、電池缶11の内部に電解
液を注入して、セパレータ23に電解液を含浸させた。
電解液には、エチレンカーボネートとジメチルカーボネ
ートとを混合した溶媒に、電解質塩としてLiPF6
1.0mol/dm3 の含有量で溶解させたものを用い
た。
【0079】電池缶11の内部に電解液を注入したの
ち、ガスケット17を介して電池蓋14を電池缶11に
かしめることにより、実施例1−1,1−2について直
径14mm、高さ65mmのジェリーロール型二次電池
を得た。
【0080】得られた実施例1−1,1−2の二次電池
について充放電試験を行い、初期放電容量を求めた。そ
の際、充電は、200mAの定電流で電池電圧が4.2
Vに達するまで行ったのち、4.2Vの定電圧で充電時
間の総計が10時間に達するまで行った。一方、放電
は、200mAの定電流で電池電圧が2.75Vに達す
るまで行った。ちなみに、ここに示した条件で充放電を
行えば、完全充電状態および完全放電状態となる。な
お、初期放電容量は2サイクル目の放電容量とした。得
られた結果を表1に示す。
【0081】
【表1】
【0082】また、実施例1−1,1−2の二次電池に
ついて、上述した条件で完全充電させたものを解体し、
負極合剤層22bの示差走査熱量測定を行い、リチウム
金属の融解に起因する吸熱ピークが得られる否かを調べ
た。なお、負極合剤層22bは、ジメチルカーボネート
を用いて洗浄したのち乾燥させ、完全に電解質を除去し
た状態とした。また、走査速度は10℃/minとし、
500℃まで昇温した。試料の作成および測定作業は、
全てアルゴングローブボックス中で行った。
【0083】得られた結果を図6,図7および表1に示
す。図6は実施例1−1に係る負極22の示差走査熱量
測定プロファイルであり、図7は実施例1−2に係る負
極22の示差走査熱量測定プロファイルである。図6お
よび図7において(A)は500℃までの全体を表し、
(B)はリチウム金属の融点である180℃付近を拡大
して表している。
【0084】実施例1−1に対する比較例1−1および
実施例1−2に対する比較例1−2として、負極合剤層
の厚みを厚くして市販のリチウムイオン二次電池と同一
としたことを除き、他は実施例1−1または実施例1−
2と同様にして二次電池を作製した。つまり、リチウム
を吸蔵・離脱可能な負極材料の量を増やし、完全充電状
態においても負極にリチウム金属が析出しないリチウム
イオン二次電池を作製した。なお、比較例1−1の負極
材料は実施例1−1と同一であり、比較例1−2の負極
材料は実施例1−2と同一である。
【0085】比較例1−1,1−2の二次電池について
も、本実施例と同様にして、充放電試験を行い、初期放
電容量および完全充電状態における負極の熱的性質を調
べた。それらの結果を図6、図7および表1に合わせて
示す。
【0086】また、市販のリチウム金属についても、本
実施例と同様にして示差走査熱量測定を行った。その結
果も図6、図7および表1に合わせて示す。
【0087】図6および図7に示したように、実施例1
−1,1−2では180℃付近で熱流束が下がり始める
吸熱ピークが観察されたのに対して、比較例1−1,1
−2では観察されなかった。リチウム金属の融点は18
0.5℃(理化学辞典 第5版 岩波書店 参照)であ
り、市販のリチウム金属についても180℃付近で熱流
束が下がり始める吸熱ピークが存在することから、実施
例1−1,1−2における180℃付近の吸熱ピークは
リチウム金属の融解に起因するものであると考えられ
る。つまり、リチウムイオン二次電池である比較例1−
1,1−2では、完全充電状態において負極にリチウム
金属が析出していないのに対して、実施例1ー1,1−
2では、完全充電状態において負極22にリチウム金属
が析出しているものと推測される。
【0088】なお、図6および図7において縦軸は単位
質量当たりの熱流束であり、実施例1−1,1−2は負
極合剤層22bとそこに析出したリチウム金属の合計質
量当たりの熱流束となる。また、比較例1−1,1−2
は負極合剤層の質量当たりの熱流束となり、リチウム金
属はリチウム金属質量当たりの熱流束となる。すなわ
ち、実施例1−1,1−2の吸熱ピークがリチウム金属
に比べて小さいのは、負極合剤層22bとそこに析出し
たリチウム金属の合計質量当たりの熱流束として算出し
ているためである。
【0089】また、表1に示したように、実施例1−
1,1−2によれば、リチウムイオン二次電池である比
較例1−1,1−2よりも初期放電容量について10%
程度高い値が得られた。すなわち、負極22にリチウム
を吸蔵・離脱可能な負極材料を含むと共に、完全充電状
態において負極22にリチウム金属が析出しているよう
にすれば、高容量化が可能であることが分かった。
【0090】更に、実施例1−1と実施例1−2とで
は、リチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料として銅・ケ
イ素合金を混合した実施例1−2の方が、炭素材料のみ
を用いた実施例1−1よりも、初期放電容量について2
0%程度高い値が得られた。これは、比較例1−1と比
較例1−2とについても同様であった。すなわち、リチ
ウムを吸蔵・離脱可能な負極材料として、炭素材料と、
リチウムと合金あるいは化合物を形成可能な金属あるい
は半導体、またはこれらの合金あるいは化合物とを含む
ようにすれば、更に高容量化が可能であることが分かっ
た。
【0091】(実施例2−1,2−2)実施例2ー1,
2−2として、図3および図4に示した二次電池を下記
のようにして作製した。ここでは、図3および図4を参
照し、図3および図4に示した符号を用いて説明する。
【0092】まず、正極33および負極34を、実施例
1−1,1−2と同様にして作製した。リチウムを吸蔵
・離脱可能な負極材料には、実施例2−1では粉砕した
メソカーボンマイクロビーズを用い、実施例2−2では
粉砕したメソカーボンマイクロビーズと、実施例1−2
と同一の銅・ケイ素合金との混合物を用いた。次いで、
正極集電体33aの一端にアルミニウム製の正極リード
31を取り付けると共に、負極集電体34aの一端にニ
ッケル製の負極リード32を取り付けた。
【0093】続いて、正極合剤層33bおよび負極合剤
層34bのそれぞれの両面に、厚み10μmのゲル状の
電解質層35を形成した。その際、電解質層35は、高
分子化合物であるポリフッ化ビニリデン5.8質量%
と、非水溶媒であるエチレンカーボネート25.8質量
%,プロピレンカーボネート17.2質量%およびジメ
チルカーボネート47.3質量%と、リチウム塩である
LiPF6 3.9質量%とを混合し、80℃に保持しな
がら撹拌してゾル状の溶液としたのち、ドクターブレー
ドを用いて正極合剤層33bまたは負極合剤層34bに
塗布して35℃の恒温槽で3分間乾燥させることにより
形成した。
【0094】電解質層35を形成したのち、厚み10μ
mのセパレータ36を用意し、正極33、セパレータ3
6、負極34、セパレータ36の順に積層して渦巻き状
に多数巻回し、30mm×53mm×5mmの大きさの
巻回電極体30を作製した。そののち、巻回電極体30
を厚み100μmの防湿性多層フィルムよりなる外装部
材40に封入し、実施例2−1,2−2について図3お
よび図4に示した二次電池を得た。
【0095】実施例2ー1,2−2についても、実施例
1−1と同様にして、充放電試験を行い、初期放電容量
および完全充電状態における負極34の熱的性質を調べ
た。表2に初期放電容量およびリチウム金属の融解によ
る吸熱ピークの有無を示す。また、図8に実施例2−1
に係る負極34の示差走査熱量測定プロファイルを、図
9に実施例2−2に係る負極34の示差走査熱量測定プ
ロファイルを示す。図8および図9において(A)は5
00℃までの全体を表し、(B)はリチウム金属の融点
である180℃付近を拡大して表している。なお、表
2、図8および図9には、市販のリチウム金属について
行った示差走査熱量測定の結果も合わせて示す。
【0096】
【表2】
【0097】実施例2−1に対する比較例2−1および
実施例2−2に対する比較例2−2として、負極合剤層
の厚みを厚くして市販のリチウムイオン二次電池と同一
としたことを除き、他は実施例2−1または実施例2−
2と同様にして二次電池を作製した。つまり、比較例1
−1,1−2と同様に、完全充電状態においても負極に
リチウム金属が析出しないリチウムイオン二次電池を作
製した。なお、比較例2−1の負極材料は実施例2−1
と同一であり、比較例2−2の負極材料は実施例2−2
と同一である。
【0098】比較例2−1,2−2の二次電池について
も、実施例1−1と同様にして、充放電試験を行い、初
期放電容量および完全充電状態における負極の熱的性質
を調べた。それらの結果を表2、図8および図9に合わ
せて示す。
【0099】表2、図8および図9示したように、実施
例2−1,2−2では180℃付近で熱流束が下がり始
める吸熱ピークが観察されたのに対して、比較例2−
1,2−2では観察されず、実施例2−1,2−2によ
れば、比較例2−1,2−2よりも初期放電容量につい
て10%程度高い値が得られた。また、実施例2−1と
実施例2−2では、銅・ケイ素合金を混合した実施例2
−2の方が、炭素材料のみを用いた実施例2−1より
も、初期放電容量について20%程度高い値が得られ
た。つまり、実施例1−1,1−2と同様の結果が得ら
れた。
【0100】すなわち、負極にリチウムを吸蔵・離脱可
能な負極材料を含むと共に、完全充電状態において負極
にリチウム金属が析出しているようにすれば、各種の電
解質を用いても、高容量化が可能であることが分かっ
た。また、リチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料とし
て、炭素材料と、リチウムと合金あるいは化合物を形成
可能な金属などとを含むようにすれば、更に高容量化が
可能であることも分かった。
【0101】なお、上記実施例では、リチウムを吸蔵・
離脱可能な負極材料についていくつかの例を挙げて具体
的に説明したが、他の負極材料を用いても同様の結果を
得ることができる。
【0102】以上、実施の形態および実施例を挙げて本
発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施
例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例
えば、上記実施の形態および実施例においては、軽金属
としてリチウムを用いる場合について説明したが、ナト
リウム(Na)あるいはカリウム(K)などの他のアル
カリ金属、またはマグネシウム(Mg)あるいはカルシ
ウム(Ca)などのアルカリ土類金属、またはアルミニ
ウム(Al)などの他の軽金属、またはリチウムあるい
はこれらの合金を用いる場合についても、本発明を適用
することができ、同様の効果を得ることができる。その
際、軽金属を吸蔵および離脱することが可能な負極材
料、正極材料、非水溶媒、あるいは電解質塩などは、そ
の軽金属に応じて選択される。但し、軽金属としてリチ
ウムまたはリチウムを含む合金を用いるようにすれば、
現在実用化されているリチウムイオン二次電池との電圧
互換性が高いので好ましい。なお、軽金属としてリチウ
ムを含む合金を用いる場合には、電解質中にリチウムと
合金を形成可能な物質が存在し、析出の際に合金を形成
してもよく、また、負極にリチウムと合金を形成可能な
物質が存在し、析出の際に合金を形成してもよい。
【0103】また、上記実施の形態および実施例におい
ては、電解液または固体状の電解質の1種であるゲル状
の電解質を用いる場合について説明したが、他の電解質
を用いるようにしてもよい。他の電解質としては、例え
ば、イオン伝導性を有する高分子化合物に電解質塩を分
散させた有機固体電解質、イオン伝導性セラミックス,
イオン伝導性ガラスあるいはイオン性結晶などよりなる
無機固体電解質、またはこれらの無機固体電解質と電解
液とを混合したもの、またはこれらの無機固体電解質と
ゲル状の電解質あるいは有機固体電解質とを混合したも
のが挙げられる。
【0104】更に、上記実施の形態および実施例におい
ては、二次電池の構造について具体的に例を挙げて説明
したが、本発明は、他の構造を有する二次電池について
も適用することができる。例えば、巻回電極体を楕円型
あるいは多角形型の外装部材の内部に挿入したもの、ま
たは正極および負極を折り畳んだりあるいは積み重ねた
構造を有するものについても同様に適用することがで
き、いわゆるコイン型、ボタン型あるいはカード型など
の二次電池につても同様である。また、二次電池に限ら
ず、一次電池についても適用することができる。
【0105】
【発明の効果】以上説明したように請求項1ないし請求
項7のいずれか1に記載の電池によれば、負極がリチウ
ムを吸蔵および離脱することが可能な負極材料を含むと
共に、完全充電状態において電解質を除去した状態で示
差走査熱量測定を行うと軽金属の融解に起因する吸熱ピ
ークを得られるようにしたので、高い容量を得ることが
でき、サイクル特性および急速充電特性も向上させるこ
とができる。
【0106】特に、請求項2ないし請求項5のいずれか
1に記載の電池によれば、負極が炭素材料を含むよう
に、または、軽金属と合金あるいは化合物を形成可能な
金属、半導体、これらの合金および化合物からなる群の
うちの少なくとも1種を含むように、またはその両方を
含むようにしたので、より高い容量を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る二次電池の構
成を表す断面図である。
【図2】図1に示した二次電池における巻回電極体の一
部を拡大して表す断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る二次電池を分
解して表す分解斜視図である。
【図4】図3に示した二次電池における巻回電極体の一
部を拡大して表す断面図である。
【図5】図3に示した二次電池における外装部材の構成
を表す断面図である。
【図6】本発明の実施例1−1に係る負極の示差走査熱
量測定プロファイルである。
【図7】本発明の実施例1−2に係る負極の示差走査熱
量測定プロファイルである。
【図8】本発明の実施例2−1に係る負極の示差走査熱
量測定プロファイルである。
【図9】本発明の実施例2−2に係る負極の示差走査熱
量測定プロファイルである。
【符号の説明】
11…電池缶、12,13…絶縁板、14…電池蓋、1
5…安全弁機構、15a…ディスク板、16…熱感抵抗
素子、17…ガスケット、20,30…巻回電極体、2
1,33…正極、21a,33a…正極集電体、21
b,33b…正極合剤層、22,34…負極、22a,
34a…負極集電体、22b,34b…負極合剤層、2
3,36…セパレータ、24…センターピン、25,3
1…正極リード、26,32…負極リード、35…電解
質層、40…外装部材、40a…ナイロン膜、40b…
アルミニウム膜、40c…ポリエチレンテレフタラート
(PET)膜、40d…直鎖状低密度ポリプロピレン膜
(L−LDPE膜)、41…密着フィルム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 足立 百恵 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 明石 寛之 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 5H029 AJ03 AJ05 AK03 AK18 AL01 AL06 AL07 AL11 AL12 AL16 AL18 AM02 AM03 AM05 AM07 BJ02 BJ14 BJ27 EJ04 EJ12 5H050 AA07 AA08 BA17 CA08 CA09 CA29 CB01 CB07 CB08 CB11 CB12 CB20 CB29 DA13 EA09 EA24 GA28

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正極および負極と共に電解質を備えた電
    池であって、 前記負極は、軽金属を吸蔵および離脱することが可能な
    負極材料を含むと共に、完全充電状態において電解質を
    除去した状態で示差走査熱量測定を行うと、前記軽金属
    の融解に起因する吸熱ピークが得られることを特徴とす
    る電池。
  2. 【請求項2】 前記負極は、炭素材料を含むことを特徴
    とする請求項1記載の電池。
  3. 【請求項3】 前記負極は、前記軽金属と合金あるいは
    化合物を形成可能な金属、半導体、これらの合金、およ
    び化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含むこと
    を特徴とする請求項1記載の電池。
  4. 【請求項4】 前記負極は、スズ(Sn),鉛(P
    b),アルミニウム(Al),インジウム(In),ケ
    イ素(Si),亜鉛(Zn),アンチモン(Sb),ビ
    スマス(Bi),カドミウム(Cd),マグネシウム
    (Mg),ホウ素(B),ガリウム(Ga),ゲルマニ
    ウム(Ge),ヒ素(As),銀(Ag),ハフニウム
    (Hf),ジルコニウム(Zr)およびイットリウム
    (Y)の単体、合金および化合物からなる群のうちの少
    なくとも1種を含むことを特徴とする請求項3記載の電
    池。
  5. 【請求項5】 前記負極は、炭素材料と、前記軽金属と
    合金あるいは化合物を形成可能な金属、半導体、これら
    の合金、および化合物からなる群のうちの少なくとも1
    種とを含むことを特徴とする請求項1記載の電池。
  6. 【請求項6】 前記軽金属はリチウム(Li)を含むこ
    とを特徴とする請求項1記載の電池。
  7. 【請求項7】 前記電解質は、液状または固体状である
    ことを特徴とする請求項1記載の電池。
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