JP2002266016A - 時効硬化性が大きい極低炭素鋼板用圧延素材の製造方法 - Google Patents
時効硬化性が大きい極低炭素鋼板用圧延素材の製造方法Info
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Abstract
時効熱処理で、優れた時効硬化性を有する、高窒素極低
炭素の冷延鋼板用の圧延素材を、鋼板の表面欠陥や介在
物性欠陥などの問題を招くことなしに製造する方法を提
案する。 【解決手段】 C≦ 0.0050 mass%の極低炭素鋼板用圧
延素材を製造するに当り、溶銑を1次脱炭精錬し、1次
脱炭精錬後の溶鋼を次記:[mass%N]−0.15[mass%
C]≧0.0060を満足する範囲に成分調整し、次いで真空
脱ガス設備を用いて、C≦ 0.0050mass%の極低炭素濃
度域までの2次脱炭精錬を行い、その後、脱酸後のAl
≧0.005mass%となるようにAlによる脱酸を行い、さ
らにN:0.0050〜0.0250mass%、[mass%Al]・[ma
ss%N]≦0.0004かつ固溶N量が所定量以上になるよう
に成分調整し、この溶鋼を連続鋳造する。
Description
高めることにより時効硬化性を改善してなる極低炭素鋼
板用圧延素材の製造方法に関するものである。この窒素
濃度の高い極低炭素圧延素材を用いて圧延した極低炭素
鋼板は、例えば自動車の構造用部品等、構造上の強度と
くに変形時の強度および/または剛性が必要とされる分
野で用いられ、プレスなどで加工成形した後に焼付処理
などの時効熱処理が施される素材として好適であり、成
形後の時効熱処理によって強度上昇を図ることができる
ものである。
鋼板としては、成形後の時効熱処理によって強度の上昇
が起こる特性(以下、「時効硬化性」という)を有し、
かつ深絞り性の良好な冷延鋼板が適している。この種の
冷延鋼板用鋼の成分組成としては、C≦0.0050ma
ss%および固溶N濃度≧0.0050mass%の成分系の
ものが推奨されている。しかし、このような鋼を溶製す
るに当っては、脱酸の面からAlを添加し、また結晶粒
径の微細化の点等からNbおよびBを鋼中に添加するの
が一般的であり、これらの元素は窒化物を形成すること
から、固溶Nを確保するためには窒化物になる窒素濃度
を加えた窒素濃度にする必要がある。例えば、鋼中Al
濃度が0.015mass%以上の場合は、0.0120ma
ss%以上の高N濃度としなければならない。
特開昭61−91317号公報に、無酸化雰囲気下にあ
る取鍋精錬炉内の溶鋼に、浸漬ランスから窒素ガスを吹
き込む方法が開示されている。しかし、この方法は取鍋
精錬炉における処理であることから、例えば真空脱ガス
処理等を施すことが難しいため、極低炭素鋼を得ること
ができない不利がある。
は、特公昭55−34848号公報、特開昭56−25
919号公報および特開昭64−28319号公報に、
真空脱ガス工程後、真空槽内の圧力を目標N濃度と平衡
する圧力にし、溶鋼内吹き込みガスの一部または全部を
窒素ガスにして、一定時間保持して窒素を十分に添加す
る方法が開示されている。しかし、これらの方法は、窒
素ガスによる窒素の注入に頼るため窒素の増加速度が遅
く、特に低窒素濃度から0.0120mass%を越えるよ
うな高窒素濃度のものにする場合、Cr濃度の低い普通
鋼においては時間がかかり困難がある。また、真空槽内
圧力を高めることにより平衡窒素濃度まで窒素を増加さ
せる方法の場合、初期窒素濃度が低いと平衡窒素濃度に
まで達するのに時間がかかる。例えば、平衡窒素濃度が
0.0150mass%となる真空槽内圧力1×104Pa
の場合、初期窒素濃度が0.0080mass%のもの程度
では、15分程度の処理で0.0100mass%程度の増
加に止まる。なお、真空槽内圧力2×104Paを越え
る場合は、窒素濃度が増加する可能性があるが、真空槽
内圧力の上昇は真空槽あるいは取鍋内の溶鋼の攪拌力の
低下につながり、溶鋼内の均一性が阻害される。
窒素ガス、窒素−Ar混合ガスを吹き込み真空槽内圧力
を調整することにより、溶鋼中の窒素濃度を制御する方
法が特開2000−17321号公報、特開2000−
17322号公報、特開2000−34513号公報お
よび特開平8−100211号公報などに開示されてい
る。しかし、上記の技術と同様に、窒素ガスによる窒素
の注入では窒素の増加速度が遅く、特に固溶窒素濃度を
確保するために、低窒素濃度から0.0120mass%を
越える窒素濃度にする場合、普通鋼においては処理時間
がかかり実際的でない。
は、真空槽内の圧力を変更して溶鋼の目標窒素濃度以下
まで窒素を減少した後、窒素含有合金を添加して目標窒
素濃度になるように微調整しているが、窒素含有合金を
添加する前に窒素を減少するのは、窒素含有合金の添加
量を増やすことになり、コストアップにつながるだけで
なく、合金中に含まれるCにより溶鋼中のC濃度が増加
することが問題になる。
1次脱炭精錬および2次真空脱炭精錬中に窒素ガスを吹
き込み、0.0050mass%以下の極低炭素鋼で0.0
100mass%以上の高窒素鋼を溶製する方法が開示され
ている。しかし、真空脱炭処理前にC濃度に対してN濃
度が低いと、脱炭処理後に0.0100mass%以上のN
濃度が得られず、また脱炭処理中に脱炭速度より脱N速
度が大きい処理を行うと、やはり脱炭処理後に0.01
00mass%以上のN濃度は得られない。さらに、脱炭処
理後にAl等を用いた脱酸処理を行うが、Al濃度が高
く、かつ高N濃度の場合、連続鋳造時にAlNが析出
し、連続鋳造や熱間圧延時のスラブ、シートバーにAl
Nに起因した表面割れが発生する。逆に、Al濃度が低
すぎると脱酸が不十分となり、鋼中に非金属介在物が増
加するため、製品である冷延鋼板の表面欠陥や、プレス
成形時の割れが大量に発生する問題に発展する。
スなどの加工成形後に強度上昇のための時効熱処理が施
される用途に供され、優れた時効硬化性を有する鋼板の
圧延素材、すなわち窒素濃度(固溶窒素)が高くかつ極
低炭素であって、製品コイルの表面欠陥や介在物性欠陥
などの問題を招くことのない、鋼板用圧延素材を製造す
る方法について提案することにある。なお、本発明に係
る圧延素材を圧延して得られる冷延鋼板において、時効
硬化による成形−120℃熱処理後の引張強度の変化量
の目標は、60MPa以上とする。
を達成するために鋭意検討を重ねた結果、優れた時効硬
化性を有する冷延鋼板用鋼の成分組成としては、C≦
0.0050mass%で、固溶窒素濃度≧0.0030ma
ss%、好ましくは固溶窒素濃度≧0.0050mass%、
より好ましくは固溶窒素濃度≧0.0070mass%以上
であり、そして脱酸のために鋼中にAlを添加し、Al
およびNが過剰に含まれる場合には、連続鋳造時並びに
熱間圧延時にAlNが析出して鋳片やシートバーにAl
N起因の表面割れが発生するため、AlおよびN濃度に
は上限を設ける必要のあることが判明した。さらに、固
溶窒素を確保する上から、C≦0.0050mass%かつ
窒素濃度が[mass%N]≧0.0030+14/27[mass%A
l]+14/93[mass%Nb]+14/11[mass%B]+14
/48[mass%Ti]を満たす必要があることを知見し
た。本発明は、上記知見に由来するものであり、その要
旨は次のとおりである。
鋼板用圧延素材を製造する方法において、溶銑を1次脱
炭精錬し、1次脱炭精錬後の溶鋼を下記(1)式を満足
するように成分調整し、その後真空脱ガス設備におい
て、下記(2)式を満足する条件下に、C≦0.005
0mass%の極低炭素濃度域までの2次脱炭精錬を行い、
次いで、Al≧0.005mass%となるようにAlによ
る脱酸を行うとともに、N濃度がN:0.0050〜
0.0250mass%の範囲内で、下記(3)式および
(4)式を満足するように成分調整し、その後、溶鋼の
連続鋳造を行うことを特徴とする時効硬化性が大きい極
低炭素鋼板用圧延素材の製造方法。 記 [mass%N]−0.15[mass%C]≧0.0060 ----(1) △N/△C≦0.15 ----(2) ここで、 △N:2次脱炭精錬中の鋼中N濃度の低下量(mass%) △C:2次脱炭精錬中の鋼中C濃度の低下量(mass%) [mass%Al]・[mass%N]≦0.0004 ----(3) [mass%N]≧0.0030+14/27[mass%Al]+14/93[mass%Nb]+14/11 [mass%B]+14/48[mass%Ti] ----(4)
錬時に、溶鋼中に、窒素ガス流量にして溶鋼トンあたり
2Nl/min 以上に当る窒素ガスまたは窒素およびアルゴ
ンの混合ガスを吹き込むことにより、△N/△C≦0.
15とするが好ましい。 (3)本発明においては、2次脱炭精錬中に、溶鋼中酸素
濃度を0.0300mass%以上に調整して、△N/△C
≦0.15とすることが好ましい。 (4)本発明においては、1次脱炭精錬後の溶鋼にN含有
合金を添加し、2次脱炭精錬前の溶鋼成分をN≧0.0
080mass%に調整することが好ましい。 (5)本発明においては、真空脱ガス設備におけるAlに
よる脱酸時に、溶鋼中に、窒素ガス流量にして溶鋼トン
あたり2Nl/min 以上に当る窒素ガスまたは窒素および
アルゴンの混合ガスを吹き込んで、N濃度を制御するこ
とが好ましい。 (6)本発明においては、真空脱ガス設備におけるAlに
よる脱酸時の真空槽内圧力を、2×103Pa以上に調
整してN濃度の低下を抑制することが好ましい。 (7)本発明においては、真空脱ガス設備におけるAlに
よる脱酸時に、溶鋼中に、[mass%C]/[mass%N]
≦0.1であるN含有合金を溶鋼中に添加してN濃度を
制御することが好ましい。 (8)本発明においては、溶鋼にN含有合金を添加する
際、真空槽内圧力を2×103Pa以上に調整してN濃
度の低下を抑制することが好ましい。 (9)本発明においては、成分調整した溶鋼の組成が、S
i:1.0mass%以下、Mn:2.0mass%以下、N
b:0.0050〜0.0500mass%、B:0.00
05〜0.0050mass%、Ti:0.070mass%以
下で残部は実質的にFeでになるものであることが好ま
しい。
用圧延素材の製造方法について、上記製造条件を限定し
た理由について詳しく説明する。まず、時効硬化性を発
現するN量として (4)式を得た実験について説明する。
この実験では、C:0.0020〜0.0025mass
%、Si:0.01mass%、Mn:0.48〜0.52
mass%、P:0.025〜0.030mass%、S:0.
006〜0.010mass%、Al:0.005〜0.0
30mass%、B:0.0001〜0.0040mass%、
Nb:0.001〜0.030mass%、N:0.006
0〜0.0150mass%の範囲で含有し、残部はFeお
よび不可避的不純物からなる組成の素材を、1150℃
に均一加熱した後、仕上げ温度をAr 3変態点以上の9
00℃として板厚4mmに熱間圧延し、圧延終了後水冷
し、次いで、この熱延板を500℃−1時間で焼鈍し、
圧下率80%で冷間圧延して、800℃−40分の再結
晶焼鈍を行い、さらに圧下率0.8%で調質圧延し、得
られた鋼板を供試材(調質圧延材)として用い、この供
試材を歪み速度0.02/sで引張試験を行った。この
実験の他、前記鋼板に10%の引張歪みを付与し、12
0℃−20分の時効熱処理を施した供試材(時効処理
材)についても、同様の引張試験を行った。時効硬化量
ΔTSは、時効処理材の引張強さ(TS2)と調質圧延
材の引張強さ(TS1)との差(ΔTS=TS2−TS
1)からを求めた。
Al]+14/93[mass%Nb]+14/11[mass%B]+
14/48[mass%Ti])とΔTSとの関係を示すもので
ある。図1から、[mass%N]−(14/27[mass%A
l]+14/93[mass%Nb]+14/11[mass%B]+14
/48[mass%Ti])が0.0030mass%以上、望ま
しくは0.0050mass%以上、さらに望ましくは0.
0070mass%以上を満足することにより、ΔTSは6
0MPa以上、望ましくは80MPa以上、さらに望ま
しくは100MPa以上になることが明らかとなった。
ただし、窒素濃度が0.0250mass%を越えると、連
続鋳造した鋳片に気泡性のピンホールが多発し、冷延鋼
板に筋状の欠陥が多発するため、精錬後の溶鋼窒素濃度
は0.0250mass%以下にする必要がある。
05mass%未満になると鋼中の酸素濃度が急激に増加
し、冷間圧延中に巨大な介在物性欠陥が多発するため、
Alは0.005mass%以上にする必要がある。望まし
くは0.010mass%以上であるが、Al濃度を増加さ
せると固溶窒素が減少するため、必然的にN濃度を増加
させる必要性がある。従って、窒素濃度としては、[ma
ss%N]≧0.0030+14/27[mass%Al]+14/93[ma
ss%Nb]+14/11[mass%B]+14/48[mass%T
i]であることが望ましい。
度も増加させる必要がある。ただし、[mass%Al]・
[mass%N]>0.0004になると、連続鋳造時およ
び/または熱間圧延時に鋳片および/またはシートバー
の表面に割れが多発し、冷延板に筋状の欠陥が多発する
ことになる。そこで、鋼中の[mass%Al]・[mass%
N]と、その精錬後に通常の鋳造、熱間圧延および冷間
圧延を経た冷延コイルにおける表面欠陥率(コイル10
00m当たりの欠陥個数)との関係を調査したところ、
図2に示すように、[mass%Al]・[mass%N]>
0.0004になると、冷延コイルにおける表面欠陥率
が急激に増加することがわかった。ここに、以上述べ
た、N濃度およびAl濃度についてまとめると、図3に
示すとおりである。
について以下に説明する。一般に、極低炭素鋼(C≦
0.0050mass%)を溶製するには、転炉等における
1次脱炭精錬後に、真空脱ガス設備を用いて、溶鋼を5
×102Pa (0.005atm)以下の減圧下に置
き、溶鋼中のCおよびOとの反応によりCOを生成させ
て脱ガスする、2次脱炭精錬を行うことが基本となる。
て、溶鋼中の窒素濃度が高い場合には脱炭量に比例して
脱窒素が進むことを新たに見出した。すなわち、図4に
脱炭処理前、処理中および処理後の炭素および窒素濃度
を示すように、例えば、C≦0.0050mass%かつN
≧0.0060mass%に向かって処理するには、2次脱
炭精錬時の窒素濃度の減少量△Nと炭素濃度の減少量△
Cとの比△N/△Cを0.15以下にすることが肝要で
ある。
錬の処理前およびこの処理中の溶鋼炭素濃度および窒素
濃度が下記(1)式を満足するように、1次脱炭精錬後
かつ真空脱ガス処理による2次脱炭精錬前の溶鋼成分
を、低C濃度および高N濃度に調整する必要がある。 [mass%N]−0.15[mass%C]≧0.0060 ----(1) なぜなら、[mass%N],[mass%C]が(1) 式を満足
しないと、△N/△C=0.15の場合、2次脱炭精錬
後の[mass%N]は0.0060mass%より低くなる。
また、たとえ(1) 式を満足していても、△N/△C>
0.15では、やはり2次脱炭精錬後の[mass%N]が
0.0060mass%より低くなる。
ことによって、2次脱炭精錬後の窒素濃度を0.006
0mass%以上にすることが可能になる。2次脱炭精錬後
のN濃度を0.0060mass%以上にすれば、その後の
Al脱酸処理において、N2ガスを吹き込むことにより
真空脱ガス処理後のN濃度を0.0050mass%以上に
することが容易になる。なお、Alによる脱酸とは、溶
鋼中へのAlの添加と、それに引き続いての溶鋼の還流
による脱酸生成物の浮上分離処理(いわゆる、キルド処
理)の全体を指す(以下において同様)。
前のN濃度を、前記(1) 式に従って高くするには、1次
脱炭精錬後(例えば転炉出鋼時)にN−Mn等の窒素含
有合金を添加する手法が有効である。
15を達成する方法としては、溶鋼中に窒素ガスを吹き
込む方法、特に真空脱ガス設備としてRH式真空脱ガス
設備を用いる方法においては、浸潰管から吹き込む環流
ガスとして窒素ガスまたは、窒素およびアルゴンの混合
ガスを、窒素ガス流量にして溶鋼トンあたり2Nl/m
in以上に相当する量を溶鋼中に吹き込むことが有効で
ある。さらに、溶鋼中の溶存酸素が脱窒の化学反応速度
定数を低下させる作用を利用して、2次脱炭精錬中の酸
素濃度を0.0300mass%以上にすることにより△N
/△C≦0.15にすることもできる。
に、2次脱炭精錬後の溶鋼をAl脱酸した後に、N濃度
を0.0050〜0.0250mass%に制御する必要が
ある。そのためには、溶鋼中に窒素ガスを吹き込む方
法、特にRH式真空脱ガス設備においては浸漬管から吹
き込む環流ガスとして、窒素ガスにして溶鋼トンあたり
2Nl/min以上にて吹き込む手法が有効である。さ
らに、真空槽内圧力を2×103Pa以上に上昇させて
真空下の溶鋼浴面からの脱窒を抑制することが有効であ
る。加えて、窒素ガス吹き込みのみでは窒素の増加速度
が遅いため、溶鋼中のC濃度が0.0050mass%を越
えないように、[mass%C]/[mass%N]≦0.1と
C含有量の低いN−Mn等の窒素含有合金を添加するこ
とにより、N濃度を増加させることが有効である。
mass%以上にする必要性は、脱炭精錬後の窒素濃度と、
低真空度でのN2 ガス吹込み20分後の窒素濃度との
関係を図5に示すように、2次脱炭精錬〜Al脱酸後の
低真空(図では1×104Pa、5×103Pa)での
窒素ガス吹き込みによる窒素濃度の増加を行っても窒素
濃度の増加が遅く、窒素濃度が例えば0.0100mass
%以上になるまでに時間がかかるためであり、予め窒素
濃度を0.0060mass%以上に高めておくことが有利
である。
たのち鋳造に廻す溶鋼の成分組成としては、Si:1.
0mass%以下、Mn:2.0mass%以下、Nb:0.0
050〜0.0500mass%、B:0.0005〜0.
0050mass%、Ti:0.070mass%以下で残部は
実質的にFeであるものを用いることが望ましい。
上させる場合に特に添加が好ましい成分ではあるが、
1.0mass%を超えると表面性状を悪化させ、延性の低
下を招くので、1.0mass%以下、望ましくは0.5ma
ss%以下がよい。 Mnは、鋼の強化成分として有用であるが、2.0ma
ss%を超えると表面性状の悪化や延性の低下を招くの
で、2.0mass%以下、望ましくは1.5mass%以下が
よい。 Nbは、Bとの複合添加により、熱延組織、冷延再結
晶焼鈍組織の微細化に有用であるとともに、固溶CをN
bCとして固定する作用を有する。Nb量が0.005
0mass%に満たないとその効果は十分ではなく、一方
0.0500mass%を越えると延性の低下を招く。した
がって、Nbは0.0050〜0.0500mass%、好
ましくは0.0100〜0.0300mass%の範囲で含
有させる。 Bは、Nbと複合添加することにより、熱延組織、冷
延再結晶焼鈍組織の微細化に有用であるほか、耐2次加
工脆性を改善する作用を有する。B量が0.0005ma
ss%未満ではその効果は小さく、一方0.0050mass
%を越えると鋳片の加熱段階で溶体化しにくくなる。し
たがって、Bは0.0005〜0.0050mass%、好
ましくは0.0005〜0.0015mass%の範囲で含
有させる。 Tiは、特に添加する必要はないが、組織の微細化の
観点から添加する場合には、(4) 式を満足するために
0.070mass%以下とする。
連続鋳造設備にて圧延素材(鋳片)とされる。連続鋳造
条件は常法に従えばよく、特に限定するものではない。
すなわち、周知の垂直曲げ型連続鋳造機、垂直型連続鋳
造機あるいは湾曲型連続鋳造機を用いて、溶鋼を150
〜300mm厚、900〜2000mm幅程度のサイズ
のスラブに鋳造する。必要に応じ、鋳造直後のスラブを
幅プレス、幅鍛圧等の方法によって所望の幅に調整して
も構わない。
0300mass%まで低下させた。このときの溶鋼N濃度
は、0.0040mass%、Mn濃度は0.07mass%で
あった。その後、転炉からの出鋼時に取鍋内にN−Mn
合金(C:1.5mass%,Mn:73mass%,N:5ma
ss%)を5kg/tで添加し、取鍋内の溶鋼のN濃度を
0.0140mass%まで増加させた。このときのC濃度
は、0.0400mass%、Mn濃度は0.40mass%に
増加であった。この溶鋼を極低炭素鋼まで脱炭処理を行
うために、RH式真空脱ガス設備で真空脱炭処理によっ
て2次脱炭精錬を行った。2次脱炭精錬前の[mass%
N]−0.15[mass%C]は0.0080mass%であ
り、0.0060mass%以上を確保した。真空脱炭処理
時の真空槽内の圧力は1×102Pa、処理前の溶存酸
素濃度は0.0520mass%で、浸漬管からの環流ガス
には窒素ガスを用いて、ガス流量3000Nl/min
(即ち、溶鋼トンあたり12Nl/min)で吹き込ん
だ。真空脱炭処理中の溶存酸素濃度は、真空槽内のラン
スより酸素ガスを上吹きすることにより常時0.035
0mass%以上を保持した。20分の真空脱炭処理後、C
濃度は0.0020mass%まで低下し、またN濃度は
0.0100mass%に低下した。真空脱炭処理中の△N
/△Cは0.105であり0.15より小さくなった。
また、溶存酸素濃度は0.0380mass%であった。
まで上昇させた後、この溶鋼にAlを0.8kg/t添
加し脱酸を行った。脱酸後のAl濃度は0.015mass
%であった。引き続き、浸潰管からの環流ガスとして窒
素ガスを3000Nl/min (すなわち溶鋼トンあた
り12Nl/min)で吹き込んだ。Al添加の5分後
に低CのN−Mn合金(C:0.2mass%,Mn:80
mass%,N:8mass%)を3kg/t添加した。その
後、FeNbを0.06kg/t、FeBを0.007
kg/t添加した。なお、TiとSiは特に添加せず、
MnはMet.Mnを4.0kg/t添加した。Al脱酸後
15分でRHキルド処理を終了した。終了時におけるN
濃度は0.0150mass%に増加した。また、C濃度は
0.0030mass%,Al濃度は0.010mass%であ
った。[mass%Al]・[mass%N]は0.00015
で、0.0004より小さい値が得られた。さらに、N
bは0.0050mass%、Bは0.0005mass%、T
iは0.001mass%、Siは0.01mass%、Mnは
1.0mass%であった。これら成分から求めた、0.0030
+14/27[mass%Al]+14/93[mass%Nb]+14/
11[mass%B]+14/48[mass%Ti]の値は0.01
02mass%であるので、精錬後のN濃度はこの値以上に
できた。
連続鋳造してスラブとし、このスラブをスラブ加熱炉で
1150℃に加熱した後、連続熱間圧延設備にて板厚
3.5mmの熱延板に熱間圧延(仕上げ温度:920
℃、圧延後冷却速度:55℃/s、巻取温度:600
℃)しホットコイルとした。このホットコイルを冷間圧
延設備にて板厚0.7mmまで冷間圧延(圧下率80
%)の後、連続焼鈍ラインにて再結晶焼鈍(昇温速度:
15℃/s、温度:840℃)し、その後圧下率1.0
%の調質圧延を行った。かくして得られた鋼板(調質圧
延材)について引張試験を行った。また前記鋼板に10
%の引張歪みを付与し120℃−20分の時効熱処理を
施した鋼板(時効処理材)についても同様に引張試験を
行った。両者の試験から、時効処理材の引張強さ(TS
2)と調質圧延材の引張強さ(TS1)との差ΔTS=
TS2−TS1を求め時効硬化量とした。その結果、Δ
TS=100MPaという大きな時効硬化量が得られ
た。また、スラブ、シートバーの段階では、表面割れが
なく、冷延鋼板の表面品質も良好であった。
0300mass%まで低下させた。その際の溶鋼N濃度は
0.0040mass%、Mn濃度は0.07mass%であっ
た。その後、転炉からの出鋼時に鍋内にN−Mn合金
(C:1.5mass%,Mn:73mass%,N:5mass
%)を5kg/tで添加し、取鍋内の溶鋼のN濃度を
0.0140mass%まで増加させた。その際のC濃度は
0.0400mass%およびMn濃度は0.40mass%で
あった。この溶鋼を極低炭素鋼まで脱炭処理を行うため
に、RH式真空脱ガス設備で2次脱炭精錬を行った。2
次脱炭精錬前の[mass%N]−0.15[mass%C]は
0.0080mass%であり、0.0060mass%以上を
確保した。2次脱炭精錬時の真空槽内の圧力は1×10
2Pa、処理前の溶存酸素濃度は0.0280mass%
で、浸漬管からの環流ガスには窒素ガスを用いて、ガス
流量3000Nl/min (溶鋼トンあたり12Nl/
min)で吹き込んだ。2次脱炭精錬中の溶存酸素濃度
は、途中0.0300mass%を下回っていた。20分の
2次脱炭精錬後、C濃度は0.0020mass%まで低下
し、また、N濃度は0.0040mass%に低下した。真
空脱炭処理中の△N/△Cは0.303であり0.15
より大きい値であった。また、溶存酸素濃度は0.02
63mass%であった。
まで上昇させた後、この溶鋼にAlを0.8kg/t添
加し脱酸を行った。脱酸後のAl濃度は0.015mass
%であった。浸漬管からの環流ガスは引き続き窒素ガス
を3000Nl/min (溶鋼トンあたり12Nl/m
in)で吹き込んだ。Al添加後5分に低CのN−Mn
合金(C:0.2mass%,Mn:80mass%,N:8ma
ss%)を2kg/t添加した。その後、FeNbを0.
06kg/t、FeBを0.007kg/t添加した。
なお、TiおよびSiは特に添加せず、MnはMet.Mn
を4.0kg/t添加した。Al脱酸後15分でRHキ
ルド処理を終了した。終了時におけるN濃度は0.00
90mass%に増加した。また、C濃度は0.0030ma
ss%,Al濃度は0.0100mass%であった。[mass
%Al]・[mass%N]は0.00009であった。さ
らに、Nbは0.0050mass%、Bは0.0005ma
ss%、Tiは0.002mass%、Siは0.01mass
%、Mnは1.0mass%であった。これら成分から求め
た、0.0030+14/27[mass%Al]+14/93[mass%N
b]+14/11[mass%B]+14/48[mass%Ti]の値
は0.0102mass%であるので、精錬後のN濃度はこ
の値以上にすることができなかった。
連続鋳造してスラブとし、このスラブをスラブ加熱炉で
1150℃に加熱した後、連続熱間圧延設備にて板厚
3.5mmの熱延板に熱間圧延(仕上げ温度:920
℃、圧延後冷却速度:55℃/s、巻取温度:600
℃)しホットコイルとした。このホットコイルを冷間圧
延設備にて板厚0.7mmまで冷間圧延(圧下率80
%)の後、連続焼鈍ラインにて再結晶焼鈍(昇温速度:
15℃/s、温度:840℃)し、その後圧下率1.0
%の調質圧延を行った。かくして得られた鋼板(調質圧
延材)について引張試験を行った。また、前記鋼板に1
0%の引張歪みを付与し120℃−20分の時効熱処理
を施した鋼板(時効処理材)についても同様に引張試験
を行った。両者の試験から、時効処理材の引張強さ(T
S2)と調質圧延材の引張強さ(TS1)との差ΔTS
=TS2−TS1を求め時効硬化量とした。その結果、
ΔTS=5MPaであり、極めて小さい時効硬化量しか
得られなかった。
素材の製造方法によれば、圧延して得られる鋼板(冷延
鋼板)の時効硬化性が優れ、しかも表面欠陥の少ない極
低炭素かつ高窒素の冷延鋼板となり、例えば自動車用構
造部品として最適な材料を提供することができる。
93[mass%Nb]+14/11[mass%B]+14/48[mass
%Ti])とΔTSとの関係を示した図である。
表面欠陥率(コイル1000m当たりの欠陥個数)との
関係を示した図である。
窒素の濃度範囲を示した図である。
5分後の窒素濃度との関係を示す図である。
Claims (9)
- 【請求項1】C≦0.0050mass%の極低炭素鋼板用
圧延素材を製造する方法において、溶銑を1次脱炭精錬
し、1次脱炭精錬後の溶鋼を下記(1)式を満足するよ
うに成分調整し、その後真空脱ガス設備において、下記
(2)式を満足する条件下に、C≦0.0050mass%
の極低炭素濃度域までの2次脱炭精錬を行い、次いで、
Al≧0.005mass%となるようにAlによる脱酸を
行うとともに、N濃度がN:0.0050〜0.025
0mass%の範囲内で、下記(3)式および(4)式を満
足するように成分調整し、その後、溶鋼の連続鋳造を行
うことを特徴とする時効硬化性が大きい極低炭素鋼板用
圧延素材の製造方法。 記 [mass%N]−0.15[mass%C]≧0.0060 ----(1) △N/△C≦0.15 ----(2) ここで、 △N:2次脱炭精錬中の鋼中N濃度の低下量(mass%) △C:2次脱炭精錬中の鋼中C濃度の低下量(mass%) [mass%Al]・[mass%N]≦0.0004 ----(3) [mass%N]≧0.0030+14/27[mass%Al]+14/93[mass%Nb]+14/11 [mass%B]+14/48[mass%Ti] ----(4) - 【請求項2】2次脱炭精錬時に、溶鋼中に、窒素ガス流
量にして溶鋼トンあたり2Nl/min以上に当る窒素ガス
または窒素およびアルゴンの混合ガスを吹き込むことに
より、△N/△C≦0.15とすることを特徴とする請
求項1記載の時効硬化性が大きい極低炭素鋼板用圧延素
材の製造方法。 - 【請求項3】2次脱炭精錬中に、溶鋼中酸素濃度を0.
0300mass%以上に調整して、△N/△C≦0.15
とすることを特徴とする請求項1または2に記載の時効
硬化性が大きい極低炭素鋼板用圧延素材の製造方法。 - 【請求項4】1次脱炭精錬後の溶鋼にN含有合金を添加
し、2次脱炭精錬前の溶鋼成分をN≧0.0080mass
%に調整することを特徴とする請求項1〜3のいずれか
に記載の時効硬化性が大きい極低炭素鋼板用圧延素材の
製造方法。 - 【請求項5】真空脱ガス設備におけるAlによる脱酸時
に、溶鋼中に、窒素ガス流量にして溶鋼トンあたり2Nl
/min以上に当る窒素ガスまたは窒素およびアルゴンの
混合ガスを吹き込んで、N濃度を制御することを特徴と
する請求項1〜4のいずれかに記載の時効硬化性が大き
い極低炭素鋼板用圧延素材の製造方法。 - 【請求項6】真空脱ガス設備におけるAlによる脱酸時
の真空槽内圧力を、2×103Pa以上に調整してN濃
度の低下を抑制することを特徴とする請求項1〜5のい
ずれかに記載の時効硬化性が大きい極低炭素鋼板用圧延
素材の製造方法。 - 【請求項7】真空脱ガス設備におけるAlによる脱酸時
に、溶鋼中に、[mass%C]/[mass%N]≦0.1で
あるN含有合金を溶鋼中に添加してN濃度を制御するこ
とを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の時効硬
化性が大きい極低炭素鋼板用圧延素材の製造方法。 - 【請求項8】溶鋼にN含有合金を添加する際、真空槽内
圧力を2×103Pa以上に調整してN濃度の低下を抑
制することを特徴とする請求項7記載の時効硬化性が大
きい極低炭素鋼板用圧延素材の製造方法。 - 【請求項9】成分調整した溶鋼の組成が、Si:1.0
mass%以下、Mn:2.0mass%以下、Nb:0.00
50〜0.0500mass%、B:0.0005〜0.0
050mass%、Ti:0.070mass%以下で残部は実
質的にFeである請求項1〜8のいずれか1項に記載の
時効硬化性が大きい極低炭素鋼板用圧延素材の製造方
法。
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-
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