JP2002265945A - 調光用液晶光学材料 - Google Patents

調光用液晶光学材料

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JP2002265945A
JP2002265945A JP2001061535A JP2001061535A JP2002265945A JP 2002265945 A JP2002265945 A JP 2002265945A JP 2001061535 A JP2001061535 A JP 2001061535A JP 2001061535 A JP2001061535 A JP 2001061535A JP 2002265945 A JP2002265945 A JP 2002265945A
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light
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Kai Yo
楊  槐
Hirotsugu Kikuchi
裕嗣 菊池
Chisato Kajiyama
千里 梶山
Yoshihiro Furuya
吉啓 古屋
Tetsuyuki Mikota
哲之 三小田
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Kyushu Electric Power Co Inc
Japan Science and Technology Agency
Seiko Electric Co Ltd
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Kyushu Electric Power Co Inc
Seiko Electric Co Ltd
Japan Science and Technology Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 波長に応じて光線に対する透過と反射の程度
が異なり、省エネルギーを図りながら建築物などの窓な
どとして使用するのに好適な調光材料を提供する。 【解決手段】 光重合性液晶モノマーと低分子液晶を含
み、室温付近でスメクチックA(S)相を呈し、それ
よりも高温でカイラルネマチック(N)相を呈する液
晶組成物を少なくとも一方が透明な平行配向処理された
基板間に挟み、平行配向したS相状態で光重合性液晶
モノマーを光重合させることにより形成され、可視光に
対しては常に透明で、可視光よりも長波長の光に対して
は広い波長幅にわたり、透過―選択反射の可逆的熱スイ
ッチングを示す液晶光学材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、短波長光(可視
光)に対しては常に透明で、可視光よりも長波長の光に
対しては広い波長幅にわたり透過―反射の可逆的熱スイ
ッチングを示す新規な液晶光学材料に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、大きな建築物などにおいて、光熱
費の節減のため、窓に種々の機能を有するガラスを用い
る傾向にある。熱線反射ガラスは、ガラス表面に多層薄
膜を製膜し、これにより太陽光線中の赤外線を反射し、
建築物内の温度上昇を抑え、冷房負荷を軽減するもので
ある。しかしながら、該ガラスを用いた場合には可視光
線の透過率の低下を招くこともある。また、夏場だけ、
赤外線を反射できる材料を利用することも所望され、電
場印加により光線透過率を変化させられるエレクトロク
ロミック材料の利用が検討されている。しかし、このた
めには、ガラス表面に透明電極を設け電気配線をする必
要があり、価格が高く成らざるを得ない。また、透過率
の低下は光線の反射ではなく吸収でもたらされるのでガ
ラス自体が高温になり、二次放射が起こるという問題が
生じる。エレクトロクロミック材料以外の材料として
は、近年サーモクロミック材料の利用も研究されてい
る。これは、高温において水に不溶、低温において可溶
な、例えばポリイソプロピルアクリルアミドの水溶液を
基板に挟み、低温において透明、高温において光を散乱
する系を構築することが提案されている。しかしなが
ら、高温において光が散乱されるので、省エネルギーの
目的は達成されるものの、例えば、その用途が窓ガラス
の場合、高温では磨りガラス状態であって、窓の外の景
色が見えないと言う致命的な欠点があり、実用に供する
ことができないのが現状である。
【0003】上記課題を解決するために、液晶の温度変
化における特異な性質を利用して、太陽光線中の特定波
長の光線透過率、および光線反射率を制御可能な調光材
料が研究され、S⇔Nの熱相転移を示す低分子液晶
から成る調光材料が提案されている。S相は、平行配
向した場合に、入射光がほとんど反射されずに透過す
る。また、N相は、分子が螺旋状に配列しており、螺
旋周期ピッチ長と平均屈折率の積に等しい波長を持ち、
螺旋軸方向に平行に入射する円偏光を反射するという性
質がある。この性質は選択反射と呼ばれ、選択反射され
る光の波長範囲、すなわち反射スペクトル幅(波長幅)
は、液晶の光学的異方性である複屈折率とピッチ長の積
で近似できることが報告されている(H.F. Glee
son,H.J.Coles,Mol.Cryst.Li
q.Cryst.,1709−1734(198
9))。そのため、S⇔N熱相転移を示す低分子液
晶は、室温前後で特定波長の光線透過率および光線反射
率が変化し、省エネルギー化に大いに貢献しうる調光材
料として注目されている。すなわち、400nm〜75
0nmの波長の可視光線を透過させ、かつ室温で特定波
長の光線透過率が変化し、例えば、気温の高い夏季にお
いては750nm〜2000nmの波長の熱線を反射
し、冷房負荷の軽減が図れ、また気温の低い冬期におい
ては熱線を確保しつつ、暖房負荷の軽減を図ることがで
きる。従って、該材料を建築物の窓材料などに用いた場
合、十分な省エネルギー化が図れるという効果を奏する
ものと期待される(特開平9−29882)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の調光材料に用い
られるS⇔N熱相転移を示す低分子液晶材料は、室
温前後で平行配向したS相⇔平行配向したN相熱相
転移を可逆的に示すことが要求される。しかしながら、
実際には、分子構造中に不斉炭素を有する光学活性化合
物の螺旋捩れ力があるため、平行配向処理を施したセル
にサンドイッチされた上記の低分子液晶は、N相から
ゆっくりと冷却しても、S相で平行分子配列とは成り
難い。また、S相での透過率はN相からの冷却速度
に強く依存し、冷却速度が速いほどS相の透過率は低
くなり、フォーカル・コニック配向という白濁状態を形
成し易い。さらに、N相では、選択反射の波長幅が狭
く、任意に制御できないという欠点があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、低分子液晶に
加えて光重合性液晶モノマーを含む液晶組成物であっ
て、室温付近でスメクチックA(S)相を呈し、それ
よりも高温でカイラルネマチック(N)相を呈する液
晶組成物を少なくとも一方が透明な平行配向処理された
基板間に挟み、平行配向したS相状態で光重合性液晶
モノマーを光重合させることにより形成され、短波長
光、すなわち、可視光に対しては常に透明であり、それ
よりも長波長の光に対しては広い波長幅にわたり、透過
―選択反射の可逆的熱スイッチングを示すことを特徴と
する液晶光学材料を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下に本発明の液晶光学材料につ
いて、具体的に説明する。図1は本発明の液晶光学材料
の製作段階における、各液晶状態での液晶分子の配向状
態を示した模式図である。図1(a)は、セルに液晶組
成物を注入した直後の液晶分子の配向状態を示す断面模
式図である。図中の1、2は基板、3、4は平行配向
膜、5、6はスペーサ、7は液晶分子、8は光重合性モ
ノマーである。
【0007】本発明において、基板1、2は少なくとも
一方が透明であり、ガラス板、プラスチックフィルム等
を用いることができる。また、基板1、2の少なくとも
一方には、内側表面に配向膜やラビング処理等の平行配
向処理3、4を施す。図に示されるように、液晶光学材
料収容用セルは、一般に上下の基板1、2の間を、ガラ
スまたは高分子材料からなるスペーサ5、6で挟持され
ている。スペーサ5、6の厚みは、2〜50μm程度と
する。
【0008】セルへの光重合性液晶モノマーと低分子液
晶からなる液晶組成物の注入は、液晶組成物が等方相状
態を示す温度で、毛細管現象によりおこなう。
【0009】図1(b)は、等方相からN相に冷却し
たときの液晶分子の配向状態を示す断面模式図である。
図1(c)は、液晶組成物がS⇔N熱相転移温度よ
り2K低い温度で、数分〜数十分間保持したときの液晶
分子の配向状態を示す断面模式図であり、S相におけ
る液晶分子(7)の長軸が基板に対して平行となる平行
分子配列が得られるため、入射光が透過できる。
【0010】図1(d)は、図1(c)のS相状態に
紫外線を照射し、液晶組成物の光重合性液晶モノマー
(8)を光重合させた後の液晶分子の配向状態を示す断
面模式図である。図1(d)に示されるように、液晶の
平行配向のダイレクタ方向に平行に一軸配向した高分子
ネットワーク9が形成され、入射光が透過できるS
の液晶分子の平行分子配列状態が固定化される。
【0011】このようにして得られた透明状態を初期状
態とする液晶光学材料を加熱すると、液晶光学材料はN
相へと熱相転移し、液晶分子が基板配向膜のアンカリ
ング、および液晶分子と高分子ネットワークとの相互作
用により、N相の螺旋軸が基板に対して垂直になる分
子配列、すなわち、液晶分子が基板に対して均一な平行
(プレーナ)分子配列状態へと変化する。
【0012】上記の液晶光学材料は、液晶分子が基板配
向膜のアンカリング、および液晶分子と高分子ネットワ
ークとの相互作用により、室温前後での昇温、および冷
却の速度に依存せず、平行配向したS相⇔平行配向し
たN相熱相転移を可逆的に示すことが可能である。
【0013】本発明の液晶光学材料は、可視光に対して
は透明であり、可視光よりも長波長の光に対しては透過
―選択反射の可逆的熱スイッチングを示す。図2は、本
発明により製作される液晶光学材料において、S相⇔
相熱相転移に基づくこのような熱光学特性を示した
模式図である。波長λとλ(λ≠λ)を含む入
射光が、図2(a)に示されるように透過できるS
から、この液晶光学材料をS⇔N熱相転移温度以上
に加熱すると、液晶光学材料は、図2(b)に示される
ように平行配向したN相へと熱相転移する。N
は、選択反射という性質があり、すなわち、その螺旋の
向きおよび螺旋周期ピッチ長Pと平均屈折率nの積と等
しい波長λ(λ=nP)を持つ、螺旋軸方向に平行に入
射する円偏光を反射するという性質がある。もし、λ=
λならば、図2(b)に示されるように、N相を示
す温度領域では、波長λの入射円偏光は反射される。
液晶組成物の構成成分、例えば、カイラルドーパントの
濃度を調整することにより、これらの条件を満たし所望
の選択反射を行う液晶光学材料を得ることができる。
【0014】さらに、本発明の液晶光学材料は、低分子
液晶に加えて、光重合性液晶モノマーを光重合させるこ
とにより形成した高分子ネットワークを含み、この結
果、選択反射の波長幅がきわめて拡大されている。すな
わち、本発明の液晶光学材料は、可視光よりも長波長の
光に対して1000nm以上の波長幅、一般的には10
00〜1500nmの波長幅にわたり選択反射を行うこ
とができる。
【0015】N液晶の選択反射の波長幅、すなわち、
反射スペクトル幅△λは、液晶の光学的異方性である複
屈折率△nとピッチ長Pの積△nPに近似できることは
知られている。本発明の液晶光学材料おいて、低分子液
晶と高分子ネットワークとの界面における相互作用の強
さは、界面からの距離に依存する。そのため、液晶光学
材料中では、局所的にこの相互作用の強さが異なり、こ
の異なる相互作用の強さに対応して、N相における螺
旋構造のピッチ長も局所的に異なる。従って、複合系の
相の選択反射の波長幅△λは、△λ=△nPでな
く、△λ=△n(P+△P)となる。すなわち、液晶光
学材料中の低分子液晶と高分子ネットワークとの相互作
用により、N相の螺旋構造のピッチ長の分布が広が
り、選択反射のバンド幅は拡大される。さらに、照射す
る紫外線強度に勾配をつけたり、重合温度に勾配を設け
たり、光重合性液晶モノマーを複数使用し、その間の反
応性の差を利用して、選択反射の波長幅△λを積極的に
拡大してもよい。
【0016】図3は、本発明に従い製作された液晶光学
材料であり、螺旋の向きが反対で同じ組成の二つのセル
を積み重ねてなるセルの模式図である。N相では、螺
旋周期ピッチ長と平均屈折率の積に等しい波長を持ち螺
旋軸方向に平行に入射する円偏光だけを反射するため、
太陽光線中の赤外線に対する選択反射率は、通常約50
%である。しかし、図3に示すような、螺旋の向きが反
対で、同じ組成の二つのセルを積み重ねてなるセルで
は、N相の選択反射率が90%以上とすることができ
る。従って、S相⇔N相の熱相転移に基づいて、可
視光に対しては常に透明だが、赤外線に対して透過―選
択反射の可逆的熱スイッチングを示す、熱感応性の赤外
遮光材料を実現することが可能となる。
【0017】本発明の液晶光学材料を得るのに用いられ
る液晶組成物は、一般に、光重合性液晶モノマーと低分
子液晶の他に、カイラルドーパントを含有し重合開始剤
がドープされている。本発明において使用される光重合
性液晶モノマー、あるいは光重合性モノマーとしては、
アクリロイル基、ビニル基、エポキシ基などの汎用の光
重合性基を有する高分子樹脂の前駆体であって、低分子
液晶とカイラルドーパントに相溶し均一液晶相を呈する
ものであればいずれも使用できるが、液晶相の配向が乱
れないようにするためには、光重合性基を2個有する2
官能性モノマーが好ましい。特に、低分子液晶とカイラ
ルドーパントとの相溶性の向上、およびコントラストを
良好にするためには、液晶構造またはこれに類似する構
造を分子構造中に含むものが好ましい。例えば、最低1
個のベンゼン環をその分子構造中に含むのである。ま
た、これらの光重合性液晶モノマー、あるいは光重合性
モノマーは、単独あるいは多種のモノマー、オリゴマー
と混同しても使用できる。また、光重合性液晶モノマー
と低分子液晶は、それぞれの常光屈折率nと異常光屈
折率nが、実質的に等しいものが好ましい。
【0018】また、本発明において使用される低分子液
晶は、室温付近、一般的に−20〜22℃においてスメ
クチックA(S)相を呈し、それよりも高温、一般的
に22〜80℃においてカイラルネマチック(N)相
を呈するものであればよく、市販されているスメクチッ
クA低分子液晶やネマチック低分子液晶とカイラルドー
パントを混合してもよい。このとき、S相、およびN
相を示す温度範囲、およびS⇔N相転移温度は、
スメクチックA低分子液晶とネマチック低分子液晶の組
成比を調整することで自由に設定可能である。また、N
相における選択反射の波長域は、液晶光学材料中のカ
イラルドーパントの含有率を調整することにより制御可
能である。
【0019】例えば、スメクチックA低分子液晶として
S2,S6およびS7(メルク社製)、ネマチック低分
子液晶としてE7、E8、E44、E48、TL−20
5、TL−213、TL−215(メルク社製)等のも
のが好ましく使用されるが、これらに限定されるもので
はない。
【0020】また、カイラルドーパントとしては、分子
構造中に不斉炭素を有する光学活性化合物(不斉炭素を
有する低分子液晶を含む)であって、本発明に従う液晶
光学材料を構築する光重合性液晶モノマーと低分子液晶
の混合物に相溶するものが使用される。カイラルドーパ
ントの混合比は、目的とする液晶光学材料の螺旋ピッチ
により決定される。可視光線、および赤外光線の選択反
射型として使用する場合は、それぞれの螺旋ピッチ長範
囲が0.25〜0.5μm、および0.5〜1.5μm
へと変化とするのが望ましい。市販されているCB−1
5、S(R)―811、S(R)―1082、ZLI―
4572(4571)(メルク社製)、CM21 (2
0) (チッソ社製) などのものが好ましく使用される
が、これらに限定されるものではない。螺旋ピッチ補償
用として、2種類以上のカイラルドーパントを用いても
よい。カイラルドーパントは、一般に、液晶を形成する
分子構造、またはそれに類似した構造を有する低分子化
合物である。
【0021】本発明に従う液晶光学材料を製作するに
は、各成分の組成比は、光重合性液晶モノマーと低分子
液晶の合計を100重量%として、光重合性液晶モノマ
ーを1〜10重量%、低分子液晶を90〜99重量%と
し、低分子液晶に対してカイラルドーパントを1〜30
重量%とするのが好ましい。光重合性液晶モノマーを
10重量%以上にすると、液晶分子と高分子ネットワー
クとの相互作用が強くなりすぎるため、液晶光学材料の
相⇔N相熱相転移により液晶分子が再配列し、温
度に対する低分子液晶の螺旋構造のピッチ長の変化が難
くなる。一方、光重合性液晶モノマーの量が1重量%以
下になると、液晶光学材料のN相の選択反射の波長幅
が狭くなり、N相からS相に冷却したときに、平行
配向したS 相を形成し難くなり、透過率が下がる。ま
た、カイラルドーパントが1重量%より少ないとN
の螺旋ピッチ長は長すぎ、30重量%より多くなると相
分離が起こったり、液晶性がなくなったりする。また、
スメクチックA低分子液晶/ネマチック低分子液晶の相
対比率が大きいほど、S相⇔N相熱相転移温度は高
くなり、カイラルドーパントの含有率が少ないほど、N
相の螺旋構造のピッチ長が長くなり、選択反射を示す
波長域が長波長側にシフトする。
【0022】本発明に従う液晶光学材料を製作するに
は、さらに、光重合性液晶モノマーに対して光重合開始
剤を1〜30重量%添加するのが好ましい。該光重合開
始剤としては、例えば、2、2−ジエトキシアセトフェ
ノンなどのアセトフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾフ
ェノン系、チオキサンソン系、ジアゾニウム系、スルホ
ニウム塩系、ヨードニウム塩系、セレニウム塩系等の通
常の光重合剤が使用できる。光重合開始剤は、光重合性
モノマーと低分子液晶の混合物に溶解、あるいは相溶す
るものが使用される。
【0023】
【実施例】次に、本発明の実施例を記すが、本発明はこ
れらの実施例によって制限されるものではない。図4
に、本実施例で使用した試料の化学構造式を示す。な
お、図4においてK、S、N、Iの間の数字は、K
(結晶相)、S(スメクチックA相)、N(ネマチッ
ク)およびI(等方相)の間の相転移温度を示す。例え
ば、光重合性液晶モノマーMPBAHBは、結晶相−ネ
マチック相転移が356.4 Kであり、ネマチック−等
方相転移が388.8Kである。
【0024】<実施例1>光重合性液晶モノマー(MP
BAHB、合成)5重量%、スメクチックA液晶(S
6、メルク社製)59.7重量%、ネマチック液晶(E
48、メルク社製)32.1重量%、カイラルドーパン
ト(ZLI−4572、メルク社製)3.2重量%、お
よび光重合開始剤(2、2−ジメトキシ−2−フェニル
アセトフェノン、TCI社製)1重量%を共通良溶媒で
あるアセトン溶液で混合し、溶媒蒸発法により液晶組成
物混合液Aを調製した。液晶組成物混合液Aの相転
移温度は、K272.1S295.7N339.9
Iであった。
【0025】次に、この液晶組成物混合液Aを液晶評
価用標準平行配向セル(ポリイミド平行配向処理ソーダ
ライムガラス、膜厚15μm、E・H・C(株)社製)
に等方相状態で注入した。
【0026】次に、上記のセルを等方相からS相を示
す温度領域まで、できるだけゆっくり冷却すると、図1
(c)に示される平行分子配列となり、透明状態となっ
た。このS相の状態で、紫外線(4W、365nm)
を20分間照射し、図1(d)に示されるような液晶光
学材料の評価用セルAを製作した。
【0027】図5は紫外線照射後の試料Aから、液晶
とカイラルドーパントだけを溶解するヘキサンで、液晶
光学材料から液晶とカイラルドーパントを抽出した後の
高分子ネットワークの走査型電子顕微鏡による観察像で
ある。図5から液晶光学材料中に、基板に平行配向した
液晶のダイレクタ方向と平行に一軸配向した高分子ネッ
トワークが形成されることが明らかとなった。
【0028】比較例として、実施例1のスメクチックA
液晶69.2重量%、ネマチック液晶33.9重量%、
カイラルドーパント3.2重量%を用いて、高分子ネッ
トワークのない液晶組成物混合液aを調製し、液晶評
価用標準平行配向セルに等方相状態で注入し、評価用セ
ルaを製作した。液晶組成物混合液aの相転移温度
は、ケルビン単位でK272.4S300.1N
37.0Iであった。
【0029】図6は、試料A、および試料aが、N
相である303.2 Kにおける反射率、および透過率
の波長依存性である。高分子ネットワークを含む試料A
は、含まないaに比べ、選択反射の波長幅が拡大し
ており、試料内の高分子ネットワークの存在により、螺
旋構造のピッチ長の分布が広がったことが示唆された。
【0030】また、試料AをN相から冷却してS
相に転移させ、波長の光の透過率を測定したところ、8
0%以上透過しており、図3(a)に示されるような、
入射光線を反射しない、透明な平行配向状態に可逆的に
戻った。この配向の可逆性は、高分子ネットワークのな
い試料aでは困難であることから、高分子ネットワー
クがS相の平行配向を安定化していることが示唆され
た。
【0031】<実施例2>実施例1の光重合性液晶モノ
マー5重量%、スメクチックA液晶56.2重量%、ネ
マチック液晶30.3重量%、カイラルドーパント8.
5重量%、および光重合開始剤1重量%を用いて、実施
例1と同様にして、評価用セルAを製作した。液晶組
成物混合液Aの相転移温度は、ケルビン単位でK27
4.1S293.1N344.2Iであった。
【0032】<実施例3>実施例1の光重合性液晶モノ
マー5重量%、スメクチックA液晶60.5重量%、ネ
マチック液晶32.5重量%、カイラルドーパント2重
量%、および光重合開始剤1重量%を用いて、実施例1
と同様にして、評価用セルAを製作した。液晶組成物
混合液Aの相転移温度は、ケルビン単位でK272.
0S295.8N339.5Iであった。
【0033】図7は、試料A、Aが、N相である
303.2Kにおける、反射率の波長依存性である。カ
イラルドーパントの含有率2.0 重量%の試料Aは、
含有率8.5重量%のAに比べ、選択反射を示す波長
域が長波長側にシフトした。
【0034】以上の結果から、本発明に従い作製された
液晶光学材料は、高分子ネットワークの存在により選択
反射の波長幅が拡大され、また、カイラルドーパントの
混合率を調整することで、選択反射の波長域を制御可能
である。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明で提供する
調光用液晶光学材料は、短波長光(可視光)に対しては
常に透明であり、赤外光を含む長波長の光に対しては広
い波長幅にわたり、透過―選択反射の可逆的熱スイッチ
ングを示す、熱感応性の赤外遮断材料として実現された
ものである。本発明の調光用液晶光学材料を、種々の建
築物の窓、および車の窓材料として用いた場合、可視光
線を透過しつつ、気温の高い夏季においては熱線を反射
し、気温の低い冬季においては熱線を確保できるため、
光熱費の軽減を図ることができる。従って、該材料を建
築物および車の窓材料などに用いた場合には、省エネル
ギー化が図れるという優れた効果を奏す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶光学材料の製作段階における各液
晶状態での液晶分子の配向状態を示した模式図である。
【図2】本発明に従い製作される液晶光学材料におけ
る、平行配向したS相⇔平行配向したN相熱相転移
に基づく熱光学特性を示した模式図である。
【図3】本発明に従い製作されるN相における螺旋構
造の向きが反対であり組成が同じである二層の液晶光学
材料を積み重ねてなるセルの模式図である。
【図4】本発明の実施例において使用された光重合性液
晶モノマー、低分子液晶、カイラルドーパントおよび光
重合開始剤の化学構造式である。
【図5】本発明の実施例1における評価セルAから、
液晶とカイラルドーパントを溶解するヘキサンで液晶と
カイラルドーパントを抽出した後の高分子ネットワーク
の走査型電子顕微鏡による観察像である。
【図6】本発明の実施例1における、評価用セルa
およびAが、N相である303.2 Kにおける、反
射率および透過率の波長依存性である。
【図7】本発明の実施例2、3における、評価用セルA
、Aが、N相である303.2 Kにおける、反射
率の波長依存性である。
【符号の説明】
1、2 基板 3、4 平行配向膜 5、6 スペーサ 7 液晶分子 8 光重合性モノマー 9 高分子ネットワーク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 591212718 株式会社正興電機製作所 福岡県福岡市博多区東光2丁目7番25号 (72)発明者 楊 槐 福岡県福岡市東区名島4−28−1ダイアパ レス名島第2 404 (72)発明者 菊池 裕嗣 福岡県福岡市東区箱崎6−10−1 九州大 学大学院工学研究院内 (72)発明者 梶山 千里 福岡県福岡市東区箱崎6−10−1 九州大 学大学院工学研究院内 (72)発明者 古屋 吉啓 福岡県福岡市東区馬出5−3−1 (72)発明者 三小田 哲之 福岡県福岡市中央区渡辺通2−1−82 九 州電力株式会社内 Fターム(参考) 4H027 BA02 BA04 BA13 BB11 BD24 BE01 CE02 4J011 AA05 AC04 PA22 PA30 PC02 QA15 SA01 SA21 SA31 SA64 SA74 SA79 SA83 UA01 WA10

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光重合性液晶モノマーと低分子液晶を含
    む液晶組成物であって、室温付近でスメクチックA(S
    )相を呈し、それよりも高温でカイラルネマチック
    (N)相を呈する液晶組成物を少なくとも一方が透明
    な平行配向処理された基板間に挟み、平行配向したS
    相状態で光重合性液晶モノマーを光重合させることによ
    り形成され、可視光に対しては常に透明で、可視光より
    も長波長の光に対しては広い波長幅にわたり、透過―選
    択反射の可逆的熱スイッチングを示すことを特徴とする
    液晶光学材料。
  2. 【請求項2】 可視光よりも長波長の光に対しては10
    00nm以上の波長幅にわたり選択反射できることを特
    徴とする請求項1の液晶光学材料。
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