JP2002265832A - 分散剤 - Google Patents

分散剤

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JP2002265832A
JP2002265832A JP2001072160A JP2001072160A JP2002265832A JP 2002265832 A JP2002265832 A JP 2002265832A JP 2001072160 A JP2001072160 A JP 2001072160A JP 2001072160 A JP2001072160 A JP 2001072160A JP 2002265832 A JP2002265832 A JP 2002265832A
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JP2001072160A
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Masazumi Hasegawa
正積 長谷川
Hideji Okame
秀治 大亀
Kazumi Furuta
和美 古田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の目的は、有機顔料及び無機顔料の分散
性に優れ、インク溶液中の顔料濃度を高くしても溶液粘
度の上昇が小さく、かつ、長期保存安定性に優れ、被記
録体にインクを印刷、乾燥後は水に対して再分散性が無
い、所謂、耐水性が高く、印刷時の滲み問題が無く、更
に、耐擦過性に優れた無機顔料、有機顔料に好適なイン
ク用分散剤を提供することである。 【解決手段】スルフォン酸基含有共重合体であって、そ
の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.5〜
15であり、かつ、その重量平均分子量が8,000〜
50,000であることを特徴とするインク用分散剤を
製造し、用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、印刷インク、ボー
ルペンなど筆記具のインク、インクジェット用インクに
用いた時、高濃度でも分散特性及び保存安定性に優れ、
更に、耐熱性、耐水性が高く、擦過性に優れ、普通紙に
印刷した時の滲み等が発生しない無機顔料及び有機顔料
に好適なインク用分散剤に関する。
【0002】
【従来の技術】無機顔料或いは有機顔料を水系に分散さ
せる為の分散剤として、低分子量のポリカルボン酸及び
その塩、ナフタレンスルフォン酸のフォルマリン縮合体
及びその塩、リグニンスルフォン酸及びその塩等が一般
に分散剤として使用されていることは公知である。印刷
用途に要望される特徴は顔料の分散性及び貯蔵安定性で
ある。これらの要望を満たす方法として、例えばアクリ
ル酸とマレイン酸の共重合体の塩(特開昭48−792
30号公報、特開昭53−129200号公報)が提案
されている。また、顔料分散液の更なる保存安定性向上
を狙い、例えば、特開平07−316999号公報、特
開平12−327946号公報等にはアクリル酸とマレ
イン酸の共重合比、分子量分布、中和度を規制すること
で、長期保存性の向上方法の提案がなされている。
【0003】一方、インクジェット記録分野では微細な
ノズルからインクを小滴として噴射して、文字や図を被
記録体に記録する方法で、これに用いられるインクにお
いて、従来は水溶性の染料が用いられてきた。近年、記
録体の画質向上、カラー化、耐光性の要望に応える為、
無機顔料や有機顔料を水に分散させたインクが開発され
つつある。これらのインクに要望される機能は以下の通
りである。
【0004】顔料の分散性に優れ、長期間保存しても
顔料などの沈殿が生じないこと。
【0005】連続印字しても安定した吐出が維持でき
ること。
【0006】紙等に印刷しても、色むら、特に滲みが
発生しないこと。
【0007】印刷後、指でこすったり、爪で引掻いて
もインクが剥がれない、所謂、擦過性に優れること。
【0008】印字濃度が高いこと。
【0009】熱エネルギーを付与して液滴を吐出させ
て記録を行う方式の場合は高温に晒されても顔料などの
凝集が発生しない、所謂、耐熱性を有すること。
【0010】これらの要求機能の内、例えば、印字体の
濃度が染料系より劣る問題を解決する為、顔料濃度を高
くすると、分散液の粘度が高くなり、インクの吐出安定
性に問題が発生したり、高密度記録を行う為、ノズル径
は非常に小さいものを使用しているので、その先端で乾
燥によりインク液が固化し不吐出が発生するとの問題を
抱えていた。これらの問題を解決する為、特開平08−
003498号公報、特開平03−210373号公報
では用いるカーボンブラックの特性を規定したり、分散
剤として用いる水溶性樹脂との比率を規定する方法を提
案している。これらの方法で、吐出問題は大幅に改善さ
れるが、滲み、貯蔵安定性、特に、耐熱性に関して、更
なる改良が要望されているのが現状である。
【0011】また、被記録体が紙の場合、浸透性の異な
る繊維により引き起こされる滲みの問題がある。特に、
再生紙を用いた場合、浸透速度の異なる種々の繊維を含
有している為、滲みの問題は更に深刻になる。この問題
を解決する為、特公平02−002907号公報では湿
潤剤として、エチレングリコール類の開示、特開平10
−095941号公報では、特定のグリコール類が滲み
防止に効果があるとの提案がなされている。更に、特開
平12−313830号公報では、滲み防止に特定のカ
ーボンブラックを用い、かつ、界面活性剤、アルコール
類の添加を提案している。この方法は滲み防止に効果は
あるが、耐擦過性や耐熱性に改良の余地が残されてい
る。
【0012】自己分散型顔料を用いるインクは、擦過性
に関して問題を抱えており、耐擦過性を向上させる為、
粘着性の水溶性樹脂を添加したりしているが、同樹脂を
添加すると、分散性や滲み防止効果が劣るとの問題を抱
えていた。
【0013】一方、顔料分散に好適なインクジェット用
分散剤に関しては、例えば、特公平01−015542
号公報で、ポリ(メタ)アクリル酸、ナフタレンスルフ
ォン酸縮合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレ
ン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−イタコン
酸共重合体などの塩を開示している。この提案材料は分
散効果には好適であるが、耐熱性、滲み防止には改良の
余地が残されている。特開平07−242849号公
報、特開平10−314570号公報では、長期に保存
しても、沈殿が生じない保存安定性、吐出安定性に好適
な分散剤として、スチレン−スチレンスルフォン酸ナト
リウム塩の提案を行っている。この材料は分散性、耐熱
性に関して、優れているものの、耐水性、、長期保存安
定性に若干の課題を残していた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】以上、上記の要望を全
て満たす方法或いは、分散剤は世の中に無く、開発が待
たれているのが現状である。
【0015】本発明の目的は、有機顔料及び無機顔料の
分散性に優れ、インク溶液中の顔料濃度を高くしても溶
液粘度の上昇が小さく、かつ、長期保存安定性に優れ、
被記録体にインクを印刷、乾燥後は水に対して再分散性
が無い、所謂、耐水性が高く、印刷時の滲み問題が無
く、更に、耐擦過性に優れた無機顔料、有機顔料に好適
なインク用分散剤を提供することである。
【0016】
【課題を解決する為の手段】本発明者らは、鋭意検討を
行った結果、スチレンスルフォン酸リチウム塩とスチレ
ンの重合体である特定のスルフォン酸基含有共重合体が
特に優れた機能を発現することを見出し、本発明を完成
するに至った。
【0017】即ち、本発明は、下記繰り返し単位1及び
繰り返し単位2を必須の構成要素とするスルフォン酸基
含有共重合体であって、その分散度(重量平均分子量/
数平均分子量)が1.5〜15であり、かつ、その重量
平均分子量が8,000〜50,000であることを特
徴とするインク用分散剤である。
【0018】
【化2】 (式中、Rは水素原子、炭素数1〜4の炭化水素基又は
塩素原子を示す。) 以下、本発明について詳細に説明する。
【0019】本発明のスルフォン酸基含有共重合体は、
上記の繰返し単位1及び繰返し単位2を必須成分とする
ものであり、該共重合体を用いた水性分散体は、分散
性、耐水性に優れた特徴を示す。該重合体をインクジェ
ット用インクの分散剤に用いた時は上記の特徴に加え、
更に、貯蔵安定性、耐擦過性及び滲み防止に卓越した機
能を発現する。
【0020】ここで、Rは、水素原子、炭素数1〜4の
炭化水素基又は塩素原子であり、例えば、ビニルトルエ
ン、エチルスチレン、n−プロピルスチレン、イソプロ
ピルスチレン、n−ブチルスチレン、イソブチルスチレ
ン、t−ブチルスチレン、クロルスチレンなどが挙げら
れる。炭素数が4を越える場合は分散性や長期保存性が
低下するので好ましくない。
【0021】本発明の繰り返し単位2であるスルフォン
酸リチウム塩基含有単量体の製法の一例を以下に示す。
まず、カチオン交換樹脂、例えば、オルガノ社製IR−
120Bをカラム充填し、その後1Nの塩酸水溶液をそ
のカラムに滴下して、イオン交換樹脂を酸型に変換す
る。その後、東ソー製スピノマーNaSS、つまり、ス
チレンスルフォン酸ナトリウム塩単量体をイオン交換水
に所定の濃度(例えば、20%水溶液濃度)になるよう
に調整する。引き続いて、その調整液を上述のカラムに
滴下して、スチレンスルフォン酸水溶液を作る。その水
溶液に水酸化リチウム水溶液を添加してpH7にするこ
とで容易にスチレンスルフォン酸リチウム塩単量体溶液
を作ることが出来る。粉体にする必要があれば、スプレ
ードライヤーで乾燥すれば粉体が得られる。スルフォン
酸リチウム塩基含有単量体の製法は、フェネチルアルコ
ールを原料とする方法やβ−ハロエチルベンゼンを出発
とする方法からも作ることが出来、本開示方法に限定さ
れるものではない。本発明における繰り返し単位1の
内、アルキル基含有スチレン化合物の合成法は、アルキ
ル−クロルベンゼンを出発化合物として、グリニヤール
法によるビニル化を行う方法で容易に合成できる。ま
た、ビニル−クロルベンゼン化合物は、例えば、β−ヒ
ドロキシエチル−クロルベンゼンを出発化合物として、
脱水反応によるビニル化を行うことで化合物を得ること
が出来る。繰り返し単位1の化合物を合成する方法もこ
れに限定されるものではない。
【0022】本発明のインク用分散剤において、繰り返
し単位1と繰り返し単位2の割合は、用途によって異な
るが、本発明のインク用分散剤をインクジェット用イン
クに用いる場合のモル比の範囲は、分散性、保存安定
性、滲み等を考慮すると好ましくは5/95〜75/2
5、さらに好ましくは35/65〜75/25、特に好
ましくは45/55〜75/25の範囲が良い。無機顔
料の分散に使用する場合は、繰り返し単位1/繰り返し
単位2のモル比の範囲は、5/95〜75/25が好ま
しく、耐水性を重視する場合は、25/75〜75/2
5の範囲がさらに好ましい。
【0023】本発明のスルフォン酸基含有共重合体中に
おける必須成分である繰り返し単位1と繰り返し単位2
の合計の含有率は、機能を損ねない限り、特に限定はな
いが、分散性を考慮すると、好ましくは50モル%以上
である。特に、インクジェット用インクの分散剤に使用
する為には、分散性に加え、長期保存安定性もより厳し
いものが要求されるので、好ましくは50モル%以上、
さらに好ましくは70モル%以上である。この時、第三
成分として用いられる単量体としては、特に限定はな
く、一般に使用されている単量体を用いて良い。例え
ば、(メタ)アクリル系では、(メタ)アクリル酸、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ
ル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸
ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリ
ル酸オクチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、
(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸フェニ
ル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリルア
ミド、アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−
ジメチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。ビ
ニル系として、ビニルフォルムアミド、ビニルアセトア
ミド、塩化ビニル、酢酸ビニル等が挙げられる。また必
要があれば、該アミド系ビニルモノマーを重合後、加水
分解して、アミノ基に変換しても良い。酢酸ビニルの場
合も重合後、加水分解してOH基に変換しても良い。芳
香族含有単量体として、ビニルナフタレン、ビニルアン
トラセン、ビニルフェナンスレンなどが挙げられるが、
第三成分としては、これらに限定されるものではない。
【0024】本発明のインク用分散剤は、上述の要領で
得られた単量体を用いて、所望の構成比率で、通常のラ
ジカル重合法で製造できる。この時用いる重合溶媒は、
繰り返し単位1、繰り返し単位2及び第三成分を溶解す
る溶媒であれば特に限定するものでは無いが、生成重合
体を溶解する溶媒を用いればより好ましい。例えば、D
MF(ジメチルフォルムアミド)、DMSO(ジメチル
スルフォキシド)、エタノール、NMP(N−メチルピ
ロリドン)等の有機溶媒或いは該有機溶媒と水との混合
物等が挙げられる。この時用いる重合開始剤は、重合溶
媒に溶解するものであれば特に限定するものではない。
例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫
酸塩、或いはキュメンハイドロペルオキシド、t−ブチ
ルハイドロペルオキシド等の有機過酸化物、2,2−ア
ゾビスアミジノプロパン塩酸塩、2,2−アゾビスイソ
ブチロニトリル、4,4−アゾビス(4−シアノペンタ
ノイック酸)等のアゾビス系開始剤などが使用できる。
重合生成物の分子量は、投入する両単量体と重合開始剤
の量比でコントロールできる。更に、必要があれば、連
鎖移動剤を併用しても良い。この時用いる連鎖移動剤
は、重合溶媒に溶解し、分子量コントロールが容易に行
える化合物であれば特に限定するものではない。例え
ば、チオグリセロール、メルカプトエタノール、メルカ
プト酢酸、メルカプトプロピオン酸、メルカプトプロピ
オン酸エステル、ドデシルメルカプタンなどが挙げられ
る。
【0025】本発明のインク用分散剤の重量平均分子量
は、8,000〜50,000であり、より好ましくは
10,000〜40,000、さらに好ましくは11,
000〜30,000である。重量平均分子量が8,0
00未満では顔料の長期保存安定性が劣り、50,00
0以上では分散性が低下し、かつ、粘度が高いことによ
るハンドリングの悪化が問題になる。特に、本発明のイ
ンク用分散剤をインクジェット用インクに用いた場合、
分散性、長期保存安定性等を考慮すると最適分子量の幅
は更に狭くなり、10,000〜30,000、より好
ましくは11,000〜20,000の範囲が良い。本
発明のスルフォン酸基含有共重合体の分散度(Mw/M
n)は、1.5〜15、より好ましくは、1.8〜12
の範囲が良い。分散度(Mw/Mn)が、1.5未満の
場合は製造困難であり、15を越える場合は長期保存安
定性が低下し好ましくない。
【0026】このようにして製造した液状の分散剤を粉
末にする必要がある場合は、スプレードライヤーを用い
る方法或いは重合体は溶解しないが、重合溶液とは任意
に混合しうる有機溶媒(貧溶媒)中に該重合溶液を滴下
し、重合体を沈殿、乾燥させる方法で得られる。生成重
合体の機能を損わない限り、粉末化する方法は特に限定
するものではない。
【0027】また、本発明のインク用分散剤を製造する
方法として、スチレンとスチレンスルフォン酸リチウム
塩からなるスルフォン基含有共重合体の場合は、目的と
する重量平均分子量のスチレンポリマーを用いて、四塩
化炭素等のハロゲン基含有炭化水素溶媒中にスチレンポ
リマーを溶解させ、その後、定法に従って、例えば、S
3等を用いてスルフォン化し、水酸化リチウム水溶液
で中和する方法で得ることが出来る。この時のスルフォ
ン化率は用いるSO3量、反応温度、反応時間などをコ
ントロールすることで、目的物を作ることが出来る。
【0028】本発明のインク用分散剤を用いて無機顔料
を分散させる方法について述べる。
【0029】本発明のインク用分散剤は無機顔料等に、
水溶液、固形状、粉末状いずれの形態で添加しても良
い。また添加する順番は特に制限はない。インク用分散
剤の添加量は、無機顔料の種類、粒子径、スラリー濃
度、スラリー温度等によって変化するが、通常スラリー
量100重量部に対して、本発明のインク用分散剤を固
形分換算で、0.1重量部から20重量部の範囲で充分
機能を発現する。
【0030】本発明のインク用分散剤をインクジェット
用インクに適用する場合について述べる。本発明に用い
ることが出来る着色剤としての顔料は、特に限定される
ものではなく、主溶媒である水と若干でも親和性があれ
ば使用でき、例えば、カーボンブラック類として、ファ
ーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラッ
ク、チャネルブラックなどが挙げられ、無機顔料の例と
しては、銅、鉄、酸化チタン等の金属類、有機顔料の例
としては、アニリンブラック等、トルイジンレッド、ト
ルイジンマルーン、ハンザエロー、ベンジジンエロー、
ピラゾロンレッド等の不溶性アゾ系顔料、リトールレッ
ド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマ
ネントレッド2B等の溶解性アゾ顔料、アリザリン、イ
ンダントロン、チオインジゴマルーン等の建染染料の誘
導体、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン
等のフタロシアニン系有機顔料、キナクリドンレッド、
キナクリドンマゼンタ等のキナクリドン系有機顔料、ペ
リレンレッド、ペリレンスカーレット等のペリレン系有
機顔料、イソインドリノンエロー、イソインドリノンオ
レンジ等のイソインドリノン系有機顔料、ピランスロン
レッド、ピランスロンオレンジ等のピランスロン系有機
顔料、チオインジゴ系有機顔料、縮合アゾ系有機顔料、
ベンズイミダゾロン系有機顔料、キノフタロンエロー等
のキノフタロン系有機顔料、イソインドリンエロー等の
イソインドリン系有機顔料、その他に、フラバンスロン
エロー、アシルアミドエロー、ニッケルアゾエロー、銅
アゾメチンエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレ
ンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオ
レット等の顔料、その他顔料表面を樹脂等で処理した加
工顔料などが挙げられる。顔料の使用量は全インク組成
物に対して、0.2重量%〜25重量%、好ましくは1
〜15重量%である。この範囲で使用すれば、印字濃度
及び色調において満足した結果が得られるからである。
また、用いる顔料の粒径は25μm以下が望ましく、よ
り好ましくは1μm以下が良い。この範囲の粒径を用い
ると顔料の沈殿によるノズルの目詰まりを防止しやすい
からである。これらの顔料に添加する本発明のインク用
分散剤の形態及び添加方法は特に限定はなく、粉末状で
も、結晶状でも水溶液でも、また、これらの混合物でも
良い。添加する量は、顔料100部に対して、0.5〜
200重量部、より好ましくは1〜100重量部の範囲
内であれば良い。添加量が少なすぎると分散不良を引き
起こし易く、添加量が多すぎると、粘度の上昇による吐
出不良、印刷印字濃度の低下を引き起こす為好ましくな
い。
【0031】顔料は一般に疎水性が高い為、水に分散さ
せる時、水とのなじみが悪くうまく分散されない現象が
多々起きる。この場合は、界面活性剤を顔料の湿潤剤と
して使用する方法が一般的に行われている。この時用い
られる界面活性剤は、通常使われている界面活性剤であ
れば特に限定するものではないが、本発明のインク用分
散剤を用いる場合は、アニオン系界面活性剤、ノニオン
系界面活性剤が特性上好ましい。ノニオン系界面活性剤
としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニル
エーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテ
ル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポ
リオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレ
ン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオ
キシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキ
ロールアミド、アセチレンアルコールエチレンオキシド
付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコ
ールブロックコポリマー、グリセリンエステルのポリオ
キシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオ
キシエチレンエーテル等が挙げられる。アニオン界面活
性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルフォン酸
塩、アルキルフェニルスルフォン酸塩、高級脂肪酸塩エ
ステルの硫酸エステル塩及びスルフォン酸塩、高級アル
キルスルフォコハク酸塩等が挙げられる。
【0032】また、インクジェット用インクの場合、速
乾性(別名浸透性)が要求される場合がある。本発明の
インク用分散剤は、速乾性を有しているので速乾性を示
す化合物を添加する必要はないが、更なる速乾性が必要
な場合、インクの表面張力を低下させるような化合物、
例えばエタノール、プロパノールのような低級アルコー
ル類、エチレングリコールモノアルキルエーテルに代表
されるセロソルブ類、その他カルビトール類、ジオール
類を添加することで、目的を達成することが出来る。イ
ンク溶液中への添加量は目的から逸脱しない範囲内であ
れば、特に限定はない。例えば、インク溶液中に、0.
5〜25重量%、より好ましくは1〜20重量%程度添
加すれば充分目的は達成できる。
【0033】本発明のインク用分散剤を用いればノズル
の目詰まりは防止できるが、必要があれば、更に、目詰
まり防止剤として、グリセリン、エチレングリコール、
プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,
5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、
1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトー
ル等の高沸点低揮発性の多価アルコール類、ジエチレン
グリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレング
リコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレング
リコール等のポリオール類、マルチトール、ソルビトー
ル、グルコノラクトン、マルトース等の糖類、2−ピロ
リドン、N−メチル−2−ピロリドン、ε−カプロラク
タム等のラクタム類、尿素、チオ尿素、エチレン尿素、
1,3−ジメチルイミダゾリジノン等の高沸点化合物が
挙げられる。その時の添加量は用いる顔料の種類、粒
径、濃度に依存する為適確に量は定められないが、イン
ク溶液中に1〜60重量%、より好ましくは3〜50重
量%の範囲内であれば、充分目的を達成することが出来
る。
【0034】必要があれば、定着剤を添加しても良い。
定着剤としては、水溶性の樹脂であれば特に限定するも
のではない。例えば、ポリビニルアルコール、ヒドロキ
シプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、
メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アル
ギン酸類、水溶性ロジン類、スチレン−アクリル酸樹
脂、スチレン−アクリル酸樹脂の部分エステル樹脂、ス
チレン−マレイン酸、スチレン−マレイン酸部分エステ
ル樹脂、アクリル酸樹脂、アクリル酸樹脂の部分エステ
ル体、イソブチレン−マレイン酸樹脂、ポリビニルピロ
リドン、アラビアゴムスターチ、ポリビニルアミン等の
樹脂を単独或いは混合して用いてい良い。また、その添
加量は0.5〜50重量%、より好ましくは1〜30重
量%である。
【0035】その他、必要があれば、ノニオン系の界面
活性剤、pH調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐
剤及び防かび剤を添加することが出来る。
【0036】上記の化合物を用いて、インクジェット用
インクを製造する時の方法について特に制約は無く、定
法に従って作ることが出来る。例えば、カーボンブラッ
クを例にとると、まず、カーボンブラック、界面活性
剤、分散剤及び溶媒である水を混合し、その後、ペイン
トシェイカー、或いはボールミル等を用いて顔料の分散
或いは粉砕を顔料の粒径が目的の値になるまで行う。引
き続いて、必要があれば、定着剤、目詰まり防止剤等
を、一気に或いは分割して添加する。その後、メンブラ
ンフィルターでゴミ、粒径の大きな顔料などを除いた
後、最後に、浸透剤を添加すればインク溶液を作ること
ができる。更に、必要があれば、pH調節剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤、防腐剤及び防かび剤を更に添加する
ことが出来る。
【0037】pH調節剤としては不揮発性の酸性を示す
化合物或いはアルカリ性を示す化合物であれば特に限定
はない。
【0038】酸化防止剤及び紫外線防止剤としては、分
散性を損わない限り特に限定するものではない。例え
ば、アロハネート類、ビウレット類、アスコルビン酸
類、チバガイギー社製のIrgacor類、Irgan
ox類等が挙げられる。
【0039】防腐剤及び防かび剤としては、安息香酸
塩、ペンタクロロフェノールナトリウム、ソルビン酸ナ
トリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン等
が挙げられるが、これらに限定させるものではない。
【0040】
【実施例】以下、実施例により、本発明のインク用分散
剤の特徴を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定さ
れるものではない。
【0041】製造例1 実験に先立ち、円筒部の最下部にフィルターを取り付け
た、直径10cm、高さ70cmのアクリル性の円筒カ
ラムに、オルガノ社製IR−120Bを50cm程度充
填し、1Nの塩酸20リットルを滴下して、酸型に変え
た後、純水で充分置換を行った。その後、スチレンスル
フォン酸ナトリウム塩(東ソー製、スピノマーNaS
S)15重量部を85重量部の純水に溶解した、水溶液
を該カラムに滴下して、スチレンスルフォン酸ナトリウ
ム塩をスチレンスルフォン酸に変換する。その後、カラ
ムを通過してきた水溶液に5%の水酸化リチウム溶液を
滴下して、pHが7.5になるように調整する。該中和
液をスプレードライヤーで乾燥させて、粉体のスチレン
スルフォン酸リチウム塩を得た。得られた該リチウム塩
中の残存ナトリウム分を原子吸光で測定すると、50p
pm以下と99.9モル%以上がリチウム塩に変換され
ていることを確認した。該粉体は重量分析の結果から1
4.6重量%の水分を含有していることが判った。得ら
れた粉体はチャック付きのビニール袋に入れ、冷暗所に
保存し、必要な時、所定量取出して実験に使用した。
【0042】製造例2 攪拌機付き四つ口フラスコにDMF300重量部添加
後、充分窒素置換を行いながら、70℃に昇温する。引
き続いて、製造例1で製造したスチレンスルフォン酸リ
チウム塩70重量部、スチレン49重量部、開始剤であ
るV−50(和光純薬品)6.8重量部を500重量部
のDMFに溶解させ、充分窒素置換を行った後、約10
時間かけて滴下した。その後、80℃に昇温し、残存モ
ノマーが初期量の20分の1になった時点で重合を終了
させた。その後、重合溶液の10倍量のイソプロパノー
ル液中に、該重合液を2時間かけて滴下した。沈殿物を
濾別後、乾燥器で乾燥させた。生成した重合体の分子量
は標準物質であるスチレンスルフォン酸ナトリウム塩換
算で、重量平均分子量(Mw)が11,000、数平均
分子量(Mn)2,470のポリマーが得られた。つま
り、分散度(Mw/Mn)は4.45となる。分子量の
測定は、TSKgel α−6000とα−3000を
直列につないだカラムを用いた。溶離液は、50mM
塩化リチウム水溶液60部とアセトニトリル40部の混
合液を用い、1ml/min.の流速、温度40℃、U
V検出器で測定した。該ポリマーの元素分析の結果、ス
チレンスルフォン酸リチウム塩が4に対して、スチレン
が6入った共重合体であることが判った。また、該ポリ
マーの30重量%水溶液を製造したところ、該ポリマー
は水に溶解し、無色透明な溶液が得られることを確認し
た。
【0043】製造例3 添加する開始剤量を3.6重量部にした以外は製造例2
と全く同一の方法で重合を実施した。得られたポリマー
の重量平均分子量は21,000、分散度(Mw/M
n)は3.2であった。元素分析の結果から、スチレン
スルフォン酸リチウム塩が4に対して、スチレンが6入
った共重合体であり、水溶性であることを確認した。
【0044】製造例4 添加する開始剤量を1.1重量部にした以外は製造例2
とまったく同一の方法で重合を実施した。得られたポリ
マーの重量平均分子量は29,000、分散度(Mw/
Mn)は2.9であった。元素分析の結果から、スチレ
ンスルフォン酸リチウム塩が4に対して、スチレンが6
入った共重合体であり、水溶性であることを確認した。
【0045】製造例5 攪拌機付き四つ口フラスコにDMF300重量部添加
後、充分窒素置換を行いながら、70℃に昇温する。続
いて、製造例1のスチレンスルフォン酸リチウム塩60
重量部、スチレン66重量部、開始剤であるV−50
(和光純薬品)2.8重量部を500重量部のDMFに
溶解させ、充分窒素置換を行った後、約10時間かけて
滴下した。その後、80℃に昇温し、残存モノマーが初
期量の20分の1程度になった時点で重合を終了させ
た。その後、重合溶液の10倍量のイソプロパノール液
中に、該重合液を2時間かけて滴下した。沈殿物を濾別
後、乾燥器で乾燥させた。製造例2の装置を用いて、生
成した重合体の分子量を測定すると、標準物質であるス
チレンスルフォン酸ナトリウム塩換算で、重量平均分子
量が22,000、分散度(Mw/Mn)が4.9のポ
リマーであった。該ポリマーの元素分析の結果、スチレ
ンスルフォン酸リチウム塩が3に対して、スチレンが7
入った共重合体であることが判った。また、該ポリマー
の30重量%水溶液を製造したところ、該ポリマーは水
に溶解し、わずかに蛍光色の透明な溶液が得られること
を確認した。
【0046】製造例6 攪拌機付き四つ口フラスコに水120重量部、エタノー
ル180重量部入れ、窒素置換を充分行いながら65℃
に昇温する。引き続いて、事前に、スチレンスルフォン
酸リチウム塩85重量部、スチレン40重量部、開始剤
である過硫酸アンモニウム2重量部を純水300重量部
とエタノール250重量部の混合溶媒に溶解させ、充分
窒素置換した溶液を約10時間かけて添加する。添加終
了後、70℃に昇温し、残存モノマーが初期量の20分
の1程度になった時点で重合を終了させる。得られた液
は無色透明であった。その後、ポリマー濃度が30重量
%になるよう蒸留でエタノール分を除去した。残存エタ
ノールが0.05重量%以下の無色透明な水溶液が得ら
れた。製造例2と同様の方法で、該重合体の分子量を測
定すると、重量平均分子量は29,000、分散度(M
w/Mn)は3.4であった。該共重合体の元素分析の
結果から、スチレンスルフォン酸リチウム塩が5に対し
て、スチレンが5入った共重合体が生成している事を確
認した。
【0047】製造例7 添加する開始剤量を5.3重量部にした以外は製造例6
とまったく同一の方法で重合を実施した。得られたポリ
マーの重量平均分子量は18,000、分散度(Mw/
Mn)は5.1であった。元素分析の結果から、スチレ
ンスルフォン酸リチウム塩が5に対して、スチレンが5
入った共重合体であり、水溶性であることを確認した。
【0048】製造例8 添加する開始剤量を9.0重量部にした以外は製造例6
とまったく同一の方法で重合を実施した。得られたポリ
マーの重量平均分子量は8,500、分散度(Mw/M
n)は5.4であった。元素分析の結果から、スチレン
スルフォン酸リチウム塩が5に対して、スチレンが5入
った共重合体であり、水溶性であることを確認した。
【0049】製造例9 攪拌機付き四つ口フラスコに水120重量部、エタノー
ル180重量部入れ、窒素置換を充分行いながら65℃
に昇温する。引き続いて、事前に、スチレンスルフォン
酸リチウム塩85重量部、ビニルトルエン45.5重量
部、開始剤である過硫酸アンモニウム5重量部を純水3
00重量部とエタノール250重量部の混合溶媒に溶解
させ、充分窒素置換した溶液を約10時間かけて添加す
る。添加終了後、70℃に昇温し、残存モノマーが初期
量の20分の1程度になった時点で重合を終了させる。
得られた液は無色透明であった。その後、ポリマー濃度
が30重量%になるよう蒸留でエタノール分を除去し
た。残存エタノールが0.05重量%以下の無色透明な
水溶液が得られた。製造例2と同様の方法で、該重合体
の分子量を測定すると、重量平均分子量は20,00
0、分散度(Mw/Mn)は3.8であった。該共重合
体の元素分析の結果から、スチレンスルフォン酸リチウ
ム塩が5に対して、ビニルトルエンが5入った共重合体
が生成していることを確認した。
【0050】製造例10 攪拌機付き四つ口フラスコに純水300重量部添加後、
充分窒素置換を行いながら、90℃に昇温する。引き続
いて、スチレンスルフォン酸ナトリウム塩90重量部、
メタクリル酸33.5重量部、開始剤である過硫酸アン
モニウム4.5重量部を500重量部の純水に溶解さ
せ、充分窒素置換を行った後、約10時間かけて滴下し
た。その後、残存モノマーが初期量の20分の1程度に
なった時点で重合を終了させた。製造例2と同様の方法
で、生成した重合体の分子量を求めると、標準物質であ
るスチレンスルフォン酸ナトリウム塩換算で、重量平均
分子量(Mw)が14,000、分散度(Mw/Mn)
は3.2であった。該ポリマーの元素分析の結果、スチ
レンスルフォン酸ナトリウム塩が5に対して、メタクリ
ル酸が5入った共重合体であることが判った。また、該
共重合体溶液を濃縮して、30重量%水溶液を製造した
ところ、該水溶液は無色透明であることを確認した。
【0051】製造例11 攪拌機付き四つ口フラスコに水150重量部、エタノー
ル150重量部入れ、窒素置換を充分行いながら65℃
に昇温する。引き続いて、事前に、メタクリル酸70重
量部、スチレン85重量部、開始剤である過硫酸アンモ
ニウム6.2重量部を純水250重量部とエタノール2
50部の混合溶媒に溶解させ、充分窒素置換した溶液を
約10時間かけて添加する。添加終了後、70℃に昇温
し、残存モノマーが初期量の20分の1程度になった時
点で重合を終了させる。得られた液は無色透明であっ
た。その後、ポリマー濃度が30重量%になるよう蒸留
でエタノール分を除去した。残存エタノールが0.05
重量%以下の無色透明な水溶液が得られた。製造例2と
同様の方法で、該重合体の分子量を測定すると、重量平
均分子量は15,000、分散度(Mw/Mn)は3.
8であった。
【0052】実施例1 (顔料分散液の製造)製造例2の樹脂を用いて、下記の
処方及び方法で顔料分散液を製造した。
【0053】顔料であるカーボンブラック(Print
ex 75;デグサ社製)17重量部とポリオキシエチ
レンアルキルフェニルエーテル硫酸のナトリウム塩(ハ
イテノールNo.7;第一工業製薬社製)0.75重量
部と純水52.35重量部を加え、1時間プレミキシン
グを行った後、プロピレングリコール5重量部と製造例
2(30.1重量%水溶液)24.9重量部を加え、
0.5mmのジルコニアビーズを用いてサンドミルで5
時間顔料の粉砕と分散を行った。その後、0.5μmの
膜フィルターでゴミ及び粗大粒子を除去して顔料分散液
を製造した。マイクロトラックUPA(日機装社製;レ
ーザードップラー法)で粒径を測定すると、平均粒径は
54nmであった。
【0054】(インク液Aの調整)顔料分散液33.3
重量部を攪拌しながら、グリセリン5重量部、ジエチレ
ングリコール10重量部、ドデシルベンゼンスルフォン
酸ナトリウム塩1.0重量部、ソルビトール1.5重量
部と純水49.2重量部を1時間かけて滴下してインク
液Aを調整した。インク液Aの粘度は3.1mP・s、
表面張力は33mN/mであった。また、平均粒径は5
5nmと変化が無いことを確認した。
【0055】次に、調整したインク液Aを用い、インク
ジェットプリンターで印字し、ノズルの目詰まり、
印刷品質、滲みの程度、耐水性、耐擦過性、貯
蔵安定性について、以下に示した方法に従い評価した。
ノズルの目詰まり;HP社製DESK JET815
Cを用いて、PPC用紙上に、連続5時間印字し、印字
開始直後と5時間目の印字の状態を目視により判断し
た。
【0056】○:5時間の連続印字でも、ベタ部でのイ
ンクのかすれによる白筋が無く、印字のかすれが無い状
態。
【0057】△:かすれや、白筋が僅かに発生している
状態。
【0058】▲:かすれや、白筋が明らかに発生してい
る状態。
【0059】×:かすれや、白筋が多く発生している状
態。 印字品質;上述のプリンターを用いて、PPC用紙上
に、連続5時間印字し、開始直後のベタ部と5時間目の
ベタ部の状態を太陽光線に透かして、目視で判断した。
【0060】○:ベタ部に色の濃淡がほとんど無い状
態。
【0061】△:ベタ部に色の濃淡が認識される。
【0062】×:光を透過させなくても、明らかに色の
濃淡が観察される。 滲みの程度;PPC用紙にアルファベットや漢字を印
字して、目視により判断した。
【0063】○:滲みが観察されない。
【0064】△:滲みが若干観察される。
【0065】×:滲みが多く観察される。 耐水性;PPC用紙に印字1時間後、水に20分間浸
漬し、印刷後を目視により判断した。
【0066】○:色落ちがほとんど無く、判読できる状
態。
【0067】△:色落ちが発生しているが、なんとか判
読できる状態。
【0068】×:判読できない状態。 耐擦過性;インクジェット用光沢紙に印字1時間後、
指で擦り、その後を目視により判断した。
【0069】○:まったく色落ちが無い。
【0070】△:わずかに色落ちする。
【0071】×:明らかに色落ちする。 貯蔵安定性;内径3cmの透明な、密栓付きガラス製
の試験管にインク液Aを80cc入れ、密栓後、50℃
の状態で1ヶ月放置、或いは70℃の状態で2週間放置
して、顔料などの沈殿の有無を目視により判断した。
【0072】○:50℃及び70℃の状態で放置しても
沈殿物は発生しない。
【0073】△:50℃では沈殿物は発生しないが、7
0℃では沈殿物が発生する状態。
【0074】×:50℃、70℃共に沈殿物が発生する
状態。以上の方法でインクの機能評価を行い、その結果
を表1、表2に示した。
【0075】
【表1】 実施例2 (顔料分散液の製造)製造例2の樹脂を用いて、下記の
処方及び方法で顔料分散液を製造した。
【0076】顔料であるPY128(チバ・スペシャリ
ティー ケミカルズ社製)15重量部とポリオキシエチ
レンアルキルフェニルエーテル硫酸のナトリウム塩(ハ
イテノールNo.7;第一工業製薬社製)0.75重量
部と純水54.35重量部を加え、1時間プレミキシン
グを行った後、プロピレングリコール5重量部と製造例
2(30.1重量%水溶液)24.9重量部を加え、
0.5mmのジルコニアビーズを用いてサンドミルで5
時間顔料の粉砕と分散を行った。その後、0.5μmの
膜フィルターでゴミ及び粗大粒子を除去して顔料分散液
を製造した。マイクロトラックUPA(日機装社製;レ
ーザードップラー法)で粒径を測定すると、平均粒径は
75nmであった。
【0077】(インク液Bの調整)顔料分散液33.3
重量部を攪拌しながら、グリセリン5重量部、ジエチレ
ングリコール10重量部、ドデシルベンゼンスルフォン
酸ナトリウム塩1.0重量部、ソルビトール1.5重量
部と純水49.2重量部を1時間かけて滴下してインク
液Aを調整した。インク液Aの粘度は2.9mP・s、
表面張力は32mN/mであった。また、平均粒径は7
6nmと変化が無いことを確認した。
【0078】インク液Bの機能評価は実施例1に従って
行い、その結果を表1に示した。
【0079】実施例3〜実施例9 用いた分散剤の種類を変えた以外は、実施例2と全く同
様の操作を行ってインク液を製造し、その結果を表2、
表3に示した。インク液の機能評価は実施例1に従って
行い、それぞれの結果を表1に示した。
【0080】
【表2】
【表3】 実施例10 (顔料分散液の製造)製造例7の樹脂を用いて、下記の
処方及び方法で顔料分散液を製造した。
【0081】顔料である銅フタロシアニンブルーD67
00(BASF社製)15重量部とポリオキシエチレン
アルキルフェニルエーテル硫酸のナトリウム塩(ハイテ
ノールNo.7;第一工業製薬社製)0.75重量部と
純水50.75重量部を加え、1時間プレミキシングを
行った後、プロピレングリコール5重量部、エタノール
3重量部と製造例7(29.5重量%水溶液)25.5
重量部を加え、0.5mmのジルコニアビーズを用いて
サンドミルで5時間顔料の粉砕と分散を行った。その
後、0.5μmの膜フィルターでゴミ及び粗大粒子を除
去して顔料分散液を製造した。マイクロトラックUPA
(日機装社製;レーザードップラー法)で粒径を測定す
ると、平均粒径は105nmであった。
【0082】(インク液Jの調整)顔料分散液33.3
重量部を攪拌しながら、グリセリン5重量部、ジエチレ
ングリコール10重量部、ドデシルベンゼンスルフォン
酸ナトリウム塩1.0重量部、ソルビトール1.5重量
部、エタノール2重量部と純水47.2重量部を1時間
かけて滴下してインク液Jを調整した。インク液Jの粘
度は3.3mP・s、表面張力は34mN/mであっ
た。また、平均粒径は105nmと変化が無いことを確
認した。
【0083】インク液Jの機能評価は実施例1に従って
行い、その結果を表1に示した。
【0084】比較例1 (顔料分散液の製造)製造例10の樹脂を用いて、下記
の処方及び方法で顔料分散液を製造した。
【0085】顔料であるカーボンブラック(Print
ex 75;デグサ社製)17重量部とポリオキシエチ
レンアルキルフェニルエーテル硫酸のナトリウム塩(ハ
イテノールNo.7;第一工業製薬社製)0.75重量
部と純水50.35重量部を加え、1時間プレミキシン
グを行った後、プロピレングリコール5重量部と製造例
10(27.9重量%水溶液)26.9重量部を加え、
0.5mmのジルコニアビーズを用いてサンドミルで5
時間顔料の粉砕と分散を行った。その後、0.5μmの
膜フィルターでゴミ及び粗大粒子を除去して顔料分散液
を製造した。マイクロトラックUPA(日機装社製;レ
ーザードップラー法)で粒径を測定すると、平均粒径は
215nmで分散性は良くなかった。
【0086】(インク液Kの調整)顔料分散液33.3
重量部を攪拌しながら、グリセリン5重量部、ジエチレ
ングリコール10重量部、ドデシルベンゼンスルフォン
酸ナトリウム塩1.0重量部、ソルビトール1.5重量
部と純水49.2重量部を1時間かけて滴下してインク
液Kを調整した。インク液Kの粘度は4.1mP・s、
表面張力は35mN/mであった。また、平均粒径は2
20nmと分散性は良くなかった。インクの機能評価結
果を表4に示した。
【0087】
【表4】 比較例2〜比較例4 表5に検討した処方を示した。製造要領は実施例2に従
って行った。インクの機能評価結果を表4に示した。
【0088】
【表5】 実施例11、実施例12 内容積950mlの広口瓶に酸化チタン粉末(石原産業
製 R−550)を450g、純水440gを秤量し、
製造例8の分散剤液(29.6重量%の水溶液)5g或
いは10gを添加しながら、良く混練りした後、超音波
洗浄器で顔料を良く分散させた。その後、該分散体を2
5℃の温度に調節し、その温度で、B型粘度計を用いて
粘度を測定した。再分散性の評価は、以下に示す方法に
より、分散剤液10gを添加した系を用いて行った。 <再分散性の評価法>水性分散体を直径3cmの円筒状
のガラス容器に底辺が万遍なく均一に塗れる量採取し、
室温下24時間乾燥させた後、容器の壁を伝わらせて静
かに純水を加え、顔料の分散状態を観察し、以下の通り
評価した。
【0089】×:水を加えた直後から直ちに顔料が再分
散される。
【0090】△:水を加えた後、自然放置しておくと、
顔料の小片が浮遊する。
【0091】○:水を加えた後、自然放置しておいて
も、顔料が再分散されない。これらの粘度及び再分散性
の結果を表6に示した。
【0092】
【表6】 実施例13、実施例14 内容積950mlの広口瓶にハードクレー粉末(Sou
theastern社製クラウンクレー)を450g、
純水440gを秤量し、製造例8の分散剤液(29.6
重量%の水溶液)10g或いは20gを添加しながら、
良く混練りした後、超音波洗浄器で顔料を良く分散させ
た。その後、該分散体を25℃の温度に調節し、その温
度で、B型粘度計を用いて粘度を測定した。再分散性の
評価は、分散剤液20gを添加した系を用いて行った。
粘度及び再分散性の結果を表6に示した。
【0093】実施例15、実施例16 内容積950mlの広口瓶にハードクレー粉末(Sou
theastern社製クラウンクレー)を450g、
純水440gを秤量し、製造例7の分散剤液(29.9
重量%の水溶液)10g或いは20gを添加しながら、
良く混練りした後、超音波洗浄器で顔料を良く分散させ
た。その後、該分散体を25℃の温度に調節し、その温
度で、B型粘度計を用いて粘度を測定した。再分散性の
評価は、分散剤液20gを添加した系を用いて行った。
粘度及び再分散性の結果を表6に示した。
【0094】
【発明の効果】本発明のインク用分散剤を用いると、顔
料分散が比較的容易に行える。また、インクジェット用
インクに適用すると、顔料の高分散性に加え、耐水性、
耐熱性、インクの吐出安定性、耐擦過性等に優れた特性
を示すことにより、信頼性が高く、高品位印字が可能な
インクを提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J039 AD03 AD23 BA04 BA13 BA35 BA37 BC39 BC60 BE01 BE22 CA06 DA02 EA36 EA37 EA38 EA41 EA44 EA47 GA24 GA27 4J100 AB02P AB03P AB04P AB07Q AB08P AB09P AB10P BA56Q CA04 CA05 DA01 DA04 JA07

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記繰り返し単位1及び繰り返し単位2を
    必須の構成要素とするスルフォン酸基含有共重合体であ
    って、その分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が
    1.5〜15であり、かつ、その重量平均分子量が8,
    000〜50,000であることを特徴とするインク用
    分散剤。 【化1】 (式中、Rは水素原子、炭素数1〜4の炭化水素基又は
    塩素原子を示す。)
  2. 【請求項2】スルフォン酸基含有共重合体の重量平均分
    子量が、10,000〜30,000であることを特徴
    とする請求項1記載のインク用分散剤
  3. 【請求項3】スルフォン酸基含有共重合体中の繰り返し
    単位1と繰り返し単位2の比率において、繰り返し単位
    1が5〜75モル%、繰り返し単位2が25〜95モル
    %であるスルフォン酸基含有共重合体からなることを特
    徴とする請求項1又は請求項2に記載のインク用分散
    剤。
  4. 【請求項4】スルフォン酸基含有共重合体中の繰り返し
    単位1と繰り返し単位2の合計の含有率が、50モル%
    以上であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいず
    れかに記載のインク用分散剤。
  5. 【請求項5】請求項1〜請求項4のいずれかに記載のイ
    ンク用分散剤を用いてなるインク組成物。
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