JP2002262868A - 転写反応を利用した効率のよい塩基配列決定方法 - Google Patents

転写反応を利用した効率のよい塩基配列決定方法

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JP2002262868A JP2001066756A JP2001066756A JP2002262868A JP 2002262868 A JP2002262868 A JP 2002262868A JP 2001066756 A JP2001066756 A JP 2001066756A JP 2001066756 A JP2001066756 A JP 2001066756A JP 2002262868 A JP2002262868 A JP 2002262868A
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Eiji Ohara
英治 大原
Masanori Watabiki
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Abstract

(57)【要約】 【課題】転写シークエンス法を利用し、かつ従来の転写
シークエンス法よりもさらに高い効率で塩基配列決定が
可能な方法を提供すること。 【解決手段】 塩基配列を決定すべきDNA領域及びこ
のDNA領域の各5’末端側にRNAポリメラーゼのため
のプロモーター領域を1つずつ有するDNA(但し、前
記2つのプロモーター領域は互いに異なる種類のRNAポ
リメラーゼに対するプロモーター領域である)を鋳型と
し、前記RNAポリメラーゼの基質及び3'-デオキシヌクレ
オチドまたは標識された3'-デオキシヌクレオチドの存
在下で、前記異なる種類のRNAポリメラーゼを用いてイ
ン・ビトロ転写反応を行う工程を含むDNAの塩基配列
決定方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、転写反応を利用し
た効率のよい塩基配列決定方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決すべき課題】DNAの塩基配
列決定技術は、生物の持っているゲノムの多量の塩基配
列を決定するために必須の技術である。塩基配列決定技
術には、化学分解法[1]と酵素合成法[2]がある。前者
は、マキサム−ギルバート法、後者は、ジデオキシター
ミネーター法あるいはサンガー法と呼ばれている。
【0003】ヒトゲノム配列は、30億塩基対と言われ
ているが、現在使用されている塩基配列決定のための方
法では、1反応で、せいぜい500塩基程度の情報しか
得られない。そのため、すべての塩基配列を決定するた
めには、非常に多くの反応を行なう必要がある。さら
に、得られた塩基配列の断片情報を繋ぎ合わせて、生物
の持っているゲノムの連続した塩基配列情報に組みたて
なければならない。ヒトゲノム配列の解読に利用されて
いる方法は、サンガー法が主流であり、一般的である。
そして、この方法には、これまでに様々な改良が加えら
れている。
【0004】ゲノム解析を目的とした塩基配列決定のた
めの作業では、その解析サンプルが非常に多いため、数
多くの改良が加えられ、現在では、相当程度、自動化さ
れている。塩基配列決定の一連の作業は、要約すると以
下のとおりである。 1)鋳型の調製 2)ポリメラーゼ反応による部分的停止反応によるラベル
されたDNA断片の調製 3)電気泳動 4)読み取り 5)解析
【0005】ここで、1)については、2)のポリメラーゼ
反応に適した鋳型を調製することが重要である。この鋳
型調製の出来不出来により4)で取得されるデータ量と質
が変動する。そのため、鋳型調製には様々な工夫が行な
われてきた。工夫の一つには、M13ファージをクローニ
ングベクターとして用いる方法[3]を例示できる。しか
し、この方法は多量のサンプル処理には不向きである。
そこで、プラスミドをそのまま鋳型とする方法、或いは
自動的にプラスミドを調製する方法も考案されている。
さらに、耐熱性DNAポリメラーゼを用いた遺伝子増幅法
(PCR)を用いた増幅物を鋳型として利用する方法も利
用されるようになった[4]。PCRによる鋳型の調製は、操
作は簡単である。しかし、PCR反応から持ち込まれたPCR
用の未反応プライマー及びPCR反応で利用されなかった
デオキシヌクレオチドが、増幅物を鋳型とするDNAポリ
メラーゼの反応を阻害してしまい、配列解析が出来ない
ことが多い。そこで、この問題を解決する方法として、
PCR産物を精製する方法や、酵素的にプライマーやフリ
ーのヌクレオチドを不活性化する方法が考案されてい
る。しかし、いずれも、操作が煩雑であり、コスト面で
大規模解析には不向きであった。
【0006】また、2)と3)に関しては、自動DNAシーケ
ンサーが開発されて、大量のDNA配列情報を簡単に得る
ことが可能になった[5]。自動DNAシーケンサーでは、異
なる波長特性を持つ4つの蛍光色素でラベルされたジデ
オキシヌクレオチドをターミネーターとして用いて得ら
れた反応生成物(蛍光標識されたDNA断片)を電気泳動
させ、長さの順番に蛍光標識の種類をレーザー照射によ
り自動的に読み取り、配列データに変換する。このよう
な塩基配列決定方法の進歩により、ヒトゲノムサイズの
解析が可能になった。しかし、まだまだ、塩基配列決定
技術は、非常にコストがかかる方法である。今後、個人
の遺伝子情報の解析や、遺伝子の機能解析のためのヒト
以外の生物のゲノム解析にために、低コストで行える塩
基配列決定技術は益々必要になってくるものと思われ
る。
【0007】ところで、PCR増幅物を鋳型として利用す
る方法における問題を根本的に解決する方法として、転
写シークエンス法(transcriptional sequencing)が開発
された[6]。この方法では、配列読み取りの断片の合成
は核酸転写法により行われるため、PCR産物を精製する
ことなしにそのまま使用しても、質のよいシークエンス
結果を得ることができる。この方法では、PCR反応物の
精製という面倒な操作ステップを省略することが可能で
あり、塩基配列決定技術における全体のコストを大幅に
削減することができた。しかし、今後、様々な生物由来
のゲノムシークエンス解析の需要は益々増大すると予想
され、更にコストの削減、各ステップの効率化あるい
は、簡略化が望まれていた。
【0008】また、遺伝子の検出、同定或いは遺伝子の
物理地図作製を目的として、DNAの相補的な鎖が互いに
結合する性質を利用した核酸ハイブリダイゼーション技
術が利用されている[5]。このハイブリダイゼーション
技術もまた、先のシークエンス技術の進展同様、様々な
改良が加えられ、放射能ラベルではなく、より安全なラ
ベル方法の開発が開発され、誰でも使用できるようにな
った。また、高感度の検出に欠かせないラベル比活性の
高いプローブの調製方法として、ファージ由来のT7RNA
ポリメラーゼ、T3RNAポリメラーゼ或いはSP6RNAポリメ
ラーゼを用いたイン・ビトロ転写反応により、比活性の
高いRNAプローブ作製が可能となり、特異性の高い、高
感度な遺伝子の検出が可能になっている[8]。
【0009】このRNAプローブを作製するためには、ク
ローニングベクターのマルチクローニング部位の両側
に、使用するRNAポリメラーゼが認識するプロモーター
配列を配したベクターが開発されている[9,10]。このよ
うな構成のベクターを用いることで、イン・ビトロ転写
反応が可能となる。このようなベクターは、既に市販さ
れており、誰でも使用することが出来る。これらベクタ
ーに用いられているクローニング部位の両脇に組み込ま
れたプロモーターとしては、大腸菌ファージT7由来のRN
Aポリメラーゼと同じく大腸菌ファージT3由来のRNAポリ
メラーゼあるいはT7RNAポリメラーゼとサルモネラ菌フ
ァージSP6由来のSP6RNAポリメラーゼに対するプロモー
ターが利用されている。
【0010】勿論、このようなベクターを用いること
で、クローニングされた遺伝子の塩基配列解析も可能で
ある。この時、クローニングされているDNAの両脇に存
在するベクター配列にアニーリングするDNAプライマー
を2つ準備することによって、クローニングされたDNAの
両端の塩基配列情報を得ることが出来る。しかし、大量
のプラスミドを塩基配列決定のための鋳型として用いる
場合、大腸菌の培養、プラスミドの抽出を行なわなけれ
ばならず、面倒である。最近では、大量の鋳型を準備す
るための自動プラスミド抽出装置が開発され、利用する
ことができるようになったが、非常に高価である。
【0011】上記のようなクローニングベクターのマル
チクローニングサイトの両側に異なるRNAポリメラーゼ
に特異的なプロモーターを配したベクターを用い、かつ
マルチクローニングサイトにクローニングされた遺伝子
の塩基配列決定に上述の転写シークエンス法を用いる
と、非常に効率がよいシークエンスが可能になると予想
されている[6]。しかし、これら2つの技術を実際に組
み合わせて実施した例はなかった。
【0012】そこで本発明の目的は、転写シークエンス
法を利用し、かつ従来の転写シークエンス法よりもさら
に高い効率で塩基配列決定が可能な方法を提供すること
にある。
【0013】
【課題を解決するための手段】今後、大量のゲノム上の
塩基配列を安価に、しかも効率良く行なうことが強く望
まれている。この要望に答えるためには、各反応ステッ
プの効率を高くする(各ステップのコスト計算)だけで
なく、自動化をどんどん進めることによって、データ生
産のためのトータルコストという考え方が必要である。
従って、各反応ステップの効率は勿論、各工程間の連携
がスムーズであることも必要である。
【0014】そこで、発明者は上記課題を解決するべく
鋭意検討を行ない、転写シークエンス法において、クロ
ーニングベクターのマルチクローニングサイトの両側に
異なるRNAポリメラーゼに特異的なプロモーターを配し
たベクター等を用い、かつ各プロモーターに対応する2
種のRNAポリメラーゼを用いることで、上記課題を解決
することができることを見出し、本発明が完成した。
【0015】即ち、本発明は、塩基配列を決定すべきD
NA領域及びこのDNA領域の各5’末端側にRNAポリ
メラーゼのためのプロモーター領域を1つずつ有するD
NA(但し、前記2つのプロモーター領域は互いに異な
る種類のRNAポリメラーゼに対するプロモーター領域で
ある)を鋳型とし、前記RNAポリメラーゼの基質及び3'-
デオキシヌクレオチドまたは標識された3'-デオキシヌ
クレオチドの存在下で、前記異なる種類のRNAポリメラ
ーゼを用いてイン・ビトロ転写反応を行う工程を含むこ
とを特徴とするDNAの塩基配列決定方法に関する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明のイン・ビトロ転写反応において用いられ
る鋳型は、塩基配列を決定すべきDNA領域及びこのD
NA領域の各5’末端側にRNAポリメラーゼのためのプ
ロモーター領域を1つずつ有するDNAである。但し、
前記2つのプロモーター領域は互いに異なる種類のRNA
ポリメラーゼに対するプロモーター領域である。より具
体的には上記鋳型は、二本鎖DNAであり、PCR産物でもプ
ラスミドDNAを用いてもよい。何れも塩基配列を決定し
たいDNA領域の両脇に、例えば、T7RNAポリメラーゼと、
T7RNAポリメラーゼ以外の、例えば、T3RNAポリメラーゼ
またはSP6RNAポリメラーゼの認識するプロモーターを有
するものであればよい。但し、鋳型は、2種のRNAポリ
メラーゼが、DNA鋳型中のプロモーターを認識し転写の
開始反応を起すことができれば、転写反応時には、一本
鎖、二本鎖あるいは部分的に二本鎖構造等である場合も
含む。
【0017】鋳型の調製にはここではPCRを例に述べて
いるが、プロモーター配列を2つを増幅領域の両側に配
するような増幅産物を得られればよく、PCR以外の遺伝
子増幅法を用いることもできる。RNAポリメラーゼのた
めのプロモーター領域を有するDNAがプラスミドDNA
である場合、プラスミドDNAの例として、例えばpBluesc
riptII(+/-)(ストラタジーン社)やpGEM系ベクター
(プロメガ社)を挙げることができる。pBluescriptII
(+/-)(ストラタジーン社)は、T7RNAポリメラーゼとT3
RNAポリメラーゼのプロモーターを持っており、またpGE
M系ベクター(プロメガ社)は、T7RNAポリメラーゼとSP
6RNAポリメラーゼを持っている。そして、何れのベクタ
ーも市販されており容易に入手可能である。
【0018】このようなプラスミドを用いれば、このプ
ラスミドの2つのプロモーター領域に挟まれた領域にク
ローン化されたDNA断片(塩基配列を決定すべきDNA
領域)は、このプラスミドを保持した大腸菌を培養し、
培養物からプラスミドを精製し、精製したプラスミドを
そのまま転写シークエンス反応の鋳型に使用することが
可能である。但し、上記プラスミドの精製には、次に行
われるイン・ビトロの転写反応を考慮して(生成物がRN
Aであるため)RNaseを使用しない方法を用いるか、RNas
eを使用してプラスミドDNAを精製する場合でも、最終的
なプラスミド標品にRNaseの混入を極力押さえる必要が
ある。このようにして得られたプラスミドを鋳型として
用い、かつプラスミドが有しているプライマー配列に応
じて、T7RNAポリメラーゼ、T3RNAポリメラーゼ、SP6RNA
ポリメラーゼ等のいずれかのRNAポリメラーゼを用い
て、転写反応を行い、転写産物を電気泳動に供し、さら
に、得られた電気泳動結果から、塩基配列を決定すべき
DNA領域を読み取ることができる。但し、転写反応、
電気泳動、及びDNA領域の読み取りは、2種のRNAポリ
メラーゼを用いて別々に行う。こうすることで、塩基配
列を決定すべきDNA領域を両側から読み取ることがで
きる。(図1、A)
【0019】図1中のP1及びP2は、プロモーター配
列であることを示し、T7RNA、T3RNA及びSP6RNAポリメラ
ーゼのようなファージ由来の、プロモーター配列の特異
性が高いRNAポリメラーゼの何れかが認識するプロモー
ターを示す。この図では、以下、反応にはT7RNAポリメ
ラーゼ及びT3RNAポリメラーゼを用いた転写シークエン
ス反応例で示した。配列データは、鋳型の両端を同時に
解析出来る。そのため、解析したい長さが短いときは、
DNAの両鎖を同時に読むことが出来るため、精度の高い
塩基配列データが得られるし、また、長いときは、それ
だけ長い塩基配列情報を得ることができる利点がある。
尚、図1のAは、プラスミドDNAを鋳型として、Bは、プ
ラスミドDNAを鋳型として、Cは、ゲノムDNAを鋳型とし
てPCRを行ない、転写シークエンス法に使用する鋳型の
調製例を示した。
【0020】本発明の方法において、転写シークエンス
方法(転写反応、電気泳動、及びDNA領域の読み取
り)、転写シークエンス方法に用いるRNAポリメラー
ゼ、RNAポリメラーゼの基質やターミネーターである3'-
デオキシヌクレオチドや標識された3'-デオキシヌクレ
オチドは、公知のものをそのまま利用でき、例えば、転
写シークエンス方法についてはWO96/14434、
特開平11−75898号公報、WO99/0254
4、RNAポリメラーゼについては特開平11−7586
7号公報、ターミネーターについては特開平11−80
189号公報に記載の物を利用することができる。
【0021】塩基配列を決定すべきDNA領域を両側か
ら読み取ることができることで、例えば、塩基配列を決
定すべきDNA領域が比較的短い場合には、2回の読み
取り結果の一部または全部が重複する。その結果、2回
分の読み取り結果を照合して、塩基配列の再現性を確認
することができる。また、塩基配列を決定すべきDNA
領域が比較的長い場合には、プライマー配列から遠い部
分が一部でも重複していれば、重複部分を糊代として合
わせることで、容易に塩基配列を読み取ることができ
る。さらに、塩基配列を決定すべきDNA領域が2回の
読み取りを合計しても解読できない長さであっても、判
明した配列情報から、プライマーを設計し、合成し、一
般的なDNAポリメラーゼを用いた塩基配列決定等を併
用することで、塩基配列を決定すべきDNA領域を決定
することが容易になる。
【0022】上記方法では、プラスミドDNAを鋳型とし
て用いており、プラスミドDNAの増幅のために大腸菌を
培養する必要がある。通常は、37℃で、培養中にプラス
ミド保持力を保つために抗生物質を添加した培養液が用
いられ、一晩、或いはそれに近い時間、震盪しながら保
持しなければならない。そのために、大量の鋳型を解析
する場合は、非常に面倒な方法である。そこでこの面倒
を回避するために、寒天平板上に形成した大腸菌コロニ
ーを例えばピックアップし、そのまま培養せずにクロー
ン化遺伝子領域を特異的に増幅する方法を利用して、鋳
型を調製することも可能である。クローン化遺伝子領域
を特異的に増幅する方法としては、例えば、PCRを用い
ることができるが、PCR以外の公知の増幅法も用いるこ
とができる。この場合、後の転写反応で使用するRNAポ
リメラーゼが認識するプロモーター配列が、増幅産物中
の目的遺伝子の両側についていればよい。また、このプ
ロモーターを持った遺伝子増幅の方法も、使用するプラ
イマー中にプロモーター配列を導入し、増幅反応に使用
する方法も選択できる。この場合、先のベクターのクロ
ーニング部位の両側にプロモーターのないプラスミドを
用いたときにはこの方法が利用できる。また、この方法
は、ゲノムDNAを直接増幅するときにも利用できる。
(図1、B)。
【0023】また、プロモーターを予め持っているベク
ターを使用する場合は、このプロモーターの外側に遺伝
子増幅用のプライマーを設計すれば、多数のクローンを
増幅するときに共通して使用できるし、プロモーター配
列を入れなくてもよいので経済的な方法になる(図1、
C)。
【0024】何れにしても、本発明の方法においては、
少なくとも塩基配列を決定したい鋳型として、塩基配列
を決定したい二本鎖DNA領域の両脇に、例えば、T7RNAポ
リメラーゼともう一つのポリメラーゼとして、例えば、
T3RNAポリメラーゼまたはSP6RNAポリメラーゼの認識す
るプロモーターあり、且つ対応するRNAポリメラーゼが
供給されるDNA鋳型中のプロモーターを認識し転写の開
始反応を起すことができればよい。
【0025】
【発明の効果】本発明の方法では、異なるRNAポリメラ
ーゼに対応した特異的に認識するプロモーターを両端に
持った鋳型を用いて、そのプロモーターに挟まれた領域
の塩基配列を両側から決定するために、1本の鋳型で相
補的な二通りの塩基配列の決定を行なうことができるの
で、従来法に比べて効率的に塩基配列の決定を行うこと
ができる。特に、ターミネーターとして、蛍光ラベルさ
れた3'-デオキシヌクレオチドを使用することにより、
現在、塩基配列決定法の主流である自動DNAシーケンサ
ーでのシーケンスが可能である。従って、本発明の方法
は、遺伝子の塩基配列決定を行う研究分野、あるいは遺
伝子解析を行う研究分野で特に有用である。また、遺伝
子の検出を行なう診断分野でも特に有用である。
【0026】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明する。 [実施例1]共通の鋳型を用いた転写シークエンス法を
用いた鋳型DNA末端の塩基配列解析転写シークエンスの
鋳型としては、プラスミドpBluescriptSK+(ストラタジ
ーン社)を用いた。このプラスミドのクローニングサイ
トの外側にはT7及びT3RNAポリメラーゼのプロモーター
があり、そのまま使用できる。転写シークエンス反応
は、[6]の文献の条件に従い行ない、使用したT7RNAポリ
メラーゼは文献[8]に記載のT7RNAポリメラーゼF644Yを
用いた。また、T3RNAポリメラーゼは、文献[15]記載に
準じた方法に記載されている通り、以下のようにして、
PCR法を用いたイン・ビトロ突然変異導入方法に基づき
作成した。
【0027】大腸菌を宿主とするT3ファージを、大腸菌
C600に感染させ、その溶菌液からT3ファージを常法に従
って調製し、最後に除蛋白処理を行ない、T3ファージ由
来のゲノムDNAを得た。T3RNAポリメラーゼ遺伝子は、こ
のゲノムDNA中に含まれるので、文献[16]に記載のデー
タを参考にしてT3RNAポリメラーゼ遺伝子を増幅するた
めのプライマーを作成し、PCR法により増幅した。このD
NAフラグメントを制限酵素NcoIで消化し、1%アガロース
電気泳動を行ない、目的DNAフラグメントをアガロース
から切り出し、Gene Pure Kit(ニッポンジーン)を用
いて精製した。これをNcoIで消化し脱リン酸化した発現
ベクターpTrc99a(ファルマシア・バイオテク)と連結
することでT3RNAポリメラーゼを高発現するT3RNAP/pTrc
99Aを構築した。本プラスミドは、常法に従って、IPTG
を培養液中に添加することにより、大量のT3RNAポリメ
ラーゼを発現することが確認された。
【0028】次に、プラスミドT3RNAP/pTrc99Aを用い
て、変異型T3RNAポリメラーゼF645Yを生産する発現プラ
スミドを以下のように構築した。T3RNAP/pTrc99Aを鋳型
として用い、変異導入用のPCR用プライマーを用い、Pfu
DNAポリメラーゼ(ストラタジーン社)を用いてPCRを
行なった。このPCRフラグメントは、1%アガロース電気
泳動を行ない精製した後、T4DNAリガーゼを用いて16
℃、16時間保温し、ライゲーション反応を行った。この
反応物は、大腸菌JM109に形質転換した後、変異が導入
されたクローンをスクリーニングし、塩基配列を決定す
ることで変異導入が行なわれているかどうか確認した。
そして、変異型T3RNAポリメラーゼF645Yを生産するプラ
スミドT3RNAP(F645Y)/pTrc99Aを構築した。プラスミドT
3RNAP/pTrc99Aを用いて、[14]に記載の方法で変異型T3R
NAポリメラーゼF645Yを精製した。
【0029】ここで、T7RNAポリメラーゼF644Y及び上記
の方法で精製されたT3RNAポリメラーゼF645Yを用いて、
プラスミドpBluescriptSK+のシークエンス反応を行なっ
た。この2つの酵素を用いて別々に調製(転写)されたR
NA断片群をABI377XLシーケンサーにて解析した。その結
果、ここで鋳型として使用したpBluescriptSK+の配列中
に含まれる、各々、使用したポリメラーゼに依存したプ
ロモーターの下流の配列を読み取ることが出来た(図
2)。各RNAポリメラーゼを用いて解析した配列は、お
互いに相補的な配列であることが分かった。この結果
は、相補的な鋳型を各々解読したことを示している。即
ち、1種類の鋳型を用いて、鋳型に含まれるプロモータ
ーに依存して、2種類の塩基配列を読み取ることができ
ることが分かる。この結果、本発明の方法は、効率よく
塩基配列を決定出来る方法であることが判明した。
【0030】[引用文献] [1]Maxam,A.M., et al. Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 74:1
258-1262(1977) [2]Sanger,F., et al. Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 74:54
63-5467(1977) [3]Messing,J. Gene, 100:3(1991) [4]Phear,G.A., et al. Methods Mol. Biol., 31:247(1
994):高木茂他. 蛋白質・核酸・酵素、37(5):868(199
2) [5]Smith,L.M., et al. Nature, 321:674(1986) [6]Sasaki,N., et al. Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 95
(7),:3455(1998) [7]Southern,E.M. J.Mol.Biol., 98:503-517(1975) [8]United States Patent 5,256,555 [9]Alting-Mees,M.A., et al. Nucleic Acids Res., 1
7(22):9494(1989) [10]United States Patent 4,766,072 [11]Compton, et al. Nature, 350(7):91(1991) [12]Walker,G.T., et al. Nucleic Acids Res., 20(7):
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63(2000) [14]特開平11-075867 [15]Izawa,M., et al. J.Biol.Chem., 273(23):14242-1
4246(1998) [16]McGraw,N.J., et al. Nucleic Acids Res. 13 (1
8):6753(1985)
【図面の簡単な説明】
【図1】転写シークエンス法を用いた塩基配列決常法の
模式図。
【図2】pBluescriptSK+を鋳型として、T3及びT7RNAポ
リメラーゼを用いた同時シークエンスの結果。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B024 AA11 CA01 HA11 HA19 4B063 QA13 QQ42 QR08 QR42 QS03 QS25 QX01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩基配列を決定すべきDNA領域及びこ
    のDNA領域の各5’末端側にRNAポリメラーゼのため
    のプロモーター領域を1つずつ有するDNA(但し、前
    記2つのプロモーター領域は互いに異なる種類のRNAポ
    リメラーゼに対するプロモーター領域である)を鋳型と
    し、前記RNAポリメラーゼの基質及び3'-デオキシヌクレ
    オチドまたは標識された3'-デオキシヌクレオチドの存
    在下で、前記異なる種類のRNAポリメラーゼを用いてイ
    ン・ビトロ転写反応を行う工程を含むことを特徴とする
    DNAの塩基配列決定方法。
  2. 【請求項2】 前記DNA領域及びプロモーター領域を
    有するDNAが、精製されたプラスミドDNAである請求
    項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記DNA領域及びプロモーター領域を
    有するDNAが、DNAポリメラーゼを用いて増幅されたD
    NA断片である請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記異なる種類のRNAポリメラーゼが、T
    7RNAポリメラーゼ、T3RNAポリメラーゼ及びSP6RNAポリ
    メラーゼ並びにこれらポリメラーゼの変異体酵素からな
    る群から選ばれる2種である請求項1〜3のいずれか1
    項に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記異なる種類のRNAポリメラーゼが、
    3'-デオキシヌクレオチドまたは標識された3'-デオキシ
    ヌクレオチドの取り込み能力が野性型に比べて増大した
    変異型T7RNAポリメラーゼ、T3RNAポリメラーゼ及びSP6R
    NAポリメラーゼからなる群から選ばれる2種である請求
    項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
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