JP2002256419A - アーク蒸発源、その点弧方法、及びそれを用いた蒸着膜の反射率制御方法 - Google Patents

アーク蒸発源、その点弧方法、及びそれを用いた蒸着膜の反射率制御方法

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JP2002256419A
JP2002256419A JP2001056731A JP2001056731A JP2002256419A JP 2002256419 A JP2002256419 A JP 2002256419A JP 2001056731 A JP2001056731 A JP 2001056731A JP 2001056731 A JP2001056731 A JP 2001056731A JP 2002256419 A JP2002256419 A JP 2002256419A
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anode
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arc evaporation
arc
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JP2001056731A
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Shiro Takigawa
志朗 瀧川
Takanobu Hori
崇展 堀
Yasuhiro Koizumi
康浩 小泉
Koichi Nose
功一 能勢
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Shinmaywa Industries Ltd
Original Assignee
Shin Meiva Industry Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 真空チャンバを小型化する上で有利なアーク
蒸発源を提供する。 【解決手段】 内部を実質的に真空にすることが可能な
チャンバ5内に配設された筒状のアノード3と、蒸着膜
形成材料からなり、アノード3の内孔に挿通可能な柱状
のカソード2と、カソード2を該カソードの軸方向に移
動させてアノード3の内孔に送り込むカソード送り込み
手段4とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アーク蒸発源、そ
の点弧方法、及びそれを用いた蒸着膜の反射率制御方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】アーク蒸発源はイオンプレーティングや
スパッタリング等の真空アーク蒸着に用いられるもので
ある。
【0003】図14は、従来のアーク蒸発源を用いたイ
オンプレーティグ装置の一例の概略の構成を示す模式図
である。
【0004】図14に示すように、イオンプレーティン
グ装置は真空チャンバ5内に基材210を保持する基材ホ
ルダ9が配設され、該基材ホルダ9に対向するようにア
ーク蒸発源101が配設されて構成されている。
【0005】基材ホルダ9と真空チャンバ5との間には
基材ホルダ9が負電位となるようにバイアス用直流電源
11が接続されている。
【0006】アーク蒸発源101は、真空チャンバ5内の
スペースを節約するために、一般に、真空チャンバ5の
壁部5aに嵌め込むように設置される。アーク蒸発源101
は、真空チャンバ5の壁部5aにそれぞれ嵌め込むよう
に配設されたカソード102及びアノード103を備えてい
る。カソード102は基材210上に形成される金属薄膜(以
下、蒸着膜という)の材料である蒸着膜形成材料からな
り、該カソード102とアノード103との間にはカソード10
2が負電位となるように直流の放電用電源110が接続され
ている。
【0007】さらに、カソード102と基材ホルダ9との
間のカソード寄りの位置に邪魔板104が配設され、カソ
ード102に対し、正電位となるように直流電圧が印加さ
れている(211)。
【0008】以上のように構成されたイオンプレーティ
ング装置では、装置が起動されると、アーク蒸発源101
のカソード102とアノード103との間にアーク放電が発生
して、カソード102のアークスポットにおいてカソード1
02を構成する蒸着膜形成材料が溶融して蒸発し、その蒸
発した蒸着膜形成材料がカソード102からアノード103に
向かう電子によってイオン化され、そのイオン化された
蒸着膜形成材料105が基材ホルダ9に保持された基材210
の表面に付着して堆積する。これにより、基材210の表
面に蒸着膜形成材料からなる薄膜が形成される。ここ
で、カソード102から蒸発する蒸着膜形成材料105は分子
状態であることが望ましいが、マクロパーティクルと呼
ばれる溶融した金属のままの状態のものを含んでいる。
このマクロパーティクルが基材210上に付着すると、そ
の表面粗さが粗くなり、蒸着膜が最終製品のミラー面を
構成する場合には、その反射率が低下する。しかし、上
記イオンプレーティング装置では、邪魔板104が配設さ
れているので、カソード102から蒸発したマクロパーテ
ィクルがその邪魔板104に付着し、それにより、基材210
に向かうマクロパーティクルが低減される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、蒸着膜の形
成は真空チャンバ5内で行われるため、バッチ処理が原
則であり、そのため、一度に複数個のワーク(基材)を
処理していた。しかし、最近、このような蒸着処理を含
む製造ラインにおいても、製造ラインをフレキシブル化
するために、ワークを1個づつ流したいという要望があ
る。このような場合、真空チャンバ5でもワークを1個
づつ処理することになるので、真空チャンバ5は、真空
引きする時間及びパワーを節約するために、可能な限り
小さいことが望ましい。しかし、上記従来のアーク蒸発
源101では、カソード102が円盤形状であるため、カソー
ド102の体積を一定とした場合における真空チャンバ5
の壁部5aへの投影面積が大きくなり、チャンバを小型
化する上で不利である。
【0010】また、上記従来のアーク蒸発源101では、
カソード102が円盤形状の縁部を残すように消耗し、か
つカソード102が発熱により高温になるので、その縁部
がダレてチャンバの壁部5aに接触し、ショートすると
いう問題があった。
【0011】また、上記従来のアーク蒸発源101では、
専用の点弧装置(図示せず)が必要であった。
【0012】さらに、上記従来のアーク蒸発源101で
は、邪魔板104によってマクロパーティクルを除去して
いるため、その除去されるマクロパーティクルの分、蒸
着膜の生成レートが遅くなるという問題があった。
【0013】なお、実開平7-1065号公報には、基材の周
りに負電位にバイアスされたメッシュからなるグリッド
電極が配置された技術が記載され、実開平4-44359号公
報には、基材の周囲に特定のタイミングにおける薄膜形
成材料の付着を防止するための防着板が配置された技術
が記載されているが、いずれも上記従来例と同様の問題
がある。
【0014】本発明は、上記のような課題を解決するた
めになされたもので、真空チャンバを小型化する上で有
利なアーク蒸発源を提供することを第1の目的としてい
る。
【0015】また、本発明は、カソードとチャンバ壁部
とのショートを防止することが可能なアーク蒸発源を提
供することを第2の目的としている。
【0016】また、本発明は、専用の点弧装置が不要な
アーク蒸発源の点弧方法を提供することを第3の目的と
している。
【0017】また、本発明は、蒸着膜の生成レートが遅
くなることなく、蒸着膜の表面粗さを向上することが可
能なアーク蒸発源を提供することを第4の目的としてい
る。
【0018】さらに、本発明は、蒸着膜の生成レートが
変化することなく、蒸着膜の反射率を制御することが可
能なアーク蒸着膜の反射率制御方法を提供することを第
5の目的としている。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明に係るアーク蒸発源は、内部を実質的に真空
にすることが可能なチャンバ内に配設された筒状のアノ
ードと、蒸着膜形成材料からなり、上記アノードの内孔
に挿通可能な柱状のカソードと、該カソードを該カソー
ドの軸方向に移動させて上記アノードの内孔に送り込む
カソード送り込み手段とを備えたものである(請求項
1)。
【0020】かかる構成とすると、カソードのアノード
より後方に位置する部分をチャンバの室外に突出させる
ようアーク蒸発源を設けた場合に、カソードが円盤状で
ある従来のアーク電源に比べてカソード及びアノードの
チャンバ室壁への投影面積が小さくなるため、その分、
チャンバを小型化する上で有利となる。また、カソード
が周面から消耗して行くため、従来のアーク蒸発源のよ
うに円盤状のカソードの縁部のダレによってショートを
生じるのが防止される。
【0021】この場合、上記筒状のアノードの内孔の上
記カソードが送り込まれる側と反対側の端を該端が外部
に連通するように覆うカバー用アノードが付加されたも
のとしてもよい(請求項2)。
【0022】かかる構成とすると、アーク放電により蒸
発したマクロパーティクルを含む蒸着膜形成材料が、一
旦、カソードと筒状のアノード及びカバー用アノードと
の間の空間に閉じ込められた後、筒状アノードの内孔の
連通部からアノードの外部に流出する。その場合、閉じ
込められたマクロパーティクルがアノードに付着してア
ーク放電により微細化される。よって、蒸着膜の生成レ
ートが遅くなることなく、アーク蒸発源から流出する蒸
着膜形成材料中のマクロパーティクルを低減することが
でき、その結果、基材上に形成される蒸着膜の表面粗さ
ひいては反射率を向上することができる。
【0023】この場合、上記筒状のアノードの内孔の上
記カソードが送り込まれる側と反対側の端を該端と所定
の間隔を有して覆うように他のアノードが配置され、該
他のアノードが上記カバー用アノードを、上記所定の間
隔が上記内孔の外部への連通部分を構成してなるものと
してもよく(請求項3)、また、上記筒状のアノードが
有底筒状に形成されるとともに該有底筒状のアノードの
周壁の底部近傍部に貫通孔が形成され、該有底筒状のア
ノードの底部が上記カバー用アノードを、上記貫通孔が
上記内孔の外部への連通部分をそれぞれ構成してなるも
のとしてもよい(請求項4)。
【0024】また、上記の場合、上記内孔の外部への連
通部分の外方に、該連通部分から流出するマクロパーテ
ィクルを捕捉する捕捉手段が配設されたものとしてもよ
い(請求項5)。
【0025】かかる構成とすると、カバー用アノードの
背後側に基材ホルダを配置することにより、アノードの
内孔の外部への連通部分から流出する蒸着膜形成材料の
うち、金属イオンからなる分子状の蒸着膜形成材料は基
材ホルダに向かう電界によって曲げられるがマクロパー
ティクルは直進して捕捉手段によって捕捉される。よっ
て、基材に付着するマクロパーティクルがより低減され
る。
【0026】また、上記アノードと上記カソードとの間
にアーク放電の電力を供給するための放電用電源が接続
されてなり、上記カソード送り込み手段は、上記カソー
ドの上記アノードとの間のアーク放電による蒸着膜形成
材料の蒸発に伴う上記放電用電源の電圧及び電流の変化
に基づいて、上記カソードを送り込むものであるとして
もよい(請求項6)。
【0027】かかる構成とすると、カソードが静止した
状態ではアーク放電の進行に伴いカソードが消耗して該
カソードとアノードとの間隔が増大し、それに応じて放
電用電源の電圧及び電流が変化する。従って、その放電
用電源の電圧及び電流を検出することにより、カソード
の消耗度を検出して、その消耗度に応じてカソードを送
り込むことができるため、適切にカソードを送り込むこ
とができる。
【0028】また、上記カソードの、上記送り込み方向
における上記アノードより後方に位置する部分の周面を
冷却する冷却手段を備えたものとしてもよい(請求項
7)。
【0029】かかる構成とすると、前端部が発熱しその
消耗に応じてアノード内孔に送り込まれるカソードの発
熱部に最も近い部分を冷却することができるので、該カ
ソードを効率よく冷却することができる。
【0030】また、上記冷却手段は、上記カソードの送
り込み方向における上記アノードより後方位置において
上記カソードの周面がその路壁と摺動するように形成さ
れた冷却媒体の流路と、該冷却媒体の流路に冷却媒体を
流通させるポンプ手段とを備えてなるものとしてもよい
(請求項8)。
【0031】また、上記冷却手段は、上記カソードの送
り込み方向における上記アノードより後方位置において
上記カソードを液密的に貫通せしめるように形成された
冷却媒体の流路と、該冷却媒体の流路に冷却媒体を流通
させるポンプ手段とを備えてなるものとしてもよい(請
求項9)。
【0032】かかる構成とすると、冷却媒体の流路の路
壁を介してカソードを冷却する場合に比べて、効率よく
冷却することができる。
【0033】この場合、上記カソードの上記送り込み方
向における後端に、該カソードと同一断面形状のダミー
部材が接続されてなるものとしてもよい(請求項1
0)。
【0034】かかる構成とすると、カソードが冷却媒体
の流路を液密的に貫通する場合でも、冷却媒体の漏れを
生じることなく、カソードを最後まで使い切ることがで
きる。
【0035】また、本発明に係るアーク蒸発源は、内部
を実質的に真空にすることが可能なチャンバ内にそれぞ
れ配設されたアノード及び蒸着膜形成材料からなるカソ
ードと、該アノードと該カソードとの間のアーク放電に
より該カソードから蒸発する蒸着膜形成材料の拡散経路
中に配設された発熱体とを備えたものである(請求項1
1)。
【0036】かかる構成とすると、発熱体を蒸着膜形成
材料を蒸発させるに十分な温度にすることにより、発熱
体に付着したマクロパーティクルが蒸発するため、蒸着
膜の生成レートが遅くなることなく、カソードから拡散
する蒸着膜形成材料中のマクロパーティクルを低減する
ことができる。その結果、基材上に形成される蒸着膜の
表面粗さひいては反射率を向上することができる。
【0037】この場合、上記発熱体が上記蒸着膜形成材
料の拡散方向に分布してなるものとしてもよい(請求項
12)。
【0038】かかる構成とすると、拡散移動する蒸着膜
形成材料の発熱体への接触時間が長くなり、それによ
り、発熱体にマクロパーティクルが付着する確率が高く
なるので、マクロパーティクルをより低減することがで
きる。
【0039】この場合、上記発熱体が上記蒸着膜形成材
料の拡散方向に向かって広がるように分布してなるもの
としてもよい(請求項13)。
【0040】かかる構成とすると、カソードから拡散方
向に向かって広がるように蒸発する蒸着膜形成材料に対
応して発熱体が分布することになるため、マクロパーテ
ィクルをさらに低減することができる。
【0041】また、上記の場合、上記発熱体が、1以上
のメッシュで構成されてなるものとしてもよく(請求項
14)、また、上記発熱体がコイルで構成されてなるも
のとしてもよい(請求項15)。
【0042】また、上記アノードが筒状に形成され、上
記カソードが上記アノードの内孔に挿通可能な柱状に形
成され、該カソードを該カソードの軸方向に移動させて
上記アノードの内孔に送り込むカソード送り込み手段を
備えてなるものとしてもよい(請求項16)。
【0043】かかる構成とすると、アノードとカソード
との隙間から該アノードの軸方向に蒸着膜形成材料が流
出することから、従来例のようにカソードが円盤状であ
る場合に比べて狭い範囲に発熱体を分布させれば済むの
で、その分効率よくマクロパーティクルを低減すること
ができる。
【0044】また、上記発熱体が通電によって発熱する
ものであるとしてもよい(請求項17)。
【0045】かかる構成とすると、発熱体を簡単な構成
で効率よく発熱させることができる。
【0046】この場合、上記発熱体を通電するための加
熱用電気回路と、上記アノード及び上記カソード間にア
ーク放電電力を供給するための放電用電気回路とが電気
的に接続されてなるものとしてもよい(請求項18)。
【0047】かかる構成とすると、始動時にカソードの
先端を発熱体に接触させることによりアーク蒸発源を点
弧することができる。そのため、専用の点弧装置が不要
となる。
【0048】この場合、上記発熱体が点弧後も上記カソ
ードとの間でアーク放電を生じるよう構成されてなるも
のとしてもよい(請求項19)。
【0049】かかる構成とすると、発熱体がアノードと
して機能するとともにカソードから蒸発し拡散する薄膜
形成材料中のマクロパーティクルを微細化する再溶解ヒ
ータとしても機能するため、両者の相乗効果により、マ
クロパーティクルをより効果的に微細化することができ
る。
【0050】また、本発明に係るアーク蒸発源の点弧方
法は、請求項2のアーク蒸発源を用いた点弧方法であっ
て、上記筒状のアノード及びカバー用アノードと上記カ
ソードとの間にアーク放電の電力を供給するための放電
用電源が接続されてなり、上記カソードの前端を上記カ
バー用アノードに接触させることにより点弧するように
したものである(請求項20)。
【0051】かかる構成とすると、専用の点弧装置が不
要となる。
【0052】また、本発明に係るアーク蒸発源の点弧方
法は、請求項18のアーク蒸発源を用いた点弧方法であ
って、上記カソードの前端を上記発熱体に接触させるこ
とにより点弧するようにしたものである(請求項2
1)。
【0053】かかる構成とすると、専用の点弧装置が不
要となる。
【0054】また、本発明に係る蒸着膜の反射率制御方
法は、請求項17のアーク蒸発源を用いて基材上に蒸着
膜を形成し、該蒸着膜を形成する際に上記発熱体の通電
電力を制御することにより、上記基材上に形成される蒸
着膜の反射率を制御するようにしたものである(請求項
22)。
【0055】かかる構成とすると、発熱体の通電電力に
応じてカソードから蒸発して基材に向かう蒸着膜形成材
料中のマクロパーティクルの量及び大きさが変化し、そ
れに応じて基材上に形成される蒸着膜の表面粗さひいて
は反射率が変化するので、その蒸着膜の反射率を的確に
制御することができる。
【0056】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しながら説明する。 実施の形態1 本発明の実施の形態1は、アノードを筒状に形成すると
ともにカバー用アノードを設ける場合を例示したもので
ある。
【0057】図1は本実施の形態に係るアーク蒸発源を
用いたイオンプレーティング装置の構成を模式的に示す
断面図である。なお、図1ではアノードと基材ホルダと
の間隔を実際より小さく描いてある。
【0058】図1において、イオンプレーティング装置
は、導電部材からなる真空チャンバ5内に基材210を保
持する基材ホルダ9が配設され、真空チャンバ5内の該
基材ホルダ9に対向する位置にアーク蒸発源1が配設さ
れて構成されている。
【0059】アーク蒸発源1は、カソード2、アノード
3、及びマクロパーティクル捕捉部材8を主要素として
構成されている。
【0060】真空チャンバ5の壁部5aには、凹部5bが
形成され、該凹部5bの壁部5aを貫通するように円形断
面を有するカソード挿通孔6が穿設されている。そし
て、カソード挿通孔6に円柱形状に形成されたカソード
2が摺動自在に嵌挿されている。カソード2は、その後
端をカソード進退機構(カソード送り込み手段:図には
その一部のみ示されている)4に保持され、該カソード
進退機構4によって軸方向に進退せしめられるようにな
っている。カソード挿通孔6の内面にはOリング7が配
置され、それにより、カソード2が真空チャンバ5の壁
部5aに対し気密的に摺動できるようになっている。カ
ソード2は、基材210上に蒸着される薄膜の材料で構成
されている。
【0061】そして、凹部5bのカソード挿通孔6の開
口部を覆うように有底円筒形状に形成されたアノード3
が配設されている。アノード3は、カソード挿通孔6と
同軸に配置され、図示されない支持部材によって支持さ
れている。符号201はカソード2の軸心を示している。
アノード3の周面3aの、底部3bが形成された側の端部
には、周壁を貫通するように多数の蒸着膜形成材料流出
孔3cが全周に亘って穿設されている。アノード3は、
タングステン等の高融点導電材料で構成されている。こ
のように、カソード2を柱状に形成し、そのカソード2
の先端部を筒状のアノード3が同軸に収容するように配
置すると、カソード2の体積を一定とした場合における
チャンバの壁面5aへの投影面積が小さくなるので、そ
の分、真空チャンバ5を小型化する上で従来例より有利
になる。
【0062】そして、アノード3の蒸着膜形成材料流出
孔3cの側方にマクロパーティクル捕捉部材8が配設さ
れている。マクロパーティクル捕捉部材8は、真空チャ
ンバ5の壁部5aの内面に、アノード3を囲みかつ該内
面からアノード3の底部3bに向かって逆L字状に延び
るように形成されている。
【0063】基材ホルダ9と真空チャンバ5との間に
は、基材ホルダ9が負電位となるようにバイアス用直流
電源11が接続されている。また、アノード3とカソード
2との間には直流のアーク電流を供給する放電用電源10
が接続されている。さらに、バイアス用直流電源11の正
極端子及び放電用電源10の正極端子が互い接続されると
ともに、真空チャンバ5に接続されている。真空チャン
バ5は接地されている。
【0064】次に、以上のように構成されたイオンプレ
ーティング装置及びアーク蒸発源の動作を説明する。
【0065】図1において、イオンプレーティング装置
を起動する。そして、まず、カソード進退機構4によっ
てカソード2を前進させてそれをアノード3の底部3b
に接触させた後、すぐ後退させる。これにより、アーク
蒸発源1が点弧され、カソード2とアノード3との間に
アーク放電が発生する。従って、本実施の形態では専用
の点弧装置は不要である。アーク放電が発生すると、カ
ソード2からマクロパーティクルを含む蒸着膜形成材料
が蒸発する。この蒸発した蒸着膜形成材料は、一旦、円
柱状のカソード2と円筒状のアノード3との間の空間に
閉じ込められる。この際、閉じ込められた蒸着膜形成材
料中のマクロパーティクルの一部がアノードに付着し
て、放電により微細化される。これにより、閉じ込めら
れた蒸着膜形成材料中のマクロパーティクルが低減され
る。このマクロパーティクルの低減度合は、蒸発した蒸
着膜形成材料の閉じ込め時間が長くなるほど増大する
が、その一方、閉じ込め時間が長くなるに連れて蒸着膜
の生成レートが遅くなる。よって、この閉じ込め時間は
両者を勘案して適宜定められる。
【0066】そして、上記のようにマクロパーティクル
が低減された蒸着膜形成材料が、アノード3の蒸着膜形
成材料流出孔3cからアノード3の外部に流出する。す
ると、アノード3の外部には壁部5aから基材ホルダ9
に向かう直流電界が形成されているので、その流出した
蒸着膜形成材料のうち、金属イオン化されて帯電してい
る分子状態のもの13はその直流電界の作用によりに曲が
って基材ホルダ9向い、一方、帯電していないマクロパ
ーティクル14は直流電界が作用しないので直進して捕捉
部材8に付着し、そこに堆積する(符号12)。これによ
り、蒸着膜形成材料中のマクロパーティクルがさらに低
減される。そして、基材ホルダ9に向った蒸着膜形成材
料13は基材210上に堆積する。これにより、基材210上に
マクロパーティクルが低減された蒸着膜が形成される。
その結果、その蒸着膜の表面粗さひいては反射率が向上
する。この際、一旦、アノード3内の閉じ込めによりマ
クロパーティクルが微細化された後、マクロパーティク
ルが除去されるので、従来例に比べて蒸着膜の生成レー
トが遅くなるのが緩和される。
【0067】一方、蒸着の進行に連れて、円柱状のカソ
ード2が円筒状のアノード3の内部でその周面及び端面
に亘って外側から消耗する(図中に破線で示す)。従っ
て、従来例のように縁部がダレてチャンバの壁部5bと
ショートするような事態は生じない。
【0068】そして、カソードが一定以上消耗すると、
カソード進退機構6によってカソードがアノード3内に
送り込まれる。
【0069】次に、アノードの変形例を説明する。
【0070】図2は、アノードの変形例を示す断面図で
ある。本変形例では、アノード3は、円筒形状の本体ア
ノード31と該本体アノード31の外径と略同一直径の円板
形状のカバー用アノード32とで構成されている。カバー
用アノード32は、本体アノード31のカソード2が送り込
まれる側と反対側の端と所定の間隔を有するように配置
され、本体アノード3と同電位になるよう該本体アノー
ド31に接続されている。
【0071】かかる構成とすると、カソード2から蒸発
した蒸着膜形成材料が、一旦、カソード2と本体アノー
ド31及びカバー用アノード32との間の空間に閉じ込めら
れ、そこでマクロパーティクルが低減された後、本体ア
ノード31とカバー用アノード32との隙間33からアノード
31,32の外部に流出する。よって、図1の場合と同様の
効果を得ることができる。 実施の形態2 本発明の実施の形態2は、アノードを筒状に形成すると
ともに、アノードの先端にマクロパーティクル再溶解用
のヒータを設ける場合を例示したものである。
【0072】図3は本実施の形態に係るアーク蒸発源の
構成を示す縦断面図、図4は同じく平面図、図5は同じ
く正面図、図6は図3のVI-VI切断線に沿った断面図、
図7は図3のVII-VII切断線に沿った断面図である。な
お、本実施の形態では、イオンプレーティング装置は、
アーク蒸発源を除き、実施の形態1と同様である。そし
て、図3では真空チャンバの壁部5aを仮想線で示して
いる。
【0073】図3〜図7において、アーク蒸発源301は
ユニットとして構築され、該ユニットの基部を構成する
基板50、カソード2、アノード3、カソード2を冷却す
るための冷却器53、マクロパーティクルを再溶解するた
めのヒータH、及びカソード2を進退させるためのカソ
ード進退機構4を主要な構成要素として構成されてい
る。
【0074】カソード2は所定径の円形断面を有する所
定長の円柱形状に形成されている。また、アノード3は
カソード2の径より大きい所定の内径を有する円筒形状
に形成され、基端部に一段低く小径部91が形成されてい
る。
【0075】基板50は、円形の平板からなり、中央部に
カソード2を遊貫せしめる貫通孔50bが形成され、周縁
部に該基板を真空チャンバにボルト止めするためのボル
ト孔50aが周方向に等間隔で多数形成されている。
【0076】基板50の前面には、中央部に内径がカソー
ド2の径より若干大きい貫通孔52aを有し、外径がアノ
ード3の外径より少し大きく形成された中空円板からな
る仕切り板52が配置されている。また、基板50の前面に
は、円形のリング形状に形成され、アノード3の小径部
91に嵌合する内径を有し、かつ後面に仕切り板50の外径
及び厚みにそれぞれ等しい直径及び段差を有する凹部51
bが形成されたアノード固定部材51が、基板50と同軸に
ネジ66によって固定されている。これにより、仕切り板
52がアノード固定部材51の凹部51bに収容され、基板50
と同軸になるよう位置決めされている。そして、アノー
ド固定部材51の内孔51aにアノード3の小径部91が圧入
され、それにより、アノード3が該アノード固定部材51
に固定されている。
【0077】また、基板50の前面の、前面視においてア
ノード3を上下方向に挟む位置に、一対の支柱81が突設
されている。各支柱81は、スリーブ95を円筒状の断熱
(絶縁)部材64とともにボルト及びナット62で共締めす
ることにより基板50に固定して構成されている。各支柱
81には、さらに導電性基板82が上記ボルト及びナット62
により共締めされるようにして配設され、その一対の導
電性基板82,82の間にタングステン等の耐熱性導電材料
からなる一対のフィラメント97a,97bが架設されてい
る。該一対のフィラメント97a,97bは、アノード3の前
方にて、互いに平行にかつ該アノード3の軸心に対し左
右対称に上下方向に延在するように配設されている。こ
の一対のフィラメント97a,97bがヒータHを構成してい
る。また、各導電性基板82には配線端子67が配設されて
いる。
【0078】一方、冷却器53は、カソード2の外径より
若干大きい内径を有する中空円筒部53bの前端部の外周
面に八角形のフランジ部53aが該中空円筒部53bと同軸に
形成されて構成されている。そして、中空円筒部53bの
外壁の中央部の、その軸心の左右に位置する部分を貫通
するように一対の通水孔56が穿設されている。この冷却
器53のフランジ部53aが、基板50の後面に絶縁板54を介
してボルト55によって固定されている。絶縁板54は、冷
却器53のフランジ部53aの外径より小さい外径を有し、
かつ冷却器53の中空円筒部53bの内径と同一の内径を有
する中空円板形状に形成されている。そして、冷却器53
及び絶縁板54は、共に、基板50と同軸に固定されてい
る。また、ボルト55と冷却器53のフランジ部53aとの間
には絶縁体からなる絶縁スペーサ302が介挿され、それ
により、ボルト55とフランジ部53aとの間が絶縁されて
いる。また、複数のボルト55のうちの1本に、配線端子
303が共締めされている。さらに、冷却器53と絶縁板54
との間、及び絶縁板54と基板50との間には、適宜、Oリ
ング93,94が配設され、それにより、真空チャンバ5の
内部が外部に対しシールされている。
【0079】そして、冷却器53のフランジ部53aの上端
から逆L字状に後方に延びるように枠体72が配設されて
いる。枠体72は、冷却器53のフランジ53aの上端に板状
の縦枠部材72aが配置され、該縦枠部材72aの上端に前端
部が位置しそこから後方に延びるように逆T字状断面を
有する柱状の水平枠部材72bが配置され、該縦枠部材72a
と水平枠部材72bの前端部とがボルト178で冷却器53のフ
ランジ部53aに固定されて構成されている。
【0080】水平枠部材72bの下面の両端部には一対の
ホルダ73,74がそれぞれボルト179,180で固定されるよう
にして配設され、前側のホルダ73から後方に後側のホル
ダ74を貫通して延びるようにボールネジ75が両ホルダ7
3,74に回動自在に設けられている。ボールネジ75の後端
は後側のホルダ74に固定されたサーボモータ77に接続さ
れている。さらに該一対のホルダ73,74間にはボールネ
ジ75の左右両側に該ボールネジ75に沿って延びるように
一対のガイドバー88が配設されている。そして、該ボー
ルネジ75及び一対のガイドバー88に、可動体76が、それ
ぞれ、螺入及び嵌入されている。そして、可動体76の後
端から垂下するようにブラケット78が配設されている。
一方、冷却器53の中空円筒部53bの内孔53c、絶縁板54の
内孔54a、基板50の貫通孔50b、及び仕切板52の貫通孔52
aを挿通してアノード3の内部にカソード2が挿入さ
れ、そのカソード2の後端が取付具79によってブラケッ
ト78の下端部に取り付けられている。すなわち、取付具
79は、棒状に形成され、両端部にネジ部が形成されてい
る。そして、取付具79の前端部のネジ部がカソード2の
後端面に形成されたネジ孔に螺嵌されてナット79aで固
定され、取付具79の後端部のネジ部がブラケット78の下
端部に穿設された貫通孔に挿通されナット79c及びワッ
シャで固定されている。それにより、カソード2の後端
が取付具79によってブラケット78の下端部に取り付けら
れている。これにより、サーボモータ77によってボール
ネジ75が回転させられると、その回転に応じて可動体76
がガイドバー88に案内されつつ前後方向に移動し、その
移動に伴ってカソード2がアノード3に対し進退するよ
うになっている。なお、取付具79の後端部のネジ部とブ
ラケット78との間には絶縁体からなる絶縁スペーサ79b
が介挿され、それにより、取付具79の後端部のネジ部と
ブラケット78との間が絶縁されている。また、該ネジ部
には、配線端子80が共締めされている。また、冷却器53
の中空円筒部53bの内周面の前端部には溝内に位置する
ようにしてOリング92が配置され、それにより、真空チ
ャンバの内部が外部に対しシールされている。そして、
上記枠体72、ホルダ73,74、ボールネジ75、ガイドバー8
8、可動体76、サーボモータ77、ブラケット78、取付具7
9がカソード進退機構4を構成している。
【0081】以上の構成により、アーク蒸発源ユニット
301が構築されている。そして、このアーク蒸発源ユニ
ット301の基板50の前面に配設された部分が真空チャン
バの側壁部5aに穿設された取付孔5cから該真空チャン
バ内部に挿入され、該基板50の外周部が環状の絶縁板13
1を介して該側壁部5aに固定されている。基板50の外周
部は、そのボルト孔50aに、絶縁板131及び側壁部5aに
形成されたボルト挿通孔を通してボルト132を螺止する
ことにより、該側壁部5aに固定されている。これによ
り、アーク蒸発源ユニット301が、アノード3及びヒー
タHが真空チャンバの側壁部5aから内方に突出する状
態にて、該真空チャンバに取り付けられている。このよ
うに、本実施の形態では、アーク蒸発源がユニット化さ
れているので、その真空チャンバへの取り付けが容易と
なっている。
【0082】そして、加熱用電源41が一対の配線端子67
a,67b間に接続され、それにより、加熱用電源41から加
熱用の電力がヒータHに供給されるようになっている。
また、放電用電源10が配線端子80と配線端子303との間
に接続され、それにより、ボルト55、基板50、アノード
固定部材51、アノード3、アノード3とカソード2との
間の空隙、カソード2、取付具79を通ってアーク放電電
力が放電用電源10から供給されるようになっている。さ
らに、冷却器53の一対の通水孔56に冷却水のポンプが接
続され、それにより冷却器53の中空円筒部53bの円筒状
の内部空間53eに冷却水が供給されるようになってい
る。
【0083】そして、バイアス用電源(図示せず)、放
電用電源10、加熱用電源41、サーボモータ77、及び冷却
水のポンプがCPU等を備えた演算器からなる制御装置
111によって制御されている。また、電流センサS1及び
電圧センサS2が放電用電源10にそれぞれ直列及び並列
に接続され、それらの出力が制御装置111に入力されて
いる。
【0084】次に、以上のように構成されたアーク蒸発
源ユニット301及びイオンプレーティング装置の動作を
図3から図8を用いて説明する。図8はアーク放電の進
行に伴うアーク電流及びアーク電圧の変化を説明するた
めの図であって、(a)はアーク放電の進行に伴うアノー
ドとカソードとの間隔の変化を示す図、(b)はアノード
とカソードとの間隔に対するアーク電圧の変化を示す
図、(c)はアノードとカソードとの間隔に対するアーク
電流の変化を示す図である。
【0085】図3に示された状態で、制御装置111が始
動操作されると、該制御装置111によってイオンプレー
ティング装置及びアーク蒸発源ユニット301が起動さ
れ、以下のように動作する。
【0086】まず、バイアス用電源によって真空チャン
バの壁部5aから基材ホルダ(図示せず)に向かう直流
電界が形成され、放電用電源10によってアノード3とカ
ソード2との間にアーク放電電圧が印加され、かつ加熱
用電源41によってヒータHに加熱電流が通電される。ま
た、冷却水のポンプによって冷却器53に冷却水が通水さ
れる。
【0087】次いで、サーボモータ77により駆動され
て、カソード2が前進してヒータHに瞬間的に接触した
後、所定位置に後退する。すると、加熱用電源41と放電
用電源10とが接続されていることから加熱用電源41によ
ってヒータHからカソード2及び放電用電源10を通って
短絡電流が流れ、カソード2がヒータHから離れる際に
アーク放電が発生する。このアーク放電をきっかけにア
ノード3とカソード2との間にアーク放電が開始され
る。一方、ヒータHとカソード2との間のアーク放電は
カソード2がヒータHから十分離れた時点で消滅する。
そして、上記アーク放電によりカソード2から蒸着膜形
成材料が蒸発し、その蒸発した蒸着膜形成材料がアノー
ド3とカソード2との間の筒状空間に充満する。この充
満した薄膜材料は、該筒状空間の後面が仕切部材52によ
って塞がれているため、該筒状空間の前面から前方に流
出する。その際、蒸着膜形成材料中のマクロパーティク
ルが、通電によって加熱されたヒータHに接触し、それ
により再溶解されて微細化される。これにより、マクロ
パーティクルが低減された蒸着膜形成材料が基材に向か
い、該基材上に堆積される。この場合、マクロパーティ
クルは途中で除去されずに微細化され、その微細化され
たものが全て基材に向かうので、従来例のように蒸着膜
の生成レートが遅くなるようなことはなく、しかも蒸着
膜の表面粗さが向上する。また、このマクロパーティク
ルの低減度合いはヒータHの温度、換言すれば加熱用電
源41の電圧を制御することにより制御することができ
る。従って、加熱用電源41の電圧を制御することによ
り、蒸着膜の表面粗さを制御することができる。従っ
て、また、蒸着膜が最終製品のミラー面を構成する場合
には、加熱用電源41の電圧を制御することにより、蒸着
膜の生成レートを変化させることなく、その反射率を制
御することができる。
【0088】そして、アーク放電が進行すると、図8
(a)に示すように、カソード2が徐々に消耗して(破線
で示す)該カソード2とアノード3との平均間隔dが大
きくなる。ここで、アーク電圧は図8(b)に示すよう
に、カソード2とアノード3との平均間隔dの増加に略
比例して増加し、アーク電流は、図8(c)に示すよう
に、カソード2とアノード3との平均間隔dの増加に略
比例して減少する。そこで、制御装置111において、カ
ソード2が消耗して所定の程度まで短くなった状態にお
けるアーク電圧及びアーク電流についてそれぞれしきい
値Et,Itが設定されており、制御装置111は、電流セン
サS1及び電圧センサS2でそれぞれ検出されたアーク電
流及びアーク電圧が各々のしきい値Et,Itを共に超え
ると、サーボモータ77に指令してカソード2を所定量前
進させる。これにより、自動的にカソード2をアノード
3内に送り込んで安定した条件で蒸着が遂行される。ま
た、その間、アーク放電によりカソード2が加熱される
が、冷却器53中を流れる冷却水によってカソード2の後
部が該冷却器53の内壁53dを介して冷却されるので、カ
ソード2の前部が過熱するのが防止される。
【0089】次に、本実施の形態の変形例を説明する。
【0090】図9はヒータHの第1の変形例を示す正面
図である。本変形例では、ヒータHを構成するコイル状
のフィラメントが、アノード3とカソード2との間の筒
状空間の前方に、該筒状空間の前面を遮るように環状に
配置されている。このような構成とすると、該筒状空間
から流出する蒸着膜形成材料の流出経路中に集中するよ
うにフィラメントが位置するため、蒸着膜形成材料を効
率的に加熱することができる。
【0091】図10はヒータHの第2の変形例を示す側
面図である。本変形例では、ヒータHを構成する円形の
外形を有するメッシュ状のフィラメントH1〜Hnが、ア
ノード3の前方に互いに間隔を有して複数配置されてい
る。複数のフィラメントH1〜Hnは、アノード3から遠
いもの程、大きな外形を有するように形成されている。
そして、複数のフィラメントH1〜Hnには、それぞれ、
独立した加熱用電源E1〜Enが接続されている。
【0092】このような構成とすると、アノード3とカ
ソード2との間の筒状空間から流出する蒸着膜形成材料
112のフィラメントH1〜Hnへの接触回数が多くなる
(接触時間が長くなる)ので、フィラメントH1〜Hnに
マクロパーティクルが付着する確率が高くなる。よっ
て、マクロパーティクルをより低減することができる。
また、アノード3とカソード2との間の筒状空間から前
方に向かって広がるように流出する蒸着膜形成材料112
に対応してフィラメントH1〜Hnが分布することになる
ため、マクロパーティクルをより多く低減することがで
きる。さらに、複数のフィラメントH1〜Hnの温度を、
加熱用電源E1〜Enによって、それぞれ、独立して制御
することができるので、マクロパーティクルをより効率
よく低減することができる。
【0093】なお、複数のフィラメントH1〜Hnは、ア
ノード3から遠いもの程、メッシュの目が細かくなるよ
うにしてもよい。該複数のフィラメントH1〜Hnを通過
する蒸着膜形成材料112は、先に進むに連れてマクロパ
ーティクルの微細化の程度が進行するので、そのように
構成すると、マクロパーティクルをより適切に低減する
ことができる。
【0094】図11はヒータHの第3の変形例を示す側
面図である。本変形例では、ヒータHを構成するフィラ
メントが、アノード3の前方に、前後方向の所定長に亘
って分布するようなコイル形状に形成されて配置されて
いる。つまり、該フィラメントは、アノード3の前方に
所定のピッチPで形成された複数の層L1〜Lnで構成さ
れ、各層L1〜Lnは、アノード3から遠いもの程、大き
な径φを有するとともに多くの巻回数を有するように形
成されている。この各層の巻回数はその巻回されたフィ
ラメント間の間隔が各層L1〜Lnにおいてなるべく等し
くなるように設定される。また、複数の層L1〜Lnのピ
ッチP、径φ、及び巻回数は、効率よくマクロパーティ
クルを低減できるよう適宜に設定することができる。こ
のような構成としても、第2の変形例と同様の効果を得
ることができる。
【0095】図12は、冷却器の変形例を示す縦断面図
である。図12に示すように、本変形例では、冷却器12
2は、円筒部122bの前端の周面に図3の冷却器53と同様
のフランジ部122aが形成されて構成されている。円筒部
122bは、中空円筒形状の内壁の中央部が切り欠かれたよ
うな形状を有している。つまり、円筒部122bは、円筒形
状の外壁122cの前端に、中央に開口を有する前側底壁12
2dが形成され、該前側底壁122dの内面の該開口の周囲に
短円筒形状の前側内壁122eが形成されている。そして、
該開口及び該前側内壁122eの内周面が前側カソード挿通
孔122hを構成している。また、外壁122cの後端に、中央
に開口を有する後側底壁122fが形成され、該後側底壁12
2fの内面の該開口の周囲に短円筒形状の後側内壁122gが
形成されている。そして、該開口及び該後側内壁122gの
内周面が後側カソード挿通孔122iを構成している。前側
カソード挿通孔122h及び後側カソード挿通孔122iの径
は、共に、カソード2の外径より若干大きい径に形成さ
れている。前側カソード挿通孔122h及び後側カソード挿
通孔122iの内面には、それぞれ、溝内に位置するように
してOリング123,124が配設されている。
【0096】そして、前側カソード挿通孔122h及び後側
カソード挿通孔122iにカソード2が挿通されている。ま
た、カソード2の後端に該後端に連続するように円柱形
状のダミー121が接続され、該ダミー121の後端がカソー
ド進退機構4(図3参照)に接続されている。
【0097】このような構成とすると、冷却水が冷却器
122の円筒部122bとカソード2の外周面とで仕切られた
円筒状の空間122jを周方向に流れて、カソード2の後部
の周面を直接冷却するので、図3の場合に比べて、効率
よくカソード2冷却することができる。また、カソード
2の後端にダミー121が接続されているので、本変形例
のように、カソード2が冷却水の流路を液密的に貫通す
る場合でも、冷却水の漏れを生じることなく、カソード
2を最後まで使い切ることができる。
【0098】図13はヒータHの第4の変形例を示す側
面図である。本変形例では、アノード3の前方に、該ア
ノード3と略同一径の円形のメッシュ状のフィラメント
からなるヒータHが、アノード3及びカソード2に近接
して配設されている。ヒータHは加熱用電源41に接続さ
れるとともに、アノード3に接続されている。
【0099】このような構成とすると、ヒータHがカソ
ード2に近接しているので、点弧後も該ヒータHがカソ
ード2との間でアーク放電を継続してアノードとして機
能するとともに、カソード2から蒸発し拡散する薄膜形
成材料112中のマクロパーティクルを微細化する再溶解
ヒータとしても機能する。よって、両者の相乗効果によ
り、薄膜形成材料112中のマクロパーティクルをより効
果的に微細化することができる。
【0100】なお、上記実施の形態1、2では、本発明
に係るアーク蒸発源をイオンプレーティング装置に用い
る場合を説明したが、これをスパッタリングに用いるこ
ともできる。
【0101】また、上記実施の形態1では、アーク蒸発
源をカソードが真空チャンバの壁部を貫通して外部に突
出するように配設したがカソードが真空チャンバ内部に
位置するように配置してもよい。また、カソード及びア
ノードの向き(真空チャンバ壁面に対する軸の角度)は
任意に設定してよい。
【0102】また、実施の形態2におけるヒータHは、
メッシュやコイルに代えて種々のパターンのものを用い
ることができる。例えば、パンチングメタルを用いても
よい。
【0103】また、上記実施の形態2では筒状のカソー
ドにヒータHを設ける場合を説明したが、これを円盤状
のカソードの前面に設けてもよい。
【0104】
【発明の効果】本発明は、以上に説明したような形態で
実施され、以下のような効果を奏する。 (1)カソードが円盤状である従来のアーク電源に比べ
てカソード及びアノードのチャンバ室壁への投影面積が
小さくなるため、その分、チャンバを小型化する上で有
利となる。また、従来のアーク蒸発源のように円盤状の
カソードの縁部のダレによってショートを生じるのが防
止される。 (2)筒状のアノードの内孔のカソードが送り込まれる
側と反対側の端を該端が外部に連通するように覆うカバ
ー用アノードが付加されたものとすると、蒸着膜の生成
レートが遅くなることなく、アーク蒸発源から流出する
蒸着膜形成材料中のマクロパーティクルを低減すること
ができ、その結果、基材上に形成される蒸着膜の表面粗
さひいては反射率を向上することができる。 (3)筒状のアノードの内孔の外部への連通部分の外方
に、該連通部分から流出するマクロパーティクルを捕捉
する捕捉手段が配設されたものとすると、基材に付着す
るマクロパーティクルがより低減される。 (4)アノードとカソードとの間にアーク放電の電力を
供給するための放電用電源が接続されてなり、カソード
送り込み手段が、カソードとアノードとの間のアーク放
電による蒸着膜形成材料の蒸発に伴う放電用電源の電圧
及び電流の変化に基づいて、カソードを送り込むもので
あるとすると、適切にカソードを送り込むことができ
る。 (5)カソードの、送り込み方向におけるアノードより
後方に位置する部分の周面を冷却する冷却手段を備えた
ものとすると、カソードを効率よく冷却することができ
る。 (6)冷却手段が、カソードの送り込み方向におけるア
ノードより後方位置においてカソードを液密的に貫通せ
しめるように形成された冷却媒体の流路と、該冷却媒体
の流路に冷却媒体を流通させるポンプ手段とを備えてな
るものとすると、冷却媒体の流路の路壁を介してカソー
ドを冷却する場合に比べて、効率よく冷却することがで
きる。 (7)カソードの送り込み方向における後端に、該カソ
ードと同一断面形状のダミー部材が接続されてなるもの
とすると、カソードが冷却媒体の流路を液密的に貫通す
る場合でも、冷却媒体の漏れを生じることなく、カソー
ドを最後まで使い切ることができる。 (8)アーク蒸発源が、内部を実質的に真空にすること
が可能なチャンバ内にそれぞれ配設されたアノード及び
蒸着膜形成材料からなるカソードと、該アノードと該カ
ソードとの間のアーク放電により該カソードから蒸発す
る蒸着膜形成材料の拡散経路中に配設された発熱体とを
備えたものであるとしても、蒸着膜の生成レートが遅く
なることなく、カソードから拡散する蒸着膜形成材料中
のマクロパーティクルを低減することができ、その結
果、基材上に形成される蒸着膜の表面粗さひいては反射
率を向上することができる。 (9)発熱体が蒸着膜形成材料の拡散方向に分布してな
るものとすると、マクロパーティクルをより低減するこ
とができる。 (10)発熱体が蒸着膜形成材料の拡散方向に向かって
広がるように分布してなるものとすると、マクロパーテ
ィクルをさらに低減することができる。 (11)アノードが筒状に形成され、カソードがアノー
ドの内孔に挿通可能な柱状に形成され、該カソードを該
カソードの軸方向に移動させてアノードの内孔に送り込
むカソード送り込み手段を備えてなるものとすると、従
来例のようにカソードが円盤状である場合に比べて狭い
範囲に発熱体を分布させれば済むので、その分効率よく
マクロパーティクルを低減することができる。 (12)発熱体が通電によって発熱するものであるとす
ると、発熱体を簡単な構成で効率よく発熱させることが
できる。 (13)発熱体を通電するための加熱用電気回路と、ア
ノード及びカソード間にアーク放電電力を供給するため
の放電用電気回路とが電気的に接続されてなるものとす
ると、始動時にカソードの先端を発熱体に接触させるこ
とによりアーク蒸発源を点弧することができる。そのた
め、専用の点弧装置が不要となる。 (14)請求項2のアーク蒸発源を用いた点弧方法にお
いて、筒状のアノード及びカバー用アノードとカソード
との間にアーク放電の電力を供給するための放電用電源
が接続されてなり、カソードの前端をカバー用アノード
に接触させることにより点弧するようにすると、専用の
点弧装置が不要となる。 (15)発熱体が点弧後もカソードとの間でアーク放電
を生じるよう構成されてなるものとすると、発熱体がア
ノードとして機能するとともにカソードから蒸発し拡散
する薄膜形成材料を微細化する再溶解ヒータとしても機
能するため、両者の相乗効果により、マクロパーティク
ルをより効果的に微細化することができる。 (16)請求項18のアーク蒸発源を用いた点弧方法に
おいて、カソードの前端を発熱体に接触させることによ
り点弧するようにすると、専用の点弧装置が不要とな
る。 (17)請求項17のアーク蒸発源を用いて基材上に蒸
着膜を形成し、該蒸着膜を形成する際に上記発熱体の通
電電力を制御することにより、基材上に形成される蒸着
膜の反射率を制御するようにすると、蒸着膜の反射率を
的確に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係るアーク蒸発源を用
いたイオンプレーティング装置の構成を模式的に示す断
面図である
【図2】アノードの変形例を示す断面図である。
【図3】本発明実施の形態2に係るアーク蒸発源の構成
を示す縦断面図である。
【図4】本発明実施の形態2に係るアーク蒸発源の構成
を示す平面図である。
【図5】本発明実施の形態2に係るアーク蒸発源の構成
を示す正面図である。
【図6】図3のVI-VI切断線に沿った断面図である。
【図7】図3のVII-VII切断線に沿った断面図である。
【図8】アーク放電の進行に伴うアーク電流及びアーク
電圧の変化を説明するための図であって、(a)はアーク
放電の進行に伴うアノードとカソードとの間隔の変化を
示す図、(b)はアノードとカソードとの間隔に対するア
ーク電圧の変化を示す図、(c)はアノードとカソードと
の間隔に対するアーク電流の変化を示す図である。
【図9】ヒータの第1の変形例を示す正面図である。
【図10】ヒータの第2の変形例を示す側面図である。
【図11】ヒータの第3の変形例を示す側面図である。
【図12】冷却器の変形例を示す縦断面図である。
【図13】ヒータの第4の変形例を示す側面図である。
【図14】従来のアーク蒸発源を用いたイオンプレーテ
ィグ装置の一例の概略の構成を示す模式図である。
【符号の説明】 1 アーク蒸発源 2 カソード 3 アノード 3a 周面 3b 底部 4 カソード進退機構 5 真空チャンバ 5a 壁部 5b 凹部 6 カソード挿通孔 7 Oリング 8 捕捉部材 9 基材ホルダ 10 放電用電源 11 バイアス用電源 12 マクロパーティクルの堆積物 13 分子状の蒸着膜形成材料 14 マクロパーティクル 31 本体アノード 32 カバー用アノード 33 本体アノードとカバー用アノードとの隙間 41 加熱用電源 50 基板 50a ボルト孔 50b 貫通孔 51 アノード固定部材 51a 内孔 51b 凹部 52 仕切板 52a 貫通孔 53 冷却器 53a フランジ部 53b 中空円筒部 53c 内孔 53d 内壁 53e 内部空間 54 絶縁板 55 ボルト 56 通水孔 62 ボルト及びナット 64 断熱部材 66 ネジ 67a,67b 配線端子 72 枠体 72a 縦枠部材 72b 水平枠部材 73,74 ホルダ 75 ボールネジ 76 可動体 77 サーボモータ 78 ブラケット 79 取付具 79a ナット 79b 絶縁スペーサ 79c ナット 80 配線端子 81 支柱 82a,82b 導電性基板 88 ガイドバー 91 小径部 92〜94 Oリング 95 スリーブ 97a,97b フィラメント 111 制御装置 112 蒸着膜形成材料 121 ダミー 122 冷却器 122a フランジ部 122b 円筒部 122c 外壁 122d 前側底壁 122e 前側内壁 122f 後側底壁 122g 後側内壁 122h 前側カソード挿通孔 122i 後側カソード挿通孔 123,124 Oリング 131 絶縁板 132 ボルト 178〜180 ボルト 201 軸心 210 基材 301 アーク蒸発源ユニット 302 絶縁スペーサ 303 配線端子 d アノードとカソードとの平均間隔 E1〜En 加熱用電源 H ヒータ H1〜Hn メッシュ状のフィラメント L1〜Ln 層 P 層のピッチ S1 電流センサ S2 電圧センサ φ 層の径
フロントページの続き (72)発明者 小泉 康浩 兵庫県西宮市田近野町6番107号 新明和 工業株式会社開発センタ内 (72)発明者 能勢 功一 兵庫県西宮市田近野町6番107号 新明和 工業株式会社開発センタ内 Fターム(参考) 4K029 BC07 CA01 CA03 DB17 DD06

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部を実質的に真空にすることが可能な
    チャンバ内に配設された筒状のアノードと、 蒸着膜形成材料からなり、上記アノードの内孔に挿通可
    能な柱状のカソードと、 該カソードを該カソードの軸方向に移動させて上記アノ
    ードの内孔に送り込むカソード送り込み手段とを備えた
    アーク蒸発源。
  2. 【請求項2】 上記筒状のアノードの内孔の上記カソー
    ドが送り込まれる側と反対側の端を該端が外部に連通す
    るように覆うカバー用アノードが付加された請求項1記
    載のアーク蒸発源。
  3. 【請求項3】 上記筒状のアノードの内孔の上記カソー
    ドが送り込まれる側と反対側の端を該端と所定の間隔を
    有して覆うように他のアノードが配置され、該他のアノ
    ードが上記カバー用アノードを、上記所定の間隔が上記
    内孔の外部への連通部分を構成してなる請求項2記載の
    アーク蒸発源。
  4. 【請求項4】 上記筒状のアノードが有底筒状に形成さ
    れるとともに該有底筒状のアノードの周壁の底部近傍部
    に貫通孔が形成され、 該有底筒状のアノードの底部が上記カバー用アノード
    を、上記貫通孔が上記内孔の外部への連通部分をそれぞ
    れ構成してなる請求項2記載のアーク蒸発源。
  5. 【請求項5】 上記内孔の外部への連通部分の外方に、
    該連通部分から流出するマクロパーティクルを捕捉する
    捕捉手段が配設された請求項2乃至4のいずれか1つの
    項に記載のアーク蒸発源。
  6. 【請求項6】 上記アノードと上記カソードとの間にア
    ーク放電の電力を供給するための放電用電源が接続され
    てなり、 上記カソード送り込み手段は、上記カソードの上記アノ
    ードとの間のアーク放電による蒸着膜形成材料の蒸発に
    伴う上記放電用電源の電圧及び電流の変化に基づいて、
    上記カソードを送り込むものである請求項1乃至5のい
    ずれか1つの項に記載のアーク蒸発源。
  7. 【請求項7】 上記カソードの、上記送り込み方向にお
    ける上記アノードより後方に位置する部分の周面を冷却
    する冷却手段を備えた請求項1乃至6のいずれか1つの
    項に記載のアーク蒸発源。
  8. 【請求項8】 上記冷却手段は、上記カソードの送り込
    み方向における上記アノードより後方位置において上記
    カソードの周面がその路壁と摺動するように形成された
    冷却媒体の流路と、 該冷却媒体の流路に冷却媒体を流通させるポンプ手段と
    を備えてなる請求項7記載のアーク蒸発源。
  9. 【請求項9】 上記冷却手段は、上記カソードの送り込
    み方向における上記アノードより後方位置において上記
    カソードを液密的に貫通せしめるように形成された冷却
    媒体の流路と、 該冷却媒体の流路に冷却媒体を流通させるポンプ手段と
    を備えてなる請求項7記載のアーク蒸発源。
  10. 【請求項10】 上記カソードの上記送り込み方向にお
    ける後端に、該カソードと同一断面形状のダミー部材が
    接続されてなる請求項9記載のアーク蒸発源。
  11. 【請求項11】 内部を実質的に真空にすることが可能
    なチャンバ内にそれぞれ配設されたアノード及び蒸着膜
    形成材料からなるカソードと、 該アノードと該カソードとの間のアーク放電により該カ
    ソードから蒸発する蒸着膜形成材料の拡散経路中に配設
    された発熱体とを備えたアーク蒸発源。
  12. 【請求項12】 上記発熱体が上記蒸着膜形成材料の拡
    散方向に分布してなる請求項11記載のアーク蒸発源。
  13. 【請求項13】 上記発熱体が上記蒸着膜形成材料の拡
    散方向に向かって広がるように分布してなる請求項12
    記載のアーク蒸発源。
  14. 【請求項14】 上記発熱体が、1以上のメッシュで構
    成されてなる請求項11〜13のいずれか1つの項に記
    載のアーク蒸発源。
  15. 【請求項15】 上記発熱体がコイルで構成されてなる
    請求項11〜13のいずれか1つの項に記載のアーク蒸
    発源。
  16. 【請求項16】 上記アノードが筒状に形成され、 上記カソードが上記アノードの内孔に挿通可能な柱状に
    形成され、 該カソードを該カソードの軸方向に移動させて上記アノ
    ードの内孔に送り込むカソード送り込み手段を備えてな
    る請求項11〜15のいずれか1つの項に記載のアーク
    蒸発源。
  17. 【請求項17】 上記発熱体が通電によって発熱するも
    のである請求項11〜16のいずれか1つの項に記載の
    アーク蒸発源。
  18. 【請求項18】 上記発熱体を通電するための加熱用電
    気回路と、上記アノード及び上記カソード間にアーク放
    電電力を供給するための放電用電気回路とが電気的に接
    続されてなる請求項17記載のアーク蒸発源。
  19. 【請求項19】 上記発熱体が点弧後も上記カソードと
    の間でアーク放電を生じるよう構成されてなる請求項1
    8記載のアーク蒸発源。
  20. 【請求項20】 請求項2のアーク蒸発源を用いた点弧
    方法であって、 上記筒状のアノード及びカバー用アノードと上記カソー
    ドとの間にアーク放電の電力を供給するための放電用電
    源が接続されてなり、 上記カソードの前端を上記カバー用アノードに接触させ
    ることにより点弧するアーク蒸発源の点弧方法。
  21. 【請求項21】 請求項18のアーク蒸発源を用いた点
    弧方法であって、 上記カソードの前端を上記発熱体に接触させることによ
    り点弧するアーク蒸発源の点弧方法。
  22. 【請求項22】 請求項17のアーク蒸発源を用いて基
    材上に蒸着膜を形成し、 該蒸着膜を形成する際に上記発熱体の通電電力を制御す
    ることにより、上記基材上に形成される蒸着膜の反射率
    を制御する蒸着膜の反射率制御方法。
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