JP2002256165A - 近赤外線透過性黒色アゾ顔料および顔料組成物 - Google Patents

近赤外線透過性黒色アゾ顔料および顔料組成物

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JP2002256165A JP2001330819A JP2001330819A JP2002256165A JP 2002256165 A JP2002256165 A JP 2002256165A JP 2001330819 A JP2001330819 A JP 2001330819A JP 2001330819 A JP2001330819 A JP 2001330819A JP 2002256165 A JP2002256165 A JP 2002256165A
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Yoshio Abe
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 近赤外線を高透過率で透過する黒色アゾ顔料
及び顔料組成物を提供する。 【解決手段】 一般式1の、結晶形態が薄片紐状である
近赤外線透過性黒色アゾ顔料及び該顔料を含む顔料組成
物。 (RはC1〜3の低級アルキルもしくは低級アルコキシ
ルから選ばれる1種以上の基、nは1〜5の整数であ
り、nが2以上のときはRは同じでも異なってもよ
い。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、近赤外線透過性黒
色アゾ顔料およびそれを含有する黒色アゾ顔料組成物に
関する。なお、本発明において「近赤外線」とは、波長
800〜2,000nmの光をいう。
【0002】
【従来の技術】従来から黒色系顔料としては、一般にカ
ーボンブラック、アニリンブラック、酸化鉄ブラックな
どが使用されてきた。これらの顔料は、紫外線領域から
遠赤外線領域までの波長の光を吸収し、近赤外線の光に
対する透過性はなく、赤外線、すなわち、熱線を吸収し
易く、これらの顔料で着色された物体は直射日光により
高温になり易い。また、これらの従来の黒色顔料は、電
子部品用塗料などの着色剤として用いた場合、電気絶縁
性に乏しいという性質を持っている。
【0003】近年、レーザー、特に半導体レーザーやそ
れに対するセンサーの発達により、従来一般に使用され
ていたカーボンブラックやアニリンブラックなどの黒色
顔料に無い性質を有する黒色顔料を求める分野が多くな
っている。例えば、このような分野としては、黒色顔料
を用いる赤外線通信、赤外線迷彩、光学フィルター、偽
造防止目的の印刷などの他に、電子部品用塗料、自動車
あるいは建材の昇温防止用塗料、農業用寒冷紗などの着
色剤分野が挙げられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】カーボンブラックやア
ニリンブラックなどは、紫外線領域から遠赤外線領域ま
での波長の光を吸収し、黒色顔料として従来から種々の
着色用途に使用されているが、電気絶縁性に乏しく電気
部品などの着色には適していない欠点があった。このよ
うな性質は、これらの顔料自体に本質的なもので、改良
できるものではなく、このような欠点のない、すなわ
ち、近赤外線の透過率が高い黒色顔料が求められてい
る。
【0005】従って、本発明の目的は、電気部品などの
着色にも使用でき、近赤外線を高透過率で透過する黒色
顔料およびこれを着色剤とする顔料組成物を提供するこ
とである。本発明者は上記目的を達成すべく鋭意検討し
た結果、特定の黒色アゾ顔料の結晶形態を、薄片紐状に
することにより、長径(長さ)が1μm以上であって
も、近赤外線の透過率が大きくなることを見出し、この
知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的は以下の本発
明によって達せられる。すなわち、本発明は、下記の一
般式(1)で表され、その結晶形態が薄片紐状であるこ
とを特徴とする近赤外線透過性黒色アゾ顔料および該顔
料を含む顔料組成物を提供する。 (なお、式中のRは炭素数1〜3の低級アルキル基およ
び炭素数1〜3の低級アルコキシル基からなる群から選
ばれた少なくとも1種の基であり、nは1〜5の整数で
あり、nが2以上のときはRは同じでも異なってもよ
い。)
【0007】
【発明の実施の形態】次に好ましい実施形態を挙げて本
発明をさらに具体的に説明する。本発明の黒色アゾ顔料
は、上記の一般式(1)で表される黒色アゾ顔料であ
り、その結晶形態が薄片紐状で、近赤外線を高透過率で
透過することが特徴である。
【0008】上記の一般式(1)で示される黒色アゾ顔
料自体は公知(特公平4−15265号公報参照)であ
り、この顔料の結晶形態は、短い短冊状で、X線回折に
よる回折角(2θ)26°付近に最大の回折強度を示
す。また、この結晶形態の顔料は、近赤外線の反射率は
大きいが、透過率は小さい。
【0009】一方、本発明の黒色アゾ顔料は、X線回折
による回折角(2θ)26°付近には強い回折強度はな
く、回折角(2θ)13°〜14°の間および27°付
近に強い回折強度を示し、近赤外線の反射率は小さい
が、透過率は大きく、上記の公知の黒色アゾ顔料とは、
結晶形態および近赤外線に対する挙動が相違する。
【0010】上記の公知の黒色アゾ顔料は、顔料合成時
にジアゾ成分とカップリング成分を過不足なく使用し、
カップリング成分を1種類用いて得られるものである。
一方、上記の如き特徴を有する本発明の黒色アゾ顔料
は、例えば、顔料合成時にジアゾ成分およびカップリン
グ成分を、いずれか一方の成分が過剰又は不足となる比
率で使用したり、複数の種類のカップリング成分を同時
にカップリングさせることなどにより得ることができ
る。
【0011】本発明で使用する下記の式(2)で示され
るジアゾ成分をジアゾ化する方法は、従来公知の芳香族
アミンのジアゾ化法に準じて行なうことができる。例え
ば、上記ジアゾ成分の塩酸塩などの鉱酸塩の冷水溶液に
亜硝酸ソーダ溶液を加えてジアゾ化する方法などの公知
の方法が使用できる。
【0012】また、カップリング成分は、下記の一般式
(3)で示される2−ヒドロキシ−11H−ベンゾ
[a]−カルバゾール−3−カルボキシフェニルアミド
が使用される。置換基(下記の一般式(3)における
R)およびその数(n)は前記の通りである。カップリ
ング成分の具体例としては、例えば、2−ヒドロキシ−
N−(2′−メチル−4′−メトキシフェニル)−11
H−ベンゾ[a]−カルバゾール−3−カルボキシアミ
ド、2−ヒドロキシ−N−(4′−メトキシフェニル)
−11H−ベンゾ[a]−カルバゾール−3−カルボキ
シアミド、2−ヒドロキシ−N−(2′−エチルフェニ
ル)−11H−ベンゾ[a]−カルバゾール−3−カル
ボキシアミドなどが挙げられる。
【0013】
【0014】上記のジアゾ成分のジアゾニウム塩と上記
のカップリング成分とを常法に従い、水媒体あるいはo
−ジクロルベンゼンなどの有機溶媒媒体中で両者をカッ
プリングさせることにより、上記の一般式(1)で表さ
れる黒色アゾ顔料が得られる。カップリングに際して
は、上記のジアゾ成分およびカップリング成分はそれぞ
れ1種類が選択されて使用されるほか、2種類以上のカ
ップリング成分を併用することができる。
【0015】前記の公知の黒色アゾ顔料は、カップリン
グ反応時に上記のジアゾ成分のジアゾニウム塩とカップ
リング成分とを等当量で使用し、カップリング成分を1
種類用いて得られるものである。一方、本発明の黒色ア
ゾ顔料は、カップリング反応時に上記のカップリング成
分をジアゾ成分の当量よりも不足する量又は過剰な量で
使用するか、又はカップリング成分として置換基の異な
る2種類以上を混合して使用することによって得られ
る。
【0016】いずれの場合も、例えば、o−ジクロルベ
ンゼン中でカップリングし、その後170℃にて4時間
加熱して結晶化処理することによって本発明の黒色アゾ
顔料が得られる。前記の公知の黒色アゾ顔料は、大小混
在した短い短冊状の結晶形態を示し、X線回折による回
折角(2θ)26°付近に強い回折ピークを示すが、本
発明の黒色アゾ顔料の結晶形態は、細い揃った薄片紐状
を示し、回折角(2θ)13°〜14°の間および27
°付近に強い回折ピークを示す。本発明の黒色アゾ顔料
の結晶形態は、長さが約0.5〜1μm、幅が約0.0
3μmの薄片紐状の結晶である。また、平均アスペクト
比(長さ/幅)は10以上である。
【0017】結晶形態が、短冊状から、薄片紐状に変わ
ることにより、本発明の黒色アゾ顔料の近赤外線に対す
る透過率が向上することを見出した。この透過率の向上
により、本発明の顔料を含む塗膜などを有する物体に近
赤外線レーザーを照射した時、物体中を透過してレーザ
ーの受光器に到達する光量は増加する。そのため受光器
自体の感度が小さくても、レーザー光の検出感度は高く
なって、レーザー光を十分感知でき、増幅やS/N比な
どの電気的制御が不必要となり、電気的な制御の要素を
小さくすることができる。
【0018】また、例えば、カーボンブラックで着色さ
れた黒色インキと、カーボンブラック以外の黒色顔料で
着色された黒色インキを併用して、肉眼では判別し得な
い同一の黒色文字又は絵柄を印刷し、偽造防止用印刷物
を印刷する場合がある。この場合、偽造されたと思われ
る印刷物の真贋の判定には、赤外線を照射してその反射
率を測定する方法が使用される。すなわち、本物は、カ
ーボンブラックで着色された黒色インキの印刷部分と、
カーボンブラック以外の黒色顔料で着色された黒色イン
キの印刷部分(両者は肉眼では判別不能)とで、赤外線
の反射率が異なるので本物と判断される。一方、カーボ
ンブラックで着色された黒色インキのみで印刷された偽
造物は、赤外線の反射率の差が認められない。このよう
にして印刷物の偽造防止が図られている。
【0019】上記の如き印刷物において、赤外線透過率
が高い本発明の黒色アゾ顔料により着色されたインキに
よる印刷部分は、該印刷部分に赤外線が照射されると、
赤外線は印刷層を透過して、下地(通常白色の紙など)
で反射され、印刷層を再度通過して赤外線受光器で検出
される。このように赤外線透過率の大きい本発明の黒色
アゾ顔料を用いたインキは偽造防止用インキとして有用
である。
【0020】また、本発明の黒色アゾ顔料を着色剤とし
て使用した黒色塗料を建築物などの外壁や天井に塗布し
て塗膜を形成すると、太陽光線中の近赤外線が塗膜を通
過して、白色の下地により反射され、再度塗膜を通過し
て外部に放散されるので、建築物などの室内の温度上昇
を抑える遮熱塗料として使用することができる。
【0021】本発明の近赤外線透過性黒色アゾ顔料組成
物は、上記の本発明の黒色アゾ顔料と赤外線透過性材料
とを担体として含む顔料組成物であり、該顔料組成物の
各種塗料、印刷インキあるいは記録材料などの製造に使
用される。なお、本発明の顔料組成物には、本発明の目
的が阻害されない範囲で、本発明の黒色アゾ顔料を補色
するために、有彩色色素、白色顔料、他の黒色顔料又は
体質顔料などを添加することができる。
【0022】有彩色色素として使用される色素として
は、従来公知の有彩色顔料および有彩色染料が挙げら
れ、これらから適切に選択して使用する。具体的には、
例えば、アゾ系顔料、アントラキノン系顔料、フタロシ
アニン系顔料、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、
アゾメチン系顔料、ピロール系顔料などの有機顔料など
が挙げられる。
【0023】また、本発明の顔料組成物の担体として使
用される近赤外線透過性材料としては、塗料、印刷イン
キなどの製造に従来から使用されているビヒクルなどが
挙げられ、これらビヒクルは上記の用途で従来から使用
されているものがいずれも使用可能であり、特に限定さ
れるものではない。ビヒクル用樹脂としては、印刷イン
キにおいては、例えば、乾性油、ロジン、ギルソナイト
などの天然樹脂、石油樹脂、フェノール樹脂、アルキッ
ド樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、
ニトロセルロースなどが使用される。
【0024】塗料におけるビヒクル用樹脂としては、例
えば、上記の天然樹脂、アルキッド樹脂、アミノ樹脂、
エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、
アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられ、それ
ぞれ従来から使用されている溶剤系および水性の形で使
用する。これらの透明性担体と、本発明の黒色アゾ顔料
との使用割合も、上記の各用途における各種顔料とビヒ
クルとの使用割合と同様であり、特に限定されない。
【0025】
【実施例】次に実施例および比較例を挙げて本発明を具
体的に説明する。なお、文中、「部」または「%」とあ
るのは重量基準である。
【0026】実施例1 3.75部(0.01モル)の前記式(2)の化合物
を、氷酢酸11.3部に懸濁させ、これに濃塩酸3.7
部を加えて攪拌した。これに水2.6部を加え、温度を
0〜5℃に保ち、40%亜硝酸ナトリウム水溶液2.0
部を加え、約30分間、同温度にて攪拌して黄色のジア
ゾニウム塩の溶液を得た。これに酢酸ナトリウム3水和
物4.8部を加えてジアゾニウム塩の溶液を調製した。
【0027】一方、前記一般式(3)において置換基R
を有するフェニル基が2′−メチル−4′−メトキシフ
ェニルである化合物3.56部(0.009モル)をo
−ジクロルベンゼン250部中に懸濁させ、これに20
〜30℃で上記ジアゾニウム塩溶液を加え、30〜40
℃に保って氷酢酸20部を加えた。この温度に5〜6時
間保ってカップリングを行い、その後170℃にて4時
間加熱して結晶化処理を行った。次いで、ろ過、メタノ
ール洗浄、水洗、乾燥および粉砕して本発明の黒色アゾ
顔料を得た。
【0028】この黒色アゾ顔料の結晶形態は、図1の3
万倍透過型電子顕微鏡写真に示される薄片紐状であり、
そのX線回折の結果は、回折角(2θ)13.35°お
よび26.85°に強い回折ピークを示した(図4)。
結晶の平均アスペクト比は15であった。
【0029】比較例1 前記一般式(3)において置換基Rを有するフェニル基
が2′−メチル−4′−メトキシフェニルである化合物
の使用量を3.96部(0.01モル)に変える以外は
実施例1と同様にして比較例の黒色アゾ顔料を得た。こ
の黒色アゾ顔料は、図2の3万倍透過型電子顕微鏡写真
に示される短い短冊状の結晶であり、X線回折の結果、
回折角(2θ)26.30°に強い回折ピークを示した
(図5)。結晶の平均アスペクト比は5であった。
【0030】実施例2 3.75部(0.01モル)の前記式(2)の化合物
を、氷酢酸11.3部に懸濁させ、これに濃塩酸3.7
部を加えて攪拌した。これに水2.6部を加え温度を0
〜5℃に保ち、さらに40%亜硝酸ナトリウム水溶液
2.0部を加え、約30分間、同温度にて攪拌して黄色
のジアゾニウム塩の溶液を得た。これに酢酸ナトリウム
3水和物4.8部を加えてジアゾニウム塩の溶液を調製
した。
【0031】一方、前記一般式(3)において置換基R
を有するフェニル基が2′−メチル−4′−メトキシフ
ェニルである化合物2.77部(0.007モル)およ
び前記一般式(3)において置換基Rを有するフェニル
基が4′−メトキシフェニルである化合物1.53部
(0.004モル)をo−ジクロルベンゼン250部中
に懸濁させ、この懸濁液に20〜30℃で上記ジアゾニ
ウム塩溶液を加え、30〜40℃に保って氷酢酸20部
を加えた。この温度に5〜6時間保ってカップリングを
行い、その後170℃にて4時間加熱して結晶化処理を
行った。次いで、ろ過、メタノール洗浄、水洗、乾燥お
よび粉砕して本発明の黒色アゾ顔料を得た。
【0032】この黒色アゾ顔料の結晶形態は、図3の3
万倍透過型電子顕微鏡写真に示される薄片紐状であり、
X線回折の結果、回折角(2θ)13.85°および2
6.95°に強い回折ピークを示した(図6)。結晶の
平均アスペクト比は20であった。
【0033】使用例1 実施例1、2および比較例1の黒色アゾ顔料をそれぞれ
用い、下記の配合処方に従って配合し、常法に従いガラ
スビーズを加えてペイントシェーカーを用いて分散させ
て3種の黒色塗料を作製した。実施例1の顔料を用いた
ものを塗料1とし、実施例2の顔料を用いたものを塗料
2とし、比較例1の顔料を用いたものを塗料3とした。
各塗料を、それぞれ石英ガラス板に2milアプリケー
ターで塗布し、常法に従い乾燥させて黒色塗膜を得た。
この黒色塗膜の近赤外線(波長700〜1,200n
m)透過率を330型自記分光光度計(日立製作所製)
にて測定し、表1に示す結果が得られた。
【0034】 <配合処方> ・黒色アゾ顔料(実施例1、2および比較例1の何れか1種) 5部 ・アルキド樹脂(フタルキッド133−60、日立化成社製) 60部 ・メラミン樹脂(スーパーベッカミンJ820、大日本インキ社製) 25部 ・炭化水素系溶剤 10部 合計 100部
【0035】 上記表1の結果から、本発明の黒色アゾ顔料は、近赤外
線に対して高い透過率を示すことが分かる。
【0036】次に上記の各塗装ガラス板を用い、白バッ
ク(酸化マグネシュウム板)および黒バック(カーボン
ブラック板)で近赤外線(波長700〜1,200n
m)反射率を330型自記分光光度計(日立製作所製)
にて測定した。結果を表2に示す。なお、白バック反射
率は、塗膜表面の反射率と塗膜を通った光の白バック面
からの反射率との合計値であり、黒バック反射率は塗膜
表面のみの反射率を示す。
【0037】 上記表2の結果から、本発明の黒色アゾ顔料は、近赤外
線に対して高い透過率を示し、赤外線反射率は低いこと
が分かる。
【0038】比較例2 使用例1と同様の方法でカーボンブラックを用いて黒色
塗料4を作製した。 使用例2 前記塗料1、3および4をアルミ板(150mm×70
mm×0.1mm)にバーコーターNo.40を用いて
塗布し、常法に従い乾燥させて3種の塗装板1、3およ
び4を形成した。発泡スチロール製昇温テスト装置上に
上記3種の黒色塗装板1、3および4を乗せ、該テスト
板上の400mm上から光(250W赤外線ランプ)を
照射し、1、5、10、20および30分間テスト板と
槽内の温度を測定した。試験結果を表3に示す。本発明
の顔料からなる塗装板1は、赤外線の透過率が塗装板3
および4より大きいことにより、下地アルミ板での反射
が大きく、塗装板3および4よりテスト板温度および槽
内温度ともに低く遮熱性が大きい。
【0039】
【0040】使用例3 下記処方にてオフセット平版印刷用黒色インキ1を調製
した。 ・実施例1で得た黒色アゾ顔料 30.0部 ・オフセット平版インキ用調合ワニス 61.7部 ・ドライヤー 0.8部 ・インキソルベント 7.5部 ・合計 100.0部 上記においてオフセット平版インキ用調合ワニスは、ロ
ジン変性フェノール樹脂、乾性油変性イソフタル酸アル
キッドおよび乾性油を主成分とし、インキソルベントお
よびアルミニウムキレートを加えたものである。
【0041】別に下記の処方にてオフセット平版印刷用
黒色インキ2を調製した。 ・ファーネスタイプカーボンブラック 23.0部 ・オフセット平版インキ用調合ワニス 71.2部 ・ドライヤー 0.8部 ・インキソルベント 5.0部 ・合計 100.0部 上記で得たインキ1および2を用いてアート紙にオフセ
ット印刷機にて、スクリーン線数を150線で平網濃度
100%にて全面印刷し、黒色の印刷紙1および2を得
た。
【0042】この印刷紙1および2は見た目には同じ黒
色であるが、赤外線フィルムで撮影すると印刷紙1はほ
ぼ白色に撮影され、一方、印刷紙2は黒色に撮影され
る。このように印刷紙1および2は可視光線では同じ黒
色であるが、赤外線フィルム撮影では明らかに異なる白
色と黒色とに撮影される。この特性を利用し、本発明の
顔料は偽造防止目的のインキの顔料として有用である。
【0043】
【発明の効果】以上の本発明によれば、化学構造が同一
の公知の黒色アゾ顔料(近赤外線反射率が大きく、近赤
外線透過率は小さい)とは異なり、近赤外線反射率が小
さく、近赤外線透過率が大きい黒色アゾ顔料が提供され
る。本発明の黒色アゾ顔料は、自動車や建材などの昇温
防止用塗料や農業用寒冷紗用の塗料や電子部品の塗料用
の着色剤として、また、赤外線通信、赤外線迷彩、光学
フィルター、偽造防止目的の着色剤などとして有用であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の黒色アゾ顔料の透過型電子顕微鏡
写真。スケールは1μmを表わす。
【図2】 比較例1の黒色アゾ顔料の透過型電子顕微鏡
写真。スケールは1μmを表わす。
【図3】 実施例2の黒色アゾ顔料の透過型電子顕微鏡
写真。スケールは1μmを表わす。
【図4】 実施例1の黒色アゾ顔料のX線回折図。
【図5】 比較例1の黒色アゾ顔料のX線回折図。
【図6】 実施例2の黒色アゾ顔料のX線回折図。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) (72)発明者 柳本 宏光 東京都中央区日本橋馬喰町一丁目7番6号 大日精化工業株式会社内 (72)発明者 山宮 士郎 東京都中央区日本橋馬喰町一丁目7番6号 大日精化工業株式会社内 (72)発明者 阿部 好夫 東京都中央区日本橋馬喰町一丁目7番6号 大日精化工業株式会社内 (72)発明者 中村 道衛 東京都中央区日本橋馬喰町一丁目7番6号 大日精化工業株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の一般式(1)で表され、その結晶
    形態が薄片紐状であることを特徴とする近赤外線透過性
    黒色アゾ顔料。 (なお、式中のRは炭素数1〜3の低級アルキル基およ
    び炭素数1〜3の低級アルコキシル基からなる群から選
    ばれる少なくとも1種の基であり、nは1〜5の整数で
    あり、nが2以上のときはRは同じでも異なってもよ
    い。)
  2. 【請求項2】 X線回折による回折角(2θ)13°〜
    14°の間および27°付近に強い回折強度を示す請求
    項1に記載の黒色アゾ顔料。
  3. 【請求項3】 結晶の平均アスペクト比が、10以上で
    ある請求項1に記載の黒色アゾ顔料。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の黒
    色アゾ顔料を含有し、近赤外線透過性材料を担体とする
    近赤外線透過性黒色アゾ顔料組成物。
  5. 【請求項5】 さらに有彩色顔料、白色顔料、その他の
    黒色顔料および体質顔料から選ばれる顔料を含有する請
    求項4に記載の顔料組成物。
JP2001330819A 2000-12-26 2001-10-29 近赤外線透過性黒色アゾ顔料および顔料組成物 Expired - Lifetime JP4084022B2 (ja)

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