JP2002255019A - 路面状態推定装置 - Google Patents

路面状態推定装置

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JP2002255019A
JP2002255019A JP2001055178A JP2001055178A JP2002255019A JP 2002255019 A JP2002255019 A JP 2002255019A JP 2001055178 A JP2001055178 A JP 2001055178A JP 2001055178 A JP2001055178 A JP 2001055178A JP 2002255019 A JP2002255019 A JP 2002255019A
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Japan
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braking force
gradient
road surface
maximum
instantaneous
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Application number
JP2001055178A
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English (en)
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Masaru Sugai
賢 菅井
Katsuhiro Asano
勝宏 浅野
Hidekazu Ono
英一 小野
Yutaka Onuma
豊 大沼
Satoshi Onozawa
智 小野沢
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Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 路面状態の変化の影響を受けず、かつ、車両
に過度の振動を与えることなく、最大路面摩擦係数を正
確に推定する。 【解決手段】 制動力勾配推定部23は、圧力センサ
16からの時系列のブレーキ油圧信号Pbと、車輪速セ
ンサ22からの時系列の車輪速信号ωwとに基づいて、
原点制動力勾配α0、瞬時制動力勾配α及びそのときの
制動力Fを求める。最大制動力推定部24は、制動力勾
配推定部23で求められた原点制動力勾配α 0、瞬時制
動力勾配α及びそのときの制動力Fを用いて、最大制動
力Fmaxを算出する。μmax推定部25は、最大制動力推
定部24で求められた最大制動力Fmaxと輪荷重Wを代
入することにより、最大路面摩擦係数μmaxを求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、路面状態推定装置
に係り、特に、μ勾配、駆動力勾配、制動力勾配等を用
いて最大路面摩擦係数を推定する路面状態推定装置に関
する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】一般
に、路面摩擦係数最大値(以下「最大路面摩擦係数」と
いう。)μmaxは、制動力を次第に増加させ、車輪がロ
ック傾向を示したときのブレーキ油圧により求めること
ができる。例えばABS制御の動作ロジックにおいて
は、動作開始時のブレーキ油圧Pbmaxが分かったとき
は、ブレーキパッドのμ値により決まる変換係数Kp
用いると、制動力最大値(以下「最大路面摩擦係数」と
いう。)Fmaxを式(1)から求めることができる。
【0003】
【数1】
【0004】さらに、各輪荷重Wを用いると、最大路面
摩擦係数μmaxは式(2)から求めることができる。
【0005】
【数2】
【0006】つまり、従来では、制動力最大値Fmax
求めなければ、最大路面摩擦係数μm axを求めることが
できなかった。
【0007】例えば特開2000−32680号公報で
は、路面μ勾配が基準値以下になったときに制動状態が
限界付近になったと判定して、このときの路面μを推定
する路面μ推定装置が提案されている。この路面μ推定
装置は、所定周期毎にインパルス状のブレーキ油圧を重
畳することで車輪をロック状態にして、このときの路面
μを最大路面摩擦係数μmaxとして推定する。
【0008】しかし、車輪をロック状態にするためのブ
レーキ油圧は高μ路や低μ路によって異なるため、路面
状態が変化すると、正確に最大路面摩擦係数μmaxをす
ることができない問題があった。
【0009】また、ドライアスファルトのような高μ路
では、十分に大きなブレーキ油圧を与えなければならな
いため、車両に過度の振動が生じてしまい、非常に乗り
心地が悪くなる問題があった。
【0010】本発明は、上述した課題を解決するために
提案されたものであり、路面状態の変化の影響を受け
ず、かつ、車両に過度の振動を与えることなく、最大路
面摩擦係数を正確に推定することができる路面状態推定
装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】ブレーキ油圧によって生
じる制動力は、一部が車輪慣性を静止させるために使わ
れ、この分を差し引いた残りが路面との間で生じる摩擦
力と釣り合う。このことから、制動力Fは、車輪慣性を
w、車輪の回転角速度(車輪速)をωwとすると、式
(3)のようになる。
【0012】
【数3】
【0013】よって、瞬時の路面摩擦係数μは、式
(4)により求めることができる。したがって、車輪が
ロック傾向を示す最大制動力Fmaxを求めることができ
れば、式(4)より、最大路面摩擦係数μmaxを推定す
ることができる。
【0014】
【数4】
【0015】そこで、請求項1記載の発明は、車輪速を
検出する車輪速検出手段と、前記車輪速検出手段で検出
された車輪速を少なくとも用いて、瞬時μ勾配及び原点
μ勾配を推定するμ勾配推定手段と、制動力を検出する
制動力検出手段と、前記制動力検出手段で検出された制
動力と、前記μ勾配推定手段で推定された瞬時μ勾配及
び原点μ勾配に基づいて、最大路面摩擦係数を推定する
最大路面摩擦係数推定手段と、を備えている。
【0016】μ勾配推定手段は、少なくとも車輪速を用
いて、原点μ勾配及び瞬時μ勾配を推定すればよく、さ
らに他の異なるパラメータを用いてもよい。ここにいう
μ勾配は、スリップ率又はスリップ速度に対する路面摩
擦係数の勾配に限らず、これと等価な物理量をすべて含
む。μ勾配としては、その他、スリップ率又はスリップ
速度に対する制動力又は駆動力の勾配、スリップ率又は
スリップ速度に対する制動トルク又は駆動トルクの勾配
などが好ましい。原点μ勾配とは、スリップ率又はスリ
ップ速度が略零のときのμ勾配をいう。瞬時μ勾配と
は、制動力が限界に達していない状態における作用点の
瞬時のμ勾配をいう。また、制動力検出手段で検出され
る制動力とは、制動力が限界に達していない状態におけ
る瞬時の制動力をいう。
【0017】最大路面摩擦係数推定手段は、原点μ勾
配、瞬時μ勾配及び制動力に基づいて、最大路面摩擦係
数を推定する。ここで、原点μ勾配、瞬時μ勾配、制動
力は、制動力が限界付近に達していないときに求められ
たパラメータである。したがって、最大路面摩擦係数推
定手段は、制動力が限界付近に達しないので、ドライバ
ーに衝撃や不快感を与えることなく、正確に最大路面摩
擦係数を推定することができる。
【0018】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、前記制動力検出手段は、作用する瞬時制動
力を検出し、前記最大路面摩擦推定手段は、前記瞬時μ
勾配と前記原点μ勾配とに基づいて摩擦限界に対する余
裕度を演算し、前記摩擦限界に対する余裕度と前記制動
力検出手段で検出された瞬時制動力とに基づいて前記最
大路面摩擦係数を推定することを特徴とする。
【0019】前記制動力検出手段は、車輪に作用してい
る制動力を瞬時制動力として検出する。
【0020】前記最大路面摩擦係数推定手段は、最初
に、前記瞬時μ勾配及び原点μ勾配に基づいて前記摩擦
限界に対する余裕度を演算する。前記摩擦限界に対する
余裕度を演算することで、最大制動力に対する前記制動
力の関係が分かる。そこで、前記摩擦限界に対する余裕
度と前記制動力とに基づいて最大制動力を推定する。最
大路面摩擦係数と最大制動力との関係は、式(2)に示
したとおりである。したがって、式(2)から最大路面
摩擦係数を求めることができる。
【0021】請求項3記載の発明は、請求項1または2
記載の発明において、前記最大路面摩擦係数推定手段
は、制動力が摩擦限界に対する余裕度で表され、かつ瞬
時μ勾配が前記余裕度に対して単調関数である関係を用
いて、前記最大路面摩擦係数を推定することを特徴とす
る。
【0022】制動力が摩擦限界に対する余裕度で表され
る場合とは、例えば、制動力が最大制動力に対する余裕
度で表される場合である。瞬時μ勾配は、前記余裕度に
対する単調関数である。したがって、瞬時μ勾配は、余
裕度が大きくなるに従って大きくなり、余裕度が小さく
なるに従って小さくなる。そこで、最大路面摩擦係数推
定手段は、このような関係を用いて、最大路面摩擦係数
を推定する。これにより、制動状態を限界付近にするこ
となく、正確に最大路面摩擦係数を求めることができ
る。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】[第1の実施の形態]図1に示すように、
本発明の第1の実施の形態に係る路面状態推定装置は、
ブレーキ油圧を発生するマスタシリンダ12と、ABS
アクチュエータバブルを有する油圧ユニット13と、ブ
レーキ油圧を制御するABS制御部14と、ブレーキデ
ィスクにパッドを押圧して制動力を得るホイールシリン
ダ15と、ブレーキ油圧を検出する圧力センサ16と、
を備えている。
【0025】マスタシリンダ12は、ドライバーによる
ブレーキペダル11の踏力に応じたブレーキ油圧を発生
する。油圧ユニット13は、ブレーキ油圧を増圧するた
めの増圧バルブ及びブレーキ油圧を減圧するための減圧
バルブを有する図示しないABSアクチュエータバブル
を備えている。
【0026】ABS制御部14は、各車輪20に作用す
る制動力の操作量を演算すると共に、油圧ユニット13
に対してブレーキ油圧が上昇する方向にブレーキ油圧パ
ルスを周期的に与える。ホイールシリンダ15は、AB
S制御部14の制御によって生じたブレーキ油圧パルス
に応じて、図示しないブレーキディスクにパッドを押圧
して制動力を発生する。圧力センサ16は、ホイールシ
リンダ15に生じるブレーキ油圧を検出し、ブレーキ油
圧を示すブレーキ油圧信号Pbを制動力勾配推定部23
に供給する。
【0027】さらに、上記路面状態推定装置は、車輪速
を検出する車輪速センサ22と、スリップ率に対する制
動力の勾配である制動力勾配を推定する制動力勾配推定
部23と、最大制動力を推定する最大制動力推定部24
と、最大制動力に基づいて最大路面摩擦係数μmaxを推
定するμmax推定部25とを備えている。
【0028】車輪速センサ22は、車輪20に固定され
た回転歯車21に対向するように取り付けられ、車輪2
0の車輪速を示す車輪速信号ωwを制動力勾配推定部2
3に供給する。なお、車輪速センサ22は車両の4輪の
それぞれに取り付けられているが、図1では代表して1
つのみ示した。
【0029】制動力勾配推定部23は、圧力センサ16
からの時系列のブレーキ油圧信号P bと、車輪速センサ
22からの時系列の車輪速信号ωwとに基づいて、スリ
ップ率が略零のときの制動力勾配(以下「原点制動力勾
配α0」という。)と、ある時点(制動力が限界に達し
ていない作用点)の制動力勾配(以下「瞬時制動力勾配
α」という。)を推定する。
【0030】制動力勾配の導出については、車輪減速度
モデル、車輪振動モデル、車輪サス前後共振モデル等の
さまざまな手法が提案されているが、瞬時の制動力勾配
を導出することができれば特に限定されるものではな
い。なお、この点については後述する。本実施の形態で
は、制動力勾配推定部23は、パルス励振時に比較的大
きく誘起される車輪サス前後共振モデルを用いている。
【0031】車輪サス共振モデルによれば、制動力Kp
bから車輪速ωwまでの伝達特性は、式(5)で表すこ
とができる。
【0032】
【数5】
【0033】ここで、JWは車輪の前後慣性、Dはサス
ペンションの前後ダンパ要素、Kはサスペンションの前
後バネ要素、αは制動力勾配である。そして、式(5)
を次の式(6)の形にまとめる。
【0034】
【数6】
【0035】但し、Yは次の式(7)を満たし、Xは次
の式(8)を満たしている。
【0036】
【数7】
【0037】なお、式(7)は、上述した式(3)と同
一である。そして、Xの時系列データXi及びYの時系
列データYiに対して最小自乗法を適用すると、式
(9)により制動力勾配αを求めることができる。
【0038】
【数8】
【0039】そこで、制動力勾配推定部23は、車輪速
センサ22から供給される車輪速信号ωwと、圧力セン
サ16から供給されるブレーキ油圧信号Pbとを用い
て、上述した式(7)及び式(8)を演算する。これに
より、制動力勾配推定部23は、車輪速センサ22から
供給される車輪速信号ωwからノイズ成分及び直流成分
を除去すると共に、さらに圧力センサ16から供給され
るブレーキ油圧信号Pbのノイズ成分を除去することが
できる。なお、制動力勾配推定部23は、式(7)を演
算することで制動力Fも算出している。
【0040】さらに、制動力勾配推定部23は、式
(7)及び式(8)で得られた時系列データXi,Yi
用いて式(9)を演算して、制動力勾配αを推定するこ
とができる。
【0041】また、制動力勾配推定部23は、オンライ
ンの最小自乗法を適用して制動力勾配αを求めてもよ
い。このとき、式(10)のように2つの漸化式をたて
る。
【0042】
【数9】
【0043】なお、ρは忘却係数である。そして、制動
力勾配推定部23は、式(11)を演算することによっ
て制動力勾配αを推定することができる。
【0044】
【数10】
【0045】さらに、制動力勾配推定部23は、式
(6)の代わりに次の式(12)を用いて制動力勾配α
を求めてもよい。
【0046】
【数11】
【0047】つまり、式(6)では傾きだけを考慮して
いたが、式(12)では傾きだけでなく切片F0も考慮
している。このとき、式(13)を導入する。
【0048】
【数12】
【0049】そして、制動力勾配推定部23は、式(1
4)を演算することによって制動力勾配αを推定するこ
とができる。
【0050】
【数13】
【0051】制動力勾配推定部23は、上述したいずれ
かの手法を用いることによって、原点制動力勾配α0
瞬時制動力勾配α及びそのときの制動力Fを求めること
ができる。
【0052】最大制動力推定部24は、制動力勾配推定
部23で求められた原点制動力勾配α0、瞬時制動力勾
配α及びそのときの制動力Fを用いて、最大制動力F
maxを算出する。
【0053】ここで、スリップ率に対する制動力の特性
は、図2に示すようになっており、スリップ率が零のと
きは制動力も零である。
【0054】ブラッシュモデルによれば、直進制動時の
非全滑り領域(ロック傾向に達していない領域)におい
て、制動力Fと最大制動力Fmaxとの間には、式(1
5)の関係がある。
【0055】
【数14】
【0056】なお、ξ3は、摩擦限界に対する余裕度、
すなわちFmaxに対するFの余裕度であり、0から1ま
での値をとる。例えば、ξ3が1近傍のときは摩擦限界
まで十分余裕があり、ほぼ0になると摩擦限界を示す。
具体的には、ξ3は、次の式(16)で示される。
【0057】
【数15】
【0058】式(16)において、α0はスリップ率に
対する制動力勾配、κはスリップ率である。そして、式
(15)及び式(16)の偏微分を用いると、瞬時制動
力勾配αは次の式(17)で示される。
【0059】
【数16】
【0060】式(17)において、α0を係数と仮定す
ると、αは余裕度に対する単調関数であるといえる。一
方、式(15)は、式(18)のように変形することが
できる。
【0061】
【数17】
【0062】そこで、最大制動力推定部24は、式(1
7)を用いて、制動力勾配推定部23で求められた原点
制動力勾配α0及び瞬時制動力勾配αから摩擦限界に対
する余裕度ξ3を求める。そして、最大制動力推定部2
4は、ξ3を用いて式(18)を演算することで、最大
制動力Fmaxを求めることができる。
【0063】μmax推定部25は、上述した式(2)に
対して、最大制動力推定部24で求められた最大制動力
maxと輪荷重Wを代入することにより、最大路面摩擦
係数μmaxを求めることができる。
【0064】図3は、上記路面状態推定装置によって推
定された最大路面摩擦係数μmaxの実験結果を示す図で
ある。(A)は車輪速[rad/s]、(B)はブレー
キ油圧[MPa]、(C)は制動力[Nm]、(D)は
μ勾配(制動力勾配)[Nm/(rad/s)]、
(E)は最大制動力Fmax[Nm]、(F)はμ最大値
(最大路面摩擦係数μmax)を示している。なお、図3
(A)から図3(F)までの時間軸は、それぞれ対応し
ている。
【0065】この実験では、被測定対象である車両は、
速度50[km/h]で走行し、さらに0秒から6.5
秒までは高μ路(μ値は約1.0)を、6.5秒以降は
低μ路(μ値は約0.2)を走行した。ブレーキ油圧パ
ルスは、2.5[MPa]程度で1秒間隔で励振した。
そして、ブレーキ油圧の上昇開始から0.6秒間の時系
列データを用いて、最小自乗法により制動力勾配αを推
定した。
【0066】一般に、ドライアスファルトのような高μ
路においては、車輪がロック傾向を示すまでブレーキ油
圧を上昇させると、ブレーキ油圧は10[MPa]を超
えてしまう。
【0067】これに対して、上記路面状態推定装置は、
図3によると、通常のブレーキ踏力(ブレーキ油圧が
2.5[MPa]程度)であっても、最大制動力を求め
ることができ、これにより最大路面摩擦係数μmaxを推
定することができた。さらに、上記路面状態推定装置
は、高μ路から低μ路に路面状態に変化が生じても、ブ
レーキ油圧パルスの周期及び励振を一定にしたままで、
高μ路及び低μ路の最大路面摩擦係数μmaxを正確に推
定することができた。
【0068】以上のように、本発明の第1の実施の形態
に係る路面状態推定装置は、車輪がロック状態付近にな
らなくても、原点制動力勾配α0、瞬時制動力勾配α、
瞬時制動力を演算することによって、最大制動力Fmax
及び最大路面摩擦係数μmaxを推定することができる。
すなわち、車輪をロック状態にする必要がないので、ド
ライバーに不快な衝撃を与えることなく、最大路面摩擦
係数μmaxを正確に推定することができる。さらに、上
記路面状態推定装置は、ブレーキ油圧パルスを一定条件
にしたままであっても、路面状態の変化にも対応して正
確に最大路面摩擦係数μmaxを推定することができる。
【0069】[第2の実施の形態]つぎに、本発明の第
2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の
形態と同一の部位については同一の符号を付し、重複す
る説明は省略する。
【0070】本実施の形態に係る路面状態推定装置は、
第1の実施の形態と同様に図1に示すように構成されて
いるが、最大制動力推定部24の演算内容が異なってい
る。
【0071】ここで、図4に示すように、スリップ率に
対する制動力の特性において、作用点における接線の切
片(以下「切片制動力」という。)をF0とする。そし
て、瞬時制動力勾配α、スリップ率κを考慮すると、瞬
時制動力勾配αに対応する制動力Fは、式(19)で示
される。
【0072】
【数18】
【0073】式(16)を変形すると、次の式(20)
になる。
【0074】
【数19】
【0075】式(15)、式(19)、式(20)を用
いて最大制動力Fmaxについて解くと、(21)式にな
る。
【0076】
【数20】
【0077】そこで、最大制動力推定部24は、最初
に、制動力勾配推定部23で求められた制動力F及び制
動力勾配αを式(19)に代入して、切片制動力F0
求める。なお、スリップ率κは、各車輪の車輪速から求
められる。
【0078】最大制動力推定部24は、次に、上述した
式(17)を用いて、原点制動力勾配α0及び瞬時制動
力勾配αに基づいて、摩擦限界に対する余裕度ξ3及び
ξ2を求める。そして、これらのパラメータと切片制動
力F0に基づいて式(21)を演算することで、最大制
動力Fmaxを求めることができる。
【0079】μmax推定部25は、上述した式(2)に
対して、最大制動力推定部24で求められた最大制動力
maxと輪荷重Wを代入することにより、最大路面摩擦
係数μmaxを求めることができる。
【0080】以上のように、本発明の第2の実施の形態
に係る路面状態推定装置は、原点制動力勾配α0、瞬時
制動力勾配α、切片制動力F0を用いることにより、ド
ライバーに不快な衝撃を与えることなく、正確に最大路
面摩擦係数μmaxを推定することができる。さらに、第
1の実施の形態と同様に、ブレーキ油圧パルスを一定条
件にしたままであっても、路面状態の変化にも対応して
正確に最大路面摩擦係数μmaxを推定することができ
る。
【0081】なお、本発明は、上述した実施の形態に限
定されるものではなく、以下の場合にも適用することが
できる。
【0082】例えば、制動力勾配推定部23は、車輪サ
ス前後共振モデルを用いて制動力勾配を算出することに
限らず、制動力勾配に等価なその他の物理量を求めても
よい。例えば特開平10−114268号公報に記載さ
れているように、車輪減速度モデルを用いて制動トルク
勾配又は駆動トルク勾配を求めてもよい。また、特開平
11−78843号公報に記載されているように、車輪
振動モデルを用いてμ勾配を求めてもよい。
【0083】
【発明の効果】請求項1記載の発明は、原点μ勾配、瞬
時μ勾配及び制動力に基づいて最大路面摩擦係数を推定
することにより、制動状態を限界付近にする必要がない
ので、ドライバーに衝撃や不快感を与えることなく、正
確に最大路面摩擦係数を求めることができる。
【0084】請求項2記載の発明は、瞬時μ勾配と原点
μ勾配とに基づいて摩擦限界に対する余裕度を演算し、
摩擦限界に対する余裕度と瞬時μ勾配に対応する制動力
とに基づいて最大路面摩擦係数を推定することにより、
スリップ率が略零のときに制動力も略零となる場合にお
いて、正確に最大路面摩擦係数を推定することができ
る。
【0085】請求項3記載の発明は、制動力が摩擦限界
に対する余裕度で表され、かつ瞬時μ勾配が前記余裕度
に対して単調関数である関係を用いることで、制動状態
を限界付近にすることなく、正確に最大路面摩擦係数を
推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る路面状態推定装置の
構成を示すブロック図である。
【図2】スリップ率に対する制動力の特性を示す図であ
る。
【図3】路面摩擦係数推定装置の推定結果を示す図であ
る。
【図4】スリップ率に対する制動力の特性を示す図であ
る。
【符号の説明】
16 圧力センサ 22 車輪速センサ 23 制動力勾配推定部 24 最大制動力推定部 25 μmax推定部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菅井 賢 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 浅野 勝宏 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 小野 英一 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 大沼 豊 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 小野沢 智 愛知県刈谷市朝日町2丁目一番地 アイシ ン精機株式会社内 Fターム(参考) 3D046 BB23 HH16 HH36 HH46 HH52

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪速を検出する車輪速検出手段と、 前記車輪速検出手段で検出された車輪速を少なくとも用
    いて、瞬時μ勾配及び原点μ勾配を推定するμ勾配推定
    手段と、 制動力を検出する制動力検出手段と、 前記制動力検出手段で検出された制動力と、前記μ勾配
    推定手段で推定された瞬時μ勾配及び原点μ勾配に基づ
    いて、最大路面摩擦係数を推定する最大路面摩擦係数推
    定手段と、 を備えた路面状態推定装置。
  2. 【請求項2】 前記制動力検出手段は、作用する瞬時制
    動力を検出し、 前記最大路面摩擦推定手段は、前記瞬時μ勾配と前記原
    点μ勾配とに基づいて摩擦限界に対する余裕度を演算
    し、前記摩擦限界に対する余裕度と前記制動力検出手段
    で検出された瞬時制動力とに基づいて前記最大路面摩擦
    係数を推定することを特徴とする請求項1記載の路面状
    態推定装置。
  3. 【請求項3】 前記最大路面摩擦係数推定手段は、制動
    力が摩擦限界に対する余裕度で表され、かつ瞬時μ勾配
    が前記余裕度に対して単調関数である関係を用いて、前
    記最大路面摩擦係数を推定することを特徴とする請求項
    1または2記載の路面状態推定装置。
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