JP2002250942A - 液晶表示装置 - Google Patents

液晶表示装置

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JP2002250942A JP2002033666A JP2002033666A JP2002250942A JP 2002250942 A JP2002250942 A JP 2002250942A JP 2002033666 A JP2002033666 A JP 2002033666A JP 2002033666 A JP2002033666 A JP 2002033666A JP 2002250942 A JP2002250942 A JP 2002250942A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ベンド配向型の液晶表示装置では通常の表示
を開始する前に、効率よく表示部全体をスプレイ配向状
態からベンド配向状態に均一に全画素部全体を転移させ
ること。 【解決手段】 本発明に係る液晶表示装置は、画素電極
を有するアレー基板と、共通電極を有する対向基板と、
アレー基板と対向基板との間に配置された液晶層上下界
面の液晶のプレチルト角が正負逆で、互いに平行に配向
処理されたスプレイ配向の液晶セルで、電圧無印加時に
はスプレイ配向となっており、液晶表示駆動に先立っ
て、電圧印加によりスプレイ配向からベンド配向に転移
させる初期化処理が行われ、この初期化されたベンド配
向状態で液晶表示駆動を行うアクティブマトリックス型
の液晶表示装置であって、基板面に平行な面内で画素電
極の周辺部に凸部222aが設けられていると共に、画
素電極と共通電極との間に連続的または間欠的に電圧を
印加することによって初期化処理を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,テレビジョン画像
やパーソナルコンピューター、マルチメディア画像を表
示する高速応答で広視野のOCBモードの液晶表示装置
及びその製造方法、並びに液晶表示装置の駆動方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、液晶表示装置として、例えばその
液晶表示モードとして、誘電率異方性が正のネマティッ
ク液晶を用いたツイステッドネマティック(TN)モ−
ドの液晶表示素子が実用化されているが、応答が遅い、
視野角が狭いなどの欠点がある。また、応答が速く、視
野角が広い強誘電性液晶(FLC)や反強誘電性液晶な
どの表示モ−ドもあるが、焼き付き、耐ショック性、特
性の温度依存性などに大きな欠点がある。また、視角が
極めて広い、面内で液晶分子を横電界駆動する面内スイ
ッチング(IPS)モードがあるが、応答が遅くかつ開
口率が低く輝度が低い。フルカラー動画を大画面で表示
しようとすると、広視野、高輝度、高速の表示性能を持
つ液晶モードが必要であるが、これを同時に完璧に満足
する実用的な液晶表示モードは現在のところ、存在しな
い。
【0003】従来、少なくとも広視野で高輝度をめざし
た液晶表示装置として、上記のTNモード液晶領域を配
向2分割にして視野角を上下に拡大したものがある(S
ID92 DIGEST P798〜801)。即ち、
液晶表示装置の各表示画素内に誘電率異方性が正のネマ
チック液晶を用い、TNモードでかつ液晶分子の配向方
位が異なる2つの液晶領域を形成し、すなわち配向2分
割TNモードによって視野角を拡大するものである。
【0004】図48にその従来の液晶表示装置の構成概
念図を示す。図48において、701,702はガラス
基板であり、703,704は電極であり、705,7
05’,706,706’は配向膜である。一方の配向
領域Aにおいて対向する上下基板界面から若干傾いた誘
電率異方性が正のネマチックの液晶分子707,70
7’の大,小のプレチルト角を形成し、他方の配向領域
Bにおいては対向する上下基板界面に対してプレチルト
角の大きさを前記配向領域Aとは逆の設定にする。その
大小のプレチルト角はいずれも数度で差がつくように設
定している。上記互いに上下基板にプレチルト角が異な
る配向領域を形成する従来の作製法の例として、配向膜
にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフ技術でマ
スキングをし所定の方向に所望の配向膜面をラビングを
する作業を繰り返すなどの方法がある。上記構成で図4
8の如く、配向領域A,Bで液晶層中央部の液晶分子群
の向きが互いに逆向きとなり、電圧印加とともに各配向
領域の液晶分子が逆に立ち上がっていくために、画素単
位で入射光線に対して屈折率異方性が平均化されて視野
角の拡大が図れるものである。上記の従来の配向2分割
TNモードでは、通常のTNモードより視野角は拡大さ
れ、上下視野角はコントラスト10で±35度程度とな
る。
【0005】しかし、応答速度はTNモードと本質的に
変化なく約50mS程度である。このように上記従来の
配向2分割TNモードでは視野角,応答とも不十分であ
る。
【0006】また、配向膜界面で液晶分子をほぼ垂直に
配向させるいわゆるホメオトロピック配向モードを利用
した液晶表示モードで、フィルム位相差板,配向分割技
術を付加して広視野,高速応答の液晶表示装置がある
が、それでも白黒の2値間応答速度は約25msかか
り、特にグレー階調間の応答速度は50〜80msで遅
く、人間の目の視認速度と言われる約1/30sより長
く、動画像は流れて見える。
【0007】これらに対して、基板間の液晶分子がベン
ド配向した状態における各液晶分子の立ち上がり角の変
化による屈折率変化を利用するベンド配向型の液晶表示
装置(OCBモードの液晶表示装置)が提案されてい
る。ベンド配向した各液晶分子のオン状態とオフ状態で
の配列変化速度は、TN型液晶表示装置のオン,オフ状
態との間の配列変化速度に比べてはるかに高速であり、
応答速度が速い液晶表示装置とすることができる。さら
に、上記ベンド配向型の液晶表示装置は全体に液晶分子
が上下基板間でベンド配向しているため、光学位相差的
に自己補償でき、かつフィルム位相差板で位相差補償を
するため低電圧で広視野の液晶表示装置となる可能性を
持つ。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記液晶表
示装置は通常無電圧下で液晶分子を基板間でスプレイ配
向状態にして作製する。ベンド配向を利用して屈折率を
変化させるためには、液晶表示装置の使用開始前に、表
示部全体を上記スプレイ配向状態からベンド配向状態に
均一に転移させておく必要がある。対向する表示電極間
に電圧を印加すると、スプレイ配向からベンド配向への
転移核が発生する場所は一様でなく、分散されたスペー
サ周囲や、あるいは配向膜界面の配向ムラ,キズ部など
である。また、常に一定の上記場所からその転移核が発
生する訳でもないので転移が起きたり、起きなかったり
で表示欠陥を生じ易い。従って、使用開始前に、表示部
全体を少なくとも全画素部全体を均一にスプレイ配向か
らベンド配向へ転移をさせておくのは極めて重要であ
る。
【0009】しかし、従来、単純な交流電圧を印加して
も、転移が起きなかったり、起きても極めて転移時間が
長く掛かった。
【0010】本発明の目的は、ベンド配向転移がほぼ確
実に発生し、かつ極めて短時間に転移が完了することに
より表示欠陥が無い、応答速度が速く動画像表示に適し
かつ広視野のベンド配向型の液晶表示装置及びその製造
方法、並びに液晶表示装置の駆動方法を提案するもので
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明に係る液晶表示装置は、画素電極を有するア
レー基板と、共通電極を有する対向基板と、アレー基板
と対向基板との間に配置された液晶層上下界面の液晶の
プレチルト角が正負逆で、互いに平行に配向処理された
スプレイ配向の液晶セルで、電圧無印加時にはスプレイ
配向となっており、液晶表示駆動に先立って、電圧印加
によりスプレイ配向からベンド配向に転移させる初期化
処理が行われ、この初期化されたベンド配向状態で液晶
表示駆動を行うアクティブマトリックス型の液晶表示装
置であって、基板面に平行な面内で画素電極の周辺部に
凸部が設けられていると共に、画素電極と共通電極との
間に連続的または間欠的に電圧を印加することによって
初期化処理を行う。
【0012】凸部は四角形状であることが好ましい。
【0013】凸部は三角形状であることが好ましい。
【0014】凸部は台形形状であることが好ましい。
【0015】凸部は画素電極の周辺部にそって連続的に
形成されていることが好ましい。
【0016】信号電極線およびゲート信号線のうち少な
くとも一方の電極線が、アレー基板上で画素電極と異な
る高さに配置されていることが好ましい。
【0017】信号電極線およびゲート信号線の両方がア
レー基板上で画素電極と異なる高さに配置されているこ
とが好ましい。
【0018】ラビング方向が信号電極線とほぼ直交して
いることが好ましい。
【0019】ラビング方向がゲート信号線とほぼ直交し
ていることが好ましい。
【0020】凸部によって横電界が発生することが好ま
しい。
【0021】横電界の方向は、ラビング方向とほぼ直交
していることが好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明は、ベンド配向型のOCB
セルを備えた液晶表示装置において、以下に述べるスプ
レイ配向からベンド配向への転移メカニズムに着目した
結果得られたものである。従って、先ず、該転移メカニ
ズムについて詳細に説明した後、本発明の具体的内容を
実施の形態を用いて説明することにする。
【0023】図1はベンド配向型のOCBセルを備えた
液晶表示装置の一部分を示す斜視図である。図1を参照
して、ベンド配向型のOCBセルを備えた液晶表示装置
の構成を簡単に説明すると、相互に平行配置した基板1
0と11との間に、液晶分子12を含む液晶層13が挿
入されている。図には示さないが、基板10,11の相
互に対向する表面には、それぞれ液晶層13に電界を印
加するための表示電極、及び液晶分子の配向を規制する
ための配向膜が形成されている。上記配向膜は図に示す
ように基板界面付近の液晶分子12を約5〜7度プレチ
ルトし、基板面内における配向方位が相互に同じ方向
に、すなわち平行配向になるように配向処理されてい
る。基板10,11表面から離れるに従って液晶分子1
2は徐々に立ち上がり、液晶層13の厚さ方向のほぼ中
央において液晶分子のチルト角が90度になるベンド配
向となる。基板10,11の外側には、偏光板15,1
6と光学補償板17,18が配置され、上記2枚の偏光
板15,16は、偏光軸が相互に直交あるいは平行に配
置され、その偏光軸と液晶分子の配向方位とは45度の
角度になるよう配置されている。そして、高電圧を印加
したオン状態と低電圧を印加したオフ状態との液晶層の
屈折率異方性の差を利用して、上記偏光板、光学補償板
を通してその偏光状態を変化させ光の透過率を制御して
表示させることになる。
【0024】上記のベンド配向型のOCBセルを備えた
液晶表示装置は、使用前には液晶層がスプレイ配向とな
っているため、液晶表示駆動に先立って電圧印加により
液晶層をスプレイ配向状態からベンド配向状態に転移さ
せておく必要がある。
【0025】かかる配向転移のため転移臨界電圧以上の
高電圧を印加した場合における液晶層のスプレイ配向か
らベンド配向へ転移する配向転移のメカニズムを図2に
模式的に示す。
【0026】図2は、2枚の基板を平行配向配置した場
合の、液晶分子を模式的に図示して液晶分子配列を概念
的に示した液晶セルの断面図である。
【0027】図2(a)は初期のスプレイ配列状態を示
す。基板間が無電界時には、液晶層13の中央の液晶分
子12の長軸は基板面にほぼ平行になるエネルギ−状態
の低いスプレイ配向状態をとっている。ここで、説明の
便宜上、基板に平行な液晶分子を参照符号12aで示す
ことにする。
【0028】次に図2(b)は、基板10,11に形成
された電極(図示せず)間に高い電圧を印加開始した時
の液晶分子配列状態を示す。液晶層13中の中央の液晶
分子12は電界により若干傾斜し始め、その結果、基板
面に平行に向いた液晶分子12aは一方の基板面(図で
は基板11側へ)側に向かって移動して行く。
【0029】次に図2(c)は、電圧を印加後、更に時
間が経過したときの液晶分子配列状態を示す。液晶層1
3の中央の液晶分子12が基板面に対して更に傾斜し
て、これに対して、基板面にほぼ平行に向いた液晶分子
12aは基板界面近傍に来て、配向膜からの強い規制力
を受ける。
【0030】次に図2(d)は、ベンド配向へ転移した
一段とエネルギー状態の高い液晶分子配列状態を示す。
液晶層13の中央の液晶分子12は基板面に対して垂直
になり、基板10上の配向膜(図示せず)界面に接した
液晶分子は、配向膜から強い規制力を受けて、傾斜配向
状態を維持し、このとき図2(a)〜(c)に存在した
基板面に平行に向いた液晶分子12aはほぼ無くなる。
【0031】図2(d)より更に時間が経過すると、上
記配向状態は基板間で図1に示すベンド配向状態へ移行
して転移は完了する。
【0032】このように、電圧を印加した時に起きるス
プレイ配向からベンド配向へ転移する状況が上述の様に
考えられる。
【0033】しかし、これが起きる場所は通常、基板面
内の液晶層全体で一度に起きることはなく、配向領域の
一部の部分でエネルギ−の移動がし易い部分であり、通
常、間隙に分散されたスペーサ周囲部分や、配向ムラ部
などで転移核は発生し、そこからベンド配向領域が広が
る。従って、OCBセルにおいて配向転移させるために
は、基板面内の液晶層の少なくとも一部の領域に転移核
を発生させることと、外部からエネルギ−を与えてスプ
レイ配向状態よりエネルギーの高いベンド配向状態へ遷
移させてこれを維持させておく必要がある。
【0034】このような配向転移のメカニズムを考慮し
た結果、本発明者等は転移核を確実に発生させ、かつ極
めて短時間で転移を完了させる液晶表示装置及びその製
造方法、並びに液晶表示装置の駆動方法を完成するに至
った。具体的な内容を、実施の形態に基づいて説明す
る。
【0035】(実施の形態1)図3は本発明の実施の形
態1に係る液晶表示装置の駆動法による画素単位の構成
概念図を示す。先ず、図3を参照して、本実施の形態1
に係る駆動方法に関連する液晶表示装置の構成を説明す
る。本実施の形態1に係る液晶表示装置は、駆動回路部
を除いた構成に関して、一般的なOCBセルを備えた液
晶表示装置と同一の構成を有している。即ち、一対のガ
ラス基板20,21と、ガラス基板20,21間に挟持
された液晶層26とを有する。ガラス基板20,21
は、一定の間隔を隔てて対向配置されている。ガラス基
板20の内側面には、ITOの透明電極からなる共通電
極22が形成され、、ガラス基板21の内側面には、I
TOの透明電極からなる画素電極23が形成されてい
る。上記共通電極22及び画素電極23上には、ポリイ
ミド膜からなる配向膜24,25が形成されており、こ
の配向膜24,25は配向方向が互いに平行方向になる
ように配向処理されている。そして、配向膜24,25
間には、P型のネマティック液晶からなる液晶層26が
挿入されている。また、配向膜24,25上の液晶分子
のプレチルト角は約5度に設定されており、スプレイ配
向からベンド配向へ転移する臨界電圧は2.5Vに設定
されている。光学補償板29のリターデーションはオン
状態時に白あるいは黒表示となるように選択されてい
る。なお、図1において、27,28は偏光板である。
【0036】また、図中、30は配向転移用駆動回路で
あり、31は液晶表示用駆動回路である。また、32
a,32bはスイッチ回路であり、33はスイッチ回路
32a,32bのスイッチング態様の切換えを制御する
スイッチ制御回路である。前記スイッチ回路32aは、
2つの個別接点P1,P2,と、1つの共通接点Q1を
備えており、前記スイッチ回路32bは、2つの個別接
点P3,P4,と、1つの共通接点Q2を備えている。
共通接点Q1は、スイッチ制御回路33からのスイッチ
切換信号S1に応じて、個別接点P1,P2の何れかに
接続した状態となる。同様に共通接点Q2は、スイッチ
制御回路33からのスイッチ切換信号S2に応じて、個
別接点P3,P4の何れかに接続した状態となる。共通
接点Q1が個別接点P1に接続され且つ共通接点Q2が
個別接点P3に接続された状態では、配向転移用駆動回
路30からの駆動電圧が電極22,23に印加されるこ
とになる。また、共通接点Q1が個別接点P2に接続さ
れ且つ共通接点Q2が個別接点P4に接続された状態で
は、液晶表示用駆動回路33からの駆動電圧が電極2
2,23に印加されることになる。
【0037】次いで、本実施の形態1に係る駆動方法に
ついて説明する。
【0038】先ず、本来の画像信号に基づく液晶表示駆
動に先立って、ベンド配向への転移のために、初期化処
理を行う。先ず、電源投入により、スイッチ制御回路3
3は、スイッチ回路32a,32bにスイッチ切換え信
号S1,S2を出力し、共通接点Q1を個別接点P1に
接続し且つ共通接点Q2を個別接点P3に接続した状態
とする。これにより、配向転移用駆動回路30から図4
に示す駆動電圧が電極22,23間に印加される。この
駆動電圧は、図4に示すように交流矩形波電圧Aがバイ
アス電圧Bと重畳された交流電圧であり、しかも駆動電
圧の値は、スプレイ配向からベンド配向への転移を発生
させるために必要な最小の電圧である臨界電圧よりも大
きい電圧値に設定されている。このような駆動電圧の印
加により、単純な交流電圧を印加する従来例よりも格段
に転移時間を短くすることが可能となる。なお、転移時
間が短くなる理由については後述する。こうして、ベン
ド配向への転移に関する初期化処理が完了する。
【0039】次いで、電極全面が完全にベンド配向に転
移する転移時間が経過すると、スイッチ制御回路33は
共通接点Q1を個別接点P2側に切り換える切換信号S
1をスイッチ回路32aに出力すると共に、共通接点Q
2を個別接点P4側に切り換える切換信号S2をスイッ
チ回路32bに出力する。これにより、共通接点Q1と
個別接点P2とが接続され、且つ共通接点Q2と個別接
点P4とが接続された状態となり、液晶表示用駆動回路
31からの駆動信号電圧が電極22,23間に印加さ
れ、希望する画像が表示されることになる。ここで、液
晶表示用駆動回路31は、30Hzの矩形波電圧2.7
Vにしてベンド配向状態を維持してこれをオフ状態と
し、30Hzの矩形波電圧7Vをオン状態として、OC
Bパネルを表示した。
【0040】次いで、本発明者が、上記構成の液晶表示
装置を作製し、上記駆動方法で初期化処理の実験を行っ
たので、その結果を述べる。なお、実験条件は以下のと
おりである。
【0041】電極面積を2cm2とし、セルギャップを約
6μmとし、交流矩形波電圧Aの周波数を30Hz、振
幅を±4Vとした。
【0042】上記条件下において、バイアス電圧Bを0
V、2V、4V、5Vの4種類の電圧に設定した場合の
それぞれの転移時間を測定したので、その結果を図5に
示す。ここで、転移時間とは、電極面積の全領域で配向
の転移が完了するに要した時間を意味する。
【0043】図5より明らかなよう、バイアス電圧Bが
0Vのとき、転移時間は140秒要した。これに対し
て、バイアス電圧Bを4Vにすると、転移時間は8秒と
なって短縮できた。これは、バイアス電圧の重畳によ
り、バイアス電圧によって液晶層の液晶分子配向が揺さ
ぶられて基板間で図2(d)の如く片寄りが生じてより
多くの転移核が発生し、更に実効電圧のアップで転移時
間が速くなったとものと考えられる。
【0044】以上のように、バイアス重畳された交流電
圧を連続印加することにより、単純な交流電圧印加の場
合より、転移時間を短縮できる。
【0045】上記実験例では、交流矩形波電圧信号は周
波数30Hzで,±4Vの値であったが本発明はこれに
限定されるものではなく、液晶が動作する周波数であれ
ばよく例えば10kHzなどの値でも良く,また交流電
圧Aの振幅を増大すれば転移時間は速くなることはもち
ろんである。このとき、バイアス電圧Bを高く重畳すれ
ばするほど速くなる。但し、駆動電圧の低電圧化を考慮
すれば、バイアス電圧は希望する転移時間に応じた最適
な電圧レベルに設定してことが望ましい。また,波形と
して矩形波を用いたが,デューティ比の異なる交流波形
を用いても良い。
【0046】(実施の形態2)図6は実施の形態2に係
る液晶表示装置の画素単位の構成概念図である。本実施
の形態2では、バイアス電圧を重畳した交流電圧を前記
基板間に印加する工程と、前記基板間を電気的に開放状
態(オープン状態)にする工程とを交互に繰り返して、
液晶層をスプレイ配向からベンド配向に転移させること
を特徴とするものである。
【0047】本実施の形態2に係る液晶表示装置におい
て、上記実施の形態1に係る液晶表示装置と同一構成部
分には、同一の参照符号を付して説明は省略する。本実
施の形態2では、実施の形態1の配向転移用駆動回路3
0、スイッチ回路32a、及びスイッチ制御回路32に
代えて、配向転移用駆動回路40、スイッチ回路42
a、及びスイッチ制御回路43が用いられる。スイッチ
回路42aは、個別接点P1,P2に加えて個別接点P
5を備えた3端子切換スイッチ回路である。このスイッ
チ回路42aのスイッチ切り換えは、スイッチ制御回路
43により制御されている。また、前記配向転移用駆動
回路40は、図7に示す駆動電圧を基板22,23間に
印加する。この駆動電圧は、図7に示すように交流矩形
波電圧Cがバイアス電圧Dと重畳された交流電圧であ
り、しかも駆動電圧の値は、スプレイ配向からベンド配
向への転移を発生させるために必要な最小の電圧である
臨界電圧よりも大きい電圧値に設定されている。
【0048】なお、スイッチ回路42aの共通接点Q1
は、スイッチ制御回路42からのスイッチ切換信号S3
により、個別接点P1,P2,P5の何れかに接続した
状態となる。共通接点Q1が個別接点P5に接続した状
態では、電極22,23が配向転移用駆動回路40から
切り離されたオープン状態となる。共通接点Q1が個別
接点P1に接続され且つ共通接点Q2が個別接点P3に
接続された状態では、配向転移用駆動回路40からの駆
動電圧が電極22,23に印加されることになる。ま
た、共通接点Q1が個別接点P2に接続され且共通接点
Q2が個別接点P4に接続された状態では、液晶表示用
駆動回路31からの駆動電圧が電極22,23に印加さ
れることになる。
【0049】次いで、本実施の形態2に係る駆動方法に
ついて説明する。
【0050】先ず、本来の画像信号に基づく液晶表示駆
動に先立って、ベンド配向への転移のために、初期化処
理を行う。先ず、電源投入により、スイッチ制御回路4
3は、スイッチ回路42aにスイッチ切換信号S3を出
力すると共に、スイッチ回路32bにスイッチ切換信号
S2を出力し、共通接点Q1と個別接点P1とを接続状
態とし、且つ共通接点Q2と個別接点P3とを接続状態
する。これにより、配向転移用駆動回路30から図7に
示す駆動電圧が電極22,23間に印加される。そし
て、一定期間T2経過すると、スイッチ制御回路43
は、スイッチ回路42aにスイッチ切換信号S3を出力
し、共通接点Q1と個別接点P5とを接続状態とする。
これにより、電極22,23は、配向転移用駆動回路4
0から切り離されてオープン状態となる。このようなオ
ープン状態が期間W2維持され、このオープン状態期間
W2中、電極22,23間は充電保持状態となる。
【0051】オープン状態期間W2経過すると、スイッ
チ制御回路43は、スイッチ回路42aにスイッチ切換
信号S3を出力し、共通接点Q1と個別接点P1とを再
び接続状態とする。そして、このような配向転移用駆動
とオープン状態とを交互に繰り返し、電源投入時から一
定期間経過すると、電極全面が完全にベンド配向に転移
する。
【0052】そして、この一定期間経過時に、スイッチ
制御回路43は、スイッチ回路42aにスイッチ切換信
号S3を出力すると共に、スイッチ回路32bにスイッ
チ切換信号S2を出力し、共通接点Q1と個別接点P2
とを接続状態とし、且つ共通接点Q2と個別接点P43
とを接続状態する。これにより、液晶表示用駆動回路3
1からの駆動信号電圧が電極20,21間に印加され、
希望する画像が表示されることになる。ここで、液晶表
示用駆動回路31は、上記実施の形態1と同様に30H
zの矩形波電圧2.7Vにしてベンド配向状態を維持し
てこれをオフ状態とし、30Hzの矩形波電圧7Vをオ
ン状態として、OCBパネルを表示する。
【0053】次いで、本発明者が、上記構成の液晶表示
装置を作製し、上記駆動方法で初期化処理の実験を行っ
たので、その結果を述べる。なお、実験条件は以下のと
おりである。
【0054】電極面積を2cm2とし、セルギャップを約
6μmとし、バイアス電圧Bを2Vとし、交流矩形波電
圧Dの周波数及び振幅を周波数30Hz、±4Vとし、
印加時間T2を2秒に固定した。
【0055】上記条件下において、オ−プン状態時間W
2を0秒、0.2秒、2秒、3秒と変化させ、電圧印加
状態とオ−プン状態とを交互に繰り返すしたときの転移
時間を測定したので、その結果を図8に示す。ここで、
転移時間とは、電極面積の全領域で配向の転移が完了す
るに要した時間を意味する。
【0056】図8より明らかなよう、オープン状態時間
W2が0秒すなわちバイアス電圧を重畳した交流電圧を
連続に印加した時,転移時間は80秒要した.これに対
して,オープン状態時間W2を0.2秒として、上記バ
イアス重畳された交流電圧と交互に切り替え繰り返す
と,転移時間は40秒と時間短縮した.しかし,オープ
ン状態時間W2を2秒とすると逆に転移時間は420秒
と長くなり,さらにW2を3秒とすると転移を完了する
ことは出来なかった。
【0057】また、印加時間T2を0.3秒,オープン
状態期間W2を0.3秒とした以外は上記実験例と同一
条件で転移時間を測定すると、転移時間は28秒であっ
た。
【0058】ちなみに、T2を2秒に固定し、W2を
0.1秒以上、0.5秒以下に設定した場合、良好な結
果が得られた。
【0059】以上のようにバイアスされた交流電圧とオ
ープン状態とを切り替え繰り返えすことによって、スプ
レイ配向からベンド配向への状態遷移時間が極めて短く
なったのは、以下の理由によると考えられる。即ち、バ
イアス重畳された交流電圧印加で,液晶層の液晶分子配
向が揺さぶられて基板間で図2(d)の如く片寄りが生
じて乱れ、次に短いオープン状態への切り替えで転移核
が発生し、転移時間が速くなったものと考えられる。
【0060】上記でバイアス重畳された交流電圧を印加
する工程の前か後に、更に他の電圧信号を加え、次にオ
ープン状態を入れてもその効果を得ることができる。
【0061】また,バイアス電圧や交流電圧の電圧値,
印加時間やオープン状態の維持時間などは要望される転
移時間により選択することができる。交流電圧の周波数
は液晶が動作する周波数であればよく、例えば10kH
zなどの値でも良い。波形として矩形波を用いたが,デ
ューティ比の異なる交流波形を用いても良い。
【0062】(実施の形態3)図9は実施の形態3に係
る液晶表示装置の画素単位の構成概念図である。本実施
の形態3では、バイアス電圧を重畳した交流電圧を前記
基板間に印加する工程と、前記基板間に0電圧あるいは
低電圧を印加する工程とを交互に繰り返して、液晶層を
スプレイ配向からベンド配向に転移させることを特徴と
するものである。
【0063】本実施の形態3に係る液晶表示装置におい
て、上記実施の形態2に係る液晶表示装置と同一構成部
分には、同一の参照符号を付して説明は省略する。本実
施の形態3では、実施の形態2のスイッチ回路32b、
及びスイッチ制御回路43に代えて、スイッチ回路42
b、及びスイッチ制御回路53が用いられる。また、本
実施の形態3では、配向転移用駆動回路40に加えて、
電極22,23間に低電圧を印加する配向転移用駆動回
路50が設けられている。
【0064】前記スイッチ回路42bは、個別接点P
3,P4に加えて個別接点P6を備えた3端子切換スイ
ッチ回路である。このスイッチ回路42bのスイッチ切
り換えは、スイッチ制御回路53により制御されてい
る。なお、スイッチ回路42bの共通接点Q2は、スイ
ッチ制御回路53からのスイッチ切換信号S4により、
個別接点P3,P4,P6の何れかに接続した状態とな
る。
【0065】共通接点Q1が個別接点P5に接続され、
且つ共通接点Q2が個別接点P3に接続された状態で
は、配向転移用駆動回路40からの駆動電圧が電極2
2,23に印加されることになる。また、共通接点Q1
が個別接点P5に接続され、且つ共通接点Q2が個別接
点P6に接続された状態では、配向転移用駆動回路50
からの駆動電圧が電極22,23に印加されることにな
る。更に、共通接点Q1が個別接点P2に接続され且共
通接点Q2が個別接点P4に接続された状態では、液晶
表示用駆動回路31からの駆動電圧が電極22,23に
印加されることになる。
【0066】次いで、本実施の形態3に係る駆動方法に
ついて説明する。
【0067】先ず、本来の画像信号に基づく液晶表示駆
動に先立って、ベンド配向への転移のために、初期化処
理を行う。先ず、電源投入により、スイッチ制御回路5
3は、スイッチ回路42aにスイッチ切換信号S3を出
力すると共に、スイッチ回路42bにスイッチ切換信号
S4を出力し、共通接点Q1と個別接点P1とを接続状
態とし、且つ共通接点Q2と個別接点P3とを接続状態
する。これにより、配向転移用駆動回路40から図10
に示す駆動電圧が電極22,23間に印加される。そし
て、一定期間T3経過すると、スイッチ制御回路53
は、スイッチ回路42aにスイッチ切換信号S3を出力
すると共に、スイッチ回路42bにスイッチ切換信号S
4を出力し、共通接点Q1と個別接点P5とを接続状態
とし、且つ共通接点Q2と個別接点P6とを接続状態す
る。これにより、配向転移用駆動回路50から図10に
示す低電圧が電極22,23間に印加される。このよう
な低電圧印加が、期間W3維持される。
【0068】次いで、低電圧印加期間W3経過すると、
スイッチ制御回路53はスイッチ回路42aにスイッチ
切換信号S3を出力すると共にスイッチ回路42bにス
イッチ切換信号S4を出力し、再び、共通接点Q1と個
別接点P1とを接続状態とし且つ共通接点Q2と個別接
点P3とを接続状態する。そして、このような交流電圧
印加工程と低電圧印加工程を交互に繰り返し、電源投入
時から一定期間経過すると、電極全面が完全にベンド配
向に転移する。
【0069】そして、この一定期間経過時に、スイッチ
制御回路53は、スイッチ回路42aにスイッチ切換信
号S3を出力すると共に、スイッチ回路42bにスイッ
チ切換信号S4を出力し、共通接点Q1と個別接点P2
とを接続状態とし、且つ共通接点Q2と個別接点P43
とを接続状態する。これにより、液晶表示用駆動回路3
1からの駆動信号電圧が電極20,21間に印加され、
希望する画像が表示されることになる。ここで、液晶表
示用駆動回路31は、上記実施の形態1と同様に30H
zの矩形波電圧2.7Vにしてベンド配向状態を維持し
てこれをオフ状態とし、30Hzの矩形波電圧7Vをオ
ン状態として、OCBパネルを表示する。
【0070】次いで、本発明者が、上記構成の液晶表示
装置を作製し、上記駆動方法で初期化処理の実験を行っ
たので、その結果を述べる。なお、実験条件は以下のと
おりである。
【0071】電極面積を2cm2とし、セルギャップを約
6μmとし、バイアス電圧Dを2Vとし、交流矩形波電
圧Cの周波数及び振幅を周波数30Hz、±4Vとし、
印加時間T3を1秒に固定した。また、低電圧印加期間
W3中の印加電圧を−2Vの直流電圧した。
【0072】上記条件下において、低電圧印加期間W3
を変化させ、交流電圧印加状態と印加電圧印加状態とを
交互に繰り返すしたときの転移時間を測定したので、そ
の結果を図11に示す。
【0073】図11より明らかなよう、低電圧印加時間
が0秒すなわちバイアス電圧を重畳した交流電圧を連続
に印加した時,転移時間は約80秒要した.これに対し
て,低電圧印加時間W3を0.1秒として上記バイアス
重畳された交流電圧と交互に切り替え繰り返すと,転移
時間は60秒と時間短縮した.しかし,低電圧印加時間
W3を1秒とすると逆に転移時間は360秒と長くな
り,さらにW3を3秒とすると転移を完了することは出
来なかった。
【0074】また、バイアス電圧を2V重畳した交流電
圧±4Vと直流電圧0Vとの切り替え繰り返しでは最短
で50秒内で転移が完了した。また、バイアス2V重畳
した交流電圧±4Vと交流低電圧±2Vとの切り替え繰
り返しでは最短で50秒以内の転移時間が得られた。
【0075】ちなみに、T3を1秒に固定し、W2を
0.1秒以上、0.5秒以下に設定した場合、良好な結
果が得られた。
【0076】以上のようにバイアス重畳した交流電圧を
単に連続印加した場合よりも、バイアス重畳された交流
電圧印加と低電圧印加とを切り替え繰り返えすことによ
って、スプレイ配向からベンド配向への転移時間が短く
なる。これは,バイアス重畳された交流電圧印加で,液
晶層の液晶分子配向が揺さぶられて基板間で図2(d)
の如く片寄りが生じて乱れ、次に短い低電圧印加状態へ
の切り替えで転移核が発生し、転移時間が速くなったも
のと考えられる。
【0077】また,バイアス電圧や交流電圧の電圧値,
印加時間や低電圧値、印加時間などは上記値でなく、要
望される転移時間により選択して変えることができる。
交流電圧の周波数は液晶が動作する周波数であればよ
く、例えば10kHzなどの値でも良い。波形として矩
形波を用いたが,デューティ比の異なる交流波形を用い
ても良い。
【0078】また、上記例では、低電圧印加期間W3中
において−2Vの低電圧を印加するようにしたけれど
も、0Vを印加するようにしてもよい。
【0079】次いで、交流電圧印加期間T3と低電圧印
加期間W3の比、及び1秒間当たりの交流電圧印加と低
電圧印加の繰り返し回数について説明する。ここで、説
明の便宜上、低電圧印加期間W3での電圧を0Vとし、
交流電圧印加と0V印加の交互の繰り返しを、図10の
破線Lで示すように1つの転移電圧と考える。かかる場
合に、転移時間の短くするためには、転移電圧Lの周波
数は、0.1Hzから100Hzの範囲で、且つ転移電
圧Lのデューティ比は1:1から1000:1の範囲に
設定する必要がある。更に、転移電圧Lの周波数は、
0.1Hzから10Hzの範囲で、且つ転移電圧Lのデ
ューティ比は2:1から1000:1の範囲にするの
が、望ましい。以下にその理由について詳述する。
【0080】繰り返し印加電圧のデューティ比が電圧印
加期間よりも電圧印加休止期間の方が大きくなるような
デューティ比の範囲(例えばデューティ比1:1から
1:10等の範囲)では、パルス幅印加で転移核が発生
しても、その後のパルス間隔の電圧印加休止状態で緩和
されスプレイ配向へ戻り、転移が完了しないものと考え
られる。従って、電圧印加期間の方が電圧印加休止期間
よりも大きくなるようなデューティ比の範囲に設定する
必要がある。そして、転移領域が拡大するためには、デ
ューティ比はパルス幅がパルス間隔より広くなる1:1
から1000:1の範囲、望ましくは2:1から10
0:1がよい。1000:1から直流連続では、パルス
繰り返し印加が殆ど無くなるため、転移核発生の機会が
減少していき転移が若干長くなるものと考えられる。
【0081】また、転移用電圧印加の上記繰り返し周波
数は、連続から100Hz程度までよいが、望ましくは
転移拡大には100ms程度以上のパルス幅が得られる
10Hzから、デューティ比1000:1で10ms程
度以上のパルス間隔が得られる0.1Hzまでがよい。
【0082】なお、本発明者は、直流−15Vと0Vの
交互の繰り返し条件で、繰り返し周波数及びデューティ
比を変化させて液晶セルに電圧印加した場合の転移時間
を測定したので、その結果を表1に示す。
【表1】
【0083】表1より明らかなように、周波数が0.1
Hzから10Hzの範囲で且つデューティ比が2:1か
ら1000:1の範囲の場合に転移時間が極めて小さ
く、周波数が0.1Hzから100Hzの範囲で且つデ
ューティ比が1:1から1000:1の範囲の場合であ
っても、十分に小さい転移時間となっていることが認め
られる。
【0084】(実施の形態4)図12は実施の形態4に
係る液晶表示装置の画素単位の構成概念図である。本実
施の形態4では、本発明をアクティブマトリックス型液
晶表示装置の駆動方法に適用した例が示されている。
【0085】先ず、図12を参照して、本実施の形態4
に係る駆動方法に関連する液晶表示装置の構成を説明す
る。本実施の形態4に係る液晶表示装置は、駆動回路部
を除いた構成に関して、一般的なOCBセルを備えたア
クティブマトリックス型液晶表示装置と同一の構成を有
している。即ち、一対のガラス基板60,61と、ガラ
ス基板60,61間に挟持された液晶層66とを有す
る。ガラス基板60,61は、一定の間隔を隔てて対向
配置されている。ガラス基板60の内側面には、ITO
の透明電極からなる共通電極62が形成され、、ガラス
基板61の内側面には、画素スイッチング素子としての
薄膜トランジスタ(TFT)70と、TFT70に接続
したITOの透明電極からなる画素電極63が形成され
ている。上記共通電極62及び画素電極63上には、ポ
リイミド膜からなる配向膜64,65が形成されてお
り、この配向膜64,65は配向方向が互いに平行方向
になるように配向処理されている。そして、配向膜6
4,65間には、P型のネマティック液晶からなる液晶
層66が挿入されている。また、配向膜64,65上の
液晶分子のプレチルト角は約5度に設定されており、ス
プレイ配向からベンド配向へ転移する臨界電圧は2.6
Vに設定されている。光学補償板67のリターデーショ
ンはオン状態時に白あるいは黒表示となるように選択さ
れている。なお、図中、68,69は偏光板である。
【0086】また、図中、71,72は配向転移用駆動
回路であり、この配向転移用駆動回路71は共通電極6
2に図14に示す共通電極中心を基準として駆動電圧を
印加し、且つ画素電極63に0Vを印加する働きをな
す。なお、他の構成として、配向転移用駆動回路72
は、共通電極62及び画素電極63に0Vを印加する働
きをなす。また、73は液晶表示用駆動回路であり、液
晶表示用駆動回路73は図13に示す電圧波形を有する
駆動電圧を共通電極62及び画素電極63に印加する働
きをなす。即ち、液晶表示用駆動回路73は、図13の
参照符号M1に示す電圧を画素電極63に印加し、且つ
図13の参照符号M2に示す電圧を共通電極62に印加
する。なお、上記構成では、配向転移期間中において、
画素電極63に0Vを印加するようにしたけれども、こ
れに代えて、配向転移期間中においても液晶表示用駆動
回路73から画素電極電圧を印加するようにしてもよ
い。
【0087】また、74a,74bはスイッチ回路であ
り、75はスイッチ回路74a,74bのスイッチング
態様の切換えを制御するスイッチ制御回路である。前記
スイッチ回路74aは、3つの個別接点P7,P8,P
9,と、1つの共通接点Q1を備えており、前記スイッ
チ回路74bは、3つの個別接点P10,11,12
と、1つの共通接点Q2を備えている。共通接点Q1が
個別接点P7に接続され且つ共通接点Q2が個別接点P
10に接続された状態では、配向転移用駆動回路71か
らの駆動電圧が電極62,63に印加されることにな
る。また、共通接点Q1が個別接点P2に接続され且つ
共通接点Q2が個別接点P4に接続された状態では、液
晶表示用駆動回路73からの駆動電圧が電極62,63
に印加されることになる。
【0088】次いで、本実施の形態4に係る駆動方法に
ついて説明する。
【0089】先ず、本来の画像信号に基づく液晶表示駆
動に先立って、ベンド配向への転移のために、初期化処
理を行う。先ず、電源投入により、スイッチ制御回路7
5は、スイッチ回路74aにスイッチ切換信号を出力す
ると共に、スイッチ回路74bにスイッチ切換信号を出
力し、共通接点Q1と個別接点P7とを接続状態とし、
且つ共通接点Q2と個別接点P10とを接続状態する。
これにより、配向転移用駆動回路71から図14に示す
駆動電圧が共通電極62に印加される。即ち、共通電極
62には、共通電極中心を基準として、バイアス電圧−
GVが重畳された、垂直同期信号に同期した交流電圧が
印加される。なお、画素電極には0Vが印加される。そ
して、この交流電圧の印加を 期間T4維持する。
【0090】次いで、交流電圧印加期間T4経過する
と、スイッチ制御回路75は、スイッチ回路74aにス
イッチ切換信号を出力すると共に、スイッチ回路74b
にスイッチ切換信号を出力し、共通接点Q1と個別接点
P9とを接続状態とし、且つ共通接点Q2と個別接点P
12とを接続状態する。これにより、配向転移用駆動回
路72から、図14に示すように共通電極62及び画素
電極63に0Vが印加される。そして、この0V電圧印
加を期間W4維持する。
【0091】次いで、0V電圧印加期間W4経過する
と、スイッチ制御回路75はスイッチ回路742aにス
イッチ切換信号を出力すると共にスイッチ回路74bに
スイッチ切換信号を出力し、再び、共通接点Q1と個別
接点P7とを接続状態とし且つ共通接点Q2と個別接点
P10とを接続状態する。そして、このような交流電圧
印加工程と0V電圧印加工程を交互に繰り返し、電源投
入時から一定期間経過すると、電極全面が完全にベンド
配向に転移する。
【0092】そして、この一定期間経過時に、スイッチ
制御回路75は、スイッチ回路74aにスイッチ切換信
号を出力すると共に、スイッチ回路74bにスイッチ切
換信号を出力し、共通接点Q1と個別接点P8とを接続
状態とし、且つ共通接点Q2と個別接点P11とを接続
状態する。これにより、液晶表示用駆動回路73からの
駆動信号電圧が電極62,63に印加され、希望する画
像が表示されることになる。ここで、液晶表示用駆動回
路73は、両電極間にベンド配向状態を維持する駆動電
圧2.7Vを最低にしてこれをオフ状態とし、上限の電
圧を7Vにしてこれをオン状態として、OCBパネルを
表示する。
【0093】上記駆動方法によって、広視野で高速応答
のベンド配向型であるOCBのアクティブマトリックス
型の液晶表示装置が配向欠陥が全くなく高品質駆動表示
できた。
【0094】次いで、本発明者が、上記構成の液晶表示
装置を作製し、上記駆動方法で初期化処理の実験を行っ
たので、その結果を述べる。なお、実験条件は以下のと
おりである。
【0095】セルギャップを約6μmとし、バイアス電
圧Gを−6Vとし、交流矩形波電圧の周波数及び振幅を
7.92kHz、±10Vとし、印加時間T3を0.5
秒とした。また、0V電圧印加期間W4を0.5秒とし
た。
【0096】上記実験結果によれば、上記液晶表示装置
のパネル全画素内の配向転移がほぼ2秒以内で完了する
ことができた。
【0097】なお、バイアス電圧を重畳しないときに
は,表示面全体の配向状態を転移させるのに約20秒必
要であった。よって、本実施の形態4においても、バイ
アス電圧を重畳して駆動するのが、転移時間の短縮化を
達成できることが認められる。
【0098】(実施の形態5)OCBモードのアクティ
ブマトリックス型液晶表示装置の配向転移に関する駆動
方法としては、上記の図14に示す駆動電圧波形に代え
て、図15の駆動電圧波形を用いて駆動するようにして
もよい。即ち、交流電圧印加期間T4においては、共通
電極62に共通電極中心を基準として、直流電圧−15
Vを0.5秒間印加する。次いで、0V電圧印加期間W
4においては、0Vを0.2秒間印加する。そして、直
流電圧−15V印加と0V電圧印加を交互に繰り返す。
このよう駆動方法においても、転移を確実に且つ極めて
短時間に完了することができる。
【0099】なお、本発明者が上記駆動方法を用いて実
験したところ、2秒以内の転移時間が得られた。
【0100】(実施の形態6)本実施の形態6は、上記
実施の形態4,5に用いたアクティブマトリックス型の
液晶表示装置に代えて、スイッチング素子の上に平坦化
膜を配置し、その上に画素電極を構成するいわゆる平坦
化膜構成の液晶表示装置に上記に実施の形態4,5の駆
動方法を適用したことを特徴とするものである。駆動方
法を具体的に説明すると、上記実施の形態4におけるバ
イアス重畳した配向転移用電圧を0.5秒印加し、次い
で、オープン状態を0.5秒とし、これを交互に繰り返
した。この駆動方法によると、転移時間は1秒以内で更
に転移がスムーズに行えた。これは、平坦化膜構成によ
り、画素電極間隔を小さくでき、この結果、スプレイ配
向からベンド配向へスムーズに転移したものと考えられ
る。
【0101】(その他の事項) 上記実施の形態では、バイアス電圧を重畳した交流電
圧を印加するようにしたけれども、直流電圧を印加する
ようにしてもよく、このようにすれば、片極性電圧でよ
いため、駆動回路が簡略化できる。
【0102】上記実施の形態では、バイアス電圧を重
畳された交流電圧信号はバイアス電圧を直流として説明
したが、信頼性向上のために、低周波の交流信号でもよ
い。
【0103】繰返し電圧の周波数及びデューティ比の
最適範囲は、実施の形態3以外の他の実施の形態にも適
用できる。
【0104】上記実施の形態では、発明の液晶表示装
置の駆動法は透過型液晶表示装置で説明したが、反射型
の液晶表示装置でもよい。また、これらはカラーフィル
ターを使用したフルカラー型の液晶表示装置や,カラフ
ィルターレスの液晶表示装置でもよい。
【0105】(実施の形態7) 図16は本発明の実施
の形態7に係る液晶表示装置の概略断面図、図17は同
じく概略平面図を示す。 図16に示す液晶表示装置
は、偏光板101・102と、該偏光板101の内側に
配置された光学補償用の位相補償板103と、前記偏光
板101・102の間に配置されたアクティブマトリッ
クス型の液晶セル104とを有する。 前記液晶セル1
04は、ガラス等からなるアレー基板106と、該アレ
ー基板106に対向する対向基板105とを有し、前記
アレー基板106の内面上には透明電極である画素電極
108が形成され、前記対向基板105の内面上には共
通電極107が形成されている。さらに、該画素電極1
08上に配向膜110が形成され、共通電極107上に
は配向膜109が形成されている。
【0106】また、前記アレー基板106上には、例え
ばa−Si系のTFT素子などからなるスイッチング素
子111が配置され、該スイッチング素子111は前記
画素電極108に接続されている。
【0107】また、前記配向膜109・110の間に
は、図示せぬ直径5ミクロンのスペ−サ、および正の誘
電率異方性のネマティック液晶材料からなる液晶層11
2が配置されている。また、前記配向膜109・110
はその表面上の液晶分子のプレチルト角が正負逆の値を
持ち、互いにほぼ平行方向になるよう同一方向に平行配
向処理されている。従って、前記液晶層112は、無電
圧印加状態では液晶分子が斜めに広がった配向領域から
なるいわゆるスプレイ配向を形成している。
【0108】また、前記配向膜110は、大きい値のプ
レチルト角B2(第3のプレチルト角)の配向膜110
aと、小さい値のプレチルト角A2(第1のプレチルト
角)の配向膜110bよりなる。また、前記配向膜10
9は、小さい値のプレチルト角D2(第4のプレチルト
角)の配向膜109aと、大きい値のプレチルト角C2
(第2のプレチルト角)の配向膜109bよりなり、プ
レチルト角A2に対向してプレチルト角C2が配置さ
れ、プレチルト角B2に対向してプレチルト角D2が配
置されている。
【0109】また、前記配向膜109・110は、ラビ
ングクロスで信号電極線113とほぼ直角方向に、上下
基板同一方向(図16中の左側から右側に)に平行配向
処理されている。
【0110】また、図示せぬが、液晶表示装置には、液
晶表示用駆動回路以外に、第1の電圧印加手段と第2の
電圧印加手段とよりなる配向転移用駆動回路が設けられ
ている。そして、前記第1の電圧印加手段により画素電
極108と共通電極107の間に第1の電圧を印加し
て、第1の液晶セル領域と前記第2の液晶セル領域との
境界付近においてディスクリネーション線を形成し、第
2の電圧印加手段により画素電極108と対向電極10
7の間に前記第1の電圧よりも高い第2に電圧を印加し
て、ディスクリネーション線において転移核を発生さ
せ、スプレイ配向からベンド配向へ転移させようにして
いる。
【0111】次に、この液晶表示装置の製造方法につい
て説明する。
【0112】まず、アレー基板106の内面上に信号走
査線113、スイッチング素子111および画素電極1
08を形成した。
【0113】次に、前記画素電極108上に、日産化学
工業(株)社製のポリアミック酸タイプの約5度の大き
い値を持つ第3のプレチルト角としてのプレチルト角B
2のポリイミド配向膜材料を塗布し、乾燥後焼成し、画
素電極108上に配向膜110aを形成した。
【0114】次に、前記配向膜110aの紙面上左側片
側領域に紫外線を照射して、第1のプレチルト角として
のプレチルト角A2の約2度の小さい値に変化させ、配
向膜110bを形成した。
【0115】対向基板105の内面上には、共通電極1
07を形成した。
【0116】次に、前記共通電極107上には、日産化
学工業(株)社製のポリアミック酸タイプの約5度の大
きい値の第2のプレチルト角としてのプレチルト角C2
を界面液晶分子に付与するポリイミド配向膜材料を塗布
し、乾燥後焼成し、共通電極107上に配向膜109b
を形成した。
【0117】次に、前記配向膜109bの紙面上右側片
側領域(プレチルト角の大きい値を持つプレチルト角B
2に対向する領域)に、紫外線を照射して第4のプレチ
ルト角としてのプレチルト角D2の約2度の小さい値に
変化させ、配向膜109aを形成した。
【0118】以上のようにして、図16の如く小さい値
のプレチルト角A2(第1のプレチルト角)に対向して
大きい値のプレチルト角C2(第2のプレチルト角)を
配置させ、大きい値のプレチルト角B2(第3のプレチ
ルト角)に対向して小さい値のプレチルト角D2(第4
のプレチルト角)を配置させることができた。
【0119】また、以下のようにしてプレチルト角を制
御することも可能である。
【0120】即ち、図18(a)に示すように、アレー
基板106上にa−Si系のTFT素子などからなるア
クティブマトリックス型のスイッチング素子(図示せ
ぬ)と、それに接続して画素電極108を形成した。
【0121】次に、図18(b)に示すように、前記画
素電極108の左側領域にオゾン雰囲気下で紫外線を照
射して、画素電極108の右側領域に比較して平坦化
し、平坦化領域108aを形成した。
【0122】次に、図18(c)に示すように、前記画
素電極108上にJSR社製のプレイミド型のポリイミ
ド配向材料を塗布乾燥あるいは焼成して、配向膜110
を形成した。
【0123】このように形成した場合、画素電極108
の平坦化領域108a上に位置する液晶分子140のプ
レチルト角は、未平坦化領域108b上に位置する液晶
分子140のプレチルト角よりも小さい値とすることが
できる。さらに、共通電極についても同様の処理を行う
ことによって、図16と同様に、第1の液晶セル領域
と、第2の液晶セル領域と、を同一画素内に有する液晶
表示装置とすることができる。
【0124】次に、図16に示すように、前記のように
形成した互いに大小のプレチルト角を付与する配向膜1
09および配向膜110の表面をラビングクロスで信号
電極線113に対して直角方向に上下基板同一方向(図
16中の左側から右側)に平行配向処理し、正のネマテ
ィック液晶材料からなる液晶層112を配置した。
【0125】このようにして作成された液晶表示装置に
おいて、前記画素電極108の配向元(ラビングの処理
方向の上流側)には小さいプレチルト角A2が、その対
向する側には大きい値のプレチルト角C2が配置され、
図16の画素の(イ)領域(第1の液晶セル領域)に
は、共通電極107と画素電極108の間に第1の電圧
として2.5Vを印加すると、液晶分子をアレー基板1
06側にスプレイ配向させたb−スプレイ配向120
が、画素の(ロ)領域(第2の液晶セル領域)には液晶
分子を対向基板105側にスプレイ配向させたt−スプ
レイ配向121が形成されやすくなる。
【0126】即ち、図16、図17に示すように、前記
液晶セル104のスイッチング素子111を通して共通
電極107と画素電極108間に第1の電圧としての
2.5Vを印加すると、画素内にb−スプレイ配向領域
(第1の液晶セル領域)とt−スプレイ配向領域(第2
の液晶セル領域)が形成され、その境界にディスクリネ
ーション線123が信号電極線113に沿って、かつゲ
ート電極線114・114’に渡って明瞭に形成された
(ディスクリネーション線形成工程)。
【0127】さらに、前記共通電極107と前記画素電
極108との間に、第2の電圧として電圧−15Vパル
スを繰り返し印加することにより、図17に示すように
ディスクリネーション線123から転移核が発生してベ
ンド配向124へ転移拡大し、TFTパネル画素全体は
約3秒で速かに転移した(配向転移工程)。
【0128】これは、b−スプレイ配向状態とt−スプ
レイ配向領域の境界であるディスクネーション線領域は
周囲より歪みのエネルギーが高くなっており、この状態
に、上下電極間に高電圧が印加されることによって更に
エネルギーが与えられスプレイ配向がベンド配向に転移
したものと考えられる。
【0129】(実施の形態8)図19は本発明の実施の
形態8に係る液晶表示装置の概略図を示す。
【0130】通常表示時には、ゲート電極線は線順次に
オンされ走査されるが、通常の表示の前に、ゲート電極
線を順次オンし、前記共通電極107と前記画素電極1
08との間に第2の電圧として電圧−15Vパルスを繰
り返し印加することにより、画素電極108とゲート電
極線114、114’の間で電位差に起因する横電界が
発生する。そして、前記横電界により、図19の如くデ
ィスクリネーション線123とゲート電極線114、1
14’付近から転移核が発生してベンド配向へ転移拡大
し、TFTパネル画素全体は約1秒で更に速かにベンド
配向へ拡大転移した(配向転移工程)。
【0131】これは、b−スプレイ配向状態とt−スプ
レイ配向領域の境界であるディスクリネーション線領域
が周囲より歪みのエネルギーが高くなっており、この状
態に、横に配置されているゲート電極線からも前記ディ
スクリネーション線に横電界が印加されることによって
更にエネルギーが与えられ、速く転移したものと考えら
れる。なお、転移が完了した後、ゲート電極線114・
114’は通常の走査状態にもどる。
【0132】なお、前記画素電極と共通電極の間に印加
する第2の電圧は連続的に印加されてもよい。また、パ
ルス状の電圧が繰り返し印加する場合は、その周波数が
0.1Hzから100Hzの範囲であり、且つ第2の電
圧のデューティー比は少なくとも1:1から1000:
1の範囲で転移を速める効果が得られる。
【0133】(その他の事項)実施の形態7、8では、
共通電極の配向先領域のプレチルト角D2を小さい値と
したが、大きい値でも良い。また、画素電極の配向先領
域のプレチルト角B2を大きい値としたが、横電界の影
響でt−スプレイ配向となるため小さい値でも効果は得
られる。
【0134】また、一方の基板側のプレチルト角A2の
2度に対して対向のプレチルト角C2を5度としている
が、その比が大きければ転移時間短縮の効果があり更に
転移時間を速くすることができる。
【0135】また、前記では、小さい方のプレチルト角
A2の値を2度としたが、b−スプレイ配向させベンド
配向へ容易に転移させるために、小さい値のプレチルト
角A2、D2の値として3度以下であれば良く、大きい
値のプレチルト角B2、C2は4度以上であれば良い。
【0136】また、配向処理方向を信号電極線113に
対して直角方向に上下基板同一方向に平行配向処理した
が、ゲート電極線114に対して直角方向(即ち、図1
6のおける紙面に対して垂直方向)に上下基板同一方向
に平行配向処理しても良い。その際、ディスクリネーシ
ョン線の形成場所が異なる。
【0137】また、前記平行に配向処理される方向が、
該画素電極に沿う電極線の直角方向から例えば約2度ず
れて配向処理すると、画素内に形成されたディスクリネ
ーション線に電極から横電界が斜めに印加されるため、
スプレイ配向した液晶分子にねじれる力が加わりベンド
配向へ転移しやすくなり、転移が確実に速い液晶表示装
置となる。
【0138】なお、第1の電圧としては、ディスクリネ
ーション線を形成することが可能な電圧以上であれば良
い。また、画素電極と共通電極の間に第2の電圧を印加
するとしたが、共通電極に印加してもよい。
【0139】また、前記配向膜材料としてポリイミド材
料を使用したが、単分子膜材料などの他の材料でもよ
い。
【0140】他の液晶表示装置においては、例えば、基
板はプラスチック基板から形成することもできる。ま
た、基板の一方を反射性基板から形成し、例えば、シリ
コンで形成してもよい。
【0141】(実施の形態9)本実施の形態は、信号電
極線と画素電極、およびゲート電極線と画素電極に、そ
れぞれ嵌合する形状の凹凸を形成したものである。
【0142】図20、図21に、本実施の形態の液晶表
示装置の要部を概念的に示す。
【0143】本図は、アクティブマトリックス型のOC
Bモードの液晶表示装置の画素を表示面上方(使用者
側)から見たものである。
【0144】図20において、206は信号電極線(バ
スライン)であり、207はゲート電極線であり、20
8はスイッチングトランジスタ(素子)である。
【0145】なお、図では信号電極線206とゲート電
極線207は交差しているが、両方の電極線は絶縁膜
(図示せぬ)を介して立体配置されているのは勿論であ
る。
【0146】また、TFTからなるスイッチングトラン
ジスタ208は、図では略正方形状の画素電極202a
に接続されている。そして、信号電極線206、ゲート
電極線207、スイッチングトランジスタ208、画素
電極202aの機能、動作、作用はOBCモードのみな
らず従来の液晶表示装置と何等異ならない。
【0147】また、最初に液晶分子211をスプレイ配
向させるため、上下の配向膜203a・203bにラビ
ングクロス等を使用しての配向処理がなされているのも
同じである。
【0148】更に、偏光板204a・204b等の作用
と共に、画素内のスプレイ配向状態から、液晶分子を対
向基板間でベンド配向状態としたベンド配向領域に画素
内の液晶分子全体を転移させる作用によって明暗の表示
がなされるのも同じである。
【0149】しかしながら、図20(a)に示すよう
に、略正方形状の画素電極202aの各辺の略中央部
に、凹部221aおよび凸部222aが形成されてい
る。一方、これに近接して配線されている信号電極線2
06及びゲート電極線207は、前記凹部221aおよ
び凸部222aに嵌合するように凸部261・271と
凹部262・272に変形した配線とされている。この
ため、画素電極202aの上下、左右位置(図20
(a)における紙面上)に、変形した転移励起用の横電
界印加部を形成することとなるのが、従来の液晶表示装
置と相違する。
【0150】次に、この液晶表示装置の製造方法につい
て説明する。
【0151】横電界印加部を含めた画素電極202a面
上と共通電極202b面上に、日産化学工業(株)社製
のポリアミック酸タイプの約5度の大きさのプレチルト
角のポリイミド配向膜材料を塗布乾燥焼成して、それぞ
れの電極面の液晶層210側に配向膜203a・203
bを形成した。
【0152】次に、前記配向膜203a・203bの表
面を、共にラビングクロスで図20(a)に示すように
信号電極線206とほぼ直交する方向に配向処理した。
【0153】以上のもとで、上下の基板間に正のネマテ
ィック液晶材料を真空注入して液晶層210を形成し
た。
【0154】このため、図示せぬが、上下の配向膜20
3a・203bの表面では、液晶分子211が、そのプ
レチルト角が正負逆の値を持ち、しかも分子の直軸方向
は互いにほぼ平行になるよう配向し、液晶層210はい
わゆる無電圧印加状態で液晶分子が斜めに広がったいわ
ゆるスプレイ配向となる。
【0155】次に、液晶表示装置の表示のための動作に
ついて説明する。
【0156】以上のもとで、共通電極202bと画素電
極202a間に−15Vという液晶分野では比較的電圧
の高いパルス状の電圧を繰り返し印加すると共に、ゲー
ト電極線207を通常の走査状態か、あるいは殆ど全て
オンさせた状態にする。これにより、横電界印加部によ
って、ゲート電極線207、信号電極線206と画素電
極202a間に周囲の通常の横電界より強い横電界が印
加される。その結果、画素領域内のスプレイ配向領域に
おいて、信号電極線206とほぼ直交する方向にラビン
グした場合、主にゲート電極線207と画素電極202
a間の横電界印加部を基点とした液晶層299にベンド
配向への転移核が発生する。また、図21に示すよう
に、ゲート電極線207と直交する方向にラビングした
場合、主に信号電極線206と画素電極202a間の横
電界印加部を基点とした液晶層298にベンド配向への
転移核が発生する。
【0157】更に、この転移核をもとにベンド配向領域
が拡大し、その結果画素領域全体を約0.5秒でベンド
配向へ完了させることができた。
【0158】なお、TFTパネル全体では、約2秒で速
かに転移した。
【0159】この機構であるが、上下電極間に高電圧が
印加されて、図20(b)に示すように、液晶層210
がb―スプレイ配向状態となり、周囲より歪みのエネル
ギーが高くなり、この液晶分子配向状態方向に横電界印
加部からほぼ直角(図20(b)面垂直方向)に横電界
が印加されるため、図20(b)のb―スプレイ配向に
おける下基板側の液晶分子がねじれる力を受け、転移核
の発生が起きるものと考えられる。
【0160】以上の説明では、横電界印加部は、凹凹に
変形した画素電極部と両方の信号電極線の凹凸部は、相
互に嵌合するように形成されるものとしたが、図22に
示すように、画素電極202aのみ、信号電極線206
のみ、ゲート電極線207のみに形成されてもよいのは
勿論である。
【0161】即ち、本図においては、信号電極線206
の凸部263、ゲート電極線207の凸部273、画素
電極202aの凸部223a・224aはいずれか一方
のみにあり、嵌合型となっていないのが図20に示すも
のと相違する。
【0162】また、凹凸部の平面形状は、図20乃至図
22に示す三角形状、四角形状以外の形状、例えば台形
形状、半円形状、円形状、楕円形状等であってもよいの
は勿論である。
【0163】更に、図20乃至図22では、横電界印加
部は1画素の上下左右に合計4カ所設けているが、画素
の大きさ等によっては上下の2個のみ、あるいは1個だ
け設けても良く、更にまた電極縁にそって凹凸が連続的
に形成されていてもよいのは勿論である。また、これま
で、ラビング方向を信号電極線あるいはゲート電極線の
ほぼ直交するとしたが、ラビング方向を斜め方向にして
も良い。この場合、信号およびゲート電極線と画素電極
間の横電界印加部の液晶層からベンド配向へ転移が発生
する。また、少なくとも、ラビング方向とほぼ直交する
方向に横電界を印加できる横電界印加部を画素単位に少
なくとも1個配置することが望ましい。
【0164】また、図20乃至図22は平面図であるた
め、両電極線(信号電極線206およびゲート電極線2
07)と画素電極202aは同一平面にあるように見え
るが、これは少なくとも一方の電極線が画素電極とアレ
ー基板上異なる高さに配置されていても良い。
【0165】このように、画素電極の周辺の一部を基板
面に平行な面内で凹凸に変形した電極変形部からなる横
電界印加部は、平面視では0.5〜10μm程度離れ
て、該横電界印加部の側方に存在する信号電極線若しく
はゲート電極線の凸部や0.5〜10μm程度凹んだ凹
部の存在により、横電界を発生させる。
【0166】(実施の形態10)本実施の形態は、横電
界印加用の電極線を設けるものである。
【0167】以下、図23を参照しつつ本実施の形態を
説明する。
【0168】本図の(a)は、基板上面より見た平面図
である。(b)は、液晶表示装置のゲート電極線207
に平行な面での断面図である。
【0169】本図の(a)と(b)において、209
は、アレー基板201a上の信号電極線206のほぼ直
下部分に横電界印加専用に布設された電線である。21
2は、前記横電界印加用線209と信号電極線206、
ゲート電極線207等を絶縁するための透明絶縁膜であ
る。従って、この画素を上部(表示面に直交する使用者
側方向)から見た場合には、図23(a)に示すごと
く、画素の左右中央部にて横電界印加用線209の平面
視三角形状の凸部291が信号電極線206の側方に突
出している。なお、前記信号電極線206および画素電
極202aは従来技術のものと何等かわりがない。
【0170】前記横電界印加用線209は、前記信号電
極線206若しくはゲート電極線207が接続された駆
動回路に接続され、さらに、前記横電界印加用線209
は、配向転移後の通常の液晶表示時には、駆動回路と遮
断されるよう構成されている。
【0171】また、前記横電界印加用線209を、信号
電極線206に対する上部の信号電極線とし、透明絶縁
膜を介して画素電極に近接して設け、横電界印加の効果
を増し、併せて透明絶縁膜中の図示していないコンタク
トホールで電気的に接続されていてもよい。この場合、
信号電極線が2本となるため冗長度が増し電気抵抗が低
下するという効果もある。
【0172】即ち、図23(c)に示すように、横電界
印加用線209aは、信号電極線206の直上に透明絶
縁膜213を介して設けられている。なお、画素中央部
への平面視三角形状の凸部291aがあるのは同じであ
る。
【0173】また、図23(d)は、本実施の形態の他
の例である。図に示すように、横電界印加用線209b
が平坦化透明絶縁膜212bによって被覆され、さら
に、専用線209bの下に信号電極線206が平坦化透
明絶縁膜212cによって被覆され、画素電極202a
が前記平坦化透明絶縁膜212bの上に設けられてい
る。なお、画素中央部への三角形状の凸部291bがあ
るのは同じである。
【0174】また、図ではこの横電界印加用の専用線の
凸部を三角形状としているが、これは画素電極に対向す
る部分全てに連続的に凸部を設けたり、更には上方へ突
出した凸部を有する等、立体的な構造を有していてもよ
いのは勿論である。
【0175】また、横電界印加用の専用線は信号電極線
でなく、ゲート電極線の直下、直上に設けても良い。更
には、両電極線の直下等に設けても良い。
【0176】(実施の形態11)本実施の形態は、画素
電極内に少なくとも1カ所の切欠きを設けて欠陥部を形
成するものである。
【0177】図24に、本実施の形態の液晶表示装置の
画素単位の平面と特徴を概念的に示す。本図に示すよう
に、ITO膜からなる画素電極202aは、例えば数μ
m幅でエッチングにより除去されて平面視クランク形状
の電極欠陥部225が形成されている。
【0178】なお、この電極欠陥部225を含めた画素
電極202a面上および図示せぬ共通電極面上には、日
産化学工業(株)社製のポリアミック酸タイプの約5度
の大きさのプレチルト角のポリイミド配向膜材料を塗布
乾燥焼成して、それぞれ配向膜(図示せず)を形成し、
更にそれらの表面をラビングクロスでゲート電極線20
7と直交する方向に配向処理がなされ、このため液晶分
子のプレチルト角が正負逆の値を持ち、互いにほぼ平行
方向になるよう同一方向に平行配向されているのは、第
9および第10の実施の形態と同じである。
【0179】従って、液晶層はいわゆる無電圧印加状態
で液晶分子が斜めに広がった配向領域からなるいわゆる
スプレイ配向の液晶セルを形成しているのも同じであ
る。
【0180】しかしながら、表示前の画素の共通電極と
画素電極間に15V、あるいは共通電極に−15Vの電
圧のパルスを繰り返し印加すると共に、ゲート電極を通
常の走査状態か、あるいは殆ど全てオンさせた状態にす
ると、画素単位には電極欠陥部225が存在するため、
図24(b)に示すように、該電極欠陥部225の縁で
強い歪みの斜め横電界280が発生する。
【0181】このため、画素領域内のスプレイ配向は、
この電極欠陥部225の液晶層299にベンド配向への
転移核が発生し、更にこのベンド配向領域が拡大して画
素領域全体を約0.5秒でベンド配向へ完了させる。ま
た、TFTパネル全体では、約2秒で速かに転移する。
【0182】これは、電極欠陥部225からなる横電界
印加部で強い横電界を受け、この付近の液晶分子は基板
面に水平状態に配向され、いわゆるb−スプレイ配向状
態となり、周囲より歪みのエネルギーが高くなってお
り、この状態のもとで上下電極間に高電圧が印加される
ため更にエネルギーが与えられ、その結果、電極欠陥部
225において転移核が発生し、ベンド配向領域が拡大
するものと考えられる。
【0183】なお、図24では、平面視クランク形状の
電極欠陥部225を1本形成しているが、2本以上とし
ても良いのは勿論である。
【0184】また、その形状は直線、角型や円形、楕
円、更には三角形状等であっても良いのは勿論である。
【0185】更に、電極欠陥部225は、共通電極側に
形成しても良い。
【0186】更にまた、画素電極および共通電極の両方
に形成しても良いのも勿論である。
【0187】(実施の形態12)本実施の形態は、横電
界を発生させると共に、これに併せてあらかじめ画素平
面内にチルト角の相違する領域を形成しておくものであ
る。
【0188】図25に、本実施の形態の液晶表示装置の
画素単位の構成と特徴を概念的に示す。本図の(a)
は、ゲート電極線に平行な方向の画素の断面図であり、
同一画素であるが、左側の(イ)と右側の(ロ)とで、
チルト角が相違している様子を示す。
【0189】図25(b)は、上(使用者側)方向より
見た画素の平面図であり、画素電極202aの上下左右
に凹凸部221a・222aが設けられ、更に信号電極
線206およびゲート電極線207の対応する位置に前
記凹凸部221a・222aに相嵌合するように凹凸部
261・262・271・272が設けられており、前
述した実施の形態7と同様に、第1の電圧である2.5
Vを印加して、図25(a)の(イ)と(ロ)の境界に
ディスクリネーション線226が形成されている。
【0190】以下、本実施の形態の液晶表示装置の製造
方法について説明する。
【0191】アクティブマトリックス型の液晶セルの対
向する基板内面上にはそれぞれ配向膜203am・20
3bmが形成され、この配向膜203am・203bm
は、液晶層210が無電圧印加状態でスプレイ配向を形
成する処理がされていること、画素電極202aやこれ
に近接して配線されているゲート電極線207等に転移
励起用の横電界印加部を形成すること等は、先の第1の
実施の形態と同じである。
【0192】しかしながら、配向膜の処理が異なる。即
ち、図25(a)において、横電界印加部を含めた画素
電極202a面上に、日産化学工業(株)社製のポリア
ミック酸タイプの約5度の大きい値を持つプレチルト角
B2のポリイミド配向膜材料を塗布乾燥焼成し、配向膜
203amを形成する。
【0193】次に、この配向膜203amの左側片側領
域203ahのみ、即ち、(イ)に示す方のみに紫外線
を照射してプレチルト角E2が約2度の小さい値の配向
膜に変化させる。
【0194】これに対して、対向基板201b上には日
産化学工業(株)社製のポリアミック酸タイプの約5度
の大きい値のプレチルト角F2を界面液晶分子に付与す
るポリイミド配向膜材料を塗布乾燥焼成し、共通電極2
02b上に配向膜203bhを形成する。
【0195】次に、前記配向膜203bhの右側片側領
域203bmのみ、即ち、(ロ)に示す方のみに紫外線
を照射してプレチルト角D2の約2度の小さい値の配向
膜に変化させる。
【0196】このようにして、図25(a)の(イ)に
示す如くアレー基板201a側左半分の配向膜203a
hの小さい値のプレチルト角E2に対向して対向基板2
01b側左半分の配向膜203bhの大きい値のプレチ
ルト角F2を配置させ、(ロ)に示すごとくアレー基板
側201a右半分の配向膜203amの大きい値のプレ
チルト角B2に対向して対向基板201b側右半分の配
向膜203bmの小さい値のプレチルト角D2を配置さ
せる。
【0197】更に、このようにして形成した互いに大小
のプレチルト角を付与する配向膜の表面をラビングクロ
スで図25(b)に示すように信号電極6とほぼ直交す
る方向に上下基板同一方向に平行配向処理した。その
後、正のネマティック液晶材料を充填して、これからな
る液晶層210を配置した。
【0198】以上の下で、画素電極202aの配向元
(ラビングの根本方向)には小さいプレチルト角E2
が、該プレチルト角E2に対向する側には大きい値のプ
レチルト角F2が配置され、図25(a)の画素の
(イ)で示す領域には液晶分子を下基板側にスプレイ配
向させたb−スプレイ配向227bが、画素の(ロ)で
示す領域には液晶分子を上基板側にスプレイ配向させた
t−スプレイ配向227tが形成されやすくなる。
【0199】次に、液晶セルのスイッチングトランジス
タ208を通して対向する電極間に転移臨界電圧付近の
2.5Vを印加すると、上述の理由で同一の画素内にb
−スプレイ配向領域とt−スプレイ配向領域が形成さ
れ、その境界にディスクリネーション線226が信号電
極線206に沿って、かつゲート電極線207に渡って
明瞭に形成された。
【0200】この画素の共通電極と画素電極間に−15
Vのパルスを繰り返し印加した。そうすると、図25
(b)に示すように、ディスクリネーション線226と
横電界印加部付近の液晶層299から転移核が発生して
ベンド配向領域へ転移が拡大し、TFTパネル画素全体
では約1秒で速かに転移した。
【0201】これは、b−スプレイ配向状態とt−スプ
レイ配向領域の境界であるディクリネーション線226
領域は周囲より歪みのエネルギーが高くなっていて、こ
の状態に加えて横電界印加部で発生する横電界によって
スプレイ配向にねじれが発生して転移し易くなり、これ
に上下電極間に高電圧が印加されて更にエネルギーが与
えられベンド転移したものと考えられる。
【0202】以上、本発明を幾つかの実施の形態に基づ
いて説明してきたが、本発明は何もこれらに限定されな
いのは勿論である。即ち、例えば以下のようにしてもよ
い。
【0203】1)画素電極と共通電極間に印加する電圧
を連続的、あるいは間欠的とする。
【0204】2)高電圧パルスが繰り返し印加される場
合、その周波数は0.1Hzから100Hzの範囲であ
り、且つ第2の電圧のデューティー比は少なくとも1:
1から1000:1の範囲で、転移を速める値を選択す
る。
【0205】3)使用する基板をプラスチック製とし、
電極として有機導電膜を採用する。
【0206】4)基板の一方を反射性基板により形成
し、例えばシリコンとしたり、あるいは、アルミニウム
等の反射電極よりなる反射性基板により形成し、反射型
液晶表示装置とする。
【0207】5)画素電極、共通電極に基板面に直交す
る方向の強電極電界発生用突起を設ける等の手段をも併
用する。
【0208】6)両基板間を一定に保持する球状ガラス
やシリカに換えて、そのための突起物を形成し、該突起
物に液晶分子を配列させる機能を持たせる等の手段をも
併用する。
【0209】7)前記突起部の上部若しくは下部を前記
強電極発生用突起に兼用する。
【0210】8)画素電極の形状は、正方形状でなく、
長方形状や3角形状とする。
【0211】9)画素を液晶の配向の異なる領域に分割
するのは2つではなく、3つや4つとしたりする。
【0212】10)プレチルト角に大小を付けるのに、
透明電極をO2 アッシャー等で表面状態を変え、該透明
電極に配向膜を形成する等の手段を採用している。
【0213】(実施の形態13)図26は実施の形態1
3に係る液晶表示装置に用いられる液晶セルの構成外観
図であり、図27、および図28は凸形状物作製を説明
するための製造プロセスの一部である。
【0214】ガラス基板308上にJSR株式会社製P
C系レジスト材料を塗布形成し厚さ1μmのレジスト薄
膜を形成する。次にレジスト薄膜320に、矩形状のパ
ターンの開口部322を設けたフォトマスク321を通
して、平行光紫外線323で照射露光する。平行光で露
光された上記レジスト薄膜320を現像、リンスし、9
0℃でプリベークして図28に示すように断面が凸状の
形状物310を形成する。
【0215】次に、前記基板上に、定法に従いITO電
極7を2000A製膜し、電極付ガラス基板308とし
た。その後、透明電極302を有するガラス基板30
1、および上記凸形状物の形成されたガラス基板308
上に日産化学工業製配向膜塗料SE−7492をスピン
コート法にて塗布し、恒温槽中180℃、1時間硬化さ
せ配向膜303、306を形成する。その後、レーヨン
製ラビング布を用いて図29に示す方向にラビング処理
を施し、積水ファインケミカル(株)製スペーサ5、お
よびストラクトボンド352A(三井東圧化学(株)製
シール樹脂の商品名)を用いて基板間隔が6.5μmと
なるように貼り合わせ、液晶セル309(液晶セルAと
する)を作成した。
【0216】この時、配向膜界面での液晶プレチルト角
が約5度となるようにラビング処理を行った。
【0217】次に、液晶MJ96435(屈折率異方性
Δn=0.138)を真空注入法にて液晶セルAに注入
し、テストセルAとした。
【0218】次に、テストセルAに、その偏光軸が配向
膜のラビング処理方向と45度の角度をなし、かつ、お
互いの偏光軸方向が直交するように偏光板を貼合し、7
V矩形波を印加してスプレイ配向からベンド配向への転
移を観察したところ、約5秒で全電極領域がスプレイ配
向からベンド領域へと転移した。
【0219】凸形状物310の形成された領域では、液
晶層厚が周囲の液晶層領域に比べて小さく実効的に電界
強度が大きく、この部分よりベンド転移が確実に発生す
る。発生したベンド配向は速やかに他の領域に広がって
いく。
【0220】即ち、確実かつ高速なスプレイ→ベンド転
移が達成出来る。
【0221】凸形状物としては、その断面形状が本実施
例の如く矩形状のほか、台形状、三角状、半円状でも良
いことは言うまでもない。
【0222】比較例として、凸形状部310を有しない
透明電極付きガラス基板を用いること以外、同様のプロ
セスで、スプレイ配向液晶セルRを作製し、液晶MJ9
6435を封入してテストセルRとした。このテストセ
ルRに7V矩形波を印加した時の、全電極領域がスプレ
イ配向からベンド領域へと転移するに要する時間は42
秒であり、本発明の効果は明らかである。
【0223】(実施の形態14)図30は実施の形態1
4に係る液晶表示装置に用いられる液晶セルの構成外観
図であり、図31はその平面図である。図30は図31
の矢視X1−X1から見た断面図である。実施の形態1
4は、凸形状物310を、表示画素領域外に形成された
透明電極307a上に設けたことを特徴とするものであ
る。以下に、その作製手順を説明する。
【0224】透明電極302を有するガラス基板30
1、および凸形状物の形成されたガラス基板308上に
日産化学工業製配向膜塗料SE−7492をスピンコー
ト法にて塗布し、恒温槽中180℃、1時間硬化させ配
向膜303,306,306aを形成する。その後、レ
ーヨン製ラビング布を用いて図29に示す方向にラビン
グ処理を施し、積水ファインケミカル(株)製スペーサ
5、およびストラクトボンド352A(三井東圧化学
(株)製シール樹脂の商品名)を用いて基板間隔が6.
5μmとなるように貼り合わせ、液晶セル(液晶セルB
とする)を作成した。
【0225】この時、配向膜界面での液晶プレチルト角
が約5度となるようにラビング処理を行った。
【0226】次に、液晶MJ96435(屈折率異方性
Δn=0.138)を真空注入法にて液晶セルBに注入
した。
【0227】次に、液晶セルBに、その偏光軸が配向膜
のラビング処理方向と45度の角度をなし、かつ、お互
いの偏光軸方向が直交するように偏光板を貼合し、7V
矩形波を印加してスプレイ配向からベンド配向への転移
を観察したところ、約7秒で全電極領域がスプレイ配向
からベンド領域へと転移した。
【0228】本実施の形態では、表示画素領域外に凸形
状部を設け、表示画素領域外でベンド転移核発生をさせ
たものであるが、発生したベンド配向は表示画素領域外
から表示画素領域内に速やかに広がっていくことが確認
された。
【0229】表示画素領域とベンド核発生用電極領域と
の間には、電界の印加されない(電極部を有しない)領
域が存在するが、微小領域でありさえすればこの領域を
越えてベンド配向は展開する。
【0230】(実施の形態15)図32は実施の形態1
5に係る液晶表示装置に用いられる液晶セルの構成外観
図であり、図27、図28、および図33は凸形状物作
製を説明するための製造プロセスの一部である。
【0231】ガラス基板308上にJSR株式会社製P
C系レジスト材料を塗布形成し厚さ1μmのレジスト薄
膜を形成する。次にレジスト薄膜320に、矩形状のパ
ターンの開口部322を設けたフォトマスク321を通
して、平行光紫外線323で照射露光する。平行光で露
光された上記レジスト薄膜20を現像、リンスし、90
℃でプリベークして図28に示すように断面が凸状の形
状物310を形成する。
【0232】次に、上記レジスト薄膜材料のガラス転移
点以上の150℃でポストベークして凸形状物310の
肩をなだらかに順方向に傾斜させて、図32に示すよう
にその断面形状を山形様に形成する工程で製造する。
【0233】次に、前記基板上に、定法に従いITO電
極を2000Åの厚みで製膜し、電極付ガラス基板30
8とした。その後、透明電極302を有するガラス基板
301、および上記凸形状物の形成されたガラス基板3
08上に日産化学工業製配向膜塗料SE−7492をス
ピンコート法にて塗布し、恒温槽中180℃、1時間硬
化させ配向膜303、306を形成する。その後、レー
ヨン製ラビング布を用いて図29に示す方向にラビング
処理を施し、積水ファインケミカル(株)製スペーサ3
05、およびストラクトボンド352A(三井東圧化学
(株)製シール樹脂の商品名)を用いて基板間隔が6.
5μmとなるように貼り合わせ、液晶セル309(液晶
セルCとする)を作成した。
【0234】この時、配向膜界面での液晶プレチルト角
が約5度となるようにラビング処理を行った。
【0235】次に、液晶MJ96435(屈折率異方性
Δn=0.138)を真空注入法にて液晶セルCに注入
し、テストセルCとした。
【0236】次に、テストセルCに、その偏光軸が配向
膜のラビング処理方向と45度の角度をなし、かつ、お
互いの偏光軸方向が直交するように偏光板を貼合し、7
V矩形波を印加してスプレイ配向からベンド配向への転
移を観察したところ、約7秒で全電極領域がスプレイ配
向からベンド領域へと転移した。
【0237】本テストセルCは、上記三角形状先端部に
電界の集中が起こり、この部分よりベンド配向が発生す
る。また、三角形状物60上部では、ラビング処理によ
る擦り上げ部と擦り下げ部が存在するため、結果として
液晶プレチルト角の符号が反対の領域が出来る。即ち前
記凸形状部の近傍では液晶ダイレクタが基板面に水平に
なっており、このことも高速なスプレイ−ベンド転移に
寄与しているものと思われる。
【0238】本実施例では画素領域内に電界集中部を設
けたが、画素領域外に設けても同様な効果が認められ
た。また、本実施例では電界集中部位は基板片側に配設
したのみであるが、基板両側に配設しても良いことは言
うまでもない。
【0239】(実施の形態16)図34は実施の形態1
6に係る液晶表示装置に用いられる液晶セルの構成外観
図であり、図35は本実施の形態で用いたガラス基板3
02の電極パターンを表している。
【0240】開口部380を有する透明電極302、及
び開口部を有しない透明電極307を有する2枚のガラ
ス基板301、308上に日産化学工業製配向膜塗料S
E−7492をスピンコート法にて塗布し、恒温槽中1
80℃、1時間硬化させ配向膜303、306を形成す
る。その後、レーヨン製ラビング布を用いて図29に示
す方向にラビング処理を施し、積水ファインケミカル
(株)製スペーサ305、およびストラクトボンド35
2A(三井東圧化学(株)製シール樹脂の商品名)を用
いて基板間隔が6.5μmとなるように貼り合わせ、液
晶セル309(液晶セルDとする)を作成した。
【0241】この時、配向膜界面での液晶プレチルト角
が約5度となるようにラビング処理を行った。
【0242】次に、液晶MJ96435(屈折率異方性
Δn=0.138)を真空注入法にて液晶セルDに注入
し、テストセルDとした。
【0243】次に、その偏光軸が配向膜のラビング処理
方向と45度の角度をなし、かつ、お互いの偏光軸方向
が直交するように偏光板を貼合し、電圧を印加しながら
スプレイ配向からベンド配向への転移を観察した。
【0244】このテストセルDに、ガラス基板8側電極
に2V、30Hz、矩形波を、ガラス基板1側電極に7
V、30Hz、矩形波を印加した時の、全電極領域がス
プレイ配向からベンド領域へと転移するに要する時間は
5秒であり、極めて高速なベンド転移が実現された。
【0245】本実施例においては、二枚の電極間に挟持
された液晶層に5V(=7V−2V)の電界が印加され
るが、電極開口部の液晶層には7V(=7V−0V)の
実効電界が印加されることになるため、ここよりベンド
配向が発生する。
【0246】本実施例では開口部形状を矩形としたが、
円形、三角形状など他の形状でも良いことは言うまでも
ない。
【0247】(実施の形態17)図36は実施の形態1
7に係る液晶表示装置に用いられる液晶セルの要部断面
図であり、図37はその一部の拡大図である。この液晶
セルは、ガラス基板308上に画素スイッチング素子3
80、信号電極線381、ゲート信号線(図示せず)が
形成されており、これらスイッチング素子380、信号
電極線381及びゲート信号線を覆って平坦化膜382
が形成されている。そして、平坦化膜382上に表示電
極307が形成されており、この表示電極307とスイ
ッチング素子380とは、平坦化膜382に開口したコ
ンタクトホール383内を挿通する中継電極384を介
して電気的に接続されている。中継電極384は、コン
タクトホール383の上開口側の部分が、図37に示す
ように凹部384aとなっている。このような凹部38
4aにより、表示電極307に開口が形成されることに
なり、この凹部384a付近で電界の集中を生じさせる
ことが可能となる。よって、転移時間の短縮化を達成す
ることができる。
【0248】(実施の形態18)図38は実施の形態1
8に係る液晶表示装置の構成外観図である。
【0249】実施の形態16で作成したテストセルD
に、主軸がハイブリット配列した負の屈折率異方性もつ
光学媒体よりなる位相差板312、315、負の一軸性
位相差板311、314、正の一軸性位相差板319、
偏光板313、316を図39に示される配置で貼合
し、液晶表示装置を作成した。
【0250】この時の位相差板312、315、31
1、314、319のリターデーション値は波長550
nmの光に対して、それぞれ26nm、26nm、35
0nm、350nm、および150nmであった。
【0251】図40は25℃における液晶表示装置の正
面での電圧−透過率特性である。10Vの矩形波電圧を
10秒印加しベンド配向を確認した後、電圧を降下させ
ながら測定した。本液晶表示素子ではベンド配向からス
プレイ配向への転移が2.1Vで起こるため、実効的に
は2.2V以上の電圧で表示を行う必要がある。
【0252】次に、白レベル電圧を2.2V、黒レベル
電圧を7.2Vとした時のコントラスト比の視角依存性
を測定したところ、上下126度、左右160度の範囲
でコントラスト比10:1以上が達成されており、基板
配向膜面上に液晶ダイレクタ方位が周囲とは異なる部位
を一部設けても、充分な広視野角特性が維持されること
が確認された。また、目視観察においても、配向不良お
よび表示品位不良は認められなかった。
【0253】また、3V〜5V間の応答時間を測定した
ところ、立ち上がり時間は5ミリ秒、立ち下がり時間は
6ミリ秒であった。
【0254】以上より明らかなように、本発明液晶表示
装置は、従来のOCBモードの広視野角特性や応答特性
を犠牲にすることなく、高速なスプレイ−ベンド配向転
移を達成することが出来、その実用的な価値は極めて大
きい。
【0255】(実施の形態19)図41は実施の形態1
9に係る液晶表示装置の要部断面図である。ベンド配向
型セルとして動作させる液晶セルは、2枚の平行な基板
400,401間に液晶層402を封入した、いわゆる
サンドイッチセルである。通常、一方の基板には透明電
極が、他方の基板には薄膜トランジスタを備えた画素電
極が、各々形成されている。
【0256】図41(a)は、電場を印加しない初期状
態の配向を示す模式図である。初期状態の配向は、液晶
分子の分子軸が基板400,401平面に対して若干の
傾きを有しながらもほぼ平行に且つ実質的に一様に配向
した状態、すなわちホモジニアス配向である。基板との
界面に存在する液晶分子は、上下両基板400,401
において、互いに逆方向に傾斜している。すなわち、基
板との界面に存在する液晶分子の配向角θ1およびθ2
(すなわち、プレチルト角)は、互いに異符号となるよ
うに調整されている。なお、以下の説明において、配向
角およびプレチルト角は、基板に平行な平面に対する液
晶分子の分子軸の傾きを、基板に平行な平面を基準に反
時計回りに正として表した角度である。
【0257】図41(a)の状態の液晶層402に、基
板平面に対して垂直方向にある値を超える強さの電場を
印加すると、液晶の配向状態が変化し、図41(b)に
示すような配向へと転移する。
【0258】図41(b)に示す配向は、ベンド配向と
呼ばれるものであり、両基板表面付近においては基板平
面に対する液晶分子の分子軸の傾き、すなわち配向角の
絶対値が小さく、液晶層402の中心部分においては液
晶分子の配向角の絶対値が大きくなっている。また、液
晶層全体に渡って、実質的にねじれ構造を有してない。
【0259】このような、ホモジニアス配向からベンド
配向への転移を詳細に観察すると、まず、液晶層402
の一部においてベンド配向の核が発生しており、この核
が、ホモジニアス配向である他の領域を蚕食しながら次
第に成長し、最終的には液晶層全体がベンド配向とな
る。換言すれば、液晶層のベンド配向への転移には、核
の発生、すなわち微小領域でのホモジニアス配向からベ
ンド配向への転移が必要である。
【0260】そこで、発明者らは、液晶分子配向の単位
ベクトル(以下、「ディレクター」とする。)の運動方
程式を解くことにより、微小領域でのベンド配向への転
移について解析し、核が容易に発生し得る条件を見出し
た。以下に、その手法について説明する。
【0261】液晶の配向状態は、ディレクターによって
記述される。なお、ディレクターnは、[数1]で表さ
れる関数である。
【数1】
【0262】液晶の自由エネルギー密度fは、[数2]
に示すように、ディレクターnの関数として表わすこと
ができる。
【数2】
【0263】ここで、k11、k22、k33はFrankの弾性
定数であり、各々、スプレイ、ツイスト、ベンドの弾性
定数を表す。Δεは、液晶の分子軸方向の誘電率とそれ
に直交する方向の誘電率との差、すなわち誘電率異方性
を表す。また、Eは、外部電場である。
【0264】[数2]において、第1項、第2項、第3
項は、各々、液晶の広がり、捻じれ、曲がりによる弾性
エネルギーを表わす。また、第4項は、外部電場と液晶
との電気的相互作用による電気エネルギーを表す。電気
エネルギーは、Δε>0であればnがEと平行となると
きに最小となり、Δε<0であればnがEに直交すると
きに最小となる。従って、ある特定の強さを超える電場
Eが印加されると、液晶分子は、Δε>0であれば分子
長軸が電場方向に平行になるように配向し、Δε<0で
あれば分子長軸が電場方向に直交するように配向する。
【0265】初期状態の分子配向が外部電場による変形
を受けたときの液晶の全自由エネルギーFは、fの体積
積分として表すことができる。
【数3】 [数3]に示すように、全自由エネルギーFは、ディレ
クターを表す未知関数n(x)を変数として定義される関
数(すなわち、汎関数)である。外部電場印加下におい
て出現する液晶の配向状態は、適当な境界条件のもと
で、全自由エネルギーFを最小とするn(x)で記述され
る。すなわち、Fを最小とするn(x)が決まれば、液晶
の配向状態を予測することができる。更に、適当な境界
条件のもとでFを最小とするような、時間変化をも考慮
したディレクターn(x,t) を決めることができれば、
光学定数などのデバイスのあらゆる挙動を予測すること
ができる。これは、物理的にいえば典型的な最小作用の
原理であり、数学的にいえば境界値付きの変分極小問題
である。
【0266】そこで、[数3]を原理的に解く。しか
し、例えば、Eulerの方程式を用いるような解析的方法
では、複雑な非線形方程式が現れるため、ディレクター
n(x)の関数形を簡単に決定することは困難である。
【0267】そこで、[数3]を容易に解くために、次
のような方法を採用する。まず、積分空間を有限要素法
と同様の手法により離散化する。すなわち、全積分空間
をnp個の要素に分割し、[数3]を各要素の積分の和
として表わす。
【数4】
【0268】ここで、部分積分空間ΔVにおけるディレ
クターn(x)に対して、以下のような近似を行う。nx
、ny、nzは、[数2]式に示すように本来ならば
x、y、zの関数であるが、ΔVにおいては一定である
と仮定する。また、dnx,j/dx=(nx,j+1−dnx,
j)/Δxと近似する。なお、nx,jは、第j番目の要素
中におけるnxであり、前述したようにΔVにおいては
一定ではあるが、未知数である。この部分積分空間ΔV
におけるn(x)の近似は粗いものであるが、これを積分
空間の分割を細かくすることによってカバーし、近似を
高めることができる。
【0269】上記近似によれば、[数4]において、n
x,j、ny,j、nz,jは1つの要素中では定数であるため、
積分自体は容易に計算できる。しかし、この段階でも、
全自由エネルギーFを表す式は、分割数に比例する多数
の未知数nx,j、ny,j、nz,jの高次項および非線型項が
存在し、依然として複雑である。但し、nx,0、ny,0、
nz,0などの値は、境界条件として容易に与えることが
できる。
【0270】上記近似によれば、全自由エネルギーF
は、
【数5】 という形に変換される。すなわち、全自由エネルギーF
は、未知関数n(x)を変数として定義される汎関数か
ら、未知数nx,j、ny,j、nz,jの関数に変換される。未
知数nx,j、ny,j、nz,jは、多次元のパラメーター空間
内で、関数Fを最小とする値である。
【0271】液晶のベンド配向は、前述したように、捻
じれを実質的に有しない構造である。ディレクターn
は、前述したように本来はx、y、zの関数であるが、
配向角の関数として表すことが可能である。この場合、
ベンド配向におけるディレクターnは、
【数6】 で表される。但し、θは、基板に平行な平面に対する液
晶分子の傾き、すなわち配向角である。また、θは、液
晶分子の基板からの距離zのみに依存するものとする。
図2は、このディレクターを示した模式図である。
【0272】[数6]を[数4]に代入し、np個の要
素に分割して離散化を行い、各要素について、Fを最小
化するようなθjを求める。すなわち、各要素につい
て、
【数7】 なる方程式を満足するθjを求める。なお、dはL/n
pであり、Lは基板間距離である。
【0273】しかし、[数7]のような複雑な非線型方
程式を、np個連立させて解くのは容易ではない。そこ
で、以下のような回路類推を行うことにより、[数7]
を解く。ディレクターの運動方程式は、
【数8】 で表される。なお、ηは、液晶の粘性率である。[数8]
について、以下のような回路類推を行う。
【数9】 [数8]は、
【数10】 に変換される。[数10]に対応する回路は、図3に示す
ように、np個のCR回路で構成されている。 [数1
0]の第二項は、CR回路を流れる電流を表す。なお、
Rjは放電緩和のための抵抗であって、CR回路を流れ
る電流(i)を、i=∂F(Vj)/∂Vjとして規定す
る電圧制御抵抗である。
【0274】電流i(=∂F/∂Vj)は、特定のVjで
ゼロに収束する。すなわち、Vjは、回路シミュレータ
ーでCR回路を流れる電流がゼロとなるときの電圧を求
めれば、自動的に求めることができる。
【0275】このように、ディレクターの運動方程式を
等価回路に置き換えることにより、液晶の配向現象を表
現する非線型連立方程式を回路シミュレーター上で解析
し、外部電場Eと配向状態(配向角θj)との関係を求
めることができる。
【0276】上記手法においては、配向現象を表現する
非線型連立方程式を、電気回路的な類推によって回路に
置き換えて回路シミュレーター上で解析するため、プロ
グラム中には等価回路が設定されるだけで、方程式自身
を解くための計算プロセスは含まれない。よって、プロ
グラムの単純化および縮小を実現することができる。
【0277】更に、上記手法に基づいて、外部電場Eの
増加に伴う配向角θjの変化を計算すれば、配向角θjが
突然変化するときの外部電場Eとして、液晶転移の臨界
電場Ecを求めることができる。
【0278】図44は、上記手法に基づく計算結果の一
例であり、外部電場Eを時間とともに増加させたとき
の、θjの時間変化を表す。なお、図4の結果は、境界
条件をθ0=+0.1rad、θnp-1=−0.1radとして
固定し、k11=6×10-7dyn、k33=12×10-7dy
n、Δε=10として計算した結果である。図4に示す
ように、電場印加初期においては、配向角θjがいずれ
も比較的小さく、液晶の配向状態がホモジニアス配向で
あることがわかる。しかし、一定時間経過後、すなわち
外部電場Eが一定値を超えると(E>Ec)、配向角θ
jが突然変化して転移が生じる。転移後の配向角θjは、
両基板近傍から液晶層の中心部に向かってその絶対値が
大きくなっており、転移後の液晶の配向状態がベンド配
向であることがわかる。
【0279】臨界電場Ecが小さいほど、液晶の配向状
態をホモジニアス配向からベンド配向へと速やかに転移
させることができる。そこで、上記手法に基づいて、液
晶の配向を決める条件を種々変化させて、各条件下での
臨界電場Ecを計算した。その結果、臨界電場Ecは、
特に、液晶の弾性定数(スプレイ弾性定数)、プレチル
ト角の非対称性に影響されることが見出された。
【0280】図45は、スプレイ弾性定数k11と臨界電
場Ecとの関係を求めた結果を示したものである。な
お、図45は、境界条件をθ0=+0.1rad、θnp-1=
−0.1radとし、k33=12×10-7dyn、Δε=10
として計算した結果である。図45に示すように、スプ
レイ弾性定数k11が大きいほど、臨界電場Ecが増大す
る。特に、k11>10×10-7dynの範囲では、k11の
増大に伴って、Ecが急激に増大する。
【0281】従って、速やかな液晶転移を実現するため
には、スプレイ弾性定数k11を、10×10-7dyn未
満、好ましくは、8×10-7dyn以下とすることが有効
である。また、スプレイ弾性定数k11の下限について
は、特に限定するものではないが、6×10-7dyn以上
とすることが好ましい。k11<6×10-7dynの液晶材
料を合成または調製することは、通常、困難であるから
である。
【0282】上記のようなスプレイ弾性定数k11を有す
る液晶材料としては、特に限定するものではないが、例
えば、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビフェニ
ル系液晶などを挙げることができる。
【0283】プレチルト角の非対称性は、上下基板間で
のプレチルト角の絶対値の差(Δθ)で表すことができ
る。また、前述したように、プレチルト角θ0およびθn
p-1は互いに異符号とされるため、プレチルト角の絶対
値の差(Δθ)は、Δθ=|θ0+θnp-1|で表すこと
ができる。
【0284】図46(a)は、上下基板間でのプレチル
ト角の絶対値の差(Δθ)と臨界電場Ecとの関係を求
めた結果を示すものである。図6のaは、k11=6×1
-7dyn、k33=12×10-7dyn、Δε=10として計
算した結果である。図46(a)に示すように、プレチ
ルト角の差Δθが大きいほど、臨界電場Ecが低下す
る。特に、Δθ≧0.0002radの範囲では、Δθの
増大に伴って、Ecが急激に低下する。
【0285】従って、速やかな液晶転移を実現するため
には、プレチルト角の差Δθを、0.0002rad以
上、好ましくは0.035rad以上とすることが有効で
ある。また、プレチルト角の差Δθの上限については、
特に限定するものではないが、通常、1.57rad未
満、好ましくは0.785rad以下とする。
【0286】なお、プレチルト角θ0およびθnp-1は、
その絶対値が、通常、0radを超え且つ1.57rad未
満、好ましくは0.017rad以上0.785rad以下と
なるように調整される。プレチルト角の調整は、基板表
面に、斜方蒸着法およびラングミュア−ブロジェット
(LB)法などの方法により、適当な液晶配向膜を形成
することによって制御することができる。液晶配向膜と
しては、特に限定するものではないが、例えば、ポリイ
ミド樹脂、ポリビニルアルコール、ポリスチレン樹脂、
ポリシンナメート樹脂、カルコン系樹脂、ポリペプチド
樹脂および高分子液晶などを挙げることができる。ま
た、液晶配向膜の材料選択のほか、斜方蒸着法を採用す
る場合は蒸着方向の基板表面に対する傾きを調製するこ
とによって、LB法を採用する場合は基板の引き上げ速
度などの条件を調整することによって、プレチルト角を
制御することができる。
【0287】また、臨界電場Ecは、液晶層内の電場の
不均一性に影響される。液晶層に発生する電場の歪み
が、液晶分子の配向状態の安定性に影響するからであ
る。なお、電場の不均一性は、液晶層に実質的に均一に
印加される主電場E0と、不均一に印加される副電場E1
との比(E1/E0)で表すことができる。なお、E1
は、印加される副電場の最大値とする。
【0288】電場の不均一性E1/E0と臨界電場Ecと
の関係は、前述した手法に基づいて、以下のようにして
調べることができる。すなわち、液晶層に、外部電場E
として均一電場である主電場E0を印加するとともに、
不均一電場である副電場E1を重畳させて印加するとい
う条件で、主電場E0の増加に伴う配向角θjの変化を計
算する。このとき、副電場E1は、主電場E0の増加に伴
って、E1/E0が所定の値で一定となるように増加させ
る。得られた計算結果より、配向角θjが突然変化する
ときの主電場E0として、液晶転移の臨界電場Ecが求
められる。
【0289】図47は、上記手法に基づいて、E1/E0
の値を種々変化させて、各条件下での臨界電場Ecを計
算した計算結果の一例である。なお、図7の結果は、境
界条件をθ0=+0.26rad、θnp-1=−0.25rad
として固定し、k11=6×10-7dyn、k33=12×1
-7dyn、Δε=10として計算した結果である。図4
7に示すように、E1/E0が大きいほど、すなわち電場
の不均一性が大きいほど、臨界電場Ecが増大し、E1
/E0=1付近ではEcは無限小となる。これは、液晶
層の電場に歪みが存在すると、電場が一様である場合に
比べてホモジニアス配向が不安定となり、その結果、ベ
ンド配向への転移が速やかに発現するからであると考え
られる。
【0290】従って、速やかな液晶転移を実現するため
には、液晶層に、実質的に均一な主電場E0とともに、
空間的に不均一な電場E1を印加することが有効であ
る。特に、0.01<E1/E0<1とすることが有効で
ある。E1/E0≦0.01の範囲では、不均一電場印加
による液晶転移を促進する効果を十分に得ることは困難
であり、E1/E0≧1の範囲では、印加電圧が大きくな
り過ぎるため実際の使用に適当でないという問題がある
からである。更には、0.5≦E1/E0≦1とすること
が好ましい。
【0291】不均一電場E1は、薄膜トランジスタのソ
ース電極(またはゲート電極)と透明電極との間に印加
した電圧を利用することにより、液晶層に対して基板に
垂直な方向に印加することができる。また、不均一電場
E1は、周波数100kHz以下の交流電場とすること
が好ましく、更には、振幅を時間的に減衰させることが
好ましい。
【0292】臨界電場Ecを低下させる条件である、ス
プレイ弾性定数(k11)、プレチルト角の非対称性(Δ
θ)および電場の不均一性(E1/E0)という3条件の
うち、2条件ないし3条件を組み合わせて満足させるこ
とが好ましい。これらの条件を組み合わせることによ
り、各条件を1つのみ満足させる場合に比べ、更に確実
に臨界電場Ecをより確実に低下させることができるか
らである。
【0293】例えば、図46(b)は、実質的に均一な
外部電場E0とともに、不均一な電場E1を印加すること
以外は、図46(a)と同条件で計算した結果である。
なお、図46(b)は、E1/E0=0.03とした場合
の結果である。図46(a)および(b)の比較からわ
かるように、プレチルト角の非対称性および電場の不均
一性の2条件を組み合わせて満足させることにより、臨
界電場Ecをより低下させ、更に速やかな液晶転移を実
現することができる。
【0294】
【発明の効果】以上のように本発明によれば,OCBセ
ルを用いた液晶表示装置の駆動方法で,一対の基板に、
バイアス電圧を重畳した交流電圧を印加して、これを連
続印加することにより、または、一対の基板に、バイア
ス電圧を重畳した交流電圧を印加する工程とオープン状
態もしくは低電圧を印加する工程を交互に繰り返すこと
により,スプレイ配向からベンド配向への転移をほぼ確
実にかつ極めて短時間に完了でき、表示欠陥の無い、応
答速度が速く動画像表示に適した,かつ広視野のベンド
配向型OCBの液晶表示装置を得ることができる。
【0295】また、本発明によれば、スプレイ配向から
ベンド配向への転移を確実に速くし易い、表示欠陥の無
いアクティブマトリックス型の液晶セルからなる高速応
答広視野で高画質のOCB表示モードの液晶表示装置を
得ることが出来るという効果が得られる。
【0296】また、本発明によれば、アレー基板と対向
基板の間の液晶層上下界面の液晶のプレチルト角が正負
逆で、互いに平行に配向処理されたスプレイ配向の液晶
セルで、電圧無印加時にはスプレイ配向となっており、
液晶表示駆動に先立って、電圧印加によりスプレイ配向
からベンド配向に転移させる初期化処理が行われ、この
初期化されたベンド配向状態で液晶表示駆動を行うアク
ティブマトリックス型の液晶表示装置において、1画素
内に、少なくとも1つの転移励起用の横電界印加部を有
し、該横電界印加部によって横電界を発生させるととも
に、画素電極と共通電極間に連続的または間欠的に電圧
を印加し、画素毎に転移核を発生させ画素全体をスプレ
イ配向からベンド配向に転移させることにより、スプレ
イ配向からベンド配向への転移を速く確実に起こさせ、
これにより表示欠陥のないしかも高速応答で広視野高画
質のOCB表示モードの液晶表示装置を提供することが
可能となる。
【0297】また、本発明によれば、OCB表示モード
の配向液晶表示素子は、一対の基板間に挟持される液晶
層と、基板の外側に配設される位相補償板とを含むパラ
レル配向液晶表示素子であり、確実かつ高速なスプレイ
−ベンド配向転移を達成することができ、その実用的価
値は極めて大きい。
【0298】また、本発明によれば、互いに対向する第
1の基板と第2の基板との間に保持された液晶に電場を
印加し、前記液晶の配向をベンド配向に転移させる方法
であって、前記液晶のスプレイ弾性定数k11を、10×
10-7dyn≧k11≧6×10-7dynの範囲とし、且
つ、前記第1の基板に対する前記液晶のプレチルト角の
絶対値をθ1とし、前記第2の基板に対する前記液晶の
プレチルト角の絶対値をθ2としたとき、1.57ra
d>|θ1−θ2|≧0.0002radなる関係を満た
すため、液晶をベンド配向に速やかに転移させることが
できる。
【0299】また、本発明によれば、互いに対向する第
1の基板と第2の基板との間に保持された液晶に電場を
印加し、前記液晶の配向をベンド配向に転移させる方法
であって、前記液晶のスプレイ弾性定数k11を、10×
10-7dyn≧k11≧6×10-7dynの範囲とし、且
つ、前記電場が、空間的に均一に印加される主電場に、
空間的に不均一に印加される副電場を重畳させた電場で
あり、前記主電場をE0とし、前記副電場の最大値をE1
としたとき、1.0>E1/E0>1/100なる関係を
満たすため、液晶をベンド配向に速やかに転移させるこ
とができる。
【0300】また、本発明によれば、互いに対向する第
1の基板と第2の基板との間に保持された液晶に電場を
印加し、前記液晶の配向をベンド配向に転移させる方法
であって、前記第1の基板に対する前記液晶のプレチル
ト角の絶対値をθ1とし、前記第2の基板に対する前記
液晶のプレチルト角の絶対値をθ2としたとき、1.5
7rad>|θ1−θ2|≧0.0002radなる関係
を満たし、且つ、前記電場が、空間的に均一に印加され
る主電場に、空間的に不均一に印加される副電場を重畳
させた電場であり、前記主電場をE0とし、前記副電場
の最大値をE1としたとき、1.0>E1/E0>1/1
00なる関係を満たすため、液晶をベンド配向に速やか
に転移させることができる。
【0301】また、本発明によれば、互いに対向する第
1の基板と第2の基板との間に保持された液晶に電場を
印加し、前記液晶の配向をベンド配向に転移させる方法
であって、前記液晶のスプレイ弾性定数k11を10×1
-7dyn≧k11≧6×10-7dynの範囲とし、前記
第1の基板に対する前記液晶のプレチルト角の絶対値を
θ1とし、前記第2の基板に対する前記液晶のプレチル
ト角の絶対値をθ2としたとき、1.57rad>|θ1
−θ2|≧0.0002radなる関係を満たし、且
つ、前記電場が、空間的に均一に印加される主電場に、
空間的に不均一に印加される副電場を重畳させた電場で
あり、前記主電場をE0とし、前記副電場の最大値をE1
としたとき、1.0>E1/E0>1/100なる関係を
満たすため、液晶をベンド配向に速やかに転移させるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ベンド配向型のOCBセルを備えた液晶表示装
置の一部分を示す斜視図
【図2】スプレイ配向からベンド配向へ転移する様子を
説明する液晶セルの断面図
【図3】本発明の実施の形態1に係る液晶表示装置の駆
動法による画素単位の構成概念図
【図4】本発明の実施の形態1で使用した配向転移用電
圧波形図
【図5】本発明の実施の形態1におけるバイアス電圧と
転移時間の関係図
【図6】本発明の実施の形態2に係る液晶表示装置の駆
動法による画素単位の構成概念図
【図7】本発明の実施の形態2で使用した配向転移用電
圧波形図
【図8】本発明の実施の形態2におけるバイアス電圧と
転移時間の関係図
【図9】本発明の実施の形態3に係る液晶表示装置の駆
動法による画素単位の構成概念図
【図10】本発明の実施の形態3で使用した配向転移用
電圧波形図
【図11】本発明の実施の形態3におけるバイアス電圧
と転移時間の関係図
【図12】本発明の実施の形態4に係る液晶表示装置の
駆動法による画素単位の構成概念図
【図13】本発明の実施の形態4に係る液晶表示装置の
通常駆動電圧波形図
【図14】本発明の実施の形態4で使用した配向転移用
電圧波形図
【図15】本発明の実施の形態5で使用した配向転移用
電圧波形図
【図16】本発明の実施の形態7に係る液晶表示装置の
概略断面図
【図17】本発明の実施の形態7に係る液晶表示装置の
概略平面図
【図18】本発明の実施の形態7に係る液晶表示装置の
製造方法を示す図
【図19】本発明の実施の形態8に係る液晶表示装置を
示す図であり、 (a)は液晶表示装置の概略断面図 (b)は液晶表示装置の概略平面図
【図20】本発明の実施の形態9に係る液晶表示装置の
構成を概念的に示した図であり、 (a)は液晶表示装置の概略平面図 (b)は液晶表示装置の概略断面図
【図21】本発明の実施の形態9に係る液晶表示装置の
構成を概念的に示した図
【図22】本発明の実施の形態9に係る液晶表示装置の
他の例を示す図
【図23】本発明の実施の形態10に係る液晶表示装置
の構成を概念的に示した図であり、 (a)は液晶表示装置の概略平面図 (b)は液晶表示装置の概略断面図 (c)は他の例の液晶表示装置の概略断面図 (d)は他の例の液晶表示装置の概略断面図
【図24】本発明の実施の形態11に係る液晶表示装置
の構成を概念的に示した図であり、 (a)は液晶表示装置の概略平面図 (b)は電界の歪みを示す概略図
【図25】本発明の実施の形態12に係る液晶表示装置
の構成を概念的に示した図であり、 (a)は液晶表示装置の概略断面図 (b)は概略平面図
【図26】本発明の実施の形態13に係る液晶表示装置
の断面構成を概念的に示す図
【図27】本発明に係わる液晶表示装置の実施の形態1
3,14のガラス基板上に形成された凸形状物の製造プ
ロセスを説明するための図
【図28】本発明に係わる図27に続く凸形状物の製造
プロセスを説明するための図
【図29】本発明の実施の形態13に用いた基板のラビ
ング方向を示す図
【図30】本発明に係わる実施の形態14の構成外観図
【図31】本発明に係わる実施の形態14の平面図
【図32】本発明の実施の形態15に係る液晶表示装置
に備えられる液晶セルの構成外観図
【図33】本発明の実施の形態15に係る液晶セルの凸
形状物の製造プロセスを説明するための図
【図34】本発明の実施の形態16に係る液晶表示装置
に備えられる液晶セルの断面構成を概念的に示す図
【図35】本発明の実施の形態16に係る液晶セルに用
いた透明電極のパターンを概念的に示す図
【図36】本発明の実施の形態17に係る液晶表示装置
に備えられる液晶セルの要部断面図
【図37】図36の一部の拡大図
【図38】本発明の実施の形態18に係る液晶表示装置
に備えられる液晶セルの要部断面図
【図39】本発明の実施の形態18に係る液晶表示装置
に備えられる液晶セルでの光学素子の配置を説明するた
めの図
【図40】本発明の実施の形態18に係る液晶表示装置
に備えられる液晶セルの電圧−透過率特性を示す図
【図41】(a)はモジニアス配向を示す模式図 (b)はベンド配向を示す模式図
【図42】液晶層のディレクターを示す図
【図43】CR等価回路を示す図
【図44】時間とともに増加する外部電場下での液晶の
配向角(θj)の時間変化を示す図
【図45】スプレイ弾性定数(k11)と臨界電場(E
c)との関係を示す図
【図46】プレチルト角の絶対値の差(Δθ)と臨界電
場(Ec)との関係を示す図
【図47】電場の不均一性(E1/E0)と臨界電場(E
c)との関係を示す図
【図48】従来例の断面図
【符号の説明】
20,21 基板 22,23 電極 24,25 配向膜 26 液晶層 30,40,50,71,72 配向転移用駆動回路 31 液晶表示駆動回路 101・102 偏光板 103 位相補償板 104 液晶セル 105 対向基板 106 アレー基板 107 共通電極 108 画素電極 109・110 配向膜 111 スイッチング素子 112 液晶層 113 信号電極線 114・114’ ゲート電極線 120 b−スプレイ配向 121 t−スプレイ配向 123 ディスクリネーション線 124 ベンド配向 A2・B2・C2・D2 プレチルト角 201a アレー基板 201b 対向基板 202a 画素電極 221a 画素電極の凹部 222a 画素電極の凸部 223a 画素電極の非嵌合型凸部 224a 画素電極の非嵌合型凸部 202b 共通電極 203a 配向膜 203am 配向膜 203ah 配向膜 203b 配向膜 203bm 配向膜 203bh 配向膜 204a 偏光板 204b 偏光板 205 位相補償板 206 信号電極線 261 信号電極線の凸部 262 信号電極線の凹部 263 信号電極線の非嵌合型凸部 207 ゲート電極線 271 ゲート電極線の凸部 272 ゲート電極線の凹部 273 ゲート電極線の非嵌合型凸部 208 スイッチングトランジスタ(素子) 209 横電界印加用線 291 横電界印加用線の凸部 209a 横電界印加用線 291a 横電界印加用線の凸部 210 液晶層 298 液晶層 299 液晶層 211 液晶分子 212 透明絶縁膜 225 電極欠陥部 226 ディスクリネーション線 227b b−スプレイ配向 227t t−スプレイ配向 301,308 ガラス基板 302,307 透明電極 303,306 配向膜 304 液晶層 304a 電圧無印加時の液晶配向(スプレイ配向) 304b 電圧印加時の液晶配向(ベンド配向) 305 スペーサ 309 テストセル 310 凸形状物 311,314 負の一軸性フィルム位相板 312,315 主軸がハイブリッド配列した負の屈折
率異方性を有する光学媒体よりなる位相差板 313,316 偏光板 317,318 位相補償板 319 正の一軸性フィルム位相板 320 レジスト薄膜 321 フォトマスク 322 フォトマスク開口部 323 平行紫外線 360 三角形状物 380 電極開口部
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成14年5月15日(2002.5.1
5)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 液晶表示装置
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,テレビジョン画像
やパーソナルコンピューター、マルチメディア画像を表
示する高速応答で広視野のOCBモードの液晶表示装置
及びその製造方法、並びに液晶表示装置の駆動方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、液晶表示装置として、例えばその
液晶表示モードとして、誘電率異方性が正のネマティッ
ク液晶を用いたツイステッドネマティック(TN)モ−
ドの液晶表示素子が実用化されているが、応答が遅い、
視野角が狭いなどの欠点がある。また、応答が速く、視
野角が広い強誘電性液晶(FLC)や反強誘電性液晶な
どの表示モ−ドもあるが、焼き付き、耐ショック性、特
性の温度依存性などに大きな欠点がある。また、視角が
極めて広い、面内で液晶分子を横電界駆動する面内スイ
ッチング(IPS)モードがあるが、応答が遅くかつ開
口率が低く輝度が低い。フルカラー動画を大画面で表示
しようとすると、広視野、高輝度、高速の表示性能を持
つ液晶モードが必要であるが、これを同時に完璧に満足
する実用的な液晶表示モードは現在のところ、存在しな
い。
【0003】従来、少なくとも広視野で高輝度をめざし
た液晶表示装置として、上記のTNモード液晶領域を配
向2分割にして視野角を上下に拡大したものがある(S
ID92 DIGEST P798〜801)。即ち、
液晶表示装置の各表示画素内に誘電率異方性が正のネマ
チック液晶を用い、TNモードでかつ液晶分子の配向方
位が異なる2つの液晶領域を形成し、すなわち配向2分
割TNモードによって視野角を拡大するものである。
【0004】図6にその従来の液晶表示装置の構成概念
図を示す。図6において、701,702はガラス基板
であり、703,704は電極であり、705,70
5’,706,706’は配向膜である。一方の配向領
域Aにおいて対向する上下基板界面から若干傾いた誘電
率異方性が正のネマチックの液晶分子707,707’
の大,小のプレチルト角を形成し、他方の配向領域Bに
おいては対向する上下基板界面に対してプレチルト角の
大きさを前記配向領域Aとは逆の設定にする。その大小
のプレチルト角はいずれも数度で差がつくように設定し
ている。上記互いに上下基板にプレチルト角が異なる配
向領域を形成する従来の作製法の例として、配向膜にフ
ォトレジストを塗布し、フォトリソグラフ技術でマスキ
ングをし所定の方向に所望の配向膜面をラビングをする
作業を繰り返すなどの方法がある。上記構成で図6の如
く、配向領域A,Bで液晶層中央部の液晶分子群の向き
が互いに逆向きとなり、電圧印加とともに各配向領域の
液晶分子が逆に立ち上がっていくために、画素単位で入
射光線に対して屈折率異方性が平均化されて視野角の拡
大が図れるものである。上記の従来の配向2分割TNモ
ードでは、通常のTNモードより視野角は拡大され、上
下視野角はコントラスト10で±35度程度となる。
【0005】しかし、応答速度はTNモードと本質的に
変化なく約50mS程度である。このように上記従来の
配向2分割TNモードでは視野角,応答とも不十分であ
る。
【0006】また、配向膜界面で液晶分子をほぼ垂直に
配向させるいわゆるホメオトロピック配向モードを利用
した液晶表示モードで、フィルム位相差板,配向分割技
術を付加して広視野,高速応答の液晶表示装置がある
が、それでも白黒の2値間応答速度は約25msかか
り、特にグレー階調間の応答速度は50〜80msで遅
く、人間の目の視認速度と言われる約1/30sより長
く、動画像は流れて見える。
【0007】これらに対して、基板間の液晶分子がベン
ド配向した状態における各液晶分子の立ち上がり角の変
化による屈折率変化を利用するベンド配向型の液晶表示
装置(OCBモードの液晶表示装置)が提案されてい
る。ベンド配向した各液晶分子のオン状態とオフ状態で
の配列変化速度は、TN型液晶表示装置のオン,オフ状
態との間の配列変化速度に比べてはるかに高速であり、
応答速度が速い液晶表示装置とすることができる。さら
に、上記ベンド配向型の液晶表示装置は全体に液晶分子
が上下基板間でベンド配向しているため、光学位相差的
に自己補償でき、かつフィルム位相差板で位相差補償を
するため低電圧で広視野の液晶表示装置となる可能性を
持つ。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記液晶表
示装置は通常無電圧下で液晶分子を基板間でスプレイ配
向状態にして作製する。ベンド配向を利用して屈折率を
変化させるためには、液晶表示装置の使用開始前に、表
示部全体を上記スプレイ配向状態からベンド配向状態に
均一に転移させておく必要がある。対向する表示電極間
に電圧を印加すると、スプレイ配向からベンド配向への
転移核が発生する場所は一様でなく、分散されたスペー
サ周囲や、あるいは配向膜界面の配向ムラ,キズ部など
である。また、常に一定の上記場所からその転移核が発
生する訳でもないので転移が起きたり、起きなかったり
で表示欠陥を生じ易い。従って、使用開始前に、表示部
全体を少なくとも全画素部全体を均一にスプレイ配向か
らベンド配向へ転移をさせておくのは極めて重要であ
る。
【0009】しかし、従来、単純な交流電圧を印加して
も、転移が起きなかったり、起きても極めて転移時間が
長く掛かった。
【0010】本発明の目的は、ベンド配向転移がほぼ確
実に発生し、かつ極めて短時間に転移が完了することに
より表示欠陥が無い、応答速度が速く動画像表示に適し
かつ広視野のベンド配向型の液晶表示装置及びその製造
方法、並びに液晶表示装置の駆動方法を提案するもので
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明に係る液晶表示装置は、画素電極を有するア
レー基板と、共通電極を有する対向基板と、アレー基板
と対向基板との間に配置された液晶層上下界面の液晶の
プレチルト角が正負逆で、互いに平行に配向処理された
スプレイ配向の液晶セルで、電圧無印加時にはスプレイ
配向となっており、液晶表示駆動に先立って、電圧印加
によりスプレイ配向からベンド配向に転移させる初期化
処理が行われ、この初期化されたベンド配向状態で液晶
表示駆動を行うアクティブマトリックス型の液晶表示装
置であって、基板面に平行な面内で画素電極の周辺部に
凸部が設けられていると共に、画素電極と共通電極との
間に連続的または間欠的に電圧を印加することによって
初期化処理を行う。
【0012】凸部は四角形状であることが好ましい。
【0013】凸部は三角形状であることが好ましい。
【0014】凸部は台形形状であることが好ましい。
【0015】凸部は画素電極の周辺部にそって連続的に
形成されていることが好ましい。
【0016】信号電極線およびゲート信号線のうち少な
くとも一方の電極線が、アレー基板上で画素電極と異な
る高さに配置されていることが好ましい。
【0017】ラビング方向が信号電極線とほぼ直交して
いることが好ましい。
【0018】ラビング方向がゲート信号線とほぼ直交し
ていることが好ましい。
【0019】凸部によって横電界が発生することが好ま
しい。
【0020】横電界の方向は、ラビング方向とほぼ直交
していることが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明は、ベンド配向型のOCB
セルを備えた液晶表示装置において、以下に述べるスプ
レイ配向からベンド配向への転移メカニズムに着目した
結果得られたものである。従って、先ず、該転移メカニ
ズムについて詳細に説明した後、本発明の具体的内容を
実施の形態を用いて説明することにする。
【0022】図1はベンド配向型のOCBセルを備えた
液晶表示装置の一部分を示す斜視図である。図1を参照
して、ベンド配向型のOCBセルを備えた液晶表示装置
の構成を簡単に説明すると、相互に平行配置した基板1
0と11との間に、液晶分子12を含む液晶層13が挿
入されている。図には示さないが、基板10,11の相
互に対向する表面には、それぞれ液晶層13に電界を印
加するための表示電極、及び液晶分子の配向を規制する
ための配向膜が形成されている。上記配向膜は図に示す
ように基板界面付近の液晶分子12を約5〜7度プレチ
ルトし、基板面内における配向方位が相互に同じ方向
に、すなわち平行配向になるように配向処理されてい
る。基板10,11表面から離れるに従って液晶分子1
2は徐々に立ち上がり、液晶層13の厚さ方向のほぼ中
央において液晶分子のチルト角が90度になるベンド配
向となる。基板10,11の外側には、偏光板15,1
6と光学補償板17,18が配置され、上記2枚の偏光
板15,16は、偏光軸が相互に直交あるいは平行に配
置され、その偏光軸と液晶分子の配向方位とは45度の
角度になるよう配置されている。そして、高電圧を印加
したオン状態と低電圧を印加したオフ状態との液晶層の
屈折率異方性の差を利用して、上記偏光板、光学補償板
を通してその偏光状態を変化させ光の透過率を制御して
表示させることになる。
【0023】上記のベンド配向型のOCBセルを備えた
液晶表示装置は、使用前には液晶層がスプレイ配向とな
っているため、液晶表示駆動に先立って電圧印加により
液晶層をスプレイ配向状態からベンド配向状態に転移さ
せておく必要がある。
【0024】かかる配向転移のため転移臨界電圧以上の
高電圧を印加した場合における液晶層のスプレイ配向か
らベンド配向へ転移する配向転移のメカニズムを図2に
模式的に示す。
【0025】図2は、2枚の基板を平行配向配置した場
合の、液晶分子を模式的に図示して液晶分子配列を概念
的に示した液晶セルの断面図である。
【0026】図2(a)は初期のスプレイ配列状態を示
す。基板間が無電界時には、液晶層13の中央の液晶分
子12の長軸は基板面にほぼ平行になるエネルギ−状態
の低いスプレイ配向状態をとっている。ここで、説明の
便宜上、基板に平行な液晶分子を参照符号12aで示す
ことにする。
【0027】次に図2(b)は、基板10,11に形成
された電極(図示せず)間に高い電圧を印加開始した時
の液晶分子配列状態を示す。液晶層13中の中央の液晶
分子12は電界により若干傾斜し始め、その結果、基板
面に平行に向いた液晶分子12aは一方の基板面(図で
は基板11側へ)側に向かって移動して行く。
【0028】次に図2(c)は、電圧を印加後、更に時
間が経過したときの液晶分子配列状態を示す。液晶層1
3の中央の液晶分子12が基板面に対して更に傾斜し
て、これに対して、基板面にほぼ平行に向いた液晶分子
12aは基板界面近傍に来て、配向膜からの強い規制力
を受ける。
【0029】次に図2(d)は、ベンド配向へ転移した
一段とエネルギー状態の高い液晶分子配列状態を示す。
液晶層13の中央の液晶分子12は基板面に対して垂直
になり、基板10上の配向膜(図示せず)界面に接した
液晶分子は、配向膜から強い規制力を受けて、傾斜配向
状態を維持し、このとき図2(a)〜(c)に存在した
基板面に平行に向いた液晶分子12aはほぼ無くなる。
【0030】図2(d)より更に時間が経過すると、上
記配向状態は基板間で図1に示すベンド配向状態へ移行
して転移は完了する。
【0031】このように、電圧を印加した時に起きるス
プレイ配向からベンド配向へ転移する状況が上述の様に
考えられる。
【0032】しかし、これが起きる場所は通常、基板面
内の液晶層全体で一度に起きることはなく、配向領域の
一部の部分でエネルギ−の移動がし易い部分であり、通
常、間隙に分散されたスペーサ周囲部分や、配向ムラ部
などで転移核は発生し、そこからベンド配向領域が広が
る。従って、OCBセルにおいて配向転移させるために
は、基板面内の液晶層の少なくとも一部の領域に転移核
を発生させることと、外部からエネルギ−を与えてスプ
レイ配向状態よりエネルギーの高いベンド配向状態へ遷
移させてこれを維持させておく必要がある。
【0033】このような配向転移のメカニズムを考慮し
た結果、本発明者等は転移核を確実に発生させ、かつ極
めて短時間で転移を完了させる液晶表示装置及びその製
造方法、並びに液晶表示装置の駆動方法を完成するに至
った。具体的な内容を、実施の形態に基づいて説明す
る。
【0034】図3、図4に、本実施の形態の液晶表示装
置の要部を概念的に示す。
【0035】本図は、アクティブマトリックス型のOC
Bモードの液晶表示装置の画素を表示面上方(使用者
側)から見たものである。
【0036】図3において、206は信号電極線(バス
ライン)であり、207はゲート電極線であり、208
はスイッチングトランジスタ(素子)である。
【0037】なお、図では信号電極線206とゲート電
極線207は交差しているが、両方の電極線は絶縁膜
(図示せぬ)を介して立体配置されているのは勿論であ
る。
【0038】また、TFTからなるスイッチングトラン
ジスタ208は、図では略正方形状の画素電極202a
に接続されている。そして、信号電極線206、ゲート
電極線207、スイッチングトランジスタ208、画素
電極202aの機能、動作、作用はOBCモードのみな
らず従来の液晶表示装置と何等異ならない。
【0039】また、最初に液晶分子211をスプレイ配
向させるため、上下の配向膜203a・203bにラビ
ングクロス等を使用しての配向処理がなされているのも
同じである。
【0040】更に、偏光板204a・204b等の作用
と共に、画素内のスプレイ配向状態から、液晶分子を対
向基板間でベンド配向状態としたベンド配向領域に画素
内の液晶分子全体を転移させる作用によって明暗の表示
がなされるのも同じである。
【0041】しかしながら、図3(a)に示すように、
略正方形状の画素電極202aの各辺の略中央部に、凹
部221aおよび凸部222aが形成されている。一
方、これに近接して配線されている信号電極線206及
びゲート電極線207は、前記凹部221aおよび凸部
222aに嵌合するように凸部261・271と凹部2
62・272に変形した配線とされている。このため、
画素電極202aの上下、左右位置(図3(a)におけ
る紙面上)に、変形した転移励起用の横電界印加部を形
成することとなるのが、従来の液晶表示装置と相違す
る。
【0042】次に、この液晶表示装置の製造方法につい
て説明する。
【0043】横電界印加部を含めた画素電極202a面
上と共通電極202b面上に、日産化学工業(株)社製
のポリアミック酸タイプの約5度の大きさのプレチルト
角のポリイミド配向膜材料を塗布乾燥焼成して、それぞ
れの電極面の液晶層210側に配向膜203a・203
bを形成した。
【0044】次に、前記配向膜203a・203bの表
面を、共にラビングクロスで図3(a)に示すように信
号電極線206とほぼ直交する方向に配向処理した。
【0045】以上のもとで、上下の基板間に正のネマテ
ィック液晶材料を真空注入して液晶層210を形成し
た。
【0046】このため、図示せぬが、上下の配向膜20
3a・203bの表面では、液晶分子211が、そのプ
レチルト角が正負逆の値を持ち、しかも分子の直軸方向
は互いにほぼ平行になるよう配向し、液晶層210はい
わゆる無電圧印加状態で液晶分子が斜めに広がったいわ
ゆるスプレイ配向となる。
【0047】次に、液晶表示装置の表示のための動作に
ついて説明する。
【0048】以上のもとで、共通電極202bと画素電
極202a間に−15Vという液晶分野では比較的電圧
の高いパルス状の電圧を繰り返し印加すると共に、ゲー
ト電極線207を通常の走査状態か、あるいは殆ど全て
オンさせた状態にする。これにより、横電界印加部によ
って、ゲート電極線207、信号電極線206と画素電
極202a間に周囲の通常の横電界より強い横電界が印
加される。その結果、画素領域内のスプレイ配向領域に
おいて、信号電極線206とほぼ直交する方向にラビン
グした場合、主にゲート電極線207と画素電極202
a間の横電界印加部を基点とした液晶層299にベンド
配向への転移核が発生する。また、図4に示すように、
ゲート電極線207と直交する方向にラビングした場
合、主に信号電極線206と画素電極202a間の横電
界印加部を基点とした液晶層298にベンド配向への転
移核が発生する。
【0049】更に、この転移核をもとにベンド配向領域
が拡大し、その結果画素領域全体を約0.5秒でベンド
配向へ完了させることができた。
【0050】なお、TFTパネル全体では、約2秒で速
かに転移した。
【0051】この機構であるが、上下電極間に高電圧が
印加されて、図3(b)に示すように、液晶層210が
b―スプレイ配向状態となり、周囲より歪みのエネルギ
ーが高くなり、この液晶分子配向状態方向に横電界印加
部からほぼ直角(図3(b)面垂直方向)に横電界が印
加されるため、図3(b)のb―スプレイ配向における
下基板側の液晶分子がねじれる力を受け、転移核の発生
が起きるものと考えられる。
【0052】以上の説明では、横電界印加部は、凹凹に
変形した画素電極部と両方の信号電極線の凹凸部は、相
互に嵌合するように形成されるものとしたが、図5に示
すように、画素電極202aのみ、信号電極線206の
み、ゲート電極線207のみに形成されてもよいのは勿
論である。
【0053】即ち、本図においては、信号電極線206
の凸部263、ゲート電極線207の凸部273、画素
電極202aの凸部223a・224aはいずれか一方
のみにあり、嵌合型となっていないのが図3に示すもの
と相違する。
【0054】また、凹凸部の平面形状は、図3乃至図5
に示す三角形状、四角形状以外の形状、例えば台形形
状、半円形状、円形状、楕円形状等であってもよいのは
勿論である。
【0055】更に、図3乃至図5では、横電界印加部は
1画素の上下左右に合計4カ所設けているが、画素の大
きさ等によっては上下の2個のみ、あるいは1個だけ設
けても良く、更にまた電極縁にそって凹凸が連続的に形
成されていてもよいのは勿論である。また、これまで、
ラビング方向を信号電極線あるいはゲート電極線のほぼ
直交するとしたが、ラビング方向を斜め方向にしても良
い。この場合、信号およびゲート電極線と画素電極間の
横電界印加部の液晶層からベンド配向へ転移が発生す
る。また、少なくとも、ラビング方向とほぼ直交する方
向に横電界を印加できる横電界印加部を画素単位に少な
くとも1個配置することが望ましい。
【0056】また、図3乃至図5は平面図であるため、
両電極線(信号電極線206およびゲート電極線20
7)と画素電極202aは同一平面にあるように見える
が、これは少なくとも一方の電極線が画素電極とアレー
基板上異なる高さに配置されていても良い。
【0057】このように、画素電極の周辺の一部を基板
面に平行な面内で凹凸に変形した電極変形部からなる横
電界印加部は、平面視では0.5〜10μm程度離れ
て、該横電界印加部の側方に存在する信号電極線若しく
はゲート電極線の凸部や0.5〜10μm程度凹んだ凹
部の存在により、横電界を発生させる。
【0058】
【発明の効果】以上のように本発明によれば,スプレイ
配向からベンド配向への転移を速く確実に起こさせ、こ
れにより表示欠陥のないしかも高速応答で広視野高画質
のOCB表示モードの液晶表示装置を提供することが可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ベンド配向型のOCBセルを備えた液晶表示装
置の一部分を示す斜視図
【図2】スプレイ配向からベンド配向へ転移する様子を
説明する液晶セルの断面図
【図3】本発明の実施の形態に係る液晶表示装置の構成
を概念的に示した図であり、(a)は液晶表示装置の概
略平面図 (b)は液晶表示装置の概略断面図
【図4】本発明の実施の形態に係る液晶表示装置の構成
を概念的に示した図
【図5】本発明の実施の形態に係る液晶表示装置の他の
例を示す図
【図6】従来例の断面図
【符号の説明】 201a アレー基板 201b 対向基板 202a 画素電極 221a 画素電極の凹部 222a 画素電極の凸部 223a 画素電極の非嵌合型凸部 224a 画素電極の非嵌合型凸部 202b 共通電極 203a 配向膜 203b 配向膜 204a 偏光板 204b 偏光板 205 位相補償板 206 信号電極線 261 信号電極線の凸部 262 信号電極線の凹部 263 信号電極線の非嵌合型凸部 207 ゲート電極線 271 ゲート電極線の凸部 272 ゲート電極線の凹部 273 ゲート電極線の非嵌合型凸部 208 スイッチングトランジスタ(素子) 209 横電界印加用線 291 横電界印加用線の凸部 209a 横電界印加用線 291a 横電界印加用線の凸部 210 液晶層 211 液晶分子
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平11−157060 (32)優先日 平成11年6月3日(1999.6.3) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平11−200102 (32)優先日 平成11年7月14日(1999.7.14) (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 久保田 浩史 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 八田 真一郎 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 足達 克己 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 田中 好紀 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 2H088 HA02 HA03 HA06 JA09 JA28 LA05 LA06 2H090 LA01 LA02 LA04 MA02 MA06 MA07 MA17 MB01 MB11 MB14 2H092 GA13 GA14 PA02 PA03 PA06 QA09 QA18 5C094 AA25 AA53 BA03 BA43 CA19 CA24 DA13 EA04 EA10 FA01 FA02 FB12 HA08

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 画素電極を有するアレー基板と、 共通電極を有する対向基板と、 前記アレー基板と前記対向基板との間に配置された液晶
    層上下界面の液晶のプレチルト角が正負逆で、互いに平
    行に配向処理されたスプレイ配向の液晶セルで、電圧無
    印加時にはスプレイ配向となっており、液晶表示駆動に
    先立って、電圧印加によりスプレイ配向からベンド配向
    に転移させる初期化処理が行われ、この初期化されたベ
    ンド配向状態で液晶表示駆動を行うアクティブマトリッ
    クス型の液晶表示装置において、 基板面に平行な面内で前記画素電極の周辺部に凸部が設
    けられていると共に、前記画素電極と前記共通電極との
    間に連続的または間欠的に電圧を印加することによって
    前記初期化処理を行う液晶表示装置。
  2. 【請求項2】 前記凸部が四角形状である、請求項1に
    記載の液晶表示装置。
  3. 【請求項3】 前記凸部が三角形状である、請求項1に
    記載の液晶表示装置。
  4. 【請求項4】 前記凸部が台形形状である、請求項1に
    記載の液晶表示装置。
  5. 【請求項5】 前記凸部が前記画素電極の周辺部にそっ
    て連続的に形成されている、請求項1に記載の液晶表示
    装置。
  6. 【請求項6】 信号電極線およびゲート信号線のうち少
    なくとも一方の電極線が、前記アレー基板上で画素電極
    と異なる高さに配置されている、請求項1に記載の液晶
    表示装置。
  7. 【請求項7】 信号電極線およびゲート信号線の両方が
    前記アレー基板上で画素電極と異なる高さに配置されて
    いる、請求項1に記載の液晶表示装置。
  8. 【請求項8】 ラビング方向が信号電極線とほぼ直交し
    ている、請求項1に記載の液晶表示装置。
  9. 【請求項9】 ラビング方向がゲート信号線とほぼ直交
    している、請求項1に記載の液晶表示装置。
  10. 【請求項10】 前記凸部によって横電界が発生する、
    請求項1に記載の液晶表示装置。
  11. 【請求項11】 前記横電界の方向は、ラビング方向と
    ほぼ直交している、請求項10に記載の液晶表示装置。
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